説明

血圧情報測定装置

【課題】複数のカフを備える血圧情報測定装置で、測定に用いるカフを素早く加圧する。
【解決手段】末梢側に配置される血圧を測定するための血圧用空気袋13Aと、中枢側に配置される脈波を測定するための脈波用空気袋13Bとを備えた血圧情報測定装置において、これら空気袋13A,13Bは2ポート弁51を介して接続されている。始めに、血圧用空気袋13Aが加圧されて血圧が測定される。その後、2ポート弁51が開放される。これにより、血圧用空気袋13A内の空気が急速に脈波用空気袋13Bに流入して加圧され、脈波が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は血圧情報測定装置に関し、特に、流体袋を内包する、複数のカフを利用して血圧情報を測定する血圧情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血圧や脈波などの血圧情報を測定することは、動脈硬化度の判定に有用である。
従来、動脈硬化度を判定する装置として、たとえば特許第3140007号公報(以下、特許文献1)は、心臓から駆出された脈波の伝播する速度(以下、PWV:pulse wave velocity)を調べることによって動脈硬化度を判定する装置を開示している。動脈硬化が進むほどに脈波伝播速度は速くなるので、PWVは動脈硬化度を判定するための指標となる。PWVは、上腕および下肢などの少なくとも2箇所以上に脈波を測定するカフ等を装着して同時に脈波を測定することで、それぞれの脈波の出現時間差と、脈波を測定するカフ等を装着した2点間の動脈の長さとから算出される。PWVは測定部位によって値が異なる。代表的なPWVとしては、測定部位が上腕と足首とである場合のbaPWV、頚動脈と大腿動脈とである場合のcfPWVが挙げられる。
【0003】
上腕の脈波から動脈硬化度を判定する技術として、特開2007−44362号公報(以下、特許文献2)は、血圧測定用のカフと脈波測定用のカフとの二重構造を備えた技術を開示している。
【0004】
また、特許第3587837号公報(以下、特許文献3)は、心臓から駆出された駆出波と腸骨動脈分岐部および動脈中の硬化部位からの反射波とを分離して、それぞれの振幅差や振幅比や出現時間差等により動脈硬化度を判定する技術を開示している。
【0005】
ところで、測定に要する時間が長くなると、長時間動脈が圧迫されることになって交感神経が刺激され、血管の特性が変化してしまうおそれがある。また、測定中に、被験者が動き、測定結果に体動によるノイズが含まれる可能性もある。そのため、測定に要する時間が長くなると、血圧情報の測定精度が低下する可能性が高くなる。カフの加圧に要する時間を短くする技術として、特公平6−57200号公報(以下、特許文献4)は、装置内に圧縮空気を蓄積しておき、測定時に、装置内に蓄積されている空気を放出してカフを速やかに昇圧させる技術を開示している。
【特許文献1】特許第3140007号公報
【特許文献2】特開2007−44362号公報
【特許文献3】特許第3587837号公報
【特許文献4】特公平6−57200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される装置を用いてPWVを測定するためには、先述のように上腕および下肢などの少なくとも2箇所にカフ等を装着する必要がある。そのため、特許文献1に開示されている装置を用いたとしても、家庭で簡便にPWVを測定することは難しいという問題点があった。
【0007】
これに対して特許文献2によって上腕の脈波から動脈硬化度を判定する技術が開示されているが、特許文献2では血圧測定用のカフと脈波測定用のカフとの二重構造を備えた装置構成となっており、脈波測定カフのみでは、末梢からの反射などが重畳するため、反射波を正しく分離できない可能性がある。したがって、精度のよい動脈硬化度の判定が得難いという問題がある。
【0008】
特許文献3は、測定波から駆出波と反射波とを分離した上で動脈硬化度を判定するとしているが、それぞれのカフを加圧する必要があるため、測定までの時間が長いという問題点があった。
【0009】
測定に要する時間を短縮するために特許文献4に開示されている技術を採用した場合、装置内に空気を蓄積するための空間(タンク)を設ける必要があり、装置の小型化の妨げとなるという問題がある。
【0010】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであって、脈波を測定するカフ等を、安定して、かつ早く巻付け可能な構造にすることにより、精度良く血圧情報を測定できる血圧情報測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、血圧情報測定装置は、測定部位の中枢側に巻付けられる第1流体袋、および末梢側に巻付けられる第2流体袋と、第1流体袋の内圧を測定する第1センサ、および第2流体袋の内圧を測定する第2センサと、第2流体袋に流体を注入して加圧する加圧手段と、第2流体袋の内圧変化に基づいて、測定部位の血圧値を算出する測定手段と、第1流体袋の加圧を制御する第1制御手段と、第1流体袋の内圧変化に基づいて、測定部位の脈波を検出する検出手段とを備え、第1制御手段は、第2流体袋に注入された流体を、第1流体袋に移動させることで第1流体袋を加圧する。
【0012】
好ましくは、血圧情報測定装置は、第1流体袋と第2流体袋とを、弁を介して接続する接続手段をさらに備え、第1制御手段は、第2流体袋を加圧する過程では弁を閉塞し、第2流体袋の加圧の後に第1流体袋を加圧する際に、弁を開放することで、第2流体袋に注入された流体を前記第1流体袋に移動させる。
【0013】
本発明の他の局面に従うと、血圧情報測定装置は、測定部位の中枢側に巻付けられる第1流体袋、および末梢側に巻付けられる第2流体袋と、第1流体袋および第2流体袋双方の外周側であって、測定部位の反対側に位置し、第1流体袋および第2流体袋双方を一体的に覆って測定部位に巻付けられる第3流体袋と、第1流体袋の内圧を測定する第1センサ、および第2流体袋の内圧を測定する第2センサと、第2流体袋の内圧変化に基づいて、測定部位の血圧値を算出する測定手段と、第3流体袋に流体を注入して加圧する加圧手段と、第1流体袋の加圧を制御する第1制御手段と、第1流体袋の内圧変化に基づいて、測定部位の脈波を検出する検出手段とを備え、第1制御手段は、第3流体袋に注入された流体を、第1流体袋に移動させることで第1流体袋を加圧する。
【0014】
好ましくは、血圧情報測定装置は、第1流体袋と第3流体袋とを、弁を介して接続する接続手段をさらに備え、第1制御手段は、第3流体袋を加圧する過程では弁を閉塞し、第3流体袋の加圧の後に第1流体袋を加圧する際に、弁を開放することで、第3流体袋に注入された流体を第1流体袋に移動させる。
【0015】
好ましくは、第1制御手段は、第1流体袋を所定圧となるように加圧を制御する。
好ましくは、接続手段はオリフィスを含み、第1制御手段は、第1流体袋に流体の移動中に、第1流体袋の圧力が所定圧に達した時点で流体の移動を終了する。
【0016】
好ましくは、血圧情報測定装置は、第1流体袋に流体を注入する注入手段をさらに備え、第1制御手段は、流体の移動後の第1流体袋の圧力が所定圧よりも低い場合に、注入手段で所定圧となるよう流体を注入して加圧調整する。
【0017】
好ましくは、血圧情報測定装置は、第1流体袋から流体を排出する排出手段をさらに備え、第1制御手段は、流体の移動後の第1流体袋の圧力が所定圧よりも高い場合に、排出手段で所定圧となるよう流体を排出して減圧調整する。
【0018】
好ましくは、血圧情報測定装置は、第2流体袋から流体を排出して減圧する減圧手段と、加圧手段および減圧手段を制御して第2流体袋の内圧を制御する第2制御手段とをさらに備え、測定手段は、第2流体袋の加圧過程における内圧変化に基づいて血圧値を算出し、第1制御手段は、血圧値が算出された後に第1流体袋を加圧し、第2制御手段は、第1流体袋の加圧後、検出手段で脈波が検出されるまで、第2流体袋の内圧を維持し、脈波が検出された後、減圧手段にて、第2流体袋の内圧を減圧させる。
【0019】
好ましくは、血圧情報測定装置は、脈波を解析して、動脈硬化度を判定するための指標を算出する算出手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明による血圧情報測定装置を用いることで、容易に安定した脈波測定を可能とし、精度よく血圧情報を測定することができる。さらに、装置の小型化、軽量化、または低コスト化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる血圧情報測定装置(以下、測定装置と略する)の外観の具体例を示す斜視図である。図2は、図1に示す測定装置を用いて血圧情報を測定する際の測定姿勢を示す模式断面図である。ここで「血圧情報」とは、生体から測定して得られる、血圧に関連する情報を指し、具体的には、血圧値、脈波波形、心拍数、などが該当する。
【0023】
図1に示すように、第1の実施の形態にかかる測定装置1Aは、基体2と、基体2に接続され、測定部位である上腕に装着される腕帯9とを含み、これらがエアチューブ8で接続されている。基体2の正面には、測定結果を含む各種の情報を表示する表示部4および測定装置1Aに対して各種の指示を与えるために操作される操作部3が配される。操作部3は電源をON/OFFするために操作される電源スイッチ31、および測定の開始を指示するために操作される測定開始スイッチ32を含む。
【0024】
上述の測定装置1Aを用いた脈波の測定に際しては、図2に示すように、腕帯9を測定部位である上腕100に巻き回す。その状態で測定開始スイッチ32が押下されることで、血圧情報が測定される。
【0025】
図2を参照して、腕帯9は、生体を圧迫するための流体袋としての空気袋を備える。上記空気袋は、血圧情報としての血圧を測定するために用いられる流体袋である血圧測定用空気袋(以下、血圧用空気袋と略する)13A、および血圧情報としての脈波を測定するために用いられる流体袋である脈波測定用空気袋(以下、脈波用空気袋と略する)13Bとを含む。脈波用空気袋13Bのサイズは一例として20mm×200mm程度である。また、好ましくは、袋脈波用空気袋13Bの空気容量は血圧用空気袋13Aの空気容量に比べ、1/5以下である。
【0026】
測定装置1Aは、1箇所の測定部位から得られた血圧情報としての脈波波形に基づいて、動脈硬化度の判定を行なうための指標を得る。本実施の形態においては、動脈硬化度の判定を行なうための指標として、駆出波と腸骨動脈の分岐部から反射して戻ってくる反射波との間の出現時間差Trを得るものとする。測定部位を上腕とし、反射波が末梢としての足首からの反射波である場合、出現時間差TrとPWVとの相関は、身長や性別などの個人パラメータが得られることで、統計的に、たとえば図3に示されるように得られることが、London GM et al.著の文献「Hypertension 1992 Jul;20(1):」(1992年7月20日発行)のp10−p19に記載されている。したがって、駆出波と反射波との間の出現時間差Trを動脈硬化度の判定を行なうための指標とすることができる。
【0027】
図4は、1箇所の測定部位から得られた脈波波形に基づいて動脈硬化度の判定を行なうための指標を得る原理を説明するための図であって、測定される脈波波形と、駆出波と、反射波との関係を説明する図である。図4において、実線で示される波形Aは、測定される脈波波形を示す。破線で示される波形Bは駆出波、一点鎖線で示される波形Cは反射波を示す。図4に示されるように、測定によって得られる脈波波形Aは、駆出波Bと反射波Cとの合成波である。反射波の測定部位への到達は、脈波波形Aにおいて変曲点Dとして検出される。したがって、上記出現時間差Trは脈波波形Aの立ち上がりから変曲点Dまでの時間で得られる。
【0028】
測定によって得られる脈波波形Aから上記変曲点Dを得るためには、精度のよい脈波波形を得る必要がある。そこで、測定装置1Aは、上述の生体圧迫用空気袋を、測定部位の動脈の方向に沿って並べて配置された2つの空気袋13A,13Bを含む、二重構造としている。血圧用空気袋13Aは上腕100の末梢側(心臓に遠い側)に配置される。脈波用空気袋13Bは中枢側(心臓に近い側)に配置される。上腕100が圧迫固定された後、これら空気袋13A,13Bが膨張・収縮する。血圧用空気袋13Aが膨張することで血圧用空気袋13Aが上腕100に押付けられ、血圧用空気袋13Aの内圧に動脈圧の変化が重畳して検出される。また、血圧用空気袋13Aが膨張することで動脈の末梢側が駆血される。その状態で脈波用空気袋13Bが膨張することで、駆血状態において動脈内に生じる動脈圧脈波が検出される。つまり、末梢側を駆血しながら脈波測定が可能となる。これにより、精度のよい脈波を測定することが可能とする。その結果、測定された脈波波形Aより上記変曲点Dが精度よく得られ、出現時間差Trを得ることができる。それにより、図3に示されたような相関関係を用いて、精度のよいPWVを得ることができる。
【0029】
図5は、測定装置1Aの機能ブロックを示す図である。図5を参照して、測定装置1Aは、血圧用空気袋13Aにエアチューブ8を介して接続されるエア系20A、および脈波用空気袋13Bにエアチューブ8を介して接続されるエア系20Bと、CPU(Central Processing Unit)40とを含む。
【0030】
エア系20Aは、エアポンプ21Aと、エアバルブ22Aと、圧力センサ23Aとを含む。エア系20Bは、エアバルブ22Bと、圧力センサ23Bとを含む。エアポンプ21Aは血圧用空気袋13Aを加圧するための手段である。エアポンプ21Aは、CPU40からの指令を受けたエアポンプ駆動回路26Aによって駆動されて、血圧用空気袋13Aに圧縮気体を送り込む。エアバルブ22A,22Bは、各々、血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13B内の圧力を維持したり、減圧したりするための手段である。エアバルブ22A,22Bは、CPU40からの指令を受けたエアバルブ駆動回路27A,27Bによってその開閉状態が制御される。エアバルブ22A,22Bの開閉状態が制御されることで、血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13B内の圧力が制御される。圧力センサ23A,23Bは、各々、血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13B内の圧力を検出するための手段である。圧力センサ23A,23Bは、各々、血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13B内の圧力を検出し、その検出値に応じた信号を増幅器28A,28Bに対して出力する。増幅器28A,28Bは、各々、圧力センサ23A,23Bから出力される信号を増幅し、A/D変換器29A,29Bに出力する。A/D変換器29A,29Bは、各々、増幅器28A,28Bから出力されたアナログ信号をデジタル化し、CPU40に出力する。
【0031】
血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとは2ポート弁51Aで接続されている。2ポート弁51Aは2ポート弁駆動回路53Aに接続されて、弁の開閉が制御される。2ポート弁駆動回路53AはCPU40に接続されて、CPU40からの制御信号に従って、2ポート弁51Aの上記2つの弁の開閉を制御する。
【0032】
CPU40は、測定装置の基体2に設けられた操作部3に入力された指令に基づいてエア系20A,20Bおよび2ポート弁駆動回路53Aを制御する。また、測定結果を表示部4やメモリ部41に出力する。メモリ部41は、測定結果を記憶するための手段である。また、CPU40で実行されるプログラムを記憶するための手段でもある。
【0033】
図6は、測定装置1Aでの測定動作を示すフローチャートである。図6に示される動作は、被験者等が基体2の操作部3に設けられた測定ボタンを押下することにより、開始し、CPU40がメモリ部41に記憶されるプログラムを読み出して図6に示される各部を制御することによって実現されるものである。また、図7は、測定装置1Aでの測定動作中の空気袋13A,13B内の圧力変化を示す図である。図7(A)は脈波用空気袋13B内の圧力P1の時間変化を示し、図7(B)は血圧用空気袋13A内の圧力P2の時間変化を示している。図7(A),図7(B)で時間軸に付してあるS3〜S17は、後述する測定装置1Aでの測定動作の各動作と一致している。
【0034】
図6を参照して、動作が開始すると、始めに、CPU40において、各部の初期化が行なわれる(ステップS1)。次に、CPU40はエア系20Aに対して制御信号を出力して血圧用空気袋13Aの加圧を開始し、加圧過程において血圧を測定する(ステップS3)。ステップS3での血圧の測定は、通常の血圧計で行なわれている測定方法が採用され得る。具体的には、CPU40は、圧力センサ23Aから得られる圧力信号に基づいて、最高血圧値および最低血圧値を算出する。
【0035】
ステップS3での血圧の測定が完了すると、CPU40は2ポート弁駆動回路53Aに制御信号を出力して2ポート弁51Aの血圧用空気袋13A側の弁と脈波用空気袋13B側の弁との両方を開放させる(ステップS5)。これにより、血圧用空気袋13A内の空気の一部が脈波用空気袋13Bに移動し、脈波用空気袋13Bが加圧される。
【0036】
図7(A)の例では、上記ステップS3で加圧を開始してから血圧の測定が完了するまで、つまり、上記ステップS3での測定処理の間、血圧用空気袋13A内の圧力P2は増加している。その後、上記ステップS5で2ポート弁51Aの上記弁が開放されることで、血圧用空気袋13A内の空気の一部が脈波用空気袋13Bに移動して、圧力P2が減少する。同時に、図7(B)に示されるように、脈波用空気袋13B内の圧力P1が急激に増加する。そして、圧力P1と圧力P2とが一致した時点で、つまりこれら空気袋13A,13Bの内圧がつりあった時点で、血圧用空気袋13Aから脈波用空気袋13Bへの空気の移動が終了する。この時点で、CPU40は、2ポート弁駆動回路53Aに制御信号を出力して、上記ステップS5で開放した2ポート弁51Aの上記弁を閉塞する(ステップS7)。図7(A),図7(B)において、ステップS7の時点で圧力P1と圧力P2とが一致していることが示されている。
【0037】
その後、CPU40はエアバルブ駆動回路27Bに制御信号を出力して、脈波用空気袋13B内の圧力P1を減圧調整する(ステップS9)。ここでの減圧調整量は、たとえば5.5mmHg/sec程度であるものとする。その後、CPU40は、圧力センサ23Bからの圧力信号に基づいて脈波用空気袋13B内の圧力P1を測定し(ステップS11)、脈波用空気袋13Bでの測定部位への押圧状態を判断する(ステップS13)。そして、脈波用空気袋13Bの押圧状態が適切でないと判断された場合には(ステップS13で「不適」)、CPU40は、上記ステップS9〜S13での減圧調整を、脈波用空気袋13B内の圧力P1が脈波を測定するのに適した圧力になるまで繰り返す。
【0038】
なお、ステップS9〜13での具体的な処理としては、たとえば次の方法が挙げられる。すなわち、圧力P1と、脈波を測定するのに適した圧力として予め規定されている圧力値とを比較し、圧力P1が上記圧力値よりも大きい場合にはステップS9でエアバルブ駆動回路27Bに制御信号を出力して、圧力P1が上記圧力に達するまで、所定量(たとえば20mmHg)ずつ脈波用空気袋13B内の空気を排気する。また他の方法として、CPU40は圧力センサ23Bからの圧力信号から脈波が検出されるか否かを判断し、圧力P1が脈波が検出される圧力に達するまで、所定量(たとえば20mmHg)ずつ脈波用空気袋13B内の空気を排気する。また他の方法として、CPU40がステップS3で測定された血圧値を用いて所定の演算を行なって得られた値を目標の圧力値として、圧力P1が上記圧力に達するまで、所定量(たとえば20mmHg)ずつ脈波用空気袋13B内の空気を排気する。ステップS3で測定された血圧値を用いて所定の演算を行なって得られた値としては、たとえば、最低血圧値×1.8±10mmHgで得られる値や、最高血圧値−50mmHg±10mmHgで得られる値などが挙げられる。なお、好ましくは、ステップS9〜S13では、脈波を測定するのに適した圧力として、脈波用空気袋13Bの圧力P1が50〜150mmHg程度となるように減圧される。上述の圧力P1が脈波を測定するのに適した圧力であるか否かの判断方法は、以降の、他の実施の形態でも同様にすることができる。
【0039】
脈波用空気袋13Bの押圧状態が適切となると(ステップS13で「良好」)、CPU40は、脈波用空気袋13B内の圧力がその圧力を固定するよう、上記所定の圧力を維持し、その状態において、CPU40は圧力センサ23Bからの圧力信号に基づいて、脈波を測定する(ステップS15)。つまり、脈波用空気袋13Bの内圧変化に基づいて脈波を測定する。図7(A)の例では、脈波用空気袋13B内の圧力P1は、ステップS9〜S13の区間で、脈波を測定するのに適した圧力である50〜150mmHg程度まで、つまり、脈波が圧力センサ23Bからの圧力信号より検出されるようになるまで減少する。そして、ステップS15の区間、その圧力が維持される。なお、図7(B)にも示されているように、上記ステップS9以降、血圧用空気袋13A内の圧力P2はステップS7で圧力P1と同一の圧力となったまま維持され、駆血している。
【0040】
ステップS15で脈波の測定が終了すると、CPU40はエアバルブ駆動回路27A,27Bに制御信号を出力してエアバルブ22A,20Bを開放し、血圧用空気袋13A、および脈波用空気袋13Bの圧力を大気圧に解放する(ステップS17)。図7(A),図7(B)の例では、血圧用空気袋13A、および脈波用空気袋13B内の圧力P1,P2は、ステップS17の区間で、大気圧まで急速に減少している。
【0041】
その後、CPU40は、算出された最高血圧(SYS)および最低血圧(DIA)や測定された脈波などの測定結果を基体2に設けられた表示部4で表示するための処理を行ない、測定結果を表示する(ステップS19)。また、CPU40は、上記ステップS15で得られた脈波波形より、先述の、動脈硬化度の判定を行なうための指標としての、駆出波と反射波との間の出現時間差Trを算出する(ステップS21)。ステップS21での具体的な算出方法について本発明では限定されないが、たとえば、得られた脈波波形の多次微分(たとえば4次微分)を演算するなどして先述の変曲点Dを得、得られた脈波波形の立ち上がりから変曲点Dまでの時間を読取ることで駆出波と反射波との間の出現時間差Trを得ることができる。
【0042】
なお、上述の測定動作では、血圧用空気袋13Aが駆血用と血圧値算出用とに兼用されて血圧用空気袋13Aの内圧変化に基づいて血圧値が算出され、脈波用空気袋13Bの内圧変化に基づいて脈波を測定されるものとしているが、血圧用空気袋13Aは駆血用にのみ用いられて、脈波用空気袋13Bの内圧変化に基づいて血圧値が算出されてもよい。
【0043】
上述のように、本実施の形態にかかる測定装置1Aでは、血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとが2ポート弁51Aを介して接続されている。そして、ステップS3で血圧測定が完了すると、上記ステップS5で2ポート弁51Aを開放することで、血圧用空気袋13A内の空気を脈波用空気袋13Bに移動させている。2ポート弁51Aが開放されることで、血圧用空気袋13A内の空気は、圧力差をなくすために脈波用空気袋13Bに急速に流入する。これにより、脈波用空気袋13Bに空気をポンプによって流入するために要する時間を大幅に短縮することができ、全体の測定時間を短縮することができる。従って、被験者の負担を軽減することができる。また、測定に要する時間が長くなることで長時間動脈が圧迫されることになって交感神経が刺激され、血管の特性が変化してしまうおそれがあるものであるが、測定に要する時間を短縮することで動脈が圧迫される時間を短縮することができる。さらに、測定に要する時間が長くなることで体動が発生する可能性が高くなるものであるが、測定に要する時間を短縮することで、体動が発生する可能性も抑えることができる。これにより、脈波等の血圧情報の測定精度を向上させることができる。また、測定結果から得られる動脈硬化の指標の精度も向上させることができる。
【0044】
また、図5にも示されるように、脈波用空気袋13Bに空気を流入するための機構(エアポンプ、エアポンプ駆動回路)を搭載しなくてもよい。これにより、装置の小型化、軽量化、低価格化にも貢献できる。
【0045】
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態にかかる測定装置の外観の具体例を示す斜視図である。図8において、図1に示された第1の実施の形態にかかる測定装置1Aと同じ構成については、同じ参照符号が付されている。図8に示すように、第2の実施の形態にかかる測定装置1Bは、机等の載置台に載置される基体2と、被測定部位である上腕を差し込むための測定部5とを主に備えている。基体2の上部には、電源の投入に用いられる電源ボタンや測定動作を開始させるための測定ボタンなどが配置された操作部3、および測定結果や操作ガイド等を表示するための表示部4が設けられている。測定部5は、基体2に回動自在に取り付けられており、略円筒状の機枠であるハウジング6と、ハウジング6の内周部に収納された生体圧迫固定装置(以下、固定装置と略する)とを備える。なお、図8に示すように、通常の使用状態においてハウジング6の内周部に収納された固定装置は露出しておらず、カバー7によって覆われている。
【0046】
図9は、測定装置1Bを用いて脈波を測定する際の測定姿勢を示す模式断面図である。図10は、本実施の形態にかかる測定装置1Bの、測定部5の内部構造を説明するための断面の概略図である。図10(A)は図9の位置A−Aでの断面の概略を示し、図10(B)は図2の位置B−Bでの断面の概略を示している。
【0047】
図9を参照して、ハウジング6の内側に位置する中空部に上腕100を差し込み、ハウジング6の内周部に組み込まれた固定装置によって上腕100を圧迫固定することによって、血圧情報の測定が行なわれる。
【0048】
図9,図10を参照して、測定装置1Bには、先述の血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとの外側に位置して一体としてこれら空気袋13A,13Bを覆い、径方向に伸縮可能な略円筒状の可撓性部材であるカーラ10が含まれる。さらに、カーラ10の外周側(生体と反対側)に位置して、カーラ10を一体として覆って測定部位に巻付ける、可撓性部材圧迫用流体袋であるカーラ圧迫用空気袋13Cが含まれる。カーラ圧迫用空気袋13Cは、膨張することによってカーラ10の外周面を内側(生体側)に向かって押圧し、カーラ10を縮径させる。好ましくは、脈波用空気袋13Bの空気容量はカーラ圧迫用空気袋13Cの空気容量に比べ、1/5以下である。なお、脈波用空気袋13Bとカーラ10との間には振動抑制部材が備えられていてもよい。
【0049】
図10(A),(B)を参照して、ハウジング6の内側にカーラ圧迫用空気袋13Cが配置されている。カーラ圧迫用空気袋13Cは、後述するカーラ圧迫用エア系30C(図11参照)の作用により、膨縮自在に体積が変動する。カーラ圧迫用空気袋13Cの内側には、略円筒状に巻き回された板状部材からなるカーラ10が位置している。カーラ10は、たとえばポリプロピレン樹脂等の樹脂材料にて形成されており、周方向における所定位置に軸方向に延びる切り欠きを有している。この切り欠きにより、カーラ10は、外力が加えられることによって径方向に伸縮自在に弾性変形する。すなわち、外力が作用することによってカーラ10は径方向に変形するが、外力の作用がなくなった場合には元の状態へと復元する。なお、カーラ10の周方向における両端は、外力が作用していない状態においてその一部が重複するように形成されている。これにより、収縮時にカーラ10の両端がぶつかることによってその収縮が阻害されないように構成されている。
【0050】
カーラ10は、先述のように血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13Bの外周側に位置し、血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13Bの双方を覆うサイズである。カーラ圧迫用空気袋13Cによってカーラ10が縮径されると、血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13Bの双方が生体に対して押付けられる。
【0051】
詳しくは、図9の位置A−Aでの断面、つまり、上腕100の末梢側の血圧用空気袋13Aが配される位置の断面については、図10(A)を参照して、カーラ10の内側には、血圧用空気袋13Aが位置している。血圧用空気袋13Aはエア系20A(図6参照)の作用により、膨縮自在に体積が変動する。
【0052】
また詳しくは、図9の位置B−Bでの断面、つまり、上腕100の中枢側の脈波用空気袋13Bが配される位置の断面については、図10(B)を参照して、カーラ10の内側には振動抑制部材が存在してもよく、その場合、振動抑制部材を介して脈波用空気袋13Bが位置している。脈波用空気袋13Bは先述のように膨縮自在に体積が変動する。振動抑制部材はカーラ10から脈波用空気袋13Bへの振動の伝播を抑制する部材である。好ましくは、脈波用空気袋13Bと同じ大きさである。
【0053】
このように、測定装置1Bは、生体圧迫用空気袋が血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとを含む二重構造であり、さらに、血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13Bの外側に、一体となってこれらを圧迫するカーラ10を押圧するカーラ圧迫用空気袋13Cが備えられる、三重の空気袋の構成となっている。これにより、血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13Bが均等に測定部位である上腕100に押付けられる。このため、被測定者は血圧用空気袋13Aおよび脈波用空気袋13Bを安定して巻付け可能となる。その結果、精度よく脈波を測定することができる。
【0054】
図11は、測定装置1Bの機能ブロックを示す図である。図11を参照して、測定装置1Bは、図5に示された測定装置1Aの構成に加えて、カーラ圧迫用空気袋13Cにエアチューブを介して接続されるエア系30Cを含む。
【0055】
エア系30Cは、エアポンプ21Cと、エアバルブ22Cと、圧力センサ23Cとを含む。エアポンプ21Cは、カーラ圧迫用空気袋13Cを加圧するための手段である。エアポンプ21Cは、CPU40からの指令を受けたエアポンプ駆動回路26Cによって駆動されて、カーラ圧迫用空気袋13C内に圧縮気体を送り込む。エアバルブ22Cは、カーラ圧迫用空気袋13C内の圧力の維持したり、減圧したりするための手段である。エアバルブ22Cは、CPU40からの指令を受けたエアバルブ駆動回路27Cによってその開閉状態が制御される。エアバルブ22Cの開閉状態が制御されることで、カーラ圧迫用空気袋13C内の圧力が制御される。圧力センサ23Cは、カーラ圧迫用空気袋13C内の圧力を検出するための手段である。圧力センサ23Cは、カーラ圧迫用空気袋13C内の圧力を検出し、その検出値に応じた信号を増幅器28Cに対して出力する。増幅器28Cは、圧力センサ23Cから出力される信号を増幅し、変換器29Cに出力する。変換器29Cは、増幅器28Cから出力されたアナログ信号をデジタル化し、CPU40に出力する。
【0056】
測定装置1Bでは、血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとは接続されておらず、脈波用空気袋13Bとカーラ圧迫用空気袋13Cとが2ポート弁51Bで接続されている。2ポート弁51Bは図示されない、脈波用空気袋13B側の弁と、カーラ圧迫用空気袋13C側の弁とを含み、2ポート弁駆動回路53Bに接続されて、それら弁の開閉が制御される。2ポート弁駆動回路53BはCPU40に接続されて、CPU40からの制御信号に従って、2ポート弁51Bの上記2つの弁の開閉を制御する。
【0057】
CPU40は、測定装置の基体2に設けられた操作部3に入力された指令に基づいてエア系20A,20B,20Cおよび2ポート弁駆動回路53Bを制御する。
【0058】
図12は、測定装置1Bでの測定動作を示すフローチャートである。図12に示される動作は、被験者等が基体2の操作部3に設けられた測定ボタンを押下することにより、開始し、CPU40がメモリ部41に記憶されるプログラムを読み出して図12に示される各部を制御することによって実現されるものである。
【0059】
また、図13は、測定装置1Bでの測定動作中の空気袋13A,13B,13C内の圧力変化を示す図である。図13(A)はカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力P3の時間変化を示し、図13(B)は脈波用空気袋13B内の圧力P1の時間変化を示し、図13(C)は血圧用空気袋13A内の圧力P2の時間変化を示している。図13(A)〜図13(C)で時間軸に付してあるS3〜S17は、後述する測定装置1Bでの測定動作の各動作と一致している。
【0060】
図12を参照して、測定装置1Bでは、図6に示された測定装置1Aでの処理の上記ステップS1での初期化の後に、CPU40はエア系30Cに対して制御信号を出力し、カーラ圧迫用空気袋13Cを加圧する(ステップS2)。ステップS2のカーラ圧迫用空気袋13Cの加圧は、圧力センサ23Cからの圧力信号に基づいてカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力が所定の圧力に達するまで行なわれる。図13(A)の例では、所定の圧力はたとえば200mmHg〜350mmHg程度であるものとし、上記ステップS2で加圧を開始してからカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力が所定圧力に到達するまでカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力P2は増加している。所定の圧力に達すると、CPU40はその時点でカーラ圧迫用空気袋13Cの加圧を終了し、カーラ圧迫用空気袋13C内の圧力がその圧力を固定するよう、上記所定の圧力を維持する。
【0061】
また、測定装置1Bでは、ステップS3で血圧測定が終了すると、CPU40は2ポート弁駆動回路53Bに制御信号を出力して2ポート弁51Bの脈波用空気袋13Bの弁とカーラ圧迫用空気袋13C側の弁との両方を開放させる(ステップS5’)。これにより、カーラ圧迫用空気袋13C内の空気の一部が脈波用空気袋13Bに移動し、脈波用空気袋13Bが加圧される。
【0062】
図13(A)の例では、上記ステップS3での測定処理が終了すると、上記ステップS5’で2ポート弁51Bの上記弁が開放されることで、カーラ圧迫用空気袋13C内の空気の一部が脈波用空気袋13Bに移動して、圧力P3が減少する。同時に、図13(B)に示されるように、脈波用空気袋13B内の圧力P1が急激に増加する。そして、圧力P1と圧力P3とが一致した時点で、つまりこれら空気袋13B,13Cの内圧がつりあった時点で、カーラ圧迫用空気袋13Cから脈波用空気袋13Bへの空気の移動が終了する。この時点で、CPU40は、2ポート弁駆動回路53Bに制御信号を出力して、上記ステップS5’で開放した2ポート弁51Bの上記弁を閉塞する(ステップS7’)。図13(A),図13(B)において、ステップS7の時点で圧力P1と圧力P3とが一致していることが示されている。
【0063】
以降、測定装置1Aでの処理と同様の処理が行なわれ、脈波が測定される。そして、ステップS17’で、上記ステップS17での空気袋13A,13B内の圧力の開放に加えて、カーラ圧迫用空気袋13C内の圧力も開放される。図13(A)〜図13(C)の例では、血圧用空気袋13A、脈波用空気袋13B、およびカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力P1,P2,P3は、ステップS17’の区間で、大気圧まで急速に減少している。
【0064】
上述のように、本実施の形態にかかる測定装置1Bでは、カーラ圧迫用空気袋13Cと脈波用空気袋13Bとが2ポート弁51Bを介して接続されている。そして、ステップS3で血圧測定が完了すると、上記ステップS5’で2ポート弁51Bを開放することで、カーラ圧迫用空気袋13C内の空気を脈波用空気袋13Bに移動させている。2ポート弁51Bが開放されることで、カーラ圧迫用空気袋13C内の空気は、圧力差をなくすために脈波用空気袋13Bに急速に流入する。これにより、脈波用空気袋13Bに空気をポンプによって流入するために要する時間を大幅に短縮することができ、全体の測定時間を短縮することができる。従って、被験者の負担を軽減することができる。また、測定に要する時間が長くなることで長時間動脈が圧迫されることになって交感神経が刺激され、血管の特性が損なわれてしまうおそれがあるものであるが、測定に要する時間を短縮することで動脈が圧迫される時間を短縮することができる。さらに、測定に要する時間が長くなることで体動が発生する可能性が高くなるものであるが、測定に要する時間を短縮することで、体動が発生する可能性も抑えることができる。これにより、脈波等の血圧情報の測定精度を向上させることができる。また、測定結果から得られる動脈硬化の指標の精度も向上させることができる。
【0065】
また、図11にも示されるように、脈波用空気袋13Bに空気を流入するための機構(エアポンプ、エアポンプ駆動回路)を搭載しなくてもよい。これにより、装置の小型化、軽量化、低価格化にも貢献できる。
【0066】
[第3の実施の形態]
図14は、第3の実施の形態にかかる測定装置1A’の機能ブロックを示す図である。測定装置1A’の概観は、図1に示された測定装置1Aの概観と同様である。図14を参照して、測定装置1A’は、図5に示された測定装置1Aの構成に加えて、エア系30Bに、エアポンプ21Bが含まれ、エアポンプ21Bを駆動するためのエアポンプ駆動回路26Bを含む。エアポンプ21Bは、CPU40からの指令を受けたエアポンプ駆動回路26Bによって駆動されて、脈波用空気袋13B内に圧縮気体を送り込む。
【0067】
測定装置1A’では、図6に示された測定装置1Aでの処理と同様の処理が行なわれるが、上記ステップS9〜S13での処理の内容が異なる。具体的には、測定装置1Aでは、上記ステップS9〜S13で脈波用空気袋13B内の圧力P1が適切な圧力となるよう減圧調整されるが、血圧計1A’では、加減圧調整される。つまり、ステップS5で2ポート弁51Aをいったん開放した後ステップS7で閉塞し、その時点での脈波用空気袋13B内の圧力P1と目標の(脈波を測定するのに適した)圧力とを比較する。その結果、圧力P1が目標の圧力よりも小さい場合には、CPU40は、ステップS9でエア系30Bに制御信号を出力して、脈波用空気袋13Bを加圧する。
【0068】
図15は、測定装置1A’での測定動作中の空気袋13A,13B内の圧力変化を示す図であって、2ポート弁51Aの解放後に加圧調整される場合の圧力変化を示す図である。図15(A)は脈波用空気袋13B内の圧力P1の時間変化を示し、図15(B)は血圧用空気袋13A内の圧力P2の時間変化を示している。図15(A),図15(B)で時間軸に付してあるS3〜S17は、測定装置1A’での測定動作の各動作と一致している。図15(A)に示されるように、測定装置1A’では、脈波用空気袋13B内の圧力P1は、上記ステップS3〜S17の区間で、脈波測定に適した圧力である所定の圧力50〜150mmHg程度まで、つまり、脈波が圧力センサ23Bからの圧力信号より検出されるようになるまで増加し、ステップS15の区間、その圧力が維持されている。
【0069】
さらに、上記ステップS9〜S13での加減圧調整において、脈波用空気袋13B内の圧力P1は、脈波測定に適した圧力(たとえば50〜150mmHg)よりも高い圧力までいったん加圧した後に、上記圧力となるまで減圧する調整がなされてもよい。脈波測定に適した圧力よりも高い圧力は、予め規定されていてもよいし、上記ステップS3での血圧測定の結果に応じて、CPU40において算出されるものであってもよい。後者の場合、上記圧力は、たとえば最高血圧値の2倍の圧力、などが挙げられる。図16は、そのような加減圧調整が行なわれる場合の、空気袋13A,13B内の圧力変化を示す図であって、図16(A)は脈波用空気袋13B内の圧力P1の時間変化を示し、図16(B)は血圧用空気袋13A内の圧力P2の時間変化を示している。図16(A)に示されるように、この場合には、測定装置1A’では、脈波用空気袋13B内の圧力P1は、上記ステップS3〜S17の区間で、脈波測定に適した圧力である所定の圧力50〜150mmHg程度よりも高い圧力まで増加する。その後に、圧力P1は、脈波測定に適した圧力である所定の圧力50〜150mmHg程度まで、つまり、脈波が圧力センサ23Bからの圧力信号より検出されるようになるまで減少する。そして、ステップS15の区間、その圧力が維持される。
【0070】
上述のように、本実施の形態にかかる測定装置1A’では、血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとが2ポート弁51Aを介して接続されている。そして、ステップS3で血圧測定が完了すると、上記ステップS5で2ポート弁51Aを開放することで、血圧用空気袋13A内の空気を脈波用空気袋13Bに移動させている。2ポート弁51Aが開放されることで、血圧用空気袋13A内の空気は、圧力差をなくすために脈波用空気袋13Bに急速に流入する。これにより、脈波用空気袋13Bに空気をポンプによって流入するために要する時間を大幅に短縮することができ、全体の測定時間を短縮することができる。
【0071】
さらに、本実施の形態では、脈波用空気袋13Bに血圧用空気袋13A内の空気を急速に流入させた後、エアポンプ21Bで脈波用空気袋13B内の圧力P1が所定の圧力となるよう加圧調整される。これにより、血圧情報である脈波の測定の精度を向上させることができる。
【0072】
また、脈波用空気袋13Bに圧縮空気を送り込むためのエアポンプ21Bは、脈波用空気袋13Bのすべての加圧をするためのポンプではなく、血圧用空気袋13A内の空気が脈波用空気袋13Bに流入した後の圧力調整用のポンプである。従って、脈波用空気袋13Bのすべての加圧をするためのポンプよりも低性能のポンプでよい。これにより、装置の小型化、軽量化、低価格化にも貢献できる。
【0073】
なお、第3の実施の形態において以上で説明された例は、第1の実施の形態にかかる測定装置1Aでの、脈波用空気袋13Bの圧力調整の他の具体例である。同様に、第2の実施の形態にかかる測定装置1Bでの脈波用空気袋13Bの圧力調整でも、同様の処理を行なうことができる。その場合についての、第3の実施の形態にかかる測定装置1B’を説明する。
【0074】
図17は、第3の実施の形態にかかる測定装置1B’の機能ブロックを示す図である。測定装置1B’の概観は、図8に示された第2の実施の形態にかかる測定装置1Bの概観と同様である。図17を参照して、測定装置1B’は、図11に示された測定装置1Bの構成に加えて、エア系30Bに、エアポンプ21Bが含まれ、エアポンプ21Bを駆動するためのエアポンプ駆動回路26Bを含む。エアポンプ21Bは、CPU40からの指令を受けたエアポンプ駆動回路26Bによって駆動されて、脈波用空気袋13B内に圧縮気体を送り込む。
【0075】
測定装置1B’での処理も、図12に示された測定装置1Bでの処理のうち、上記ステップS9〜S13での処理の内容が異なる。具体的には、血圧計1B’でも、上記ステップS9〜S13で加減圧調整される。つまり、ステップS5’で2ポート弁51Bをいったん開放した後ステップS7’で閉塞し、その時点での脈波用空気袋13B内の圧力P1と目標の(適切な)圧力とを比較する。その結果、圧力P1が目標の圧力よりも小さい場合には、CPU40は、ステップS9でエア系30Bに制御信号を出力して、脈波用空気袋13Bを加圧する。
【0076】
図18は、測定装置1B’での測定動作中の空気袋13A,13B,13C内の圧力変化を示す図であって、2ポート弁51Bの解放後に加圧調整される場合の圧力変化を示す図である。図18(A)はカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力P3の時間変化を示し、図18(B)は脈波用空気袋13B内の圧力P1の時間変化を示し、図18(C)は血圧用空気袋13A内の圧力P2の時間変化を示している。図18(A),図18(B),図18(C)で時間軸に付してあるS3〜S17’は、測定装置1B’での測定動作の各動作と一致している。図18(B)に示されるように、測定装置1B’では、脈波用空気袋13B内の圧力P1は、上記ステップS3〜S17の区間で、脈波測定に適した圧力である所定の圧力50〜150mmHg程度まで、つまり、脈波が圧力センサ23Bからの圧力信号より検出されるようになるまで増加する。そして、ステップS15の区間、その圧力が維持される。
【0077】
さらに、測定装置1B’でも、測定装置1A’と同様に、上記ステップS9〜S13での加減圧調整において、脈波用空気袋13B内の圧力P1を脈波測定に適した圧力(たとえば50〜150mmHg)よりも高い圧力までいったん加圧した後に、上記圧力となるまで減圧する調整がなされてもよい。脈波測定に適した圧力よりも高い圧力は、予め規定されていてもよいし、上記ステップS3での血圧測定の結果に応じて、CPU40において算出されるものであってもよい。後者の場合、上記圧力は、たとえば最高血圧値の2倍の圧力、などが挙げられる。図19は、そのような加減圧調整が行なわれる場合の、空気袋13A,13B内の圧力変化を示す図であって、図19(A)はカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力P3の時間変化を示し、図19(B)は脈波用空気袋13B内の圧力P1の時間変化を示し、図19(C)は血圧用空気袋13A内の圧力P2の時間変化を示している。図19(B)に示されるように、この場合には、測定装置1B’では、脈波用空気袋13B内の圧力P1は、上記ステップS3〜S17の区間で、脈波測定に適した圧力である所定の圧力50〜150mmHg程度よりも高い圧力まで増加する。その後に、圧力P1は、脈波測定に適した圧力である所定の圧力50〜150mmHg程度まで、つまり、脈波が圧力センサ23Bからの圧力信号より検出されるようになるまで減少する。そして、ステップS15の区間、その圧力が維持される。
【0078】
上述のように、本実施の形態にかかる測定装置1B’のような構成とすることでも、測定装置1A’と同様に、血圧情報である脈波の測定の精度を向上させることができる。脈波用空気袋13Bに圧縮空気を送り込むためのエアポンプ21Bを脈波用空気袋13Bのすべての加圧をするためのポンプよりも低性能のポンプとすることができ、装置の小型化、軽量化、低価格化にも貢献できる。
【0079】
[第4の実施の形態]
図20は、第4の実施の形態にかかる測定装置1A”の機能ブロックを示す図である。測定装置1A”の概観は、図1に示された測定装置1Aの概観と同様である。図20を参照して、測定装置1A”は、図5に示された測定装置1Aの構成とほぼ同様の構成であるが、血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとが2ポート弁51Aに加えて、オリフィス55Aで接続されている。オリフィス55Aの具体的な構成は本発明において特定の構成には限定されず、血圧用空気袋13Aから脈波用空気袋13Bへの空気の流入経路の障害となる構成であればよい。オリフィス55Aが血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとの間に存在することで、血圧用空気袋13Aから脈波用空気袋13Bへの空気の流入速度を遅くさせる。
【0080】
図21は、測定装置1A”での測定動作を示すフローチャートである。図21に示される動作は、被験者等が基体2の操作部3に設けられた測定ボタンを押下することにより、開始し、CPU40がメモリ部41に記憶されるプログラムを読み出して図20に示される各部を制御することによって実現されるものである。
【0081】
また、図22は、測定装置1A”での測定動作中の空気袋13A,13B内の圧力変化を示す図である。図22(A)は脈波用空気袋13B内の圧力P1の時間変化を示し、図22(B)は血圧用空気袋13A内の圧力P2の時間変化を示している。図22(A),図22(B)で時間軸に付してあるS3〜S17は、測定装置1A”での測定動作の各動作と一致している。
【0082】
図21を参照して、測定装置1A”では、図6に示された測定装置1Aでの処理の上記ステップS1〜S5までがなされた後に、ステップS11’,S13’で、上記ステップS11,S13と同様の処理がなされる。先述のように、測定装置1A”では血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとがオリフィス55Aを介して接続されている。そのため、図22(A)に示されるように、ステップS5で2ポート弁51Aが開放された後の脈波用空気袋13B内の圧力P1の加圧速度は、オリフィス55Aを介さないで接続される場合(図7(A))と比較して、遅くなっている。同様に、図22(B)に示されるように、ステップS5で2ポート弁51Aが開放された後の血圧用空気袋13A内の圧力P2の減圧速度は、オリフィス55Aを介さないで接続される場合(図7(B))と比較して、遅くなっている。
【0083】
測定装置1A”では、上記ステップS5で2ポート弁51Aを開放した後、圧力センサ23Bからの圧力信号に基づいて、図7(A)に示されるように測定装置1Aと比較して遅い速度で加圧される過程において、脈波用空気袋13B内の圧力P1を測定し(ステップS11’)、脈波用空気袋13Bでの測定部位への押圧状態を判断する(ステップS13’)。この、ステップS5,S11’,S13’の処理は、上記ステップS9〜S13の処理に替わる処理となる。つまり、上記ステップS5,S11’,S13’で、脈波用空気袋13B内の圧力P1が減圧される過程において、圧力P1が先述の脈波を測定するのに適した圧力になるよう調整される。そして、脈波用空気袋13B内の圧力P1が先述の脈波を測定するのに適した圧力に達したことが判断された時点で(ステップS13’で「良好」)、CPU40は2ポート弁駆動回路53Aに制御信号を出力して、上記ステップS5で開放した2ポート弁51Aの上記弁を閉塞する(ステップS7)。その後、測定装置1A”では、上述のステップS15以降の処理がなされて、脈波が測定される。図22(A)の例では、脈波用空気袋13B内の圧力P1は、ステップS5,S11’,S13’の区間で、脈波を測定するのに適した圧力である50〜150mmHg程度まで、つまり、脈波が圧力センサ23Bからの圧力信号より検出されるようになるまで緩やかに増加する。そして、ステップS15の区間、その圧力が維持される。
【0084】
なお、測定装置1A”では、上記ステップS17で2ポート弁51Aおよびエアバルブ22Aを開放することで、脈波用空気袋13B内の空気は、2ポート弁51Aおよびエアバルブ22Aを介して排気される。従って、測定装置1A”は、図23に示される構成とすることもできる。すなわち、エア系20Bにエアバルブ21Bが含まれない構成であってもよい。なお、これは、上述の他の測定装置1A,1A’,1B,1B’でも同様とすることができる。
【0085】
上述のように、本実施の形態にかかる測定装置1A”では、血圧用空気袋13Aと脈波用空気袋13Bとが2ポート弁51Aおよびオリフィス55Aを介して接続されている。そして、ステップS3で血圧測定が完了すると、上記ステップS5で2ポート弁51Aを開放することで、血圧用空気袋13A内の空気をオリフィス55Aを介して脈波用空気袋13Bに移動させている。オリフィス55Aを介して空気が血圧用空気袋13Aから脈波用空気袋13Bに移動することで、脈波用空気袋13Bに空気が緩やかに流入する。言い換えると、脈波用空気袋13B内の圧力P1は緩やかに増加する。これにより、脈波用空気袋13Bに空気をポンプによって流入するために要する時間を短縮することができ、全体の測定時間を短縮することができる。また、脈波用空気袋13Bが急激に加圧されることがないので、被測定者に過度の負担を与えることがない。
【0086】
さらに、本実施の形態では、脈波用空気袋13B内の圧力P1が所定の圧力となるまで、脈波用空気袋13Bに血圧用空気袋13A内の空気を緩やかに流入させている。これにより、血圧情報である脈波の測定の精度を向上させることができる。また、図20にも示されるように、脈波用空気袋13Bに空気を流入するための機構(エアポンプ、エアポンプ駆動回路)を搭載しなくてもよい。これにより、装置の小型化、軽量化、低価格化にも貢献できる。
【0087】
また、脈波用空気袋13Bに圧縮空気を送り込むためのエアポンプ21Bは、脈波用空気袋13Bのすべての加圧をするためのポンプではなく、血圧用空気袋13A内の空気が脈波用空気袋13Bに流入した後の圧力調整用のポンプである。従って、脈波用空気袋13Bのすべての加圧をするためのポンプよりも低性能のポンプでよい。これにより、装置の小型化、軽量化、低価格化にも貢献できる。
【0088】
なお、第4の実施の形態において以上で説明された例は、第1の実施の形態にかかる測定装置1Aでの、脈波用空気袋13Bへ血圧用空気袋13A内の空気を流入させるときの、脈波用空気袋13B内の圧力調整の他の具体例である。同様に、第2の実施の形態にかかる測定装置1Bでの脈波用空気袋13Bの圧力調整でも、同様の処理を行なうことができる。その場合についての、第4の実施の形態にかかる測定装置1B”を説明する。
【0089】
図24は、第4の実施の形態にかかる測定装置1B”の機能ブロックを示す図である。測定装置1B”の概観は、図8に示された第2の実施の形態にかかる測定装置1Bの概観と同様である。図24を参照して、測定装置1B”もまた、図11に示された測定装置1Bの構成とほぼ同様の構成であるが、カーラ圧迫用空気袋13Cと脈波用空気袋13Bとが2ポート弁51Bに加えて、オリフィス55Bで接続されている。
【0090】
測定装置1B”での処理も、図21に示された測定装置1A”での処理と同様に、図12に示された測定装置1Bでの処理のうち上記ステップS9〜S13の処理に替えて、先述の上記ステップS5,S11’,S13’の処理が行なわれる。具体的には、ステップS3までの処理がなされて血圧測定が完了するとステップS5で2ポート弁51Bが開放される。2ポート弁51Bが開放されて、カーラ圧迫用空気袋13Cから脈波用空気袋13Bへ、カーラ圧迫用空気袋13C内の空気がオリフィス55Bを介して緩やかに流入する過程において、CPU40は圧力センサ23Bからの圧力信号を監視する。そして、脈波用空気袋13B内の圧力P1が脈波を測定するのに適した圧力に達すると、CPU40は2ポート弁51Bを閉塞し、脈波測定に移行する。
【0091】
図25は、測定装置1B”での測定動作中の空気袋13A,13B,13C内の圧力変化を示す図である。図25(A)はカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力P3の時間変化を示し、図25(B)は脈波用空気袋13B内の圧力P1の時間変化を示し、図25(C)は血圧用空気袋13A内の圧力P2の時間変化を示している。図25(A),図25(B),図25(C)で時間軸に付してあるS3〜S17’は、測定装置1B”での測定動作の各動作と一致している。図25(B)に示されるように、測定装置1B”では、脈波用空気袋13B内の圧力P1は、ステップS5で2ポート弁51Bが開放された後、ステッS5プ,S11’,S13’の区間で、脈波を測定するのに適した圧力である50〜150mmHg程度まで、つまり、脈波が圧力センサ23Bからの圧力信号より検出されるようになるまで緩やかに増加している。それと同時に、図25(A)に示されるように、カーラ圧迫用空気袋13C内の圧力P3は緩やかに減少している。
【0092】
なお、測定装置1A”では、上記ステップS17で2ポート弁51Bおよびエアバルブ22Cを開放することで、脈波用空気袋13B内の空気は、2ポート弁51Bおよびエアバルブ22Cを介して排気される。従って、測定装置1B”は、図26に示される構成とすることもできる。すなわち、エア系20Bにエアバルブ21Bが備えられていない構成であってもよい。
【0093】
上述のように、本実施の形態にかかる測定装置1B”のような構成とすることでも、測定装置1A”と同様に、脈波用空気袋13Bが急激に加圧されることがないので、被測定者に過度の負担を与えることがない。また、脈波用空気袋13Bに空気を流入するための機構(エアポンプ、エアポンプ駆動回路)を搭載しなくてもよい。これにより、装置の小型化、軽量化、低価格化にも貢献できる。
【0094】
なお、測定装置1A”または測定装置1B”においても、測定装置1A’または測定装置1B’と同様に、エア系30Bにエアポンプ21Bが含まれてもよい。CPU40は、脈波用空気袋13B内の圧力P1が血圧用空気袋13A内の圧力P2またはカーラ圧迫用空気袋13C内の圧力P3と同じとなるまで脈波用空気袋13Bに空気が流入しても、脈波用空気袋13B内の圧力P1が脈波測定に適した圧力に達していない場合に、ステップS7で2ポート弁51Aまたは2ポート弁51Bを閉塞した後に、圧力P1をエアポンプ21Bで加圧調整する。また、第1の実施の形態、または第3の実施の形態で説明されたような、上記ステップS9〜S13の加減圧調整も行なわれてもよい。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる測定装置の外観の具体例を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる測定装置を用いて血圧情報を測定する際の測定姿勢を示す模式断面図である。
【図3】駆出波と反射波との間の出現時間差TrとPWVとの相関の具体例を示す図である。
【図4】測定される脈波波形と、駆出波と、反射波との関係を説明する図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図6】第1の実施の形態にかかる測定装置での測定動作を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態にかかる測定装置での測定動作中の各空気袋内の圧力変化を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる測定装置の外観の具体例を示す斜視図である。
【図9】第2の実施の形態にかかる測定装置を用いて血圧情報を測定する際の測定姿勢を示す模式断面図である。
【図10】第2の実施の形態にかかる測定装置の、測定部の内部構造を説明するための断面の概略図である。
【図11】第2の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる測定装置での測定動作を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態にかかる測定装置での測定動作中の各空気袋内の圧力変化を示す図である。
【図14】第3の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図15】第3の実施の形態にかかる測定装置での測定動作中の各空気袋内の圧力変化を示す図である。
【図16】第3の実施の形態にかかる測定装置での測定動作中の各空気袋内の圧力変化を示す図である。
【図17】第3の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図18】第3の実施の形態にかかる測定装置での測定動作中の各空気袋内の圧力変化を示す図である。
【図19】第3の実施の形態にかかる測定装置での測定動作中の各空気袋内の圧力変化を示す図である。
【図20】第4の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図21】第4の実施の形態にかかる測定装置での測定動作を示すフローチャートである。
【図22】第4の実施の形態にかかる測定装置での測定動作中の各空気袋内の圧力変化を示す図である。
【図23】第4の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図24】第4の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図25】第4の実施の形態にかかる測定装置での測定動作中の各空気袋内の圧力変化を示す図である。
【図26】第4の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1A,1A’,1A”,1B,1B’,1B” 測定装置、2 基体、3 操作部、4 表示部、5 測定部、6 ハウジング、7 カバー、8 エアチューブ、9 腕帯、10 カーラ、13A 血圧用空気袋、13B 脈波用空気袋、13C カーラ圧迫用空気袋、20A,20B,20C エア系、21A,21B,21C エアポンプ、22A,22B,22C エアバルブ、23A,23B,23C 圧力センサ、26A,26B,26C エアポンプ駆動回路、27A,27B,27C エアバルブ駆動回路、28A,28B,28C 増幅器、29A,29B,29C A/D変換器、40 CPU、41 メモリ部、51A,51B 2ポート弁、53A,53B 2ポート弁駆動回路、55A,55B オリフィス、100 上腕。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定部位の中枢側に巻付けられる第1流体袋、および末梢側に巻付けられる第2流体袋と、
前記第1流体袋の内圧を測定する第1センサ、および前記第2流体袋の内圧を測定する第2センサと、
前記第2流体袋に流体を注入して加圧する加圧手段と、
前記第2流体袋の内圧変化に基づいて、前記測定部位の血圧値を算出する測定手段と、
前記第1流体袋の加圧を制御する第1制御手段と、
前記第1流体袋の内圧変化に基づいて、前記測定部位の脈波を検出する検出手段とを備え、
前記第1制御手段は、前記第2流体袋に注入された前記流体を、前記第1流体袋に移動させることで前記第1流体袋を加圧する、血圧情報測定装置。
【請求項2】
前記第1流体袋と前記第2流体袋とを、弁を介して接続する接続手段をさらに備え、
前記第1制御手段は、
前記第2流体袋を加圧する過程では前記弁を閉塞し、
前記第2流体袋の加圧の後に前記第1流体袋を加圧する際に、前記弁を開放することで、前記第2流体袋に注入された前記流体を前記第1流体袋に移動させる、請求項1に記載の血圧情報測定装置。
【請求項3】
測定部位の中枢側に巻付けられる第1流体袋、および末梢側に巻付けられる第2流体袋と、
前記第1流体袋および前記第2流体袋双方の外周側であって、前記測定部位の反対側に位置し、前記第1流体袋および前記第2流体袋双方を一体的に覆って前記測定部位に巻付けられる第3流体袋と、
前記第1流体袋の内圧を測定する第1センサ、および前記第2流体袋の内圧を測定する第2センサと、
前記第2流体袋の内圧変化に基づいて、前記測定部位の血圧値を算出する測定手段と、
前記第3流体袋に流体を注入して加圧する加圧手段と、
前記第1流体袋の加圧を制御する第1制御手段と、
前記第1流体袋の内圧変化に基づいて、前記測定部位の脈波を検出する検出手段とを備え、
前記第1制御手段は、前記第3流体袋に注入された前記流体を、前記第1流体袋に移動させることで前記第1流体袋を加圧する、血圧情報測定装置。
【請求項4】
前記第1流体袋と前記第3流体袋とを、弁を介して接続する接続手段をさらに備え、
前記第1制御手段は、
前記第3流体袋を加圧する過程では前記弁を閉塞し、
前記第3流体袋の加圧の後に前記第1流体袋を加圧する際に、前記弁を開放することで、前記第3流体袋に注入された前記流体を前記第1流体袋に移動させる、請求項3に記載の血圧情報測定装置。
【請求項5】
前記第1制御手段は、前記第1流体袋を所定圧となるように加圧を制御する、請求項1〜4のいずれかに記載の血圧情報測定装置。
【請求項6】
前記接続手段はオリフィスを含み、
前記第1制御手段は、前記第1流体袋に前記流体の移動中に、前記第1流体袋の圧力が前記所定圧に達した時点で前記流体の移動を終了する、請求項5に記載の血圧情報測定装置。
【請求項7】
前記第1流体袋に流体を注入する注入手段をさらに備え、
前記第1制御手段は、前記流体の移動後の前記第1流体袋の圧力が前記所定圧よりも低い場合に、前記注入手段で前記所定圧となるよう前記流体を注入して加圧調整する、請求項5または6に記載の血圧情報測定装置。
【請求項8】
前記第1流体袋から流体を排出する排出手段をさらに備え、
前記第1制御手段は、前記流体の移動後の前記第1流体袋の圧力が前記所定圧よりも高い場合に、前記排出手段で前記所定圧となるよう前記流体を排出して減圧調整する、請求項5〜7のいずれかに記載の血圧情報測定装置。
【請求項9】
前記第2流体袋から流体を排出して減圧する減圧手段と、
前記加圧手段および前記減圧手段を制御して前記第2流体袋の内圧を制御する第2制御手段とをさらに備え、
前記測定手段は、前記第2流体袋の加圧過程における内圧変化に基づいて前記血圧値を算出し、
前記第1制御手段は、前記血圧値が算出された後に前記第1流体袋を加圧し、
前記第2制御手段は、前記第1流体袋の加圧後、前記検出手段で前記脈波が検出されるまで、前記第2流体袋の内圧を維持し、前記脈波が検出された後、前記減圧手段にて、前記第2流体袋の内圧を減圧させる、請求項1〜8のいずれかに記載の血圧情報測定装置。
【請求項10】
前記脈波を解析して、動脈硬化度を判定するための指標を算出する算出手段をさらに備える、請求項1〜9のいずれかに記載の血圧情報測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2009−284965(P2009−284965A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138384(P2008−138384)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】