説明

血液検出用の検査デバイス

本発明は、生体試料における血液、具体的には潜血の存在を検出するための検査手袋などの検査デバイスについて説明する。本発明による検査デバイスは、一部の実施形態において、多くの臨床上の利点および他の利点を提供する単一カプセル封入における顕色剤および指示薬試薬を含む。無菌包装での本発明によるデバイスを含むキットおよび本発明によるデバイスを作製および使用する方法も説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年3月18日に出願され、発明の名称が「EXAMINATION DEVICE FOR BLOOD DETECTION」であってその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/050,306号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、生体試料における血液の存在を判定するための、検査手袋を含む検査デバイスに関する。具体的には、本発明は、結腸直腸検査などの医療処置中に糞便試料における血液の存在を容易に検出するための検査手袋などの検査デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
生体試料における血液の存在は、内部損傷または疾患などの重篤な医学的問題を示し得る。そのため、生体試料における血液の存在を検査するために、具体的には目に見えない血液(潜血)を検査するために種々の検査方法が開発されてきた。例えば、患者の糞便に存在する血液は、消化管に沿った任意の位置における損傷または疾患の結果であり得、消化管内層における軽微な穿孔から結腸癌などの重篤な結腸直腸疾患に至るまでのものを示し得る。潜血の早期検出は、そのような損傷または疾患の、多くの場合、最初の症状であり、唯一の症状であり得るために重要である。
【0004】
糞便などの生体試料における潜血の存在を検出するために種々の非侵襲的検査が開発されてきた。例えば、典型的な便潜血検査はグアヤク塗抹検査(Hemoccult(R)、Seracult(R)、Instaccult(R)およびColoscreen(R)として販売)ならびに水洗試薬パッド(EZ DetectT(R)およびColoCARE(R)として販売)を含む。両方のタイプの検査は正確であるが、種々の欠点を有する。
【0005】
診断上、グアヤク塗抹検査はその確立した臨床用途のために結腸癌スクリーニングに好適である。その理由は、一般的に結果が医療専門家(偽陽性および偽陰性結果を決定するように訓練された者)によって解釈され、医療専門家が陽性検査結果の場合に最も良く患者に助言し、更に患者を検査/処置し、必要なフォローアップ治療の患者のコンプライアンスを確保することができるからである。そのような検査の使用は医学文献に十分に述べられている(例えば、Greegor,D.H.,(1969)Cancer 19、330−337、Hastings,J.B.,(1974)Amer.J.Surg.127:228−233を参照されたい)。一般に、これらの検査は糞便試料をグアヤクで被覆された吸収紙上に置き、過酸化水素を含む顕色剤(developer)試薬を加えることを含む。ヘモグロビンが存在する場合、グアヤクは酸化し、紙を青色に変化させる。
【0006】
陽性検査結果の場合、医療専門家は直腸および下部結腸の異常を観察するS状結腸鏡検査、直腸および結腸全体を完全に観察する結腸鏡検査、ならびに/またはバリウム注腸、その後の結腸および直腸における異常を見る一連のX線を施行し得る。しかしながら、そのような検査が医療訪問中に一般に施行される必要性は比較的稀な検査となり、そのため、損傷または疾患は検出されず、その結果として比較的長期間処置されない状態となり得る。そのため、そのような検査は結腸直腸の問題の早期検出に必ずしも適切ではない。
【0007】
更に、そのような検査は在宅使用のために患者に処方され得るが、これは検査が適切に施行されることを保証するのに必要な糞便の取扱いおよび処置の要件のために概して好ましくなく、これはまた、比較的低い患者のコンプライアンスをもたらし、陽性検査結果の場合、更に必要な検査および/または処置を得るために患者が医者を訪問することを必要とし、一部の患者がそのような更なる診療を受けない可能性を高める。一部の医療専門家はそのような検査が結腸直腸癌のスクリーニングとして信頼に値するかを問題にしている(この点については、例えば、H.Bleiberg,Annals of Oncology(2002)13:44−46を参照されたい)。
【0008】
一方、水洗試薬パッドは一般に処方なしで入手可能であって直接的な糞便の取扱いまたは実験室処理を必要としないため、在宅使用により適切である。しかしながら、水洗試薬パッドは顕色剤との反応を確実にする(かつ限界感度にて)ために便器への潜血の分散に依存し、また、検査結果を判定するために便器の中を見る(または便器から除去する)必要があるため、診断上好ましくないことを含むいくつかの欠点を有する。更に、水洗試薬パッドは比較的短期間にしか市場に出ていない。
【0009】
前述の検査のいくらかの診断およびコンプライアンスの利点を提供する代替の検査デバイスを開発する種々の試みがなされているが、そのようなデバイスは臨床上かつ/または他の点で不適切にする種々の欠点を有する。この点において、例えば、米国特許第4,473,079号明細書は親指の付け根におけるフィルターパッドに含浸された指示薬と、親指の先端における塗布可能な物質に分散された固体過酸化物化合物とを有する検査手袋を開示している。使用時には、糞便試料は人さし指において得られ、各分散過酸化物および指示薬化合物上の覆いは患者の他の手を使って患者により除去され、糞便試料は過酸化物化合物に接触され、次にこの混合物は親指の付け根における指示薬を含浸させた濾紙上に塗布される。しかしながら、前述の’079特許に述べられているようなデバイスは、例えば、特殊な過酸化物の調製の必要性、周囲環境と反応する化学物質の可用性、両手による操作の必要性および一部の患者による使用の全般的な不適切性(例えば、関節炎状態を患っている患者は、使用時に処置を行うために指がかなりの程度曲げられなければならないため、そのようなデバイスを用いることができない)を含む、臨床用途には不適切とする多くの欠点を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,473,079号明細書
【特許文献2】米国特許第6,016,570号明細書
【特許文献3】米国特許第4,143,109号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Greegor,D.H.,(1969)Cancer 19、330−337
【非特許文献2】Hastings,J.B.,(1974)Amer.J.Surg.127:228−233
【非特許文献3】H.Bleiberg,Annals of Oncology(2002)13:44−46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
概して、本発明は、生体試料における血液、具体的には潜血の存在を検出するための検査手袋などの検査デバイスを提供することによって当該技術分野における上述の問題の一部またはすべてに対処する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による検査デバイスは、一部の実施形態において、知られているデバイスを上回る多くの臨床上の利点および他の利点を提供する単一カプセル封入における顕色剤および指示薬試薬を含む。本発明は、一部の実施形態において、無菌包装での本発明による検査デバイスを含むキット(使用説明書を備え得る)および本発明による検査デバイスを作製および使用する方法も提供する。
【0014】
一部の実施例(非限定的)の形態では、第一の開口端、第二の閉口端および血液の存在を検査される試料を受け取るための第二の閉口端にほぼ近接する試料回収領域を有する第一の指受入れ部と、第一の指受入れ部から離間し、第一の開口端、第二の閉口端および血液成分と反応することができる少なくとも1つの試薬を有する第二の指受入れ部とを含む、試料における血液の存在を検出するための検査デバイスが本発明によって提供され、血液を含む試料が第一の指受入れ部の試料回収領域において受け取られ、第二の指受入れ部における少なくとも1つの試薬に接触させられると、試料が血液を含むという可視的表示が第二の指受入れ部において生じ、血液を含まない試料が第一の指受入れ部の試料回収領域において受け取られ、第二の指受入れ部における少なくとも1つの試薬に接触させられると、試料が血液を含むという可視的表示が第二の指受入れ部において生じない。
【0015】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による検査デバイスは検査手袋でもよい。
【0016】
先行する実施形態または別の実施形態において、第一および第二の指受入れ部は互いに連続し、隣接してまたは隣接しなくてもよい。
【0017】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による検査デバイスは、第二の指受入れ部にあって第二の指受入れ部の第二の閉口端にほぼ近接し得る圧力破裂性カプセル封入を更に含み得る。
【0018】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による検査デバイスは、概して試料回収領域にあって第一の指受入れ部と一体化し得、または第一の指受入れ部とは別個であり得る試料回収要素を更に含み得る。試料回収要素が第一の指受入れ部とは別個である場合、試料回収要素は第一の指受入れ部に恒久的にまたは着脱可能に取り付けられ得る。
【0019】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による検査デバイスはラテックスまたはポリプロピレンなどの天然または合成材料から作製され得る。
【0020】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による検査デバイスは顕色剤試薬および指示薬試薬を含む。
【0021】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による検査デバイスは第二の指受入れ部における検査パッドを更に含み、顕色剤および指示薬試薬の一方または両方が検査パッド内に含浸され、検査パッドに吸収され、検査パッドに吸着され得る。
【0022】
先行する実施形態または別の実施形態において、顕色剤試薬は過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド、過酸化マグネシウムおよび過ホウ酸ナトリウムからなる群より選択され得る。
【0023】
先行する実施形態または別の実施形態において、指示薬試薬はグアヤク脂、テトラメチルベンジジン、o−トルイジン、クレゾール、カテコール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、p−トルイジン、βナフトール、ピロガロール、o−フェニレンジアミン、ロイコマラカイトグリーン、3−アミノエチルカルバゾール、4−アミノアンチピリン、フェノール、2,2’−アジノ−ジ−(3−エチルベンジル)アゾリンスルホン酸およびその混合物からなる群より選択され得る。
【0024】
先行する実施形態または別の実施形態において、第二の指受入れ部は指示薬試薬の可視的変化を高めるための1つ以上の化合物を更に含み得、1つ以上の化合物はヒドロキシ安息香酸、パラベン、フェノール、グアヤコール、p−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチルフェノール、サルチル酸メチル、3,5,ジクロロフェノール、p−ニトロフェノール、p−ブロモフェノールのエステル、芳香族複素環、窒素に付着したフェニル、ヒドロキシアルキルもしくはエステル化ヒドロキシアルキルを有する三級もしくは四級アンモニウム化合物およびキノリンまたはその置換誘導体からなる群より選択される。
【0025】
先行する実施形態または別の実施形態において、第二の指受入れ部は、本発明による検査デバイスで施行される血液の存在を検出するための検査の感度および/または特異性を高めるための1つ以上の化合物を更に含み得、1つ以上の化合物はペルオキシダーゼ変性剤、尿素、塩酸グアニジンまたは金属キレート剤を含み得る。
【0026】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による検査デバイスはキットにて提供され得、検査デバイスは無菌環境に包装される。
【0027】
一部の実施例(非限定的)の形態では、少なくとも第一、第二および第三の指受入れ部を有する検査手袋を含む、試料における血液の存在を検出するための検査デバイスが本発明によって提供され、各第一、第二および第三の指受入れ部は第一の開口端および第二の閉口端を有するとともに第一、第二および第三の指受入れ部の互いから離間し互いに連続し、第一の指受入れ部は血液の存在を検査される試料を受け取るためのその第二の閉口端にほぼ近接する試料回収領域を含み、第二の指受入れ部は顕色剤試薬を含み、第三の指受入れ部は指示薬試薬を含み、血液を含む試料が第一の指受入れ部の試料回収領域において受け取られ、顕色剤および指示薬試薬に接触させられると、試料が血液を含むという可視的表示が第三の指受入れ部において生じ、血液を含まない試料が第一の指受入れ部の試料回収領域において受け取られ、顕色剤および指示薬試薬に接触させられると、試料が血液を含むという可視的表示が第三の指受入れ部において生じない。
【0028】
一部の実施例(非限定的)の形態では、(a)検査デバイスの第一の指受入れ部の閉口端に近接する試料回収領域において試料を得るステップと、(b)試料を検査デバイスの第二の指受入れ部に押圧するステップと(第二の指受入れ部は第一の指受入れ部から離間しており、試料は試料を第二の指受入れ部に存在する少なくとも1つの試薬に接触させるのに十分な力で押圧され、第二の指受入れ部に存在する少なくとも1つの試薬は血液成分と反応することができる)、(c)第二の指受入れ部における可視的変化を検出するステップとを含む、試料における血液の存在を検出する方法が本発明によって提供され、血液を含む試料が第一の指受入れ部の試料回収領域において受け取られ、第二の指受入れ部における少なくとも1つの試薬に接触させられると、試料が血液を含むという可視的表示が第二の指受入れ部において生じ、血液を含まない試料が第一の指受入れ部の試料回収領域において受け取られ、第二の指受入れ部における少なくとも1つの試薬に接触させられると、試料が血液を含むという可視的表示が第二の指受入れ部において生じない。
【0029】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による試料における血液の存在を検出する方法において、第二の指受入れ部は圧力破裂性カプセル封入を含み得、試料が第二の指受入れ部に押圧されると、圧力破裂性カプセル封入は破裂させられ、これにより少なくとも1つの試薬を放出する。
【0030】
先行する実施形態または別の実施形態において、本発明による試料における血液の存在を検出する方法において、方法は片手操作にて行われ得る。
【0031】
一部の実施例(非限定的)の形態では、(a)検査手袋の第一の指受入れ部の閉口端に近接する試料回収領域において試料を得るステップと、(b)第二の指受入れ部に存在する顕色剤試薬または指示薬試薬に接触させるのに十分な力で検査手袋の第一の指受入れ部から離間した第二の指受入れ部に試料を押圧するステップと、(c)試料を第三の指受入れ部に存在する顕色剤試薬または指示薬試薬に接触させるのに十分な力で検査手袋の第一および第二の指受入れ部から離間した第三の指受入れ部に試料を押圧するステップと、(d)第二の指受入れ部または第三の指受入れ部における可視的変化を検出するステップとを含む、試料における血液の存在を検出する方法が本発明によって提供され、各顕色剤試薬および指示薬試薬はステップ(b)およびステップ(c)の少なくとも1つのステップにおいて用いられ、血液を含む試料が第一の指受入れ部の試料回収領域において受け取られ、顕色剤および指示薬試薬に接触させられると、試料が血液を含むという可視的表示が第二の指受入れ部または第三の指受入れ部の1つの部材において生じ、血液を含まない試料が第一の指受入れ部の試料回収領域において受け取られ、顕色剤および指示薬試薬に接触させられると、試料が血液を含むという可視的表示が第二の指受入れ部または第三の指受入れ部の1つの部材において生じない。
【0032】
以下の図面に示されるように、本発明の非限定的実施形態に関して本発明のいくつかの実施例が下記に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による検査デバイスの一実施形態の正面図を示している。
【図2】顕色剤/指示薬カプセル封入を含む本発明による検査デバイスの一実施形態の正面図を示している。
【図3A】本発明による検査デバイスにおいて有用な試薬カプセル封入の実施形態を示している。
【図3B】本発明による検査デバイスにおいて有用な試薬カプセル封入の実施形態のを示している。
【図3C】本発明による検査デバイスにおいて有用な試薬カプセル封入の実施形態を示している。
【図4】着脱可能な試料回収要素を含む本発明による検査デバイスの一実施形態の正面図を示している。
【図5】本発明による検査デバイスの一実施形態の使用を示している。
【図6】本発明による検査デバイスの別の実施形態を示している。
【図7】各顕色剤および指示薬を含浸させた支持部材上の着脱可能なプルタブを含む本発明による検査デバイスの別の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、血液の検出、具体的には潜血(見えない血液)の検出のための、検査手袋を含む検査デバイスに関する。一部の実施形態では、本発明による検査デバイスは、試料に存在する1つ以上の血液成分と反応するとともに、そのような反応が生じるときに可視的変化を記録する少なくとも1つの試薬を収容するためのカプセル封入を含む。一部の実施形態では、血液が試料に存在すると、1つ以上の血液成分は顕色剤および/または指示薬試薬と反応し、試料が血液を含むことを示す色変化を記録する。
【0035】
一部の実施形態では、本発明による検査デバイスは便潜血検査において有用であり、そのため、例えば、出血性食道静脈瘤、大腸ポリープ、大腸癌、食道炎、胃炎、消化管外傷、胃腸腫瘍、痔疾、索裂、炎症性大腸炎、消化性潰瘍、消化管手術から生じる合併症および大腸血管異形成の早期検出に用いられ得る。本発明による検査デバイスはヒトおよび動物医療検査ならびに法医学検査などの非医療適用において用いられ得る。
【0036】
本発明において用いられ得る顕色剤および/または指示薬試薬は当該技術分野において知られており、所望の反応が生じることを可能にする従来の試薬を含む。本発明による検査デバイスは試料、例えば、糞便試料または他の分泌物を得るための部材を更に含む。本発明による検査デバイスが診断に用いられる際、試料における潜血の存在は、例えば、外傷または疾患を示し得る。当業者には明らかであるように、本発明による検査デバイスは特定の試料が血液または血液成分であり、または血液または血液成分を含むかを判定する必要性が存在する任意の適用において用いられ得る。例えば、直腸および婦人科検査などの医学的用途に加え、本発明による検査デバイスは試料における血液の存在を検出する必要性が存在する他の医学的応用において有用であり、更に非医療適用において有用である。
【0037】
これより図1を参照すると、本発明による検査デバイスの一実施形態が示されている。この実施形態では、検査デバイスは、検査手袋100が着用者の手の上に配置されると、着用者の手掌がPによって示されるように方向付けられように検査手袋100を含む。この実施形態における検査手袋100は、着用者のそれぞれ中指および親指上への配置のための少なくとも第一の指受入れ部102および第二の指受入れ部104を含む。
【0038】
衛生的な理由および安全性の理由のため、通常、検査手袋100は着用者の手全体が覆われるように5つの指受入れ部を含むが、5つ未満の指受入れ部を有する実施形態も本発明によって意図され、本発明の範囲内にある。そのような実施形態は、例えば、着用者の手全体を覆う必要がない場合がある犯罪現場における血液検査などの非医療適用において特に有用であり得る。そのような実施形態では、検査手袋は概して着用者の指により容易に着脱され、軽減された材料および製造要件の結果として製造するのに比較的より費用がかからない。
【0039】
同様に、本明細書で用いられる「検査デバイス」という用語は、少なくとも第一および第二の指受入れ部を含むデバイスを広範に指し、試料が少なくとも1つの試薬を有する指受入れ部に押圧されると、試料が血液であり、または血液を含むという可視的表示がそのような受入れ部において生じるように、指受入れ部の一方は試料を受け取るためのものであり、他方は1つ以上の血液成分と反応することができる少なくとも1つの試薬を含む。第一および第二の指受入れ部は互いに連続しない別個の部材でもよく、着用者の指または、例えば、既存の検査手袋の指に直接配置され得、あるいは互いに連続してもよく、互いに隣接し、または隣接し得ない。本発明の教示から当業者には明らかであるように、本発明による検査デバイスは検出される潜血の存在を許容する任意の数の構成を含む。
【0040】
本発明による検査デバイスは任意の好適な材料から作製され得、特に、既に医学的用途に承認され、かつ/あるいは許容可能と思われる材料から作製され得る。本発明による検査デバイスは、検査デバイスの意図される適用および他の要因(例えば、着用者のアレルギー過敏性)に依存し、例えば、天然(例えば、ラテックス)または合成(例えば、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンなどのプラスチック)材料から作製され得る。概して、本発明による検査デバイスは、そのような目的で使用される場合、臨床医が患者の糞便試料を得て検査することに加えて直腸検査を適切に行い得るように、十分な触覚感度を可能にするために着用者の手に密接に適合する。
【0041】
同様に、本発明による検査デバイスは任意の好適な従来の方法にて作製され得る。例えば、通常、医療検査手袋は粉体塗装で作製されるが、粉体塗装を用いずに作製されてもよく、または別の被覆を付与され得る(例えば、この点についてその全体を参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,016,570号明細書および第4,143,109号明細書を参照されたい)。本発明による検査デバイスは複数の層から作製されてもよく、例えば、エラストマー材料の外層およびエラストマー材料の内層(例えば、外層に結合されたカルボキシル化スチレンブタジエンラテックス)を含み得、内層に包埋された潤滑コーンスターチ粒子を含み得る。
【0042】
再度図1に示される実施形態を参照し、各第一および第二の指受入れ部102、104はそれぞれ第一の開口端103および105(検査手袋100の内部に対して開口)ならびにその先端部におけるそれぞれ第二の閉口端107および109を有する。Sにおいて示される試料回収領域は第一の指受入れ部102の第二の閉口端107にほぼ近接し、図4に示されるように、また、下記により詳細に述べられるように、試料回収要素106が試料回収領域Sに存在し得る。
【0043】
図1に示される実施形態では、検査手袋100は反応が生じ得るマトリクスを提供するための検査パッド108を任意に含み得る。1つ以上の検査試薬は一部の実施形態では検査パッド108に含浸され、検査パッド108内に吸収され、検査パッド108に吸着され得る。そのため、従って、この実施形態では試料における血液の存在を視覚的に検出するのに必要な反応は、単に試料(この実施形態では第一の指受入れ部102の試料回収領域Sにある)を、検査試薬を有する第二の指受入れ部104がある着用者の親指の先端領域に押圧することによって第二の指受入れ部104において生じる。下述の一部の実施形態において、少なくとも1つの検査試薬が第二の指受入れ部104においてカプセル封入されていると、試料はカプセル封入を破裂させ検査試薬を放出させるのに十分な力で押圧され得る。
【0044】
本発明で用いるのに好適な顕色剤および指示薬試薬は、例えば、試料における血液の検出を可能にするあらゆる従来の試薬を含む。例えば、通常、過酸化水素などの過酸化物化合物が顕色剤試薬として用いられ、通常、グアヤク脂が指示薬試薬として用いられる。本発明で用いるのに好適な他の当該技術分野において認識されている過酸化物化合物は、例えば、限定されずに、過酸化ベンゾイル、過酸化ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド、過酸化マグネシウムおよび過ホウ酸ナトリウムを含む。血液が試料中に存在する場合、血液中に存在するヘム分子が過酸化物化合物からの酸素の放出を触媒する。次に、放出酸素はグアヤク脂の色を無色から青色に変化させ、試料中に血液が存在するという可視的表示を提供する。本発明による一部の実施形態では、過酸化水素顕色剤試薬は液状にて提供され、一方、一部の適用では固形にて提供され得る。
【0045】
酸素の存在の可視的変化を記録する任意の指示薬化合物が本発明において用いられ得る。例えば、グアヤク脂は潜血検査において指示薬として従来より用いられており、本発明で用いるのに好適である。好ましい実施形態では、グアヤク脂は、所望の反応が生じることを可能にする濾紙または任意の多孔性紙などの従来の材料を含む任意の好適な材料でもよい検査パッド108上へのカプセル封入または含浸のために好適な溶媒(例えば、限定されずに、メタノール、エタノールまたはプロパノール)で可溶化される。本発明で用いるのに好適な他の指示薬試薬は、例えば、テトラメチルベンジジンおよびo−トルイジンを含むロイコ色素、クレゾール、カテコール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、p−トルイジン、βナフトール、ピロガロール、o−フェニレンジアミン、ロイコマラカイトグリーン、3−アミノエチルカルバゾール、4−アミノアンチピリン、フェノール、2,2’−アジノ−ジ−(3−エチルベンジル)アゾリンスルホン酸ならびにその混合物などの色原体を含む。そのような色素が用いられると、検査パッド108は色原体の酸化を防止するために更に被覆され得る。更に、指示薬が検査パッド108に含浸されると、検査パッド108の材料および選択指示薬の溶解性などの種々の因子が効力のために必要な指示薬の量を決定する。
【0046】
更に、色変化を増大させ、これにより着用者が認識することをより容易にするために種々の増強剤が加えられ得る。本発明で用いるのに好適な増強剤は、例えば、フェノール化合物、例えば、ヒドロキシ安息香酸、パラベン、フェノール、グアヤコール、p−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチルフェノール、サルチル酸メチル、3,5,ジクロロフェノール、p−ニトロフェノールおよびp−ブロモフェノールのエステル、ならびに単環式窒素含有芳香族複素環化合物、窒素に付着したフェニル、ヒドロキシアルキルもしくはエステル化ヒドロキシアルキルを有する三級もしくは四級アンモニウム化合物、またはキノリンもしくはその置換誘導体を含む。
【0047】
更に、本発明による検査デバイスで施行される血液検出検査の感度および/または特異性を高めるために顕色剤および/または指示薬試薬に種々の作用薬が加えられ得る。例えば、糞便試料が偽陽性検査結果をもたらし得るある種の植物ペルオキシダーゼを含み得ることが知られている。そのため、ペルオキシダーゼ活性に必要なカルシウムおよびマグネシウムイオンを隔離するために金属キレート剤と組み合わせてペルオキシダーゼ変性剤(例えば、尿素または塩酸グアニジン)が提供され得る。一層更に、ロイコ色素が指示薬試薬として用いられると、過酸化物試薬および色素を安定化するために極性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミド)が用いられ得る。
【0048】
一部の実施形態では、顕色剤および指示薬試薬は本明細書で述べられるような任意の好適な方法にて同じ指受入れ部に共に提供される。そのような構成は本発明の検査デバイスの製造および使用に関して多くの利点を提供する。例えば、関節炎状態を有する患者は指の過度の曲げの必要性なく本発明による検査デバイスを使用することができる。更に、そのような構成は試薬を検査デバイス内または検査デバイス上に直接組み込むことによって比較的製造が容易であり、更に、比較的より少ない構成要素を有する結果として検査手袋などの既存のデバイスと使用することに容易に適合性がある。試料中に血液が存在すると、単独で1つ以上の血液成分と反応し、可視的変化または他の変化を記録し得る個々の試薬を含む、試料における潜血の検出を可能にする他の試薬が本発明による検査デバイスにおいて用いられ得ることが更に想到される。
【0049】
当業者には明らかであるように、一部の実施形態では顕色剤および/または指示薬試薬と組み合わせた他の化合物を含むことが更に望ましい場合がある。例えば、血液中のヘム分子が酸環境において過酸化水素と容易に反応することが知られており、そのため、顕色剤カプセル封入が、カプセル封入が用いられるそのような実施形態において破裂する際にヘム分子と過酸化水素との反応を触媒するように、顕色剤試薬は酸を含み得、または酸が検査パッド108に含浸され得る。当然ながら、そのような酸の選択は検査デバイスと関連する特定の条件に依存する。例えば、検査パッド108に接触する場合、これを劣化させないために微弱に解離した酸が望ましい場合がある。検査パッド108が濾紙などの特定の材料で作製される際、有機酸が望ましい場合がある(例えば、酢酸またはクエン酸)。
【0050】
概して、顕色剤および指示薬試薬ならびに上述の試薬を含む他の試薬は、本発明において所望の反応を行うことを可能にする任意の方法にて提供され得る。例えば、それらは種々の形態のカプセル封入にて共に提供され得、または検査パッド108に含浸され、検査パッド108内に吸収され、もしくは検査パッド108に固定され得る。カプセル封入は一部の実施形態では、検査パッド108に固定され得、または好適な方法にて検査パッド108と一体化され得る(例えば、検査パッドがカプセル封入の基部を形成する場合)。
【0051】
本発明で用いるのに好適なカプセル封入は、概して、すべての検査試薬が一部の実施形態において同じ指受入れ部と関連することを可能にするとともに所望の反応が生じることを可能にする、当該技術分野において認識されたあらゆる形態のカプセル封入を指す。更に、カプセル封入を用いた実施形態では、概して、カプセル封入された試薬はカプセル封入から放出されるまで周囲大気に接触すべきではない。例えば、一部の実施形態では、顕色剤が血液中に存在するヘム分子と反応するように、試料含有指によって圧力が加えられると、好適なカプセル封入は顕色剤がそのカプセル封入から破裂することを可能にする。その後、そのような実施形態では、これにより放出された酸素は、これもまた単独でまたは顕色剤とカプセル封入され得、あるいは検査パッドにおいて提供され得る指示薬試薬と反応し得る。
【0052】
指示薬がカプセル封入される場合、指示薬は所望の方法にて反応することができるようにカプセル封入されるべきである。一部の実施形態では、顕色剤、試料および指示薬がほぼ同時に混合し、所望の検査結果を達成し得ることが予期されるが、任意の特定の適用で指示薬との接触前に顕色剤を試料に接触させることが望ましいと決定された場合、指示薬は、例えば、その膜状被膜を破裂させるために顕色剤試薬の膜状被膜を破裂させるのに必要な圧力より大きい圧力が必要とされるようにカプセル封入され得る(例えば、より厚い膜、多重膜の使用により、または膜により大きい内圧を生じさせるより粘度の高い溶液の使用により)。
【0053】
同様に、一部の実施形態において、指示薬が検査パッド108に含浸される場合、顕色剤は、顕色剤、試料および指示薬の同時混合ならびに指示薬との混合前の顕色剤および試料混合を含む所望の反応を可能にするようにカプセル封入され得る。そのような反応がどのように生じるべきであるかという決定、また、その結果としてそのようなカプセル封入、含浸または試薬を提供する他の手段の構成の決定は、概して、特定の使用試薬(特定活性化合物を含む)および存在し得る他の化合物に依存する。
【0054】
本発明で用いるのに好適なカプセル封入技術は、例えば、血液検出検査が行われることを可能にするのに十分な圧力下にて、かつ/または十分な純粋な(sheer)応力に晒されると、所望の態様にて破裂することができるとともに、他の点ではそれらの一体性を安全かつ確実に維持する種々のポリマー材料および他の材料の使用を含む。
【0055】
更に、本発明に従って有用なカプセル封入は検査デバイスの中に直接作製され得、またはデバイスに固定され得、使用前に着用者によって検査手袋などの事前作製の検査デバイスにリトロフィットされ得るように検査デバイスから切り離して提供されることを含み、従って、この場合もやはり本発明による検査デバイスが着用者に提供される方法において多くの柔軟性を付与する。この柔軟性は最大数の適用において、また、その製造に関する柔軟性を可能にするように、本発明による検査デバイスの使用を更に可能にする。
【0056】
カプセル封入および試薬の具体的な構成および組成が決定されると、その製造、例えば、圧力感受性カプセルを形成するために薄膜を所望の溶液上に被覆するために知られている方法が用いられ得る。
【0057】
図2に示される実施形態に示されるように、カプセル封入111が、血液検出検査が生じることを可能にする制御された方法にて破裂する限り、試薬は少々大きな破裂性カプセル封入111にてカプセル封入され得る。カプセル封入111は図3Aに示されるように1つ以上の試薬を単一のハウジングに保持するように構成され得、例えば、図3Bおよび図3Cに示されるように少なくとも2つの試薬、例えば、顕色剤および指示薬試薬を別個に収容するように構成され得る。所望の反応が生じることを可能にする任意の構成が本発明に従った使用に好適である。
【0058】
カプセル封入111が作製され得る特定の材料は、1つ以上の試薬がある場合に両方の試薬が試料と同時に混合するように、または指示薬試薬の放出前に顕色剤試薬が試料と混合するように、所望の反応が生じることを可能にする種々のポリマー材料および他の材料を含む。更に、カプセル封入111は単独でまたは既存の検査手袋にリトロフィットするために検査パッド108と組み合わせて提供され得る。
【0059】
図4に示される実施形態を参照すると、試料回収要素106を有する検査手袋100が示されている。試料回収要素106は、この実施形態では、第一の指受入れ部102の試料回収領域Sにおいて提供され、種々の適用のための検査手袋100の所望の構成に依存し、第一の指受入れ部102に恒久的にまたは着脱可能に取り付けられる。
【0060】
例えば、一部の適用では、試料回収要素106を、事前作製の検査手袋の第一の指受入れ部102の先端上に適合され得る独立型着脱可能シースとして提供することが望ましい場合があり、一方、他の適用では、別個の非着脱可能な部材として、または第一の指受入れ部102の一体部分として試料回収要素106を第一の指受入れ部102の中に製造することが望ましい場合がある。本明細書で用いられる指の「先端」は、着用者のほぼ指関節上にあって第一の指受入れ部102の第二の閉口端107に近接する指の任意の部分を含むものと広範に定義され、第一の指受入れ部102が配置される着用者の指の全周囲も含むことが理解される。
【0061】
試料回収要素106は任意の好適な材料で作製され得、その選択は概してそれが用いられる特定の適用に依存する。例えば、試料回収要素106は体腔(例えば、直腸)への挿入に好適な低摩擦材料でもよい。そのような目的での好適なプラスチック、エラストマーおよび他の材料は当該技術分野において知られている。同様に、患者の快適性を高めるため、臨床検査時または在宅検査において試料回収要素106は潤滑剤を含浸され得、または潤滑剤はその使用を可能にする任意の形態にてその外面に提供され得る。
【0062】
更に、試料回収要素106は、例えば、体腔からの試料回収要素106の引抜き時に試料の回収を補助促進するための溝部、突起部、ディンプルの組込みにより、違った形で体腔からの生体試料の回収を促進するよう構成され得る。
【0063】
試料回収要素106の構成およびその材料の選択はその意図される適用に依存する。例えば、医療検査で用いられる場合、概して、試料回収要素106は感受性の高い体腔内層に対してほぼ不活性な材料で作製されるべきであり、身体内での使用に好適であるように構成されるべきである。一方、試料回収要素106は異なる材料で作製され得、かつ/または例えば、一部の非医療適用においてそのような考慮が存在しない場合に違った形で構成され得る(従って、潜在的な材料および/もしくは製造の倹約を可能にする)。
【0064】
同様に、一部の患者は医療適用において用いられる従来の材料に対してアレルギー過敏性を有するため(例えば、ラテックス)、試料回収要素106はこれらの患者集団の必要性に合うように特定の材料から作製され得る。この点において、一部の実施形態では、本発明による検査デバイスの個々の構成要素は、臨床医が患者の個々の必要性に合うように検査デバイスを構成するように別個に提供され得る。例えば、患者が、試料回収要素106が通常作製され得る材料に対する特定の感受性を有する場合、臨床医はその代わりにその患者の必要性に独特に適合する別の材料から作製される別の試料回収要素を選択し得、そして、これは、例えば、次に、検査試薬を含むカプセル封入を検査手袋の親指に固定することにより、検査試薬を有する検査手袋などの事前作製の検査デバイスの指上または、次に検査試薬が加えられる事前作製の検査デバイスの指上に配置され得る。本発明の教示から当業者には容易に明らかであるように、本発明による検査デバイスは医療適用のための臨床医および患者の必要性ならびに非医療適用のための着用者の必要性を満たすとともに、本明細書で述べられるその診断用途および他の用途を可能にするために任意の数の好適な方法にて構成および作製され得る。
【0065】
これから図5を参照し、本発明による検査手袋100の一実施形態の使用が示されている。図5に示されるように、第一の指受入れ部102の先端において患者から試料を得るために第一の指受入れ部102における試料回収要素106が用いられる。その後、第一の指受入れ部102の先端は、図示されるように、1つ以上の試薬を含むカプセル封入を含むとともに、上述のような他の化合物を含み得る第二の指受入れ部104の先端に押圧される。第一の指受入れ部102の先端において着用者によって十分な圧力が加えられると、カプセル封入は破裂し、試薬が試料に接触するように試薬を放出する。上述のように、試料が血液および/または血液成分を含む場合、第二の指受入れ部104において可視的な変化(例えば、色変化)がある。
【0066】
図6および図7に示されているのは、血液検出検査を行うために3つの指受入れ部102、104および112が用いられる本発明による検査デバイスの別の実施形態である。これらの実施形態では、例えば、試料回収要素106は第三の指受入れ部112に存在し、指示薬試薬は、例えば、検査パッド108への含浸または検査パッド108に固定されたカプセル封入(図示せず)によって第二の指受取り手段104上の検査パッド108と関連し、顕色剤試薬は第一の指受取り手段102上のカプセル封入114に提供される。
【0067】
この実施形態では、次に、試料回収要素106を用いて試料を得ることによって検査が行われ、試料を検査パッド108(これはこの実施形態では、指示薬試薬を含む)に塗布するために試料を有する第三の指受入れ部112の先端を第二の指受入れ部104の先端に押圧し、次に、第一の指受入れ部102の先端を第二の指受入れ部104の先端に押圧し、カプセル封入114における顕色剤試薬を検査パッド108上の試料および指示薬試薬と混合させ、このようして検査反応が生じることを可能にする。あるいは、指示薬および顕色剤試薬は交互の指に配置され得、かつ/または、まず、検査は顕色剤が試料に接触させられるように行われ得る。
【0068】
一部の実施形態では、顕色剤および指示薬試薬は使用前に周囲環境と混合すべきでなく、かつ/または検査デバイスからの分離を防止するために検査デバイスに固定される必要があり、本明細書で述べられるような任意の好適な方法にて密閉され得、または図7に示される実施形態に示されるように、使用直前に取り外される1つ以上の着脱可能なタブ116、117で覆われ得、このようにして試薬を露出する。
【0069】
上記の開示が提供され、多くの他の特徴、改変および改良が当業者には明らかになる。従って、そのような特徴、改変および改良は本明細書で述べられる実施形態によって課される制約なく本発明の一部と見なされる。更に、本明細書における実施形態を説明または例示のために用いられる何なる言葉、用語、成句、特徴、実施例、実施形態またはその一部もしくは組合せも、明瞭に一意的に定義されるように明確に示され、または限定的であると明確に示されない限り、特許権の範囲が決定される特許請求用語の通常の意味に違反して狭い範囲を本発明に付与するものではない。本明細書で説明および開示される文献はすべてその全体を参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の開口端、第二の閉口端および血液の存在を検査される試料を受け取るための前記第二の閉口端にほぼ近接する試料回収領域を有する第一の指受入れ部と、
前記第一の指受入れ部から離間し、第一の開口端、第二の閉口端および血液成分と反応することができる少なくとも1つの試薬を有する第二の指受入れ部とを含み、
血液を含む試料が前記第一の指受入れ部の前記試料回収領域において受け取られ、前記第二の指受入れ部における前記少なくとも1つの試薬に接触させられると、前記試料が血液を含むという可視的表示が前記第二の指受入れ部において生じ、
血液を含まない試料が前記第一の指受入れ部の前記試料回収領域において受け取られ、前記第二の指受入れ部における前記少なくとも1つの試薬に接触させられると、前記試料が血液を含むという可視的表示が前記第二の指受入れ部において生じない、試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項2】
前記検査デバイスが検査手袋である、請求項1に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項3】
前記第一および第二の指受入れ部が互いに連続し、隣接してまたは隣接しない、請求項1に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項4】
前記第二の指受入れ部にある圧力破裂性カプセル封入を更に含む、請求項1に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項5】
前記圧力破裂性カプセル封入が前記第二の指受入れ部の前記第二の閉口端にほぼ近接する、請求項4に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項6】
概して前記試料回収領域にある試料回収要素を更に含み、前記試料回収要素が前記第一の指受入れ部と一体化し、または前記第一の指受入れ部とは別個である、請求項1に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項7】
前記試料回収要素が前記第一の指受入れ部とは別個である場合、前記試料回収要素が前記第一の指受入れ部に恒久的にまたは着脱可能に取り付けられる、請求項6に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項8】
前記検査デバイスが天然または合成材料から作製される、請求項1に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項9】
前記検査デバイスがラテックスまたはポリプロピレンから作製される、請求項8に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの試薬が顕色剤試薬および指示薬試薬を含む、請求項1に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項11】
前記第二の指受入れ部が検査パッドをさらに含み、前記顕色剤および指示薬試薬の一方または両方が前記検査パッド内に含浸され、前記検査パッドに吸収され、前記検査パッドに吸着された、請求項10に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項12】
前記顕色剤試薬が過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド、過酸化マグネシウムおよび過ホウ酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項10に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項13】
前記指示薬試薬がグアヤク脂、テトラメチルベンジジン、o−トルイジン、クレゾール、カテコール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、p−トルイジン、βナフトール、ピロガロール、o−フェニレンジアミン、ロイコマラカイトグリーン、3−アミノエチルカルバゾール、4−アミノアンチピリン、フェノール、2,2’−アジノ−ジ−(3−エチルベンジル)アゾリンスルホン酸およびその混合物からなる群より選択される、請求項10に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項14】
前記第二の指受入れ部が前記指示薬試薬の可視的変化を高めるための1つ以上の化合物を更に含み、前記1つ以上の化合物がヒドロキシ安息香酸、パラベン、フェノール、グアヤコール、p−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチルフェノール、サルチル酸メチル、3,5,ジクロロフェノール、p−ニトロフェノール、p−ブロモフェノールのエステル、芳香族複素環、窒素に付着したフェニル、ヒドロキシアルキルもしくはエステル化ヒドロキシアルキルを有する三級もしくは四級アンモニウム化合物およびキノリンまたはその置換誘導体からなる群より選択される、請求項10に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項15】
前記第二の指受入れ部が前記検査デバイスで施行される血液の存在を検出するための検査の感度および/または特異性を高めるための1つ以上の化合物を更に含み、前記1つ以上の化合物がペルオキシダーゼ変性剤、尿素、塩酸グアニジンおよび金属キレート剤からなる群より選択される、請求項1に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項16】
無菌環境に包装される請求項1に記載の試料における血液の存在を検出するための検査デバイスを含む、キット。
【請求項17】
少なくとも第一、第二および第三の指受入れ部を有する検査手袋を含み、各前記第一、第二および第三の指受入れ部が第一の開口端および第二の閉口端を有するとともに前記第一、第二および第三の指受入れ部の互いから離間し互いに連続し、
前記第一の指受入れ部が血液の存在を検査される試料を受け取るためのその前記第二の閉口端にほぼ近接する試料回収領域を含み、
前記第二の指受入れ部が顕色剤試薬を含み、
前記第三の指受入れ部が指示薬試薬を含み、
血液を含む試料が前記第一の指受入れ部の前記試料回収領域において受け取られ、前記顕色剤および指示薬試薬に接触させられると、前記試料が血液を含むという可視的表示が前記第三の指受入れ部において生じ、
血液を含まない試料が前記第一の指受入れ部の前記試料回収領域において受け取られ、前記顕色剤および指示薬試薬に接触させられると、前記試料が血液を含むという可視的表示が前記第三の指受入れ部において生じない、試料における血液の存在を検出するための検査デバイス。
【請求項18】
(a)検査デバイスの第一の指受入れ部の閉口端に近接する試料回収領域において試料を得るステップと、
(b)前記試料を前記検査デバイスの第二の指受入れ部に押圧するステップであって、前記第二の指受入れ部が前記第一の指受入れ部から離間しており、前記試料が前記試料を前記第二の指受入れ部に存在する少なくとも1つの試薬に接触させるのに十分な力で押圧され、前記第二の指受入れ部に存在する前記少なくとも1つの試薬が血液成分と反応することができるステップと、
(c)前記第二の指受入れ部における可視的変化を検出するステップとを含み、
血液を含む試料が前記第一の指受入れ部の前記試料回収領域において受け取られ、前記第二の指受入れ部における前記少なくとも1つの試薬に接触させられると、前記試料が血液を含むという可視的表示が前記第二の指受入れ部において生じ、
血液を含まない試料が前記第一の指受入れ部の前記試料回収領域において受け取られ、前記第二の指受入れ部における前記少なくとも1つの試薬に接触させられると、前記試料が血液を含むという可視的表示が前記第二の指受入れ部において生じない、試料における血液の存在を検出する方法。
【請求項19】
前記第二の指受入れ部が圧力破裂性カプセル封入を含み、前記試料が前記第二の指受入れ部に押圧されると、前記圧力破裂性カプセル封入が破裂させられ、これにより前記少なくとも1つの試薬を放出する、請求項18に記載の試料における血液の存在を検出する方法。
【請求項20】
前記方法が片手操作にて行われる、請求項18に記載の試料における血液の存在を検出する方法。
【請求項21】
(a)検査手袋の第一の指受入れ部の閉口端に近接する試料回収領域において試料を得るステップと、
(b)第二の指受入れ部に存在する顕色剤試薬または指示薬試薬に前記試料を接触させるのに十分な力で前記検査手袋の前記第一の指受入れ部から離間した前記第二の指受入れ部に前記試料を押圧するステップと、
(c)第三の指受入れ部に存在する顕色剤試薬または指示薬試薬に前記試料を接触させるのに十分な力で前記検査手袋の前記第一および前記第二の指受入れ部から離間した第三の指受入れ部に前記試料を押圧するステップと、
(d)前記第二の指受入れ部または前記第三の指受入れ部の一方における可視的変化を検出するステップとを含み、
各顕色剤試薬および指示薬試薬がステップ(b)およびステップ(c)の少なくとも1つのステップにおいて用いられ、
血液を含む試料が前記第一の指受入れ部の前記試料回収領域において受け取られ、前記顕色剤および指示薬試薬に接触させられると、前記試料が血液を含むという可視的表示が前記第二の指受入れ部または前記第三の指受入れ部の1つの部材において生じ、
血液を含まない試料が前記第一の指受入れ部の前記試料回収領域において受け取られ、前記顕色剤および指示薬試薬に接触させられると、前記試料が血液を含むという可視的表示が前記第二の指受入れ部または前記第三の指受入れ部の1つの部材において生じない、試料における血液の存在を検出する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−529565(P2011−529565A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500917(P2011−500917)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/037479
【国際公開番号】WO2009/117469
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510252335)
【Fターム(参考)】