説明

衛星ナビゲーションシステムにおけるナビゲーションシステム時間の算出

【課題】従来のナビゲーションビット境界を判定するプロセスは、時間がかかる可能性があり、TTFFが増加する可能性があった。
【解決手段】カウンタと制御ユニットとを備える衛星ナビゲーションシステム受信器が記載されている。カウンタは、基準クロック周波数を有する基準クロック信号によって駆動され得る。制御ユニットは、ある時間の間のカウンタ値の増加を、この時間の間のナビゲーションシステム時間の増加と比較することによって、補正された基準クロック周波数を表す補正値を算出することができる。制御ユニットは、補正値に従って算出ナビゲーションシステム時間を生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星ナビゲーションシステムにおけるナビゲーションシステム時間の算出に関する。
本出願は、2008年8月8日に出願された米国仮出願第61/188,446号に対する優先権を主張し、ここでの引用によって、その全てを本願明細書に組み込むものとする。
【背景技術】
【0002】
全地球測位システム(GPS)は、GPS受信器に対して位置情報を提供するために用いられる衛星ベースのシステムである。GPSシステムは、約12時間周期で地球の回りを周回している少なくとも24個の衛星を用いて、かつ複数の地上管制ステーションによって可能にされる。
【0003】
GPS衛星によるデータのブロードキャストは、ナビゲーションメッセージとして知られている。ナビゲーションメッセージは、例えば天体暦、年鑑、衛星時間(衛星に搭載された時間)、およびGPSシステム時間(システム全体の基準時間として用いられる標準時間)に対する時差のような情報を含み得る。衛星時間とGPSシステム時間との時差は、比較的安定で、GPS受信器によって格納され得る。GPS受信器においては、GPSシステム時間は、衛星時間、GPS受信器の以前の位置の結果、および衛星時間とGPSシステム時間との予め格納された時差に基づいて得ることができる。GPS受信器の以前の位置の結果は、GPS受信器の以前の位置を示していて、衛星とGPS受信器との間の距離に基づいて伝送時間の遅れを決定するために用いられ得る。このように、GPSシステム時間は、GPS衛星時間、伝送時間の遅れおよび時差を合計することによって得ることができる。
【0004】
ナビゲーションメッセージは、一連のナビゲーションデータビットによって形成される。データビットの終わり(それは、他のデータビットの始まりでもある)は、ナビゲーションビット境界と呼ばれる。ナビゲーションデータメッセージはフレームベースで送信され、各フレームは1500ビット長である。1データビットを送信するために約20ミリ秒(ms)かかるので、1フレームを送信するために約30秒かかる。各フレームは5つのサブフレームに分けられ、各サブフレームは300ナビゲーションデータビットを有している。各衛星は、その衛星時間に従って、正確に1分のうちの0秒と30秒にフレームを送信し始める。伝送の前に、ナビゲーションメッセージは、まず高速反復性擬似雑音(PRN)符号によって変調され、次に高周波搬送波信号によって更に変調される。
【0005】
GPS受信器において、受信されたGPS信号は、まず所望の周波数の信号にダウンコンバートされ、次に予め定められたサンプリング速度でデジタル化される。変換されてデジタル化された信号は、デジタル中間周波数信号(IF)として知られている。デジタルIF信号が搬送波信号およびPRN符号を取り除くことによって復調された後に、ナビゲーションメッセージが取り出され得る。ナビゲーションメッセージから情報を得るために、ナビゲーションビット境界が、GPS受信器によって判定されなければならない。
【0006】
GPS受信器は、GPS受信器の現在の位置を算出するために、少なくとも4つの衛星から情報を得る必要があるかもしれない。time to first fix(TTFF)として知られているパラメータは、GPS受信器の電源がオンされた時からGPS受信器が現在の位置を決定する時までの時間の遅れを示すことができる。
【0007】
図1は、従来のGPS受信器100のブロック図である。GPS受信器100は、メインシステムドメイン102と、リアルタイムクロックドメイン104とに分けることができる。
【0008】
メインシステムドメイン102において、アンテナ106が、GPS信号を受信して、このGPS信号を無線周波数(RF)フロントエンド108に転送する。RFフロントエンド108において、GPS信号は、所望の周波数の信号に変換され、次に、サンプリングクロック110によって、予め定められたサンプリングレートでデジタル化され、デジタルIF信号が生成される。ベースバンド処理ユニット112は、制御ユニット114の制御下でデジタルIF信号を処理して、様々な機能、例えば捕捉、追跡および位置決めを実行することができる。メインシステムドメイン102の構成要素は、システム電源116によって駆動される。
【0009】
リアルタイムクロックドメイン104において、ローカルタイムクロック120が、リアルタイムクロック回路124を駆動するために用いられ得る。リアルタイムクロック回路124は、ローカルタイム(例えば、現在の年、月、日、時、分および秒を示すことができる時間)を生成することができる。リアルタイムクロックドメイン104の構成要素は、バッテリ126によって駆動される。
【0010】
通常、リアルタイムクロック回路124から供給されるローカルタイムは、第2のレベルの分解能を有する粗い時間である。GPS受信器100の電源がオフの時、バッテリ126によって駆動されるリアルタイムクロック回路124は、ローカルタイムを生成し続ける。GPS受信器100の電源がオンされる時、第2のレベルの分解能を有するローカルタイムが、GPS衛星の可視性(visibility)、すなわち、どの衛星をGPS受信器100は利用可能かを判定するために用いられ得る。それから、GPS受信器100は、GPS信号を捕捉し始める。現在の位置を算出する目的でGPS信号のナビゲーションメッセージから情報を得るために、GPS受信器100は、ナビゲーションメッセージのナビゲーションビット境界を判定する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来は、ナビゲーションビット境界を判定するプロセスは、複数の積算(integration)の結果を生成することを含む可能性がある計算を必要としていた。ここで、各積算の結果は、ビット境界のあり得る位置に対応している。ビット境界の位置は、複数の積算の結果を比較することによって判定され得る。このような従来のプロセスは時間がかかる可能性があり、time to first fix(TTFF)は増加する可能性がある。
【0012】
更に、このような従来のプロセスは、受信されたGPS信号の信号対雑音比(SNR)が所定のレベル(例えば、従来の方法では26db−Hz)より高い必要があるかもしれない。従って、弱いGPS信号の場合、GPS受信器100は、ナビゲーションメッセージから情報を得ることができない可能性があり、これによりTTFFは増加する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
カウンタと、制御ユニットとを備える衛星ナビゲーションシステム受信器が記載されている。カウンタは、基準クロック周波数を有する基準クロック信号によって駆動され得る。制御ユニットは、ある時間の間のカウンタ値の増加を、この時間の間のナビゲーションシステム時間の増加と比較することによって、補正された基準クロック周波数を表す補正値を算出することができる。制御ユニットは、更に、補正値に従って算出ナビゲーションシステム時間を生成することができる。
【0014】
以下の詳細な説明が進行するにつれて、請求された発明の実施形態の特徴および効果が明らかになるであろう。そして、図面の参照において、同一の番号は同一の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来のGPS受信器のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるGPS受信器のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態によるGPS受信器のブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態によるGPS受信器のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態によるGPS受信器のブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による、GPS受信器によって実行される動作のための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明がこれらの実施形態と共に説明されるが、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図しているわけではないことは理解されよう。反対に、本発明は、添付の請求項によって定義される本発明の精神および範囲に含まれる変更、代替または同等のものをカバーする。
【0017】
ここに記載されている実施形態は、いくつかの形のコンピュータが使用可能な媒体上にあるコンピュータが実行可能な命令の一般的な状況、例えば、1つ以上のコンピュータまたは他の装置によって実行されるプログラムモジュールにおいて述べられ得る。一般的に、プログラムモジュールは、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含み、特定のタスクを実行したり、あるいは特定の抽象的データ型を実現する。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態の中で所望のものとして結合されるか、または分配され得る。
【0018】
以下の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビット上での手順、ロジックブロック、処理、および動作の他の記号的表記に関して示される。これらの説明および表現は、他の当業者に最も効果的にそれらの仕事の内容を伝えるために、データ処理技術に熟練した人々によって用いられる手段である。本願において、手順、ロジックブロック、プロセス等は、所望の結果に至るステップまたは命令の首尾一貫したシーケンスであると考えられる。ステップは、物理的な量の物理的操作を必要とするものである。通常、必ずしも必要ではないが、これらの量は、コンピュータシステムの中で格納、転送、結合、比較、さもなければ操作され得る電気または磁気信号という形をとる。
【0019】
なお、以上の及び類似の用語は、適切な物理量に関連付けられたものであり、それら物理量に対する便宜上のラベルに過ぎない。もし特に述べられていなければ、以下の説明から明らかな様に、例えば「生成」、「算出」、「使用」、「決定」、「駆動」、「デジタル化」等の用語を利用している説明は、コンピュータシステムまたは類似の電子コンピューティング装置の動作およびプロセスを指すことが、本願の全体にわたって認められる。それは、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリの中の物理的(電子的)な量として表されるデータを操作および変換して、コンピュータシステムメモリまたはレジスタまたは他のこのような情報記憶、伝送または表示装置の中で物理的な量として同様に表される他のデータにする。
【0020】
例えば、この例に限らないが、コンピュータが使用可能な媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含み得る。コンピュータ記憶媒体は、例えばコンピュータ可読の命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータのような情報の記憶のための任意の方法または技術の中で実施される揮発性および不揮発性の媒体、取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去書込み可能型ROM(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を格納するために用いられ得る他の媒体を含むが、これに限定されるものではない。
【0021】
通信媒体は、例えば搬送波または他の伝送メカニズムのような変調されたデータ信号の中のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを実現することができ、任意の情報送出媒体を含む。用語「変調されたデータ信号」は、1つ以上のその特性の組を有するか、または信号中の情報を符号化するような方法で変更された信号を意味する。例えば、この例に限らないが、通信媒体は、有線媒体、例えば有線ネットワークまたは直接配線接続と、無線媒体、例えば音響、無線周波数(RF)、赤外および他の無線媒体とを含む。上記のいずれかの組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれなければならない。
【0022】
さらに、本発明の以下の詳細な説明の中で、多数の具体的な詳細が、本発明の完全な理解を提供するために記載される。しかし、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは、この技術分野における当業者によって認められるであろう。他の例では、本発明の態様を不必要に曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成要素、および回路は、詳細に記載されない。
【0023】
本発明の実施形態がGPSシステムの文脈において述べられるが、この実施形態は、他の衛星ナビゲーションシステムに適用することもできる。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態による、衛星ナビゲーションシステム(SNS)受信器、例えばGPS受信器200のブロック図である。GPS受信器200は、メインシステムドメイン202と、リアルタイムクロックドメイン204とに分けることができる。
【0025】
メインシステムドメイン202において、アンテナ206は、衛星から、衛星信号、例えばGPS信号を受信して、無線周波数(RF)フロントエンド208にGPS信号を転送する。RFフロントエンド208で、GPS信号は、所望の周波数を有する信号にダウンコンバートされ、サンプリングクロック210によって予め定められたサンプリング速度でデジタル化され、デジタル中間周波数(IF)信号が生成される。ベースバンド処理ユニット212は、様々な機能、例えば、GPS信号の捕捉、GPS信号の追跡およびGPS受信器200の現在の位置の算出を実行するために、制御ユニット214の制御下でデジタルIF信号を処理することができる。制御ユニット214は、中央演算処理装置(CPU)、またはマイクロコントローラユニット(MCU)を含み得るが、これに限定されるものではない。図2に示した例において、制御ユニット214は、ベースバンド処理ユニット212の外側にある。他の実施形態では、制御ユニット214は、ベースバンド処理ユニット212の中に組み込むことができる。メインシステムドメイン202の構成要素は、第1の電源(例えば、システム電源216)によって駆動され得る。
【0026】
リアルタイムクロックドメイン204において、ローカルタイム発生器228は、時間情報をGPS受信器200に提供するために動作可能である。一実施形態において、ローカルタイム発生器228は、基準クロック周波数を有する基準クロック信号を供給するための補助クロック230、カウンタ値を供給するために補助クロック230によって駆動されるカウンタ218、およびリアルタイムクロック回路224を駆動するためにローカルタイムクロック信号を発生させるローカルタイムクロック220を備えている。一実施形態において、カウンタ218のカウンタ値は、補助クロック230によって生成される基準クロック信号の各クロックパルスに応じて1ずつ増加する。
【0027】
リアルタイムクロック回路224は、ローカルタイム(例えば、現在の年、月、日、時、分および秒を示すことができる時間)を供給することができる。リアルタイムクロック回路224によって生成されるローカルタイムは、GPS衛星の可視性を判定するために用いることができ、かつカウンタ値が正しいかどうかを判定するために用いることもできる。例えば、もし所定の時間がローカルタイムに従って満了する時にカウンタ値が所望/所定の範囲を超えるのであれば、カウンタ値は誤っている可能性がある。リアルタイムクロックドメイン204の構成要素は、第2の電源(例えば、バッテリ226)によって駆動され得る。
【0028】
基準クロック信号の基準クロック周波数は公称値を有することができるが、通常、周波数の公称値と周波数の実際の値との間に違い(またはオフセット)がある。違いは、時間と共に蓄積し得るので、時間を基準クロック信号で測定するときに、時間の誤差は増加し得る。本発明の一実施形態によれば、基準クロック周波数は、補正された基準クロック周波数を示し得る補正値を生成することによって修正され得る。一実施形態において、制御ユニット214は、例えば、ある時間の間のカウンタ218のカウンタ値の増加を、この時間の間のGPSシステム時間の増加と比較することによって、補正値を算出することができる。GPSシステム時間は、従来の方法でのナビゲーションメッセージおよび以前の位置の結果からの情報に基づいて得ることができる。制御ユニット214は、更に、補正値に従って算出GPSシステム時間を生成することができる。算出GPSシステム時間は、GPS受信器200のTime To First Fix(TTFF)を減少させるために、現在の位置の結果の算出の間、用いられ得る。
【0029】
制御ユニット214は、GPSシステム時間およびカウンタ218のカウンタ値をモニタして、補正された基準クロック周波数を表す補正値fcorrectを算出する。一実施形態において、補正値fcorrectは、GPSシステム時間の特定の期間にわたるカウンタ値の平均リフレッシュ速度を算出することによって得られ、これは、式(1)として示され得る。
【0030】
【数1】

【0031】
式(1)において、Countermは、第1の時点Tmでのカウンタ218の第1のカウンタ値である。GPS_Timemは、第1の時点Tmでの第1のGPSシステム時間を表す。Counternは、第2の時点Tnでのカウンタ218の第2のカウンタ値である。GPS_Timenは、第2の時点Tnでの第2のGPSシステム時間を表す。一実施形態において、GPSシステム時間GPS_TimemおよびGPS_Timenは、従来の方法でのナビゲーションメッセージおよび以前の位置の結果からの情報に基づいて、GPS受信器200によって得ることができる。
【0032】
GPS受信器200の電源がオフされた後、システム電源216は、メインシステムドメイン202内の構成要素に電源を供給するのを止めるかもしれない。しかし、バッテリ226によって駆動されるローカルタイム発生器228は、働き続けることができる。カウンタ218のカウンタ値は、補助クロック230によって生成される基準クロック信号の各クロックパルスに応じて増加し続ける。
【0033】
GPS受信器200の電源が再びオンされる時、制御ユニット214は、カウンタ値の平均リフレッシュ速度に従って、算出GPSシステム時間を生成することができる。一実施形態において、算出GPSシステム時間は、式(2)によって、第3のGPSシステム時間、第3のカウンタ値、第4のカウンタ値および補正値fcorrectに基づいて生成される。
【0034】
【数2】

【0035】
式(2)において、Counteroは、第3の時点Toでのカウンタ218の第3のカウンタ値である。GPS_Timeoは、第3の時点Toでの第3のGPSシステム時間を表す。Counterpは、第4の時点Tpでのカウンタ218の第4のカウンタ値である。補正値fcorrectは、式(1)によって生成される。GPSシステム時間GPS_Timeoは、従来の方法でのナビゲーションメッセージおよび以前の位置の結果からの情報に基づいて、GPS受信器200によって得ることができる。CTpは、第4のカウンタ値Counterpに対応する第4の時点Tpでの算出GPSシステム時間である。
【0036】
式(1)および式(2)において、時点Tm、時点Tnおよび時点Toは、GPS受信器200の電源がオフされる前の時点である。時点Tnは、時点Tmより後である。時点Tpは、GPS受信器200の電源がオフされて、それから再びオンされた後の時点である。時点Toは、時点Tnと同じ時点であってもよい(ToとTnの重複)。または、時点Toは、時点Tnより前または後であってもよい。
【0037】
従って、GPS受信器200の電源が再びオンされた後、GPSシステム時間CTpは、式(1)および式(2)に従って算出され得る。算出GPSシステム時間CTpは、リアルタイムクロック回路224によって供給されるローカルタイムの分解能より非常に高い分解能を有することができる。よって、算出GPSシステム時間CTpは、衛星時間とGPSシステム時間との間の予め格納された時差に基づいて、算出衛星時間を決定するために用いられ得る。ナビゲーションメッセージのナビゲーションビット境界は、算出衛星時間によって判定され得る。算出GPSシステム時間CTpは、他の目的、例えば衛星の可視性の判定のためにも用いられ得る。
【0038】
各ナビゲーション衛星は、その衛星時間に従って、正確に1分のうちの0秒と30秒にフレームを送信し始め、各ナビゲーションデータビットの持続時間は20msである。算出衛星時間は、算出GPSシステム時間に基づいて得ることができる。なぜなら、衛星時間とGPSシステム時間の時差は知られているからである。好都合にも、ナビゲーションメッセージのナビゲーションビット境界は、算出GPSシステム時間CTpに基づいて判定され得る。よって、GPS受信器200のTTFFは減少され得る。なぜなら、従来の時間のかかる積算および比較プロセスが回避され得るからである。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態による、衛星ナビゲーションシステム受信器、例えばGPS受信器300のブロック図である。図2の中でのラベルと同じラベルが付けられた要素は、類似の機能を有していて、ここで繰り返して記載しない。図3に示したGPS受信器300の中で、ローカルタイム発生器328は、サンプリングクロック210を更に備えている。GPS受信器300の電源がオンの時、サンプリングクロック210は、受信されたGPS信号をデジタル化するために用いられ得る。バッテリ226によって駆動される時、サンプリングクロック210は、また、連続的に基準クロック信号を生成するために用いられ得る。この基準クロック信号は、GPS受信器300の電源がオンであるかオフであるかに関係なく、カウンタ218を駆動するために用いられ得る。好都合にも、図2に示した補助クロック230は、なくすことができ、システムのコストを下げることができる。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態による、衛星ナビゲーションシステム受信器、例えばGPS受信器400のブロック図である。図2および図3の中でのラベルと同じラベルが付けられた要素は、類似の機能を有していて、ここで繰り返して記載しない。図4に示したGPS受信器400の中で、サンプリングクロック210は、カウンタ218を連続的に駆動するために用いられ得る。サンプリングクロック210は、また、リアルタイムクロック回路424を駆動するためにも用いられ得る。リアルタイムクロック回路424は、ローカルタイム(例えば、現在の年、月、日、時、分および秒を示し得る時間)を生成することができる。好都合にも、図3に示したローカルタイムクロック220は、なくすことができ、システムのコストを更に下げることができる。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態による、衛星ナビゲーションシステム受信器、例えばGPS受信器500のブロック図である。図4の中でのラベルと同じラベルが付けられた要素は、類似の機能を有していて、ここで繰り返して記載しない。図5に示したGPS受信器500の中で、メインシステムドメイン202の構成要素およびリアルタイムクロックドメイン204の構成要素は、第1の電源(例えば、システム電源216)によって駆動され得る。スイッチ502は、メインシステムドメイン202とシステム電源216との間に接続される。GPS受信器500の電源がオンの時、メインシステムドメイン202の構成要素およびリアルタイムクロックドメイン204の構成要素は、システム電源216によって駆動される。GPS受信器500の電源がオフの時、メインシステムドメイン202に対する電源が切られるように、スイッチ502はオフされる。しかし、リアルタイムクロックドメイン204の構成要素は、システム電源216によって連続的に駆動され得る。好都合にも、第2の電源(例えば、図4に示したバッテリ226)は、なくすことができ、システムのコストを更に下げることができる。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態による、GPS受信器によって実行される動作のための方法のフローチャート600を示している。具体的なステップが図6に開示されているが、このようなステップは例示的なものである。すなわち、本発明は、図6に示したステップの様々な他のステップまたは変形の実行によく適合する。図6は、図2、図3、図4および図5と組み合わせて記載されている。
【0043】
ブロック602において、基準クロック周波数を有する基準クロック信号が、クロックによって、例えば、図2中の補助クロック230によって、または図3中のサンプリングクロック210によって、生成される。
【0044】
ブロック604において、GPSシステム時間が、従来の方法での以前の位置の結果およびナビゲーションメッセージから得られる。
【0045】
ブロック606において、補正された基準クロック周波数を表す補正値が、基準クロック信号およびGPSシステム時間に従って、GPSシステム時間の特定の期間にわたって基準クロック信号のクロックパルスをカウントすることによって算出される。一実施形態において、カウンタ218は、基準クロック信号によって駆動され、補正値は、ある時間の間のカウンタ値の増加を、この時間の間のGPSシステム時間の増加と比較することによって算出される。
【0046】
ブロック608において、算出GPSシステム時間が、補正値に従って生成される。
【0047】
ブロック610において、算出GPSシステム時間が、TTFFを減少させるために、GPS受信器の現在の位置の結果の算出の間、用いられる。一実施形態において、算出GPSシステム時間は、算出衛星時間を決定するために用いられる。算出衛星時間は、ナビゲーションビット境界を判定するために用いられ得る。他の実施形態では、算出GPSシステム時間は、衛星の可視性を判定するために用いられる。
【0048】
従って、本発明の実施形態は、ローカルで生成された基準クロック信号の基準クロック周波数を修正することができるGPS受信器を提供する。一実施形態において、GPS受信器は、基準クロック信号によってカウンタを駆動することができ、補正された基準クロック周波数を表す補正値を生成するために、ある時間の間のカウンタ値の増加を、この時間の間のGPSシステム時間の増加と比較する。それから、算出GPSシステム時間が、補正値に従って生成され得る。好都合にも、上述したように、GPS受信器の電源が再びオンされた後、ナビゲーションメッセージのナビゲーションビット境界は、比較的効率的な方法で、算出GPSシステム時間に基づいて判定され得る。よって、GPS受信器のTTFFは減少され得る。
【0049】
前述の記載および図面は本発明の実施形態を表すが、様々な追加、変形および置換が、添付の請求項の中で定義した本発明の原理の精神および範囲から逸脱することなく、その中でなされ得ることは理解されよう。当業者は、本発明が、本発明の実施の中で用いられる形、構造、配置、規模、材料、要素、および成分およびその他の多くの変形と共に用いられ得ることを認めるであろう。それは、本発明の原理から逸脱することなく、具体的な環境および動作の要求に特に適合される。現在開示された実施形態は、従って、あらゆる点で、例示的であり、限定的ではないと考えられるべきであり、本発明の範囲は、添付の請求項およびそれらの法律上の等価物によって示されていて、前述の記載に限定されないと考えられるべきである。
【符号の説明】
【0050】
200 GPS受信器
202 メインシステムドメイン
204 リアルタイムクロックドメイン
206 アンテナ
208 無線周波数(RF)フロントエンド
210 サンプリングクロック
212 ベースバンド処理ユニット
214 制御ユニット
216 システム電源
218 カウンタ
228 ローカルタイム発生器
220 ローカルタイムクロック
224 リアルタイムクロック回路
226 バッテリ
230 補助クロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロック周波数を有する基準クロック信号によって駆動されて、カウンタ値を供給するカウンタと、
前記カウンタに接続されていて、ある時間の間の前記カウンタ値の増加を前記時間の間のナビゲーションシステム時間の増加と比較することによって、補正された基準クロック周波数を表す補正値を算出して、前記補正値に従って算出ナビゲーションシステム時間を生成するために動作可能な制御ユニットとを備えている
ことを特徴とする衛星ナビゲーションシステム受信器。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記ナビゲーションシステム時間の特定の期間にわたって前記カウンタ値の平均リフレッシュ速度を算出することによって前記補正値を算出することを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記カウンタ値の前記平均リフレッシュ速度に従って前記算出ナビゲーションシステム時間を生成することを特徴とする請求項2に記載の受信器。
【請求項4】
前記受信器は、前記算出ナビゲーションシステム時間に従ってナビゲーションビット境界を判定するために動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項5】
前記受信器は、前記算出ナビゲーションシステム時間に従って衛星の可視性を判定するために動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項6】
前記制御ユニットに接続されていて、受信された衛星信号をデジタル化するために動作可能なサンプリングクロックを更に備えていて、前記基準クロック信号は、前記サンプリングクロックによって供給されることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項7】
前記制御ユニットに接続されていて、ローカルタイムを供給するために動作可能なリアルタイムクロック回路を更に備えていて、前記制御ユニットは、更に、前記カウンタ値が前記ローカルタイムに従って正しいかどうかを判定するために動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項8】
前記制御ユニットに接続されていて、受信された衛星信号をデジタル化するために動作可能なサンプリングクロックを更に備えていて、前記リアルタイムクロック回路は、前記サンプリングクロックによって駆動されることを特徴とする請求項7に記載の受信器。
【請求項9】
基準クロック周波数を有する基準クロック信号を生成するステップと、
ナビゲーションシステム時間の特定の期間にわたって前記基準クロック信号のクロックパルスをカウントすることによって、補正された基準クロック周波数を表す補正値を算出するステップと、
前記補正値に従って算出ナビゲーションシステム時間を生成するステップと、
前記受信器の現在の位置の結果の算出の間、前記算出ナビゲーションシステム時間を用いるステップと
を有していることを特徴とする衛星ナビゲーションシステム受信器の位置を特定する方法。
【請求項10】
前記算出ナビゲーションシステム時間に従って、ナビゲーションビット境界を判定するステップを更に有していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記算出ナビゲーションシステム時間に従って、衛星の可視性を判定するステップを更に有していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
カウンタ値を供給するために前記基準クロック信号によってカウンタを駆動するステップと、
ある時間の間の前記カウンタ値の増加を前記時間の間の前記ナビゲーションシステム時間の増加と比較することによって前記補正値を算出するステップと
を更に有していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ナビゲーションシステム時間の特定の期間にわたって前記カウンタ値の平均リフレッシュ速度を算出することによって、前記補正値を算出するステップを更に有していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記カウンタ値の前記平均リフレッシュ速度に従って、前記算出ナビゲーションシステム時間を生成するステップを更に有していることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
サンプリングクロックを用いて、受信された衛星信号をデジタル化するステップと、
前記サンプリングクロックによって前記基準クロック信号を生成するステップと
を更に有していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
リアルタイムクロック回路によってローカルタイムを生成するステップと、
前記ローカルタイムに従って前記カウンタ値が正しいかどうかを判定するステップと
を更に有していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
サンプリングクロックを用いて、受信された衛星信号をデジタル化するステップと、
前記サンプリングクロックによって前記リアルタイムクロック回路を駆動するステップと
を更に有していることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
衛星ナビゲーションシステム受信器において、
受信された衛星信号の周波数を所望の周波数に変換するために動作可能な無線周波数(RF)フロントエンドと、
前記RFフロントエンドに接続されていて、基準クロック周波数を有する基準クロック信号を生成するために動作可能なクロックと、
前記RFフロントエンドに接続されていて、衛星信号を捕捉して追跡するため、かつ前記受信器の位置の結果を算出するために動作可能なベースバンド処理ユニットと、
前記ベースバンド処理ユニットに接続されていて、ナビゲーションシステム時間の特定の期間にわたって前記基準クロック信号のクロックパルスをカウントすることによって、補正された基準クロック周波数を表す補正値を算出するために動作可能で、更に、前記補正値に従って算出ナビゲーションシステム時間を生成するために動作可能な制御ユニットとを備えていて、
前記ベースバンド処理ユニットは、前記受信器の現在の位置の結果の算出の間、前記算出ナビゲーションシステム時間を用いるために動作可能である
ことを特徴とする衛星ナビゲーションシステム受信器。
【請求項19】
カウンタ値を供給するために前記基準クロック信号によって駆動されるカウンタを更に備えていて、前記制御ユニットは、ある時間の間の前記カウンタ値の増加を前記時間の間の前記ナビゲーションシステム時間の増加と比較することによって、前記補正値を算出することを特徴とする請求項18に記載の受信器。
【請求項20】
前記制御ユニットは、以下の式に従って前記補正値を算出することを特徴とする請求項19に記載の受信器。
【数1】

ここで、fcorrectは、前記補正値を表し、Counternは、第2の時点での第2のカウンタ値を表し、Countermは、第1の時点での第1のカウンタ値を表し、GPS_Timenは、前記第2の時点での第2のナビゲーションシステム時間を表し、GPS_Timemは、前記第1の時点での第1のナビゲーションシステム時間を表す。
【請求項21】
前記制御ユニットは、以下の式に従って前記算出ナビゲーションシステム時間を生成することを特徴とする請求項20に記載の受信器。
【数2】

ここで、GPS_Timeoは、第3の時点での第3のナビゲーションシステム時間を表し、Counterpは、第4の時点での第4のカウンタ値を表し、Counteroは、前記第3の時点での第3のカウンタ値を表し、fcorrectは、前記補正値を表し、CTpは、前記第4のカウンタ値に対応する前記算出ナビゲーションシステム時間を表す。
【請求項22】
前記ベースバンド処理ユニットは、前記算出ナビゲーションシステム時間に従って、ナビゲーションビット境界を判定するために動作可能であることを特徴とする請求項18に記載の受信器。
【請求項23】
前記ベースバンド処理ユニットは、前記算出ナビゲーションシステム時間に従って、衛星の可視性を判定するために動作可能であることを特徴とする請求項18に記載の受信器。
【請求項24】
前記受信された衛星信号は、前記クロックによってデジタル化されることを特徴とする請求項18に記載の受信器。
【請求項25】
前記制御ユニットに接続されていて、ローカルタイムを供給するために動作可能なリアルタイムクロック回路を更に備えていて、前記制御ユニットは、前記ローカルタイムに従って前記カウンタ値が正しいかどうかを判定するために動作可能であることを特徴とする請求項18に記載の受信器。
【請求項26】
前記受信された衛星信号は、前記クロックによってデジタル化され、前記リアルタイムクロック回路は、前記クロックによって駆動されることを特徴とする請求項25に記載の受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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