説明

蛍光観察装置

【課題】蛍光画像のSN比を高めつつ、対物レンズと標本とを近づけて標本の深い部分を観察することができる蛍光観察装置を提供する。
【解決手段】励起光を標本Aに照射する一方、標本Aからの蛍光を集光する対物光学系40と、対物光学系40の径方向外側に配置され、標本Aからの蛍光を取り込む付加光学系50と、対物光学系40および付加光学系50により集光された標本Aからの蛍光を検出する光検出器17,23とを備える蛍光観察装置1を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多光子励起では、非線形効果により励起光の集光点近傍にある蛍光物質のみが励起され、集光点近傍以外では蛍光物質は励起されない。その原理を利用して、従来、標本における励起光の集光点を走査しながら蛍光を検出し、画像を再構成する多光子励起顕微鏡が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献1に開示されている多光子励起顕微鏡は、対物レンズと標本との間に、励起光の集光位置に向けて配置された複数の光ファイバを備えている。このような構成を有することで、対物レンズに入らなかった蛍光を光ファイバにより捉えて、蛍光画像のSN比を高めるようになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】OPTICS EXPRESS,p.6421−6435,VOL.17,No.8,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に開示されている多光子励起顕微鏡では、ファイバ先端が対物と標本との間にあるため、対物レンズを標本中に挿入することができず、標本の深い部分を観察することができないという不都合がある。例えば、表面から数mmの深さにあるマウスの海馬などを観察することができない。
【0006】
また、表面からさらに深い部分を観察する場合、対物レンズと標本表面との距離を近づけてピント位置を標本深部に合わせる必要があるが、ファイバ先端が対物と標本との間にあるため、対物レンズを標本に近づけることができない。このため、標本内の深いところにピントを合わせられないという不都合がある。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、蛍光画像のSN比を高めつつ、対物レンズと標本とを近づけて標本の深い部分を観察することができる蛍光観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、励起光を標本に照射する一方、前記標本からの蛍光を集光する対物光学系と、該対物光学系の径方向外側に配置され、前記標本からの蛍光を取り込む付加光学系と、前記対物光学系および前記付加光学系により集光された前記標本からの蛍光を検出する光検出部とを備える蛍光観察装置を採用する。
【0009】
本発明によれば、励起光が標本に照射されることで発生した蛍光を対物光学系により集光するとともに、対物光学系に入射しなかった標本からの蛍光を付加光学系により取り込むことができる。そして、このように対物光学系および付加光学系により集光された蛍光を光検出部により検出し、これら蛍光を合成して標本の画像を生成することで、画像のSN比を高めることができ、精度の高い観察を行うことができる。
【0010】
この場合において、付加光学系を対物光学系の径方向外側に配置することで、対物レンズ先端を標本に近づけた際に、付加光学系が邪魔になることはない。そのため、対物レンズ先端を標本に近づけて、標本の表面から深い位置にピントを合わせることができ、標本の深部の観察精度を向上することができる。
【0011】
上記発明において、前記付加光学系が、前記対物光学系の光軸方向に移動可能に設けられていることとしてもよい。
標本の深部においては、集光点で励起されて発生した蛍光が標本中を進む距離が、散乱の平均自由行程(散乱で妨害されること無く進むことのできる距離の平均値)を越える場合がある。この場合、散乱されずに標本表面に直接達する蛍光は非常に少なく、ほとんどの蛍光が標本内で多重散乱して標本表面に達する。多重散乱した蛍光は、さまざまな方向の成分を持って標本表面から射出されるので、標本表面から付加光学系までの距離が離れていると、標本表面からの出射方向が付加光学系から外れてしまい、付加光学系に取り込まれる蛍光が急激に減少する。
【0012】
したがって、付加光学系を対物光学系の光軸方向に移動可能にすることで、標本に対して対物光学系の位置を固定した状態で、付加光学系を標本に近接または密着させることができる。これにより、付加光学系により多くの散乱光を取り込むことができ、画像のSN比を高めて観察精度を向上することができる。
【0013】
上記発明において、前記対物光学系が、前記標本内に挿入するための細径先端部を有することとしてもよい。
このようにすることで、細径先端部を標本内に挿入した状態で、標本の観察を行うことができる。これにより、励起光が標本内を通る距離を短くすることができ、標本内における励起光の散乱を少なくして集光点における励起光の光密度が高め、励起効率を向上することができる。また、標本からの蛍光が標本内を通る距離を短くすることで、標本内における蛍光の散乱が少ない状態で対物光学系により集光することができ、光検出部による蛍光の検出効率を向上することができる。
【0014】
上記発明において、前記付加光学系が、前記対物光学系を中心とする環状の正レンズであることとしてもよい。
付加光学系を正レンズとすることで、集光点からの蛍光を途中で屈折させて、効率よく光検出部に導くことができる。また、付加光学系を対物光学系を中心とする環状に形成することで、対物光学系に入射しなかった標本からの蛍光を効率的に取り込むことができる。
【0015】
上記発明において、前記付加光学系の前記標本からの蛍光を入射させる入射面が、前記対物光学系の光軸に略垂直に形成されていることとしてもよい。
このようにすることで、付加光学系の入射面全体を標本表面に密着させることができ、標本表面での散乱を減らして蛍光の検出効率を向上することができる。
【0016】
上記発明において、前記入射面に入射させた蛍光を導光する導光部を備え、該導光部の光軸が、前記入射面における蛍光の屈折角と略同じ角度で配置されていることとしてもよい。
集光点で発生した蛍光は、付加光学系の入射面で対物光学系の光軸方向に向けて屈折する。この屈折角に導光部の光軸方向を合わせて配置することで、蛍光の検出効率を向上することができる。この構成は、標本の散乱が比較的小さく、集光点からの非散乱光が多い場合に特に有効である。
【0017】
上記発明において、前記付加光学系が、先端に向かって径が小さくなるように形成されていることとしてもよい。
このようにすることで、標本へのダメージを抑えて、付加光学系を標本内に挿入することができる。これにより、付加光学系を集光点に近づけるができ、付加光学系に取り込む蛍光の光量を増加させ、画像のSN比を向上することができる。
【0018】
上記発明において、前記付加光学系の出口と略一致する面に、前記対物光学系により集光された蛍光の中間結像面を形成する有限系レンズと、前記中間結像面からの蛍光と前記付加光学系の出口からの蛍光の両方の瞳の共役面を同一の前記光検出部に導くアダプタレンズとを備えることとしてもよい。
【0019】
このようにすることで、励起光を走査した場合でも、対物光学系および付加光学系により集光された蛍光の両方を常に同一の光検出部に入射させることができる。これにより、光検出部を1つとすることができ、装置および制御を簡易化することができる。
また、対物光学系と付加光学系の蛍光をそれぞれ別々の光検出部で検出する場合と比較して、1つの検出器に入る蛍光の光量が多くなり、SN比を高めることができる。
【0020】
上記発明において、前記付加光学系が、前記付加光学系の前記標本からの蛍光を入射させる入射面と、該入射面に入射させた蛍光を導光する導光部と、該導光部の基端部と前記中間結像面が形成される位置との間に設けられ、前記導光部の基端部と共役な面を、前記中間結像面が形成される位置に形成する付加光学系リレーレンズとを備えることとしてもよい。
【0021】
通常、付加光学系の導光部の基端部のNAと有限系レンズの中間結像面側のNAが大きく異なるものを使用した場合、光が途中でけられないようにするため、アダプタレンズのNAを大きいほうに合わせる必要がある。しかしながら、上記の構成とすることで、付加光学系リレーレンズを使って、導光部の基端部のNAを有限系レンズのNAに合わせられるので、アダプタレンズのNAをどちらかに大きいほうに合わせる必要がなくなる。
【0022】
上記発明において、前記対物光学系により集光された蛍光と前記付加光学系により取り込まれた蛍光とを合成する光合成手段を備えることとしてもよい。
このようにすることで、対物光学系により集光された蛍光と付加光学系により取り込まれた蛍光とを光合成手段により合成し、合成した光を同一の光検出部により検出することができる。これにより、光検出部を1つとすることができ、装置および制御を簡易化することができる。
また、対物光学系と付加光学系の蛍光をそれぞれ別々の光検出部で検出する場合と比較して、1つの検出器に入る蛍光の光量が多くなり、画像のSN比を高めることができる。
【0023】
上記発明において、前記光合成手段が、励起光および前記対物光学系により集光された蛍光が通る中心部と、前記付加光学系により取り込まれた蛍光が通る周辺部とで構成され、前記周辺部が、前記導光部の基端部の蛍光を略平行にする形成する付加光学系コリメートレンズと、前記付加光学系コリメートレンズからの光を偏向する偏向素子とを有することとしてもよい。
【0024】
対物光学系により集光された蛍光は、対物光学系でほぼ平行光束になって、光合成手段の中心部を通り、蛍光観察装置本体に入射する。
導光部を通って、導光部の基端側から射出された蛍光は、付加光学系コリメートレンズで屈折され、略平行光束になる。付加光学系コリメートレンズを出た蛍光は、偏向素子によって、対物光学系の光束と同じ方向に偏向され、対物光学系の光束の外側を通って、蛍光観察装置本体に入射する。蛍光観察装置本体に入射した蛍光は、同一の光検出部により検出される。
【0025】
これにより、付加光学系を備えていない通常の対物光学系でも、光合成手段を蛍光観察装置本体と対物光学系との間に挿入し、それに付加光学系の先端部を組み合わせて使うことができ、画像のSN比を高めることができる。これにより、標本のより深い部分の観察が可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蛍光画像のSN比を高めつつ、対物レンズと標本とを近づけて標本の深い部分を観察することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成図である。
【図2】図1の光ファイバ束の集合前の位置における横断面図である。
【図3】図1の光ファイバ束の集合後の位置における横断面図である。
【図4】図1の光学系の焦点位置を説明する図である。
【図5】図1の変形例に係る光学系の縦断面図である。
【図6】図1の変形例に係る光学系の縦断面図である。
【図7】図1の変形例に係る光学系の縦断面図である。
【図8】図1の変形例に係る光学系の縦断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成図である。
【図10】図9の光学系の正面図である。
【図11】図9の光学系の横断面図である。
【図12】図9の変形例に係る光学系の正面図である。
【図13】図9の変形例に係る光学系の正面図である。
【図14】図9の変形例に係る光学系の縦断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成図である。
【図16】図15の光学系の中間像面位置における横断面図である。
【図17】図15のレーザ顕微鏡装置の光路を説明する図である。
【図18】図15の変形例に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成図である。
【図19】図15の変形例に係る光学系の中間像面位置における横断面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成図である。
【図21】本発明の第5の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成図である。
【図22】図21の蛍光合成部の横断面図である。
【図23】図21の蛍光合成部の光ファイバ束接続位置における側面図である。
【図24】図21のレーザ顕微鏡装置において、対物光学系の視野外に付加光学系の光を通す場合の光路を説明する図である。
【図25】図24の変形例に係る光路を説明する図である。
【図26】図24または図25に示す光路による、光検出部における蛍光の入射位置を示す平面図である。
【図27】図21のレーザ顕微鏡装置において、対物光学系の瞳の外側に付加光学系からの蛍光を通す場合の光路を説明する図である。
【図28】図27に示す光路による、光検出部における蛍光の入射位置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る蛍光観察装置1について、図1から図8を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置1は、図1に示すように、励起光を射出するとともに標本Aにおいて発生した蛍光を検出する顕微鏡本体10と、顕微鏡本体10とは別個に設けられ、標本Aからの蛍光を検出する光検出ユニット20と、顕微鏡本体10からの励起光および標本Aからの蛍光を導く光学系30とを備えている。
【0029】
顕微鏡本体10は、多光子励起顕微鏡であり、標本Aに励起光を照射することで、標本A内の蛍光物質を励起させ、発生した蛍光を検出するようになっている。
顕微鏡本体10は、励起光である短パルスレーザ光を射出するレーザ光源11と、標本A上において短パルスレーザ光の集光点を光軸に直交する方向に走査する走査ミラー12と、短パルスレーザ光の瞳をリレーするリレー光学系13と、励起光と標本Aからの蛍光とを分離するダイクロイックミラー14と、標本Aからの蛍光の瞳をリレーするリレー光学系16と、ダイクロイックミラー14とリレー光学系16との間に設けられた励起光カットフィルタ15と、標本Aからの蛍光を検出する、例えば光電子増倍管等の光検出器17とを備えている。
【0030】
光学系30は、顕微鏡本体10から射出された励起光を標本Aに照射する一方、標本Aからの蛍光を集光する対物光学系40と、対物光学系40の径方向外側に配置され、標本Aからの蛍光を取り込む付加光学系50とを備えている。
【0031】
対物光学系40は、標本Aからの蛍光が入射する入射面41と、入射面41の後段に配置された対物レンズ42とを備えている。
入射面41は、標本A上に載置されたカバーガラス32に近接または当接され、標本Aの集光点(ピント位置)34において発生した蛍光が入射するようになっている。
【0032】
対物レンズ42は、標本Aの集光点34に顕微鏡本体10からの励起光を集光するとともに、標本Aの集光点34において発生し、入射面41に入射した標本Aからの蛍光を集光するようになっている。対物レンズ42は、例えば無限遠光学系で設計されており、標本Aからの蛍光を略平行な光束にして、顕微鏡本体10へ取り込み、リレー光学系16で光検出器17に導くようになっている。
【0033】
付加光学系50は、対物光学系40の径方向外側に配置され、標本Aからの蛍光が取り込まれる蛍光取り込み窓(入射面)51と、蛍光取り込み窓51に取り込まれた蛍光を導光する光ファイバ束(導光部)52と、光ファイバ束52により導光された蛍光を射出する蛍光出口部53とを備えている。
【0034】
蛍光取り込み窓51は、光軸に沿う方向には、対物光学系40の先端部(入射面41)と略同じ高さに設けられており、光軸に直交する方向には、対物光学系40の先端部(入射面41)の外側に設けられている。蛍光取り込み窓51の具体的な形状は、例えば、先端側に凸面を向けた平凸型の正レンズ54であり、対物光学系40が配置された中心部分がくり抜かれた円筒形状(円環形状)を有している。
【0035】
光ファイバ束52は、図1および図2に示すように、蛍光取り込み窓51の後段において対物光学系40を取り囲むように配置されている。また、光ファイバ束52は、図1および図3に示すように、途中位置で一つの束にまとめられ、蛍光出口部53まで続いている。
【0036】
光ファイバ束52は、蛍光取り込み窓51と蛍光出口部53との間において、全体として被覆されているが、被覆の中で個々の光ファイバはばらばらになっていて、柔軟性をもたせている。光ファイバ束52は、高NA(例えばNA0.65)で径が小さい(例えば直径30μm)の多成分ガラスの光ファイバを束ねたものである。
【0037】
蛍光出口部53と光検出ユニット20とは光学的に接続されており、付加光学系50を通った蛍光は光検出ユニット20に導かれる。
なお、対物レンズ42および蛍光出口部53はともに着脱自在になっていて、対物光学系40および付加光学系50は交換可能とされている。
【0038】
光検出ユニット20は、光ファイバ束52により導光された蛍光の瞳をリレーするリレー光学系21と、リレー光学系21によりリレーされた光から励起光をカットする励起光カットフィルタ22と、標本Aからの蛍光を検出する、例えば光電子増倍管等の光検出器23とを備えている。
【0039】
上記構成を有する蛍光観察装置1の作用について説明する。
レーザ光源11から励起光として射出された短パルスレーザ光は、走査ミラー12により偏向された後、リレー光学系13により瞳がリレーされる。そして、短パルスレーザ光は、ダイクロイックミラー14により対物光学系40に向けて反射され、対物光学系40(対物レンズ42)により標本A内の集光点34に集光される。
【0040】
これにより、標本Aにおける集光点34近傍の蛍光物質が励起され、蛍光が発生する。
標本A内で発生した蛍光のうち、対物光学系40の開口範囲内に入ったもの(直接光および散乱光)は、対物光学系40(対物レンズ42)により集光され、ダイクロイックミラー14を透過する。ダイクロイックミラー14を透過した蛍光は、励起光カットフィルタ15により励起光が取り除かれた後、リレー光学系16を介して光検出器17により検出され、電気信号に変換される。
【0041】
一方、標本A内で発生した蛍光のうち、対物光学系40の開口範囲内に入らなかった光の一部(直接光および散乱光)は、付加光学系50(蛍光取り込み窓51)により取り込まれ、光ファイバ束52により導光される。光ファイバ束52により導光された蛍光は、リレー光学系21によりリレーされ、励起光カットフィルタ22により励起光が取り除かれた後、光検出器23により検出され、電気信号に変換される。
【0042】
この際、走査ミラー12により2軸方向に短パルスレーザ光を偏向させることで、標本A上において集光点34を水平方向に走査させる。そして、走査ミラー12の動きに合わせて、光検出器17および光検出器23により検出された蛍光の強度を合成してモニター上(図示略)で画像を再構成すると、標本Aの2次元画像が得られる。さらに、対物レンズ42と標本Aとの間隔を変える走査を行うことで、標本Aの3次元の画像を構築することができる。
なお、走査ミラー12の走査位置による明るさのムラを少なくするために、光検出器17の位置は、対物光学系40の瞳位置と共役な位置近傍にあることが望ましい。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る蛍光観察装置1によれば、励起光が標本Aに照射されることで発生した蛍光を対物光学系40により集光するとともに、対物光学系40に入射しなかった標本Aからの蛍光を付加光学系50により取り込むことができる。そして、このように対物光学系40および付加光学系50により集光された蛍光を光検出器17および光検出器23により検出し、これら蛍光を合成して標本Aの画像を生成することで、画像のSN比を高めることができ、精度の高い観察を行うことができる。
【0044】
この場合において、付加光学系50を対物光学系40の径方向外側に配置することで、対物レンズ先端を標本Aに近づけた際に、付加光学系50が邪魔になることはない。そのため、対物光学系40先端(入射面41)を標本Aに近づけて、標本Aの表面から深い位置に対物光学系40のピントを合わせることができ、標本Aの深部の観察精度を向上することができる。
【0045】
また、付加光学系50に正レンズ54を採用することで、集光点34からの蛍光を途中で屈折させて、効率よく光検出器20に導くことができる。また、付加光学系50を、対物光学系40を中心とする円筒形状(円環形状)とすることで、対物光学系40に入射しなかった標本Aからの蛍光を効率的に取り込むことができる。
【0046】
なお、蛍光取り込み窓51を対物光学系40先端部の外側に配置すると、集光点34から蛍光取り込み窓51まで距離が比較的長くなってしまう。しかしながら、蛍光取り込み窓51を正レンズ54とすることで、集光点34からの蛍光を途中で屈折させて、効率よく光ファイバ束52に導くことができ、効率的に蛍光を検出することができる。
また、対物光学系40の側面は大きさの制限が無いので、光ファイバ束52の径を大きくすることで、蛍光の光量を増やすことも可能である。
【0047】
また、集光点34からの蛍光を効率良く取り込むため、図4に示すように、標本A側焦点Fsおよび光ファイバ側の焦点Ffを配置することが望ましい。具体的には、図4に示すように、正レンズ54の標本A側焦点Fsは、対物光学系40の光軸上の集光点34の近傍に配置し、光ファイバ側の焦点Ffは、光軸方向において光ファイバ束52の端部近傍に配置することが望ましい。
【0048】
図4において、点線は、集光点34が対物光学系40の光軸上にあるときの光線を示しており、実線は、集光点34が走査によって対物光学系40の光軸からずれたときの光線を示している。上記条件により、集光点34が光軸に直交する方向に走査されて対物光学系40の光軸から外れ、標本A側の焦点位置が焦点Feとなった場合にも、そこからの蛍光が常に光ファイバ束52の同じ位置を通過するようになるので、走査による明るさムラを防止することができる。
【0049】
また、図5に示すように、付加光学系50の蛍光取り込み窓51の形状を、光ファイバ束52側を凸面、標本A側を対物光学系40の光軸に垂直な平面に形成することとしてもよい。
このような形状とすることで、蛍光取り込み窓51の先端側(入射面51)が平面なので、標本Aと蛍光取り込み窓51との間にある媒質の屈折率の影響を受けにくくすることができ、対物光学系40が水浸または油浸タイプの場合に好適である。
【0050】
また、標本A側の入射面51が対物光学系40の光軸に垂直な平面なので、蛍光取り込み窓51全体を標本Aの表面に密着させることができ、標本Aの表面での散乱を減らして蛍光の検出効率を向上することができる。
【0051】
また、図6に示すように、付加光学系50の正レンズ54の中心部分(空洞部分)を、先端に近づくに従って内径が小さくなる形状とすることで、対物光学系40の先端部を、先端に近づくに従って径が小さくなるようなテーパー形状にしてもよい。このような形状とすることで、対物光学系40に近い部分を通った蛍光も付加光学系50に取り込むことができるので、蛍光の取得効率を高めて蛍光画像のSN比を向上することができる。
【0052】
また、図7に示すように、付加光学系50の蛍光取り込み窓51の光軸方向の位置を、対物光学系40の先端の位置よりも基端側(図7において上側)に配置してもよい。この場合、対物光学系40の先端を視認できるので、ユーザが観察したい場所を確認しながら蛍光観察を行うことができる。
【0053】
また、図8に示すように、図6と同様に対物光学系40を先端に近づくに従って径が小さくなるようなテーパー形状として、光ファイバ束52をその周りに沿って、対物光学系40の光軸に対して傾けて配置することとしてもよい。この場合には、光ファイバ束52の先端を接着剤で固めた後、その先端面が対物光学系40の光軸に対して垂直になるように研磨し、これを蛍光取り込み窓51としてもよい。
【0054】
このような形状とすることで、光ファイバ束52の光軸を集光点34に向けることができる。
なお、図8に示す例において、光ファイバ束52の光軸の向きを、蛍光取り込み窓51における蛍光の屈折角と略同じ角度となるように、光ファイバ束52を配置することが好適である。
【0055】
このようにすることで、光ファイバ束52内において、蛍光取り込み窓51に取り込まれた蛍光を光ファイバ束52の光軸に沿う方向に導光することができるので、蛍光の検出効率を向上することができる。
上記の構成は、標本Aの散乱が比較的小さく、集光点34からの非散乱光が多い場合に特に有効である。
【0056】
また、導光手段である光ファイバ束52は、例えば直径1mm程度の太い石英ファイバを使用してもよいし、あるいは液体ファイバを用いてもよい。
光ファイバ束52を液体ファイバとした場合、ファイバとファイバとの隙間が無いため、蛍光の取得効率をさらに高め、蛍光画像のSN比を向上することができる。
【0057】
また、光検出器17や光検出器23の前段に、ダイクロイックミラーなどの分光素子などを入れて蛍光の進路を波長帯ごとに分けて、各波長帯の光をそれぞれ別々の光検出素子で検出してもよい。
また、対物光学系40に対して付加光学系50の先端部が光軸方向に可動するように構成し、蛍光取り込み窓51の光軸方向の位置を自由に決められるようにしてもよい。
また、対物光学系40に有限系の顕微鏡対物レンズを使用してもよい。
【0058】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る蛍光観察装置1について、主に図9から図14を参照して説明する。以下、本実施形態の蛍光観察装置2について、第1の実施形態に係る蛍光観察装置1と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0059】
本実施形態に係る蛍光観察装置2は、標本Aは生体、特に脳組織等の比較的柔らかいものを観察するのに適した実施形態である。
図9に示すように、対物光学系40は、標本A内部に損傷を少なく挿入できるように、対物光学系40が、先端の径が小さく形成された細径先端部43を有している。具体的には、細径先端部43の直径は2mm以下で、より望ましくは1mm以下が好適である。
【0060】
付加光学系50は、蛍光取り込み窓51と、蛍光出口部53と、これらの間を光学的に接続する光ファイバ束52とで構成される。
蛍光取り込み窓51は、図10に示すように、複数の薄い(例えば厚さ0.3mm程度)平行平板ガラスが対物光学系40の細径先端部43を取り囲むように配置されて形成されている。
【0061】
蛍光取り込み窓51の後段には、図11に示すように、複数の光ファイバ束52が対物光学系40を取り囲むように配置されている。
第1の実施形態と同様に、複数の光ファイバ束52は途中位置で1つの束にまとめられている。複数の光ファイバ束52は、例えば、外径は5mm、内径は細径先端部43の外径よりも少し大きい径である。
【0062】
光ファイバ束52は蛍光取り込み窓51に固定されており、この蛍光取り込み窓51が、細径先端部43に対して対物光学系40の光軸方向に移動可能になっている。さらに、蛍光取り込み窓51は、対物光学系40に対して、ネジなどで位置を固定できるようになっている。
【0063】
このように構成することで、対物光学系40の細径先端部43を標本Aの深部まで挿入し、蛍光取り込み窓51の位置を調整して、蛍光取り込み窓51と標本A表面を近接させて観察を行うことができる。なお、可能であれば、蛍光取り込み窓51と標本Aの表面とを密着させることが望ましい。
【0064】
上記構成を有する蛍光観察装置2によれば、第1の実施形態と同様に、付加光学系50を対物光学系40の径方向外側に配置することで、対物レンズ先端を標本Aに近づけた際に、付加光学系50が邪魔になることはない。そのため、対物光学系40の先端部を標本Aに近づけて、標本Aの表面から深い位置に対物光学系40のピントを合わせることができ、標本Aの深部の観察精度を向上することができる。
【0065】
さらに、従来の蛍光観察装置は、対物レンズの径が大きいため、標本Aの内部に挿入することは不可能であった。これに対して、本実施形態に係る蛍光観察装置2によれば、対物光学系40に細径先端部43を設けることで、標本Aの組織の損傷を小さく抑えつつ、対物光学系40を標本Aの内部に挿入することができる。標本Aの深部まで対物光学系40の細径先端部43を挿入すると、集光点34の標本Aの表面からの深さが従来と同じでも、励起光が標本A内を通る距離が短くなる。これにより、励起光の散乱を少なく抑えることができ、励起光の光密度を高め、励起効率を向上することができる。
【0066】
また、標本Aにおいて発生した蛍光についても、標本Aの内部を通る距離が短くなるため、標本A内における散乱を低減することができ、対物光学系40の開口の外へ逃げてしまう蛍光の光量を低下させ、蛍光の検出効率を向上することができる。
【0067】
また、標本Aの深部においては、集光点34で励起されて発生した蛍光が標本A中を進む距離が、散乱の平均自由行程(散乱で妨害されること無く進むことのできる距離の平均値)を越える場合がある。この場合、散乱されずに標本Aの表面に直接達する蛍光は非常に少なく、ほとんどの蛍光が標本A内で多重散乱して標本Aの表面に達する。多重散乱した蛍光は、さまざまな方向の成分を持って標本Aの表面から射出されるので、標本Aの表面から付加光学系50までの距離が離れていると、標本Aの表面からの出射方向が付加光学系50から外れてしまい、付加光学系50に取り込まれる蛍光が急激に減少する。
【0068】
したがって、本実施形態に係る蛍光観察装置2のように、付加光学系50を対物光学系40の光軸方向に移動可能にすることで、標本Aに対物光学系40を挿入した状態で、付加光学系50(蛍光取り込み窓51)を標本Aに近接または密着させることができる。これにより、付加光学系50により多くの散乱光を取り込むことができ、画像のSN比を高めて観察精度を向上することができる。
【0069】
なお、多成分ガラスの光ファイバは、曲げ応力が小さく、曲げ半径も小さく柔軟性が高い。そこで、光ファイバ束52に多成分ガラスの光ファイバを用いることで、付加光学系50の蛍光取り込み窓51の位置を容易に調整することができる。
【0070】
また、図12に示すように、蛍光取り込み窓51を、対物光学系40の細径先端部43が通る中心部だけ貫通穴をあけた平行平板ガラスにしても良い。また、平行平板ガラスを取り付けないで、接着剤で光ファイバ束52を固めても良い。このようにすることで、部品点数を減らすことができ、コストを削減することができる。
【0071】
また、図13に示すように、光ファイバ束52を円環状に配置しても良い。このようにすることで、付加光学系50の先端部の外径が同じでも、光ファイバ束52のファイバ本数を増やすことが出来るので、より多くの蛍光を光検出ユニット20まで導くことができ、高いSN比を実現することができる。
【0072】
また、図14に示すように、対物光学系40の先端形状を、先端に近づくに従って径が小さくなるようなテーパー形状としてもよい。さらに、付加光学系50の光ファイバ束52の先端を融着または接着してから、先端に近づくに従って径が小さくなるようなテーパー形状に研磨して、このテーパー面を蛍光取り込み窓51としてもよい。
【0073】
上記構成を有する蛍光観察装置2によれば、対物光学系40および蛍光取り込み窓51を先端に近づくに従って細径となるテーパー形状とすることで、標本Aのダメージをより低減させつつ、対物光学系40および付加光学系50を標本Aの内部に挿入できる。これにより、蛍光取り込み窓51を集光点34に近づけることができ、蛍光取り込み窓51に取り込む蛍光量を増加させることができる。その結果、画像のSN比を向上することができ、標本Aのより深い部分の観察を行うことができる。
【0074】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る蛍光観察装置3について、主に図15から図19を参照して説明する。以下、本実施形態の蛍光観察装置3について、前述の各実施形態に係る蛍光観察装置と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置3は、図15に示されるように、対物光学系40を通った蛍光と付加光学系50を通った蛍光を同一の光検出器17で検出できるようにしたものである。
【0075】
対物光学系40は、先端側に有限系レンズ45,46を有しており、有限系レンズ45,46の基端側には中間結像面61が形成されるようになっている。中間結像面61の近傍には、図16に示すように、リング状の遮光部材47が配置されている。この遮光部材47は、有限系レンズ45,46の視野を規定しており、標本A上で励起光が走査される範囲を規定している。
【0076】
付加光学系50は、蛍光取り込み窓51と、蛍光出口部53と、これらの間を光学的に接続する光ファイバ束52とで構成されている。本実施形態においては、光ファイバ束52の基端部が蛍光出口部53となっている。蛍光取り込み窓51は第1の実施形態と同様である。光ファイバ束52は、図16に示すように、例えばNA0.22で径が比較的大きい(例えば直径1mm)の石英系の光ファイバ6本が、対物光学系40の外側を囲うように配置されている。
【0077】
中間結像面61と蛍光出口部53は、対物光学系40の光軸方向では、略同じ位置に配置されており、光軸に直交する方向では、対物光学系40の中間結像面61位置での視野の周辺に蛍光出口部53が並べて配置されている。
本実施形態では、光ファイバ束52の基端側(蛍光出口部53)と有限系レンズ45,46の基端側の瞳位置をともに無限大(すなわちテレセントリック)に構成している。
【0078】
中間結像面61と蛍光出口部53の基端側には、中間結像面61からの蛍光と蛍光出口部53からの蛍光の両方を顕微鏡本体10に導くアダプタレンズ62が配置されている。アダプタレンズ62は無限遠光学系の正レンズであり、基端側の焦点が光検出器17と共役な位置に設定されている。
【0079】
上記構成を有する蛍光観察装置3の作用について説明する。
第1の実施形態と同様に顕微鏡本体10から射出され、平行光束で対物光学系40に入射した励起光は、アダプタレンズ62(無限遠系レンズ)によって対物光学系40内の中間結像面61上で一旦集光され、有限系レンズ45,46によって再び標本A内の集光点34に集光される。
【0080】
集光点34では標本A内の蛍光物質が励起され、蛍光が発生する。この蛍光の光路について図17を用いて説明する。
図17において、標本A内の集光点34で発した蛍光のうち、対物光学系40の有限系レンズ45,46の開口範囲内に入ったもの(直接光および散乱光)は実線で示している。また、標本A内の集光点34で発した蛍光のうち、付加光学系50に入ったもの(直接光および散乱光)は点線で示している。なお、図17は、励起光が走査されて、対物光学系40の光軸から外れたときの状態を示している。
【0081】
標本Aにおいて発生した蛍光のうち、対物光学系40に入射した蛍光は、有限系レンズ45,46を通って、アダプタレンズ62(無限遠系レンズ)により集光され、ダイクロイックミラー14を透過する。そして、励起光カットフィルタ15を通過することで励起光がカットされ、リレー光学系16を介して光検出器17に入射し、光検出器17により電気信号に変換される。
【0082】
標本Aにおいて発生した蛍光のうち、対物光学系40の有限系レンズ45,46の開口範囲内に入らなかった蛍光の一部は、付加光学系50に入射する。この蛍光は、蛍光取り込み窓51に入射した後、光ファイバ束52により導光され、蛍光出口部53から射出される。そして、アダプタレンズ62(無限遠系レンズ)により集光され、ダイクロイックミラー14を透過する。そして、励起光カットフィルタ15を通過することで励起光がカットされ、リレー光学系16を介して光検出器17に入射し、光検出器17により電気信号に変換される。
【0083】
上記のように、対物光学系40の有限系レンズ45,46を通った蛍光と付加光学系50を通った蛍光の両方が同一の光検出器17で検出される。
以上のように、本実施形態に係る蛍光観察装置3によれば、第1の実施形態と同様に、付加光学系50を対物光学系40の径方向外側に配置することで、対物レンズ先端を標本Aに近づけた際に、付加光学系50が邪魔になることはない。そのため、対物光学系40の先端部を標本Aに近づけて、標本Aの表面から深い位置に対物光学系40のピントを合わせることができ、標本Aの深部の観察精度を向上することができる。
【0084】
また、本実施形態では、光ファイバ束52の基端側(蛍光出口部53)と有限系レンズ45,46の基端側の瞳位置をともに無限大(すなわちテレセントリック)にし、さらに、アダプタレンズ62を無限遠系光学系として、その基端側の焦点と、光検出器17を共役関係になるように配置している。これにより、励起光を走査したときでも、対物光学系40の有限系レンズ45,46を通った蛍光は、常に光検出器17に入射させることができ、さらに、付加光学系50を通った蛍光も同じ光検出器17に入射するようにできる。
【0085】
これにより、対物光学系40と付加光学系50を別々の光検出器で検出する場合と比較して、光検出器に入る蛍光の光量が多くなるので、画像のSN比を向上させることができる。これにより、標本Aのより深い部分の観察が可能になる。また、光検出器17からの情報を1つとすることができ、後に実行される電気的な処理(例えば画質向上のための処理)を簡易的なものとすることができる。
【0086】
また、付加光学系50用の光検出器を別途設ける必要が無いので、一般の多光子励起顕微鏡をそのまま使うことができる。
なお、これらの光学系の瞳位置の配置は、上記に限定されるものではなく、対物光学系40の有限系レンズ45,46の基端側の瞳位置と付加光学系50の基端側の瞳位置が一致するように構成し、これらの瞳がアダプタレンズ62によって、光検出器17の位置にリレーされるようにしてあればよい。
【0087】
また、図18に示すように、対物光学系40の先端部および付加光学系50の先端部を、第2の実施形態で示した態様としてもよい。
図18に示すように、本変形例に係る蛍光観察装置3’は、対物光学系40の先端に細径先端部43を有している。また、第2の実施形態と同様に、光ファイバ束52が蛍光取り込み窓51に固定されており、蛍光取り込み窓51が、対物光学系40の光軸方向に移動可能になっている。
【0088】
光ファイバ束52は、第2の実施形態と同様に、高NA(例えばNA0.65)で径が小さい(例えば直径30μm)の多成分ガラスの光ファイバを束ねたものである。
上記構成を有する蛍光観察装置3’によれば、第2の実施形態と同様に、励起効率や蛍光の検出効率を上げることができ、画像のSN比を向上することができる。
【0089】
なお、励起光の光走査の範囲について、励起光が光ファイバ束52の基端部に集光して光ファイバ束52に損傷を与えないようにするため、対物光学系40のアダプタレンズ62を通過した後の中間像位置で、付加光学系50の蛍光出口部53の有効範囲に励起光が入らないようにすることが望ましい。
具体的には、例えば図16に示すように、励起光の走査範囲に遮光部材47を設け、付加光学系50の蛍光出口部53を走査範囲の外に配置することが考えられる。
【0090】
また、励起光の走査範囲が円形では無く、正方形や長方形の場合、図19に示すように、励起光の走査範囲に合わせて遮光部材47を正方形や長方形としてもよい。この場合には、光ファイバ束52を遮光部材47の側面の周囲に配置し、これらを束ねて蛍光出口部53とすることで、アダプタレンズ62の視野数を大きく取らずにすむメリットがある。
【0091】
なお、対物光学系40のアダプタレンズ62を通過した後の中間像位置で、付加光学系50の蛍光出口部53の有効範囲に励起光が入らないように走査すれば遮光部材は不要である。
また、光ファイバ束52(導光手段)は蛍光を蛍光出口部53まで導けば良く、第1の実施形態と同様に他の導光手段に変更することも可能である。
【0092】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態に係る蛍光観察装置4について、主に図20を参照して説明する。以下、本実施形態の蛍光観察装置4について、前述の各実施形態に係る蛍光観察装置と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置4は、図20に示されるように、第3の実施形態に係る蛍光観察装置3において、蛍光出口部53の部分が変形された態様である。
【0093】
付加光学系50の先端部43は、図18に示される第3の実施形態(変形例)に係る蛍光観察装置3’の先端形状と同様である。
第3の実施形態に係る蛍光観察装置3と異なる点は、有限系レンズ45,46の中間像面が、光ファイバ束52の基端部(蛍光出口部53)ではなく、光ファイバ束52の基端部の共役面である中間結像面61に形成される点である。
【0094】
光ファイバ束52の基端部の共役面は、付加光学系50に設けられたリレーレンズ(付加光学系リレーレンズ)55およびミラー56によって形成される。
付加光学系50のリレーレンズ55の基端側(ミラー56で反射後)の瞳位置は、付加光学系50からの蛍光が効率よく光検出器17に入るように、対物光学系40の光軸方向に有限系レンズ45,46と瞳位置を略一致させている。
【0095】
本実施形態では、付加光学系50のリレーレンズ55は、両テレセントリック光学系(瞳位置が前後ともに無限大)になっており、ミラー56で付加光学系50の光軸を直角に曲げて、中間像部分での付加光学系50の瞳位置も無限大としている。また、有限系レンズ45,46の基端側の瞳位置も、これに合わせて無限大(すなわち、テレセントリック)としている。
【0096】
上記構成を有する蛍光観察装置4の作用について説明する。
第3の実施形態において、付加光学系50の光ファイバ束52の基端部のNAと有限系レンズ45,46の中間像側のNAが大きく異なるものを使用した場合、光が途中でけられないようにするため、アダプタレンズ62のNAを大きいほうにあわせる必要がある。しかし、本実施形態のように付加光学系50のリレーレンズ55を使って、付加光学系50の中間結像面61におけるNAを有限系レンズ45,46のNAにあわせることで、アダプタレンズ62のNAをどちらかに大きいほうにあわせる必要がなくなる。
【0097】
なお、ミラー56は、光ファイバ束52の基端部と、その共役面である中間結像面61との距離が長いので、光ファイバ束52およびリレーレンズ55を付加光学系50の光軸に対して横方向に逃がすために設けている。
【0098】
また、光ファイバ束52の基端部と付加光学系50のリレーレンズ55を着脱自在にして、付加光学系50を交換できるようにしてもよい。その際、各々の付加光学系50に対して付加光学系50のリレーレンズ55で蛍光出口部53側のNAを調整して有限系レンズ45,46に合わせるようにすればよい。
なお、目的に合わせて、付加光学系50の仕様(光ファイバ束52の太さやNA,蛍光取り込み窓51の形状など)を交換しても、有限系レンズ45,46やアダプタレンズ62を変える必要が無い。
【0099】
また、光ファイバ束52の基端部、付加光学系50のリレーレンズ55、およびミラー56を一体で着脱可能としてもよい。
さらに、光ファイバ束52が同じNAであれば、光ファイバ束52の基端部から着脱してもよい。
【0100】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態に係る蛍光観察装置5について、主に図21から図28を参照して説明する。以下、本実施形態の蛍光観察装置5について、前述の各実施形態に係る蛍光観察装置と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0101】
本実施形態に係る蛍光観察装置5は、対物光学系40を通った蛍光と付加光学系50を通った蛍光とを同一の光検出器17で検出するようにするための蛍光合成手段を、前述の第3の実施形態および第4の実施形態とは別の構成で実現するものである。
【0102】
本実施形態に係る蛍光観察装置5は、図21に示されるように、顕微鏡本体10と、対物光学系40、付加光学系50と、対物光学系40基端部と顕微鏡本体10の間に設けられた蛍光合成部(光合成手段)70とを備えている。
なお、図21に示す例では、細径先端部43を有する対物光学系40を示しているが、それ以外の対物光学系40でもよい。
【0103】
蛍光合成部70は、図22に示すように、励起光および対物光学系40を通ってきた蛍光が通る中心部73と、付加光学系50を通ってきた蛍光が通る周辺部74で構成されており、これら蛍光を合成するようになっている。
周辺部74は、光ファイバ束52の基端部から蛍光が入射するコリメートレンズ(付加光学系コリメートレンズ)71と、コリメートレンズ71からの蛍光を偏向するプリズム(偏向素子)72で構成されている。なお、プリズム72に代えて、ミラーを配置することとしてもよい。
【0104】
光ファイバ束52の基端部は、蛍光取り込み窓51に接続された光ファイバ束52が一旦ばらばらになった後、複数の束にまとめられたもので、蛍光合成部70の側面に配置されている。
【0105】
上記構成を有する蛍光観察装置5の作用について説明する。
対物光学系40を通った蛍光は、対物光学系40で略平行光束になって、蛍光合成部70の中心部73を通り、顕微鏡本体10に入射する。
【0106】
蛍光取り込み窓51および光ファイバ束52を通って、光ファイバ束52の基端側から射出された蛍光は、コリメートレンズ71により屈折される。コリメートレンズ71は、コリメートレンズ71の焦点と光ファイバ束52の基端部を略一致させて、光ファイバ束52の一点から出た光が略平行光束になるように配置されている。実際には、光ファイバ束52は面積をもっているので、複数の平行光束が角度を持って重なり合った形になる。
【0107】
コリメートレンズ71を出た蛍光は、プリズム72により対物光学系40の光束と同じ方向に偏向され、対物光学系40の光束の外側に通って、顕微鏡本体10に入射する。このように、対物光学系40および付加光学系50を通った蛍光は、蛍光合成部70により合成され、顕微鏡本体10のリレーレンズ16により同一の光検出器17に集光され、該光検出器17により検出される。
【0108】
ここで、光ファイバ束52の基端側の形状は、図23に示すように、円弧状にするとよい。このような形状にすることで、付加光学系50を通った蛍光の光束の広がり角が横方向に大きくならないので、顕微鏡本体10側の視野数を大きくしないで済む。
【0109】
また、蛍光合成部70における導光方法は、顕微鏡本体10と対物光学系40の条件によって、以下の2通りの設定の仕方がある。
1つ目は、顕微鏡本体10の視野が対物光学系40の視野と比較して大きい場合であり、この場合には対物光学系40の視野外に付加光学系50からの蛍光を通すことが有利である。
2つ目は光検出器17の検出領域が対物光学系40で使用する領域よりも大きい場合であり、この場合には対物光学系40の瞳の外側に付加光学系50からの蛍光を通すことが有利である。
【0110】
以下、上記の蛍光合成部70における導光方法について、それぞれの場合に分けて詳述する。
まず、1つ目の条件のときの蛍光合成部70での光の条件設定、すなわち対物光学系40の視野外に付加光学系50の光を通す場合について説明する。
図24および図25は、蛍光の光路を示している。
図24および図25においてダイクロイックミラー14と励起光カットフィルタは省略してある。また、実線は対物光学系40の最大視野のマージナル光線、点線は付加光学系50を通る光束を示している。また、符号81は対物光学系40の瞳面、符号82はコリメートレンズ71の瞳面を示している。
【0111】
光ファイバ束52の基端部とコリメートレンズ71との位置関係は、コリメートレンズ71の焦点と光ファイバ束52の基端部を略一致させて、光ファイバの一点から出た光が略平行光束になるようにしてある。実際の光束の形は、光ファイバ束52は面積をもっているので、複数の平行光束が角度を持って重なり合う形になる。
【0112】
光ファイバ束52の基端側から射出されて、コリメートレンズ71で屈折された蛍光は、プリズム72により、対物光学系40の光束の外側に通るようになっている。
このときの光束の角度は以下のように設定している。
【0113】
付加光学系50を通る蛍光でコリメートレンズ71から射出される光の光束のうち、対物光学系40の光軸に対する角度が最も小さいもの(角度α)が、対物光学系40の最大視野のマージナル光線の瞳位置での光軸に対する角度(β)よりも大きくなるように、プリズム72、光ファイバ束52の形状、コリメートレンズ71の焦点距離などを設定する。
【0114】
観察時は励起光の走査範囲を角度αより小さくする。例えば、図24に示す例では、光ファイバ束52の中心をコリメートレンズ71に合わせ、コリメートレンズ71の光軸を対物光学系40の光軸に直交させ、プリズム72の角度を対物光学系40の光軸に対して少し外側に傾けることで、付加光学系50の光束の角度が上記条件に当てはまるように設定している。
【0115】
なお、付加光学系50の光束の角度の設定は、例えば、図25に示すように、コリメートレンズ71の光軸に対して光ファイバ束52の基端部を偏心させる方法や、その他の方法でもよい。
【0116】
光ファイバ束52の基端部およびコリメートレンズ71の位置は、以下のように設定する。付加光学系50のコリメートレンズ71から射出される蛍光の光束は、プリズム72で反射されているので、対物光学系40側へ投影して考える。
コリメートレンズ71の瞳位置の設定は、ミラー75によって対物光学系40の光束を遮らない範囲で、対物光学系40の瞳とできるだけ多く重なるようにするとよい。
【0117】
ここで、図26は、上記設定をしたときの対物光学系40および付加光学系50を通った蛍光の光検出器17上での分布である。符号76は対物光学系40を通った蛍光の投影範囲、符号77は付加光学系50を通った蛍光の投影範囲を示している。
上記の設定を行うことで、図26に示すように、光検出器17の中心付近に付加光学系50を通った光を多く導くことができ、蛍光の検出効率を高めることができる。このように、付加光学系50を通った蛍光を、対物光学系40の視野外を通して光検出器17まで到達させることができる。
【0118】
次に、2つ目の条件のときの蛍光合成部70での光の条件設定、すなわち対物光学系40の瞳の外側に付加光学系50の光を通す場合について説明する。
図27は、光ファイバ束52の基端部の中心とコリメートレンズ71の光軸を一致させて、ミラー75によりコリメートレンズ71の光軸を顕微鏡本体10側に直角に曲げている例を示している。また、符号81は対物光学系40の瞳面、符号82はコリメートレンズ71の瞳面、符号83はコリメートレンズ71の瞳相当面を示している。
【0119】
図24および図25との違いは、光ファイバ束52の基端部、コリメートレンズ71、ミラー75の配置を変えて、コリメートレンズ71から射出される蛍光(付加光学系50を通る蛍光)の光束が対物光学系40の光軸と平行になる成分を含むようにしている点である。
【0120】
まず、光ファイバ束52の基端部およびコリメートレンズ71の位置設定について説明する。
本実施形態では、コリメートレンズ71の基端側の瞳位置(ミラー75より先端側にある場合は瞳に相当する位置)を、光軸方向で対物光学系40の瞳位置の近傍に配置している。また、横方向は、ミラー75が対物光学系40の最大視野の光束を遮らない範囲で、できるだけ光軸に近いところに互いの瞳が重ならないようにずらして配置している。
【0121】
図28は、以上の設定をしたときの対物光学系40および付加光学系50を通った蛍光の光検出器17上での分布である。光検出器17上では、対物光学系40と通った蛍光の周辺に付加光学系50を通った蛍光が分布する形になる。ここで、符号76は対物光学系40を通った蛍光の投影範囲、符号77は付加光学系50を通った蛍光の投影範囲を示している。
【0122】
また、励起光が付加光学系50に入らないように、すなわち励起光が光ファイバ束52の基端部に達しないようにするため、コリメートレンズ71とミラー75との間に励起光カットフィルタ78を設けることが望ましい。また、励起カットフィルタ78の代わりに、ミラー75を、励起光を透過させる一方で、多光子励起によって発生した蛍光を反射する特性にしてもよい。あるいは、励起光の瞳径を対物光学系40の瞳径にできるだけ合わせて小さくして、付加光学系50の瞳に入らないようにしてもよい。
上記の設定を行うことで、付加光学系50を通った蛍光を、対物光学系40の瞳の外側を通して光検出器17まで到達させることができる。
【0123】
以上のように、本実施形態に係る蛍光観察装置5によれば、付加光学系50を有していない蛍光観察装置でも、蛍光合成部70を顕微鏡本体10と対物光学系40との間に挿入し、付加光学系50の先端部を組み合わせて使うことで、画像のSN比を向上することができる。これにより、標本Aのより深い部分の観察が可能になる。
【0124】
また、対物光学系40と付加光学系50を別々の光検出器で検出する場合と比較して、光検出器に入る蛍光の光量が多くなるので、画像のSN比を向上させることができる。これにより、標本Aのより深い部分の観察が可能になる。また、光検出器17からの情報を1つとすることができ、後に実行される電気的な処理(例えば画質向上のための処理)を簡易的なものとすることができる。
【符号の説明】
【0125】
A 標本
1,2,3,3’,4,5 蛍光観察装置
10 顕微鏡本体
11 レーザ光源
12 走査ミラー
13 リレー光学系
14 ダイクロイックミラー
15 励起光カットフィルタ
16 リレー光学系
17 光検出器(光検出部)
20 光検出ユニット
21 リレー光学系
22 励起光カットフィルタ
23 光検出器(光検出部)
30 光学系
34 集光点(ピント位置)
40 対物光学系
41 入射面
42 対物レンズ
43 細径先端部
45 有限系レンズ
46 有限系レンズ
50 付加光学系
51 蛍光取り込み窓(入射面)
52 光ファイバ束(導光部)
53 蛍光出口部
54 正レンズ
55 リレーレンズ(付加光学系リレーレンズ)
56 ミラー
61 中間結像面
62 アダプタレンズ
70 蛍光合成部(光合成手段)
71 コリメートレンズ(付加光学系コリメートレンズ)
72 プリズム(偏向素子)
73 中心部
74 周辺部
75 ミラー(偏向素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を標本に照射する一方、前記標本からの蛍光を集光する対物光学系と、
該対物光学系の径方向外側に配置され、前記標本からの蛍光を取り込む付加光学系と、
前記対物光学系および前記付加光学系により集光された前記標本からの蛍光を検出する光検出部とを備える蛍光観察装置。
【請求項2】
前記付加光学系が、前記対物光学系の光軸方向に移動可能に設けられた請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項3】
前記対物光学系が、前記標本内に挿入するための細径先端部を有する請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項4】
前記付加光学系が、前記対物光学系を中心とする環状の正レンズである請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項5】
前記付加光学系の前記標本からの蛍光を入射させる入射面が、前記対物光学系の光軸に略垂直に形成されている請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項6】
前記入射面に入射させた蛍光を導光する導光部を備え、
該導光部の光軸が、前記入射面における蛍光の屈折角と略同じ角度で配置されている請求項5に記載の蛍光観察装置。
【請求項7】
前記付加光学系が、先端に向かって径が小さくなるように形成されている請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項8】
前記付加光学系の出口と略一致する面に、前記対物光学系により集光された蛍光の中間結像面を形成する有限系レンズと、
前記中間結像面からの蛍光と前記付加光学系の出口からの蛍光の両方の瞳の共役面を同一の前記光検出部に導くアダプタレンズとを備える請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項9】
前記付加光学系が、
前記付加光学系の前記標本からの蛍光を入射させる入射面と、
該入射面に入射させた蛍光を導光する導光部と、
該導光部の基端部と前記中間結像面が形成される位置との間に設けられ、前記導光部の基端部と共役な面を、前記中間結像面が形成される位置に形成する付加光学系リレーレンズとを備える請求項8に記載の蛍光観察装置。
【請求項10】
前記対物光学系により集光された蛍光と前記付加光学系により取り込まれた蛍光とを合成する光合成手段を備える請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項11】
前記光合成手段が、励起光および前記対物光学系により集光された蛍光が通る中心部と、前記付加光学系により取り込まれた蛍光が通る周辺部とで構成され、
前記周辺部が、前記導光部の基端部の蛍光を略平行にする形成する付加光学系コリメートレンズと、前記付加光学系コリメートレンズからの光を偏向する偏向素子とを有する請求項10に記載の蛍光観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−196852(P2011−196852A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64693(P2010−64693)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】