説明

血漿コレシストキニン(CCK)濃度を制御するための非膵臓プロテアーゼおよび痛みを処置するための非膵臓プロテアーゼ

本発明は、哺乳動物の血漿におけるコレシストキニン(CCK)の基礎レベルを維持するための方法、またはコレシストキニン(CCK)のレベルを低下させるための方法に関する。さらに、本発明は、哺乳動物における痛みを処置するための方法、より具体的には、哺乳動物における腹痛を処置するための方法を提供する。上記方法は、非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、哺乳動物に投与する工程を包含する。本発明の方法は、急性膵炎または慢性膵炎および関連した状態を患う哺乳動物における腹痛を処置するために、特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、合衆国法典第35巻第119条(e)に基づいて、2003年10月29日に出願された米国仮特許出願番号第60/515,552号、および2003年12月5日に出願された米国仮特許出願番号第60/527,490号の利益を主張し、それらの開示は、参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)濃度を維持するための方法に関する。さらに、本発明は、哺乳動物における痛みを処置するための方法、およびより具体的には、哺乳動物における腹痛を処置するための方法を提供する。本発明の方法は、非膵臓プロテアーゼまたはそれらを含む組成物を、上記哺乳動物に投与する工程を包含する。これらの方法は、急性または慢性の膵炎を患う哺乳動物における腹痛を処置するために、特に有用である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
消化は、摂取した食物が、容易に吸収される栄養成分(ビタミンおよび微量元素を含む)に分解されることによる、生理学的プロセスである。摂取に続いて、食物は、胃腸(GI)管の種々の節を通過し、そして消化が、主に消化酵素によって行われる。このプロセスに欠くことのできない消化酵素の3つの群としては、プロテアーゼ(タンパク質の消化のため)、リパーゼ(脂肪の消化のため)およびアミラーゼ(炭水化物の消化のため)が挙げられる。
【0004】
食物の消化および栄養分の吸収は、小腸で起こる。そこで、摂取した食物は、迅速な吸収のために、消化酵素によって分解される。ほとんどの消化酵素は、膵臓によって分泌され、膵管を通して小腸に到達する。
【0005】
ラットの上部小腸に位置するトリプシンインヒビターが、膵酵素の分泌を刺激したという1970年代初期における観測は、トリプシンおよびキモトリプシンが、膵臓による消化酵素の分泌を制御するために重大な意味を持つという理解をもたらした(非特許文献1)。同様に、上部小腸由来の胆汁および膵液の除去または転換(diversion)もまた、膵酵素の分泌を刺激すると観測された。これらのデータは、以下のネガティブフィードバック機構を示唆した:膵酵素の分泌の刺激は、小腸の内腔内のトリプシン活性のレベルによって制御される。
【0006】
膵臓機能不全の場合において、膵臓は、正常な消化プロセスを維持するための十分な量の消化酵素を産生および/または分泌できない。この不全は、代表的に消化不良を引き起こし、次に、吸収不良を引き起こす。膵臓機能不全は、疾患(例えば、膵炎(急性および慢性の形態の両方)および嚢胞性線維症)、およびGI外科手術後の一部において、その膵臓機能不全を表す。
【0007】
慢性および急性の膵炎は、線維症および膵臓の外分泌機能の不可逆的損失によって特徴付けられる疾患である。この疾患はまた、膵臓内の消化酵素の放出および活性化によって特徴付けられ、器官自体の自己消化を引き起こす。一部の患者が、上皮小体の外科的切除によって処置されているが、慢性膵炎は、世界中で、ほとんど対処できない疾患である(非特許文献2)。米国単独におけるこの疾患についての罹患率は、毎年100,000人を超える(非特許文献3)。
【0008】
現在まで、膵臓機能不全のための治療は、主に、リパーゼ成分、プロテアーゼ成分およびアミラーゼ成分を含む、経口投与されたブタの膵酵素抽出調製物に基づいている。そのような酵素調製物は、代表的に、脂肪便(脂肪の消化不良/吸収不良に起因する、脂肪の排泄)の処置のために高レベルのリパーゼを含み;一方で、高プロテアーゼレベルは、一般に、窒素便(azotorrhea)(タンパク質の消化不良/吸収不良に起因する、タンパク質の排泄)を処置する際により効果的であると考えられる。数個の理由のために、そのような膵臓抽出物は、腹痛の処置のためにある程度の成果を示している。プロテアーゼは、そのような抽出物のうちの比較的少ない割合のみを構成し、その画分内に、さらにより少量のトリプシンを構成する。
【0009】
膵臓機能不全患者において痛みの原因となる機構は、ほとんど理解されていないままである(非特許文献4;非特許文献5)。
【0010】
腹痛を含む、痛みの根底となる1つの提案された機構は、コレシストキニン(以下「CCK」)の誘発、十二指腸の粘膜の上皮細胞によって放出されるペプチド、および腸の神経系に関連しており、栄養分の消化を調節する。CCKの増加は、膵臓由来の破壊的な酵素の放出を刺激することが、示されている。上皮細胞由来のCCKの放出は、2つの他のペプチド(モニターペプチドおよび腸管のCCK放出因子(CCK−RF))の分泌によって調節され、特定の内分泌性細胞表面レセプターと相互作用する(非特許文献6)。これらのペプチドの両方を分解し得る腔内のトリプシンは、CCKの放出を阻害して、その結果、膵酵素の分泌を阻害する。トリプシンインヒビターおよび食物が、トリプシン結合基質としての機能を果たすために存在する場合、逆の効果が、達成される。その結果として、CCKの持続性の増加が、膵酵素産生の連続的な刺激を引き起こし、次いで、痛みを引き起こし得る。この機構に基づいて、慢性膵炎およびその関連した痛みについての1つの提案された処置は、混合された長さのポリペプチドおよび中鎖トリグリセリドを含むエマルジョンを使用してCCKレベルを制御することを追求することである(特許文献1)。
【0011】
痛みの減少が、ブタの膵酵素の補充療法で報告されているが、痛みを処置するためのプロテアーゼの役割は、一般的に、不明なままである。例えば、ある研究は、アミラーゼまたはリパーゼを用いてないが、膵臓プロテアーゼ、トリプシンおよびキモトリプシンを用いる十二指腸内の灌流が、慢性膵炎を患う患者における膵臓の外分泌を抑制することを示している(非特許文献7)。他の研究は、そのような膵臓プロテアーゼが、痛みの減少における主要な要因ではないが、しかし、代わりにそれらが、痛みの減少のためにリパーゼ成分およびアミラーゼ成分と相乗的に作用することを報告している(非特許文献8;非特許文献9)。対照的に、他の研究は、膵臓プロテアーゼ処置または抽出物処置の後に、痛みの改善はないと報告している(非特許文献10;非特許文献11)。いくつかの場合において、大量の酵素で処置された患者は、腹部の痙攣を発現する傾向がある(非特許文献12)。
【特許文献1】国際公開第98/36734号パンフレット
【非特許文献1】G.M.GreenおよびR.L.Lyman、「Proc.Soc.Exp.Biol.Med.」1972年、第140巻、p.6−12
【非特許文献2】S.SidhuおよびR.K.Tandon、「Postgrad.Med.J.」1996年、第72巻、p.327−333
【非特許文献3】「Digestive Disease Statistics」、NIDDK、2003年
【非特許文献4】J.Moessner、「Acute and Chronic Pancreatis」1999年、第79巻、p.861
【非特許文献5】N.J.Greenberger、「Pancreas Update」1999年、第28巻、p.689
【非特許文献6】R.A.Liddle、「American Physiological Society」、1995年、G319−G327
【非特許文献7】J.Slaffら、「Gastroenterology」1984年、第87巻、p.44−52
【非特許文献8】G.IsakssonおよびI.Ihse.「Dig.Dis.Sci.」1983年、第28巻、p.97−102
【非特許文献9】J.Slaffら、「Gastroenterology」1983年、第87巻、p.44−52
【非特許文献10】H.Halgreenら、「Scand.J.Gastroenterol.」1986年、第21巻、p.104−108
【非特許文献11】J.Moessnerら、「Digestion」1992年、第53巻、p.54−66
【非特許文献12】P.G.Lankisch、「Digestion」1987年、第37巻、p.47−55
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
膵炎における腹痛を含む、痛みの処置のための膵臓プロテアーゼの役割を詳細に説明する試みにもかかわらず、さらなる治療レジメンについての必要性が依然として、存在する。本発明は、その必要性を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)濃度の基礎レベルを維持するための方法、または血漿CCK濃度を低下させるための方法に関する。本発明は、非膵臓プロテアーゼまたはその組成物を、前記哺乳動物に投与することによって、哺乳動物における痛み、具体的には腹痛を処置するための方法をさらに提供する。本発明に従って、非膵臓プロテアーゼの結晶性形態、半結晶性形態または非晶質形態、あるいはその組成物は、慢性もしくは急性の膵炎または関連した状態における痛みを患う哺乳動物を処置するための方法において有利に使用され得る。本発明の好ましい実施形態において、上記の非膵臓プロテアーゼは、プロテアーゼ結晶の形態である。
【0014】
本発明の他の目的は、本明細書中の開示を考慮して、当業者によって理解される。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、非膵臓プロテアーゼが、哺乳動物の血漿中のCCK濃度の基礎レベルを維持するためか、またはCCK濃度を低下させるために使用され得るという発見に関する。結晶性形態、半結晶性形態、液体形態および非晶質形態を含む、全ての形態における非膵臓プロテアーゼは、血漿中のCCK濃度を制御し、次いで、痛みの減少をもたらすために、特に有用である。特定のプロテアーゼ(例えば、セアプローゼ(seaprose)、セラペプターゼ(serrapeptase)(もしくはセラチオペプチダーゼ(serratiopeptidase))、プロナーゼ(pronase)またはプロナーゼ成分、あるいはそれらの混合物)が、この目的のために、特に有利である。
【0016】
(定義)
本明細書中で他に定義されない場合、本発明と関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって、一般的に理解される意味を有するべきである。さらに、文脈によって他に必要とされない場合、単数形の用語は、複数を含み、複数形の用語は、単数を含むべきである。
【0017】
他に示されない場合、以下の用語は、以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0018】
用語「コレシストキニン」(「CCK」)とは、哺乳動物の上部腸における分泌細胞および神経線維から放出される統合ペプチド、調節性ペプチドをいう。このペプチドまたはホルモンは、タンパク質および脂肪の摂取によって血液中に分泌される。CCKの生理的作用としては、膵臓分泌物および胆嚢収縮の刺激、胃内容排出(emptying)の調節、ならびに満腹の誘導が挙げられるが、これらに限定されない。従って、CCKは、非常に統合された様式において、栄養分の消化を調節するために役立つ。脳は、主に、CCK(CCK−8)のCOOH−末端の直鎖状オクタペプチドを産生および処理するが、消化管は、より大きい形態のペプチド(例えば、CCK−58、CCK−33、およびCCK−22)を産生する。組織および血液中のCCKは、4〜83個の範囲のアミノ酸のサイズであるが、より小さい形態(例えば、CCK−8)は、脳(神経伝達物質として)および末梢系(ホルモンとして)の両方においてより大きい形態の生物学的活性を示す。CCKは、種々の行動性の状態および障害において、調節性の役割を果たす神経ペプチドとして、主に見出されている。
【0019】
用語「栄養補給(feeding)ペプチド」とは、一般に、末梢系ならびに中枢神経系(「CNS」)を通して栄養補給および食物摂取の調節に影響する統合ペプチドのクラスをいう。本明細書中で使用される場合、栄養補給ペプチドは、末梢においてより限定された統合機能または十分には立証されていない統合機能を有する調節性ペプチドのより一般的なクラスと区別され得る。CCKもまた、当該分野において栄養補給ペプチドといわれている。
【0020】
用語「食物」とは、哺乳動物によって摂取され得るか、または非経口手段によって哺乳動物に送達され得て、エネルギーを生じる、任意の物質を含む。本明細書中で使用される場合、食物は、任意の形態(例えば、固体の形態または液体の形態を含む)の任意の食べ物(sustenance)(例えば、栄養補給剤を含む)を含む。
【0021】
用語「モニターペプチド」とは、また、腸管上皮細胞の増殖を刺激し、哺乳動物の小腸への膵酵素の分泌を誘導する膵臓分泌性トリプシンインヒビター(「PSTI」)をいう。モニターペプチドは、通常、タンパク質摂取に応答して活性化され、腸からCCKの分泌および放出を誘導する。それはまた、当該分野において一般に、「トリプシン感受性CCK放出ペプチド」ともいわれる(S.Tsuzukiら、Eur.J.Biochem.199、245−252(1991);R.Yamanishiら、Biochem.J.291、57−63(1993))。
【0022】
用語「腸管CCK放出因子」とは、部分的に特徴付けられているタンパク質または脂肪の摂取の後のCCK分泌の刺激において役割を果たすと考えられている腸管起源の因子をいう。機構は、ほとんど知られていないが、このCCK放出因子および他のCCK放出因子(すなわちモニターペプチド)は、CCK分泌の調節のためのポジティブフィードバック機構およびネガティブフィードバック機構を提供すると考えられている。
【0023】
用語「哺乳動物」とは、ヒトまたは動物をいう。例えば、動物は、ヒトでない霊長類、げっ歯類、イヌ、ブタ、ネコ、ウシ、ウマおよびヤギであり得る。本発明の好ましい実施形態において、上記哺乳動物は、ヒトである。
【0024】
用語「消化不良」とは、栄養分(例えば、炭水化物、タンパク質、脂肪)のそれらの吸収性構成物質(単糖、二糖、またはオリゴ糖、アミノ酸、オリゴペプチド、脂肪酸およびモノグリセリド)への、十分に機能を果たさない分解をいう。
【0025】
用語「吸収不良」とは、小腸または大腸からの、ビタミンおよび微量元素を含む消化された栄養分の十分に機能を果たさない吸収をいう。これは、腸管の内面による欠損した粘膜の摂取または消化の特定の異常に起因し得る。腸管の吸収不良は、多くの栄養分または特定の多量養素、すなわち、炭水化物、脂肪またはタンパク質について、ならびに微量養素(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、およびビタミン)について起こり得る。吸収不良は、1または数個の状態から生じ得、それらのいくつかとしては、例えば、乳糖不耐症、セリアック病、クローン病および膵臓機能不全、細菌異常増殖、短腸症候群(short bowel syndrome)、アミロイド症、短腸憩室、硬皮症、熱帯性スプルー、ヘリコバクターピロリ感染、放射線療法、化学療法、胸管閉塞、例えば、腸リンパ管拡張症、好酸球性腸炎、リンパ腫、肥満細胞症、タンパク喪失性腸症およびメネトリエ病が挙げられる。
【0026】
用語「慢性膵炎」とは、膵臓組織の自己消化が、その独自の酵素によって起こる再発性プロセスをいう。この疾患において、栄養分の消化を正常に促進する膵酵素は、膵管または膵臓の中の腺房細胞内で活性化され、そして膵管または腺房細胞から膵臓へ漏れ出る(escape)か、あるいは漏出(leak)し、それらは、組織壊死を誘発する。慢性的に、そのような作用は、長期間、器官の形態的損失および機能的損失を引き起こし得る。成人における慢性膵炎の2つの最も頻繁な型は、アルコール誘発性膵炎および特発性膵炎である。小児において、慢性膵炎は、嚢胞性線維症によって頻繁に引き起こされる。
【0027】
「急性膵炎」とは、膵周囲炎組織または離れた器官系、あるいはその両方を含み得る膵臓の急性の炎症性プロセスである。それは、単発的な発作として起こり得るか、または発作の間に正常な組織に回復して、別の発現において再発し得る。定義によって、急性膵炎は、改善可能であり;急性膵炎は、継続的な炎症、不可逆的な構造変化、ならびに外分泌性の膵機能および内分泌性の膵機能の持続的な機能障害がないことによって、慢性膵炎と区別される。急性膵炎は、さらに、軽い型および重篤な型に分類される。軽い急性膵炎は、最小の器官機能障害および平穏無事な回復に関連する。重篤な急性膵炎は、膵臓壊死に関連し、そして、器官不全および/または局所合併症を引き起こし得る。急性膵炎の局所合併症としては、流体堆積、偽性嚢胞形成、膿瘍、膵臓壊死、出血、静脈血栓症、および偽動脈瘤形成が挙げられる。
【0028】
用語「痛み」とは、実際の組織損傷または潜在的な組織の損傷に関連する知覚経験をいう。痛みの肉体的な感覚は、別々の原因から生じ得、疾患の関連した症状を構成し得るか、あるいは痛み自体が、主要な問題(例えば、神経障害の痛み)を構成する症候群であり得る。本発明の1つの実施形態において、いくらかの自己免疫反応もしくは炎症応答または疾患によって、痛みは引き起こされないか、あるいは併発されない。本発明の別の実施形態において、用語「腹(abdominal)」痛は、婦人科学的な機能または疾患に起因する女性の骨盤の痛みを含まない。本発明の別の実施形態において、用語「腹」痛は、慢性的な子宮傍組織炎を含む、女性の慢性的な骨盤の痛みの症候群を含まない。
【0029】
用語「プロテアーゼ」とは、タンパク質の内部のアミドペプチド結合の切断を触媒する任意の酵素である、プロテイナーゼ、タンパク質分解酵素またはペプチダーゼをいう。具体的には、プロテアーゼは、1つのアミノ酸のカルボキシル基と別のアミノ基との間のアミド結合を切断することによって、タンパク質のそれらの成分のアミノ酸への変換を触媒する。プロテアーゼは、一般に、それらの触媒型によって同定される(例えば、アスパラギン酸ペプチダーゼ、システイン(チオール)ペプチダーゼ、メタロペプチダーゼ、セリンペプチダーゼ、スレオニンペプチダーゼ、アルカリプロテアーゼまたはセミアルカリプロテアーゼ(semi−alkaline peptidase)、中性、および未知の触媒機構のペプチダーゼ)(http://merops.sanger.ac.ukを参照のこと)。好ましい実施形態に従って、本発明の方法において有用なプロテアーゼは、非膵臓プロテアーゼである。用語「非膵臓プロテアーゼ」とは、以下:(1)ヒトもしくは動物の膵臓組織または膵臓抽出物から精製されず、(2)トリプシンを含まず、そして必要に応じて(3)トリプシンまたはキモトリプシンが、ヒトもしくは動物の膵臓組織または膵臓抽出物から精製されるか否か、あるいは微生物宿主または単細胞宿主において産生されるか否かにかかわらず、キモトリプシンを含まない、プロテアーゼをいう。本発明の好ましい実施形態に従って、非膵臓プロテアーゼは、微生物宿主または単細胞宿主において産生される。そのような単細胞宿主は、培養物中の細菌、酵母菌、真菌、植物、昆虫または哺乳動物の細胞のうちのいずれか1つから選択され得る。本発明の好ましい実施形態に従って、非膵臓プロテアーゼは、Aspergillus melleusによって産生される。あるいは、本発明に有用な非膵臓プロテアーゼは、従来のペプチド合成技術によって合成され得る。
【0030】
「セアプローゼ」(「SAP」)とは、Aspergillus melleusによって産生される均質的な結晶質のセミアルカリタンパク質分解酵素をいい、Amano Enzyme Inc.(日本)から市販されている。SAPは、液体または固体の発酵プロセスのいずれかによって、調製され得る。セアプローゼはまた、セアプローゼ−S、アスペルギルスアルカリプロテイナーゼ;アスペルギロペプチダーゼ(aspergillopeptidase)B;API 21;アスペルギロペプシン(aspergillopepsin)B;アスペルギロペプシンF;Aspergillus candidusアルカリプロテイナーゼ;Aspergillus flavusアルカリプロテイナーゼ;Aspergillus melleusセミアルカリプロテイナーゼ;Aspergillus oryzaeアルカリプロテイナーゼ;Aspergillus parasiticusアルカリプロテイナーゼ;アスペルギルスセリンプロテイナーゼ;Aspergillus sydowiアルカリプロテイナーゼ;Aspergillus soyaアルカリプロテイナーゼ;Aspergillus melleusアルカリプロテイナーゼ;Aspergillus sulphureusアルカリプロテイナーゼ;プロザイム(prozyme);P 5380;キョリナーゼ(kyorinase);セミアルカリプロテアーゼ;スミザイム(sumizyme)MP;プロザイム 10;オノプローゼ;オノプローゼ(onoprose)SA;プロテアーゼP;プロメラーゼ(promelase)、アルカリプロテイナーゼ(Penicillin citrinum);アルカリプロテイナーゼ(Aspergillus sp.);アレルゲンAsp fl 1(Aspergillus flavus);アレルゲンAsp fl 13(Aspergillus flavus);アレルゲンAsp f 13(Aspergillus fumigatus);アレルゲンPen c2(Penicillium citrinum);アスペルギロペプチダーゼB;PepD;prtAおよびSUB2(Microsporum canis)ともいわれる。セアプローゼは、約30kDの分子量を有し、pH5.0〜9.0の範囲内で安定である。さらに、セアプローゼは、酵素的切断に関係するプロテアーゼであり、より具体的には、それは、タンパク質の鎖のP位におけるPhe残基を含む基質を優先的に切断する。本発明の1つの実施形態に従って、セアプローゼの1つ以上の形態または型が、使用され得る。あるいは、セアプローゼは、セアプローゼ以外の1種以上の非膵臓プロテアーゼとの組み合わせにおいて使用され得る。
【0031】
用語「リパーゼ」とは、グリセロールと単純な脂肪酸とへの脂質の加水分解(すなわち、水の添加によってフラグメント中の化合物のヒドロキシル基と水素原子とを分離する)を触媒する酵素をいう。この酵素反応は、通常、カルシウムイオン(Ca2+)を必要とする。膵臓によって分泌されるリパーゼは、小腸の上部ループにおける脂肪(トリグリセリド)の消化のために非常に重要である。リパーゼは、例えば、動物供給源由来であり得るか、または微生物供給源もしくは単細胞供給源から調製され得る。
【0032】
用語「アミラーゼ」とは、全ての哺乳動物ではないが、ヒトにおいて膵臓およびまた唾液線中にも産生される酵素をいう。ヒト唾液アミラーゼは、プチアリンとして公知である。アミラーゼは、小腸においてデンプンの2つの成分(アミロースおよびアミロペクチン)の単糖への変換を触媒することによって、炭水化物(例えば、多糖)の消化の原因となる主要な消化酵素である。より具体的には、アミラーゼは、デンプン、グリコーゲン、およびデキストリンを加水分解して、グルコース、マルトース、および限界デキストリンを形成する。臨床的に、血中アミラーゼレベルは、しばしば、急性膵炎の状態において上昇し、そして、慢性膵炎の状態において上昇する場合もある。アミラーゼは、例えば、動物供給源に由来し得るか、または微生物供給源もしくは単細胞供給源から調製され得る。
【0033】
用語「プロテアーゼ」、「アミラーゼ」および「リパーゼ」は、消化酵素の3つの主要な分類として多かれ少なかれ当業者に広く知られているが、これらの分類の各々と適合する多くの型の酵素が存在し、明確に専門化された機能を果たす。例えば、膵機能を援助するタンパク質分解酵素としては、エンドペプチダーゼ(トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼおよびカリクレイン)ならびにエキソペプチダーゼ(カルボキシペプチダーゼAおよびカルボキシペプチダーゼB)が挙げられる(E.Lebenthalら、Pancreas 9、1−12(1994))。プロテアーゼの他の例としては、バシロリシン(bacillolysin)、ブロメライン、フィシン、オリジン(oryzin)、パパイン、ペプシン、プロナーゼ、プロテイナーゼK、プロテイナーゼS、セアプローゼ、セラペプチダーゼ、サブチリシン、サーモライシン、トロンビン、および他の類似した酵素が挙げられる。本発明と関連して使用され得る非膵臓プロテアーゼの要約を、以下の表1に例示する。
【0034】
【表1−1】

【0035】
【表1−2】

【0036】
本発明の方法に有用なプロテアーゼ、ならびに任意の他の酵素は、組換えDNA技術によって産生されるものを含む、微生物起源、細菌起源、真菌起源、植物起源または動物起源に由来し得る。あるいは、それらは、従来のペプチド合成技術によって産生され得る。好ましい実施形態に従って、本発明の方法に有用なプロテアーゼは、非膵臓プロテアーゼである。本発明の好ましい実施形態において、非膵臓プロテアーゼは、セアプローゼ、セラペプターゼ、プロナーゼ、プロナーゼ成分、またはそれらの混合物である。プロナーゼの例としては、以下:プロテイナーゼA、プロテイナーゼB、メタロエンドペプチダーゼおよびメタロプロテイナーゼが挙げられる。好ましい非膵臓プロテアーゼの特性および現在までのそれらの使用を、以下の表1aに挙げる。
【0037】
【表1−3】

【0038】
【表1−4】

【0039】
本発明の方法における使用のための非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物の投薬形態は、液体、固体、懸濁物または分散物の形態であり得る。非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物についての投薬経路は、任意の従来の投与経路(例えば、経口経路、腸内経路、経皮経路または非経口経路が挙げられる)によるものであり得る。最終的に、非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物は、スラリー、錠剤、分割錠(scored tablet)、コーティング錠、カプレット(caplet)、カプセル剤または糖剤として投与され得る。
【0040】
本明細書中に使用される場合、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼは、一用量あたり、約5,000〜約1,000,000米国薬局方(USP)単位のプロテアーゼ活性である。好ましい実施形態において、上記治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼは、一用量あたり約5,000〜750,000USP単位のプロテアーゼ活性である。さらに別の好ましい実施形態において、上記治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼは、一用量あたり約5,000〜500,000USP単位のプロテアーゼ活性である。より好ましい実施形態において、上記治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼは、一用量あたり約5,000〜250,000USP単位のプロテアーゼ活性である。これらの活性単位の範囲の全てについて、プロテアーゼの1USP単位は、「Assay of Protease Activity」において定義される(U.S.Pharmacopeia/National Formulary,USP 26/NF21,2003 pg 1389−1391)。処置方法が、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含む組成物を使用して行われる場合、そのような量は、処方物の一用量あたり、上記のプロテアーゼの活性単位のうちの1つを提供するものである。
【0041】
あるいは、本発明に従って、非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物は、1回の食事につき、約20mgと約500mgとの間の活性なプロテアーゼレベルを有する形態で哺乳動物に投与される。別の実施形態において、非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物は、1回の食事につき、約50mgと約500mgとの間の活性プロテアーゼレベルを有する形態で哺乳動物に投与される。代替的な実施形態において、非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物は、1回の食事につき、約50mgと約250mgとの間の活性プロテアーゼレベルを有する形態で哺乳動物に投与される。活性は、上記に規定した通りに測定される。
【0042】
代替的な実施形態において、1回の食事あたりの活性プロテアーゼの全体の用量が、哺乳動物の体重1kgにつき約1mgと哺乳動物の体重1kgにつき約10mgとの間、好ましくは、哺乳動物の体重1kgにつき約1mgと哺乳動物の体重1kgにつき約3mgとの間、または好ましくは、哺乳動物の体重1kgにつき約1mgと哺乳動物の体重1kgにつき約2mgとの間であるように、非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物が、哺乳動物に投与される。
【0043】
本発明に従って、非膵臓プロテアーゼは、結晶性形態、半結晶性形態または非晶質形態であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「非晶質」としては、非晶質の固体ならびに液体が挙げられる。非膵臓プロテアーゼは、好ましくは、固体状態において結晶性の物質を形成するために、結晶化され得るか、または固体状態において非晶質(完全に結晶でない)もしくは半結晶性(結晶領域および非晶質領域を有する)の形態として存在し得る。例えば、結晶は、特徴的な特性、(格子構造、特徴的な形状および光学的性質(例えば、屈折率))を示す。結晶は、三次元において周期的に繰り返すパターンで配置される原子から構成される。一方、非晶質の固体は、結晶性固体状態の分子格子構造の特性を有さない。非膵臓プロテアーゼの結晶は、架橋された形態であっても、架橋されていない形態であってもよい。さらに、そのような非膵臓プロテアーゼの非晶質の形態もまた、架橋された形態であっても、架橋されていない形態であってもよい。
【0044】
用語「基礎レベル」または「基礎濃度」とは、一晩絶食した後の特定の患者もしくは哺乳動物における血漿中のCCKのレベルまたは濃度をいう。一旦、食物が摂取されると、血漿中のCCK濃度は、上記の基礎レベルを増加させ、次いで、酵素および炭酸水素イオンを含む膵液を分泌するために、膵臓を刺激する。
【0045】
本明細書中で使用される場合、語句「最大血漿濃度(Cmax)」とは、食物の投与後に測定されたピーク血漿濃度をいう。Cmaxについての値は、ピーク血漿濃度から基礎濃度を減算することによって得られる。
【0046】
本発明の1つの実施形態に従って使用される場合、用語「低下する」または「低下」とは、食物の投与後の哺乳動物のCmax低下の割合をいう。この低下は、(a)非膵臓プロテアーゼの非存在下における食物の投与後の哺乳動物におけるCmaxを、(b)非膵臓プロテアーゼの存在下における食物の投与後のCmaxと比較することによって測定される。Cmax低下の割合が、100%である場合、非膵臓プロテアーゼは、基礎濃度においてCCK濃度を「維持する」。低下の割合が100%より大きい場合、非膵臓プロテアーゼは、基礎レベルより低くCCK濃度を低下させる。本発明の別の実施形態に従って、「低下する」または「低下」とは、特定の哺乳動物において食物投与がない場合の基礎濃度に対するCCK濃度の低下をいう。例えば、食物の非存在下で投与される非膵臓プロテアーゼは、基礎濃度より低くCCK濃度を低下させ得る。これは、例えば、胃腸疾患、吸収不良症候群、急性感染および慢性感染ならびに摂食障害(例えば、神経性食欲不振)の処置において所望され得る。本発明のなおさらなる実施形態において、用語「低下する」または「低下」とは、非膵臓プロテアーゼの投与前に、絶食をしていない任意の時に測定される特定の哺乳動物におけるCCK濃度の任意の低下をいう。
【0047】
本発明の方法に有用な非膵臓プロテアーゼは、賦形剤と組み合わされ得る。本発明に従って、「賦形剤」は、薬学的組成物中に使用される充填剤または充填剤の組み合わせとして作用する。このカテゴリーに含まれる好ましい賦形剤は、以下のいずれかの塩である:1)アミノ酸(例えば、グリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アスパラギン、グルタミン、プロリン);2)炭水化物(例えば、単糖(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、リボース));3)二糖(例えば、ラクトース、トレハロース、マルトース、スクロース);4)多糖(例えば、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン、グリコーゲン);5)アルジトール(例えば、マンニトール、キシリトール、ラクチトール(lactitol)、ソルビトール);6)グルクロン酸、ガラクツロン酸;7)シクロデキストリン(例えば、メチルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび類似物(alike));8)無機分子(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、ナトリウムおよびカリウムのリン酸塩、ホウ酸、炭酸アンモニウムおよびリン酸アンモニウム);9)有機分子(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、乳酸塩);10)アカシア、ジエタノールアミン、モノステアリン酸グリセリン、レシチン、モノエタノールアミン、オレイン酸、オレイルアルコール、ポロキサマー、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、および他のソルビタン誘導体、ポリオキシル誘導体、ワックス、ポリオキシエチレン誘導体のような乳化剤または可溶化剤/安定化剤;ならびに、11)寒天、アルギン酸およびその塩、グアールガム、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、セルロースおよびその誘導体、炭酸プロピレン、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、チロキサポールなどの粘度増加試薬。さらに好ましい賦形剤の群としては、スクロース、トレハロース、ラクトース、ソルビトール、ラクチトール、イノシトール、ナトリウムおよびカリウムの塩(例えば、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩)、グリシン、アルギニン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ゼラチン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリリシン、ポリアルギニンが挙げられる。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、上記賦形剤は、以下:塩、アルコール、炭水化物、タンパク質、脂質、界面活性剤、ポリマーおよびポリアミノ酸からなる群より選択される。別の実施形態において、上記賦形剤は、以下:プロタミン、ポリビニルアルコール、シクロデキストリン、デキストラン、ポリアミノ酸(例えば、ポリアルギニン、ポリリシンおよびポリグルタミン酸)、ポリエチレングリコールおよびデンドリマー、ポリマー(例えば、ポリカルボフィルおよびアルギン酸塩)からなる群より選択される。
【0049】
本発明に従って、非膵臓プロテアーゼはまた、1つ以上の他の治療剤と組み合わされ得る。治療剤の例としては、例えば、好ましくは単細胞宿主または微生物宿主において産生されるか、あるいは従来のペプチド合成技術によって産生される酵素(例えば、アミラーゼおよび/またはリパーゼ)が挙げられる。
【0050】
本発明に従って、非膵臓プロテアーゼは、結晶性形態であろうと非晶質形態であろうと、それらの構造に安定性を与えるために、架橋され得る。有用な架橋試薬としては、表2に示すような、以下の多機能性の架橋試薬が挙げられるが、それらに限定されない。架橋のための手順は、任意の従来の架橋技術に従って、実施され得る。
【0051】
【表2−1】

【0052】
【表2−2】

【0053】
(哺乳動物の血漿における基礎CCKレベルを維持するための方法または哺乳動物の血漿におけるCCKレベルを低下させるための方法)
CCKは、大量にあり、広く分布された哺乳動物ペプチドであるので、多くの疾患または障害が、本発明に従う非膵臓プロテアーゼまたはその組成物を使用して、CCKのレベルを維持することによって、有利に処置され得る。CCKによって媒介されているか、または媒介され得る疾患状態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:膵炎(急性または慢性)、タンパク質吸収不良(窒素便)、脂肪吸収不良(脂肪便)、胃腸障害、胆嚢疾患、脳血管障害(「CVA」)、胃食道疾患、消化性潰瘍疾患、ガストリノーマ、腸運動性障害、オッディ括約筋機能不全、胆石症、総胆管結石症、胆石仙痛、遷延性胆管炎、摂食障害、肥満、薬物嗜癖(CCKは、線条において高度に存在し、CCK系およびドーパミン系の共分布は、動機付けのある状態において、報酬、精神刺激薬の感作および薬物の習慣形成の性質に関して内因性のCCKに関連する)、(S.LeibowitzおよびB.G.Hoebel.In:The Handbook of Obesity、Brayら(編)、Marcel Dekker Inc.(2001))、パニック/不安関連障害(S.RotzingerおよびFJ.P.Vaccarino.J.Psychiatry Neurosci.28、171−181(2003);Zwanzgerら、Neuropsychopharmacol.25、699−703(2001))、気分障害、精神分裂病、パーキンソン病、鬱病、注意/記憶の機能(全てのドーパミン関連状態の概説については、F.Nobleら、Pharmacological Reviews、51、745−781(1999)を参照のこと)、真性糖尿病、栄養管(例えば、胃、空腸管など)の詰まり、消化性潰瘍疾患、胃潰瘍および十二指腸潰瘍ならびに癌(CCK−Bレセプターは、90%を超える転移性髄質甲状腺の症例においてだけでなく、高い割合の小細胞の肺癌、間質の卵巣、ならびに胃腸腺癌、神経内分泌腫瘍、および悪性神経膠腫を含む、可能性のある種々の他の腫瘍においても存在する(一般に、L.Manniら、Br.J.Pharmacol.129、744−750(2000);M.BeheおよびTM Behr、Biopolymers 66、399−418(2002)を参照のこと))を含む、種々の末梢神経障害(L.Manniら、Br.J.Pharmacol.129、744−750(2000)を参照のこと)。
【0054】
本発明の1つの実施形態に従って、非膵臓プロテアーゼは、食物の投与後の哺乳動物の血漿におけるCCKのレベルを制御するために、使用され得る。1つの実施形態において、本発明は、CCK関連疾患を処置するための方法を提供し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、哺乳動物に投与する工程を包含する。代替の実施形態において、本発明は、哺乳動物における血漿CCKレベルを維持するための方法または哺乳動物における血漿CCKレベルを低下させるための方法を提供し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0055】
血漿中のCCKの基礎濃度は、代表的に、一晩絶食した後の血漿中のCCKの濃度として定義される。一旦、食事または食物補充物が摂取されると、血漿中のCCK濃度は、基礎レベルより高く増加し、その結果として、膵臓刺激および酵素と、炭酸水素イオンとを含む膵液の分泌を生じる。本発明の1つの実施形態は、食物投与の後の延長された期間にわたる、哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)濃度の維持または低下に関する。
【0056】
同様に、本発明は、哺乳動物におけるCCKの最大血漿濃度(Cmax)を有意に低下させるための方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、哺乳動物における食物の投与後のコレシストキニン(CCK)の最大血漿濃度(Cmax)の低下のための方法に関し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、食物と共に前記哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、前記の低下は、(a)食物投与後の前記プロテアーゼの非存在下における前記Cmaxを、(b)食物投与後の前記プロテアーゼの存在下での前記Cmaxと比較する工程によって測定され、ここで、前記の低下は、以下:(i)少なくとも約10%〜約25%の低下、(ii)少なくとも約25%〜約50%の低下、(iii)少なくとも約50%〜約75%の低下、および(iv)少なくとも約75%〜約100%の低下、からなる群より選択される。あるいは、上記低下は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の低下のいずれかであり得る。好ましい実施形態において、上記非膵臓プロテアーゼは、セアプローゼ、セラペプターゼ、プロナーゼ、プロナーゼ成分、またはそれらの混合物からなる群より選択される。さらに別の好ましい実施形態において、上記プロテアーゼは、セアプローゼである。
【0057】
代替の実施形態において、本発明の方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、哺乳動物に投与する工程によって、上記哺乳動物におけるCCK関連疾患を処置することに関し、ここで、上記プロテアーゼを投与する工程の後の前記動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルは、上記プロテアーゼを投与する工程の前の上記動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベル未満であるか、または同じレベルであり、そして、(a)投与の0時間後と約4時間後との間、(b)投与の0時間後と約8時間後との間;および(c)投与の0時間後と約12時間後との間からなる群より選択される期間の間、上記プロテアーゼを投与する工程の前の上記動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベル未満であり続けるか、または同じレベルであり続ける。あるいは、その期間は、投与後、4時間、6時間、8時間、10時間または12時間のうちのいずれかより選択され得る。
【0058】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、上記哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルの低下に関し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、上記哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0059】
(哺乳動物における痛みを処置するための方法)
本発明はまた、非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を使用して、哺乳動物における痛みを処置するための方法を提供する。そのような痛みを処置する1つの利点は、活性プロテアーゼ薬剤が、常習性ではなく、多くの他の痛みを減少させる薬剤であることである。別の利点は、非膵臓プロテアーゼが、非侵襲性に、痛み(例えば、慢性膵炎に関連する痛み)を処置するためのいくつかの従来の方法で利用できない経路(例えば、膵管の中への内視鏡の位置のステントおよび食物の静脈内投与)に、投与され得ることである。
【0060】
本発明に従う方法は、膵臓機能不全に関連する痛み(例えば、急性膵炎、慢性膵炎、嚢胞性線維症および術後胃腸手術(post−operative gastrointestinal surgery)に関連する痛み)を患う患者を処置するために使用され得る。膵炎と診断された個体を処置するための1つのそのような治療方法は、例えば、腹痛を患う個体を選択する工程、上記個体の血漿CCKレベルの測定に基づいて個体の処置のためのプロテアーゼ投与の効果を決定する工程、非膵臓プロテアーゼを、上記個体のCCKレベルの測定の決定に基づいて個体に投与する工程、および痛みの症状の改善をモニタリングする工程を包含する。
【0061】
別の局面において、本発明は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、哺乳動物に投与する工程を包含する、痛みを処置するための方法を提供する。
【0062】
(哺乳動物における腹痛を処置するための方法)
上記に議論したように、食物は、管内のトリプシンに対して、トリプシン結合基質として作用し得る。このことは、次いで、トリプシンが、モニターペプチドおよび腸管のCCK−RFを分解することを防ぎ、これらの両方は、CCKの放出を促進する。続いて、CCKの増加が、痛みを引き起こす。
【0063】
本発明の1つの実施形態に従って、哺乳動物に対する非膵臓プロテアーゼの投与は、食物摂取の後の血漿中のCCKの基礎レベルを維持するか、または血漿中のCCKレベルを低下させる。その結果として、本発明の方法は、種々の胃腸疾患および胃腸障害(膵炎(急性または慢性)、タンパク質吸収不良(窒素便)、脂質吸収不良(脂肪便)、真性糖尿病、潰瘍疾患、およびそれらの組み合わせ、胆石仙痛、胆嚢炎、上行胆嚢炎、胆石症、麻薬嗜癖、オッディ括約筋機能不全、遅延胃内容排出ならびに化学療法損傷が挙げられるが、これらに限定されない)に関連した腹痛の処置のために有用である。本発明の方法はまた、CCK拮抗作用、空腹の減少および食欲不振の治療のために有用である。
【0064】
より詳細には、本発明は、哺乳動物における腹痛を処置するための方法を提供し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、上記哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0065】
上記に議論したように、血漿中のCCKの基礎濃度は、代表的に、一晩絶食した後の特定の患者または哺乳動物における血漿中のCCKの濃度として定義される。一旦、食事または食物補充物が、摂取または取り込まれると、血漿中のCCK濃度は、基礎レベルより上に増加し、膵臓刺激および膵液の分泌(酵素および炭酸水素イオンを含む)を生じる。本発明の1つの実施形態は、食物投与の後の延長された期間にわたって哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)濃度を維持することに関する。
【0066】
1つの実施形態において、本発明の方法は、哺乳動物における腹痛を処置することに関し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、上記哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、上記プロテアーゼを投与した後の上記哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルは、上記プロテアーゼを投与する前の上記哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベル未満であるか、または同じレベルであり、そして、(a)上記プロテアーゼ投与の0時間後と約4時間後との間;(b)上記プロテアーゼ投与の0時間後と約8時間後との間;および(c)上記プロテアーゼ投与の0時間後と約12時間後との間からなる群より選択される期間の間、上記プロテアーゼを投与する前の上記動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベル未満であり続けるか、または同じレベルであり続ける。あるいは、その期間は、投与後、4時間、6時間、8時間、10時間または12時間のうちのいずれかより選択され得る。
【0067】
本発明はまた、哺乳動物におけるCCKの最大血漿濃度(Cmax)を有意に低下させるための方法を提供する。本明細書中で使用される場合、語句「最大血漿濃度(Cmax)」とは、食物の投与後に測定されたピーク血漿濃度をいう。従って、本発明の1つの実施形態は、哺乳動物における腹痛を処置するための方法に関し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、上記動物に投与する工程を包含し、ここで、その投与は、上記投与後の上記哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルの低下を生じる。
【0068】
本発明に従う方法の全ては、非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、食物と共にかまたは食物なしに、上記哺乳動物に投与する工程によって行われ得る。この点で、本発明の他の方法と同様に、食物と一緒の非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物の投与としては、各食事における非膵臓プロテアーゼ投与と目下一緒の、または非膵臓プロテアーゼ投与に続く食物の投与が挙げられる。その投与は、食事の最中または代替的に、食事の終わりに開始し、1回の食事につき、1回または2回または3回のいずれかである。本発明の他の実施形態は、哺乳動物における腹痛を処置するための方法に関し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、食物と共にまたは食物なしに上記哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、上記プロテアーゼは、食物の投与の間に存在する上記プロテアーゼを有さない上記哺乳動物におけるCCKのCmaxと比較して、上記哺乳動物におけるCCKの最大血漿濃度(Cmax)を低下させる。
【0069】
さらに別の実施形態において、本発明は、哺乳動物における腹痛を処置するための方法に関し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含む組成物を、上記哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、上記プロテアーゼは、上記哺乳動物におけるコレシストキニン(CCK)の最大血漿濃度(Cmax)の低下を引き起こし、ここで、上記低下は、(a)食物投与後の前記プロテアーゼの非存在下における上記Cmaxを、(b)食物投与後の上記プロテアーゼの存在下における上記Cmaxと比較する工程によって測定され、ここで、上記低下は、(i)少なくとも約10%〜約25%の低下;(ii)少なくとも約25%〜約50%の低下;(iii)少なくとも約50%〜約75%の低下;および(iv)少なくとも約75%〜約100%の低下からなる群より選択される。その低下はまた、少なくとも約10%〜約100%の低下であり得る。あるいは、その低下は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の低下のいずれかであり得る。
【0070】
(哺乳動物における食欲不振を処置する方法)
食物の摂取の後に、上昇したCCKレベルは、満腹感を生み出す。低下させたCCK血漿レベルを維持することによって、本発明に従う方法は、食欲不振を処置するために使用され得る。同様に、本発明に従う方法は、栄養失調を処置するために使用され得る。1つの実施形態において、本発明は、哺乳動物における食欲不振を処置するための方法を提供し、その方法は、治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含む組成物を上記哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0071】
(非膵臓プロテアーゼの投薬形態)
本発明に従う方法のいずれかは、酸抑制剤(acid−suppressing agent)を含まない非腸溶性(non−enterically coated)非膵臓プロテアーゼ錠剤を使用して行われ得る。
【0072】
1つの実施形態において、本発明の方法は、痛み(好ましくは、膵臓機能不全に関する腹痛)、および食欲不振の処置のための、酸抑制剤を含まない非腸溶性非膵臓プロテアーゼ錠剤の使用に関する。別の実施形態において、本発明の方法は、食物投与前に測定される基礎レベルに対する食物投与後のコレシストキニン(CCK)レベルの低下のための、酸抑制剤を含まない非腸溶性非膵臓プロテアーゼ錠剤の使用に関する。
本発明に従う1つの実施形態において、上記非膵臓プロテアーゼ錠剤は、1回の食事につき、錠剤1個と錠剤6個との間の、好ましくは錠剤1個と錠剤2個との間の、最も好ましくは1個の錠剤の用量で哺乳動物に投与され、ここで、その錠剤は、約20mg〜約500mgの間の活性プロテアーゼレベルを含む。別の実施形態において、本発明に従う上記非膵臓プロテアーゼ錠剤は、1回の食事につき、錠剤1個と錠剤6個との間、好ましくは錠剤1個と錠剤2個との間、最も好ましくは1個の錠剤の用量で哺乳動物に投与され、ここで、その錠剤は、約50mg〜約500mgの間の活性プロテアーゼレベルを含む。あるいは、上記非膵臓プロテアーゼ錠剤は、1回の食事につき、錠剤1個と錠剤6個との間、好ましくは錠剤1個と錠剤2個との間、最も好ましくは1個の錠剤の用量で哺乳動物に投与され、ここで、その錠剤は、約50mg〜約250mgの間の活性非膵臓プロテアーゼレベルを含む。
【0073】
あるいは、非膵臓活性プロテーゼは、1個以上の錠剤として哺乳動物に投与され、哺乳動物1kgにつき約1mgと哺乳動物1kgにつき10mgとの間、好ましくは哺乳動物1kgにつき約1mgと哺乳動物1kgにつき3mgとの間、または哺乳動物1kgにつき約1mgと哺乳動物1kgにつき2mgとの間である1回の食事あたりの活性プロテアーゼ用量を提供する。
【0074】
本発明が、より理解され得るために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例示のみの目的のためであり、いずれの様式においても本発明の範囲に限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0075】
以下の材料を、以下に記載する実施例において使用した。
【0076】
(材料)
Aspergillus melleus由来である、市販の原料のまま(raw)のセアプローゼ(SAP)粉末(CAS#9074−07−01)を、Amano Enzyme Inc.(日本)(名古屋、日本)から入手した。SAPは、液体または固体のいずれかの発酵プロセスによって、調製され得る。本明細書中の本発明の実施例において使用したSAP粉末を、固体発酵によって調製した。炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、第二リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムを、Sigma Chemicals(St.Louis,MO)から入手した。メタノール、トリフルオロ酢酸およびアセトニトリルを、Fisher Scientific(Pittsburgh,PA)から入手し、グルタルアルデヒドを、Aldrich(Milwaukee,WI)から入手した。注射用の水(WFI)または米国薬局方(USP)精製水を、全ての緩衝液およびプロテアーゼ溶液のために使用した。WFIおよびUSPの水の基準の比較は、http://www.purehts.com/USP.htmにおいて見出され得る。実験用食餌を、Harlan Tekladから入手した。Sprague−Dawleyラットを、Charles River Laboratories(Raleigh,NC)から入手した。ケタミンおよびキシラジンを、Henry Scheinから入手した。カゼイン(カタログ番号C−5890)、トリプシン(カタログ番号T−7309)およびダイズトリプシンインヒビター(SBTI、カタログ番号T−9003)を、Sigma Chemicals(St.Louis,MO)から入手した。Creon(登録商標)−20(Solvay Pharmaceuticals(Hannover,Germany))およびViokase(登録商標)−8(Axcan Scandipharm、Inc.(Birmingham,Alabama))を、地元の薬局から購入した。CCK放出ペプチド、LCRF1−35(A.W.Spannagelら、Regulatory Peptides 73、161−164(1998);A.W.Spannagelら、Proc.Natl.Acad.Sci.93、4415−4420(1996))を、PepScan(オランダ)から入手し、セラチオペプチダーゼ(Serratiopeptidase)を、Specialty Enzymes and Biochemicals Co.(Chino,CA)(カタログ番号B−031875、CAS 9031−94−1)から入手した。Streptomyces griseus由来のプロナーゼを、BioChemika/Fluka Chemical Corp(Milwaukee,WI)(カタログ番号81748)から購入した。Ensure(登録商標)(バニラ風味を有する高タンパク質(24%))を、地元の薬局から購入した。微結晶性セルロース103を、FMC International C(アイルランド)から入手した。コスポビドン(Cospovidone XL)を、ISP Technologies Inc.(Wayne,NJ)から入手した。Col.二酸化ケイ素を、Degussa Corporation(Parsippany,NJ)から入手した。タルクを、Luzenac America Inc.(Englewood,CO)から入手した。ステアリン酸マグネシウムNO−BOVを、Mallinckrodt Baker Inc.(Phillipsburg,NJ)から入手した。無水エンコンプレス(Encompress)を、Penwest Pharmaceuticals(Cedar Rapids,IA)から入手した。
【0077】
(CCK放出ペプチドのインビトロでの加水分解のための酵素調製のための条件)
セアプロ−ゼ(pH6.0)。容量フラスコを使用して、10mgのセアプロ−ゼを、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(1400U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)を、容量フラスコ中の1mlの上記1mg/ml(1400U)溶液に添加して、100mlの最終容積かつ0.01mg/ml(14U/ml)の最終濃度を得た。次いで、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)を、容量フラスコ中の1.07mlの上記0.01mg/ml(14U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ1.5U/mlの最終濃度を得た。最終的に、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの1.5U/mlのセアプロ−ゼ(最終0.15U)と混合し、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0078】
セアプロ−ゼ(pH4.5)。容量フラスコを使用して、10mgのセアプロ−ゼを、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)中に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(1400U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)を、容量フラスコ中の1mlの上記1mg/ml(1400U/ml)溶液に添加して、100mlの最終容積かつ0.01mg/mlの最終濃度(14U/ml)を得た。次いで、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)を、容量フラスコ中の2.5mlの上記0.01mg/ml(14U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ3.5U/mlの最終濃度を得た。最終的に、酢酸ナトリウム(25mM、pH4.5)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの3.5U/mlのセアプロ−ゼ(最終0.35U)と混合し、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0079】
セラチオペプチダーゼ(pH6.0)。容量フラスコを使用して、10mgのセラチオペプチダーゼを、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)中に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(1250U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)を、容量フラスコ中の1mlの上記1mg/ml(1250U/ml)溶液に添加して、100mlの最終容積かつ0.01mg/ml(12.5U/ml)の最終濃度を得た。次いで、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)を、容量フラスコ中の1.2mlの上記0.01mg/ml(12.5U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ1.5U/mlの最終濃度を得た。最終的に、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの1.5U/mlのセラチオペプチダーゼ(最終0.15U)と混合して、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0080】
セラチオペプチダーゼ(pH4.5)。容量フラスコを使用して、10mgのセラチオペプチダーゼを、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(1250U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)を、容量フラスコ中の1mlの上記1mg/ml(1400U/ml)溶液に添加して、100mlの最終容積かつ0.01mg/ml(12.5U/ml)の最終濃度を得た。次いで、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)を、容量フラスコ中の2.8mlの上記0.01mg/ml(12.5U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ3.5U/mlの最終濃度を得た。最終的に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの3.5U/mlのセラチオペプチダーゼ(最終0.35U)と混合して、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0081】
プロナーゼ(pH6.0)。容量フラスコを使用して、10mgのプロナーゼを、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)中に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(1000U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次いで、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)を、容量フラスコ中の1mlの上記1mg/ml(1000U/ml)溶液に添加して、100mlの最終容積かつ0.01mg/ml(10U/ml)の最終濃度を得た。次いで、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)を、容量フラスコ中の1.5mlの上記0.01mg/ml(10U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ1.5U/mlの最終濃度を得た。最終的に、リン酸緩衝液(25mM、pH6.0)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの1.5U/mlのプロナーゼ(最終0.15U)と混合して、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0082】
プロナーゼ(pH4.5)。容量フラスコを使用して、10mgのプロナーゼを、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)中に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(1000U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)を、容量フラスコ中の1mlの上記1mg/ml(1000U/ml)溶液に添加して、100mlの最終容積かつ0.01mg/ml(10U/ml)の最終濃度を得た。次いで、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)を、容量フラスコ中の3.5mlの上記0.01mg/ml(10U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ3.5U/mlの最終濃度を得た。最終的に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの3.5U/mlのプロナーゼ(最終0.35U)と混合して、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0083】
Viokase−8(pH6.0)。容量フラスコを使用して、10mgのViokase−8を、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)中に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(120U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)を、容量フラスコ中の0.125mlの上記1mg/ml(120U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ1.5U/mlの最終濃度を得た。最終的に、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの1.5U/mlのViokase−8(最終0.15U)と混合して、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0084】
Viokase−8(pH4.5)。容量フラスコを使用して、10mgのViokase−8を、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)中に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(120U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)を、容量フラスコ中の0.292mlの上記1mg/ml(120U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ3.5U/mlの最終濃度を得た。最終的に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの3.5U/ml Viokase−8(最終0.35U)と混合して、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0085】
トリプシン(pH6.0)。容量フラスコを使用して、10mgのトリプシンを、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)中に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(1130U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)を、容量フラスコ中の0.442mlの上記1mg/ml(1130U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ50U/mlの最終濃度を得た。最終的に、リン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH6.0)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの50U/mlのトリプシン(最終5U)と混合して、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0086】
トリプシン(pH4.5)。容量フラスコを使用して、10mgのトリプシンを、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)中に溶解し、10mlの最終容積にして、1mg/ml(1130U/ml)の最終濃度を有する溶液を得た。次に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)を、容量フラスコ中の0.442mlの上記1mg/ml(1130U/ml)溶液に添加して、10mlの最終容積かつ50U/mlの最終濃度を得た。最終的に、酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.5)中の225μlのCCK放出ペプチド(LCRF1−35)の1mg/ml溶液を、25μlの50U/mlのトリプシン(最終5U)と混合して、種々の時間間隔で37℃にてインキュベーションした。
【0087】
(分析技術およびアッセイ)
UV−VIS吸収および光学顕微鏡検査。UV−VIS分光写真(spectrophotograph)を、Beckman DU 7400分光光度計(Beckman Coulter Inc.(Fullerton,CA))によって得た。光学顕微鏡写真を、Olympus BX−51顕微鏡を使用して、明視野画像化によって得て、40×〜400×の倍率の下で、Image−Prosoftware(Media Cybernetics L.P.(Silver Springs,Maryland))を使用して、Sony DXC−970MD 3CCDカラーデジタルビデオカメラによって取り込んだ。
【0088】
逆相HPLC。上記CCK放出ペプチドの消化/加水分解されたペプチドを、自動積分およびクロマトグラフピークの分析のための、コンピューターインターフェースおよびソフトウェア(Agilent Chemstation software)が装備されたAgilent 1100 HPLCシステムを用いて分離した。Supelcoから入手したDiscovery C18逆相カラム(100×2.1mm、3μm)を、上記消化されたペプチドを分離するために使用した。ペプチド(214nmと280nmでモニターした)の線形勾配溶出(linear gradient elution)を、水(溶媒A)中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)およびアセトニトリル(溶媒B)中の0.08%TFAからなる溶媒系を使用して、30℃にて0.25ml/分の流速を用いて得た。この勾配溶出は、以下:0〜3分(0%緩衝液B)、3〜38分(0〜70%緩衝液B)、38〜40分(70%緩衝液B)および40〜40.5分(70〜0%緩衝液B)であった。
【0089】
CCK精製。Sep−Pak Vac 3 cc(500mg)カートリッジを、抽出マニホルドの上に挿入して、15mlの100%メタノールで調整した。カラムを、HO中の15mlの0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡化にして、標識した円錐状遠心分離管を、抽出マニホルドの中に挿入して、カートリッジからロード/洗浄溶出液を回収した。次いで、血漿サンプルを、CCKの分解を防ぐために、ラットから回収後すぐにロードした。夾雑物を、HO中のTFAを用いて上記カラムから洗浄した。抽出マニホルド中の標識した円錐状遠心分離管によって、各Sep−Pakカートリッジから上記CCK含有溶出液を回収して、そのCCKを、アセトニトリル中のTFAを用いて上記カラムからゆっくりと溶出した(流速<1ml/分)。一旦、上記溶出を完了させ、チューブにふたをかぶせて、ドライアイスで凍結した。内容物を、凍結乾燥機を使用して、24〜48時間、凍結乾燥して、使用するまで−80℃にて保存した。
【0090】
(実施例1)
セアプロ−ゼの結晶化。原料のままのセアプロ−ゼ粉末(100g、約70%純粋)を、1000mlの10mM炭酸ナトリウム(pH9.50)中に溶解した。次いで、得たセアプローゼ溶液を、0.22μmフィルター(Nalgene)を通過させることによって、フード中で濾過滅菌した。上記溶液を、4℃にて電磁攪拌機で一晩攪拌した。その次の日、生じた結晶を、20分間、2,000rpm(GH 3.8回転バケットローター(swinging bucket rotor)を備えるBeckman centrifuge Model GS−6R)で遠心分離することによって、上記溶液から分離して、続いて、その上清を除去した。結晶を、最小容積(80ml)の10mM炭酸ナトリウム(pH9.50)で、再び洗浄して、20分間、3,000rpmで再び遠心分離した。次いで、上記の洗浄した上清を除去して、1.2L(10mM炭酸ナトリウム、pH9.5)の全容積中で上記結晶を再懸濁して、乳白色の溶液(Abs280=34mg/ml)を得た。上記の再び溶解した結晶を、さらなる再結晶化のために、4℃で2〜3日間、静置させた。上記の精製したセアプローゼ結晶の最終収率は、44%であった(図1を参照のこと)。
【0091】
(実施例2)
セアプローゼ結晶の架橋。架橋を、グルタルアルデヒド(1%の最終濃度)を使用して行った。上記に調製したように、20mlのセアプローゼ結晶(10mM炭酸ナトリウム中、20mg/ml、pH9.5)を、回転(tumbling)させた状態で4℃にて24時間、800μlの25%グルタルアルデヒド溶液で処理した。上記の架橋させた結晶溶液を、滅菌条件下で20〜25mg/mlの最終濃度に濃縮した。24時間後、上記結晶を、遠心分離して、10mM Tris緩衝液(pH7.0)で洗浄(5×)した。
【0092】
(実施例3)
ラットにおける種々の外因性酵素補充物を含む食餌に対する血漿CCK応答。従来のように、集団収容され、自由に水および実験用食餌に接近できるラット(各々約350gの重量)を、ランダムに8つの処置群に分け、さらに5つの集団に細かく分けて、各集団を3匹のラットにした。全てのラットを、一晩(20〜22時間)絶食させて、その次の朝(午前7時〜9時の間)、手術後(PO)、口胃(orogastric)チューブに取り付けた給餌針(feeding needle)を介して、5mlの液体を胃の中へ経口投与した。上記5mlのアリコートを、1〜8群について以下に示した成分から調製した。例えば、1群についての処置は、ビヒクル(5mlの水を含む)、2群についての処置は、カゼインコントロール(水に900mgのカゼインを含み、5mlの最終容積にした)、3群についての処置は、カゼイン+セアプローゼ結晶(水に900mgのカゼインに加えて144mg(201,600USP単位)のセアプローゼ結晶を含む)、4群についての処置は、カゼイン+トリプシン(水に900mgのカゼインに加えて1000mg(1,250,000USP単位)のトリプシンを含む)、5群についての処置は、カゼイン+架橋されたセアプローゼ結晶(水に900mgのカゼインに加えて294mg(201,600USP単位)の架橋されたセアプローゼ結晶を含む)、6群についての処置は、カゼイン+ダイズトリプシンインヒビター(水に900mgのカゼインに加えて2mgのダイズトリプシンインヒビターを含む)、7群についての処置は、カゼイン+Creon(登録商標)−20(水に900mgのカゼインに加えて1000mg(201,038USP単位)のCreon(登録商標)−20を含む)、および8群についての処置は、カゼイン+Viokase(登録商標)−8(水に900mgのカゼインに加えて1000mg(104,500USP単位)のViokase(登録商標)−8を含む)である。次いで、麻酔として、1mlのケタミン:キシレジン(10mlケタミン(100mg)と1mlキシレジン(100mg)との混合物)の腹腔内(ip)過剰摂取をラットに与え、胸腔を開いて、右心室の心臓穿刺によって血液を抜き取った。10cc注射器(16ゲージ)を使用して、血漿サンプルを各ラットから得て、灌流の間の以下の5つの時点(前処置(絶食させた)、試験処方物投与後、7.5分、15分、30分および90分)にヘパリン添加血液チューブ中に回収した(表3を参照のこと)。上記血漿サンプルを、遠心分離(4℃にて10分、3000rpm)によって分離して、クリオチューブ(cryotube)の中にデカントした。次いで、CCKを、上記のようにSep−Pakカートリッジを使用して血漿から精製した。CCKレベルを、CCK−8硫酸塩に対して産生された特異性の高い抗血清(ガストリン−17に対して0.5%より小さい交差反応性)およびトレーサーとしてI125(Euro−Diagnosticaから提供されるCCK RIAキット)を使用して、競合ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した。種々の食餌性液体の口胃からの給餌の後、時間に対する血漿中のCCKレベルの変化を、表3および図2に示す。CCKの最も低いレベル(すなわち、最も高い抑制)は、上記試験処方物中のセアプローゼで処置した両方の群において生じた。
【0093】
【表3】

【0094】
(実施例4)
ラットにおける種々の外因性酵素補充物を含む食餌に対する血漿CCK応答。従来のように、集団収容され、自由に水および実験用食餌に接近できるラット(各々約350gの重量)を、ランダムに6つの処置群に分けて、さらに6つの集団に分けて、各集団を3匹のラットにした。全てのラットを、一晩(20〜22時間)絶食させて、その次の朝(午前7時〜9時の間)、口胃チューブに取り付けた給餌針を介して、5mlの液体を胃の中へ経口投与した。上記5mlのアリコートを、1〜6群について以下に示した成分から調製した。1群の処置については、ビヒクル(5mlの水を含む)、2群の処置については、Ensure(登録商標)コントロール(5mlのEnsure(登録商標)を含む)、3群の処置については、Ensure(登録商標)中に143mgまたは200,000USP単位のセアプローゼ結晶を含み、5mlの最終容積にし、4群の処置については、Ensure(登録商標)中に57mgまたは80,000USP単位のセアプローゼ結晶を含み、5mlの最終容積にし、5群の処置については、Ensure(登録商標)中に14mgまたは20,000USP単位のセアプローゼ結晶を含み、5mlの最終容積にし、そして6群の処置については、Ensure(登録商標)中に3.6mgまたは5,000USP単位のセアプローゼ結晶を含み、5mlの最終容積にした。次いで、ラットに、(実施例3のように)1mlのケタミン:キシレジンの過剰摂取(ip)を与え、体幹の血液を、灌流の間の以下の6つの時点(前処置(接触させた)、試験処方物投与後、7.5分、15分、30分、60分、および90分)にヘパリンでコーティングしたチューブの中に回収した(表4を参照のこと)。次いで、血漿サンプルを、10cc注射器(16ゲージ)を使用して各ラットから回収して、ヘパリン添加血液チューブ中に回収した。上記血漿サンプルを、遠心分離(4℃にて10分、3000rpm)によって分離して、クリオチューブの中にデカントした。次いで、血漿サンプルを、上記のように、Sep−Pakカートリッジ上で処理した。CCKレベルを、CCK−8硫酸塩に対して産生された特異性の高い抗血清(ガストリン−17に対して0.5%より小さい交差反応性)およびトレーサーとしてI125(Euro−Diagnosticaから提供されるCCK RIAキット)を使用して、競合RIAによって測定した。種々の食餌性液体の口胃からの給餌の後、時間に対する血漿中のCCKレベルの変化を、表4および図3に示す。CCKのより低いレベル(すなわち、より高い抑制)が、上記試験処方物中のより高い用量のセプローゼ結晶で処置した群において明らかになった。
【0095】
【表4】

【0096】
(実施例5)
ラットにおける種々の外因性酵素補充物を含む食餌に対する血漿CCK応答。従来のように、集団収容され、自由に水および実験用食餌に接近できるラット(各々約350gの重量)を、ランダムに6つの処置群に分けて、さらに6つの集団に分けて、各集団を3匹のラットにした。全てのラットを、一晩(20〜22時間)絶食させて、その次の朝(午前7時〜9時の間)、5mlの液体を、口胃チューブに取り付けた給餌針を介して、胃の中へ経口投与した(PO)。上記5mlのアリコートを、1〜6群において以下に示した成分から調製した。例えば、1群は、ビヒクル(5mlの水を含む)、2群は、Ensure(登録商標)コントロール(5mlのEnsure(登録商標)を含む)、3群は、Ensure(登録商標)中に3.6mgまたは5,000USP単位のセアプローゼ結晶を含み、5mlの最終容積にし、4群は、Ensure(登録商標)中に21mgまたは5,000USP単位の架橋されたセアプローゼ結晶(Seaprose−CLEC)を含み、5mlの最終容積にし、5群は、Ensure(登録商標)中に2mgまたは5,000USP単位のトリプシンを含み、5mlの最終容積にし、そして6群は、Ensure中に72.3mgまたは5,000USP単位の市販のViokase(登録商標)−8を含み、5mlの最終容積にした。次いで、ラットに、(実施例3のように)1mlのケタミン:キシレジンの過剰摂取(ip)を与え、体幹(心臓)の血液を、ヘパリンでコーティングされたチューブの中に以下の6つの時点(前処置(絶食させた)、試験処方物投与後、7.5分、15分、30分、60分、および90分)に回収した(表5を参照のこと)。次いで、血漿サンプルを、10cc注射器(16ゲージ)を使用することによって、各ラットから回収して、ヘパリン添加血液チューブ中に回収した。上記血漿サンプルを、遠心分離(4℃にて10分、3000rpm)によって分離して、クリオチューブの中にデカントした。次いで、血漿サンプルを、上記のように、Sep−Pakカートリッジ上で処理した。CCKレベルを、CCK−8硫酸塩に対して産生された特異性の高い抗血清(ガストリン−17に対して0.5%より小さい交差反応性)およびトレーサーとしてI125(Euro−Diagnosticaから提供されるCCK RIAキット)を使用して、競合RIAによって測定した。種々の食餌性液体の口胃からの給餌の後、時間に対する血漿中のCCKレベルの変化(pmol/L)を、表5および図4に示す。CCKのより低いレベル(すなわち、より高い抑制)が、他の処方物と比較した場合、上記試験処方物中のセアプローゼ結晶で処置した群において明らかになった。例えば、Cmaxの低下の割合を、以下のように計算した:0%(Ensure(登録商標))、93.92%(Ensure(登録商標)+セアプローゼ結晶)、85.56%(Ensure(登録商標)+Seaprose−CLEC)、80.25%(Ensure(登録商標)+トリプシン)、および35.08%(Ensure(登録商標)+Viokase(登録商標)−8)。
【0097】
【表5】

【0098】
(実施例6)
ラットにおける外因性酵素補充物の反復用量を含む食餌に対する血漿CCK応答。従来のように、集団収容され、自由に水および実験用食餌に接近できるラット(各々約350gの重量)を、ランダムに4つの処置群に分けて、さらに6つの集団に分けて、各集団を5匹のラットにした。全てのラットに、連続して3日間、自由に標準的な食餌を与えた。さらに、4群のラットに、連続して3日間にわたって、胃管栄養法によって、20,000USP単位のセアプローゼを含む、5mlのEnsure(登録商標)を与えた(処置ラット)。全てのラットを、4日目に、一晩(20〜22時間)絶食させて、午前7時〜9時の間に、口胃チューブを通して、胃への点滴注入によって、5mlの液体処方物を与えた。上記5mlのアリコートを、1〜4群について、以下に示す成分から調製した。例えば、1群は、ビヒクル(5mlの水を含む)、2群は、Ensure(登録商標)コントロール(5mlのEnsure(登録商標)を含む)、3群は、Ensure(登録商標)中に14mgまたは20,000USP単位のセアプローゼ結晶を含み、5mlの最終容積にし、4群は、Ensure(登録商標)中に14mgまたは20,000USP単位のセアプローゼ結晶を含み、5mlの最終容積にした(図6を参照のこと)。次いで、ラットに(実施例3のように)1mlのケタミン:キシレジンの過剰摂取(ip)を与え、体幹(心臓)の血液を、ヘパリンでコーティングされたチューブの中に以下の6つの時点(前処置(絶食させた)、試験処方物投与後、7.5分、15分、30分、60分、および90分)に回収した。次いで、血漿サンプルを、10cc注射器(16ゲージ)を使用することによって、各ラットから回収してヘパリン添加血液チューブ中に回収した。上記血漿サンプルを、遠心分離(4℃にて10分、3000rpm)によって分離して、クリオチューブの中にデカントした。次いで、血漿サンプルを、上記のように、Sep−Pakカートリッジ上で処理した。CCKレベルを、CCK−8硫酸塩に対して産生された特異性の高い抗血清(ガストリン−17に対して0.5%より小さい交差反応性)およびトレーサーとしてI125(Euro−Diagnosticaから提供されるCCK RIAキット)を使用して、競合RIAによって測定した。種々の食餌性液体の口胃からの給餌の後、時間に対する血漿中のCCKレベルの変化を、表6および図5に示す。3群および4群の両方は、匹敵するCCKレベルの抑制を示し、それによって、セアプローゼへの曝露前のラットは、CCKの抑制のレベルが変化しなかったことを示す。例えば、Cmaxの低下の割合を、以下のように計算した:0%(Ensure(登録商標))、95.83%(Ensure(登録商標)+セアプローゼ結晶、直後)、および97.69%(Ensure(登録商標)+セアプローゼ結晶、反復)。
【0099】
【表6−1】

【0100】
【表6−2】

【0101】
(実施例7)
pH6.0における種々のプロテアーゼを用いるCCK放出ペプチドのインビトロでの加水分解。CCK放出ペプチド(1mg/ml)を、25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中に懸濁して、ウォーターバス中で37℃にて、0.15単位(USP単位)のセアプローゼ(SAP)とインキュベーションした(上記の酵素調製のための条件を参照のこと)。異なる時間間隔(0時間、1時間、2時間および4時間)にて、10μlのサンプルを、Agilent 1100逆相HPLCシステムの中に注入して、消化されたぺプチドを、勾配溶出を使用してC18逆相カラム上で分離した。消化されていないCCK放出ペプチドは、22.8分で溶出した。プロテアーゼ消化後、残存している消化されていないCCK放出ペプチドの量を、22.8分におけるピーク下の領域から計算して、その結果を表7に示す。同様のCCK加水分解アッセイを、セラチオペプチダーゼ、プロナーゼ、トリプシン、またはViokase(登録商標)−8などのプロテアーゼを使用して行った。その結果を、表7に示す。
【0102】
【表7】

【0103】
pH6.0において、真菌/細菌プロテアーゼは、Viokase(登録商標)またはトリプシン(それらの両方は、膵臓起源である)のいずれかより活性的であり、CCK放出ペプチドを、トリプシンまたはViokase(登録商標)のいずれかより速く加水分解した。真菌/細菌酵素は、Viokase(登録商標)またはトリプシンのいずれかより高い比活性を有するので、そのような酵素のより少量が、Viokase(登録商標)またはトリプシンのいずれかより、CCK放出ペプチドを加水分解するために、重量ベースあたり、必要とされる。
【0104】
(実施例8)
pH4.5における種々のプロテアーゼを用いるCCK放出ペプチドのインビトロでの加水分解。CCK放出ペプチド(1mg/ml)を、25mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)中に懸濁して、ウォーターバス中で37℃にて、0.35単位(USP単位)のセアプローゼ(SAP)とインキュベーションした(酵素調製のための上記の条件を参照のこと)。異なる時間間隔(0時間、1時間、2時間および4時間)にて、10μlのサンプルを、Agilent 1100逆相HPLCシステムの中に注入して、いくらかの消化されたペプチドを、勾配溶出を使用して、C18逆相カラム上で分離した。消化されていないCCK放出ペプチドは、20.6分で溶出した。プロテアーゼ消化後、残存している消化されていないCCK放出ペプチドの量を、20.6分におけるピーク下の領域から計算した。その結果を表8に示す。同様のCCK加水分解実験を、セラチオペプチダーゼ、プロナーゼ、トリプシンまたはViokase(登録商標)−8などのプロテアーゼを使用して行った。その結果を、表8に示す。pH4.5において、真菌プロテアーゼは、Viokase(登録商標)またはトリプシン(それらは膵臓起源である)のいずれかより活性であり、CCK放出ペプチドを、トリプシンまたはViokase(登録商標)のいずれかより速く加水分解した。真菌酵素は、Viokase(登録商標)またはトリプシンのいずれかより高い比活性を有するため、より少量が、CCK放出ペプチドを加水分解するために、重量ベースあたり、必要とされる。
【0105】
【表8】

【0106】
(実施例9)
圧縮された状態におけるプロテアーゼ酵素活性の決定および痛みの処置のための圧縮されたプロテアーゼ錠剤を使用する実行可能性。ヒトにおける膵臓の痛みを処置する際に、1回の食事あたりの一用量のプロテアーゼの量は、各個体における痛みの重症度に依存して変化する。今までのところ、膵臓の痛みについての現状の処置は、1日に4回、1回の食事につき4個〜7個のカプセルを投与する工程を包含し;そのカプセルは代表的に、リパーゼ、プロテアーゼおよびアミラーゼ(例えば、Viokase(登録商標)−16)の混合物を含む、ブタベースの膵酵素抽出物を含む。Viokase(登録商標)−16の酵素カプセルレジメンにおいて、例えば、全膵酵素の約2g〜3.5gが、各食事の間に投与される。
【0107】
外因性膵臓プロテアーゼは、十二指腸において所望の活性を有するために、腸溶コーティングがない状態で投与されなければならない(V.Singhら、Gastroenterology Reports 5、110−116、(2003))。しかし、腸溶コーティングがない外因性膵臓プロテアーゼは、代表的に、プロテアーゼが、所望の活性を有して十二指腸に届くことを確実にするために、酸抑制剤(例えば、プロトンポンプインヒビターまたはHレセプターアンタゴニスト)とともに投与される(同書、113)。この目的のために使用されるプロトンポンプインヒビターとしては、例えば、オメプラゾール(Losec)、エソメプラゾール(Esomeprazole)(Nexium)、ランソプラゾール(Lansoprazole)(Zoton)、パントプラゾール(Pantoprazole)(Protium)、ラベプラゾール(Rabeprazole)ナトリウム(Pariet)、そしてHレセプターアンタゴニストとしては、例えば、シメチジン(Tagamet、Dyspamet)、ファモチジン(Pepcid)、ニザチジン(Axid)、ラニチジン(Zantac)、ラニチジンクエン酸ビスマス(Pylorid)が挙げられる。
【0108】
本発明の方法の1つの利点は、非膵臓プロテアーゼが、腸溶コーティングまたは酸抑制剤の付加を必要とせずに哺乳動物に固体形態として投与され得ることである。微生物に由来するプロテアーゼ(例えば、真菌プロテアーゼ)は、胃酸に対して膵酵素より安定であるので、酸抑制剤の必要性が、最小限であるか、または存在しない。
【0109】
一般に、タンパク質は、錠剤圧縮の間、安定でないと考えられているので、消化不良を制御するために使用される従来のプロテアーゼは、代表的に、カプセル形態で投与される。本発明は、腸溶コーティングおよび酸抑制剤を含まずに活性なままである、圧縮された錠剤の形態の非膵臓プロテアーゼを提供する。
【0110】
本発明に従う方法の処置のためのプロテアーゼの圧縮された錠剤の実行可能性および活性を試験するために、以下の試験を実施した。冷凍保存からセアプローゼ(Aspergillus melleus、結晶質SAP)を除去し、それを2時間未満、室温で暖めることによって、表9に示す3つの処方物を、調製した。所定の処方物についての全ての賦形剤を組み合わせてポリエチレンバッグおよび乾燥混合物にすることによって、プラシーボ混合物を調製した。例えば、140mgのプラシーボ混合物と60mgのセアプローゼ(81,600USP単位)を測定および混合し、この混合物を単一の穴を開ける装置のダイキャビティに移して、錠剤を形成するために混合物に圧縮を適用することによって、200mgの錠剤を調製した。100mgのセアプローゼを秤量することによって調製して、それを単一の穴を開ける装置のダイキャビティに移して、それを錠剤形態に圧縮することによって、賦形剤を含まないセアプローゼ(純粋な形態)を調製した。本出願人らは、60mgの量のセアプローゼは、使用した圧縮ツール(Single punch Tablet Compression Machine、Model MTCM−I、Globepharma、Inc.)によって圧縮されるには、少量すぎることを見出した。
【0111】
【表9】

【0112】
【表10】

【0113】
上記発明は、理解を明確にする目的のための説明および実施例によって、いくらか詳細に記載されているが、特定の変化および改変が、添付の特許請求の範囲を含む、本明細書中の開示の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対して成され得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明白である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、光学顕微鏡によって画像化された、10mM炭酸ナトリウム(pH9.5)の存在下で増加したセアプローゼ結晶を示す。実施例1を参照のこと。
【図2】図2は、種々の外因性酵素補充物を含む食餌に応答する、CCKラジオイムノアッセイ(「RIA」)によって測定されたラットの血漿中のCCKレベルを示す。実施例3を参照のこと。
【図3】図3は、外因性セアプローゼ結晶補充物を含む食餌に応答する、CCKラジオイムノアッセイ(「RIA」)によって測定されたラットの血漿中のCCKレベルを示す。実施例4を参照のこと。
【図4】図4は、種々の外因性酵素補充物を含む食餌に応答する、CCKラジオイムノアッセイ(「RIA」)によって測定されたラットの血漿中のCCKレベルを示す。実施例5を参照のこと。
【図5】図5は、外因性セアプローゼ結晶補充物を含む食餌に応答する、CCKラジオイムノアッセイ(「RIA」)によって測定されたラットの血漿中のCCKレベルを示す。実施例6を参照のこと。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において腹痛を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含有する組成物を、該哺乳動物に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
哺乳動物において食物の投与の後にコレシストキニン(CCK)の最大血漿濃度(Cmax)を低下させるための方法であって、該方法は、
治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含有する組成物を、食物と共に該哺乳動物に投与する工程
を包含し、該低下は、(a)食物投与の後の該プロテアーゼの非存在下における該Cmaxを(b)食物投与の後の該プロテアーゼの存在下における該Cmaxと比較することによって測定され、そして該低下は、
(i)少なくとも約10%〜約25%の低下;
(ii)少なくとも約25%〜約50%の低下;
(iii)少なくとも約50%〜約75%の低下;および
(iv)少なくとも約75%〜約100%の低下
からなる群より選択される、方法。
【請求項3】
哺乳動物においてCCK関連疾患を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含有する組成物を、該哺乳動物に投与する工程
を包含し、該プロテアーゼを投与した後の該哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルは、該プロテアーゼを投与する前の該哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルに満たないかまたは同じレベルであり、そして該プロテアーゼを投与した後の該哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルは、
(a)該プロテアーゼの投与の0時間後と約4時間後との間;
(b)該プロテアーゼの投与の0時間後と約8時間後との間;および
(c)該プロテアーゼの投与の0時間後と約12時間後との間
からなる群より選択される期間の間、該プロテアーゼを投与する前の該哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルに満たないかまたは同じレベルであり続ける、方法。
【請求項4】
哺乳動物において腹痛を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含有する組成物を、該哺乳動物に投与する工程
を包含し、該プロテアーゼを投与した後の該哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルは、該プロテアーゼを投与する前の該哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルに満たないか、または同じレベルであり、そして該プロテアーゼを投与した後の該哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルは、
(a)該プロテアーゼの投与の0時間後と約4時間後との間;
(b)該プロテアーゼの投与の0時間後と約8時間後との間;および
(c)該プロテアーゼの投与の0時間後と約12時間後との間
からなる群より選択される期間の間、該プロテアーゼを投与する前の該哺乳動物における血漿コレシストキニン(CCK)レベルに満たないか、または同じレベルであり続ける、方法。
【請求項5】
哺乳動物において腹痛を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含有する組成物を、該哺乳動物に投与する工程
を包含し、該プロテアーゼは、該哺乳動物においてコレシストキニン(CCK)の最大血漿濃度(Cmax)の低下を引き起こし、該低下は、(a)食物投与の後の該プロテアーゼの非存在下における該Cmaxを(b)食物投与の後の該プロテアーゼの存在下における該Cmaxと比較することによって測定され、そして該低下は、
(i)少なくとも約10%〜約25%の低下;
(ii)少なくとも約25%〜約50%の低下;
(iii)少なくとも約50%〜約75%の低下;および
(iv)少なくとも約75%〜約100%の低下
からなる群より選択される、方法。
【請求項6】
哺乳動物において腹痛を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含有する組成物を、該哺乳動物に投与する工程
を包含し、該プロテアーゼは、該哺乳動物において血漿コレシストキニン(CCK)レベルの低下を引き起こす、方法。
【請求項7】
哺乳動物において腹痛を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含有する組成物を、食物と共に該哺乳動物に投与する工程
を包含し、該プロテアーゼは、食物の投与の間に該プロテアーゼが存在しない場合の該哺乳動物におけるCCKの最大血漿濃度(Cmax)と比較して、該哺乳動物におけるCCKのCmaxを低下させる、方法。
【請求項8】
哺乳動物における食欲不振を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼまたは治療上有効な量の非膵臓プロテアーゼを含有する組成物を、該哺乳動物に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項9】
前記非膵臓プロテアーゼが、アスパラギン酸ペプチダーゼ、チオールペプチダーゼ、メタロペプチダーゼ、セリンペプチダーゼ、スレオニンペプチダーゼ、アルカリペプチダーゼ、セミアルカリペプチダーゼ、中性プロテアーゼ、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記非膵臓プロテアーゼが、セアプローゼ、セラペプターゼ、プロナーゼ、プロナーゼ成分またはそれらの混合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記非膵臓プロテアーゼが、結晶性形態、半結晶性形態または非晶質形態である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、賦形剤またはキャリアをさらに含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記賦形剤が、塩、アルコール、炭水化物、タンパク質、脂質、界面活性剤、ポリマーおよびポリアミノ酸からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、リパーゼおよびアミラーゼからなる群より選択される1種以上の酵素をさらに含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記治療上有効な量の前記非膵臓プロテアーゼが、1用量あたり約5,000USP単位〜約1,000,000USP単位である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記治療上有効な量の前記非膵臓プロテアーゼが、1用量あたり約5,000USP単位〜約750,000USP単位である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記治療上有効な量の前記非膵臓プロテアーゼが、1用量あたり約5,000USP単位〜約500,000USP単位である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記治療上有効な量の前記非膵臓プロテアーゼが、1用量あたり約5,000USP単位〜約250,000USP単位である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記非膵臓プロテアーゼが、多官能性架橋剤、ホモ二官能性架橋剤、ヘテロ二官能性架橋剤、0次架橋剤、ジアルデヒド架橋剤、ハロトリアジン架橋剤、ハロピリミジン架橋剤、無水物架橋剤、ハロゲン化物架橋剤、N−メチロール化合物、ジイソシアネート架橋剤、ジイソチオシアネート架橋剤およびアジリジン架橋剤からなる群より選択される架橋剤で架橋されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記非膵臓プロテアーゼが、液体、固体、懸濁物または分散物として、前記哺乳動物に投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記プロテアーゼが、経口経路、経腸経路または非経口経路によって前記哺乳動物に投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記プロテアーゼが、酸抑制剤の同時投与を伴わずに、経口経路によって前記哺乳動物に投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記非膵臓プロテアーゼが、スラリー、錠剤、カプレット、カプセル剤または糖剤として前記哺乳動物に投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記非膵臓プロテアーゼが、非腸溶コーティングされた錠剤として前記哺乳動物に投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記非膵臓プロテアーゼが、1回の食事あたり錠剤1個と錠剤6個との間の用量で哺乳動物に投与され、該錠剤は、
(a)約20mg〜約500mgの間;
(b)約50mg〜約500mgの間;および
(c)約50mg〜約250mgの間
からなる群より選択される活性プロテアーゼレベルを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記非膵臓活性プロテアーゼが、1回の食事あたり1個以上の錠剤として哺乳動物に投与され、該錠剤は、
(a)哺乳動物1kgあたり約1mgと哺乳動物1kgあたり約10mgとの間;
(b)哺乳動物1kgあたり約1mgと哺乳動物1kgあたり約3mgとの間;および
(c)哺乳動物1kgあたり約1mgと哺乳動物1kgあたり約2mgとの間
からなる群より選択される活性プロテアーゼ用量を提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記非膵臓プロテアーゼが、結晶の形態である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記非膵臓プロテアーゼが、セアプローゼである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記腹痛が、膵臓機能不全、急性膵炎、慢性膵炎、嚢胞性線維症または術後胃腸手術に関連する、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−509982(P2007−509982A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538382(P2006−538382)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/036228
【国際公開番号】WO2005/042012
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(500498730)アルタス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】