説明

血糖レベルを低下させる組成物及びその用途

朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、Radix Trichosanthis及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を含む組成物、その調製、及び対象における血糖レベルを減少させるための用途。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養補助組成物及び医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は、糖尿病を処置するための組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、身体がインスリンを製造しない又は適当に利用しない疾病である。インスリンは、糖、でんぷん及びその他の食物を、日常生活に必要なエネルギーに変換するのに必要なホルモンである。糖尿病を罹患する患者は、高い血糖レベルを典型的に有する。糖尿病の原因は、肥満や運動を行わないことなどの遺伝的及び環境的な因子が一定の役割を演じるとされているにもかかわらず、未解決のままである。効果的な処置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,756,196号明細書
【特許文献2】米国特許第4,522,811号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくとも部分的に、対象における血糖レベルを減少させる複数の植物から、組成物が調製され得るという予期せぬ発見に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、1つの態様において、本発明は、朝鮮人参、白朮(Rhizoma Atractylodis Macrocephalae)、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を有する組成物を特徴とする。
【0006】
本発明は、また、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を含み、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば及びカロコン(Radix Trichosanthis)からなるものではない組成物を特徴とする。
【0007】
他の態様において、本発明は、組成物を調製する方法を特徴とする。1つの方法は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を、組成物を形成するために混合することを含む。他の方法は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、ヨシ(Phragmites communis)、Radix Trichosanthis及びトウグワからなる群から選択された1つ以上の成分を、組成物を形成するために混合することを含み、前記組成物は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば及びカロコン(Radix Trichosanthis)からなるものではない。
【0008】
いくつかの実施態様において、朝鮮人参の量は本発明の組成物の1〜50重量%の範囲であり、白朮の量は組成物の5〜50重量%の範囲であり、甘草の量は組成物の1〜20重量%の範囲であり、及び生姜の量は組成物の5〜30重量%の範囲である。
【0009】
いくつかの実施態様において、朝鮮人参、白朮、甘草及び生姜の全量は、本発明の組成物の30〜90重量%の範囲であり、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分の全量は、組成物の10〜70重量%の範囲である。
【0010】
いくつかの実施態様において、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)又は桑の葉は、超微細粉末又はエキス末の形態である。
【0011】
例えば、超微細粉末のサイズは、300メッシュを越えてもよい。
【0012】
抽出物は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)又は桑の葉の薄片を、40〜85容量%のエタノールを含む水で抽出することにより、調製されてもよい。方法は、エタノールを蒸発させるステップ、残存する水溶液を大孔径の吸着樹脂に吸着するステップ、樹脂から抽出物を分離するステップ(例えば、60〜80容量%でエタノールを有する水を用いた樹脂の脱着及び樹脂を除去することによる)、並びに抽出物を集めるステップ(例えば、エタノールを蒸発させ、粉末を形成するように抽出物を噴霧乾燥することによる)をさらに含んでいてもよい。
【0013】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物の半分は超微細粉末の形態であり、組成物の他の半分はエキス末の形態である。
【0014】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、錠剤又はカプセルの形態である。錠剤の重さは、1.5gであってもよい;錠剤中の朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分の全量の重さは、1.2gであってもよい。
【0015】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、朝鮮人参、甘草、生姜、白朮、韃靼そば、カロコン(Radix Trichosanthis)及び葦(Phragmites communis);甘草、生姜、白朮、韃靼そば、朝鮮人参及び葦(Phragmites communis);朝鮮人参、甘草、生姜、カロコン(Radix Trichosanthis)及び白朮;朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉;又は朝鮮人参、甘草、生姜、白朮、葦(Phragmites communis)及び桑の葉を有する。
【0016】
上記の方法のいずれかにより調製された組成物は、本発明の範囲内である。
【0017】
さらに、本発明は、ヒトなどの対象における血糖レベルを減少させる方法を提供する。前記方法は、必要とする対象(例えば、糖尿病を罹患する対象)に、本発明の組成物の有効量を投与することを含む。組成物は、経口的又は胃内に投与されてもよい。例として、1.5gの錠剤の形態の本発明の組成物は、糖尿病を罹患するヒトである対象に、1日用量10〜15錠で投与されてもよい。
【0018】
本発明に関する上記の事項及びその他の特徴並びにこれらを得、且つ用いる様式は、下記の記載及び図面を参照して、より明らかになり、最も良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ラットにおける血糖レベルに及ぼす組成物1の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一つの目的は、対象における血糖レベルを減少させるための組成物を提供することである。前記組成物は、全世界で成長し、好ましくは中国で成長した種々の植物から調製される。
【0021】
さらに具体的には、本発明の組成物は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を含む。本発明の他の組成物は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を含み、前記組成物は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば及びカロコン(Radix Trichosanthis)からなるものではない。
【0022】
朝鮮人参は、ウコギ科のオタネニンジンの根である。また、アメリカ人参に由来してもよい。
【0023】
白朮は、キク科のオオバナオケラの根茎である。
【0024】
甘草は、マメ科のウラルカンゾウ又は洋甘草の根である。
【0025】
生姜は、ショウガ科の植物ショウガの地下の根茎である。
【0026】
韃靼そばは、タデ科のメンバーである。
【0027】
葦(Phragmites communis)は、葦(Phragmites communis Trin)(イネ科)の新鮮又は乾燥した根茎である。
【0028】
カロコン(Radix Trichosanthis)は、キカラスウリ(Trichosanthis kirilowii maxim)の乾燥根茎である。
【0029】
桑の葉は、クワ科のカラグワ(Morus alba L.)の葉である。
【0030】
本発明の組成物において、朝鮮人参の量は組成物の1〜50%(例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%及び50%)(重量)の範囲であってもよく、白朮の量は組成物の5〜50%(例えば、5%、10%、20%、30%、40%及び50%)(重量)の範囲であってもよく、甘草の量は組成物の1〜20%(例えば、1%、5%、10%、15%及び20%)(重量)の範囲であってもよく、生姜の量は組成物の5〜30%(例えば、5%、10%、15%、20%、25%及び30%)(重量)の範囲であってもよい。
【0031】
本発明のいくつかの実施態様において、朝鮮人参、白朮、甘草及び生姜の全量は、本発明の組成物の30〜90%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%及び90%)(重量)の範囲であり、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分の全量は、組成物の10〜70%(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%及び70%)(重量)の範囲である。
【0032】
本発明の組成物の成分である、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉は、超微細粉末又はエキス末の形態であってもよい。
【0033】
「超微細粉末」の意味するところは、粉末のサイズが、800メッシュ〜300メッシュの間であることである。例えば、超微細粉末のサイズは、300メッシュを越えてもよい。
【0034】
抽出物は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)又は桑の葉の薄片を、40〜85%(例えば、40%、50%、60%、70%、80%及び85%)でエタノールを含む水で抽出することにより調製されてもよい。エタノールを、その後、蒸発により除去してもよく、残存する水溶液は、100〜400Åの径の孔を有するマクロ多孔性吸着樹脂に吸着されてもよい。抽出物は、続いて、例えば、60〜80%でエタノールを含む水中で抽出物を脱着し樹脂を除去するなどにより、樹脂から脱着されてもよい。抽出物は、その後、例えば、粉末を形成するように、エタノールを蒸発させ、抽出物を噴霧乾燥することなどにより、集められてもよい。
【0035】
本発明の組成物は、超微細粉末又はエキス末の形態であってもよい。代替的に、本発明の組成物は、超微細粉末又はエキス末の混合物の形態であってもよい。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の半分(重量)が超微細粉末の形態を有しており、他の半分(重量)がエキス末の形態を有する。
【0036】
本発明の例示的な組成物は、朝鮮人参、甘草、生姜、白朮、韃靼そば、カロコン(Radix Trichosanthis)及び葦(Phragmites communis)の組み合わせ;甘草、生姜、白朮、韃靼そば、朝鮮人参及び葦(Phragmites communis)の組み合わせ;朝鮮人参、甘草、生姜、カロコン(Radix Trichosanthis)及び白朮の組み合わせ;朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉の組み合わせ;並びに朝鮮人参、甘草、生姜、白朮、葦(Phragmites communis)及び桑の葉の組み合わせを含有する組成物を含む。
【0037】
本発明の組成物は、栄養補助食品などの栄養目的に使用されてもよい。また、本発明は、医薬組成物を形成するように、医薬的に許容可能なキャリアと混合されてもよい。「医薬的に許容可能なキャリア」としては、医薬的な投与に適合した溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが挙げられる。
【0038】
本発明の組成物は、意図した投与経路に適合するように処方されてもよい。(特許文献1参照)。投与経路の例としては、静脈内、皮内、皮下などの非経口経路、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜、胃内及び直腸投与が挙げられる。非経口経路、皮内、胃内又は皮下の適用のために使用される溶液又は懸濁液は、以下の成分を含み得る:注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などの緩衝剤;及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張力を調整するための物質。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整され得る。非経口用調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、又はガラス製若しくはプラスティック製の反復投与用バイアルに密封され得る。
【0039】
いくつかの実施態様において、組成物は、移植物及びマイクロカプセル化された送達システムを含む制御放出製剤などの、活性成分が人体から急速に消失することを防御するキャリアを含む。エチレンビニル酢酸、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの、生物分解性、生物適合性ポリマーを使用し得る。斯かる製剤の調製方法は、当業者に明らかであろう。各種材料もまた、市場から入手し得る。医薬的に許容可能なキャリアとして、リポソーム懸濁物をも使用し得る。これらは、例えば、特許文献2に記載の通り、当業者に既知の方法によって調製され得る。
【0040】
投与を容易にし、用量を均一にするために、投与単位形態で経口用又は非経口用の組成物を処方することには利点がある。ここで用いる「投与単位形態」とは、処置される対象のための単一の用量として適した物理的に個別の単位を参照し、各単位は、必要な医薬的キャリアと関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性成分を含有する。
【0041】
例えば、本発明の組成物は、経口投与用の錠剤又はカプセルの形態であってもよい。いくつかの実施態様において、錠剤は、1.5gの重量を有する。いくつかの実施態様において、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分の錠剤における全量は、1.2gである。
【0042】
本発明の他の目的は、組成物を調製する方法を提供することである。1つの方法は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を、組成物を形成するために混合することを含む。他の方法は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を、組成物を形成するために混合することを含み、組成物は、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば及びカロコン(Radix Trichosanthis)からなるものではない。
【0043】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉は、上述の比率及び形態によって混合される。例えば、活性成分とは別の錠剤の成分である賦形剤は、植物成分の粉末混合物を粒状とするように添加されてもよい。造粒は、粒子間に結合を形成することによって粒子をまとめる工程である。賦形剤の例としては、流動促進剤としてのステアリン酸マグネシウム、抗付着剤又は潤滑剤としての二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。造粒された粉末は、その後、錠剤化されてもよい。このように調製された組成物は、本発明の範囲内である。
【0044】
本発明の組成物は、例えば、糖尿病の処置のため、対象における血糖レベルを減少させるのに使用され得る。組成物の有効量は、上記した適当な経路を介して、それを必要とする対象に投与される。
【0045】
ここでいう「対象」は、ヒト、又は、霊長類(特に高等な霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウス又はラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ及びウシなどの全ての哺乳類を含む動物を指す。好ましい実施例において、対象は、ヒトである。他の実施例において、対象は、実験動物、又は疾患モデルとして適した動物である。
【0046】
処置される対象は、対象又は健康の専門家の判断で同定されてもよく、自覚的(例えば、意見)、又は他覚的(検査若しくは診断方法により測定可能なもの)であり得る。例えば、処置される対象は、異常に高い血糖レベルを有する対象、又は糖尿病と診断され若しくは罹患した対象であってもよい。
【0047】
「処置」は、疾病、疾病の症候、疾病に対する二次的な疾病状態又は疾病に対する素因を治癒、軽減、緩和、治療、防止又は改善を目的として対象に物質を投与することと定義される。
【0048】
「有効量」は、処置された対象に医療的に望ましい結果をもたらし得る組成物の量である。医療的に望ましい結果は、他覚的(つまり、いくつかの検査若しくはマーカーにより測定可能なもの)又は自覚的(つまり、対象が、効果を示すか感じるか)であり得る。
【0049】
いくつかの実施例において、本発明の組成物は、経口又は胃内に投与される。
【0050】
対象を処置するのに必要な用量は、投与経路の選択、製剤の性質、対象の疾病の性質、対象の大きさ、重量、表面積、年齢、性別、投与されているその他の薬物、及び参画する医師の判断に依存する。適当な用量は、典型的には、0.01〜500.0mg/kgの範囲である。必要な容量が広範に変化することが、種々の投与経路の異なる有効性を考慮して予想されるべきである。例えば、経口投与は、静脈注射による投与よりもより高い用量を必要とすると考えられている。これらの用量レベルの変化は、本技術分野においてよく理解されているように、最適化のための標準的な経験に基づくルーチンを用いて調整され得る。適当な送達媒体(例えば、マイクロ粒子重合体又は移植可能なデバイス)における活性成分のカプセル化は、特に経口送達について、送達の有効性を増加させる場合がある。
【0051】
例えば、上述の1.5gの錠剤の形態の本発明の組成物は、10〜15錠の1日用量で、糖尿病に罹患したヒトである対象に投与されてもよい。
【0052】
本発明の組成物の投与の典型的なサイクルは、1週間から数ヶ月、例えば、2週間、4週間、2ヶ月及び4ヶ月などである。血糖レベルが対象において下降し始めた後、組成物の用量は、徐々に減少させてもよい。投与は、血糖レベルが正常に戻った場合、中止してもよい。
【0053】
糖尿病のための他の医薬を摂取する糖尿病患者のため、本発明の組成物は、初期には、他の医薬と同時に摂取されてもよい。血糖レベルが対象において下降し始めた後、他の医薬の摂取は、徐々に減少され、最終的に中止されてもよい。対象は、本発明の組成物の摂取を続けてもよく、血糖レベルが下降し続ける場合、対象は、組成物の摂取を徐々に減少させ、血糖レベルが正常に戻る場合、組成物の摂取を最終的に中止してもよい。
【0054】
以下の実施例は、本発明の範囲を示すことを意図するものであり、これに限定するものではない。斯かる実施例が、使用され得るものの典型例である一方、当業者に知られたその他の手法が代替的に利用されてもよい。事実、当業者は、過度な実験を行うことなくここで述べる教示に基づいて、さらなる実施態様を即座に想像し且つ創作し得る。
【0055】
実施例
実施例1
植物の超微細粉末の調製
植物を、清浄水で洗浄し、空気中で乾燥し、粉砕し、300メッシュを超える超微細な粉末にさらに精製した。
【0056】
植物のエキス末の調製
植物を、清浄水で洗浄し、薄片に切断し、40〜85容量%でエタノールを含む水で抽出した。エタノールを、その後、蒸発により除去した。残存する水溶液を、マクロ多孔性吸着樹脂で処理した。樹脂に吸着した植物抽出物を、エタノール(60〜80容量%)で脱着した。樹脂を除去した後、エタノールを、植物抽出物から除去した。その後、植物抽出物を噴霧乾燥し、粉末とした。
【0057】
栄養補助食品の調製
以下の植物超微細粉末と、植物エキス末とを、組み合わせた。
【0058】
朝鮮人参超微細粉末 500g
甘草超微細粉末 200g
生姜超微細粉末 300g
白朮エキス末 300g
韃靼そばエキス末 250g
カロコン(Radix Trichosanthis)エキス末 250g
葦エキス末 200g
【0059】
混合物を造粒するように、賦形剤を添加した。例えば、ステアリン酸マグネシウムは流動促進剤として使用されてもよく、二酸化ケイ素は抗付着剤又は潤滑剤として使用されてもよい。造粒された混合物を錠剤化した。各錠剤の重量は1.5gであり、1.2gの植物超微細粉末及び植物エキス末を含有していた。
【0060】
推奨されるヒトの1日消費量は、10〜15錠である。
【0061】
実施例2
栄養補助食品は、以下の材料を用いて、実施例1に述べた方法により調製された。
【0062】
甘草超微細粉末 300g
生姜超微細粉末 300g
白朮超微細粉末 400g
韃靼そばエキス末 200g
朝鮮人参エキス末 300g
葦シエキス末 500g
【0063】
実施例3
栄養補助食品は、以下の材料を用いて、実施例1に述べた方法により調製された。
【0064】
朝鮮人参超微細粉末 500g
甘草超微細粉末 100g
生姜超微細粉末 200g
カロコン(Radix Trichosanthis)エキス末 200g
白朮エキス末 300g
【0065】
実施例4
栄養補助食品は、以下の材料を用いて、実施例1に述べた方法により調製された。
【0066】
朝鮮人参エキス末 500g
白朮エキス末 200g
甘草エキス末 100g
生姜エキス末 200g
カロコン(Radix Trichosanthis)超微細粉末 400g
桑の葉エキス末 600g
【0067】
実施例5
栄養補助食品は、以下の材料を用いて、実施例1に述べた方法により調製された。
【0068】
朝鮮人参超微細粉末 400g
甘草超微細粉末 100g
生姜超微細粉末 200g
白朮超微細粉末 300g
葦エキス末 500g
桑の葉エキス末 500g
【0069】
実施例6
in vivoの有効性試験−ストレプトゾトシン(STZ)で誘導した高血糖ラットにおける組成物1の錠剤の抗高血糖効果
本発明の目的のため、実施例1によって調製した栄養補助食品を、組成物1と称する。組成物1は、血糖レベルを制御するために用いられる生薬サプリメントである。この試験の目的は、STZで誘導した高血糖ラットにおける組成物1の錠剤の抗高血糖効果を検討することであった。
【0070】
方法
STZで誘導した高血糖ラットモデルの確立
高血糖ラットモデルを確立するために、体重230〜270gのSprague−Dawley(SD)ラットが用いられた。動物は、40mg/kg体重(2.0mL/kg)の用量で2%STZを単回で腹腔内注射を受ける前に、18時間絶食させた。6匹のSDラットがブランクのコントロール群として選択され、2.0mL/kg体重の用量でクエン酸緩衝液を腹腔内に注射された。全てのラットは、注射の後、食料及び水に自由にアクセスできた。血液サンプルは、血糖レベルの測定のため、注射の72時間後に、ラットの後側眼窩静脈から採取された。高血糖ラットモデルの確立が成功したことは、非絶食下の静脈の血糖レベルが13.8ミリモル/L以上であることとして定義された。
【0071】
用量計画及び群
高血糖ラットは、組成物1の低用量、中用量、副高用量及び高用量の群、メトホルミンのコントロール群並びにモデルのコントロール群を含む、6つの群にランダムに分割された。ブランクのコントロール群を含む全部で7つの実験群を、この試験に使用した。正確な用量は、下記の通り設計された:
【0072】
ヒトに関する組成物1の臨床用量は、16.2g/日である。この試験において、ヒトとラットとの間の体重因子の変換によると、組成物1の錠剤は、低用量、中用量、副高用量、高用量のそれぞれで、1.89、2.7、3.78及び5.67g/kg体重/日の用量レベルで、オスのSPF−SDラットに毎日投与された。
【0073】
ヒトに関するメトホルミンの臨床用量は、1〜1.5g/日であって、成人に関して、約0.025g/kg体重/日である。ラットに関するメトホルミンの投与用量は、0.25g/kg体重/日と算出され、これは、ヒトの臨床用量の10倍である。正確な用量レベル及び群を、表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
投与
STZで誘導した高血糖ラットモデルが確立された後、ラットは、ブランクのコントロール群を除く異なる群にランダムに分割された。各群の動物は、30日間、異なる用量の組成物1又はメトホルミンを投与された。組成物1の溶解度が低いこと及び大用量のため、高用量群は、30日間、一日当たり2回投与された。
【0076】
血糖レベルの測定
STZ注射の72時間後、その後、投与の後毎週、及び投与の終了時に、試験されたラットの後側眼窩静脈から約0.5mLの血液を採取した。血液サンプルは、血糖レベルの測定用の血清を得るために、3,500rpmで15分間遠心分離された。
【0077】
結果
一般観察
投与の期間中、いずれのラットも死亡しなかった。全ての動物は、良好な精神状態、正常な活動及び清浄な毛並みを示し、立毛もなかった。また、観察対象であるその他の異常な毒性症状もなかった。
【0078】
血糖レベルの測定
投与の全期間中、モデルのコントロール群におけるラットの血糖レベルは、ブランクのコントロール群よりも、有意に高く(p<0.05)、このことは、STZで誘導された高血糖ラットモデルが、抗高血糖剤を評価するのに安定且つ信頼できるものであったことを示す。
【0079】
モデルのコントロール群と比較すると、メトホルミンのコントロール群におけるラットの血糖レベルは、投与開始後3週目及び4週目で低かった(p<0.05)。処置した4週間において、組成物1の用量群の全てにおける高血糖ラットの血糖レベルは、低下する傾向であった。特に中用量の群に関して、血糖レベルは、モデルのコントロール群と比較して、有意に低下した(p<0.05)。
【0080】
処置の前の血糖レベルと比較すると、メトホルミンのコントロール群における高血糖ラットの終期の血糖レベル(4週間の処置の後)は、59%の低下を示した一方、組成物1の処置群に関して、終期の血糖レベルは、低用量群では20%、中用量群では45.5%、副高用量群では22%及び高用量群では42%の低下を示した。
【0081】
結論
この試験の結果が示すように、全ての用量レベル(1.89、2.7、3.78及び5.67g/kg体重/日)における組成物1の錠剤により、4週間の処置の後、STZで誘導した高血糖ラットの血糖レベルが有意に低下した(20%を越える)。最も良好な時間−有効性反応は、2.7g/kg体重/日で起こった。
【0082】
実施例7
ヒトの症例研究
症例1:男性、1934年生まれ。1980年代の初頭、II型糖尿病と診断された。最も高い血糖レベルは、300mg/dLを超えていた。口渇、多量及び頻回の排尿、皮膚刺激、歯周病、視力低下、関節疼痛、並びにエネルギー枯渇を経験した。食物摂取は、1lb/日から1/4lb/日に低下した。その当時の数年間は、彼の血糖レベルを下げるために、糖尿病薬の量を増やさざるを得ないことが時々あった。かのごとくあっても、血糖の平均レベルは上昇した。2003年の初頭、組成物1の摂取を開始した。2週間後、血糖レベルは、降下し始めた。糖尿病用の処方薬を減らし始めた。4ヶ月の減少の後、処方薬を停止し、摂取していた組成物1の量を徐々に減らすように努めた。さらに2ヶ月後、組成物1の摂取を停止したが、血糖レベルは、約100mg/dLにとどまっていた。食生活は正常に戻り、関節疼痛は消失し、エネルギー状態もまた正常に戻った。非常に良好な体型であり、現在はキャンディーを食している。
【0083】
症例2:男性、1930年生まれ。最初に診断されたのは1988年で、血糖レベルは、6.2〜7.2ミリモル/L(絶食時)及び11.2〜12.5ミリモル/L(食後)であった。2000年、皮膚の刺激及び視力低下を経験し始めた;2002年、血糖レベルは、11.6〜13ミリモル/L(絶食時)及び19.7〜23.3ミリモル/L(食後)に上昇した。糖尿病用の主な医薬は、メトホルミン(1997年)及びインスリン(28〜30U/日)(2002年)であった。結果として、血糖レベルは、5.4〜6.5ミリモル/L(絶食時)及び7.6〜9.9ミリモル/L(食後)に保持された。2004年2月、組成物1を摂取し始めた。2週間後、インスリン摂取量を徐々に減らし始めた。約2ヶ月のうちに、インスリンを完全に停止したが、血糖レベルは、7.2ミリモル/L(絶食時)及び10.7ミリモル/L(食後)に維持された。さらに2ヶ月間組成物1の摂取を継続した後、血糖レベルは、4.4〜6.1ミリモル/Lと正常レベルに戻った。それ以来、全ての医薬を停止し、健康に生活している−一日当たり少なくとも30分間運動をしている。
【0084】
症例3:男性、1947年生まれ、体重215lb。2002年に最初に糖尿病と診断された。最も高い血糖レベルは、166mg/dLであった。主要な症状としては、口渇、頻尿、皮膚刺激及び複数の神経障害症状が挙げられる。使用しているその他の医薬には、酸逆流に関するラニチジンが含まれていた。2004年に組成物1の摂取を開始した。週ごとに血糖レベルの降下が観察された。2ヶ月後、血糖レベルは、正常に戻った(86mg/dL)。
【0085】
症例4:女性、1941年生まれ。2000年に糖尿病と最初に診断された。血糖レベルは、約250mg/dLに達し、一般的な症状をともなっていた。2004年後半に組成物1の摂取を開始した。2週間後、糖尿病用の医薬を減らし始めた。2ヶ月間の減薬後、糖尿病用の医薬を停止し、組成物1を減らし始めた。1ヶ月間の減薬後、組成物1も停止したが、血糖レベルは正常に戻り、全ての症状は消失した。
【0086】
(記:1ミリモル/L=18mg/dL、例えば、10ミリモル/L=180mg/dL)
【0087】
文献
1.(医薬品安全性試験実施基準)。Chinese State Food and Drug Administration。北京、2003年8月。
2.Guiding Principles for Laboratory Research of New Drugs、Bureau of Drug Administration & Policy of Ministry of Public Health of P.R. China、北京、1993年
ここに引用した全ての刊行物は、その全内容を本願に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を含む組成物。
【請求項2】
朝鮮人参の量が前記組成物の1〜50%(重量)の範囲であり、白朮の量が前記組成物の5〜50%(重量)の範囲であり、甘草の量が前記組成物の1〜20%(重量)の範囲であり、及び生姜の量が前記組成物の5〜30%(重量)の範囲である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
朝鮮人参、白朮、甘草及び生姜の全量が前記組成物の30〜90%(重量)の範囲であり、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分の全量が前記組成物の10〜70%(重量)の範囲である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)又は桑の葉が超微細粉末又はエキス末の形態である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の半分(重量)が超微細粉末の形態であり、前記組成物の他の半分(重量)がエキス末の形態である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が錠剤又はカプセルの形態である請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記錠剤の重さが1.5gである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分の全量の重さが1.2gである請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が朝鮮人参、甘草、生姜、白朮、韃靼そば、カロコン(Radix Trichosanthis)及び葦(Phragmites communis);甘草、生姜、白朮、韃靼そば、朝鮮人参及び葦(Phragmites communis);朝鮮人参、甘草、生姜、カロコン(Radix Trichosanthis)及び白朮;朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉;又は朝鮮人参、甘草、生姜、白朮、葦(Phragmites communis)及び桑の葉を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を含み、
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば及びカロコン(Radix Trichosanthis)からなるものではない組成物。
【請求項11】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を、組成物を形成するために混合することを含む組成物の調製方法。
【請求項12】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)又は桑の葉が超微細粉末又はエキス末の形態である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記超微細粉末のサイズが300メッシュを越えている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)又は桑の葉の薄片から、40〜85%のエタノールを含む水を用いた抽出により抽出物が調製される請求項12に記載の方法。
【請求項15】
エタノールを蒸発させること;
残存する水溶液をマクロ多孔性吸着樹脂に吸着させること;
前記樹脂から抽出物を脱着させること;及び
前記抽出物を集めること;
をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抽出物を60〜80%のエタノールを含む水中で脱着し、前記樹脂を除去することにより前記抽出物が前記樹脂から脱着され、且つエタノールを蒸発させ、粉末を形成するように前記抽出物を噴霧乾燥することにより前記抽出物が集められる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法により調製された組成物。
【請求項18】
請求項15に記載の方法により調製された組成物。
【請求項19】
請求項16に記載の方法により調製された組成物。
【請求項20】
朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、並びに韃靼そば、葦(Phragmites communis)、カロコン(Radix Trichosanthis)及び桑の葉からなる群から選択された1つ以上の成分を、組成物を形成するために混合することを含む組成物を調製する方法であって、
前記組成物が、朝鮮人参、白朮、甘草、生姜、韃靼そば及びカロコン(Radix Trichosanthis)からなるものではない方法。
【請求項21】
必要とする対象に請求項1に記載の組成物の有効量を投与することを含む、対象における血糖レベルを減少させる方法。
【請求項22】
前記組成物が経口的に、又は胃内に投与される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が糖尿病を罹患している請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記対象がヒトである請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項8に記載の組成物が10〜15錠の1日用量で前記対象に投与される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
必要とする対象に請求項10に記載の組成物の有効量を投与することを含む、対象における血糖レベルを減少させる方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−522844(P2011−522844A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512808(P2011−512808)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001141
【国際公開番号】WO2009/149585
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510326485)
【Fターム(参考)】