説明

血液癌前駆細胞を障害する方法およびその関連化合物

【課題】 白血病および悪性リンパ増殖性障害の検出および治療に有用である方法および化合物を提供する。
【解決手段】 CD123を発現している細胞を選択的に標的とすることによって、血液癌(例えば白血病およびリンパ腫)の前駆細胞を障害する方法を提供する。さらに、CD123に選択的に結合し、血液癌前駆細胞を障害する有用な化合物も提供する。前記化合物は、例えば放射性同位元素、化学療法剤などの細胞毒性部分を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2000年3月6日出願の米国特許仮出願第60/187123号および2000年8月24日出願の第60/227295号の優先権の利益を主張するもので、これらの出願の開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、血液癌前駆細胞に特異的な細胞表面マーカを標的とすることによって、血液癌前駆細胞を障害し、または血液癌を治療する方法に関する。本発明はさらに、血液癌を診断するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
幹細胞は、哺乳動物のさまざまな組織系で普通に見られる細胞である。幹細胞を定義する基準は文の前後関係によって変わってくるが、一般に2つの属性が、幹細胞集団の中心的特徴と考えられている。すなわち(1)幹細胞は、自己複製または自己再生に対してなんらかの能力を示すべきものであり、(2)幹細胞は、適当な系統に分化する能力を有していなければならない(Potten CS:Stem Cells.London、Academic Press、1997)。この性質の細胞は、造血系、胚系、神経系、筋系および肝系を含むいくつかの組織に対して記述されている(Lemischka IR.、Clonal、in vivo behavior of the totipotent hematopoietic stem cell.Semin Immunol 1991、3:349−55;Morrison SJ.他、The biology of hematopoietic stem cells.Annu.Rev.Cell Dev.Biol.1995、11:35−71;Robertson EJ.、Using embryonic stem cells to introduce mutations into the mouse germ line.Biol Reprod 1991、44:238−45;Gage FH.、Mammalian neural stem cells.Science 2000、287:1433−8;Alison M.他、Hepatic stem cells.J Hepatol 1998、29:676−82)。したがって、最近になって同様の細胞が、悪性細胞集団の意味内容で論文として発表されていることはおそらく驚くことではない(Bonnet D.他、Human acute myeloid leukemia is organized as a hierarchy that originates from a primitive hematopoietic cell.Nat.Med.1997、3:730−737;Blair A.他、Most acute myeloid leukemia progenitor cells with long−term proliferative ability in vitro and in vivo have the phenotype CD34(+)/CD71(−)/HLA−DR−、Blood 1998、92:4325−35;Cobaleda C.他、A primitive hematopoietic cell is the target for the leukemic transformation in human Philadelphia−positive acute lymphoblastic leukemia.Blood 2000、95:1007−13)。実際、悪性トランスフォーメーションのためには比較的に小さな生物学的変化しか必要としない幹細胞は、いくつかの観点で、理想的な標的である。幹細胞はすでに、高度に増殖性でかつ発生的に柔軟であるために必要な遺伝的なプログラムを持っているので、比較的に細微な乱れだけで十分に病気を引き起こすことができるのではないかと想像することができる。
【0004】
最近、悪性幹細胞に起因した新生物形成の一例が、造血系における急性骨髄性白血病(AML)の症例で論文として発表された。この病気は、骨髄発生の早発停止およびそれに続く多数の非機能性白血病性芽細胞の集積を特徴とする。白血病性芽細胞はたいていクローン起源であり、比較的に均質な特徴を表すが、このような集団は、正常な造血系前駆細胞と同じように階層的に組織化されることが示されている。したがって、in vitroで、およびヒトAMLの異種マウス・モデルにおいてin vivoで白血病性芽細胞を増殖させるのに十分な、表現型によって定義された白血病性幹細胞集団がある(Bonnet D.他、Human acute myeloid leukemia is organized as a hierarchy that originates from a primitive hematopoietic cell.Nat.Med.1997、3:730−737;Blair A.他、Most acute myeloid leukemia progenitor cells with long−term proliferative ability in vitro and in vivo have the phenotype CD34(+)/CD71(−)/HLA−DR−、Blood 1998、92:4325−35;Cobaleda C.他、A primitive hematopoietic cell is the target for the leukemic transformation in human Philadelphia−positive acute lymphoblastic leukemia.Blood 2000、95:1007−13;Blair A.他、Lack of expression of Thy−1(CD90)on acute myeloid leukemia cells with long−term proliferative ability in vitro and in vivo.Blood 1997、89:3104−12)。ヒトの病気の原因を考える上で白血病性幹細胞(LSC)の概念はきわめて重要となる。永続的な寛解を達成するためには、原始または前駆LSC集団を特異的に除去することが必要であることは明らかである。しかし、過去の研究(Terpstra W他、Fluorouracil selectively spares acute myeloid leukemia cells with long−term growth abilities in immunodeficient mice and in culture、Blood 1996、88:1944−50)、ならびに我々のグループのデータから、LSCは、より成熟した白血病性芽細胞とは生物学的に異なっており、従来の化学療法レジーメンに反応しない可能性があることが示唆されている。この観察は、大多数の患者は明白な完全寛解を達成することができるが、ほとんどのケースで再発するというAMLについて頻繁に観察される臨床プロフィールと一致する(Schiller GJ.、Treatment of resistant disease、Leukemia 1998、12 Suppl1:S20−4;Paietta E.、Classical multidrug resistance in acute myeloid leukemia、Med Oncol 1977、14:53−60)。LSCのほうが芽細胞よりも化学療法に対して屈折力がある(refractile)場合、生き残った幹細胞が白血病再発の主要な寄与因子であると提唱することは魅力的である。したがって、白血病前駆細胞を特異的に標的とする戦略は、より効果的な治療を白血病患者に提供する可能性がある。1997年に、BonnetとDickは、LSCの表現型をCD34+/CD38−と記述した(Bonnet D.他、Human acute myeloid leukemia is organized as a hierarchy that originates from a primitive hematopoietic cell.Nat.Med.1997、3:730−737)。我々は、白血病性のCD34+/CD38−造血細胞では、IL−3受容体α鎖(CD123)が高度に発現するが、正常なCD34+/CD38−造血細胞では発現しないことを報告する。現状の技術水準を考慮すれば、当技術分野では、白血病を早期に検出する診断方法ならびに白血病を治療するより有効な方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、血液癌(例えば白血病および悪性リンパ増殖性障害)の診断および治療において、ヒトCD123分子(CD123エクトペプチド)に結合する化合物を使用する方法に関する。CD123に対して特異的な化合物およびミメティック(mimetics)は、血液癌または悪性疾患状態の治療用および血液癌病態の診断用の薬剤および試薬として特定の有用性を有する。一実施形態では、本発明は、血液癌前駆細胞を障害する方法であって、前記細胞を、血液癌前駆細胞(progenitor hematologic cancer cell)を障害するのに有効な量の、CD123に選択的に結合する化合物と接触させることを含む方法を提供する。この接触段階は、in vitroおよびヒトを含む動物の体内におけるin vivoを含むさまざまな環境で実施することができる。
【0006】
本出願全体を通して、本発明のある実施形態を説明する際には特に白血病を参照する。しかし本発明は、白血病または悪性リンパ増殖性障害の診断および治療に限定されるわけではなく、血液癌を含め、癌細胞がCD123を選択的に発現する任意の病気に適用されることを理解されたい。
【0007】
一実施形態では、本発明は、例えば白血病前駆細胞上のCD123の存在を検出する方法を対象とする。したがって本発明はさらに、白血病を診断する方法を対象とする。CD123に結合する標識されたリガンドを使用することによって、白血病前駆細胞の存在を検出することができることを理解されたい。したがって、CD123を発現しているこのような白血病前駆細胞を持っている患者の白血病の発症の可能性を診断することもできる。CD123結合リガンドはCD123に対する抗体とすることができ、または、CD123に特異的に結合するさまざまな分子の1つとすることができる。さらに、標識は、CD123分子に結合したリガンドの存在のリポーターの働きをする酵素化合物または非酵素化合物を含む、さまざまな分子の中から選択するができる。ただしこれらに限定されるわけではない。このような標識の例には例えば、放射、蛍光、化学発光または吸収ベースの標識、あるいはこれらの組合せが含まれる。一実施形態では、試料中の白血病前駆細胞の存在を、前記試料中のCD123の存在を検出することによって検出する検定が提供される。CD123の存在の検出は、CD123に選択的に結合する化合物を導入し、前記化合物が前記試料の成分と結合しているかどうかを判定することによって実施することができる。
【0008】
他の実施形態では、本発明はさらに、CD123に結合するペプチド、抗体、炭水化物、脂質、核酸などの化合物の一部または全体の3次元構造、抗体の場合には抗体の結合ポケットまたは相補性決定領域(CDR)の3次元構造をまねた化合物または分子(ミメティック)を提供する。
【0009】
本発明はさらに、薬剤として許容される担体、ならびに先に説明した1種または数種のCD123特異的化合物およびミメティックを含む製剤を提供する。
他の実施形態では、本発明は、白血病の治療を必要としているヒトまたは動物に、先に説明した治療上有効な量の化合物またはそれらの薬剤ミメティックを投与することを含む、白血病の治療法を提供する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、白血病幹細胞を骨髄から選択的に除去する方法を提供する。これらの幹細胞は、白血病前駆細胞を生じさせることでき、または自体が前駆細胞でありことができる。本発明の方法は、さまざまな化合物またはそれらのミメティックおよび細胞毒性物質を使用してこれらの幹細胞を障害する。これらの物質は骨髄試料に接触させ、または骨髄に注入することができ、それによって骨髄中の白血病幹細胞の少なくとも一部分を破壊する。
【0011】
本発明は、以下に示す詳細な説明および添付図面からいっそう十分に理解されよう。これらは例として示すものであって、したがって本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1Aおよび1Bは正常な造血細胞および白血病の造血細胞でのCD123の発現を示す図である。正常な骨髄(パネルA)または原発性AMLの末梢血(パネルB)から得た細胞中のCD123標識化の代表的な例を示す。パネルA(左側の点図)にはめ込まれた多角形は、骨髄全体のうちのCD123の発現に関して陽性であるパーセンテージ(7%)を指示する。より小さな長方形のゲートは、骨髄全体のうちのCD123に関して強い陽性である割合(1%)を指示する。パネルAの中央の点図は、免疫親和性カラム上での選択によってCD34+細胞を濃縮した骨髄を示す(方法を参照のこと)。ゲートは、CD34+集団全体およびCD34+/CD38−集団を指示する。ヒストグラムは、ゲートされた2つの集団に対するCD123標識化を指示する。パネルBは、原発性AML検体に対する同じ分析を示す。ヒストグラム中のM1マーカーは、アイソタイプ対照試料の99%を超える発現レベルを指示している。それぞれの検体に対して、50,000〜100,000事象を分析した。
【図2】図2は5つの原始AML集団でのCD123の発現を示す図である。5つの原発性AML検体はCD34、CD38およびCD123で標識し、フロー・サイトメトリによって分析した。この図は、それぞれの試料からのCD34+/CD38−ゲート集団のCD123標識化を示す。黒い部分はCD123染色を指示し、明るい部分は、アイソタイプ対照抗体を用いた並行した標識化を指示する。ヒストグラム中のM1マーカーは、アイソタイプ対照試料の99%を超える発現レベルを指示している。それぞれの検体に対して、50,000〜100,000事象を分析した。
【図3】図3Aおよび3BはNOD/SCIDマウスでのCD123+AML細胞の移植を示す図である。選別されたCD34+/CD123+原発性AML細胞を、照射したNOD/SCIDマウスに移植した。移植6週間後、骨髄細胞を分離し、ヒト(CD45+)白血病細胞の存在を分析した。パネルAは、ヒト細胞に特異的な抗体を使用した移植検体のCD34対CD45プロフィールを示す。パネルBは、CD45+ゲート・ヒト細胞集団のCD34対CD123プロフィールを示す。それぞれの試料に対して50,000事象を分析した。
【図4】図4は原発性AML検体のCD123およびCD131免疫ブロット分析を示す図である。5つの原発性AML試料を末梢血から得、選別してCD34+集団を分離した。したがって実質的に純粋な白血病試料が保証される。さらに、白血病性細胞系統TF−1(TF−1)および正常な骨髄CD34+細胞(正常CD34+)を対照として含めた。それぞれの集団から溶解液を作り、変性PAGEにかけ、抗CD123抗体(上パネル)または抗CD131抗体(下パネル)を用いて免疫ブロットによって分析した。それぞれのパネルの左側のやじり記号はそれぞれIL−3Rα(CD123)およびIL−3Rβ(CD−131)鎖の位置を指示する。
【図5】図5A、5Bおよび5CはIL−3に応答した信号トランスダクション成分のリン酸化を示す図である。3つの原発性AML試料(レーン1〜3)を末梢血から得、選別してCD34+集団を分離した。試料は、20ng/mlのIL−3で15分間処理してから(+)、または処理せずに(−)溶解し、PAGEにかけた。次いでそれぞれのゲルを電気ブロットにかけ、タンパク質全体またはリン酸化されたタンパク質に特異的な抗体Akt(A)、Stat5(B)およびMek−1(C)を用いて膜を調べた。それぞれのブロット上のレーンCは抗体対照であり、+/−50ng/ml PDGF(AおよびC)で処理したNIH 3T3細胞から、または+/−25ng/ml GM−SCF(B)で処理したTF−1細胞から得た。
【図6】図6A、6Bおよび6Cは原発性ALLでのCD123の発現を示す図である。3つの独立した原発性ALL(急性リンパ性白血病)検体でのCD123発現のフロー・サイトメトリ分析。CD123標識化は塗りつぶされた(黒い)プロットによって示されており、対照は白抜きのプロットによって示されている。
【図7】図7A、7Bおよび7C原発性CMLでのCD123の発現の発現を示す図である。3つの独立した原発性CML(慢性骨髄性白血病)検体でのCD123発現のフロー・サイトメトリ分析。CD123標識化は塗りつぶされた(黒い)プロットによって示されており、対照は白抜きのプロットによって示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、特定の抗原に特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子または免疫グロブリン分子の断片を意味する。抗体は、免疫科学分野の熟練者には周知である。本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、無傷の抗体分子だけを意味するのではなく、抗原との結合能力を維持している抗体分子の断片も含む。このような断片も当技術分野ではよく知られており、in vitroとin vivoの両方でよく使用されている。具体的には、本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、無傷の免疫グロブリン分子だけを意味するのではなく、周知の活性断片F(ab’)2、Fab、Fv、Fd、VHおよびVLをも含む。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「結合」は、直接かまたは間接かに関わらず、指定された受容体または受容体サブユニットに作用する任意の相互作用を意味する。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「選択的に結合する」は、化合物、組成物、処方物などがIL3Rβ鎖とはあまり結合しないが、IL3Rα鎖とは結合することを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「CD123」、「IL3Rサブユニットα」および「IL3Rα」は相互に交換可能に使用され、本明細書で説明するように白血病前駆細胞中では検出されるが、本明細書で説明するように正常細胞では検出されない抗原決定基を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「化合物」は、処方物、組成物、天然の動植物などを含む任意の純度の活性成分を意味する。化合物には、タンパク質、核酸、一本鎖核酸、脂質、炭水化物、抗体などの天然分子を含めることができる。しかし、CD123を結合する限りにおいてこれらの天然分子の合成版も作ることができる。化合物は2種類以上の成分を含むことができる。例えば化合物を、毒素に取り付けられたモノクローナル抗体とすることができる。あるいは、標識に取り付けられた脂質とすることもできる。化合物にはさらに、ミメティックおよびアプタマー(aptamers)を含めることができるが、これらは全てCD123に対する特異性を保持する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「障害する」は、機能性または活性(成長または増殖活性を含む)の低下を意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「血液癌」は血液の癌を指し、特に白血病、悪性リンパ増殖性障害などを含む。「白血病」は、感染との戦いに無力な非常に多くの白血球が作られ、血小板、赤血球などの血液を構成する他の部分をこれらの白血球が押しのける血液の癌を指す。白血病の症例は急性または慢性に分類されることを理解されたい。急性白血病の癌細胞は未熟な段階で阻止される。しかし癌細胞は増え続ける。その結果として、未熟な非機能細胞の大規模な蓄積およびそれに付随した機能細胞の損失が起こる。慢性白血病はゆっくりと進行し、癌細胞は完全に成熟する。さらに、白血球は骨髄性またはリンパ性である。したがって、白血病の形態には例えば、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)および骨髄異形成症候群などがある。「悪性リンパ増殖性障害」は、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、および濾胞性リンパ腫(小細胞型および大細胞型)などのリンパ腫を指す。本発明の目的上、少なくとも血液癌細胞の一部は、CD123を発現した細胞によって特徴づけられる。さらに、本出願の目的上、白血病または悪性リンパ増殖性障害に言及するときには常に、本発明の診断および治療法は一般に血液癌に適用される。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「導入する」は、単純な接触を含む任意の送達手段を意味する。in vivoかin vitroかは問わない。
本明細書で使用するとき、用語「ミメティック(mimetic)」は、化合物が結合することができるCD123上の部位の3次元構造をまねた化合物または分子を意味し、この化合物はあるいは、CD123に結合する分子をまねた分子であることができる。抗CD123抗体結合部位ないしパラトープ、すなわち活性部位の場合には、「ミメティック」が、抗体超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)の任意の組合せの3次元構造をまねた化合物を意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「まねる」は、ミメティックの3次元原子配置について言い、ミメティックの原子とペプチド、抗体などの化合物の結合部位の原子との間に、同様のイオン力、共有結合力、ファンデルワールス力またはその他の力、および同様の電荷相補性または静電相補性が存在すること、ミメティックが、CD123に対して親化合物と同様の結合親和性を有すること、ならびに/あるいはミメティックが、in vitroまたはin vivoでCD123の機能に対して同様の効果を有することを意味する。
【0022】
抗CD123抗体の場合、抗体の抗原結合部分には、当技術分野でよく知られているように、抗原のエピトープと直接に相互作用する相補性決定領域(CDR)およびパラトープの3次構造を維持するフレームワーク領域(FR)がある。H鎖Fd断片とIgG免疫グロブリンのL鎖の両方に、3つの相補性決定領域(CDR1からCDR3)によってそれぞれから分離された4つのフレームワーク領域(FR1からFR4)がある。CDR、特にCDR3領域、特にH鎖CDR3は抗体特異性に対して大きな責任を負う。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「正常」は、病原または病理とは無関係の細胞または状態を意味する。
本明細書で使用するとき、用語「原始」と「前駆」は相互に交換可能である。
【0024】
ポリペプチドおよび抗体に関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に純粋」は、ポリペプチドが、自然界またはin vivo系にあるときに一緒に見つかる他の物質を実質的に、その意図した用途に対して実際的かつ適切な程度にしか含んでいないことを意味する。特にポリペプチドは十分に純粋であり、それらの宿主細胞の他の生物学的成分から十分に分離されており、そのため例えば抗体の生成、配列決定、または製剤の製造に有用である。当技術分野で周知の技法によって、本明細書に開示する核酸およびアミノ酸配列を考慮して、実質的に純粋なポリペプチドを生成することができる。本発明の実質的に精製されたポリペプチドを、薬剤として許容される担体とともに混合して製剤とすることができるので、ポリペプチドが、製剤の重量のうちの小さな割合でしかない場合がある。それでもなお、生体系の中で一緒に存在する物質から実質的に分離されているという意味でポリペプチドは実質的に純粋である。
【0025】
化合物またはミメティックに関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に純粋」は、化合物が、自然界またはin vivo系の中で、あるいは化学合成または他の合成の結果として一緒に見つかる他の物質を実質的に、その意図した用途に対して実際的かつ適切な程度にしか含んでいないことを意味する。特に化合物は十分に純粋であり、それらの宿主細胞の他の生物学的成分から、またはそれらの合成の化学的または物理的成分から十分に分離されており、そのため製剤の製造に有用である。当技術分野で周知の技法(米国特許第5648379号;Colman,P.G.、Protein Science 3:1687−1693、1994;Malby他、Structure 2:733−746、1994;McCoy他、J.MolecularBiol.268:570−584、1997)によって、実質的に純粋な化合物またはミメティックを設計することができる。本発明の実質的に精製された化合物を、薬剤として許容される担体とともに混合して製剤とすることができるので、化合物が、製剤の重量のうちの小さな割合でしかない場合がある。それでもなお、生体系、化学系または他の系の中で一緒に存在する物質から実質的に分離されているという意味で化合物は実質的に純粋である。
【0026】
CD123に結合するミメティック
CD123を標的とする化合物は見つけることができる。ファージ・ディスプレイ・ライブラリ(phage display library)を使用して、CD123に結合するポリペプチドをコード化しているDNAを決定することができる。この方法の原理は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5837500号に開示されている。CD123に結合することができるペプチド以外の分子には核酸およびリポソームがある。CD123を標的とするのに炭水化物を使用することもできる。この化合物は天然の生体分子でなくともよい。このような化学物質は、当技術分野で周知のコンビナトリアル・ライブラリ(combinatorial library)によって作ることができる。検定の目標はCD123への化合物の結合である。リポソームは、ある毒素または他の細胞障害性物質を落ち着かせることができ、または細胞画像化化合物を使用して、CD123を標的とすることができる。白血病の検出および治療に留意しつつ、本発明の方法は、CD123を標的とする限りにおいて、化合物の数多くの変形物および組合せをターゲッティング・エージェントとして企図する。
【0027】
抗CD123抗体のミメティック
抗イディオタイプ技術を使用して、エピトープをまねた化合物またはミメティックを分離しまたはスクリーニングすることもできる。したがって、第1のモノクローナル抗体が結合したエピトープの像である抗イディオタイプ・モノクローナル抗体は抗原として効果的に作用するので、これを使用して、ペプチド・ファージ・ディスプレイ・ライブラリなど、化合物のコンビナトリアル化学ライブラリまたは他のライブラリからミメティックを分離することができる(Scott and Smith、Science 249:386−390、1990;Scott and Craig、Curr.Opin.Biotechnol.5:40−48、1992;Bonnycastle他、J.Mol.Biol.258:747−762、1996)。したがって、核酸、脂質、炭水化物または他の部分を有するものを含め、タンパク質または他の化合物をまねているペプチドまたは拘束されたペプチドをクローン化することができる(Harris他、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)94:2454−2459、1997)。
【0028】
自然界で生じず、したがって異化、排泄または分解に対してより抵抗性の純粋な合成分子は、原子の3次元配置によって、ミメティックの原子と抗原結合部位ないしエピトープの原子との間に、同様のイオン力、共有結合力、ファンデルワールス力またはその他の力、および同様の電荷相補性または静電相補性が存在するように設計することができる。次いで、これらのミメティックを、CD123に結合する高い親和性についてクリーニングすることができる。これらは、CD123を持つ細胞をin vitroまたはin vivoで検出し、かつ/または障害することができる。これについては後に詳細に説明する。
【0029】
診断薬および製剤
本発明はさらに、CD123結合性化合物およびそのミメティックを含む診断または製剤組成物を調製する方法に関する。製剤は、薬剤として許容される担体を含む。本明細書で使用するとき、このような担体は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨害しない非毒性材料を意味する。用語「生理的に許容される」は、細胞、細胞培養、組織、生体などの生体系に適合する非毒性材料を指す。担体の特性は投与経路に依存する。生理的に許容され、かつ薬剤として許容される担体には、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤および当技術分野で周知の他の材料が含まれる。
【0030】
診断および/または製剤応用で使用するために、さまざまな手段によって抗CD123抗体およびミメティックを標識することができる。当業者に周知の多くの異なる標識および標識化方法がある。本発明で使用することができる標識の例としては、酵素、放射性同位元素、蛍光化合物。コロイド金属、化学発光化合物および生物発光化合物などがある。当業者なら、モノクローナル抗体、そのミメティックなどのCD123結合性化合物に結合させるのに適当な他の標識を見いだし、ルーチンの実験を使用してそれらを確認することができよう。さらに、これらの標識のCD123特異的化合物またはそれらのミメティックへの結合は、当業者には一般的な標準技法を使用して達成することができる。
【0031】
抗体の場合には、感度を高めることができる他の標識化技法に、抗体またはミメティックを低分子量のハプテンに結合することから成る技法がある。次いでこれらのハプテンを、第2の反応によって特異的に変更することができる。例えば、アビジンと反応するビオチン、特定の抗ハプテン抗体と反応することができるジニトロフェノール、ピリドキサル、フルオレセインなどのハプテンを使用することは一般的である。
【0032】
診断および治療キット
本発明の検定で使用される材料はキットの構築に理想的に適している。このようなキットは、バイアル、管などの1つまたは複数の容器手段を受け取るよう区画が切られた持運び手段を含むことができる。容器手段はそれぞれ、その方法で使用される別個の要素の1つを含む。例えば、1つの容器手段は、診断目的に適した標識で検出可能な標識が付けられた、またはそのような標識を付けることができるモノクローナル抗体またはそのミメティック、あるいは治療が望まれる場合には細胞毒性または障害性物質などのCD123結合性化合物を含むことができる。診断キットの場合にはキットがさらに、緩衝剤を含む容器、および/または酵素標識、蛍光標識などのリポーター分子に結合させたアビジン、ストレプトアビジンなどのビオチン結合性タンパク質などのリポーター手段を含む容器を有することができる。当然ながら化学材料の他に、キットを使用するための説明手段、好ましくは白血病を診断しまたは治療するための説明手段が含まれる。説明手段は、バイアルや管等の表面、別紙、あるいは容器の内側または外側に書くことができる。説明は、CD、コンピュータ・ディスク、ビデオなど、マルチメディア・フォーマットの形態で提供することもできる。
【0033】
イムノトキシンの調製
当技術分野ではイムノトキシンの調製は一般に周知であるが(例えば、ともに参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4340535号およびEP44167を参照されたい)、イムノトキシンの調製および後の臨床投与のための精製にある好ましい技術を適用することによって、ある利点を達成できることに発明者らは気づいた。例えば、IgGベースのイムノトキシンは一般に、Fab’ベースのイムノトキシンよりも高い結合能力と遅い血液クリアランスを示すが、Fab’断片ベースのイムノトキシンは一般に、IgGベースのイムノトキシンに比べて高い組織侵入能力を示す。
【0034】
さらに、ジスルフィド結合を含み、これを使用してうまく毒素部分を結合因子と連結させることができる数多くのタイプのリンカーが知られているが、薬理学的特性および能力の違いに基づいて、好ましいものとそうでないものとがある。例えば、「立体障害」されたジスルフィド結合を含むリンカーが好ましいのは、in vivoでの安定性が大きく、したがって作用部位に結合する前に毒素部分が遊離してしまうことを防ぐためである。
【0035】
架橋試薬は、2つの異なるタンパク質(例えば毒素と結合物質)の官能基を結びつける分子架橋を形成するのに使用される。2つの異なるタンパク質を段階的に連結するために、不必要なホモポリマー形成を排除するヘテロ二官能性架橋剤を使用することができる。例示的なヘテロ二官能性架橋剤は2つの反応基を含む。1つは、第一級アミン基(例えばN−ヒドロキシスクシンイミド)と反応し、もう1つは、チオール基(例えばピリジルジスルフィド、マレイミド、ハロゲンなど)と反応する。第一級アミン反応基を介して、架橋剤は、1つのタンパク質(例えば選択された抗体または断片)のリジン残基と反応することができ、チオール反応基を介して、すでに第1のタンパク質に結びついた架橋剤が、他のタンパク質(例えばdgA)のシステイン残基(遊離スルフヒドリル基)と反応する。
【0036】
架橋剤のこれらの2つの反応基間のスペーサ・アームは、さまざまな長さおよび化学組成を有することができる。長いスペーサ・アームは連結構成要素の柔軟性を高め、一方、いくつかの特定の架橋構成要素(例えばベンゼン基)は反応基に追加の安定性を与え、またはさまざまな作用に対して高い抵抗性を持つ化学結合を与える(例えば還元剤に抵抗性のジスルフィド結合)。
【0037】
最も好ましい架橋試薬はSMPTである。SMPTは、隣接したベンゼン環およびメチル基によって「立体障害」されたジスルフィド結合を含む二官能性架橋剤である。ジスルフィド結合の立体障害は、組織および血液中に存在するグルタチオンなどのチオール酸アニオンによる攻撃からジスルフィド結合を保護する働きをし、それによって、結合剤によって作用部位へ送達される前に連結がはずれるのを防ぐのに役立つと考えられている。多くの他の周知の架橋試薬と同様に、SMPT架橋試薬は、システインのSHなどの官能基または第一級アミン(例えばリジンのεアミノ基)を架橋させる能力を与える。他の可能なタイプの架橋剤には、スルホスクシンイミジル−2−(p−アジドサリシルアミド)エチル−1,3′−ジチオプロピオナートなどの、開裂可能なジスルフィド結合を含むヘテロ二官能性光反応性フェニルアジドが含まれる。N−ヒドロキシ−スクシンイミジル基は第一アミノ基と反応し、フェニルアジドは(光分解後に)任意のアミノ酸残基と非選択的に反応する。
【0038】
本発明の実施においては「立体障害」された架橋剤が一般に好ましいが、非立体障害リンカーを使用し、それにもかかわらず本発明に基づく利点を実現することもできる。保護されたジスルフィドを含む、または生み出すとは考えられない他の有用な架橋剤には、SATA、SPDPおよび2−イミノチオランが含まれる。このような架橋剤の使用は当技術分野でよく理解されている。
【0039】
連結後には、連結していないA鎖、結合物質などの汚染物質を除去するために連結体を精製することが重要である。連結していないA鎖を除去することが重要なのは、毒性が増大する可能性があるためである。さらに、連結化学種と非連結化学種との間の抗原をめぐる競合の可能性を回避するために、非連結結合物質を除去することも重要である。いずれにしても、後の「実施例」の項にいくつかの精製技法を開示する。これらは、臨床的に有用な純度にまで精製された連結体を提供することが分かっている。最も好ましい技法は一般に、ブルーセファロースおよびゲル濾過またはゲル透過段階の使用を含む。ブルーセファロースは、シバクロンブルー3GAおよびアガロースから成るカラム基質であり、免疫連結体のの精製に有用であることが分かっている。ブルーセファロースの使用は、A鎖結合とのイオン交換の特性と相まって、非連結結合からの連結結合の良好な分離を提供する。
【0040】
ブルーセファロースは、連結体から遊離の(連結していない)結合物質(例えば抗体または断片)を排除することを可能にする。遊離(非連結)毒素(例えばdgA)を排除するためには、従来のゲル濾過手法または高速液体クロマトグラフィーを使用した分子排除クロマトグラフィー段階が好ましい。
【0041】
十分に精製された連結体が用意できたら、これを、非経口的に投与することができる薬剤組成物とすることが望ましい。これは、最後の精製段階として適当な薬剤組成物を有する培地を使用することによって実行される。
【0042】
本発明に基づく適当な薬剤組成物は一般に、所望の連結体を約10mgから約100mg含み、無菌水溶液などの薬剤として許容される希釈剤または賦形剤と混合され、連結体に対して約0.25から約2.5mg/mlの最終濃度を与える。このような処方物は一般に、リン酸緩衝食塩水(PBS)などの緩衝剤、賦形剤などの追加の添加剤、BSA、HSAなどの安定化剤、または塩化ナトリウムなどの塩を含む。非経口投与用のするためには一般に、無菌性、非免疫原性および非発熱性を保証することによって、このような組成物を薬剤として許容されるものとすることが望ましい。このような技法は、参照によって本明細書に含まれるRemington's Pharmaceutical Sciences、16th Ed.Mack Publishing Company、1980に例示されているように当技術分野では一般に周知である。内毒素汚染は最低限、安全なレベル、例えば0.5ng/mgタンパク質よりも低く保たれなければならないことを理解されたい。さらに、ヒトへの投与では、製剤は、FDA Office of Biological Stadardsが求めている無菌性、発熱性、一般安全性および純度標準を満たさなければならない。
【0043】
本発明に基づくイムノトキシンの好ましい非経口処方物は、pH7.5から9.0の0.15M NaCl水溶液1ml中に連結体を0.25から2.5mg含む。この製剤は、−10℃から−70℃で少なくとも1年間、凍結貯蔵することができる。
【0044】
本発明の大部分の治療応用は、CD123白血病マーカへの毒素部分(細胞毒性物質)のターゲッティングを含むことを企図する。これは、大部分の毒素が、潜在的な他の作用物質に比べて、細胞殺滅効果を送達する非常に大きな能力を有するためである。
【0045】
しかし、標的抗原が、イムノトキシンによる効率的な中毒と一致した経路によって内在化しないときなど、サイトカイン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、ホルモンなどの化学療法剤を標的としたい状況が生じる可能性がある。連結した非抗体作用物質よりも優れたこれらの作用物質の利点は、抗体によって提供される追加の選択性である。例えば、ステロイド、シトシンアラビノシド、メトトレキサート、アミノプテリン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ビンカアルカロイド、デメコルチン、エトプシド、ミトラマイシンなどの作用物質を例として挙げることができる。組織への特異的送達のために薬剤作用物質を抗体に取り付けるための技術は十分に確立されているという点で、このリストはむろん例示的なものに過ぎない。
【0046】
本発明で使用される好ましい1つの細胞毒性部分は、例えば抗CD123抗体に結合しまたは連結することができる放射性同位元素である。好ましい放射性同位元素には、211アスタチン、212ビスマス、213ビスマスなどのα放射体、ならびに131ヨウ素、90イット
リウム、177ルテチウム、153サマリウム、109パラジウムなどのβ放射体が含まれる。特に好ましい放射性同位元素は211アスタチンおよび131ヨウ素である。
【0047】
本発明を細胞の画像化に応用することによって、特定の利益を達成することができることが提案される。白血病細胞の画像化は、現在利用可能な画像化技術と比較して、細胞に容易にアクセスできるという大きな利点を提供すると考えられる。
【0048】
さらに、常磁性、放射性かつ発蛍光性のイオンを抗体に取り付けるための技術は十分に確立されている。これらの方法の多くは、例えば抗体に取り付けられたDTPAなどの有機キレート剤を使用した金属キレート錯体の使用を含む(例えば米国特許第4472509号を参照されたい)。本発明の文脈では、抗体によって選択イオンが癌の領域を狙い、取り付けられたイオンによって画像化を進める。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明の方法において、組換えDNA技術の使用などによる組換え体手段によって抗体をさらにタンパク質エフェクター分子に融合して、抗体とエフェクター分子の両方をコード化した核酸を生み出し、E.coliなどの宿主細胞中でそのDNA配列を発現させる。キメラ・タンパク質をコード化しているDNAを、当業者に周知の任意のクローニング手法によって、cDNAまたはゲノム形態にクローン化することができる。例えば、参照によって本明細書に取り込まれる、Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1989)を参照されたい。
【0050】
さまざまな標識への抗体の融合または連結によって、抗体が検出される特定の分子を持った細胞または組織の有無を検出するのに使用することができる非常に特異的な検出可能マーカーが生み出される。あるいは抗体を、他の特異的結合部分であるエフェクター分子、例えば先に説明したようなリガンドに化学的に連結または融合させることができる。この形態で組成物は、非常に特異的な二官能性リンカーとして作用する。このリンカーは、融合タンパク質が結合する細胞または細胞構成要素間の相互作用を結合し強化する働きをすることができる。したがって例えば、融合タンパク質が、抗体または抗体断片(例えば抗体のFv断片)に接合された成長因子である場合、抗体は、抗原陽性の癌細胞に特異的に結合することができ、成長因子は、免疫細胞の表面の受容体と結合する。したがって融合タンパク質は免疫応答を強化し、標的癌細胞に向かって免疫応答を導くように作用することができる。
【0051】
in vitro検出および診断
CD123に結合する化合物およびそれらのミメティックを使用する方法は、それらを液相中で、または固相担体に結合させて利用することができるin vitroでの使用、例えばイムノアッセイに適している。さらに、これらのイムノアッセイのモノクローナル抗体には、さまざまな方向で検出可能な標識を付けることができる。モノクローナル抗体およびそれらのミメティックを利用することができるタイプのイムノアッセイの例は、直接または間接フォーマットの競合および非競合イムノアッセイである。このようなイムノアッセイの例は、ラジオイムノアッセイ(RIA)およびサンドイッチ(イムノメトリック)アッセイある。モノクローナル抗体およびそれらのミメティックを使用した抗原の検出は、生理的試料に対する免疫組織化学検定を含む、フォワード、リバースまたは同時モードで実行されるイムノアッセイを利用して実施することができる。当業者は、それほど多くの実験をしなくても他のイムノアッセイ・フォーマットを見いだし、またはそれらの容易に理解することができよう。
【0052】
CD123を結合する化合物およびミメティックを多くの異なる担体に結合させることができ、これらを使用して、CD123を持つ、前駆細胞を含む白血病細胞の存在を検出することができる。周知の担体の例には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよび磁鉄鉱が含まれる。本発明の目的上、担体の性質は可溶性であることも、または不溶性であることもできる。当業者であれば、さまざまな化合物を結合させるための他の適当な担体を見いだし、またはルーチンの実験を使用してそれらを確認することができよう。
【0053】
本発明の目的上、CD123は、化合物およびそれらのミメティックによって体液および組織中に存在するときに検出されることができる。検出可能な量のCD123エクトペプチドを含む任意の試料を使用することができる。試料は、尿、唾液、脳脊髄液、血液、血清などの液体、組織、便などの固体または半固体、あるいは組織診で一般的に使用されている固体組織とすることができる。
【0054】
CD123のin vivo検出
CD123のin vivo検出におけるCD123結合性化合物およびミメティックの使用では、検出可能に標識された化合物またはそのミメティックが診断上有効な用量で与えられる。用語「診断上有効」とは、モノクローナル抗体、ミメティックなどの検出可能に標識された化合物の量が、化合物またはミメティックが特異性を有する白血病細胞を検出できる十分な量で投与されることを意味する。
【0055】
投与される検出可能に標識された化合物またはミメティックの濃度は、CD123またはCD123を持つ白血病細胞への結合が背景に比べて検出できる十分なものでなければならない。さらに、最もよい標的−背景信号比を与えるために、検出可能に標識された化合物またはミメティックが循環系から速やかにクリアされることが望ましい。
【0056】
概して、検出可能に標識された化合物またはミメティックのin vivo診断用の用量は、年齢、性、病気の程度などの因子によって変化する。化合物の用量は、約0.01mg/kgから約500mg/kg、好ましくは約0.1mg/kgから約200mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kgから約10mg/kgである。用量は例えば、複数回の注入をするかどうか、検定対象の組織、および当業者に周知の他の因子などに応じて変化する。
【0057】
in vivo診断画像化では、使用可能な検出機器のタイプが、適切な放射性同位元素を選択する際の主な因子である。選択される放射性同位元素は、所与のタイプの機器で検出可能な崩壊の型を有していなければならない。in vivo診断用の放射性同位元素を選択する際に重要な他の因子は、放射性同位元素の半減期が十分に長く、そのため標的による最大取込みの時点で依然として検出可能であり、かつ半減期が十分に短く、そのため宿主に対する有害な放射が許容される範囲にとどまることである。in vivo画像化に使用される放射性同位元素が粒子を放出せず、従来のガンマ・カメラによって容易に検出することができる140〜250keV範囲の多数の光子を生み出すことが理想的である。
【0058】
in vivo診断では、放射性同位元素を化合物に直接に、または中間官能基を使用して間接的に結合させることができる。金属イオンとして存在する放射性同位元素を結合するのにしばしば使用される中間官能基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの二官能性キレート剤である。本発明のモノクローナル抗体およびミメティックに結合させることができる金属イオンの代表例は、111In、97Ru、67Ga、68Ga、72As、89Zr、99mTc、123Iおよび201Tlである。
【0059】
本発明の診断方法では、in vivo診断の目的で化合物およびミメティックを、磁気共鳴画像法(MRI)、電子スピン共鳴法(ESR)の場合のように常磁性同位元素で標識することもできる。一般に、診断画像化を視覚化するための従来の任意の方法を利用することができる。通常、カメラ画像化には、γ線および陽電子を放出する放射性同位元素を使用し、MRIには常磁性同位元素を使用する。このような技法に特に有用な元素には、157Gd、55Mn、162Dy、52Crおよび56Feが含まれる。
【0060】
本発明の細胞監視法では、化合物およびミメティックをin vitroおよびin vivoで使用して、白血病治療の経過を監視する。したがって例えば、このような病気に関連した生体分子の増加または減少、あるいは体内または各種体液中に存在するCD123エクトペプチドまたはCD123を持つ白血病細胞の濃度変化を測定することによって、上記の白血病の改善を目的とした特定の治療レジーメンが有効かどうかを判定することができよう。
【0061】
白血病の予防および治療
CD123特異的化合物を、ヒトおよび他の動物の白血病の治療に使用することもできる。本発明の方法に関連して本明細書で使用するとき用語「治療上」または「治療」は、抗CD123モノクローナル抗体、それらのミメティックなどのCD123結合性化合物を使用することを指示し、予防的投与と治療的投与の両方を意味し、さらに、実質的に精製されたポリペプチド生成物およびミメティックを用いた受動免疫法と前記生成物またはその一部分をコード化したポリヌクレオチド配列の移植による遺伝子治療の両方を意味する。したがって、化合物およびミメティックは、白血病再発の可能性および/または重症度を軽減するために危険の高い被検者に投与することができ、または活動性の白血病をすでに明白に示している被検者に投与することができる。
【0062】
ある応用では、薬理学的作用物質が、化合物、特に白血病細胞を殺し、あるいはその成長または細胞分裂を抑制する能力を有する細胞毒性物質またはその他の反細胞作用物質に取り付けるための有用な作用物質として役に立つことが予想される。一般に本発明は、CD123結合性化合物に連結することができ、標的細胞に活性な形態で送達することができる薬理学的作用物質の使用を企図する。例示的な反細胞作用物質には、化学療法剤、放射性同位元素および細胞毒が含まれる。化学療法剤の場合には、ステロイドなどのホルモンなどの作用物質;シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキサート、アミノプテリンなどの代謝拮抗物質;アントラサイクリン;マイトマイシンC;ビンカアルカロイド;デメコルチン;エトポシド;ミトラマイシン;カリキアミシン、CC−1065およびその誘導体、クロラムブシル、メルファランなどのアルキル化剤が特に好ましいと発明者は考える。他の実施形態は、凝集剤、サイトカイン、成長因子、細菌内毒素または細菌内毒素のリピドA部分などの作用物質を含む。いずれにしても、このような作用物質を必要に応じて、周知の連結技術を使用して、血液成分の標的白血病細胞の部位へのそれらのターゲッティング、内部移行、放出または提示が可能な方法で抗体にうまく連結することができると考えられる。
【0063】
他の好ましい実施形態では、治療に適用する細胞毒性物質が一般に、A鎖毒素、リボソーム不活化タンパク質、αサルシン、アスペルギリン、レスチリクトシン、リボヌクレアーゼ、ジフテリア毒素またはシュードモナス属菌体外毒素などの植物、真菌または細菌由来の毒素を含む。 毒素−抗体構築体の使用は、それらの抗体への取付けと同様にイムノトキシン分野ではよく知られている。これらのなかで、抗体へ取り付けるのに特に好ましい毒素は、脱グリコシル化されたリシンA鎖である。脱グリコシル化されたリシンA鎖が好ましいのは、その極端な効力、より長い半減期のためであり、臨床的な等級および規模を製造することが経済的に可能であるためである。
【0064】
他の好ましい実施形態では、細胞毒性物質を放射性同位元素とすることができる。好ましい放射性同位元素には、211アスタチン、212ビスマス、213ビスマスなどのα放射体、ならびに131ヨウ素、90イットリウム、177ルテチウム、153サマリウム、109パラジウムなどのβ放射体が含まれる。
【0065】
本明細書で使用するとき、化合物の「治療上有効な量」とは、白血病の症状を軽減し、または白血病の発症の可能性を小さくするという所望の効果を生み出すのに十分な用量である。しかし治療上有効な量は、過粘稠度症候群、肺水腫、うっ血性心不全などの有害な副作用を引き起こすほどの量ではない。治療上有効な量は一般に、被検者の年齢、状態、性別、病気の程度によって変化し、当業者はこれを決定することができる。合併症の場合には個々の医師または獣医が用量を調節することができる。治療上有効な量は、1日または数日にわたる日に1回または数回の投与で、約0.01mg/kgから約500mg/kg、好ましくは約0.1mg/kgから約200mg/kg、より好ましくは約0.2mg/kgから約20mg/kgである。
【0066】
本発明の方法では、化合物およびそれらのミメティックを、注射、または時間をかけた緩やかな注入によって投与することができる。化合物およびそれらのミメティックの投与は例えば、静脈内、腹腔内、筋内、腔内、皮下または経皮投与とすることができる。
【0067】
非経口投与用の製剤には、無菌の水性または非水性溶液、懸濁液およびエマルジョンが含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体には、食塩水および緩衝媒質を含む、水、アルコール性/水性溶液、エマルジョンまたは懸濁液が含まれる。非経口用賦形剤には、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロース/塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルまたは固定油が含まれる。静脈内用賦形剤には、液体および栄養補給液、電解質補給液(リンゲルのデキストロースなどを基にしたものなど)が含まれる。例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの保存剤および他の添加剤も存在することができる。
【0068】
この病気の特定の臨床的状態に応じ、投与は、容認されている任意の全身送達系、例えば経口経路、静脈内、筋内、皮下または経皮経路などの非経口経路、または膣、眼、鼻経路を介して、例えば錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤、クリーム、ゲル剤、インプラント、パッチ、膣坐剤、エーロゾル剤、洗眼剤、エマルジョンなどの固体、半固体または液体の剤形、好ましくは固定用量を容易に投与するのに適した単位剤形で実施することができる。製剤組成物は、従来の担体または賦形剤およびCD123結合性化合物を含み、さらに、他の医用作用物質、薬剤用物質、担体、佐剤などを含むことができる。
【0069】
所望ならば、投与する薬剤組成物にさらに、湿潤剤、乳化剤、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンなどのpH緩衝剤などの小量の非毒性補助物質を含めることができる。
【0070】
本発明の化合物は一般に、CD123結合性化合物とともに薬剤賦形剤を含む薬剤組成物として投与される。処方物中の薬物の量は、当業者が使用する全範囲の中で変化させることができる。例えば、処方物全体に対して薬物を約0.01重量パーセント(wt%)から約99.99wt%、賦形剤を約0.01wt%から99.99wt%とすることができる。
【0071】
先に述べた条件に対して好ましい投与形態は、従来の投与レジメンを使用した経口投与である。投与レジメンは、病訴の程度に基づいて調節することができる。前記経口投与では、製剤等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、タルク、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどの現在使用されている賦形剤に、選択したCD123結合性化合物を組み込むことによって、薬剤として許容される非毒性組成物を形成する。このような組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、徐放性製剤などの形態をとる。このような組成物は、本発明に基づく活性化合物を約0.01wt%から99.99wt%含むことができる。
【0072】
この組成物は、糖でコーティングされた丸剤または錠剤の形態を有し、したがって、活性成分とともに、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなどの希釈剤、デンプンおよびその誘導体などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、デンプン、ポリビニルピロリドン、アカシア・ゴム、ゼラチン、セルロースおよびその誘導体などの結合剤を含むことが好ましい。
【0073】
「薬剤組成物」は、CD123結合性化合物を、白血病を診断しまたは治療する目的で投与される物質として処方することを意味することを理解されたい。白血病の診断または治療物質としての目的とは異なる目的の試験化合物として投与するために使用する組成物は「薬剤組成物」には含まれない。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0074】
最近のいくつかの研究は、AMLの発生および永続化における幹細胞の存在およびその重要性を示唆している。表現型で言えば、CD34+/CD38−またはCD34+/HLA−DR−と記述される細胞が、白血病細胞集団の発生の中心的な役割を演じているように見える(Bonnet D.他、Human acute myeloid leukemia is organized as a hierarchy that originates from a primitive hematopoietic cell.Nat.Med.1997、3:730−737;Blair A.他、Most acute myeloid leukemia progenitor cells with long−term proliferative ability in vitro and in vivo have the phenotype CD34(+)/CD71(−)/HLA−DR−、Blood 1998、92:4325−35)。さらに、このような細胞が化学療法薬に比較的に抵抗性であり、したがって結果的に再発の現象に寄与することを示唆する証明がある(Terpstra W.他、Fluorouracil selectively spares acute myeloid leukemia cells with long−term growth abilities in immunodeficient mice and in culture、Blood 1996、88:1944−50)。したがって、LSCのより深い理解および独特なLSC抗原の特性付けがAMLのより良い治療の発展に不可欠である。
【0075】
さまざまなAML亜型が、発生特性、表現型、サイトカイン応答性などに関して相当な多様性を示すが、より原始的な白血病細胞のレベルには顕著な機能性の保存があるようである。この特徴は、NOD/SCIDマウスにおける白血病の確立にはCD34+/CD38−亜集団があれば十分であることを示したBonnet他の研究によって証明された(Bonnet D.他、Human acute myeloid leukemia is organized as a hierarchy that originates from a primitive hematopoietic cell.Nat.Med.1997、3:730−737)。他の研究者による同様の研究が、AMLとCMLの両方に対して白血病幹細胞の存在を裏付け、それらの比較的に均質な表現型および機能能力を確認した(Blair A.、Hogge他、Most acute myeloid leukemia progenitor cells with long−term proliferative ability in vitro and in vivo have the phenotype CD34(+)/CD71(−)/HLA−DR−、Blood 1998、92:4325−35;Holyoake T.他、Isolation of a highly quiescent subpopulation of primitive leukemic cells in chronic myeloid leukemia、Blood 1999、94:2056−64)。しかし、現在までのところ、それらの識別または除去治療のための優先ターゲッティングを可能にする骨髄性LSCの抗原特徴を識別した研究はない。本報告で我々は、正常な造血幹細胞からの識別を容易にする、CD34+/CD38−AML幹細胞の追加の共通性を識別した。それがCD123の発現である。AML細胞上でCD123抗原は高いレベルで容易に検出されたが、IL−3受容体β鎖であるCD131は検出されなかった。
【0076】
我々の実験によれば、転写因子IRF−1(インターフェロン調節因子1)は過剰発現する(調査した6つの原発性AML検体の全てで)。Korpelainen他の以前の研究によれば、IFN−γを用いた内皮細胞の治療の結果、CD123のアップレギュレーションが生じる(Korpelainen EI他、Interferon−gamma upregulates interleukin−3(IL−3)receptor expression in human endothelial cells and synergizes with IL−3 in stimulating major histocompatibility complex class II expression and cytokine production.Blood 1995、86:176−82)。同様に我々自身の研究によれば、IFN−γを用いた原発性AML細胞の治療はCD123の発現を増大させる(データは示さない)。したがって、インターフェロン調節分子の異常な発現は、AML細胞でのCD123発現を制御する際に役割を果たす可能性がある。
【0077】
CD123抗原の発現は形式上、LSCが正常な幹細胞とは生物学的に異なっていることを示す。CD123は、正常な造血幹細胞上では容易には見つからないので、悪性の組織を識別する目的に使用することができる固有のマーカーとなる。この特徴は、研究目的ならびにMRD(minimal residual disease)研究において有用である可能性がある。さらに、CD123エピトープは、治療戦略の対象とすることができる標的となる。以前の臨床試験では、in vivoでAML細胞に放射性同位元素を送達する手段としてモノクローナル抗体を、CD33およびCD45抗原に対して使用した(Appelbaum FR.、Antibody−targeted therapy for myeloid leukemia.Semin Hematol 1999、36:2−8)。さらに、最近のいくつかの研究では、CD20、CD52、Her−2などの悪性細胞上の抗原に特異的なモノクローナル抗体を使用して刺激的な結果が示された(Maloney DG.、Advances in immunotherapy of hematologic malignancies.Curr Opin Hematol 1998;5:237−43;Sikic BI.、New approaches in cancer treatment.Ann Oncol 1999、10 Suppl6:149−53)。同じ論法でCD123に対する抗体が有用である可能性があり、その抗体によって、白血病性幹細胞集団を特異的に標的とする細胞毒性ヒットを送達することができよう。
【0078】
我々は、広範囲にわたる白血病の幅広い範囲のヒト検体から、CD123が、原始白血病細胞を識別するための固有の抗原マーカーとなることを示した。我々の研究によれば、CD123は一般に高レベルで発現し、それは、白血病生物学のこれまで特徴付けられなかった側面を示すことができる。
【0079】
以下の非限定的な実施例で本発明をさらに説明する。これらの実施例は単に例示のためのものであって、本明細書に記載の材料、条件、プロセス・パラメータなどに関して請求の発明を限定するものではない。
【実施例】
【0080】
実施例1−材料および方法:細胞の処理
原発性AML細胞は、患者の末梢血または骨髄から得た。正常な骨髄は、病理分析または外科的な骨髄採取後の廃棄物として、あるいはNDRI(National Disease Research Interchange)から得た。骨髄細胞は、150mM NH4Cl+10mM NaHCO3に5分間漬け、リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄することによって赤血球を除去した。血球は、Ficoll−Paque(Pharmacia)密度勾配分離にかけ、単核白血球画分を分離した。骨髄または血液から得られた白血球を次いで、免疫親和性選択および/あるいはフロー・サイトメトリ分析または選別に使用した。CD34+細胞の選択には、Miltenyi免疫親和性装置(varioMACS)をメーカの説明書に従って使用した。場合によっては、白血球を、Iscoves修正ダルベッコ培地(IMDM)、40%ウシ胎児血清(FBS)および10%ジメチルスルホキシド(DMSO)から成る冷凍培地中で、5×107細胞/mlの濃度で低温保存した。
【0081】
実施例2−フロー・サイトメトリ
サイトカイン受容体を、以下のモノクローナル抗体で標識することによって検出した:CD114−ビオチン、CD116−FITC、CD123−PE、CD131−ビオチン(以上全てPharmingen)、CD117−PE(Coulter)およびCD135−PE(Caltag)。続いてストレプトアビジン−PE(SA−PE、Becton Dickinson)で標識することによって、ビオチニル化した抗体を視覚化した。原発性AML亜集団は、CD34−FITCまたはCD34−PEをCD38−APC(Becton Dickinson)と組み合わせて使用して識別した。原発性AML細胞は、NOD/SCIDマウス中でヒト細胞に特異的なCD45−PE(Pharmingen)を使用して識別した。NOD/SCIDマウスに移植された細胞を分析するため、移植後6〜8週に骨髄を採取した。細胞は、抗Fe受容体抗体2.4G2および25%ヒト血清を用いて阻止し、続いてヒト特異的CD34−FITCおよびCD45−PE抗体で2重標識する。対照試料は非移植マウスの骨髄細胞から成る。CD123抗原の持続的発現を保証するために、場合によっては細胞をさらにCD123−PEで標識した。それぞれの検体に対して50,000〜100,000事象を分析した。この方法を使用すると、ヒト細胞を、0.1%という低い頻度まで確実に検出することができた。陽性細胞が0.1%未満の分析は陰性とみなした。
【0082】
実施例3−免疫ブロット
細胞試料は、1%NP−40、0.5%デオキシコラート、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMバナジウム酸ナトリウム(Na3VO4)、30μlアプロチニン(Sigma)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(Sigma)、1μg/mlペプスタチンおよび1μg/mlロイペプチン(Oncogene Reseach)を含むPBS中で、2×107細胞/mlの濃度で溶解し、氷上で30分間培養し、15,000×gで10分間遠心分離して破片を除去した。次いで、得られたタンパク質溶解液を等分して−80℃で保存した。免疫ブロット分析では、タンパク質溶解物を解凍し、試料緩衝液および還元剤(Novex、米カリフォルニア州San Diego。メーカの説明書に従った)と混合し、70℃で10分間加熱した。次いで試料は直ちに、変性PAGE(Novex、4〜12%ビス−トリスまたは7%トリス−アセタートゲル)によって、4×105細胞/レーン相当量を使用して分析した。電気泳動に続いて、試料を、immobilon−P膜(Millipore)上に電気移植し、指示された抗体を用いて調べた。CD123(IL−3Rα鎖)を検出するために、抗体S−12(Santa Cruz Biotech)または9F5(Pharmingen)を使用した。MekおよびAktの分析では、New England Biolabsのタンパク質特異的およびリンタンパク質特異的ウサギ・ポリクローナル抗体を使用した。抗Stat5ポリクローナル(Transduction Labs)および抗phospho−Stat5(New England Biolabs)を使用して、Stat5のリン酸化状態を分析した。全ての一次抗体は、アルカリフォスファターゼを連結した二次抗体(Santa Cruz Biotechnology)およびECF試薬(Pharmacia Biotech)をメーカの指示に従って使用して検出した。ブロットは、Molecular Dynamics STORM860システムおよびImagequant(商標)Softwareを使用して視覚化した。
【0083】
実施例4−NOD/SCIDマウス検定
NOD/SCIDマウス(Jackson Laboratories、米メイン州Bar Harbor)を、137Cs源からの225ラドのγ照射に暴露した。検定する細胞は、2%FBSを含む0.25mls HBSS(ハンクス平衡塩類溶液。Gibco)中に再懸濁させ、尾静脈に点滴注入した。選別されたいくつかの集団の分析のため、1×106個の照射(2500ラド)マウス骨髄細胞を担体として一緒に注入した。6〜8週後に動物を死亡させ、フロー・サイトメトリ(上記参照)を使用して骨髄を分析し、ヒト細胞の存在を調べた。
【0084】
実施例5−結果
サイトカイン受容体の分析は、原始白血病細胞でのCD123の強い発現を示すが、正常細胞については示さない。多パラメータ・フロー・サイトメトリを使用して、悪性造血細胞の成長に以前に関係したサイトカイン受容体の発現を分析した。いくつかの受容体が興味深い抗体標識パターンを表したが、観察された最も印象的な特徴は、原発性AML検体の間でCD123(IL−3Rα鎖)の発現レベルが著しく高く、よく保存されていることであった。図1に、正常組織および白血病組織のCD123標識化の代表例を示す。図1Aには、正常な骨髄全体およびより原始的なそのサブセットがCD123発現に関して示されている。骨髄全体は概して、CD123に対して約7%の陽性細胞を有するが、集団の約1%しか高レベルで抗原を発現しない(図1Aのはめ込みを参照のこと)。正常な骨髄のCD34+集団も、造血性前駆細胞を含むことが知られているに対して予想されるとおりに、容易に明らかなCD123発現を有する(12%、図1Aの右側のヒストグラム)。図示の標識化プロフィールは、やはりヒトCD34+細胞上のIL−3Rαレベルを調べたSato他の以前の研究とよく一致している(Sato N他、Expression and factor−dependent modulation of the interleukin−3 receptor subunits on human hematopoietic cells.Blood 1993、82:752−61)。しかし、より原始的なCD34+/CD38−画分は、CD123をあまり発現していない(<1%)。対照的に、原発性AML細胞(図1B)は高レベルのCD123を発現した。CD34+集団全体とより原始的なCD34+/CD38−画分の両方で、99%超の細胞がCD123陽性であった。図2に、CD34+/CD38−AML細胞上のCD123標識化の追加の5例を示す。やはり白血病集団上でのこの抗原の強い発現が見てとれる。表1に、AML細胞型に対して現在までのところ実施された実験をまとめた。この表には、AMLの亜型M1、M2およびM4の原始細胞のCD123レベルが示されている。調査した18の原発性AML検体のうち、2例を除く全ての検体で原始白血病細胞上にCD123が強く発現した。CD123レベルの低かった2つの試料(試料AML−11およびAML−14、表1)はともに、CD123発現で均一なシフトを表したが、全体的な標識化強度は検定した大部分の試料よりも暗かった。多くのケース(18試料中9試料)で、CD123陰性の細胞は実質的に検出されなかった(0%または1%未満)。反対に、5つの正常なCD34+/CD38−細胞試料では、その3つでCD123の発現が検出されず、残りの2つの検体もわずか(<1%)に検出されただけであった。この結果が、特定の抗体の使用によって生じたアーチファクトでないことを保証するため、別の2種類の抗CD123モノクローナル抗体を使用してこれらのフロー・サイトメトリ分析を確認した。
【0085】
調査した全てのAML亜型で高レベルのCD123発現が見つかったことは、IL−3Rαが、白血病状態を生み出しまたは維持することに中心的な役割を演じている可能性があることを意味している。IL−3に対する高親和性受容体を形成するためには、α鎖とβ鎖(それぞれCD123およびCD131)の両方が必要である。したがって、フロー・サイトメトリによってAML検体のCD131発現も調べた。興味深いことに、バルクAML集団ではいくらかの発現が見られたが、15検体の全てのCD34+画分でCD131は検出されなかった(データは示さない)。
原発性ALLおよび原発性CML細胞ならびに非ホジキンリンパ腫でのCD123発現を示す別のデータを、実施例8および10で論じる。
【0086】
実施例6−NOD/SCIDマウス中のヒトCD123+白血病細胞のin vivo移植特性
LSC集団を表現型上含む大多数の細胞で強いCD123発現が観察されたことから、CD123がLSCのマーカーとして有用であろうと思われた。そのため、CD123+細胞の機能的能力を確立するために、NOD/SCIDマウス・モデル系を使用した移植研究を実施した。CD34+/CD123+細胞をフロー・サイトメトリによって選別し、それらを、照射したNOD/SCIDマウスに移植することによって、3つの原発性AML検体(表1のAML−2、5および15)を検定した。さらに、集団中の残りの細胞(CD34−/CD123+/−)も並行して選別し移植した。図3のデータは、白血病細胞の強い移植を示した1つの検体の移植後6週の代表的な例である。パネルAは、ヒトCD34およびCD45に特異的な抗体で標識した骨髄細胞全体を示す。このフロー・サイトメトリ・プロフィールは、ヒト細胞(CD45+)の大集団が骨髄に存在することを明らかに指示している。さらに、この集団は、元々の白血病検体に見られたCD34標識化の割合と同様に、CD34+サブセットとCD34−サブセットの間で分割されている。パネルBに、CD45+細胞だけでゲートした同じ骨髄試料を示す。このデータは、in vivoで増殖した全ての細胞がCD123陽性であることを指示している。表2に、検査した3つの検体のデータをまとめた。全てのケースで、CD123+細胞はNOD/SCID動物に移植することができた。さらに、1例を除き、CD123−集団はin vivo再生に寄与しなかった。したがって、NOD/SCIDモデルによって明確にされたとおり、我々は、CD123がLSC上で発現すると結論する。
【0087】
最後に、CD123陽性細胞の白血病の起源を確認する独立した手段として、フロー・サイトメトリを使用して、2つの白血病検体からCD34−/CD123+細胞を選別した。これらの試料を4日間培養し、同期させ、次いで細胞遺伝学的分析のため回収した。それぞれの検体からの拡散の調査は、20中期の全てが白血病特異的転座に対して陽性であることを示した。
【0088】
実施例7−白血病細胞中でのCD123発現の生物学的役割
フロー・サイトメトリによって得られたデータをさらに裏付けるため、免疫ブロット研究を実施してIL−3R信号トランス濁ション成分を分析した。これらの研究では、それぞれのAML試料を末梢血検体から得、それを選別してCD34+集団を分離した。したがって実質的に純粋な白血病試料が保証される。最初に、IL−3Rαおよびβ鎖の発現を調べた。図4に示したデータ(上パネル)は、CD123に関して、検定した全ての白血病試料で発現したことを明らかに示している。正常な骨髄(レーン2、CD34+)から得たCD34+細胞も弱い信号を示している。これは、正常なCD34+細胞がしばしば小数のCD123+細胞を含むことを示す図1Aのデータと一致している。しかし、正常細胞のより原始的なCD34+/CD38−サブセットでは、フロー・サイトメトリによってCD123の発現は検出されなかった(図1Aおよび表1)。それらの低い頻度のため、免疫ブロットによる直接分析用の正常またはAML起源の十分なCD34+/CD38−細胞を得ることはできない。それにもかかわらず、CD34+集団全体の明瞭な信号の検出は、フロー・サイトメトリによって見られるAML細胞の強い信号を裏付けている。留意すべき他の点は、CD123バンドの分子量が、AML試料間でわずかに変動するように見える点である。我々は、同じ検体のRT−PCRフィンガープリント分析を実施し、明らかな異常を認めなかった(データは示さない)。したがって、この観察の最も有望な説明は翻訳後修飾の程度の変動であるように思われる。フロー・サイトメトリによって得られた結果と一致して、CD131の発現は検出されなかった(図4の下パネル)。
【0089】
CD123の機能上の潜在的な役割を調べるため、我々は、IL−3に対する原発性AML細胞の応答を調べた。一般に、IL−3を用いて造血細胞を刺激すると、よく特徴づけられたいくつかの細胞内信号トランスダクション事象が起こる(Hara T他、Function and signal transduction mediated by the interleukin 3 receptor system in hematopoiesis.Stem Cells 1996、14:605−18)。これらの事象間でのMek−1、AktおよびStat−5のリン酸化は一般的である(Songyang Z他、Interleukin 3−dependent survival by the Akt protein kinase.Proc Natl Acad Sci USA 1997、94:11345−50;Yagisawa M他、Signal transduction pathways in normal human monocytes stimulated by cytokines and mediators:comparative study with normal human neutrophils or transformed cells and the putative roles in functionality and cell biology.Exp Hematol 1999、27:1063−76;Sutor SL他、A phosphatidylinositol 3−kinase−dependent pathway that differentially regulates c−Raf and A−Raf.J Biol Chem 1999、274:7002−10;de Groot RP他、Regulation of proliferation,differentiation and survival by the IL−3/IL−5/GM―CSF receptor family.Cell Signal 1998、10:619−28)。したがって、これらのタンパク質に対して免疫ブロット研究を実施して、IL−3刺激のある場合またはない場合で、リン酸化の程度を評価した。図5に示したデータによれば、IL−3がない場合にはAktおよびStat5の検出可能なリン酸化は見られず、Mek−1では中位のリン酸化レベルしか見られない。さらに、検定したどのタンパク質でも、IL−3刺激に応答したリン酸化の増大はあまり見られない。これらの結果は、原発性AML細胞の表面に存在するCD123が、従来のIL−3媒介経路を介した信号トランスダクションにあまり寄与していないことを示唆している。
【0090】
実施例8−原発性ALLおよび原発性CML細胞でのCD123発現
実施例1から4で説明したのと同様の実験プロトコルに従って、原発性ALLおよび原発性CML細胞でのCD123の発現をフロー・サイトメトリによって検定した。結果は、実施例5の原発性AMLでのCD123の発現で得られた結果と一致していた。図6A、6Bおよび6Cは、原発性ALL細胞がCD123を発現することを再現的に示している。さらに、図7A、7Bおよび7Cは、原発性CML細胞がCD123を発現することを再現的に示している。
【0091】
実施例9−CD123標的補体殺害検定
補体殺害検定(complement−kill assay)(参照によってその全体が本明細書に組み込まれる「Current protocols in Immunology」、John Coligan、Ada Kruisbeek、DavidMargulies、Ethan Shevach、およびWarren Strober編、John Wiley and Sons publishing社刊、1992)を使用することによって、この実験は、CD123+細胞が優先して標的となることを示す。この実験で、我々は、代表的なAML検体(すなわちCD123+)を正常な骨髄試料と比較した。それぞれの検体に対して、無処理の対照、補体だけで処理された試料および抗CD123+補体で処理した試料がある。表3に示すように、AML検体に対しては実質的な補体殺害効果があるが、正常な骨髄に対してはない。このことは試料全体に対しても、より原始的なCD34+細胞に対しても言える。したがって、この実験は、CD123に対する特異性に関して、正常細胞に対する効果と白血病細胞に対する効果の間に違いがあることを示している。
【0092】
実施例10−リンパ腫細胞でのCD123発現
組織切片の免疫組織化学的分析は、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」がCD123の発現に対して強く陽性であることを示した。これは、非ホジキンリンパ腫の最も一般的な形態である。したがってB細胞由来の癌では、CD123の発現が、CD123がALL細胞でも観察されたことと一致している(すなわち他のタイプのB細胞癌)。この観察はB細胞リンパ腫を、CD123を使用した治療および診断のための標的として直接に識別する。
【0093】
引用した文献は全て、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
当業者なら、ルーチンの実験だけを使用して、本明細書に詳細に記載した本発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識し、または確認することができよう。このような等価物は上記請求項の範囲に含まれるものとする。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液癌の治療を必要としている患者の血液癌を治療するための方法であって、血液癌前駆細胞の障害を引き起こすのに有効な量のCD123に選択的に結合する化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
化合物が抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物がさらに細胞毒性物質を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
細胞毒性物質が放射性同位元素である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
放射性同位元素が、211アスタチンおよび131ヨウ素から成るグループから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
障害が細胞死である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
血液癌が白血病または悪性リンパ増殖性疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、メロディスプラスティック症候群、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄異形成症候群から成るグループから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
悪性リンパ増殖性疾患がリンパ腫である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
リンパ腫が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、および濾胞性リンパ腫(小細胞型および大細胞型)から成るグループから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
血液癌前駆細胞を障害するための方法であって、血液癌前駆細胞を、その細胞の障害を引き起こすのに有効な量のCD123に選択的に結合する化合物と接触させることを含む方法。
【請求項12】
化合物が抗体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
化合物がさらに細胞毒性物質を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
細胞毒性物質が放射性同位元素である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
放射性同位元素が、211アスタチンおよび131ヨウ素から成るグループから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
障害が細胞死である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
CD123に選択的に結合し、血液癌前駆細胞を障害する化合物。
【請求項18】
抗体を含む、請求項17に記載の化合物
【請求項19】
細胞毒性物質をさらに含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
細胞毒性物質が放射性同位元素である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
放射性同位元素が、211アスタチンおよび131ヨウ素から成るグループから選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
試料中の血液癌前駆細胞の存在を検出するための検定であって、前記試料中のCD123の存在を検出することを含むアッセイ。
【請求項23】
CD123の存在が、CD123に選択的に結合する化合物を導入し、その化合物が試料の成分と結合しているかどうかを判定することによって検出される、請求項22に記載のアッセイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−201894(P2011−201894A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104297(P2011−104297)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2001−564791(P2001−564791)の分割
【原出願日】平成13年3月6日(2001.3.6)
【出願人】(500451090)ユニヴァーシティ オブ ケンタッキー リサーチ ファンデーション (1)
【Fターム(参考)】