説明

血圧計用カフ

【課題】リング状部材から被測定部への圧迫感を緩和するとともに、リング状部材よりも先端側の折れ曲がりを防止することのできる血圧計用カフを提供する。
【解決手段】本発明の血圧計用カフ10は、帯状に形成されたカフ本体50と、カフ本体50の内部に支持された膨張袋56と、カフ本体50の基端から所定の距離を持ってカフ本体50に保持されるとともにカフ本体50の先端部が差し込まれるリング状部材52と、リング状部材52の保持位置よりも基端側のカフ本体50とリング状部材52側とを連結する取付部材54を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血圧計用カフに係り、特にカフの端部近傍に設けられたリング状部材にカフの他方の端部を通して折り返すことによってカフを装着する血圧計用カフに関する。
【背景技術】
【0002】
血圧計として、上腕部や手首等に装着される血圧計用カフ(以下、カフ)を備えたものが知られている。カフの内部には膨張袋が設けられており、この膨張袋に加圧空気が送り込まれる。これにより、膨張袋で阻血を行うことができ、血圧を測定することができる。
【0003】
カフの装着方法はいくつかあるが、たとえば折り返し装着タイプのカフは、長手方向の縁にリング状部材が設けられており、そのリング状部材にカフの他方の端部を差し込んで折り返すことによって、被測定部への装着が行われる(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような構成のカフは、リング状部材がカフの縁に配置されているため、リング状部材の感触が被測定部にダイレクトに伝わるという問題があった。さらに、被測定部が想定よりも細く、膨張袋が1周してリング状部材の外側に出てしまった場合には、外側の膨張袋が膨張することによって、被測定部がカフとともにリング状部材に引き込まれるおそれがあった。
【0005】
これに対して、特許文献2のカフは、縁から離れた位置にリング状部材が取り付けられている。このため、リング状部材の内側にもカフが配置されるので、リング状部材による被測定部への圧迫を緩和することができる。また、被測定部がリング状部材に引き込まれることを、リング状部材の内側に配置されたカフによって防止することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献2のカフは、リング状部材よりも端部側が内側に折れ曲がってしまうことがあり、折れ曲がってしまった場合には測定精度が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−130331
【特許文献2】特開2002−51994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、リング状部材による被測定部の圧迫やリング状部材への被測定部の引き込みを防止でき、さらには、リング状部材よりも端部側の折れ曲がりを防止することのできる血圧計用カフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、被測定部に巻き付けられる帯状のカフ本体と、前記カフ本体に支持された膨張袋と、前記カフ本体の基端から所定の距離を持って前記カフ本体の外周面に保持され、前記カフ本体の先端部が差し込まれるリング状部材と、を備えた血圧計用カフにおいて、前記リング状部材の保持位置よりも基端側の前記カフ本体と前記リング状部材側とを連結する連結手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、カフ本体の基端側が連結手段を介してリング状部材側に連結されるので、カフ本体の基端側は外周面側に支えられた状態であり、内周面側に折れ曲がることを防止できる。特に、カフ本体の先端部をリング状部材に差し込む際は、リング状部材を外側に立てるので、その動きに連動してカフ本体の基端側が外周面側に引っ張られる。したがって、装着時にカフ本体の基端側が内周側に折れ曲がることを防止することができる。
【0011】
請求項2の発明は請求項1の発明において、前記連結手段は、前記リング状部材を前記カフ本体の外周面に保持する保持部材と一体的に形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は請求項2の発明において、前記保持部材と前記連結手段は、重ね合わせた二枚の布材または折り返して重ね合わせた一枚の布材から成り、前記布材が中央部で縫い合わされることによって前記リング状部材が挿通される環状部が形成されるとともに、前記布材の両端部が前記カフ本体の外周面に縫い合わされることを特徴とする。このように布材を縫製することによって、保持部材と連結手段を一体的に作成することができる。
【0013】
請求項4の発明は請求項3において、前記リング状部材は、前記環状部に挿通される部分の断面が非円形であること特徴とする。このように断面が非円形のリング状部材を用いると、リング状部材を回動した際、カフ本体の基端側がリング状部材に連動し、カフ本体の基端側の折れ曲がりを確実に防止できる。
【0014】
請求項5の発明は請求項1〜4のいずれか1の発明において、前記膨張袋は、前記リング状部材の保持位置よりも基端側まで配置されることを特徴とする。これにより、リング状部材の被測定部側に膨張袋が配置されるので、リング状部材の感触が被測定部にダイレクトに伝わることを防止できる。
【0015】
請求項6の発明は請求項1〜5のいずれか1の発明において、前記リング状部材が前記カフ本体の短手方向にずれることを防止する位置ずれ防止手段を備えることを特徴とする。本発明によれば、位置ずれ防止手段が設けられているので、リング状部材がカフ本体の短手方向にずれることを防止することができる。また、リング状部材の位置がカフ本体の短手方向にずれることを防止したので、リング状部材の動作にカフ本体の基端側に連動し、カフ本体の基端側が内周面側に折れ曲がることを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カフ本体の基端側が連結手段を介してリング状部材側に連結されているので、カフ本体の基端側は連結手段によって外周面側に支えられており、内周面側に折れ曲がることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るカフが適用された血圧測定装置の概略構成を示す図
【図2】第1の実施形態のカフを示す平面展開図
【図3】取付部材の構成を模式的に示す断面図
【図4】カフの作用を説明する説明図
【図5】リング状部材の位置決め手段を備えたカフの説明図
【図6】図5と異なる位置決め手段を備えたカフの説明図
【図7】取付部材が異なるカフの平面展開図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に従って、本発明に係る血圧計用カフの好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の血圧計用カフ(以下、カフ)が適用された血圧測定装置の概略構成を示している。
【0019】
同図に示す血圧測定装置14は、被測定部12に装着したカフ10によって阻血をしながら血圧を自動的に計測する装置である。カフ10の構成は後で詳説するが、カフ10にはコネクタ16が設けられ、このコネクタ16に主配管18が接続されている。主配管18には空気ポンプ20と排気制御弁22が接続されており、空気ポンプ20によって空気を供給したり、排気制御弁22から空気を排出したりすることができる。
【0020】
また、主配管18は圧力センサ24に接続されており、この圧力センサ24によってカフ10内の膨張袋56(図2参照)の圧力値が検出される。圧力センサ24はローパスフィルタ26とバンドパスフィルタ28に接続されており、圧力センサ24から圧力信号SPが出力される。ローパスフィルタ26は圧力信号SPに基づいてカフ10の圧迫圧を表すカフ圧信号SKを生成し、バンドパスフィルタ28は生体の心拍に同期して発生する圧力振動の脈波信号SMを生成する。これらの信号SK、SMは、A/D変換器30を介して電子制御装置32に出力される。
【0021】
電子制御装置32は、所謂マイクロコンピュータであり、CPU34、RAM36、ROM38を備えており、CPU34がRAM36の記憶機能を利用しつつ、予めROM38に記憶されたプログラムに従って入力信号を処理するようになっている。この制御装置32によれば、空気ポンプ20、排気制御弁22をそれぞれ制御することができる。なお、電子制御装置32には、起動押釦スイッチ40が接続されており、この起動押釦スイッチ40から起動信号SSが出力される。また、電子制御装置32には表示部42が接続され、この表示部42に測定結果などが表示される。
【0022】
以上のように構成された血圧測定装置14によれば、起動押釦スイッチ40が操作されると、空気ポンプ20からカフ10に圧縮空気(気体)が供給される。これにより、カフ10内の膨張袋56(図2参照)が膨張し、膨張袋56内の圧力が急速昇圧する。そして、膨張袋56内の圧力値が目標昇圧値(予め最高血圧値よりも十分に高く設定された値)に到達した後、膨張袋56への供給が停止され、膨張袋56内の空気が徐々に排気される。その間、脈波信号SMの大きさの変化に基づいて最高血圧値および最低血圧値が決定され、表示部42に表示される。最後に膨張袋56内の空気が急速排気され、血圧測定が終了する。
【0023】
次に本実施の形態のカフ10について図2に基づいて説明する。図2は平面展開したカフ10の外周面を示している。
【0024】
同図に示すように、カフ10は主として、カフ本体50、リング状部材52、取付部材54、膨張袋56を備えている。カフ本体50は、帯状に形成された外布62と、その内側で略同形状の内布64(不図示)を重ねあわせ、その周囲に縁布66を配置し、これらを縫製することによって帯状且つ袋状に形成される。これらの外布62、内布64、縁布66の材質は特に限定するものではないが、可塑性を有するとともに比較的伸縮不能な素材、たとえば合成樹脂繊維布や不織布などが用いられる。なお、カフ本体50の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば外布62、内布64、縁布66以外の布材を用いてもよい。
【0025】
カフ本体50は、長手方向の一方側(図中左側)が一定幅で形成されるとともに、他方側(図中右側)が徐々に幅が狭くなるように形成されている。ここで、一定幅側(図2の左側)の端部を基端、徐々に狭くなる側(図2の右側)の端部を先端とする。
【0026】
カフ本体50の内部には、膨張袋56が設けられる。膨張袋56は、カフ本体50が一定幅の部分の内部に設けられており、その基端は後述するリング状部材52の保持位置を越えて配置されている。すなわち、膨張袋56は、リング状部材52の保持位置にも配置されている。膨張袋56の構成は図示しないが、たとえば相互に重ねられた外側シートと内側シートをその周縁部で高周波溶着や超音波溶着等によって気密に固着することによって構成される。また、膨張袋56の材質は特に限定するものではないが、軟質で可撓性を有するもの、例えば軟質ポリ塩化ビニルシートや天然或いは合成ゴムシート等で構成される。
【0027】
カフ本体50の外周面には、一対のファスナ68、70が設けられる。ファスナ68は先端側に設けられており、弾性変形可能な合成樹脂製の多数の鉤状突起を備えている。一方、ファスナ70は、ファスナ68の基端側にファスナ68よりも広い面積で形成されており、多数のループ状繊維を備えている。これらのファスナ68、70を重ね合わせることによって、ファスナ68、70が着脱自在に結合される。
【0028】
カフ本体50の先端にはチューブ72が設けられる。チューブ72は、外布62と内布64との間に配置されており、外布62と内布64を縫製することにより形成された袋状の収納空間の内部に配置されている。また、チューブ72は、ゴム等の弾性体から成り、押し潰すことによってリング状部材52に挿通することができ、且つ、自然の状態ではリング状部材52に挿通しないようになっている。したがって、チューブ72をリング状部材52に挿通させておくことによって、カフ本体50の先端部がリング状部材52から抜け落ちることを防止することができる。
【0029】
カフ本体50の基端近傍にはリング状部材52が設けられる。リング状部材52は、リング状に形成されており、その内側にはスリット状の開口部52A(図2、図4参照)が形成されている。開口部52Aの大きさや形状は特に限定するものではないが、カフ本体50の先端を挿通できるような大きさ、形状になっている。また、リング状部材52は、後述の取付部材54で保持される保持部分52B(図3、図4参照)の断面形状が長円状に形成されている。リング状部材52の保持部分52Bの断面形状は特に限定するものではないが、長円状や楕円形のような非円形とすることが好ましい。
【0030】
なお、リング状部材52の材質は特に限定するものではないが、金属や樹脂などを用いることができる。また、リング状部材52の形状は、リング状に限定されるものではなく、カフ本体50を先端側から挿通して係合できる形状であればよく、たとえばC状(すなわち一部が切り欠かれた形状)であってもよい。
【0031】
上記の如く構成されたリング状部材52は、取付部材54によってカフ本体50の外布62に保持されている。図3は取付部材54の断面を模式的に示している。なお、同図は、取付部材54の構成を分かり易く示すために、リング状部材52の一部を二点鎖線で示している。
【0032】
図3に示すように、取付部材54は、一枚の布材によって構成されており、この布材を折って重ね合わせた状態で使用される。具体的には、一枚の布材を折って二重にし、その両端の位置αでカフ本体50の外布62に縫製することによって取り付けられる。その際、取付部材54の基端側(図3左側)の端部は、カフ本体50の基端近傍に縫製される。
【0033】
取付部材54の中央部は、二ヶ所の位置βで平行に縫製され、環状部54Bが形成されている。この環状部54Bは、リング状部材52の保持部分52Bの外周と略同じ大きさになっており、リング状部材52の保持部分52Bに全周で密着するようになっている。
【0034】
このように構成された取付部材54は、リング状部材52をカフ本体50の外周面側に保持する保持手段として機能するとともに、カフ本体50の基端側とリング状部材52側とを連結する連結手段として機能する。すなわち、取付部材54は、環状部54Bの先端側部分54Aが前記保持手段として機能し、環状部54Bの基端側部分54Cが前記連結手段として機能する。換言すると、リング状部材52は、環状部54Bと先端側部分54Aによってカフ本体50に保持されており、カフ本体50は、リング状部材52の保持位置よりも基端側が、基端側部分54Cによってリング状部材52側(正確には環状部54B)に連結される。
【0035】
なお、上述した実施形態では、取付部材54として一枚の布材を二重に折り重ねて使用したが、これに限定するものではなく、二枚の布材を重ねて使用してもよい。また、本実施の形態では、取付部材54が二つの手段(すなわち、リング状部材52を保持する保持手段と、カフ本体50の基端側とリング状部材52とを連結する連結手段)を兼用する例であるが、これに限定するものではなく、両者を別部材として構成してもよい。さらに、本実施の形態では、取付部材54の基端側部分54Cをカフ本体50の基端近傍を連結したが、連結位置はリング状部材52の保持位置よりも基端側であればよく、たとえばカフ本体50の基端側の縁に連結するようにしてもよい。
【0036】
次に上記の如く構成されたカフ10の作用について図4に基づいて説明する。図4はカフ10の作用を説明する説明図であり、図4(a)は使用前の状態を示し、図4(b)は装着作業時の状態を示している。なお、これらの図において、取付部材54と空気袋56は太い実線で簡略的に示している。
【0037】
図4(a)に示すように、使用前の状態では、リング状部材52がカフ本体50の基端側に倒れ、カフ本体50に接触した状態になっている。カフ10を装着する際は、図4(b)に示すように、リング状部材52をカフ本体50に対して起こした状態にする。このとき、カフ本体50の基端は、取付部材54の基端側部分54Cによってリング状部材52側(正確には環状部54B)に連結されているので、外周面側に引っ張られる。したがって、カフ本体50の基端が内周側に折れ曲がることを防止できる。これに対して、従来の場合(すなわち、取付部材54の基端側部分54Cがなく、先端側部分54Aと環状部54Bしかない場合)には、カフ本体50の基端側はリング状部材52の保持位置で折れ曲がりやすくなる。本実施の形態では、上述したように、取付部材54の基端側部分54Cを設けてカフ本体54の基端側とリング状部材52側を連結するようにしたので、カフ本体50の基端が内周面側に折れ曲がることを防止することができる。
【0038】
図4(b)のようにリング状部材52を立てた後、そのリング状部材52の開口部52Aにカフ本体50の先端を挿入する。これにより、カフ本体50が環状になるので、その内側に被測定部12(図1参照)を挿入する。そして、被測定部12の所定の位置にカフ10を配置した後、カフ本体50の先端を引っ張ることによって、被測定部12にカフ本体50を密着させる。次いで、カフ本体50をリング状部材52の位置で折り返し、先端側のファスナ68をファスナ70に密着させる。これにより、カフ10が被測定部12に装着される。
【0039】
なお、カフ10の装着方法は上述した例に限定されるものではなく、たとえばカフ本体50の先端に抜け止め用のチューブ72がない場合は、最初にカフ本体50を被測定部12に巻き付け、その後にカフ本体50の先端をリング状部材52に挿通させてもよい。
【0040】
以上説明したように本実施の形態によれば、リング状部材52の保持位置よりも基端側のカフ本体50とリング状部材52側とが取付部材54により連結されているので、カフ本体50の基端が内周面側に折れ曲がることを防止することができる。特に本実施の形態では、リング状部材52の保持部分52Bに取付部材54の環状部54Bが密着し、さらにリング状部材52の保持部分52Bが断面非円形で形成されているので、リング状部材52を立てる動きに連動してカフ本体52の基端が取付部材54によって外周面側に引っ張られる。したがって、装着時にカフ本体50の基端が内周面側に折れ曲がることを確実に防止することができる。これにより、本実施の形態によれば、カフ本体50の基端が内周面側に折れ曲がった状態で装着されることがないので、高い測定精度を得ることができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、カフ本体50の内部に収納された膨張袋56がリング状部材52の保持位置にも配置されている。したがって、リング状部材52の内側(被測定部12側)には、膨張袋56が配置されており、リング状部材52の感触が被測定部12に直接的に伝わることを防止できる。すなわち、リング状部材52の内側に膨張袋56がない場合には、リング状部材52が直接的に被測定部12を押圧するという問題が生じるが、本実施の形態では、リング状部材52の内側に膨張袋56が配置されているので、このような問題の発生を防止できる。さらに、リング状部材52の内側に膨張袋56がない場合には、被測定部12が想定よりも細いと、膨張袋56が1周してリング状部材52からはみ出てしまい、膨張時に被測定部12がカフ本体50とともにリング状部材52に挟み込まれるおそれがあるが、本実施の形態では、リング状部材52の内側に膨張袋56が配置されているので、このような問題の発生を防止できる。
【0042】
なお、上述した実施形態は、リング状部材52をカフ本体50の幅方向に(すなわち、長手方向に直交するように)配置したが、これに限定するものではなく、幅方向に若干の傾きを持って配置するようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態において、リング状部材52をカフ本体50の幅方向(短手方向)に位置決めする位置決め手段を設けてもよい。図5の各図は、リング状部材52の位置決め手段を備えたカフの平面展開図(主要部のみ)を示している。たとえば、図5(a)に示す実施形態は、取付部材54に3つの貫通孔54Dが形成されており、リング状部材52にはこの貫通孔54Dに係合する3つの突起部52Dが形成されている。この突起部52Dが貫通孔54Dに係合することによって、リング状部材52が取付部材54に対して位置決めされるので、リング状部材52の位置が幅方向にずれることを防止できる。なお、図5(a)は、貫通孔54Dを突起部52Dよりも大きく示したが、略同じ大きさに形成し、嵌合させるようにしてもよい。また、図5(a)において、貫通孔54Dと突起部52Dの数は特に限定するものではないが、複数であることが好ましい。さらに、図5(a)において、リング状部材52に突起部52Dを設ける代わりに、リング状部材52と取付部材54とをビス等によって固定してもよい。
【0044】
図5(b)に示す実施形態では、リング状部材52の内側(開口部52A側)に2個の突起部52Eが形成されている。2個の突起部52Eは、取付部材54の幅寸法と略同じ間隔で配置されており、この突起部52Eに取付部材54の縁が係合するようになっている。この構成によれば、リング状部材52の突起部52Eに取付部材54が係合するので、リング状部材52の位置が幅方向にずれることを防止できる。
【0045】
なお、図5(b)の実施形態では、リング状部材52の内側に突起部52Eを形成したが、図5(c)に示すように外側に突起部52Fを形成してもよい。この場合にもリング状部材52の突起部52Eに取付部材54が係合するので、リング状部材52の位置が幅方向にずれることを防止できる。
【0046】
また、図6の各図に示すように、リング状部材52の形状や取付部材54の縫製位置を変えることによって、リング状部材52の位置決めを行うようにしてもよい。たとえば、図6(a)に示すリング状部材52は、保持部分52Bが幅方向の中央部で最も太くなるように形成されており、取付部材54はこの保持部分52Bの形状に合わせて二点鎖線γで示すように縫製されている。このように保持部分52Bの形状と取付部材54の縫製位置を変えることによって、リング状部材52を幅方向に位置決めすることができる。同様に、図6(b)に示すリング状部材52は、保持部分52Bが幅方向の中央部で一定の大きさで形成され、その両側で徐々に小さくなるように形成されており、取付部材54はこの保持部分52Bの形状に合わせて縫製されている。また、図6(c)に示すリング状部材52は保持部分52Bの先端側が半楕円形状に形成されており、取付部材54はこの保持部分52Bの形状に合わせて縫製されている。このようにリング状部材52の保持部分52Bが幅方向において変化するように形成し、その形状に合わせて取付部材54を縫製することによって、リング状部材52を取付部材54に対して位置決めすることができる。
【0047】
なお、上述した実施形態は、取付部材54の幅をカフ本体50の幅よりも小さくしたが、これに限定するものではなく、図7に示すように、カフ本体50と同じ幅に形成してもよい。この場合には、リング状部材52の開口部52Aの幅を取付部材54の幅と略等しく形成することによって、リング状部材52の位置が取付部材54に対して幅方向にずれることを防止できる。
【符号の説明】
【0048】
10…カフ、12…被測定部、14…血圧測定装置、16…コネクタ、18…主配管、20…空気ポンプ、22…排気制御弁、24…圧力センサ、26…ローパスフィルタ、28…バンドパスフィルタ、30…A/D変換器、32…電子制御装置、34…CPU、36…RAM、38…ROM、40…起動押釦スイッチ、42…表示部、50…カフ本体、52…リング状部材、52A…開口部、52B…保持部分、52D…突起部、52E…突起部、52F…突起部、54…取付部材、54A…先端側部分、54B…環状部、54C…基端側部分、54E…貫通孔、56…膨張袋、62…外布、64…内布、66…縁布、68…ファスナ、70…ファスナ、72…チューブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定部に巻き付けられる帯状のカフ本体と、
前記カフ本体に支持された膨張袋と、
前記カフ本体の基端から所定の距離を持って前記カフ本体の外周面に保持され、前記カフ本体の先端が差し込まれるリング状部材と、を備えた血圧計用カフにおいて、
前記リング状部材の保持位置よりも基端側の前記カフ本体と前記リング状部材側とを連結する連結手段を備えることを特徴とする血圧計用カフ。
【請求項2】
前記連結手段は、前記リング状部材を前記カフ本体の外周面に保持する保持部材と一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフ。
【請求項3】
前記保持部材と前記連結手段は、重ね合わせた二枚の布材または折り返して重ね合わせた一枚の布材から成り、前記布材が中央部で縫い合わされることによって前記リング状部材が挿通される環状部が形成されるとともに、前記布材の両端部が前記カフ本体の外周面に縫い合わされることを特徴とする請求項2に記載の血圧計用カフ。
【請求項4】
前記リング状部材は、前記環状部に挿通される部分の断面が非円形であること特徴とする請求項3に記載の血圧計用カフ。
【請求項5】
前記膨張袋は、前記リング状部材の保持位置よりも基端側まで配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の血圧計用カフ。
【請求項6】
前記リング状部材が前記カフ本体の短手方向にずれることを防止する位置ずれ防止手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の血圧計用カフ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate