血液の一定分量内の要素を検査する方法
【課題】血液試料の構成要素を識別する改良された方法を提供する。
【解決手段】カバースリップ等の透明基板上に血液の一定分量を置くことを含む血液試料の構成要素の認識方法。血液はセットされて細胞は層又はマトリックスを形成するように沈殿し、試料内の構成要素を識別するために倒立顕微鏡が用いられる。数種の照明の型が、単独で、或いは複数の組合わせにより採用され得る。本方法によると、湿った液滴又は一定分量内に形成された構成要素の一様な分布により精度が向上し、方法が単純化され、試験のコストが低減され、分析のサイクル時間が短縮される結果となる。
【解決手段】カバースリップ等の透明基板上に血液の一定分量を置くことを含む血液試料の構成要素の認識方法。血液はセットされて細胞は層又はマトリックスを形成するように沈殿し、試料内の構成要素を識別するために倒立顕微鏡が用いられる。数種の照明の型が、単独で、或いは複数の組合わせにより採用され得る。本方法によると、湿った液滴又は一定分量内に形成された構成要素の一様な分布により精度が向上し、方法が単純化され、試験のコストが低減され、分析のサイクル時間が短縮される結果となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権に関する情報]
本出願は、2004年2月13日に出願した米国仮特許出願第60/544,377号明細書、及び2005年2月11日に出願した米国特許出願で出願番号が未定の出願に対して優先権を主張し、本出願の内容に援用する。
【0002】
本発明は、血液試料の全体を分析するための方法及び装置に関し、赤血球、白血球、血小板等の血液試料の全体に含まれる構成要素を評価するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
医師は、しばしば患者の健康状態を診断するのに血液検査を採用する。総血球数(complete Blood Count:CBC)は、米国及び世界の医療研究所において最も一般的に実施されている。体液の多様な構成要素を迅速に確認し数え上げることは、診察の際の重要な目的である。試料の処理や扱いを最小限にすれば、その技術が広範囲に使用されることに貢献するであろう。
【0004】
歴史的にも、血液試料は患者から採取され、評価するために研究所に送られる。最近のCBC方法や機器は、テクノロジに基づく多重チャンネル、多重検知流体システムが用いられかなり進化している。CBC機器は、抗凝血された血液全体を吸引し、CBCの異なる要素にするために、それを幾つかの分析の流路に分割する。この構成要素には、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Hct)指数(MCV,MCH,MCHC)、及び赤血球形態;白血球数(WBC)及びWBC白血球百分率(異なる正常な及び異常な白血球の型を数え上げること;及び血小板数が含まれる。
【0005】
患者から採取された血液試料に実施される最も一般的な試験は、ヘマトクリット(Hct)又はヘモグロビン(Hb)であり、それらは、試験を行う医師の個人的な趣向より、しばしば交代可能なように用いられる。それらは、失血が生じる条件を監視するために、貧血、慢性疾患、薬物反応、アレルギ、及び治療を判定するために用いられる。
【0006】
血液試料のHctは、血液全体に占める赤血球の体積比率で定義される。それは、パーセント、又は好ましくは小数による比率で表現される。単位(L/L)は示唆される。静脈のヘマトクリットは皮膚穿刺から得られたヘマトクリットに密接に一致し、それらは共に体全体のヘマトクリットよりも多い。
【0007】
Hct及びHbは、しばしば血液の単位体積当りの細胞濃度の形式で表される、全赤血球数(RBC)とともに提供される。一旦、これら3つの値(Hct,Hb及びRBC)が分かると、3つの赤血球指数が計算される。これらの指数は、特に貧血の形態学的特徴に対して有効である。これらの値には、赤血球の平均容積であり、Hct及びRBCから算出される平均細胞容積(MCV)が含まれる。式を用いると:
MCV=Hct×1,000/RBC(マイクロリットル当りの百万個)
平均細胞ヘモグロビン(MCH)もまた算出され、平均赤血球のなかでのHbの含有量であり、下式を用いて、Hb濃度及びRBCから算出される:
MCH=Hb(リットル当りのグラム数)/RBC(マイクロリットル当りの百万個)
Hb及びHctから算出し得る他の指数は、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC)である。この指数は、与えられたHbの平均濃度である。下式を用いて算出される:
MCHC=Hb(デシリットル当りのグラム)/Hct
【0008】
今日の試験方法に適用可能な赤血球の他の特徴には、平均値に関するMCVのばらつき及び赤血球の形態の異常性評価も含まれる。
【0009】
上述の指数は、ジョン、バーナード、ヘンリー、H.D.著の「検査室手法による臨床診断及び管理、パートIV(1984年第17版)」に多くの詳細が議論されている。
【0010】
現代の臨床実験室の器具は、患者から採取された血液試料の試験管におけるこれらの最初の即時分析を行うために確立され、算出された指数はこれらの機器によりすぐさま提出されてきた。算出された指数は、しばしば、医師が患者の健康状態についての診断結果の基となる好ましいデータである。
【0011】
試験方法、試験機器及び技術の大多数は、Hct,Hb及びRBCの値や近似値の測定に用いられてきた。Hct(全血液の容積に対する赤血球の血中血球容積比率)を決定するために用いられる最も一般的な方法には、与えられた血液試料の約10,000から12,000グラムを5分間遠心分離機にかける遠心分離法が含まれる。そして、その容積は全容積から赤血球のレベルを測定することで算出される。
【0012】
血液試料からHbを判定するこの分野で用いられる方法には、シアンメトヘモグロビン法、オキシヘモグロビン法、及び試料に含まれる鉄分を計測する方法がある。上記3つの方法のうち、第1の(シアンメトヘモグロビン法)が、血液学における国際標準化委員会により推奨されている。この方法には、カルシウムヘキサシアノ鉄酸塩及びカルシウムシアン化合物の溶液により血液の試料を希釈することも含まれる。フェリシアン化カリウム酸化ヘモグロビン及びカルシウムシアン化合物は、最大で約540ナノメートルの波長において広域の吸収特性を有するシアン化ヘモグロビンからシアン化鉄を供給する。溶液全体の吸収特性は、540ナノメートルの光度計又は分光光度計により測定でき、標準的なフェリシアン化カリウム酸化ヘモグロビン溶液のそれと比較される。
【0013】
また、試験方法、試験機器及び技術の大多数は、WBC数、WBC白血球百分率、及び血小板数の測定に用いられてきた。この分野全体の概観を試みるよりは、ヘンリー(同著)を参照せよ。
【0014】
全自動化された血液分析システムは、通常は流路に基づき、300,000ドルを超えるコストとなり得る。このシステムには、大量のキャリブレーション及びコントロール、メンテナンス、熟練オペレータ、及び、試薬、消耗品及び使い捨て品に関する実質的なコストを要する。このシステムにより処理された血液試料の大部分は更なる試験を要し、ある発見物について通常は10%から50%であるが、「フラッグを立てる(Flagging)」クライテリアに関する診療所の方針に基づく。多くの場合、再試験はしばしば検査技師により、その発生が血液学上の又は悪性の又はウイルス疾患とみなせる細胞の型又は細胞の異常な分布による、異常なRBCの形態又はWBC白血球百分率について直接の検視を要する。追加の試験は、血液管の回収、管からの血液の除去、及びガラスのスライドに試料を塗布する準備をし、引き続き、技術を有する検査技師により細胞の検視及び分析を行うことが含まれる。追加の試験は、最初の機器による試験に対して3倍にコストアップする。
【0015】
追加のために、試料はスライドに小滴の血液を塗布し、それを乾燥させ、定着させ及び染色させ、それから顕微鏡の下で塗布物を検査することで評価される。残念なことに、その結果の正確さ及び信頼性は、検査技師の経験や技術に大きく依存する。さらに、血液の塗布は、労働集約的でありコストがかかる。その準備や塗布は自動化可能であるが、試験は人手によるしかない。
【0016】
全血液試料の評価についての既知の参考となる方法は、血液全体を希釈すること、それを「計数室」に置くこと、及び希釈した試料内に構成される細胞を人手により評価することを含む。血液全体の赤血球(RBCs)の数及び濃度は、他の構成する細胞よりもかなり数で上回るため希釈は必要となる。WBC数を決定するため、全血液の試料は、正確な技術によるが、血液の割合を1とすると希釈液の割合が20(1:20)からおよそ1:256の希釈率までの範囲内で希釈しなければならず、また1つ以上の試薬によりRBCsを選択的に溶解する必要がある。RBCsを効果的に希釈し、視界から除去することで、WBCsを確認することができる。血小板数を決めるために、血液の試料は、約1:100からおよそ1:50,000の範囲内で希釈しなければならない。しかし、血小板数は、試料についてのRBCsの希釈は必要としない。この血液試料の全体の評価方法の不利な点は、希釈する処理は時間を要し高価な点である。さらに、血液試料の全体に希釈液を付加することは、試料のデータ内でのエラーの確率を増大させる。
【0017】
血液試料を評価する最新の方法は、インピーダンス又はオプティカル・フロー血球計算である。フロー血球計算は、希釈された血液試薬を1つ以上の小径のオリフィスを通じて循環させ、そのうちのいくつかは、添加剤とともにその中に流入させ、インピーダンス型又はオプティカル型のセンサを隣接させ、一列となってオリフィスを通過する細胞の構成要素を評価することを含む。異なる構成要素は、それらの検出及び評価をするには異なる流量が必要かもしれない。例えば、血液試料は、それぞれの構成要素を計測するために、WBCs及び血小板の数に比較して圧倒する数のRBCsを緩和するために希釈されなければならない。さらに、WBC百分率の計測用に白血球を区別のための、分離された流路が要求されるかもしれない。それぞれの流路は、バルブ又は他の手段、ポンプ、及び検出器により流路分離の条件を課す。そのような処理方法は、異なる流路に基づくCBC装置について多様なバリエーションがあるが、すべては、複雑さ、流路の数、構成要素の破損、メンテナンスの必要性、及びコストを付加する。さらに、異なる添加剤を異なる流路に付加するために流体工学が必要となる。上述した、参考となる方法よりもより目的にかない、かつ筋が通ってはいるが、フロー血球計算には、また多数の不都合がある。その不都合のうちの幾つかは、試料を運ぶために必要な配管、流速を制御するために必要な流速制御、センサ手段に起因する。試料の流れの正確な制御は、フロー血球計算の操作にとって本質的な点である。フロー血球計算内の配管は漏れが生じるかもしれず、潜在的に機器の精度及び安全性を損なう。一方、流量の制御及び希釈の機器は、定期的なキャリブレーションを必要とする。キャリブレーションを必要とすることは、フロー血球計算法を用いる現在のところ有効な血液学での分析機器に存在する不正確な結果及び好ましくない操作コストが、潜在的にあることを説明する。他の不都合な点は、必要な添加剤の量である。大きな希釈率が適用されると、必然的に大量の液体添加剤が必要となる。大量の添加剤は、試験のコストを吊り上げ、無駄な廃棄の問題を発生させる。
【0018】
他の細胞分析のアプローチは、例えば、米国特許第5,547,849号明細書及び第5,585,246号明細書に記載されている毛細血管のスキャンによる容積測定であり、全血液の比較的希釈されない試料が、既知の容積と厚みを有する毛細血管に入れられ、血液が静止状態になる間検査される。この技術は、RBCsが比較的透き通って現れることがらスキャンの波長を制限することでRBCsの存在を扱い、試料を処理することでRBC測定処理の間に凝集しないことが要求される。このように、この技術は長い波長の蛍光を使用する場合に制限され、RBCs及び血小板の検査、又は任意の細胞の形態の検査には提供されない。
【0019】
特許文献1には、試験に用いられ、頂部と底部を有する室に収容され、静止し基本的に希釈されない抗凝固処理された血液試料からの情報を獲得する方法及び装置が記載されている。一般的に、使用される試薬は染料、染色液及び抗凝固剤のみであり、これらの試薬は試料に希釈の目的に付加されるのではなく、反応を生じさせ、効果を出し、又は試験を手元で容易にするようために付加される。
【0020】
その発明によると、希釈されない抗凝固な血液全体のなかの構成要素を評価する方法は、a)試料室を供給すること,b)血液全体の試料に顕著な着色剤を混合すること、c)混合された試料を試料室へ挿入すること、d)試料内に連銭及び脱落が形成されるまで混合された試料を静止させて室内に保持すること、e)脱落して配置された目標となる構成要素の評価をすること、のステップが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,948,686号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/055178号明細書
【特許文献3】米国特許第6,350,613号明細書
【特許文献4】米国特許第5,407,794号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、血液試料の構成要素を識別する改良された方法を志向する。本方法は、カバースリップ又は他の透明な支持体又は基板といった基質上に一定分量(aliquot)の血液をセットすることを含む。血液はセットされ、細胞は層又はマトリックスを形成するように沈殿し、試料内の構成要素を識別するために倒立顕微鏡が用いられる。数種の照明の型が、単独で或いは複数の組合せにより用いられ得る。本方法によると、湿った液滴又は一定分量内の形成された構成要素の均質な分布により精度が向上し、方法が単純化され、試験のコストが低減され、分析のサイクル時間が短縮される結果となる。
【0023】
本発明の目的は、倒立顕微鏡を用い血液試料内の構成要素を認識する改良された方法を提供することである。
【0024】
本発明の更なる目的は、暗視野(落射照明)反射倒立顕微鏡を、単独で、或いは、直接透過照明の角度付き明視野又は他のシステムとのコンビネーションにより用いることである。
【0025】
CBC及びWBC白血球百分率の全ての主要なパラメータを提供する、低コストの機器を提供することも本発明の目的である。
【0026】
処理能力が高い割には消耗品や試薬のコストが低く、追加の試験が少なくて済み、それにより、操作者の時間や技術が少なくなる機器を提供することも本発明の他の目的である。
【0027】
本発明の他の目的、特徴及び有利な点は、添付する図面を参照しながら進行される明細書の記載によりさらに明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、血液試料から細胞を調製して検査する方法であって、検査のための細胞を調製するステップを備え、その調製は、赤血球、白血球、及び血小板を含む複数タイプの細胞を一様の分布にて含む血液の一定分量を透明材料の表面に設置し、その際に、いずれのタイプの細胞をも前記血液の一定分量から除去することなく、前記血液の一定分量を前記透明材料の表面に設置し、前記一定分量中の前記均質分散された細胞を前記透明材料の前記表面に沈殿させて、少なくとも1つのタイプの細胞を計数し少なくとも1つのタイプの細胞の形態を評価するのに適した単一層を形成し、前記透明材料の底部から前記一定分量を検査して、前記血液中の特定の細胞の数を検出し、血液単位量当りの特定タイプの細胞の濃度を検出することによって実施されることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、血液の一定分量内の要素を検査する方法であって、要素を含む血液の一定分量を透明面に設置すること、前記血液の一定分量を大気中にさらされたままにし、かつ、他の物体で覆うことなく、前記要素を前記透明面の表面に沈殿させること、及び、前記血液の一定分量をさらされて覆われないままに維持し、前記透明面の下部から前記一定分量を検査することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】基板上の一定分量の底部に単一層を形成するように沈殿する過程を表現した、基板上の血液の一定分量を示す概略の説明図である。
【図1B】基板上の一定分量の底部に単一層を形成するように沈殿する過程を表現した、基板上の血液の一定分量を示す概略の説明図である。
【図1C】基板上の一定分量の底部に単一層を形成するように沈殿する過程を表現した、基板上の血液の一定分量を示す概略の説明図である。
【図2】典型的な倒立顕微鏡を示す概略の説明図である。
【図3】反射暗視野照明の説明図である。
【図4】反射照明の説明図である。
【図5】この(図4の)照明における透過光の説明図である。
【図6A】血液試料の時間経過を示す写真である。
【図6B】血液試料の時間経過を示す写真である。
【図6C】血液試料の時間経過を示す写真である。
【図6D】血液試料の時間経過を示す写真である。
【図7】角度付きの透過照明と組み合わされた暗視野反射モードを用いた血液試料の写真である。
【図8】低倍率の暗視野反射を用いた血小板の写真である。
【図9】角度付きの透過光及び染色をしない希釈した試料の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、一般に、血液試料全体を準備する簡易で新しい方法を含み、血液の一定分量からRBCs,WBCs及び血小板の均一で単層な分布が得られる。基本的に、抗凝固処理された血液の一定分量は、染色試薬又は他の希釈液により希釈され、希釈された一定分量は、ガラス又はプラスチックのようなカバースリップ等の透明基質上にセットされる。液滴は自然に形成されるが、外部からの力により制約される。数秒後に細胞はカバースリップの表面に定着する。細胞は、オーバーラップすることなく倒立顕微鏡により容易に観察できるように層を形成する。これらの調合液の顕微鏡による様子は、手動によるWBC白血球百分率のためのよく調合された「塗布(smear)」に類似する。ここで述べる滴下方法は、ガラスが滑った「くさび(wedge)」のそぎ端や横縁の細胞の選択的な分布とは逆に細胞の均一な分布が観察できるため、「塗布」よりも有利であるべきだ。また、白血球及び赤血球の形態は、ガラススライド上で平坦にしたり乾燥させたりする塗布方法でみられるような変形を生じることはない。赤血球の中央部が青白く自然な形状は、ある白血球の従来の塗布では見られなかった、例えば顆粒状に振動する動作などとしてすぐに観察できる。
【0032】
図1A−Cに示すように、染色液及び/又は生理食塩水により希釈された血液10の一定分量は、カバースリップ12の第0番にセットされる。側方からみると、一定分量10は半球の形状を形成する。血液の構成要素14は、当初は一定分量にわたって分布する。時間が経過すると血液14の構成要素はガラスカバースリップ12の表面に沈殿する。
【0033】
本発明は、倒立する暗視野(簿射照明)による反射微細分光光度計を採用し、多様な液体に形成された要素を分析する画像解析を含む。これとは別に、又はこれと同時に他の照明も用いることもできる。このアプローチは、スライドの調合における空気乾燥等のステップ、又は染色して細胞を観察するステップなど、先行技術による方法に内在していた問題の多くを回避する。さらに、本方法は、従来の塗布では精度に影響する知られた欠陥に対して、細胞の均一な分布を確実とする。例えば、通常の塗布の間に発生する、異なる大きさや密度の赤血球や白血球の不規則な分布を回避する。
【0034】
さらに図2−5を特に参照し、試料を観察及び/又は分析するために「倒立顕微鏡光学器」が用いられる。この光学システムを用いると、顕微鏡の対象物は混合体の一定分量を支持するガラス基板の下にある。対物レンズは、倍率を4倍から100倍まで変化させ得る。好ましい実施形態では、対象物の20倍から50倍を用いるであろう。
【0035】
倒立顕微鏡20は図2に示される。倒立顕微鏡20を用いることで、血液の構成物により形成される層が観察できる。倒立顕微鏡20により、対物レンズ及び接眼レンズ24又はカメラ26のアタッチメントに対する光学上の結合(coupling)は、もっぱら血液の塗布をCBCの一部として検査する多くの顕微鏡にとって一般的である、標本28の上ではなく標本28の下となる。これは、(希釈された)血液のドーム状の一定分量から、ガラス基板29にセットされた対象物の層を観察するのに理想的である。反射光源30により照明の光源もまた試料の下となり、半反射ミラー(half−reflecting mirror)又は対物レンズ22の下の光路における他の方法を用いて、試料は下方から投射される。試料から反射される光は、ミラーにより戻されてカメラの接眼レンズに入る。倒立顕微鏡20の透過光のために照明源は試料の上にある。典型的には、透過光32は、直上(ガラス基板に対して90度)に向かう。しかし、本適用では、上方からの角度を有する照明源は、単一の焦点面に血液の構成物を視覚化させる「3次元」効果をもたらす。照明の角度を変化させることで、異なる構成物を強調することができ、多様な「3次元」効果が得られる。さらには、白血球内の顆粒の振動が、反射及び透過の双方の照明により検知される。代替として、一定分量を観察する良質なレンズ及びカメラを用いても良い。
【0036】
図3−図5に示すように、血液の構成物を観察するための数々の照明方法を採用することが可能である。暗視野照明は、試料を下方から基板に垂直な角度から照らし、基板の下に垂直に位置された対象物に反射された光を集めることにより、細胞の底部の層を観察するための1つのモードとして用いられる。反射照明は他のモードであり、下方から細胞の底部の層の観察をすると共に、観察と同じ光学を通じて試料を照らす(すなわち、対物レンズを光源及び反射光の集光の双方に用いる)。さらに他のモードは透過照明であり、細胞の底部の層を直上から照らして観察し、対象物からの透過光を直下から集光する。さらに他のモードは、「角度付」透過照明であり、基板に対して垂直の角度で上方から試料を照らし、細胞の底部の層を観察する。光は基板に垂直で下方に位置する対象物に集められる。血液の構成物のある光学的イメージを供給するために、これらのモードの任意の組合せが同時に用いられ、異なる構成物を連続して視覚化するのに最適なようにモード間で切り替えが行われる。
【0037】
図3に示す反射暗視野照明において、光源40は、試料46に下方から角度を有して投射される。これは対物レンズ42、又は、対物レンズの周りに光を持ち込み、対象物の先に角度を持って投射する特殊なレンズの外側から投射される。試料46に当った光は、直下の対物レンズ42に入り、接眼レンズ48またはカメラ50に反射する。その角度及び光源にセットされた絞りにより、縁部又は顆粒対象物のみを示す荒いイメージが生成され(ハード・コントラスト)、又は血液の構成物の全試料を示す柔らかなイメージが生成される(ソフト・イメージ)。通常、反射照明は、冶金分野での適用といった固体の対象物に用いられるため、対物レンズ42は透明な基板52とともに用いられるように修正されていない。それゆえに、非常に薄いガラス基板、例えば、第0番や第00番のカバースリップが最良の品質の像をもたらす。
【0038】
図4に示す反射照明において、光源60は下方から試料62に真直ぐに投射される。これは、光を側方から試料62に向かい上方に投射させる半反射ミラー64を用いることで成し遂げられる。試料から反射した光は、直接下方に向かい半反射ミラー64を通過し、接眼レンズ66又はカメラ68により観察される。同様に、対象物の異なるタイプを強調するためのコントラストが調節可能である。
【0039】
図5に示す透過光を用いる場合、光源70は試料72の上を下方に投射し、その光は直接対物レンズ74を通過し、接眼レンズ76又はカメラ78へと集光される。光源70が直上である場合は、そのシステムはアップサイド・ダウンの通常の顕微鏡と全く同じものとなる。血液の構成物の層を観察するために、角度付の光源は、血液の構成物の層を強調し、細胞が3次元的に現れるような「3次元」効果を発生する能力を供給する。特に、赤血球は、3次元に膨張した対象物として現れる。その角度により、凹面又は凸面の外観が得られる。ある角度では白血球が強調され、一方、他の角度では赤血球や血小板が強調される。同様に、対象物の異なるタイプを強調するためのコントラストが調節可能である。
【0040】
上述した照明モードの多様な組合せが可能である。試料のある構成要素を観察する最適な照明の条件は、例えば、反射モードと透過モードとを同時につけることによる。照明の角度は、それぞれの試料のタイプ及びそれぞれの希釈にとって最適なように変化させることができる。時折、分散させる薬剤、コロイド状の薬剤等を付加することが望ましいかもしれない。
【0041】
実験結果についての章
試料:
抗凝血性を有する血液試料(抗凝血剤としてヘパリン又はEDTAを使用)は、1)指の突き刺し、又は2)静脈切開によりベクトン ディケンソン(Becton Dickenson) バキュタイナ(例えば、BD#8002561)へ入れた血液。
【0042】
試料の処理:
試料を分析する前には、試料は室温に保ちながら、従来の自動CBC装置とともに穏やかな揺れ動作を保持しなければならない。一定分量は、血液試料から吸引される。一定分量は、1滴又は約25マイクロリットルであり、10マイクロリットルから200マイクロリットルの範囲内であることが好ましい。
下記のいずれかを実施することができる:
1.希釈しない血液が用いられる。
2.血液に緩衝剤の一定分量を加える。緩衝剤は、いろいろなPHの0.9N生理生成水であっても良い。
3.血液に緩衝剤と染色液との混合剤の一定分量を加える。緩衝剤は0.9N生理生成水であっても良く、染色液は、ライトージーマス(Wright−Giemas)(シグマ ダイアゴノスティックス(Sigma Diagnostics),セントルイス、ミズリー(MO))であり、緩衝剤と染色剤とが1:1から1:5であって、好ましくは2:1(緩衝剤:染色剤)であっても良い。
4.血液に染色剤の一定分量のみを加える。染色液は、ライトージーマス(Wright−Giemas)(シグマ ダイアゴノスティックス(Sigma Diagnostics),セントルイス、ミズリー(MO))であっても良い。
【0043】
一定分量を調合する場合、緩衝剤/染色剤に対する血液の容積は、1:1から1:20又はそれ以上であり、好ましくは1:9(血液:緩衝剤/染色剤)であっても良い。その混合物は、穏やかな揺れとともに室温に保持されている。染色剤を用いる場合には、染色剤が細胞と反応するのに十分な時間(1−10分間)、好ましくは1分間見なければならない。
【0044】
基板上の試料の調合:
混合物の1つの滴下(5から100マイクロリットル、好ましくは50マイクロリットル)が、極めて薄いガラス基板(例えば、カバースリップ、第0番又は第00番の厚み、22X40mm、エリー・サイエンティフィック(Erie Scientific)、ポーツマス(Portsmouth)、ニューハンプシャ(NH))に移される。小滴は、一定の周囲温度及び湿度でスライド上に保持される。細胞が底部に層を形成し、そこに細胞の極めて小さな動きがあり、すなわち、小滴の底部に単一層、層又はマトリックスに新たな細胞が極めてゆっくりと加わるのに十分な時間(10秒間から2分間)、好ましくは30秒間が許容される。
【0045】
結果として生じる細胞の密集した層の形成により、希釈と細胞の計数に適切な単一層又は層が形成される時間とで交換が行われる。より少ない希釈は、密集した層が底部においてより速く形成されることを意味する。図6A−図Dは、時間ごとに写された連続したデジタル・イメージである。試料をセットするために、生理生成水により1:20(血液:生理生成水)に希釈された血液の一定分量は、第0番のカバースリップ上に置かれ、白色光を用いた角度付き透過照明による倒立顕微鏡により観察される。透過照明の角度は、細胞に対して凸面の外観を与える。対象物に対して50倍が用いられる。図6Aは,混合しカバースリップに一定分量を置いた30秒後に得られたものである。図から、底部のほとんど焦点面に比較的少ない細胞がみられる。図6Bは、120秒後に得られたものである。ここでは、焦点面の細胞数はかなり増加している。図6C及び図6Dは、それぞれ240秒及び360秒後に得られたものであり、焦点での細胞数はさらに増加している。
【0046】
これらのイメージは、細胞が焦点面に沈殿する時間経過を図示している。この時間経過は希釈により影響される。与えられた希釈率により、異なる細胞のタイプの計数に最適な時間がある。この1セットのイメージから、赤血球80及び白血球82の間の明確な区別がある。
【0047】
上述した技術及び装置を用いて、図7−図10が用意された。特に、図7において、血液の一定分量は染色剤と1:1に混合され、角度付きの透過照明とのコンビネーションにより、暗視野反射モードを用いて倒立顕微鏡上に照射された。焦点面内において、単一層に明確に識別される赤血球80及び白血球82を示す。白血球はよく染色されている。対象物に対して20倍が用いられている。
【0048】
図8は、特定の入射角での暗視野反射照明を用いて示され、多くの血小板84が容易に検出される。血小板84は、輝いて反射する小さな物体である。それらは、RBC及びWBCsから容易に識別され、この特定のイメージでは焦点から外れている。それらは、RBC及び小リンパ球よりも約10層だけ小さく、顆粒球と比べてもそれ以上に小さい。
【0049】
図9において、生理食塩水と1:20(血液:生理食塩水)で希釈された血液の一定分量がカバースリットに置かれ、カバースリップ面に対して低アングルに設置された白色光を用いた透過照明により、倒立顕微鏡上に観察される。この透過照明の角度では、細胞に対して凹面の外観が得られる。ここでは、赤血球80、白血球82及び血小板84が明確に識別される。対象物に対して50倍が用いられる。RBCsは、大きさ及び形状が容易に検出できる。赤色の着色の強度は、これらの条件下で異なる個体からなる試料の間で変化する。これは、従来からCBCにおいて報告されていたヘモグロビン及びそれに続くRBCの決定における評価の基礎となり得る。この視野でのWBCsは、3つの顆粒球を含む。顆粒それ自身は、リアルタイムに観察すると動作している様子を示す。
【0050】
総血球数の構成要素の計数:
本発明の顕微鏡光学器により作成されたイメージは、ビデオカメラにより観察することができる(カラー又は白黒のいずれでも)。光源は白色光又は1つ以上の固有の色であり得る。ビデオカメラのイメージは、デジタル・イメージに変換できる。基板を動かすことで複数の視野が観察可能である。例えば、モータで制御されたステージは、基板を動かすことができ、CBCの要素のそれぞれについて十分な数の分析を供給するため、小滴の十分な領域を観察することかできる。1つ以上のイメージが、それぞれの視野からデジタル化され得る。イメージがデジタル化されることで、それぞれのイメージに対し、単一の照明モード又はモードの組合せが適用される。それぞれの視野に対して1つ以上の倍率(すなわち、目的物)が用いられる。イメージがデジタル化されることで、単一色、多重色、又は白色が適用され得る。異なる照明モード及び色彩(又は、多くの組合せ)を用いた数個のイメージは、色彩又は照明モードが変わるたびに、いずれデジタル化される。
【0051】
イメージを獲得する1つのモードは、倍率、滴下される標本の分量と形状、及び分析される細胞のタイプ又は細胞の特徴により、それぞれ分離され、連続して、又は同時に用いられる角度付き透過照明及び反射暗視野照明である。結果のイメージを用いて、コンピュータ・プログラム又はイメージの観察者は、CBCの構成要素を決定できる。赤血球及び白血球の数は決定できる。血小板の数は決定できる。白血球のタイプは決定できる。細胞の他の特徴(例えば、白血球内のヘモグロビン含有量又は顆粒)は、観察及び分析ができる。
【0052】
これらの数及び細胞の特徴を用いて、下記のパラメータか決定される:
赤血球(RBC)パラメータ:
a.直接計数による赤血球数。RBC数は、小滴の血液の容積と層に含まれる細胞との経験的な関係から算出できる;
b.平均赤血球容積(MCV)は、個々の細胞の直接測定及び計算により決定され得る;
c.血中赤血球容積(Hct)は、MCV×RBC/1000から算出できる;
d.ヘモグロビン(Hb)は、反射又は透過分光法、又は公式Hb=MCH×RBCの計算により決定され得る。個々の細胞のHbは、シーンの選択及び対象物の識別を伴い、それぞれについての反射分光法により決定され得る;
e.平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)は、個々の細胞のHb/RBCの多くの測定、又は計算により直接決定され得る;
f.個々の細胞の直接測定又はHb/Hctの計算から平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC);そして、
g.RBCの形態;個々のRBCsのイメージ分析(dにおける)と、それに続く大きさと形状の決定とにより、赤血球不同症及び変形赤血球症等の慣習上の形態特性が供給できる。
【0053】
白血球(WBC)パラメータ:
a.直接計数による白血球数;RBCと同様な原理が適用される;及び
b.イメージ分析による白血球百分率(WBCsの異なるタイプの数え上げ)
c.異常なWBCのタイプの識別
【0054】
直接計数による血小板数:
RBCと同様な原理が適用され、すなわち直接計数及び小滴の容量と、層における血小板との経験的な関係による。
これらの基本的なパラメータにより、幾つかの異なる実施形態が可能である。時間は、希釈液を選択する一つの要素である。例えば、視野は、小滴が基板上に滴下された後の与えられた時間に分析され、低い希釈を用いると、その結果1つ以上の層が形成される。短い時間間隔では、細胞は蜜集せず分析を容易にする。時間間隔、希釈剤、及び時間に伴う沈殿のパターンを知ることで、観察する要素の全凝縮が計算できる。
【0055】
他の実施形態では、基板上に複数の小滴を置くことが可能である。それぞれの小滴は、それ自体の希釈液を有し得る;それぞれの小滴は、染色され得るし、又は染色され得ない、そしてそれぞれの小滴は、異なる大きさであり得る。
【0056】
他の実施形態では、一定分量は、赤血球要素を除外するために、溶解させることができる。これは、単位面積の白血球が高密度である基板の小滴の形成を許容するであろう。
【0057】
他の実施形態では希釈倍率は選択でき、要素が基板に沈殿した後は、小滴は合流しない。希釈液及び一定分量の大きさを知ることで、血液試料の多様な構成要素についての正確で可能な計算ができる。
【0058】
上述した説明は、発明の幾つかの実施形態に限られている。しかし、本発明について、幾つかの或いは全ての有利な点を有する変形や修正が可能なことは明白である。従って、クレームの目的は、本発明の真の精神及び範囲内において、これら全ての変形や修正をカバーすることにある。
【技術分野】
【0001】
[優先権に関する情報]
本出願は、2004年2月13日に出願した米国仮特許出願第60/544,377号明細書、及び2005年2月11日に出願した米国特許出願で出願番号が未定の出願に対して優先権を主張し、本出願の内容に援用する。
【0002】
本発明は、血液試料の全体を分析するための方法及び装置に関し、赤血球、白血球、血小板等の血液試料の全体に含まれる構成要素を評価するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
医師は、しばしば患者の健康状態を診断するのに血液検査を採用する。総血球数(complete Blood Count:CBC)は、米国及び世界の医療研究所において最も一般的に実施されている。体液の多様な構成要素を迅速に確認し数え上げることは、診察の際の重要な目的である。試料の処理や扱いを最小限にすれば、その技術が広範囲に使用されることに貢献するであろう。
【0004】
歴史的にも、血液試料は患者から採取され、評価するために研究所に送られる。最近のCBC方法や機器は、テクノロジに基づく多重チャンネル、多重検知流体システムが用いられかなり進化している。CBC機器は、抗凝血された血液全体を吸引し、CBCの異なる要素にするために、それを幾つかの分析の流路に分割する。この構成要素には、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Hct)指数(MCV,MCH,MCHC)、及び赤血球形態;白血球数(WBC)及びWBC白血球百分率(異なる正常な及び異常な白血球の型を数え上げること;及び血小板数が含まれる。
【0005】
患者から採取された血液試料に実施される最も一般的な試験は、ヘマトクリット(Hct)又はヘモグロビン(Hb)であり、それらは、試験を行う医師の個人的な趣向より、しばしば交代可能なように用いられる。それらは、失血が生じる条件を監視するために、貧血、慢性疾患、薬物反応、アレルギ、及び治療を判定するために用いられる。
【0006】
血液試料のHctは、血液全体に占める赤血球の体積比率で定義される。それは、パーセント、又は好ましくは小数による比率で表現される。単位(L/L)は示唆される。静脈のヘマトクリットは皮膚穿刺から得られたヘマトクリットに密接に一致し、それらは共に体全体のヘマトクリットよりも多い。
【0007】
Hct及びHbは、しばしば血液の単位体積当りの細胞濃度の形式で表される、全赤血球数(RBC)とともに提供される。一旦、これら3つの値(Hct,Hb及びRBC)が分かると、3つの赤血球指数が計算される。これらの指数は、特に貧血の形態学的特徴に対して有効である。これらの値には、赤血球の平均容積であり、Hct及びRBCから算出される平均細胞容積(MCV)が含まれる。式を用いると:
MCV=Hct×1,000/RBC(マイクロリットル当りの百万個)
平均細胞ヘモグロビン(MCH)もまた算出され、平均赤血球のなかでのHbの含有量であり、下式を用いて、Hb濃度及びRBCから算出される:
MCH=Hb(リットル当りのグラム数)/RBC(マイクロリットル当りの百万個)
Hb及びHctから算出し得る他の指数は、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC)である。この指数は、与えられたHbの平均濃度である。下式を用いて算出される:
MCHC=Hb(デシリットル当りのグラム)/Hct
【0008】
今日の試験方法に適用可能な赤血球の他の特徴には、平均値に関するMCVのばらつき及び赤血球の形態の異常性評価も含まれる。
【0009】
上述の指数は、ジョン、バーナード、ヘンリー、H.D.著の「検査室手法による臨床診断及び管理、パートIV(1984年第17版)」に多くの詳細が議論されている。
【0010】
現代の臨床実験室の器具は、患者から採取された血液試料の試験管におけるこれらの最初の即時分析を行うために確立され、算出された指数はこれらの機器によりすぐさま提出されてきた。算出された指数は、しばしば、医師が患者の健康状態についての診断結果の基となる好ましいデータである。
【0011】
試験方法、試験機器及び技術の大多数は、Hct,Hb及びRBCの値や近似値の測定に用いられてきた。Hct(全血液の容積に対する赤血球の血中血球容積比率)を決定するために用いられる最も一般的な方法には、与えられた血液試料の約10,000から12,000グラムを5分間遠心分離機にかける遠心分離法が含まれる。そして、その容積は全容積から赤血球のレベルを測定することで算出される。
【0012】
血液試料からHbを判定するこの分野で用いられる方法には、シアンメトヘモグロビン法、オキシヘモグロビン法、及び試料に含まれる鉄分を計測する方法がある。上記3つの方法のうち、第1の(シアンメトヘモグロビン法)が、血液学における国際標準化委員会により推奨されている。この方法には、カルシウムヘキサシアノ鉄酸塩及びカルシウムシアン化合物の溶液により血液の試料を希釈することも含まれる。フェリシアン化カリウム酸化ヘモグロビン及びカルシウムシアン化合物は、最大で約540ナノメートルの波長において広域の吸収特性を有するシアン化ヘモグロビンからシアン化鉄を供給する。溶液全体の吸収特性は、540ナノメートルの光度計又は分光光度計により測定でき、標準的なフェリシアン化カリウム酸化ヘモグロビン溶液のそれと比較される。
【0013】
また、試験方法、試験機器及び技術の大多数は、WBC数、WBC白血球百分率、及び血小板数の測定に用いられてきた。この分野全体の概観を試みるよりは、ヘンリー(同著)を参照せよ。
【0014】
全自動化された血液分析システムは、通常は流路に基づき、300,000ドルを超えるコストとなり得る。このシステムには、大量のキャリブレーション及びコントロール、メンテナンス、熟練オペレータ、及び、試薬、消耗品及び使い捨て品に関する実質的なコストを要する。このシステムにより処理された血液試料の大部分は更なる試験を要し、ある発見物について通常は10%から50%であるが、「フラッグを立てる(Flagging)」クライテリアに関する診療所の方針に基づく。多くの場合、再試験はしばしば検査技師により、その発生が血液学上の又は悪性の又はウイルス疾患とみなせる細胞の型又は細胞の異常な分布による、異常なRBCの形態又はWBC白血球百分率について直接の検視を要する。追加の試験は、血液管の回収、管からの血液の除去、及びガラスのスライドに試料を塗布する準備をし、引き続き、技術を有する検査技師により細胞の検視及び分析を行うことが含まれる。追加の試験は、最初の機器による試験に対して3倍にコストアップする。
【0015】
追加のために、試料はスライドに小滴の血液を塗布し、それを乾燥させ、定着させ及び染色させ、それから顕微鏡の下で塗布物を検査することで評価される。残念なことに、その結果の正確さ及び信頼性は、検査技師の経験や技術に大きく依存する。さらに、血液の塗布は、労働集約的でありコストがかかる。その準備や塗布は自動化可能であるが、試験は人手によるしかない。
【0016】
全血液試料の評価についての既知の参考となる方法は、血液全体を希釈すること、それを「計数室」に置くこと、及び希釈した試料内に構成される細胞を人手により評価することを含む。血液全体の赤血球(RBCs)の数及び濃度は、他の構成する細胞よりもかなり数で上回るため希釈は必要となる。WBC数を決定するため、全血液の試料は、正確な技術によるが、血液の割合を1とすると希釈液の割合が20(1:20)からおよそ1:256の希釈率までの範囲内で希釈しなければならず、また1つ以上の試薬によりRBCsを選択的に溶解する必要がある。RBCsを効果的に希釈し、視界から除去することで、WBCsを確認することができる。血小板数を決めるために、血液の試料は、約1:100からおよそ1:50,000の範囲内で希釈しなければならない。しかし、血小板数は、試料についてのRBCsの希釈は必要としない。この血液試料の全体の評価方法の不利な点は、希釈する処理は時間を要し高価な点である。さらに、血液試料の全体に希釈液を付加することは、試料のデータ内でのエラーの確率を増大させる。
【0017】
血液試料を評価する最新の方法は、インピーダンス又はオプティカル・フロー血球計算である。フロー血球計算は、希釈された血液試薬を1つ以上の小径のオリフィスを通じて循環させ、そのうちのいくつかは、添加剤とともにその中に流入させ、インピーダンス型又はオプティカル型のセンサを隣接させ、一列となってオリフィスを通過する細胞の構成要素を評価することを含む。異なる構成要素は、それらの検出及び評価をするには異なる流量が必要かもしれない。例えば、血液試料は、それぞれの構成要素を計測するために、WBCs及び血小板の数に比較して圧倒する数のRBCsを緩和するために希釈されなければならない。さらに、WBC百分率の計測用に白血球を区別のための、分離された流路が要求されるかもしれない。それぞれの流路は、バルブ又は他の手段、ポンプ、及び検出器により流路分離の条件を課す。そのような処理方法は、異なる流路に基づくCBC装置について多様なバリエーションがあるが、すべては、複雑さ、流路の数、構成要素の破損、メンテナンスの必要性、及びコストを付加する。さらに、異なる添加剤を異なる流路に付加するために流体工学が必要となる。上述した、参考となる方法よりもより目的にかない、かつ筋が通ってはいるが、フロー血球計算には、また多数の不都合がある。その不都合のうちの幾つかは、試料を運ぶために必要な配管、流速を制御するために必要な流速制御、センサ手段に起因する。試料の流れの正確な制御は、フロー血球計算の操作にとって本質的な点である。フロー血球計算内の配管は漏れが生じるかもしれず、潜在的に機器の精度及び安全性を損なう。一方、流量の制御及び希釈の機器は、定期的なキャリブレーションを必要とする。キャリブレーションを必要とすることは、フロー血球計算法を用いる現在のところ有効な血液学での分析機器に存在する不正確な結果及び好ましくない操作コストが、潜在的にあることを説明する。他の不都合な点は、必要な添加剤の量である。大きな希釈率が適用されると、必然的に大量の液体添加剤が必要となる。大量の添加剤は、試験のコストを吊り上げ、無駄な廃棄の問題を発生させる。
【0018】
他の細胞分析のアプローチは、例えば、米国特許第5,547,849号明細書及び第5,585,246号明細書に記載されている毛細血管のスキャンによる容積測定であり、全血液の比較的希釈されない試料が、既知の容積と厚みを有する毛細血管に入れられ、血液が静止状態になる間検査される。この技術は、RBCsが比較的透き通って現れることがらスキャンの波長を制限することでRBCsの存在を扱い、試料を処理することでRBC測定処理の間に凝集しないことが要求される。このように、この技術は長い波長の蛍光を使用する場合に制限され、RBCs及び血小板の検査、又は任意の細胞の形態の検査には提供されない。
【0019】
特許文献1には、試験に用いられ、頂部と底部を有する室に収容され、静止し基本的に希釈されない抗凝固処理された血液試料からの情報を獲得する方法及び装置が記載されている。一般的に、使用される試薬は染料、染色液及び抗凝固剤のみであり、これらの試薬は試料に希釈の目的に付加されるのではなく、反応を生じさせ、効果を出し、又は試験を手元で容易にするようために付加される。
【0020】
その発明によると、希釈されない抗凝固な血液全体のなかの構成要素を評価する方法は、a)試料室を供給すること,b)血液全体の試料に顕著な着色剤を混合すること、c)混合された試料を試料室へ挿入すること、d)試料内に連銭及び脱落が形成されるまで混合された試料を静止させて室内に保持すること、e)脱落して配置された目標となる構成要素の評価をすること、のステップが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,948,686号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/055178号明細書
【特許文献3】米国特許第6,350,613号明細書
【特許文献4】米国特許第5,407,794号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、血液試料の構成要素を識別する改良された方法を志向する。本方法は、カバースリップ又は他の透明な支持体又は基板といった基質上に一定分量(aliquot)の血液をセットすることを含む。血液はセットされ、細胞は層又はマトリックスを形成するように沈殿し、試料内の構成要素を識別するために倒立顕微鏡が用いられる。数種の照明の型が、単独で或いは複数の組合せにより用いられ得る。本方法によると、湿った液滴又は一定分量内の形成された構成要素の均質な分布により精度が向上し、方法が単純化され、試験のコストが低減され、分析のサイクル時間が短縮される結果となる。
【0023】
本発明の目的は、倒立顕微鏡を用い血液試料内の構成要素を認識する改良された方法を提供することである。
【0024】
本発明の更なる目的は、暗視野(落射照明)反射倒立顕微鏡を、単独で、或いは、直接透過照明の角度付き明視野又は他のシステムとのコンビネーションにより用いることである。
【0025】
CBC及びWBC白血球百分率の全ての主要なパラメータを提供する、低コストの機器を提供することも本発明の目的である。
【0026】
処理能力が高い割には消耗品や試薬のコストが低く、追加の試験が少なくて済み、それにより、操作者の時間や技術が少なくなる機器を提供することも本発明の他の目的である。
【0027】
本発明の他の目的、特徴及び有利な点は、添付する図面を参照しながら進行される明細書の記載によりさらに明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、血液試料から細胞を調製して検査する方法であって、検査のための細胞を調製するステップを備え、その調製は、赤血球、白血球、及び血小板を含む複数タイプの細胞を一様の分布にて含む血液の一定分量を透明材料の表面に設置し、その際に、いずれのタイプの細胞をも前記血液の一定分量から除去することなく、前記血液の一定分量を前記透明材料の表面に設置し、前記一定分量中の前記均質分散された細胞を前記透明材料の前記表面に沈殿させて、少なくとも1つのタイプの細胞を計数し少なくとも1つのタイプの細胞の形態を評価するのに適した単一層を形成し、前記透明材料の底部から前記一定分量を検査して、前記血液中の特定の細胞の数を検出し、血液単位量当りの特定タイプの細胞の濃度を検出することによって実施されることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、血液の一定分量内の要素を検査する方法であって、要素を含む血液の一定分量を透明面に設置すること、前記血液の一定分量を大気中にさらされたままにし、かつ、他の物体で覆うことなく、前記要素を前記透明面の表面に沈殿させること、及び、前記血液の一定分量をさらされて覆われないままに維持し、前記透明面の下部から前記一定分量を検査することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】基板上の一定分量の底部に単一層を形成するように沈殿する過程を表現した、基板上の血液の一定分量を示す概略の説明図である。
【図1B】基板上の一定分量の底部に単一層を形成するように沈殿する過程を表現した、基板上の血液の一定分量を示す概略の説明図である。
【図1C】基板上の一定分量の底部に単一層を形成するように沈殿する過程を表現した、基板上の血液の一定分量を示す概略の説明図である。
【図2】典型的な倒立顕微鏡を示す概略の説明図である。
【図3】反射暗視野照明の説明図である。
【図4】反射照明の説明図である。
【図5】この(図4の)照明における透過光の説明図である。
【図6A】血液試料の時間経過を示す写真である。
【図6B】血液試料の時間経過を示す写真である。
【図6C】血液試料の時間経過を示す写真である。
【図6D】血液試料の時間経過を示す写真である。
【図7】角度付きの透過照明と組み合わされた暗視野反射モードを用いた血液試料の写真である。
【図8】低倍率の暗視野反射を用いた血小板の写真である。
【図9】角度付きの透過光及び染色をしない希釈した試料の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、一般に、血液試料全体を準備する簡易で新しい方法を含み、血液の一定分量からRBCs,WBCs及び血小板の均一で単層な分布が得られる。基本的に、抗凝固処理された血液の一定分量は、染色試薬又は他の希釈液により希釈され、希釈された一定分量は、ガラス又はプラスチックのようなカバースリップ等の透明基質上にセットされる。液滴は自然に形成されるが、外部からの力により制約される。数秒後に細胞はカバースリップの表面に定着する。細胞は、オーバーラップすることなく倒立顕微鏡により容易に観察できるように層を形成する。これらの調合液の顕微鏡による様子は、手動によるWBC白血球百分率のためのよく調合された「塗布(smear)」に類似する。ここで述べる滴下方法は、ガラスが滑った「くさび(wedge)」のそぎ端や横縁の細胞の選択的な分布とは逆に細胞の均一な分布が観察できるため、「塗布」よりも有利であるべきだ。また、白血球及び赤血球の形態は、ガラススライド上で平坦にしたり乾燥させたりする塗布方法でみられるような変形を生じることはない。赤血球の中央部が青白く自然な形状は、ある白血球の従来の塗布では見られなかった、例えば顆粒状に振動する動作などとしてすぐに観察できる。
【0032】
図1A−Cに示すように、染色液及び/又は生理食塩水により希釈された血液10の一定分量は、カバースリップ12の第0番にセットされる。側方からみると、一定分量10は半球の形状を形成する。血液の構成要素14は、当初は一定分量にわたって分布する。時間が経過すると血液14の構成要素はガラスカバースリップ12の表面に沈殿する。
【0033】
本発明は、倒立する暗視野(簿射照明)による反射微細分光光度計を採用し、多様な液体に形成された要素を分析する画像解析を含む。これとは別に、又はこれと同時に他の照明も用いることもできる。このアプローチは、スライドの調合における空気乾燥等のステップ、又は染色して細胞を観察するステップなど、先行技術による方法に内在していた問題の多くを回避する。さらに、本方法は、従来の塗布では精度に影響する知られた欠陥に対して、細胞の均一な分布を確実とする。例えば、通常の塗布の間に発生する、異なる大きさや密度の赤血球や白血球の不規則な分布を回避する。
【0034】
さらに図2−5を特に参照し、試料を観察及び/又は分析するために「倒立顕微鏡光学器」が用いられる。この光学システムを用いると、顕微鏡の対象物は混合体の一定分量を支持するガラス基板の下にある。対物レンズは、倍率を4倍から100倍まで変化させ得る。好ましい実施形態では、対象物の20倍から50倍を用いるであろう。
【0035】
倒立顕微鏡20は図2に示される。倒立顕微鏡20を用いることで、血液の構成物により形成される層が観察できる。倒立顕微鏡20により、対物レンズ及び接眼レンズ24又はカメラ26のアタッチメントに対する光学上の結合(coupling)は、もっぱら血液の塗布をCBCの一部として検査する多くの顕微鏡にとって一般的である、標本28の上ではなく標本28の下となる。これは、(希釈された)血液のドーム状の一定分量から、ガラス基板29にセットされた対象物の層を観察するのに理想的である。反射光源30により照明の光源もまた試料の下となり、半反射ミラー(half−reflecting mirror)又は対物レンズ22の下の光路における他の方法を用いて、試料は下方から投射される。試料から反射される光は、ミラーにより戻されてカメラの接眼レンズに入る。倒立顕微鏡20の透過光のために照明源は試料の上にある。典型的には、透過光32は、直上(ガラス基板に対して90度)に向かう。しかし、本適用では、上方からの角度を有する照明源は、単一の焦点面に血液の構成物を視覚化させる「3次元」効果をもたらす。照明の角度を変化させることで、異なる構成物を強調することができ、多様な「3次元」効果が得られる。さらには、白血球内の顆粒の振動が、反射及び透過の双方の照明により検知される。代替として、一定分量を観察する良質なレンズ及びカメラを用いても良い。
【0036】
図3−図5に示すように、血液の構成物を観察するための数々の照明方法を採用することが可能である。暗視野照明は、試料を下方から基板に垂直な角度から照らし、基板の下に垂直に位置された対象物に反射された光を集めることにより、細胞の底部の層を観察するための1つのモードとして用いられる。反射照明は他のモードであり、下方から細胞の底部の層の観察をすると共に、観察と同じ光学を通じて試料を照らす(すなわち、対物レンズを光源及び反射光の集光の双方に用いる)。さらに他のモードは透過照明であり、細胞の底部の層を直上から照らして観察し、対象物からの透過光を直下から集光する。さらに他のモードは、「角度付」透過照明であり、基板に対して垂直の角度で上方から試料を照らし、細胞の底部の層を観察する。光は基板に垂直で下方に位置する対象物に集められる。血液の構成物のある光学的イメージを供給するために、これらのモードの任意の組合せが同時に用いられ、異なる構成物を連続して視覚化するのに最適なようにモード間で切り替えが行われる。
【0037】
図3に示す反射暗視野照明において、光源40は、試料46に下方から角度を有して投射される。これは対物レンズ42、又は、対物レンズの周りに光を持ち込み、対象物の先に角度を持って投射する特殊なレンズの外側から投射される。試料46に当った光は、直下の対物レンズ42に入り、接眼レンズ48またはカメラ50に反射する。その角度及び光源にセットされた絞りにより、縁部又は顆粒対象物のみを示す荒いイメージが生成され(ハード・コントラスト)、又は血液の構成物の全試料を示す柔らかなイメージが生成される(ソフト・イメージ)。通常、反射照明は、冶金分野での適用といった固体の対象物に用いられるため、対物レンズ42は透明な基板52とともに用いられるように修正されていない。それゆえに、非常に薄いガラス基板、例えば、第0番や第00番のカバースリップが最良の品質の像をもたらす。
【0038】
図4に示す反射照明において、光源60は下方から試料62に真直ぐに投射される。これは、光を側方から試料62に向かい上方に投射させる半反射ミラー64を用いることで成し遂げられる。試料から反射した光は、直接下方に向かい半反射ミラー64を通過し、接眼レンズ66又はカメラ68により観察される。同様に、対象物の異なるタイプを強調するためのコントラストが調節可能である。
【0039】
図5に示す透過光を用いる場合、光源70は試料72の上を下方に投射し、その光は直接対物レンズ74を通過し、接眼レンズ76又はカメラ78へと集光される。光源70が直上である場合は、そのシステムはアップサイド・ダウンの通常の顕微鏡と全く同じものとなる。血液の構成物の層を観察するために、角度付の光源は、血液の構成物の層を強調し、細胞が3次元的に現れるような「3次元」効果を発生する能力を供給する。特に、赤血球は、3次元に膨張した対象物として現れる。その角度により、凹面又は凸面の外観が得られる。ある角度では白血球が強調され、一方、他の角度では赤血球や血小板が強調される。同様に、対象物の異なるタイプを強調するためのコントラストが調節可能である。
【0040】
上述した照明モードの多様な組合せが可能である。試料のある構成要素を観察する最適な照明の条件は、例えば、反射モードと透過モードとを同時につけることによる。照明の角度は、それぞれの試料のタイプ及びそれぞれの希釈にとって最適なように変化させることができる。時折、分散させる薬剤、コロイド状の薬剤等を付加することが望ましいかもしれない。
【0041】
実験結果についての章
試料:
抗凝血性を有する血液試料(抗凝血剤としてヘパリン又はEDTAを使用)は、1)指の突き刺し、又は2)静脈切開によりベクトン ディケンソン(Becton Dickenson) バキュタイナ(例えば、BD#8002561)へ入れた血液。
【0042】
試料の処理:
試料を分析する前には、試料は室温に保ちながら、従来の自動CBC装置とともに穏やかな揺れ動作を保持しなければならない。一定分量は、血液試料から吸引される。一定分量は、1滴又は約25マイクロリットルであり、10マイクロリットルから200マイクロリットルの範囲内であることが好ましい。
下記のいずれかを実施することができる:
1.希釈しない血液が用いられる。
2.血液に緩衝剤の一定分量を加える。緩衝剤は、いろいろなPHの0.9N生理生成水であっても良い。
3.血液に緩衝剤と染色液との混合剤の一定分量を加える。緩衝剤は0.9N生理生成水であっても良く、染色液は、ライトージーマス(Wright−Giemas)(シグマ ダイアゴノスティックス(Sigma Diagnostics),セントルイス、ミズリー(MO))であり、緩衝剤と染色剤とが1:1から1:5であって、好ましくは2:1(緩衝剤:染色剤)であっても良い。
4.血液に染色剤の一定分量のみを加える。染色液は、ライトージーマス(Wright−Giemas)(シグマ ダイアゴノスティックス(Sigma Diagnostics),セントルイス、ミズリー(MO))であっても良い。
【0043】
一定分量を調合する場合、緩衝剤/染色剤に対する血液の容積は、1:1から1:20又はそれ以上であり、好ましくは1:9(血液:緩衝剤/染色剤)であっても良い。その混合物は、穏やかな揺れとともに室温に保持されている。染色剤を用いる場合には、染色剤が細胞と反応するのに十分な時間(1−10分間)、好ましくは1分間見なければならない。
【0044】
基板上の試料の調合:
混合物の1つの滴下(5から100マイクロリットル、好ましくは50マイクロリットル)が、極めて薄いガラス基板(例えば、カバースリップ、第0番又は第00番の厚み、22X40mm、エリー・サイエンティフィック(Erie Scientific)、ポーツマス(Portsmouth)、ニューハンプシャ(NH))に移される。小滴は、一定の周囲温度及び湿度でスライド上に保持される。細胞が底部に層を形成し、そこに細胞の極めて小さな動きがあり、すなわち、小滴の底部に単一層、層又はマトリックスに新たな細胞が極めてゆっくりと加わるのに十分な時間(10秒間から2分間)、好ましくは30秒間が許容される。
【0045】
結果として生じる細胞の密集した層の形成により、希釈と細胞の計数に適切な単一層又は層が形成される時間とで交換が行われる。より少ない希釈は、密集した層が底部においてより速く形成されることを意味する。図6A−図Dは、時間ごとに写された連続したデジタル・イメージである。試料をセットするために、生理生成水により1:20(血液:生理生成水)に希釈された血液の一定分量は、第0番のカバースリップ上に置かれ、白色光を用いた角度付き透過照明による倒立顕微鏡により観察される。透過照明の角度は、細胞に対して凸面の外観を与える。対象物に対して50倍が用いられる。図6Aは,混合しカバースリップに一定分量を置いた30秒後に得られたものである。図から、底部のほとんど焦点面に比較的少ない細胞がみられる。図6Bは、120秒後に得られたものである。ここでは、焦点面の細胞数はかなり増加している。図6C及び図6Dは、それぞれ240秒及び360秒後に得られたものであり、焦点での細胞数はさらに増加している。
【0046】
これらのイメージは、細胞が焦点面に沈殿する時間経過を図示している。この時間経過は希釈により影響される。与えられた希釈率により、異なる細胞のタイプの計数に最適な時間がある。この1セットのイメージから、赤血球80及び白血球82の間の明確な区別がある。
【0047】
上述した技術及び装置を用いて、図7−図10が用意された。特に、図7において、血液の一定分量は染色剤と1:1に混合され、角度付きの透過照明とのコンビネーションにより、暗視野反射モードを用いて倒立顕微鏡上に照射された。焦点面内において、単一層に明確に識別される赤血球80及び白血球82を示す。白血球はよく染色されている。対象物に対して20倍が用いられている。
【0048】
図8は、特定の入射角での暗視野反射照明を用いて示され、多くの血小板84が容易に検出される。血小板84は、輝いて反射する小さな物体である。それらは、RBC及びWBCsから容易に識別され、この特定のイメージでは焦点から外れている。それらは、RBC及び小リンパ球よりも約10層だけ小さく、顆粒球と比べてもそれ以上に小さい。
【0049】
図9において、生理食塩水と1:20(血液:生理食塩水)で希釈された血液の一定分量がカバースリットに置かれ、カバースリップ面に対して低アングルに設置された白色光を用いた透過照明により、倒立顕微鏡上に観察される。この透過照明の角度では、細胞に対して凹面の外観が得られる。ここでは、赤血球80、白血球82及び血小板84が明確に識別される。対象物に対して50倍が用いられる。RBCsは、大きさ及び形状が容易に検出できる。赤色の着色の強度は、これらの条件下で異なる個体からなる試料の間で変化する。これは、従来からCBCにおいて報告されていたヘモグロビン及びそれに続くRBCの決定における評価の基礎となり得る。この視野でのWBCsは、3つの顆粒球を含む。顆粒それ自身は、リアルタイムに観察すると動作している様子を示す。
【0050】
総血球数の構成要素の計数:
本発明の顕微鏡光学器により作成されたイメージは、ビデオカメラにより観察することができる(カラー又は白黒のいずれでも)。光源は白色光又は1つ以上の固有の色であり得る。ビデオカメラのイメージは、デジタル・イメージに変換できる。基板を動かすことで複数の視野が観察可能である。例えば、モータで制御されたステージは、基板を動かすことができ、CBCの要素のそれぞれについて十分な数の分析を供給するため、小滴の十分な領域を観察することかできる。1つ以上のイメージが、それぞれの視野からデジタル化され得る。イメージがデジタル化されることで、それぞれのイメージに対し、単一の照明モード又はモードの組合せが適用される。それぞれの視野に対して1つ以上の倍率(すなわち、目的物)が用いられる。イメージがデジタル化されることで、単一色、多重色、又は白色が適用され得る。異なる照明モード及び色彩(又は、多くの組合せ)を用いた数個のイメージは、色彩又は照明モードが変わるたびに、いずれデジタル化される。
【0051】
イメージを獲得する1つのモードは、倍率、滴下される標本の分量と形状、及び分析される細胞のタイプ又は細胞の特徴により、それぞれ分離され、連続して、又は同時に用いられる角度付き透過照明及び反射暗視野照明である。結果のイメージを用いて、コンピュータ・プログラム又はイメージの観察者は、CBCの構成要素を決定できる。赤血球及び白血球の数は決定できる。血小板の数は決定できる。白血球のタイプは決定できる。細胞の他の特徴(例えば、白血球内のヘモグロビン含有量又は顆粒)は、観察及び分析ができる。
【0052】
これらの数及び細胞の特徴を用いて、下記のパラメータか決定される:
赤血球(RBC)パラメータ:
a.直接計数による赤血球数。RBC数は、小滴の血液の容積と層に含まれる細胞との経験的な関係から算出できる;
b.平均赤血球容積(MCV)は、個々の細胞の直接測定及び計算により決定され得る;
c.血中赤血球容積(Hct)は、MCV×RBC/1000から算出できる;
d.ヘモグロビン(Hb)は、反射又は透過分光法、又は公式Hb=MCH×RBCの計算により決定され得る。個々の細胞のHbは、シーンの選択及び対象物の識別を伴い、それぞれについての反射分光法により決定され得る;
e.平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)は、個々の細胞のHb/RBCの多くの測定、又は計算により直接決定され得る;
f.個々の細胞の直接測定又はHb/Hctの計算から平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC);そして、
g.RBCの形態;個々のRBCsのイメージ分析(dにおける)と、それに続く大きさと形状の決定とにより、赤血球不同症及び変形赤血球症等の慣習上の形態特性が供給できる。
【0053】
白血球(WBC)パラメータ:
a.直接計数による白血球数;RBCと同様な原理が適用される;及び
b.イメージ分析による白血球百分率(WBCsの異なるタイプの数え上げ)
c.異常なWBCのタイプの識別
【0054】
直接計数による血小板数:
RBCと同様な原理が適用され、すなわち直接計数及び小滴の容量と、層における血小板との経験的な関係による。
これらの基本的なパラメータにより、幾つかの異なる実施形態が可能である。時間は、希釈液を選択する一つの要素である。例えば、視野は、小滴が基板上に滴下された後の与えられた時間に分析され、低い希釈を用いると、その結果1つ以上の層が形成される。短い時間間隔では、細胞は蜜集せず分析を容易にする。時間間隔、希釈剤、及び時間に伴う沈殿のパターンを知ることで、観察する要素の全凝縮が計算できる。
【0055】
他の実施形態では、基板上に複数の小滴を置くことが可能である。それぞれの小滴は、それ自体の希釈液を有し得る;それぞれの小滴は、染色され得るし、又は染色され得ない、そしてそれぞれの小滴は、異なる大きさであり得る。
【0056】
他の実施形態では、一定分量は、赤血球要素を除外するために、溶解させることができる。これは、単位面積の白血球が高密度である基板の小滴の形成を許容するであろう。
【0057】
他の実施形態では希釈倍率は選択でき、要素が基板に沈殿した後は、小滴は合流しない。希釈液及び一定分量の大きさを知ることで、血液試料の多様な構成要素についての正確で可能な計算ができる。
【0058】
上述した説明は、発明の幾つかの実施形態に限られている。しかし、本発明について、幾つかの或いは全ての有利な点を有する変形や修正が可能なことは明白である。従って、クレームの目的は、本発明の真の精神及び範囲内において、これら全ての変形や修正をカバーすることにある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料から細胞を調製して検査する方法であって、
検査のための細胞を調製するステップを備え、その調製は、
赤血球、白血球、及び血小板を含む複数タイプの細胞を一様の分布にて含む血液の一定分量を透明材料の表面に設置し、その際に、いずれのタイプの細胞をも前記血液の一定分量から除去することなく、前記血液の一定分量を前記透明材料の表面に設置し、
前記一定分量中の前記均質分散された細胞を前記透明材料の前記表面に沈殿させて、少なくとも1つのタイプの細胞を計数し少なくとも1つのタイプの細胞の形態を評価するのに適した単一層を形成し、
前記透明材料の底部から前記一定分量を検査して、前記血液中の特定の細胞の数を検出し、血液単位量当りの特定タイプの細胞の濃度を検出することによって実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記一定分量は、染色され、希釈され、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記透明材料は、ガラス又はプラスチックであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記一定分量は、自然に形成された又は外部力により形成された安定した小滴であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記一定分量は、倒立顕微鏡により検査されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記一定分量は、反射光、透過光、又はそれらの組合わせから成るグループから選択された少なくとも1つの光源を用い、角度をつけて照明が照らされた条件下で検査されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、1つ以上の光源体を備えた前記少なくとも1つの光源は、ガラス面に対して垂直であるか又は角度を有するかであり、又はそれらが組合わされて切り替えられることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、前記検査は、目視によるか、又はデジタル・イメージ分析法により完結されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、白色光、1つの波長を有する単色光、赤外線及び偏光を通過した紫外線、から少なくとも1つの光源が選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法において、前記透過光の光路は、円柱状に集合した光源、中空状に集合した光源、又は1つの角度による単一の光源であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法において、前記光源からの光束は並進するか、発散するか、又は収束するかであることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項6に記載の方法において、前記光源の組合わせは、同時に投射されるか、又は順番に投射されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項6に記載の方法において、照明の前記角度は、連続して変化することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項5に記載の方法において、前記顕微鏡は、標準倍率より小さい及びより大きい倍率、又は標準被写界深度より短い又はより長い被写界深度が可能な可変レンズを有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記血液試料は、個々の細胞の波長の吸収又は反射の測定により決定されるヘモグロビンを含有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、赤血球の数が計数されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、血中赤血球容積が決定されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、白血球百分率及び/又は赤血球の形態の評価がなされることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法において、異常な白血球の評価がなされることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法において、赤血球指数は、ヘモグロビン評価を含んで得られることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法において、赤血球指数は、赤血球数を含んで得られることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法において、赤血球指数は、血中赤血球容積を含んで得られることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法において、前記血液の前記形成された細胞の特徴は、光学機器を通じて直接目視により決定されるか、又はデジタル・イメージを用いるか、又は自動的にデジタル・イメージを分析することで決定されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項6に記載の方法において、前記反射光は、暗視野照明であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法において、総血球数及び白血球の百分率を自動的に計数するためのコンピュータ画像処理により血液細胞の形態を評価することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法において、血液の一定分量は、血液の代表的な部分であることを特徴とする方法。
【請求項27】
血液の一定分量内の要素を検査する方法であって、
要素を含む血液の一定分量を透明面に設置すること、
前記血液の一定分量を大気中にさらされたままにし、かつ、他の物体で覆うことなく、前記要素を前記透明面の表面に沈殿させること、及び、
前記血液の一定分量をさらされて覆われないままに維持し、前記透明面の下部から前記一定分量を検査することを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法において、赤血球、血小板、および白血球の濃度が検出されることを特徴とする方法。
【請求項1】
血液試料から細胞を調製して検査する方法であって、
検査のための細胞を調製するステップを備え、その調製は、
赤血球、白血球、及び血小板を含む複数タイプの細胞を一様の分布にて含む血液の一定分量を透明材料の表面に設置し、その際に、いずれのタイプの細胞をも前記血液の一定分量から除去することなく、前記血液の一定分量を前記透明材料の表面に設置し、
前記一定分量中の前記均質分散された細胞を前記透明材料の前記表面に沈殿させて、少なくとも1つのタイプの細胞を計数し少なくとも1つのタイプの細胞の形態を評価するのに適した単一層を形成し、
前記透明材料の底部から前記一定分量を検査して、前記血液中の特定の細胞の数を検出し、血液単位量当りの特定タイプの細胞の濃度を検出することによって実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記一定分量は、染色され、希釈され、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記透明材料は、ガラス又はプラスチックであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記一定分量は、自然に形成された又は外部力により形成された安定した小滴であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記一定分量は、倒立顕微鏡により検査されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記一定分量は、反射光、透過光、又はそれらの組合わせから成るグループから選択された少なくとも1つの光源を用い、角度をつけて照明が照らされた条件下で検査されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、1つ以上の光源体を備えた前記少なくとも1つの光源は、ガラス面に対して垂直であるか又は角度を有するかであり、又はそれらが組合わされて切り替えられることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、前記検査は、目視によるか、又はデジタル・イメージ分析法により完結されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、白色光、1つの波長を有する単色光、赤外線及び偏光を通過した紫外線、から少なくとも1つの光源が選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法において、前記透過光の光路は、円柱状に集合した光源、中空状に集合した光源、又は1つの角度による単一の光源であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法において、前記光源からの光束は並進するか、発散するか、又は収束するかであることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項6に記載の方法において、前記光源の組合わせは、同時に投射されるか、又は順番に投射されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項6に記載の方法において、照明の前記角度は、連続して変化することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項5に記載の方法において、前記顕微鏡は、標準倍率より小さい及びより大きい倍率、又は標準被写界深度より短い又はより長い被写界深度が可能な可変レンズを有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記血液試料は、個々の細胞の波長の吸収又は反射の測定により決定されるヘモグロビンを含有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、赤血球の数が計数されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、血中赤血球容積が決定されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、白血球百分率及び/又は赤血球の形態の評価がなされることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法において、異常な白血球の評価がなされることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法において、赤血球指数は、ヘモグロビン評価を含んで得られることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法において、赤血球指数は、赤血球数を含んで得られることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法において、赤血球指数は、血中赤血球容積を含んで得られることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法において、前記血液の前記形成された細胞の特徴は、光学機器を通じて直接目視により決定されるか、又はデジタル・イメージを用いるか、又は自動的にデジタル・イメージを分析することで決定されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項6に記載の方法において、前記反射光は、暗視野照明であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法において、総血球数及び白血球の百分率を自動的に計数するためのコンピュータ画像処理により血液細胞の形態を評価することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法において、血液の一定分量は、血液の代表的な部分であることを特徴とする方法。
【請求項27】
血液の一定分量内の要素を検査する方法であって、
要素を含む血液の一定分量を透明面に設置すること、
前記血液の一定分量を大気中にさらされたままにし、かつ、他の物体で覆うことなく、前記要素を前記透明面の表面に沈殿させること、及び、
前記血液の一定分量をさらされて覆われないままに維持し、前記透明面の下部から前記一定分量を検査することを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法において、赤血球、血小板、および白血球の濃度が検出されることを特徴とする方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−181420(P2010−181420A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118064(P2010−118064)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【分割の表示】特願2006−553311(P2006−553311)の分割
【原出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(506277096)
【出願人】(506277074)
【出願人】(506277085)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【分割の表示】特願2006−553311(P2006−553311)の分割
【原出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(506277096)
【出願人】(506277074)
【出願人】(506277085)
【Fターム(参考)】
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