説明

血管用外科用ホルダー

組織を把持するための把持部1と、該把持部を操作するための操作部2と、一端が該操作部に接続された連結部3と、を有する外科用ホルダーであって、該把持部は、第1把持板と、該第1把持板に対して近接離間可能に該第1把持板に対向して設けられた第2把持板と、を有し、該把持部の一端部に、組織の一部を第1および第2把持板の間で把持し得る第1把持部と、該第1把持部によって組織の一部を把持した際に組織の他部を露出させ得る開口部とが設けられ、該把持部の他端部に、第1および第2把持板の間で組織把持空間を形成し得る第2把持部が設けられている外科用ホルダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用ホルダーに係る。特に、冠動脈バイパス手術などに好適な、血管手術用の外科用ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心筋梗塞、或いは狭心症患者に対する手術としては、人工心肺を使用したバイパス手術が一般的であった。そのような手術が実施されると、人工心肺に伴う体外循環により、合併症が一定の割合で発生し、患者の予後に大きな影響を与えていた。
【0003】
ここ数年、あらゆる外科手術において低侵襲化の傾向が加速される中、心臓外科領域においても人工心肺を使用しない心拍動下バイパス手術が広く行われるようになってきた。この心拍動下バイパス手術においては、採取した動脈又は静脈を心臓につなぐ際、一般に、助手がピンセット等で患者の血管の一部を挾み持って行っていた。
【0004】
ピンセットによる血管等の組織の把持は熟練を要し、非常にデリケートな組織の場合には組織に損傷を与えるおそれもあった。また手術操作のための十分な視野を要するところ、血管を持つ作業のために、視野が制限されるという問題もあった。従来、血管を把持するための道具は開発されているものの(実開平7−17208号公報参照)、操作性や把持の安定性、汎用性などの点で、更なる改良が求められていた。また、吻合操作など把持した組織の操作に使用し得るものや、1個で手術中の種々の操作に対応し得る多機能な器具の開発が強く切望されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外科手術を行う際に、血管等の組織を傷つけることなく安定して把持でき、しかも種々の操作が可能な器具を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する器具が、外科手術の操作に巧く適応することを見出し、更に検討を重ねて本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、次の事項に係るものである。
【0008】
項1.組織を把持するための把持部と、該把持部を操作するための操作部と、一端が該操作部に接続された連結部と、を有する外科用ホルダーであって、該把持部は、第1把持板と、該第1把持板に対して近接離間可能に該第1把持板に対向して設けられた第2把持板と、を有し、
該把持部の一端部に、組織の一部を第1および第2把持板の間で把持し得る第1把持部と、該第1把持部によって組織の一部を把持した際に組織の他部を露出させ得る開口部とが設けられ、該把持部の他端部に、第1および第2把持板の間で組織把持空間を形成し得る第2把持部が設けられている外科用ホルダー。
【0009】
項2.前記第1把持板および/または第2把持板の対向する側の面に組織保護材が装着されている項1に記載の外科用ホルダー。
【0010】
項3.前記組織保護材に薬剤が浸透されている項2に記載の外科用ホルダー。
【0011】
項4.組織を把持するための把持部と、該把持部を操作するための操作部と、一端が該操作部に接続され他端に固定具が設けられた連結部と、を有する外科用ホルダーであって、該把持部は、第1把持板と、該第1把持板に対して近接離間可能に該第1把持板に対向して設けられた第2把持板と、を有し、該第1把持板は、開口部を有する保持部と、凹部を有する支持部とを有し、第2把持板は、該第1把持板の開口部の全部又は一部を覆うように形成された覆部と、第1把持板を覆わない非覆部と、該第1把持板の凹部と対向して設けられ組織把持空間を形成し得る湾曲部を有する固定部とを有する外科用ホルダー。
【0012】
項5.組織を把持するための把持部と、該把持部を操作するための操作部と、一端が該操作部に接続され他端に固定具が設けられた連結部と、を有する外科用ホルダーであって、該把持部は、第1把持板と、該第1把持板に対して近接離間可能に該第1把持板に対向して設けられた第2把持板と、を有し、該把持部は矩形状に形成されて、その側部より該操作部が延出され、該把持部の一端部に、該第1および第2把持板によって組織の一部を把持する第1把持部と、該第1把持部に近接して設けられ組織の他部を露出させる開口部と、が設けられ、該把持部の他端部に、第1および第2把持板の間で組織把持空間を形成し得る第2把持部が設けられている外科用ホルダー。
【0013】
項6.組織を把持するための把持部と、把持部を操作するための操作部と、操作部に接続されたワイヤー部を有する外科用ホルダーであって、把持部は、第1把持板と第2把持板と、を有し、第1把持板は、U字状又はほぼU字状の開口部を有する保持部と、凹部を有する支持部とを有し、第2把持板は、第1把持板の開口部の全部又は一部を覆うように形成された覆部と、第1把持板を覆わない非覆部と、湾曲部を有する固定部とを有する外科用ホルダー。
【0014】
項7.把持する組織が周辺組織を有する管状組織であり、周辺組織を第1把持板の開口部の形状を画定する部分と第2把持板の覆部とで把持してなる項6に記載の外科用ホルダー。
【0015】
項8.把持する組織が管状組織であり、第1把持板の凹部と第2把持板の湾曲部とにより形成される組織把持空間で管状組織を把持してなる項6に記載の外科用ホルダー。
【0016】
項9.把持する組織が管状組織であり、第1把持板の保持部と第2把持板の覆部とで管状組織の一箇所を把持し、且つ、第1把持板の凹部と第2把持板の湾曲部とにより形成される組織把持空間で他の一箇所を把持してなる項6に記載の外科用ホルダー。
【0017】
項10.把持する組織が管状組織であり、管状組織の管内に第1把持板の開口部の形状を画定する保持部の端部を挿入し、管状組織を把持してなる項6に記載の外科用ホルダー。
【0018】
項11.把持する組織が管状組織(A)であり、(i)第1把持板の保持部と第2把持板の覆部とで管状組織(A)の一箇所を把持し、第1把持板の凹部と第2把持板の湾曲部とにより形成される組織把持空間で管状組織(A)の他の一箇所を把持して、支持部上に位置する管状組織(A)の切部と管状組織(B)の切部との吻合操作を行い、次いで、(ii)第1把持板の凹部と第2把持板の湾曲部とにより形成される組織把持空間で管状組織(A)を把持し、支持部上に位置する管状組織(A)の切部と管状組織(C)の切部との吻合操作を行うようにしてなる項6に記載の外科用ホルダー。
【0019】
本発明の外科用ホルダーは、好ましくは血管手術用ホルダーである。更に好ましくは冠動脈バイパス手術用ホルダーである。
【0020】
また、本発明の外科用ホルダーは、好ましくは、把持する管状組織が血管である外科用ホルダーである。
【0021】
本発明のホルダーは、種々の形態の組織を把持固定することができ、ほぼ全ての動脈及び静脈を含む血管組織等を好適に把持することができる。例えば、周囲組織ごと剥離した組織の把持や、Skeletonizeされた組織の把持が可能である。
【0022】
また、Skeletonizeされた組織について一度に複数箇所の把持も可能である。更に、Sequential graftingなど、把持した組織に対する更なる操作も行うことができる。その際、第1把持板と第2把持板を、支持台又は操作台として利用することができ、操作の安定性を高めることもできる。
【0023】
更に、本発明のホルダーは、滑り止め作用と組織保護作用を有する組織保護材10を有している。従って、組織を痛めることなく、且つ安定に把持できるという優れた効果も有する。
【0024】
更に、該組織保護材に、各種薬剤を浸透させることが可能で、組織の乾燥や細胞障害の防止などの処置も適宜行うことが可能になる。
【0025】
また、ワイヤー部を有し、把持部1及び操作部2の位置を自由に設定することが可能である。またワイヤー部の他端を開胸器等に固定するなどして、術者の利便性を高めることができる。
【0026】
従来、手術中の組織の把持は、助手等が組織を持って行っていたが、本発明のホルダーを利用すれば、把持するための人手が省けることになる。また、人の持ち手により視野が遮られるという問題点も解消される。
【0027】
また、本発明のホルダーはコンパクトな構造であるから、手術における切断部位も小さくすることができ、患者の身体への負担も低減される。またシンプルな構造で、樹脂などの汎用材料で製造することができ、経済的な負担も低減される。
【0028】
更に、本発明のホルダーは、一個で、種々の操作に対応可能な多機能器具であり、複数の器具を用いる必要がなく、手術操作をより簡便で且つ効率的なものとする。
【0029】
以上のような利点を有する本発明は、今後適応例の増加が予想される低侵襲化された手術等において、特に優れた効果を奏するものであり、有用性の高い発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0031】
本発明に係る外科用ホルダーHは、図1に示すように、組織を把持するための把持部1、把持部1を操作するための操作部2、操作部2に接続された、連結部としてのワイヤー部3を有する。また、本発明のホルダーHは、更に、ワイヤー部3と操作部2とを接続するための接続部4を有してもよい。
(把持部1)
把持部1は、組織を把持する部分であり、第1把持板6と第2把持板8とを有する。
【0032】
第1把持板6と第2把持板8は、ほぼ同一平面内で対向するように重ねることが可能なものであり、第1把持板6と第2把持板8との間に挿入された組織を、第1および第2把持板8の対向する内側面で挟み込んで把持する。つまり、第2把持板8は、該第1把持板6に対して近接離間可能に該第1把持板6に対向して設けられている。
【0033】
図2〜7に示すように、第1把持板6は、U字状又はほぼU字状の開口部14を有する保持部18と、凹部20を有する支持部22とを有する。保持部18のうち、開口部14を除く周縁部と該支持部22とは連続している。
【0034】
第1把持板6の保持部18は、第2把持板8の覆部26と共に組織を挟んで、組織を保持する部分である。保持部18は、U宇状又はほぼU字状の開口部14と、開口部14の形状を画定する縁部16を有する。
【0035】
開口部14は、第1把持板6の端部に位置するU字状又はほぼU字状の切欠部分である。ほぼU字状の形状とは、U字状とほぼ同様の形状であることを意味し、例えば、半楕円や半四辺形の形状も含まれる。開口部14の形状を画定する縁部16は、開口部14の周辺部分である。開口部14の形状を画定する縁部16の端部は、開口部14のU字状又はほぼU字状の上端を画定する部分であり、細く突き出た形状となっている。
【0036】
つまり、該把持部1の一端部に、組織の一部を第1および第2把持板6、8の間で把持し得る第1把持部と、該第1把持部によって組織の一部を把持した際に組織の他部を外部へ露出させ得る開口部14とが設けられている。さらに、把持部1の該一端部と対向する他端部に、第1および第2把持板6、8の間で組織把持空間15を形成し得る第2把持部が設けられている。第1把持部は、第1把持板6の保持部18と第2把持板8の覆部26とを含み、第2把持部は、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24とを含む。
【0037】
このような構成は、組織の適切な把持を可能にする。例えば、把持する組織が管状組織とその周辺組織である場合、周辺組織を第1把持板6の開口部14の形状を画定する保持部18と第2把持板8の覆部26とで挟持して把持し、管状組織を開口部14に位置させることにより、損傷しやすい管状組織を直接保持せずにその周辺組織を把持することができる。また、把持する組織が断端を有する管状組織である場合には、管状組織の管内に第1把持板6の開口部14の形状を画定する保持部18の縁部16の端部を挿入し、管状組織をこの縁部16先端に掛けるように把持することができる。
【0038】
第1把持板6の支持部22は、把持した組織を支持する部分であり、支持部22の端部に、窪んだ部分である凹部20を有している。支持部22の凹部20と保持部18の開口部14とは、好ましくは、1直線上の両端に位置することが好ましい。凹部20は、第2把持板8における湾曲部24と対合して組織把持空間15を形成する。凹部20の形状は特に限定されないが、半円状の窪みであることが好ましい。
【0039】
保持部18に加えて、支持部22も、組織の適切な把持を可能にする。例えば、把持する組織が管状組織である場合、第1把持板6の保持部18と第2把持板8の覆部26とで管状組織の一箇所を把持し、且つ、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24とにより形成される組織把持空間15で管状組織の他の箇所を把持する。このように、複数の箇所で管状組織を把持することにより、組織のより安定した把持が可能になる。
【0040】
また、支持部22を操作台として、把持した組織に、更に操作や処理を行うこともできる。例えば、上記のように、管状組織を少なくとも2箇所で把持する場合、該2箇所の間の管状組織が支持部22上に位置することとなり、支持部22上で吻合操作等の操作を行うことができる。
【0041】
第1把持板6および/または第2把持板8に装着される組織保護材10は、第1把持板6と第2把持板8との間に位置するように形成される。組織保護材10を装着する範囲は、第1把持板6および/または第2把持板8の全面でも一部分でもよいが、好ましくは、第2把持板8の第1把持板6に対向する側の面の全面に装着される。
【0042】
組織保護材10は、組織保護作用と滑り止め作用を有しており、組織保護材10によって、把持する組織の損傷を防ぐことができ、且つ、組織のより安定した把持が可能になる。組織保護材10に、各種薬剤を浸透させたり、表面処理を行ったりして、外科用ホルダーHに更なる機能を付与することもできる。
【0043】
組織保護材10としては、柔軟性を有するものが好ましく、例えば、スポンジなどを好適に用いることができる。組織保護材10の基材の種類は特に限定されないが、親水性基材であることが好ましい。親水性基材で有る場合には、各種薬剤を含有する溶液を組織保護材10に浸透させて、組織の乾燥や細胞障害を防ぐ機能等を付すことが容易となる。組織保護材10に浸透させる薬剤としては、例えば、抗凝固剤、血管拡張剤、血管成長促進因子、各種タンパク質、免疫抑制剤等が挙げられる。
【0044】
第2把持板8は、第1把持板6の開口部14の全部又は1部を覆うように形成された覆部26と、第1把持板6を覆わない非覆部28と、湾曲部24を有する固定部23を有する。つまり、第2把持板8は、第1把持板6の開口部14の全部又は1部を覆うように形成された覆部26から延出片を介して固定部23を設け、覆部26の縁と、延出片および固定部26とによって矩形状の開口を形成して非覆部28としている。
【0045】
第2把持板8の覆部26は、第1把持板6と第2把持板8が、ほぼ同一平面内で対向して重なるように操作される際、第1把持板6の開口部14の全部又は一部を覆うこととなる部分である。覆部26は、開口部14全部を覆うように形成されることが好ましく、さらに、開口部14だけでなく、開口部14の周辺部も覆うように形成されることが好ましい。特に、ほぼ同一平面内で対向して重なるように操作される際、第1把持板6の保持部18を覆うように形成されることが好ましい。
【0046】
覆部26は、第1把持板6の保持部18と共に組織を挟んで、組織を把持する。また、把持した組織を支持又は固定し、安定性を高める。例えば、把持する組織が管状組織とその周辺組織であって、周辺組織を第1把持板6の開口部14の形状を画定する保持部18と第2把持板8の覆部26とで挟持して把持する場合、開口部14に位置する管状組織が覆部26で支持される。また、把持する組織が断端を有する管状組織であって、管状組織の管内に第1把持板6の開口部14の形状を画定する保持部18の縁部16の端部を挿入し、管状組織を掛けるように把持する場合、覆部26で該把持した管状組織の側面を押さえるように固定することにより、管状組織がより安定して把持される。
【0047】
第2把持板8の非覆部28は、第1把持板6と第2把持板8が、ほぼ同一平面内で対向して重なるように操作される際、第1把持板6を覆わない部分であり、第1把持板6と第2把持板8が対向するとき、第1把持板6の支持部22にほぼ対応する部分である。
【0048】
非覆部28は、外科用ホルダーHで組織を把持した状態での操作又は処理を可能にする。例えば、第1把持板6の保持部18と第2把持板8の覆部26とで管状組織の一箇所を把持し、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24とにより形成される組織把持空間15で管状組織の他の一箇所を把持し、該2箇所の間の管状組織の中間部を支持部22上に位置させた場合、該組織を把持した状態で、非覆部28の開口側から、支持部22上の組織に対する操作又は処理を適宜行うことが可能となる。
【0049】
第2把持板8の固定部23は、湾曲部24を有する部分であり、組織を固定する部分である。固定部23と覆部26とは、非覆部28を間として、第2把持板8の一直線上の両端に位置していることが好ましい。
【0050】
湾曲部24は、第1把持板6と第2把持板8がほぼ同一平面内で重なるように位置される際、第1把持板6の凹部20と対向して、組織把持空間15を形成する。組織把持空間15の形状は特に限定されないが、ほぼ円形状の空間15を形成することが好ましい。該組織把持空間15により、例えば、Skeletonizeされた管状組織を、遮断せずに、適切に把持することが可能になる。
【0051】
第1把持板6と第2把持板8を構成する基板の材質は、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン・コポリマー(ABS)、ポリメチルペンテン等の各種高分子が用いられる。第1把持板6と第2把持板8は、透明基板としてもよい。
【0052】
第1把持板6及び第2把持板8の大きさは、特に限定されず、把持する組織の種類によって、適宜設定することができる。例えば、把持する組織が血管である場合には、把持部1の大きさは、長さ20〜40mm程度、幅10〜20mm程度、好ましくは、長さ25〜35mm程度、幅12〜15mm程度である。
(操作部2)
操作部2は、把持部1の近接、離間操作を行う部分である。具体的には、第1把持板6と第2把持板8を、ほぼ同一平面内で重なるように動かし、第1把持板6と第2把持板8との間に挿入された組織を両側から挟むような操作を行う。
【0053】
操作部2の構造は、所望に応じて適宜設計することができる。例えば、把持部1と一体的に形成され、操作部2の操作によって、第1把持板6と第2把持板8が連動して動く構成を有するものを挙げることができる。
【0054】
具体的には、操作部2は2枚の操作板2a、2bから構成され、該2枚の操作板2a、2bは第1把持板6及び第2把持板8とそれぞれ一体的に形成されており、操作板2a、2bへの力の付与又は除去或いは力の加減を調整することで、第1把持板6と第2把持板8が重なったり又は離れたりするように動く構成を有するものが挙げられる。
【0055】
また、操作部2には、一対の把持板6,8が同一平板状に重なるような方向に力を付勢したり、または、把持板6,8を元の位置に戻すような方向に力を付勢する調節機構を有してもよい。そのような調節機構としては、弾性体やばねが挙げられる。
【0056】
該操作部2は、組織を安定して把持し、且つ組織に損傷を与えることがない程度の力を両把持板6,8に与えるような構成であるものがよい。
(ワイヤー部又は連結部3)
ワイヤー部3とは、把持部1又は操作部2と、他の器具(スタビライザーのアーム等)または操作手段との連結を行う部分である。
【0057】
ワイヤー部3の構造は特に限定されないが、術者が片手で自由に曲げることができる程度の柔軟性を備えたフレキシブルワイヤーが好ましい。例えば、フレキシブルな背骨構造をもったものなどが挙げられる。また、ワイヤーには、染色やビニールコーティングなどの加工を適宜施してもよい。
【0058】
ワイヤー部3の材質は、特に限定されず、所望に応じて、適宜設定することができる。例えば、鉄、アルミ、銅、真鍮などの各種金属や、各種プラスチックを用いることができる。
【0059】
ワイヤー部3の一端は、操作部2と接続しており、接続点の構造は適宜設計できる。例えば、適当な接続部4を介した構造とすることができる。また操作部2と一体的に形成された構造とすることもできる。
【0060】
接続部4を介した構造とする場合、接続部4の構造は所望に応じて適宜設計し得る。特に、接続部4を支点として、ワイヤー部3が可能な限り自由に可動し得るような構造であるものが好ましい。接続部4の具体的な構成としては、例えば、ワイヤー部3に連動して動く回転軸と、操作部2に固定して取り付けられた該回転軸を支持する軸受けを有し、回転軸を支軸としてワイヤーが回転自在に接続されている構造などが挙げられる。
【0061】
ワイヤー部3の他端の構造も、所望に応じて適宜設計できる。例えば開胸器などに固定するための固定具23を設けた構造とすることができる。固定具としては、例えば、クリップが挙げられる。
(外科用ホルダーHの使用方法)
本発明の外科用ホルダーHは、外科手術における組織の把持や操作などに使用される。
【0062】
把持する組織は、特に限定されず、例えば、血管、腸、神経等の各種管状組織又は線状組織,またそれらの周辺組織等がある。特に、本発明の外科用ホルダーHは、動脈、静脈等の血管組織の把持に好適である。
【0063】
本発明の外科用ホルダーHは、外科手術用、特に血管手術用として好適に使用することができる。特に、あらゆるバイパス手術における、各種血管の把持に好適に使用できる。例えば、冠動脈バイパス手術における動脈グラフトとして最も頻度の高い内胸動脈(IMA)や、胃大網動脈(GEA)、下腹壁動脈(IEA)、橈骨動脈(RA)など、ほぼ全ての動脈を把持固定することが可能である。また、大伏在静脈(SV)など静脈の把持固定も可能である。
【0064】
また、本発明のホルダーHは、管状組織と周辺組織を共に有する組織や、Skeletonizeされた組織など、種々の形態の組織の把持が可能である。例えば、本発明を用いれば、周囲組織ごと剥離した動脈を、いわゆるpedicleとして把持しすることができる。また、Skeletonizeした動脈を把持することができる。
【0065】
さらに、把持した組織を用いて、Sequential graftingなどの操作を行うことも可能である。
【0066】
具体的には、本発明のホルダーHは、以下のように使用することができる。
【0067】
1つめの例として、図8に示すように、管状組織又は線状組織の周辺組織を第1把持板6の開口部14の形状を画定する保持部18と第2把持板8の覆部26とで把持する使用方法が挙げられる。例えば、周囲組織ごと剥離した動脈グラフトをいわゆるpedicleとして把持する場合などに適用できる。
【0068】
2つめの例として、図9に示すように、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24とにより形成される組織把持空間15で管状組織又は線状組織を把持する使用方法が挙げられる。例えば、Skeletonizeした動脈グラフトを把持する場合などに適用できる。
【0069】
3つめの例として、図10に示すように、第1把持板6の保持部18と第2把持板8の覆部26とで管状組織又は線状組織の一箇所を把持し、且つ、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24とにより形成される組織把持空間15で他の一箇所を把持して、少なくとも2箇所で管状組織又は線状組織を把持する使用方法が挙げられる。例えば、Skeletonizeした動脈グラフトを2箇所で把持する場合などに適用できる。
【0070】
4つめの例として、図11に示すように、管状組織の管内に、開口部14の形状を画定する部分の端部を挿入して管状組織を把持する使用方法が挙げられる。例えば、静脈グラフトを把持する場合などに適用できる。
【0071】
また、本発明のホルダーHを使用して、以下のようなSequential graftingを行うこともできる。ここで、切部とは、組織が切開又は切断されている部分を意味し、例えば、管状組織の側面に入れられた縦切開などの切開部や、管状組織の端部に位置する断端部などが含まれる。
【0072】
まず、本発明のホルダーHを用いて、図12aに示すように、第1把持板6の保持部18と第2把持板8の覆部26とで管状組織(A)の一箇所を把持し、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24とにより形成される組織把持空間15で管状組織(A)の他の一箇所を把持して、支持部22上に位置する管状組織(A)の切部と管状維織(B)の切部との吻合操作を行う。次いで、図12bに示すように、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24とにより形成される組織把持空間15で管状組織(A)を把持し、支持部22上に位置する管状組織(A)の切部と管状組織(C)の切部との吻合操作を行う。
【0073】
操作の段階に応じて管状組織の把持の仕方や方向を適宜変えることができ、Sequential graftingを効率よく行うことができる。また、支持部22は吻合操作における操作台としても利用することができる。
【0074】
このように、本発明の外科用ホルダーHは、一つの器具で種々の操作に対応可能な、多機能器具であって、手術の際の操作性や効率性を格段に向上させるものである。
【0075】
図13および図14は、本発明の他の実施形態の把持部1の構成を示す。
【0076】
この実施形態では、把持部1を構成する第2把持板8は、第1把持板6の開口部14の全部又は1部を覆うように形成された覆部26と、第1把持板6を覆わない非覆部28と、湾曲部24を有する固定部23を有する。つまり、第2把持板8は、第1把持板6の開口部14の全部又は1部を覆うように形成された覆部26から2本の延出片を介して固定部23を設け、覆部26の縁と、延出片および固定部26とによって矩形状の開口を形成して非覆部28としている。
【0077】
また、第1把持板6には、コ字状の開口部14が形成されている。その他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0078】
このような構成によれば、非覆部28を形成する枠体の一部に湾曲部24が形成されているので、その湾曲部24の強度を高めることができる。
【0079】
図15および図16は、本発明のさらに他の実施形態の把持部1の構成を示したものである。
【0080】
この実施形態では、操作部2と反対側の第1把持板6の側縁に開放する開口部14が形成されている。その他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0081】
図17および図18は、本発明のさらに他の実施形態の把持部1の構成を示したものである。
【0082】
この実施形態では、第1把持板6およびそれと対向して配置される第2把持板8が、円形又は楕円形に形成され、第1把持板6の一端部に形成された開口部14の形状が扇形に形成され、また第2把持板8に形成された非覆部28は、円形又は楕円形となっている。その他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0083】
このような構成によれば、湾曲部24およびそれを形成する固定部23の強度を高めることができ、また把持部1に角がないので破損や損傷も少ない。
【0084】
なお、第1および第2把持板6、8の間で形成した組織把持空間15の形状としては、例えば、図19に示す構成とすることができる。
【0085】
図19(A)〜(C)は、第1把持板6または第2把持板8のうちの一方の把持板にのみ凹部又は湾曲部を形成したものであり、そのうち図19(A)は湾曲する凹部を形成したものであり、図19(B)は断面矩形の凹部としたものであり、図19(C)は断面三角形の凹部としたものである。
【0086】
図19(D)〜(E)は、第1把持板6および第2把持板8の内面にそれぞれ凹部を形成したものであり、そのうち、図19(D)は断面矩形の凹部を形成し、図19(E)は断面三角形の凹部を形成したものである。
【実施例】
【0087】
以下、本発明の外科用ホルダーHの実施例を、心臓外科手術を行う場合の態様として、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0088】
なお、実施例において図中の管状組織は動脈又は静脈として説明する。
実施例1:管状組織及び周辺組織を含む組織の把持
図8に示されるように、本発明の外科用ホルダーHを用いて、動脈を周囲組織ごと剥離したいわゆるpedicleとして把持する。第1把持板6と第2把持板8の間に、開口部14の側から、管状組織及びその周辺組織を含む組織を挿入し、操作部2により、第1把持板6と第2把持板8がほぼ同一平面内で重なるように操作して、組織を挟持する。その際、第1把持板6の開口部14の形状を画定する保持部18の縁部16と第2把持板8の覆部26とで、周辺組織を把持する。
【0089】
第2把持板8の覆部26は、開口部14に位置する管状組織を支持している。このように、管状組織でなく、管状組織の周辺組織を把持することにより、管状組織を傷めることなく、保持することが可能である。
実施例2:Skeletonizeされた管状組織の把持
図9に示されるように、本発明の外科用ホルダーHを用いて、Skeletonizeされた動脈を把持する。第1把持板6の凹部20又は第2把持板8の湾曲部24に動脈を位置させ、操作部2により、第1把持板6と第2把持板8をほぼ同一平面内で重なるように操作して、該組織を固定する。このように把持することにより、Skeletonizeされた管状組織を遮断することなく、安定して保持することが可能となる。
実施例3:Skeletonizeされた管状組織の複数箇所での把持
図10に示されるように、本発明のホルダーHを用いて、Skeletonizeされた動脈の一箇所を第1把持板6の開口部14に位置させ、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24で形成される空間15に管状組織の他の一箇所を位置させて、操作部2により、第1把持板6と第2把持板8がほぼ同一平面内で重なるように操作する。第1把持板6の保持部18と第2把持板8の覆部26とで管状組織の一箇所が把持され、且つ、第1把持板6の凹部20と第2把持板8の湾曲部24とにより形成される組織把持空間15で他の一箇所が把持され、少なくとも2カ所で組織が把持される。このように、複数の箇所で組織を把持することにより、組織をより安定して把持することが可能となる。
実施例4:静脈の把持
図11に示されるように、本発明のホルダーHを用いて、静脈を把持する。静脈の血管内に、第1把持板6の開口部14の形状を画定する部分の端部を挿入し、静脈を掛けるようにして把持する。その際、更に、第2把持板8の覆部26で血管の側面を固定すると静脈がより安定して把持される。
実施例5:Sequential grafting
本発明のホルダーHを用いて、Skeletonizeされた動脈(A)の一箇所を、第1把持板6の保持部18と第2把持板8の覆部26で把持し、第2把持板8の湾曲部24分と第1把持板6の凹部20とで形成される組織把持空間15で他の一箇所を把持して、少なくとも2箇所で把持する。該2箇所の中間部に位置する動脈(A)の側面に血管の長手方向と平行な切開(縦切開)を行い、動脈(A)の切開部を第1把持板の支持部22上に位置させる。
【0090】
次いで、動脈(B)の切開部と、動脈(A)の切開部との間で、側々吻合のための操作を行う(図12(a))。両血管に数針パラシュート縫合を行った後、把持部1より動脈(A)をはずし、動脈(B)との吻合部に密着させ、その後に残りの縫合を行って、側々吻合を完遂する。
【0091】
続いて、本発明のホルダーHを用いて、第2把持板8の湾曲部24と第1把持板6の凹部20とで形成された組織把持空間15で動脈(A)の近端を把持し、第1把持板6の支持部上に動脈(A)の断端を位置させる。次いで、動脈(C)の切開部と、動脈(A)の断端との間で、端側吻合のための操作を行う(図12(b))。両血管に数針パラシュート縫合を行った後、把持板より動脈(A)をはずし、動脈(C)との吻合部に密着させ、その後に残りの縫合を行って、端側吻合を完遂する。
【産業上の利用可能性】
【0092】
上記のとおり、本発明の外科用ホルダーは、種々のタイプの外科用操作に関し、特に、冠動脈バイパス手術などの血管手術用の外科用ホルダーに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明のホルダーの把持部、操作部、接続部及びワイヤー部の一例を示した図面である。
【図2】図2は、本発明のホルダーの把持部及び操作部の一例を第1把持板の側から見た平面図である。
【図3】図3は、本発明のホルダーの把持部及び操作部の一例を第2把持板の側から見た平面図である。
【図4】図4は、本発明のホルダーの操作の一部を模式化した図である。図中の矢印は、操作部に加えられる力の方向と、操作部の動きに連動して把持部が動く方向を示したものである。
【図5】図5は、本発明のホルダーの把持部及び操作部の一例を、開口部を有する側から見た図である。
【図6】図6は、本発明のホルダーの把持部及び操作部の一例を、第1把持板の凹部及び第2把持板の湾曲部を有する側から見た図である。
【図7】図7は、本発明のホルダーの操作の一部を側面からみて模式化した図である。図中の矢印は、操作部に加えられる力の方向と、操作部の動きに連動して把持部が動く方向を示したものである。
【図8】図8は、本発明のホルダーにより、管状組織を周囲組織ごと把持する様子を示した模式図である。
【図9】図9は、本発明のホルダーを用いて、Skeletonizeした管状組織を把持する様子を示した模式図である。
【図10】図10は、本発明のホルダーを用いて、Skeletonizeした管状組織を2箇所で把持する様子を示した模式図である。
【図11】図11は、本発明のホルダーを用いて、管状組織を把持する様子を示した模式図である。
【図12A】図12Aは、本発明のホルダーを用いてSequential graftingを行う様子を示した模式図である。
【図12B】図12Bは、本発明のホルダーを用いてSequential graftingを行う様子を示した模式図である。
【図13】図13は、本発明のホルダーの把持部及び操作部の他の例を第1把持板の側から見た平面図である。
【図14】図14は、本発明のホルダーの把持部及び操作部の他の例を第2把持板の側から見た平面図である。
【図15】図15は、本発明のホルダーの把持部及び操作部のさらに他の例を第1把持板の側から見た平面図である。
【図16】図16は、本発明のホルダーの把持部及び操作部のさらに他の例を第2把持板の側から見た平面図である。
【図17】図17は、本発明のホルダーの把持部及び操作部のさらに他の例を第1把持板の側から見た平面図である。
【図18】図18は、本発明のホルダーの把持部及び操作部のさらに他の例を第2把持板の側から見た平面図である。
【図19】図19A〜19Eは、第1および第2把持板の間で形成した組織把持空間の種々の形態を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を把持するための把持部と、該把持部を操作するための操作部と、一端が該操作部に接続された連結部と、を有する外科用ホルダーであって、
該把持部は、第1把持板と、該第1把持板に対して近接離間可能に該第1把持板に対向して設けられた第2把持板と、を有し、
該第1把持板は、該第1把持板の外方へ開口する開口部を有する保持部と、凹部を有する支持部とを有し、該開口部は第1把持板の一端部に形成され、該凹部は該第1把持板の他端部に形成され、
第2把持板は、第1把持板の開口部の全部又は一部を覆うように形成された覆部と、第1把持板を覆わない非覆部と、湾曲部を有する固定部とを有し、該覆い部は第2把持板の一端部に形成され、該湾曲部は第2把持板の他端部に形成され、
第1および第2把持板を重ねた際に、該湾曲部と凹部との間で組織把持空間が形成されるよう該湾曲部は該凹部と対向する位置に形成され、
該把持部の一端部に、組織の一部を第1把持板の保持部および第2把持板の覆部の間で把持し得る第1把持部が設けられ、該第1把持部によって組織の一部を把持した際に組織の他部が該開口部より露出し、
該把持部の他端部に、第1把持板の凹部および第2把持板の湾曲部の間で組織把持空間を形成し得る第2把持部が設けられている外科用ホルダー。
【請求項2】
前記第1把持板および/または第2把持板の対向する側の面に組織保護材が装着されている請求項1に記載の外科用ホルダー。
【請求項3】
前記組織保護材に薬剤が浸透されている請求項2に記載の外科用ホルダー。
【請求項5】
組織を把持するための把持部と、該把持部を操作するための操作部と、一端が該操作部に接続され他端に固定具が設けられた連結部と、を有する外科用ホルダーであって、
該把持部は、第1把持板と、該第1把持板に対して近接離間可能に該第1把持板に対向して設けられた第2把持板と、を有し、
該把持部は矩形状に形成されて、その側部より該操作部が延出され、
該把持部の一端部に、該第1および第2把持板によって組織の一部を把持する第1把持部と、該第1把持部に近接して設けられ組織の他部を露出させる開口部と、が設けられ、該開口部は第1把持部の外方へ開口し、
該把持部の他端部に、第1および第2把持板の間で組織把持空間を形成し得る第2把持部が設けられ、該組織把持空間と該開口部とは一直線上に位置する、外科用ホルダー。
【請求項6】
組織を把持するための把持部と、該把持部を操作するための操作部と、該操作部に接続された連結部と、を有する外科用ホルダーであって、
該把持部は、第1把持板と、該第1把持板に対して近接離間可能に該第1把持板に対向して設けられた第2把持板と、を有し、
第1把持板は、U字状又はほぼU字状の開口部を有する保持部と、凹部を有する支持部とを有し、該開口部は第1把持板の一端部に形成され、該凹部は該第1把持板の他端部に形成され、
第2把持板は、第1把持板の開口部の全部又は一部を覆うように形成された覆部と、第1把持板を覆わない非覆部と、湾曲部を有する固定部とを有し、該湾曲部は該凹部と対向する位置に形成され、第1および第2把持板を重ねた際に、該湾曲部と凹部との間で組織把持空間が形成される外科用ホルダー。
【請求項7】
把持する組織が周辺組織を有する管状組織であり、周辺組織を第1把持板の開口部の形状を画定する部分と第2把持板の覆部とで把持してなる請求項6に記載の外科用ホルダー。
【請求項8】
把持する組織が管状組織であり、第1把持板の凹部と第2把持板の湾曲部とにより形成される組織把持空間で管状組織を把持してなる請求項6に記載の外科用ホルダー。
【請求項9】
把持する組織が管状組織であり、第1把持板の保持部と第2把持板の覆部とで管状組織の一箇所を把持し、且つ、第1把持板の凹部と第2把持板の湾曲部とにより形成される組織把持空間で他の一箇所を把持してなる請求項6に記載の外科用ホルダー。
【請求項10】
把持する組織が管状組織であり、管状組織の管内に第1把持板の開口部の形状を画定する保持部の端部を挿入し、管状組織を把持してなる請求項6に記載の外科用ホルダー。
【請求項11】
把持する組織が管状組織(A)であり、(i)第1把持板の保持部と第2把持板の覆部とで管状組織(A)の一箇所を把持し、第1把持板の凹部と第2把持板の湾曲部とにより形成される組織把持空間で管状組織(A)の他の一箇所を把持して、支持部上に位置する管状組織(A)の切部と管状組織(B)の切部との吻合操作を行い、次いで、(ii)第1把持板の凹部と第2把持板の湾曲部とにより形成される組織把持空間で管状組織(A)を把持し、支持部上に位置する管状組織(A)の切部と管状組織(C)の切部との吻合操作を行うようにしてなる請求項6に記載の外科用ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2006−521154(P2006−521154A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506755(P2006−506755)
【出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050314
【国際公開番号】WO2004/086490
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(503110200)
【出願人】(502100138)株式会社カルディオ (13)
【Fターム(参考)】