衝撃吸収部材
【課題】より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供すること。
【解決手段】正面板2及び背面板3と両者を連結する4枚の連結板4とよりなる衝撃吸収部材1である。横断面形状において、4枚の連結板4は中心軸に対して傾斜しその傾斜方向が交互に逆転し、かつ上記中心軸Oに関して2枚ずつ線対称に配置されている。正面板2及び背面板3の両端には、突出部5がある。正面板2の内側面と背面板3の内側面との間の距離をHと、正面板2の幅寸法の半分の長さをLとは、20mm≦H≦100mm、0.60≦(H/L)≦1.40の関係にある。また、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると、A1点:−×α×H+β×L、A2点:α×H+β×L、B1点:γ×H+δ×L、B2点:−γ×H+δ×Lにある。
【解決手段】正面板2及び背面板3と両者を連結する4枚の連結板4とよりなる衝撃吸収部材1である。横断面形状において、4枚の連結板4は中心軸に対して傾斜しその傾斜方向が交互に逆転し、かつ上記中心軸Oに関して2枚ずつ線対称に配置されている。正面板2及び背面板3の両端には、突出部5がある。正面板2の内側面と背面板3の内側面との間の距離をHと、正面板2の幅寸法の半分の長さをLとは、20mm≦H≦100mm、0.60≦(H/L)≦1.40の関係にある。また、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると、A1点:−×α×H+β×L、A2点:α×H+β×L、B1点:γ×H+δ×L、B2点:−γ×H+δ×Lにある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収性能が求められる車両用バンパー装置等に用いられる衝撃吸収部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前方又は後方には、車両の衝突等によって発生する衝撃を可能な限り吸収して、車体への損傷を緩和するための車両用バンパー装置が取り付けられている。そして、車両用バンパー装置には、衝撃吸収部材として、衝撃エネルギーを自身の変形で吸収するバンパーレインフォースメントが適用されている。
【0003】
上記バンパーレインフォースメントは、一般的に、衝撃を受ける側の正面板と、車体側の背面板を互いに距離を隔てて略平行に対向配置し、上記正面板と上記背面板とを連結する複数枚の連結板からなる構造を有しており、断面は、主に、「日」字状又は「目」字状の形状を有している。
そして、正面板に衝撃が加わると、荷重は、正面板から連結板、そして背面板へと伝わり、荷重が増加するにつれて連結板が座屈して車体側に加わる衝撃を緩和するものである。
【0004】
上記バンパーレインフォースメントは、近年、車両の軽量化等の観点から、その材料としてアルミニウム合金材の押出材が使用されるようになりつつある。
また、バンパーレインフォースメントについて、衝撃吸収性を向上させる技術が報告されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、更なる衝撃吸収性の向上や軽量化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−59766号公報
【特許文献2】特開2006−7828号公報
【特許文献3】特許第4004924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板及び背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材であって、
横断面形状において、上記4枚の連結板は、上記正面板の幅方向中央の点を通り該正面板に直交する中心軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、かつ、上記中心軸に関して2枚ずつ線対称に配置されており、
上記正面板及び上記背面板の両端のすべてには、上記連結板との交点部よりも外側に延長された突出部を有しており、
上記正面板の内側面と上記背面板の内側面との間の距離Hと、
上記正面板の幅寸法の半分の長さLとは、
20mm≦H≦100mm、
0.60≦(H/L)≦1.40の関係にあり、
上記中心軸に近い位置に配された上記連結板である内側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をA1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をA2点とし、
上記中心軸から遠い位置に配された上記連結板である外側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をB1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をB2点とした場合、
上記中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離は、上記H及びLとの関係において、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると、以下の関係にあることを特徴とする衝撃吸収部材。
A1点:−×α×H+β×L
A2点:α×H+β×L
B1点:γ×H+δ×L
B2点:−γ×H+δ×L
【発明の効果】
【0008】
本発明の衝撃吸収部材の上記4枚の連結板は、上記のように、横断面形状において(以下、適宜、この記載を省略する)、上記正面板の幅方向中央の点を通り該正面板に直交する中心軸に対して傾斜して配置されている。そのため、衝撃エネルギーの吸収性を向上させることができる。
【0009】
また、上記連結板の傾斜方向を交互に逆転させ、かつ、上記中心軸に関して2枚ずつ線対称に配置することにより、優れた座屈強度及び剛性を得ることができる。
さらに、上記正面板及び上記背面板の両端のすべてに、上記連結板との交点部よりも外側に延長して突出部を形成することにより、上記衝撃吸収部材の座屈強度及び剛性を向上させることができる。
【0010】
特に、本発明においては、上記正面板の内側面と上記背面板の内側面との間の距離Hと、上記正面板の幅寸法の半分の長さLとが、0.60≦(H/L)≦1.40の関係にある。この関係は、実験にも裏付けされた最適な値であり、この関係を維持することにより、実用的な幅寸法範囲において、連結板の座屈形態が幅方向においてほぼ対称となって、衝撃吸収性能を高めることができる。
上記H/Lが0.60未満の場合には、幅寸法に比べて厚み方向の寸法が小さすぎ、実用的な幅寸法範囲においては、衝撃を十分に吸収できるだけの変形量を確保することが困難となる。一方、上記H/Lが1.40を超える場合には、上記連結板が幅方向で対称に座屈せず幅方向の一方に片寄った座屈を生じやすくなるため、衝撃吸収性が悪くなる。
【0011】
さらに、上記Hは、20mm≦H≦100mmの範囲であることが好ましい。
上記Hが20mm未満である場合には、上記連結板の長さが短くなり、衝撃を十分に吸収できるだけの変形量を確保することが困難となる。一方、上記Hが100mmを超える場合には、上記連結板の長さが長くなり、連結板が幅方向において対称に座屈せず幅方向の一方に偏った座屈形態が生じやすくなり、衝撃吸収量(耐荷重)の絶対値が低くなる。
したがって、本発明では、上記20mm≦H≦100mmと0.60≦(H/L)≦1.40の関係を具備することを必須要件としてある。
【0012】
さらに本発明においては、上記中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離が、上記H及びLとの関係において、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると上記特定の関係にある。上記中心軸から上記各交点(A1、A2、B1、B2)までの距離は、衝突面からの入力荷重の伝播をより効率的にする連結板の配置を実験により導き出した最適な値である。かかる関係を満足するため、上記衝撃吸収部材は、特に良好な衝撃吸収性を示すことができる。
【0013】
α<0.05の場合には、上記内側連結板と上記正面板とがなす鋭角(θ)及び上記内側連結板と上記背面板とがなす鋭角(θ)が大きくなり90°に近づきすぎて、上記連結板の座屈方向が制御できなくなり、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。一方、α>0.15の場合には、上記内側連結板と上記正面板とがなす鋭角(θ)及び上記内側連結板と上記背面板とがなす鋭角(θ)が小さくなりすぎて、この場合にもやはり、強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。
β<0.24の場合には、上記衝撃吸収部材の横断面形状において、上記内側連結板の位置が幅方向において中心軸側に寄りすぎて、上記正面板及び上記背面板に付与される垂直力を受ける範囲が狭くなる。そのためこの場合には、上記衝撃吸収部材の強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。一方、β>0.40の場合には、上記衝撃吸収部材の横断面形状において、上記内側連結板の位置が幅方向において中心軸と反対側(外側)に偏りすぎて、この場合にもやはり、上記衝撃吸収部材の強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。
【0014】
γ<0.018の場合には、上記外側連結板と上記正面板とがなす鋭角(φ)及び上記外側連結板と上記背面板とがなす鋭角(φ)が大きくなり90°に近づきすぎて、上記連結板の座屈方向が制御できなくなり、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。一方、γ>0.034の場合には、上記外側連結板と上記正面板とがなす鋭角(φ)及び上記外側連結板と上記背面板とがなす鋭角(φ)が小さくなりすぎて、この場合にもやはり、強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。
δ<0.60の場合には、上記衝撃吸収部材の横断面形状において、上記外側連結板の位置が幅方向において中心軸側に寄りすぎて、上記正面板及び上記背面板に付与される垂直力を受ける範囲が狭くなる。そのためこの場合には、上記衝撃吸収部材の強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。一方、δ>0.88の場合には、上記衝撃吸収部材の横断面形状において、上記外側連結板の位置が幅方向において中心軸と反対側(外側)に偏りすぎて、上記外側連結板が上記中心軸より外側に倒れることを防ぐ回転モーメントが低下する。そのため、上記衝撃吸収部材の強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。
【0015】
このように、上記衝撃吸収部材は、衝撃吸収性に優れているため、外形寸法を小さくしても、一般的な断面「目」字状の衝撃吸収部材と同等の性能を有することができる。また、同じ大きさのものでも、肉厚を薄くしても、一般的な断面「目」字状の衝撃吸収部材と同等の性能を得ることができる。つまり、衝撃吸収部材の薄肉化、小型化で軽量化を図ることができる。
【0016】
以上のように、本発明によれば、より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における、衝撃吸収部材を示す断面図。
【図2】実施例1における、衝撃吸収部材を示す説明図。
【図3】比較例1における、衝撃吸収部材を示す断面図。
【図4】実験例1における、3点曲げ試験の方法を示す説明図。
【図5】実験例1における、3点曲げ試験の結果を示す説明図。
【図6】実施例2における、圧縮試験に用いるプレス装置の構成を示す説明図。
【図7】実施例2における、適正な座屈形態を示す説明図。
【図8】実施例2における、不適正な座屈形態を示す説明図。
【図9】実施例2における、実施例の試験材E2とその比較従来材CE2の荷重・変位線図。
【図10】実施例2における、比較例の試験材C1とその比較従来材CC1の荷重・変位線図。
【図11】実施例2における、比較例の試験材C2とその比較従来材CC2の荷重・変位線図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の衝撃吸収部材は、上述したように、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板及び背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材である。
上記衝撃吸収部材を構成する上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金、鉄合金、マグネシウム合金等の金属材料、あるいは樹脂材料等、いずれの材料からなるものであってもよい。
その中でも、軽量化の観点から、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金よりなることが好ましい(請求項3)。また、アルミニウム合金の中でも、特に、強度特性に優れた6000系、7000系等のアルミニウム合金よりなることが好ましい。
また、上記衝撃吸収部材は、押出成形により得ることが好ましいが、溶接、鋳造、鍛造等、その他の加工方法を用いて作製されてもよい。
【0019】
また、上記4枚の連結板は、上記正面板の幅方向中央の点を通り該正面板に直交する中心軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、かつ、上記中心軸に関して2枚ずつ線対称に配置されている。
つまり、上記4枚の連結板を、一方の端の連結板から順に第1連結板〜第4連結板とすると、上記第1連結板と上記第3連結板の傾斜方向は同じであり、上記第2連結板と第4連結板の傾斜方向は同一である。
また、上記第1連結板と上記第4連結板とは、上記中心軸に関して線対称に配置され、傾斜方向は逆であるが傾斜角度は同じである。また、上記第2連結板と上記第3連結板とは、横断面形状において、上記中心軸に関して線対称に配置され、傾斜方向は逆であるが傾斜角度は同じである。
【0020】
また、上記衝撃吸収部材は、横断面において、上記第1連結板、正面板、第2連結板、及び背面板により台形が形成されるが、その台形を構成する上記正面板の辺が、上記背面板の辺よりも長くなるように連結板を配置することが好ましい。
【0021】
上記衝撃吸収部材においては、上記中心軸に近い位置に配された上記連結板である内側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をA1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をA2点とし、
上記中心軸から遠い位置に配された上記連結板である外側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をB1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をB2点とした場合、
上記中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離は、上記H及びLとの関係において、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると、以下の関係にある。
A1点:−×α×H+β×L
A2点:α×H+β×L
B1点:γ×H+δ×L
B2点:−γ×H+δ×L
上記中心軸から上記各交点までの距離の取り得る範囲は、加工精度の許容値として、押出材の場合、JIS H4100の断面寸法の許容差(普通級)に納まれば全く問題がない。
【0022】
上記関係式を満足する位置に、上記A1点、A2点、B1点、及びB2点を定めると、上記内側連結板と上記正面板及び上記背面板とがなす鋭角θ(°)、及び上記外側連結板と上記正面板及び上記背面板とがなす鋭角φ(°)を、73≦θ≦85、86≦φ≦88という範囲内にすることができる(図1参照)。さらに、上記中心軸から上記A1点までの距離をa1(mm)、上記中心軸から上記B1点までの距離をb1(mm)とすると、上記衝撃吸収部材の横断面形状における幅寸法の半分の長さLとの関係において、0.15×L≦a1≦0.38×L、0.60×L≦b1≦0.90×Lという関係を満足させることができる(図1参照)。これにより、上記衝撃吸収部材の強度及び衝撃吸収性能を向上させることができる。
【0023】
また、上記Lは、上述のH及びH/Lの範囲によって決定される範囲にすることが好ましい。
この場合には、車両用の衝撃吸収部材として、随所に適用可能となる。例えば、適用対象としてドアインパクトバーやバンパーレインフォースメント等はもちろん、トラックのあおりにも適用することができる。
【0024】
上記Lが小さすぎる場合には、高強度アルミニウム合金の押出加工等の加工が困難になるおそれがある。一方、上記Lが大きすぎる場合には、押出加工等の製造可能範囲を超えるおそれがあり、たとえ加工後に溶接等により接合して得ることができたとしてもコスト上不利である。それ故、より好ましくは20mm≦L≦125mmの範囲がよい。
【0025】
また、上記正面板の厚みt1は1mm≦t1≦6mm、上記背面板の厚みt2は1mm≦t2≦6mm、及び上記連結板の厚みt3は1mm≦t3≦6mmであることが好ましい(請求項2)。
上記衝撃吸収部材は、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板を1mm〜6mmの厚さとしても、充分な強度を得ることができる。
【0026】
上記厚みt1、t2、及びt3が1mm未満の場合には、押出性が悪く、製品を作製するのが難しくなる。一方、上記厚みt1、t2、及びt3が6mmを超える場合には、衝撃吸収部材の重量が増し、本発明の効果である軽量化に結びつかなくなるおそれがある。それ故、より好ましくは1mm≦t1、t2、t3≦3mmの範囲がよい。
また、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板の厚みは、全て等しくてもよいが、それぞれ異なっていてもよい。また、上記4枚の連結板についても、連結板同士で、厚みが全て等しくてもよいが、それぞれ異なっていてもよい。
【0027】
また、上記衝撃吸収部材は、車両用バンパー装置に組み込まれるバンパーレインフォースメント用であることが好ましい(請求項4)。
上記衝撃吸収部材は、アルミニウム合金からなる場合にも、充分な強度を有することができるため、軽量化の求められている車両用バンパー装置に好適に用いることができる。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
本例は、本発明の実施例にかかる衝撃吸収部材について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、本例の衝撃吸収部材1は、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板2及び背面板3と、上記正面板2と上記背面板3との間に配置され両者を連結する4枚の連結板4とよりなる。そして、横断面形状において、上記4枚の連結板4は、上記正面板2の幅方向中央の点を通り該正面板2に直交する中心軸Oに対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、かつ、上記中心軸Oに関して2枚ずつ線対称に配置されている。また、上記正面板2及び上記背面板3の両端のすべてには、上記連結板4との交点部よりも外側に延長された突出部5を有している。そして、衝撃吸収部材1は、図2に示すように、図1の紙面と直交する方向を長手方向とする長尺材として作製される。本例において長手方向の長さは1700mmである。
【0029】
具体的には、上記正面板2、上記背面板3、及び上記連結板4は、アルミニウム合金(材質、質別:6N01−T5、耐力:220MPa)よりなる。
また、上記正面板2、上記背面板3、及び上記連結板4の厚みt1、t2、t3は、いずれも2mmである。
【0030】
そして、上記中心軸Oに近い位置に配された上記連結板4である内側連結板41の厚さ方向における中心線と、上記正面板2の内側面の延長線との交点をA1点とし、内側連結板41の厚さ方向における中心線と、上記背面板3の内側面の延長線との交点をA2点とした。
中心軸Oから上記A1点までの距離a1は、13.80mmとした。また、上記中心軸Oから上記A2点までの距離a2は、27.00mmとした。
【0031】
また、上記中心軸Oから遠い位置に配された上記連結板4である外側連結板42の厚さ方向の中心線と、上記正面板2の内側面の延長線との交点をB1点とし、外側連結板42の厚さ方向の中心線と、上記背面板3の内側面の延長線との交点をB2点とした。
上記中心軸Oから上記B1点までの距離b1は46.79mmとした。また、上記中心軸Oから上記B2点までの距離b2は43.79mmとした。
【0032】
上記正面板2の内側面と上記背面板3の内側面との間の距離Hは60mmである。また、上記正面板2の幅寸法の半分の長さLは60mmである。つまり、(H/L)=1.00である。
そして、上記中心軸Oから上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離は、上記H及びLとの関係において、A1点:−×α×H+β×L、A2点:α×H+β×L、B1点:γ×H+δ×L、B2点:−γ×H+δ×Lという関係にあり、本例においてはα=0.11、β=0.34、γ=0.025、δ=0.755であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0033】
(比較例1)
本例は、本発明の比較として、図3に示す、一般的な衝撃吸収部材9を用意した。
本例の衝撃吸収部材9は、図3に示すように、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板91及び背面板92と、上記正面板91と背面板92とを連結する4枚の連結板93からなり、断面が「目」字状となっている。
【0034】
具体的には、上記正面板91、上記背面板92、及び上記連結板93は、アルミニウム合金(材質、質別:6N01−T5、耐力:220MPa)よりなる。
また、上記正面板91、上記背面板92、及び上記連結板93の厚みt’は、2mmである。
【0035】
また、上記正面板91の内側面と上記背面板92の内側面との間の距離H’は60mmである。また、上記正面板91の幅寸法の長さL’は120mmである。
そして、上記正面板91の幅方向中央の点を通り該正面板91に直交する中心軸O’に近い位置に配された上記連結板93の中心線と、上記背面板92の内側面の延長線との交点をP点とした。中心軸O’から上記P点までの距離pは、25mmとした。
【0036】
(実験例1)
本例では、上記実施例1の衝撃吸収部材1、及び上記比較例1の衝撃吸収部材9について、荷重を負荷する試験を行い、衝撃吸収性の評価を行った。これを、図4、図5を用いて説明する。
【0037】
まず、図4に示すように、正面板2(91)を外側、背面板3(92)を内側に配して、長手方向に沿って内R=3000mmに曲げた衝撃吸収部材1(9)を、支持台6(幅=200mm)を用いてスパンS=800mmで支持し、外R側(正面板2側)に平板7を介して荷重Fを負荷する試験を行った。荷重は、試験機のロードセルにより連続測定した。スパン中央の内R側の点Qに変位計を取り付けて、変位を連続測定した。
【0038】
その結果を、図5において、荷重・変位線図に示す。図5は、縦軸に荷重(N:ニュートン)、横軸に変位(mm)をとった。図5において、実線Xは実施例1の衝撃吸収部材の結果を示し、破線Yは比較例1の衝撃吸収部材の結果を示す。
【0039】
図5より知られるように、実施例1の衝撃吸収部材は、比較例1の衝撃吸収部材と比較すると、同一荷重では、変位を小さくすることができる。一方、同一変位では、高荷重に耐えることができる。つまり、実施例1の衝撃吸収部材は、比較例1の衝撃吸収部材よりも衝撃吸収性が優れている。
そのため、本発明の構成を適用すると、一般の断面「目」字状の衝撃吸収部材と同程度の性能を確保しようとする場合に、薄肉化や小型化により、軽量化が可能となる。また、本発明の構成を、一般の断面「目」字状の衝撃吸収部材と同程度の大きさや、板厚で適用する場合には、より高い衝撃吸収性を有することができる。
このように、本発明によれば、より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供することができることがわかる。
【0040】
(実施例2)
本例では、実施例1と同様の断面形状を有する衝撃吸収部材について、さらに、上記距離Hと上記長さLの値を後述の表1に示すように変更した複数の試験材を作製し、圧縮試験を実施して、その座屈形態とエネルギー吸収量比を測定して評価した。
準備した試験材は、本発明の実施例としての3種類の試験材E1〜E3と、比較例としての2種類の試験材C1、C2である。これらの試験材の材質、質別及び耐力は、いずれも同じとし、材質は6N01、質別はT5、耐力は220MPaである。これらの寸法関係については、表1に示す。試験材の長さ(断面の奥行き方向長さ)はいずれも20mmとした。
【0041】
また、試料C1においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=8.10mm、a2=18.30mm、b1=32.73mm、b2=32.07mmとしてある。したがって、A1点:−×α×H+β×L、A2点:α×H+β×L、B1点:γ×H+δ×L、B2点:−γ×H+δ×Lという式に基づくと、試料C1においては、α=0.17、β=0.22、γ=0.011、δ=0.54となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足しない。
【0042】
また、試料E1においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)をそれぞれa1=10.38mm、a2=19.63mm、b1=40.18mm、b2=37.82mmとしてあり、上述の式に基づくと、試料E1においては、α=0.11、β=0.25、γ=0.028、δ=0.65であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0043】
また、試料E2においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)をそれぞれa1=14.40mm、a2=26.40mm、b1=46.56mm、b2=43.44mmとしてある。上述の式に基づくと、試料E2においては、α=0.1、β=0.34、γ=0.026、δ=0.75であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0044】
また、試料E3においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)をそれぞれa1=14.58mm、a2=28.63mm、b1=43.87mm、b2=40.13mmとしてあり、上述の式に基づくと、試料E3においては、α=0.09、β=0.36、γ=0.024、δ=0.70であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0045】
また、試料C2においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)をそれぞれ22.80mm、26.40mm、54.30mm、52.50mmとしてあり、上述の式に基づくと、試料C2においては、α=0.02、β=0.41、γ=0.010、δ=0.89であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足しない。
【0046】
【表1】
【0047】
圧縮試験は、図6に示すごとく、プレス装置8を用いて行った。プレス装置8は、同図に示すごとく、載置台81に対して昇降部82が昇降するよう構成されており、両者の間に生ずる荷重は図示しないロードセルによって測定できるようになっている。本例では、同図に示すごとく、載置台81と昇降部82との間に衝撃吸収部材1を挟み込んで両者で徐々に圧縮する圧縮試験を行った。
【0048】
評価方法は次のようにした。
<座屈形態>
座屈形態は、図7に示すごとく、発生する座屈形態、すなわち連結板の変形形態が、L方向の対称軸(正面板2の幅方向中央の点を通り該正面板2に直交する中心軸O)に関して、ほぼ対称である場合を適正(○)とした。図8に示すごとく、発生する座屈形態が、L方向の対称軸(正面板2の幅方向中央の点を通り該正面板2に直交する中心軸O)に関して、対称ではなく一方に偏った非対称の場合を不適正(×)とした。
【0049】
<エネルギー吸収量比>
エネルギー吸収性能を評価するため、実施例及び比較例の試験材について得られた荷重・変位線図からエネルギー吸収量(N・m)をそれぞれ求めた。エネルギー吸収比は、1.05以上が良好となる。
また、比較のために、各試験材と同等のサイズ、つまり、前述した図3に示す「目」字状の衝撃吸収部材の厚みt1’、t2’、t3’の寸法をt1、t2、t3と同じ、H’の寸法をHと同じとすると共に、L’の寸法をLの2倍に設定したもの(以下、比較従来材という)についても同様の試験により荷重・変位線図からエネルギー吸収量をそれぞれ求めた。本例においては、正面板、背面板、連結板の厚みはいずれも同じであり、t1=t2=t3、t1’=t2’=t3’である。よって、後述の表1においては、便宜上t1、t2、t3をまとめてtで示し、t1’、t2’、t3’をまとめてt’で示す。
【0050】
代表例として、実施例の試験材E2とその比較従来材、比較例の試験材C1とその比較従来材、並びに比較例の試験材C2とその比較従来材について、図9〜図11にそれぞれ荷重・変位線図を示す。これらの図は、横軸に変位(mm)、縦軸に荷重(kN,20mm幅)を取ったものである。図9において、試験材E2の比較従来材は符号CE2として示し、図10において、試験材C1の比較従来材は符号CC1として示し、図11において、試験材C2の比較従来材は符号CC2として示す。
【0051】
上述の評価結果を表2に示す。なお、エネルギー吸収量(kN・mm)は、ストローク(変位量)1mmまでの値である。
【0052】
【表2】
【0053】
表1及び表2から知られるように、本発明の範囲内にある試験材E1〜E3は、すべて座屈形態がL方向の対称軸について対称(図7参照)であり、かつ、比較従来材に比べて良好なエネルギー吸収性能を有することがわかった。
一方、比較例の試験材C1は、座屈形態はL方向の対称軸についてほぼ対称な形態を示したものの、H/L=0.50であって下限を外れているため、比較従来材と比べて、荷重・変位線図に有意な差がなく、エネルギー吸収性能の十分な向上効果が得られなかった。
【0054】
また、比較例の試験材C2は、H/L=1.50であって上限を外れ、Lに対してHが大きすぎるため、座屈形態がL方向の対称軸に対して非対称(図8参照)となった。このような非対称の座屈形態が容易に生じたことにより、エネルギー吸収量(耐荷重)の絶対値が低下して十分なエネルギー吸収性能が得られなかった。ただし、比較従来材も耐荷重の絶対値が低く、結果的には形状的な効果によってエネルギー吸収量比は適正な値となった。
総合的な評価としては、座屈形態が適正(○)で耐荷重の絶対値が比較的高く、かつ、エネルギー吸収量比が適正(○)で従来形状よりも十分な向上効果が得られること、つまり、座屈形態とエネルギー吸収量比の両方が適正であることが必要である。
【0055】
(実施例3)
本例は、実施例2の結果を補完するために、さらに、Hが20〜100mmの範囲内であることを前提とし、上記L、Hの値を後述の表3に示すように変更した試料31〜41を準備し、上記と同様の圧縮試験を行った。
試料31〜41においては、正面板、背面板、及び連結板4の厚みt1、t2、t3は、いずれも2mmである。
【0056】
試料31においては、上記Lが25mm、上記Hが30mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=5.20mm、a2=11.80mm、b1=19.59mm、b2=17.91mmとしてある。したがって、A1点:−×α×H+β×L、A2点:α×H+β×L、B1点:γ×H+δ×L、B2点:−γ×H+δ×Lという式に基づくと、試料31においては、α=0.11、β=0.34、γ=0.028,δ=0.75となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0057】
また、試料32においては、上記Lが25mm、上記Hが40mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=4.10mm、a2=12.90mm、b1=19.87mm、b2=17.63mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料32においては、α=0.11、β=0.34、γ=0.028、δ=0.75となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0058】
また、試料33においては、上記Lが40mm、上記Hが20mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=8.40mm、a2=11.60mm、b1=26.44mm、b2=25.56mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料33においては、α=0.08、β=0.25、γ=0.022、δ=0.65となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する
【0059】
また、試料34においては、上記Lが40mm、上記Hが30mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=12.00mm、a2=19.20mm、b1=32.90mm、b2=31.10mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料34においては、α=0.12、β=0.39、γ=0.030、δ=0.80となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0060】
また、試料35においては、上記Lが40mm、上記Hが50mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=8.40mm、a2=20.40mm、b1=35.50mm、b2=32.50mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料35においては、α=0.12、β=0.36、γ=0.030、δ=0.85となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0061】
また、試料36においては、上記Lが40mm、上記Hが60mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=9.00mm、a2=19.80mm、b1=33.44mm、b2=30.56mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料36においては、α=0.09、β=0.36、γ=0.024、δ=0.80となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0062】
また、試料37においては、上記Lが100mm、上記Hが50mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=21.50mm、a2=28.50mm、b1=66.00mm、b2=64.00mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料37においては、α=0.07、β=0.25、γ=0.020、δ=0.65となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0063】
また、試料38においては、上記Lが100mm、上記Hが60mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=35.40mm、a2=42.60mm、b1=81.08mm、b2=78.92mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料38においては、α=0.06、β=0.39、γ=0.018、δ=0.80となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0064】
また、試料39においては、上記Lが100mm、上記Hが95mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=22.40mm、a2=37.60mm、b1=67.09mm、b2=62.91mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料39においては、α=0.08、β=0.30、γ=0.022、δ=0.65となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0065】
また、試料40においては、上記Lが140mm、上記Hが90mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=30.20mm、a2=48.20mm、b1=93.34mm、b2=88.66mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料40においては、α=0.10、β=0.28、γ=0.026、δ=0.65となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0066】
また、試料41においては、上記Lが150mm、上記Hが85mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=36.95mm、a2=59.05mm、b1=88.19mm、b2=85.81mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料36においては、α=0.13、β=0.32、γ=0.014、δ=0.58となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足しない。
【0067】
そして、実施例2と同様にエネルギー吸収量及びエネルギー吸収量比を測定した。その結果を表3に示す。エネルギー吸収量は、14N・m以上を合格(○)、それ未満を不合格(×)として評価した。
【0068】
【表3】
【0069】
表3の結果から知られるように、H/Lの値が0.60未満の場合には、エネルギー吸収量比が1.05を切る場合が生じ、エネルギー吸収性能の十分な向上効果が得られなかった。さらに、H/Lの値が1.40を超える場合には、エネルギー吸収量の絶対値(耐荷重)が十分に得られなかった。
【符号の説明】
【0070】
1 衝撃吸収部材
2 正面板
3 背面板
4 連結板
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収性能が求められる車両用バンパー装置等に用いられる衝撃吸収部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前方又は後方には、車両の衝突等によって発生する衝撃を可能な限り吸収して、車体への損傷を緩和するための車両用バンパー装置が取り付けられている。そして、車両用バンパー装置には、衝撃吸収部材として、衝撃エネルギーを自身の変形で吸収するバンパーレインフォースメントが適用されている。
【0003】
上記バンパーレインフォースメントは、一般的に、衝撃を受ける側の正面板と、車体側の背面板を互いに距離を隔てて略平行に対向配置し、上記正面板と上記背面板とを連結する複数枚の連結板からなる構造を有しており、断面は、主に、「日」字状又は「目」字状の形状を有している。
そして、正面板に衝撃が加わると、荷重は、正面板から連結板、そして背面板へと伝わり、荷重が増加するにつれて連結板が座屈して車体側に加わる衝撃を緩和するものである。
【0004】
上記バンパーレインフォースメントは、近年、車両の軽量化等の観点から、その材料としてアルミニウム合金材の押出材が使用されるようになりつつある。
また、バンパーレインフォースメントについて、衝撃吸収性を向上させる技術が報告されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、更なる衝撃吸収性の向上や軽量化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−59766号公報
【特許文献2】特開2006−7828号公報
【特許文献3】特許第4004924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板及び背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材であって、
横断面形状において、上記4枚の連結板は、上記正面板の幅方向中央の点を通り該正面板に直交する中心軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、かつ、上記中心軸に関して2枚ずつ線対称に配置されており、
上記正面板及び上記背面板の両端のすべてには、上記連結板との交点部よりも外側に延長された突出部を有しており、
上記正面板の内側面と上記背面板の内側面との間の距離Hと、
上記正面板の幅寸法の半分の長さLとは、
20mm≦H≦100mm、
0.60≦(H/L)≦1.40の関係にあり、
上記中心軸に近い位置に配された上記連結板である内側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をA1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をA2点とし、
上記中心軸から遠い位置に配された上記連結板である外側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をB1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をB2点とした場合、
上記中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離は、上記H及びLとの関係において、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると、以下の関係にあることを特徴とする衝撃吸収部材。
A1点:−×α×H+β×L
A2点:α×H+β×L
B1点:γ×H+δ×L
B2点:−γ×H+δ×L
【発明の効果】
【0008】
本発明の衝撃吸収部材の上記4枚の連結板は、上記のように、横断面形状において(以下、適宜、この記載を省略する)、上記正面板の幅方向中央の点を通り該正面板に直交する中心軸に対して傾斜して配置されている。そのため、衝撃エネルギーの吸収性を向上させることができる。
【0009】
また、上記連結板の傾斜方向を交互に逆転させ、かつ、上記中心軸に関して2枚ずつ線対称に配置することにより、優れた座屈強度及び剛性を得ることができる。
さらに、上記正面板及び上記背面板の両端のすべてに、上記連結板との交点部よりも外側に延長して突出部を形成することにより、上記衝撃吸収部材の座屈強度及び剛性を向上させることができる。
【0010】
特に、本発明においては、上記正面板の内側面と上記背面板の内側面との間の距離Hと、上記正面板の幅寸法の半分の長さLとが、0.60≦(H/L)≦1.40の関係にある。この関係は、実験にも裏付けされた最適な値であり、この関係を維持することにより、実用的な幅寸法範囲において、連結板の座屈形態が幅方向においてほぼ対称となって、衝撃吸収性能を高めることができる。
上記H/Lが0.60未満の場合には、幅寸法に比べて厚み方向の寸法が小さすぎ、実用的な幅寸法範囲においては、衝撃を十分に吸収できるだけの変形量を確保することが困難となる。一方、上記H/Lが1.40を超える場合には、上記連結板が幅方向で対称に座屈せず幅方向の一方に片寄った座屈を生じやすくなるため、衝撃吸収性が悪くなる。
【0011】
さらに、上記Hは、20mm≦H≦100mmの範囲であることが好ましい。
上記Hが20mm未満である場合には、上記連結板の長さが短くなり、衝撃を十分に吸収できるだけの変形量を確保することが困難となる。一方、上記Hが100mmを超える場合には、上記連結板の長さが長くなり、連結板が幅方向において対称に座屈せず幅方向の一方に偏った座屈形態が生じやすくなり、衝撃吸収量(耐荷重)の絶対値が低くなる。
したがって、本発明では、上記20mm≦H≦100mmと0.60≦(H/L)≦1.40の関係を具備することを必須要件としてある。
【0012】
さらに本発明においては、上記中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離が、上記H及びLとの関係において、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると上記特定の関係にある。上記中心軸から上記各交点(A1、A2、B1、B2)までの距離は、衝突面からの入力荷重の伝播をより効率的にする連結板の配置を実験により導き出した最適な値である。かかる関係を満足するため、上記衝撃吸収部材は、特に良好な衝撃吸収性を示すことができる。
【0013】
α<0.05の場合には、上記内側連結板と上記正面板とがなす鋭角(θ)及び上記内側連結板と上記背面板とがなす鋭角(θ)が大きくなり90°に近づきすぎて、上記連結板の座屈方向が制御できなくなり、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。一方、α>0.15の場合には、上記内側連結板と上記正面板とがなす鋭角(θ)及び上記内側連結板と上記背面板とがなす鋭角(θ)が小さくなりすぎて、この場合にもやはり、強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。
β<0.24の場合には、上記衝撃吸収部材の横断面形状において、上記内側連結板の位置が幅方向において中心軸側に寄りすぎて、上記正面板及び上記背面板に付与される垂直力を受ける範囲が狭くなる。そのためこの場合には、上記衝撃吸収部材の強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。一方、β>0.40の場合には、上記衝撃吸収部材の横断面形状において、上記内側連結板の位置が幅方向において中心軸と反対側(外側)に偏りすぎて、この場合にもやはり、上記衝撃吸収部材の強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。
【0014】
γ<0.018の場合には、上記外側連結板と上記正面板とがなす鋭角(φ)及び上記外側連結板と上記背面板とがなす鋭角(φ)が大きくなり90°に近づきすぎて、上記連結板の座屈方向が制御できなくなり、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。一方、γ>0.034の場合には、上記外側連結板と上記正面板とがなす鋭角(φ)及び上記外側連結板と上記背面板とがなす鋭角(φ)が小さくなりすぎて、この場合にもやはり、強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。
δ<0.60の場合には、上記衝撃吸収部材の横断面形状において、上記外側連結板の位置が幅方向において中心軸側に寄りすぎて、上記正面板及び上記背面板に付与される垂直力を受ける範囲が狭くなる。そのためこの場合には、上記衝撃吸収部材の強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。一方、δ>0.88の場合には、上記衝撃吸収部材の横断面形状において、上記外側連結板の位置が幅方向において中心軸と反対側(外側)に偏りすぎて、上記外側連結板が上記中心軸より外側に倒れることを防ぐ回転モーメントが低下する。そのため、上記衝撃吸収部材の強度が低下し、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。
【0015】
このように、上記衝撃吸収部材は、衝撃吸収性に優れているため、外形寸法を小さくしても、一般的な断面「目」字状の衝撃吸収部材と同等の性能を有することができる。また、同じ大きさのものでも、肉厚を薄くしても、一般的な断面「目」字状の衝撃吸収部材と同等の性能を得ることができる。つまり、衝撃吸収部材の薄肉化、小型化で軽量化を図ることができる。
【0016】
以上のように、本発明によれば、より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における、衝撃吸収部材を示す断面図。
【図2】実施例1における、衝撃吸収部材を示す説明図。
【図3】比較例1における、衝撃吸収部材を示す断面図。
【図4】実験例1における、3点曲げ試験の方法を示す説明図。
【図5】実験例1における、3点曲げ試験の結果を示す説明図。
【図6】実施例2における、圧縮試験に用いるプレス装置の構成を示す説明図。
【図7】実施例2における、適正な座屈形態を示す説明図。
【図8】実施例2における、不適正な座屈形態を示す説明図。
【図9】実施例2における、実施例の試験材E2とその比較従来材CE2の荷重・変位線図。
【図10】実施例2における、比較例の試験材C1とその比較従来材CC1の荷重・変位線図。
【図11】実施例2における、比較例の試験材C2とその比較従来材CC2の荷重・変位線図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の衝撃吸収部材は、上述したように、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板及び背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材である。
上記衝撃吸収部材を構成する上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金、鉄合金、マグネシウム合金等の金属材料、あるいは樹脂材料等、いずれの材料からなるものであってもよい。
その中でも、軽量化の観点から、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金よりなることが好ましい(請求項3)。また、アルミニウム合金の中でも、特に、強度特性に優れた6000系、7000系等のアルミニウム合金よりなることが好ましい。
また、上記衝撃吸収部材は、押出成形により得ることが好ましいが、溶接、鋳造、鍛造等、その他の加工方法を用いて作製されてもよい。
【0019】
また、上記4枚の連結板は、上記正面板の幅方向中央の点を通り該正面板に直交する中心軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、かつ、上記中心軸に関して2枚ずつ線対称に配置されている。
つまり、上記4枚の連結板を、一方の端の連結板から順に第1連結板〜第4連結板とすると、上記第1連結板と上記第3連結板の傾斜方向は同じであり、上記第2連結板と第4連結板の傾斜方向は同一である。
また、上記第1連結板と上記第4連結板とは、上記中心軸に関して線対称に配置され、傾斜方向は逆であるが傾斜角度は同じである。また、上記第2連結板と上記第3連結板とは、横断面形状において、上記中心軸に関して線対称に配置され、傾斜方向は逆であるが傾斜角度は同じである。
【0020】
また、上記衝撃吸収部材は、横断面において、上記第1連結板、正面板、第2連結板、及び背面板により台形が形成されるが、その台形を構成する上記正面板の辺が、上記背面板の辺よりも長くなるように連結板を配置することが好ましい。
【0021】
上記衝撃吸収部材においては、上記中心軸に近い位置に配された上記連結板である内側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をA1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をA2点とし、
上記中心軸から遠い位置に配された上記連結板である外側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をB1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をB2点とした場合、
上記中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離は、上記H及びLとの関係において、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると、以下の関係にある。
A1点:−×α×H+β×L
A2点:α×H+β×L
B1点:γ×H+δ×L
B2点:−γ×H+δ×L
上記中心軸から上記各交点までの距離の取り得る範囲は、加工精度の許容値として、押出材の場合、JIS H4100の断面寸法の許容差(普通級)に納まれば全く問題がない。
【0022】
上記関係式を満足する位置に、上記A1点、A2点、B1点、及びB2点を定めると、上記内側連結板と上記正面板及び上記背面板とがなす鋭角θ(°)、及び上記外側連結板と上記正面板及び上記背面板とがなす鋭角φ(°)を、73≦θ≦85、86≦φ≦88という範囲内にすることができる(図1参照)。さらに、上記中心軸から上記A1点までの距離をa1(mm)、上記中心軸から上記B1点までの距離をb1(mm)とすると、上記衝撃吸収部材の横断面形状における幅寸法の半分の長さLとの関係において、0.15×L≦a1≦0.38×L、0.60×L≦b1≦0.90×Lという関係を満足させることができる(図1参照)。これにより、上記衝撃吸収部材の強度及び衝撃吸収性能を向上させることができる。
【0023】
また、上記Lは、上述のH及びH/Lの範囲によって決定される範囲にすることが好ましい。
この場合には、車両用の衝撃吸収部材として、随所に適用可能となる。例えば、適用対象としてドアインパクトバーやバンパーレインフォースメント等はもちろん、トラックのあおりにも適用することができる。
【0024】
上記Lが小さすぎる場合には、高強度アルミニウム合金の押出加工等の加工が困難になるおそれがある。一方、上記Lが大きすぎる場合には、押出加工等の製造可能範囲を超えるおそれがあり、たとえ加工後に溶接等により接合して得ることができたとしてもコスト上不利である。それ故、より好ましくは20mm≦L≦125mmの範囲がよい。
【0025】
また、上記正面板の厚みt1は1mm≦t1≦6mm、上記背面板の厚みt2は1mm≦t2≦6mm、及び上記連結板の厚みt3は1mm≦t3≦6mmであることが好ましい(請求項2)。
上記衝撃吸収部材は、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板を1mm〜6mmの厚さとしても、充分な強度を得ることができる。
【0026】
上記厚みt1、t2、及びt3が1mm未満の場合には、押出性が悪く、製品を作製するのが難しくなる。一方、上記厚みt1、t2、及びt3が6mmを超える場合には、衝撃吸収部材の重量が増し、本発明の効果である軽量化に結びつかなくなるおそれがある。それ故、より好ましくは1mm≦t1、t2、t3≦3mmの範囲がよい。
また、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板の厚みは、全て等しくてもよいが、それぞれ異なっていてもよい。また、上記4枚の連結板についても、連結板同士で、厚みが全て等しくてもよいが、それぞれ異なっていてもよい。
【0027】
また、上記衝撃吸収部材は、車両用バンパー装置に組み込まれるバンパーレインフォースメント用であることが好ましい(請求項4)。
上記衝撃吸収部材は、アルミニウム合金からなる場合にも、充分な強度を有することができるため、軽量化の求められている車両用バンパー装置に好適に用いることができる。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
本例は、本発明の実施例にかかる衝撃吸収部材について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、本例の衝撃吸収部材1は、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板2及び背面板3と、上記正面板2と上記背面板3との間に配置され両者を連結する4枚の連結板4とよりなる。そして、横断面形状において、上記4枚の連結板4は、上記正面板2の幅方向中央の点を通り該正面板2に直交する中心軸Oに対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、かつ、上記中心軸Oに関して2枚ずつ線対称に配置されている。また、上記正面板2及び上記背面板3の両端のすべてには、上記連結板4との交点部よりも外側に延長された突出部5を有している。そして、衝撃吸収部材1は、図2に示すように、図1の紙面と直交する方向を長手方向とする長尺材として作製される。本例において長手方向の長さは1700mmである。
【0029】
具体的には、上記正面板2、上記背面板3、及び上記連結板4は、アルミニウム合金(材質、質別:6N01−T5、耐力:220MPa)よりなる。
また、上記正面板2、上記背面板3、及び上記連結板4の厚みt1、t2、t3は、いずれも2mmである。
【0030】
そして、上記中心軸Oに近い位置に配された上記連結板4である内側連結板41の厚さ方向における中心線と、上記正面板2の内側面の延長線との交点をA1点とし、内側連結板41の厚さ方向における中心線と、上記背面板3の内側面の延長線との交点をA2点とした。
中心軸Oから上記A1点までの距離a1は、13.80mmとした。また、上記中心軸Oから上記A2点までの距離a2は、27.00mmとした。
【0031】
また、上記中心軸Oから遠い位置に配された上記連結板4である外側連結板42の厚さ方向の中心線と、上記正面板2の内側面の延長線との交点をB1点とし、外側連結板42の厚さ方向の中心線と、上記背面板3の内側面の延長線との交点をB2点とした。
上記中心軸Oから上記B1点までの距離b1は46.79mmとした。また、上記中心軸Oから上記B2点までの距離b2は43.79mmとした。
【0032】
上記正面板2の内側面と上記背面板3の内側面との間の距離Hは60mmである。また、上記正面板2の幅寸法の半分の長さLは60mmである。つまり、(H/L)=1.00である。
そして、上記中心軸Oから上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離は、上記H及びLとの関係において、A1点:−×α×H+β×L、A2点:α×H+β×L、B1点:γ×H+δ×L、B2点:−γ×H+δ×Lという関係にあり、本例においてはα=0.11、β=0.34、γ=0.025、δ=0.755であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0033】
(比較例1)
本例は、本発明の比較として、図3に示す、一般的な衝撃吸収部材9を用意した。
本例の衝撃吸収部材9は、図3に示すように、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板91及び背面板92と、上記正面板91と背面板92とを連結する4枚の連結板93からなり、断面が「目」字状となっている。
【0034】
具体的には、上記正面板91、上記背面板92、及び上記連結板93は、アルミニウム合金(材質、質別:6N01−T5、耐力:220MPa)よりなる。
また、上記正面板91、上記背面板92、及び上記連結板93の厚みt’は、2mmである。
【0035】
また、上記正面板91の内側面と上記背面板92の内側面との間の距離H’は60mmである。また、上記正面板91の幅寸法の長さL’は120mmである。
そして、上記正面板91の幅方向中央の点を通り該正面板91に直交する中心軸O’に近い位置に配された上記連結板93の中心線と、上記背面板92の内側面の延長線との交点をP点とした。中心軸O’から上記P点までの距離pは、25mmとした。
【0036】
(実験例1)
本例では、上記実施例1の衝撃吸収部材1、及び上記比較例1の衝撃吸収部材9について、荷重を負荷する試験を行い、衝撃吸収性の評価を行った。これを、図4、図5を用いて説明する。
【0037】
まず、図4に示すように、正面板2(91)を外側、背面板3(92)を内側に配して、長手方向に沿って内R=3000mmに曲げた衝撃吸収部材1(9)を、支持台6(幅=200mm)を用いてスパンS=800mmで支持し、外R側(正面板2側)に平板7を介して荷重Fを負荷する試験を行った。荷重は、試験機のロードセルにより連続測定した。スパン中央の内R側の点Qに変位計を取り付けて、変位を連続測定した。
【0038】
その結果を、図5において、荷重・変位線図に示す。図5は、縦軸に荷重(N:ニュートン)、横軸に変位(mm)をとった。図5において、実線Xは実施例1の衝撃吸収部材の結果を示し、破線Yは比較例1の衝撃吸収部材の結果を示す。
【0039】
図5より知られるように、実施例1の衝撃吸収部材は、比較例1の衝撃吸収部材と比較すると、同一荷重では、変位を小さくすることができる。一方、同一変位では、高荷重に耐えることができる。つまり、実施例1の衝撃吸収部材は、比較例1の衝撃吸収部材よりも衝撃吸収性が優れている。
そのため、本発明の構成を適用すると、一般の断面「目」字状の衝撃吸収部材と同程度の性能を確保しようとする場合に、薄肉化や小型化により、軽量化が可能となる。また、本発明の構成を、一般の断面「目」字状の衝撃吸収部材と同程度の大きさや、板厚で適用する場合には、より高い衝撃吸収性を有することができる。
このように、本発明によれば、より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供することができることがわかる。
【0040】
(実施例2)
本例では、実施例1と同様の断面形状を有する衝撃吸収部材について、さらに、上記距離Hと上記長さLの値を後述の表1に示すように変更した複数の試験材を作製し、圧縮試験を実施して、その座屈形態とエネルギー吸収量比を測定して評価した。
準備した試験材は、本発明の実施例としての3種類の試験材E1〜E3と、比較例としての2種類の試験材C1、C2である。これらの試験材の材質、質別及び耐力は、いずれも同じとし、材質は6N01、質別はT5、耐力は220MPaである。これらの寸法関係については、表1に示す。試験材の長さ(断面の奥行き方向長さ)はいずれも20mmとした。
【0041】
また、試料C1においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=8.10mm、a2=18.30mm、b1=32.73mm、b2=32.07mmとしてある。したがって、A1点:−×α×H+β×L、A2点:α×H+β×L、B1点:γ×H+δ×L、B2点:−γ×H+δ×Lという式に基づくと、試料C1においては、α=0.17、β=0.22、γ=0.011、δ=0.54となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足しない。
【0042】
また、試料E1においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)をそれぞれa1=10.38mm、a2=19.63mm、b1=40.18mm、b2=37.82mmとしてあり、上述の式に基づくと、試料E1においては、α=0.11、β=0.25、γ=0.028、δ=0.65であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0043】
また、試料E2においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)をそれぞれa1=14.40mm、a2=26.40mm、b1=46.56mm、b2=43.44mmとしてある。上述の式に基づくと、試料E2においては、α=0.1、β=0.34、γ=0.026、δ=0.75であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0044】
また、試料E3においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)をそれぞれa1=14.58mm、a2=28.63mm、b1=43.87mm、b2=40.13mmとしてあり、上述の式に基づくと、試料E3においては、α=0.09、β=0.36、γ=0.024、δ=0.70であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0045】
また、試料C2においては、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)をそれぞれ22.80mm、26.40mm、54.30mm、52.50mmとしてあり、上述の式に基づくと、試料C2においては、α=0.02、β=0.41、γ=0.010、δ=0.89であり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足しない。
【0046】
【表1】
【0047】
圧縮試験は、図6に示すごとく、プレス装置8を用いて行った。プレス装置8は、同図に示すごとく、載置台81に対して昇降部82が昇降するよう構成されており、両者の間に生ずる荷重は図示しないロードセルによって測定できるようになっている。本例では、同図に示すごとく、載置台81と昇降部82との間に衝撃吸収部材1を挟み込んで両者で徐々に圧縮する圧縮試験を行った。
【0048】
評価方法は次のようにした。
<座屈形態>
座屈形態は、図7に示すごとく、発生する座屈形態、すなわち連結板の変形形態が、L方向の対称軸(正面板2の幅方向中央の点を通り該正面板2に直交する中心軸O)に関して、ほぼ対称である場合を適正(○)とした。図8に示すごとく、発生する座屈形態が、L方向の対称軸(正面板2の幅方向中央の点を通り該正面板2に直交する中心軸O)に関して、対称ではなく一方に偏った非対称の場合を不適正(×)とした。
【0049】
<エネルギー吸収量比>
エネルギー吸収性能を評価するため、実施例及び比較例の試験材について得られた荷重・変位線図からエネルギー吸収量(N・m)をそれぞれ求めた。エネルギー吸収比は、1.05以上が良好となる。
また、比較のために、各試験材と同等のサイズ、つまり、前述した図3に示す「目」字状の衝撃吸収部材の厚みt1’、t2’、t3’の寸法をt1、t2、t3と同じ、H’の寸法をHと同じとすると共に、L’の寸法をLの2倍に設定したもの(以下、比較従来材という)についても同様の試験により荷重・変位線図からエネルギー吸収量をそれぞれ求めた。本例においては、正面板、背面板、連結板の厚みはいずれも同じであり、t1=t2=t3、t1’=t2’=t3’である。よって、後述の表1においては、便宜上t1、t2、t3をまとめてtで示し、t1’、t2’、t3’をまとめてt’で示す。
【0050】
代表例として、実施例の試験材E2とその比較従来材、比較例の試験材C1とその比較従来材、並びに比較例の試験材C2とその比較従来材について、図9〜図11にそれぞれ荷重・変位線図を示す。これらの図は、横軸に変位(mm)、縦軸に荷重(kN,20mm幅)を取ったものである。図9において、試験材E2の比較従来材は符号CE2として示し、図10において、試験材C1の比較従来材は符号CC1として示し、図11において、試験材C2の比較従来材は符号CC2として示す。
【0051】
上述の評価結果を表2に示す。なお、エネルギー吸収量(kN・mm)は、ストローク(変位量)1mmまでの値である。
【0052】
【表2】
【0053】
表1及び表2から知られるように、本発明の範囲内にある試験材E1〜E3は、すべて座屈形態がL方向の対称軸について対称(図7参照)であり、かつ、比較従来材に比べて良好なエネルギー吸収性能を有することがわかった。
一方、比較例の試験材C1は、座屈形態はL方向の対称軸についてほぼ対称な形態を示したものの、H/L=0.50であって下限を外れているため、比較従来材と比べて、荷重・変位線図に有意な差がなく、エネルギー吸収性能の十分な向上効果が得られなかった。
【0054】
また、比較例の試験材C2は、H/L=1.50であって上限を外れ、Lに対してHが大きすぎるため、座屈形態がL方向の対称軸に対して非対称(図8参照)となった。このような非対称の座屈形態が容易に生じたことにより、エネルギー吸収量(耐荷重)の絶対値が低下して十分なエネルギー吸収性能が得られなかった。ただし、比較従来材も耐荷重の絶対値が低く、結果的には形状的な効果によってエネルギー吸収量比は適正な値となった。
総合的な評価としては、座屈形態が適正(○)で耐荷重の絶対値が比較的高く、かつ、エネルギー吸収量比が適正(○)で従来形状よりも十分な向上効果が得られること、つまり、座屈形態とエネルギー吸収量比の両方が適正であることが必要である。
【0055】
(実施例3)
本例は、実施例2の結果を補完するために、さらに、Hが20〜100mmの範囲内であることを前提とし、上記L、Hの値を後述の表3に示すように変更した試料31〜41を準備し、上記と同様の圧縮試験を行った。
試料31〜41においては、正面板、背面板、及び連結板4の厚みt1、t2、t3は、いずれも2mmである。
【0056】
試料31においては、上記Lが25mm、上記Hが30mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=5.20mm、a2=11.80mm、b1=19.59mm、b2=17.91mmとしてある。したがって、A1点:−×α×H+β×L、A2点:α×H+β×L、B1点:γ×H+δ×L、B2点:−γ×H+δ×Lという式に基づくと、試料31においては、α=0.11、β=0.34、γ=0.028,δ=0.75となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0057】
また、試料32においては、上記Lが25mm、上記Hが40mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=4.10mm、a2=12.90mm、b1=19.87mm、b2=17.63mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料32においては、α=0.11、β=0.34、γ=0.028、δ=0.75となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0058】
また、試料33においては、上記Lが40mm、上記Hが20mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=8.40mm、a2=11.60mm、b1=26.44mm、b2=25.56mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料33においては、α=0.08、β=0.25、γ=0.022、δ=0.65となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する
【0059】
また、試料34においては、上記Lが40mm、上記Hが30mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=12.00mm、a2=19.20mm、b1=32.90mm、b2=31.10mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料34においては、α=0.12、β=0.39、γ=0.030、δ=0.80となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0060】
また、試料35においては、上記Lが40mm、上記Hが50mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=8.40mm、a2=20.40mm、b1=35.50mm、b2=32.50mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料35においては、α=0.12、β=0.36、γ=0.030、δ=0.85となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0061】
また、試料36においては、上記Lが40mm、上記Hが60mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=9.00mm、a2=19.80mm、b1=33.44mm、b2=30.56mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料36においては、α=0.09、β=0.36、γ=0.024、δ=0.80となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0062】
また、試料37においては、上記Lが100mm、上記Hが50mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=21.50mm、a2=28.50mm、b1=66.00mm、b2=64.00mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料37においては、α=0.07、β=0.25、γ=0.020、δ=0.65となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0063】
また、試料38においては、上記Lが100mm、上記Hが60mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=35.40mm、a2=42.60mm、b1=81.08mm、b2=78.92mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料38においては、α=0.06、β=0.39、γ=0.018、δ=0.80となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0064】
また、試料39においては、上記Lが100mm、上記Hが95mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=22.40mm、a2=37.60mm、b1=67.09mm、b2=62.91mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料39においては、α=0.08、β=0.30、γ=0.022、δ=0.65となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0065】
また、試料40においては、上記Lが140mm、上記Hが90mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=30.20mm、a2=48.20mm、b1=93.34mm、b2=88.66mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料40においては、α=0.10、β=0.28、γ=0.026、δ=0.65となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足する。
【0066】
また、試料41においては、上記Lが150mm、上記Hが85mmであり、中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離(a1、a2、b1、b2)を、それぞれa1=36.95mm、a2=59.05mm、b1=88.19mm、b2=85.81mmとしてある。したがって、上述の式に基づくと、試料36においては、α=0.13、β=0.32、γ=0.014、δ=0.58となり、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88を満足しない。
【0067】
そして、実施例2と同様にエネルギー吸収量及びエネルギー吸収量比を測定した。その結果を表3に示す。エネルギー吸収量は、14N・m以上を合格(○)、それ未満を不合格(×)として評価した。
【0068】
【表3】
【0069】
表3の結果から知られるように、H/Lの値が0.60未満の場合には、エネルギー吸収量比が1.05を切る場合が生じ、エネルギー吸収性能の十分な向上効果が得られなかった。さらに、H/Lの値が1.40を超える場合には、エネルギー吸収量の絶対値(耐荷重)が十分に得られなかった。
【符号の説明】
【0070】
1 衝撃吸収部材
2 正面板
3 背面板
4 連結板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板及び背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材であって、
横断面形状において、上記4枚の連結板は、上記正面板の幅方向中央の点を通り該正面板に直交する中心軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、かつ、上記中心軸に関して2枚ずつ線対称に配置されており、
上記正面板及び上記背面板の両端のすべてには、上記連結板との交点部よりも外側に延長された突出部を有しており、
上記正面板の内側面と上記背面板の内側面との間の距離Hと、
上記正面板の幅寸法の半分の長さLとは、
20mm≦H≦100mm、
0.60≦(H/L)≦1.40の関係にあり、
上記中心軸に近い位置に配された上記連結板である内側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をA1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をA2点とし、
上記中心軸から遠い位置に配された上記連結板である外側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をB1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をB2点とした場合、
上記中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離は、上記H及びLとの関係において、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると、以下の関係にあることを特徴とする衝撃吸収部材。
A1点:−×α×H+β×L
A2点:α×H+β×L
B1点:γ×H+δ×L
B2点:−γ×H+δ×L
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板の厚みt1は1mm≦t1≦6mm、上記背面板の厚みt2は1mm≦t2≦6mm、及び上記連結板の厚みt3は1mm≦t3≦6mmであることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金よりなることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃吸収部材は、車両用バンパー装置に組み込まれるバンパーレインフォースメント用であることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項1】
互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板及び背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材であって、
横断面形状において、上記4枚の連結板は、上記正面板の幅方向中央の点を通り該正面板に直交する中心軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、かつ、上記中心軸に関して2枚ずつ線対称に配置されており、
上記正面板及び上記背面板の両端のすべてには、上記連結板との交点部よりも外側に延長された突出部を有しており、
上記正面板の内側面と上記背面板の内側面との間の距離Hと、
上記正面板の幅寸法の半分の長さLとは、
20mm≦H≦100mm、
0.60≦(H/L)≦1.40の関係にあり、
上記中心軸に近い位置に配された上記連結板である内側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をA1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をA2点とし、
上記中心軸から遠い位置に配された上記連結板である外側連結板の厚さ方向における中心線と、上記正面板の内側面の延長線との交点をB1点、上記背面板の内側面の延長線との交点をB2点とした場合、
上記中心軸から上記A1点、A2点、B1点、及びB2点までの距離は、上記H及びLとの関係において、0.05≦α≦0.15、0.24≦β≦0.40、0.018≦γ≦0.034、0.60≦δ≦0.88とすると、以下の関係にあることを特徴とする衝撃吸収部材。
A1点:−×α×H+β×L
A2点:α×H+β×L
B1点:γ×H+δ×L
B2点:−γ×H+δ×L
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板の厚みt1は1mm≦t1≦6mm、上記背面板の厚みt2は1mm≦t2≦6mm、及び上記連結板の厚みt3は1mm≦t3≦6mmであることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金よりなることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃吸収部材は、車両用バンパー装置に組み込まれるバンパーレインフォースメント用であることを特徴とする衝撃吸収部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−152860(P2011−152860A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15775(P2010−15775)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】
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