衣類
【課題】体に密着して着用する衣類であって、着用者の体型の補整や姿勢の矯正を行ったり運動機能を向上させるための緊締部の緊締力や形状に関する設計上の自由度を改善した衣類を提供する。
【解決手段】 体に密着する衣類であって、帯状の緊締部32a、bを有し、緊締部32a、bは、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部321a、bと緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部322a、bからなり、緊締部32a、bにおいては、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部321a、bと弱い緊締部322a、bに渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための糸の編組織は、強い緊締部321a、bではルーピング組織を弱い緊締部322a、bよりも多く含み、弱い緊締部322a、bでは挿入組織を強い緊締部321a、bよりも多く含む。
【解決手段】 体に密着する衣類であって、帯状の緊締部32a、bを有し、緊締部32a、bは、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部321a、bと緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部322a、bからなり、緊締部32a、bにおいては、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部321a、bと弱い緊締部322a、bに渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための糸の編組織は、強い緊締部321a、bではルーピング組織を弱い緊締部322a、bよりも多く含み、弱い緊締部322a、bでは挿入組織を強い緊締部321a、bよりも多く含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類、特に体に密着して着用する衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガードル、ボディスーツ、ブラジャー、水着、ショーツなどの体に密着して着用する衣類の所定箇所に緊締部を形成し、その緊締力によって、着用者の体型の補整や姿勢の矯正を行ったり、運動機能を向上させることなどがなされてきた。このような緊締部を衣類に形成するためには、緊締力を強くしたい部分に当て布を貼り付けることや編み込まれる弾性糸の太さを太くすること等が採用されてきた。しかし、当て布を貼り付けた場合、緊締部では当て布の厚さ分だけ生地の厚さが増すことになり好ましくない。また、編み込まれる弾性糸の太さを大きくすることで緊締部を形成する場合、緊締力の相違する部分の境界は、弾性糸の編み込まれる方向のみとなり、所望形状の緊締部を得ることができなかった。
【0003】
そのため、特許文献1に記載のものでは、生地の編組織として、緊締力を強くしたい部分をサテン調組織とし、他の部分をメッシュ調組織として、当て布を用いることなく、所望形状の緊締部を得るようにしている。
【特許文献1】特許第3461316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術においては、得られる緊締力の大小の差は、編組織の種類の相違に基づくものであることから、当て布を使用した場合の、当て布のある箇所と無い箇所のような緊締力の大きな差を得ることはできない。また、それぞれの編地の編組織による緊締力の差を確保するためには、編組織の採用の自由度が低下することになる。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、当て布を用いることなく、所望形状の緊締部を得ることができ、強い緊締力を得たい部分と他の部分との緊締力の十分な差を得ることができ、また、編地の基礎となる地組織の採用に当たっても制限の少ない衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の衣類は、体に密着する衣類であって、帯状の緊締部を有し、緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部と弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための糸の編組織は、強い緊締部ではルーピング組織を弱い緊締部よりも多く含み、弱い緊締部では挿入組織を強い緊締部よりも多く含むものである。
【0006】
この衣類によれば、緊締力を強めるための糸が、帯状の緊締部において連続的に地組織に編み込まれ、主としてルーピング組織によって強い緊締部を形成し、主として挿入組織によって弱い緊締部を形成する。そのため、強い緊締部は、編地の適宜の位置に所望形状に形成され、緊締部以外の部分や弱い緊締部との緊締力の差も十分に取ることができる。
【0007】
また、本発明の衣類は、体に密着する衣類であって、帯状の緊締部を有し、緊締部及び緊締部に隣接する少なくとも一部の生地本体部は、共通の地組織で構成され、緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部と弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための糸の編組織は、強い緊締部ではルーピング組織を弱い緊締部よりも多く含み、弱い緊締部では挿入組織を強い緊締部よりも多く含むものである。
【0008】
その場合、本発明の衣類は、緊締力を強めるための糸が、帯状の緊締部において連続的に地組織に編み込まれ、主としてルーピング組織によって強い緊締部を形成し、主として挿入組織によって弱い緊締部を形成する。そのため、強い緊締部は、編地の適宜の位置に所望形状に形成され、緊締部以外の部分や弱い緊締部との緊締力の差も十分に取ることができるとともに、地組織は緊締部と緊締部に隣接する生地本体部で共通の組織とすることができる。
【0009】
また、本発明の衣類は、体に密着する衣類であって、帯状の緊締部を有し、生地本体部は、緊締力の異なる地組織からそれぞれ形成される複数の編地部分から構成されていて、複数の編地部分の境界線と帯状の緊締部とは交差しており、緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部と弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための糸の編組織は、強い緊締部ではルーピング組織を弱い緊締部よりも多く含み、弱い緊締部では挿入組織を強い緊締部よりも多く含み、複数の編地部分のうちの緊締力の相対的に強い編地部分と強い緊締部との少なくとも一部が重なっているものである。
【0010】
その場合、本発明の衣類は、緊締力を強めるための糸が、帯状の緊締部において連続的に地組織に編み込まれ、主としてルーピング組織によって強い緊締部を形成し、主として挿入組織によって弱い緊締部を形成する。そのため、強い緊締部は、編地の適宜の位置に所望形状に形成され、緊締部以外の部分や弱い緊締部との緊締力の差も十分に取ることができる。さらに、生地本体部についても緊締力の異なる地組織からそれぞれ形成される複数の編地部分から構成されており、強い緊締力の編地部分と強い緊締部とが重なる部分は、両者の緊締力によって強い緊締力を得ることが可能になる。
【0011】
また、強い緊締部は、弱い緊締部の長手方向と傾斜する部分を有するものである場合は、緊締部全体が同一円周状のリングとならず、特に強い緊締部での圧迫感を緩和することができる。
【0012】
なお、本明細書でいう体に密着する衣類とは、体の表面に直接に接して密着する場合に限らず、他の下着類を介して体に密着する場合も含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、体に密着して着用する衣類であって、着用者の体型の補整や姿勢の矯正を行ったり運動機能を向上させるための緊締部の緊締力や形状に関する設計上の自由度を改善した衣類を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明による衣類の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。図1は、本発明による体に密着して着用する衣類の一例としてのガードル1を前方側から見た斜視図である。
【0015】
ガードル1の左右の身頃2には、それぞれ、大腿部に相当する箇所に、2本の横方向に伸びる帯状の緊締部32a、32bが形成されている。これらの緊締部32a、32bのうち実線で囲みハッチングを施した部分は、次に述べる弱い緊締部322a、322bに対して相対的に緊締力の強い部分であり、強い緊締部321a、321bと称することにする。この強い緊締部321a、321bの左右に延びる実線のみでハッチングの無い部分は、強い緊締部321a、321bに対して相対的に緊締力の弱い部分であって、弱い緊締部322a、322bと称することにする。強い緊締部321aと弱い緊締部322aとは連続した1本の帯状をなしており、同様に、強い緊締部321bと弱い緊締部322bとは連続した1本の帯状をなしている。上方の強い緊締部321aは、その中央部分が弱い緊締部322aの長手方向に傾斜する部分を有するように下方に凸状(上方には凹状)とされ、下方の強い緊締部321bは、その中央部が弱い緊締部322bの長手方向に傾斜する部分を有するように上方に凸状(下方には凹状)とされている。そして、両者が合わさって横長のX字状をなす強い緊締部321a、321bを形成している。
【0016】
この強い緊締部321a、321bは、着用者の大腿部の前方中央部に相当する箇所に位置している。そのため、ガードル1の着用者は、強い緊締部321a、321bの位置する大腿四頭筋を強く緊締、刺激される。またその延長部分には、相対的に弱い緊締力ではあるが生地本体部31よりも大きな緊締力を有する弱い緊締部322a、322bが位置している。そのため、大腿部全体についても十分に緊締された状態となるとともに、特に、大腿部前方中央部の大腿四頭筋を強く緊締されて、歩行に際して、脚を大きく蹴ることができ、美しい体型を保つことができる。また、強い緊締部321a、321bは、弱い緊締部322a、322bの長手方向と傾斜する部分を有するX字状とされているために、同一円周方向に直線状である場合に較べ、着用者は、大腿部をリング状に圧迫されることなく、かつ中心部では2つの強い緊締部321a、321bが集中し、そこから左右上下方向に分散する緊締力を得ることができる。
【0017】
次に、ガードル1の身頃2を構成する生地3について、図2により説明する。図2は、ガードル1の左側の身頃2を作製するための1単位の生地3を示す概念図である。生地3は、矢印Sで示す方向に糸が供給されて編まれた経編地であって、地組織で構成される生地本体部31の一部に2本の帯状の緊締部32a、32bが形成されており、この緊締部32a、32bは、図1で説明したとおりの強い緊締部321a、321bと弱い緊締部322a、322bから構成されている。また、上下の縁には、糸の解れを防止するためのヘム33が形成されている。ガードル1を製作するには、図2に示す生地から左側の身頃2を裁断し、同様に図2のものと左右対称な生地から右側の身頃2を裁断して、これらと腹部布4やクロッチとを縫製する。
【0018】
次に、図2の生地3が8単位を一体として経編機によって得られる状態を図3に示す。それぞれの生地3は、その長辺方向に2単位、短辺方向に4単位が配置されており、各単位の生地3の長辺側の境界には、ヘム33が形成されている。このヘム33の幅方向の中心部の1本の糸を引き抜けば、その糸を境として両側の生地3は、分割されたヘム33を備えて互いに分離できるような編地に編まれている。各単位の生地3の短辺側の境界34では、編組織を後述する地組織から1×1トリコット組織に6コース分だけ変更することで、境界を識別可能に形成している。この8単位が同時に一体的に経編機により編成される。その際の編み方向は矢印Sである。
【0019】
本実施形態における編地の編組織について述べる前に、先ず、編組織と組織図について、図4に基づいて説明する。図4において、黒点は各コースのニードルヘッドの位置を表しており、黒点同士の横方向の間はニードル間部を表す。横方向に並んだ黒点の列は1つのコースを表し、糸が矢印Sの方向に供給されるときに、各コースC1〜Cnにおいてどのような編み方をされるかを1本の糸によって示している。
【0020】
また、編組織は、ルーピング組織と挿入組織の2つに大きく区分される。ルーピング組織とは、糸がガイドバーに案内されてラッピングすることでループを形成する組織のことで、ループが交差して閉じた形の網目を形成する場合は閉じ目と呼ばれ、交差しない開いたループの場合は開き目と呼ばれる。図4における糸Ya〜Ydは、ルーピング組織の例であり、そのうち、糸Ya、Ydは、全てのコースにおいて閉じ目からなるルーピング組織であって、糸Yb、Ycは、全てのコースにおいて開き目からなるルーピング組織である。さらに、糸の編成をニードル間部の位置によって表すために、各糸がガイドバーに案内されて通過する最も右側のニードル間部を0として順に左側に1,2,3・・・の番号を付与して糸の編成を表す(編機の種類によっては、0,2,4,6・・・とする場合もある。)。例えば、糸Yaの場合、C1コースでは、番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、C2のコースでは番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、その後はこの繰り返しであるから、「1、2/1、0//」と表す。この糸Yaの編組織は、1/1トリコット組織又はデンビ組織といわれている。また、糸Yc、Ydの組織は、鎖組織といわれている。
【0021】
挿入組織とは、挿入糸が他の組織に挿入される組織であり、挿入糸自体は網目を形成せず、他の組織の例えばニードルループとシンカーループの間等に横たわったような状態となる。図4の糸Ye、Yfは挿入組織の例である。糸Yeは、隣接する2つのニードル間部のみを交互に移動する挿入組織で、コースC1ではガイドバーが番号1のニードル間部の位置でスイングインし、同じ位置でスイングアウトし、コース2では番号0の位置でスイングインとスイングアウトを行い、後はその繰り返しであるから、「1、1/0、0//」と表す。糸Yfは、さらに1つ分のニードル間部を横方向(コース方向)に振られる挿入組織であり、「2、2/0、0//」で表される。
【0022】
次に、本実施形態の編組織について、図5〜図7によって説明する。なお、本実施形態の編地を得るには、例えばカールマイヤー社製のRSE5EL等の編み機を使用することができる。図5は、生地3の生地本体部31の編組織であるとともに緊締部32a、32bにおける編地の地組織でもある編組織を示している。糸Y1は、例えば、56dtexのナイロン糸であり、筬L1のガイドバーに通糸されて矢印Sの方向に給糸され編成される。全てのコースにおいて、閉じ目でループが形成されており、コースC1からC6の6コースが1つの繰り返し単位Rとなっており、「1、2/1、2/1、2/1、0/1、0/1、0//」と書き表される。糸Y2は、例えば、310dtexのポリウレタン糸であり、筬L2のガイドバーに通糸されて矢印Sの方向に給糸されて編成される。全てのコースで挿入組織とされており、コースC1からC6の6コースが1つの繰り返し単位Rとなっており、「2、2/1、1/3、3/1、1/2、2/0、0//」と書き表される。
【0023】
これらの糸Y1と糸Y2が、全てのニードルポイントの位置において、編成されて生地3のサテン地の地組織が編成されることになる。この状態を組織図として表したものが図6である。しかし、生地3の地組織は、図5,6に示すものに限定されるものではなく、1/1トリコット組織、1/2トリコット組織、1/3トリコット組織あるいはこれらを重ねた組織、鎖組織と挿入組織の組み合わせ等、適宜のものを採用することができる。また、糸の種類や太さについても適宜のものを採用できる。
【0024】
図7は、緊締力を強めるために、地組織に編み込まれる糸の組織図である。糸Y3、糸Y4は、22dtexのポリウレタン糸を芯としてそれに33dtexのナイロン糸を絡ませたFTY22t×33t弾性糸である。このように、ポリウレタン糸にナイロン糸を絡ませた糸を使用するのは、ポリウレタン糸はナイロン糸に較べて染色が十分に行えないことに起因する生地本体部との染色の相違を少なくするためである。しかし、糸Y3,糸Y4は、これに限るものではなくより強い緊締力を得ようとすれば太い糸とするなど、種類や太さについても適宜のものを採用できる。
【0025】
糸Y3は、筬L3のガイドバーに通糸されて矢印Sの方向に給糸され編成される。糸Y4は、筬L4のガイドバーに通糸されて矢印Sの方向に給糸され編成される。すなわち、図3において、下方から上方に向けて、弱い緊締部322a、強い緊締部321a、弱い緊締部322a、強い緊締部321a、弱い緊締部322aと連続する緊締部32aの帯の中における全てのウェールに、図7に示す糸Y4が編み込まれる。同様に、図3において、下方から上方に向けて、弱い緊締部322b、強い緊締部321b、弱い緊締部322b、強い緊締部321b、弱い緊締部322bと連続する緊締部32bの帯の中における全てのウェールに、図7に示す糸Y3が編み込まれる。
【0026】
これらは、地組織を形成する糸Y1,糸Y2と同時に編成されるが、説明の便宜上、分けて説明する。糸Y3,糸Y4とも、A1の範囲のコースでは、隣接する2つのニードル間部のみを交互に移動する「1、1/0、0//」の挿入組織として、糸Y1、Y2によって編成される地組織に編み込まれる。この部分が、図3に示す生地3における下方の弱い緊締部322aと322bに相当し、糸Y3が弱い緊締部322bに、糸Y4が弱い緊締部322aに編み込まれている。この間は、糸Y3、糸Y4の組織は、隣接する2つのニードル間部のみを交互に移動する挿入組織であることから、必要な糸の量は少なく、電子制御装置によって少ない給糸量に制御される。糸Y3、糸Y4は、糸Y1、糸Y2から編成される地組織に編み込まれた状態となることから、弱い緊締部322a、322bは、地組織のみから形成される周囲の生地本体部31よりは密な生地となっており緊締力も大きいが、後記の強い緊締部321a、321bに比べると、密な程度は低く緊締力も相対的に小さなもので、視覚的にも強い緊締部321a、321bほどには目立たないものである。
【0027】
糸Y3、糸Y4は、A2の範囲のコースでは、鎖組織を基本としながら互いに接近するように徐々に移行している。そして、A3の範囲のコースでは、糸L3と糸L4は互いに平行で直線状の鎖組織のみで形成されている。図7では記載を省略しているが、A3の範囲の次の範囲のコースでは、A2と対称的に鎖組織を基本としながら互いに広がる方向に移行する組織が続くことになる。A2からそこまでの範囲が、図3に示す略X字状の強い緊締部321a、321bに相当しており、糸Y3が強い緊締部321bに、糸Y4が強い緊締部321aに編み込まれている。この間は、糸Y3、糸Y4は、ルーピング組織であるから、必要な糸の量は多く、電子制御装置によって大きな給糸量に制御される。そのため、強い緊締部321a、321bにおいては、周囲の生地本体部31に対しては勿論、弱い緊締部322a、322bに対しても、生地がより密に形成されている。また、鎖組織は、他の組織に較べて、生地の経方向(編み込み方向で矢印Sの方向)の伸張を止める(伸度を小とする)傾向が強い。そのため、生地が密に形成されることと相俟って、強い緊締部321a、321bでは、緊締力が大きなものとなっている。
【0028】
図7では記載を省略しているが、糸Y3、Y4は、強い緊締部321a,321bに編み込まれる鎖組織を基本とする組織の後には、A1の範囲と同様な挿入組織として弱い緊締部322a、322bの部分に編み込まれていく。さらに、その後は、図3では上方に示される強い緊締部321a、321bの部分に編み込まれる鎖組織を基本とするA2から後のコースが続き、最後に短い弱い緊締部322a、322bの部分に編み込まれる挿入組織があって終了する。図7のとおり、糸Y3と糸Y4とは、左右にほぼ線対象となる形状をなしている。図7では、糸Y3と糸Y4は,各1本でかつA1、A2,A3の範囲の一部しか記載していないが、各緊締部32a、32bに編み込まれる全ての糸Y3,糸Y4を全ての範囲に渡って図7に書き込んだとすると、図3に示す緊締部32a、32bと同じ形状となる。
【0029】
ここで、A1等の範囲における挿入組織としては、図7に示す隣接する2つのニードル間部のみを交互に移動する「1、1/0、0//」の挿入組織に限らず、例えば、図8に糸Y5として示すような「2、2/0、0//」の挿入組織であってもよく、糸Y6や糸Y7として示すような挿入組織でもよい。これらのように挿入糸の横方向(コース方向)への振り幅を大きくすると、糸の使用量も多くなり、形成される弱い緊締部322a、322bの緊締力が大きくなる。さらに、糸Y8として示すように、挿入組織を主としながら適宜ルーピング組織を組み合わせてもよい。この場合、ルーピング組織の割合が多くなるほど、糸の使用量も多くなり、形成される弱い緊締部322a、322bの緊締力も強くなる。ただし、弱い緊締部322a、322bでは、同じ帯状の中に形成される強い緊締部321a、321bに含まれるルーピング組織よりはルーピング組織の割合は少なく、緊締力も相対的に弱いものとされる。
【0030】
また、A2、A3等の範囲におけるルーピング組織としては、図7のように鎖組織を基本とするものでなくとも、図9に糸Y9として示すように1/1トリコット組織を基本としたものや糸Y10として示すように開き目と閉じ目を交えた組織を基本とするものでもよい。鎖組織を基本としない場合、編方向での生地の伸度を小さくする作用は少なくなるが、その分緊締力を加減することができる。また、糸Y11、Y12として示すようにルーピング組織を主としつつ挿入組織を組み合わせてもよい。この場合、挿入組織の割合が多くなるほど、糸の使用量は少なくなり、緊締力は弱くなる。ただし、強い緊締部321a、321bでは、同じ帯状の中に形成される弱い緊締部322a、322bよりも含まれる挿入組織の割合は少なく、緊締力も相対的に強いものとされる。
【0031】
なお、糸の使用量については、どのような組織であるかによってのみ給糸量が制御されるような単純な場合で説明したが、組織だけで糸の使用量を定めるとは限らず、また、糸の使用量から緊締力が決定されるものでもない。例えば、「1、1/0、0//」のような振りの小さな挿入組織であっても、それより振りの大きな挿入組織よりも給糸量を多く調整することは可能である。しかし、給糸量が多くなったからといって、その分、緊締力が増大するものではない。
【0032】
以上のように、弱い緊締部322a、322bにおける組織と強い緊締部321a、321bにおける組織を工夫することで、それぞれに適宜の緊締力を持たせることができる。そのため、強い緊締部322a、322bと生地本体部31との緊締力の差や強い緊締部322a、322bと弱い緊締部321a、321bとの緊締力の差についても適宜設計可能である。また、強い緊締部322a、322bの中においても、編方向に緊締力を多段階に変化させることも、同様に弱い緊締部321a、321bの中において緊締力を多段階に変化させることも可能である。
【0033】
本実施形態における図5、図6に示す地組織と図7に示す緊締力を強めるための糸の組織によって作製したガードル1の着用圧を測定したところ、強い緊締部321a、321bが前大腿部に密着する箇所で36gf/cm2であり、緊締部32a、32bの存在しない生地本体部31が後大腿部に密着する箇所で24.4gf/cm2であって、好ましい着用圧及び着用圧の差を実現できた。すなわち、強い緊締部321a、321bにおける着用圧が弱いと前大腿部への有効な効果が期待できず、逆に強すぎると着用者が圧迫感を受ける。また、強い緊締部321a、321bにおける着用圧と緊締部を形成していない部分の着用圧とは、このように10gf/cm2以上の差があることが、強い緊締部321a、321bが効力を発揮する上で望ましい。なお、着用圧の測定は、ウェスト寸法について、床高さが553mm、周経が650mm、横径が230mm、厚径が165mmで、ヒップ寸法について、床高さが385mm、周経が895mm、横径が320mm、厚径が215mmで、脚の付根の寸法について、床高さが285mm、周経が520mm、横径が150mm、厚径が170mm、腸棘点が位置する部位の寸法について、床高さが435mm、周経が845mm、横径が305mm、厚径が202mmのダミー(FRP製)に、ガードル1を着用させて、株式会社エイエムアイ社製の接触圧測定器(エアーパック式で、各仕様は、卓上タイプ:AMI3037−20、センサー部:直径20mm、最大測定値:約15000Pa、ガイドチューブ:1.5m)を用いて行った。
【0034】
以上のように本実施形態のガードル1にあっては、共通の地組織に対して、緊締力を強めるための糸Y3、糸Y4が、帯状の緊締部32a、32bにおいて連続的に地組織に編み込まれ、主としてルーピング組織によって強い緊締部321a、321bを形成し、主として挿入組織によって弱い緊締部322a、322bを形成している。そのため、強い緊締部321a、321bは、編地の適宜の位置に所望形状に形成され、緊締部以外の生地本体部31や弱い緊締部322a、322bとの緊締力の差も十分に取ることができる。
【0035】
また、強い緊締部321a、321bにおける緊締力を強めるための糸の組織を鎖組織を基本とするときは、生地の経方向の伸張を止める(伸度を小とする)傾向が強い。そのため、生地が密に形成されることと相俟って、強い緊締部321a、321bでは、緊締力の大きなものとすることができる。また、強い緊締部321a、321bは、弱い緊締部322a、322bの長手方向と傾斜する部分を有するX字状とされているために、同一円周方向に直線状である場合に較べ、着用者は、大腿部をリング状に圧迫されることなく、かつ中心部では2つの強い緊締部321a、321bが集中し、そこから左右上下方向に分散する緊締力を得ることができる。また、強い緊締部321a、321bにおける緊締力を強めるための糸Y3、Y4の組織を、鎖組織を基本とするものから、他の組織に変更したり挿入組織を組み合わせること等によって、緊締力を所定のものに設定することができる。同様に、弱い緊締部322a、322bにおける緊締力を強めるための糸Y3,Y4の組織を「1、1/0、0//」の挿入組織からさらに横方向への振り幅を大きくしたり、ルーピング組織を組み合わせること等によって、緊締力を所定のものに設定することができる。また、緊締部32a、32bにおける緊締力を強めるための糸Y3,Y4の編組織を変化させることにより、強い緊締部322a、322bの中において編方向に緊締力を多段階に変化させることも、同様に弱い緊締部321a、321bの中において緊締力を多段階に変化させることも可能である。
【0036】
本発明の体に密着する衣類は、上記のものに限定されるものではない。例えば、帯状の緊締部32a、32bについて、図10の(A)〜(H)に示すような強い緊締部321a、321b、弱い緊締部322a、322bからなるような各種形状のものとしてもよい。(F)に示すように、強い緊締部321a、321bを弱い緊締部322a、322bとともに一直線状をなすように形成した場合、大腿部をリング状に強く緊締することができる。逆に、そのようなリング状に緊締される圧迫感を避ける場合、図10の(F)以外に例示するように、強い緊締部321a、321bが、弱い緊締部322a、322bの長手方向と傾斜する部分を有するような適宜の形状を採用することで、その緊締力の分散の方向と位置を所望のものとできる。また、2本の帯状の緊締部32a、32bを組み合わせることなく、(H)に一例を示すように1本の帯状の緊締部32aとしてもよい。
【0037】
また、緊締部32a,32bを形成する場所としては、ガードル1の前大腿部に限らない。図11は、ガードル1の他の箇所に本発明を適用した例であり、ガードル1を前方側から見た斜視図である。腹部布4に1本の緊締部32aを形成している。特に、強い緊締部321aを腹部の中央部に形成することにより、着用者の腹部に緊締力を加えて腹部の膨出を防止することができる。図12は、さらに他の適用例を示すもので、ガードル1を後方側から見た斜視図である。着用者のヒップの膨らみの下辺部からその脇部分に相当する箇所に緊締部32a,32bの強い緊締部321a,321bを形成することにより、着用者のヒップを持ち上げて体型を補整することができるものである。図13は、さらに他の適用例を示すものであり、ショート丈のガードル5を後方側から見た斜視図である。緊締部は1本の帯状の緊締部32aで形成している。強い緊締部321aは着用者のヒップの膨らみの下辺部に相当する箇所に形成されており、着用者のヒップを持ち上げて体型を補整することができる。図14は、同じくショート丈のガードル5を後方側から見た斜視図である。強い緊締部321aを着用者のヒップの膨らみの下辺部に相当する箇所に形成することは同様であるが、強い緊締部321aと弱い緊締部322aとを交互に多段階に形成しており、ヒップの中央部下辺部分での強い緊締部321aの帯方向長さを長くして緊締力の強さを帯方向に段階的に設定している。これによって、強い緊締力を必要とする箇所からそうでない方向に段階的な緊締力を付与することができる。さらに、図示していないが、ブラジャーの脇部からバック部にかけた部分や、ボディスーツの脇部や背部に強い緊締部がくるように形成することも可能である。
【0038】
さらに、図11〜図14に示すものや図示しないブラジャーやボディスーツのものにおいても、緊締部の形状は限定されるものではなく、図10に示した各種の変形例は勿論、その他の形状のものでも帯状に弱い緊締部と強い緊締部が形成されるものであればよい。
【0039】
今まで、生地本体部31における地組織は共通的なものである場合について説明したが、生地本体部31を構成する地組織が、生地本体部31の箇所によって異なるものであってもよい。図15〜図17によって、そのような適用例を説明する。図15は、ガードル1を真横から見た図である。身頃2を形成する生地本体部31は、緊締力の異なる2種類の地組織からそれぞれ形成される編地部分に区分されている。横方向を基準にした中央部の編地部分31aは、緊締力の相対的に強い地組織で編成されており、その両側の編地部分31bは緊締力の相対的に弱い地組織で編成されている。それらの編地部分31a、31bの境界線35にほぼ直角方向に、1本の帯状の緊締部32aのうちの弱い緊締部322aが形成されている。弱い緊締部322aは、緊締力の相対的に弱い編地部分31bに重なるように左右2箇所に段差を有して分かれており、その中間部に強い緊締部321aが、緊締力の相対的に強い編地部分31aに重なって形成されている。強い緊締部321aは、前方側が上方になるように傾斜して形成されている。
【0040】
ここで、弱い緊締部322aと境界線35は、ほぼ直角方向としたが、他の交差角度であってもよく、強い緊締部321aと弱い緊締部322aからなる帯状の緊締部32aが境界線35と交差していればよい。また、緊締力の相対的に弱い編地部分31bと弱い緊締部322aが位置的に重なり、緊締力の相対的に強い編地部分31aと強い緊締部321aとが位置的に重なるようにしたが、これらが位置的にずれていてもよく、緊締力の強い編地部分31aと強い緊締部321aの少なくとも一部が重なっていればよい。そして、この重なった部分は、編地の地組織自体の緊締力が強いことと緊締部32aのうちの強い緊締部321aが重なることによって、緊締力をさらに強められたものとなっている。
【0041】
緊締部32aは、着用者の大腿上部外周に位置しており、そのうちの強い緊締部321aはヒップの両脇部に位置している。そのため、着用者は、大腿上部からヒップ下部を緊締されるとともに、特に強い緊締部321aによってヒップの両脇部の膨出を防止され、体型を整形される。また、ヒップの脇部は強い緊締部321aの箇所に限らずその上下部分の編地31aは緊締力が他の編地部分31bよりは強く形勢されているために、ヒップの脇部全体を締めることができる。さらに、強い緊締部321aは上下方向に傾斜し、弱い緊締部322aの長手方向と傾斜する部分を有することとなっているために、緊締部32a全体が同一円周状のリングとならず、特に強い緊締部321aでの圧迫感を緩和することができる。
【0042】
次に、ガードル1の身頃2を構成する生地3について、図16により説明する。図16は、図2と同じくガードル1の左側の身頃2を作製するための1単位の生地3を示す概念図である。生地3は、矢印Sで示す方向に糸が供給されて編まれた経編地であって、地組織で構成される生地本体部31の一部に1本の帯状の緊締部32aが形成されており、この緊締部32aは、図15で説明したとおりの強い緊締部321aと弱い緊締部322aから構成されている。また、上下の縁には、糸の解れを防止するためのヘム33が形成されている。図16に示す生地から左側の身頃2を裁断し、同様に図16のものと左右対称な生地から右側の身頃2を裁断して、これらと腹部布やクロッチとを縫製することでガードル1を作製すること、生地3が8単位を一体として経編機によって得られることは、図1〜図3の場合と同様である。
【0043】
図1〜図3の場合と大きく相違することは、図16において、生地3の右端から境界線35に至るまでは、地組織が、例えば図17の左側に示す1/2トリコット組織で編成され、その後左側の境界線35に至るまでの範囲は、図17の右側に示すような1/3トリコット組織によって編成されていることである。1/2トリコット組織に対し、1/3トリコット組織は、使用される糸の量も多く相対的に強い緊締力を備えることになる。なお、地組織と同時に、緊締力を強めるための糸が編み込まれて緊締部31が形成されることは、図1〜図7の場合と同様である。
【0044】
また、緊締力の異なる地組織としては、このような1/2トリコット組織、1/3トリコット組織に限らず、例えば編目の粗いネット組織(メッシュ組織)を緊締力の相対的に弱い編地部分31bとし、それよりも編目の細かい各種サテン組織を相対的に緊締力の強い編地部分31aとするなど、適宜の組織を採用することができる。また、このような異なる地組織の種類として3種以上としてもよく、編地部分の区分についても4区分以上としても、2区分としてもよい。また、緊締部32aの編組織は図8、図9で説明したように各種のものであってよく、緊締部の形状についても図10に例示したように各種のものを採用できる。
【0045】
また、図15、図16及びその変形例として説明したものにおいては、編地の全ての境界線35は、帯状の緊締部32aと交差するように形成されていることから、緊締部32aは隣接する生地本体部31の各編地部分31a、31bと全ての隣接部分でそれぞれに共通の地組織となっている。しかし、例えば、緊締部32aの地組織を、強い緊締部321aも弱い緊締部322aも全てに渡って、強い緊締力の編地部分31aと同じ地組織とすることもできる。この場合、緊締部32aのうちで強い緊締力の編地部分31aと隣接する部分のみが生地本体部31と共通の地組織となり、弱い緊締力の編地部分31bとの隣接部分では地組織が異なることになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態の衣類であるガードルの前方斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における生地の1単位を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態における生地の編成単位を示す概念図である。
【図4】編組織と組織図の一般的説明図である。
【図5】本発明の実施形態における地組織を示す組織図である。
【図6】本発明の実施形態における地組織を示す組織図である。
【図7】本発明の実施形態における緊締力を強めるための糸の組織図である。
【図8】本発明の実施形態における緊締力を強めるための糸の挿入組織の変形例である。
【図9】本発明の実施形態における緊締力を強めるための糸のルーピング組織の変形例である。
【図10】本発明の実施形態における緊締部の変形例を示す概念図である。
【図11】本発明のガードルの腹部布への適用例を示す前方斜視図である。
【図12】本発明のガードル後部への適用例を示す後方斜視図である。
【図13】本発明のショート丈のガードルへの適用例を示す後方斜視図である。
【図14】本発明のショート丈のガードルへの他の適用例を示す後方斜視図である。
【図15】本発明のガードルへの他の適用例を示す真横から見た図である。
【図16】図15のガードルの生地を示す概念図である。
【図17】図16の生地の地組織を示す組織図である。
【符号の説明】
【0047】
1・・・ガードル、2・・・身頃、3・・・生地、31・・・生地本体部、31a・・・緊締力の強い編地部分、31b・・・緊締力の弱い編地部分、32a、32b・・・緊締部、321a、321b・・・強い緊締部、322a、322b・・・弱い緊締部、33・・・ヘム、34・・・境界、35・・・編地部分の境界線、4・・・腹部布、5・・・ショート丈のガードル
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類、特に体に密着して着用する衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガードル、ボディスーツ、ブラジャー、水着、ショーツなどの体に密着して着用する衣類の所定箇所に緊締部を形成し、その緊締力によって、着用者の体型の補整や姿勢の矯正を行ったり、運動機能を向上させることなどがなされてきた。このような緊締部を衣類に形成するためには、緊締力を強くしたい部分に当て布を貼り付けることや編み込まれる弾性糸の太さを太くすること等が採用されてきた。しかし、当て布を貼り付けた場合、緊締部では当て布の厚さ分だけ生地の厚さが増すことになり好ましくない。また、編み込まれる弾性糸の太さを大きくすることで緊締部を形成する場合、緊締力の相違する部分の境界は、弾性糸の編み込まれる方向のみとなり、所望形状の緊締部を得ることができなかった。
【0003】
そのため、特許文献1に記載のものでは、生地の編組織として、緊締力を強くしたい部分をサテン調組織とし、他の部分をメッシュ調組織として、当て布を用いることなく、所望形状の緊締部を得るようにしている。
【特許文献1】特許第3461316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術においては、得られる緊締力の大小の差は、編組織の種類の相違に基づくものであることから、当て布を使用した場合の、当て布のある箇所と無い箇所のような緊締力の大きな差を得ることはできない。また、それぞれの編地の編組織による緊締力の差を確保するためには、編組織の採用の自由度が低下することになる。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、当て布を用いることなく、所望形状の緊締部を得ることができ、強い緊締力を得たい部分と他の部分との緊締力の十分な差を得ることができ、また、編地の基礎となる地組織の採用に当たっても制限の少ない衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の衣類は、体に密着する衣類であって、帯状の緊締部を有し、緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部と弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための糸の編組織は、強い緊締部ではルーピング組織を弱い緊締部よりも多く含み、弱い緊締部では挿入組織を強い緊締部よりも多く含むものである。
【0006】
この衣類によれば、緊締力を強めるための糸が、帯状の緊締部において連続的に地組織に編み込まれ、主としてルーピング組織によって強い緊締部を形成し、主として挿入組織によって弱い緊締部を形成する。そのため、強い緊締部は、編地の適宜の位置に所望形状に形成され、緊締部以外の部分や弱い緊締部との緊締力の差も十分に取ることができる。
【0007】
また、本発明の衣類は、体に密着する衣類であって、帯状の緊締部を有し、緊締部及び緊締部に隣接する少なくとも一部の生地本体部は、共通の地組織で構成され、緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部と弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための糸の編組織は、強い緊締部ではルーピング組織を弱い緊締部よりも多く含み、弱い緊締部では挿入組織を強い緊締部よりも多く含むものである。
【0008】
その場合、本発明の衣類は、緊締力を強めるための糸が、帯状の緊締部において連続的に地組織に編み込まれ、主としてルーピング組織によって強い緊締部を形成し、主として挿入組織によって弱い緊締部を形成する。そのため、強い緊締部は、編地の適宜の位置に所望形状に形成され、緊締部以外の部分や弱い緊締部との緊締力の差も十分に取ることができるとともに、地組織は緊締部と緊締部に隣接する生地本体部で共通の組織とすることができる。
【0009】
また、本発明の衣類は、体に密着する衣類であって、帯状の緊締部を有し、生地本体部は、緊締力の異なる地組織からそれぞれ形成される複数の編地部分から構成されていて、複数の編地部分の境界線と帯状の緊締部とは交差しており、緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部と弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための糸の編組織は、強い緊締部ではルーピング組織を弱い緊締部よりも多く含み、弱い緊締部では挿入組織を強い緊締部よりも多く含み、複数の編地部分のうちの緊締力の相対的に強い編地部分と強い緊締部との少なくとも一部が重なっているものである。
【0010】
その場合、本発明の衣類は、緊締力を強めるための糸が、帯状の緊締部において連続的に地組織に編み込まれ、主としてルーピング組織によって強い緊締部を形成し、主として挿入組織によって弱い緊締部を形成する。そのため、強い緊締部は、編地の適宜の位置に所望形状に形成され、緊締部以外の部分や弱い緊締部との緊締力の差も十分に取ることができる。さらに、生地本体部についても緊締力の異なる地組織からそれぞれ形成される複数の編地部分から構成されており、強い緊締力の編地部分と強い緊締部とが重なる部分は、両者の緊締力によって強い緊締力を得ることが可能になる。
【0011】
また、強い緊締部は、弱い緊締部の長手方向と傾斜する部分を有するものである場合は、緊締部全体が同一円周状のリングとならず、特に強い緊締部での圧迫感を緩和することができる。
【0012】
なお、本明細書でいう体に密着する衣類とは、体の表面に直接に接して密着する場合に限らず、他の下着類を介して体に密着する場合も含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、体に密着して着用する衣類であって、着用者の体型の補整や姿勢の矯正を行ったり運動機能を向上させるための緊締部の緊締力や形状に関する設計上の自由度を改善した衣類を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明による衣類の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。図1は、本発明による体に密着して着用する衣類の一例としてのガードル1を前方側から見た斜視図である。
【0015】
ガードル1の左右の身頃2には、それぞれ、大腿部に相当する箇所に、2本の横方向に伸びる帯状の緊締部32a、32bが形成されている。これらの緊締部32a、32bのうち実線で囲みハッチングを施した部分は、次に述べる弱い緊締部322a、322bに対して相対的に緊締力の強い部分であり、強い緊締部321a、321bと称することにする。この強い緊締部321a、321bの左右に延びる実線のみでハッチングの無い部分は、強い緊締部321a、321bに対して相対的に緊締力の弱い部分であって、弱い緊締部322a、322bと称することにする。強い緊締部321aと弱い緊締部322aとは連続した1本の帯状をなしており、同様に、強い緊締部321bと弱い緊締部322bとは連続した1本の帯状をなしている。上方の強い緊締部321aは、その中央部分が弱い緊締部322aの長手方向に傾斜する部分を有するように下方に凸状(上方には凹状)とされ、下方の強い緊締部321bは、その中央部が弱い緊締部322bの長手方向に傾斜する部分を有するように上方に凸状(下方には凹状)とされている。そして、両者が合わさって横長のX字状をなす強い緊締部321a、321bを形成している。
【0016】
この強い緊締部321a、321bは、着用者の大腿部の前方中央部に相当する箇所に位置している。そのため、ガードル1の着用者は、強い緊締部321a、321bの位置する大腿四頭筋を強く緊締、刺激される。またその延長部分には、相対的に弱い緊締力ではあるが生地本体部31よりも大きな緊締力を有する弱い緊締部322a、322bが位置している。そのため、大腿部全体についても十分に緊締された状態となるとともに、特に、大腿部前方中央部の大腿四頭筋を強く緊締されて、歩行に際して、脚を大きく蹴ることができ、美しい体型を保つことができる。また、強い緊締部321a、321bは、弱い緊締部322a、322bの長手方向と傾斜する部分を有するX字状とされているために、同一円周方向に直線状である場合に較べ、着用者は、大腿部をリング状に圧迫されることなく、かつ中心部では2つの強い緊締部321a、321bが集中し、そこから左右上下方向に分散する緊締力を得ることができる。
【0017】
次に、ガードル1の身頃2を構成する生地3について、図2により説明する。図2は、ガードル1の左側の身頃2を作製するための1単位の生地3を示す概念図である。生地3は、矢印Sで示す方向に糸が供給されて編まれた経編地であって、地組織で構成される生地本体部31の一部に2本の帯状の緊締部32a、32bが形成されており、この緊締部32a、32bは、図1で説明したとおりの強い緊締部321a、321bと弱い緊締部322a、322bから構成されている。また、上下の縁には、糸の解れを防止するためのヘム33が形成されている。ガードル1を製作するには、図2に示す生地から左側の身頃2を裁断し、同様に図2のものと左右対称な生地から右側の身頃2を裁断して、これらと腹部布4やクロッチとを縫製する。
【0018】
次に、図2の生地3が8単位を一体として経編機によって得られる状態を図3に示す。それぞれの生地3は、その長辺方向に2単位、短辺方向に4単位が配置されており、各単位の生地3の長辺側の境界には、ヘム33が形成されている。このヘム33の幅方向の中心部の1本の糸を引き抜けば、その糸を境として両側の生地3は、分割されたヘム33を備えて互いに分離できるような編地に編まれている。各単位の生地3の短辺側の境界34では、編組織を後述する地組織から1×1トリコット組織に6コース分だけ変更することで、境界を識別可能に形成している。この8単位が同時に一体的に経編機により編成される。その際の編み方向は矢印Sである。
【0019】
本実施形態における編地の編組織について述べる前に、先ず、編組織と組織図について、図4に基づいて説明する。図4において、黒点は各コースのニードルヘッドの位置を表しており、黒点同士の横方向の間はニードル間部を表す。横方向に並んだ黒点の列は1つのコースを表し、糸が矢印Sの方向に供給されるときに、各コースC1〜Cnにおいてどのような編み方をされるかを1本の糸によって示している。
【0020】
また、編組織は、ルーピング組織と挿入組織の2つに大きく区分される。ルーピング組織とは、糸がガイドバーに案内されてラッピングすることでループを形成する組織のことで、ループが交差して閉じた形の網目を形成する場合は閉じ目と呼ばれ、交差しない開いたループの場合は開き目と呼ばれる。図4における糸Ya〜Ydは、ルーピング組織の例であり、そのうち、糸Ya、Ydは、全てのコースにおいて閉じ目からなるルーピング組織であって、糸Yb、Ycは、全てのコースにおいて開き目からなるルーピング組織である。さらに、糸の編成をニードル間部の位置によって表すために、各糸がガイドバーに案内されて通過する最も右側のニードル間部を0として順に左側に1,2,3・・・の番号を付与して糸の編成を表す(編機の種類によっては、0,2,4,6・・・とする場合もある。)。例えば、糸Yaの場合、C1コースでは、番号1のニードル間部から番号2のニードル間部に移動し、C2のコースでは番号1のニードル間部から番号0のニードル間部に移動し、その後はこの繰り返しであるから、「1、2/1、0//」と表す。この糸Yaの編組織は、1/1トリコット組織又はデンビ組織といわれている。また、糸Yc、Ydの組織は、鎖組織といわれている。
【0021】
挿入組織とは、挿入糸が他の組織に挿入される組織であり、挿入糸自体は網目を形成せず、他の組織の例えばニードルループとシンカーループの間等に横たわったような状態となる。図4の糸Ye、Yfは挿入組織の例である。糸Yeは、隣接する2つのニードル間部のみを交互に移動する挿入組織で、コースC1ではガイドバーが番号1のニードル間部の位置でスイングインし、同じ位置でスイングアウトし、コース2では番号0の位置でスイングインとスイングアウトを行い、後はその繰り返しであるから、「1、1/0、0//」と表す。糸Yfは、さらに1つ分のニードル間部を横方向(コース方向)に振られる挿入組織であり、「2、2/0、0//」で表される。
【0022】
次に、本実施形態の編組織について、図5〜図7によって説明する。なお、本実施形態の編地を得るには、例えばカールマイヤー社製のRSE5EL等の編み機を使用することができる。図5は、生地3の生地本体部31の編組織であるとともに緊締部32a、32bにおける編地の地組織でもある編組織を示している。糸Y1は、例えば、56dtexのナイロン糸であり、筬L1のガイドバーに通糸されて矢印Sの方向に給糸され編成される。全てのコースにおいて、閉じ目でループが形成されており、コースC1からC6の6コースが1つの繰り返し単位Rとなっており、「1、2/1、2/1、2/1、0/1、0/1、0//」と書き表される。糸Y2は、例えば、310dtexのポリウレタン糸であり、筬L2のガイドバーに通糸されて矢印Sの方向に給糸されて編成される。全てのコースで挿入組織とされており、コースC1からC6の6コースが1つの繰り返し単位Rとなっており、「2、2/1、1/3、3/1、1/2、2/0、0//」と書き表される。
【0023】
これらの糸Y1と糸Y2が、全てのニードルポイントの位置において、編成されて生地3のサテン地の地組織が編成されることになる。この状態を組織図として表したものが図6である。しかし、生地3の地組織は、図5,6に示すものに限定されるものではなく、1/1トリコット組織、1/2トリコット組織、1/3トリコット組織あるいはこれらを重ねた組織、鎖組織と挿入組織の組み合わせ等、適宜のものを採用することができる。また、糸の種類や太さについても適宜のものを採用できる。
【0024】
図7は、緊締力を強めるために、地組織に編み込まれる糸の組織図である。糸Y3、糸Y4は、22dtexのポリウレタン糸を芯としてそれに33dtexのナイロン糸を絡ませたFTY22t×33t弾性糸である。このように、ポリウレタン糸にナイロン糸を絡ませた糸を使用するのは、ポリウレタン糸はナイロン糸に較べて染色が十分に行えないことに起因する生地本体部との染色の相違を少なくするためである。しかし、糸Y3,糸Y4は、これに限るものではなくより強い緊締力を得ようとすれば太い糸とするなど、種類や太さについても適宜のものを採用できる。
【0025】
糸Y3は、筬L3のガイドバーに通糸されて矢印Sの方向に給糸され編成される。糸Y4は、筬L4のガイドバーに通糸されて矢印Sの方向に給糸され編成される。すなわち、図3において、下方から上方に向けて、弱い緊締部322a、強い緊締部321a、弱い緊締部322a、強い緊締部321a、弱い緊締部322aと連続する緊締部32aの帯の中における全てのウェールに、図7に示す糸Y4が編み込まれる。同様に、図3において、下方から上方に向けて、弱い緊締部322b、強い緊締部321b、弱い緊締部322b、強い緊締部321b、弱い緊締部322bと連続する緊締部32bの帯の中における全てのウェールに、図7に示す糸Y3が編み込まれる。
【0026】
これらは、地組織を形成する糸Y1,糸Y2と同時に編成されるが、説明の便宜上、分けて説明する。糸Y3,糸Y4とも、A1の範囲のコースでは、隣接する2つのニードル間部のみを交互に移動する「1、1/0、0//」の挿入組織として、糸Y1、Y2によって編成される地組織に編み込まれる。この部分が、図3に示す生地3における下方の弱い緊締部322aと322bに相当し、糸Y3が弱い緊締部322bに、糸Y4が弱い緊締部322aに編み込まれている。この間は、糸Y3、糸Y4の組織は、隣接する2つのニードル間部のみを交互に移動する挿入組織であることから、必要な糸の量は少なく、電子制御装置によって少ない給糸量に制御される。糸Y3、糸Y4は、糸Y1、糸Y2から編成される地組織に編み込まれた状態となることから、弱い緊締部322a、322bは、地組織のみから形成される周囲の生地本体部31よりは密な生地となっており緊締力も大きいが、後記の強い緊締部321a、321bに比べると、密な程度は低く緊締力も相対的に小さなもので、視覚的にも強い緊締部321a、321bほどには目立たないものである。
【0027】
糸Y3、糸Y4は、A2の範囲のコースでは、鎖組織を基本としながら互いに接近するように徐々に移行している。そして、A3の範囲のコースでは、糸L3と糸L4は互いに平行で直線状の鎖組織のみで形成されている。図7では記載を省略しているが、A3の範囲の次の範囲のコースでは、A2と対称的に鎖組織を基本としながら互いに広がる方向に移行する組織が続くことになる。A2からそこまでの範囲が、図3に示す略X字状の強い緊締部321a、321bに相当しており、糸Y3が強い緊締部321bに、糸Y4が強い緊締部321aに編み込まれている。この間は、糸Y3、糸Y4は、ルーピング組織であるから、必要な糸の量は多く、電子制御装置によって大きな給糸量に制御される。そのため、強い緊締部321a、321bにおいては、周囲の生地本体部31に対しては勿論、弱い緊締部322a、322bに対しても、生地がより密に形成されている。また、鎖組織は、他の組織に較べて、生地の経方向(編み込み方向で矢印Sの方向)の伸張を止める(伸度を小とする)傾向が強い。そのため、生地が密に形成されることと相俟って、強い緊締部321a、321bでは、緊締力が大きなものとなっている。
【0028】
図7では記載を省略しているが、糸Y3、Y4は、強い緊締部321a,321bに編み込まれる鎖組織を基本とする組織の後には、A1の範囲と同様な挿入組織として弱い緊締部322a、322bの部分に編み込まれていく。さらに、その後は、図3では上方に示される強い緊締部321a、321bの部分に編み込まれる鎖組織を基本とするA2から後のコースが続き、最後に短い弱い緊締部322a、322bの部分に編み込まれる挿入組織があって終了する。図7のとおり、糸Y3と糸Y4とは、左右にほぼ線対象となる形状をなしている。図7では、糸Y3と糸Y4は,各1本でかつA1、A2,A3の範囲の一部しか記載していないが、各緊締部32a、32bに編み込まれる全ての糸Y3,糸Y4を全ての範囲に渡って図7に書き込んだとすると、図3に示す緊締部32a、32bと同じ形状となる。
【0029】
ここで、A1等の範囲における挿入組織としては、図7に示す隣接する2つのニードル間部のみを交互に移動する「1、1/0、0//」の挿入組織に限らず、例えば、図8に糸Y5として示すような「2、2/0、0//」の挿入組織であってもよく、糸Y6や糸Y7として示すような挿入組織でもよい。これらのように挿入糸の横方向(コース方向)への振り幅を大きくすると、糸の使用量も多くなり、形成される弱い緊締部322a、322bの緊締力が大きくなる。さらに、糸Y8として示すように、挿入組織を主としながら適宜ルーピング組織を組み合わせてもよい。この場合、ルーピング組織の割合が多くなるほど、糸の使用量も多くなり、形成される弱い緊締部322a、322bの緊締力も強くなる。ただし、弱い緊締部322a、322bでは、同じ帯状の中に形成される強い緊締部321a、321bに含まれるルーピング組織よりはルーピング組織の割合は少なく、緊締力も相対的に弱いものとされる。
【0030】
また、A2、A3等の範囲におけるルーピング組織としては、図7のように鎖組織を基本とするものでなくとも、図9に糸Y9として示すように1/1トリコット組織を基本としたものや糸Y10として示すように開き目と閉じ目を交えた組織を基本とするものでもよい。鎖組織を基本としない場合、編方向での生地の伸度を小さくする作用は少なくなるが、その分緊締力を加減することができる。また、糸Y11、Y12として示すようにルーピング組織を主としつつ挿入組織を組み合わせてもよい。この場合、挿入組織の割合が多くなるほど、糸の使用量は少なくなり、緊締力は弱くなる。ただし、強い緊締部321a、321bでは、同じ帯状の中に形成される弱い緊締部322a、322bよりも含まれる挿入組織の割合は少なく、緊締力も相対的に強いものとされる。
【0031】
なお、糸の使用量については、どのような組織であるかによってのみ給糸量が制御されるような単純な場合で説明したが、組織だけで糸の使用量を定めるとは限らず、また、糸の使用量から緊締力が決定されるものでもない。例えば、「1、1/0、0//」のような振りの小さな挿入組織であっても、それより振りの大きな挿入組織よりも給糸量を多く調整することは可能である。しかし、給糸量が多くなったからといって、その分、緊締力が増大するものではない。
【0032】
以上のように、弱い緊締部322a、322bにおける組織と強い緊締部321a、321bにおける組織を工夫することで、それぞれに適宜の緊締力を持たせることができる。そのため、強い緊締部322a、322bと生地本体部31との緊締力の差や強い緊締部322a、322bと弱い緊締部321a、321bとの緊締力の差についても適宜設計可能である。また、強い緊締部322a、322bの中においても、編方向に緊締力を多段階に変化させることも、同様に弱い緊締部321a、321bの中において緊締力を多段階に変化させることも可能である。
【0033】
本実施形態における図5、図6に示す地組織と図7に示す緊締力を強めるための糸の組織によって作製したガードル1の着用圧を測定したところ、強い緊締部321a、321bが前大腿部に密着する箇所で36gf/cm2であり、緊締部32a、32bの存在しない生地本体部31が後大腿部に密着する箇所で24.4gf/cm2であって、好ましい着用圧及び着用圧の差を実現できた。すなわち、強い緊締部321a、321bにおける着用圧が弱いと前大腿部への有効な効果が期待できず、逆に強すぎると着用者が圧迫感を受ける。また、強い緊締部321a、321bにおける着用圧と緊締部を形成していない部分の着用圧とは、このように10gf/cm2以上の差があることが、強い緊締部321a、321bが効力を発揮する上で望ましい。なお、着用圧の測定は、ウェスト寸法について、床高さが553mm、周経が650mm、横径が230mm、厚径が165mmで、ヒップ寸法について、床高さが385mm、周経が895mm、横径が320mm、厚径が215mmで、脚の付根の寸法について、床高さが285mm、周経が520mm、横径が150mm、厚径が170mm、腸棘点が位置する部位の寸法について、床高さが435mm、周経が845mm、横径が305mm、厚径が202mmのダミー(FRP製)に、ガードル1を着用させて、株式会社エイエムアイ社製の接触圧測定器(エアーパック式で、各仕様は、卓上タイプ:AMI3037−20、センサー部:直径20mm、最大測定値:約15000Pa、ガイドチューブ:1.5m)を用いて行った。
【0034】
以上のように本実施形態のガードル1にあっては、共通の地組織に対して、緊締力を強めるための糸Y3、糸Y4が、帯状の緊締部32a、32bにおいて連続的に地組織に編み込まれ、主としてルーピング組織によって強い緊締部321a、321bを形成し、主として挿入組織によって弱い緊締部322a、322bを形成している。そのため、強い緊締部321a、321bは、編地の適宜の位置に所望形状に形成され、緊締部以外の生地本体部31や弱い緊締部322a、322bとの緊締力の差も十分に取ることができる。
【0035】
また、強い緊締部321a、321bにおける緊締力を強めるための糸の組織を鎖組織を基本とするときは、生地の経方向の伸張を止める(伸度を小とする)傾向が強い。そのため、生地が密に形成されることと相俟って、強い緊締部321a、321bでは、緊締力の大きなものとすることができる。また、強い緊締部321a、321bは、弱い緊締部322a、322bの長手方向と傾斜する部分を有するX字状とされているために、同一円周方向に直線状である場合に較べ、着用者は、大腿部をリング状に圧迫されることなく、かつ中心部では2つの強い緊締部321a、321bが集中し、そこから左右上下方向に分散する緊締力を得ることができる。また、強い緊締部321a、321bにおける緊締力を強めるための糸Y3、Y4の組織を、鎖組織を基本とするものから、他の組織に変更したり挿入組織を組み合わせること等によって、緊締力を所定のものに設定することができる。同様に、弱い緊締部322a、322bにおける緊締力を強めるための糸Y3,Y4の組織を「1、1/0、0//」の挿入組織からさらに横方向への振り幅を大きくしたり、ルーピング組織を組み合わせること等によって、緊締力を所定のものに設定することができる。また、緊締部32a、32bにおける緊締力を強めるための糸Y3,Y4の編組織を変化させることにより、強い緊締部322a、322bの中において編方向に緊締力を多段階に変化させることも、同様に弱い緊締部321a、321bの中において緊締力を多段階に変化させることも可能である。
【0036】
本発明の体に密着する衣類は、上記のものに限定されるものではない。例えば、帯状の緊締部32a、32bについて、図10の(A)〜(H)に示すような強い緊締部321a、321b、弱い緊締部322a、322bからなるような各種形状のものとしてもよい。(F)に示すように、強い緊締部321a、321bを弱い緊締部322a、322bとともに一直線状をなすように形成した場合、大腿部をリング状に強く緊締することができる。逆に、そのようなリング状に緊締される圧迫感を避ける場合、図10の(F)以外に例示するように、強い緊締部321a、321bが、弱い緊締部322a、322bの長手方向と傾斜する部分を有するような適宜の形状を採用することで、その緊締力の分散の方向と位置を所望のものとできる。また、2本の帯状の緊締部32a、32bを組み合わせることなく、(H)に一例を示すように1本の帯状の緊締部32aとしてもよい。
【0037】
また、緊締部32a,32bを形成する場所としては、ガードル1の前大腿部に限らない。図11は、ガードル1の他の箇所に本発明を適用した例であり、ガードル1を前方側から見た斜視図である。腹部布4に1本の緊締部32aを形成している。特に、強い緊締部321aを腹部の中央部に形成することにより、着用者の腹部に緊締力を加えて腹部の膨出を防止することができる。図12は、さらに他の適用例を示すもので、ガードル1を後方側から見た斜視図である。着用者のヒップの膨らみの下辺部からその脇部分に相当する箇所に緊締部32a,32bの強い緊締部321a,321bを形成することにより、着用者のヒップを持ち上げて体型を補整することができるものである。図13は、さらに他の適用例を示すものであり、ショート丈のガードル5を後方側から見た斜視図である。緊締部は1本の帯状の緊締部32aで形成している。強い緊締部321aは着用者のヒップの膨らみの下辺部に相当する箇所に形成されており、着用者のヒップを持ち上げて体型を補整することができる。図14は、同じくショート丈のガードル5を後方側から見た斜視図である。強い緊締部321aを着用者のヒップの膨らみの下辺部に相当する箇所に形成することは同様であるが、強い緊締部321aと弱い緊締部322aとを交互に多段階に形成しており、ヒップの中央部下辺部分での強い緊締部321aの帯方向長さを長くして緊締力の強さを帯方向に段階的に設定している。これによって、強い緊締力を必要とする箇所からそうでない方向に段階的な緊締力を付与することができる。さらに、図示していないが、ブラジャーの脇部からバック部にかけた部分や、ボディスーツの脇部や背部に強い緊締部がくるように形成することも可能である。
【0038】
さらに、図11〜図14に示すものや図示しないブラジャーやボディスーツのものにおいても、緊締部の形状は限定されるものではなく、図10に示した各種の変形例は勿論、その他の形状のものでも帯状に弱い緊締部と強い緊締部が形成されるものであればよい。
【0039】
今まで、生地本体部31における地組織は共通的なものである場合について説明したが、生地本体部31を構成する地組織が、生地本体部31の箇所によって異なるものであってもよい。図15〜図17によって、そのような適用例を説明する。図15は、ガードル1を真横から見た図である。身頃2を形成する生地本体部31は、緊締力の異なる2種類の地組織からそれぞれ形成される編地部分に区分されている。横方向を基準にした中央部の編地部分31aは、緊締力の相対的に強い地組織で編成されており、その両側の編地部分31bは緊締力の相対的に弱い地組織で編成されている。それらの編地部分31a、31bの境界線35にほぼ直角方向に、1本の帯状の緊締部32aのうちの弱い緊締部322aが形成されている。弱い緊締部322aは、緊締力の相対的に弱い編地部分31bに重なるように左右2箇所に段差を有して分かれており、その中間部に強い緊締部321aが、緊締力の相対的に強い編地部分31aに重なって形成されている。強い緊締部321aは、前方側が上方になるように傾斜して形成されている。
【0040】
ここで、弱い緊締部322aと境界線35は、ほぼ直角方向としたが、他の交差角度であってもよく、強い緊締部321aと弱い緊締部322aからなる帯状の緊締部32aが境界線35と交差していればよい。また、緊締力の相対的に弱い編地部分31bと弱い緊締部322aが位置的に重なり、緊締力の相対的に強い編地部分31aと強い緊締部321aとが位置的に重なるようにしたが、これらが位置的にずれていてもよく、緊締力の強い編地部分31aと強い緊締部321aの少なくとも一部が重なっていればよい。そして、この重なった部分は、編地の地組織自体の緊締力が強いことと緊締部32aのうちの強い緊締部321aが重なることによって、緊締力をさらに強められたものとなっている。
【0041】
緊締部32aは、着用者の大腿上部外周に位置しており、そのうちの強い緊締部321aはヒップの両脇部に位置している。そのため、着用者は、大腿上部からヒップ下部を緊締されるとともに、特に強い緊締部321aによってヒップの両脇部の膨出を防止され、体型を整形される。また、ヒップの脇部は強い緊締部321aの箇所に限らずその上下部分の編地31aは緊締力が他の編地部分31bよりは強く形勢されているために、ヒップの脇部全体を締めることができる。さらに、強い緊締部321aは上下方向に傾斜し、弱い緊締部322aの長手方向と傾斜する部分を有することとなっているために、緊締部32a全体が同一円周状のリングとならず、特に強い緊締部321aでの圧迫感を緩和することができる。
【0042】
次に、ガードル1の身頃2を構成する生地3について、図16により説明する。図16は、図2と同じくガードル1の左側の身頃2を作製するための1単位の生地3を示す概念図である。生地3は、矢印Sで示す方向に糸が供給されて編まれた経編地であって、地組織で構成される生地本体部31の一部に1本の帯状の緊締部32aが形成されており、この緊締部32aは、図15で説明したとおりの強い緊締部321aと弱い緊締部322aから構成されている。また、上下の縁には、糸の解れを防止するためのヘム33が形成されている。図16に示す生地から左側の身頃2を裁断し、同様に図16のものと左右対称な生地から右側の身頃2を裁断して、これらと腹部布やクロッチとを縫製することでガードル1を作製すること、生地3が8単位を一体として経編機によって得られることは、図1〜図3の場合と同様である。
【0043】
図1〜図3の場合と大きく相違することは、図16において、生地3の右端から境界線35に至るまでは、地組織が、例えば図17の左側に示す1/2トリコット組織で編成され、その後左側の境界線35に至るまでの範囲は、図17の右側に示すような1/3トリコット組織によって編成されていることである。1/2トリコット組織に対し、1/3トリコット組織は、使用される糸の量も多く相対的に強い緊締力を備えることになる。なお、地組織と同時に、緊締力を強めるための糸が編み込まれて緊締部31が形成されることは、図1〜図7の場合と同様である。
【0044】
また、緊締力の異なる地組織としては、このような1/2トリコット組織、1/3トリコット組織に限らず、例えば編目の粗いネット組織(メッシュ組織)を緊締力の相対的に弱い編地部分31bとし、それよりも編目の細かい各種サテン組織を相対的に緊締力の強い編地部分31aとするなど、適宜の組織を採用することができる。また、このような異なる地組織の種類として3種以上としてもよく、編地部分の区分についても4区分以上としても、2区分としてもよい。また、緊締部32aの編組織は図8、図9で説明したように各種のものであってよく、緊締部の形状についても図10に例示したように各種のものを採用できる。
【0045】
また、図15、図16及びその変形例として説明したものにおいては、編地の全ての境界線35は、帯状の緊締部32aと交差するように形成されていることから、緊締部32aは隣接する生地本体部31の各編地部分31a、31bと全ての隣接部分でそれぞれに共通の地組織となっている。しかし、例えば、緊締部32aの地組織を、強い緊締部321aも弱い緊締部322aも全てに渡って、強い緊締力の編地部分31aと同じ地組織とすることもできる。この場合、緊締部32aのうちで強い緊締力の編地部分31aと隣接する部分のみが生地本体部31と共通の地組織となり、弱い緊締力の編地部分31bとの隣接部分では地組織が異なることになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態の衣類であるガードルの前方斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における生地の1単位を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態における生地の編成単位を示す概念図である。
【図4】編組織と組織図の一般的説明図である。
【図5】本発明の実施形態における地組織を示す組織図である。
【図6】本発明の実施形態における地組織を示す組織図である。
【図7】本発明の実施形態における緊締力を強めるための糸の組織図である。
【図8】本発明の実施形態における緊締力を強めるための糸の挿入組織の変形例である。
【図9】本発明の実施形態における緊締力を強めるための糸のルーピング組織の変形例である。
【図10】本発明の実施形態における緊締部の変形例を示す概念図である。
【図11】本発明のガードルの腹部布への適用例を示す前方斜視図である。
【図12】本発明のガードル後部への適用例を示す後方斜視図である。
【図13】本発明のショート丈のガードルへの適用例を示す後方斜視図である。
【図14】本発明のショート丈のガードルへの他の適用例を示す後方斜視図である。
【図15】本発明のガードルへの他の適用例を示す真横から見た図である。
【図16】図15のガードルの生地を示す概念図である。
【図17】図16の生地の地組織を示す組織図である。
【符号の説明】
【0047】
1・・・ガードル、2・・・身頃、3・・・生地、31・・・生地本体部、31a・・・緊締力の強い編地部分、31b・・・緊締力の弱い編地部分、32a、32b・・・緊締部、321a、321b・・・強い緊締部、322a、322b・・・弱い緊締部、33・・・ヘム、34・・・境界、35・・・編地部分の境界線、4・・・腹部布、5・・・ショート丈のガードル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体に密着する衣類であって、
帯状の緊締部を有し、
前記緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、
前記緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、前記強い緊締部と前記弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、
緊締力を強めるための前記糸の編組織は、前記強い緊締部ではルーピング組織を前記弱い緊締部よりも多く含み、前記弱い緊締部では挿入組織を前記強い緊締部よりも多く含むものである衣類。
【請求項2】
体に密着する衣類であって、
帯状の緊締部を有し、
前記緊締部及び前記緊締部に隣接する少なくとも一部の生地本体部は、共通の地組織で構成され、
前記緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、
前記緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、前記強い緊締部と前記弱い緊締部に渡って連続的に前記地組織に編み込まれており、
緊締力を強めるための前記糸の編組織は、前記強い緊締部ではルーピング組織を前記弱い緊締部よりも多く含み、前記弱い緊締部では挿入組織を前記強い緊締部よりも多く含むものである衣類。
【請求項3】
体に密着する衣類であって、
帯状の緊締部を有し、
生地本体部は、緊締力の異なる地組織からそれぞれ形成される複数の編地部分から構成されていて、前記複数の編地部分の境界線と前記帯状の緊締部とは交差しており、
前記緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、
前記緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、前記強い緊締部と前記弱い緊締部に渡って連続的に前記地組織に編み込まれており、
緊締力を強めるための前記糸の編組織は、前記強い緊締部ではルーピング組織を前記弱い緊締部よりも多く含み、前記弱い緊締部では挿入組織を前記強い緊締部よりも多く含み、前記複数の編地部分のうちの相対的に緊締力の強い編地部分と前記強い緊締部との少なくとも一部が重なっているものである衣類。
【請求項4】
前記強い緊締部は、前記弱い緊締部の長手方向と傾斜する部分を有するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項1】
体に密着する衣類であって、
帯状の緊締部を有し、
前記緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、
前記緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、前記強い緊締部と前記弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、
緊締力を強めるための前記糸の編組織は、前記強い緊締部ではルーピング組織を前記弱い緊締部よりも多く含み、前記弱い緊締部では挿入組織を前記強い緊締部よりも多く含むものである衣類。
【請求項2】
体に密着する衣類であって、
帯状の緊締部を有し、
前記緊締部及び前記緊締部に隣接する少なくとも一部の生地本体部は、共通の地組織で構成され、
前記緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、
前記緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、前記強い緊締部と前記弱い緊締部に渡って連続的に前記地組織に編み込まれており、
緊締力を強めるための前記糸の編組織は、前記強い緊締部ではルーピング組織を前記弱い緊締部よりも多く含み、前記弱い緊締部では挿入組織を前記強い緊締部よりも多く含むものである衣類。
【請求項3】
体に密着する衣類であって、
帯状の緊締部を有し、
生地本体部は、緊締力の異なる地組織からそれぞれ形成される複数の編地部分から構成されていて、前記複数の編地部分の境界線と前記帯状の緊締部とは交差しており、
前記緊締部は、帯状の長手方向において切り替わる、緊締力の相対的に強い部分である強い緊締部と緊締力の相対的に弱い部分である弱い緊締部からなり、
前記緊締部においては、緊締力を強めるための糸が、前記強い緊締部と前記弱い緊締部に渡って連続的に前記地組織に編み込まれており、
緊締力を強めるための前記糸の編組織は、前記強い緊締部ではルーピング組織を前記弱い緊締部よりも多く含み、前記弱い緊締部では挿入組織を前記強い緊締部よりも多く含み、前記複数の編地部分のうちの相対的に緊締力の強い編地部分と前記強い緊締部との少なくとも一部が重なっているものである衣類。
【請求項4】
前記強い緊締部は、前記弱い緊締部の長手方向と傾斜する部分を有するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の衣類。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−113125(P2007−113125A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303480(P2005−303480)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(306033379)株式会社ワコール (116)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(306033379)株式会社ワコール (116)
【Fターム(参考)】
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