説明

血液凝固因子インヒビター

本発明は、血液凝固因子インヒビターとして有用な、式(I)を有する新規の化合物に関する。化合物(I)は血栓症の処置、又は血液凝固因子の液状製剤、特にFVIIa、第VII因子変異体、又は第VII因子誘導体の液状製剤の安定剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液凝固カスケードに関与するプロテアーゼの新規インヒビター、それらの調製方法、及び例えばセリンプロテアーゼ類及びビタミンK依存性ポリペプチドのような血液凝固因子の安定剤として、血液凝固因子のための添加剤又は製剤助剤としての該インヒビターの使用に関する。特に本発明は、その液状の水性組成物中における化学的及び/又は物理的分解に対する第VIIa因子又は他の第VII因子ポリペプチドの安定化に関する。
【背景技術】
【0002】
セリンプロテアーゼ第VII因子(FVII)は、血液凝固プロセスに関与する血漿糖タンパク質の一つである。FVIIは、主に一本鎖チモーゲンとして血漿に存在しており、他のプロテアーゼ(FXa)により切断されて、その二本鎖の活性化形態であるFVIIaを生じる。
組織因子/第VIIa因子(TF/FVIIa)複合体は、血栓事象の主要誘因である。この複合体は血液凝固の外因経路の一部であり、第IX因子及び第X因子の活性化を媒介し、最終的にはトロンビンの生成に至る。
【0003】
第VIIa因子は、血友病及び出血を処置するための有益な治療剤であることが証明されている。保存及び送達の双方に適した第VIIa因子の投与形態が所望されている。理想的には、薬剤製品は保存され、液体として投与される。あるいは、薬剤製品は凍結乾燥、すなわちフリーズドライされ、患者に使用する前に適切な希釈剤を添加することにより再構成される。薬剤製品は、長期間、例えば6ヶ月以上の保存に対して十分な安定性を有していることが望ましい。
【0004】
最終薬剤製品が液体として維持されるか、又はフリーズドライされるのかの決定は、通常は、その形態でのタンパク質薬剤の安定性に基づいてなされる。タンパク質安定性は、とりわけ、イオン強度、pH、温度、凍結/解凍の繰り返しサイクル、及び剪断力への暴露等の要因に影響を受ける可能性がある。活性なタンパク質は、例えば変性及び/又は凝集(可溶性及び不溶性双方の凝集体形成)を介した物理的不安定性、並びに、例えば2〜3例を挙げると、加水分解、脱アミド化及び/又は酸化に対する不安定性を含む化学的不安定性の結果として失われる可能性がある。さらに、セリンプロテアーゼである第VIIa因子の場合では、自己触媒作用による断片化が生じる可能性がある(自己タンパク質分解;酵素的、自己触媒分解)。タンパク質医薬品の安定性の一般的概説については例えばManningら, Pharmaceutical Research 6:903-918(1989)を参照のこと。
【0005】
タンパク質の不安定性が発生する可能性は広く理解されており、特定のタンパク質にとっては、特定の不安定さの問題を予測することは一般に非常に困難である。これらの不安定さのいずれかにより、活性が低下し、毒性が増加し、及び/又は免疫原性が増加したタンパク質副産物、又は誘導体の形成に至る可能性がある。実際、タンパク質の沈殿により、血栓症、投与形態及び量の非均質性、並びにシリンジの目詰まりが生じるおそれがある。さらに、翻訳後修飾、例えばN末端のある種のグルタミン酸残基のガンマカルボキシル化や糖鎖の付加が、保存時に改変を受けやすい潜在的部位をもたらす。
【0006】
よって、タンパク質の任意の組成物の安全性及び効能は、その安定性に直接関連する。液体形態での安定性の維持は、分子運動の可能性が非常に増加しており、よって分子相互作用の可能性が増加することから、一般に凍結乾燥形態での安定性の維持とは異なるタスクである。また濃縮形態での安定性の維持は、タンパク質濃度が増加することで凝集体が形成される傾向にあるために、上述のものとはさらに異なるタスクである。第VIIa因子はいくつかの経路、特に凝集(二量体化/オリゴマー化)、酸化及び自己分解的切断(ペプチド骨格のクリッピング又は「重鎖分解」)により分解される。さらに、沈殿が生じる可能性がある。
【0007】
これらのプロセスの多くは、タンパク質から水分を除去することにより、有意に遅延化させることができる。しかしながら、第VIIa因子のための水性組成物の開発には、再構成の際のエラーが排除できるという利点があり、よって投与精度が増加し、臨床的に製品の使用が単純になり、患者のコンプライアンスが増加する。理想的には、第VIIa因子の組成物は、広範囲のタンパク質濃度にわたって6ヶ月以上安定しているべきである。このことで、投与方法をフレキシブルにすることができる。一般に、より高度に濃縮された形態では、患者の視点から非常に望ましい低用量での投与が可能となる。液状組成物は、投与及び使用の容易性の点でフリーズドライ製品よりも多くの利点を有する場合がある。
【0008】
液状組成物を開発する場合、多くの要因が考慮される。短期間、すなわち6ヶ月未満の液体安定性は、一般に、全体的な構造変化、例えば変性及び凝集の回避に依存する。これらのプロセスは、多くのタンパク質について文献に記載され、安定剤の多くの例が存在している。あるタンパク質の安定化に効果的な薬剤は、実際には、他のタンパク質を不安定にさせるように作用することはよく知られている。タンパク質が全体的な構造変化に対して安定化されていると、長時間(例えば6ヶ月以上)安定している液状組成物の開発は、そのタンパク質に特異的な分解のタイプからタンパク質をさらに安定化させることに依存している。より特異的な種類の分解には、例えば、ジスルフィド結合スクランブル、所定残基の酸化、脱アミド、環化が含まれうる。個々の分解種を正確に突き止めることは必ずしも可能であるわけではないが、関心あるタンパク質を唯一安定化させる特定の賦形剤の能力をモニターするために、わずかな変化をモニターするアッセイが開発されている。
【0009】
今日、唯一の商業的に入手可能な組換え生産FVIIポリペプチド組成物は、使用前に再構成されるフリーズドライの第VIIa因子生成物であり;それは、比較的低濃度、例えば約0.6mg/mLの第VIIa因子を含む。1バイアル(1.2mg)のノボセブン(NovoSeven)(登録商標)(Novo Nordisk A/S, Denmark)は、1.2mgの組換えヒト第VIIa因子(rhFVIIA)、5.84mgのNaCl、2.94mgのCaCl・2HO、2.64mgのグリシルグリシン(GlyGly)、0.14mgのポリソルベート80、及び60.0mgのマンニトールを含んでおり;2.0mLの注射用水(WFI)を添加することにより、pH5.5に再構成される。再構成されたとき、タンパク質溶液は室温で24時間の使用に対して安定している。よって、液体で、使用準備が整った又は濃縮された第VII因子生成物は、現在、商業的に入手可能ではない。
【0010】
従って、液状(特に水性液体)又は固体状の投与形態のFVIIポリペプチドの分解を阻害する薬剤を開発することが、非常に所望されており、本発明の目的である。また、上で概略を説明したような、化学的及び/又は物理的分解プロセスの許容可能なコントロールをもたらすFVIIポリペプチドの水性液体医薬組成物を提供することができることが特に所望されている。
国際公開第2005016365号には、第VII因子ポリペプチド、緩衝剤、及び-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを有する少なくとも一の安定剤(iii)、例えばベンズアミジン化合物及びグアニジン化合物、例えばアルギニン等を含有する液状の水性医薬組成物が記載されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、式(I)
-X-X-X-X-X-X-NH (I)
[上式中:
は次の式:

を表し、
ここで、Rは、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、アリール、アリール(低級アルキル)、又はヘテロアルキルから選択され;
は塩基性アミノ酸を表し;
は酸性アミノ酸を表し;
は極性アミノ酸又はPhe又はPhgを表し;
は無極性アミノ酸又はLys又はGluを表し;
は、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;
は、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;X又はX又は双方が、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表す場合、Xは4-アミジノ-Phe、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表す]
の化合物で、その任意及び全ての立体異性体又は異性体類、任意の比率での2又はそれ以上のこのような式(I)の化合物の任意の混合物、及び生理学的に耐性のある塩、及びそのプロドラッグを含むものを提供する。
【0012】
一実施態様では、本発明は、式(I)
-X-X-X-X-X-X-NH (I)
[上式中:
は、低級アルコキシカルボニル、低級アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキルアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールアルキルオキシカルボニル、又はヘテロアリールアルキルオキシカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、低級アルケニルアミノカルボニル、アルキニルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、又はヘテロアリールアルキルアミノカルボニル、低級アルカノイル、低級アルケノイル、低級アルカジエニル、アルキノイル、シクロアルカノイル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルケニルアルカノイル、アロイル、アリールアルカノイル、又はヘテロアリールアルカノイルを表し、該基は、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、又はシアノで置換されていてもよく;Xは、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表し;Xは、Glu、Asp、(α-Me)Glu、1-アミノシクロブタン-トランス-1,3-ジカルボン酸、又は1-アミノシクロブタン-シス-1,3-ジカルボン酸を表し;Xは、Arg、ホモArg、Lys、His、Asn、Gln、Trp、Phe、Phg、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Dab、Dap、Nβ-[アミジノ]-Dap、又はNγ-[アミジノ]Dabを表し;Xは、Phg、D-Phg、Phe、Val、Ile、Leu、Lys、Ala、Glu、Gly、Aib、Trp、Abu、Alle、Cha、Hph、Nle、又はNvaを表し;Xは、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;Xは、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;X又はX又は双方が、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表す場合、Xは4-アミジノ-Phe、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表す]
の化合物で、その任意及び全ての立体異性体又は異性体類、任意の比率での2又はそれ以上のこのような式(I)の化合物の任意の混合物、及び生理学的に耐性のある塩、及びそのプロドラッグを含むものを提供する。
【0013】
本発明者は、一般式(I)の化合物が、血液凝固カスケードに関与するプロテアーゼのインヒビターであり、よって、FVIIポリペプチド、特にFVIIaの水溶液製剤における安定化添加剤として使用可能であることを見出した。血液凝固第VII因子又はそのアナログ(「第VII因子ポリペプチド」)は、少なくとも一の式(I)の安定剤と共に、液状の水性医薬組成物として製剤される場合、改善された安定性を示し、よって、実際の使用前及び/又は使用中の長期間の保存が可能となる。
【0014】
さらに本発明は:(i)式(I)の化合物を調製する方法;(ii)FVIIポリペプチド、例えば野生型FVIIa、rhFVIIa、又はそのアナログ又は誘導体と、式(I)の化合物を含有する医薬組成物;(iii)FVIIポリペプチド、例えば野生型FVIIa、rhFVIIa、又はそのアナログと、式(I)の化合物を含有する医薬組成物を調製する方法;(iv)FVIIポリペプチド、例えば野生型FVIIa、rhFVIIa、又はそのアナログ又は誘導体を阻害する方法;(v)出血、血友病、又はFVIIポリペプチドを用いた処置が有益である他の疾患又は症状を処置する医薬組成物を製造するための、FVIIポリペプチド、例えば野生型FVIIa、rhFVIIa、又はそのアナログ又は誘導体と組合せた、式(I)の化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述したように、本発明は、液状(特に水性液体)又は固体状の投与形態における、セリンプロテアーゼ類、例えば第VII因子ポリペプチドの分解を阻害する新規の式(I)の化合物(上述を参照)を提供する。さらに、本発明は、上に概説したような、化学的及び/又は物理的分解プロセスのコントロールをもたらすセリンプロテアーゼ類、特に第VII因子ポリペプチドの液状の水性医薬組成物を提供する。第VII因子又はそのアナログ(「第VII因子ポリペプチド」)は、少なくとも一の式(I)の化合物と共に、液状の水性医薬組成物として製剤される場合、改善された安定性を示し、よって、実際の使用前、長期間(例えば、6ヶ月又はそれ以上)の保存が可能となる。
【0016】
式(I)の化合物は、可逆的に第VIIa因子を阻害可能であり、第VII因子ポリペプチドを含有する製剤又は組成物、特に水性製剤又は組成物において、安定剤として使用されうる(以下参照)。これに関連して、本発明の化合物は、しばしば、水又は他の水性媒体中において好ましい溶解度を示す。
【0017】
本文脈において、「アルキル」なる用語は、直鎖状又は分枝状鎖の飽和した一価の炭化水素基を示すことを意図している。「アルキレン」なる用語は、対応するジラジカルを示す。「低級アルキル」は、C1-6-アルキルとも称される、1〜6の炭素原子を有するアルキルである。C1-6アルキル基には、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、4-メチルペンチル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル(ネオペンチル)及び1,2,2-トリメチルプロピルが含まれる。
【0018】
「アルコキシ」なる用語は、直鎖状又は分枝状又は環状の立体配置のいずれかにおけるアルキル基が、エーテル酸素を介して結合しており、エーテル酸素からの自由原子価結合(アルキル-O-)を有している基を示すことを意図している。「低級アルコキシ」は、C1-6-アルコキシとも称される、アルキル基が1〜6の炭素原子を有するアルコキシ基である。直鎖状アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ及びヘキソキシである。分枝状アルコキシ基の例には、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペントキシ及びイソヘキトキシが含まれる。環状アルコキシの例には、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ及びシクロヘキシルオキシが含まれる。
【0019】
「アルコキシカルボニル」なる用語は、カルボニル基を通し、エーテル酸素を介して結合したアルコキシ基を含む一価の置換基(アルキル-O-C(=O)−);例えばメトキシカルボニル、カルベトキシ、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-ブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、3-メチルブトキシカルボニル、n-ヘキソキシカルボニル等を示すことを意図している。「低級アルコキシカルボニル」は、C1-6-アルコキシカルボニルとも称され、アルキル基が1〜6の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基である。
【0020】
「アルケニル」なる用語は、2〜15の数の炭素原子と、少なくとも一の二重結合を有する、オレフィン性不飽和の分枝状又は直鎖状基を示すことを意図している。このような基の例には、限定されるものではないが、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、アリル、イソ-プロペニル、1,3-ブタジエニル、1-ブテニル、ヘキセニル、ペンテニル等が含まれる。
【0021】
ここで使用される場合「アルカノイル」なる用語は、1〜20の炭素の、直鎖状及び分枝状鎖であるアルカノイル基を示すことを意図している。
ここで使用される場合「アルケノイル」なる用語は、少なくとも一の炭素-炭素二重結合を含む1〜20の炭素の、直鎖状及び分枝状鎖であるアルケノイル基を示すことを意図している。
「アルカジエニル」なる用語は、2のオレフィン性結合と20までの炭素原子を有する、直鎖状鎖又は分枝状炭化水素残基を示すことを意図している。
【0022】
本文脈において、「シクロアルキル」なる用語は、環状の飽和した一価の炭化水素基を示すことを意図している。「低級シクロアルキル」は、C1-6-シクロアルキルとも称される、3〜6の炭素原子を有するシクロアルキルである。C1-6-シクロアルキル基には、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2-メチル-シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。
「アミジノ」なる用語は-C(=NH)NHを意味し、「グアニジノ」なる用語は-NH-C(=NH)NHを意味する。
【0023】
ここで使用される場合「アリール」なる用語は、例えば6〜8員の原子を有する、単環又は多環の炭素環式芳香環基、又は例えば10〜22員の原子を有する芳香環系基を示すことを意図している。またアリールは、炭素環系の一部に水素化された誘導体を含むものを意図しており、少なくとも一の環は芳香族である。このような部分的に水素化された誘導体の具体例には、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、フルオレニル、及び1,4-ジヒドロナフチルが含まれる。
【0024】
ここで使用される場合「ヘテロアリール」なる用語は、例えば5〜13員の原子を有する複素環式芳香環基、又は例えば13〜21員の原子を有する芳香環系基で、窒素、酸素及び硫黄から選択される一又は複数のヘテロ原子を有するものを意味することを意図しており、ここでN-オキシド及び一酸化硫黄及び二酸化硫黄は、許容可能な複素環式芳香族置換基、例えばフリル、チエニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾロルイソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、テトラゾリル、チアジアジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルインダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、プリニル(purinyl)、キナゾリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等である。またヘテロアリールは、複素環系の部分的に水素化された誘導体を含むことを意図しており、但し、ヘテロ原子を有する少なくとも一の環は芳香族である。このような部分的に水素化された誘導体の例には、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ピロリニル、ピラゾリニル、インドリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、及びオキサゼピニルが含まれる。
【0025】
「アリール」及び「ヘテロアリール」の例には、限定されるものではないが、フェニル、ビフェニルイル、インデニル、フルオレニル、フェナントレニル、アズレニル(azulenyl)、ナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)、アントラセニル(anthracenyl)(1-アントラセニル、2-アントラセニル、3-アントラセニル)、チエニル(2-チエニル、3-チエニル)、フリル(2-フリル、3-フリル)、インドリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、キナゾリン、フルオレニル、キサンテニル、イソインダニル(isoindanyl)、ベンズヒドリル、アクリジニル、チアゾリル、ピロリル(1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、ピラゾリル(1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル)、イミダゾリル(1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル)、トリアゾリル(1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル 1,2,3-トリアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル)、オキサゾリル(2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソオキサゾリル(イソオキサゾ-3-イル、イソオキサゾ-4-イル、イソオキサゾ-5-イル)、イソチアゾリル(イソチアゾ-3-イル、イソチアゾ-4-イル、イソチアゾ-5-イル) チアゾリル(2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、ピリジル(2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリミジニル(2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル)、キノリル(2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル)、イソキノリル(1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル)、ベンゾ[b]フラニル(2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル))、ベンゾ[b]チオフェニル(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-4-イル、ベンゾ[b]チオフェン-5-イル、ベンゾ[b]チオフェン-6-イル、ベンゾ[b]チオフェン-7-イル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-4-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-5-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-6-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-7-イル)、インドリル(1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、インダゾール(1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンズイミダゾリル(1-ベンズイミダゾリル、2-ベンズイミダゾリル、4-ベンズイミダゾリル、5-ベンズイミダゾリル、6-ベンズイミダゾリル、7-ベンズイミダゾリル、8-ベンズイミダゾリル)、ベンゾキサゾリル(2-ベンゾキサゾリル、3-ベンゾキサゾリル、4-ベンゾキサゾリル、5-ベンゾキサゾリル、6-ベンゾキサゾリル、7-ベンゾキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、カルバゾリル(1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル)、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン(5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-1-イル、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-2-イル、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-3-イル、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-4-イル、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-5-イル)、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン(10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-1-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-2-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-3-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-4-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-5-イル)、ベンゾ[1,3]ジオキソール(dioxole)(2-ベンゾ[1,3]ジオキソール、4-ベンゾ[1,3]ジオキソール、5-ベンゾ[1,3]ジオキソール、6-ベンゾ[1,3]ジオキソール、7-ベンゾ[1,3]ジオキソール)、及びテトラゾリル(5-テトラゾリル、N-テトラゾリル)が含まれる。
【0026】
本文脈において、アミノ酸(天然に生じたもの並びに誘導体)について、以下の略語を使用する:

上述の略語には、特に示さない限りは、関連アミノ酸のL-及びD-型の双方を含む。
【0027】
ここで使用される場合「塩基性アミノ酸」なる用語には、Lys、Arg、及びHis、並びに自然には生じないアミノ酸 ホモArg、Orn、Dap、及びDabが含まれる。
ここで使用される場合「酸性アミノ酸」なる用語には、Asp及びGlu、並びに自然に生じないアミノ酸 (α-Me)Glu、1-アミノシクロブタン-シス-1,3-ジカルボン酸、及び1-アミノシクロブタン-トランス-1,3-ジカルボン酸が含まれる。
【0028】
ここで使用される場合「極性アミノ酸」なる用語には、極性側基を担持するアミノ酸、例えばGly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Gln、Arg、Lys、His、Asn、Gln、Trp、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、並びに自然に生じないアミノ酸 ホモArg、Dab、Dap、Nβ-[アミジノ]-Dap、及びNγ-[アミジノ]Dabが含まれる。「電荷していない側基を有する極性アミノ酸」なる用語には、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、及びGlnが含まれる。
ここで使用される場合「無極性アミノ酸」なる用語には、疎水性側基を有するアミノ酸、例えばAla、Val、Leu;Ile、Pro、Met、Phe、及びTrp、並びに自然に生じないアミノ酸 Phg、D-Phg、Gly、Aib、Abu、Alle、Cha、Hph、Nle、及びNvaが含まれる。
【0029】
ここで使用される場合「Lys(mPeg(1-10k)-CO)」なる用語は、m及びnが可変整数であり、分子量が1-10kDaである、メトキシ-ポリ(エチレングリコール)-誘導化カルボン酸(MeO-(CH-CH-O)-(CH)-COH)で、側鎖アミノ基がアシル化されたリジンを示すことを意図している。nの典型的な値は20-200であり、mの典型的な値は1-5である。式(I)の化合物は、例えばLys(mPeg(1-10k)-CO)を用いて、ペグ化することができる。式(I)の化合物をペグ化することで、FVIIの溶解度を改善することができる。FVIIが式(I)のペグ化された化合物に結合している場合、ペグ-鎖は、タンパク質分子間の相互作用を低下させ、よって凝集及び沈殿を防止すると考えられる。
【0030】
ここで使用される場合「プロドラッグ」なる用語には、バイオ加水分解性アミド類、及びバイオ加水分解性エステル、アセタール類、アミナール類、カルバメート類、チオアミナール類、チオアセタール類、及びヒロラゾン類が含まれ、さらにa)このようなプロドラッグにおけるバイオ加水分解官能性が本発明の化合物に含まれる化合物、及びb)付与された官能基で生物学的に酸化又は還元されて、本発明の薬剤物質を生じ得る化合物も含まれる。これらの官能基の例には、1,4-ジヒドロピリジン、N-アルキルカルボニル-1,4-ジヒドロピリジン、1,4-シクロヘキサジエン、tert-ブチル等が含まれる。また本発明は式(I)の化合物のプロドラッグも含む。
【0031】
式(I)の化合物に存在する不斉原子(stereogenic atoms)は互いに独立して、R立体配置又はS立体配置を有することができる。式(I)の化合物は、純粋なエナンチオマー又はエナンチオマーの混合物、例えばラセミ化合物、又は純粋なジアステレオマー又はジアステレオマーの混合物とすることができる。また本発明は、式(I)の化合物の、全ての互変異性型をさらに含む。
【0032】
本文脈において、「薬学的に耐性のある塩」なる用語は、患者に対して有害ではない塩を意味することを意図している。このような塩には、薬学的に耐性のある酸付加塩、薬学的に耐性のある金属塩、アンモニウム及びアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸並びに有機酸の塩も含まれる。適切な無機酸の代表例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等が含まれる。適切な有機酸の代表例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が含まれる。さらに、薬学的に耐性のある無機酸又は有機酸の付加塩の例には、出典明示によりここに援用される、J. Pharm. Sci. 66, 2(1977)に列挙された薬学的に耐性のある塩が含まれる。金属塩の例には、限定されるものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムの塩等が含まれる。アンモニウム及びアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムの塩等が含まれる。また本発明は、式(I)の化合物の薬学的に耐性のある塩をさらに含む。
【0033】
ここで使用される場合「溶媒和物」なる用語は、溶質と溶媒により形成される、定められた化学量論的複合体のことである。溶媒は、例えば水、エタノール、又は酢酸であってよい。
【0034】
特定の実施態様では、本発明は、X

を表し、ここでRが、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、アリール、アリール(低級アルキル)、又はヘテロアルキルから選択される式(I)の化合物に関する。
他の実施態様では、X

を表し、ここでRは、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、アリール、アリール(低級アルキル)、又はヘテロアルキルから選択される。
さらなる他の実施態様では、X

を表し、ここでRは、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、アリール、アリール(低級アルキル)、又はヘテロアルキルから選択される。
【0035】
特定の実施態様では、Xは、低級アルコキシカルボニル、低級アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキルアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールアルキルオキシカルボニル、又はヘテロアリールアルキルオキシカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、低級アルケニルアミノカルボニル、アルキニルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、又はヘテロアリールアルキルアミノカルボニル、低級アルカノイル、低級アルケノイル、低級アルカジエニル、アルキノイル、シクロアルカノイル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルケニルアルカノイル、アロイル、アリールアルカノイル、又はヘテロアリールアルカノイルを表し、ここで該基は、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、又はシアノで置換されていてもよい。他の実施態様では、Xは、低級アルコキシカルボニル、低級アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキルアルキルオキシカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、低級アルケニルアミノカルボニル、アルキニルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアルキルアミノカルボニル、低級アルカノイル、低級アルケノイル、アルキノイル、シクロアルカノイル、又はシクロアルキルアルカノイルを表し、ここで該基は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級アルキルチオで置換されていてもよい。さらなる他の実施態様では、Xは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、2-(メトキシ)エトキシカルボニル、2-(メチルチオ)エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2-クロロアリルオキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、シクロブチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロプロピルメチルオキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、アリルアミノカルボニル、シクロブチルアミノカルボニル、シクロペンチルアミノカルボニル、シクロプロピルメチルアミノカルボニル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、3-シクロプロピルプロピオニル、ペンテ-4-エノイル、2-メチル-4-ペンテノイル、4-ヘキセノイル、3-シクロペンテン-1-オイル、4,5,5-トリフルオロペンテ-4-エノイル、又はヘキサ-2,4-ジエノイルを表す。
【0036】
特定の実施態様では、本発明は、Xが、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表す、式(I)の化合物に関する。他の実施態様では、Xは、Arg、ホモArg、Orn、又はLysを表す。さらなる他の実施態様では、XはホモArgを表す。
特定の実施態様では、本発明は、Xが、Glu、Asp、(α-Me)Glu、1-アミノシクロブタン-トランス-1,3-ジカルボン酸、又は1-アミノシクロブタン-シス-1,3-ジカルボン酸を表す、式(I)の化合物に関する。他の実施態様では、XはGluを表す。
【0037】
特定の実施態様では、本発明は、Xが、Arg、ホモArg、Lys、His、Asn、Gln、Trp、Phe、Phg、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Dab、Dap、Nβ-[アミジノ]-Dap、又はNγ-[アミジノ]Dabを表す、式(I)の化合物に関する。他の実施態様では、Xは、Arg、ホモArg、Lys、His、Asn、Gln、Dab、又はDapを表す。さらなる他の実施態様では、XはAsn又はGlnを表す。
特定の実施態様では、本発明は、Xが、Phg、D-Phg、Phe、Val、Ile、Leu、Lys、Ala、Glu、Gly、Aib、Trp、Abu、Alle、Cha、Hph、Nle、又はNvaを表す、式(I)の化合物に関する。他の実施態様では、Xは、Phe、Val、Ile、Leu、Ala、Cha、Gly、又はTrpを表す。さらなる他の実施態様では、Xは、Phe、Cha、又はTrpを表す。
【0038】
特定の実施態様では、本発明は、Xが、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、式(I)の化合物に関する。他の実施態様では、Xは、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Glu、Val、Gln、Phe、Ile、Ser、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない。さらなる他の実施態様では、Xは、Ala、His、Arg、ホモArg、Glu、Gln、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない。さらなる他の実施態様では、Xは存在しない。
【0039】
一実施態様では、本発明は、Xが、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、式I)の化合物に関する。他の実施態様では、Xは、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Glu、Val、Gln、Phe、Ile、Ser、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない。さらなる他の実施態様では、Xは、Ala、His、Arg、ホモArg、Glu、Gln、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない。さらなる他の実施態様では、Xは存在しない。
一実施態様では、本発明は、X又はX又は双方がLys(mPeg(1-10k)-CO)を表す場合、Xが4-アミジノ-Pheを表す、式(I)の化合物に関する。
【0040】
一実施態様では、式(I)を有する化合物は次の列挙:プロピルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH;Alloc-ホモArg-Glu-(D-Asp)-Cha-NH;Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH;Alloc-ホモArg-Glu-(D-Glu)-Cha-NH;ベンジルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH;Alloc-ホモArg-Glu-Dap-Cha-NH;Alloc-ホモArg-Glu-ホモArg-Cha-NH;Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Arg-NH;Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Gly-NH;Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Glu-NH;Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Phe-NH;Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-ホモArg-NH;プロピルアミノカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH;シクロプロピルメトキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH;Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-His-NH;エチルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Phe-NH;及び2-クロロアリルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NHで、それらの任意及び全ての立体異性体又は異性体類、任意の比率での2又はそれ以上のこのような式(I)の化合物の任意の混合物、及び生理学的に耐性のある塩、及びそのプロドラッグを含むものから選択される。
【0041】
式(I)の化合物は、第VII因子ポリペプチド(それらの活性化形態)の可逆的インヒビターである。好ましくは、それらは第VII因子ポリペプチドの特異的インヒビターである。ここで使用される場合、第VIIa因子活性の阻害に関して使用される際の特異的なる用語は、式(I)の化合物が、例えば第Xa因子、プラスミン、トロンビン、第IXa因子、第XIa因子、第XIIa因子、及び組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)を含む、血液凝固及び/又は線維素溶解経路に関連した、他の特定のプロテアーゼの活性を実質的に阻害することなく、第VII因子の活性を阻害可能であることを意味する(同濃度のインヒビターを使用)。
【0042】
本明細書は、第VII因子ポリペプチド、並びに血液凝固及び/又は線維素溶解経路に関連した他の特定のプロテアーゼについての阻害定数(K)を測定するためのアッセイ及び方法(以下参照)を記載する。
【0043】
本発明の好ましい実施態様では、式(I)の化合物は:
(第Xa因子)の1/10又はそれ以下(例えば、1/20又はそれ以下、1/50又はそれ以下、1/100又はそれ以下、1/200又はそれ以下、1/500又はそれ以下、1/2-1/10、1/10-1/20、1/10-1/50、1/20-1/100、1/50-1/200、1/100-1/500、1/100-1/1000、1/200-1/1000)のaK(活性化した第VII因子ポリペプチド)(同濃度のインヒビターを使用);
(プラスミン)の1/10又はそれ以下(例えば、1/20又はそれ以下、1/50又はそれ以下、1/100又はそれ以下、1/200又はそれ以下、1/500又はそれ以下、1/2-1/10、1/10-1/20、1/10-1/50、1/20-1/100、1/50-1/200、1/100-1/500、1/100-1/1000、1/200-1/1000)のaK(活性化した第VII因子ポリペプチド)(同濃度のインヒビターを使用);
Ki(トロンビン)の1/10又はそれ以下(例えば、1/20又はそれ以下、1/50又はそれ以下、1/100又はそれ以下、1/200又はそれ以下、1/500又はそれ以下、1/2-1/10、1/10-1/20、1/10-1/50、1/20-1/100、1/50-1/200、1/100-1/500、1/100-1/1000、1/200-1/1000)のaK(活性化した第VII因子ポリペプチド)(同濃度のインヒビターを使用);
(第IXa因子)の1/10又はそれ以下(例えば、1/20又はそれ以下、1/50又はそれ以下、1/100又はそれ以下、1/200又はそれ以下、1/500又はそれ以下、1/2-1/10、1/10-1/20、1/10-1/50、1/20-1/100、1/50-1/200、1/100-1/500、1/100-1/1000、1/200-1/1000)のaK(活性化した第VII因子ポリペプチド)(同濃度のインヒビターを使用);
(第XIa因子)の1/10又はそれ以下(例えば、1/20又はそれ以下、1/50又はそれ以下、1/100又はそれ以下、1/200又はそれ以下、1/500又はそれ以下、1/2-1/10、1/10-1/20、1/10-1/50、1/20-1/100、1/50-1/200、1/100-1/500、1/100-1/1000、1/200-1/1000)のaKi(活性化した第VII因子ポリペプチド)(同濃度のインヒビターを使用);
(第XIIa因子)の1/10又はそれ以下(例えば、1/20又はそれ以下、1/50又はそれ以下、1/100又はそれ以下、1/200又はそれ以下、1/500又はそれ以下、1/2-1/10、1/10-1/20、1/10-1/50、1/20-1/100、1/50-1/200、1/100-1/500、1/100-1/1000、1/200-1/1000)のaK(活性化した第VII因子ポリペプチド)(同濃度のインヒビターを使用);
(tPA)の 1/10又はそれ以下(例えば、1/20又はそれ以下、1/50又はそれ以下、1/100又はそれ以下、1/200又はそれ以下、1/500又はそれ以下、1/2-1/10、1/10-1/20、1/10-1/50、1/20-1/100、1/50-1/200、1/100-1/500、1/100-1/1000、1/200-1/1000)のaK(活性化した第VII因子ポリペプチド)(同濃度のインヒビターを使用)
の少なくとも一を示す。
【0044】
第VII因子ポリペプチド
ここで使用される場合「第VII因子ポリペプチド」又は「FVIIポリペプチド」なる用語は、野生型ヒト第VIIa因子(すなわち、米国特許第4784950号に開示されているアミノ酸配列を有するポリペプチド)のアミノ酸配列1-406を含有する任意のタンパク質、その変異体、並びに第VII因子関連ポリペプチド、第VII因子誘導体、及び第VII因子コンジュゲートを意味する。これには、FVII変異体、第VII因子関連ポリペプチド、第VII因子誘導体、及び第VII因子コンジュゲートで、野生型ヒト第VIIa因子に対して、実質的に同等又は改善された生物活性を示すものが含まれる。
【0045】
「第VII因子」なる用語は、それらの未切断(チモーゲン)形態にある第VII因子ポリペプチド、並びに第VIIa因子と命名される、それぞれの生物活性形態が生じるようにタンパク質分解的にプロセシングされたものを含むことを意図している。典型的には、第VII因子は残基152と153の間が切断されて、第VIIa因子を生じる。第VII因子のこのような変異体は、安定性、リン脂質結合性、特定の活性の変化等を含む、ヒト第VII因子とは異なる特性を示し得る。
【0046】
上述した定義における「第VII因子」又は「第VIIa因子」には、存在し、一個体から他方を生じ得る、天然の対立遺伝子変異体も含まれる。さらに、グリコシル化又は他の翻訳後修飾の程度及び位置は、選択される宿主細胞及び宿主細胞環境の性質に応じて変化する可能性がある。
ここで使用される場合、「野生型ヒトFVIIa」とは、米国特許第4784950号に開示されているアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0047】
ここで使用される場合、「第VII因子関連ポリペプチド」には、第VIIa因子の生物活性が実質的に修飾されている、例えば野生型第VIIa因子の活性に対して低下している変異体を含むポリペプチドが含まれる。これらのポリペプチドには、限定されるものではないが、ポリペプチドの生物活性を修飾又は破壊する、特定のアミノ酸配列の変化が導入された、第VII因子又は第VIIa因子が含まれる。
【0048】
ここで使用される場合「第VII因子誘導体」なる用語は、親ペプチドの一又は複数のアミノ酸が、例えばアルキル化、グリコシル化、ペグ化、アシル化、エステル形成又はアミド形成等により、遺伝的及び/又は化学的及び/又は酵素的に修飾されている、野生型第VII因子に対して、実質的に同等又は改善された生物活性を示す、FVIIポリペプチドを命名することを意図している。これには、限定されるものではないが、ペグ化したヒト第VIIa因子、システイン-ペグ化されたヒト第VIIa因子、及びそれらの変異体が含まれる。第VII因子誘導体の非限定的例には、国際公開第03/31464号及び米国特許出願第20040043446号、同20040063911号、同20040142856号、同20040137557号、同20040132640号、国際公開第2007022512号、及び米国特許第20070105755号(Neose Technologies, Inc.)に開示されたグリコペグ化されたFVII誘導体;国際公開第01/04287号、米国特許出願第20030165996号、国際公開第01/58935号、国際公開第03/93465号(Maxygen ApS)、及び国際公開第02/02764号、米国特許出願第20030211094号(ミネソタ大学)に開示されているFVIIコンジュゲートが含まれる。
【0049】
ペグ化されたヒト第VIIa因子には、一又は複数のPEG部分が結合している、任意の第VIIa因子が含まれる。PEG部分は、任意のアミノ酸残基又は第VIIa因子ポリペプチドの炭水化物部分を含む、第VIIa因子ポリペプチドの任意の部分に結合していてもよい。「システイン-ペグ化されたヒト第VIIa因子」なる用語は、ヒト第VIIa因子に導入されたシステインのスルフヒドリル基にコンジュゲートしたPEG分子を有する第VIIa因子を意味し、第VIIa因子配列変異体を形成するものである。
【0050】
「改善された生物活性」なる用語は、i)組換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して、実質的に同等又は増加したタンパク質分解活性を有するFVIIポリペプチド、又はii)組換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して、実質的に同等又は増加したTF結合活性を有するFVIIポリペプチド、又はiii)組換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して、血漿における半減期が実質的に同等又は増加したFVIIポリペプチドを意味する。
【0051】
組換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同等又は増加したタンパク質分解活性を有する第VII因子変異体の非限定的例には、S52A-FVIIa、S60A-FVIIa(Linoら, Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);米国特許第5580560号に開示されたような、増加したタンパク質分解安定性を示すFVIIa変異体;残基290と291の間、又は残基315と316の間が、タンパク質分解的に切断された第VIIa因子(Mollerupら, Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995);第VIIa因子の酸化形態(Kornfeltら, Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999);PCT/DK02/00189(国際公開第02/077218号に相当)に開示されているFVII変異体;及び国際公開第02/38162号に開示されたような、増加したタンパク質分解安定性を示すFVII変異体(Scripps Research Institute);国際公開第99/20767号、米国特許第6017882号及び米国特許第6747003号、米国特許出願第20030100506号(ミネソタ大学)及び国際公開第00/66753号、米国特許出願第20010018414号、米国特許第2004220106号、及び米国特許第200131005号、米国特許第6762286号及び米国特許第6693075号(ミネソタ大学)に開示されたような、高められた膜結合性を示し、修飾されたGla-ドメインを有するFVII変異体;及び国際公開第01/58935号、米国特許第6806063号、米国特許出願第20030096338号(Maxygen ApS)、国際公開第03/93465号(Maxygen ApS)、国際公開第04/029091号(Maxygen ApS)、国際公開第04/083361号(Maxygen ApS)、及び国際公開第04/111242号(Maxygen ApS)、並びに国際公開第04/108763号(Canadian Blood Services)に開示されたようなFVII変異体が含まれる。
【0052】
野生型FVIIaと比較して増加した生物活性を有するFVII変異体の非限定的例には、国際公開第01/83725号、国際公開第02/22776号、国際公開第02/077218号、国際公開第03/027147号、国際公開第04/029090号、国際公開第05/075635号、出願番号05108713.8を有する欧州特許出願(Novo Nordisk A/S)、国際公開第02/38162号(Scripps Research Institute);及び日本国特許第2001061479号(Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示されているような高められた活性を有するFVIIa変異体が含まれる。
【0053】
第VII因子の変異体の例には、限定されるものではないが、P10Q-FVII、K32E-FVII、P10Q/K32E-FVII、L305V-FVII、L305V/M306D/D309S-FVII、L305I-FVII、L305T-FVII、F374P-FVII、V158T/M298Q-FVII、V158D/E296V/M298Q-FVII、K337A-FVII、M298Q-FVII、V158D/M298Q-FVII、L305V/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII、V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII、K157A-FVII、E296V-FVII、E296V/M298Q-FVII、V158D/E296V-FVII、V158D/M298K-FVII、及びS336G-FVII、L305V/K337A-FVII、L305V/V158D-FVII、L305V/E296V-FVII、L305V/M298Q-FVII、L305V/V158T-FVII、L305V/K337A/V158T-FVII、L305V/K337A/M298Q-FVII、L305V/K337A/E296V-FVII、L305V/K337A/V158D-FVII、L305V/V158D/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V-FVII、L305V/V158T/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V-FVII、L305V/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/K316H-FVII、S314E/K316Q-FVII、S314E/L305V-FVII、S314E/K337A-FVII、S314E/V158D-FVII、S314E/E296V-FVII、S314E/M298Q-FVII、S314E/V158T-FVII、K316H/L305V-FVII、K316H/K337A-FVII、K316H/V158D-FVII、K316H/E296V-FVII、K316H/M298Q-FVII、K316H/V158T-FVII、K316Q/L305V-FVII、K316Q/K337A-FVII、K316Q/V158D-FVII、K316Q/E296V-FVII、K316Q/M298Q-FVII、K316Q/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D-FVII、S314E/L305V/E296V-FVII、S314E/L305V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/K337A/E296V-FVII、S314E/L305V/K337A/V158D-FVII、S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V-FVII、S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V-FVII、S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D-FVII、K316H/L305V/E296V-FVII、K316H/L305V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/K337A/E296V-FVII、K316H/L305V/K337A/V158D-FVII、K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V-FVII、K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V-FVII、K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D-FVII、K316Q/L305V/E296V-FVII、K316Q/L305V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T-FVII、K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII、K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII、K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII、K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII、K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII、K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/K337A-FVII、F374Y/V158D-FVII、F374Y/E296V-FVII、F374Y/M298Q-FVII、F374Y/V158T-FVII、F374Y/S314E-FVII、F374Y/L305V-FVII、F374Y/L305V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D-FVII、F374Y/L305V/E296V-FVII、F374Y/L305V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T-FVII、F374Y/L305V/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E-FVII、F374Y/K337A/V158T-FVII、F374Y/K337A/M298Q-FVII、F374Y/K337A/E296V-FVII、F374Y/K337A/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q-FVII、F374Y/V158D/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q-FVII、F374Y/V158T/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E-FVII、F374Y/S314E/M298Q-FVII、F374Y/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII、F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII、F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII、F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII、F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII、F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII、F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII、F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII、F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FV
II、F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、S52A-第VII因子、S60A-第VII因子;R152E-第VII因子、S344A-第VII因子、T106N-FVII、K143N/N145T-FVII、V253N-FVII、R290N/A292T-FVII、G291N-FVII、R315N/V317T-FVII、K143N/N145T/R315N/V317T-FVII;及び233Thrから240Asnのアミノ酸配列に、置換、付加又は欠失を有するFVII;304Argから329Cysのアミノ酸配列に、置換、付加又は欠失を有するFVII;153Ileから223Argのアミノ酸配列に、置換、付加又は欠失を有するFVIIが含まれる。
【0054】
例えば、第VII因子ポリペプチドにおける置換変異体には、限定されるものではないが、位置P10、K32、L305、M306、D309、L305、L305、F374、V158、M298、V158、E296、K337、M298、M298、S336、S314、K316、K316、F374、S52、S60、R152、S344、T106、K143、N145、V253、R290、A292、G291、R315、V317における置換、T233からN240、又はR304からC329;又はI153からR223のアミノ酸配列における置換、付加又は欠失、又はその組合せ、特に例えば、P10Q、K32E、L305V、M306D、D309S、L305I、L305T、F374P、V158T、M298Q、V158D、E296V、K337A、M298Q、M298K、S336G、S314E、K316H、K316Q、F374Y、S52A、S60A、R152E、S344A、T106N、K143N、N145T、V253N、R290N、A292T、G291N、R315N、V317Tでの変異体、及びT233からN240、又はR304からC329、又はI153からR223のアミノ酸配列における置換、付加又は欠失、又はそれらの組合せが含まれる。
【0055】
血液凝固における第VII因子(第VIIa因子として)の生物活性は、(i)組織因子(TF)へ結合、及び(ii)第IX因子又は第X因子のタンパク質分解的切断を触媒し、活性化した第IX因子又は第X因子(それぞれ第IXa因子又は第Xa因子)を生成する能力に由来する。ヒト第VIIa因子の生物活性は、例えば米国特許第5997864号に記載されているように、第VII因子-欠損血漿及びトロンボプラスチンを使用し、血液凝固を促進させる調製物の能力を測定するアッセイにより定量化されてよい。このアッセイにおいて、生物活性は対照サンプルに対する凝固時間の低減度合いとして表され、1単位/mlの第VII因子活性を有するプールされたヒト血清標準体と比較することにより、「第VII因子単位」に転換される。また、第VII因子ポリペプチドは、一工程の凝固アッセイを使用することにより、特定の活性(「凝血活性」)についてアッセイされてもよい。この目的のために、テストされるサンプルを50mMのPIPES-バッファー(pH7.5)で希釈し、0.1%のBSA及び40μlを、10mMのCa2+と合成リン脂質を含有する80μlのヒト組換え組織因子及び40μlの第VII因子欠損血漿と共にインキュベートする。凝固時間(凝血時間)を測定し、パラレルラインアッセイにおいて参照標準体を使用し、標準曲線と比較する。また、第VIIa因子の生物活性は、(i)第X因子、及び脂質膜に包埋したTFを含む系において、第Xa因子を生成する、第VIIa因子の能力を測定し(Perssonら, J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);(ii)水系における第X因子の加水分解度を測定し;(iii)表面プラズモン共鳴をベースにした装置を使用し、TFに対するその物理的結合度を測定し(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);(iv)合成基質の加水分解度を測定することにより定量化しうる。
【0056】
活性化(FVIIa)形態において、野生型第VIIa因子に対して実質的に同等又は改善された生物活性を有する第VII因子変異体には、一又は複数の上述した凝血アッセイ、タンパク質分解アッセイ、又はTF結合アッセイでテストされる場合、同じ細胞系で生成される第VII因子の特異的活性の少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、さらに好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%を示すものが含まれる。
【0057】
いくつかの実施態様では、第VII因子ポリペプチドは、ヒト第VIIa因子(hFVIIa)、好ましくは組換え的に作製されたヒト第VIIa因子(rhVIIa)である。他の実施態様では、第VII因子ポリペプチドは第VII因子配列変異体である。いくつかの実施態様では、第VII因子ポリペプチドは、野生型ヒト第VII因子とは異なるグリコシル化を有する。
いくつかの実施態様では、第VII因子ポリペプチドは第VII因子誘導体、特にグリコペグ化された第VII因子ポリペプチドを含むペグ化された第VII因子ポリペプチドである。
【0058】
様々な実施態様、例えば第VII因子ポリペプチドが第VII因子関連ポリペプチド又は第VII因子配列変異体である実施態様では、本出願に記載されたような「インビトロタンパク質分解アッセイ(アッセイ2)」でテストされる場合、第VII因子ポリペプチドの活性と天然ヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との比率は、少なくとも約1.25、好ましくは少なくとも約2.0又は4.0、最も好ましくは少なくとも約8.0である。いくつかの実施態様では、第VII因子ポリペプチドは、第VII因子関連ポリペプチド、特に変異体であり、ここで、「インビトロ加水分解アッセイ」(以下、アッセイ1を参照)でテストされる場合、第VII因子ポリペプチドの活性と天然ヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との比率は少なくとも約1.25であり;他の実施態様では、該比率は少なくとも約2.0であり;さらなる実施態様では、該比率は少なくとも約4.0である。
【0059】
本発明の化合物を調製する方法
本発明のペプチドは、ペプチド合成のよく知られている技術、例えばMerrifield, J. Am. Chem. Soc., 15: 2149-2154(1963)に最初に記載されているような固相合成技術に従い合成されてよい。他のペプチド合成技術は、例えば、M. Bodanszkyら,(1976) Peptide Synthesis, John Wiley & Sons, 第2版;Kent及びClark-Lewis, Synthetic Peptides in Biology and Medicine, p. 295-358, eds. Alitalo, Kら Science Publishers,(Amsterdam, 1985);並びに当業者に知られている他の参考文献に見出され得る。
本発明の式(I)の化合物は、一般的に以下に記載の手順により調製されうる:
【0060】
ペプチド合成
ペプチドを、Fmoc保護基の脱保護のNMP及びUVモニタリングにおいて、HBTU-媒介性カップリングを使用し、製造者から供給されているFastMoc UVプロトコルを用い、0.25mmolスケールにてアプリド・バイオシステム(Applied Biosystems)433Aペプチド合成器でFmoc法を使用し、ワン(Wang)樹脂(ペプチド酸)又はFmoc保護されたリンク(Rink)アミド樹脂(Novabiochem)(ペプチドアミド)において合成した。使用する保護されたアミノ酸誘導体を、ABI433A合成器に適切な、事前計量されたカートリッジに供給された標準Fmoc-アミノ酸(Anaspec)とした。ペプチドカルバメートについては、アルコール又はフェノールの炭酸スクシンイミジルを用いてペプチドを処理することにより、支持体からペプチドを切断した後、固相又は溶液にカルバモイル基を導入し、MeCNにおいて、DIPEA及び炭酸ジスクシンイミジルを用いて、対応するアルコール又はフェノールを処理することにより調製した(Goshら, Tetrahedron Lett 1992, 33(20)、2781-2784)。ペプチド尿素については、イソシアナートを用いて、樹脂に結合したペプチドを処理することにより、アミノカルボニル基を固相に導入した。アシル化されたペプチドの場合では、Fmoc-保護されたアミノ酸を用いてアシル化するのと同様のプロトコルを使用し、対応するカルボン酸を使用して最後のアシル化を実施した。従来からの方法の手段、例えばトリフルオロ酢酸、水及びトリイソプロピルシラン(95:2.5:2.5)の混合物と共に室温で攪拌することにより、ペプチドを樹脂から切断することができる。従来からのプロトコルを使用し、全ての生成物を、予備HPLCにより精製し、内部標準を使用して、UV-吸収又は1N NMRにより定量した。
【0061】
医薬製剤及び第VII因子ポリペプチドの投与
一般的に、本発明の水性で液状の第VII因子ポリペプチド製剤又は組成物(本発明の水性医薬組成物)は、−水性製剤が出発から水性液体に存在する、又は水もしくは他の水性担体又はビヒクルを添加し、実質的に固体状の製剤(例えば、凍結乾燥された調製物)を溶解/再構成させることにより生成されるかにかかわらず−非経口的、すなわち静脈内、皮下、又は筋肉内、もしくは連続又はパルス注入による投与に適している。
【0062】
ヒト患者における使用について、非経口投与用の本発明の第VII因子ポリペプチド組成物は、適切な濃度の式(I)の化合物又はその生理学的に耐性のある塩に加えて、好ましくは製薬的に許容可能な水性担体と組合せて、好ましくは溶解させて、通常は第VII因子ポリペプチドを含有する。多様な水性担体、例えば水、緩衝水、0.4%の生理食塩水、0.3%のグリシン等を使用してもよい。また、本発明の第VII因子ポリペプチドは、損傷部位に送達する又は標的とするリポソーム調製物に製剤されてもよい。リポソーム調製物は、一般的に、例えば米国特許第4,837,028号、米国特許第4,501,728号、及び米国特許第4,975,282号に記載されている。組成物は、従来からよく知られている滅菌技術により滅菌されてもよい。得られた水溶液は、使用用に包装されてよく、又は無菌条件下で濾過される、凍結乾燥されてよく、凍結乾燥された調製物は、投与の前に滅菌水又滅菌水溶液(担体、ビヒクル)と組合せられる。本組成物は、生理条件に近づける、及び/又は組成物の化学的及び/又は物理的安定性を高めるために必要な、製薬的に許容可能な補助物質をさらに含有していてもよい。これらには:pH調節剤及び/又は緩衝剤、例えばシタラート(クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウム)、アセテート(酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム又は酢酸カルシウム)、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、マラート、ホスファート(リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、酒石酸、コハク酸、MES(2-N-モルホリノ-エタンスルホン酸)、HEPES(4-(2-ヒドロキシ-エチル)-ピペラジン-1-エタン-スルホン酸)、イミダゾール、トリス[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、ラクタート、及びグルタマートが含まれる。バッファー濃度は、溶液の好ましいpHを維持するように選択される。また緩衝剤は、混合物が特定の範囲のpH値が提供できるように、2又はそれ以上の緩衝剤の混合物、例えばこのような薬剤2つの混合物であってよい。一実施態様では、バッファーはシタラートと、少なくとも一のバッファーアセテート(酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、又は酢酸カルシウム)、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、マラート、ホスファート(リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、酒石酸、コハク酸、MES、HEPES、イミダゾール、トリス、ラクタート、及びグルタマートとの混合物である。緩衝剤(類)の全体的な濃度は、典型的には、約1mM〜約100mM、例えば約1mM〜約50mM、多くの場合は約1mM〜約25mM、例えば約2mM〜約20mMの範囲である。
【0063】
カルシウム塩:組成物は−最初から液体、フリーズドライ又は再構成された形態にかかわらず−場合によってはカルシウム塩を含有していてもよい。カルシウム塩は低濃度、例えば約0.1mM〜約5mMで存在していてもよく;また中程度の濃度、例えば約5mM〜約15mMで存在していてもよく;又は高濃度、例えば約15mM〜約1000mMで存在していてもよい。一態様では、カルシウム塩は:塩化カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、及びカルシウムラエブラート(laevulate)、及び2又はそれ以上のそれらの混合物から選択される。また、組成物におけるカルシウムイオンの濃度は、0.1mM以下であってよい。
【0064】
浸透圧調節剤(製剤の浸透圧に寄与する浸透圧修正物質)は、例えばアミノ酸、小ペプチド(例えば2〜5のアミノ酸残基を有するもの)、中性塩、単糖類又は二糖類、多糖類、糖アルコール、又はこれらの物質の少なくとも2の混合物である。特定の例には、限定されるものではないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、スクロース、グルコース及びマンニトールが含まれる。浸透圧調節剤の濃度は、製剤に存在する他の成分に応じて、等張に近づくように調節される。一般的に、浸透圧調節剤は、存在する他の成分に応じて、約1〜約500mM、例えば約1〜約300mM、多くの場合は約10〜約200mM、例えば約20〜約150mMの濃度で導入される。中性塩、例えば塩化ナトリウム又は塩化カリウムが使用されてもよい。「中性塩」なる用語は、実質的に酸性でも塩基性でもない、すなわち溶解した際に、製剤のpHにほとんど又は全く影響を及ぼさない塩を示す。
【0065】
適切なポリソルベート又はトゥイーンTM型の界面活性剤、典型的には特に非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベートTM20又は80、又はトゥイーンTM80)、又はプルロニック(Pluronic)TM型のポロキサマー(例えば、ポロキサマーTM188又は407)。導入される界面活性剤の量は、典型的には約0.005〜約1%重量/重量(w/w)の範囲であってよく、約0.005〜約0.1%w/w、例えば約0.005〜0.02%w/wの量が典型的には好ましい。いくつかの状況で、比較的高濃度、例えば約0.5%w/wまでであることが、タンパク質の安定性を維持するのに好ましい。しかしながら、現実実務で使用される界面活性剤のレベルは、通例、臨床診療により制限される。
【0066】
酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、シスチン、シススタチオニン(cysstathionine)、メチオニン、グルタチオン、又はシステイン又はメチオニンを含有するペプチド;メチオニン、特にL-メチオニンが、典型的には非常に適した酸化防止剤である。酸化防止剤は、典型的には、約0.1〜約2mg/mlの濃度で導入される。
【0067】
保存料(微生物の成長を遅らせるために製剤に含有せしめられ、よって、例えばFVIIポリペプチドの「多用途」包装を可能にする)。保存料の例には、フェノール、ベンジルアルコール、オルト-クレゾール、メタ-クレゾール、パラ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムが含まれる。保存料は、典型的には、pHの範囲及び保存料の種類に応じて、約0.1〜約2mg/mlの濃度で導入される。
【0068】
組成物における第VII因子ポリペプチドの濃度は、典型的には約0.01%w/w〜約2%w/w(すなわち、約0.1mg/ml〜約20mg/ml)、例えば約0.05%w/w〜約1.5%w/w(すなわち、約0.5mg/l〜約15mg/ml)、例えば約0.05%w/w〜約1%w/w(すなわち、約0.5mg/ml〜約10mg/ml)で広範囲に変化させることができ、主として、選択された特定の投与方式に従い、流体容量、粘度等に基づき選択されるであろう。第VIIa因子の場合、濃度は、しばしばmg/ml又は国際単位/ml(IU/ml)で表される。通常、1mgのFVIIa は、43000-56000IU又はそれ以上に相当する。
【0069】
本発明の液状の水性医薬組成物における、本発明の式(I)の化合物(又は化合物類)の濃度は、典型的には、少なくとも1μMであろう。所望する(又は必要な)濃度は、典型的には選択される化合物(又は化合物類)、特に第VII因子ポリペプチドに対する選択された化合物(類)の結合親和性に依存する。種々の実施態様では、式(I)の化合物は、少なくとも5μM、少なくとも10μM、少なくとも20μM、少なくとも50μM、少なくとも100μM、少なくとも150μM、少なくとも250μM、少なくとも500μM、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも4mM、少なくとも5mM、少なくとも8mM、少なくとも9mM、少なくとも10mM、少なくとも15mM、又は少なくとも20mM、例えば1−10000μM、10−10000μM、20−10000μM、50−10000μM、10−5000μM、10−2000μM、20−5000μM、20−2000μM、50−5000μM、0.1−100mM、0.1−75mM、0.1−50mM、0.1−10mM、0.2−75mM、0.2−50mM、0.2−20mM、0.5−75mM、又は0.5−50mMの範囲の濃度で存在してよい。
【0070】
種々の実施態様では、式(I)の化合物とFVIIポリペプチドとのモル比は:0.1以上、0.5以上、1以上、2以上、5以上、10以上、25以上、100以上、250以上、1000以上、2500以上、又は5000以上、例えば0.1−10000、0.1−5000、0.1−2500、0.1−1000、0.1−250、0.1−100、0.1−25、0.1−10、0.5−10000、0.5−5000、0.5−2500、0.5−1000、0.5−250、0.5−100、0.5−25、0.5−10、1−10000、1−5000、1−2500、1−1000、1−250、1−100;1−25;1−10、10−10000、10−5000、10−250、1000−10000、又は1000−5000の範囲であってよい。
【0071】
非経口的に投与可能な組成物を調製する方法は、当業者にとっては公知であるか又は明らかであり、さらなる詳細は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Company, Easton, PA(1990)に記載されている。
【0072】
熟考した治療介入に関連した処置(例えば外科的処置)について、第VII因子ポリペプチドは、典型的には、治療介入の実施前の24時間以内、その後7日又はそれ以上で投与される。
【0073】
血液凝固剤としての投与は、ここに記載されているような多様な経路によりなすことができる。第VII因子ポリペプチド(例えば、rhFVIIa)の用量は、被験者の体重及び病状の重症度に応じて、充填及び維持量として、70kgの患者に対しては、通常約0.05mg/日〜500mg/日、好ましくは約1mg/日〜約200mg/日、より好ましくは約10mg/日〜約175mg/日の範囲である。
【0074】
第VII因子ポリペプチドを含有する組成物は、予防的及び/又は治療的処置のために投与されてよい。治療的適用において、組成物は、上述した病状を既に患っている被験者に、病状及びその合併症を治癒、軽減、又は部分的に停止させるのに十分な量で投与される。このことを達成するのに適した量は、「治療的有効量」と定義される。当業者に理解されているように、この目的にとって有効な量は、病状又は損傷の重症度、並びに体重及び被験者の一般的健康状態に依存するであろう。
【0075】
FVIIポリペプチド(例えば、rhFVIIa)の医薬組成物は、一般的に、生死にかかわるか又は潜在的に生死にかかわる医学的病状又は状態に関して使用され、このような環境においては−異物の量を最小にすることに関連した一般的利点に鑑み、ヒト第VII因子ポリペプチドの免疫原性の一般的欠如を考慮すると−非常に過剰の当該第VII因子ポリペプチドを投与することが可能であり、また処置医に所望されるかもしれない、ということを念頭に置くべきである。
【0076】
予防的適用において、第VII因子ポリペプチドを含有する組成物は、患者自身の凝固能力を高めるために、病気の状態又は損傷を受け易い、そうでなければそのような危険性にある被験者に投与される。このような目的で使用される用量(「予防的有効量」と称されてもよい)は、今度の場合も、被験者の体重及び一般的な健康状態に依存するが、70キログラムの被験者に対しては、一般的には約0.05mg/日〜約500mg/日、より一般的には約1.0mg/日〜約200mg/日の範囲である。
【0077】
特に、ヒト被験者にrhFVIIaを投与する場合には、用量レベルは、一般的に投与毎に約90-120μg/kg体重の範囲にある。しかしながら、幾分高用量、例えば150μg/kg体重より過度の用量、ある場合には約250−300μg/kgの用量が好ましい。
【0078】
当該問題の組成物の単一又は複数回投与は、処置医により選択される用量レベル及び投与計画を使用して実施されてよい。日常保守レベルが要求されている外来患者用には、第VII因子ポリペプチドは、例えば携帯用ポンプシステムを使用し、連続注入により投与されてよい。
【0079】
第VII因子ポリペプチドの局所投与、例えば局所適用は、例えば噴霧、灌流により、ダブルバルーンカテーテル又はステントを使用することにより、コートバルーンカテーテルに対しヒドロゲルの形態で、移植血管又はステントに導入することにより、又は他の十分に確立された方法により実施されてよい。いずれにしろ、当該問題の医薬組成物は、被験者を効果的に処置するのに適した量の第VII因子ポリペプチドを提供すべきである。
【0080】
液状の製薬用調製物は、2℃〜8℃の範囲の温度で保存された場合、典型的には少なくとも6ヶ月、好ましくは36ヶ月安定しているべきである。多くの場合、高含有量のインヒビターが必要とされているが、液状の製薬用調製物は、高温でさえ、例えば周囲温度、特に20℃〜30℃で安定しているのが好ましいと理解されるべきである。
【0081】
「安定」なる用語は、2℃〜8℃で6ヶ月保存した後、最初の液状の製薬用調製物が、その最初の生物活性の少なくとも50%を保持していることを示すことを意図している。好ましくは、液状の製薬用調製物は、2〜8℃で6ヶ月保存した後、最初の活性の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を保持している。
【0082】
第VII因子ポリペプチドに関し、「安定」なる用語は、(i)2℃〜8℃で6ヶ月保存した後、最初の液状の製薬用調製物が、一工程の凝血アッセイ(アッセイ4)で測定した場合に、最初の生物活性の少なくとも50%を保持している、(ii)2℃〜8℃で6ヶ月保存した後、最初の液状の製薬用調製物が、重鎖分解生成物を全く含有していない(すなわち、第VII因子ポリペプチドのみがパーセンテージ算定に入る)と仮定して、重鎖分解生成物の含有量が最大で40%(w/w)であることを示すことを意図している。好ましくは、最初の液状の製薬用調製物は、2〜8℃で6ヶ月保存した後、最初の活性の少なくとも少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を保持している。また好ましくは、最初の液状の製薬用調製物中の重鎖分解生成物の含有量は、最大で30%(w/w)、最大で25%(w/w)、最大で20%(w/w)、最大で15%(w/w)、最大で10%(w/w)、最大で5%(w/w)、又は最大で3%(w/w)である。
【0083】
よって、上で概要を述べたように、「安定化された組成物」とは、物理的安定性が増加、化学的安定性が増加、又は物理的及び化学的安定性が増加した組成物を意味する。一般的に、組成物は、有効期限に達するまで、使用及び保存中に(推奨される使用及び保存条件で)安定していなければならない。
【0084】
一実施態様では、FVIIポリペプチドと式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、(2-8℃の)保存で6ヶ月以上、周囲温度での使用で1週間以上安定している。さらなる実施態様では、FVIIポリペプチドと式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、(2-8℃の)保存で24ヶ月以上、周囲温度での使用で4週間以上安定している。さらなる他の実施態様では、FVIIポリペプチドと式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、(2−8℃の)保存で36ヶ月以上、周囲温度での使用で6週間以上安定している。
【0085】
理解されるように、ここで定められた液状の水性医薬組成物は、医薬の分野で使用することができる。よって、特に本発明は、薬剤、特に第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患を処置する薬剤として使用される、ここで定められた液状の水性医薬組成物を提供する。
【0086】
従って、本発明は、第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患を処置する薬剤を調製するための、ここで定められた液状の水性医薬組成物の使用、並びに第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患を処置するための方法、ここで定められた液状の水性医薬組成物を有効量、それを必要とする被験者に投与することを含む方法を提供する。
【0087】
本発明の調製物は、第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患、限定されるものではないが、凝固因子欠乏症に起因するものを含む出血性疾患(例えば、インヒビターを有する又は有さない先天性血友病A、後天性血友病A、インヒビターを有する又は有さない先天性血友病B、後天性血友病B、第XI凝固因子欠乏症、第VII凝固因子欠乏症)、フォン・ヴィルブランド病、血小板異常又は血小板欠乏症(例えば、血小板数の低下)、又は血小板減少症の処置に使用されてよい。ここで使用される場合、「出血性疾患」なる用語は、出血に表れる、細胞又は分子由来の任意の欠損、先天的、獲得又は誘発されるものを表す。第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患には、限定されるものではないが、脊髄又は心臓手術、整形外科手術(例えば、腰、肘、膝)、又は腹腔鏡手術、穿通性又は鈍的外傷、穿通性頭部外傷を含む頭部外傷、脳内出血に関連した出血、誘発性止血不全(induced defective haemostasis)に関連した出血、例えば抗凝固治療又は抗線維素溶解治療に関連した出血、及び任意の原因による制御できない過度の出血を含む、手術又は外傷に関連した広範囲にわたる組織ダメージを被った被験者における出血も含まれる。広範囲にわたる組織ダメージの場合、正常な止血メカニズムは、即時止血の要求に圧倒され、他の正常な止血メカニズムにかかわらず、出血が生じるおそれがある。さらに、外科的止血の可能性が制限されている器官、例えば脳、内耳領域、眼、肝臓、肺、腫瘍組織、及び胃腸管における出血、並びに出血が拡散している場合(出血性胃炎及び大量の子宮出血)も含まれる。これら全ての状況に共通しているのは、外科的手法(縫合、クリップ等)による止血が困難であるということである。
【0088】
「有効量」なる用語は、所望する応答を達成するための用量を設定する有資格者により決定される有効な用量である。用量を考慮するための要因には、作用強度、生物学的利用能、所望する薬物動態/薬力学的プロフィール、処置状況、患者関連の要因(例えば、体重、健康状態、年齢等)、同時投与される薬物(例えば、抗凝固剤)の存在、投与時間、又は医療実施者に公知の他の要因が含まれる。
【0089】
「処置」なる用語は、病気、病状又は疾患に抗することを目的として、被験者、例えば哺乳動物、特にヒトを管理及び世話することとして定義され、徴候又は合併症の発症を予防し、又は徴候又は合併症を軽減し、又は病気、病状又は疾患を排除するために、第VII因子ポリペプチドを投与することを含む。第VII因子ポリペプチドを含有する本発明の医薬組成物は、このような処置を必要とする被験者に、非経口的に投与されてよい。非経口的投与は、シリンジ、場合によってはペン様シリンジ等の手段により実施することができる。また、非経口投与は注入ポンプ等の手段により実施することもできる。
重要な実施態様では、医薬組成物は、当該技術で公知の方法による、皮下、筋肉内、又は静脈内注射に適している。
【0090】
第VII因子ポリペプチドと、一又は複数の本発明の化合物(I)を含有する医薬組成物は、一又は複数の凝固因子、例えば制限するものではないが、第XIII因子、第VII因子I、第IX因子、他の第VII因子ポリペプチド、又はFEIBATMをさらに含有するか、又は併用して使用され得る。
【0091】
本発明のさらなる態様
ある程度、上に既に示されているように、本発明のさらなる態様には、以下のものが含まれる:
本発明の一又は複数の化合物、又はその生理学的に耐性のある塩;及び第VII因子ポリペプチド(例えば、野生型ヒトFVIIa、例えばrhFVIIa)を含有する医薬組成物(例えば、液状の水性医薬組成物)。
本発明の化合物又はその生理学的に耐性のある塩を、第VII因子ポリペプチドを含有するサンプルに添加し;又は第VII因子ポリペプチドを、本発明の化合物又はその生理学的に耐性のある塩を含有するサンプルに添加することを含む、第VII因子ポリペプチド(例えば、野生型ヒトFVIIa、例えばrhFVIIa)を含有する組成物を調製する方法;この種の方法において、本化合物又はその塩、及び/又は第VII因子ポリペプチドは、液状の水性媒体に存在していてもよい。
【0092】
本発明の方法により調製された医薬組成物;
本発明の化合物又はその生理学的に耐性のある塩を、第VII因子ポリペプチドを含有するサンプルに添加し;又は第VII因子ポリペプチドを、本発明の化合物又はその生理学的に耐性のある塩を含有するサンプルに添加することを含む、第VII因子ポリペプチド(例えば、野生型FVIIa、例えばrhFVIIa)を阻害する方法;この種の方法において、本化合物又はその塩、及び/又は第VII因子ポリペプチドは、液状の水性媒体に存在していてもよい。
当該問題の第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患を処置する薬剤を製造するための、本発明の医薬組成物の使用。
【0093】
ここに引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が、出典明示により個々にかつ特に援用され、同程度で出典明示によりここに援用される。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的にのみ使用されており、いかなる方法であっても、本発明を限定するものとは解釈されない。
その全ての可能性のある変形例における、上述した要素の任意の組合せは、ここで特に示され、又は文脈においてはっきりと矛盾していない限りは、本発明に含まれる。
【0094】
本発明で記載されて使用されている「a」及び「an」及び「the」及び類似指示対象なる用語は、ここで他に示されず、又は文脈においてはっきりと矛盾していない限りは、単数形及び複数形の双方をカバーすると解釈される。
ここで他に示されない限りは、ここでの値の範囲の記述は、単に、範囲内に入るそれぞれ別個の値を個々に称する省略方法として提供することを意図しているものであって、ここで個々に列挙されているかのように、それぞれの別個の値が明細書に導入される。特に示さない限り、ここで提供される全ての正確な値は、対応する近似値の代表例である(例えば、特定の要因又は測定値に関して提供される全ての正確な例示的値は、適切な場合は、「約」により修飾される、対応する近似測定値を提供するとみなすことができる)。ここに記載されている全ての方法は、ここで他に示されず、又は文脈においてはっきりと矛盾していない限りは、任意の適切な順番で実施することができる。
ここに提供される任意かつ全ての実施例、又は例示的言語(「例えば」、「等」)の使用は、単に本発明をより例証することを意図しており、他に示されない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明確に記載していない限りは、明細書中の如何なる語句も、任意の要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解すべきではない。
【0095】
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
特に明記せず、文脈においてはっきりと矛盾していない限りは、成分又は成分類に関して、「含有する」、「有する」、「含む」又は「含める」等の用語を使用する、本発明の任意の側面又は実施態様のここでの記載は、特定の成分又は成分類「からなる」、「本質的になる」、又は「実質的に含有する」といった本発明の類似した側面又は実施態様を支持することを意図したものである(例えば、特定の成分を含有するここに記載の組成物は、特に明記しない又は文脈においてはっきりと矛盾していない限りは、その成分からなる組成
この発明は、適用される法律に容認される最大範囲まで、ここに提供される請求項又は側面に列挙された主題事項の全ての修正点及び等価物を含む。
【0096】
本発明の特定の実施態様は以下の通りである:
実施態様1:次の式(I):
-X-X-X-X-X-X-NH (I)
[上式中:
は、低級アルコキシカルボニル、低級アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキルアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールアルキルオキシカルボニル、又はヘテロアリールアルキルオキシカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、低級アルケニルアミノカルボニル、アルキニルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、又はヘテロアリールアルキルアミノカルボニル、低級アルカノイル、低級アルケノイル、低級アルカジエニル、アルキノイル、シクロアルカノイル、シクロアルキルアルカノイル、シクロアルケニルアルカノイル、アロイル、アリールアルカノイル、又はヘテロアリールアルカノイルを表し、該基は、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、又はシアノで置換されていてもよく;
は、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表し;
は、Glu、Asp、(α-Me)Glu、1-アミノシクロブタン-トランス-1,3-ジカルボン酸、又は1-アミノシクロブタン-シス-1,3-ジカルボン酸を表し;
は、Arg、ホモArg、Lys、His、Asn、Gln、Trp、Phe、Phg、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Dab、Dap、Nβ-[アミジノ]-Dap、又はNγ-[アミジノ]Dabを表し;
は、Phg、D-Phg、Phe、Val、Ile、Leu、Lys、Ala、Glu、Gly、Aib、Trp、Abu、Alle、Cha、Hph、Nle、又はNvaを表し;
は、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;
は、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;
又はX又は双方が、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表す場合、Xは4-アミジノ-Phe、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表す]
の化合物で、その任意及び全ての立体異性体又は異性体類、任意の比率での2又はそれ以上のこのような式(I)の化合物の任意の混合物、及び生理学的に耐性のある塩、及びそのプロドラッグ。
【0097】
実施態様2.Xが、低級アルコキシカルボニル、低級アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキルアルキルオキシカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、低級アルケニルアミノカルボニル、アルキニルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアルキルアミノカルボニル、低級アルカノイル、低級アルケノイル、アルキノイル、シクロアルカノイル、又はシクロアルキルアルカノイルを表し、ここで該基が、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級アルキルチオで置換されていてもよい、実施態様1の化合物。
【0098】
実施態様3.Xが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、2-(メトキシ)エトキシカルボニル、2-(メチルチオ)エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2-クロロアリルオキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、シクロブチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロプロピルメチルオキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、アリルアミノカルボニル、シクロブチルアミノカルボニル、シクロペンチルアミノカルボニル、シクロプロピルメチルアミノカルボニル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、3-シクロプロピルプロピオニル、ペンテ-4-エノイル、2-メチル-4-ペンテノイル、4-ヘキセノイル、3-シクロペンテン-1-オイル、4,5,5-トリフルオロペンテ-4-エノイル、又はヘキサ-2,4-ジエノイルを表す、実施態様2の化合物。
【0099】
実施態様4.Xが、Arg、ホモArg、Orn、又はLysを表す、上述した実施態様のいずれか一つの化合物。
実施態様5.XがホモArgを表す、実施態様4の化合物。
実施態様6.XがGluを表す、上述した実施態様のいずれか一つの化合物。
【0100】
実施態様7.Xが、Arg、ホモArg、Lys、His、Asn、Gln、Dab、又はDapを表す、上述した実施態様のいずれか一つの化合物。
実施態様8.XがAsn又はGlnを表す、実施態様7の化合物。
実施態様9.Xが、Phe、Val、Ile、Leu、Ala、Cha、Gly、又はTrpを表す、上述した実施態様のいずれか一つの化合物。
実施態様10.Xが、Phe、Cha、又はTrpを表す、実施態様9の化合物。
【0101】
実施態様11.Xが、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Glu、Val、Gln、Phe、Ile、Ser、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、上述した実施態様のいずれか一つの化合物。
実施態様12.Xが、Ala、His、Arg、ホモArg、Glu、Gln、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、実施態様11の化合物。
実施態様13.Xが、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Glu、Val、Gln、Phe、Ile、Ser、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、上述した実施態様のいずれか一つの化合物。
実施態様14.Xが、Ala、His、Arg、ホモArg、Glu、Gln、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、実施態様13の化合物。
実施態様15.Xが存在しない、実施態様12の化合物。
実施態様16.Xが存在しない、実施態様14の化合物。
【0102】
実施態様17.化合物が次の列挙:
プロピルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-(D-Asp)-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-(D-Glu)-Cha-NH
ベンジルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Dap-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-ホモArg-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Arg-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Gly-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Glu-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Phe-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-ホモArg-NH
プロピルアミノカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
シクロプロピルメトキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-His-NH
エチルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Phe-NH;及び
2-クロロアリルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NHで、
それらの任意及び全ての立体異性体又は異性体類、任意の比率での2又はそれ以上のこのような式(I)の化合物の任意の混合物、及び生理学的に耐性のある塩、及びそのプロドラッグを含むものから選択される、実施態様1-16のいずれか一つの化合物。
【0103】
実施態様18.実施態様1-17のいずれか一つの一又は複数の化合物、又はその生理学的に耐性のある塩;及び第VII因子ポリペプチドを含有する医薬組成物。
実施態様19.前記第VII因子ポリペプチドが:野生型ヒト第VIIa因子;第VII因子変異体;及び第VII因子誘導体から選択される、実施態様18の医薬組成物。
実施態様20.第VII因子変異体がペグ化された第VII因子である、実施態様19の医薬組成物。
【0104】
実施態様21.薬学的に耐性のある担体又は希釈剤をさらに含有する、実施態様18-20のいずれか一つの医薬組成物。
実施態様22.液状の水性組成物である、実施態様18-21のいずれか一つの医薬組成物。
【0105】
実施態様23.実施態様1-17のいずれか一つの化合物又はその生理学的に耐性のある塩を、第VII因子ポリペプチドを含有するサンプルに添加し;又は第VII因子ポリペプチドを、実施態様1-17のいずれか一つの化合物又はその生理学的に耐性のある塩を含有するサンプルに添加することを含む、第VII因子ポリペプチドを含有する組成物を調製する方法。
実施態様24.前記第VII因子ポリペプチドが:野生型ヒト第VIIa因子;第VII因子変異体;及び第VII因子誘導体から選択される、実施態様23の方法。
実施態様25.第VII因子変異体がペグ化された第VII因子である、実施態様24の方法。
実施態様26.前記化合物又はその塩及び/又は前記第VII因子ポリペプチドが、液状の水性媒体に存在している、実施態様23-25のいずれか一つの方法。
実施態様27.実施態様23-26のいずれか一つの方法により調製された医薬組成物。
【0106】
実施態様28.実施態様1-17のいずれか一つの化合物又はその生理学的に耐性のある塩を、第VII因子ポリペプチドを含有するサンプルに添加し;又は第VII因子ポリペプチドを、実施態様1-17のいずれか一つの化合物又はその生理学的に耐性のある塩を含有するサンプルに添加することを含む、第VII因子ポリペプチドを阻害する方法。
実施態様29.前記第VII因子ポリペプチドが:野生型ヒト第VIIa因子;第VII因子変異体;及び第VII因子誘導体から選択される、実施態様28の方法。
実施態様30.第VII因子変異体がペグ化された第VII因子である、実施態様29の方法。
実施態様31.前記化合物又はその塩及び/又は前記第VII因子ポリペプチドが、液状の水性媒体に存在している、実施態様28-30のいずれか一つの方法。
【0107】
実施態様32.第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患を処置する薬剤を調製するための、実施態様18-22又は27のいずれか一つの医薬組成物の使用。
実施態様33.第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患を処置する薬剤を調製するための、第VII因子ポリペプチドと組合せられる、実施態様1-17のいずれか一つの化合物の使用。
【0108】
実施態様34.病状又は疾患が、出血性疾患;広範囲にわたる組織ダメージを被った被験者における出血;及び外科的止血の可能性が制限されている器官における出血から選択される、実施態様32又は33の使用。
実施態様35.出血性疾患が:凝固因子欠乏症、インヒビターを有する又は有さない先天性血友病A、後天性血友病A、インヒビターを有する又は有さない先天性血友病B、後天性血友病B、第XI凝固因子欠乏症、第VII凝固因子欠乏症、フォン・ヴィルブランド病、血小板異常又は血小板欠乏症、及び血小板減少症から選択される、実施態様34の使用。
実施態様36.広範囲にわたる組織ダメージを被った被験者における出血が:手術又は外傷に関連した出血、脊髄又は心臓手術、整形外科手術、又は腹腔鏡手術、穿通性又は鈍的外傷、頭部外傷、脳内出血に関連した出血、誘発性止血不全に関連した出血、抗凝固治療又は抗線維素溶解治療に関連した出血、及び任意の原因による制御できない過度の出血から選択される、実施態様34の使用。
実施態様37.外科的止血の可能性が制限されている器官における出血が:脳、内耳領域、眼、肝臓、肺、腫瘍組織、及び胃腸管における出血、並びに出血が拡散している場合は出血性胃炎及び大量の子宮出血から選択される、実施態様34の使用。
実施態様38.第VII因子ポリペプチドを安定化させるための、実施態様1-17のいずれか一つの化合物の使用。
【実施例】
【0109】
以下の略語を使用する:
Abu: α-アミノ酪酸
Ac: アセチル
Aib α-アミノイソ酪酸
Alle アロ-イソロイシン
Alloc アリルオキシカルボニル
4-アミジノ-Phe 4-アミジノ-フェニルアラニン、
N-CH(CH-C-C(=NH)NH)-
CO
Boc: tert-ブチルオキシカルボニル
t-Bu tert-ブチル
Cha β-シクロヘキシルアラニン、
(1S)-1-アミノ-2-シクロヘキシルプロピオン酸
DCM: ジクロロメタン、塩化メチレン
DIPEA又はDIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF: N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
EDAC: N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カル ボジイミドヒドロクロリド
ELS: 蒸発光散乱
Et: エチル
Fmoc 9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル
HBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル−)-1,1, 3,3 テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホス ファート
HOBt: N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ ベンゾトリアゾール
ホモArg: ホモアルギニン、N-イプシロン-アミジノリジン、 H2N-CH((CH2)4-NH-C(=NH)NH)C O
Hph: ホモフェニルアラニン
Me: メチル
Nle ノルロイシン、α-アミノカプロン酸
NMP: N-メチルピロリドン
Nva ノルバリン、α-アミノ吉草酸
HPLC: 高圧液体クロマトグラフィー
LCMS: 質量分析と連結された液体クロマトグラフィー
Lys(mPeg(1-10k)-CO):メトキシ-ポリ(エチレングリコール)-誘導化カルボ ン酸(MeO-(CH-CH-O)-(CH)-COH)で、側鎖アミノ基がアシル化されたリジン
NMP: N-メチル-2-ピロリジノン
Phg (S)-フェニルグリシン、L-フェニルグリシン
Pmc: 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホ ニル
r.t. 室温
Su: スクシンイミジル
TFA: トリフルオロ酢酸
TIS: トリイソプロピルシラン
Trt: トリチル
【0110】
手順
(1)酵素阻害−一般
FVIIa又は他の酵素/因子、例えば第Xa因子、トロンビン、プラスミン、又はトリプシンを阻害する式(I)の化合物の能力は、当該問題の酵素の活性を50%まで阻害する式(I)の化合物の濃度、すなわち阻害定数Kiに関連するIC50値を決定することにより評価される。このIC50値は適切な発色基質を用いて決定され、式(I)の化合物の濃度のlogに対して、加水分解の相対速度(阻害されていない対照体と比較)をプロットした後、線形回帰により算出される。阻害定数Kiを算出するために、基質と競合するIC50値の補正を、次の式:
Ki=IC50/{1+(基質濃度/Km)}
を使用して考慮し、ここでKmはミカエリス・メンテン定数である[Chen及びPrusoff, Biochem. Pharmacol. 22(1973)、3099-3108;I. H. Segal, Enzyme Kinetics, 1975, John Wiley & Sons, New York, 100-125:双方の文献とも、出典明示によりその全体がここに援用される]。
【0111】
(1)a 第VIIa因子(FVIIa)アッセイ
第VIIa因子/組織因子活性に対する、式(I)の化合物の阻害活性[阻害定数Ki(FVIIa)として表される]は、本質的に以前に記載されている[J. A. Ostrem et al., Biochemistry 37(1998) 1053-1059、参照は、出典明示によりその全体がここに援用される)ような発色アッセイを使用して決定されてよい。動態アッセイを、動態プレートリーダー(Molecular Devices Spectramax 250)を使用する、半領域のマイクロタイタープレート(Costar Corp., Cambridge, Mass.)において、25℃で実施する。典型的なアッセイにおいて、25μlのrhFVIIa及びTF(それぞれの最終濃度、5nM及び10nM)を、10%のDMSO/TBS-PEGバッファー(50mMのトリス、15mMのNaCl、5mMのCaCl、0.05%のPEG8000、pH8.15)において、40μlの阻害希釈液と組合せる。15分のプレインキュベート後、35μlの発色基質S-2288(D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド、Pharmacia Hepar Inc., 最終濃度500mM)を添加することにより、アッセイを開始する。本発明の化合物は、3mM〜<1μMの範囲のIC50-値で、FVIIa/TFを阻害する。
以下のアッセイ(1)b-e及び(2)a-cを、式(I)の化合物による、ある種の他の凝固酵素及び他のセリンプロテアーゼの阻害可能性を調査し、よって、式(I)の化合物の特異性を決定するために使用してもよい。
【0112】
(1)b 第Xa因子アッセイ
このアッセイ用に、組成50mMのトリス-Cl、pH7.8、200mMのNaCl、0.05%(w/v)のPEG-8000、0.02%(w/v)のNaN3)のTBS-PEGバッファーを使用する。TBS-PEGバッファーに25μlのヒト第Xa因子(Enzyme Research Laboratories, Inc.;South Bend, Ind.)が入ったもの;TBS-PEGバッファーに40μlの10%(v/v)DMSOが入ったもの(阻害されていない対照体)、又はTBS-PEGに10%(v/v)DMSOが入ったものに希釈された、種々の濃度のテストされる化合物;及びTBS-PEGに基質S-2765[N(α)-ベンジルオキシカルボニル-D-Arg-Gly-L-Arg-p-ニトロアニリド;Kabi Pharmacia, Inc.;Franklin, Ohio]が入ったものを、コスター(Costar)マイクロタイタープレートの適切なウェルにおいて組合せることにより、IC50を決定する。
【0113】
10分間、式(I)の化合物と酵素とをプレインキュベートすることにより、アッセイを実施する。ついで、最終容量が100μlになるように基質を添加することにより、アッセイを開始する。経時変化の線形部分(通常は、基質添加後1.5分)の間、25℃で、バイオ-テック(Bio-tek)装置動態プレートリーダー(Ceres UV900HDi)を使用し、405nmの吸光度における変化によって、発色基質の加水分解の初期速度を測定する。酵素濃度は0.5nMであり、基質濃度は140μMである。
【0114】
(1)c トロンビンアッセイ
同様に、TBS-PEGバッファーをこのアッセイで使用する。使用した基質がS-2366(L-PyroGlu-L-Pro-L-Arg-p-ニトロアニリド;Kabi)であり、酵素がヒトトロンビン(Enzyme Research Laboratories, Inc.;South Bend, Ind.)であることを除けば、第Xa因子アッセイで上述したようにして、IC50を決定する。酵素濃度は175μMである。
【0115】
(1)d プラスミンアッセイ
同様に、TBS-PEGバッファーをこのアッセイで使用する。使用した基質がS-2251(D-Val-L-Leu-L-Lys-p-ニトロアニリド;Kabi)であり、酵素がヒトプラスミン(Kabi)であることを除けば、第Xa因子アッセイで上述したようにして、IC50を決定する。酵素濃度は5nMであり、基質濃度は300μMである。
【0116】
(1)e トリプシンアッセイ
10mMのCaClを含有するTBS-PEGバッファーをこのアッセイで使用する。使用した基質がBAPNA(ベンゾイル-L-Arg-p-ニトロアニリド;Sigma Chemical Co.;St. Louis, Mo.)であり、酵素がウシ膵臓トリプシン(XIII型、TPCK処理;Sigma)であることを除けば、第Xa因子アッセイで上述したようにして、IC50を決定する。酵素濃度は50nMであり、基質濃度は300μMである。
【0117】
(2)a FIXa及びtPAに対するアミド分解アッセイ
酵素及び基質はAmerican Diagnosticaからのものである;FIXa(カタログ番号449b)、FIXa基質(カタログ番号299F)、tPA(カタログ番号170)、及びtPA基質(カタログ番号444LF)。基質299F及び444LFの加水分解を、360nm励起及び440nm発光のスペクトラマックス(Spectramax)蛍光光度計で追随し、基質251及びS-2288の加水分解を405nmのスペクトラマックス分光光度計で追随する。
50mMのHepes、pH7.4、100mMのNaCl、5mMのCaCl、0.01%のトゥイーン80からなるバッファーにおいて、全てのアッセイを実施する。10、20、50、100、200μM濃度で、インヒビターを使用する。100μMの基質を使用してFIXaアッセイを実施し、10μMの基質を使用してtPAアッセイを実施する。
【0118】
(2)b FXIa及びFXIIaに対するアミド分解アッセイ
酵素FXIa及びFXIIaはAmerican Diagnosticaからのものである;FXIa(カタログ番号4011a)、FXIIa(カタログ番号412HA)及びトリプシン(カタログ番号20465)はLife Technologyからのものである。使用した発色基質(Chromogenix)は、FXIa用には2288、FXIIa用には2765である。発色基質の加水分解を、酵素に応じて5-20秒の間隔で10-20分、405nmのスペクトラマックス分光光度計で追随する。
50mMのHepes、pH7.4、100mMのNaCl、5mMのCaCl、0.01%のBSAからなるバッファーにおいて、全てのアッセイを実施する。例外として、FIXaアッセイについては、最終濃度が40%になるまで、エチレングリコールをさらに添加する。本アッセイにおいては、各インヒビター濃度:25、50、100、500μMに対して、50、100、200、500、1000μMの基質濃度が使用される。
【0119】
(2)c データ分析
単一の基質濃度でのアッセイ実施について、KIは、いくつかの異なるインヒビター濃度で測定される値を線形フィッティングさせることにより、式V0/VI=1+I/KI(S<<Kmで有効)を使用して決定される。V0はインヒビターが存在しない場合の加水分解速度であり、VIはインヒビターが存在する場合の加水分解速度であり、Iはインヒビター濃度である。各インヒビター濃度について、1/v対1/sの二重逆数プロットから、勾配(Km(app)/V)を決定する。これに、インヒビター濃度に対するKm(app)/Vのプロットが続く。Kiは、i軸における直線の切片として決定される。
【0120】
FVIIaにおける式(I)の化合物の安定化効果
FVIIaにおける式(I)の化合物の安定化効果を測定するために、FVIIポリペプチド、例えばFVIIaの生物活性を、一工程の凝固アッセイを使用して測定してよい。この目的において、テストされるサンプルは、50mMのPIPES-バッファー(pH7.5)、0.1%のBSAで希釈され、この溶液の40μlを、40μlのFVII-欠損血漿、及び10mMのCa2+と合成リン脂質を含有する80μlのヒト組換えTFと共にインキュベートする。凝固時間を測定し、平行線アッセイにおいて参照標準体を使用し、標準体曲線と比較する。
【0121】
第VII因子ポリペプチドの生物活性を測定するのに適したアッセイ
本発明で有用な第VII因子ポリペプチドは、インビトロテストにおけるサンプルの予備試験として実施することが可能な、適切なアッセイにより選択され得る。よって、本明細書は、第VII因子ポリペプチドの活性についての簡単なテスト(「インビトロ加水分解アッセイ」と題される)を開示する。
【0122】
第1代の凝血アッセイ
第VII因子ポリペプチドの活性は、本質的に、国際公開第92/15686号又は米国特許第5997864号に記載されているような一工程凝血アッセイを使用して測定されてよい。簡単には、テストされるサンプルは、50mMのトリス(pH7.5)、0.1%のBSAで希釈され、100μLを、100μLの第VII因子欠損血漿、及び10mMのCa2+を含有する200μLのトロンボプラスチンCと共にインキュベートする。凝血時間を測定し、参照標準体、又は連続希釈された正常なヒトクエン酸血漿のプールを使用し、標準体曲線と比較する。
【0123】
インビトロ加水分解アッセイ(アッセイ1)
天然(野生型)第VIIa因子及び第VII因子ポリペプチド(双方とも、以後「第VIIa因子」と称する)は、特異性活性についてアッセイされてよい。またそれらは平行にアッセイされて、それらの特異性アッセイと直接比較してもよい。アッセイはマクロタイタープレート(Max-iSorp, Nunc, Denmark)において実施される。発色基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix, Sweden)、最終濃度1mM、を、0.1MのNaCl、5mMのCaCl、及び1mg/mLのウシ血清アルブミンを含有する50mMのHEPES、pH7.4に第VIIa因子(最終濃度100nM)が入ったものに添加する。405nmでの吸光度を、スペクトラマックスTM340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)にて、連続的に測定する。酵素を含有しないブランクウェルにおける吸光度を減算した後、20分のインキュベートの間に発生した吸光度を使用し、第VII因子ポリペプチドと野生型第VIIa因子の活性の比率を算出する。:
比率=(A405nmでの第VII因子ポリペプチド)/(A405nmでの野生型第VIIa因子)
それに基づき、天然第VIIa因子より低い、同程度、又は高い活性を有する第VII因子ポリペプチドが、例えば第VII因子ポリペプチドと同定され、ここで第VII因子ポリペプチドの活性と天然第VII因子(野生型FVII)の活性との比率は、約1.0対1.0超である。
【0124】
また、第VII因子ポリペプチドの活性は、100-1000nMの濃度に適した、生理的基質、例えば第X因子(「インビトロタンパク質分解アッセイ」)を使用して測定されてもよく、ここで生成した第Xa因子は、適切な発色基質(例えば、S-2765)を添加した後に測定される。さらに、活性アッセイは生理的温度で実施される。
【0125】
インビトロタンパク質分解アッセイ(アッセイ2)
天然(野生型)第VIIa因子及び第VIIa因子ポリペプチド(双方とも、以後「第VIIa因子」と称する)を平行してアッセイし、それぞれの特異的活性を直接比較する。アッセイはマイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において実施する。0.1MのNaCl、5mMのCaCl、及び1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する、50mMのHepes、pH7.4、100μLに、第VIIa因子(10nM)及び第X因子(0.8マイクロM)が入ったものを、15分インキュベートする。ついで、0.1MのNaCl、20mMのEDTA、及び1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する、50mMのHepes、pH7.4、50μLを添加することにより、第X因子切断を停止させる。生成した第Xa因子の量を、発色基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765、 Chromogenix, Sweden)、最終濃度0.5mMを添加することにより測定する。405nmでの吸光度を、スペクトラマックスTM340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)にて、連続的に測定する。FVIIaを含有しないブランクウェルの吸光度を減算した後、10分間で発生した吸光度を使用し、第VII因子ポリペプチドと野生型第VIIa因子のタンパク質分解活性の比率を算出する。
比率=(405nmでの第VIIa因子ポリペプチド)/(405nmでの野生型第VIIa因子)
それに基づき、天然第VIIa因子より低い、同程度、又は高い活性を有する第VII因子ポリペプチドが、例えば第VII因子ポリペプチドと同定され、ここで第VII因子ポリペプチドの活性と天然第VII因子(野生型FVII)の活性との比率は、約1.0対1.0超である。
【0126】
トロンビン生成アッセイ(アッセイ3)
トロンビンを生成する第VII因子ポリペプチドの能力は、生理学的濃度(血友病Aを模倣する場合は、第VIII因子を引く)で、インヒビターと全ての関連する凝固因子、及び活性化した血小板を含有するアッセイ(アッセイ3)において測定可能である(参照としてここに導入される、Monroeら(1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547のp. 543に記載)。
【0127】
一工程凝固アッセイ(凝血アッセイ)(アッセイ4)
また、一工程凝固アッセイ(アッセイ4)を使用することにより、特異的活性(「凝血アッセイ」)について、第VII因子ポリペプチドをアッセイしてもよい。この目的のために、テストされるサンプルは、50mMのPIPES-バッファー(pH7.2)、1%のBSAで希釈され、40μlが、40μlの第VII因子欠損血漿、及び10mMのCa2+と合成リン脂質を含有する80μlのヒト組換え組織と共にインキュベートする。凝固時間(凝血時間)を測定し、平行線アッセイにおいて参照標準体を使用し、標準体曲線と比較する。
【0128】
重鎖分解生成物、酸化形態及び凝集体の含有量
酸化形態及び重鎖分解生成物の含有量を、以下に記載するようにして、RP-HPLCにより測定する:粒子径5μm及び孔サイズ300Åを有する、特許権のある4.5x250mmのブチル結合シリカカラムにおいて、逆相HPLCを実施した。カラム温度:70℃。Aバッファー:0.1%v/vのトリフルオロ酢酸。Bバッファー:0.09%v/vのトリフルオロ酢酸、80%v/vのアセトニトリル。30分、Xから(X+13)%Bの直線状勾配を用い、カラムを溶出させた。約26分の保持時間で、FVIIaが溶出されるように、Xを調節した。流速:1.0mL/分。検出:214nm。充填:25μgのFVIIa。
凝集体の含有量を、未変性のサイズ排除HPLCにより測定する:未変性のサイズ排除クロマトグラフィーを、移動相として、0.2Mの硫酸アンモニウム、5%の2-プロパノールpH7.0を使用し、ウォーターズ・プロテイン・パック(Waters Protein Pak)300SWカラム、7,5x300mmで実施した。流速:0.5ml/分。検出:215nm。充填:25μgのFVIIa。
【0129】
NMR分析
NMRスペクトルを、ブルカー(Bruker)300MHz及び400MHz機器において記録した。HPLC-MSをパーキン・エルマー(Perkin Elmer)機器(API100)において実施した。
HPLC分析
メルク-ヒタチ(Merck-Hitachi)(HibarTM RT 250-4, LichrosorbTM RP 18, 5.0μm、4.0x250mm、勾配溶出、30分以内に20%〜80%の水に入ったアセトニトリル、1.0ml/分、254nmで検出)のHPLC-システム及びウォーターズ(Waters)(SymmetryTM, C18, 3.5μm、3.0x150mm、勾配溶出、15分以内に5%〜90%の水に入ったアセトニトリル、1.0ml/分、214nmで検出)を使用した。
【0130】
ペプチド合成
ペプチドを、Fmoc保護基の脱保護のNMP及びUVモニタリングにおいて、HBTU-媒介性カップリングを使用し、製造者から供給されているFastMoc UVプロトコルを用い、0.25mmolスケールにてアプリド・バイオシステム433Aペプチド合成器でFmoc法を使用し、ワン樹脂(ペプチド酸)又はFmoc保護されたリンクアミド樹脂(Novabiochem)(ペプチドアミド)において合成した。使用する保護されたアミノ酸誘導体を、ABI433A合成器に適切で、事前計量されたカートリッジに供給された標準Fmoc-アミノ酸(Anaspec)とした。ペプチドカルバメートについては、アルコール又はフェノールの炭酸スクシンイミジルを用いてペプチドを処理することにより、支持体からペプチドを切断した後、固相又は溶液にカルバモイル基を導入し、MeCNにおいて、DIPEA及び炭酸ジスクシンイミジルを用いて、対応するアルコール又はフェノールを処理することにより調製した(Goshら, Tetrahedron Lett 1992, 33(20)、2781-2784)。ペプチド尿素については、イソシアナートを用いて、樹脂に結合したペプチドを処理することにより、アミノカルボニル基を固相に導入した。アシル化されたペプチドの場合では、Fmoc-保護されたアミノ酸を用いてアシル化するのと同様のプロトコルを使用し、対応するカルボン酸を使用して最後のアシル化を実施した。
【0131】
樹脂からペプチドを切断する手段
トリフルオロ酢酸、水及びトリイソプロピルシラン(95:2.5:2.5)の混合物と共に室温で180分攪拌することにより、ペプチドを樹脂から切断した。切断混合物を濾過し、窒素流により、油になるまで、濾液を濃縮した。ジエチルエーテル(45ml)を用い、この油から粗ペプチドを沈殿させ、ジエチルエーテル(各45ml)を用いて3回洗浄した。
【0132】
精製:
C-18シリカと共に包装された20mmx250mmカラムにおいて、準分取HPLCにより、粗ペプチドを精製した。ペプチドに応じて、1又は2の次の精製システムを使用した。
【0133】
TFA:
乾燥後、粗ペプチドを、5mlの50%酢酸/HOに溶解させ、HOを用いて20mlに希釈し、注入し、0.1%のTFA中、40-60%のCHCN勾配のあるものを用いて、40℃で50分、10ml/分で溶出させた。ペプチドを含有するフラクションを収集した。水を用いて溶出液を希釈した後、精製されたペプチドを凍結乾燥させた。
【0134】
硫酸アンモニウム:
濃HSOでpH2.5に調節された、0.05M(NH)SOに40%のCHCNが入ったものを用いて、カラムを平衡にした。乾燥後、粗ペプチドを、5mlの50%酢酸/HOに溶解させ、HOを用いて20mlに希釈し、注入し、0.05M(NH)SO中、40-60%のCHCN勾配のあるものを用いて、40℃で50分、10ml/分で溶出させた。ペプチドを含有するフラクションを収集し、HOを用いて希釈し、0.1%のTFAで平衡にされた、セップ-パック(Sep-Pak)(登録商標)C18カートリッジ(Waters part. #:51910)に通した。ついで、0.1%のTFAを含有する70%のCHCNで溶出させ、水を用いて溶出液を希釈した後、精製されたペプチドを凍結乾燥することにより単離した。
得られた最終生成物を、分析用RP-HPLC(保持時間)及びLCMSにより特徴付けた。
【0135】
214nmでのUV検出、バイダック(Vydac)218TP54 4.6mm x 250mm C-18シリカカラム(The Separations Group, Hesperia, USA)を使用し、42℃で1ml/分溶出させる、RP-HPLC分析を実施した。2つの異なる溶出条件を使用した:
A1:濃HSOでpH2.5に調節された、0.1M(NH)SOからなるバッファーでカラムを平衡にし、50分、同様のバッファーで0%〜60%のCHCN勾配により溶出させる。
B1:0.1%のTFA/HOでカラムを平衡にし、50分、0%のCHCN/0.1%のTFA/H2Oから60%のCHCN/0.1%のTFA/HOの勾配により溶出させる。
B1:0.1%のTFA/HOでカラムを平衡にし、50分、0%のCHCN/0.1%のTFA/H2Oから90%のCHCN/0.1%のTFA/HOの勾配により溶出させる。
【0136】
ヒューレット・パッカード・シリーズ(Hewlett Packard series)1100G1312ABinポンプ、ヒューレット・パッカード・シリーズ1100カラムコンパートメント、ヒューレット・パッカード・シリーズ1100 G1315A DADダイオードアレイ検出器、ヒューレット・パッカード・シリーズ1100MSD、及びセデレ(Sedere)75蒸発光散乱検出器で、HP Chemstationソフトウェアで制御されるものからなるセットアップにおいて、LCMSを実施した。HPLCポンプを、
A:水に10mMのNHOHが入ったもの
B:90%のアセトニトリルに、10mMのNHOHが入ったもの
を収容する2つの溶出容器に連結させる。
A及びBの勾配で溶出させるカラムに、適切な用量(好ましくは20μl)のサンプルを注入することにより、23℃で分析を実施した。
【0137】
実施例
実施例1 プロピルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH

LCMS:MH+=670。ELSによる純度99%。
実施例2 Alloc-ホモArg-Glu-(D-Asp)-Cha-NH
LCMS:MH+=669。ELSによる純度58%。
実施例3 Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
LCMS:MH+=668。ELSによる純度78%。
実施例4 Alloc-ホモArg-Glu-(D-Glu)-Cha-NH
LCMS:MH=683。ELSにより純度60%。
実施例5 ベンジルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
LCMS:MH+=718。ELSによる純度76%。
実施例6 Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Arg-NH
LCMS:M(TFA)=938。ELSによる純度95%。
実施例7 Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Gly-NH
LCMS:MH=725。ELSによる純度99%。
【0138】
実施例8 Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Glu-NH
LCMS:MH=797。ELSによる純度97%。
実施例9 Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Phe-NH
LCMS:MH=816。ELSによる純度98%。
実施例10 Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-ホモArg-NH
LCMS:MH=839。ELSによる純度96%。
実施例11 シクロプロピルメチルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
LCMS:MH=682。
実施例12 Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha−His-NH
LCMS:MH=806。
実施例13 エチルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Phe-NH
LCMS:MH=803。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I):
-X-X-X-X-X-X-NH (I)
[上式中:
は次の式:

を表し、
ここで、Rは、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、アリール、アリール(低級アルキル)、又はヘテロアルキルから選択され;
は塩基性アミノ酸を表し;
は酸性アミノ酸を表し;
は極性アミノ酸又はPhe又はPhgを表し;
は無極性アミノ酸又はLys又はGluを表し;
は、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;
は、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;X又はX又は双方が、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表す場合、Xは4-アミジノ-Phe、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表す]
の化合物で、その任意及び全ての立体異性体又は異性体類、任意の比率での2又はそれ以上のこのような式(I)の化合物の任意の混合物、及び生理学的に耐性のある塩、及びそのプロドラッグ。
【請求項2】
が、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表し;
が、Glu、Asp、(α-Me)Glu、1-アミノシクロブタン-トランス-1,3-ジカルボン酸、又は1-アミノシクロブタン-シス-1,3-ジカルボン酸を表し;
が、Arg、ホモArg、Lys、His、Asn、Gln、Trp、Phe、Phg、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Dab、Dap、Nβ-[アミジノ]-Dap、又はNγ-[アミジノ]Dabを表し;
が、Phg、D-Phg、Phe、Val、Ile、Leu、Lys、Ala、Glu、Gly、Aib、Trp、Abu、Alle、Cha、Hph、Nle、又はNvaを表し;
が、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;
が、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Dab、Dap、Phe、Glu、Val、Gln、Ile、Ser、Thr、Tyr、Trp、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在せず;
又はX又は双方が、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表す場合、Xは4-アミジノ-Phe、Arg、ホモArg、Orn、Lys、Dab、又はDapを表す]
の化合物で、その任意及び全ての立体異性体又は異性体類、任意の比率での2又はそれ以上のこのような式(I)の化合物の任意の混合物、及び生理学的に耐性のある塩、及びそのプロドラッグである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が次の式:

を表し、
ここで、Rは、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、アリール、アリール(低級アルキル)、又はヘテロアルキルから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、Arg、ホモArg、Orn、又はLysを表す、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
がホモArgを表す、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
がGluを表す、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が、Arg、ホモArg、Lys、His、Asn、Gln、Dab、又はDapを表す、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
がAsn又はGlnを表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、Phe、Val、Ile、Leu、Ala、Cha、Gly、又はTrpを表す、請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、Phe、Cha、又はTrpを表す、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Glu、Val、Gln、Phe、Ile、Ser、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
が、Ala、His、Arg、ホモArg、Glu、Gln、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、Ala、Gly、His、Arg、ホモArg、Orn、Glu、Val、Gln、Phe、Ile、Ser、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
が、Ala、His、Arg、ホモArg、Glu、Gln、Thr、Tyr、Lys(mPeg(1-10k)-CO)を表すか、又は存在しない、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が存在しない、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
が存在しない、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
化合物が次の列挙:
プロピルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-(D-Asp)-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-(D-Glu)-Cha-NH
ベンジルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Dap-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-ホモArg-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Arg-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Gly-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Glu-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Phe-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-ホモArg-NH
プロピルアミノカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
シクロプロピルメトキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NH
Alloc-ホモArg-Glu-Asn-Cha-His-NH
エチルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-Phe-NH;及び
2-クロロアリルオキシカルボニル-ホモArg-Glu-Asn-Cha-NHで、
それらの任意及び全ての立体異性体又は異性体類、任意の比率での2又はそれ以上のこのような式(I)の化合物の任意の混合物、及び生理学的に耐性のある塩、及びそのプロドラッグを含むものから選択される、請求項1から16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項に記載の一又は複数の化合物、又はその生理学的に耐性のある塩;及び第VII因子ポリペプチドを含有する医薬組成物。
【請求項19】
第VII因子ポリペプチドが有効である病状又は疾患を処置する薬剤を製造するための、第VII因子ポリペプチドと組合せられる、請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−536824(P2010−536824A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521413(P2010−521413)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060842
【国際公開番号】WO2009/024571
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(507383862)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アーゲー (42)
【Fターム(参考)】