説明

融合タンパク質、該融合タンパク質に関連する遺伝子、ベクター、形質転換体及び抗炎症性医薬組成物

【課題】チオレドキシンの有する活性を長期に維持することができる新規融合タンパク質を提供する。
【解決手段】チオレドキシンと、ヒト血清アルブミンを含む融合タンパク質に関する。特定のアミノ酸配列を有するチオレドキシンと特定のアミノ酸配列を有するヒト血清アルブミンとの融合タンパク質であり、該融合タンパク質はチオレドキシンの有する活性を長期に維持することができる。該融合タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含むベクター、形質転換体、発現した融合タンパク質及び抗炎症性医薬組成物を提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な融合タンパク質、該融合タンパク質に関連する遺伝子、ベクター、形質転換体及び抗炎症性医薬組成物に関し、より詳細には、チオレドキシンの有する活性を長期に維持し得るチオレドキシンとヒト血清アルブミンとの融合タンパク質、該融合タンパク質に関連する遺伝子、ベクター、形質転換体及び抗炎症性医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
チオレドキシンは、分子量1万〜1.3万の電子伝達タンパク質であり、リボヌクレオチドレダクターゼがリボヌクレオシド二リン酸をデオキシリボヌクレオシド二リン酸に還元する直接の電子供与体である。また、チオレドキシンは、機能性の一対のチオール(SH)基を有し、リボヌクレオチドの還元に伴いS−S結合を形成する。
このようなチオレドキシンは、生体において、様々な部位の虚血再灌流障害を軽減することが報告されている。また、抗酸化、抗炎症など多岐にわたる生理作用が明らかにされている(特許文献1〜3)。このことから、チオレドキシンは、有用なタンパク質製剤の1つとして期待されている。
しかし、チオレドキシンは、血中滞留性が悪いという問題がある。
【特許文献1】特開2000−103743号公報
【特許文献2】特開2004−137212号公報
【特許文献3】特開2005−029521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、チオレドキシンの有する活性を長時間にわたって、安定的に維持することができる新規な融合タンパク質、該融合タンパク質に関連する遺伝子、ベクター、形質転換体及び抗炎症性医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、チオレドキシンを有用なタンパク質製剤として利用することの試みとして、まず、その血中半減期の短さに焦点をあて、短い期間での反復投与の煩雑性を回避すべく、このタンパク質の持続的な効果を得るために、より長く血中に滞留させる方法を鋭意検討した結果、生体内において、種々の血清分子のキャリアとしての機能を果たし、安全性、生体適合性、生体分解性、血中滞留性に富む血清アルブミンを利用し得ることを見出し、チオレドキシンに血清アルブミンを融合させることにより、意外にも、血中半減期を延長させ、チオレドキシンの投与間隔を延ばすことができることを突き止め、本発明の完成に至った。
【0005】
すなわち、本発明の融合タンパク質は、チオレドキシンと、ヒト血清アルブミンとを含むことを特徴とする。
【0006】
この融合タンパク質においては、前記チオレドキシンが、
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、前記配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を含むことが好ましい。
また、前記ヒト血清アルブミンが、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、前記配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なアミノ酸配列からなるタンパク質を含むことが好ましい。
さらに、(a)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、前記配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なアミノ酸配列からなるタンパク質を含むことが好ましい。
【0007】
また、前記チオレドキシンが
(a)配列番号4に示される塩基配列、又は
(b)配列番号4に示される塩基配列の一部に対して相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ前記配列番号4に示される塩基配列からなるDNAがコードするタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする塩基配列によってコードされることが好ましい。
前記ヒト血清アルブミンが、
(a)配列番号5に示される塩基配列、又は
(b)配列番号5に示される塩基配列の一部に対して相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ前記配列番号5に示される塩基配列からなるDNAがコードするタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする塩基配列によってコードされることが好ましい。
【0008】
さらに、本発明の遺伝子は、
(a)配列番号3に示されるアミノ酸配列により表されるタンパク質、又は
(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記配列番号3に示されるアミノ酸配列により表されるタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするアミノ酸配列により表されるタンパク質をコードすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、この遺伝子を含むベクター、このベクターを含む形質転換体、この形質転換体が産生する融合タンパク質、上述した融合タンパク質を主成分として含有する抗炎症性医薬組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の融合タンパク質は、チオレドキシンをヒト血清アルブミンとの融合タンパク質とすることによって、チオレドキシンの有する活性を長期にわたって安定的に維持することができる。
また、本発明のベクター及び形質転換体は、遺伝子組換え法による上記融合タンパク質の容易な産生を可能とする。
さらに、本発明の抗炎症性医薬組成物は、抗炎症性作用を長期にわたって安定的に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の融合タンパク質は、少なくとも1つのチオレドキシンと、少なくとも1つのヒト血清アルブミンとが連結されて構成されている。
ここで、チオレドキシンとは、分子量12kD、活性部位としてCys−Gly−Pro−Cysを有するタンパク質であって、この活性部位にある2つのシステインでジスルフィド結合を形成したものを酸化型、ジチオールを形成したものを還元型と称する。このチオレドキシンは、還元型が酸化型になることによって、基質タンパク質のジスルフィド結合を還元することができる機能を有する。
【0012】
チオレドキシンの主なアミノ酸配列としては、配列番号1に示す104個のアミノ酸配列が挙げられる。ただし、本発明におけるチオレドキシンは、活性部位としてCys−Gly−Pro−Cysを有し、還元型が酸化型になることによって、基質タンパク質のジスルフィド結合を還元することができる機能を有する限りにおいては、これらアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたものであってもよい。
本発明においては、置換、欠失、挿入及び/又は付加するアミノ酸の個数は、例えば、1〜10個程度が適当である。
また、チオレドキシンは、配列番号4に示される塩基配列がコードするタンパク質であってもよい。この塩基配列は、配列番号4に示される塩基配列の一部に対して相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によってコードされるタンパク質であってもよい。
【0013】
ヒト血清アルブミンとは、体内において血液及び細胞間液をはじめ幅広く分布しているタンパク質であって、主に血流中で正常な浸透圧を維持し、血中の液体含量を維持する機能を有するタンパク質をいう。なお、ヒト血清アルブミンに限らず、ヒト以外の哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット等)由来の血清アルブミンであってもよい。ヒト血清アルブミンは、例えば、外科手術、ショック、火傷及び浮腫を起こす低タンパク質血症などの血管からの液体の損失があり得る治療において用いられている。
ヒト血清アルブミンの主なアミノ酸配列としては、配列番号2に示す585個のアミノ酸配列が挙げられる。ただし、本発明におけるヒト血清アルブミンは、血流中で正常な浸透圧を維持し、血中の液体含量を維持する機能を有する限りにおいては、これらアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたものであってもよい。
【0014】
また、ヒト血清アルブミンは、配列番号5に示される塩基配列がコードするタンパク質であってもよい。この塩基配列は、配列番号5に示される塩基配列の一部に対して相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によってコードされるタンパク質であってもよい。
【0015】
なお、これらのアミノ酸のうち、例えば、C末端となる場合、そのC末端がエステル化、アミド化等されていてもよいし、アミノ酸に含有されているOH、COOH、NH、SH基等がホルミル基等の適当な保護基で保護される等、若干の化学的修飾が行われていてもよい。
【0016】
本発明の融合タンパク質におけるチオレドキシンと、ヒト血清アルブミンとの結合は、各々のタンパク質が有する機能及び二次構造に影響がない限りにおいては、いかなる結合の態様をとってもよい。具体的には、チオレドキシンに、ヒト血清アルブミンが直接結合された態様、リンカー又はスペーサ等を介して結合された態様、さらにキャリアタンパク質又はタグポリペプチド等が本発明の各タンパク質、リンカー又はスペーサ等に結合された態様等が挙げられる。
【0017】
ここで、リンカー又はスペーサは、例えば、1以上のアミノ酸により構成することができ(以下、本明細書では「リンカーポリペプチド」と称する)、上述したように各々のタンパク質が有する機能及び二次構造に影響がない限りにおいては特に限定されるものではない。例えば、残基の大きさが小さいグリシン、メチオニン及びセリン、好ましくはグリシンを基本構成とするものが好ましい。リンカーポリペプチドのアミノ酸の個数は1〜30個程度であることが適しており、7〜15個程度が好ましい。
【0018】
また、リンカーポリペプチドのアミノ酸配列は、本発明の融合タンパク質を産生するためのベクターの製造、つまり、ライゲーションが容易となる観点から、コードする塩基配列に制限酵素切断部位を含むことが好ましい。例えば、チオレドキシンをコードする塩基配列の3’末端側と、ヒト血清アルブミンをコードする塩基配列の5’末端側それぞれに、制限酵素切断部位の粘着末端を付加し、これらの粘着末端をライゲーションにより結合させることにより、これらをコードする遺伝子を結合させることができる。この場合、扱う遺伝子が2つに増加し、ライゲーションを行う箇所が1箇所増えるものの、各遺伝子の鎖長はさほど長いものではないため、ライゲーションを比較的容易に行うことができる。結合した粘着末端はリンカーポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列を形成する。
具体的には、制限酵素がAvaIである場合、リンカーポリペプチドのアミノ酸配列は、Leu−Glyであり、このアミノ酸配列をコードする塩基配列(AvaIの制限酵素切断部位の塩基配列でもある)は、CCCGAG、CCCGGG、CTCGAG又はCTCGGGである。
【0019】
このような制限酵素切断部位としては、例えば、AccI、AfaI、ApaI、AvaI、AvaII、BalI、BamHI、BbeI、BcnI、BglI、BlnI、ClaI、CpoI、DraI、EaeI、EcoRI、EcoRV、FbaI、FokI、FseI、HaeI、HaeII、HaeIII、HapII、HhaI、HinfI、HpaI、KpnI、MboI、MboII、MluI、MspI、NaeI、NcoI、NotI、SacI、SacII、SalI、ScaI、SmaI、SpeI、StuI、TaqI、XbaI及びXhoI等が挙げられる。なお、制限酵素切断部位は、リンカーポリペプチドの一部を直接コードするので、制限酵素切断部位の5’末端及び/又は3’末端側に数個の塩基を適宜付加することにより、リンカーポリペプチドをコードする塩基配列を設計することができる。特に、上述したようにグリシン、メチオニン及びセリン、好ましくはグリシンを多く含むように設計することが好ましい。
具体的には、制限酵素がAvaIである場合、その塩基配列としてCTCGGGを選択し、5’末端側にGGを、3’末端側には1つの適当な塩基を付加することにより、Gly−Ser−Glyをコードする塩基配列とすることができる。
【0020】
したがって、本発明の融合タンパク質の好ましい実施態様の1つとして、配列番号3に示すアミノ酸配列が挙げられる。このアミノ酸配列は、チオレドキシンのアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸配列)が、制限酵素AvaIを含む塩基配列がコードするリンカーポリペプチドのアミノ酸配列([Gly−Gly−Gly−Gly−Ser])を介して、ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列(例えば、配列番号2のアミノ酸配列)が結合した配列である。
配列番号3に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、実質的に、配列番号3に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の機能を損なわない限り、これらアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたものであってもよい。また、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれか1に該当するポリペプチドが、本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列のいずれかの末端に付加されていてもよい。
【0021】
(1)後述する組換えDNA法において、ベクターを製造する際に利用する、制限酵素切断部位(又はその粘着末端)によってコードされたポリペプチド、
(2)後述する組換えDNA法において、タンパク質を産生するために、ベクターにあらかじめ備えられているタンパク質合成を開始するための塩基配列及び合成を終了するための塩基配列によりコードされたポリペプチド、
(3)後述する組換えDNA法において、産生したタンパク質を分離精製するために利用されるポリペプチド。例えば、カラムに結合可能なアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【0022】
また、キャリアタンパク質としては、当該分野において公知の任意のキャリアタンパク質を用いることができ、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン(OVA)等が挙げられる。タグポリペプチドとしては、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、β−ガラクトシダーゼ等が挙げられる。
なお、チオレドキシンは、ヒト血清アルブミンにおけるアミノ酸配列のN末端側又はC末端側のいずれに連結されていてもよい。また、両末端側に連結されていてもよい。
【0023】
上述した配列番号4又は5で表される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる塩基配列とは、例えば、配列番号4又は5に示す塩基配列をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法等の公知の方法を用いることにより得られるDNAを意味する。「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えば、相同性が高いDNA同士、少なくとも配列番号4又は5で示される塩基配列と50%程度以上、好ましくは60%程度以上、80%程度以上、90%程度以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズする条件が挙げられる。具体的には、0.1〜2倍程度の濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成:150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)、60〜70℃程度でのハイブリダイズ条件をいう。
【0024】
本発明の融合タンパク質は、自体公知の組換えDNA法又は化学合成法によって製造することができる。例えば、本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAをベクターに組込み、このベクターで宿主細胞を形質転換し、この形質転換細胞をこの融合タンパク質の発現に適切な条件下で培養し、発現させ、得られた融合タンパク質を細胞から又は培養液中から回収することによって製造することができる。ただし、ベクターへの導入の際のライゲーションの容易さを考慮すると、遺伝子の鎖長が比較的短いことが好適であるため、適当に分割された遺伝子をベクターへ同時又は段階的に導入してもよい。ベクターへの遺伝子導入は、公知の手段で行なうことができる。具体的には、ベクター中の特定の制限酵素部位を特定の制限酵素によって切断し、その切断部位に本発明の遺伝子を挿入するのが好ましい。
【0025】
なお、制限酵素で処理する際には、誤ってチオレドキシン及びヒト血清アルブミンをコードする塩基配列を消化しないように、制限酵素を選択及び/又はチオレドキシン及びヒト血清アルブミンをコードする塩基配列の設計をすることが必要である。例えば、配列番号4のチオレドキシンをコードする塩基配列、配列番号5のヒト血清アルブミンをコードする塩基配列を有する遺伝子は、制限酵素AvaI、XhoI及びEcoRIによって消化されないため、これらの制限酵素で処理することが適している。
【0026】
ベクターは、当該分野において公知の任意のベクターを用いることができ、用いようとする宿主細胞との適切な組合せを考慮して適宜選択することが適している。ベクターとしては、導入された細胞内で自律的に増殖できるウイルスベクター、プラスミド、ファージ又はコスミド等であれば特に限定されない。適切な選択マーカー(例えば、薬剤耐性遺伝子等)及び/又はプロモーター、他の種々の発現調節エレメント(例えば、ターミネーター、エンハンサー等)を含んでもよい。ベクターとしては、例えば、操作を容易化する点で、組換えベクターを目的として構築されたプラスミドが好ましい。宿主細胞としては、ベクターが安定的、自律的に複製でき、さらに、外来性遺伝子の形質を安定的に発現できるものであれば特に限定されない。例えば、大腸菌(Escherichia coli)細胞のような原核細胞、酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiae)、昆虫、植物細胞及び動物細胞のような真核細胞等が挙げられる。宿主細胞にベクターを導入する方法としては、周知の方法、例えば、接合法、エレクトロポレーション法、コンピテントセル法が挙げられる。
本発明の融合タンパク質の発現に適切な条件(例えば、培地、培養温度など)は、宿主細胞、発現に用いたベクター等を考慮して適宜決定することができる。
また、本発明の融合タンパク質の化学合成は、当該分野において公知の方法によって行うことができ、例えば、Merrifieldの固相合成法、市販のポリペプチド合成機を用いた方法が挙げられる。
【0027】
上述した本発明の融合タンパク質は、例えば、本発明の融合タンパク質を有効成分として含む医薬組成物として利用することができる。例えば、本発明の融合タンパク質をヒトを含む哺乳動物に直接投与することにより、長時間にわたって、安定的に、ヒト等の免疫応答を誘導又は抑制し、抗炎症作用をもたらすことが可能になる。
この場合には、本発明の融合タンパク質をそのまま使用してもよいが、通常は、製剤学及び薬理学的に許容し得る製剤用添加剤、賦形剤等を用いて本発明の融合タンパク質を有効成分として含む医薬組成物として製造し、用いることが好ましい。
【0028】
この医薬組成物の投与経路としては、特に限定されず、例えば、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、経皮、経粘膜、経口、吸入等いかなる投与経路であってもよいが、非経口投与経路、特に注射による投与経路とすることが好ましい。
本発明の医薬組成物の剤形は、上記経路での投与に適切な形態とすることができ、例えば、注射剤、パッチ剤、パップ剤、点眼剤、点鼻剤、噴霧剤、錠剤、カプセル剤、トローチ、舌下錠、クリーム剤、ローション剤、粉剤等が挙げられる。また、生分解性のリポソーム、マイクロカプセル又はマイクロスフェア内に封入されていてもよいし、凍結乾燥形態で製剤化されていてもよい。
【0029】
特に、注射剤とする場合には、融合タンパク質を溶液又は懸濁液とすればよく、さらに、例えば、pH調整剤、電解質、糖類、ビタミン類、薬理学的に許容される塩もしくは脂肪酸及び/又はアミノ酸等の当該分野で通常用いられる添加剤を適宜添加してもよい。
溶液又は懸濁液とする場合には、例えば、日本薬局方で規定される溶液であればどのようなものでも用いることができ、主に水(注射用水)、生理食塩水及び各種緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)等を用いることができる。
【0030】
pH調節剤としては、一般に注射剤のpH調節剤として用いられるものであればよい。例えば、クエン酸、酒石酸、酢酸、乳酸等の有機酸、例えば、塩酸、リン酸等の無機酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
【0031】
電解質としては、従来より輸液に用いられている各種水溶性塩を用いることができる。例えば、生体の機能や体液の電解質バランスを維持するうえで必要とされる各種無機成分(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン等)の水溶性塩(例えば、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩等)が挙げられる。
【0032】
糖類としては、従来より各種の輸液に使用されているものを用いることができる。例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、ラクトース、マルトース等の二糖類、グリセロール等の多価アルコール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール、デキストラン40またはデキストラン80等のデキストラン類、蔗糖等が挙げられる。
【0033】
ビタミン類としては、水溶性/脂溶性の各種ビタミンを用いることができる。例えば、ビタミンA、プロビタミンA、ビタミンD、プロビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6群、パントテン酸、ビオチン、ミオ−イノシトール、コリン、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンPまたはビタミンU等が挙げられる。
【0034】
薬理学的に許容される塩もしくは脂肪酸としては、例えば、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属、カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、カプリル酸、コハク酸及びリンゴ酸などの有機酸、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びジシククロヘキシルアミンなどの有機塩基などが挙げられる。
【0035】
アミノ酸としては、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンなどが挙げられる。また、N−アセチルメチオニンなどのアミノ酸誘導体を添加してもよい。
【0036】
注射剤の製造方法は、通常の製剤学的手法に従って行うことができる。つまり、本発明の融合タンパク質含有の医薬組成物は、各種緩衝液、一般に市販されている輸液(例えば、総合アミノ酸輸液、電解質輸液等)又はそれらと同様の成分を含む水溶液等を用いて、最終的に融合タンパク質の濃度が10mg/mL程度以上、100mg/mL程度以下となるように、pHが4.5〜8.7程度となるように、希釈及び/又は溶解することによって調製することができる。
また、1単位形態あたりの融合タンパク質は、特に限定されないが、例えば、1〜1000mg程度、好ましくは10〜100mg程度含有する注射剤として調製することが適している。
【実施例】
【0037】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
以下の手順で本発明の融合タンパク質を製造した。
(1)チオレドキシンのDNA断片の調製
チオレドキシン遺伝子は、U937細胞からmRNAを抽出後、逆転写反応によりDNAライブラリーを調製した。このDNAライブラリーに対して、配列番号6のセンスプライマーと配列番号7のアンチセンスプライマーを合成プライマーとし、ポリメラーゼ(KOD−plus−Ver.2,東洋紡製)を用いたPCRを行った。PCRの反応条件としては、DNAを94℃で2分間処理した後、変性(94℃、15秒)、アニーリング(65℃、30秒)及びエクステンション(68℃、1分)の反応を30サイクル行った。このPCRによって、チオレドキシンをコードする塩基配列(配列番号4)の5’末端にAvaIが、3’末端にEcoRIが付加されたDNA断片を得た。
センスプライマー
配列番号6:ggtaccctcg agaaaagaga tgcacacaag agtgaggttg c 41
アンチセンスプライマー
配列番号7:cagctgcccg agccaccacc acctaagcct aaggcagctt gacttgc 47
【0038】
(2)ヒト血清アルブミンのDNA断片の調製
プラスミドpPIC9にヒト血清アルブミンの遺伝子が導入されたプラスミド(以下、pPIC9−HSA)を鋳型とし、下記に示す配列番号8のセンスプライマーと配列番号9のアンチセンスプライマーを合成プライマーとしてポリメラーゼ(KOD−plus−Ver.2、東洋紡績社製)を用いたPCRを行った。PCRの反応条件としては、DNAを94℃で2分間処理した後、変性(94℃、15秒)、アニーリング(65℃、30秒)及びエクステンション(68℃、1分)の反応を30サイクル行った。このPCRによって、ヒト血清アルブミンをコードする塩基配列(配列番号5)の5’末端にXhoIが、3’末端にAvaIが付加されたDNA断片を得た。
センスプライマー
配列番号8:gttaacctcg ggcggtggcg gaagtgtgaa gcagatcgag agcaag 46
アンチセンスプライマー
配列番号9:gagagaattc gaattccaag tttaaatagc caatggctgg 40
【0039】
(3)プラスミドの作成
PCRによって増幅されたヒト血清アルブミン及びチオレドキシンのDNA断片は、フェノール抽出を行った後、エタノール沈殿により精製した。そして、ヒト血清アルブミンのDNA断片は制限酵素XhoI(宝酒造製)及びAvaI(東洋紡製)で、チオレドキシンのDNA断片はAvaI及びEcoRI(東洋紡製)で消化した。制限酵素処理後のDNA断片は、アガロース電気泳動を行い、それぞれのDNA断片に相当するバンド(アルブミンをコードするDNA断片;HSA 及びチオレドキシンをコードするDNA断片;Trx,)を切り出し、ゲル抽出用のキット(QIAquick Gel Extraction Kit、QIAGEN製)を用いてゲル抽出を行った。ゲル抽出により得られたDNA断片(HSA、Trx及びpPIC9)は、DNAライゲーションキット(DNA Ligation kit Ver.2.1、宝酒造製)を用いて16℃で30分ライゲーション反応を行うことにより、プラスミドpPIC9にアルブミン及びチオレドキシンをコードするDNA断片を結合した組換えプラスミド(pPIC9−HSA−Trx)を作製した。
【0040】
(4)プラスミドの確認
上記(3)で得られたpPIC9−HSA−TrxをE.coli DH5α(宝酒造製)に導入して形質転換を行った。pPIC9−HSA−Trxが導入された形質転換体は、アンピシリン添加培地中でスクリーニングし、得られた形質転換体より、プラスミドを精製した(QIAprep Spin Miniprep Kit,QIAGEN製)。そのプラスミドをBglII(宝酒造製)による消化、BamHI及びSalI(東洋紡製)による二重消化並びにAvaI及びEcoRI(東洋紡製)による二重消化を行い、制限酵素地図を作成した。その結果、上記で得られたプラスミドは、目的のプラスミドであることを確認した。
【0041】
(5)プラスミド中の塩基配列の確認
さらに、実施例1の(3)で得られたpPIC9−HSA−Trx中におけるヒト血清アルブミン及びチオレドキシンを含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を、配列番号10のα−ファクター シーケンシングプライマー(Invitrogen製)、配列番号11〜17のシーケンスプライマーを用いて、ABI prism 310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems)により確認した。
その結果、pPIC9−HSA−Trxには、配列番号4及び5の塩基配列を有することを確認した。
α−ファクター シーケンシングプライマー
配列番号10:tactattgcc agcattgctg c 21
シーケンスプライマー
配列番号11:cctatggtga aatggctgac tgctgtgc 27
配列番号12:gccagaagac atccttactt ttatgccccg c 31
配列番号13:gacagggcgg accttgccaa gtatatctg 29
配列番号14:cccactgcat tgccgaagtg gaaaatgatg 30
配列番号15:gttcgttaca ccaagaaagt accccaagtg 30
配列番号16:catgcagata tatgcacact ttctgag 27
配列番号17:gcagatcgag agcaagactg cttttcagga agcc 34
【0042】
(6)融合タンパク質の製造
pPIC9−HSA−Trxを制限酵素SalIで消化し、フェノール抽出した後、エタノール沈殿により精製した。次に、エレクトロポレーション装置(Gene Pulser II Electroporation System、BIO−RAD製)を用いて、ピキア酵母(GS115株)のHIS4遺伝子座へ相同組換えにより形質転換を行った。形質転換したピキア酵母は、BMGY液体培地中で48時間培養し、その後、BMMY培地中で24時間毎に1%メタノールを添加しながら96時間培養した。そして、遠心分離(6,000g、10分間)により酵母を分離した後、培養液に30%(v/v)となるように硫酸アンモニウムを添加し、遠心分離することにより、不純物を沈殿させた。上清にさらに80%(v/v)となるように硫酸アンモニウムを添加することにより、pHを5.5に調整し、一晩攪拌した。そして、遠心分離(15,000G、20分)により目的のタンパク質質を沈殿させた。沈殿したタンパク質質を20mM Tris/HCl(pH 8.0)で溶解及び透析を行った後、HiTrap Q XLカラム(GEヘルスケア社製)に結合させ、0→500mM NaClの濃度勾配により融合タンパク質を溶出させた。その後、この溶出液を1.5M硫酸アンモニウム/50mM Tris/HCl(pH 7.0)で透析した後、HiTrap Phenyl HPカラム(GEヘルスケア社製)に通し、1.5→0M硫酸の濃度勾配により融合タンパク質を溶出させた。その後、活性炭により脱脂を行うことにより、本発明の融合タンパク質を得た。
【0043】
比較例1:遺伝子組換えヒト血清アルブミン
下記の実験例1〜5において、本発明の融合タンパク質の比較として、遺伝子組換えヒト血清アルブミン(バイファ社提供)を用いた。
【0044】
比較例2:天然ヒト血清アルブミン
下記の実験例1〜5において、本発明の融合タンパク質の比較として、天然ヒト血清アルブミン(化血研製)を用いた。
【0045】
比較例3:チオレドキシン
下記の実験例2及び3〜5において、本発明の融合タンパク質の比較として、チオレドキシン(R&D system社製)を用いた。
【0046】
比較例4:リン酸緩衝液
下記の実験例4において、本発明の融合タンパク質の溶液の比較として、リン酸緩衝液(PBS)を用いた。
【0047】
実験例1:ゲル電気泳動による融合タンパク質の確認
製造した融合タンパク質質について、12.5%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。対照として、遺伝子組換えヒト血清アルブミン(比較例1)、天然のヒト血清アルブミン(比較例2)及びチオレドキシン(比較例3)を用いた。測定は、1,4−ジチオスレイオール(DTT)を添加することにより還元処理を行ったものと、行わなかったものの両方を行った。その結果を図1に示す。
図1の結果から融合タンパク質は遺伝子組換えヒト血清アルブミン(比較例1)及び天然のヒト血清アルブミン(比較例2)に比べ、高分子量側にバンドが観察されたことから、融合タンパク質はヒト血清アルブミンにチオレドキシンが結合していることが示唆された。
【0048】
実験例2:ウエスタンブロット解析による融合タンパク質の確認
製造した融合タンパク質質について、抗ヒト血清アルブミン抗体及び抗チオレドキシン抗体を用いたウエスタンブロット解析を行った。対照として、ヒト血清アルブミン(比較例1)及びチオレドキシン(比較例3)を用いた。その結果を図2に示す。
図2によれば、抗ヒト血清アルブミン抗体により、遺伝子組換えヒト血清アルブミン(比較例1)及び融合タンパク質においてバンドが認められた。また、抗チオレドキシン抗体を用いたウエスタンブロットでは、チオレドキシン(比較例3)及び融合タンパク質においてバンドが認められた。このことから、融合タンパク質はヒト血清アルブミンにチオレドキシンが結合していることが示唆された。
【0049】
実験例3:ELISAによる融合タンパク質の確認
抗ヒト血清アルブミン抗体及び抗チオレドキシン抗体を用いたELISAを行った。対照として、遺伝子組換えヒト血清アルブミン(比較例1)を用いた。その結果を図3に示す。
図3によれば、遺伝子組換えヒト血清アルブミン(比較例1)及び融合タンパク質は抗ヒト血清アルブミン抗体に対し同程度の反応性を示した。一方、抗チオレドキシン抗体はヒト血清アルブミンには全く結合しなかったが、融合タンパク質に対して大きく反応することが明らかとなった。
このことから、融合タンパク質はヒト血清アルブミンにチオレドキシンが結合していることが示唆された。
【0050】
実験例4:融合タンパク質におけるチオレドキシン活性の確認
融合タンパク質におけるチオレドキシン活性について確認した。具体的には、融合タンパク質のリン酸カルシウム(pH7.0)溶液にインスリンを5mg/mlとなるように溶解させ、さらにDTTを5mMとなるように添加することにより、インスリンを還元させ、沈殿するインスリンを650nmにおける吸光度の経時変化により評価した。対照として、遺伝子組換えヒト血清アルブミン(比較例1)及びチオレドキシン(比較例3)及びPBS(比較例4)を用いた。その結果を図4に示す。
図4によれば、チオレドキシン(比較例3)は4分後からインスリンを沈殿させ、10分後にプラトーに達した。融合タンパク質は10分後から沈殿が観察され、19分後にプラトーに達した。一方、遺伝子組換えヒト血清アルブミン(比較例1)及びPBS(比較例3)ではインスリンの沈殿は認められなかった。
従って、融合タンパク質はチオレドキシン活性を十分有していることが明らかとなった。
【0051】
実験例5:融合タンパク質の血中滞留性の確認
融合タンパク質の血中滞留性について確認した。具体的には、まず、融合タンパク質のリジン残基に放射性インジウム同位体(111In)で標識した。そして、この融合タンパク質を、マウスに経尾静脈投与(投与量;0.1mg/kg)し、血漿中濃度推移を放射線量測定器により測定した。対照としてアルブミン及びチオレドキシンをそれぞれ111Inで標識したものをマウスに投与し、同様に測定した。その結果を図5に示す。
図5によれば、融合タンパク質の血中消失機構は遺伝子組換えアルブミン(比較例1)と同程度であったが、チオレドキシン(比較例3)は血中から速やかに消失していた。従って、チオレドキシンはアルブミンとの融合タンパク質にすることで血中滞留性が飛躍的に改善することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る融合タンパク質は、チオレドキシンをヒト血清アルブミンとの融合タンパク質とすることによって、チオレドキシンの有する活性を長期に維持することができる。したがって、長期に安定したタンパク質製剤を提供することができる。また、本発明に係るベクター及び形質転換体は、遺伝子組換え法による上記融合タンパク質の容易な産生を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実験例1における融合タンパク質の電気泳動結果を示す図である。
【図2】実験例2における融合タンパク質のウエスタンブロット解析(一次抗体として抗アルブミン抗体及び抗チオレドキシン抗体を用いた)結果を示す図である。
【図3】実験例3における融合タンパク質のELISAによる結果を示す図である。
【図4】実験例4における融合タンパク質のチオレドキシン活性結果を示す図である。
【図5】実験例5における融合タンパク質の血中滞留結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チオレドキシンと、ヒト血清アルブミンとを含む融合タンパク質。
【請求項2】
前記チオレドキシンが、
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、前記配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を含む請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記ヒト血清アルブミンが、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、前記配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なアミノ酸配列からなるタンパク質を含む請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
(a)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、前記配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なアミノ酸配列からなるタンパク質を含む請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記チオレドキシンが
(a)配列番号4に示される塩基配列、又は
(b)配列番号4に示される塩基配列の一部に対して相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ前記配列番号4に示される塩基配列からなるDNAがコードするタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする塩基配列によってコードされる請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
前記ヒト血清アルブミンが、
(a)配列番号5に示される塩基配列、又は
(b)配列番号5に示される塩基配列の一部に対して相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ前記配列番号5に示される塩基配列からなるDNAがコードするタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする塩基配列によってコードされる請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
(a)配列番号3に示されるアミノ酸配列により表されるタンパク質、又は
(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記配列番号3に示されるアミノ酸配列により表されるタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするアミノ酸配列により表されるタンパク質をコードする遺伝子。
【請求項8】
請求項7に記載の遺伝子を含むベクター。
【請求項9】
請求項8に記載のベクターを含む形質転換体。
【請求項10】
請求項9に記載の形質転換体が産生する融合タンパク質。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の融合タンパク質を主成分として含有する抗炎症性医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−55838(P2009−55838A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225833(P2007−225833)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】