説明

血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計

【課題】寸法差のある被測定部位としての上腕への装着が容易でかつ上腕に対する確実な巻付けが測定の都度再現され得る血圧計用カフを提供する。
【解決手段】血圧計用カフ20は、上腕を支持可能な上腕支持台30と、上腕に対して巻き付けが可能な腕帯40とを備える。上腕支持台30は、上腕が宛がわれることによって上腕を支持する上腕支持面31aと、腕帯40の一端部を巻取り方向に引張することにより腕帯40の一端部寄りの部分を巻取り可能な巻取り機構と、巻取り機構による引張力に抗して巻取り機構から引き出された状態の腕帯40の他端部寄りの部分を係止可能なフック36とを含む。上腕支持台30にて支持された上腕は、フック36によって腕帯40の他端部寄りの部分が係止された状態において、上腕支持面31aと巻取り機構から引き出された部分の腕帯40とによって締付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧値の測定のために上腕に装着されて使用される血圧計用カフ(以下、単にカフとも称する)およびこれを備えた血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、血圧値の測定に際しては、生体内部に位置する動脈を圧迫するための流体袋を内包するカフを生体の体表面に巻き付け、巻き付けた流体袋を膨張・収縮させることによって動脈内に生じる動脈圧脈波の検出を行い、これに基づいて血圧値の測定が行なわれる。ここで、カフとは、内腔を有する帯状の構造物であって生体の一部に巻付けが可能なものを意味し、気体や液体等の流体を内腔に注入することにより流体袋を膨張・収縮させて血圧値の測定に利用されるもののことを指す。なお、カフが装着される生体の被測定部位としては、一般的に上腕が採用されることが多く、特に腕に巻き付けられて使用されるカフは、腕帯あるいはマンシェットとも呼ばれる。
【0003】
血圧計は、その構成の違いに基づき、カフと本体とが一体化された構成の血圧計と、カフと本体とが分離された構成の血圧計とに大別される。カフと本体とが一体化された構成の血圧計においては、本体に被測定部位を挿入するための中空開口部が形成され、この中空開口部を取り囲むように本体にカフが併設された構造が採用される。一方、カフと本体とが分離された構成の血圧計においては、カフに内包される流体袋としての空気袋を膨縮させるための膨縮機構(通常は加圧ポンプや排気弁等)が本体に設けられ、カフに内包された空気袋と本体に設けられた膨縮機構とが可撓性のエア管によって接続された構造が採用される。
【0004】
カフと本体とが一体化された構成の血圧計としては、たとえば特開2005−237427号公報(特許文献1)に開示されたものがある。カフと本体とが一体化された構成の血圧計においては、カフの巻付けのための駆動機構等をカフが併設された本体に比較的容易に設けることができ、本体に設けられた中空開口部に被測定部位を挿入するだけでカフの装着および血圧値の測定が自動的に行なえる構成とすることができる。したがって、カフと本体とが一体化された構成の血圧計は、カフの着脱が非常に容易に行なえるという点で優れたものであると言える。しかしながら、その反面、カフと本体とが一体化された構成の血圧計は、必然的に装置が大型化してしまうといった問題や装置構成が複雑となって製造コストが増大するといった問題、測定可能な被測定部位の大きさの範囲が装置構成によって限定されてしまうため、被測定部位の大きさを考慮してあらゆる人に幅広く対応するためには、上述した中空開口部の大きさが異なるように設定された複数の装置を揃えて準備しておく必要があるといった問題などを有していた。
【0005】
これに対し、カフと本体とが分離された構成の血圧計においては、カフを本体から分離することによってカフを比較的小型に構成することができるため、収納性に優れたものとすることができ、また様々な使用環境下においても使い勝手のよい血圧計とすることができる。しかしながら、カフと本体とが分離された構成の血圧計においては、一般にカフの装着作業が被験者等の人の手に委ねられているため、被測定部位に対するカフの確実な巻付けが測定の都度必ずしも再現されるとは限らない。血圧値をより精度よく安定的に測定するためには、カフが被測定部位に対して確実に巻付けられていることが必要であり、この点においてカフと本体とが分離された構成の血圧計は依然として改善の余地を有するものであった。
【0006】
そこで、カフと本体とが分離された構成の血圧計において再現性よくカフが確実に被測定部位に巻付けられることとなるように、従来より種々の構成のカフが提案されている。たとえば特開昭61−238229号公報(特許文献2)や特開2002−209858号公報(特許文献3)等には、空気袋に加えてカーラと呼ばれる可撓性部材を内部に収容した構成のカフが開示されている。カーラは、カフの環状形態を保持するためにカフの内部に収容されるものであり、カフの内部において空気袋の外側に環状に巻き回されて配置されることにより、カフを径方向に弾性変形可能に構成するものである。このようなカーラを備えたカフにおいては、装着後においてカーラによって空気袋が被測定部位に対して適度な押圧力にて押し付けられて固定されるため、被測定部位に対する確実な空気袋の固定が再現されるようになる。
【0007】
しかしながら、カーラを内包させたカフであっても、上述したカフと本体とが一体化された血圧計に比べてその巻付け作業が煩雑になるという問題を有している。これは、カフの装着時において確実に空気袋が被測定部位に押圧されることとなるように、非装着時におけるカーラの形状が被測定部位よりも縮径した状態になるようにカーラが構成されていることに起因する。すなわち、カフの装着に際しては、一旦、縮径状態にあるカーラを押し広げて被測定部位に装着させる必要があり、この押し広げる作業が煩雑さの原因となっていた。特に、家庭用の血圧計においては、被験者自らがカフを一方の腕に巻き付けることが必要となるため、装着の際には他方の手しか使用できず、片手で縮径状態にあるカフを押し広げて腕に装着する作業は、ある程度の慣れが必要なものであった。また、カフと本体とが一体化された血圧計と同様に、測定可能な被測定部位の大きさの範囲がカフの大きさによって限定されてしまうため、被測定部位の大きさを考慮してあらゆる人に幅広く対応するためには、大きさの異なる複数のカフを揃えて準備しておく必要があるといった問題も有していた。
【特許文献1】特開2005−237427号公報
【特許文献2】特開昭61−238229号公報
【特許文献3】特開2002−209858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上において説明したように、従来の血圧計用カフにあっては、装着の容易性と巻き付けの再現性の両立が必ずしも実現されているとは言えず、この点において依然として改良の余地があるものであった。また、従来の血圧計用カフにあっては、測定可能な被測定部位としての上腕の大きさの範囲が限定されてしまうといった問題も有しており、この点についての改良も必要であった。
【0009】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、幅広い寸法差のある被測定部位としての上腕への装着が容易でかつ上腕に対する確実な巻付けが測定の都度再現され得る血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に基づく血圧計用カフは、血圧値測定のために上腕に装着されて使用されるものであって、載置面に載置された状態において上腕が支持可能となる上腕支持台と、上記上腕支持台にて上腕が支持された状態において上腕に対して巻き付けが可能となる長尺帯状の腕帯とを備えている。上記腕帯は、膨張することによって上腕を圧迫する流体袋を含んでおり、上記上腕支持台は、上腕が宛がわれることによって上腕を支持する上腕支持面と、上記腕帯の長手方向の一端部を巻取り方向に引張することにより上記腕帯の上記一端部寄りの部分を巻取り可能な巻取り機構と、上記巻取り機構による引張力に抗して上記巻取り機構から引き出された状態の上記腕帯の長手方向の他端部寄りの部分を係止可能な係止部とを含んでいる。当該血圧計用カフにあっては、上記係止部によって上記腕帯の上記他端部寄りの部分が係止された状態において、上記上腕支持台にて支持された上腕が上記上腕支持面と上記巻取り機構から引き出された部分の上記腕帯とによって締付け可能に構成されている。
【0011】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記上腕支持台が載置面に載置された状態において上記上腕支持面が傾斜することとなるように、上記上腕支持面が上記上腕支持台の上部に傾斜して設けられていることが好ましい。
【0012】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記上腕支持台が上記上腕支持面に上腕が宛がわれた状態において肘が載置可能となる肘置きをさらに含んでいることが好ましい。
【0013】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記巻取り機構が上記腕帯の上記一端部が固定された巻取りローラと上記巻取りローラを巻取り方向に付勢する付勢手段とを有していることが好ましい。
【0014】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記巻取り機構が上記上腕支持台の内部に配設されていえることが好ましく、その場合には、上記上腕支持台が上記腕帯の上記他端部寄りの部分が引き出される腕帯引き出し口をさらに含んでいることが好ましい。
【0015】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記係止部および上記腕帯引き出し口が上記上腕支持面を挟む位置に設けられていることが好ましい。
【0016】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記腕帯が上記巻取り機構によって可能な限り巻き取られた状態において、上記腕帯の上記他端部寄りの部分が所定の長さだけ上記腕帯引き出し口から引き出されていることが好ましい。
【0017】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記上腕支持台が、上記腕帯が上記巻取り機構によって可能な限り巻き取られた状態において上記腕帯引き出し口から引き出されている上記腕帯の上記他端部寄りの部分を起立させるガイド部をさらに含んでいることが好ましい。
【0018】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記上腕支持台が、上記腕帯の上記巻取りローラからの引き出しを不能とするロック機構をさらに含んでいることが好ましい。
【0019】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記ロック機構が上記係止部による上記腕帯の係止に連動して作動していることが好ましく、その場合に、上記係止部によって上記腕帯が係止された状態においてのみ上記腕帯の上記巻取りローラからの引き出しが不能となるように構成されていることが好ましい。
【0020】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記腕帯の上記他端部寄りの部分に穴部が設けられていることが好ましく、その場合に、上記係止部が上記穴部に掛合可能なフック部にて構成されていることが好ましい。
【0021】
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記穴部が平面視略円形状であることが好ましく、その場合に、上記フック部が略円柱形状を有していることが好ましい。
【0022】
本発明に基づく血圧計は、上述のいずれかの血圧計用カフと、上記流体袋を膨縮させる膨縮機構と、上記流体袋内の圧力を検知する圧力検知部と、上記圧力検知部によって検知された圧力情報に基づいて血圧値を算出する血圧値算出部とを備えている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、幅広い寸法差のある被測定部位としての上腕への装着が容易でかつ上腕に対する確実な巻付けが測定の都度再現され得る血圧計用カフおよび血圧計とすることができる。したがって、当該血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計を用いて血圧値を測定することにより、血圧値を精度よく安定的に測定することが可能になるとともに、上腕の大きさの如何を問わずにその測定ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態における血圧計は、被測定部位として上腕を採用したいわゆる上腕式の血圧計であり、当該血圧計に具備されるカフは、上腕に装着されることが企図されたものである。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における血圧計の外観構造を示す図である。まず、この図1を参照して、本実施の形態における血圧計の外観構造について説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態における血圧計1は、本体10、カフ20およびエア管70を主として備えている。本体10は、測定時においてテーブル等の載置面に載置されて使用されるものであり、上面に表示部14および操作部16を有している。カフ20は、測定時においてテーブル等の載置面に載置された状態で上腕に装着されて使用されるものであり、上腕支持台30と腕帯40とによって構成されている。エア管70は、分離して構成された本体10とカフ20とを連結する部材であり、可撓性のチューブにて構成されている。
【0027】
カフ20の上腕支持台30は、測定時に置いて上腕が宛がわれることとなる上腕支持面31aを含むケース体31と、ケース体31の下方に設けられた台座部32と、ケース体31の下端前方に設けられた肘置き33と、ケース体31の一方の側面に付設されたガイド部34とを主として有している。カフ20の腕帯40は、長尺帯状の部材からなり、その長手方向の一端部寄りの部分がケース体31の内部に位置しており、他端部寄りの部分がケース体31の上面側端部に設けられた腕帯引き出し口31dからケース体31の外部へと引き出されている。なお、カフ20の詳細な構造については、後述することとする。
【0028】
図2は、図1に示す血圧計の機能ブロックの構成を示す図である。次に、この図2を参照して、本実施の形態における血圧計の機能ブロックの構成について説明する。
【0029】
図2に示すように、本体10は、上述した表示部14および操作部16に加え、制御部11と、メモリ部12と、電源部18と、加圧ポンプ61と、排気弁62と、圧力センサ63と、加圧ポンプ駆動回路64と、排気弁駆動回路65と、増幅器66と、A/D(Analog/Digital)変換回路67とを有している。一方、カフ20は、空気袋45と、巻取りローラ50とを主として有している。
【0030】
制御部11は、たとえばCPU(Central Processing Unit)にて構成され、血圧計1の全体を制御するための手段である。メモリ部12は、たとえばROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)にて構成され、血圧値測定のための処理手順を制御部11等に実行させるためのプログラムを記憶したり、測定結果等を記憶したりするための手段である。表示部14は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)にて構成され、測定結果等を表示するための手段である。操作部16は、被験者等による操作を受付けてこの外部からの命令を制御部11や電源部18に入力するための手段である。電源部18は、制御部11に電源としての電力を供給するための手段である。
【0031】
制御部11は、加圧ポンプ61および排気弁62を駆動するための制御信号を加圧ポンプ駆動回路64および排気弁駆動回路65に入力したり、測定結果としての血圧値をメモリ部12や表示部14に入力したりする。また、制御部11は、圧力センサ63によって検出された圧力値に基づいて被験者の血圧値を算出する。したがって、制御部11は、血圧値算出部としての機能も有している。この制御部11によって取得された血圧値が、測定結果として上述したメモリ部12や表示部14に入力される。なお、血圧計1は、測定結果としての血圧値を外部の機器(たとえばPC(Personal Computer)やプリンタ等)に出力する出力部を有していてもよい。出力部としては、たとえばシリアル通信回線や各種の記録媒体への書込み装置等が利用可能である。
【0032】
空気袋45は、装着状態において上腕を圧迫するための流体袋であり、上述したエア管70を介して後述するエア系コンポーネント60に接続されている。空気袋45は、上述した腕帯40に内包されている。巻取りローラ50は、上述した腕帯40を巻き取るための巻取り機構の一部を構成するものであり、上述した上腕支持台30に設けられている。
【0033】
加圧ポンプ駆動回路64は、制御部11から入力された制御信号に基づいて加圧ポンプ61の動作を制御する。排気弁駆動回路65は、制御部11から入力された制御信号に基づいて排気弁62の開閉動作を制御する。増幅器66は、圧力センサ63の出力値を増幅し、A/D変換回路67に入力する。A/D変換回路67は、増幅器66から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部11に入力する。
【0034】
加圧ポンプ61は、空気袋45の内腔に空気を供給するためのものであり、その動作が上述した加圧ポンプ駆動回路64によって制御される。排気弁62は、空気袋45の内部の圧力(以下、「カフ圧」とも称する)を維持したり、空気袋45の内部の空間を外部に開放するためのものであり、その動作が上述した排気弁駆動回路65によって制御される。圧力センサ63は、空気袋45の内部の圧力に応じた出力値を増幅器66に入力する。なお、これら構成要素のうち、加圧ポンプ61、排気弁62および圧力センサ63が上述したエア系コンポーネント60に相当し、特に加圧ポンプ61と排気弁62が空気袋45を膨縮させる膨縮機構に相当する。
【0035】
図3は、図1に示す血圧計の血圧値測定処理の流れを示すフローチャートである。次に、この図3を参照して、本実施の形態における血圧計における血圧値測定処理の流れについて説明する。このフローチャートに従うプログラムは、図2において示したメモリ部12に予め記憶されており、制御部11がメモリ部12からこのプログラムを読出して実行することにより、血圧値測定処理が実施される。
【0036】
まず、図3に示すように、カフ20を上腕100(図13等参照)に装着した被験者が血圧計1の操作部16を操作して電源オンの命令を入力すると、電源部18から制御部11に対して電源としての電力が供給され、これにより制御部11が駆動し、血圧計1の初期化が行なわれる(ステップS101)。次に、制御部11は、血圧値測定のために空気袋45の加圧を開始する(ステップS102)。具体的には、制御部11は、加圧ポンプ61を駆動してカフ圧を上昇させ、所定のカフ圧となるように空気袋45の加圧を行なう。
【0037】
次に、制御部11は、血圧値測定のために空気袋45の微速減圧を開始する(ステップS103)。具体的には、制御部11は、加圧ポンプ61の駆動を停止し、その後排気弁62の開放量を制御しつつ徐々に排気弁62を開放させる。また、その際、制御部11は、圧力センサ63によって検出されるカフ圧の変動を取得する。
【0038】
次に、制御部11は、微速減圧過程において得られたカフ圧の変動に基づいて血圧値を算出する(ステップS104)。つづいて、制御部11は、空気袋45を開放する(ステップS105)。具体的には、制御部11は、排気弁62を完全に開放し、空気袋45内の空気を外部へと排気させる。
【0039】
次に、制御部11は、ステップS104において得られた血圧値をメモリ部12および表示部14に出力し、メモリ部12において当該血圧値が測定結果として記憶され(ステップS106)、表示部14において上記測定結果としての血圧値が表示される(ステップS107)。ここで、表示部14は、収縮期血圧値および拡張期血圧値をたとえば数値として表示する。これら血圧値の記録、表示後において血圧計1は待機状態をとり、被験者の操作部16による電源オフの命令の入力を待って電源としての電力の供給を停止する。
【0040】
なお、以上において説明した測定方式は、空気袋の減圧時に脈波を検出して血圧値を算出するいわゆる減圧測定方式に基づいたものであるが、空気袋の加圧時に脈波を検出して血圧値を算出するいわゆる加圧測定方式を採用することも当然に可能である。
【0041】
図4および図5は、図1に示すカフの右側面図および左側面図であり、図6は、図1に示すカフの収納状態の外観を示す斜視図である。また、図7は、図1に示すカフの縦断面図であり、図8ないし図11は、それぞれ図7に示すVIII−VIII線、IX−IX線、X−X線およびXI−XI線に沿ったカフの断面図である。また、図12は、図1に示すカフのケース体の組付構造を示す分解斜視図である。次に、これら図4ないし図12および上述の図1を参照して、本実施の形態おけるカフの詳細な構造について説明する。
【0042】
図1、図4および図5を参照して、上述したように、本実施の形態におけるカフ20は、上腕支持台30と腕帯40とを備えている。上腕支持台30のケース体31は、略直方体形状を有しており、その上面に上腕支持面31aを有している。より詳細には、図12に示すように、ケース体31は、上面開口のケース31Aと当該ケース31Aの上面開口を閉塞する蓋31Bとによって構成されており、これらケース31Aと蓋31Bとが組付けられることによって箱状に構成されている。この箱状のケース体31の内部には、後述する巻取りローラ50等が収容されることになる。上腕支持面31aは、蓋31Bの上面に設けられ、上腕にフィットするようにその幅方向(すなわちケース体31の短辺と平行な方向)において僅かに湾曲した凹形状を有している。
【0043】
上腕支持台30の下方には台座部32が設けられており、ケース体31は、台座部32によって支持されている。上腕支持面31aは、上腕支持台30が水平な載置面に載置された状態において所定の角度で傾斜することとなるように、台座部32の下面に対して傾斜して設けられている。台座部32の下面には、載置面に載置された上腕支持台30が載置面上において滑ることを防止するための脚部32bが取付けられている。この脚部32bは、たとえばゴム等の高摩擦部材にて構成されている。
【0044】
ケース体31の下端前方でかつ台座部32の前方には、肘置き台33が位置している。肘置き台33は、その上面に肘載置面33aを有しており、肘載置面33aは、上述したケース体31に設けられた上腕支持面31aと実質的に連続するように設けられている。肘置き台33の下面には、台座部32の下面と同様に、載置面に載置された上腕支持台30が載置面上において滑ることを防止するための脚部33bが取付けられている。この脚部33bも、たとえばゴム等の高摩擦部材にて構成されている。
【0045】
図1および図6に示すように、肘置き台33は、ケース体31に対して回動可能に連結されている。そのため、カフ20は、図1に示す使用状態と図6に示す収納状態をとることになる。具体的には、ケース体31の下端に切り欠き部31cが設けられており、当該切り欠き部31cの両側面からこれら両側面を掛け渡すように軸部31c1(図7参照)が設けられており、肘置き台33の後端には、この軸部31c1に外挿されることによりケース体31に対して肘置き台33を回動可能に連結する連結部33cが設けられている。図6に示す収納状態においては、ケース体31の上腕支持面31aと肘置き台33の肘載置面33aとが対面した状態となるように肘置き台33が回転移動され、肘置き台33がケース体31上に配置されるようにする。これにより、カフ20の外形がコンパクトとなって収納に適した状態とすることができる。
【0046】
図1および図4に示すように、ケース体31の右側面側の上面側端部には、腕帯引き出し口31dが設けられている。この腕帯引き出し口31dは、上腕支持面31aが延びる方向(すなわちケース体31の長辺と平行な方向)に延びる細長のスリットにて構成されている。腕帯引き出し口31dからは、上述した腕帯40の長手方向の他端部42a寄りの部分が引き出されている。
【0047】
ケース体31の腕帯引き出し口31dが設けられた右側面には、腕帯引き出し口31dに並行してガイド部34が上腕支持面31aよりも上方に向けて突出するように設けられている。ガイド部34は、湾曲した板状の部材にて構成されており、その上端部の所定位置には、切り欠きが設けられることによって引っ掛け部43が設けられている。ガイド部34は、腕帯引き出し口31dから引き出された部分の腕帯40を起立させた状態(すなわち腕帯40の上記他方端41a側の部分が上方に向けて延びた状態)とするための支持枠である。より詳細には、腕帯引き出し口31dから引き出された部分の腕帯40は、腕帯40に接続された部分のエア管70をガイド部34の引っ掛け部43に引っ掛けることにより、起立した状態をとることになる。
【0048】
図1および図5に示すように、ケース体31の左側面には、ケース体31に対して上下方向に移動可能なスライド部材35が取付けられている。スライド部材35は、腕帯40の巻取りローラ50からの引き出しを不能とするロック機構の一部を構成するものであり、ケース体31に設けられたガイド溝(不図示)に案内されることにより、上下方向に所定の距離だけ移動可能に構成されている。スライド部材35の主面には、当該主面から側方に向けて突設されたフック36が設けられている。フック36は、後述する腕帯40に設けられた穴42を係止するための部位であり、その形状は略円柱状に構成されている。
【0049】
図7に示すように、ケース体31の内部には、上述した巻取りローラ50が収容されている。この巻取りローラ50は、ケース体31によって回転可能に軸支されている。巻取りローラ50には、腕帯40の長手方向の一方端41b(図9参照)が固定されており、これにより巻取りローラ50に腕帯40の一方端41b寄りの部分が巻付け可能に構成されている。
【0050】
図7および図8に示すように、腕帯40は、内部に空間を有する袋状カバー41と、袋状カバー41に内包された空気袋45とを有している。袋状カバー41および空気袋45は、いずれも展開した状態において平面視略矩形状を有しており、上述した巻取りローラ50によってその一部が巻取り可能とされている。
【0051】
袋状カバー41は、好適にはポリアミド(PA)、ポリエステル等の合成繊維からなる布地によって形成され、腕帯40を上腕に巻き付けた場合に上腕に接触することとなる内周側部分を構成する内側カバー部と、腕帯40を上腕に巻き付けた場合に上腕に非接触となる外周側部分を構成する外側カバー部とを含んでいる。袋状カバー41の内側カバー部は、好適には伸縮性に優れた部材にて構成され、袋状カバー41の外側カバー部は、好適には内側カバー部よりも伸縮性に乏しい部材にて構成される。これら袋状カバー41の内側カバー部と外側カバー部との結合には、溶着や縫合等が利用される。また、袋状カバー41は、その長手方向の他方端41a寄りの部分の幅方向の略中央部に穴42を有している。この穴42は、上述したケース体31の左側面に取付けられたスライド部材35のフック36に掛合するものであり、内側カバー部と外側カバー部とを貫通するように平面視略円形状に形成されている。
【0052】
空気袋45は、好適には樹脂シートを用いて形成された袋状の部材からなる。空気袋45は、腕帯40を上腕に巻き付けた場合に上腕側に位置することとなる内側シートと、腕帯40を上腕に巻き付けた場合に内側シートよりも外側に位置することとなる外側シートとを重ね合わせ、その周縁を溶着することにより袋状に形成されており、内部に膨縮空間46を有している。この膨縮空間46は、ニップル(不図示)を介して上述のエア管70に接続されており、上述の膨縮機構によってその加減圧が行なわれる。なお、空気袋45を構成する樹脂シートの材質としては、伸縮性に富んでおり溶着後において膨縮空間からの漏気がないものであればどのようなものでも利用可能である。このような観点から、樹脂シートの好適な材質としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、軟質塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、生ゴム等が挙げられる。
【0053】
図7および図12に示すように、巻取りローラ50は、シャフト51と、固定部材52とを主として備えている。シャフト51は、ケース体31の上腕支持面31aの延びる方向(すなわちケース体31の長辺と平行な方向)に延在しており、その両端にホイールを有している。
【0054】
図7および図9に示すように、固定部材52は略円筒状の部材からなり、シャフト51に外挿されて固定されている。当該固定部材52の周面の所定位置には、腕帯40の長手方向の一方端41bが固定されている。固定部材52は、シャフト51が回転することによって回転し、これにより巻取りローラ50によって腕帯40が巻き取られたり送り出されたりする。
【0055】
図7および図10に示すように、巻取りローラ50のケース体31の上端側に位置するホイールには、発条バネ53が取付けられている。この発条バネ53は、巻取りローラ50を巻取り方向に付勢するための付勢手段であり、巻取り機構の一部を構成する部材である。発条バネ53の内側端部53aは、上述したホイールに設けられた突出部51aの溝に嵌合しており、発条バネ53の外側端部53bは、発条バネ53を覆うようにケース体31に固定されたキャップ54の溝に嵌合している。これにより、巻取りローラ50は、発条バネ53の弾性力によって付勢された状態となり、腕帯40の上記一方端41bが発条バネ53の引張力によって巻取り方向に引っ張られることになる。
【0056】
図7および図11に示すように、巻取りローラ50のケース体31の下端側に位置するホイールには、歯付突出部55が設けられている。歯付突出部55は、腕帯40の巻取りローラ50からの引き出しを不能とするロック機構の一部を構成するものであり、その周面に後述するロック部材37に歯合可能な歯を有している。この歯付突出部55は、ケース体31に固定されたキャップ56によって覆われている。
【0057】
図11および図12に示すように、ケース体31の内部でかつ上述した歯付突出部55に隣接した位置には、ロック部材37が配設されている。ロック部材37は、腕帯40の巻取りローラ50からの引き出しを不能とするロック機構の一部を構成するものであり、その先端に上述した歯付突出部55の歯に歯合可能なロック部37aを有しており、ケース体31に設けられた支軸38によって回転可能に軸支されている。ロック部材37は、スライド部材35の上下動に伴って上述した支軸38周りに回転する。
【0058】
具体的には、ロック部材37の所定位置には、スライド部材35の所定位置に設けられたラッチ部35aのガイド溝35a1に係合するピン37bが設けられており、スライド部材35が上下動することに伴ってこのピン37bが上述したガイド溝35a1に案内されて移動することにより、ロック部材37が回転することになる。そして、図11に示すように、スライド部材35がその移動方向の下端位置にある場合には、ロック部材37のロック部37aと歯付突出部55の歯との歯合は解除され、スライド部材35がその移動方向の上端位置にある場合には、ロック部材37のロック部37aと歯付突出部55の歯とが歯合することになる(図14参照)。このロック部材37のロック部37aと歯付突出部55の歯との歯合により、巻取りローラ50はその回転が停止され、腕帯40の引き出しがそれ以上できなくなることとなる。
【0059】
図13は、本実施の形態における血圧計用カフを上腕に装着させた状態を示す斜視図であり、図14は当該装着状態における断面図である。なお、図14に示す断面は、上述した図11の断面と対応している。次に、これら図13および図14を参照して、上腕に本実施の形態におけるカフを装着した状態について説明するとともに、当該装着状態を実現するための装着動作について説明する。
【0060】
図13に示すように、上腕100にカフ20を装着するに際しては、まずカフ20をテーブル等の載置面200に載置し、収納位置にあった肘置き台33を回動させる。そして、上腕支持台30の上腕支持面31aに上腕100を宛がうとともに、肘置き台33の肘載置面33aに肘101を載せる。つづいて、ガイド部34によって支持されて起立姿勢にあった腕帯40の他方端41a寄りの部分をカフ20に装着される手とは異なる方向の手で把持し、腕帯40を引き出しながら上腕100に巻き回す。そして、図14に示すように、腕帯40の他方端41a寄りの部分に設けられた穴42をフック36に掛止させる。以上により、上腕支持台30にて支持された上腕100が、上腕支持面31aと上腕支持台30から引き出された部分の腕帯40とによって締付けられることになる。
【0061】
図13および図14に示す締付け状態においては、腕帯40の一方端41bが発条バネ53によって引っ張られた状態となっているため、腕帯40は上腕100に隙間なくぴったりとフィットした状態となり、また発条バネ53の引張力によって上腕100は適度に締付けられた状態となる。そのため、腕帯40に内包された空気袋45が確実に上腕に対して固定されることとなる。また、図14に示すように、腕帯40の他方端41a寄りの部分をフック36によって掛止させることにより、フック36が設けられたスライド部材35が上方(図中矢印A方向)に移動することにより、ロック部材37が回転してロック部37aが歯付突出部55の歯に歯合するため、腕帯40の引き出しがそれ以上できなくなる。そのため、血圧値の測定動作中においても空気袋45が膨張することによって腕帯40が上腕支持台30からそれ以上引き出されることがなく、測定動作中において常に腕帯40の上腕100に対する締付け長さが維持されることになる。したがって、空気袋45の膨張に伴う圧迫力が効率的に上腕100に対して作用することになり、迅速でかつ適切な上腕100の圧迫が行なわれるようになる。
【0062】
以上において説明した本実施の形態におけるカフ20とすることにより、上腕支持台30に上腕100を載置し、上腕100が載置された上腕支持台30から腕帯40を引き出して腕帯40をフック36に係止させるという非常に簡単な作業で上腕100へのカフ20の装着ができることになる。また、上述した本実施の形態におけるカフ20とすることにより、上述したように測定動作中において常に腕帯40の上腕100に対する締付け長さが維持されることになる。したがって、上記構成を採用することにより、上腕100への装着が容易でかつ上腕100に対する確実な巻付けが測定の都度再現され得る血圧計用カフとすることができる。
【0063】
また、上述の本実施の形態におけるカフ20にあっては、上腕支持台30がテーブル等の載置面200に載置された状態において上腕支持面31aが傾斜するとともに、上腕支持台30の上腕支持面31aに上腕が宛がわれた状態において肘置き台33の肘載置面33aに肘101が載置可能となるため、上腕支持面31aに対する上腕100の載置位置が肘置き台33に載置された肘101を基点として測定の都度再現されることとなる。また、上記構成とすることにより、肘101を肘置き台33に載置することで肘置き台33を肘101とテーブル等の載置面200とで挟み込む状態となるため、腕帯40の上腕100への装着動作の際にカフ20全体が載置面200の面上で移動してしまうおそれを解消できる。さらに、上記構成とすることにより、測定姿勢が自然で楽な姿勢になり、測定中において体動が生じ難くなって安定した血圧値測定が可能にもなる。
【0064】
また、上述の本実施の形態におけるカフ20にあっては、フック36と腕帯引き出し口31dが上腕支持面31aを挟む位置に設けられているため、上腕100に対するカフ20の装着状態において確実に上腕100が締付け可能となる。また、上述の本実施の形態におけるカフ20にあっては、腕帯40が巻取りローラ50によって可能な限り巻き取られた状態において、腕帯40の他方端41a寄りの部分が所定の長さだけ腕帯引き出し口31dから引き出された状態となっているとともに、引き出された部分の腕帯40がガイド部34によって起立した状態にあるため、より容易に腕帯40の巻付け作業が行なえることが可能となっている。
【0065】
また、上述の本実施の形態におけるカフ20にあっては、腕帯40に設けられた穴42が平面視略円形状であり、上腕支持台30に設けられたフック36が略円柱形状であるため、上腕100に腕帯40を巻き付けた状態において腕帯40がフック36を基点に僅かに回転することができる。そのため、上腕100の外形が完全な円柱形状になく中枢側から末梢側に向けてその径が変化する円錐台状である場合にも、腕帯40が多少上記係止部分を基点に回転することにより、上腕100に対してぴったりとフィットすることになる。したがって、上記構成を採用することにより、上腕100の形状の如何を問わず確実なフィット状態を得ることが可能なカフとすることができる。
【0066】
さらには、上述の本実施の形態におけるカフ20においては、腕帯40が上腕支持台30から必要な長さだけ引き出されて上腕100に締付けられる構成であるため、上腕100の外形が大きい人から小さい人まで上腕100の径の大きさの如何を問わずカフ20を装着できることになる。すなわち、本実施の形態におけるカフ20とすることにより、従来の血圧計において問題となっていた測定可能な上腕の大きさの範囲が装置構成やカフの大きさによって限定されてしまうといった問題が生じ得ず、腕帯40の長さを十分な長さに設定しておくことにより、幅広い寸法差のある上腕100に対して確実にカフ20が装着できることになる。したがって、使用者の体形を問わず常に腕帯40を上腕100に対してぴったりとフィットさせることが可能となる。
【0067】
このように、本実施の形態における血圧計用カフ20とすることにより、幅広い寸法差のある被測定部位としての上腕100への装着が容易でかつ上腕100に対する確実な巻付けが測定の都度再現され得る血圧計用カフとすることができる。したがって、当該血圧計用カフ20およびこれを備えた血圧計1とすることにより、血圧値を精度よく安定的に測定することが可能になるとともに、上腕100の大きさの如何を問わずにその測定が行なえる血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計とすることができる。
【0068】
なお、今回開示した上記一実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態における血圧計の外観構造を示す図である。
【図2】図1に示す血圧計の機能ブロックの構成を示す図である。
【図3】図1に示す血圧計の血圧値測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1に示すカフの右側面図である。
【図5】図1に示すカフの左側面図である。
【図6】図1に示すカフの収納状態の外観を示す斜視図である。
【図7】図1に示すカフの縦断面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線に沿ったカフの断面図である。
【図9】図7に示すIX−IX線に沿ったカフの断面図である。
【図10】図7にX−X線に沿ったカフの断面図である。
【図11】図7に示すXI−XI線に沿ったカフの断面図である。
【図12】図1に示すカフのケース体の組付構造を示す分解斜視図である。
【図13】図1に示す血圧計用カフを上腕に装着させた状態を示す斜視図である。
【図14】図1に示す血圧計用カフを上腕に装着させた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 血圧計、10 本体、11 制御部、12 メモリ部、14 表示部、16 操作部、18 電源部、20 カフ、30 上腕支持台、31 ケース体、31A ケース、31B 蓋、31a 上腕支持面、31d 腕帯引き出し口、31c1 軸部、31c 切り欠き部、32 台座部、32b 脚部、33 肘置き台、33a 肘載置面、33b 脚部、33c 連結部、34 ガイド部、35 スライド部材、35a ラッチ部、35a1 ガイド溝、36 フック、37 ロック部材、37a ロック部、37b ピン、38 支軸、40 腕帯、41 袋状カバー、41a 他方端、41b 一方端、42 穴、43 引っ掛け部、45 空気袋、46 膨縮空間、50 巻取りローラ、51 シャフト、51a 突出部、52 固定部材、53 発条バネ、53a 内側端部、53b 外側端部、54 キャップ、55 歯付突出部、56 キャップ、60 エア系コンポーネント、61 加圧ポンプ、62 排気弁、63 圧力センサ、64 加圧ポンプ駆動回路、65 排気弁駆動回路、66 増幅器、67 A/D変換回路、70 エア管、100 上腕、101 肘、200 載置面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧値測定のために上腕に装着されて使用される血圧計用カフであって、
載置面に載置された状態において上腕が支持可能となる上腕支持台と、
前記上腕支持台にて上腕が支持された状態において上腕に対して巻き付けが可能となる長尺帯状の腕帯とを備え、
前記腕帯は、膨張することによって上腕を圧迫する流体袋を含み、
前記上腕支持台は、上腕が宛がわれることによって上腕を支持する上腕支持面と、前記腕帯の長手方向の一端部を巻取り方向に引張することにより前記腕帯の前記一端部寄りの部分を巻取り可能な巻取り機構と、前記巻取り機構による引張力に抗して前記巻取り機構から引き出された前記腕帯の長手方向の他端部寄りの部分を係止可能な係止部とを含み、
前記係止部によって前記腕帯の前記他端部寄りの部分が係止された状態において、前記上腕支持台にて支持された上腕が、前記上腕支持面と前記巻取り機構から引き出された部分の前記腕帯とによって締付け可能となる、血圧計用カフ。
【請求項2】
前記上腕支持台が載置面に載置された状態において前記上腕支持面が傾斜することとなるように、前記上腕支持面が前記上腕支持台の上部に傾斜して設けられている、請求項1に記載の血圧計用カフ。
【請求項3】
前記上腕支持台は、前記上腕支持面に上腕が宛がわれた状態において肘が載置可能となる肘置きをさらに含んでいる、請求項1または2に記載の血圧計用カフ。
【請求項4】
前記巻取り機構は、前記腕帯の前記一端部が固定された巻取りローラと、前記巻取りローラを巻取り方向に付勢する付勢手段とを有している、請求項1から3のいずれかに記載の血圧計用カフ。
【請求項5】
前記巻取り機構は、前記上腕支持台の内部に配設されており、
前記上腕支持台は、前記腕帯の前記他端部寄りの部分が引き出される腕帯引き出し口をさらに含んでいる、請求項1から4のいずれかに記載の血圧計用カフ。
【請求項6】
前記係止部および前記腕帯引き出し口が、前記上腕支持面を挟む位置に設けられている、請求項5に記載の血圧計用カフ。
【請求項7】
前記腕帯が前記巻取り機構によって可能な限り巻き取られた状態において、前記腕帯の前記他端部寄りの部分が、所定の長さだけ前記腕帯引き出し口から引き出されている、請求項5または6に記載の血圧計用カフ。
【請求項8】
前記上腕支持台は、前記腕帯が前記巻取り機構によって可能な限り巻き取られた状態において前記腕帯引き出し口から引き出されている前記腕帯の前記他端部寄りの部分を起立させるガイド部をさらに含んでいる、請求項7に記載の血圧計用カフ。
【請求項9】
前記上腕支持台は、前記腕帯の前記巻取りローラからの引き出しを不能とするロック機構をさらに含んでいる、請求項1から8のいずれかに記載の血圧計用カフ。
【請求項10】
前記ロック機構は、前記係止部による前記腕帯の係止に連動して作動し、前記係止部によって前記腕帯が係止された状態においてのみ前記腕帯の前記巻取りローラからの引き出しを不能とする、請求項9に記載の血圧計用カフ。
【請求項11】
前記腕帯の前記他端部寄りの部分には、穴部が設けられており、
前記係止部が、前記穴部に掛合可能なフック部にて構成されている、請求項1から10のいずれかに記載の血圧計用カフ。
【請求項12】
前記穴部は、平面視略円形状であり、
前記フック部は、略円柱形状を有している、請求項11に記載の血圧計用カフ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の血圧計用カフと、
前記流体袋を膨縮させる膨縮機構と、
前記流体袋内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記圧力検知部によって検知された圧力情報に基づいて血圧値を算出する血圧値算出部とを備えた、血圧計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−225862(P2009−225862A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71932(P2008−71932)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】