説明

血糖値測定装置

【課題】最適な無線周波数を迅速に検出することができる血糖値測定器を提供する。
【解決手段】血糖値測定器1は、無線電波を送受信するアンテナ11と、無線電波を送信処理する送信回路10と、無線電波を受信処理する受信回路26と、無線電波の設計周波数を開始点とし、設計周波数よりも高い周波数と低い周波数とを交互にサーチして無線通信が成功する周波数の範囲をサーチし、通信が成功する最小周波数と最大周波数との中心周波数を最適周波数として制御する処理部8と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値測定装置に係り、特に無線通信機能を持つ血糖値測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血糖値測定装置、血圧、脈拍、体温、体重などの生体情報を測定し、その測定結果を無線通信などの通信方法により、携帯端末装置に送信し、携帯端末装置は医療機関などに測定データを送信する、いわゆる健康管理情報システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような状況下において、従来の無線通信システムは、ISM帯の所望の周波数の電磁波を受信し、その受信信号の信号強度を検出する。また、無線通信システムは、当該信号強度の変化を測定し、その測定結果と上記周波数とを対応付けて記憶テーブルに格納する。さらに、無線通信システムは、上記記憶テーブルから、測定結果およびそれに対応付けられた周波数を外部出力する(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−251461号公報
【特許文献2】特開2003−143059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の無線通信システムでは、上記記憶テーブルに格納された周波数と信号強度とを対応付けるので、送信側の送信周波数と受信側の受信周波数とが一致しない場合、周波数のずれを考慮した通信に最適な周波数を特定することができない。このため、このような無線通信機能を持つ血糖値の測定器が、無線通信機能を持つ携帯端末装置と無線で通信を行う場合、個々の携帯端末装置に適用される無線通信用の周波数が異なるので、携帯端末装置と測定器の双方で周波数がずれ、双方で無線通信が困難になる。
【0006】
そこで、本発明は、上記状況下においてなされたものであり、最適な無線周波数を迅速に検出することができる血糖値測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、無線信号を送受信するアンテナと、前記無線信号を送信処理する送信部と、前記無線信号を受信処理する受信部と、前記無線信号の設計周波数を開始点とし、前記設計周波数よりも高い周波数と低い周波数とを交互にサーチして無線通信が成功する周波数の範囲をサーチし、通信が成功する最小周波数と最大周波数との中心周波数を最適周波数として制御する制御部と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、最適な無線周波数を迅速に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の実施の形態における血糖値測定器を含むシステム全体の一例を示している。図2は、血糖値測定器(血糖値測定装置)1および携帯端末装置5の内部構成を示すブロック図である。
図1の血糖値測定器1は、携帯端末装置5との非接触の状態で無線通信を行い、患者である使用者の血糖値データを送信可能に構成されている。このとき、まず使用者は、ストリップ2を血糖値測定器1に挿入し、使用者の血液をストリップ2先端に点着させる。そうすると、血糖値測定器1は、使用者である患者の血糖値を測定し、表示部3にその血糖値を表示する。また、血糖値測定器1は、無線電波4を用いて携帯端末装置5に当該血糖値データを送信する。これにより、携帯端末装置5は、血糖値測定器1からの血糖値データを受信し、当該血糖値データに基づいて使用者の血糖を安定させるようにコントロールする。
【0010】
[血糖値測定器の構成]
血糖値測定器1は、ストリップ2の挿入部6、測定部7、血糖値測定器演算処理部8(以下、処理部8という)および血糖値測定器メモリ(記憶部)9(以下、メモリという)および血糖値測定器表示部3(以下、表示部3という)を有する。さらに、血糖値測定器1は、血糖値測定器送信回路(送信部)10(以下、送信回路10という)、血糖値測定器受信回路(受信部)26(以下、受信回路26という)およびアンテナ11を有する。
【0011】
血糖値測定器1は、無線通信により携帯端末装置5に血糖値データを送信するように構成されている。この場合、使用者は、ストリップ2を挿入部6に挿入し、血液をストリップ2の先端に点着させる。そうすると、点着された血液は、毛細管現象によりストリップ2内に形成された流路(不図示)を移動し、ストリップ2内に設けられた測定電極(不図示)に到達する。
測定部7は、血液の流れる電流を電圧に変換する。
【0012】
処理部8は、内部に設けられたA/D変換器(不図示)を用いてアナログ−デジタル変換を行う。さらに、処理部8は、A/D変換器の出力データを解析して血糖値を算出し、メモリ9にその血糖値データを保存する。メモリ9は、ROM、RAM等の記憶装置である。また、処理部8は、上記算出した血糖値を表示部3に表示する。なお、処理部8は、CPU、マイクロコンピュータ等の処理装置である。表示部3は、表示パネル等の表示装置である。
処理部8(制御部)は、無線電波の設計周波数を開始点とし、設計周波数よりも高い周波数と低い周波数とを交互にサーチして無線通信が成功する周波数の範囲をサーチする。そして、通信が成功する最小周波数と最大周波数との中心周波数を最適周波数として制御する(この点は後述する)。
【0013】
アンテナ11は、所定の情報を含む無線電波(無線信号)4を空中に放射したり無線電波を受信したりするように構成されている。送信回路10は、無線電波を送信処理する。具体的には、送信回路10は、処理部8の出力情報(血糖値データなど)を受信してアンテナ11から送信させるように構成されている。受信回路26は、無線電波を受信処理する。具体的には、受信回路26は、アンテナ11からの無線電波を受信して処理部8に出力するように構成されている。送信回路10および受信回路26は、公知の変調回路や復調回路等を含んでいる。
【0014】
[携帯端末装置の構成]
携帯端末装置5は、アンテナ12、携帯端末装置受信回路13(以下、受信回路13という)、携帯端末装置送信回路14(以下、送信回路14という)、携帯端末装置演算処理部15(以下、処理部15という)、携帯端末装置表示部16(以下、表示部16という)および携帯端末装置データ通信ポート17(以下、通信ポート17という)を有する。
アンテナ12は、所定の情報を含む無線電波を空中に放射したり無線電波を受信したりするように構成されている。受信回路13は、アンテナ12からの無線電波を受信して処理部8に出力するように構成されている。送信回路14は、処理部15の出力情報を受信してアンテナ12から送信させるように構成されている。受信回路13および送信回路14は、公知の変調回路や復調回路等を含んでいる。
処理部15は、携帯端末装置5全体の制御を行うように構成されている。処理部15は、CPU等の処理装置である。表示部16は、表示パネル等の表示装置である。
データ通信ポート17は、携帯端末装置5をネットワークに接続するために通信を行う。データ通信ポート17により、携帯端末装置5は医療機関等のサーバと接続することができる。
【0015】
[血糖値測定器の血糖値データの送信処理]
次に、血糖値測定器1が血糖値データを携帯端末装置5に送信する処理について説明する。ここでは、血糖値測定器1の送信回路10が、携帯端末装置5との無線通信用の初期周波数を設定しているものとして説明する。なお、初期周波数の設定方法は後述する。
携帯端末装置5のアンテナ12は、血糖値測定器1から送信された無線電波(血糖値データ)を受信する。受信回路13は、アンテナ12で受信した電波をデータに変換して、処理部15に送信する。処理部15は、受信回路13からのデータを受信し、そのデータに表された血糖値データを表示部16に表示する。これにより、使用者は、血糖値を確認する。
【0016】
他方、表示部16の血糖値データの表示後、使用者が何の操作もしなければ、血糖値測定器1の各部は、次のような処理を行う。すなわち、血糖値測定器1の処理部15は、ACK(Acknowledgment)信号を応答データとして生成し、送信回路14に送信する。ACK信号を受信した送信回路14は、アンテナ12を用いて、ACK信号を無線電波で空中に出力させる。
【0017】
なお、携帯端末装置5が、無線電波4の混信等により、血糖値測定器1からのデータを正常に受信できなかった場合、NAK(Negative Acknowledgment)を血糖値測定器1に送信する。
血糖値測定器1の処理部8は、あらかじめ、受信回路26がアンテナ11から送信したのと同じ周波数で受信待ち状態に移行させている。アンテナ11が電波を受けると、受信回路26は、その電波をデータに変換する。処理部8は、受信回路26から、変換されたデータを取得して解析する。そして、処理部8は、当該データが、ACK(Acknowledgment)であれば通信が成功したと判定し、他方、NAK(Negative Acknowledgment)またはタイムアウトであれば通信が失敗したと判定する。
【0018】
[血糖値測定器および携帯端末装置のキャリブレーション処理]
次に、血糖値測定器1および携帯端末装置5のキャリブレーション処理について説明する。
携帯端末装置5および血糖値測定器1は、あらかじめ設計時に通信する周波数をお互いに取り決めて、その周波数に基づいて設計・製造されている。しかし、携帯端末装置5および血糖値測定器1の間で、通信周波数がずれ、通信ができない場合がある。
そこで、実際に測定した血糖値を送信する前に、通信対象の携帯端末装置5と血糖値測定器1の組み合わせで通信周波数のキャリブレーション処理を行い、最適な周波数を決定しておく。
【0019】
そして、血糖値測定器1は、使用者の血糖値を測定し携帯端末装置5にその血糖値データを送信する際、携帯端末装置5との間で、キャリブレーション処理で求められた最適な周波数を用いて通信を行う。このキャリブレーション処理は、血糖値測定のたびに行う必要はなく、使用者が次のような場合に行うと有効である。すなわち、使用者が携帯端末装置5と血糖値測定器1とを個別に購入して最初に使用する場合や、使用者が携帯端末装置5を新規に購入した場合、すなわち携帯端末装置5と血糖値測定器1の組み合わせを変更した場合や、経時変化によって携帯端末装置5の周波数にずれが生じて通信が困難になった場合である。キャリブレーション処理を行った後は、使用者は、通信に最適な周波数を使用して携帯端末装置5と血糖値測定器1間の通信を行うことができる。
【0020】
次に、図3および図4を参照して、携帯端末装置5と血糖値測定器1との間で通信を行う通信プロトコルについて説明する。
まず、図3を参照して受信側である携帯端末装置5の受信動作について説明する。携帯端末装置5は、血糖値測定器1からの通信を常時受け付けることを可能にするため、受信周期18毎に、受信状態区間19とスリープ区間20を周期的に繰り返しながら電波を待ち受ける。例えば、受信周期が5秒周期の場合、0.5秒の受信状態区間が経過すると、残りの4.5秒間はスリープ状態に移行する。受信状態区間19においては、消費電力は受信状態消費電力21のレベル(高レベル)となり、スリープ区間20においては、消費電力はスリープ時消費電力22のレベル(低レベル)となる。
【0021】
次に、図4を参照して、送信側である血糖値測定器1の送信動作について説明する。
血糖値測定器1は、血糖値の測定後、携帯端末装置5に血糖値データをパケット送信区間25で1回の送信を行う。次に、血糖値測定器1は、携帯端末装置5の受信周期18(図3参照)以上の時間の間、継続してパケットを送信し続ける。本実施の形態では、このようなパケットを送信し続ける区間をパケット連続送信区間23という。
パケットデータは、血糖値データと通信に関する情報とを含む。通信に関する情報は、例えば、ACK信号(Acknowledgment)、NAK(Negative Acknowledgment)、タイムアウト等の情報を含む。パケット連続送信区間23での消費電力は、送信状態消費電力24のレベル(高レベル)となり、スリープ状態ではスリープ時消費電力27のレベル(低レベル)となる。
【0022】
血糖値測定器1は、周期的な受信動作のみを行う携帯端末装置5との通信を行うために、携帯端末装置5の受信状態区間18については、血糖値測定器1のパケット送信区間25の2倍以上の時間とする必要がある。例えば、パケット送信区間25が0.2秒必要な場合、受信状態区間19は、0.4秒以上とする必要がある。このようなパケット送信区間25および受信状態区間19の条件は、受信状態区間18に少なくとも1回のパケット送信区間25全体が含まれるために必要である。携帯端末装置5と血糖値測定器1の動作は同期していない。このため、受信状態区間19の開始点とパケット連続送信区間23の開始点とのタイミングがずれることとなっても、上記パケット送信区間25および受信状態区間19の条件が必要である。これにより、タイミングがずれても、携帯端末装置5は、血糖値測定器1からのパケットを確実に受信することができる。
【0023】
次に、上記のように構成され通信プロトコルをもつ血糖値測定器1において血糖値データを携帯端末装置5に送信する際の周波数を決めるキャリブレーション処理を説明する。
図5はキャリブレーションの全体的な処理例を示すフローチャートである。
まず、ステップS21において、血糖値測定器1は、周波数サーチに使用する周波数サーチ間隔を設定する。この周波数サーチ間隔は、初回の受信時は大きくし、次回以降の受信時は周波数を段々小さくする。例えば、初回は100kHz、2回目は10kHz、3回目は1kHzとする。さらに、血糖値測定器1は、ステップS21の際に、初期周波数(例えば915MHz)を設定する。この初期周波数は、あらかじめ携帯端末装置5および血糖値測定器1の通信プロトコルで取り決めた設計周波数を使用する。これにより、最適な周波数の決定・設定時間を短縮することができる。なぜなら、携帯端末装置5は、設計周波数で通信を行うように設計・製造されるので、個々の携帯端末装置の送信周波数は、設計周波数を中心としてばらつきが生じるからである。
【0024】
次に、ステップS22において、血糖値測定器1は、周波数サーチ間隔(100kHz)を用いて、最適な周波数の算出処理を実行し最適周波数を算出する。このときの最適周波数の算出処理は、後述で詳述する。
次に、S23ステップにおいて、血糖値測定器1は、ステップS21とステップS22の繰り返しを所定回数(例えば、あらかじめ設定した回数)の処理が完了したかどうか判定する。そして、血糖値測定器1は、判定の結果、上記処理が完了している場合には(S23のY)キャリブレーション処理を終了する。他方、完了していない場合には(S23のN)、血糖値測定器1は、ステップS21に移行し、2回目の周波数サーチ間隔を設定する(例えば10kHzを設定する)。また、血糖値測定器1は、1回目のステップS22で算出した最適周波数を2回目の初期周波数として設定する。
【0025】
次に、血糖値測定器1は、ステップS22に移行し、周波数サーチ間隔(10kHz)を用いて最適周波数の算出処理を実行して最適周波数を算出する。このようにして、血糖値測定器1において、3回目の実行時も、2回目の実行時と同様、2回目のステップS22で算出した最適周波数を初期周波数として処理を行い、最適周波数をより精度良く算出する。
周波数サーチ間隔については、1回目よりも2回目以降の繰り返し時にはより小さく設定することにより、1回目は、広範囲の周波数帯で高速にサーチし、2回目以降は1回目より狭い範囲の周波数帯で精度良くサーチすることができる。また、血糖値測定器1は、上記繰り返し回数を減らすことにより、キャリブレーション処理を高速に完了することができる。逆に上記繰り返し回数を増やして周波数サーチ間隔を狭くすると、より精度良く最適周波数を決定することができる。
【0026】
次に、図5のステップ22の最適周波数算出処理について図6を参照して詳述する。なお、各ステップS3、S5〜S6、S9、S11〜S12については、最適周波数算出処理の説明後に説明する。
[通信試行処理が成功した場合]
まず、ステップS1の初期周波数で通信、すなわち通信試行処理が成功した場合の通信処理について説明する。
ステップS1においては、血糖値測定器1は、初期周波数で通信試行処理を行う。
【0027】
次に、ステップS2において、血糖値測定器1は、上記通信試行処理の通信結果を判定する。この判定の結果、通信成功の場合には(S2のY)、血糖値測定器1は、通信が失敗する周波数をサーチする(ステップS3)。具体的には、血糖値測定器1は、ステップS3の際、初期周波数よりも高い方向と低い方向の交互に順次オフセットを大きくしながら通信試行処理を行い、通信が失敗する周波数をサーチする。
【0028】
次に、ステップS4において、血糖値測定器1は、最初に通信が失敗した周波数が初期周波数よりも高いと判断した場合(S4のY)、S5ステップに移行する。ステップS5では、血糖値測定器1は、初期周波数から低くなる方向に通信が失敗する周波数をサーチし、ステップS7に進む。
他方、血糖値測定器1は、最初に通信が失敗した周波数が初期周波数よりも低いと判断した場合(S4のN)、初期周波数から高くなる方向に通信が失敗する周波数をサーチし(ステップS6)、ステップS7に進む。
【0029】
次に、ステップS7において、血糖値測定器1は、上記サーチした周波数から、最適周波数を算出する。具体的には、血糖値測定器1は、S7ステップの際、ステップS5でサーチした最小の周波数と、ステップS6でサーチした最大の周波数との平均値を算出して最適周波数とする。
【0030】
次に、ステップS8において、血糖値測定器1は、算出した最適周波数をメモリ9に保存する。
【0031】
[通信試行処理が失敗した場合]
次に、ステップS1の初期周波数で通信、すなわち通信試行処理が失敗した場合の通信処理について説明する。
ステップS1において、血糖値測定器1は、初期周波数で通信試行処理を行う。
【0032】
次に、ステップS2において、血糖値測定器1は、上記通信試行処理の通信結果を判定する。この判定の結果、通信失敗の場合には(S2のN)、血糖値測定器1は、通信が成功する周波数をサーチし(ステップS9)、ステップS10に進む。
【0033】
ステップS10において、血糖値測定器1は、サーチした周波数が初期周波数よりも高いかどうか判定する。この判定の結果、初期周波数より高い場合(ステップS10のY)、血糖値測定器1は、ステップS11に移行する。
【0034】
ステップS11において、血糖値測定器1は、高い方向に通信が失敗する周波数をサーチし、ステップS7に進む。S7ステップでは、血糖値測定器1は、通信が成功する最小周波数と通信が成功する最大周波数との平均値を算出して最適周波数を求める。そして、血糖値測定器1は、その最適周波数をメモリ9に保存する。
【0035】
以下、各ステップS3、S5〜S6、S9、S11〜S12について説明する。
まず、ステップS3のサーチ処理について図7を参照して説明する。なお、図7の横軸は、キャリブレーション処理で使用される通信電波周波数を表す。図7では、一定のサーチ間隔(例えば図7の周波数サーチ間隔50)毎にサーチ処理が行われる。なお、このサーチ間隔は、前述したとおり、最適周波数の決定処理が行われる毎に小さくなる。
【0036】
ステップS3では、血糖値測定器1は、まず、ステップS1で通信した初期周波数43に所定の周波数サーチオフセット値(以下、オフセット値という)52(例えば100kHz)を減じて通信試行処理を行う。そして、血糖値測定器1は、通信が成功したかどうか判定した後、初期周波数43に周波数サーチオフセット値52を加算して通信試行処理を行い通信が成功したかどうか判定する。
次に、血糖値測定器1は、周波数サーチオフセット値52に周波数サーチ間隔50を加算し(その結果、例えば200kHz)、初期周波数43から周波数サーチオフセット値52を減じて通信試行処理を行い、通信が成功したかどうか判定する。
次に、血糖値測定器1は、初期周波数43に周波数サーチオフセット値52を加算して通信試行処理を行い、通信が成功したかどうか判定する。
【0037】
このようにして、血糖値測定器1は、携帯端末装置5との通信が失敗するまでの間、周波数サーチオフセット値52に周波数サーチ間隔50を加算しながら、初期周波数を減算あるいは加算して通信試行処理を行う。そして、血糖値測定器1は、通信が失敗した周波数、すなわち通信失敗周波数(高)48に至るまで処理を連続して行う。
【0038】
ここで、通信成功最大周波数45は、血糖値測定器1が通信成功した最大の周波数であり、図7では、初期周波数43から周波数サーチ間隔50分を通信失敗周波数(高)48に近づけた側の周波数となっている。例えば、血糖値測定器1が、2450.2MHzの周波数で通信試行処理に初めて失敗した場合、通信失敗周波数(高)48(例えば2450.2MHz)は、初期周波数43(例えば2450MHz)よりも高くなるので、通信成功最大周波数45は2450.1MHzとなる。
【0039】
次に、ステップS5およびS6の各サーチ処理について図8を参照して説明する。
ステップS5では、血糖値測定器1は、通信試行処理が成功する最小の周波数をサーチする処理を行う。このとき、血糖値測定器1は、ステップS3で最初に通信試行処理が失敗するのを判定した方向とは逆の方向(すなわち、初期周波数43より低くなる方向)にサーチを継続する。血糖値測定器1は、通信が失敗する通信失敗周波数(低)47に至るまでサーチを続ける。
図8の通信成功最小周波数44は、通信失敗周波数(低)47に至る直前の周波数となっている。ステップS6のサーチでは、ステップS5のサーチと逆の方向(初期周波数43より低くなる方向)にサーチする以外は同様のサーチを行う。
【0040】
次に、ステップS9のサーチ処理について図9を参照して説明する。
ステップS9では、まず血糖値測定器1は、ステップS1で通信した初期周波数43に所定の周波数サーチオフセット値52(例えば100kHz)を減じて通信試行処理を行い、通信が成功したかどうか判定する。
次に、血糖値測定器1は、初期周波数43に周波数サーチオフセット値52を加算して通信試行処理を行い、通信が成功したかどうか判定する。次に、血糖値測定器1は、周波数サーチオフセット値52に周波数サーチ間隔50を加算して、(例えば200kHz)、初期周波数43から周波数サーチオフセット値52を減じる。そして、血糖値測定器1は、通信試行処理を行い通信が成功したかどうか判定する、
さらに、血糖値測定器1は、初期周波数43に加算して通信試行処理を行い、通信が成功したかどうか判定する。
このようにして、血糖値測定器1は、通信が成功するまでの間、周波数サーチオフセット値52を増加しながら、初期周波数43に減算または加算して通信試行処理を行う。血糖値測定器1は、通信成功最小周波数44に至るまでの間、サーチ処理を連続して行う。
【0041】
次に、ステップS11およびS12の各サーチ処理について図10を参照して説明する。
ステップS11では、血糖値測定器1は、通信試行処理が成功する最大の周波数をサーチする処理を行う。このとき、血糖値測定器1は、ステップS9において、最初に通信試行処理が成功した通信成功最小周波数44から、周波数がより高くなる方向にサーチする。そして、血糖値測定器1は、通信が失敗する通信失敗周波数(高)48に至るまでの間、サーチ処理を連続して行う。
図10の通信成功最大周波数45は、通信失敗周波数(高)48から、初期周波数43側に周波数サーチ間隔50(図7参照)分近づけた周波数である。ステップS12のサーチは、ステップS11のサーチと逆の方向(より高くなる方向)にサーチする以外は、同様の処理である。
【0042】
以上のように、実施の形態によると、血糖値測定器1は、キャリブレーション処理を設計周波数から周波数サーチを行い、通信成功最小周波数と通信成功最大周波数を求めて最適周波数とする。これにより、低消費電力が要求される血糖値測定器は、個々の装置毎に異なる通信周波数のばらつきを吸収して最適周波数を迅速に検出することができるので、例えば携帯端末装置5と通信を円滑に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の無線通信システムは、省電力を実現しながら無線送信装置と無線受信装置の周波数の個体差を吸収して通信可能とする効果があるので、電池駆動の携帯型の無線通信システム等の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態における血糖値測定器を含むシステム全体の一例において、無線通信を利用して血糖値を測定する場合の状況を示す図
【図2】本発明の実施の形態における血糖値測定器および携帯端末装置の内部構成を示すブロック図
【図3】図2の携帯端末装置の受信動作を示す図
【図4】図2の血糖値測定器の送信動作を示す図
【図5】キャリブレーションの全体的な処理例を示すフローチャート
【図6】図5のステップ22の最適周波数算出処理を示すフローチャート
【図7】図6のステップS3のサーチ処理を示すフローチャート
【図8】図6のステップS5のサーチ処理を示すフローチャート
【図9】図6のステップS9のサーチ処理を示すフローチャート
【図10】図6のステップS11のサーチ処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0045】
1 血糖値測定器
2 ストリップ
3 血糖値測定器表示部
4 無線電波
5 携帯端末装置
6 挿入部
7 測定部
8 血糖値測定器演算処理部
9 血糖値測定器メモリ
10 血糖値測定器送信回路
11 血糖値測定器アンテナ
12 携帯端末装置アンテナ
13 携帯端末装置受信回路
14 携帯端末装置送信回路
15 携帯端末装置演算処理部
16 携帯端末装置表示部
17 携帯端末装置データ通信ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を送受信するアンテナと、
前記無線信号を送信処理する送信部と、
前記無線信号を受信処理する受信部と、
前記無線信号の設計周波数を開始点とし、前記設計周波数よりも高い周波数と低い周波数とを交互にサーチして無線通信が成功する周波数の範囲をサーチし、通信が成功する最小周波数と最大周波数との中心周波数を最適周波数として制御する制御部と、
を含む血糖値測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、所定の変化幅で周波数をサーチした後、前記変化幅よりも小さくした変化幅で前記周波数をサーチする、請求項1に記載の血糖値測定装置。
【請求項3】
前記最適周波数を記憶する記憶部をさらに含む、請求項1に記載の血糖値測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−165563(P2009−165563A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5031(P2008−5031)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】