説明

血圧計

【課題】血圧測定は、測定環境と身体状態との2つの要因によって大きく変動する。測定環境はガイドライン等を踏まえて望むことである程度整えることができるが、身体状態を整えて望むことは難しかった。被検者を安静状態に誘導し、信頼性の高い血圧測定ができる血圧計を提供する。
【解決手段】被検者の血圧を測定する血圧測定手段と被検者の呼吸状態から被験者を安静状態に誘導する安静状態誘導手段とを備えた血圧計であり、安静状態誘導手段は、被検者にマイクロ波を照射し、被検者の呼吸動作によりドップラシフトした反射マイクロ波から被検者の呼気実時間と吸気実時間とを算出し、これらの比や合計時間、継続時間から、被験者を安静状態に誘導するようにして血圧測定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血圧測定において、被検者を安静状態に誘導し血圧の測定条件を一定にすることによって、信頼性の高い血圧測定を行なうことができる血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会の高齢化に伴って高血圧の患者が増加している。高血圧の診断や治療薬の処方に当たっては、患者の正確な血圧値を知る必要がある。
しかし、血圧値は、測定環境と身体状態との2つの要因によって大きく変動することがあるため、測定した血圧値が正確な血圧値であるか否かを知ることは難しい。
【0003】
正しい血圧値を測定するために測定環境を整えるという意味においては、医療機関において医師などの指導の下で血圧測定を行うのが好ましい。しかし、血圧測定のたびに医療機関に出向くのも患者にとっては負担となることから、市販の血圧計を使用して家庭内で測定することが広く浸透している。このように家庭で測定した血圧を家庭血圧と呼ぶ。
【0004】
家庭血圧は、家庭で手軽に血圧測定がえきる利点があるものの、医師などが傍らに居て測定を実施することもないから、正しい測定環境を整えられない可能性もある。そこで、学会や医療機関などから家庭内で正しく血圧測定するためのガイドラインが多く提案されている。
【0005】
ところで、最近の報告では、24時間自由行動下で複数回血圧値を測定することがよいとされている。このようにすれば、1日の中での血圧値の変動やその変動パターンを知ることができるためである。なお、このようにして測定した血圧を24時間血圧と呼ぶ。
【0006】
24時間血圧を知れば、患者自身では気がつかない血圧の変動状況(例えば、就寝時の血圧値の上下など)を知ることができて便利であると共に、その患者を治療する側の医療機関では、その患者への治療方針立案などに反映できる。
24時間血圧は、比較的長い時間にわたり血圧測定を行うため、用いる血圧計も携帯性が重視される。そして、そのような血圧計の使用に係るガイドラインも発表されている。
【0007】
そして、正しい血圧値の測定のためのもう1つの要因である身体状態を整えるという意味においては、いうまでも無く、血圧測定の際に身体を安静にすることである。
ここでいう安静とは、肉体的安静状態や精神的安定状態を指すものである。つまり、身体も精神もリラックスしている状態である。
【0008】
運動直後などの興奮状態や精神的に緊張状態であると血管が収縮してしまうため、正しい血圧が測定できない。つまり、血圧測定時は、安静状態になるようにして臨むのがよいのである。
【0009】
しかしながら、血圧測定の直前まで歩き回っていたなどの動作をしていたならば、被検者にその自覚はあるが、肉低的疲労や精神的ストレスが蓄積していたときなどは、安静状態に被検者がなっていないことに自覚がない場合も多い。そのような場合は、被検者は自身が安静状態にあると錯覚してしまうから、血圧測定前に積極的に安静にしようとはしないであろう。
【0010】
これでは、被検者が正しい血圧測定に必要な身体状態になっていると思っていても、実際には正しい測定がなされていないことになってしまう。このため、血圧測定前に被検者
を安静状態に誘導する機能を有する血圧計が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
特許文献1に示した従来技術を、図13を用いて説明する。
図13に示したように、特許文献1に示した従来技術は、被検者の血圧を測定する血圧測定手段300と、被検者の各呼吸のタイミングを示す情報を含む呼吸信号を検出する呼吸信号検出手段400とがカフ200に搭載されていて、この呼吸信号検出手段400により検出された呼吸信号に基づいて被検者の各呼吸のタイミングを被検者にそのまま伝える伝達手段500とを備えている。
【0012】
さらに、呼吸信号検出手段400により検出された呼吸信号に基づいて被検者が安静状態になったか否かを判定する安静判定手段600と、この安静判定手段600により安静状態と判定された場合は、前記血圧測定手段300により血圧の測定を開始させる制御手段700とを備えている。
【0013】
すなわち、特許文献1に示した従来技術は、呼吸信号検出手段400で被検者の各呼吸のタイミングを示す情報を含む呼吸信号を検出し、伝達手段500で検出された呼吸信号に基づいて被検者の各呼吸のタイミングを被検者に伝えるものである。
【0014】
被検者は、安静状態になったか否かが分かると共に、無理なく安静状態へ誘導され、その状態で血圧測定を開始できることにより、正しい血圧を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−158289号公報(第4頁〜第9頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1に示した従来技術は、カフ200の内部に呼吸信号検出手段400(エア圧検出センサ)を搭載しており、カフ200を被測定部位に装着し、加圧した状態で被検者の呼吸を測定する。そして、測定した呼吸情報を用いて被検者の安静状態を判断する。
【0017】
しかし、この技術は、カフ200に呼吸信号検出手段400を搭載しているため、カフを捲いて加圧した状態でしか呼吸を測定することできない。つまり、血圧測定前に被検者の状態を知るときに、加圧するというストレスを掛けた状態でしか測定できない。
【0018】
すでに説明したように、血圧測定時はリラックスして臨むのが好ましく、緊張状態であると血管が収縮し、正しい血圧が測定できない。特許文献1に示した従来技術は、カフ200による拘束があるため、被測定者は少なからずストレスが掛かっている。これでは、被測定者の肉体的安静状態や精神的安定状態を正しく知ることはできず、その状態で測定した血圧値は、被測定者の正しい血圧値であるかが分からないという問題がある。
【0019】
すでに説明したように、呼吸の検出をカフ200に搭載した呼吸信号検出手段400で行なっているが、腕部に装着したカフ200では、正確に呼吸を検出することは難しい。呼吸を検出するには、呼吸動作に伴う体動や二酸化炭素排出量などを用いることが知られているが、腕部ではそれらを正確に知る得ることは難しいからである。
【0020】
さらにまた、特許文献1に示した従来技術は、呼吸信号検出手段400を椅子やベッドなどに設置することや身体に間接的に装着することも示唆している。
しかし、具体的な技術内容は開示されておらず、どのような仕組みを用いてどのように
間接的に呼吸を計測するか不明である。つまり、思想が紹介されているだけであって、技術が完成しているとはいえない。
【0021】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、被検者にストレスを加えることなく安静状態へ誘導して信頼性の高い血圧測定ができることが可能な血圧計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、本発明の血圧計は下記記載の構成を採用する。
本発明の血圧計は、被検者の血圧を測定する血圧測定手段と被検者の呼吸状態から被験者を安静状態に誘導する安静状態誘導手段とを備えた血圧計において、安静状態誘導手段は、被検者にマイクロ波を照射し被検者の呼吸動作によりドップラシフトした反射マイクロ波の変化分を呼吸変化分データとして出力する信号処理手段と、前記呼吸変化分データに基づき被検者の呼気実時間及び吸気実時間を出力する呼吸気識別手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
このような構成とすれば、カフを加圧して身体を拘束せずに、また着衣のままで呼吸動作を検出し、安静状態を判定する上で重要な呼気実時間と吸気実時間を計測できるので、被検者を安静状態に誘導することが容易になる。
【0024】
さらに、信号処理手段は、マイクロ波発生器とマイクロ波受信器とを備え、マイクロ波発生器より被検者にマイクロ波を照射し前記被検者の呼吸動作によりドップラシフトした反射マイクロ波に基づきマイクロ波ドップラシフト信号を出力するマイクロ波ドップラセンサと、マイクロ波ドップラシフト信号を入力して周波数帯域を制限するとともにアナログデジタル変換してドップラシフトデータとして出力する帯域制限及びAD部と、ドップラシフトデータを微分して呼吸変化分データとして出力する微分部とを備えてもよい。
【0025】
このようにすれば、呼気時間と吸気時間を計測するための呼吸変化分データを正しく検出でき、呼吸状態をより正確に把握できる。
【0026】
また、呼吸気識別手段は、呼吸変化分データの極性変化から呼気動作と吸気動作を識別し、呼気期間信号及び吸気期間信号を出力する呼吸波形識別部と、呼気期間信号に基づき呼気実時間を算出する呼気時間計測部と、吸気期間信号に基づき吸気実時間を算出する吸気時間計測部とを備えてもよい。
【0027】
このようにすれば、呼気時間と吸気時間を計測するための呼吸変化分データを正しく検出でき、呼吸状態をより正確に把握できる。
【0028】
安静状態誘導手段は、被検者の呼気実時間及び吸気実時間から呼吸の安定状態を判定し呼吸判定データとして出力するとともに、被検者の呼気実時間及び吸気実時間から呼吸の安静状態が所定の時間継続したことを検出し、血圧測定許可信号を出力する呼吸判定部と、呼吸判定データに基づき呼吸ナビゲーションメッセージを出力するメッセージ選択手段と、呼吸ナビゲーションメッセージを外部に報知する報知手段とを備えてもよい。
【0029】
このようにすれば、呼吸ナビゲーションメッセージによって被検者をより速やかにかつ正確に安静状態に誘導することができる。
【0030】
さらに、血圧測定手段は、血圧測定完了後に血圧値と脈拍数と呼吸数とからなるバイタルデータと呼気時間及び吸気実時間の適正値からの乖離率とを記録するバイタルデータメモリを備えてもよい。
【0031】
このように、バイタルデータと、呼気時間及び吸気実時間の適正値からの乖離率とを記録しておくことによって被検者の安静状態への移行履歴が明確化され、呼吸ナビゲーションの内容を被検者にさらに適した内容に修正することが容易になる。
【0032】
また、呼吸ナビゲーションメッセージは、呼気実時間を6秒とし吸気実時間を3秒とする内容を含んでもよい。
【0033】
このようにすれば、呼吸のタイミングを決める上で重要な吸気実時間と呼気実時間とが数値化され管理されるので血圧測定条の統一が計れる。
【0034】
そして、報知手段は、血圧測定手段による血圧測定結果を表示するバイタルデータ表示器と呼吸ナビゲーションメッセージを表示する呼吸ナビゲーションメッセージ表示器とを備えた表示部と、呼吸ナビゲーションメッセージを音声で報知する報音部を備えてもよい。
【0035】
これにより呼吸ナビゲーションメッセージは、画像による視覚的情報でなく音声による聴覚的な情報として被検者に伝わるので、被検者は安静を維持するために目もつむっていても良く、被検者にとっては精神的負担が少なく安静状態に誘導することが容易になり信頼性の高い血圧測定ができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、被検者にストレスを加えることなく安静状態へ誘導できるから、信頼性の高い血圧測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による血圧計の構成を示すブロック図ある。
【図2】本発明による血圧計の詳細の構成を示すブロックである。
【図3】本発明による血圧計の動作を説明する波形図である。
【図4】本発明による血圧計の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明による血圧計の表示手段の実施例を示す外観図である。
【図6】本発明による血圧計の表示部の実施例を示す外観図である。
【図7】本発明による血圧計の原理を説明する模式的な図である。
【図8】被検者の呼吸動作を説明する模式的な外観図である。
【図9】本発明による血圧計の第2の実施形態における詳細の構成を示すブロックである。
【図10】本発明による血圧計の第2の実施形態における動作を説明する波形図である。
【図11】本発明による血圧計の第2の実施形態における表示部の実施例を示す外観図である。
【図12】呼吸変化分データBfの変化の様子を説明する図である。
【図13】特許文献1に示した従来技術を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の血圧計は、マイクロ波ドップラセンサを用いて、被検者の身体にマイクロ波を照射し、その反射波を受信して波形を解析することにより、呼吸における呼気と吸気とを見分ける。具体的には、呼気と吸気の切り替わり点(以後、呼吸タイミングと称する)を検出する。
【0039】
呼吸タイミングが適切でなければ音声で呼吸タイミングの修正を指示し、息を吐いている時間である呼気実時間と、息を吸っている時間である吸気実時間とがある定まった値に
なったときに被検者が安静状態になるという考えを利用して、呼吸タイミングを上記の条件になるように誘導するのである。
【0040】
なお、適正な呼吸タイミングとは、呼気実時間と吸気実時間との比が、1対2であるような状態をいい、両方の時間の合計が略9秒前後が生理的に適しているとされている。したがって、呼気実時間は6秒前後で、呼気実時間はその半分の3秒が適切な条件となる。
【0041】
また、このような条件がある程度継続している必要もある。こおため、所定の継続時間を設定し、例えば、呼気実時間と吸気実時間との比が1対2であり、その合計実時間が略9秒で、これが30秒続けば安静状態になったとする。
【0042】
このように、血圧測定前に安静状態にして身体条件を整えて血圧測定が行えるので、信頼性の高い血圧測定を行うことができる。
呼吸検出にマイクロ波を用いるので、カフなどで身体を加圧することがないため、被検査者にストレスが掛からない状態で呼吸タイミングを計測できる。そして、非接触であるから着衣のままでも呼吸タイミングを計測できる。
【0043】
このように、本発明の血圧計は、マイクロ波という非接触の手段を用いて被検者の呼吸状態を検出し、適切な呼吸をしていなければ呼吸タイミングを誘導して被検者を安静状態に誘導することが大きな特徴である。
【0044】
適正な呼吸タイミングに誘導したときの誘導方法及び誘導時間や、呼気実時間及び吸気実時間と呼吸数とを記録することができるから、被検者の生理状態と血圧値との関連も知ることができる点もさらなる特徴の1つである。
【0045】
また、医療機関によっては、看護師などの医療従事者が血圧測定前に被検者に深呼吸を行なわせるように監督や指導を行う場合があるが、本発明の血圧計によれば、血圧測定前に被検者が安静状態になっていなければこれを是正すべく呼吸タイミングを修正し安静状態にしてから血圧測定を行うことができるので、医療従事者の負担も軽減され、信頼性の高い血圧測定が可能となる。
【0046】
以下、本発明の血圧計について図面を用いて詳述する。
血圧計1は、血圧を測定する帯状のカフと、制御回路や報知手段などを搭載した血圧計本体とが別体であって、カフを上腕部に巻き付けるタイプであっても、またカフが箱状のケースの中に収納され、上腕部の挿入が容易になるように改良されたいわゆる上腕部挿入型の血圧計であっても、手首装着式血圧計と称しカフと血圧計本体とが一体化された構成のものであっても構わない。
【0047】
以下の説明にあっては、帯状のカフと血圧計本体とが別体で、カフを上腕部に巻き付けるタイプを例にして説明する。
【0048】
実施形態の説明では図面を指示して説明を行うが、指示していない図面も適宜参照されたい。また、図面はすでに説明した構成には同一の番号を付与するものとする。
【実施例】
【0049】
以下、図1から図8を用いて本発明の血圧計1の第1の実施形態を詳述する。なお、説明においては、カフを主に左手上腕部に装着した場合を例に説明を行う。
【0050】
[本発明の原理的説明:図7、図8]
初めに、図7を用いて、どのような仕組みでマイクロ波ドップラセンサによって、被検
者を安静状態に誘導するかについて詳述する。図7は、血圧計の原理を説明するため模式的に示すブロック図である。
【0051】
図7において、マイクロ波ドップラセンサ31は、例えば、約2.5GHzのマイクロ波Meを発射するマイクロ波発信器311と、被検者11によって反射したマイクロ波Mtを受信するマイクロ波受信器312と、マイクロ波ドップラ復調器313とで構成されている。
【0052】
なお、以降は、発射されたマイクロ波Meを発射マイクロ波Me、反射したマイクロ波Mtを反射マイクロ波Mtと称することにする。そして、これらマイクロ波をまとめて論じるときは、単にマイクロ波Mと称することにする。
【0053】
マイクロ波ドップラセンサ31には、その出力信号がアナログ信号のものとデジタル信号のものとがあるが、本実施形態では、マイクロ波ドップラ復調器313から出力されるマイクロ波ドップラシフト信号Eoはアナログ信号であり、マイクロ波ドップラセンサ31にはアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器を搭載していない例で説明をする。
【0054】
図7において、マイクロ波発信器311から発射マイクロ波Meは、一部が被検者11の表面で反射され、一部が被検者11の中に入り胸郭内部11aで反射して反射マイクロ波Mtとなって再び被検者11を経由してマイクロ波受信器312で受信される。
【0055】
マイクロ波発信器311は、発射マイクロ波Meに相当する電気信号である送信マイクロ波信号Emeを出力し、マイクロ波受信器312は、受信した反射マイクロ波Mtに相当する電気信号である受信マイクロ波信号Emrを出力する。
【0056】
マイクロ波ドップラ復調器313は、送信マイクロ波信号Emeと受信マイクロ波信号Emrとから、2つの信号の位相差信号を、電気信号であるマイクロ波ドップラシフト信号Eoとして出力する。
【0057】
すなわち、マイクロ波ドップラシフト信号Eoには胸郭内部11aの動きに対応したドップラシフトが生じているので、このドップラシフト信号Eoから胸郭内部の動きすなわち呼吸動作を電気信号に変換することが可能となるのである。
【0058】
次に、図8を用いて安静状態に至らせる呼吸の方法と本発明の係わりを説明する。
図8は、被検者11が息を吐くときと吸う時の鼻と口及び胸郭内部の動きを模式的に表したものである。図8(a)が息を吐くとき(呼気)の様子を、図8(b)が息を吸うとき(吸気)の様子を示している。
【0059】
図8(a)のように、呼気は静かに口から長く吐くのが良いとされ、胸郭内部11aは息を押し出すように変化する。図8(b)のように、吸気は鼻から短い時間で吸うのが良いとされ、胸郭内部11aは外気を取り入れるように変化する。呼吸によって胸郭内部11aの形状が変化するので、これをマイクロ波ドップラセンサ31を用いて検出することが本発明の基本原理である。
【0060】
[血圧計の機能的な構成説明:図1]
次に、図1を用いて血圧計の機能的な構成を説明する。
図1は本発明による血圧計の主たる機能を示すブロック図である。
【0061】
図1において、血圧計1は、信号処理手段3と呼吸気識別手段4と呼吸判定部5と計時
部7とメッセージ選択手段8とを備えた安静状態誘導手段2と、血圧測定手段6と報知手段9とから構成される。
【0062】
安静状態誘導手段2は、信号処理手段3によってマイクロ波Mを演算処理に適した電気的な信号である呼吸変化分データBfに変換し、呼吸気識別手段4によって呼吸状態を反映する呼気実時間Etと吸気実時間Itとを出力する。呼吸判定部5はこれらを入力し、呼吸状態を判定して呼吸判定データKhを出力する。
【0063】
呼吸判定部5が出力する呼吸判定データKhは、メッセージ選択手段8に入力され、メッセージ選択手段8は適切な呼吸ナビゲーションメッセージKnを出力し、被検者など外部に報知手段9によって報知される。
【0064】
呼吸判定部5は、血圧測定許可信号Keを出力し血圧測定手段6に入力し、血圧測定手段6は血圧測定許可信号Keを受けて血圧測定を開始する。
血圧計1の主たる要素は以上のような機能を有している。
【0065】
[血圧計1の詳細な構成説明:図2]
次に、図2を用いて、血圧計1を構成する安静状態誘導手段2、血圧測定手段6、報知手段9の詳細の構成及び機能を説明する。
【0066】
[安静状態誘導手段2の構成と機能の説明]
まず、信号処理手段3の構成及び機能を説明する。
図2に示すように、信号処理手段3は、マイクロ波ドップラセンサ31と帯域制限及びAD部32と微分部33とから構成される。
【0067】
マイクロ波ドップラセンサ31は、マイクロ波Mに基づきマイクロ波ドップラシフト信号Eoを出力し、帯域制限及びAD部32に入力する。
帯域制限及びAD部32は、マイクロ波ドップラシフト信号Eoの帯域を信号処理に必要な部分のみに制限したのち、アナログ信号をデジタル信号に変換(以後、AD変換と称する)して、ドップラシフトデータDoとして出力し、微分部33に入力する。なお、このAD変換に必要なサンプリング時間は、計時部7から入力される第1の時間情報T1を用いる。
【0068】
微分部33は、入力したドップラシフトデータDoを時間で微分し、呼吸変化分データBfとして出力する。
【0069】
次に、呼吸気識別手段4の構成及び機能を説明する。
図2に示すように、呼吸気識別手段4は、呼吸波形識別部41と呼気時間計測部42と吸気時間計測部43とから構成される。
【0070】
呼吸波形識別部41は、信号処理手段3の微分部33が出力する呼吸変化分データBfに基づき呼吸変化分データBfの極性変化から、息を吐いている呼気区間と息を吸っている吸気区間とを識別し、それぞれ呼気期間信号Ep、吸気期間信号Ipとして出力し呼気時間計測部42と吸気時間計測部43とに入力する。
【0071】
呼気時間計測部42は、呼気期間信号Epと計時部7から入力される第2の時間情報T2とから呼気期間信号Epの継続時間を計測して、呼気実時間Etとして出力し、呼吸判定部5に入力する。
同様に、吸気時間計測部43は、吸気期間信号Ipと第2の時間情報T2とから吸気期間信号Ipの継続時間を計測して、吸気実時間Itとして出力し、呼吸判定部5に入力す
る。
【0072】
次に、呼吸判定部5の機能を説明する。
図2に示すように、呼吸判定部5は、呼気実時間Etと吸気実時間Itと計時部7が出力する第3の時間情報T3とから被検者11の呼吸パターンを判定し、呼吸判定データKhを出力する。
【0073】
呼吸判定部5には、被検者11の呼吸の状態によって、複数のデータのパターンが備えられている。例えば、次の通りである。
呼気が長く吸気が短いとき:呼吸判定データKh1
吸気が長く呼気が短いとき:呼吸判定データKh2
呼吸間隔が短いとき :呼吸判定データKh3
【0074】
呼気実時間Etと吸気実時間Itとが予め定められた条件を満たし、それが予め定められた時間継続すると、呼吸判定データKhとして上記のうちのどれかが選択されて出力される。そして、呼吸判定データKhは、メッセージ選択手段8に入力する。
【0075】
予め定められた条件とは、例えば、呼気実時間Etと吸気実時間Itとの関係を定めた条件であって、例えば、時間比で2対1である。また、双方の時間の合計が9秒である。
呼気実時間Etと吸気実時間Itとが、この条件のうちのどれと異なるかにより、データのパターン分けを行うのである。
そして、予め定められた時間継続とは、呼気実時間Etと吸気実時間Itとの時間比が何秒続くかを定めたものであって、例えば30秒である。
【0076】
例えば、呼吸判定データKhのデータのパターンは、次のようなものである。
呼吸判定データKh1:呼気実時間Etが6秒を超え、吸気実時間Itが3秒未満のとき
呼吸判定データKh2:吸気実時間Itが3秒を超え、呼気実時間Etが6秒未満のとき
呼吸判定データKh3:呼気実時間Etと実時間Itとの合計が8秒以下のとき
【0077】
そして、呼吸判定部5は、呼気実時間Etと吸気実時間Itとが予め定められた条件を満たし定められた時間継続した場合には、被検者11が安静状態になったことを示す呼吸判定データKhnを出力する。例えば、呼気実時間Etが6秒、吸気実時間Itが3秒で、それが30秒間継続した場合である。
【0078】
次に、安静状態誘導手段2のメッセージ選択手段8の機能を説明する。
図2に示すように、安静状態誘導手段2のメッセージ選択手段8は、呼吸判定部5が出力する呼吸判定データKhが入力されると、被検者11を安静にさせるための呼吸ナビゲーションメッセージKnを出力する。
【0079】
呼吸ナビゲーションメッセージKnは、呼吸判定部5が出力する呼吸判定データKhを受け、その内容に応じて、例えば次のようなデータを出力する。
呼気が長く吸気が短いとき:呼吸ナビゲーションメッセージKn1
吸気が長く呼気が短いとき:呼吸ナビゲーションメッセージKn2
呼吸間隔が短いとき :呼吸ナビゲーションメッセージKn3
安静状態のとき :呼吸ナビゲーションメッセージKnn
【0080】
呼吸ナビゲーションメッセージKnは、報知手段9の表示部91と報音部92とに入力する。なお、図2に示す例では、呼吸判定データは単にKhと、呼吸ナビゲーションメッ
セージは単にKnと、それぞれ表記している。
そして、呼吸判定部5は、血圧測定許可信号Keを出力し血圧測定手段6の血圧測定制御回路66に入力する。
【0081】
ここで、安静状態誘導手段2の計時部7の機能を説明する。
図2に示すように、計時部7は、図示はしないが例えば水晶振動子などを用いて所定の周波数のクロック信号を出力する源振クロック部、そのクロック信号を分周して所定の分周信号を生成する分周回路部、その分周信号から時刻情報を生成する時刻生成部などで構成することができる。これらの構成は知られている時計回路で広く知られているものであるから、詳細な説明は省略する。
【0082】
この計時部7からは、第1の時間情報T1、第2の時間情報T2、第3の時間情報T3を出力している。
第1の時間情報T1は、帯域制限及びAD部33のサンプリング時間を決めるための時刻情報を有しており、例えば、パルス周期を10msecとした信号である。
【0083】
第2の時間情報T2は、呼気期間信号Epと吸気期間信号Ipの継続時間を計測するための基準クロックで、例えば、周期を1msec〜10msecとしたパルス信号である。
【0084】
第3の時間情報T3は、呼吸判定部5が、呼気実時間Etと吸気実時間Itとの時間比が、あらかじめ定められた時間継続しているか否かを計測するための10sec〜30secのパルス信号と、血圧測定を行なったときの日付や時刻からなる時刻情報とを有している。
【0085】
[血圧測定手段6の構成と機能の説明:図2]
次に、引き続き図2を用いて血圧測定手段6の構成と機能を説明する。
図2に示すように、血圧測定手段6は、カフ10と、圧力センサ61と、加圧ポンプ62と、加圧制御部63と、排気バルブ64と、排気制御部65と、バイタルデータメモリ661を備えた血圧測定制御部66と、操作入力部67とを備えている。
【0086】
カフ10は、手首の橈骨動脈を加圧して血流を阻止するための帯状の部材である。圧力センサ61は、カフ10の圧力を電気信号に変換して圧力信号Soとして出力する。加圧ポンプ62は、カフ10を加圧するためのポンプである。加圧制御部63は、血圧測定制御部63からの加圧制御信号Kcに基づき加圧駆動信号Kdを出力し加圧ポンプ62を駆動する。
【0087】
排気バルブ64は、カフ10の圧力を所定の割合で排気するためのバルブである。排気制御部65は、血圧測定制御部66からの排気制御信号Hhに基づき排気駆動信号Hdを出力し排気バルブ64を制御する。
【0088】
血圧測定制御部66は、圧力信号Soと血圧測定許可信号Keとから、最高血圧や最低血圧や脈拍数などのバイタルデータKjを算出するとともに、血圧計1の動作を全般的に制御管理する。なお、このバイタルデータKjは、後述する報知手段9の表示部91にも入力している。
【0089】
血圧測定制御部66のバイタルデータメモリ661は、そのバイタルデータKjを記憶するためのメモリ手段である。例えば、不揮発性記憶装置を用いることができる。
なお、この血圧測定制御部66は、特に限定しないが、ワンチップマイクロコンピュータなどで構成すると、小型で低消費電力化ができるので便利である。このとき、バイタル
データメモリ661は、このワンチップマイクロコンピュータに搭載されているメモリ装置を用いることができる。
【0090】
[報知手段9の構成と機能の説明:図2、図5、図6]
次に、図2、図5及び図6を用いて報知手段9の構成を説明する。
図5は報知手段9の実施例を示す外観図である。
図6は被検者11に安静誘導を行なう呼吸ナビゲーションメッセージ表示器の外観図である。
【0091】
図2及び図6に示すように、報知手段9は、表示部91と報音部92とから構成される。さらに表示部91は呼吸ナビゲーションメッセージ表示器911とバイタルデータ表示器912とから構成される。
【0092】
図6に示すように、呼吸ナビゲーションメッセージ表示器911は、被検者11を安静に誘導させるための呼吸タイミングを指示する指示画面であり、時間表示マーク911aと実時間表示器911bと、呼吸波形Grを表示するグラフ表示器911cと、グラフィカルに人の顔を模した画像と呼気マークNeと吸気マークNiとを表示可能な指導画面911dと、を有している。なお、グラフ表示器911cは、横軸を実時間として表示する。
【0093】
図2及び図5に示すように、バイタルデータ表示器912は血圧測定手段6が出力する最高及び最低血圧や脈拍数などのバイタルデータKjを表示するための、最高血圧値表示部912sと、最低血圧値表示部912dと、脈拍数表示部912pとを有している。
表示部91は、特に限定しないが、液晶表示装置で構成することができる。
【0094】
また、図5に示すように、報音部92は、被検者11を安静に誘導させるため、「息を吸って下さい」、「息を吐いて下さい」のように呼吸タイミングを音声などで案内し、安静状態に至れば「その呼吸を維持して下さい」のような案内を行なう。
報音部92は、ダイナミックスピーカやピエゾ音響素子などで構成することができる。
【0095】
血圧計1は、適正な呼吸に導く案内を、表示部91による文字やグラフィカルな報知と報音部92による音声の報知とで行うことができる。
すでに説明したように、被検者11自身が安静になろうとするときに、案内する情報が文字などであると、それを注視してしまうことで無意識のうちに緊張し、安静状態になかなかなれないときがある。血圧計1は、報音部92からの音声による案内を併用するので、表示部91を目視しないようにしても何ら問題はない。また、表示部91があれば、被検験11自身が物を注視しても緊張しない体質の場合に問題がないことに加え、被検査11以外の人にも呼吸タイミングなどの情報を報知できるので、表示部91と報音部92とは必要に応じて使い分けると良い。
【0096】
図2及び図5に示す操作入力部67は、血圧計1の全体の動作を操作するスイッチ類である。図5に示す例では、表示部91及び報音部92の近傍に設けられている。
この操作入力部67によって、例えば、表示部91による表示や報音部92による音声案内を選択して止めることもできる。被検者11の好みや体質に応じて案内を選択することができるのである。
【0097】
本発明の血圧計1は、脈拍数や呼吸数を測定できるので血圧測定時の被検者の状態を、測定した血圧値と共に記録できる。そして報知手段によりいつでもその情報を知ることができる。そうすれば、血圧値と被検者の状態を管理することができるようになるので、被検者の健康状態や仮面高血圧などを知るきっかけにもなる。
【0098】
[第1の実施形態の動作説明:図3、図12、図4、図6]
次に、図3、図4及び図6を用いて血圧計1の第1の実施形態の動作を説明する。
【0099】
[安静状態誘導手段2の動作説明:図3、図12、図4]
まず、安静状態誘導手段2の動作説明を行なう。
図3は、血圧計1の動作を説明する内部信号波形図である。縦軸に波形の振幅を、横軸には時間を示している。
【0100】
すでに説明したように、マイクロ波ドップラセンサ31は、発射マイクロ波Meに基づく送信マイクロ波信号Emeと、反射マイクロ波Mtに基づく受信マイクロ波信号Emtとによるマイクロ波ドップラシフト信号Eoを帯域制限及びAD部32に出力する。
マイクロ波ドップラシフト信号Eoは、帯域制限及びAD部32によって、呼吸成分すなわち0.03Hz〜0.5Hzの周波数帯域のみの信号が抽出され、デジタル信号に変換され、呼吸動作を反映した時系列のドップラシフトデータDoとして出力され微分部33に入力される。
【0101】
ドップラシフトデータDoは、微分部33によってドップラシフトデータDoの時間変化率が演算され、呼吸変化分データBfとして出力される。図3は、被検者11の安静時におけるドップラシフトデータDoと呼吸変化分データBfとの一例を、横軸を時間としてアナログ的表現で、変化の一例を表したものである。
すでに説明しているように、呼気実時間Etは息を吐いている時間であって、吸気実時間Itは息を吸っている時間である。
【0102】
胸郭内部11aの動きを表すドップラシフトデータDoを微分した呼吸変化分データBfは、胸郭内部の動きの変化点を表している。つまり、ある時点での呼吸変化分データBfの変化の様子を調べれば、被検者11の呼吸の状態を知ることができる。
【0103】
その理由を図12を用いて説明する。
図12は、実際に呼吸した際のドップラシフトデータDoと、呼吸変化分データBfとの推移を示したものである。横軸に時間(秒)、縦軸に信号の振幅を示している。
人体が吸う動作及び吐く動作に移行する際、その切り換り点で一瞬振動的な挙動を示す。これは、肺が空気を吸う、又は吐く直前に反動を付けるために、肺内部の空気を吐き切る、又は吸い切るという動作を行うことによるものである。
したがって、この吐く動作、吸う動作の切り換り点に生ずる振動成分をドップラシフトデータDoの微分信号である呼吸変化分データBfとして検出し、振動成分が検出してから次の振動成分が検出される時間間隔を計測することにより、吸っている実時間と吐いている実時間とを計測することが可能となる。
【0104】
さて、図3の呼吸タイミングt1では、呼吸変化分データBfは振幅0の点を「+」方向から「−」方向に変化していることから、この点では変化が0、すなわち胸郭内部の動きが無く、呼吸が呼気から吸気に変わった点であるといえる。
【0105】
例えば、この呼吸タイミングt1で、被検者11に「息を吸って下さい」などとアナウンスし息を吸うように音声などで誘導する。
吸気時間が一定の期間続いた後、「吐いて下さい」とアナウンスをすると、胸郭内部11aの動きに伴ってドップラシフトデータDoが上昇する。
すると、ドップラシフトデータDoを微分した呼吸変化分データBfが再び振幅0の点を「−」方向から「+」方向に変化して、呼吸タイミングt2の呼吸タイミングで吸気から呼気に変わる。
【0106】
呼吸気識別手段4はこのような動作を繰り返し、図3に示す吸気実時間Itと呼気実時間Etとを各々算出し、呼吸判定部5に入力する。
呼吸判定部5は、吸気実時間Itが長く呼気期間信号Etが短いと判断すると、図3に示す呼吸タイミングt2、t4、・・、t(2n)を早める呼吸判定データKhを出力する。なお、nは自然数であり、以下の説明でも同様とする。
【0107】
また、呼吸判定部5は、呼気期間信号Etが長く吸気実時間Itが短いと判断すると、図4に示す呼吸タイミングt1、t3、・・、t(2n−1)を早める呼吸判定データKhを出力する。
【0108】
メッセージ選択手段8は、呼吸判定データKhを入力して呼吸判定データKhの内容に基づく呼吸ナビゲーションメッセージKnを出力し報知手段9の表示部91に入力する。
例えば、呼吸判定部5が、呼吸タイミングt2、t4、・・、t(2n)を早めるための呼吸判定データKhを出力すると、メッセージ選択手段8は「はい、そこで吐いて下さい」のように誘導する呼吸ナビゲーションメッセージKnを出力する。
【0109】
この呼吸ナビゲーションメッセージKnは、呼吸ナビゲーションメッセージ表示器911にてグラフィカルな絵や文字で表示されるとともに、報音部92によって音声で被検者11に伝えられる。
被検者11は安静に保つために目を閉じていることが多いので、被検者11へ音声によって呼吸を誘導することは安静を保つ上で有利である。
【0110】
呼吸判定部5は、呼気期間信号Etと吸気実時間Itと第3の時間情報T3とによって安静状態が所定の時間継続したことを検出すると、所定の呼吸判定データKhを出力しメッセージ選択手段8に入力する。
【0111】
メッセージ選択手段8は「それではカフを静かに巻いて下さい」などと血圧測定を開始するメッセージを音声で被検者11に伝える。
被検者11は、カフ10を例えば左手上腕部に巻き、血圧測定手段6の操作入力部67を操作して血圧測定を開始する。
【0112】
[血圧測定手段6の動作説明:図2]
次に、図2を用いて血圧測定手段6の動作を説明する。
図2において、安静状態誘導手段2の呼吸判定部5は、被検者11が安静に誘導されると、安静に誘導されたことを示す呼吸判定データKhnを出力するとともに、血圧測定許可信号Keを血圧測定手段6の血圧測定制御部66に入力する。
【0113】
メッセージ選択手段8は、呼吸判定データKhnを入力して、例えば、安静状態になったことを表す呼吸ナビゲーションメッセージKnnを出力し、報知手段9の報音部92を通じて被検者11に「安静状態になりました。カフを巻いて下さい」などと伝える。
【0114】
血圧測定手段6の血圧測定制御部66は、以下のように血圧測定を開始する。すなわち、加圧制御部63に加圧制御信号Kcを出力し、加圧ポンプ62は加圧制御部63が出力する加圧駆動信号Kdを受けてカフ10を加圧する。
【0115】
圧力センサ32によってカフ10の圧力は刻々と血圧測定制御部66に出力され、カフ10が所定の圧力まで加圧されると、血圧測定制御部66は加圧制御部63を制御して加圧ポンプ62の動作を停止する。
【0116】
血圧測定制御部66は、排気制御信号Hhを排気制御部65に出力し、排気制御部65は、排気制御信号Hhに基づき排気バルブ64を制御する排気駆動信号Hdを排気バルブ64に出力する。
【0117】
排気バルブ64は、排気駆動信号Hdに基づき、カフ10の圧力が時間に対して一定の割合で減少するようにカフ10を排気する。
【0118】
カフ10の圧力が次第に下がると、被検者11の血圧に応じていわゆるオシロメトリック理論に基づく圧力振動波形(図示せず)がカフ10内に生じるので、圧力センサ61によってこれを検出する。
【0119】
血圧測定制御部66は、圧力センサ61の圧力信号Soの圧力振動波形から、最高血圧値や最低血圧値、脈拍数などをバイタルデータKjとして血圧測定制御部66のメモリ661に記憶すると共に、報知手段9の表示部91に出力する。
【0120】
次に、血圧測定中の適正な呼吸タイミングの監視について説明する。
血圧測定中に11の呼吸タイミングが変わり、安静状態が維持できなくなってしまうことがある。
【0121】
例えば、計測の途中で息が乱れるなどして適正な呼吸タイミングから外れてしまうと、計測した血圧値は信用度のおけるものではなくなる。このように息が乱れるなどなどの状態を被検者が意図せずに起こしてしまったとき、被検者自身では正しい血圧を測定したつもりでも、実際には正しくない血圧測定を行ってしまう。
【0122】
そのような状況を回避するため、血圧計1は、被検者11の呼吸が適正な呼吸タイミングになり血圧測定を開始したあとも、被検者11の呼吸状態の監視を継続することも可能である。
【0123】
すなわち、血圧測定が開始されても、呼気実時間Etと吸気実時間Itとを監視し呼気実時間Etと吸気実時間Itとの比が2対1になっているか、また、呼気実時間Et+吸気実時間Itが略10秒、すなわち呼吸判定部5は、1分間の呼吸数が6回前後の適正値になっているか、を監視続ける。
【0124】
被検者11の呼吸タイミングが変化したときに、報知手段9を用いて報知する。
例えば、「息をゆっくり吐いて下さい」などと報知し、図3に示す呼吸タイミングt(2n−1)を遅らせたり、「息をもう少しゆっくり吸って下さい」などと報知し、呼吸を安静になるように誘導する。
【0125】
また、適正な呼吸タイミングから大きく変化したとき、血圧測定を中断することも可能である。
例えば、呼気実時間Etと吸気実時間Itとの比が1対2のように、被検者11を安静に誘導することが困難な程度に呼気実時間Etと吸気実時間Itとがずれると、「血圧測定を中止します」などと報知するなどし、血圧測定を中断する。
【0126】
ところで、被検者の都合で適正な呼吸タイミングによる血圧測定ではないが、とにかく血圧値を知りたいという場合もある。
そのときは、血圧測定手段6の操作入力部67などを操作して所定の情報Dsを入力し、強制的に血圧測定を開始することもできる。
【0127】
[動作フローの説明:図2、図4、図6]
次に、主に図4を用いて血圧計1による血圧測定の動作フローを詳述する。
図4は、血圧計1によって呼吸タイミングを整え安静状態に移行してから上腕部にカフを巻き、血圧測定を開始して終了するまでの動作を説明するフローチャートである。以下、動作ステップはS1、S2、・・、Snのように略記する。
【0128】
まず、被検者11は、血圧測定手段6の操作入力部67を操作して血圧計1を作動状態にする。血圧計1からはマイクロ波Mが被検者11に発信及び受信され、安静状態誘導手段2によって呼吸タイミングの監視が開始され、「指示に従って呼吸を行なって下さい」などのアナウンスが流れる。その後、図6に示すように呼吸ナビゲーションメッセージ表示器911の指導画面911dにグラフィカルに表現された人の顔と呼気マークNeと吸気マークNiとによって呼吸タイミングの誘導が始まる。
【0129】
なお、図6に示す例は、メッセージ表示器911の指導画面911dのグラフィカルに表現された人の顔が口を開き、呼気マークNeを点灯して被検者11に息を吐くことを促すようにしており、時間表示バーグラフ911aには、息を吐く長さどの程度かをバーグラフで表示する。(S1)
被検者11は指示に従って呼吸タイミングを整える。
【0130】
呼気実時間Etと吸気実時間Itとが被検者11の呼吸毎に計測され、メッセージ表示器911の実時間表示器911bには、リアルタイムで、息を吐いた時間すなわち呼気実時間Etと息を吸った時間すなわち吸気実時間Itとが表示され、かつマイクロ波ドップラシフト信号Eoのリアルタイム波形である呼吸波形Grをグラフ表示器911cにて表示しているので、被検者11は必要な呼吸タイミングを容易に把握できる。(S2)
【0131】
そして、呼気実時間Etと吸気実時間Itとが適正になるように誘導する。具体的には、まず被検者11に対して指導画面911dの呼気マークNeを点灯させ、さらに時間表示バーグラフ911aで呼気の時間が現在どの程度であって、あとどの位息を吐き続けるかを分かり易く伝える。(S3)
【0132】
呼気実時間Etと吸気実時間Itとが適正状態、例えば、呼気実時間Etが6秒、吸気実時間Itが3秒となるように指導と監視を続け、この条件になったら継続時間を計測し、例えば30秒間続けば、報音部92によって「血圧測定を開始します カフを巻いて下さい」との音声メッセージを被検者11に伝える。
なお、この継続時間は、例えば5秒から50秒の範囲で、被検者11の状態に応じて最適な値を選ぶことができる。
【0133】
また、安静条件として、呼気実時間Etと吸気実時間Itとの比が2対1で、呼気実時間Etと吸気実時間Itとの和が9〜10秒、すなわち、1分間の呼吸数が6回前後となるように、数値に幅を持たせ緩和した条件にて誘導しても良い。(S4)
【0134】
次に、被検者11、は血圧計1のカフ10を上腕部に巻き、血圧測定手段6の操作入力部67を操作して血圧測定を開始する。すると血圧測定制御部66によって血圧が測定される。
なお、血圧測定の間にも呼吸の監視が行なわれるが、その動作については、既に説明を行なったので重複する説明は省略する。(S5)
【0135】
血圧測定制御部66によって測定された最高血圧値、最低血圧値、心拍数などのバイタルデータKjは、表示部91にて表示されるとともに、バイタルデータKjと呼気実時間Et及び吸気実時間Itの適正値との乖離率Kを血圧測定制御部66のバイタルデータメモリ661に記憶し、測定を終了する。(S6)
【0136】
以上のように、血圧計1によって被検者11を安静状態に誘導し、そのときの血圧値が安定して測定されるので、正しい血圧測定を行うための条件の1つである身体状態を整えての血圧測定が実施できる。環境条件や身体条件によって血圧値が変動し正確な血圧値の測定が困難という従来技術の欠点が克服される。
【0137】
[第1の実施形態の効果説明]
ここで、第1の実施形態の効果をまとめる。
これまで電子血圧計は、測定環境と身体状態との2つの要因によって大きく測定値がばらつくという問題を抱えていた。
この問題を解決すべく従来の電子血圧計はカフの中に呼吸検出手段を設けるなどして呼吸状態を検出するようにしていたが、静かな呼吸をしていたり逆に振動が多い環境などでは測定が難しかったばかりか、そもそもカフを巻いて加圧した状態では、被検者がストレスを感じてしまい、さらに正しい血圧測定ができなかった。
【0138】
しかし、本発明の血圧計によれば、被検者の呼吸状態はマイクロ波によって非接触で、しかも被検者にストレスを掛けずに安静状態に誘導することができるので、信頼性の高い安定した血圧測定を実現できる。
【実施例1】
【0139】
[血圧計の第2の実施形態の説明:図9,図10、図11]
次に、図9,図10,図11を用いて血圧計の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態である血圧計100は、安静誘導を行なうに際に被検者の心臓の動きをマイクロ波で検出し、心拍数が変化する様子を報知することで、被検者11へ効果的にフィードバックを行い安静誘導の効果を上げるものである。なお、説明は第1の実施形態と重複する部分は省略する。
【0140】
図9は、睡眠時無呼吸判定装置100の構成の一部を示す機能ブロック図であり、信号処理手段3aとして、FFT部34と心拍数抽出部35とが加わった点が第1の実施形態と異なる。
【0141】
図10は信号処理手段3aのFFT部34と心拍数抽出部35との動作を説明する波形図である。
図11は、呼吸ナビゲーションメッセージを表示するグラフ表示器911cに、新たに心拍数の変化を表す、心拍数推移グラフPgを加えた呼吸メッセージ表示器911の外観図である。
【0142】
図9において、信号処理手段3aのFFT部34は、ドップラシフトデータDoを入力して、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換、以下FFTと略記する)処理する。すなわち、蓄積したドップラシフトデータDoをフーリエ変換し、個々の信号成分に分解した後、各成分を周波数スペクトラム上に表す処理を行い、ドップラシフトデータDoの周波数スペクトルデータFsを出力する。このときのドップラシフトデータDoの蓄積時間は、例えば、10〜30secである。なお、この時間は、計時部7で作成し、入力してもよい。
【0143】
図10を用いてさらに詳述する。
図10において図10(a)はドップラシフトデータDoの時系列変化をアナログ的に表したもので、横軸は経過時間であり、縦軸はドップラシフトデータDoの振幅を示している。
【0144】
図10(b)は、信号処理手段3aのFFT部34の出力である周波数スペクトルデータFsを示しており、横軸は周波数であって、縦軸は周波数スペクトルの強度を示している。
【0145】
図10(b)に示すように、周波数スペクトルデータFsには、被検者11の2つの生理情報すなわち心臓の拍動に基づく周波数成分である心拍スペクトルデータSfと、呼吸動作に基づく周波数成分である呼吸スペクトルデータKfとが含まれており、心拍スペクトルデータSfの周波数範囲Zpは、例えば、0.5Hz〜3Hzで、呼吸スペクトルデータKfの周波数範囲Zrは、例えば、0.05Hz〜0.5Hzである。
【0146】
心拍数抽出部35は、周波数スペクトルFsに含まれる被検者11の2つの生理情報から、心拍スペクトルデータSfを抽出し、被検者11の心拍数に換算し、初期心拍数Hrbとして出力する。
なお、心拍スペクトルデータSfは、心拍の繰り返し性を表す周波数であるから、60倍することによって1分間の心拍数に換算することができる。
【0147】
また、初期心拍数Hrbの「初期」とは、血圧測定に先立って初期に測定される心拍数、という意味である。
心拍数抽出部35が出力する初期心拍数Hrbは、表示部91のグラフ表示器911cに入力される。グラフ表示器911cは、心拍数抽出部35が出力する初期心拍数Hrbの数値の変化を、曲線によってアナログ的に表現する。
【0148】
その様子を図11を用いて説明すると、呼吸ナビゲーションメッセージ表示器911の911cには、呼吸波形Grに加えて心拍数推移グラフPgが表示され、被検者11は自分の心拍数の変化を把握することができる。
第1の実施形態と同様に、血圧計100は被検者11が安静になるように誘導するから、この心拍数推移グラフPgも徐々に安静状態の心拍数になっていく。例えば、被検者11が安静になっていると思い込んでいても、心拍数推移グラフPgの変化が心拍数が上昇するようになっていたとすれば、被検者11の意識と実際の身体の様子の乖離が分かる。
【0149】
[第2の実施形態の効果説明]
ここで、第2の実施形態の効果をまとめる。
第2の実施形態の血圧計100の最も重要な点は、呼吸と同時に心拍数を監視することが可能であることである。被検者11は呼吸によって心拍数が低下し、あるいは上昇することを認識できるので、より速やかに安静状態に移行でき信頼性が高い血圧測定が可能となるのである。
【0150】
以上、本発明の血圧計を2つの実施形態により説明した。しかし、本発明の血圧計は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば任意に変更することができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の血圧計は、被検者にストレスを加えることなく、適正な呼吸タイミングに誘導することができるから、被検者にとって正しい血圧値を測定できる。このため、より正確な血圧計として、家庭血圧用の血圧計として好適である。また、医療機関において医師の指導の下で血圧測定を行うときの血圧計としても適している。
【符号の説明】
【0152】
1 血圧計
2 安静状態誘導手段
3,3a信号処理手段
31 マイクロ波ドップラセンサ
311 マイクロ波発信器
312 マイクロ波受信器
313 マイクロ波ドップラ復調器
32 帯域制限・AD部
33 微分部
34 FFT部
35 心拍数抽出部
4 呼吸気識別手段
41 呼吸波形識別部
42 呼気時間計測部
43 吸気時間計測部
5 呼吸判定部
6 血圧測定手段
61 圧力センサ
62 加圧ポンプ
63 加圧制御部
64 排気バルブ
65 排気制御部
66 血圧測定制御部
661 バイタルデータメモリ
67 操作入力部
7 計時部
8 メッセージ選択手段
9 報知手段
91 表示部
911 呼吸ナビゲーションメッセージ表示器
911a 時間表示バーグラフ
911b 実時間表示器
911c グラフ表示器
911d 指導画面
912 バイタルデータ表示器
92 報音部
10 カフ
11 被検者
11a 胸郭内部
Me 発射マイクロ波
Mt 反射マイクロ波
Et 呼気実時間
Ep 呼気期間信号
It 吸気実時間
Ip 吸気期間信号
Kh 呼吸判定データ
Kj バイタルデータ
Kf 呼吸スペクトルデータ
Sf 心拍スペクトルデータ
K 乖離率
Ke 血圧測定許可信号
Ne 呼気マーク
Ni 吸気マーク
Kn 呼吸ナビゲーションメッセージ
Bd バイタルデータ
Gr 呼吸波形
Pg 心拍数推移グラフ
Eme 送信マイクロ波信号
Emt 受信マイクロ波信号
Eo マイクロ波ドップラシフト信号
Do ドップラシフトデータ
Bf 呼吸変化分データBf
So 圧力信号
Kc 加圧制御信号
Hc 排気制御信号
Fs 周波数スペクトルデータ
Hrb 初期心拍数
Kd 加圧駆動信号
Hd 排気駆動信
Zp (心拍の)周波数帯域
Zr (呼吸の)周波数帯域
T1 第1の時間情報
T2 第2の時間情報
T3 第3の時間情報
t1,t2,・・,tn 呼吸タイミング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の血圧を測定する血圧測定手段と前記被検者の呼吸状態から前記被験者を安静状態に誘導する安静状態誘導手段とを備えた血圧計において、
前記安静状態誘導手段は、
前記被検者にマイクロ波を照射し前記被検者の呼吸動作によりドップラシフトした反射マイクロ波の変化分を呼吸変化分データとして出力する信号処理手段と、
前記呼吸変化分データに基づき被検者の呼気実時間及び吸気実時間を出力する呼吸気識別手段と、
を備えたことを特徴とする血圧計。
【請求項2】
前記信号処理手段は、
マイクロ波発生器とマイクロ波受信器とを備え、前記マイクロ波発生器より前記被検者にマイクロ波を照射し前記被検者の呼吸動作によりドップラシフトした反射マイクロ波に基づきマイクロ波ドップラシフト信号を出力するマイクロ波ドップラセンサと、
前記マイクロ波ドップラシフト信号を入力して周波数帯域を制限するとともにアナログデジタル変換してドップラシフトデータとして出力する帯域制限及びAD部と、
前記ドップラシフトデータを微分して前記呼吸変化分データとして出力する微分部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の血圧計。
【請求項3】
前記呼吸気識別手段は、
前記呼吸変化分データの極性変化から呼気動作と吸気動作を識別し、呼気期間信号及び吸気期間信号を出力する呼吸波形識別部と、
前記呼気期間信号に基づき前記呼気実時間を算出する呼気時間計測部と、
前記吸気期間信号に基づき前記吸気実時間を算出する吸気時間計測部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の血圧計。
【請求項4】
前記安静状態誘導手段は、
前記被検者の前記呼気実時間及び前記吸気実時間から呼吸の安定状態を判定し呼吸判定データとして出力するとともに、前記被検者の前記呼気実時間及び前記吸気実時間から呼吸の安静状態が所定の時間継続したことを検出し血圧測定許可信号を出力する呼吸判定部と、
前記呼吸判定データに基づき呼吸ナビゲーションメッセージを出力するメッセージ選択手段と、
前記呼吸ナビゲーションメッセージを外部に報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の血圧計。
【請求項5】
前記血圧測定手段は、
血圧測定完了後に血圧値と脈拍数と呼吸数とからなるバイタルデータと前記呼気時間及び前記吸気実時間の適正値からの乖離率とを記録するバイタルデータメモリと、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の血圧計。
【請求項6】
前記呼吸ナビゲーションメッセージは、前記呼気実時間を6秒とし前記吸気実時間を3秒とする内容を含むものであることを特徴とする請求項5に記載の血圧計。
【請求項7】
前記報知手段は、
前記圧測定手段による血圧測定結果を表示するバイタルデータ表示器と前記呼吸ナビゲーションメッセージを表示する呼吸ナビゲーションメッセージ表示器とを備えた表示部と、前記呼吸ナビゲーションメッセージを音声で報知する報音部と、
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の血圧計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−205673(P2012−205673A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72294(P2011−72294)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】