説明

衛星通信設備

【課題】災害時に衛星通信設備が設置している建屋が浸水し、屋内装置が浸水し故障しても、衛星通信を行うことができる衛星通信設備を提供すること。
【解決手段】 アンテナ装置2と、アンテナ装置2に接続された屋外装置3と、屋内装置
4と、予備系の屋内装置7と、切替装置6とを備える衛星通信設備1において、アンテナ
装置2、屋外装置3、切替装置6は、建屋の屋上に設置され、屋内装置3は建屋の屋内に
設置され、切替装置7は、通常の運用時は、屋外装置3に屋内装置4を接続し、通常の運
用時ではないときは、屋外装置3に予備系の屋内装置7を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衛星通信に用いる衛星通信設備に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星通信に使用される小型の衛星通信設備であるVSAT設備は、アンテナ装置、屋外
装置、屋内装置で構成される。
【0003】
従来のVSAT設備の構成を図3に示す。VSAT設備10は、アンテナ装置2、屋外
装置3、屋内装置4を備える。VSAT設備10には、端末設備5が接続される。端末設
備5は、電話交換機、電話機、ファクシミリ、データ端末等である。端末設備5は、VS
AT設備10を経由し、通信衛星を介して他所に設置されているVSAT設備を経由し、
他所の端末設備と通信を行う。図3に示すように従来のVSAT装置10は、アンテナ装
置2および屋外装置3は建屋屋上に、屋内装置4は建屋内に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−27659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地震による津波や、台風・豪雨による洪水等により、VSAT設備10が設
置されている建屋が浸水した場合、建屋内の屋内装置4が浸水の被害を受け故障し使用で
きなくなることがある。建屋屋上は浸水を免れアンテナ装置2と屋外装置3が使用可能な
状態であっても、屋内装置4が使用できなくなると、VSAT設備としての機能がなされ
ずに通信できなくなる。このように津波や洪水等の災害時に、屋内装置が浸水の被害を受
け故障した場合に、通信手段が確保できないという課題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために提案されたものであって、災害時に衛星通信設
備が設置している建屋が浸水し、屋内装置が浸水し故障しても、衛星通信を行うことがで
きる衛星通信設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の衛星通信設備は、アンテナ装置と、前記アンテ
ナ装置に接続された屋外装置と、屋内装置と、予備系の屋内装置と、切替装置とを備える
衛星通信設備において、前記アンテナ装置、前記屋外装置、前記切替装置は、建屋の屋上
に設置され、前記屋内装置は前記建屋の屋内に設置され、前記切替装置は、通常の運用時
は、前記屋外装置に前記屋内装置を接続し、通常の運用時ではないときは、前記屋外装置
に前記予備系の屋内装置を接続することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の衛星通信設備は、前記切替装置は、前記屋内装置が故障したか否かを判
断し、前記屋内装置が故障したと判断した場合、前記屋内装置に替えて前記予備系の屋内
装置を前記屋外装置に接続することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の衛星通信設備は、前記切替装置は、前記屋内装置の故障が復旧したか否
かを判断し、前記屋内装置の故障が復旧したと判断した場合、前記予備系の屋内装置に替
えて前記屋内装置を前記屋外装置に接続することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態のVSAT設備の構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態のVSAT設備の動作を示すフローチャート。
【図3】従来のVSAT設備の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態のVSAT設備(衛星通信設備)について図面を参照して説明する。図
1は、本実施形態のVSAT設備の構成を示すブロック図である。本実施形態のVSAT
設備1は、アンテナ装置2、屋外装置3、屋内装置4に加え、更に、切替装置6、予備系
の屋内装置7を備える。端末設備5は、屋内装置4に接続して使用される。予備系の端末
設備8は、予備系の屋内装置7に接続して使用される。
【0012】
アンテナ装置2、屋外装置3、切替装置6、予備系の屋内装置7は、VSAT装置1を
設置する建屋の屋上に設置される。屋内装置4は、建屋の屋内に設置される。予備系の屋
内装置7は、屋内装置4と同じ構成である。予備系の端末設備8は、端末設備5と同じ構
成である。切替装置6は、屋内装置4と予備系の屋内装置7のどちらか一方が屋外装置3
に接続するよう、その接続を切替える。切替装置6は、通常時は屋内装置4を屋外装置3
に接続し、一方、災害時に屋内設備4が浸水し故障した場合、予備系の屋内装置7を屋外
装置3に接続するよう、系統切替を行う。
【0013】
次に、切替装置6の系統切替の動作について説明する。図2は、本実施形態のVSAT
設備の動作を示すフローチャートである。通常の運用時において、切替装置6は、屋内装
置4を屋外装置3に接続する(ステップS1)。次いで、切替装置6は、屋内装置4が故
障したか否かを判断する(ステップS2)。屋内装置4が故障していないと判断した場合
(ステップS2のNo)、切替装置6は、屋外装置3と屋内装置4との接続を維持する。
一方、屋内装置4が故障していると判断した場合(ステップS2のYes)、切替装置6
は、予備系の屋内装置7を屋外装置3に接続する(ステップS3)。次いで、切替装置6
は、屋内装置4が故障から復旧したか否かを判断する(ステップS4)。屋内装置4が故
障から復旧していないと判断した場合(ステップS4のNo)、切替装置6は、屋外装置
3と予備系の屋内装置7との接続を維持する。一方、屋内装置4が故障から復旧している
と判断した場合(ステップS4のYes)、切替装置6は、ステップS1に戻り、屋外装
置3に屋内装置4を接続する。
【0014】
このように、切替装置6が系統切替を行うことにより、通常の運用時は、屋外装置3に
屋内装置4が接続されるので、屋内装置4に接続する端末設備5が、屋内装置4、切替装
置6、屋外装置3、アンテナ装置2を経由し、通信衛星を介して他所に設置されているV
SAT設備を経由し、他所の端末設備と通信を行う。一方、災害が発生し、屋内装置4が
故障した場合、切替装置6によって予備系の屋内装置7が屋外装置3に接続され、屋外装
置3に接続された予備系の屋内装置7が屋内装置4の代わりに動作する。このため、予備
系の屋内装置7に接続する予備系の端末設備8によって、予備系の屋内装置7、切替装置
6、屋外装置3、アンテナ装置2を経由し、通信衛星を介して他所に設置されているVS
AT設備を経由し、他所の端末設備と通信を行うことができるようになる。
【0015】
以上説明したように本実施形態のVSAT設備では、災害時にVSAT設備を設置して
いる建屋が浸水し、屋内装置が浸水し故障しても、衛星通信を行うことが可能となる。
【0016】
本発明の1つの実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり
、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で
実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、
変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると
同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0017】
1…VSAT設備、2…アンテナ装置、3…屋外装置、4…屋内装置、5…端末設備、
6…切替装置、7…予備系の屋内装置、8…予備系の端末装置、10…VSAT設備。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置と、前記アンテナ装置に接続された屋外装置と、屋内装置と、予備系の屋内
装置と、切替装置とを備える衛星通信設備において、
前記アンテナ装置、前記屋外装置、前記切替装置は、建屋の屋上に設置され、
前記屋内装置は前記建屋の屋内に設置され、
前記切替装置は、通常の運用時は、前記屋内装置を前記屋外装置に接続し、通常の運用
時ではないときは、前記屋外装置に前記予備系の屋内装置を接続する
ことを特徴とする衛星通信設備。
【請求項2】
前記切替装置は、前記屋内装置が故障したか否かを判断し、前記屋内装置が故障したと判
断した場合、前記屋内装置に替えて前記予備系の屋内装置を前記屋外装置に接続すること
を特徴とする請求項1に記載の衛星通信設備。
【請求項3】
前記切替装置は、前記屋内装置の故障が復旧したか否かを判断し、前記屋内装置の故障が
復旧したと判断した場合、前記予備系の屋内装置に替えて前記屋内装置を前記屋外装置に
接続することを特徴とする請求項2に記載の衛星通信設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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