螺旋体製造装置及び螺旋体製造方法
【課題】芯金に対して帯板をリード角に沿う方向に案内して、帯板にリード角を与えながらかつ芯金を支持しながら、帯板を螺旋状に成形でき、芯金からの長尺螺旋体の取り外しも容易にできるようにする。
【解決手段】帯板Tの一短面を当接しながら螺旋状に巻き付ける水平姿勢の芯金Sと、この芯金Sの基部側を支持して回転駆動する芯金駆動機構2と、芯金Sの先端を支持するセンタピン機構3と、芯金Sに対して帯板Tを案内供給する供給ヘッド機構4とを備える。前記供給ヘッド機構4は、帯板Tにリード角を与えながら芯金Sの下側近傍まで案内する案内ヘッド5と、芯金Sの軸心方向中途部の外周面と当接して芯金Sを支持する芯金支持手段6と、案内ヘッド5及び芯金支持手段6を芯金Sに対して遠近移動させる遠近移動手段とを有する。
【解決手段】帯板Tの一短面を当接しながら螺旋状に巻き付ける水平姿勢の芯金Sと、この芯金Sの基部側を支持して回転駆動する芯金駆動機構2と、芯金Sの先端を支持するセンタピン機構3と、芯金Sに対して帯板Tを案内供給する供給ヘッド機構4とを備える。前記供給ヘッド機構4は、帯板Tにリード角を与えながら芯金Sの下側近傍まで案内する案内ヘッド5と、芯金Sの軸心方向中途部の外周面と当接して芯金Sを支持する芯金支持手段6と、案内ヘッド5及び芯金支持手段6を芯金Sに対して遠近移動させる遠近移動手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯板から螺旋体を成形する螺旋体製造装置及び螺旋体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯板から螺旋体を成形する螺旋体製造装置としては、特許文献1に開示されているように、帯板の一短面を螺旋状に巻き付ける芯金と、この芯金の一端を支持して回転駆動する芯金駆動機構と、芯金に対して帯板を案内供給する供給ヘッド機構とを備えており、前記供給ヘッド機構の案内ヘッドはネジ軸により送り移動可能であり、かつ芯金に対して帯板を直角に案内する案内溝と、芯金の外周面と上下から摺接して芯金を支持する支持面とが形成されている。
【0003】
また、帯板ではないが、断面円形のばね材料をガイドローラのみで案内供給して、芯金に対してリード角を与えながら巻き付ける技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平2−133号公報
【特許文献2】特公昭62−49133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の技術は、案内ヘッドで帯板の案内も芯金の支持もできるが、案内ヘッドは芯金に嵌合されかつ芯金支持面はV字状又は円弧状に形成されていて、案内ヘッドを芯金に対して傾斜させ得る構成ではなく、案内ヘッドを芯金と平行に移動させることにより、帯板に強制的にリード角を与えており、螺旋体の取り外しがやり難い構造になっている。
【0006】
また、特許文献1の技術で製造される螺旋体は、案内ヘッドの移動で帯板をリードするため、帯板の広面に凹凸を生じて、複数体を密着重合するのが困難であり、従って、螺旋体を鋸切断して短尺にするのは困難になっている。
前記特許文献2の技術は、芯金に対してリード角を与えながらばね材料を巻き付けることはできるが、ガイドローラのみでは芯金の支持が困難になり、帯板の螺旋成形には適用できない構成となっている。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした螺旋体製造装置及び螺旋体製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、芯金を回転自在に支持しながら帯板をリード角に沿う方向に案内供給できかつ螺旋体の取り外しも容易にできるようにした螺旋体製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、芯金を回転自在に支持しながら、帯板を芯金の下側からかつリード角に沿う方向に供給して、螺旋状に巻き付けて長尺螺旋体を形成し、この長尺螺旋体を複数体密着重合して軸心方向に鋸切断することにより短尺螺旋体を形成できるようにした螺旋体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
螺旋体製造装置は第1に、帯板Tの一短面を当接しながら螺旋状に巻き付ける水平姿勢の芯金Sと、この芯金Sの基部側を支持して回転駆動する芯金駆動機構2と、芯金Sの先端を支持するセンタピン機構3と、芯金Sに対して帯板Tを案内供給する供給ヘッド機構4とを備えた螺旋体製造装置であって、
前記供給ヘッド機構4は、帯板Tにリード角βを与えながら芯金Sの下側近傍まで案内する案内ヘッド5と、芯金Sの軸心方向中途部の外周面と当接して芯金Sを支持する芯金支持手段6と、案内ヘッド5及び芯金支持手段6を芯金Sに対して遠近移動させる遠近移動手段9とを有することを特徴とする。
【0010】
第2に、前記芯金支持手段6は案内ヘッド5から芯金S先端側へ離れた位置で芯金Sを
支持しており、下方から支持する下支持体6Aと、上方から支持する上支持体6Bと、上方からコロを介して支持する上コロ支持体6Cと、側方からコロを介して支持する側コロ支持体6Dとの内、少なくとも下支持体6Aを有していることを特徴とする。
第3に、前記供給ヘッド機構4は、案内ヘッド5を縦軸11廻りに回動して帯板Tのリード角βを調整する帯板リード角調整手段12と、案内ヘッド5へ至る帯板Tを両短面及び両広面を挟持しながら送るガイド手段13とを有していることを特徴とする。
【0011】
第4に、前記芯金駆動機構2を備えた装置枠1Aに、供給ヘッド機構4を芯金Sと平行に移動するヘッド送り機構7と、センタピン機構3をセンタリング位置から芯金Sと直交する方向へ後退移動させるセンタ進退機構8とを備えていることを特徴とする。
第5に、芯金Sに巻き付けられる帯板Tの後部側を受持する受持部材16を有し、この受持部材16を芯金Sへの帯板T巻き付けに追従して芯金Sと平行に移動可能にした帯板受持機構17を備えていることを特徴とする。
【0012】
螺旋体製造方法は、帯板Tの長手方向の一端を水平配置した芯金Sに係止し、芯金Sに対して上下方向の少なくとも下側から支持しながら、かつ下側から帯板Tをリード角βを与えながら供給し、芯金Sを回転しながら帯板Tの一短面を螺旋状に巻き付けて長尺螺旋体Rを形成し、この長尺螺旋体Rを芯金Sから外して複数体を密着重合し、この重合長尺螺旋体Rを軸心方向に鋸切断して短尺螺旋体rを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明装置によれば、芯金に対して帯板をリード角に沿う方向に案内して、帯板にリード角を与えながらかつ芯金を支持しながら、帯板を螺旋状に巻き付けて成形でき、芯金からの長尺螺旋体の取り外しも容易にできる。
即ち、請求項1に係る発明は、供給ヘッド機構4の案内ヘッド5で、芯金Sに対して帯板Tをリード角βに沿う方向に案内して、帯板Tにリード角βを与えながらかつ芯金Sの外周面と当接して支持しながら、螺旋状に曲げながら巻き付けて成形することができ、よって、帯板Tの広面に凹凸や無理な応力を生じさせることがなく、理想の螺旋形状に形成することができ、遠近移動手段9で案内ヘッド5及び芯金支持手段6を芯金Sに対して遠移動させることにより、芯金Sからの螺旋体Rの取り外しも容易にできる。
【0014】
請求項2に係る発明は、案内ヘッド5は帯板巻き付けにより芯金Sに生じる下向きの負荷を、芯金Sの下方、上方、側方の少なくとも下方から適正にかつ効率よく支持することができ、芯金Sのブレ動きを減少することができる。
請求項3に係る発明は、帯板リード角調整手段12によって案内ヘッド5を縦軸11廻りに回動して帯板Tのリード角βを調整でき、ガイド手段13で帯板Tを両短面及び両広面を挟持しながら送ることができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、帯板Tの巻き付けに追従して、ヘッド送り機構7で供給ヘッド機構4を芯金Sと平行に移動でき、芯金Sから長尺螺旋体Rを外すときに、センタ進退機構8でセンタピン機構3をセンタリング位置から芯金Sと直交する方向へ後退移動させることができる。
請求項5に係る発明は、帯板受持機構17によって、芯金Sへの帯板T巻き付けに追従して芯金Sと平行に移動しながら、芯金Sに巻き付けられる帯板Tの後部側を受持することができる。
【0016】
本発明方法によれば、芯金Sに対して帯板Tをリード角βに沿う方向に案内して、帯板Tにリード角βを与えながらかつ芯金Sの外周面と下側から支持しながら螺旋状に巻き付けて長尺螺旋体Rを形成し、この長尺螺旋体Rを複数体密着重合して軸心方向に鋸切断することにより短尺螺旋体rを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す芯金及び供給ヘッド機構の平面図である。
【図2】芯金及び供給ヘッド機構の側面図である。
【図3】螺旋体製造装置全体の平面図である。
【図4】螺旋体製造装置全体の背面図である。
【図5】螺旋体製造装置全体の側面図である。
【図6】供給ヘッド機構の拡大背面図である。
【図7】供給ヘッド機構の先端部の平面図である。
【図8】供給ヘッド機構の上部の側面図である。
【図9】芯金の係止ブロックの斜視図である。
【図10】帯板受持機構の平面図である。
【図11】供給ヘッド機構の変形例を示す平面図である。
【図12】長尺螺旋体及び短尺螺旋体の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜10において、帯板Tから螺旋体R(スクリュー、スパイラル体とも称される。)を製造する螺旋体製造装置1は、装置枠1Aに、芯金Sと、芯金駆動機構2と、センタピン機構3と、供給ヘッド機構4と、ヘッド送り機構7と、センタ進退機構8とを備え、装置枠1Aとは別置きの帯板受持機構17を備えている。
【0019】
図1〜4、8、9において、前記芯金Sは帯板Tの一短面(帯板Tの肉厚と同一幅の端面)を螺旋状に巻き付けて螺旋体Rを成形するための中実又は中空の金属製の円柱体であり、装置枠1Aの中央上部に水平状に配置されており、その基端側に係止ブロック20が固着され、この係止ブロック20に先端係止材21と側面係止材22とがボルト固定されている。
【0020】
帯板Tの長手方向の先端は、係止ブロック20に一広面(帯板Tの肉厚と直交する側面)が沿わされた状態で先端縁を先端係止材21に当接し、外側になる一短面を側面係止材22に当接し、側面係止材22に楔状ロック部材23を挿入して帯板Tの他広面に当接させることにより、係止ブロック20に対して係止され、その先端が芯金Sと共に回転することにより、帯板Tの後続部分が芯金Sに曲がりながら巻き付けられることになる。
【0021】
前記芯金Sは基端側が芯金駆動機構2の出力軸24に同心状に連結支持されている。芯金駆動機構2は装置枠1Aを構成するボックス25内に電動機26及び減速機等が収納されており、出力軸24が回転自在に支持され、ボックス25から突出された出力軸24の先端に連結筒27が連結され、この連結筒27に芯金Sの基端側が着脱自在に挿入されている。前記芯金Sは外径の異なるものに取り替え可能になっている。
【0022】
図3、4において、前記センタピン機構3は出力軸24と同心でかつ対向するセンタピン29を有し、このセンタピン29で芯金Sの先端を支持する。センタピン29は支持フレーム30に支持されており、ピン移動手段31を介して出力軸24と同心方向に進退移動可能になっている。
支持フレーム30は装置枠1Aの端部の台枠28上にセンタピン29と直交する方向に移動自在に載置され、台枠28に設けられたセンタ進退機構8によって、センタピン機構3のセンタピン29を、芯金Sの先端を芯金Sの軸心と同心で支持するセンタリング位置から芯金Sと直交する方向へ後退移動可能になっている。
【0023】
前記ピン移動手段31及びセンタ進退機構8は共にスクリュー・ナット構造で、ハンドルでスクリューを回転してセンタピン29や支持フレーム30を移動させる構造であり、センタピン29や支持フレーム30を移動させた位置でロックするロック手段も有している。
センタピン機構3はセンタピン29をピン移動手段31で芯金Sの先端から外し、センタ進退機構8で芯金Sの延長位置から後退させることにより、芯金Sの先端を自由端となし、成形した螺旋体Rを芯金Sから取り外すことを可能にしている。
【0024】
図2〜6において、前記装置枠1Aの中央下部に供給ヘッド機構4を芯金Sと平行に移動するヘッド送り機構7が設けられており、このヘッド送り機構7は自動送り手段32と手動送り手段33とを有する。
装置枠1A上面には芯金Sと平行に2本のレール34が設けられ、このレール34に供給ヘッド機構4の基台35の下面に設けた前後左右計4個の摺動体36が載置され、かつ摺動自在に係合されている。
【0025】
自動送り手段32は、装置枠1Aに支持されていてボックス25内の電動機26によっ
て駆動される送りネジ37と、基台35の下面に設けられていて送りネジ37に螺合する送りナットを有するナットホルダ38とを有する。
送りネジ37は転造ボールネジで形成され、ナットホルダ38は送りナットが送りネジ37に対して螺合解除可能になっており、送りネジ37を回転することによって、芯金Sに帯板Tを巻き付けるそのリード量に対応して、供給ヘッド機構4を自動的に平行移動させる。
【0026】
送りネジ37の下方には、ナットホルダ38と当接して自動送り手段32を停止するリミットスイッチ39が設けられている。このリミットスイッチ39は、供給ヘッド機構4を巻き付け動作開始位置へ移動したとき、及び巻き付け動作終端位置へ移動したときに、それぞれ検出動作をして電動機26を停止する。
手動送り手段33は、装置枠1Aの前縁に芯金Sと平行に固定されたラック41と、このラック41と噛合するピニオン42と、このピニオン42とハンドル43とを設けたハンドル軸44と、このハンドル軸44を支持すべく基台35の下面に設けられた軸受部材45とを有しており、ハンドル43を介してハンドル軸44を回転することにより、装置枠1Aに対して供給ヘッド機構4を芯金Sと平行に移動できる。
【0027】
なお、前記ヘッド送り機構7は手動送り手段33を割愛し、自動送り手段32を逆転させるようにしたり、自動送り手段32の電動機26から送りネジ37へ至る動力伝達系の回転部材を手動で逆転させて、供給ヘッド機構4を巻き付け動作開始位置へ戻すように構成してもよい。
図1〜4、6〜8において、前記供給ヘッド機構4は基台35上に大別して、案内ヘッド5と、芯金支持手段6と、案内ヘッド5を先端に取り付けたヘッド台51と、このヘッド台51上に設けた帯板Tの広面案内ローラ手段52及び短面案内ローラ手段53と、ヘッド台51の左右方向水平に対する角度を調整する水平調整手段54と、ヘッド台51の高さを調整する高さ調整手段55と、ヘッド台51を芯金Sに対して遠近(前後)方向に移動する遠近移動手段9と、ヘッド台51の縦軸廻りの角度(リード角)を調整する帯板リード角調整手段12とを備えている。
【0028】
前記案内ヘッド5はヘッド台51の先端(芯金S側端部)に固定された支持部材57と、この支持部材57の上部に着脱自在に固定された案内部材58と、この案内部材58の上部に固定された受持部材59とを有している。
前記支持部材57は左右方向中央に上方開放状の上方二股形状であり、案内部材58は左右一対あって、支持部材57の二股内に配置されていて、左右対向面で帯板Tの左右広面を摺接自在に案内する帯板案内路58aを形成しており、帯板案内路58aの上下面は支持部材57と受持部材59とで形成されている。この帯板案内路58aによって、帯板Tにリード角βを与えながら摺接案内する案内部5Aを形成している。
【0029】
帯板案内路58aは帯板Tの左右広面及び上下端面を直線的に挿通案内可能であり、帯板リード角調整手段12によって、芯金Sに対してリード角βに沿う方向に向けられている。
なお、帯板Tは通常均一肉厚のものが用いられるので、帯板案内路58aの路幅は上下均一である。しかし、帯板Tは芯金Sに巻き付けられると外周側が薄く変形されるので、素材の帯板Tを芯金Sに巻き付ける側で薄肉にし、螺旋外周側となる側へ次第に厚くなるように圧延しておき、芯金Sに巻き付けられた状態で螺旋体Rの肉厚が全域略均一になるようにしてもよく、そのような素材を使用する場合は、帯板案内路58aの路幅は、上側が狭く、下側が広くなるように形成される。
【0030】
受持部材59の案内部5Aより先端側の二股部の上面は平坦に形成されており、芯金Sの外周面と下側から摺接して芯金Sを支持する支持面5Bとなっている。この受持部材59は支持面5Bが摩耗すると取り替えられ、芯金Sが径の異なるものに代えられるときも、支持面5Bの高さの異なるものに取り替えられる。この支持面5Bは芯金支持手段6の一部を構成する。
【0031】
前記広面案内ローラ手段52は帯板Tの左右広面を挟む一対のローラ60が前後2対設けられている。左右一方(左側)の前後ローラ60はヘッド台51に立設固定されたロー
ラ軸61Aに回転自在に支持され、左右他方(右側)の前後ローラ60はヘッド台51に固定された取付板62付きのローラ軸61Bに回転自在に支持されている。
各取付板62には2本の長孔62aが形成され、この長孔62aにボルトを挿入してヘッド台51に固定されており、前後右ローラ軸61Bは前後左ローラ軸61Aに対して遠近位置調整自在であり、帯板Tの肉厚に対応して遠近位置が調整され、帯板Tを挟持する力を変更できる。
【0032】
ヘッド台51の上面には前後の取付板62に対応してカムロック部材63が設けられており、このカムロック部材63のカム面63aを取付板62に押圧することにより、前後右ローラ軸61Bのバックアップができ、また帯板Tを挟む挟持力も調整できる。
前記短面案内ローラ手段53は帯板Tの下短面を受持する前後一対の溝付き下ローラ64と、前側の溝付き下ローラ64の上方に配置されて帯板Tの上短面を押さえる溝付き上ローラ65とを有する。
【0033】
前後溝付き下ローラ64はヘッド台51上に固定されたブラケット66に軸を介して回転自在に支持され、溝付き上ローラ65はローラ軸67に回転自在に支持され、ローラ軸67はヘッド台51上に立設された支持体68に上下位置変更自在に案内され、押しボルトで下向きに押圧されている。
前記ヘッド台51の下面には円弧受け板70が固定され、この円弧受け板70は中間台71の上部に設けた円弧台板72に載置されて左右方向中央のボルトで固定されている。前記円弧台板72は芯金Sの軸心と直交する方向でかつ水平な前後軸心を曲率中心とする円弧面72aを有している。
【0034】
前記円弧受け板70及び円弧台板72等によって、ヘッド台51の左右方向水平に対する角度を調整する水平調整手段54が構成されており、帯板Tを芯金Sの外周面に対して広面が直交する姿勢又は傾斜した姿勢に設定できるようになっている。
なお、帯板Tは芯金Sの外周面に対して広面を直角姿勢から微少角度だけ傾斜させておいて、曲げ抵抗に対向する姿勢とし、芯金Sに巻き付けた状態で芯金Sの外周面に対して直角になるようにすることもできる。
【0035】
中間台71は下面に凹部71aとその左右両側の脚部71bとが形成され、左右脚部71bには外ネジ式ストリッパボルト73が上下に貫通されている。前記ストリッパボルト73の下部は左右各ガイド脚体74に螺合されている。
前記左右ガイド脚体74は移動台75の上面に固定されており、その上面に凹み74aを有し、この凹み74a内に中間台71の脚部71bの下部が上下位置変更可能に挿入案内されており、前記ストリッパボルト73で設定される高さまで移動可能になっている。
【0036】
中間台71の凹部71a内に傾斜面体76が取り付けられ、その傾斜面体76の下側に傾斜面体76と面接した傾斜動体77が配置されている。この傾斜動体77は移動台75の上面で左右ガイド脚体74間に前後動可能に配置されている。
前記傾斜動体77にはナット部材78が設けられ、移動台75上に回転自在に支持された押動ネジ79がナット部材78に螺合しており、押動ハンドル80を介して押動ネジ79を回転することにより傾斜動体77を前後移動し、傾斜面体76の傾斜面を介して中間台71を上下移動するようになっている。
【0037】
前記中間台71、ストリッパボルト73、左右ガイド脚体74、移動台75、傾斜面体76、傾斜動体77、ナット部材78、押動ネジ79、押動ハンドル80等によって、ヘッド台51の高さを調整する高さ調整手段55が構成されており、ストリッパボルト73の頭部高さを変更することにより、ヘッド台51の高さを変更できる。
移動台75は回動台82に載置され、両者の間にヘッド台51を芯金Sに対して前後移動させる遠近移動手段9が設けられている。
【0038】
移動台75の下面には内部に挿入された押圧部材81とともに蟻溝75aが形成され、回動台82上面に固定の前後方向に長いほぞ部材83に嵌合しており、芯金Sに対して遠近方向に移動可能になっている。押圧部材81は移動台75に螺合した押しボルト84によってほぞ部材83に押圧可能になっている。
前記移動台75の側部上面には前後方向に長いラックギヤ85が固定され、このラック
ギヤ85に噛合するピニオン軸86が回動台82上に設けた軸受体87に支持されており、このピニオン軸86の端部にラチェットレバー88が設けられており、前記押しボルト84を弛めてラチェットレバー88を回動操作することにより、ラックギヤ85及びピニオン軸86を介して移動台75を手動で前後移動させることができる。
【0039】
前記芯金支持手段6は装着台14と芯金支持板15とを有しており、装着台14の下部は移動台75のラックギヤ85取り付け位置と反対側の上面及び/又は左ガイド脚体74に固定され、芯金支持板15は装着台14の上部の凹部14aに嵌入して、前後方向の長孔及びボルトを介して前後位置調整自在に設けられている。
芯金支持板15は先端が二股形状になっており、その二股部の上下対向面間隔は芯金Sの外径に略等しく設定されており、この二股部の下側が下支持体6Aとなり、上側が上支持体6Bとなっており、上下支持体6A、6Bを芯金Sの外周面に直径方向位置で当接させることにより芯金Sを回転自在に支持する。
【0040】
この芯金支持板15によって、芯金Sは長手方向中途部の外周面が上下で担持され、帯板巻き付けにより芯金Sに生じる上下方向のブレを適正にかつ効率よく減少させることができる。
回動台82は前記基台35上に載置され、両者の間にヘッド台51の縦軸11廻りの角度(リード角)を調整する帯板リード角調整手段12が設けられている。
【0041】
基台35上に円板90が固定され、この円板90に回動台82の下面の円形凹部82aが嵌合しており、円板90の中心を縦軸11として回動台82が縦軸廻り回動自在になっている。
回動台82の周囲部には円板90の中心(縦軸11)を曲率中心とする円弧孔91が複数(4箇所)形成され、この円弧孔91に挿入された固定ボルト92が基台35に螺合しており、この固定ボルト92を弛めることにより回動台82は縦軸11を中心に回動可能になる。
【0042】
基台35の一側上面にはブロック93を介して前後一対の位置決め調整ネジ94が設けられており、この各位置決め調整ネジ94は先端が回動台82の側面に当接されており、前後位置決め調整ネジ94の一方を弛めかつ他方を螺進することにより、回動台82の前後一方を押動回動し、ヘッド台51の縦軸廻りの角度を調整することができる。
回動台82による案内ヘッド5へのリード角付与に伴って、受持部材59の支持面5B及び芯金支持手段6の芯金支持板15も芯金Sに対して傾斜するが、支持面5B及び上下支持体6A、6Bは芯金Sの外周面に点接触又は線接触するので、リード角βがあっても芯金Sを確実に支持できるように構成されている。
【0043】
図3、5、10において、別置きの帯板受持機構17は、矩形枠形状の受持枠96の上部に帯板Tを受持する受持部材16を帯板Tの長手方向に複数(3個)設け、基礎台98に前後一対の走行レール99を設けて、走行レール99で受持枠96を左右方向移動自在に支持している。走行レール99は芯金Sと平行であり、受持枠96は芯金Sと平行に移動可能である。
【0044】
前記受持部材16は、帯板Tを受持するコロ97Aをブラケット97Bに軸を介して回転自在に支持しており、ブラケット97Bは円弧孔97Cに挿通されるボルト97Dで受持枠96に固定されている。
複数の受持部材16の配列は、走行レール99に対して帯板Tの巻き付けリード角βに相当する角度だけ傾斜しており、帯板Tの巻き付けリード角βが変更される場合は、受持部材16を受持枠96上で左右方向位置を変更する。
【0045】
図10は供給ヘッド機構4の変形例を示しており、案内ヘッド5は二股形状の支持部材57内の案内部材58の下方に帯板Tの下短面を受持する溝付き上ローラ47を回転自在に配置しており、芯金支持手段6の芯金支持板15には、下支持体6A及び上支持体6Bとは別に上コロ支持体6Cと側コロ支持体6Dとを設けている。
上コロ支持体6Cは支持部材57上に縦軸廻り角度調整自在に固定された門型形状のブラケット48aの両脚部にコロ48bを回転自在に設けており、両コロ48bの軸心は芯金Sの軸心と平行でその真上に配置されており、芯金Sの外周面に上側から当接している
。
【0046】
側コロ支持体6Dは支持部材57の上下二股部内に配置されており、縦軸廻り角度調整自在に固定された門型形状のブラケット49aの両脚部にコロ49bを回転自在に設けており、両コロ49bの軸心は芯金Sの軸心と平行でその真横に配置されており、芯金Sの外周面に側方から当接している。この側コロ支持体6Dのコロ49bはブラケット49aの中央に1個設けるだけでもよい。
【0047】
前記上コロ支持体6Cのコロ48b及び側コロ支持体6Dのコロ49bは、案内ヘッド5に先行して、芯金Sの軸心方向中途部の外周面を回転しながらかつ摺接しながら支持し、芯金Sの回転時のブレを減少する。
前記芯金支持手段6は、主に下支持体6Aと上コロ支持体6Cの両コロ48bとで芯金Sの中途部を上下から3点支持し、上支持体6Bと側コロ支持体6Dのコロ49bと支持面5Bは支持補助となっている。
【0048】
次に、前記螺旋体製造装置1で長尺螺旋体Rを製造する方法及び長尺螺旋体Rから短尺螺旋体rを製造する方法を説明する。
供給ヘッド機構4を所要のリード角βに沿わせた状態で巻き付け動作開始位置に配置しかつ芯金支持手段6を芯金Sの外周面に当接させておき、加工する帯板Tを帯板受持機構17の受持部材16上に載せ、帯板Tを長手方向に前進させて供給ヘッド機構4に通す(図3)。
【0049】
帯板Tを広面案内ローラ手段52及び短面案内ローラ手段53内に挿通し、かつ案内ヘッド5の帯板案内路58aに挿通し、帯板Tの先端を芯金Sの下側を通って係止ブロック20に係止する(図1〜4、8、9)。
この係止状態で、帯板Tは芯金Sに対してヘッド台51で設定されたリード角が付与された姿勢となっており、係止ブロック20に係止された先端から少し離れた位置で、帯板Tの上側短面(端面)が芯金Sの外周面に当接している(図8)。
【0050】
芯金Sの先端をセンタピン機構3で支持しながら芯金駆動機構2を作動すると、芯金Sは図1の先端側から見て時計方向に回動され、帯板Tは先端が係止ブロック20に係止されていることにより共廻りし、帯板Tの上側端面が芯金Sの外周面に曲がりながら巻き付けられていく(図1、9及び図12−A)。
帯板Tの巻き付け加工中、芯金支持手段6は芯金Sのブレを防止し、案内ヘッド5、広面案内ローラ手段52及び短面案内ローラ手段53は常に帯板Tにリード角βを与えながら案内する。帯板Tにリード角βが付与されているので、帯板Tは芯金Sに巻き付いている部分も芯金Sに供給される部分も直線状となり、芯金Sの軸心方向に曲げられることがなく、抵抗無くスムーズに供給される。
【0051】
また、案内ヘッド5の支持面5Bは芯金Sの外周面と下側から摺接して支持し、芯金支持手段6は芯金Sの外周面と上下両側から摺接して支持し、芯金Sの長手方向中途部のブレを無くし、安定的に回転でき、帯板Tを真円度を高めて巻き付ける。
前記帯板Tの芯金Sへの巻き付けに伴って、供給ヘッド機構4は自動送り手段32によってリード量だけ芯金Sと平行に移動し、受持枠96は走行レール99上を追従移動する(図3)。
【0052】
芯金Sに帯板Tを略全長巻き付けて長尺螺旋体Rに加工した後、遠近移動手段9により移動台75を後退させてヘッド台51及び芯金支持手段6を芯金S及び長尺螺旋体Rから引き離す。また、センタピン機構3はセンタピン29を後退して芯金Sの先端の支持を解除し、さらにセンタ進退機構8でセンタピン29を芯金S延長位置から後方へ後退させる。
【0053】
この状態で、芯金Sは先端側がフリーとなり、係止ブロック20の側面係止材22にから楔状ロック部材23を抜くことにより長尺螺旋体Rの基端側は開放されて、長尺螺旋体Rは芯金Sから取り外すことができる(図12−B)。
取り外した長尺螺旋体Rはそのままの形状でも利用できるが、鋼管杭に利用するには1リード長さのものでよい。長尺螺旋体Rは1体づつでは切断しずらいが、複数体を密着重合することにより鋸切断が容易になる。
【0054】
前記長尺螺旋体Rは、複数体(例えば4、5体)を同心状に密着重合し、リード間に楔等の固定具を入れて結束し、周方向1箇所を鋸で切断(鋸切断線N)することにより、多数体の短尺螺旋体rを一度に製造される(図12−C)。この1体の短尺螺旋体rを鋼管100に嵌合しかつ溶着すれば鋼管杭Hを製造することができる(図12−D)。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜12に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0055】
例えば、別置きの帯板受持機構17に代えて、ヘッド台51から後方へ支持部材を突出し、この支持部材上に帯板Tを受持する受持部材16を複数設けて、帯板受持機構としてもよい。
前記係止ブロック20は側面に帯板Tの先端を挿入する溝を形成しておいて、帯板Tの先端を溝に挿入するだけで、芯金Sに対する周方向及び軸方向の位置決めができるように構成してもよい。
【0056】
螺旋体製造装置1を1種類の径で特定リード角を有する長尺螺旋体Rの製造用専用機とする場合は、供給ヘッド機構4は水平調整手段54、高さ調整手段55及び帯板リード角調整手段12等を割愛し、ヘッド台51及び芯金支持手段6を移動台75上に搭載するだけの構成としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 螺旋体製造装置
1A 装置枠
2 芯金駆動機構
3 センタピン機構
4 供給ヘッド機構
5 案内ヘッド
6 芯金支持手段
7 ヘッド送り機構
8 センタ進退機構
9 遠近移動手段
11 縦軸
12 帯板リード角調整手段
13 ガイド手段
17 帯板受持機構
20 係止ブロック
29 センタピン
51 ヘッド台
52 広面案内ローラ手段
53 短面案内ローラ手段
H 鋼管杭
R 長尺螺旋体
S 芯金
T 帯板
r 短尺螺旋体
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯板から螺旋体を成形する螺旋体製造装置及び螺旋体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯板から螺旋体を成形する螺旋体製造装置としては、特許文献1に開示されているように、帯板の一短面を螺旋状に巻き付ける芯金と、この芯金の一端を支持して回転駆動する芯金駆動機構と、芯金に対して帯板を案内供給する供給ヘッド機構とを備えており、前記供給ヘッド機構の案内ヘッドはネジ軸により送り移動可能であり、かつ芯金に対して帯板を直角に案内する案内溝と、芯金の外周面と上下から摺接して芯金を支持する支持面とが形成されている。
【0003】
また、帯板ではないが、断面円形のばね材料をガイドローラのみで案内供給して、芯金に対してリード角を与えながら巻き付ける技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平2−133号公報
【特許文献2】特公昭62−49133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の技術は、案内ヘッドで帯板の案内も芯金の支持もできるが、案内ヘッドは芯金に嵌合されかつ芯金支持面はV字状又は円弧状に形成されていて、案内ヘッドを芯金に対して傾斜させ得る構成ではなく、案内ヘッドを芯金と平行に移動させることにより、帯板に強制的にリード角を与えており、螺旋体の取り外しがやり難い構造になっている。
【0006】
また、特許文献1の技術で製造される螺旋体は、案内ヘッドの移動で帯板をリードするため、帯板の広面に凹凸を生じて、複数体を密着重合するのが困難であり、従って、螺旋体を鋸切断して短尺にするのは困難になっている。
前記特許文献2の技術は、芯金に対してリード角を与えながらばね材料を巻き付けることはできるが、ガイドローラのみでは芯金の支持が困難になり、帯板の螺旋成形には適用できない構成となっている。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした螺旋体製造装置及び螺旋体製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、芯金を回転自在に支持しながら帯板をリード角に沿う方向に案内供給できかつ螺旋体の取り外しも容易にできるようにした螺旋体製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、芯金を回転自在に支持しながら、帯板を芯金の下側からかつリード角に沿う方向に供給して、螺旋状に巻き付けて長尺螺旋体を形成し、この長尺螺旋体を複数体密着重合して軸心方向に鋸切断することにより短尺螺旋体を形成できるようにした螺旋体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
螺旋体製造装置は第1に、帯板Tの一短面を当接しながら螺旋状に巻き付ける水平姿勢の芯金Sと、この芯金Sの基部側を支持して回転駆動する芯金駆動機構2と、芯金Sの先端を支持するセンタピン機構3と、芯金Sに対して帯板Tを案内供給する供給ヘッド機構4とを備えた螺旋体製造装置であって、
前記供給ヘッド機構4は、帯板Tにリード角βを与えながら芯金Sの下側近傍まで案内する案内ヘッド5と、芯金Sの軸心方向中途部の外周面と当接して芯金Sを支持する芯金支持手段6と、案内ヘッド5及び芯金支持手段6を芯金Sに対して遠近移動させる遠近移動手段9とを有することを特徴とする。
【0010】
第2に、前記芯金支持手段6は案内ヘッド5から芯金S先端側へ離れた位置で芯金Sを
支持しており、下方から支持する下支持体6Aと、上方から支持する上支持体6Bと、上方からコロを介して支持する上コロ支持体6Cと、側方からコロを介して支持する側コロ支持体6Dとの内、少なくとも下支持体6Aを有していることを特徴とする。
第3に、前記供給ヘッド機構4は、案内ヘッド5を縦軸11廻りに回動して帯板Tのリード角βを調整する帯板リード角調整手段12と、案内ヘッド5へ至る帯板Tを両短面及び両広面を挟持しながら送るガイド手段13とを有していることを特徴とする。
【0011】
第4に、前記芯金駆動機構2を備えた装置枠1Aに、供給ヘッド機構4を芯金Sと平行に移動するヘッド送り機構7と、センタピン機構3をセンタリング位置から芯金Sと直交する方向へ後退移動させるセンタ進退機構8とを備えていることを特徴とする。
第5に、芯金Sに巻き付けられる帯板Tの後部側を受持する受持部材16を有し、この受持部材16を芯金Sへの帯板T巻き付けに追従して芯金Sと平行に移動可能にした帯板受持機構17を備えていることを特徴とする。
【0012】
螺旋体製造方法は、帯板Tの長手方向の一端を水平配置した芯金Sに係止し、芯金Sに対して上下方向の少なくとも下側から支持しながら、かつ下側から帯板Tをリード角βを与えながら供給し、芯金Sを回転しながら帯板Tの一短面を螺旋状に巻き付けて長尺螺旋体Rを形成し、この長尺螺旋体Rを芯金Sから外して複数体を密着重合し、この重合長尺螺旋体Rを軸心方向に鋸切断して短尺螺旋体rを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明装置によれば、芯金に対して帯板をリード角に沿う方向に案内して、帯板にリード角を与えながらかつ芯金を支持しながら、帯板を螺旋状に巻き付けて成形でき、芯金からの長尺螺旋体の取り外しも容易にできる。
即ち、請求項1に係る発明は、供給ヘッド機構4の案内ヘッド5で、芯金Sに対して帯板Tをリード角βに沿う方向に案内して、帯板Tにリード角βを与えながらかつ芯金Sの外周面と当接して支持しながら、螺旋状に曲げながら巻き付けて成形することができ、よって、帯板Tの広面に凹凸や無理な応力を生じさせることがなく、理想の螺旋形状に形成することができ、遠近移動手段9で案内ヘッド5及び芯金支持手段6を芯金Sに対して遠移動させることにより、芯金Sからの螺旋体Rの取り外しも容易にできる。
【0014】
請求項2に係る発明は、案内ヘッド5は帯板巻き付けにより芯金Sに生じる下向きの負荷を、芯金Sの下方、上方、側方の少なくとも下方から適正にかつ効率よく支持することができ、芯金Sのブレ動きを減少することができる。
請求項3に係る発明は、帯板リード角調整手段12によって案内ヘッド5を縦軸11廻りに回動して帯板Tのリード角βを調整でき、ガイド手段13で帯板Tを両短面及び両広面を挟持しながら送ることができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、帯板Tの巻き付けに追従して、ヘッド送り機構7で供給ヘッド機構4を芯金Sと平行に移動でき、芯金Sから長尺螺旋体Rを外すときに、センタ進退機構8でセンタピン機構3をセンタリング位置から芯金Sと直交する方向へ後退移動させることができる。
請求項5に係る発明は、帯板受持機構17によって、芯金Sへの帯板T巻き付けに追従して芯金Sと平行に移動しながら、芯金Sに巻き付けられる帯板Tの後部側を受持することができる。
【0016】
本発明方法によれば、芯金Sに対して帯板Tをリード角βに沿う方向に案内して、帯板Tにリード角βを与えながらかつ芯金Sの外周面と下側から支持しながら螺旋状に巻き付けて長尺螺旋体Rを形成し、この長尺螺旋体Rを複数体密着重合して軸心方向に鋸切断することにより短尺螺旋体rを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す芯金及び供給ヘッド機構の平面図である。
【図2】芯金及び供給ヘッド機構の側面図である。
【図3】螺旋体製造装置全体の平面図である。
【図4】螺旋体製造装置全体の背面図である。
【図5】螺旋体製造装置全体の側面図である。
【図6】供給ヘッド機構の拡大背面図である。
【図7】供給ヘッド機構の先端部の平面図である。
【図8】供給ヘッド機構の上部の側面図である。
【図9】芯金の係止ブロックの斜視図である。
【図10】帯板受持機構の平面図である。
【図11】供給ヘッド機構の変形例を示す平面図である。
【図12】長尺螺旋体及び短尺螺旋体の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜10において、帯板Tから螺旋体R(スクリュー、スパイラル体とも称される。)を製造する螺旋体製造装置1は、装置枠1Aに、芯金Sと、芯金駆動機構2と、センタピン機構3と、供給ヘッド機構4と、ヘッド送り機構7と、センタ進退機構8とを備え、装置枠1Aとは別置きの帯板受持機構17を備えている。
【0019】
図1〜4、8、9において、前記芯金Sは帯板Tの一短面(帯板Tの肉厚と同一幅の端面)を螺旋状に巻き付けて螺旋体Rを成形するための中実又は中空の金属製の円柱体であり、装置枠1Aの中央上部に水平状に配置されており、その基端側に係止ブロック20が固着され、この係止ブロック20に先端係止材21と側面係止材22とがボルト固定されている。
【0020】
帯板Tの長手方向の先端は、係止ブロック20に一広面(帯板Tの肉厚と直交する側面)が沿わされた状態で先端縁を先端係止材21に当接し、外側になる一短面を側面係止材22に当接し、側面係止材22に楔状ロック部材23を挿入して帯板Tの他広面に当接させることにより、係止ブロック20に対して係止され、その先端が芯金Sと共に回転することにより、帯板Tの後続部分が芯金Sに曲がりながら巻き付けられることになる。
【0021】
前記芯金Sは基端側が芯金駆動機構2の出力軸24に同心状に連結支持されている。芯金駆動機構2は装置枠1Aを構成するボックス25内に電動機26及び減速機等が収納されており、出力軸24が回転自在に支持され、ボックス25から突出された出力軸24の先端に連結筒27が連結され、この連結筒27に芯金Sの基端側が着脱自在に挿入されている。前記芯金Sは外径の異なるものに取り替え可能になっている。
【0022】
図3、4において、前記センタピン機構3は出力軸24と同心でかつ対向するセンタピン29を有し、このセンタピン29で芯金Sの先端を支持する。センタピン29は支持フレーム30に支持されており、ピン移動手段31を介して出力軸24と同心方向に進退移動可能になっている。
支持フレーム30は装置枠1Aの端部の台枠28上にセンタピン29と直交する方向に移動自在に載置され、台枠28に設けられたセンタ進退機構8によって、センタピン機構3のセンタピン29を、芯金Sの先端を芯金Sの軸心と同心で支持するセンタリング位置から芯金Sと直交する方向へ後退移動可能になっている。
【0023】
前記ピン移動手段31及びセンタ進退機構8は共にスクリュー・ナット構造で、ハンドルでスクリューを回転してセンタピン29や支持フレーム30を移動させる構造であり、センタピン29や支持フレーム30を移動させた位置でロックするロック手段も有している。
センタピン機構3はセンタピン29をピン移動手段31で芯金Sの先端から外し、センタ進退機構8で芯金Sの延長位置から後退させることにより、芯金Sの先端を自由端となし、成形した螺旋体Rを芯金Sから取り外すことを可能にしている。
【0024】
図2〜6において、前記装置枠1Aの中央下部に供給ヘッド機構4を芯金Sと平行に移動するヘッド送り機構7が設けられており、このヘッド送り機構7は自動送り手段32と手動送り手段33とを有する。
装置枠1A上面には芯金Sと平行に2本のレール34が設けられ、このレール34に供給ヘッド機構4の基台35の下面に設けた前後左右計4個の摺動体36が載置され、かつ摺動自在に係合されている。
【0025】
自動送り手段32は、装置枠1Aに支持されていてボックス25内の電動機26によっ
て駆動される送りネジ37と、基台35の下面に設けられていて送りネジ37に螺合する送りナットを有するナットホルダ38とを有する。
送りネジ37は転造ボールネジで形成され、ナットホルダ38は送りナットが送りネジ37に対して螺合解除可能になっており、送りネジ37を回転することによって、芯金Sに帯板Tを巻き付けるそのリード量に対応して、供給ヘッド機構4を自動的に平行移動させる。
【0026】
送りネジ37の下方には、ナットホルダ38と当接して自動送り手段32を停止するリミットスイッチ39が設けられている。このリミットスイッチ39は、供給ヘッド機構4を巻き付け動作開始位置へ移動したとき、及び巻き付け動作終端位置へ移動したときに、それぞれ検出動作をして電動機26を停止する。
手動送り手段33は、装置枠1Aの前縁に芯金Sと平行に固定されたラック41と、このラック41と噛合するピニオン42と、このピニオン42とハンドル43とを設けたハンドル軸44と、このハンドル軸44を支持すべく基台35の下面に設けられた軸受部材45とを有しており、ハンドル43を介してハンドル軸44を回転することにより、装置枠1Aに対して供給ヘッド機構4を芯金Sと平行に移動できる。
【0027】
なお、前記ヘッド送り機構7は手動送り手段33を割愛し、自動送り手段32を逆転させるようにしたり、自動送り手段32の電動機26から送りネジ37へ至る動力伝達系の回転部材を手動で逆転させて、供給ヘッド機構4を巻き付け動作開始位置へ戻すように構成してもよい。
図1〜4、6〜8において、前記供給ヘッド機構4は基台35上に大別して、案内ヘッド5と、芯金支持手段6と、案内ヘッド5を先端に取り付けたヘッド台51と、このヘッド台51上に設けた帯板Tの広面案内ローラ手段52及び短面案内ローラ手段53と、ヘッド台51の左右方向水平に対する角度を調整する水平調整手段54と、ヘッド台51の高さを調整する高さ調整手段55と、ヘッド台51を芯金Sに対して遠近(前後)方向に移動する遠近移動手段9と、ヘッド台51の縦軸廻りの角度(リード角)を調整する帯板リード角調整手段12とを備えている。
【0028】
前記案内ヘッド5はヘッド台51の先端(芯金S側端部)に固定された支持部材57と、この支持部材57の上部に着脱自在に固定された案内部材58と、この案内部材58の上部に固定された受持部材59とを有している。
前記支持部材57は左右方向中央に上方開放状の上方二股形状であり、案内部材58は左右一対あって、支持部材57の二股内に配置されていて、左右対向面で帯板Tの左右広面を摺接自在に案内する帯板案内路58aを形成しており、帯板案内路58aの上下面は支持部材57と受持部材59とで形成されている。この帯板案内路58aによって、帯板Tにリード角βを与えながら摺接案内する案内部5Aを形成している。
【0029】
帯板案内路58aは帯板Tの左右広面及び上下端面を直線的に挿通案内可能であり、帯板リード角調整手段12によって、芯金Sに対してリード角βに沿う方向に向けられている。
なお、帯板Tは通常均一肉厚のものが用いられるので、帯板案内路58aの路幅は上下均一である。しかし、帯板Tは芯金Sに巻き付けられると外周側が薄く変形されるので、素材の帯板Tを芯金Sに巻き付ける側で薄肉にし、螺旋外周側となる側へ次第に厚くなるように圧延しておき、芯金Sに巻き付けられた状態で螺旋体Rの肉厚が全域略均一になるようにしてもよく、そのような素材を使用する場合は、帯板案内路58aの路幅は、上側が狭く、下側が広くなるように形成される。
【0030】
受持部材59の案内部5Aより先端側の二股部の上面は平坦に形成されており、芯金Sの外周面と下側から摺接して芯金Sを支持する支持面5Bとなっている。この受持部材59は支持面5Bが摩耗すると取り替えられ、芯金Sが径の異なるものに代えられるときも、支持面5Bの高さの異なるものに取り替えられる。この支持面5Bは芯金支持手段6の一部を構成する。
【0031】
前記広面案内ローラ手段52は帯板Tの左右広面を挟む一対のローラ60が前後2対設けられている。左右一方(左側)の前後ローラ60はヘッド台51に立設固定されたロー
ラ軸61Aに回転自在に支持され、左右他方(右側)の前後ローラ60はヘッド台51に固定された取付板62付きのローラ軸61Bに回転自在に支持されている。
各取付板62には2本の長孔62aが形成され、この長孔62aにボルトを挿入してヘッド台51に固定されており、前後右ローラ軸61Bは前後左ローラ軸61Aに対して遠近位置調整自在であり、帯板Tの肉厚に対応して遠近位置が調整され、帯板Tを挟持する力を変更できる。
【0032】
ヘッド台51の上面には前後の取付板62に対応してカムロック部材63が設けられており、このカムロック部材63のカム面63aを取付板62に押圧することにより、前後右ローラ軸61Bのバックアップができ、また帯板Tを挟む挟持力も調整できる。
前記短面案内ローラ手段53は帯板Tの下短面を受持する前後一対の溝付き下ローラ64と、前側の溝付き下ローラ64の上方に配置されて帯板Tの上短面を押さえる溝付き上ローラ65とを有する。
【0033】
前後溝付き下ローラ64はヘッド台51上に固定されたブラケット66に軸を介して回転自在に支持され、溝付き上ローラ65はローラ軸67に回転自在に支持され、ローラ軸67はヘッド台51上に立設された支持体68に上下位置変更自在に案内され、押しボルトで下向きに押圧されている。
前記ヘッド台51の下面には円弧受け板70が固定され、この円弧受け板70は中間台71の上部に設けた円弧台板72に載置されて左右方向中央のボルトで固定されている。前記円弧台板72は芯金Sの軸心と直交する方向でかつ水平な前後軸心を曲率中心とする円弧面72aを有している。
【0034】
前記円弧受け板70及び円弧台板72等によって、ヘッド台51の左右方向水平に対する角度を調整する水平調整手段54が構成されており、帯板Tを芯金Sの外周面に対して広面が直交する姿勢又は傾斜した姿勢に設定できるようになっている。
なお、帯板Tは芯金Sの外周面に対して広面を直角姿勢から微少角度だけ傾斜させておいて、曲げ抵抗に対向する姿勢とし、芯金Sに巻き付けた状態で芯金Sの外周面に対して直角になるようにすることもできる。
【0035】
中間台71は下面に凹部71aとその左右両側の脚部71bとが形成され、左右脚部71bには外ネジ式ストリッパボルト73が上下に貫通されている。前記ストリッパボルト73の下部は左右各ガイド脚体74に螺合されている。
前記左右ガイド脚体74は移動台75の上面に固定されており、その上面に凹み74aを有し、この凹み74a内に中間台71の脚部71bの下部が上下位置変更可能に挿入案内されており、前記ストリッパボルト73で設定される高さまで移動可能になっている。
【0036】
中間台71の凹部71a内に傾斜面体76が取り付けられ、その傾斜面体76の下側に傾斜面体76と面接した傾斜動体77が配置されている。この傾斜動体77は移動台75の上面で左右ガイド脚体74間に前後動可能に配置されている。
前記傾斜動体77にはナット部材78が設けられ、移動台75上に回転自在に支持された押動ネジ79がナット部材78に螺合しており、押動ハンドル80を介して押動ネジ79を回転することにより傾斜動体77を前後移動し、傾斜面体76の傾斜面を介して中間台71を上下移動するようになっている。
【0037】
前記中間台71、ストリッパボルト73、左右ガイド脚体74、移動台75、傾斜面体76、傾斜動体77、ナット部材78、押動ネジ79、押動ハンドル80等によって、ヘッド台51の高さを調整する高さ調整手段55が構成されており、ストリッパボルト73の頭部高さを変更することにより、ヘッド台51の高さを変更できる。
移動台75は回動台82に載置され、両者の間にヘッド台51を芯金Sに対して前後移動させる遠近移動手段9が設けられている。
【0038】
移動台75の下面には内部に挿入された押圧部材81とともに蟻溝75aが形成され、回動台82上面に固定の前後方向に長いほぞ部材83に嵌合しており、芯金Sに対して遠近方向に移動可能になっている。押圧部材81は移動台75に螺合した押しボルト84によってほぞ部材83に押圧可能になっている。
前記移動台75の側部上面には前後方向に長いラックギヤ85が固定され、このラック
ギヤ85に噛合するピニオン軸86が回動台82上に設けた軸受体87に支持されており、このピニオン軸86の端部にラチェットレバー88が設けられており、前記押しボルト84を弛めてラチェットレバー88を回動操作することにより、ラックギヤ85及びピニオン軸86を介して移動台75を手動で前後移動させることができる。
【0039】
前記芯金支持手段6は装着台14と芯金支持板15とを有しており、装着台14の下部は移動台75のラックギヤ85取り付け位置と反対側の上面及び/又は左ガイド脚体74に固定され、芯金支持板15は装着台14の上部の凹部14aに嵌入して、前後方向の長孔及びボルトを介して前後位置調整自在に設けられている。
芯金支持板15は先端が二股形状になっており、その二股部の上下対向面間隔は芯金Sの外径に略等しく設定されており、この二股部の下側が下支持体6Aとなり、上側が上支持体6Bとなっており、上下支持体6A、6Bを芯金Sの外周面に直径方向位置で当接させることにより芯金Sを回転自在に支持する。
【0040】
この芯金支持板15によって、芯金Sは長手方向中途部の外周面が上下で担持され、帯板巻き付けにより芯金Sに生じる上下方向のブレを適正にかつ効率よく減少させることができる。
回動台82は前記基台35上に載置され、両者の間にヘッド台51の縦軸11廻りの角度(リード角)を調整する帯板リード角調整手段12が設けられている。
【0041】
基台35上に円板90が固定され、この円板90に回動台82の下面の円形凹部82aが嵌合しており、円板90の中心を縦軸11として回動台82が縦軸廻り回動自在になっている。
回動台82の周囲部には円板90の中心(縦軸11)を曲率中心とする円弧孔91が複数(4箇所)形成され、この円弧孔91に挿入された固定ボルト92が基台35に螺合しており、この固定ボルト92を弛めることにより回動台82は縦軸11を中心に回動可能になる。
【0042】
基台35の一側上面にはブロック93を介して前後一対の位置決め調整ネジ94が設けられており、この各位置決め調整ネジ94は先端が回動台82の側面に当接されており、前後位置決め調整ネジ94の一方を弛めかつ他方を螺進することにより、回動台82の前後一方を押動回動し、ヘッド台51の縦軸廻りの角度を調整することができる。
回動台82による案内ヘッド5へのリード角付与に伴って、受持部材59の支持面5B及び芯金支持手段6の芯金支持板15も芯金Sに対して傾斜するが、支持面5B及び上下支持体6A、6Bは芯金Sの外周面に点接触又は線接触するので、リード角βがあっても芯金Sを確実に支持できるように構成されている。
【0043】
図3、5、10において、別置きの帯板受持機構17は、矩形枠形状の受持枠96の上部に帯板Tを受持する受持部材16を帯板Tの長手方向に複数(3個)設け、基礎台98に前後一対の走行レール99を設けて、走行レール99で受持枠96を左右方向移動自在に支持している。走行レール99は芯金Sと平行であり、受持枠96は芯金Sと平行に移動可能である。
【0044】
前記受持部材16は、帯板Tを受持するコロ97Aをブラケット97Bに軸を介して回転自在に支持しており、ブラケット97Bは円弧孔97Cに挿通されるボルト97Dで受持枠96に固定されている。
複数の受持部材16の配列は、走行レール99に対して帯板Tの巻き付けリード角βに相当する角度だけ傾斜しており、帯板Tの巻き付けリード角βが変更される場合は、受持部材16を受持枠96上で左右方向位置を変更する。
【0045】
図10は供給ヘッド機構4の変形例を示しており、案内ヘッド5は二股形状の支持部材57内の案内部材58の下方に帯板Tの下短面を受持する溝付き上ローラ47を回転自在に配置しており、芯金支持手段6の芯金支持板15には、下支持体6A及び上支持体6Bとは別に上コロ支持体6Cと側コロ支持体6Dとを設けている。
上コロ支持体6Cは支持部材57上に縦軸廻り角度調整自在に固定された門型形状のブラケット48aの両脚部にコロ48bを回転自在に設けており、両コロ48bの軸心は芯金Sの軸心と平行でその真上に配置されており、芯金Sの外周面に上側から当接している
。
【0046】
側コロ支持体6Dは支持部材57の上下二股部内に配置されており、縦軸廻り角度調整自在に固定された門型形状のブラケット49aの両脚部にコロ49bを回転自在に設けており、両コロ49bの軸心は芯金Sの軸心と平行でその真横に配置されており、芯金Sの外周面に側方から当接している。この側コロ支持体6Dのコロ49bはブラケット49aの中央に1個設けるだけでもよい。
【0047】
前記上コロ支持体6Cのコロ48b及び側コロ支持体6Dのコロ49bは、案内ヘッド5に先行して、芯金Sの軸心方向中途部の外周面を回転しながらかつ摺接しながら支持し、芯金Sの回転時のブレを減少する。
前記芯金支持手段6は、主に下支持体6Aと上コロ支持体6Cの両コロ48bとで芯金Sの中途部を上下から3点支持し、上支持体6Bと側コロ支持体6Dのコロ49bと支持面5Bは支持補助となっている。
【0048】
次に、前記螺旋体製造装置1で長尺螺旋体Rを製造する方法及び長尺螺旋体Rから短尺螺旋体rを製造する方法を説明する。
供給ヘッド機構4を所要のリード角βに沿わせた状態で巻き付け動作開始位置に配置しかつ芯金支持手段6を芯金Sの外周面に当接させておき、加工する帯板Tを帯板受持機構17の受持部材16上に載せ、帯板Tを長手方向に前進させて供給ヘッド機構4に通す(図3)。
【0049】
帯板Tを広面案内ローラ手段52及び短面案内ローラ手段53内に挿通し、かつ案内ヘッド5の帯板案内路58aに挿通し、帯板Tの先端を芯金Sの下側を通って係止ブロック20に係止する(図1〜4、8、9)。
この係止状態で、帯板Tは芯金Sに対してヘッド台51で設定されたリード角が付与された姿勢となっており、係止ブロック20に係止された先端から少し離れた位置で、帯板Tの上側短面(端面)が芯金Sの外周面に当接している(図8)。
【0050】
芯金Sの先端をセンタピン機構3で支持しながら芯金駆動機構2を作動すると、芯金Sは図1の先端側から見て時計方向に回動され、帯板Tは先端が係止ブロック20に係止されていることにより共廻りし、帯板Tの上側端面が芯金Sの外周面に曲がりながら巻き付けられていく(図1、9及び図12−A)。
帯板Tの巻き付け加工中、芯金支持手段6は芯金Sのブレを防止し、案内ヘッド5、広面案内ローラ手段52及び短面案内ローラ手段53は常に帯板Tにリード角βを与えながら案内する。帯板Tにリード角βが付与されているので、帯板Tは芯金Sに巻き付いている部分も芯金Sに供給される部分も直線状となり、芯金Sの軸心方向に曲げられることがなく、抵抗無くスムーズに供給される。
【0051】
また、案内ヘッド5の支持面5Bは芯金Sの外周面と下側から摺接して支持し、芯金支持手段6は芯金Sの外周面と上下両側から摺接して支持し、芯金Sの長手方向中途部のブレを無くし、安定的に回転でき、帯板Tを真円度を高めて巻き付ける。
前記帯板Tの芯金Sへの巻き付けに伴って、供給ヘッド機構4は自動送り手段32によってリード量だけ芯金Sと平行に移動し、受持枠96は走行レール99上を追従移動する(図3)。
【0052】
芯金Sに帯板Tを略全長巻き付けて長尺螺旋体Rに加工した後、遠近移動手段9により移動台75を後退させてヘッド台51及び芯金支持手段6を芯金S及び長尺螺旋体Rから引き離す。また、センタピン機構3はセンタピン29を後退して芯金Sの先端の支持を解除し、さらにセンタ進退機構8でセンタピン29を芯金S延長位置から後方へ後退させる。
【0053】
この状態で、芯金Sは先端側がフリーとなり、係止ブロック20の側面係止材22にから楔状ロック部材23を抜くことにより長尺螺旋体Rの基端側は開放されて、長尺螺旋体Rは芯金Sから取り外すことができる(図12−B)。
取り外した長尺螺旋体Rはそのままの形状でも利用できるが、鋼管杭に利用するには1リード長さのものでよい。長尺螺旋体Rは1体づつでは切断しずらいが、複数体を密着重合することにより鋸切断が容易になる。
【0054】
前記長尺螺旋体Rは、複数体(例えば4、5体)を同心状に密着重合し、リード間に楔等の固定具を入れて結束し、周方向1箇所を鋸で切断(鋸切断線N)することにより、多数体の短尺螺旋体rを一度に製造される(図12−C)。この1体の短尺螺旋体rを鋼管100に嵌合しかつ溶着すれば鋼管杭Hを製造することができる(図12−D)。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜12に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0055】
例えば、別置きの帯板受持機構17に代えて、ヘッド台51から後方へ支持部材を突出し、この支持部材上に帯板Tを受持する受持部材16を複数設けて、帯板受持機構としてもよい。
前記係止ブロック20は側面に帯板Tの先端を挿入する溝を形成しておいて、帯板Tの先端を溝に挿入するだけで、芯金Sに対する周方向及び軸方向の位置決めができるように構成してもよい。
【0056】
螺旋体製造装置1を1種類の径で特定リード角を有する長尺螺旋体Rの製造用専用機とする場合は、供給ヘッド機構4は水平調整手段54、高さ調整手段55及び帯板リード角調整手段12等を割愛し、ヘッド台51及び芯金支持手段6を移動台75上に搭載するだけの構成としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 螺旋体製造装置
1A 装置枠
2 芯金駆動機構
3 センタピン機構
4 供給ヘッド機構
5 案内ヘッド
6 芯金支持手段
7 ヘッド送り機構
8 センタ進退機構
9 遠近移動手段
11 縦軸
12 帯板リード角調整手段
13 ガイド手段
17 帯板受持機構
20 係止ブロック
29 センタピン
51 ヘッド台
52 広面案内ローラ手段
53 短面案内ローラ手段
H 鋼管杭
R 長尺螺旋体
S 芯金
T 帯板
r 短尺螺旋体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板(T)の一短面を当接しながら螺旋状に巻き付ける水平姿勢の芯金(S)と、この芯金(S)の基部側を支持して回転駆動する芯金駆動機構(2)と、芯金(S)の先端を支持するセンタピン機構(3)と、芯金(S)に対して帯板(T)を案内供給する供給ヘッド機構(4)とを備えた螺旋体製造装置であって、
前記供給ヘッド機構(4)は、帯板(T)にリード角(β)を与えながら芯金(S)の下側近傍まで案内する案内ヘッド(5)と、芯金(S)の軸心方向中途部の外周面と当接して芯金(S)を支持する芯金支持手段(6)と、案内ヘッド(5)及び芯金支持手段(6)を芯金(S)に対して遠近移動させる遠近移動手段(9)とを有することを特徴とする螺旋体製造装置。
【請求項2】
前記芯金支持手段(6)は案内ヘッド(5)から芯金(S)先端側へ離れた位置で芯金(S)を支持しており、下方から支持する下支持体(6A)と、上方から支持する上支持体(6B)と、上方からコロを介して支持する上コロ支持体(6C)と、側方からコロを介して支持する側コロ支持体(6D)との内、少なくとも下支持体(6A)を有していることを特徴とする請求項1に記載の螺旋体製造装置。
【請求項3】
前記供給ヘッド機構(4)は、案内ヘッド(5)を縦軸(11)廻りに回動して帯板(T)のリード角(β)を調整する帯板リード角調整手段(12)と、案内ヘッド(5)へ至る帯板(T)を両短面及び両広面を挟持しながら送るガイド手段(13)とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の螺旋体製造装置。
【請求項4】
前記芯金駆動機構(2)を備えた装置枠(1A)に、供給ヘッド機構(4)を芯金(S)と平行に移動するヘッド送り機構(7)と、センタピン機構(3)をセンタリング位置から芯金(S)と直交する方向へ後退移動させるセンタ進退機構(8)とを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の螺旋体製造装置。
【請求項5】
芯金(S)に巻き付けられる帯板(T)の後部側を受持する受持部材(16)を有し、この受持部材(16)を芯金(S)への帯板(T)巻き付けに追従して芯金(S)と平行に移動可能にした帯板受持機構(17)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の螺旋体製造装置。
【請求項6】
帯板(T)の長手方向の一端を水平配置した芯金(S)に係止し、芯金(S)に対して上下方向の少なくとも下側から支持しながら、かつ下側から帯板(T)をリード角(β)を与えながら供給し、芯金(S)を回転しながら帯板(T)の一短面を螺旋状に巻き付けて長尺螺旋体(R)を形成し、この長尺螺旋体(R)を芯金(S)から外して複数体を密着重合し、この重合長尺螺旋体(R)を軸心方向に鋸切断して短尺螺旋体(r)を形成することを特徴とする螺旋体製造方法。
【請求項1】
帯板(T)の一短面を当接しながら螺旋状に巻き付ける水平姿勢の芯金(S)と、この芯金(S)の基部側を支持して回転駆動する芯金駆動機構(2)と、芯金(S)の先端を支持するセンタピン機構(3)と、芯金(S)に対して帯板(T)を案内供給する供給ヘッド機構(4)とを備えた螺旋体製造装置であって、
前記供給ヘッド機構(4)は、帯板(T)にリード角(β)を与えながら芯金(S)の下側近傍まで案内する案内ヘッド(5)と、芯金(S)の軸心方向中途部の外周面と当接して芯金(S)を支持する芯金支持手段(6)と、案内ヘッド(5)及び芯金支持手段(6)を芯金(S)に対して遠近移動させる遠近移動手段(9)とを有することを特徴とする螺旋体製造装置。
【請求項2】
前記芯金支持手段(6)は案内ヘッド(5)から芯金(S)先端側へ離れた位置で芯金(S)を支持しており、下方から支持する下支持体(6A)と、上方から支持する上支持体(6B)と、上方からコロを介して支持する上コロ支持体(6C)と、側方からコロを介して支持する側コロ支持体(6D)との内、少なくとも下支持体(6A)を有していることを特徴とする請求項1に記載の螺旋体製造装置。
【請求項3】
前記供給ヘッド機構(4)は、案内ヘッド(5)を縦軸(11)廻りに回動して帯板(T)のリード角(β)を調整する帯板リード角調整手段(12)と、案内ヘッド(5)へ至る帯板(T)を両短面及び両広面を挟持しながら送るガイド手段(13)とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の螺旋体製造装置。
【請求項4】
前記芯金駆動機構(2)を備えた装置枠(1A)に、供給ヘッド機構(4)を芯金(S)と平行に移動するヘッド送り機構(7)と、センタピン機構(3)をセンタリング位置から芯金(S)と直交する方向へ後退移動させるセンタ進退機構(8)とを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の螺旋体製造装置。
【請求項5】
芯金(S)に巻き付けられる帯板(T)の後部側を受持する受持部材(16)を有し、この受持部材(16)を芯金(S)への帯板(T)巻き付けに追従して芯金(S)と平行に移動可能にした帯板受持機構(17)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の螺旋体製造装置。
【請求項6】
帯板(T)の長手方向の一端を水平配置した芯金(S)に係止し、芯金(S)に対して上下方向の少なくとも下側から支持しながら、かつ下側から帯板(T)をリード角(β)を与えながら供給し、芯金(S)を回転しながら帯板(T)の一短面を螺旋状に巻き付けて長尺螺旋体(R)を形成し、この長尺螺旋体(R)を芯金(S)から外して複数体を密着重合し、この重合長尺螺旋体(R)を軸心方向に鋸切断して短尺螺旋体(r)を形成することを特徴とする螺旋体製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−111636(P2013−111636A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261936(P2011−261936)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(391025268)株式会社世古工務店 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(391025268)株式会社世古工務店 (5)
【Fターム(参考)】
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