説明

血液検査装置

【課題】一日数回行わなければならないセンサの装填と廃棄は、糖尿病患者にとって煩わしいものであった。
【解決手段】穿刺部13を有する筐体12と、この筐体12内に設けられるとともに穿刺部13に対向して設けられたレーザ穿刺ユニット21と、センサ18が積層収納されるセンサカートリッジ22と、このセンサカートリッジ22内に収納されたセンサ18を穿刺部13へ搬送するスライドプレート23と、穿刺部13へ搬送されたセンサ18と電気的に接続される測定回路部24とを備え、穿刺部13を保護するとともに開閉自在な穿刺部保護カバー14を設け、この穿刺部保護カバー14の開に連動してセンサカートリッジ22内に収納されたセンサ18を穿刺部13へ装填するとともに、穿刺部保護カバー14の閉に連動して穿刺部13に装填されたセンサ18bを排出するものである。これにより、所期の目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値等を検査する血液検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の血液検査装置について説明する。図19は、従来の血液検査装置の断面図であり、図20はその血液検査装置を用いた検査方法の斜視図である。
【0003】
図19において、従来の血液検査装置1は、筐体2と、この筐体2に設けられた穿刺部3と、この穿刺部3を構成するホルダ4と、穿刺部3に装填される血液センサ(以下センサという)5と、このセンサ5に接続される測定回路部6と、穿刺部3に対向して設けられたレーザ穿刺ユニット7と、これらに電源を供給する電池8とで構成されていた。
【0004】
以上のように構成された血液検査装置1を用いた検査方法について、図19、20を用いて説明する。先ず、準備段階として穿刺部3を構成するホルダ4を開く、そして新しいセンサ5をホルダ4内に挿入する。センサ5が挿入されたホルダ4を穿刺部3に装填する。
【0005】
その後、血液検査装置1を例えば右手に持ち、左手の人差し指9aの皮膚9に穿刺部3を当接させる。そして、右手の中指で穿刺ボタン7aを押下する。そうすると、レーザ穿刺ユニット7からはレーザ光7bが放射される。このレーザ光7bにより、皮膚9が穿刺される。皮膚9からは血液10が滲出する。この滲出した血液10は、センサ5内へ取り込まれる。そして、このセンサ5から出力される信号は測定回路部6へ伝達される。測定回路部6では血糖値が測定される。
【0006】
測定が終了したら、再び穿刺部3を構成するホルダ4を開く、そして使用済みセンサ5bをホルダ4内から取り出す。取り出された使用済みのセンサ5bは、センサ廃棄袋等に入れて分別しておく。そして、予め定められた場所に廃棄する。なお、センサ5bを取り出したホルダ4は、再び穿刺部3に装着しておく。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開2001―21556号公報
【特許文献2】特表2004―519302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらこのような従来の血液検査装置1では、血液検査装置1を用いて穿刺する前に、準備段階として穿刺部3を構成するホルダ4を開き、新しいセンサ5をホルダ4内に挿入する。そして、センサ5が挿入されたホルダ4を穿刺部3に装填する。
【0009】
また、穿刺が終了すると、再び穿刺部3を構成するホルダ4を開く、そして使用済みのセンサ5bをホルダ4内から取り出す。取り出された使用済みのセンサ5bは、センサ廃棄袋等に入れて分別しなければならない。そして、使用済みセンサ5bが溜まった段階で予め定められた場所に廃棄する。なお、使用済みのセンサ5bを取り出したホルダ4は、再び穿刺部3に装着しておかなければならない。しかも糖尿病患者はこの煩雑な操作を、一日数回行わなければならず、その作業は面倒なものであった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決したもので、血液センサの装填・廃棄が容易な血液検査装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明の血液検査装置は、穿刺部を有する筐体と、この筐体内に設けられるとともに前記穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、血液センサが積層収納されるセンサカートリッジと、このセンサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ搬送する搬送手段と、前記穿刺部へ搬送された前記血液センサと電気的に接続される測定回路部とを備え、前記穿刺部を保護するとともに開閉自在な穿刺部保護カバーを設け、この穿刺部保護カバーの開に連動して前記センサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ装填するとともに、前記穿刺部保護カバーの閉に連動して前記穿刺部に装填された前記血液センサを排出するものである。これにより、所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明の血液検査装置は、穿刺部を有する筐体と、この筐体内に設けられるとともに前記穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、血液センサが積層収納されるセンサカートリッジと、このセンサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ搬送する搬送手段と、前記穿刺部へ搬送された前記血液センサと電気的に接続される測定回路部とを備え、前記穿刺部を保護するとともに開閉自在な穿刺部保護カバーを設け、この穿刺部保護カバーの開に連動して前記センサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ装填するとともに、前記穿刺部保護カバーの閉に連動して前記穿刺部に装填された前記血液センサを排出するものであり、血液検査においては、穿刺部保護カバーで穿刺部を開にするのみで、センサカートリッジ内に収納された血液センサを穿刺部に装填することができる。また、血液検査が終了した時点では穿刺部保護カバーで穿刺部を閉にするのみで、前記穿刺部に装填された使用済みの血液センサを排出することができる。従って、血液センサの装填・廃棄は著しく容易なものとなる。
【0013】
また、直接血液センサに直接触れることなく、穿刺部保護カバーの開閉のみで、血液センサの装填・廃棄が行われるので、血液で手が汚れることはなく衛生的である。
更に、穿刺部は、穿刺部保護カバーで保護されるので安全である。また、穿刺部の衛生を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、血液検査装置11の透視平面図である。図1において、12は略直方体形状をした筐体であり樹脂で形成されている。この筐体12の下辺の角には穿刺部13が設けられている。
【0015】
14は、穿刺部13を保護する穿刺部保護カバーであり、筐体12を上下方向(矢印17a、17b方向)に摺動自在に設けられている。14aは、この穿刺部保護カバー14の上方に貫通して設けられた穿刺窓であり、この穿刺窓14aは、穿刺部保護カバー14を下方(矢印17a方向)へ摺動したとき、丁度穿刺部13に対応する位置になる。14bは、廃棄センサ収納カセット15を挿入するカセット挿入部である。16は、筐体12の上方に設けられた表示部である。
【0016】
図2は、血液検査装置11の断面図である。この血液検査装置11は、図2(a)に示すように、穿刺部保護カバー14を下方(矢印17a方向)へ摺動して、穿刺部13に対応した位置に穿刺窓14aを合わせた状態と、図2(b)に示すように、穿刺部保護カバー14を上方(矢印17b方向)へ摺動して、穿刺部13を穿刺部保護カバー14で覆った状態とを有する。
【0017】
図2において、筐体12の下辺の角には、穿刺部13が設けられている。そして、この穿刺部13は固定ホルダ13aと可動ホルダ13bとで構成されおり、この固定ホルダ13aと可動ホルダ13bの間に血液センサ(以下センサという)18を挟んで固定する。
【0018】
穿刺部13に対向してレーザ穿刺ユニット21(穿刺手段の一例として用いた)が装着されている。なお、穿刺手段としては、レーザ穿刺ユニット21の他に、穿刺針を用いた針穿刺ユニットを用いることもできる。
【0019】
このレーザ穿刺ユニット21と並列にセンサ18が積層収納されたセンサカートリッジ22が挿抜自在に挿入されている。このセンサカートリッジ22は、センサ18が積層収納されたセンサ室22aと、乾燥剤22bが収納された乾燥剤室22cとで構成されている。乾燥剤22bが収納されている理由は、センサ18は湿気により性能が劣化するので、この湿気による性能劣化を防止するためである。センサカートリッジ22の下辺の角には、センサ18の出口22dが設けられており、この出口22dは、穿刺部13と連通している。
【0020】
また、この出口22dの面には、スライドプレート23(搬送手段の一例として用いた)が設けられている。このスライドプレート23を用いて積層収納されたセンサ18の内、一番下に収納されたセンサ18を穿刺部13へ搬送して装填する。
このスライドプレート23は、スライドプレート23を構成する突起23aを囲うように、断面「コ」の字形状をした凹部23bが設けられており、この凹部23bから装填動作伝達部材23cで、穿刺部保護カバー14へ摺動自在に導出されている。そして、この装填動作伝達部材23cは、固定部材23dで穿刺部保護カバー14に固定されている。装填動作伝達部材23cは折り曲げ自在な弾性部材で形成されており、本実施の形態では鋼を用いている。23eは、装填動作伝達部材23cの動作伝達方向を変えるガイドである。
【0021】
従って、図2(a)に示すように、穿刺部保護カバー14を下方(矢印17a方向)へスライドすることにより、スライドプレート23は矢印17c方向にスライドし、センサ室22aの一番下に収納されたセンサ18を穿刺部13へ搬送して装填する。
【0022】
23gは、穿刺部保護カバー14に一方が固定部材23fで固定された廃棄動作伝達部材であり、この廃棄動作伝達部材23gは、筐体12内に設けられたガイド23hを介して、穿刺部13を構成する可動ホルダ13bに当接可能に設けられている。
【0023】
従って、図2(b)に示すように、穿刺部保護カバー14を上方(矢印17b方向)へスライドすることにより、廃棄動作伝達部材23gは矢印17d方向に摺動し、可動ホルダ13bの一方を押圧する。可動ホルダ13bを押圧すると、可動ホルダ13bは支点13hを中心に回動し、可動ホルダ13bの他方は開く。従って、固定ホルダ13aと可動ホルダ13bとの間に挟まれた使用済みのセンサ18bは廃棄センサ収納カセット15方向へ落下する。
【0024】
即ち、穿刺部保護カバー14を下方へ摺動するのみで、センサ18を穿刺部13に装填することができる。また、穿刺部保護カバー14を上方へ摺動するのみで、穿刺部13に装填された使用済みのセンサ18bを廃棄することができる。また、センサ18に直接触れることはないので、衛生的である。更に、穿刺時においては、穿刺窓14aへ指9aを挿入して穿刺するので、指9aが動くことはなく安定した穿刺が可能となる。更にまた、レーザ光21bが外部へ洩れることは無く安全である。また、使用状態にあるときには、穿刺部保護カバー14を引き出すので、形状が大きくなり操作が容易となる。更に、不使用状態にあるときは、小型となり携帯に便利なものとなる。
【0025】
24は、センサカートリッジ22に隣接して設けられた測定回路部であり、センサ18とはコネクタを介して接続されている。25は、負圧手段であり、穿刺部13内に負圧を加えるものである。26は、これらの部品に電力を供給する電池である。
【0026】
図3は、センサ18の断面図である。このセンサ18は、基板31と、この基板31の上面に貼り合わされたスペーサ32と、このスペーサ32の上面に貼り合わされたカバー33とで構成されている。
【0027】
34は、血液10(図6参照)の貯留部であり、この貯留部34は、基板31の略中央に形成された基板孔31aと、この基板孔31aに対応してスペーサ32に形成されたスペーサ孔32aと、基板孔31aに対応してカバー33に形成されたカバー孔33aとが連通して形成されている。また、36は、穿刺部13へのセンサ18の装着位置を決める位置決め孔であり、センサ18を貫通して設けられている。
【0028】
35は、この貯留部34に一方の端が連結された血液10の供給路であり、貯留部34に溜められた血液10を毛細管現象で一気に検出部37へ導く路である。また、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。貯留部34の容積は0.904μLであり、供給路35の容積は0.144μLとしている。このように少量の血液10で検査可能とし、患者への負担を軽減している。
【0029】
40は、検出部37上に載置された試薬である。この試薬40は、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して融解させて試薬溶液を調整し、これを基板31に形成された検出電極41,43(図4参照)上に滴下し、乾燥させることで形成したものである。この試薬40は吸湿すると性能の劣化が進行する。この劣化の進行を防止するため、センサカートリッジ22には乾燥剤22bが収納されている。
【0030】
ここで、基板31の上面には金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法或いは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザ加工により検出電極41〜45(図4参照)と、この検出電極41〜45から夫々導出された接続電極41a〜45aと識別電極47aが一体的に形成されている。
【0031】
また、基板31、スペーサ32、カバー33の材質は共にポリエチレンテレフタート(PET)を用いている。材料の共用化を図ることにより、管理コストの低減を図っている。
図4は、センサ18の透視平面図であり、一方の端には、接続電極41a〜45aと、識別電極47aが形成されている。接続電極43aと識別電極47aとの間に、導電体パターンで形成された識別部47が形成されている。
【0032】
34は、センサ18の略中央に設けられた血液10の貯留部であり、この貯留部34に一方の端が接続された供給路35が検出電極42に向かって設けられている。そして、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。この供給路35上には、貯留部34から順次接続電極44aに接続された検出電極44と、接続電極45aに接続された検出電極45と、接続電極43aに接続された検出電極43と、接続電極41aに接続された検出電極41と、接続電極42aに接続された検出電極42が設けられている。また、検出電極41,43上には、試薬40(図3参照)が載置される。
【0033】
接続電極43aと識別電極47a間の電気的な導通があるか無いかで、センサ18が穿刺部13に装着されたか否かを識別することができる。即ち、このセンサ18を穿刺部13に搬送したとき、接続電極43aと識別電極47a間の電気的な導通を検知することにより、センサ18が確実に穿刺部13に装着されたか否かを検知することができる。若し電気的な導通がなければ、センサ18が穿刺部13に装着されていない訳である。この場合は、血液検査装置11の表示部16(図1参照)へ警告表示することができる。
【0034】
また、識別部47の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納したりすることが可能となる。従って、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行なうことができる。
【0035】
図5は、センサ18の斜視図である。このセンサ18は長方形状をした板体で形成されている。この板体の略中央には貯留部34が形成されており、一方の端には接続電極41a〜45aと識別電極47aが形成されている。また、他方の端近傍には位置決め孔36が形成されている。この位置決め孔36は、貯留部34側が狭まった台形をしている。この位置決め孔36と貯留部34との間に空気孔38が形成されている。
【0036】
図6は、血液検査装置11を用いた測定動作実施時の要部断面図である。この測定は図2(a)に示すように、穿刺部保護カバー14を開いて(下方へ摺動させて)穿刺窓14aから指9aを挿入して、穿刺部13に当接させた状態で行う。図6において、穿刺部13は、固定ホルダ13aと可動ホルダ13bとで構成されており、スライドプレート23で搬送されたセンサ18は、固定ホルダ13aと可動ホルダ13bとの間に挟まれて固定される。この固定は、センサ18に設けられた位置決め孔36へ固定ホルダ13aに形成された位置決め凸部13jが嵌入して固定される。
【0037】
固定ホルダ13aを貫通する孔13gと、センサ18に形成された貯留部34と、可動ホルダ13bを貫通する孔13mは一直線状に形成され、負圧室25aを構成している。この負圧室25aへは負圧手段25から負圧路25bを介して負圧が供給される。透明フィルム13nは、穿刺時の飛散物からレーザ穿刺ユニット21のレンズ(図示せず)を守るためのものであり、交換自在に設けられている。また、この透明フィルム13nで負圧室25aを密閉する役目も兼ねている。
【0038】
穿刺部13の近傍には皮膚9の当接を検知する皮膚検知センサ25cが設けられている。49(49a〜49f)は、固定ホルダ13aに設けられたコネクタであり、センサ18に形成された接続電極41a〜45a、識別電極47a(図4参照)対応して設けられている。そして、接続電極41a〜45a、識別電極47aの信号はコネクタ49を介して測定回路部24(図2、12参照)へ導かれる。
【0039】
以上のように構成された血液検査装置11において、センサ18をスライドプレート23により固定ホルダ13aと可動ホルダ13bの間へ搬送する。その後、可動ホルダ13bに皮膚9を当接させて穿刺ボタン21a(図12参照)を押下する。すると、レーザ穿刺ユニット21からはレーザ光21bが発射される。このレーザ光21bは、透明フィルム13nと、孔13gと、貯留部34と、孔13mを一直線上に貫通して皮膚9を穿刺する。皮膚9が穿刺されると、この皮膚9からは血液10が滲出し、貯留部34内へ直接取り込まれる。この血液10は検出部37(図3、4参照)に取り込まれ、試薬40と反応する。試薬40と反応した信号はコネクタ49を介して測定回路部24で血液10の性質が測定される。このようにして、血液10の測定が終了した後、穿刺部保護カバー14は閉じられる。穿刺部保護カバー14の閉により、血液10が付着した使用済みのセンサ18bは穿刺部13から排出される。
【0040】
図7は、穿刺部13を形成する固定ホルダ13aを、可動ホルダ13b側から見た斜視図である。この一方の面13eには一対のバネ13cが植設されており、このバネ13cは固定ホルダ13aを形成する樹脂と同一材料で一体的に形成されている。このバネ13cは、固定ホルダ13aを貫通する孔13gとコネクタ49との間であって、位置決め用の凸部13kの近傍に夫々2個形成されて、センサ18を点で支える。このようにしてセンサ18との当接面積を少なくしている。これは、センサ18に附着した血液10がバネ13c側へ転写する可能性を最小にするためである。また、このバネ13cは、孔13g側からコネクタ49側に向かって開いている。従って、穿刺部13へ搬送されるセンサ18はスムースに挿入される。13jは、センサ18に形成された位置決め孔36と嵌合する位置決め凸部である。
【0041】
図8は、穿刺部13を形成する可動ホルダ13bを固定ホルダ13a側から見た斜視図である。この一方の面13tには一対のバネ13dが植設されている。このバネ13dは、可動ホルダ13bを形成する樹脂と同一材料で一体的に形成されている。このバネ13dは、固定ホルダ13aに形成されたバネ13cに対向した位置に2個設けられて、センサ18を点で支える。このようにしてセンサ18との当接面積を少なくしている。これは、センサ18に附着した血液10のバネ13d側への転写の可能性を最小にするためである。また、このバネ13dも、可動ホルダ13bを貫通する孔13m側から徐々に傾斜して開いている。従って、穿刺部13へ搬送されるセンサ18はスムースに挿入される。13pは舌片であり、この舌片13pは廃棄動作伝達部材23g(図9参照)に当接して押圧される。また、13hは、可動ホルダ13bが回動する中心となる支点である。
【0042】
図9は、血液10が付着した使用済みのセンサ18bの排出時における穿刺部13の断面図である。図9(a)は、第1の状態を示す断面図であり、固定ホルダ13aと可動ホルダ13bとの間にはセンサ18(血液10が付着前のセンサ)が挟まれて固定されている。13fは可動ホルダ13bを固定ホルダ13a側に押圧する板バネであり、可動ホルダ13bは、この板バネ13fで固定ホルダ13aとの間は平行に保たれる。このとき、バネ13c、13dは弾性に抗して撓んでいる。バネ13c、13dは変形しており、ホルダ13a、13b及びセンサ18間の気密性に影響を与えない。この状態において、レーザ穿刺ユニット21で穿刺される。
【0043】
図9(b)は、第2の状態を示す断面図である。この第2の状態は、レーザ穿刺ユニット21による穿刺動作が完了した状態である。穿刺動作が完了した後、患者は穿刺部保護カバー14を閉じる。穿刺部保護カバー14を閉じると、穿刺部保護カバー14に植設された廃棄動作伝達部材23gが可動ホルダ13bの舌片13pを矢印17d方向に押圧する。舌片13pが矢印17d方向に押圧されると、可動ホルダ13bは支点13hを中心に回動し、固定ホルダ13aから離間する。このようにして、固定ホルダ13aと可動ホルダ13bとの間が開くと使用済みのセンサ18bは、バネ13c、13dの弾性により、固定ホルダ13aと可動ホルダ13bとの間に隙間13q、13rを形成する。つまり、固定ホルダ13aとセンサ18間には隙間13qが形成され、可動ホルダ13bとセンサ18bの間には隙間13rが形成される。このように隙間13q、13rが形成されるので、センサ18bに附着した血液10が固定ホルダ13aや可動ホルダ13bに附着して汚すことはない。
【0044】
図9(c)は、第3の状態を示す断面図である。第3の状態は、センサ18bの排出状態である。廃棄動作伝達部材23gが、可動ホルダ13bの舌片13pを更に矢印17d側へ押圧している。更なる押圧により、固定ホルダ13aと可動ホルダ13bとの間は更に開放され、センサ18bはバネ13c、13dに支えられて固定ホルダ13aと可動ホルダ13bから浮上した状態で落下する。
【0045】
穿刺部13から排出されたセンサ18bは、図10(a)に示すように、穿刺部保護カバー14に形成された流入口14pを介して、仮置場14qに一旦収納される。押し込み部材14dは、バネ14eで矢印14f方向へ付勢されている。なお、廃棄センサ収納カセット15内には既に使用済みのセンサ18bが積層収納されている。
【0046】
次に、図10(b)に示すように、患者は仮置場14qに一旦収納されたセンサ18bを、廃棄センサ収納カセット15へ収納すべく、収納ボタン14gを矢印14h方向へ摺動させる。収納ボタン14gを摺動することにより、押し込み部材14dは凸部14mでセンサ18bを廃棄センサ収納カセット15内へ押し込む。
【0047】
押し込まれたセンサ18bは、弾性を有する逆流防止部材15cを乗り越えて、廃棄センサ収納カセット15内へ移動する。そして、図10(c)に示すように、既に収納されているセンサ18bと一緒になって収納される。
【0048】
収納ボタン14gを離すと、図10(d)に示すように、押し込み部材14dはバネ14eの付勢力で矢印14f方向へ移動し、元の位置にもどる。廃棄センサ収納カセット15内へ収納されたセンサ18bはコイルバネ15eの付勢力で矢印15g方向に付勢されて逆流防止部材15cに係止されて停止する。そして、この廃棄センサ収納カセット15へ収納されたセンサ18bは既に収納されているセンサ18bと一緒になる。
【0049】
図11は、廃棄センサ収納カセット15の斜視図である。15aは、略直方体形状をした樹脂製のケースであり、このケース15aの一方は開口して開口部15bを形成している。この開口部15bの近傍には、開口部15bの上面と下面に一対の逆流防止部材15cが装着されている。
【0050】
この逆流防止部材15cは、使用済みのセンサ18bが開口部15bからケース15aの内部へは通過するが、ケース15aの内部から開口部15b側への通過は防止されるものである。即ち、一度ケース15aの内部へ挿入されたセンサ18bは外部へ逆流しないようになっている。逆流防止部材15cは、弾性部材で形成されている。なお、この逆流防止部材15cは、開口部15b近傍の左右側面に装着しても良い。
【0051】
ケース15aの内部には、受け板15dが摺動自在に設けられており、この受け板15dはコイルバネ15eにより、開口部15b側へ付勢されている。コイルバネ15eは、一方がケース15aの他方に固着されるとともに、他方は受け板15dの後面に固着されている。なお、コイルバネ15eの代わりに伸縮自在のゴムを用いて、受け板15dを開口部15b側へ付勢しても良い。
【0052】
開口部15bから挿入されたセンサ18bは、逆流防止部材15cと受け板15dとの間に積層収納される。この積層収納されたセンサ18bは、コイルバネ15eで逆流防止部材15c側へ付勢される。15fは、ケース15aの横側面に設けられた窓であり、少なくとも逆流防止部材15cの位置からケース15aの他方近傍まで設ける必要がある。この窓15fは、ケース15a内に収納されたセンサ18bの量を目視で確認するためのものだからである。従って、この目的を果たすものであれば良く、窓15fの代わりにケース15a全体を透明部材で形成しても良い。
【0053】
以上のように構成されているので、使用済みのセンサ18bは、ケース15a内に積層収納され、廃棄場所に不自由することはない。従って、携帯用血液検査装置に用いれば優れた性能を有するものである。また、血液10で汚れたセンサ18bを指9aで触れること無く廃棄することができるので、指が汚れることは無く衛生的である。更に、開口部15bとセンサ18bとの間には、逆流防止部材15cにより凹部形状が形成される。従って、汚れたセンサ18bの一方の面のみでさえも外部から触れ難い構造になっている。
【0054】
図12は、測定回路部24とその近傍のブロック図である。図12において、センサ18の接続電極41a〜45a(図4参照)は、コネクタ49(49a〜49e)を介して切換回路24aに接続されている。この切換回路24aの出力は、電流/電圧変換器24bの入力に接続されている。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)24cを介して演算部24dの入力に接続されている。この演算部24dの出力は、液晶で形成された表示部16と送信部24eに接続されている。また、切換回路24aには基準電圧源24fが接続されている。なお、この基準電圧源24fはグランド電位であっても良い。
【0055】
24gは制御部であり、この制御部24gの出力は、レーザ穿刺ユニット21に接続された高電圧発生回路24hと、切換回路24aの制御端子と、演算部24dと、送信部24eと、負圧手段25に接続されている。また、制御部24gの入力には、穿刺ボタン21aと、皮膚検知センサ25cと、タイマ24kと、コネクタ49f(識別電極47aに対応するコネクタ)が接続されている。
【0056】
以下、測定回路部24の動作を説明する。先ず、この穿刺ボタン21aを押下して、レーザ穿刺ユニット21で皮膚9を穿刺する。そして、穿刺により滲出した血液10の性質を測定する。測定動作では、切換回路24aを切換えて、検出電極41を電流/電圧変換器24bに接続する。また、血液10流入を検知するための検知極となる検出電極42を基準電圧源24fに接続する。そして、検出電極41及び検出電極42間に一定の電圧を印加する。この状態において、血液10が流入すると、検出電極41,42間に電流が流れる。この電流により血液10が十分に流入したことを検出する。なお、この時点で負圧手段25の動作をオフにする。
【0057】
次に、血液成分であるグルコースの測定が行なわれる。グルコース成分量の測定は、先ず、制御部24gの指令により、切換回路24aを切換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極41を電流/電圧変換器24bに接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極43を基準電圧源24fに接続する。
【0058】
検出電極41,43間に流れる電流は、電流/電圧変換器24bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器24cによってデジタル値に変換される。そして、演算部24dに向かって出力される。演算部24dではそのデジタル値を基にグルコース成分量に換算する。
【0059】
グルコース成分量の測定後、Hct値の測定が行なわれる。Hct値の測定のための作用極となる検出電極45を電流/電圧変換器24bに接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極41を基準電圧源24fに接続する。検出電極45と41間に流れる電流はデジタル値に変換される。そしてそのデジタル値に基づいてHct値に換算する。
【0060】
この測定で得られたHct値とグルコース成分量を用い、予め求めておいた検量線または検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正し、その補正された結果を表示部16に表示する。この補正された結果を送信部24eからインスリンを注射する注射装置に向けて送信する。
【0061】
以上、グルコースの測定を例に説明したが、センサ18の試薬40を交換して、グルコースの測定の他に乳酸値やコレステロールの血液成分の測定にも適用できる。
次に、図13を用いて血液検査装置11を用いた検査方法を説明する。先ずステップ51では、血液検査装置11の穿刺部保護カバー14を開ける。穿刺部保護カバー14を開けると、ステップ52へ移行する。ステップ52では、穿刺部保護カバー14に連動してスライドプレート23により、センサカートリッジ22内のセンサ18を穿刺部13へ搬送する。この搬送の確認は、センサ18の接続電極43aと識別電極47aの導通を検知することにより行う。
【0062】
次に、ステップ53に移行する。ステップ53では、表示部16に皮膚9への当接を促す表示を行う。患者はこの表示に従って、穿刺部13を患者の皮膚9に当接させる。この皮膚9への当接は皮膚検知センサ25cの出力で行う。皮膚9への当接が確認されたらステップ54に移行し、負圧手段25を動作させる。そして、穿刺部13に設けられた負圧室25a内に負圧を加える。負圧を加えることにより皮膚9は盛り上がる。また、皮膚検知センサ25cの出力を検知した時点で高電圧発生回路24hを動作させて、コンデンサへの高電圧チャージを開始させる。
【0063】
負圧手段25の動作に伴う電流の変化と高電圧発生回路24hによる高電圧チャージの完了、或いはタイマ24kにより予め定められた時間が経過すると、穿刺に充分な高電圧のチャージと貯留部34内の皮膚9が十分盛り上がったと判断し、ステップ55に移行する。ステップ55では、表示部16に「穿刺可」である旨の表示をする。そして、ステップ56に移行し、穿刺ボタン21aの押下を待つ。穿刺ボタン21aが押下されるとレーザ光21bが皮膚9へ放射されてステップ57に移行する。
【0064】
ステップ57では、ステップ55で行った表示をオフする。そして、ステップ58へ移行する。ステップ58では皮膚9の穿刺により、滲出した血液10がセンサ18の貯留部34に取り込まれる。この貯留部34に取り込まれた血液10は、供給路35による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部37に取り込まれる。そして、血液10の血糖値が測定される。
【0065】
ステップ58で血糖値の測定が終了した後、ステップ59に移行し、負圧手段25をオフするとともにメモリ(図示せず)に格納する。そして、ステップ60に移行する。ステップ60では、測定した血糖値を表示部16に表示する。なお、負圧手段25のオフは、血液10が検出電極42へ到達した時点でオフにしても良い。
【0066】
これで、血液10の測定は終了し、ステップ61へ移行する。ステップ61では、穿刺部保護カバー14を閉じる。穿刺部保護カバー14を閉じると、穿刺部保護カバー14に連動して、穿刺部保護カバー14に植設された廃棄動作伝達部材23gが可動ホルダ13bの舌片13pを押す。舌片13pが押されると、ステップ62に移行し、固定ホルダ13aと可動ホルダ13bに挟まれたセンサ18b(血液10が付着したセンサ18)は穿刺部13から排出される。この排出されたセンサ18は穿刺部保護カバー14に形成された仮置場14qに一旦収納される。そして、ステップ63へ移行する。ステップ63では、収納ボタン14gの摺動により、仮置場14qのセンサ18bを廃棄センサ収納カセット15へ収納する。その後、廃棄センサ収納カセット15がセンサ18bで満杯になったら、廃棄センサ収納カセット15毎に一括して廃棄する。
【0067】
以上のように、ステップ51において、穿刺部保護カバー14を開にすることにより、センサ18を装填動作伝達部材23cにより、スライドプレート23を移動させて、センサ18を穿刺部13へ装填することができるので、センサ18の装填が従来と比べて著しく容易となる。
【0068】
また、ステップ61において、穿刺部保護カバー14を閉じることにより、血液10が付着した使用済みのセンサ18bは廃棄動作伝達部材23gで押されて排出されるので、センサ18bの廃棄も従来と比べて著しく容易となる
また、センサ18bの廃棄も、その後収納ボタン14gを摺動することにより、血液10が付着したセンサ18bを直接手で触れることなく収納することができる。従って、血液10で手を汚すことはなく、衛生的である。
【0069】
また、廃棄センサ収納カセット15に収納されたセンサ18bは、廃棄センサ収納カセット15が満杯に成った時点で廃棄すれば良いので、1枚ずつ使用済みのセンサ18bを廃棄する従来のものと比較して、廃棄回数が著しく減少し、携帯に便利な血液検査装置11となる。
【0070】
(実施の形態2)
実施の形態2における血液検査装置65(実施の形態1における血液検査装置11に該当する)は、穿刺部保護カバー66(実施の形態1における穿刺部保護カバー14に該当する)の開閉を電気的に検知して、電気的な動力でセンサ18の装填と、使用済みのセンサ18bの排出を行う点で実施の形態1と相違する。本実施の形態では、この相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同じものについては、同符号を付して説明を簡略化している。これは、以降の実施の形態に関しても同様である。
【0071】
図14は、実施の形態2における血液検査装置65の要部断面図である。図14において、筐体67(実施の形態1における筐体12に該当する)の側面には、2個の検知センサ68a、68bが装着されている。このセンサ68a、68bはリードスイッチを用いた磁気センサであっても良いし、メカ的なセンサであっても良い。また、光学的なセンサであっても良い。本実施の形態では、リードスイッチを用いたセンサを使用している。従って、このリードスイッチを動作させるために穿刺部保護カバー66の上端には磁石70を埋設している。
【0072】
穿刺部保護カバー66を、閉状態から開状態矢印(69a)にすると、図14(a)の状態から図14(b)の状態を経て図14(c)の状態となる。このとき最初、検知センサ68a、68bは共にオフの状態から、検知センサ68aはオンで検知センサ68bはオフの状態、検知センサ68aはオフで検知センサ68bはオンの状態、検知センサ68a、68bは共にオフの状態へと変化する。
【0073】
また、逆に穿刺部保護カバー66を、矢印69bに示すように開状態から閉状態にすると、図14(c)の開の状態から図14(b)の状態を経て図14(a)の閉の状態となる。このとき、検知センサ68a、68bは共にオフの状態から、検知センサ68aはオフで検知センサ68bはオンの状態、検知センサ68aはオンで検知センサ68bはオフの状態、検知センサ68a、68bは共にオフの状態と変化する。即ち、検知センサ68a、68bのオンオフ状態を時系列的に判別することにより、穿刺部保護カバー66の閉から開への状態変化と、穿刺部保護カバー66の開から閉への状態変化を識別することができる。
【0074】
図15は、穿刺部保護カバー66の開閉により、センサ18の穿刺部13への装填と、使用済みセンサ18bの排出を電気的行う電気回路のブロック図である。この電気回路は筐体67内に収納されている。図15において、検知センサ68a、68bの出力は判別回路71に接続されている。この判別回路71の一方の出力には、ドライバ72を介してモータ73に接続されており、このモータ73の回転は減速機構を介して搬送手段を構成するドラム74に接続されている。このドラム74には、螺旋状の溝74aが設けられており、この溝74aにスライドプレート23(図2参照)が嵌入して摺動する。
【0075】
また、判別回路71の他方の出力には、ドライバ75を介して電磁石76に接続されている。この電磁石76に近接して、支点77aで回動自在に設けられた部材77bが装着されており、部材77bの一方の端はバネ77cで矢印78a方向に付勢されている。部材77bの他方の端は、廃棄動作伝達部材23g(図2参照)に連結している。
【0076】
以上のように構成された電気回路の動作を図16に基づいて説明する。図16において、図16(a)は検知センサ68a出力のタイミングチャートであり、図16(b)は検知センサ68b出力のタイミングチャートである。検知センサ68aの出力81aに続いて検知センサ68bの出力81bがある区間82では、穿刺部保護カバー66は閉状態から開状態へ変化したものであり、この状態の変化を、判別回路71では開検知センサが動作したと認識してドラム74を正方向に回転させるパルス83aを出力する。このパルス83aでドラム74を正方向に回転させる。そして、スライドプレート23でセンサ18を穿刺部13へ搬送して穿刺部13に装填する。なお、開検知センサは、開検知センサを別に設けるのではなく、検知センサ68a、68bが出力される順序を判別回路71で判別して開検知センサとしている。
【0077】
これに対して、検知センサ68bの出力84bに続いて検知センサ68aの出力84aがある区間85では、穿刺部保護カバー66は開状態から閉状態へ変化したものであり、この状態の変化を、判別回路71では閉検知センサが動作したと認識してドラム74を逆方向に回転させるパルス83bを出力する。このパルス83bでドラム74を逆方向に回転させる。そして、スライドプレート23を元の状態に戻す。なお、閉検知センサは、閉検知センサを別に設けるのではなく、検知センサ68a、68bが出力される順序を判別回路71で判別して閉検知センサとしている。
【0078】
また、判別回路71の他方の出力からは、パルス83bと略同じタイミングでパルス86が出力される。このパルス86で電磁石76を動作させて、部材77bを吸引する。部材77bの吸引により、廃棄動作伝達部材23gを押圧する。廃棄動作伝達部材23gが押圧されると、この廃棄動作伝達部材23gにより可動ホルダ13b(図9参照)の舌片13pを押圧する。舌片13pが押圧されると可動ホルダ13bと固定ホルダ13aとの間が開いて使用済みのセンサ18bが排出される。
【0079】
(実施の形態3)
実施の形態3における血液検査装置101(実施の形態1における血液検査装置11に該当する)は、穿刺部保護カバー102(実施の形態1における穿刺部保護カバー14に該当する)が支点103を中心に回動して、穿刺部保護カバー102を開閉する点で実施の形態1と相違する。また、実施の形態3も実施の形態2と同様に穿刺部保護カバー102の開閉を電気的に検知して、電気的な動力でセンサ18の装填と、使用済みのセンサ18bの排出を行っており、この点でも実施の形態1と相違する。本実施の形態においても、この相違点を中心に説明する。
【0080】
図17は、実施の形態3における血液検査装置101の要部断面図である。図17において、筐体104(実施の形態1における筐体12に該当する)の下面には、検知センサ105が装着されている。この検知センサ105は、穿刺部保護カバー102の開閉を検知するものである。
【0081】
この検知センサ105はリードスイッチを用いた磁気センサであっても良いし、メカ的なセンサであっても良い。また、光学的なセンサであっても良い。本実施の形態では、メカ的なセンサを用いている。
【0082】
図17(a)は、穿刺部保護カバー102を閉じた状態であり、この状態では検知センサ105は穿刺部保護カバー102で押圧されてオン状態にある。これに対して、穿刺部保護カバー102を開いた状態では、図17(b)に示すように、検知センサ105は穿刺部保護カバー102から離れてオフ状態にある。
【0083】
即ち、図18(a)に示すように、穿刺部保護カバー102を閉じた状態から開いた状態106にすると、検知センサ105の出力107はオンからオフに切り替わる。これに対して、穿刺部保護カバー102を開いた状態から閉じた状態108にすると、検知センサ105の出力107はオフからオンに切り替わる。
【0084】
この検知センサ105の出力を判別回路109(図示せず)で判別する。即ち、検知センサ105の出力がオンからオフに切り替わったときには、判別回路109からパルス110aを出力する。パルス110aの出力により、ドラム74(図15参照)を正回転させて、センサ18を穿刺部13へ装填する。これに対して、検知センサ105の出力がオフからオンに切り替わったときには、判別回路109からパルス110bを出力する。パルス110bの出力により、ドラム74を逆回転させて、スライドプレート23を元の位置に戻す。また、パルス110bと略同じタイミングでパルス111を出力する。パルス111の出力により、電磁石76が部材77bを吸引して、廃棄動作伝達部材23gを押圧する。廃棄動作伝達部材23gが押圧されると、可動ホルダ13bが開き、使用済みのセンサ18bが排出される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明にかかる血液検査装置は、血液センサの穿刺部への装填と廃棄が共に容易であり、血液検査装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1における血液検査装置の透視正面図
【図2】同血液検査装置の断面図、(a)は同穿刺時の断面図、(b)は同収納時の断面図
【図3】同カートリッジに収納されるセンサの断面図
【図4】同センサの透視平面図
【図5】同センサの斜視図
【図6】同測定動作時の要部断面図
【図7】同穿刺部を構成する固定ホルダの斜視図
【図8】同穿刺部を構成する可動ホルダの斜視図
【図9】同センサ排出時の断面図、(a)は同第1の状態における断面図、(b)は同第2の状態における断面図、(c)は同第3の状態における断面図
【図10】同廃棄センサ収納カセットとその近傍の断面図、(a)は同第1の状態における断面図、(b)は同第2の状態における断面図、(c)は同第3の状態における断面図、(d)は同第4の状態における断面図
【図11】同廃棄センサ収納カセットの斜視図
【図12】同測定回路部とその近傍のブロック図
【図13】同検査方法のフローチャート
【図14】同実施の形態2における血液検査装置の要部断面図、(a)は同第1の状態における断面図、(b)は同第2の状態における断面図、(c)は同第3の状態における断面図
【図15】同電気回路とその周辺のブロック図
【図16】同タイミングチャート、(a)は同第1のセンサのタイミングチャート、(b)は同第2のセンサのタイミングチャート、(c)は同第1の出力のタイミングチャート、(d)は同第2の出力のタイミングチャート
【図17】同実施の形態3における血液検査装置の要部断面図、(a)は同第1の状態の要部断面図、(b)は同第2の状態の要部断面図
【図18】同タイミングチャート、(a)は同センサのタイミングチャート、(b)は同第1の出力のタイミングチャート、(c)は同第2の出力のタイミングチャート
【図19】従来の血液検査装置の断面図
【図20】同、検査方法の斜視図
【符号の説明】
【0087】
11 血液検査装置
12 筐体
13 穿刺部
14 穿刺部保護カバー
18 センサ
18b 使用済みセンサ
21 レーザ穿刺ユニット
22 センサカートリッジ
23 スライドプレート
24 測定回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺部を有する筐体と、この筐体内に設けられるとともに前記穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、血液センサが積層収納されるセンサカートリッジと、このセンサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ搬送する搬送手段と、前記穿刺部へ搬送された前記血液センサと電気的に接続される測定回路部とを備え、前記穿刺部を保護するとともに開閉自在な穿刺部保護カバーを設け、この穿刺部保護カバーの開に連動して前記センサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ装填するとともに、前記穿刺部保護カバーの閉に連動して前記穿刺部に装填された前記血液センサを排出する血液検査装置。
【請求項2】
穿刺部保護カバーの開時の動作を動力源として血液センサを穿刺部に装填するとともに、前記穿刺部保護カバーの閉時の動作を動力源として前記血液センサを排出する請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項3】
穿刺部保護カバーの開時を検知する開検知センサを設け、この開検知センサの出力に基づいて血液センサを穿刺部に装填するとともに、前記穿刺部保護カバーの閉時を検知する閉検知センサを設け、この閉検知センサの出力に基づいて前記血液センサを排出する請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項4】
排出された血液センサは、穿刺部保護カバーに積層収納される請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項5】
穿刺部保護カバーに挿抜自在な廃棄センサ収納カセットを設け、排出された血液センサは前記廃棄センサ収納カセットに収納される請求項4に記載の血液検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−94164(P2010−94164A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265057(P2008−265057)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】