説明

衛生薄葉用紙

【課題】吸水性及び吸油性に優れ、また、使用する外面を選択できる衛生薄葉用紙を提供することにある。
【解決手段】一方の外層として漂白パルプ繊維層10と、この漂白パルプ繊維層10に積層された第1の中間層としての第1の化学繊維含有パルプ繊維層31と、他方の外層として無漂白パルプ繊維層20と、この無漂白パルプ繊維層20に積層された第2の中間層としての第2の化学繊維含有パルプ繊維層32とを有し、前記漂白パルプ繊維層10にはタルクが含有されおり、第1の化学繊維含有パルプ繊維層31と第2の化学繊維含有パルプ繊維層32とが対面した状態で、各層相互は接合されて一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛生薄葉用紙に係り、特にキッチンペーパーやクッキングペーパーと称される台所用衛生薄葉用紙として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
クッキングペーパーは、食材や食器についた水分、油分の拭取り、飛散した調味料の拭取り、揚げ物などの過剰油分の吸い取り、使用後の油こし等に用いられる。このような用途においては、水分、油分を素早く吸収して保持すること、水分等の保持量が多いこと、乾燥時および吸水、吸油状態における引張強度が高いことが要求される。また、例えば豆腐、野菜等の柔らかな食材の水切り、複雑な形状の食器あるいは調理場の拭取りに対応できるように、柔らかさも非常に重要である。
キッチンペーパーやクッキングペーパーについては、市販品が多く出回っているのに比較して、提案は比較的少なく、積層タイプとしては、特許文献1が知られている。また、清掃用シートとして特許文献2に開示ものがある。
しかし、特許文献1のものは、レーヨン繊維を主体とする外層間にパルプ繊維層が介在されたものであり、水分や油を吸収する際に、形が崩れ難い点で優れるが、両外層がレーヨン繊維を主体とするものであるために、吸水性及び吸油性が十分でない。
【特許文献1】特開2005−34617号公報
【特許文献2】特開2002−369782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の主たる課題は、吸水性及び吸油性に優れ、また、使用する外面を選択できる衛生薄葉用紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
中間層として化学繊維含有パルプ繊維層と、一方の外層として漂白パルプ繊維層と、他方の外層として無漂白パルプ繊維層とを有し、前記漂白パルプ繊維層にはタルクが含有されており、各層相互は接合されて一体化されていることを特徴とする衛生薄葉用紙。
【0005】
(作用効果)
本発明では、パルプ100%のパルプ繊維層が外層として位置する。したがって、吸水性及び吸油性に、特許文献1のものに比較して優れたものとなる。
近年、食品と接触するシートが漂白パルプ繊維層であると、消費者の環境意識の高まりから、好まれない傾向にある。そこで、一方の外層を漂白パルプ繊維層とし、他方の外層を無漂白パルプ繊維層としてある。この場合、漂白パルプ繊維層は、無漂白パルプ繊維層と比較して吸油性に劣る。そこで、吸油性に優れるタルクを漂白パルプ繊維層に含有させることで、無漂白パルプ繊維層と同程度の吸油性を発揮させるようにしたものである。
しかし、両外層をパルプ100%のパルプ繊維層とする場合には、水分や油を吸収した時点で形が崩れ(面積が減少し、嵩がなくなる)、商品価値を損なう。そこで、本発明では、中間層として、化学繊維を含む、好適には5〜10重量%を含む化学繊維混抄パルプ繊維層とし、各層相互を接合して一体化した。その結果、水分や油を吸収した時点で形が崩れ難いものとなる。
上記のように外層面を異ならせると、食物を乗せたりする場合には無漂白パルプ繊維層側を使用し、レンジの油汚れ拭きなどの場合には漂白パルプ繊維層側を使用するなど、選択的な使用ができるものとなる。しかも、無漂白パルプ繊維層と漂白パルプ繊維層とは色調が明らかに異なるので、消費者が使用に際してとまどうことはない。
【0006】
<請求項2記載の発明>
一方の外層として漂白パルプ繊維層と、この漂白パルプ繊維層に積層された第1の中間層としての第1の化学繊維含有パルプ繊維層と、他方の外層として無漂白パルプ繊維層と、この無漂白パルプ繊維層に積層された第2の中間層としての第2の化学繊維含有パルプ繊維層とを有し、
前記漂白パルプ繊維層にはタルクが含有されおり、
第1の化学繊維含有パルプ繊維層と第2の化学繊維含有パルプ繊維層とが対面した状態で、各層相互は接合されて一体化されていることを特徴とする衛生薄葉用紙。
【0007】
(作用効果)
中間層として、一層でもよいが、本例のように、漂白パルプ繊維層に対して第1の化学繊維含有パルプ繊維層を積層し、無漂白パルプ繊維層に対して第2の化学繊維含有パルプ繊維層を積層し、第1の化学繊維含有パルプ繊維層と第2の化学繊維含有パルプ繊維層とを対面した状態で、各層相互を、たとえば熱溶着により接合する場合において、良好に接合できる。
【0008】
<請求項3項記載の発明>
一体化は熱溶着により行われている請求項1記載の衛生薄葉用紙。
【0009】
(作用効果)
層相互の一体化にあたり、接着剤を使用することも可能であるが、食品と接触させて使用する場合に、食品衛生上望ましいものではない。また、エアレイド法や機械的な交絡法(スパンレース法)によって接合することも可能であるが、剛性が過度に高まったり、接合強度が十分でないなどの問題がある。これに対し、熱溶着により、化学繊維の熱溶着性を利用して接合すれば食品衛生上安心であるし、接合強度も高く、しかも剛性を過度に高めることがなくなる。
【0010】
<請求項4記載の発明>
一体化は、5〜30%の接合面積割合をもって、散点状に押圧する熱溶着エンボス加工により行われている請求項1記載の衛生薄葉用紙。
【0011】
(作用効果)
熱溶着エンボス加工によると嵩高性(吸水及び吸油性を高める)を確保しながら接合が可能である。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記タルクは、吸油量が20〜45ml/100gであり、漂白パルプ繊維層中に10〜30%含有されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生薄葉用紙。
【0013】
(作用効果)
タルクは他の無機粉体と比較して吸油性に富むので、漂白パルプ繊維層中に10〜30%含有させると、無漂白パルプ繊維層と同程度の吸油性を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、要すれば、吸水性及び吸油性に優れ、また、使用する外面を選択できる衛生薄葉用紙を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態によってさらに説明する。
本発明は、図1に示すように、中間層として第1化学繊維含有パルプ繊維層31と、第2化学繊維含有パルプ繊維層32と、一方の外層として漂白パルプ繊維層10と、他方の外層として無漂白パルプ繊維層20とを有し、各層相互は接合されて一体化されている。
【0016】
接合一体化は、熱溶着、特に散点状に押圧する熱溶着エンボス加工により行われているのが望ましい。また、漂白パルプ繊維層10及び又は無漂白パルプ繊維層20は、クレープ加工、特にウエットクレープ加工がなされているのが望ましい。パルプ繊維層にクレープ加工がなされることで、さらに嵩高性が高まる。クレープ加工は、ウエットパートにおけるプレスロール上またはドライヤーパートにおけるシリンダー型ドライヤー上に設置されたドクターの所でクレープ化される。ウエットパートでクレープ化する場合と、ドライパートでクレープ化する場合があり、前者をウエットクレープ加工、後者をドライクレープ加工と区別している。通常、ティシュペーパーの場合には、ドライクレープ加工に重点が置かれるが、ウエットクレープ加工によると、湿潤時においてもクレープの形状をほとんどそのまま保持でき保ち、紙伸びが大きく柔軟性があるために、水分や油を吸収した時点で形が崩れ難いものとなるとともに、嵩高性を維持できる。
【0017】
漂白パルプ繊維層10としては、通常の衛生薄葉用紙に使用されるパルプを使用できる。好適には、前記パルプ繊維層を構成するパルプは、填料を含まない純パルプで構成されるのが望ましく、LBKP(L材あるいは広葉樹クラフトパルプともいわれる。)よりもNBKP(N材あるいは針葉樹クラフトパルプともいわれる。)を多く含むものを用いる。一般的にLBKPよりもNBKPのほうが、繊維太さが太いため、NBKPが多いほうが嵩高となるとともに、ウェブ層の表裏面に付着した吸水性や吸油性が良好となり、水分・油分の保持性も良好となる。
【0018】
無漂白パルプ繊維層20としては、通常の無漂白衛生薄葉用紙に使用されるパルプを使用できる。好適には、前記パルプ繊維層を構成するパルプは、填料を含まない純パルプで構成されるのが望ましく、LUKP(広葉樹未晒クラフトパルプともいわれる。)よりもNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプともいわれる。)を多く含むものを用いる。一般的にLUKPよりもNUKPのほうが、繊維太さが太いため、NUKPが多いほうが嵩高となるとともに、ウェブ層の表裏面に付着した吸水性や吸油性が良好となり、水分・油分の保持性も良好となる。
【0019】
本発明の第1化学繊維含有パルプ繊維層31及び第2化学繊維含有パルプ繊維層32に含有させる繊維としては、化学繊維のうち柔らかく肌触り感に優れしかも親水性を示すレーヨン繊維を使用するのが望ましい。特にレーヨン繊維を20〜30重量%を含むものが望ましく、さらにレーヨン繊維同士を接着するために、ビニロンバインダー繊維を5〜10重量%を含むものが望ましい。ビニロンバインダー繊維としては、繊維太さ1.0〜5.0dtex、繊維長2〜5mmとされる。ここで、本発明の第1化学繊維含有パルプ繊維層31及び第2化学繊維含有パルプ繊維層32における化学繊維は、「化学繊維とバインダーの両方を含んだもの」と定義する。したがって、本発明の第1化学繊維含有パルプ繊維層31及び第2化学繊維含有パルプ繊維層32における化学繊維で、レーヨン繊維の場合、25〜40重量%を含むことを意味する。レーヨン繊維としては、繊維太さ1.0〜5.0dtex、繊維長2.5〜5mmとするのが望ましい。レーヨン繊維を使用することで柔軟性に富み、吸水性が良好なものとなる。
【0020】
そして、第1化学繊維含有パルプ繊維層31及び第2化学繊維含有パルプ繊維層32の化学繊維以外の残部を、填料を含まない純パルプで構成されるのが望ましく、LBKP(L材あるいは広葉樹クラフトパルプともいわれる。)よりもNBKP(N材あるいは針葉樹クラフトパルプともいわれる。)を多く含むものを用いる。一般的にLBKPよりもNBKPのほうが、繊維太さが太いため、NBKPが多いほうが嵩高となるとともに、ウェブ層の表裏面に付着した吸水性や吸油性が良好となり、水分・油分の保持性も良好となる。
【0021】
また、さらに望ましくは、レーヨン繊維の代わりに、PP(ポリプロピレン)繊維又はPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維を20〜30重量%を含むこともできる。PP繊維又はPET繊維としては、繊維太さ1.0〜5.0dtex、繊維長2〜5mmとされる。バインダー繊維として、鞘部に芯部より融点の低い樹脂を用いた芯鞘構造の複合バインダー繊維を10〜20重量%含むことが望ましい。例えば、芯/鞘=PP/PP、PP/PE等が挙げられる。また、バインダー繊維として、熱融着性バインダー性繊維も使用でき、PPバインダー繊維又はPEバインダー繊維が望ましく、さらに望ましくはPPバインダー繊維である。これらは、繊維太さ1.0〜5.0dtex、繊維長2〜5mmとされる。
【0022】
レーヨン繊維の代わりに、PP繊維又はPET繊維を含むことは、水分や油を吸収した時点で形が崩れ難いものとなるとともに、嵩高性を維持できる利点があり、PP繊維とPET繊維を比した場合、PET繊維が望ましい。PET繊維は、親油性があるため、油分の吸収性がさらに向上するとともに、一旦、パルプ層に保持された水分・油分が再度の外に染み出しづらくなり水分・油分保持性が向上する。
【0023】
漂白パルプ繊維層10及び第1化学繊維含有パルプ繊維層31、第2化学繊維含有パルプ繊維層32、無漂白パルプ繊維層20の合計米坪は、15〜60g/m2とするのが望ましい。好適には、40〜50g/m2である。15g/m2未満であると吸水および吸油性が良好となりづらく、また嵩高性を維持し難く、60g/m2を越えると柔らかさが発現しづらくなる。
【0024】
また、合計米坪に対する各層の米坪の割合は、漂白パルプ繊維層10:第1化学繊維含有パルプ繊維層31及び第2化学繊維含有パルプ繊維層32:無漂白パルプ繊維層20=40〜55:5〜10:40〜50が望ましく、各々この範囲であれば、衛生薄葉用紙全体として、吸水性及び吸油性を発揮しながら、水分や油を吸収する際に形が崩れ難くなる。
【0025】
熱溶着の態様としては、スチール−ラバー方式やスチール−スチール方式といった公知の技術及び装置を使用することができる。スチール−ラバー方式の場合、ラバー側をテフロン含有の材質とすることで、ラバー自体の熱による溶融を防止すると共に、衛生薄葉用紙の各層を接合する際に、所望部分だけに熱融着することができる。
【0026】
熱溶着は、エンボスによる部分溶着が望ましく、エンボスの形状としては、長方形や正方形、菱形といった多角形、星や花、葉といった図形等とすることができるが、望ましくは直径1〜2mm円形がよい。この範囲であると、衛生薄葉用紙自体に柔らかさが発現し、使用する際の手触り感が良好となる。
【0027】
エンボスを行う領域は、衛生薄葉用紙の一方の面の面積当たり10〜30%であればよく、10%未満であると、衛生薄葉用紙の各層の接合が不十分になり剥がれ易くなる恐れがある。他方、30%を越えると、衛生薄葉用紙自体の嵩が減り、手に持った時に硬い感触となると共に、吸水性・吸油性が十分に発揮できない。
【0028】
上記例では、中間層を第1化学繊維含有パルプ繊維層31と第2化学繊維含有パルプ繊維層32との二層構造としたものであるが、一層とすることもできる。一層とする場合には、漂白パルプ繊維層10又は無漂白パルプ繊維層30と化学繊維含有パルプ繊維層と積層抄造した後、他方のパルプ繊維層と一体化させることができ、二層構造とする場合には、漂白パルプ繊維層10と第1化学繊維含有パルプ繊維層31とを積層抄造し、無漂白パルプ繊維層20と第1化学繊維含有パルプ繊維層32とを積層抄造した後、各層を一体化させることができる。
【0029】
本発明では、平均粒径3〜50μmのタルクを漂白パルプ繊維層10に10〜30%含有させる。平均粒径が3μm未満であると、粒径自体が小さ過ぎて漂白パルプ繊維層10から脱落し易くなり、逆に平均粒径が50μmを越えると、繊維の空隙に入り込むことができないだけでなく、油を拭き取った時に、吸油したタルクが原因でベタツキが生じ易くなる。
【0030】
また、タルクの漂白パルプ繊維層10への含有率において、10%未満であると、無漂白パルプ繊維層30の方が吸油量が多くなり、逆に30%を越えると、漂白パルプ繊維層10の方が吸油量が多くなり、無漂白パルプ繊維層30と漂白パルプ繊維層10の吸油量に大差がない範囲として、10〜30%が望ましい。特に好ましい含有率は、漂白パルプ繊維層10に対して、15〜25%である。
【0031】
さらに、タルクの吸油量(JIS K 5101)としては、20〜45ml/100gが望ましい。20ml/100g未満であると、拭き取りなどの使用において、十分な吸油ができず拭き残りが生じ易い。逆に、45ml/100gを越えると、吸油性能に対しては問題ないが、衛生薄葉用紙自体を手で持ったり、圧力をかけたりすると、油が滲み出てベタツキが生じ易くなる。
【0032】
なお、漂白パルプ繊維層10へタルクを定着させるためには、接着成分を用いることもできる。その場合、漂白パルプ繊維層10もとより衛生薄葉用紙自体を硬くしない程度に、カルボキシメチルセルロース(CMC)や澱粉糊等の食品衛生上問題のない接着成分を用いることができる。
【実施例】
【0033】
(試験例1)
次いで、本発明の試験例1を示す。
試験は、実施例及び比較例について、引張強度、柔らかさ、吸水量、吸油量、吸水速度、吸油速度の試験を行った。実施例及び比較例についての物性等の詳細は、各試験の結果とともに表1〜表3に示す。試験項目および評価基準は下記のとおりである。
【0034】
なお、各試験における原料は、
レーヨン繊維:繊維長さ4mm、繊維太さ4.0dtex
PP繊維:繊維長さ5mm、繊維太さ3.0dtex
PET繊維:繊維長さ3mm、繊維太さ3.5dtex
ビニロンバインダー繊維:3mm、繊維太さ3.0dtex
PP/PP複合バインダー繊維:5mm、繊維太さ3.0dtex
PP/PE複合バインダー繊維:5mm、繊維太さ3.0dtex
PPバインダー繊維:5mm、繊維太さ4.0dtex
PEバインダー繊維:5mm、繊維太さ4.0dtex
に調整したものを使用した。
【0035】
(引張強度)
JIS L 1076に従って、縦方向および横方向について測定した。試料は50mm巾×長さ15cmの短冊状とし、長さ方向に対して引っ張って測定した。クッキングペーパー用途では、縦方向45N/50mm以上、横方向13N/50mm以上が好ましいことから、縦方向45N/50mm以上のものを○、45N/50mm未満のものを×、横方向13N/50mm以上のものを○、13N/50mm未満のものを×と評価した。
【0036】
(柔らかさ)
剛度を測定する試験機(自動化純曲げ試験機、KESFB2−AUTO−A:カトーテック社製、)を用いて測定した。評価は、単位幅当たりの曲げ剛性を指数10-2・gfcm2/cmで表して基準とした。クッキングペーパー用途では、縦方向15未満、横方向で25以上が好ましいことから、縦方向で15未満のものを○、15以上のものを×、横方向で25以上のものを○、25未満のものを×と評価した。
【0037】
(吸水速度)
試料にピペットで10cc水を載せ、完全にシートに染み込むまでの時間を計測した。染み込んだか否かについては目視で判断した。クッキングペーパー用途では、吸水速度が、1.5秒未満であることが望ましいことから、1.5秒未満を○、1.5秒以上を×と評価した。
【0038】
(吸油速度)
試料にピペットで10ccサラダオイルを載せ、完全にシートに染み込むまでの時間を計測した。染み込んだか否かについては目視で判断した。クッキングペーパー用途では、吸油速度が、8.5秒未満であることが望ましいことから、8.5秒未満を○、8.5秒以上を×と評価した。
【0039】
(吸水量)
網に10cm四方に裁断した試料を載せ、網ごと水の入った容器に試料を浮かせ、十分に水が浸透した後に引き上げ、30秒間放置した後試料の重量を測定する。その測定された重量から乾燥時の試料の重さ引いた値を吸水量とする。クッキングペーパーの用途においては、620g以上の吸水量が好ましいことから、620g以上のものを○、620g未満のものを×と評価した。
【0040】
(吸油量)
網に10cm四方に裁断した試料を載せ、網ごとサラダオイルの入った容器に試料を浮かせ、十分にサラダオイルが浸透した後に引き上げ、30秒間放置した後試料の重量を測定する。その測定された重量から乾燥時の試料の重さ引いた値を吸油量とする。クッキングペーパーの用途においては、620g以上の吸油量が好ましいことから、620g以上のものを○、620g未満のものを×と評価した。
【0041】
(総合評価)
上記各評価結果全てにおいて、「○」と評価された試験例(実施例)については、総合評価を「良い(○)」または「とても良い(◎)」とした。それ以外の試験例(比較例)については、総合評価を「悪い(×)」または「やや悪い(△)」とした。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
以上詳述のとおり、本発明によれば、吸水性、吸油性、吸水・吸油の保持性、吸水時等における引張り強度に優れ、調理場等における使用感をより高めたクッキングペーパーが提供される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、クッキングペーパーやキッチンペーパー等の油分、水分の拭取り紙に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の層構造の概要図である。
【図2】熱溶着エンボスを付与した衛生薄葉用紙の概要断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10…漂白パルプ繊維層、20…無漂白パルプ繊維層、31…第1の化学繊維含有パルプ繊維層、32…第2の化学繊維含有パルプ繊維層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間層として化学繊維含有パルプ繊維層と、一方の外層として漂白パルプ繊維層と、他方の外層として無漂白パルプ繊維層とを有し、前記漂白パルプ繊維層にはタルクが含有されており、各層相互は接合されて一体化されていることを特徴とする衛生薄葉用紙。
【請求項2】
一方の外層として漂白パルプ繊維層と、この漂白パルプ繊維層に積層された第1の中間層としての第1の化学繊維含有パルプ繊維層と、他方の外層として無漂白パルプ繊維層と、この無漂白パルプ繊維層に積層された第2の中間層としての第2の化学繊維含有パルプ繊維層とを有し、
前記漂白パルプ繊維層にはタルクが含有されおり、
第1の化学繊維含有パルプ繊維層と第2の化学繊維含有パルプ繊維層とが対面した状態で、各層相互は接合されて一体化されていることを特徴とする衛生薄葉用紙。
【請求項3】
一体化は熱溶着により行われている請求項1記載の衛生薄葉用紙。
【請求項4】
一体化は、5〜30%の接合面積割合をもって、散点状に押圧する熱溶着エンボス加工により行われている請求項1記載の衛生薄葉用紙。
【請求項5】
前記タルクは、吸油量が20〜45ml/100gであり、漂白パルプ繊維層中に10〜30%含有されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生薄葉用紙。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−81892(P2008−81892A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263642(P2006−263642)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】