説明

血圧計

【課題】計測器本体にゴム球を組み付けた血圧計において、ゴム球の取付け構造にネジ式構造を採用する場合に比べて、ゴム球の着脱作業を簡単かつ短時間で行えるようにする。
【解決手段】カフユニットにチューブを介して接続される血圧計本体を備える血圧計であって、血圧計本体は、本体ケースに固定状態で保持される受け入れ部材33を有し、ゴム球ユニットは、ゴム球に取り付けられた連結部材73を有する。受け入れ部材33は、一端を開口した筒部33aを有し、連結部材73は、可撓性を有する一対の係止片75aを有する。一対の係止片75aの各々は、凸状の引っ掛け部75eを有し、この引っ掛け部75eが、筒部33aの内部では係止片75aの撓み反力によって筒部33aの内面に接触し、筒部33aの開口縁では係止片75aの撓み反力の開放によって筒部33aの開口縁に引っ掛かるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧の測定に用いられる血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
血圧計の一つの形態として、血圧計本体とカフユニットをチューブで接続するとともに、血圧計本体にゴム球を組み付けたものがある。この種の血圧計を使用して血圧を測定する場合は、次のような手順をとる。まず、血圧測定の対象となる被測定者の腕にカフユニットを巻き付けて装着する。次に、ゴム球を繰り返し握り込むことで、血圧計本体側からチューブを通してカフユニットに空気を送り込む。そうすると、被測定者の腕がカフユニットによって締め付けられるため、その部分の動脈が圧迫されて血液の流れが止まる。次に、カフユニットから徐々に空気を抜いていく。そうすると、空気が抜けるにしたがってカフユニットによる締め付けが緩むため、再び血液が流れ始める。このとき、流れ始めた血液が血管にぶつかる音、すなわちコロトコフ音を、たとえば血圧計本体に内蔵のセンサで検出し、この検出結果に基づいて血圧の測定値(最高血圧値および最低血圧値)を得る。
【0003】
一般に、血圧測定に用いられるゴム球は、使用回数の増加や経時的な要因などによって弾力性等の特性が劣化する。このため、ゴム球は、ある程度の期間使用した段階で交換する必要がある。血圧計本体に対するゴム球の取付け構造としては、雄ネジと雌ネジを組み合わせた構造(以下、「ネジ式構造」)が知られている(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−75439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ゴム球をネジ式構造で取り付ける場合は、次のような問題があった。
すなわち、血圧計本体に対してゴム球を取り付ける場合は、その都度、ゴム球を手で握ってクルクルまわす必要がある。また、ゴム球を安定的に取り付けるには、ネジの長さをある程度長く確保する必要がある。そうすると、取付け時に必要となるゴム球をまわす回数が多くなる。このため、ゴム球の取付け作業が面倒になる。
【0006】
また、ゴム球はそれ自身、ゴム特有の柔軟な弾力性をもっている。このため、ゴム球を手でまわすときに、ゴム球が弾性変形を起こしやすい。ゴム球の弾性変形は、たとえば、実際に取付けを行う作業者に対して、「ゴム球をこれ以上強い力でまわしたら、ゴム球の取付け部分が破損してしまうのではないか」という心理的な圧迫感を与える。したがって、ゴム球を強くまわして固定するのに心理的なためらいが生じる。その結果、ゴム球の取付け部分の締付けが不十分になりやすいという欠点がある。また、その締付けが弱いと、その後の使用中に締付けが徐々にゆるむおそれがあり、それを避けるために強く締付けすぎると、今度は取り外すときの作業が困難になる。なぜなら、ゴム球を強く締め付けると、その分だけ取外しに必要とされる回転トルクが大きくなるからである。
【0007】
本発明の主な目的は、計測器本体にゴム球を組み付けた形態の血圧計において、ゴム球の取付け構造にネジ式構造を採用する場合に比べて、ゴム球の着脱作業を簡単かつ短時間で行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
血圧測定の対象となる被測定者の動脈の通過部位に巻かれるカフユニットと、
前記カフユニットにチューブを介して接続される血圧計本体とを備え、
前記血圧計本体は、
血圧測定の計測機能を有する計測器ユニットと、
前記カフユニットに前記チューブを介して空気を送り込むゴム球ユニットとを有し、
前記ゴム球ユニットは、
ゴム球と、
前記ゴム球を前記計測器ユニットに連結するために前記ゴム球に取り付けられた連結部材とを有し、
前記計測器ユニットは、
本体ケースと、
前記本体ケースに固定状態で保持されるとともに、前記連結部材を受け入れる受け入れ部材とを有し、
前記受け入れ部材は、一端を開口した筒部を有し、
前記連結部材は、前記受け入れ部材の筒部に挿入されるとともに、前記受け入れ部材の開口の径方向に可撓性を有する一対の係止片を有し、
前記一対の係止片の各々は、前記受け入れ部材の開口の拡径方向に凸状をなす引っ掛け部を有し、この引っ掛け部が、前記筒部の内部では前記係止片の撓み反力によって前記筒部の内面に接触し、前記筒部の開口縁では前記係止片の撓み反力の開放によって前記筒部の開口縁に引っ掛かるように構成されている
ことを特徴とする血圧計である。
【0009】
本発明の第2の態様は、
前記筒部は、この筒部の開口縁の一部に凹状に形成された一対の係着部を有し、
前記一対の係止片の各々は、それぞれに対応する前記一対の係着部に引っ掛かるように構成されている
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の血圧計である。
【0010】
本発明の第3の態様は、
前記一対の係止片の各々は、前記筒部の円周方向の一方側に位置して前記引っ掛け部の一端に形成されたテーパー部を有する
ことを特徴とする上記第1または第2の態様に記載の血圧計である。
【0011】
本発明の第4の態様は、
前記本体ケースの外面に、前記計測器ユニットから前記ゴム球を取り外すときの操作方向を表記する操作方向表記部が形成されている
ことを特徴とする上記第1、第2または第3の態様に記載の血圧計である。
【0012】
本発明の第5の態様は、
前記操作方向表記部は、前記操作方向を示す矢印と、操作の内容を示す文字との組み合わせによって形成されている
ことを特徴とする上記第4の態様に記載の血圧計である。
【0013】
本発明の第6の態様は、
前記連結部材は前記受け入れ部材を用いて前記本体ケースに接続され、この接続部分に位置して、前記連結部材と前記ケース本体とにそれぞれ目印が設けられている
ことを特徴とする上記第1〜第5のいずれか一つの態様に記載の血圧計である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、計測器本体にゴム球を組み付けた形態の血圧計において、ゴム球の取付け構造にネジ式構造を採用する場合に比べて、ゴム球の着脱作業を簡単かつ短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る血圧計の全体構成を示す概略図である。
【図2】血圧計本体の分解斜視図である。
【図3】(A)はアッパーケースユニットの分解斜視図であり、(B)はアッパーケースユニットの組立斜視図である。
【図4】(A)はアッパーケースユニットのケース半体を上側(表側)からみた斜視図であり、(B)はアッパーケースユニットのケース半体を下側(裏側)からみた斜視図である。
【図5】加圧補助部の機能を説明するための図である。
【図6】(A)は基板ユニットを上側からみたときの斜視図であり、(B)は基板ユニットを下側からみたときの斜視図である。
【図7】コネクタユニットの分解斜視図である。
【図8】コネクタユニットの組立遷移図である。
【図9】コネクタユニットの組立後の状態を示す図である。
【図10】(A),(B),(C)は受け入れ部材の構造を示す斜視図である。
【図11】(A),(B)はエアープラグの構造を示す斜視図である。
【図12】(A)はボトムケースユニットを上側からみた斜視図であり、(B)はボトムケースユニットを下側からみた斜視図である。
【図13】(A)はボトムケースユニットを上側からみたときの分解斜視図であり、(B)はボトムケースユニットを下側からみたときの分解斜視図である。
【図14】(A)〜(C)はゴム球ユニットの構成とその組立手順を示す斜視図である。
【図15】(A),(B),(C)は連結部材の構造を示す斜視図である。
【図16】血圧計本体の組立手順を説明する図(その1)である。
【図17】血圧計本体の組立手順を説明する図(その2)である。
【図18】血圧計本体の組立手順を説明する図(その3)である。
【図19】血圧計本体の組立手順を説明する図(その4)である。
【図20】血圧計本体の組立手順を説明する図(その5)である。
【図21】(A),(B)は血圧計本体の組立後の状態を示す図である。
【図22】(A)は血圧計本体のチューブ接続部分(図21のJ−J矢視部分)の構造を示す断面図であり、(B)はその斜視図である。
【図23】(A),(B)はエアープラグの首振り動作の一例を示す図である。
【図24】(A)はボトムケースユニットのケース半体の下面図であり、(B)はその部分拡大図である。
【図25】計測器ユニットにゴム球ユニットを装着するときの状態を示す斜視図である。
【図26】受け入れ部材と連結部材を結合するときの遷移図である。
【図27】計測器ユニットからゴム球ユニットを取り外すときの回転操作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.血圧計の全体構成
2.血圧計本体の構成
3.血圧計本体の組立手順
4.エアーコネクタとエアープラグの取付状態
5.受け入れ部材と連結部材の取付状態
6.実施の形態の効果
7.変形例
【0017】
<1.血圧計の全体構成>
図1は本発明の実施の形態に係る血圧計の全体構成を示す概略図である。まず、血圧計1の構成を容易に理解できるように、血圧計1の主な構成要素を列挙し、その後で、各構成要素の概要を説明する。
血圧計1は、血圧計本体2と、カフユニット3と、チューブ4とを備えた構成となっている。
【0018】
(血圧計本体の概要)
血圧計本体2は、血圧の測定に必要な種々の機能を有するものである。具体例を挙げると、血圧計本体2は、血圧の測定に必要な各種のセンサ機能や、血圧の測定結果や測定履歴などを表示する機能や、空気の給気および排気の機能、操作の機能などを有する。血圧計本体2は、血圧の測定を行う者(以下、「測定者」と記す)が手で持って扱えるようになっている。血圧計本体2の詳細については後述する。
【0019】
(カフユニットの概要)
カフユニット3は、血圧測定の対象となる被測定者の動脈の通過部位を圧迫するために用いられるものである。ここで記述する「動脈の通過部位」とは、被測定者の身体の一部であって、たとえば、腕、手首、足首、腿、指など、動脈を圧迫して血圧を測定可能な部位をいう。本実施の形態においては、一例として、被測定者の腕(一般的には上腕部)に巻かれるカフユニットを用いることとする。カフユニット3は、カフと呼ばれる、空気袋付きの血管圧迫帯を用いて構成されている。カフユニット3は、被測定者の腕を圧迫するために、被測定者の腕に巻き付けて使用される。カフは、全体が布等で覆われ、被測定者の腕に巻き付けたときに、たとえば、面ファスナーによって留め付けられるようになっている。ちなみに、血圧計1は、ひとりでも取り扱えるため、測定者と被測定者が同一人となることもあり得る。
【0020】
(チューブの概要)
チューブ4は、たとえば、ゴム製の細長いチューブを用いて構成されている。チューブ4は、血圧計本体2とカフユニット3との間で、血圧計本体2側からカフユニット3に空気を送り込む場合や、カフユニット3から血圧計本体2側に空気を取り込む場合に、両者の間で空気を行き来させるものである。
【0021】
<2.血圧計本体の構成>
以下、血圧計本体2の構成について詳しく説明する。
図2は血圧計本体の分解斜視図である。血圧計本体2は、大きくは、血圧の計測機能を有する計測器ユニット5と、この計測器ユニット5を介してカフユニット3に空気を送り込むゴム球ユニット6とから構成されている。
【0022】
(計測器ユニットの全体構成)
計測器ユニット5は、アッパーケースユニット7と、基板ユニット8と、コネクタユニット9と、ボトムケースユニット10とを備えた構成となっている。
以下、計測器ユニット5の各構成要素について説明する。
【0023】
(アッパーケースユニットの構成)
図3(A)はアッパーケースユニットの分解斜視図であり、同図(B)はアッパーケースユニットの組立斜視図である。また、図4(A)はアッパーケースユニットのケース半体を上側(表側)からみた斜視図であり、同図(B)はアッパーケースユニットのケース半体を下側(裏側)からみた斜視図である。
【0024】
アッパーケースユニット7は、計測器ユニット5の上側のケースを構成するものである。アッパーケースユニット7は、ケース半体11と、ディスプレイパネル12とを用いて構成されている。ケース半体11は、たとえば、樹脂の一体成形によって得られる成形体である。ケース半体11は全体的に平面視略矩形状に形成され、その矩形の一辺部から突出する状態で加圧補助部13が設けられている。
【0025】
ケース半体11には、図4(B)に示すように、バックライトセンサの穴14と、エアーコネクタ固定用の保持部15aと、エアープラグ固定用の保持部15bと、連結部材受け入れ部材固定用の保持部15cと、ネジ止め穴16と、基板押さえ用のボス17と、表示用の窓18と、操作用のボタン19が設けられている。
【0026】
穴14および保持部15a,15bは、ケース半体11の加圧補助部13とは反対側の一辺部に設けられている。保持部15cは、ケース半体11の加圧補助部13の付け根部分に設けられている。ネジ止め穴16は、窓18の周囲3箇所に設けられている。ボス17は、ケース半体11の四隅の1つに設けられている。窓18は、長方形の開口形状に形成されている。ボタン19は、血圧計1を使用するにあたって、たとえば、電源のオンオフの状態を切り替えたり、表示内容を変更したりするときに、使用者によって押下操作されるものである。ボタン19は、ケース半体11の加圧補助部13が設けられている側の一辺部に横並びに複数(図例では4つ)設けられている。
【0027】
加圧補助部13は、後述するゴム球の外面にならって湾曲するように形成されている。加圧補助部13の中央部には、楕円形の抜き孔13aが設けられている。加圧補助部13は、ゴム球を繰り返し握り込んで加圧するときに、血圧計本体2側の揺れを抑えるものである。実際の加圧作業では、測定者が手の親指とその付け根部分を加圧補助部13の外面(上面)にそえて、親指以外の4本の指でゴム球を握り込むようにする。そうすると、加圧補助部13が設けられていない場合に比較して、計測器ユニット5の、図5の矢印方向への揺れが抑えられる。また、測定者は、加圧補助部13にそえた親指の部分をささえにゴム球を握り込めるため、加圧の作業を楽に行うことができる。
【0028】
ディスプレイパネル12は、少なくともケース半体11の窓18に対応する部分が光を透過するように、たとえば、透明又は半透明な樹脂を用いて形成されている。ディスプレイパネル12は、窓18の開口寸法よりも大きな外形寸法をもって平面視略矩形状に形成されている。ディスプレイパネル12には、複数のボタン19の配列にあわせて長穴12aが形成されている。ディスプレイパネル12は、たとえば、外周部の複数箇所にわたって小さな爪部が設けられている。そして、ディスプレイパネル12は、それらの爪部を、それに対応してケース半体11に形成されたスリットに引っ掛けることにより、ケース半体11の上面に装着(固定)されるようになっている。この装着状態においては、ケース半体11の窓18がディスプレイパネル12によって覆われる。
【0029】
(基板ユニットの構成)
図6(A)は基板ユニットを上側からみたときの斜視図であり、同図(B)は基板ユニットを下側からみたときの斜視図である。基板ユニット8は、血圧測定に係る機能の一例として、表示機能、計測機能、操作機能などを備えるものである。基板ユニット8は、ベースとなるプリント配線基板20と、液晶表示部21と、押さえ爪22と、図示しないバックライトと、バックライトセンサ23と、複数のボス24と、圧力センサ25と、コネクタ26とを備えた構成となっている。
【0030】
プリント配線基板20は、先に例示した各種の機能を実現するための電気回路を構成するものである。プリント配線基板20には、たとえば、図示しないトランジスタ、スイッチ、抵抗器、コンデンサなどの電子部品が実装されている。プリント配線基板20の外周縁には、複数の切り欠き部20a,20bが形成されている。このうち、切り欠き部20aは、ラウンド形状に形成されるとともに、プリント配線基板20の3つの辺部にひとつずつの、計3つ設けられている。切り欠き部20bは、矩形状に形成されるとともに、プリント配線基板20のひとつの辺にひとつだけ設けられている。
【0031】
液晶表示部21は、たとえば、測定中の状況や測定結果、測定履歴などの測定関連情報を表示するものである。バックライトは、液晶表示部21に対して、当該液晶表示部21の背面側(裏側)から面状の光を照射するものである。
【0032】
押さえ爪22は、液晶表示部21の4辺のうちの一辺を2箇所にわたって押さえることにより、液晶表示部21を固定するものである。バックライトセンサ23は、周囲の明るさを検出し、周囲の明るさに応じてバックライトのオンオフを自動制御するためのセンサである。バックライトセンサ23は、前述した穴14(図3参照)を通して視認される。ボス24は、上述した操作用のボタン19に対応して設けられたものである。各々のボス24は、これに対応するボタン19が押下操作されたときに、当該押下操作の押圧力をもって図示しないスイッチをオン状態とするものである。圧力センサ25は、プリント配線基板20に実装されている。圧力センサ25は、後述するゴム球を用いて加圧される空気の圧力や、排気によって減圧される空気の圧力を検出するものである。コネクタ26は、電源からの給電を受けたり、測定用の電気信号をやり取りしたりするための中継端子である。
【0033】
(コネクタユニットの構成)
図7はコネクタユニットの分解斜視図である。また、図8はコネクタユニットの組立遷移図であり、図9はコネクタユニットの組立後の状態を示す図である。
【0034】
コネクタユニット9は、上述したチューブ4とゴム球ユニット6のゴム球とを空間的につなぐものである。コネクタユニット9は、コネクタ本体31と、逆止弁32と、受け入れ部材33と、エアーコネクタ34と、エアープラグ35とを用いて構成されている。
【0035】
コネクタ本体31は、全体に中空の筒状に形成されている。コネクタ本体31の内部には、中心軸方向に沿って細長い貫通穴が形成されている。コネクタ本体31の中心軸方向(長手方向)の一端部には、外径が縮小した縮径部36が一体に形成されている。コネクタ本体31の内径(貫通穴の穴径)は、図9(B)に示すように、中心軸方向のほぼ中間部から縮径部36に向かって徐々に小さくなっていて、縮径部36の形成部位ではほぼ一定の径になっている。
【0036】
コネクタ本体31の中心軸方向の他端側には装着部37が一体に形成されている。装着部37は、逆止弁32および受け入れ部材33を装着するために形成されたものである。装着部37は、段付き状に径が変化するように形成されている。装着部37の内径および外径は、コネクタ本体31の端にいくほど拡大している。そして、装着部37は、その最大の開口径をもってコネクタ本体31の端部に開口している。
【0037】
装着部37の開口部の内周縁には、複数の切り欠き部37a,37bが形成されている。複数の切り欠き部37a,37bは、コネクタ本体31の中心軸を挟んで相対向する2つの切り欠き部37aと、同じく相対向する2つの切り欠き部37bとを含んでいる。2つの切り欠き部37aの位置と、2つの切り欠き部37bの位置は、コネクタ本体31の中心軸まわりの円周方向で90度ずつずれている。
【0038】
また、コネクタ本体31には、2つの分岐部38a,38bが一体に形成されている。2つの分岐部38a,38bは、それぞれ中空構造をなすのである。2つの分岐部38a,38bは、コネクタ本体31の中心軸方向において、縮径部36と装着部37との間に並んで設けられている。すなわち、分岐部38aは縮径部36側に設けられ、分岐部38bは装着部37側に設けられている。各々の分岐部38a,38bは、コネクタ本体31の中心軸に直交する方向(コネクタ本体31の外径が拡大する方向)に突出する状態で円筒状に形成されている。
【0039】
逆止弁32は、装着部37の開口部を通してコネクタ本体31の内部に装着されるものである。逆止弁32は、コネクタ本体31の内部で空気の逆流を防止する機能を果たす。
【0040】
受け入れ部材33は、後述する連結部材(ゴム球ユニット6の一つの要素となる部分)を同軸状に受け入れる部材である。受け入れ部材33は、装着部37の段付き構造に対応して、断面円形の段付き状に形成されている。受け入れ部材33は、図10(A),(B),(C)に示すように、筒部33aと、シール装着部33bと、嵌合部33cと、つば部33dとを一体に有している。これらの筒部33a、シール装着部33b、嵌合部33cおよびつば部33dは、受け入れ部材33の中心軸方向に連続して形成されている。また、筒部33a、シール装着部33bおよび嵌合部33cは、それぞれ略円筒状に形成されている。
【0041】
筒部33aは、受け入れ部材33の中心軸方向の一方に突出する状態で形成されている。筒部33aのシール装着部33bとは反対側の一端部は、正面視円形に開口している。筒部33aの開口縁は、受け入れ部材33の中心軸まわりの円周方向において、主に4つの部分に区分されている。これら4つの部分のうち、2つの部分は、受け入れ部材33の中心軸方向に凹状にへこんだ係着部33eとなっており、他の2つの部分は、受け入れ部材33の中心軸方向で係着部33eよりも突出した案内部33fとなっている。図10(C)において、係着部33eは、図中上下方向で対をなして配置され、案内部33fは、図中左右方向で対をなして配置されている。また、上下一対の係着部33eの幅W1は互いに等しく設定されている。ただし、上側の係着部33eの形成位置は、受け入れ部材33の中心軸の位置に対して図中右側に片寄っており、下側の係着部33eの形成位置は、図中左側に片寄っている。また、筒部33aの外周面上には円周方向に90度ピッチで4つの突条部33gが形成されている。各々の突条部33gは、受け入れ部材33の中心軸方向に沿って筒部33aの外周面に断面凸形状に形成されている。
【0042】
筒部33aの内径および外径は、それぞれシール装着部33bの内径および外径よりも小さく設定されている。シール装着部33bは、後述するOリング39を装着する部分となる。シール装着部33bの内径および外径は、それぞれ嵌合部33cの内径および外径よりも小さく設定されている。嵌合部33cは、装着部37の内側に嵌合される部分となる。嵌合部33cの外周面上には、複数の凸部33h,33iが形成されている。
【0043】
さらに詳述すると、凸部33hは、前述した切り欠き部37b(図8参照)に対応して設けられたものであり、凸部33iは、前述した切り欠き部37a(図8参照)に対応して設けられたものである。2つの凸部33hは、受け入れ部材33の中心軸で直交する2つの軸のうち、第1の軸上に設けられ、他の2つの凸部33iは、第2の軸上に設けられている。また、2つの凸部33hの位置と、2つの凸部33iの位置は、受け入れ部材33の中心軸まわりの円周方向で90度ずつずれている。
【0044】
つば部33dは、嵌合部33cの外周面から受け入れ部材33の径方向に突出する状態で形成されている。つば部33dは、前述した装着部37に受け入れ部材33を装着したときに、装着部37の開口部につば部33dがちょうど重なり合うように、装着部37の開口縁の形状にあわせて形成されている。
【0045】
受け入れ部材33は、Oリング39を装着した状態でコネクタ本体31の装着部37に装着されるようになっている。Oリング39は、装着部37の内周部分とこれに対応する受け入れ部材33の外周部分との隙間部分からの空気漏れを防止する気密シール用の部材である。Oリング39は、受け入れ部材33のシール装着部33bに装着される。そして、Oリング39は、受け入れ部材33を装着部37に装着したときに、装着部37の内周側の段付き部分に押し付けられることにより、気密シール機能を果たす。
【0046】
エアーコネクタ34は、コネクタ本体31とエアープラグ35とをつなぐ部材である。エアーコネクタ34は、たとえば、熱可塑性エラストマー(TPE;Thermoplastic elastomer)などのゴム状弾性体によって構成されている。エアーコネクタ34をゴムで構成する場合は、このゴムの硬度として、たとえば、Hs(JISスプリング式)規格で70度程度のものを用いることが望ましい。
【0047】
エアーコネクタ34は、コネクタ本体31の縮径部36に差し込んで装着される。エアーコネクタ34は、当該エアーコネクタ34の中心軸方向に貫通した穴を有する、断面円形の中空構造になっている。エアーコネクタ34の外周面には2つのフランジ部40aが一体に形成されている。2つのフランジ部40aは、エアーコネクタ34の中心軸方向に隣り合う位置関係で形成されている。そして、2つのフランジ部40aの間に凹溝40bが形成されている。凹溝40bは、エアーコネクタ34の全周にわたって連続した溝構造になっている。また、フランジ部40の形成部位を境にエアーコネクタ34を第1のコネクタ部分34aと第2のコネクタ部分34bに区分すると、第1のコネクタ部分34aはコネクタ本体31側を向いて配置され、第2のコネクタ部分34bはエアープラグ35側を向いて配置されるようになっている。
【0048】
第1のコネクタ部分34a側の内径と、第2のコネクタ部分34b側の内径は、それぞれに対応する部分に適合するように、異なる径に設定されている。具体的には、第1のコネクタ部分34a側の内径は、コネクタ本体31の縮径部36の外径に対応して、たとえば縮径部36の外径よりも僅かに小さく設定されている。一方、第2のコネクタ部分34b側の内径は、後述するエアープラグ35の差し込み部44の外径に対応して、たとえば差し込み部44の外径よりも僅かに小さく設定されている。このように内外径の大小関係を設定する理由は、各々の嵌合部分からの空気の漏れを防止するためである。
【0049】
また、第1のコネクタ部分34aの外周面には目印41が形成されている。そして、この目印41に対応して、コネクタ本体31の外周面で、かつ縮径部36の近傍にも、目印42が形成されている。各々の目印41,42は、V字形に形成されている。そして、互いのV字形の先端部分(鋭角部分)を突き合わせた状態とすることで、コネクタ本体31に対するエアーコネクタ34の取り付けの方向性(向き)が適切な方向となるように設定されている。
【0050】
エアープラグ35は、前述したチューブ4を血圧計本体2に接続するための部材であって、血圧計本体2から突出した状態に配置される。エアープラグ35は、たとえば、樹脂の一体成形によって得られる成形体である。エアープラグ35は、チューブ4の挿入を容易に行えるように、たとえば、ABS樹脂などの硬質の樹脂を用いて構成される。このエアープラグ35には、図11(A),(B)にも示すように、差し込み部44と、複数の爪部45a,45bと、チューブ導入部46と、周溝47と、くびれ部48と、ストッパー部49とが一体に形成されている。エアープラグ35の内部には、このエアープラグ35を中心軸方向に貫通する細長い穴が形成されている。
【0051】
差し込み部44は、円筒状に形成されている。差し込み部44は、前述したエアーコネクタ34に差し込んで装着される部分である。複数の爪部45a,45bは、エアープラグ35の円周方向に4つに分割した状態で形成されている。このうち、2つの爪部45aは、エアープラグ35の中心軸を挟んで相対向する状態に配置されている。同様に、残り2つの爪部45bも、エアープラグ35の中心軸を挟んで相対向する状態に配置されている。各々の爪部45a,45bは、それ自身の弾性変形により、エアープラグ35の径方向に若干撓むようになっている。また、2つの爪部45aの端部は、それぞれ外向き(エアープラグ35の径が拡大する方向)に屈曲したフック構造になっている。
【0052】
チューブ導入部46は、前述したチューブ4の端部をエアープラグ35に装着するときに、チューブ4の差し込みを案内する部分である。チューブ導入部46は、先細の台形円錐形状に形成されている。また、チューブ導入部46の周溝47側の端部の外径は、チューブ4の内径よりも若干小さく設定されている。
【0053】
周溝47は、エアープラグ35の全周にわたって連続するように形成されている。周溝47は、エアープラグ35の中心軸方向において、チューブ導入部47とくびれ部48との間に形成されている。くびれ部48は、エアープラグ35の中心軸方向の略中間部で、かつ周溝47の隣に形成されている。くびれ部48は、エアープラグ35の外周面の一部をくびれさせることで形成されている。また、エアープラグ35の中心軸方向において、周溝47とくびれ部48との境界部分は、エアープラグ35の径方向に突出しており、この突出部分50の外径がチューブ4の内径よりも若干大きく設定されている。このような寸法関係に設定する理由は、チューブ4をエアープラグ35に差し込んだときに、突出部分50をチューブ4の内周面に常時接触させて、そこからの空気漏れを防止するためである。
【0054】
ストッパー部49は、チューブ導入部46を通して装着されるチューブ4の差し込みの終端位置を規制するものである。ストッパー部49は、エアープラグ35の中心軸方向において、くびれ部48の一端側で、かつ周溝47とは反対側に設けられている。ストッパー部49は、くびれ部48から連続するようにテーパー状に形成されている。ストッパー部49の最大の外径は、チューブ4の差し込みの終端位置を突き当てによって規制するために、チューブ4の内径よりも大きく設定されている。
【0055】
(ボトムケースユニットの構成)
図12(A)はボトムケースユニットを上側からみた斜視図であり、同図(B)はボトムケースユニットを下側からみた斜視図である。また、図13(A)はボトムケースユニットを上側からみたときの分解斜視図であり、同図(B)はボトムケースユニットを下側からみたときの分解斜視図である。
【0056】
ボトムケースユニット10は、計測器ユニット5の下側のケースを構成するものである。また、ボトムケースユニット10は、前述したアッパーケースユニット7との組み合わせによって、血圧計本体2の本体ケースを構成するものである。ボトムケースユニット10は、ケース半体51と、バッテリーカバー52とを用いて構成されている。ケース半体51は、前述したアッパーケースユニット7のケース半体11と組み合わせられる。ケース半体51は、ケース半体11と同様に、たとえば、樹脂の一体成形によって得られる成形体であって、全体的に平面視略矩形状に形成されている。
【0057】
ケース半体51の外面側には、電池装着部53が一体に形成されている。電池装着部53は、血圧計1の主電源となる電池を着脱可能に装着するための部分である。電池装着部53の両端部には、これに装着される電池の正極および負極と電気的かつ機械的に接触する電池ターミナル54が装着されるようになっている。また、ケース半体51の外面で矩形に縁取られた部分51aには、シール59(図2参照)が貼り付けられるようになっている。シール59には、たとえば、血圧計1の製品型番などを表記するために貼られるものである。
【0058】
また、ケース半体51の一端部には、図24(A),(B)にも示すように庇部66が設けられている。庇部66は、「帽子のつば」のように突出した状態でケース半体51に一体に形成されている。ケース半体51の外面には、庇部66とその近傍に位置して、目印67と操作方向表記部68が形成されている。目印67と操作方向表記部68は、ゴム球71が装着される部分の近傍に、互いに近接した状態で形成されている。また、目印67は、一つの頂部を外向きに配置した三角形(V字形でも可)の形状に形成されている。操作方向表記部68は、計測器ユニット5からゴム球71を取り外すときの操作方向を表記する部分である。この操作方向表記部68は、上記操作方向を示す矢印と、操作の内容を示す文字(図例では「OPEN」)の組み合わせによって形成されている。
【0059】
ケース半体51の内面側には、前述した基板ユニット8を支える複数(図例では3つ)のボス55と、基板ユニット8の支持と取り付け位置の案内を兼ねる複数(図例では4つ)のボス56と、基板ユニット8の固定と取り付け位置の案内を兼ねる複数(図例では3つ)のボス57と、基板ユニット8を押さえるための押さえ爪58とが設けられている。
【0060】
複数のボス55は、各々のボス55の上に基板ユニット8を載せるかたちで、基板ユニット8を下側から支持する。複数のボス56の上端部には、それぞれ突起が形成されている。そして、各々のボス56は、その上端の突起部分を、これに対応して基板ユニット8のプリント配線基板20に設けられた切り欠き部や基板エッジ近傍部に引っ掛ける形態で、基板ユニット8の取り付け位置を規制する。複数のボス57は、ネジ止めによって計測器ユニット5全体をまとめて固定するときに、後述するネジ84(図2参照)が通される部分である。各々のボス57の上端部にも、基板ユニット8の取り付け位置を規制する突起がそれぞれ形成されている。
【0061】
また、ケース半体51の内面側には受け皿部60が設けられている。受け皿部60は、ブザー63を装着するための部分である。このため、受け皿部60は、ブザー63の大きさや形状にあわせて円形に形成されている。ブザー63は、たとえば、なんらかの異常発生や計測エラー、あるいはボタン19を操作したときの操作確定や血圧測定の終了などを、ブザー音の発生によって測定者や被測定者に知らせるためのものである。さらに、ケース半体51の内面側には、前述したアッパーケースユニット7のケース半体11との間で、受け入れ部材33、エアーコネクタ34およびエアープラグ35をそれぞれ保持する保持部61a,61b,61cが設けられている。
【0062】
上記3つの保持部61a,61b,61cのうち、保持部61aは、前述したアッパーケースユニット7側の保持部15aとの組み合わせによって、エアーコネクタ34のフランジ部40aを収容するスリット空間や、エアーコネクタ34の凹溝40bに嵌合する板状部を形成するものである。保持部61bは、前述したアッパーケースユニット7側の保持部15bとの組み合わせによって、エアープラグ35の爪部45aが引っ掛かる断面円形の周壁部分や、エアープラグ35の爪部45bが接触する断面円形の周壁部分を形成するものである。保持部61cは、前述したアッパーケースユニット7側の保持部15cとの組み合わせによって、前述した受け入れ部材33およびコネクタ本体31の端部(装着部37の開口縁部)を挟持する断面円形の周溝部分を形成するものである。保持部61cは、庇部66の根元部分の内側に形成されている。
【0063】
バッテリーカバー52は、ケース半体51に形成された電池装着部53を覆う絶縁性のカバーである。バッテリーカバー52には2つの支軸52aと、1つの引っ掛け爪52bとが一体に形成されている。2つの支軸52aは、互いに同軸上で対向する状態に形成されている。2つの支軸52aは、ケース半体51にバッテリーカバー52を取り付ける場合に、ケース半体51に設けられた2つの小穴にそれぞれ嵌合することで、バッテリーカバー52を開閉自在に支持するものである。引っ掛け爪52bは、ケース半体11,51を組み合わせる場合に、ケース半体11の一部に引っ掛けられることで、バッテリーカバー52を閉じ状態に保持するものである。
【0064】
(ゴム球ユニットの構成)
図14(A)〜(C)はゴム球ユニットの構成とその組立手順を示す斜視図である。ゴム球ユニット6は、ゴム球71と、吸気弁72と、連結部材73とを用いて構成されている。ゴム球71は、全体的にたまご型に形成されている。ゴム球71の内部は、ゴム球71の外形にほぼ相似したかたちの空間になっている。ゴム球71の中心軸方向の一方と他方には、それぞれ穴が設けられている。
【0065】
吸気弁72は、ゴム球71の一方の穴を塞ぐように装着される。吸気弁72は、ゴム球71を繰り返し握って空気を送るときに、外部の空気をゴム球71内に取り込むとともに、この取り込んだ空気が外部に逃げないように、空気の流れを整流するものである。
【0066】
連結部材73は、ゴム球71を計測器ユニット5に連結するための部材となる。このジョイント73は、ゴム球ユニット6を計測器ユニット5に装着するにあたって、前述した受け入れ部材33を用いて本体ケース(11,51)に接続される。連結部材73は、吸気弁72と反対側でゴム球71の他方の穴に差し込むように装着される。連結部材73の内部には、この連結部材73の中心軸方向に沿って貫通穴が設けられている。
【0067】
連結部材73は、図15(A),(B),(C)に示すように、第1の差し込み部74と、第2の差し込み部75とを一体に有している。第1の差し込み部74は、連結部材73の中心軸方向の一方側に位置し、第2の差し込み部75は、連結部材73の中心軸方向の他方側に位置している。
【0068】
第1の差し込み部74は、ゴム球71の穴に差し込まれる部分となる。第1の差し込み部74には、差し込み導入部74aと、周溝部74bとが一体に形成されている。第1の差し込み部74は、断面円形の筒状に形成されている。差し込み導入部74aは、連結部材73をゴム球71の穴に差し込むときのガイドとなる。このガイド機能をもたせるために、差し込み導入部74aは台形円錐形状に形成されている。周溝部74bは、後述するリング78で連結部材73をゴム球71に固定するときに、リング78(図14参照)によって締め付けられる部分となる。
【0069】
一方、第2の差し込み部75は、前述したコネクタ本体31の受け入れ部材33に差し込まれる部分となる。第2の差し込み部75には、一対の係止片75aと、シール装着部75bと、嵌合部75cと、つば部75dとが一体に形成されている。第2の差し込み部75は、一対の係止片75aの部分を除いて、段付きの円筒形状に形成されている。
【0070】
一対の係止片75aは、連結部材73の中心軸を挟んで相対向する状態に配置されている。一対の係止片75aは、連結部材73を中心軸方向からみたときに、円筒構造の両側を均等に切り欠いたような形態で形成されている。各々の係止片75aの幅W2は、前述した係着部33eの幅W1(図10参照)よりも小さく設定されている。各々の係止片75aは、基端が固定され、その反対となる先端を自由端とした、いわゆる片持ち梁の形態で、連結部材73の中心軸方向に突出している。この構成により、一対の係止片75aは、互いに接近離間する方向に可撓性(弾性変形し得る性質)を有するものとなっている。各々の係止片75aが撓む方向は、受け入れ部材33に連結部材73を装着する際に、受け入れ部材33の開口の径方向に相当する方向となる。
【0071】
各々の係止片75aの先端部には、引っ掛け部75eが形成されている。引っ掛け部75eは、連結部材73の径方向の外側に向けてフック状に屈曲した状態で形成されている。この引っ掛け部75eは、受け入れ部材33に連結部材73を装着する際に、受け入れ部材33の開口の拡径方向に凸状をなすように形成されている。一対の引っ掛け部75eの最外縁は、同一の円周をなすように形成されており、その外径は前述した筒部33aの内径よりも大きく設定されている。また、引っ掛け部75eの凸部分を除いて、一対の係止片75aの最外縁の外径は、筒部33aの内径よりも僅かに小さく設定されている。
【0072】
各々の引っ掛け部75eには、テーパー部75fが形成されている。テーパー部75fは、受け入れ部材33に連結部材73を装着する際に、筒部33aの円周方向の一方側に位置するように引っ掛け部75eの一端に、当該引っ掛け部75eの角部を斜めに弧状に切り欠いた状態で形成されている。このため、図15(C)のように連結部材73の第2の差し込み部75を正面からみた場合、一方の引っ掛け部75eに形成されたテーパー部75fと、他方の引っ掛け部75eに形成されたテーパー部75fとの位置関係は、連結部材73の中心軸を基準(中心点)に点対称な位置関係となっている。また、連結部材73の中心軸を通る斜めの軸線を基準に考えると、この斜めに軸線上に一方のテーパー部75fと他方のテーパー部75fが形成されている。
【0073】
シール装着部75bは、Oリング77(図14参照)を装着する部分となる。嵌合部75cは、受け入れ部材33の内側に嵌合される部分となる。嵌合部75cの外周面には、V字形の目印79が形成されている。この目印79は、計測器ユニット5にゴム球ユニット6を装着するときに、ゴム球ユニット6の向きが適正であるかどうかを目視で確認するために用いられる。つば部75dは、前述した第1の差し込み部74との境界部分で、嵌合部75cの外周面から連結部材73の径方向に突出する状態で形成されている。つば部75dは、受け入れ部材33に連結部材73を装着したときに、受け入れ部材33のつば部33dと近接または面接触する状態に配置される。
【0074】
連結部材73は、上記図14に示すように、リング78を用いてゴム球71に固定される。リング78は、たとえば、アルミニウム、ステンレスなどの金属を用いて構成されるものである。リング78は、径方向に適度に変形し得るようにC字形に形成されている。
【0075】
<3.血圧計本体の組立手順>
続いて、血圧計本体2の組立手順について説明する。
【0076】
まず、図16(A)に示すように、コネクタ本体31の一端部にエアーコネクタ34を装着する。具体的には、コネクタ本体31の縮径部36(図7、図8参照)にエアーコネクタ34の第1のコネクタ部分34aの穴を嵌め込むようにする。このとき、コネクタ本体31に付された目印42とエアーコネクタ34に付された目印41を突き合わせるようにする。
【0077】
また、上述のようにエアーコネクタ34をコネクタ本体31に装着したら、そのコネクタ本体31の2つの分岐部38a,38bに、それぞれ中継部材81a,81bを介して、電子制御排気弁82とマイクセンサ83を接続する。中継部材81aは、コネクタ本体31と電子制御排気弁82とをつなぐ部材となり、中継部材81bは、コネクタ本体31とマイクセンサ83をつなぐ部材となる。中継部材81bの上端部は開口しており、この開口部分に前述した圧力センサ25(図6参照)が接続されるようになっている。
【0078】
電子制御排気弁82は、中継部材81aを介して送られる圧縮空気を電子的な制御によって排気する弁である。マイクセンサ83は、コロトコフ音を検出するセンサである。コロトコフ音とは、周知の聴診法(リバロッジコロトコフ法)で血圧を測定する際に必要となるもので、被測定者の動脈の通過部位、たとえば上腕部などをカフユニット3で圧迫したときに、カフの内圧(Pcuff)と被測定者の血圧(最高血圧:Psys.、最低血圧:Pdia.)とが、「Psys.>Pcuff>Pdia.」の関係にある期間、カフユニット3の末梢側端付近において血流による血液の渦が血管の壁にぶつかることによって生じる音である。
【0079】
次に、図16(B)に示すように、コネクタユニット9をボトムケースユニット10のケース半体51に装着する。このとき、ボトムケースユニット10への装着に先立って、ケース半体51にバッテリーカバー52を装着しておくとともに、前述したOリング39、逆止弁32(図7、図8参照)と受け入れ部材33とをコネクタ本体31に装着しておく。また、前述した電子制御排気弁82およびマイクセンサ83とともに、コネクタユニット9をケース半体51に装着する。
【0080】
ボトムケースユニット10にコネクタユニット9を装着するにあたっては、エアーコネクタ34を保持部61aに嵌め込むとともに、エアープラグ35を保持部61bに嵌め込む。さらに、受け入れ部材33のつば部33dと装着部37の開口縁部を、保持部61cに嵌め込む。また、電子制御排気弁82とマイクセンサ83をそれぞれケース半体51内のあらかじめ定められた位置に収容する。
【0081】
次に、図17に示すように、基板ユニット8をケース半体51に取り付ける。基板ユニット8は、先ほど装着したコネクタユニット9の上からかぶせるように取り付ける。このとき、中継部材81bの上端の開口部を圧力センサ25(図6参照)に接続する。また、プリント配線基板20に設けられたコネクタ26(図6参照)を、これに対応してケース半体51の内部に設けられた図示しないコネクタに接続する。さらに、プリント配線基板20の切り欠き部20b(図6参照)にケース半体51の押さえ爪58を引っ掛ける。
【0082】
また、基板ユニット8の取り付けに際しては、ケース半体51に設けられた複数のボス55,56の上にプリント配線基板20を載せるとともに、プリント配線基板20に設けられた3つの切り欠き部20aを、それに対応してケース半体51に設けられた3つのボス57に位置合わせする。そうすると、基板ユニット8のプリント配線基板20が3つのボス57の上に載った状態で、ボス56,57の突起との引っ掛かりによりプリント配線基板20の動きが制限される。このため、ケース半体51に対して基板ユニット8の取り付け位置が決まる。
【0083】
次に、図18に示すように、ボトムケースユニット10のケース半体51に、アッパーケースユニット7のケース半体11を取り付ける。ケース半体11は、先ほど取り付けた基板ユニット8の上からかぶせるように取り付ける。このとき、コネクタユニット9のエアーコネクタ34については、ケース半体51の保持部61aとケース半体11の保持部15aとで挟み込むように保持する。また、コネクタユニット9のエアープラグ35については、ケース半体51の保持部61bとケース半体11の保持部15bとで挟み込むように保持する。この場合は、エアープラグ35に設けられた4つの爪部45a,45bがケース半体11の保持部15bに挟持された状態となる。また、コネクタユニット9の装着部37とこれに装着された受け入れ部材33については、ケース半体51の保持部61cとケース半体11の保持部15cとで挟み込むように保持する。
【0084】
こうしてケース半体11,51を組み合わせることで、血圧計本体2の本体ケースが構成される。この本体ケース(11,51)の一部でエアープラグ35が装着される側には、上記図5に示すような環状部64が形成される。この環状部64の内径は、後述するエアープラグ35の首振り動作を許容するために、環状部64の内側に挿入されるエアープラグ35の外径よりも大きくなるように設定される。一方、本体ケース(11,51)の一部で受け入れ部材33が装着される側には、図20で示す「すり鉢状」の差し込み口65が形成される。この差し込み口65の開口径は、受け入れ部材33の装着部位から差し込み口65の開口端にむかって徐々に大きくなるように設定される。
【0085】
次に、図19に示すように、複数(図例では3つ)のネジ84を用いて、ケース半体11,51同士を固定する。具体的には、ボトムケースユニット10のケース半体51に下方から3つのネジ84を差し込んで、各々のネジ84をドライバ等で締め込むことにより、ケース半体11,51同士を固定する。この場合は、アッパーケースユニット7のケース半体11に設けられているネジ止め穴16に、それぞれ対応するネジ84を螺合させることによってケース半体11,51が締結される。
この段階で計測器ユニット5の組み立てが完了となる。
【0086】
続いて、図20に示すように、計測器ユニット5にゴム球ユニット6を装着する。ゴム球ユニット6の装着は、次のような手順で行う。まず、計測器ユニット5への装着に先立って、ゴム球ユニット6を組み立てておく。ゴム球ユニット6の組立工程では、ゴム球71に吸気弁72を装着する作業と、連結部材73にOリング77を装着する作業と、ゴム球71にリング78を用いて連結部材73を装着する作業とが行われる。こうして得られるゴム球ユニット6を計測器ユニット5に組み付ける場合は、ゴム球71に装着された連結部材73を、計測器ユニット5の本体ケース(11,51)の差し込み口65を通して受け入れ部材33に差し込むようにする。このとき、ゴム球ユニット6の連結部材73は、これに装着されたOリング77の介在によって、コネクタ本体31の受け入れ部材33に気密状態に装着される。また、連結部材73に形成された一対の係止片75aの引っ掛け部75eが、受け入れ部材33の係着部33eに引っ掛けられることにより、ゴム球ユニット6の抜け止めがなされる。
【0087】
以上のような手順によって、図21(A),(B)のように血圧計本体2が組み立てられる。こうして組み立てられた血圧計本体2は、前述したチューブ4を用いてカフユニット3と接続される。その際、チューブ4は、コネクタ本体31に装着されたエアープラグ35に差し込まれ、その差し込みの途中でチューブ4の内周面がエアープラグ35の突出部分50に接触する。これにより、チューブ4の穴が突出部分50との接触によって押し広げられた状態、つまり空気漏れが阻止された状態となる。そして、その状態のもとで、チューブ4の端部がエアープラグ35のストッパー部49に突き当てられる。
【0088】
なお、血圧計本体2に対するチューブ4の取り付けは、以下のような手順で行ってもよい。まず、血圧計本体2から取り外した状態のエアープラグ35にチューブ4を装着する。次に、チューブ付きのエアープラグ35を血圧計本体2の環状部64(図5参照)の内側に差し込むことにより、エアープラグ35とエアーコネクタ34を相互に接続する。
【0089】
<4.エアーコネクタとエアープラグの取付状態>
図22(A)は血圧計本体のチューブ接続部分(図21のJ−J矢視部分)の構造を示す断面図であり、同図(B)はその斜視図である。図示のように、エアーコネクタ34の2つのフランジ部40aによって形成される凹溝40bは、本体ケース(11,51)の保持部(15a,61a)に嵌め込まれている。この嵌め込み構造により、コネクタ本体31の中心軸方向へのエアーコネクタ34の動きと、コネクタ本体31の径方向へのエアーコネクタ34の動きが規制されている。
【0090】
また、エアーコネクタ34とエアープラグ35は、コネクタ本体31の中心軸方向に直列に連結するかたちで、次のように結合されている。すなわち、エアープラグ35の差し込み部44は、エアーコネクタ34の穴に差し込まれている。この差し込み構造においては、差し込み部44の外周面がエアープラグ35の穴の内周面に密着し、この状態でエアープラグ35の中心を貫通する穴が、コネクタ本体31の中心を貫通する穴と空間的につながっている。また、エアープラグ35の4つの爪部45a,45bの内側の空間部分に、エアーコネクタ34の一端部が差し込まれた状態となっている。この状態では、4つの爪部45a,45bの内周面と、その内側に差し込まれたエアーコネクタ34の第2のコネクタ部分34bの外周面との間に、僅かな隙間が確保されている。
【0091】
また、エアープラグ35に設けられた4つの爪部45a,45bのうち、先端にフック構造をもつ2つの爪部45aは、それぞれ本体ケース(11,51)の保持部(15b,61b)に対して、爪部45a自身の弾性により、弾性的に接触する状態で引っ掛けられている。また、他の2つの爪部45bについても、それぞれ本体ケース(11,51)の保持部(15b,61b)に対して、爪部45b自身の弾性により、弾性的に接触する状態で突き当てられている。
【0092】
上記の引っ掛け構造により、コネクタ本体31の中心軸方向へのエアープラグ35の動きと、コネクタ本体31の径方向へのエアープラグ35の動きが規制されている。また同時に、コネクタ本体31の中心軸方向へのエアープラグ35の動きが規制されることで、本体ケース(11,51)からのエアープラグ35の抜け止めがなされている。また、上記の突き当て構造と前述した引っ掛け構造により、エアープラグ35は、4つの爪部45a,45bからバランスよく力を受ける。このため、外力が加わっていない状態では、エアープラグ35の姿勢が、コネクタ本体31の中心軸に対して傾きなく維持される。
【0093】
このようにエアーコネクタ34とエアープラグ35を取り付けた状態では、実際にエアープラグ35のチューブ導入部46にチューブ4の一端を接続し、かつチューブ4の他端をカフユニット3に接続して血圧計1を使用する場合に、エアープラグ35が首振り可能に支持された状態となる。以下、エアープラグ35の首振りの原理について説明する。
【0094】
まず、エアープラグ35の差し込み部44は、全体にゴム状弾性を有するエアーコネクタ3に差し込まれている。このため、コネクタ本体31の中心軸に対してエアープラグ35を傾けるような外力が加わると、この外力を受けてエアーコネクタ34の一部(差し込み部44が密着する部分)が圧縮変形する。その結果、エアープラグ35は、図23(A),(B)に例示するように、外力の作用する方向に傾くような、いわゆる首振り動作をする。
【0095】
エアープラグ35の傾きの方向(首振りの方向)は、特定の方向に限定されることなく、コネクタ本体31の中心軸回りの全方向に許容される。なぜなら、エアープラグ35の差し込み部44が円筒状をなし、その外周面の全周にわたってエアーコネクタ34が適度な肉厚をもって差し込み部44を包み込んでいるからである。首振りによるエアープラグ35の傾き角度は、エアーコネクタ34の硬度や肉厚にもよるが、好ましくは、コネクタ本体31の中心軸に対して最大で5〜10°の角度範囲、さらに好ましくは、最大で約8度まで許容されるように設計するとよい。
【0096】
<5.受け入れ部材と連結部材の取付状態>
前述したように計測器ユニット5にゴム球ユニット6を装着する場合は、図25に示すように、血圧計本体2の計測器ユニット5側に形成された目印67とゴム球ユニット6側に形成された目印79とを互いに突き合わせるようにして、計測器ユニット5にゴム球ユニット6を装着する。これにより、計測器ユニット5に対してゴム球ユニット6の取付けの向きが適正な向きとなる。
【0097】
また、計測器ユニット5をゴム球ユニット6に装着する場合は、図26(A)に示すように、連結部材73の第2の差し込み部75を受け入れ部材33に差し込むようにする。この差し込みの途中では、図26(B)に示すように、一対の係止片75aに設けられた引っ掛け部75eが、それぞれ受け入れ部材33の筒部33aの内周面に接触する状態となる。また、その状態では、一対の係止片75aが互いに接近するように内側に撓み、その撓み反力をもって各々の引っ掛け部75eが筒部33aの内周面に接触(圧接)した状態となる。
【0098】
その後、差し込みの終端では、図26(C)に示すように、一対の係止片75aの引っ掛け部75eが、それぞれ筒部33aの開口端に位置する状態となる。この状態では、一対の係止片75aの引っ掛け部75eが、それぞれ筒部33aの開口端の係着部33eに引っ掛かった状態となる。具体的には、係着部33eが凹状に形成されていて、この凹状の部分に係止片75aの引っ掛け部75eが嵌り込んだ状態となる。こうした状態は、筒部33aの開口端において、係止片75aの撓み反力が開放されることによって得られる。
【0099】
ちなみに、前述した「適正な向き」とは、ゴム球ユニット6の回転方向(円周方向)の向きであって、連結部材73の第2の差し込み部75を受け入れ部材33に差し込んだときに、係止片75aの引っ掛け部75eが、これに対応する筒部33aの係着部33eに嵌合する向きをいう。
【0100】
一方、上述のように計測器ユニット5に取り付けたゴム球ユニット6を取り外す場合は、操作方向表記部68に表記された操作方向にゴム球ユニット6をまわす。この場合、操作方向表記部68に表記される操作方向は、図27(A)に示すように、一対の係止片75aの各々について、引っ掛け部75eの一端に形成されたテーパー部75f(図15参照)が、凹状の係着部33e(図10参照)の側壁に押し付けられる方向(図の時計回り方向)で設定されている。このため、実際に操作方向表記部68の表記にしたがってゴム球ユニット6をまわすと、これに伴う連結部材73の回転によって引っ掛け部75eのテーパー部75fが筒部33aの側壁に押し付けられる。そして、その押し付け力が係止片75aを内側に変位させようとする圧縮力となって作用する。このため、一対の係止片75aは、連結部材73の回転とともに互いに接近する方向(内側)に撓み、その撓み量が所定量に達すると、各々の係止片75aが筒部33aの係着部33eから離脱する。これにより、図27(B)に示すように、連結部材73の係止片75aが受け入れ部材33の係着部33eから完全に外れた状態となる。この状態で計測器ユニット5から離間する方向にゴム球ユニット6を引っ張ると、受け入れ部材33から連結部材73が引き抜かれる。
【0101】
ちなみに、操作方向表記部68に表記された操作方向と反対方向にゴム球ユニット6をまわした場合は、テーパー部75fが形成されていない引っ掛け部75eの端面が係着部33eの側壁に押し付けられる。この場合は、テーパー部75fがないために、上記のように押し付け力が係止片75aを内側に変位させようとする圧縮力として作用しない。このため、上記操作方向にゴム球ユニット6をまわした場合に比べて、引っ掛け部75eを係着部33eから離脱させるのに必要な操作力が格段に大きくなる。
【0102】
<6.実施の形態の効果>
本発明の実施の形態に係る血圧計1においては、以下のような効果が得られる。
【0103】
(第1の効果)
計測器ユニット5にゴム球ユニット6を装着する場合に、連結部材73を受け入れ部材33に差し込むだけの操作、つまりワンタッチ操作で装着作業を終えることができる。このため、ネジ式構造で必要とされる、ゴム球をクルクルまわす作業が不要になる。また、受け入れ部材33によって連結部材73を受け入れる際に、一対の係止片75aが筒部33aの開口縁に引っ掛かることで、ゴム球71の抜け止めがなされる。このため、ネジ式構造のような「締付けのゆるみ」という問題が起こらない。したがって、ゴム球の取付け構造にネジ式構造を採用する場合に比べて、ゴム球の着脱作業を簡単かつ短時間で行うことができる。
【0104】
(第2の効果)
血圧計1の構成上、連結部材73に設けられた一対の係止片75aの各々が、これに対応して受け入れ部材33の筒部33aの開口端に形成された一対の係着部33eに引っ掛かるように構成されているので、上記のワンタッチ操作だけでゴム球71の回り止めを実現することができる。
【0105】
(第3の効果)
血圧計1の構成上、一対の係止片75aの各々は、筒部33aの円周方向の一方側に位置して引っ掛け部75eの一端に形成されたテーパー部75fを有するものとなっているため、このテーパー部75fを利用して、ゴム球ユニット6の取り外しに要する操作力を軽減することができる。また、テーパー部75fの存在により、ゴム球ユニット6をまわすときの回転方向の違いが、作業者に与える操作の抵抗力の違いになって現れる。このため、操作の抵抗力の違いを利用して、ゴム球ユニット6を取り外すときの操作方向を一方向に制限することができる。
【0106】
(第4の効果)
血圧計1の構成上、血圧計本体2の本体ケース(11,51)の外面に操作方向表記部68を形成してあるので、この操作方向表記部68の表記にしたがってゴム球ユニット6をまわすように操作すれば、ゴム球ユニット6を簡単かつ適切に取り外すことができる。さらに、操作方向表記部68については、操作方向を示す矢印と、操作の内容を示す文字との組み合わせによって形成しているため、ゴム球ユニット6の脱着作業を行う作業者に対して視覚的に操作の仕方を的確に認知させることができる。
【0107】
(第5の効果)
血圧計1の構成上、連結部材73とケース本体(11,51)との接続部分に位置して、連結部材73とケース本体とにそれぞれ目印67,79が設けられているため、それらの目印67,79の位置をあわせることで、計測器ユニット5に適正な向きでゴム球ユニット6を装着することができる。
【0108】
<7.変形例>
血圧計本体2とカフユニット3をつなぐチューブ4は、ゴム製のチューブに限らず、可撓性に富む軟らかい樹脂製のチューブであってよい。
【符号の説明】
【0109】
1…血圧計、2…血圧計本体、3…カフユニット、4…チューブ、5…計測器ユニット、6…ゴム球ユニット、7…アッパーケースユニット、8…基板ユニット、9…コネクタユニット、10…ボトムケースユニット、31…コネクタ本体、33…受け入れ部材、33a…筒部、33e…係着部、34…エアーコネクタ、35…エアープラグ、41,42、67,79…目印、68…操作方向表記部、71…ゴム球、73…連結部材、75a…係止片、75e…引っ掛け部、75f…テーパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧測定の対象となる被測定者の動脈の通過部位に巻かれるカフユニットと、
前記カフユニットにチューブを介して接続される血圧計本体とを備え、
前記血圧計本体は、
血圧測定の計測機能を有する計測器ユニットと、
前記カフユニットに前記チューブを介して空気を送り込むゴム球ユニットとを有し、
前記ゴム球ユニットは、
ゴム球と、
前記ゴム球を前記計測器ユニットに連結するために前記ゴム球に取り付けられた連結部材とを有し、
前記計測器ユニットは、
本体ケースと、
前記本体ケースに固定状態で保持されるとともに、前記連結部材を受け入れる受け入れ部材とを有し、
前記受け入れ部材は、一端を開口した筒部を有し、
前記連結部材は、前記受け入れ部材の筒部に挿入されるとともに、前記受け入れ部材の開口の径方向に可撓性を有する一対の係止片を有し、
前記一対の係止片の各々は、前記受け入れ部材の開口の拡径方向に凸状をなす引っ掛け部を有し、この引っ掛け部が、前記筒部の内部では前記係止片の撓み反力によって前記筒部の内面に接触し、前記筒部の開口縁では前記係止片の撓み反力の開放によって前記筒部の開口縁に引っ掛かるように構成されている
ことを特徴とする血圧計。
【請求項2】
前記筒部は、この筒部の開口縁の一部に凹状に形成された一対の係着部を有し、
前記一対の係止片の各々は、それぞれに対応する前記一対の係着部に引っ掛かるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の血圧計。
【請求項3】
前記一対の係止片の各々は、前記筒部の円周方向の一方側に位置して前記引っ掛け部の一端に形成されたテーパー部を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の血圧計。
【請求項4】
前記本体ケースの外面に、前記計測器ユニットから前記ゴム球を取り外すときの操作方向を表記する操作方向表記部が形成されている
ことを特徴とする請求項1,2または3に記載の血圧計。
【請求項5】
前記操作方向表記部は、前記操作方向を示す矢印と、操作の内容を示す文字との組み合わせによって形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の血圧計。
【請求項6】
前記連結部材は前記受け入れ部材を用いて前記本体ケースに接続され、この接続部分に位置して、前記連結部材と前記ケース本体とにそれぞれ目印が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の血圧計。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−218012(P2011−218012A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91655(P2010−91655)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000231590)日本精密測器株式会社 (64)
【Fターム(参考)】