説明

蛍光T型チャネルアッセイ

【課題】 低電位閾値作動型であるT型カルシウムイオンチャネルを修飾する化合物を探索するための蛍光アッセイ法で、且つ、ハイスループットスクリーニングに対応可能な蛍光アッセイ法を提供すること。
【解決手段】 高電位閾値作動型カルシウムイオンチャネルを発現している細胞内に取り込ませたフルオロフォアの存在下で高濃度カリウムイオン刺激によって活性化した際の細胞内カルシウムイオン濃度の変化に基づく蛍光強度変化の検出により該高閾値チャネルの活性化を測定した従来の蛍光アッセイ法を、T型カルシウムイオンチャネルを発現している細胞の膜電位を人為的に低下させることにより、高濃度カリウムイオン刺激による該T型チャネルの活性化が可能なように改良し、T型カルシウムイオンチャネルに対するハイスループットな蛍光アッセイを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願の請求の範囲は、2003年1月7日に出願された米国仮特許出願 第60/438,616号及び2003年3月24日に出願された米国仮特許出願 第60/457,405号に基づき、米国特許法第119条(e)項の利益を主張する。上記出願の内容は引用をもって本書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、カルシウムチャネル遮断薬に対するハイスループットアッセイに関する。更に、とりわけ、ハイスループットな自動化スクリーニング方法により、電位依存性T型カルシウムチャネル活性を調節する化合物を同定する目的で設計された蛍光アッセイ(fluorescence-based assay)に関係している。
【背景技術】
【0003】
静止条件下では、細胞内カルシウム濃度は非常に低い。細胞内へのカルシウムの急速な流入は、電位作動型カルシウムチャネル(細胞膜上の一過的かつ可逆的なカルシウム選択的な開孔によって膜の速い脱分極に反応する統合的な膜タンパク質)によって仲介される。この孔は、細胞外液から細胞内への濃度勾配に従った急速なカルシウムイオンの拡散(カルシウム電流)を可能とする。より高濃度の細胞内カルシウムイオンは、広範な種類の細胞生理学的な反応(興奮収縮連関、ホルモン分泌及び遺伝子発現を含む)を誘発する。
【0004】
正常な生理的機能はカルシウムチャネルによって仲介されているため、このチャネルの機能不全は多くの疾患をもたらす。例えば、ヒト及びマウスのカルシウムチャネル遺伝子で同定された変異が、家族性半身偏頭痛(familial hemiplegic migraine)、偶発性失調症2型(episodic ataxia type 2)、小脳失調症、欠神てんかん、及びてんかん発作の原因であることが判明した。Ophoff, et al., "Familial hemiplegic migraine and episodic ataxia type-2 are caused by mutations in the Ca2+gene CACNL1A4." Cell (1996) 87, 543-552; Fletcher, et al., "Absence epilepsy in tottering mutant mice is associated with calcium channel defects." Cell (1996) 87, 607-617;及び、Zhuchenko, et al., "Autosomal dominant cerebellar ataxia (SCA6) associated with small polyglutamine expansions in the α1A-voltage-dependent calcium channel." Nature Genetics (1997) 15, 62-69。
【0005】
実際、幾つかの疾患の臨床的な治療は、治療用カルシウムチャネル遮断薬の開発によって助けられてきた。例えば、Janis, et al., Calcium Channels: Their Properties, Functions, Regulation and Clinical Relevance (1991). CRC Press, Londonを参照。
【0006】
カルシウムチャネルは、電気生理学的及び薬理学的特性によって、T、L、N、P及びQ型に分類されている(以下のレビューを参照;McCleskey, et al., Curr. Topics Membr. (1991) 39:295-326、Dunlap, et al., Trends Neurosci. (1995) 18:89-98)。T型(又は低電位作動型)チャネルは、相対的に負の膜電位で活性化し静止電位の変化に高い感受性がある。L、N及びP/Q型チャネルは、より正の電位で活性化し多様なカイネティクスと電位依存性を示す。それらの高電位作動型チャネルの生物物理的特性には幾らか重複があるため、それらを区別するためには薬理学的なプロファイリングが有用である。L型チャネルはジヒドロピリジン(DHP)作動薬及び遮断薬に感受性があり、N型チャネルはConus geographusのペプチド毒ω−コノトキシンGVIAによって遮断され、P型チャネルはfunnel web spider(Agelenopsis aperta)の毒由来のペプチド性ω-アガトキシン UVAによって遮断される。Q及びP型チャネルは非常に似ており、それらは単一遺伝子の選択的スプライシングによるものと示唆されている(Bourinet, et al., "Phenotype variants of P- and Q-type calcium channels are generated by alternative splicing of the α1A subunit gene." Nature Neuroscience (1999) 2:407-415)。
【0007】
高電位閾値カルシウムチャネル(L、N及びP/Q)は3つの別個のサブユニットから成る複合体である(α、αδ及びβ)(De Waardらによるレビュー、Ion Channels, Volume 4, (1997) edited by Narahashi, T. Plenum Press, New York参照)。αサブユニットは孔形成に必須の主要なサブユニットで、電位センサーとカルシウムチャネル修飾物質の結合部位を含む。αサブユニットは主に細胞外にあり、膜貫通性のδサブユニットとジスルフィド結合しているが、これら両者は同一の遺伝子由来でin vivoでタンパク質分解性に切断される。βサブユニットは糖修飾されず、αサブユニットの細胞内領域と高い親和性で結合する親水性タンパク質である。四つ目のサブユニットγは、骨格筋のT管に発現しているL型Caチャネルに特異的である。
【0008】
分子クローニングにより、高電位閾値チャネルである6つの異なる型のαチャネル(α1A、α1B、α1C、α1D、α1E及びα1S)及び4つの型のβサブユニット(β、β、β及びβ)の、cDNAと相当するアミノ酸配列が明らかになった(Stea, A., Soong, T. W. and Snutch, T. P.によるレビュー、"Voltage-gated calcium channels." in Handbook of Receptors and Channels (1994), edited by R. A. North, CRC Press参照)。
【0009】
さらに最近、低電位作動型T型カルシウムイオンチャネルに対応する幾つかのαサブユニットがクローニングされた。これらクローニングされたαサブユニットに関する記述は、例えば、米国特許 第6,309,858号及び第6,358,706号並びにPCT国際公開公報 第WO 98/38301号及び第WO 01/02561号においても見出せるが、これら全ては参照により本出願に組み込む。
【0010】
αサブユニットは、一般的には、ほぼ2000アミノ酸の長さであり、4つの内在性相同的リピート(internal homologous repeats)(ドメインI‐IV)を含み、その各々は6つの推定αへリックス膜貫通領域(alpha helical membrane spanning segments)(S1‐S6)を持ち、このうちの一つ(S4)は正に荷電した残基を3又は4アミノ酸残基毎に有する。スプライシングバリアントには一つの例外がある。ドメインIIとIIIの間には、細胞内領域があるが、この領域はα1Sにおける興奮‐収縮連関を仲介していると考えられ、サブタイプにより100-400アミノ酸残基の範囲にある。ドメインI―IVで分子の凡そ2/3を形成し、ドメインIVのS6領域に隣接するカルボキシ末端はカルシウムチャネルの細胞内側に存在すると考えられている。高電位作動型チャネルをコードするαサブユニットにおいて、ドメインIのS6膜貫通セグメント(βサブユニットの結合部位である)の下流にコンセンサスモチーフ(QQ‐E‐L‐GY‐WI‐E)が存在する。しかしながら、α1G、α1H及びα1I(低電位作動型チャネルをコードするクローニングされたサブユニットは今のところこれだけである)は、結合部位を欠如している。
【0011】
ある発現系においては、高閾値αサブユニット単独で機能的なカルシウムチャネルを形成することが可能であったものの、その電気生理学的及び薬理学的特性は4つのβサブユニットのいずれかを共発現させると各々異なった様式で調節され、またαの存在によってそれらの効率が高められた。一方、低電位作動型T型チャネルは一般的に、αサブユニット単独で存在している場合にも、完全に問題なく機能する。Perez-Reyes, et al., "Molecular characterization of a neuronal low-voltage-activated T-type calcium channel." Nature (1998) 391: 896-900; Cribbs, et al., "Cloning and characterization of α1H from human heart, a member of the T-type Ca2+channel gene family." Circ. Res. (1998) 83: 103-109;及び、McRory, et al., "Molecular and functional characterization of a family of rat brain T-type calcium channels." J. Biol. Chem. (2001) 276: 3999-4011。
【0012】
T型αサブユニットにおいて、4構造ドメインの各々の孔の領域(P領域)は、チャネル透過性に関係する診断上(diagnostic)のアミノ酸配列―例えば、グルタミン酸/グルタミン酸/アスパラギン酸/アスパラギン酸(EEDD)―を含む。このT型チャネルにおける配列は、4ドメインのチャネルのP領域がアスパラギン酸/グルタミン酸/リジン/アラニン(DEKA)であるナトリウム(Na)チャネルと区別するものであり、グルタミン酸/グルタミン酸/グルタミン酸/グルタミン酸(EEEE)である高閾値カルシウムチャネルと区別するものである。
【0013】
また、全ての高閾値カルシウムチャネルが、ある種のカルシウム結合タンパク質で見られるEF-handドメインに密接に関連したコンセンサス配列を含有しているのに対して、T型チャネルでは、カルボキシル領域からドメインIVのS6の中にEF-handカルシウム結合モチーフを有していない点でも区別される。
【0014】
チャネル活性を修飾する化合物(例えば、カルシウム流束を遮断、及び/又は、カルシウムチャネルの活性化を阻害することによる)を同定することは、重要な課題である。そのための一つの標準的な方法は、パッチクランプ実験を利用することである。これらの実験では、高度な技術を有する実験者が膜電位の変化及び/又は被検化合物の処理に対応した細胞膜のカルシウム電流を測定することによって、細胞を個別的連続的に評価しなければならない。これらの実験は、効果的で有益である一方、多大な時間を消費し、またカルシウムイオンチャネル活性を修飾する化合物をハイスループットにアッセイするには不適である。
【0015】
高電位作動型カルシウムチャネル遮断薬のハイスループットアッセイに関しては、商業的に利用可能なフルオロフォア(カルシウムイオンの存在により蛍光発光が変化する)の利点を取り入れた効率的なアッセイが現在使用されている。こうしたフロオロフォアと共に高電位作動型カルシウムイオンチャネルを発現させた細胞を乗せた(loading)後、細胞を高濃度の細胞外カリウムイオンに暴露することにより一人の実験者が同時に数百ウェルのカルシウムチャネル活性を測定することが出来る。この単純な技術は、細胞の静止電位がほぼカリウムイオン濃度の細胞外と細胞内の比で決定されるという知見に基づいている。通常、カリウムは細胞内より細胞外で低く、細胞内で負である静止電位を形成する。細胞外のカリウムレベルが増加して現時点の細胞内濃度に近くなると、膜が脱分極し(内部の負電荷が消失する)、カルシウムチャネルが活性化する。細胞に遮断薬を処理することにより、カルシウムチャネルの活性化の減少が観察される。
【0016】
カルシウムチャネル(及び、電位作動型イオンチャネル一般)は、3つの状態で存在する;不活性化状態(開孔できない)、静止状態(開孔できる)、活性化状態(開孔する)。このパターンに基づいて、カルシウムイオンチャネルがカリウムパルスに反応できるように、チャネルの相当数は、不活性化状態とは対照的な静止状態になければならない。典型的には、-30mVの自発的静止膜電位では、40―70%のN型カルシウムチャネルが静止状態にあり、開孔できる状態にある。これらの各状態間への移行は、膜の電圧によって調節されている。さらに、不活性化状態から静止状態への移行は緩徐であるが、静止状態から活性化状態(活性化したチャネルはカルシウムイオン流束を許容する)は非常に速い。チャネルが活性化状態から不活性化状態へ戻るのも、また比較的緩徐である。
【0017】
化合物がカルシウムチャネル活性化を遮断できる場合には、カルシウム流束は生じないか程度が減少し、また、測定される蛍光は存在しないか低下したものとなり、そして、この現象を化合物の同定に利用する事が可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
このタイプのアッセイで、低電位作動型カルシウムチャネル(T型)を用いた場合、-30mVの自発的静止電位でチャネルが不活性化状態にある事から、アッセイが成功していなかった。この電位においては、本質的に全てのT型チャネルが不活性化されており、そのため高カリウムパルス又はその他の生理学的刺激によっても活性化することが出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
しかし、本発明者らは、カリウムイオンで活性化させる前に膜電位を約−70mVまで減少させることによって十分な数のT型チャネルを静止状態に転換でき、上述の蛍光アッセイをT型チャネルでの要求を満たすよう改良できる事を見出した。
【0020】
ハイスループット蛍光アッセイを、低閾値電位作動型T型カルシウムチャネルの活性を修飾する化合物のスクリーニング及び同定に役立つように改良した。本アッセイは、低電位作動型T型チャネルを不活性で有効でない状態から静止状態に転換するために、カリウムイオンによる活性化を改良して、膜電位を調節することによって、機能する。そして、続く細胞外液の高カリウム処理によりチャネルが活性化され得る。T型チャネルを発現する細胞をグラミシジン又は同様の機能の化合物(細胞膜に挿入され一価陽イオン選択的な孔として機能する)で処理することにより、膜電位は低下する。カリウムイオン(細胞内で高濃度)とナトリウムイオン(細胞外で高濃度)の両方はグラミシジン孔を介してそれぞれ反対方向に流れるため、グラミシジン単独で細胞を処理しても膜電位を変えることは出来ない。しかしながら、細胞外液中のナトリウムイオンをN‐メチル‐D‐グルカミン(NMDG)のような正に荷電した高分子(該高分子はグラミシジンで誘発された孔を通過できない)で置換することにより、ナトリウムイオン流による補正を妨げ、カリウムイオンによる外向き流束によって、不活性状態から静止状態にT型チャネルが転換するのに十分な膜電位の低下が得られる。そして、これらのチャネルは、高カリウム濃度による活性化に感受性があるため、T型カルシウムチャネルの活性化(被検化合物の非存在下)を介した内部のカルシウムイオン濃度増加に依存した蛍光シグナルの生成のメカニズムを提供する。それゆえ、一つの態様においては、本発明は、T型カルシウムチャネルの活性化を検出するための方法を指向している。本方法は、少なくともT型カルシウムチャネルのαサブユニットを発現している細胞をT型チャネルの活性化に十分なカリウムイオンで処理し当該細胞で励起された蛍光を測定することを含む、ここで、該細胞はカルシウムイオンの存在下で蛍光発色するフロオロフォアを含有するよう修飾されており、及び、該細胞はカリウムイオンパルスの前にNMDG等張液の存在下グラミシジンで処理されている。
【0021】
もう一つの態様において、本発明は、T型カルシウムイオンチャネルの活性化を阻害又はカルシウムイオン流を遮断する化合物を同定する方法を指向するものであり、被検化合物の存在下及び非存在下で上記方法を遂行し、励起する蛍光レベルを減少させる被検化合物の能力を決定し、それによって、当該化合物がT型カルシウムイオンチャネルの活性化又はカルシウムイオン流を阻害する能力を同定することを含む方法である。もちろん、チャネルを介するカルシウムイオン流を活性化及び増加させる任意の化合物については、蛍光は増加する。それゆえ、本方法は細胞内へのカルシウム流束を増大させる効果を有する化合物を同定することも可能である。このような結果は、ある場合には望ましいかもしれない。
【0022】
他の態様においては、本発明は、アッセイの遂行に役立つキット、及び、有効性について結果を評価する方法を指向する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、被検化合物の存在下及び非存在下でカルシウムイオン濃度に反応するフロオロフォアを含有する細胞の蛍光を比較することにより、T型カルシウムイオンチャネル活性化又は該チャネルを通過するカルシウムイオン流を遮断する化合物を同定する機会を提供する。蛍光度を減少させる被検化合物の能力は、T型カルシウムチャネルを抑制する能力を示している。逆に、蛍光度を増加させる化合物はこれらのチャネルの活性化剤であることを示している。
【0024】
この一般的なタイプのアッセイは、N型チャネルに代表される高電位作動型カルシウムイオンチャネルへの適用で成功している。等張液に懸濁したHEK 293細胞のような典型的な培養細胞の細胞膜における膜電位は凡そ-20mVであるので、この適用が可能である。この膜電位において、高閾値カルシウムイオンチャネルのほとんどが静止状態(この静止状態は、懸濁液中に加えた高濃度のカリウムイオンへの応答における早い反応における活性化に感受性がある)にある。そのため、フルオロフォアを処理され、それを内部に取り込んだ高閾値チャネル発現細胞は、十分なカリウムイオン濃度で処理され膜電位が凡そ0mVに変わり該チャネルが活性化され該細胞内にカルシウム流が生じた場合、蛍光を発することになる。カルシウムイオンとフルオロフォアとの相互作用により蛍光の読み取りが起こるが、これは、カルシウムイオンチャネルの活性化を示している。このプロセスが被検化合物の存在下及び非存在下で行われた場合に、蛍光出力の差異がカルシウムチャネルの活性化における該化合物の効果を示している。
【0025】
等張液に懸濁された細胞を取り巻く膜電位は凡そ−20mVである。高電位閾値カルシウムチャネルとは対照的に、この膜電位では、低電位閾値T型カルシウムチャネルは非活性化状態にあり急速な活性化は無理である。従って、遮断薬化合物の非存在下でも、何ら実質的な蛍光は生じない。
【0026】
出願人らは、膜電位を人工的に凡そ-70mVまで下げることによって、T型チャネルを不活性化状態から静止状態に転換することが出来、それにより、膜電位を急激に0mV付近にまで増加させる十分なカリウムイオンの素早い添加によって、該チャネルが活性化可能となることを見出した。必要とされるカリウムイオン濃度は1−100mMの間、好ましくは5−70mMの間、より好ましくは20−30mMの間である。これによりT型チャネルを介するカルシウムイオン流が生じ蛍光シグナルが提供されるが、この蛍光シグナルは被検化合物(該化合物のT型チャネルと相互作用する能力が試験される)の存在によって調節され得る。
【0027】
膜電位の引き下げは、膜の中に人工的な外因性の孔(この孔は一価の陽イオンの内向き及び外向き流束を許容する)を挿入する事によって実現する。このチャネルが開孔している間、カリウムイオンが流出し、また通常はナトリウムイオンが細胞内に流入してくる;よって実質的には膜電位には無影響である。しかしながら、同時に等張液の中のナトリウムイオンを孔を通過できない代償成分で置換することにより、カリウムイオンの正味の流出が獲得され、不活性化T型チャネルを静止状態に転換するのに十分な高い負の膜電位が得られる。
【0028】
そのため、二つの追加的な構成要素がアッセイのために必要となる;一価の陽イオンのためのチャネルを開ける物質、及び、細胞内環境の浸透圧濃度のバランスを取るがチャネルを通過しない成分。
【0029】
望ましい性質(一価陽イオン選択的)の孔を膜内に挿入する好適な化合物は、グラミシジン(Wallace, Common structural features in gramicidin and other ion channels. Bioessays, 22:227-234, 2000を参照)、非天然アミノ酸を含むある種の環状ペプチドのような人工イオンチャネル(Ishida, et al., Molecular design and synthesis of artificial ion channels based on cyclic peptides containing unnatural amino acids. J. Org. Chem., 66:2978-2989, 2001を参照)、及び、ある種の細菌毒素(Shatursky, et al., Clostridium perfrigens beta-toxin forms potential-dependent, cation-selective channels in lipid bilayers. Infection and Immunity, 68:5546-5551, 2000を参照)を含むがこれに限定されない。細胞の膜電位の引き下げは、カリウムチャネル、例えばIRK‐1、TASK‐1、TASK‐3、TREK‐1、TREK‐2及びTRAAKの安定的な共発現によっても実現できる。細胞にIRK‐1チャネルをトランスフェクションし、次にIRK‐1チャネルを発現している細胞(−70mV以下の膜電位を有する)を選別する。次にIRK‐1チャネルを安定的に発現している細胞にT型チャネルをトランスフェクションし、そして、−70mVの静止電位で、そのためにT型チャネルの不活性化状態から静止状態への移行を可能とするIRK‐1チャネルとT型チャネルの両方を共発現している細胞を選別する。細胞外のカリウムイオン濃度の上昇によって、T型チャネルは活性化され、それにより、フルオロフォアとの結合によって蛍光励起をもたらすカルシウム流入が起こる。
【0030】
浸透圧のバランスを取るがグラミシジン又は他の人工孔を通過しない典型的な化合物は、例えば、N-メチル-D-グルカミン(NMDG)、コリン、トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン(TRIS)、及び、テトラ-エチル-アンモニウム(TEA)を含む。
【0031】
あるいは、細胞の膜電位の引き下げは、カリウムチャネル、例えば、これに限定するものではないが、ヒトIRK‐1、TASK‐1、TASK‐3、TREK‐1、TREK‐2及びTRAAKの安定的共発現によって達成してもよい。例えば、細胞をhIRK−1チャネル発現システムによりトランスフェクションし、膜電位が−70mV以下のhIRK−1チャネルを安定的に発現している細胞株を選別する。そして、これらの細胞をT型チャネルの発現システムによりトランスフェクションし、そして、−70mVの静止電位で、そのためにT型チャネルの不活性化状態から静止状態への移行を可能とするIRK‐1チャネルとT型チャネルの両方を共発現している細胞を選別する。細胞外のカリウムイオン濃度の上昇によって、T型チャネルは活性化され、それにより、フルオロフォアとの結合によって蛍光励起をもたらすカルシウム流入が起こる。
【0032】
また、本アッセイを行うのに必須の要素は、好適なフルオロフォアである。フルオロフォアは、カルシウムイオンの存在によって活性化(又は、不活性化)されなければならない。また、フルオロフォアは、フルオロフォアを処理された細胞が化合物を吸収できるように、膜透過性でなければならない。好適なフルオロフォアとしては、FLUO‐3、FURA、オレゴングリーン、及びカルシウムグリーンの他、FLUO‐4も含む。
【0033】
クローン化した高閾値カルシウムチャネルを発現する哺乳動物細胞を用いた典型的なアッセイ(当業者に既知のもので図1に示す)においては、細胞はまずFLUO‐4のようなフルオロフォアにより十分な時間(フルオロフォアが膜を通過して入り込むのに十分な時間で、例えば45分)処理し、それから洗浄し、フルオロフォア色素の細胞内分布が平衡になるよう凡そ20分間静置する。遮断又は活性化を調べるための化合物を添加するのであれば、その後に、化合物を加え、凡そ10分間平衡化するように放置する。そして、細胞内へのカルシウム流を引き起こすのに必要な、凡そ−20mVから0mVへと膜電位の増加をもたらす濃度のカリウムイオンで、細胞を活性化させる。そして標準的な手法により蛍光を決定する。
【0034】
しかしながら、図2に示すように、ヒト及びラットT型αサブユニットはより低い電位で活性化される。図2では、電圧の関数としての活性化と不活性化を示している。−110mVの保持電位から15秒毎のスクエア試験パルス(50ms間隔)の適用により、T型電流が惹起された。不活性化カーブ(三角)において、試験パルスは−40mVに固定し、プレパルス(1秒)のサイズを図示した値に変えた。活性化カーブにおいて、試験パルスのサイズを図示した値に変えた。外液は1mMカルシウムイオンを含んでいる。図2のグラフで、X軸はチャネルサブユニットを発現している細胞の膜電圧をプロットしており、Y軸は静止状態にあって活性化可能な該チャネルの割合をプロットしている。図に示されたように、不活性化から活性化状態への移行は−60mVから−50mVの範囲で起こる。
【0035】
図3は、外液のナトリウムをNMDGで置換することにより細胞内の等張性が得られるような懸濁バッファーで維持した場合に、グラミシジンの存在下で細胞の膜電位を変えられることを示している。外液にナトリウムが無い状態で5μg/mlのグラミシジンを添加した場合、膜電位が凡そ−70mVまで低下することが示されている。
【0036】
図4に示したものは、図3の現象を利用して、図1のアッセイを改良した方法である。最初のステップは図1の最初のステップに似ているが、アッセイはナトリウムイオンがNMDGに置換された等張液の中で行われ、また被検化合物の添加後約10分間インキューベートしてからグラミシジンを添加し約2分間平衡化させている。グラミシジン処理後、膜電位が凡そ-70mVまで低下するが、素早いカリウムイオンパルスにより膜電位が0mVに変わりT型チャネルの活性化が誘導され、細胞内カルシウムの増加が蛍光の変化となり検出される。
【0037】
本発明のアッセイに従ってT型チャネル活性の修飾に成功した化合物は、T型チャネルの不適切な活性によって仲介されることが知られている種々の状態の治療における医薬の有用な候補である。カルシウムイオン情報伝達は様々な代謝系で非常に重要であるため、影響を受ける状態(condition)は多数にのぼる。用語「治療」とは、状態の負の影響を寛解するか、又は、少なくともその可能性を有している、任意の薬理学的な処置を意味する。完全な「治癒」又は完全な「予防」は、必要でもなく現実的でもない。
【0038】
ヒトT型チャネルの活性に影響される状態(condition)には、てんかん、うつ病、統合失調症、及び心臓のリズムのような神経系の興奮/弛緩リズムによって制御されている筋関連疾患などの神経系と関連した状態、並びに、その他の心臓血管系の疾患がある。血管拡張若しくは血管弛緩及び血圧のような細胞の増殖と関連した状態(condition)も、また影響を受ける。また、カルシウムイオンT型チャネルの活性は、腎機能の他、性機能及び生殖機能の障害を含む、生殖/泌尿器系の状態(condition)にも影響を与える。その他の適応症としては、麻酔への反応性及びパーキンソン病を含む。これらの状態(condition)(また、その他)がT型チャネル活性と関連していることが当業者によく知られている。
【0039】
以下の実施例は説明のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【実施例】
【0040】
(調製A)
(哺乳類T型カルシウムチャネルαサブユニットを安定的に発現する細胞株の構築)
T型カルシウムチャネルのαサブユニットを安定して発現する哺乳類細胞は、HEK 293細胞にαカルシウムチャネルサブユニットDNAをトランスフェクトし、抗生物質抵抗性により選別することにより構築した。簡潔に述べると、完全長のT型カルシウムチャネルのαサブユニットを選択マーカーと共に発現ベクターpcDNA3 (InvitroGen, San Diego, Calif.)にサブコローニングした。そのベクターをリポフェクションによりHEK293細胞にトランスフェクションし、細胞を16‐20時間インキュベーションした。その細胞を非選択培養液で培養し、さらに24時間インキュベーションし、それから、トリプシン処理し、600から800μg/mlの範囲のジェネティシン(G418)を添加した選択培養液中に低密度でプレーティングした。非選択培養液中で12から16日後に、G418に抵抗性を持つ細胞が目に見えるようになり、ピペットチップテクニックを用いて単離コロニーを拾いだした。各単離コロニーが細胞株を確立するほどに集密して生育した後に、T型カルシウムチャネルの発現をノーザン及びサザンブロットにより判別した。
【0041】
安定して形質転換された細胞におけるT型カルシウムチャネルの機能的な確認は、電気生理学的に、ホールパッチクランプ法、又は単一チャネル解析、又はその両方によって調べた。
【0042】
(実施例1)
(T型チャネルの修飾物質に関するアッセイ)
調製Aにおいて調製した形質転換されたHEK293細胞をポリ-D−リジンでコートされた384ウェルのマイクロウエルプレートに約1.1×10細胞/ウェルの密度で播き、37℃で約24時間その後29℃で約18時間インキュベーションした。
【0043】
その後、細胞は、培養液を除くため、Bio-tek ELX405 Select plate washerを用いてMKHバッファーで洗浄した;バッファーの残余体積が15μl/ウェルとなる。
【0044】
各ウェルを、50μgのFLUO‐4 AM (Molecular Probes, F-14201); 45.5μlのDMSO; 45.5μlの20% Pluronic F‐127(Molecular Probes, P-6867)及び4mlのMKHバッファーの混合液を含む蛍光色素溶液で処理した。29℃で45分間インキュベーションした後、溶液を完全に置換するため細胞を上述のようにEBバッファーで洗浄し、そして細胞を20℃で10分間インキュベーションした。
【0045】
ネガティブコントロールとして被検化合物の場合と同濃度のDMSO、ポジティブコントロールとして既知の遮断薬ペンフルオリドールを2.5μM、及び被検化合物(DMSOで希釈)を、各々EBバッファーに含む形で、各ウェルに添加した。そして細胞を室温でさらに10分間インキュベーションし、Fluoroskan Ascent microplate readerに置いた。バックグラウンドの蛍光を全てのウェルで測定した。
【0046】
そして、EBバッファー中に15μg/mlのグラミシジン溶液を、各ウェルに15μl/ウェルの量を添加し、約2分間以上してから20μlのMKHバッファー中に60mMのKClを、各ウェルに、一度に1ウェルづつ、添加した。2秒後に励起された蛍光を測定した。コントロールに関する結果を図5に示した。図示したように、様々な濃度のペンフルオリドールにより、カルシウムイオン輸送の遮断が成功した。
【0047】
(バッファー組成)
MKHバッファー:118mM NaCl、4.7mM KCl、0.5 mM MgSO、1.2mM KHPO、11.7mMグルコース、2mM CaCl、18.4mM HEPES、pH7.2(含NaOH)。
【0048】
EBバッファー:140mM NMDG(pH9.0 含HCl)、2mM KCl、1mM MgCl、5mMグルコース、1mM CaCl、16mM HEPES、pH7.4(含HCl)。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】細胞内蛍光を用いた標準的なN型カルシウムチャネルアッセイにおける電圧パターンを示した図である。
【図2】2種の哺乳動物のT型αサブユニットに対する活性化及び不活性化のカーブを示した図である。
【図3】NMDG存在下でのグラミシジンの、細胞膜における膜電位を劇的に低下させる作用を示した図である。
【図4】蛍光を用いたT型カルシウムチャネルアッセイにおける膜電位の変化を示した図である。
【図5】既知のT型カルシウムチャネル遮断薬の存在下及び非存在下における、図4のアッセイの結果を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
T型カルシウムイオンチャネルの活性化を検出する方法であって、
該方法は少なくともT型カルシウムイオンチャネルのαサブユニットを発現している細胞を前記T型チャネルの活性化に十分なカリウムイオンにより処理すること、及び、その細胞によって励起された蛍光を測定することを含み、
ここで、該細胞は、カルシウムイオンの存在下で変化するフルオロフォアを含むように修飾されており、及び
該細胞はカリウムイオンで処理する前に、浸透圧平衡溶液の存在下で一価陽イオン選択的な孔を形成する薬物で処理されており、
励起された蛍光強度の変化は該T型カルシウムイオンチャネルの活性化を示すことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記フルオロフォアの励起がカルシウムイオンの存在下で増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一価陽イオン選択的な孔を形成する薬物が、グラミシジン、人工ペプチド、又は、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfrigens)β‐トキシンから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記浸透圧平衡溶液が、1又はそれ以上のN−メチル−D−グルカミン(NMDG)、コリン、トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン(TRIS)及びテトラ-エチル-アンモニウム(TEA)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
T型イオンチャネルの活性化を検出する方法であって、
該方法は少なくともT型カルシウムイオンチャネルのαサブユニットを発現している細胞を前記T型チャネルの活性化に十分なカリウムイオンにより処理すること、及び、その細胞によって励起された蛍光を測定することを含み、
ここで、該細胞は、カルシウムイオンの存在下で変化するフルオロフォアを含むように修飾されており、及び
該細胞はT型カルシウムチャネルと共にカリウムチャネルを共発現し、
励起された蛍光強度の変化は該T型カルシウムイオンチャネルの活性化を示すことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記細胞がIRK‐1、TASK‐1、TASK‐3、TREK‐1、TREK‐2、及びTRAAKから選択されるカルシウムチャネルを共発現していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
T型カルシウムイオンチャネルを修飾する化合物を同定する方法であって、該方法は、被検化合物の存在下及び非存在下において請求項1の方法を実行すること、並びに、励起される蛍光のレベルを変化させる被検化合物の能力を決定することを含み、但し、該化合物の存在下において励起される蛍光強度の該化合物非存在下における蛍光強度との差により該T型カルシウムイオンチャネルの修飾物質として該化合物を同定することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記フルオロフォアの蛍光励起がカルシウムイオンの存在下で増加し、且つ、被検化合物が存在する場合の蛍光強度の増加によって、該被検化合物をカルシウムイオンチャネルの刺激薬として同定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記フルオロフォアの蛍光励起がカルシウムイオンの存在下で増加し、且つ、被検化合物が存在する場合の非存在の場合に対する蛍光強度の減少によって、該チャネルの阻害剤として被検化合物を同定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項10】
カルシウムイオンが存在する場合の非存在の場合に対する励起の変化を示すフルオロフォア;
少なくともT型カルシウムイオンチャネルαサブユニットを発現するシステムで安定的に形質転換した細胞;
NMDGを含むバッファー;及び、
細胞膜中に一価陽イオン特異的な孔を形成出来る成分、
を含むことを特徴とするT型カルシウムイオンチャネルの活性化を評価するキット。
【請求項11】
前記成分がグラミシジンである、請求項6に記載のキット。
【請求項12】
細胞膜中に一価陽イオン特異的な孔を形成できる成分で細胞を処理することを含み、該細胞は、ナトリウムイオンが実質的に欠如している等張性培養液に懸濁されていることを特徴とする細胞の膜電位を下げる方法。
【請求項13】
前記成分がグラミシジンである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記培養液がNMDGを含む、請求項9に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T型カルシウムイオンチャネルの活性化を検出する方法であって、
該方法は少なくともT型カルシウムイオンチャネルのαサブユニットを発現している細胞を前記T型チャネルの活性化に十分なカリウムイオンにより処理すること、及び、その細胞によって励起された蛍光を測定することを含み、
ここで、該細胞は、カルシウムイオンの存在下で変化するフルオロフォアを含むように修飾されており、及び
該細胞はカリウムイオンで処理する前に、浸透圧平衡溶液の存在下で一価陽イオン選択的な孔を形成する薬物で処理されており、
励起された蛍光強度の変化は該T型カルシウムイオンチャネルの活性化を示すことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記フルオロフォアの励起がカルシウムイオンの存在下で増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一価陽イオン選択的な孔を形成する薬物が、グラミシジン、人工ペプチド、又は、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfrigens)β‐トキシンから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記浸透圧平衡溶液が、1又はそれ以上のN−メチル−D−グルカミン(NMDG)、コリン、トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン(TRIS)及びテトラ-エチル-アンモニウム(TEA)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
T型イオンチャネルの活性化を検出する方法であって、
該方法は少なくともT型カルシウムイオンチャネルのαサブユニットを発現している細胞を前記T型チャネルの活性化に十分なカリウムイオンにより処理すること、及び、その細胞によって励起された蛍光を測定することを含み、
ここで、該細胞は、カルシウムイオンの存在下で変化するフルオロフォアを含むように修飾されており、
該細胞は安定的にカリウムチャネルを発現するようにトランスフェクションされ、及び
励起された蛍光強度の変化は該T型カルシウムイオンチャネルの活性化を示すことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記トランスフェクションされた細胞のカリウムチャネルがIRK‐1、TASK‐1、TASK‐3、TREK‐1、TREK‐2、又はTRAAKカリウムチャネルであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
T型カルシウムイオンチャネルを修飾する化合物を同定する方法であって、該方法は、被検化合物の存在下及び非存在下において請求項1の方法を実行すること、並びに、励起される蛍光のレベルを変化させる被検化合物の能力を決定することを含み、但し、該化合物の存在下において励起される蛍光強度の該化合物非存在下における蛍光強度との差により該T型カルシウムイオンチャネルの修飾物質として該化合物を同定することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記フルオロフォアの蛍光励起がカルシウムイオンの存在下で増加し、且つ、被検化合物が存在する場合の蛍光強度の増加によって、該被検化合物をカルシウムイオンチャネルの刺激薬として同定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記フルオロフォアの蛍光励起がカルシウムイオンの存在下で増加し、且つ、被検化合物が存在する場合の非存在の場合に対する蛍光強度の減少によって、該チャネルの阻害剤として被検化合物を同定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項10】
カルシウムイオンが存在する場合の非存在の場合に対する励起の変化を示すフルオロフォア;
少なくともT型カルシウムイオンチャネルαサブユニットを発現するシステムで安定的に形質転換した細胞;
NMDGを含むバッファー;及び、
細胞膜中に一価陽イオン特異的な孔を形成出来る成分、
を含むことを特徴とするT型カルシウムイオンチャネルの活性化を評価するキット。
【請求項11】
前記成分がグラミシジンである、請求項6に記載のキット。
【請求項12】
細胞膜中に一価陽イオン特異的な孔を形成できる成分で細胞を処理することを含み、該細胞は、ナトリウムイオンが実質的に欠如している等張性培養液に懸濁されていることを特徴とする細胞の膜電位を下げる方法。
【請求項13】
前記成分がグラミシジンである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記培養液がNMDGを含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−526389(P2006−526389A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500430(P2006−500430)
【出願日】平成16年1月7日(2004.1.7)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000023
【国際公開番号】WO2004/060917
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(505257567)ニューロームド テクノロジーズ、インク. (5)
【Fターム(参考)】