説明

螺旋状導管と衝撃板(ショクプレート)混合装置と検出・流体供給制御装置

【課題】流体の広範囲な性状に対応でき、簡便で構造でメンテナンス(保守・管理)性の高い小型で混合効率の高い装置とその複数流体の均質混合制御システムを提供する。
【解決手段】複数の流体を加速する螺旋状の溝を取り付けた混合流体導管3、混合流体導管からの加速された複数の流体を直角に衝突させるための皿型の衝撃板4を一体的に組み合わせた、複数流体の「混合や反応」を行う衝撃混合装置、及び、複数流体の衝撃混合装置への流体入り口、衝撃板裏面に設置した検出器からの信号(成分濃度分布、温度分布、密度分布など)により複数流体の供給量を変動・制御し、衝撃板後の流体の混合状況を連続自動的に制御することが可能な検出機構と供給流体の制御システムを一体にキッドに組み込んだ制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力、上下水道、石油、石油化学・繊維工業、紙パルプ、電子工業、食品工業、医薬・製薬工業、環境などの分野で複数流体の成分濃度分布や温度分布を瞬時に一様にすることにより、均質混合、分散、加熱・冷却、ガス吸収、急速反応を行わせる装置とその混合制御技術の分野である。
【背景技術】
【0002】
従来の複数流体の成分濃度、温度分布を一様にさせる方法とその装置の例として、以下の文献に示すような、複数流体の混合方法や装置がある。
【特許文献1】 特許公開2000−153142号
【特許文献2】 特許公開2002−66283号
【特許文献3】 特許公開2008−080259号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
流体混合器は数多く開発されているが高粘度流体の混合にラインミキサーや低粘度のガス体の混合のように、その多くは粘度、密度等の流体の性状範囲が狭く混合効果が限定されている。多くの工業では流体の上述の性状によらず、広範囲な性状に対応できる簡便な構造が求められ、装置の制御性も簡易で操作性の良い、かつメンテナンス(保守・管理)簡便な、小型で混合効率の高い装置が求められている。
【問題を解決するための手段】
【0004】
前項の問題点を解決するため、本発明は粘度、密度等、流体の物理的性状の適応範囲の広い流体混合に対応できるように流体管内に螺旋状の溝を取り付け、流体の流速を加速させ、この排出口に配置した湾曲した皿状の衝撃版(ショック・プレート)に流体を衝突させ瞬時に均等な混合を系全体で行わせる
以下にその問題を解決する機能を示した。(図1を参照)
▲1▼ 図1の3に示す流体導管内に螺旋状の溝を作り、混合流体を加速させる。
この加速された、流体が湾曲した4の皿状の衝撃板(ショック・プレート)面でエネルギーの高い乱流が発生し、このエネルギーにより流体間で激しい混合が起こる。
▲2▼ 激しく混合された流体は更に逆流し5.6の混合孔で激しく混合される。
▲3▼ オリフィス効果と渦流作用により4の背後に激しい混合渦を作り再度の混合が起こる。
▲4▼ 4の背後で混合された流体は再々度、7、8の混合孔に衝突し、激しい乱流混合により複数も流体が瞬時(混合時間:ミリ秒単位)に均一に混合される。
この瞬間混合効果により流体の成分濃度、密度分布、温度分布を瞬時に一様にさせ連続的に「混合」や「化学反応」を行うことが出来る。
本発明は以上の方法とその混合装置である。
また同時に、この技術は粘度、密度等、流体の物理的性状の適応範囲の広い流体混合に対応できるよう、装置内、4の背後に組み込んだ混合流体の物性検出器(成分濃度分布、温度分布、密度分布などの検出)により、供給流体の送入流量を制御し合わせて、複数の流体の混合状態を制御する。
この制御システムの採用により容易に複数流体の混合状態を把握し、混合系を制御できる。
以上の手段により、装置費、運転費、薬品費の大幅な軽減、運転操作の簡便性、メンテナンスの簡易性を目的に、従来の持つ混合方法と複数の流体の混合装置と制御方法の課題を解決した。
【0005】
ここで示す複数流体とは液体と液体、液体と気体、液体と粉体、気体と粉体などの2種類以上の流体の混合物である、またそれぞれの上述の流体は粘度、密度、熱容量,化学的活性因子が異なる性状を持っている。
混合流体の物性検出器とは複数流体の混合状況の検出を目的とした、粘度、密度、濃度など複数流体の混合状態の物理量、圧力、温度、PHなどの物性因子、化学物質に対応したセンサーを組み込んだ物性検出器である。
例示する、技術には石油、石油化学分野での油と水素のエマルジョン燃料化による重油の硫黄分調整、有機水溶液の脱酸素(アルカリ原液と窒素ガスの混合)、ABS塩析後のスラリーの加熱、硫安の製造(硫酸とアンモニアガスの反応)反応釜用温水の製造(用水と水蒸気の均一混合)。
電子工業分野でのウエハー研磨液の混合、オゾン水の製造(超純粋水とオゾンの混合)、薬液混合(洗浄液の希釈)。
パルプ工業分野では次亜塩素酸カルシュウムの製造(水酸化カルシュウムと塩素ガス)、糊液スラリーやパルプスラリーの加熱、パルプの漂白工程。
食品工業分野では各種ホイップ食品、調味液の殺菌、製品の加熱、洗浄温水の製造。
上・下水、環境分野での、減・殺菌工程、油水分離、溶存酸素の供給、中和、凝集工程、加圧浮上工程、泡沫分離、オゾン混合などに本発明を使用できる。
(ここに示すのは1例であり本発明での対象とする事例の全てではない)。
【発明の効果】
【0006】
1.発明した装置機構、制御操作方法により混合制御が簡便で、装置構造が小型化出来かつ構造がシンプルである。
2.装置全体が簡便な構造(コンパクト)になっており、補修時の部品の取り付けが容易である。
3.駆動部分が無いので、防爆構造を省略できる装置である。
4.既存の製造プラントの大幅な改造を必要としない、部分改造でこの装置を設置できる、簡単な構造の装置で運転性が良く、メンテナンス(保守・管理)容易である。
5.広範囲な複数の流体の均質混合が瞬時に行うことが出来る、混合に必要な操作エネルギーが少なく、従来の混合システムと比較し大幅な省エネルギーが達成できる装置と均等混合の制御システムである。
6.装置費が低廉で、大幅な均質混合の運転コストの低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[請求項3]に述べた均等な混合効果を最大限に引き出す流体制御システムとして以下に複数の流体混合制御システムを図−2に示す(システムの概要を示す図面である。)
この流体混合制御システムの概要説明
1.図−2複数の流体混合制御システムフローに従い、各番号は以下の名称とする。
図中の番号10,11は各流体の供給槽である、12,13は各流体の供給ポンプでこの流量は21の複数の流体の物性検出器から混合流体の粘度、密度、圧力、温度、PH、濃度などの混合流体の目標測定物性に応じた制御装置20からの制御信号により16、17の制御バルブに信号がおくられ、各流体の流量が制御される。
それぞれの流体は14,15の流体の流量計、18,19は混合流体の圧力計で常時目視できる。
均質化された混合流体は流量制御バルブ22で次の操作工程に輸送される。
【実施例】
【0008】
例−1は本発明に係わる均質混合中和処理システムによる酸性廃液の中和処理方法の中和処理効果実施例(評価結果)を以下に表示する。
【表1】


【0009】
例−2は本発明に係わる油水廃液からの油分分離処理システムによる油分含有廃液の油分除去処理方法の実施例を示す。
油分含有廃液と空気の均一化により微細な気泡が発生、気泡に油分を付着させた浮遊分離の混合効果を下の表−2に油分分離効果の例を示した。
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0010】
石油、石油化学分野の油と水素のエマルジョン燃料化による重油の硫黄分調整、有機水溶液の脱酸素(アルカリ原液と窒素ガスの混合)。
ABS塩析後のスラリーの加熱、硫安の製造(硫酸とアンモニアガスの反応)反応釜用温水の製造(用水と水蒸気の均一混合)、電子工業分野のウエハー研磨液の混合、オゾン水の製造(超純粋水とオゾンの混合)、薬液混合(洗浄液の希釈)、パルプ工業分野では次亜塩素酸カルシュウムの製造(水酸化カルシュウムと塩素ガス)、糊液スラリーやパルプスラリーの加熱、パルプの漂白工程食品工業分野では各種ホイップ食品、調味液の殺菌、製品の加熱、洗浄温水の製造、上・下水、環境分野、減・殺菌工程、油水分離、溶存酸素の供給、中和、凝集工程、加圧浮上工程、泡沫分離、オゾン混合などに本発明を使用できる。
(ここに示すのは1例であり本発明での複数流体の全てではない)。
従来の混合技術は何れも処理規模の割に設備の設置面積が必要になり、攪拌的な混合やスターテックミキサーの混合装置では割高な建設費となる。
粘度、比重の異なる植物油と鉱物油の均質混合の例を参考に本発明と従来技術との建設費と維持管理費を比較する。
【表3】

本発明は低廉な建設費、簡便な管理技術(維持管理費、エネルギーの節約:省エネルギーの達成など)、各種流体に対する適応範囲が広く経済性の高い混合制御システムの螺旋状導管と衝撃板(ショクプレート)混合装置である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 (請求項1)(請求項2)に述べた混合効果を最大限に引き出す装置として以下の螺旋状導管と衝撃板(ショクプレート)混合装置を図1に示す。(概略を示す図面である。)
【図2】 (請求項3)に述べた混合効果を最大限に引き出す、検出機構と混合制御システム(流体供給制御システム) 以下の図2に螺旋状導管と衝撃板衝撃板(ショック・プレート)装置の混合制御システムを示す。(概略を示す図面である。)
【符号の説明】
図1.螺旋状導管と衝撃板(ショクプレート)混合装置
1 F1流体送入口
2 F2流体送入口
3 混合流体導管(螺旋状溝取り付け)
4 衝撃板(ショック・プレート)
5 混合ボックス壁混合孔
6 混合ボックス入り口混合孔
7 混合ボックス出口混合孔
8 混合ボックス出口混合孔
9 F3混合流体出口
図2、螺旋状導管と衝撃板衝撃板(ショック・プレート)装置の混合制御システム
10.タンクA(流体A)、
11.タンクB(流体B)
12.流体Aの供給ポンプ
13.流体Bの供給ポンプ
14.流体Aの流量計
15.流体Bの流量計
16.流体Aの流量制御バルブ
17.流体Bの流量制御バルブ
18.複数の流体の圧力計
19.混合流体の圧力計
20.制御装置
21.複数の流体の物性検出器
22.混合流体の流量制御バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体を加速することを目的に流体管に螺旋状の溝を加工し、この加速した複数の流体を皿形の衝撃板(ショクプレート)に衝突させ流体間(液体と液体、液体と気体、液体と粉体、気体と粉体など複数流体)の混合を瞬時に均質混合させる方法と流体供給管に螺旋状の溝と皿形の衝撃板(ショクプレート)を一体的に組み合わせた、複数流体の衝撃混合装置である。
【請求項2】
請求項1を利用した、複数の流体の成分濃度分布や温度分布、密度分布を加速した複数の流体を衝撃板に衝突させ、この衝突力により瞬時に均等にすることにより、均質混合、分散、加熱・冷却、ガス吸収、急速反応を行わせる方法である。
【請求項3】
請求項1項及び請求項2項の混合を瞬時に均等にする方法として、混合し均等化した流体の物理・化学量(成分濃度分布、温度分布、密度分布などの検出)を検出し、検出量・因子により、複数流体の供給量を制御方法する方法。
複数流体の衝撃混合装置への流体入り口、衝撃板(ショクプレート)裏面の設置するに混合流体の物性検出器を組み込み、この検出器からの信号(成分濃度分布、温度分布、密度分布などの検出)により複数流体の供給量を変動・制御し、衝撃板(ショクプレート)後の流体の混合状況を連続自動的に制御することを目的に検出機構と供給流体の制御システムを一体としてキッドに組み込んだ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−142798(P2010−142798A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336098(P2008−336098)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(595056192)
【出願人】(509020952)
【Fターム(参考)】