説明

表示システム、表示装置、及び、表示装置の制御方法

【課題】簡単な準備を行うだけで、表示装置によって画像を表示中に時間経過等の所定の条件が成立した場合に、周囲の人に気付かれることなく表示装置の使用者に報知を行うことが可能な表示システム、表示装置、及び、表示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】表示システム10は、画像を表示するプロジェクター100と、プロジェクター100の使用者が所持するためのポインター200とを備え、プロジェクター100は、画像の表示を開始した後、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定部123と、所定の条件が成立したと判定された場合に、ポインター200にトリガー信号を送信する信号送信制御部124とを備え、ポインター200は、プロジェクター100から送信されたトリガー信号を受信する無線通信部203と、無線通信部203によりトリガー信号が受信されると振動する振動発生部204とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム、表示装置、及び、表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクター等の表示装置によって画像を表示しながら話者が解説を行うプレゼンテーションが広く行われている。多くの場合、話者が表示装置を操作して画像の表示送り等を行っているが、話者は限られた時間内に画像を適切なタイミングで切り換えてプレゼンテーションを進行する必要があり、負担が大きかった。そこで、話者に対して画像を切り換えるタイミングを報知する技術が提案された(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、プレゼンテーションを行う話者が持つリモコン装置がタイマーを内蔵し、設定した時間が経過するとリモコン装置が振動して、画像を切り換えるタイミングを伝えるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−49434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のシステムではリモコン装置が振動する時間を予め設定する作業を要する。話者はプレゼンテーションの事前の準備としてやるべきことが多く、その上でリモコン装置にタイマーの設定を行うことや、リモコン装置が内蔵するタイマーの管理を行うことは負担が大きいという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な準備を行うだけで、表示装置によって画像を表示中に時間経過等の所定の条件が成立した場合に、周囲の人に気付かれることなく表示装置を使用する使用者に報知を行うことが可能な表示システム、表示装置、及び、表示装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、画像を表示する表示装置と、当該表示装置の使用者が所持するための端末装置とを備え、前記表示装置は、前記画像の表示を開始した後、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、前記条件判定手段によって前記所定の条件が成立したと判定された場合に、前記端末装置に所定の信号を送信する送信手段と、を備え、前記端末装置は、前記表示装置から送信された前記所定の信号を受信する受信手段と、前記受信手段により前記所定の信号が受信されると振動する振動発生手段と、を備えること、を特徴とする。
本発明によれば、画像の表示開始後に所定の条件が成立すると、表示装置から、表示装置の使用者が所持する端末へ所定の信号が送信され、端末装置が振動するので、所定の条件が成立したことを周囲の人に気付かれることなく使用者に報知できる。また、表示装置が所定の条件の成立を判定して所定の信号を送信するので、表示装置に所定の条件を設定すればよく、端末装置側に設けたタイマーを動作させる場合等に比べて簡単な準備をすればよい。このため、使用者の負担を軽減できる。
【0006】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記表示装置は、前記画像の表示開始からの経過時間を計時する計時手段を備え、前記条件判定手段は、前記計時手段が計時する経過時間が所定の時間に到達した場合に、前記所定の条件が成立したと判定することを特徴とする。
本発明によれば、画像の表示開始から所定の時間が経過したことを、周囲の人に気付かれることなく表示装置の使用者に報知できる。また、表示装置において計時を行い、所定の時間に到達したことを判定するので、端末装置側への依存が小さく、管理の手間が少なくてすむ。さらに、事前の準備として、端末装置側に設けたタイマーを動作させる場合等に比べて簡単な、表示装置への時間の設定等をすればよいので、使用者の負担を軽減できる。
【0007】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記表示装置は、前記画像の表示順序と前記所定の条件とを規定した制御データに基づいて、前記制御データにより規定される表示順序で前記画像を表示する再生手段を備え、前記条件判定手段は、前記制御データにより規定される前記所定の条件が成立したか否かを判定することを特徴とする。
本発明によれば、画像の表示順序と所定の条件とを規定する制御データを用意しておくことで、この所定の条件が成立したことを表示装置の使用者に報知できる。従って、事前の準備が極めて容易であり、使用者の負担を軽減できる。
【0008】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記条件判定手段は、複数の前記所定の条件について、成立したか否かを個別に判定し、前記送信手段は、前記条件判定手段が成立したと判定した前記所定の条件に対応する振動パターンを指定する前記所定の信号を送信し、前記振動発生手段は、前記受信手段が受信した前記所定の信号により指定された振動パターンで振動することを特徴とする。
本発明によれば、複数の条件について、条件が成立したことを使用者に報知することが可能であり、振動パターンの違いによって、成立した条件がどの条件かを使用者に報知できる。
【0009】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記表示装置は、前記画像を投射面に投射するプロジェクターであって、前記端末装置は、指示光を照射する指示光照射手段を有するポインターであることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクターによって画像を表示中にポインターを振動させて、投射面に指示光を照射するポインターを所持する使用者に対し、所定の条件の成立を報知できる。これにより、プロジェクターで画像を表示させるプレゼンテーション等の進行に影響を与えることなく、プロジェクターの使用者に報知を行うことができる。
【0010】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記表示装置は、前記画像を投射面に投射するプロジェクターであって、前記端末装置には、前記投射面に対して指示光を投射するポインターに接続可能な接続部が設けられたことを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクターが画像を投射する投射面に指示光を照射するため、プロジェクターの使用者が所持するポインターに、端末装置を装着できる。これにより、プロジェクターで画像を表示させるプレゼンテーション等の進行に影響を与えることなく、プロジェクターの使用者に報知を行うことができる。また、表示装置が送信する所定の信号を受信して振動する機能を持たないポインターを利用できる。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、入力操作を検出する入力手段と、前記入力手段により検出された入力操作に従った表示順序で画像を表示する表示手段と、前記表示手段が前記画像の表示を開始した後、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、前記条件判定手段によって前記所定の条件が成立したと判定された場合に、振動発生機能を有する端末装置を振動させる所定の信号を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、画像の表示開始後に所定の条件が成立すると、表示装置から、当該表示装置の使用者が所持する端末へ所定の信号が送信され、端末装置を振動させるので、所定の条件が成立したことを周囲の人に気付かれることなく使用者に報知できる。また、表示装置が所定の条件の成立を判定して所定の信号を送信するので、表示装置に所定の条件を設定すればよく、端末装置側に設けたタイマーを動作させる場合等に比べて簡単な準備をすればよい。このため、使用者の負担を軽減できる。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明は、入力操作に従った表示順序で画像を表示するとともに、前記画像の表示開始後、所定の条件が成立したか否かを判定し、前記所定の条件が成立したと判定した場合に、振動発生機能を有する端末装置を振動させる所定の信号を送信すること、を特徴とする。
本発明によれば、画像の表示開始後に所定の条件が成立すると、表示装置から、当該表示装置を使用する使用者が所持する端末へ所定の信号が送信され、端末装置が振動するので、所定の条件が成立したことを周囲の人に気付かれることなく使用者に報知できる。また、表示装置が所定の条件の成立を判定して所定の信号を送信するので、表示装置に所定の条件を設定すればよく、端末装置側に設けたタイマーを動作させる場合等に比べて簡単な準備をすればよい。このため、使用者の負担を軽減できる。
【0013】
また、本発明は、表示装置を制御するコンピューターによって実行可能なプログラムであって、上記コンピューターを、入力操作を検出する入力手段と、前記入力手段により検出された入力操作に従った表示順序で画像を表示する表示手段と、前記表示手段が前記画像の表示を開始した後、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、前記条件判定手段によって前記所定の条件が成立したと判定された場合に、振動発生機能を有する端末装置を振動させる所定の信号を送信する送信手段と、して機能させるプログラムとして実現することもできる。
また、本発明は、表示装置を制御するコンピューターによって実行可能なプログラムを、上記コンピューターにより読み取り可能に記録した記録媒体であって、上記プログラムは、上記コンピューターを、入力操作を検出する入力手段と、前記入力手段により検出された入力操作に従った表示順序で画像を表示する表示手段と、前記表示手段が前記画像の表示を開始した後、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、前記条件判定手段によって前記所定の条件が成立したと判定された場合に、振動発生機能を有する端末装置を振動させる所定の信号を送信する送信手段と、して機能させるプログラムとして実現することもできる。
これらの態様により実現されるプログラムを実行することにより、表示装置を制御して、画像の表示開始後に所定の条件が成立すると、表示装置から、当該表示装置の使用者が所持する端末へ所定の信号が送信され、端末装置が振動するので、所定の条件が成立したことを周囲の人に気付かれることなく使用者に報知できる。また、表示装置が所定の条件の成立を判定して所定の信号を送信するので、表示装置に所定の条件を設定すればよく、端末装置側に設けたタイマーを動作させる場合等に比べて簡単な準備をすればよい。このため、使用者の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像の表示開始後、所定の条件が成立したことを周囲の人に気付かれることなく、表示装置の使用者に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る表示システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図2】プロジェクターにより再生されるプレゼンテーションファイルの構成例を模式的に示す図である。
【図3】ポインターの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】プロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【図5】プロジェクターが実行する振動制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図6】ポインターの動作を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係るポインターの機能的構成を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態に係るポインターの機能的構成を示すブロック図である。
【図9】第4の実施形態に係る設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る表示システム10の全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、表示システムは、プロジェクター100(表示装置)と、当該プロジェクター100の使用者である操作者が所持(把持)するためのポインター200(端末装置)とを有する。
【0017】
プロジェクター100には、パーソナルコンピューターや各種映像プレーヤー等の外部の画像供給装置(図示略)から画像信号が入力される。また、プロジェクター100は、内蔵する記憶装置や外部の記憶装置が記憶する各種の画像ソース(後述するプレゼンテーションファイル165)を取得可能に構成されている。
プロジェクター100は、外部から入力される画像信号または上記記憶装置から取得した画像ソースから生成された画像信号に基づいて変調された光を、スクリーンSCなどの投射面上に投射し、画像(以下、投射画像という)として表示させる。本実施例では、スクリーンSCはほぼ直立しており、スクリーン面は矩形形状とされている。プロジェクター100に入力される画像は動画像(映像)と静止画像のどちらでもよく、プロジェクター100は映像をスクリーンSCに投射することも、静止画像をスクリーンSCに投射し続けることも可能である。
【0018】
プロジェクター100は、例えばプレゼンテーションに使用される。この場合、プロジェクター100が画像を投射するスクリーンSCの横に、プロジェクター100を操作する操作者(話者)が立ち、投射中の画像を用いてプレゼンテーションを行う。操作者は、プロジェクター100を操作するリモコン172を所持しており、このリモコン172の操作によってプロジェクター100が投射する画像の切り替え等を指示する。
また、操作者が所持するポインター200は、スクリーンSCに対して指示光を照射するレーザーポインターである。このポインター200は、プロジェクター100との間で無線信号を送受信する通信機能と、ポインター200自体を振動させる振動発生機能とを備えている。プロジェクター100は、振動発生に対応するトリガー信号(所定の信号)をポインター200に送信し、このトリガー信号をポインター200の通信機能により受信させることで、振動発生のタイミングを指定する。この振動発生機能により、プレゼンテーション中に、聴衆に気づかれないように操作者に対して報知を行うことができ、例えば、スクリーンSCに投射する画像の切り替えタイミングを知らせることができる。
【0019】
プロジェクター100は、外部の画像供給装置からケーブル11を介して入力されたアナログ入力信号をA/D変換し、変換後のデジタル信号を後述する画像用プロセッサー131に出力するA/D変換部110を備えている。
また、プロジェクター100は、可搬型のストレージメディア164を着脱自在に接続するためのインターフェースとして、メディア接続部163を備えている。外部の記憶装置であるストレージメディア164は、例えば、半導体メモリーデバイスを備えたスティック型、カード型あるいはチップ型等の形状を有する可搬型の記憶装置、或いは、ハードディスク装置であって、上述したプレゼンテーションファイル165等を記憶している。ストレージメディア164としてディスク型の光学的記録媒体を用いてもよい。メディア接続部163は、CPU120の制御に従って、接続されたストレージメディア164から、プレゼンテーションファイル165を含む各種データを読み出し、読み出したデータを出力する。
プロジェクター100は、ストレージメディア164から読み取ったプレゼンテーションファイル165等のデータをもとに画像を表示することも、A/D変換部110を介して外部の画像供給装置から入力される画像信号に基づいて画像を表示することも可能である。以下の実施形態では、ストレージメディア164から読み取ったデータに基づいて画像を表示する場合を例に挙げて説明する。
【0020】
プロジェクター100は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う光学系と、画像信号の再生制御を行う画像処理系とから構成される。光学系としての投射部160(表示部)は、照明光学系140、光変調装置としての液晶パネル130、投射光学系150から構成されている。
照明光学系140は、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)等からなる光源を備えている。照明光学系140は、光源が発した光を液晶パネル130に導くリフレクター及び補助リフレクターを備えていてもよく、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群、偏光板、或いは光源が発した光を液晶パネル130に至る経路上で減光させる調光素子(図示略)等を備えたものであってもよい。
【0021】
液晶パネル130は、後述する画像処理系からの信号を受けて、照明光学系140からの光を変調する。液晶パネル130は、カラーの投影を行うため、RGBの三原色に対応した3枚の液晶パネルを備えて構成される。照明光学系140からの光はRGBの3色の色光に分離され、各色の光は対応する各液晶パネルに入射する。各液晶パネルを通過して変調された色光はクロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、投射光学系150に射出される。
【0022】
投射光学系150には、投射する画像の拡大・縮小及び焦点の調整を行うズームレンズ151、ズームの度合いを調整するズーム調整用モーター152、フォーカスの調整を行うフォーカス調整用モーター153が備えられている。投射光学系150は、液晶パネル130で変調された光を入射し、ズームレンズ151を用いて、スクリーンSC上に投射画像を結像する。ズームレンズ151は、ズーム調整用モーター152とフォーカス調整用モーター153とによって、レンズの位置などが調整され、スクリーンSC上の投射画像の拡大・縮小を行うズーム調整や、スクリーンSC上に投射画像を適正に結像させるフォーカス調整を行う。
【0023】
また、画像処理系は、プロジェクター100全体を統合的に制御するCPU120と画像用プロセッサー131とを中心に構成され、A/D変換部110、光変調装置駆動部132、レンズ駆動部154、RAM161、ROM162、メディア接続部163、リモコン制御部171、リモコン172、操作部173、ポインター通信部181、音声出力部191、スピーカー192等を備える。これらの画像処理系を構成する各要素は、バス101を介して互いに接続されている。
【0024】
CPU120は、ROM162に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、プロジェクター100の各部を制御する。CPU120は、上記制御プログラムを実行して、ストレージメディア164から読み取ったプレゼンテーションファイル165等のファイルを解析して再生するファイル再生部121(再生手段)と、計時を行うタイマー部122(計時手段)と、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定部123(条件判定手段)と、後述するポインター200にトリガー信号を送信する信号送信制御部124(送信手段)として機能する。
ファイル再生部121は、メディア接続部163によってストレージメディア164から読み取られたプレゼンテーションファイル165等のファイルのうち、操作部173が検出した操作またはリモコン172の操作によって指定されたファイルを再生する。
タイマー部122は、RTC(Real Time Clock)やシステムタイマー等により実現され、ファイル再生部121がファイルの再生を開始するとともに計時を開始し、カウント値を出力する。条件判定部123は、ファイル再生部121により再生されるファイルに、ポインター200を振動させる条件が含まれている場合に、この条件が成立したか否かを判定する。信号送信制御部124は、条件判定部123によって条件が成立したと判定された場合に、ポインター通信部181(送信手段)によってポインター200へトリガー信号を送信させる。
【0025】
図2は、プロジェクター100が再生するプレゼンテーションファイル165の構成例を模式的に示す図である。
この図2に示すように、プレゼンテーションファイル165は、再生データ165Aと、画像ファイルの再生順等を規定する制御データ165Bとを含んでいる。
再生データ165Aは、再生の対象となる複数の画像ファイル及び音声ファイルから構成され、それぞれのファイルには他のファイルと識別可能な固有の識別子(例えば、ファイル名)が付与されている。画像ファイルは、投射部160によりスクリーンSCに投射される画像のデータであり、音声ファイルは、後述する音声出力部191によって再生出力される音声のデータである。これら画像ファイル及び音声ファイルのファイルフォーマットや符号化方式等は特に制限されない。
制御データ165Bは、再生データ165Aに含まれる画像ファイル及び音声ファイルの再生順序や再生方法を規定する情報、画像ファイルについては表示位置やズーム倍率等を規定する情報を含んでいる。また、制御データ165Bには、リモコン172の操作を待機するタイミングを指定する情報、表示する画像を切り換えるまでの待機時間等を規定するものである。
さらに、制御データ165Bは、ポインター200が有する振動発生機能を作動させる条件、及び、ポインター200を振動させる振動パターンを規定する情報を含んでいる。
【0026】
図2に示すように、制御データ165Bは、一連の制御項目C1〜C9を含んでいる。各々の制御項目C1〜C9は、プロジェクター100が実行する個別の動作を指定しており、プロジェクター100が実行すべき順で制御データ165Bに含まれている。つまり、制御データ165Bは、プロジェクター100の動作シーケンスを規定する情報となっている。制御データ165Bは、CPU120のファイル再生部121により解析され、この制御データ165Bに従ってファイル再生部121が画像ファイルの表示、音声ファイルの再生、操作の待機、トリガー信号の送信等を制御する。
【0027】
制御項目C1〜C9のうち、画像ファイルまたは音声ファイルを処理する制御項目は、再生データ165Aに含まれる画像ファイルや音声ファイルに対応づけられている。ファイル再生部121は、各制御項目C1〜C9の実行時に、対応づけられたファイルを再生データ165Aから取得する。
制御データ165Bの制御項目には、音声ファイルや画像ファイルの再生を指示する再生指示情報と、ポインター200を振動させる動作に関する振動条件情報とがある。図2の例では制御項目C2、C3、C5〜C7が再生指示情報であり、制御項目C1、C8が振動条件情報である。また、制御項目C4、C9はCPU120の動作を規定する制御情報である。
【0028】
例えば、最初の制御項目C1は、ポインター200を振動させる条件を指定した振動条件情報であって、プレゼンテーションファイル165の再生開始後、25分が経過した場合に、振動パターンAでポインター200を振動させることを規定している。この制御項目C1は振動に関する条件の設定を行う制御項目であるから、ファイル再生部121が制御項目を参照した場合は「25分後」に「振動パターンA」とする設定を行う。制御項目C2は、再生データ165Aに含まれる画像ファイル1の表示(再生)を指示する。制御項目C2を参照したファイル再生部121は、速やかに再生データ165Aから、指定された画像ファイル1を取得して画像用プロセッサー131により表示させる。また、制御項目C2には画像ファイル1の表示位置、及び、表示エフェクト(表示中の画像に加える視覚的効果)を指定する情報も含まれているので、この情報に従って、画像用プロセッサー131は画像ファイル1を表示する。
【0029】
同様に、制御項目C3は、再生データ165Aに含まれる音声ファイル1の再生を指示する項目である。制御項目C4は、リモコン172又は操作部173を介して、所定の操作が入力されるまで待機することを規定している。つまり、制御項目C3で規定された音声ファイル1の再生が終了すると、CPU120は、制御項目C4の指示通りに所定の操作が入力されるまで待機する。所定の操作の内容は、制御項目C4で指定される。この所定の操作が行われると、ファイル再生部121は次の制御項目C5を参照し、指定された画像ファイル2を表示する。また制御項目C6及びC7は、それぞれ画像ファイル3及び4の再生を指示する項目である。
制御項目C8は、ポインター200を振動させる動作を指示する項目である。この制御項目C8を参照し、実行すると、ファイル再生部121は、制御項目C8で指定される振動パターンBでポインター200を振動させるための動作を、速やかに実行する。これにより、制御項目C7に従って画像ファイル4を再生した後、速やかにポインター200が振動する。制御項目C9は、制御データ165Bの終端を指示しており、この制御項目C9を参照すると、ファイル再生部121は画像の表示を終え、動作を終了する。
【0030】
このように、ファイル再生部121は、制御データ165Bに含まれる制御項目を順次実行することで、再生データ165Aに含まれる各種ファイルを順に再生する。また、ファイル再生部121は、制御データ165Bに含まれる制御項目のうち振動条件情報に従って、ポインター200を振動させる条件を設定する。条件判定部123は、この条件が成立したか否かを、プロジェクター100の動作中に監視し、条件が成立すると、信号送信制御部124によりポインター200を振動させるためのトリガー信号を送信する。ここで、成立した条件に対応する制御項目に、振動パターンが規定されている場合、信号送信制御部124は、この振動パターンでポインター200を振動させるためのトリガー信号を送信する。
【0031】
図1に戻り、画像用プロセッサー131は、A/D変換部110やCPU120から入力された画像データをもとに、輝度、コントラスト、色の濃さ、色合い、投射画像の形状等の画像の表示状態を調整する処理を行って、表示用の画像データを生成し、この表示用の画像を表示するための画像信号を生成して光変調装置駆動部132に出力する。
光変調装置駆動部132は、画像用プロセッサー131から入力される画像信号に基づいて液晶パネル130を駆動し、液晶パネル130に画像を描画する。この液晶パネル130に描画された画像によって照明光学系140が発した光が変調され、スクリーンSC上に投射画像として形成される。
【0032】
レンズ駆動部154は、フォーカス調整用モーター153を駆動してフォーカス調整(光学調整)を行う。フォーカス調整を行うためには、ズームレンズ151のズーム比が必要である。このズーム比は、例えば、ズーム調整用モーター152によるズームレンズ151の駆動量から算出すればよい。
RAM161は、CPU120が実行するプログラムやデータを一時的に格納するワークエリアを形成する。ROM162は、上述した各処理部を実現するためにCPU120が実行する制御プログラムやデータ等を記憶する。
【0033】
リモコン制御部171は、プロジェクター100の外部のリモコン172から送信される無線信号を受信する。リモコン172は、操作者によって操作される操作子(図示略)を備え、操作子に対する操作に応じた操作信号を赤外線信号または所定周波数の電波を用いた無線信号として送信する。リモコン制御部171は、赤外線信号を受信する受光部(図示略)や無線信号を受信する受信回路(図示略)を備え、リモコン172から送信された信号を受信し、解析して、操作者による操作の内容を示す信号を生成してCPU120に出力する。操作部173(操作部)は、操作子(図示略)を備え、操作子に対する操作に応じた操作信号をCPU120に出力する。この操作子としては、電源オン/オフを指示するスイッチ、投影画像の切り換えを指示するスイッチ等がある。
【0034】
ポインター通信部181(送信部)は、プロジェクター100の操作者が所持するポインター200と通信を行うための通信インターフェースである。
ポインター通信部181は、CPU120の制御に従って、振動開始を指示するとともに振動パターンを指定するトリガー信号を、ポインター200に送信する。ポインター通信部181は、ポインター200との間で通信可能であれば特に制限はないが、Bluetooth(登録商標)や無線LAN等の指向性の低い無線通信インターフェースを用いることが好ましい。
【0035】
音声出力部191は、CPU120が再生の対象とした音声ファイルのデジタル信号をD/A変換し増幅等の音響処理を施した後、この音響処理後のアナログ信号をスピーカー192に出力する。スピーカー192は、音声出力部191から入力されたアナログ信号を音声として出力する。なお、図1の構成では、スピーカー192をプロジェクター100が内蔵する形態としたが、これに限らず、外付けされたスピーカーを介して音声を出力する形態としてもよい。
【0036】
次に、図3を参照して、ポインター200の構成について説明する。
図3は、ポインター200の機能的構成を示すブロック図である。ポインター200は、スクリーンSCに投影中の画像を指し示す等の目的で用いられるポインターであり、例えばレーザーポインターである。ポインター200は、発光部201(指示光照射手段)、スイッチ部202、無線通信部203(受信手段)、振動発生部204(振動発生手段)、振動制御部205(振動発生手段)、及び、これらの各部に電源を供給する二次電池等を備えた電源部206等により構成される。
【0037】
発光部201は、指向性及び収束性を有する光を出力するレーザー発振機等を備えている。スイッチ部202は、発光部201から出力される光のオン/オフを切り換えるための切り換えスイッチである。発光部201は、スイッチ部202のオン/オフ操作に応じて、発光/消灯を切り換える。
無線通信部203(受信部)は、プロジェクター100のポインター通信部181と通信を行うための通信インターフェースである。なお、無線通信部203の通信規格は、ポインター通信部181の通信規格に準ずるものとする。
振動発生部204(振動発生手段)は、例えば、偏芯した錘と錘を回転させるモーターとを含む振動用モーターを有し、振動制御部205の制御に従って振動用モーターを回転させることでポインター200を振動させる。
振動制御部205は、無線通信部203を介してプロジェクター100から受信したトリガー信号をもとに、振動パターンを識別し、この振動パターンに従って振動発生部204を振動させる。
電源部206は、図示しない電力供給線を通じてポインター200の各部に電力を供給する。
【0038】
ここで、振動パターンは、振動用モーターの駆動時間と駆動回数とから構成されるものである。例えば、「振動パターンA」は、振動用モーターを0.5秒間隔で3回振動させる動作であり、「振動パターンB」は、振動用モーターを0.5秒間隔で2回振動させる動作であり、「振動パターンC」が振動用モーターを0.5秒、0.25秒間隔で交互に5回振動させる動作とすることができる。このように、複数の振動パターンを使い分けることで、振動の仕方によって操作者に異なる内容を報知できる。つまり、操作者に対して振動で報知を行うとともに、その報知がどのような内容かを知らせることができる。本実施形態では、制御データ165Bの振動条件情報によって振動パターンが規定されるので、例えば、画像の表示開始から所定時間(図2の例では25分)が経過したことを報知する振動なのか、最後の画像が表示されたことを報知する振動なのかを、振動パターンの違いにより知らせることができる。
【0039】
なお、トリガー信号に振動パターンを指定する機能を持たせる具体的な方法は任意であり、例えば、トリガー信号をデジタルデータとして、振動パターンを指定する情報をデジタル伝送してもよい。また、トリガー信号の信号波形を、振動発生部204の振動用モーターの駆動時間及び駆動回数を表す波形にしてもよい。また、振動パターン毎の駆動時間及び駆動回数を関連付けた設定テーブルを、振動制御部205が内蔵するROM等の記憶媒体に予め記憶しておき、プロジェクター100から振動パターンを指定するトリガー信号を送信し、振動制御部205が、トリガー信号で指定された振動パターンに対応する駆動時間及び駆動回数を上記記憶媒体から読み出して、振動用モーターを作動させる形態としてもよい。
【0040】
続いて、プロジェクター100の動作について説明する。
図4及び図5は、プロジェクター100の動作を示すフローチャートであり、図4は全体的な動作を示し、図5は図4のステップS15に示す振動制御処理を詳細に示す。
メディア接続部163にストレージメディア164が接続されると、CPU120は、ファイル再生部121によって、メディア接続部163を介してストレージメディア164に記憶されたプレゼンテーションファイル165を読み出す(ステップS11)。
続いて、CPU120は、リモコン172又は操作部173からプレゼンテーションファイル165の再生を指示する操作を受け付けると、ファイル再生部121によってプレゼンテーションファイル165の再生を開始する(ステップS12)。ここで、CPU120は、ファイル再生部121によってプレゼンテーションファイル165に含まれる画像ファイルまたは音声ファイルの再生を開始するタイミングで、タイマー部122による計時を開始する。この計時開始のタイミングは、音声ファイルの再生開始または画像ファイルの表示開始時であり、プレゼンテーションファイル165の再生開始と同期するとは限らない。
【0041】
CPU120は、ファイル再生部121によって、プレゼンテーションファイル165に含まれた制御データ165Bから一つの制御項目を読み出し(ステップS13)、その制御項目の内容を判別する(ステップS14〜S17)。
まず、CPU120は、読み出した制御項目の内容が、ポインター200を振動させる条件を規定した振動条件情報か否かを判別し(ステップS14)、振動条件情報であると判別した場合(ステップS14;Yes)、振動制御処理を実行し(ステップS18)、ステップS22に移行する。なお、振動制御処理は、他の処理(他の振動制御処理も含む)と並列に実行されるため、CPU120は処理の完了を待たずにステップS22に移行する。
【0042】
ここで、振動制御処理について説明する。
図5に示すように、CPU120は、ファイル再生部121により、振動条件情報に含まれている振動機能を作動させる条件として、時間の条件(再生開始からの経過時間)が指定されているか否かを判定する(ステップS31)。ここで、時間の条件が指定されていないと判定した場合(ステップS31;No)、CPU120は、この振動条件情報を処理の対象とした時点で振動機能の作動条件が成立していると判断し、ステップS34に直ちに移行する。
【0043】
また、ステップS31において、特定の時間が指定されていると判定した場合(ステップS31;Yes)、CPU120は、条件判定部123によってタイマー部122のカウント値を取得し(ステップS32)、このカウント値から経過時間を求め、経過時間が指定された時間に達したか否かを判別する(ステップS33)。条件判定部123は、指定された時間に達するまではタイマー部122のカウント値を監視しながら待機し(ステップS33;No)、指定された時間に到達すると、ポインター200を振動させる条件が成立したと判定する(ステップS33;Yes)。
【0044】
CPU120は、条件判定部123によりポインター200を振動させる条件が成立したと判定した場合、信号送信制御部124によって、制御データ165Bの制御項目で指定された指定された振動パターンを指示するトリガー信号を生成して、ポインター通信部181によってポインター200に送信させる(ステップS34)。このトリガー信号を受信したポインター200は、振動制御部205の制御により、トリガー信号で指示された振動パターンで振動発生部204を動作させ、振動する。
【0045】
また、図4の動作において、ステップS13で読み出した制御項目の内容が振動条件情報でないと判別した場合(ステップS14;No)、CPU120は、取得した制御項目が画像ファイルの再生を指示するものか否かをファイル再生部121によって判別する(ステップS15)。ここで、制御項目が画像ファイルの再生を指示するものである場合(ステップS15;Yes)、CPU120は、ファイル再生部121により再生が指示された画像ファイルを再生データ165Aから取得して、画像用プロセッサー131に出力するとともに、制御項目で指示された表示位置及び表示エフェクトで表示させるよう画像用プロセッサー131を制御し、該当する画像ファイルを投影画像として再生させ(ステップS19)、ステップS22に移行する。
【0046】
また、ステップS13で読み出した制御項目の内容が画像ファイルの再生を指示するものでないと判別した場合(ステップS15;No)、CPU120は、取得した制御項目が音声ファイルの再生を指示するものか否かをファイル再生部121によって判別する(ステップS16)。ここで、制御項目が音声ファイルの再生を指示するものと判別した場合(ステップS16;Yes)、CPU120は、再生が指示された音声ファイルを再生データ165Aから取得して再生し、音声信号または音声データを音声出力部191に出力して、この音声ファイルの音声をスピーカー192から出力(再生)させ(ステップS20)、ステップS22に移行する。
【0047】
また、ステップS13で読み出した制御項目の内容が音声ファイルの再生を指示するものでないと判別した場合(ステップS16;No)、CPU120は、取得した制御項目が操作入力の待機を指示するものか否かをファイル再生部121によって判別する(ステップS17)。ここで、制御項目が操作入力の待機を指示するものであると判別した場合(ステップS17;Yes)、CPU120は、リモコン172又は操作部173を介して所定の操作が行われるまで待機し(ステップS21)、この所定の操作が行われると、ステップS22に移行する。
一方、ステップS13で読み出した制御項目が操作入力の待機を指示するものでないと判別した場合(ステップS17;No)、CPU120は、制御項目が制御データ165Bの終端を表すものであるとして、ステップS22に直ちに移行する。
【0048】
ステップS22において、CPU120は、ファイル再生部121によって他の制御項目の処理に移行するか否かを判定する(ステップS22)。すなわち、制御データ165Bに含まれる次の制御項目を取得して処理をするかを判定する。ここで、次の制御項目に自動で移行するよう設定されている場合や、リモコン172又は操作部173を介して次の制御項目又は前の制御項目への移行が指示された場合には(ステップS22;Yes)、ステップS13に再び戻り、次の制御項目又は前の制御項目を読み出す。
【0049】
一方、ステップS22において、本処理の終了が明示的に指示された場合(ステップS22;No)、CPU120は、ステップS18の振動制御処理とともに、本処理を終了する。ここで、処理の終了が明示的に指示されるとは、例えば、リモコン172又は操作部173を介して本処理の終了が指示された場合や、他のプレゼンテーションファイル165の読み取りが指示された場合が挙げられる。なお、制御データ165Bの終端に到達した場合であっても、画像ファイル等を再度再生することが想定されるため、本処理の終了が明示的に指示された状態とは判断しないものとする。ここで処理を継続する場合、CPU120は、制御データ165Bの先頭の制御項目に戻って処理を継続するか、或いは、ストレージメディア164内の他のプレゼンテーションファイル165を検索して読み出すことが考えられる。
【0050】
例えば、図2に示したプレゼンテーションファイル165を用いた場合、CPU120は、まず制御データ165Bの制御項目C1を実行対象とし、上述した振動制御処理のステップS33において25分間の待機を行う。また、CPU120は、制御項目C1の時間条件を設定した後は、振動制御処理と並行して、制御項目C2及び制御項目C3を順次実行する。これにより、時間経過を待機しながら画像ファイル1及び音声ファイル1の再生を順次行う。また、制御項目C4は操作入力の待機を指示するので、CPU120はリモコン172又は操作部173からの操作入力を待機する。ここで、リモコン172又は操作部173から操作入力が行われると、CPU120は、制御項目C5〜C7の実行により、画像ファイル2〜4の再生(表示)を順次行う。
【0051】
これに対し、制御項目C8は時間的条件を定めないでポインター200を振動させるよう指示する項目であるから、CPU120は条件判定部123によって、条件が即時成立したと判定する。これにより、信号送信制御部124によって振動パターンBのトリガー信号がポインター200に送信される。なお、制御項目C2〜C9をファイル再生部121が解析(判定)して実行中であっても、経過時間が25分間に到達すると、CPU120は条件判定部123によって条件が成立したと判定し、信号送信制御部124によって振動パターンAのトリガー信号をポインター200に送信する。
このため、再生開始から25分が経過すると、ポインター200は振動パターンAで振動し、最後の画像の再生が行われると、ポインター200は振動パターンBで振動する。このため、操作者は、自分が感じた振動パターンの違いをもとに、プレゼンテーション開始から25分が経過したこと、及び、表示された画像が最後の画像であることを、聴衆には気づかれずに、知ることができる。
【0052】
次に、ポインター200の動作について説明する。
図6は、ポインター200の動作を示すフローチャートである。
ポインター200の振動制御部205は、無線通信部203がプロジェクター100からトリガー信号を受信すると(ステップS41)、受信したトリガー信号により指定される振動パターンを判定する(ステップS42)。続いて、振動制御部205は、トリガー信号で指示される振動パターンで振動発生部204を作動させることで、ポインター200自体を振動させ(ステップS42)、処理を終了する。なお、上述したようにトリガー信号自体の波形によって振動パターンが示されている場合、振動制御部205は、このトリガー信号の波形を反映するように振動発生部204を駆動する。
【0053】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る表示システムによれば、操作者のリモコン172または操作部173による操作に応じて画像を表示するプロジェクター100と、操作者が所持するポインター200とを備え、プロジェクター100は、画像の表示を開始した後、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定部123と、条件判定部123によって所定の条件が成立したと判定された場合に、ポインター200にトリガー信号を送信する信号送信制御部124とを備え、ポインター200は、プロジェクター100から送信されたトリガー信号を受信する無線通信部203と、無線通信部203によりトリガー信号が受信されると振動する振動発生部204とを備え、画像の表示開始後に所定の条件が成立すると、プロジェクター100から操作者が所持する端末へトリガー信号が送信され、ポインター200が振動するので、所定の条件が成立したことを周囲の人に気付かれることなく操作者に報知できる。また、プロジェクター100が所定の条件の成立を判定してトリガー信号を送信するので、プロジェクター100に所定の条件を設定すればよく、ポインター200側に設けたタイマーを動作させる場合等に比べて簡単な準備をすればよい。このため、操作者の負担を軽減でき、プレゼンテーションの進行を円滑に進めることができる。
【0054】
また、プロジェクター100は、画像の表示開始からの経過時間を計時するタイマー部122を備え、条件判定部123は、タイマー部122が計時する経過時間が所定の時間に到達した場合に、所定の条件が成立したと判定するので、画像の表示開始から所定の時間が経過したことを、周囲の人に気付かれることなく操作者に報知できる。また、プロジェクター100において計時を行い、所定の時間に到達したことを判定するので、ポインター200側への依存が小さく、管理の手間が少なくてすむ。さらに、事前の準備として、ポインター200側に設けたタイマーを動作させる場合等に比べて簡単な、プロジェクター100への時間の設定等をすればよいので、操作者の負担を軽減できる。
【0055】
また、プロジェクター100は、画像の表示順序と所定の条件とを規定した制御データ165Bに基づいて、制御データ165Bにより規定される表示順序で画像を表示するファイル再生部121を備え、条件判定部123は、制御データ165Bにより規定される所定の条件が成立したか否かを判定するので、画像の表示順序と所定の条件とを規定する制御データ165Bを用意しておくことで、この所定の条件が成立したことを操作者に報知できる。従って、事前の準備が極めて容易であり、操作者の負担を軽減できる。さらに、ファイル再生部121は、ストレージメディア164から読み出したプレゼンテーションファイル165において制御データ165Bを検出し、この制御データ165Bに従って処理を行うので、操作者は事前にストレージメディア164に必要な情報を記憶させてプロジェクター100のメディア接続部163に接続すればよい。このため、より手軽に準備を行える。
【0056】
また、条件判定部123は、複数の所定の条件について、成立したか否かを個別に判定し、信号送信制御部124は、条件判定部123が成立したと判定した所定の条件に対応する振動パターンとして、例えば振動パターンAまたは振動パターンBを指定するトリガー信号を送信し、振動手段は、無線通信部203が受信したトリガー信号により指定された振動パターンで振動するので、条件が成立したことを操作者に報知することが可能であり、振動パターンの違いによって、成立した条件がどの条件かを操作者に報知できる。
【0057】
さらに、画像を投射面に投射するプロジェクター100と、指示光を照射する発光部201を有するポインター200とを備えた表示システム10に本発明を適用することにより、プロジェクター100を用いたプレゼンテーション等の進行に影響を与えることなく、操作者に報知を行うことができる。
【0058】
なお、上述した実施形態は本発明を適用した具体的態様の例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上述した実施形態では、ポインター200が振動機能に係る無線通信部203、振動発生部204及び振動制御部205を一体的に備える構成としたが、これに限らず、例えば図7及び図8に示すように、無線通信部203、振動発生部204及び振動制御部205を別体とする構成としてもよい。
【0059】
[第2の実施形態]
図7は、本発明を適用した第2の実施形態に係るポインター210の機能的構成を示すブロック図である。
この図7に示すポインター210は、上記第1の実施形態におけるポインター200に代えて使用される装置である。ポインター210は、発光側装置210Aと振動側装置210Bとに分離可能な構成となっている。発光側装置210Aは、上述したポインター200と同様の発光部201及びスイッチ部202を備える他、これらの各部に電源を供給する電源部206を備えている。発光側装置210Aは、スイッチ部202の操作に応じて発光部201が指示光を照射する。
一方、振動側装置210Bは、ポインター200と同様の無線通信部203、振動発生部204及び振動制御部205を備えており、プロジェクター100が送信したトリガー信号を無線通信部203により受信し、このトリガー信号により指定される振動パターンで振動制御部205が振動発生部204を駆動し、振動する。また、振動側装置210Bは、振動側装置210B側の各部に電源を供給する電源部207を備えている。電源部207は、電源部206と同様に二次電池等を備え、電源部206とは独立して各部に電源を供給する。そして、発光側装置210Aと振動側装置210Bはそれぞれ別の筐体に納められ、各筐体は、例えばフック、マグネット或いは面ファスナーを用いた接続部により着脱可能となっていて、必要に応じて分離することも、一体として使用することもできる。
【0060】
例えば、操作者は、発光側装置210Aを手に持ってスクリーンSC(図1)に指示光を照射してプレゼンテーション等を行い、その間、振動側装置210Bを衣服のポケット等に収容することができる。この場合、振動発生部204が振動する際に発光側装置210Aが発する指示光が揺れない、振動音が聴衆に聞こえない等の利点がある。また、発光側装置210Aと振動側装置210Bとを一体として使用すれば、上記第1の実施形態と同様に、一つのデバイスを用いて指示光を照射しながら振動により情報を知ることができるという利点がある。
【0061】
さらに、発光側装置210A(ポインター)は、例えば市販のレーザーポインターを用いることができる。この場合、振動側装置210B(端末装置)の筐体に、市販のレーザーポインターに取り付け可能なフックや装着穴を設けることで、ポインター210を実現できる。この場合、レーザーポインターを利用して、プレゼンテーション等の進行に影響を与えることなく、操作者に報知を行うことができる。また、プロジェクター100が送信するトリガー信号を受信して振動する機能を持たないポインターを利用できる。
【0062】
[第3の実施形態]
図8は、本発明を適用した第3の実施形態に係るポインター220の機能的構成を示すブロック図である。
この図8に示すポインター220は、上記第1の実施形態におけるポインター200に代えて使用される装置である。ポインター220は、発光側装置220Aと振動側装置220Bとに分離可能な構成となっている。発光側装置220Aは、上述したポインター200と同様の発光部201及びスイッチ部202を備える他、これらの各部に電源供給ライン221を介して電源を供給する電源部206を備えている。発光側装置220Aは、スイッチ部202の操作に応じて発光部201が指示光を照射する。
一方、振動側装置220Bは、ポインター200と同様の無線通信部203、振動発生部204及び振動制御部205を備えており、プロジェクター100が送信したトリガー信号を無線通信部203により受信し、このトリガー信号により指定される振動パターンで振動制御部205が振動発生部204を駆動し、振動する。
【0063】
発光側装置220Aと振動側装置220Bはそれぞれ別の筐体に納められ、各筐体は、例えばフック、マグネット或いは面ファスナーを用いた接続部により着脱可能となっていて、必要に応じて分離することも、一体として使用することもできる。
そして、発光側装置220Aと振動側装置220Bの各筐体の接合部には、接続部225が設けられている。接続部225は、振動側装置220B側の無線通信部203、振動発生部204及び振動制御部205の各部に電源を供給する電源供給ライン222を備える一方、発光側装置220Aの電源部206に電気的に接続される。
【0064】
発光側装置220Aと振動側装置220Bの各筐体を分離する場合、接続部225は図中破線で示すように2つに分離する。この分離部分は例えばマグネットキャッチ付きのコネクターにより実現可能である。発光側装置220Aと振動側装置220Bを分離すると、振動側装置220Bの各部は電源部206から切り離されるので、電源が供給されないが、発光側装置210Aを単独でレーザーポインター等として使用できる。また、振動側装置220Bを発光側装置220Aに接合すれば、接続部225を介して振動側装置220B側の各部にも電源が供給されるので、上述したポインター200と同様に使用できる。この図8のポインター220は、図7に示したポインター210に比べ、二次電池等を備えた電源部206が一つで済むため、充電管理がポインター200と同様に楽になるという利点がある。
【0065】
[第4の実施形態]
図9は、第4の実施形態において、プロジェクター100の機能によりスクリーンSCに表示される設定画面230の構成例を示す図である。
この図9に例示する設定画面230は、プロジェクター100の画像用プロセッサー131の機能によって、本来表示すべき画像の上に重ねてOSD表示される。設定画面230には、ポインター200を振動させる条件を、再生開始からの経過時間とするか、最後のファイルを再生した際とするか等を設定する項目、例えば条件として時間を設定した場合の設定値を設定する項目、振動パターンを設定する項目等の各種設定項目が表示される。また、設定終了を示すボタンも表示される。設定画面230の表示開始、及び、設定画面230に表示された項目の選択や値の入力は、リモコン172または操作部173の操作により行うことができる。
【0066】
本第4の実施形態では、プロジェクター100の操作により、上記第1の実施形態において制御データ165Bによって指定していた振動条件情報を、直接入力して設定できる。つまり、CPU120のファイル再生部121が再生する制御データが、制御データ165Bを含んでいなくても、プロジェクター100で再生しながらポインター200の振動による報知を実現できる。これにより、通常のプレゼンテーションファイル作成ソフトウェアによって作成されたプレゼンテーションファイルを使用し、必要なタイミングでポインター200を振動させることができる。また、設定画面230により、振動条件情報以外に、画像ファイルや音声ファイルの再生順序、再生時の表示位置等の条件を、入力できるようにしてもよい。
【0067】
さらに別の実施形態として、図1に示すリモコン172と、ポインター200とが一体となった構成とすることも可能である。具体的には、リモコン172とポインター200の筐体を一体に連結してもよく、リモコン172及びポインター200の内部回路を一つの筐体に納めて電源を共有する構成としてもよい。
この場合、リモコン172によってプロジェクター100を操作し、プレゼンテーションを進行する操作者に対し、手に持ったリモコン172が振動することで時間を通知できる。すなわち、リモコン172によるプレゼンテーションの進行、及びポインター200による時間の通知を1つのデバイスで行うことができる。
【0068】
なお、上述した各実施形態は本発明を適用した具体的態様の例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、上記各実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上記実施形態では、ストレージメディア164に記憶されたプレゼンテーションファイル165を読み取り、プレゼンテーションファイル165に含まれる制御データ165Bに従ってポインター200を振動させる構成としたが、これに限らず、外部の装置からケーブル11を介してプレゼンテーションファイル165が入力された場合に、このプレゼンテーションファイル165をRAM161に記憶して、上記の動作を行う構成としてもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、信号送信制御部124がポインター200に対してトリガー信号を送信するタイミングで、音声出力部191を制御し、スピーカー192から報知音声を出力してもよい。この場合、例えばプレゼンテーションの開始から設定された時間が経過したことを音声によって聴衆を含めた全員に報知できる。
また、プロジェクター100が通信ネットワーク等を介して外部のコンピューター等に接続され、このコンピューター等から通知されるタイミングでポインター200に対してトリガー信号を送信してもよく、この場合には外部のコンピューターが管理するイベントに応じてポインター200を振動させることができる。
【0070】
また、上記実施形態では、光源が発した光を変調する光変調装置として、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶パネル130を用いた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1枚の液晶パネルとカラーホイールを組み合わせた方式、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスとカラーホイールを組み合わせた方式等により構成してもよい。ここで、表示部として1枚のみの液晶パネルまたはDMDを用いる場合には、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネル及びDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な構成であれば問題なく採用できる。
さらに、本発明の表示装置は、スクリーンSCに画像を投射するプロジェクターに限定されず、液晶表示パネルに画像を表示する液晶モニターまたは液晶テレビ、或いは、PDP(プラズマディスプレイパネル)に画像を表示するモニター装置またはテレビ受像機、OLED(Organic Light-emitting-diode)、OEL(Organic Electro-Luminescence)等と呼ばれる有機EL表示パネルに画像を表示するモニター装置またはテレビ受像機等の自発光型の表示装置など、各種の表示装置も本発明の表示装置に含まれ、入力された画像信号に基づく画像をカラー表示することができる携帯型の表示装置も含まれる。この場合、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示パネルが光変調装置に相当する。
また、図1、図3、図7、及び図8に示した表示システム10の各機能部は、機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…表示システム、100…プロジェクター(表示装置)、120…CPU、121…ファイル再生部(再生手段)、122…タイマー部(計時手段)、123…条件判定部(条件判定手段)、124…信号送信制御部(送信手段)、160…投射部(表示手段)、163…メディア接続部、164…ストレージメディア、165…プレゼンテーションファイル、165A…再生データ、165B…制御データ、172…リモコン(操作部)、173…操作部、181…ポインター通信部(送信部)、200…ポインター(端末装置)、201…発光部(指示光照射手段)、203…無線通信部(受信手段)、204…振動発生部(振動発生手段)、205…振動制御部(振動発生手段)、210、220…ポインター、210A、220A…発光側装置(ポインター)、210B、220B…振動側装置(端末装置)、221、222…電源供給ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示装置と、当該表示装置の使用者が所持するための端末装置とを備え、
前記表示装置は、
前記画像の表示を開始した後、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、
前記条件判定手段によって前記所定の条件が成立したと判定された場合に、前記端末装置に所定の信号を送信する送信手段と、を備え、
前記端末装置は、
前記表示装置から送信された前記所定の信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記所定の信号が受信されると振動する振動発生手段と、を備えること、
を特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記表示装置は、前記画像の表示開始からの経過時間を計時する計時手段を備え、
前記条件判定手段は、前記計時手段が計時する経過時間が所定の時間に到達した場合に、前記所定の条件が成立したと判定することを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記画像の表示順序と前記所定の条件とを規定した制御データに基づいて、前記制御データにより規定される表示順序で前記画像を表示する再生手段を備え、
前記条件判定手段は、前記制御データにより規定される前記所定の条件が成立したか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記条件判定手段は、複数の前記所定の条件について、成立したか否かを個別に判定し、
前記送信手段は、前記条件判定手段が成立したと判定した前記所定の条件に対応する振動パターンを指定する前記所定の信号を送信し、
前記振動手段は、前記受信手段が受信した前記所定の信号により指定された振動パターンで振動することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
前記表示装置は、前記画像を投射面に投射するプロジェクターであって、
前記端末装置は、指示光を照射する指示光照射手段を有するポインターであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
前記表示装置は、前記画像を投射面に投射するプロジェクターであって、
前記端末装置には、指示光を照射するポインターに接続可能な接続部が設けられたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項7】
入力操作を検出する入力手段と、
前記入力手段により検出された入力操作に従った表示順序で画像を表示する表示手段と、
前記表示手段が前記画像の表示を開始した後、所定の条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、
前記条件判定手段によって前記所定の条件が成立したと判定された場合に、振動発生機能を有する端末装置を振動させる所定の信号を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
入力操作に従った表示順序で画像を表示するとともに、
前記画像の表示開始後、所定の条件が成立したか否かを判定し、
前記所定の条件が成立したと判定した場合に、振動発生機能を有する端末装置を振動させる所定の信号を送信すること、
を特徴とする表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−217073(P2012−217073A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81689(P2011−81689)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】