説明

表示システムの輝度調整方法および表示システム

【課題】 画面上で指し示めされた位置の位置情報を入力するときに画面の輝度を下げることができる表示システムの輝度調整方法および表示システムを提供する。
【解決手段】 表示装置10のMPU部16は、赤外線入力部12から受け取ったコマンド情報に基づいて、入力ペン20による操作の開始および終了、描画の開始および終了を判断する。赤外線入力部12から受け取ったコマンド情報が示すコマンドが描画開始を示す描画コマンドであると、入力ペン20による描画が開始されたと判断し、画面の輝度を予め定める輝度まで低下させるように表示部13に指示する。コマンド情報が示すコマンドが描画終了を示す描画コマンドであると、入力ペン20による描画が終了したと判断し、画面の輝度を予め定める輝度まで低下させる前の輝度に復帰させるように表示部13に指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示する表示システムの輝度調整方法および表示システムに関し、より詳細には、画面に描画するときに画面の輝度を下げることができる表示システムの輝度調整方法および表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイおよびCRT(Cathode Ray Tube)などの表示装置は、本体の操作部あるいはリモートコントロール(以下「リモコン」という)を操作することによって、輝度などを調整することができる。しかし、操作部あるいはリモコンによる調整は、表示装置が設置された環境に合うように調整するためのものであり、一度設定すればほとんど変更する必要はない。
【0003】
操作部あるいはリモコンによる操作なしで輝度などを調整することができる第1の従来の技術として、陰極線管ディスプレイの表示制御装置がある。この表示制御装置は、陰極線管ディスプレイの表示画面に対座する人間がいること、および表示画面と対座する人間とこの表示画面との距離を検出する検出手段を備える。そして、検出手段からの出力信号によって陰極線管ディスプレイへの電源の供給を制御し、さらにこの出力信号に応じて表示画面の輝度およびコントラストを制御する(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
第2の従来の技術である近視防止テレビ装置は、視聴者が所定距離以内に近接したことを検出するための温度センサあるいは対人レーザなどを用いた対人センサを備える。そして、対人センサによって視聴者が所定距離以内に近接したことを所定時間以上検出した場合に、画像の輝度を低下するとともに表示サイズを縮小し、さらに音量を低下する(たとえば特許文献2参照)。
【0005】
第3の従来の技術であるモニタ装置は、音波送信/受信素子を備え、音波の送信および操作者の手による反射波を受信することができる。そして、この反射波の受信に基づいて、手を振る回数および画面に対する手の距離を検出する。手を振る回数が基準音波遮断回数より多いと調整モードに入る。調整モードでは、画面に対する手の距離に応じて調整内容を選択し、さらに選択された調整内容を、画面に対する手の距離によって調整する。調整内容は、モニタ装置の音量、輝度、コントラスト、色、画面サイズ、画面位置、画面ひずみ、およびオン・オフタイマである(たとえば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】実開昭63−30888号公報
【特許文献2】特開平3−187687号公報
【特許文献3】特開平9−154085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表示装置(以下「ディスプレイ」ともいう)には、指あるいはタッチペンなどで画面にタッチすることによって情報を入力することができるタッチパネルが設けられるものがある。小さい会議室に設置される小型タッチパネルディスプレイの場合、タッチ操作を行う操作者から画面までの距離と、画面を見る視聴者から画面までの距離との差は、比較的小さい。したがって、画面の輝度が視聴者に適するように調整されていても、操作者がタッチ操作を行うために画面を見てもまぶしいと感じることはない。
【0008】
しかしながら、大きな会議室に設置される大型タッチパネルディスプレイの場合、遠くの視聴者に見やすいように輝度を高くして明るくするので、画面の近くにいてタッチ操作を行う操作者には画面の輝度が高く、まぶしく見えてしまう。
【0009】
図9は、従来の技術による表示システム2の構成を示す図である。表示システム2は、タッチパネル付大型ディスプレイシステムである。表示システム2は、第1および第2の従来の技術と同様に、画面から操作者60までの距離Lを検出する人間センサ18を表示装置100に備える。人間センサ18は、検出した距離Lを示す情報をMPU(Micro Processing Unit)部19に送る。
【0010】
タッチパネル装置30は、入力ペン20が画面に触れた位置を検出し、検出した位置を示す位置情報を映像生成装置40に送信する。映像生成装置40は、タッチパネル装置30から受信した位置情報に基づいて、入力ペン20によって描画が行われている位置に表示するための描画映像情報を生成する。そして、生成した描画映像情報を表示すべき映像情報に合成して、表示装置100に送信する。表示部13は、映像入力部14および画像処理回路部15を介して映像生成装置40から受け取る映像情報を、MPU部19から指示される輝度で画面に表示する。MPU部19は、人間センサ18から知らされた距離Lが所定の基準距離未満になると、画面の輝度を予め定める輝度まで低下するように表示部13に指示する。MPU部19は、人間センサ18から知らされた距離Lが所定の基準距離以上になると、画面の輝度を予め定める輝度まで低下させる前の輝度に復帰するように表示部13に指示する。
【0011】
図9に示した表示システム2は、操作者60が画面に近づいたときに、画面の輝度を低下させることはできるが、操作者が、画面に描画しなくても画面の近くにいる間は、暗い画面のままであり、視聴者にとって画面は見にくい状態のままである。
【0012】
第1および第2の従来の技術は、視聴者が近づいたときに輝度を低下させることはできるが、常に画面に近い所にいる操作者が画面を操作するときに輝度を低下させることはできない。第3の従来の技術は、輝度を調整するために操作部あるいはリモコンによる操作は不要であるが、手による操作は必要である。
【0013】
本発明の目的は、画面上で指し示めされた位置の位置情報を入力するときに画面の輝度を下げることができる表示システムの輝度調整方法および表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、画面上の位置が指し示されたことを検出することによって指し示された位置を示す位置情報を入力する位置情報入力部を含む表示システムの輝度調整方法であって、
位置情報入力部による位置情報の入力が開始されたことを検出する開始検出ステップと、
開始検出ステップで位置情報入力部による位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、画面の輝度を予め定める輝度に低下させる輝度低下ステップと、
位置情報入力部による位置情報の入力が終了したことを検出する終了検出ステップと、
終了検出ステップで位置情報入力部による位置情報の入力が終了したことを検出することにより、画面の輝度を輝度低下ステップで予め定める輝度に低下させる前の輝度に復帰させる輝度復帰ステップとを含むことを特徴とする表示システムの輝度調整方法である。
【0015】
また本発明は、前記画面は、複数の領域に分割され、
前記開始検出ステップで位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、位置情報入力部によって入力された位置情報が示す位置が属する領域が、前記複数の領域のうちのいずれの領域であるかを特定する領域特定ステップをさらに含み、
前記輝度低下ステップでは、開始検出ステップで位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、領域特定ステップで特定された領域の画面の輝度のみを予め定める輝度に低下させることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記位置情報入力部によって入力された位置情報が示す位置が他の領域に移動したことを検出する移動検出ステップと、
移動検出ステップで位置情報入力部によって入力された位置情報が示す位置が他の領域に移動したことを検出することにより、移動後の領域が前記複数の領域のうちのいずれの領域であるかを特定する移動後領域特定ステップと、
移動後領域特定ステップで特定された領域の輝度を低下させるとともに、移動前の領域の輝度を予め定める輝度に低下させる前の輝度に復帰させる移動時輝度調整ステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記位置情報入力部は、入力ペンの先端部が画面に接触したことを検知することによって、画面上の位置が指し示されたことを検出し、入力ペンによって指し示された位置を示す位置情報を入力するタッチパネル装置によって構成されることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、画面上の位置が指し示されたことを検出することによって指し示された位置を示す位置情報を入力する位置情報入力手段と、
位置情報入力手段による位置情報の入力が開始されたことを検出する開始検出手段と、
位置情報入力手段による位置情報の入力が終了したことを検出する終了検出手段と、
画面の輝度を制御する輝度制御手段と、
位置情報の入力が開始されたことを開始検出手段によって検出することにより、輝度制御手段によって画面の輝度を予め定める輝度に低下させ、位置情報の入力が終了したことを終了検出手段によって検出することにより、輝度制御手段によって、画面の輝度を輝度制御手段によって予め定める輝度に低下される前の輝度に復帰させる制御手段とを含むことを特徴とする表示システムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画面上の位置が指し示されたことを検出することによって指し示された位置を示す位置情報を入力する位置情報入力部を含む表示システムの輝度を調整するにあたって、開始検出ステップで、位置情報入力部による位置情報の入力が開始されたことを検出し、輝度低下ステップで、開始検出ステップで位置情報入力部による位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、画面の輝度を予め定める輝度に低下させる。そして、終了検出ステップで、位置情報入力部による位置情報の入力が終了したことを検出し、輝度復帰ステップで、終了検出ステップで位置情報入力部による位置情報の入力が終了したことを検出することにより、画面の輝度を輝度低下ステップで予め定める輝度に低下させる前の輝度に復帰させるので、本発明による輝度調整方法を用いれば、画面上で指し示めされた位置の位置情報を入力するときに画面の輝度を下げることができる。したがって、操作者は、画面に対してタッチ操作を行ってもまぶしく感じることなく画面に描画することができる。
【0020】
また本発明によれば、位置情報入力手段によって、画面上の位置が指し示されたことを検出することによって指し示された位置を示す位置情報が入力され、開始検出手段によって、位置情報入力手段による位置情報の入力が開始されたことが検出され、終了検出手段によって、位置情報入力手段による位置情報の入力が終了したことが検出され、輝度制御手段によって、画面の輝度が制御される。そして、制御手段によって、位置情報の入力が開始されたことを開始検出手段によって検出することにより、輝度制御手段によって画面の輝度が予め定める輝度に低下され、位置情報の入力が終了したことを終了検出手段によって検出することにより、輝度制御手段によって、画面の輝度が輝度制御手段によって予め定める輝度に低下される前の輝度に復帰されるので、画面上で指し示めされた位置の位置情報を入力するときに画面の輝度を下げることができる。したがって、操作者は、画面に対してタッチ操作を行ってもまぶしく感じることなく画面に描画することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の一形態である表示システム1の構成を示すブロック図である。本実施の形態の表示システム1では、表示システムの輝度調整方法が実行される。
【0022】
表示システム1は、タッチパネル付大型ディスプレイシステムである。表示システム1は、表示装置10と、入力ペン20と、タッチパネル装置30と、映像生成装置40とを含む。映像生成装置40は、表示装置10に接続されるとともに、タッチパネル装置30に接続される。
【0023】
表示装置10は、大型ディスプレイであり、たとえば65V型の液晶表示装置(Liquid Crystal Display、略称LCD)によって実現される。表示装置10は、操作入力部11、赤外線入力部12、表示部13、映像入力部14、画像処理回路部15、およびMPU(Micro Processing Unit)部16を含む。
【0024】
操作入力部11は、表示装置10を操作するための情報を入力するキーを有し、電源スイッチも含む。操作入力部11は、入力された情報をMPU部16に送る。
【0025】
赤外線入力部12は、入力ペン20から赤外線によって送信されるコマンド情報を受信し、受信したコマンド情報をMPU部16に送る。コマンド情報は、操作を開始することを示す開始コマンド、操作を終了することを示す終了コマンド、描画開始を示す描画コマンド、および描画終了を示す描画コマンドなどのコマンドを表す情報である。
【0026】
表示部13は、画像処理回路部15から受け取る映像情報を、MPU部16から指示される輝度で画面に表示する。映像入力部14は、映像生成装置40から送信される映像情報を受信し、受信した映像情報を画像処理回路部15に送る。画像処理回路部15は、映像入力部14から受け取った映像情報に対して、表示部13に表示させるための変換を行い、変換後の映像情報を表示部13に送る。
【0027】
MPU部16は、制御手段である。MPU部16は、マイクロコンピュータおよび記憶部によって構成され、マイクロコンピュータは、半導体メモリなどで構成される記憶部に記憶されるプログラムを実行することによって、操作入力部11、赤外線入力部12、表示部13、および画像処理回路部15を制御する。MPU部16は、赤外線入力部12から受け取ったコマンド情報に基づいて、入力ペン20による操作の開始および終了、描画の開始および終了、ならびに描画中であるか否かを判断する。
【0028】
MPU部16は、赤外線入力部12から受け取ったコマンド情報が示すコマンドが描画開始を示す描画コマンドであると、入力ペン20による描画が開始されたと判断し、画面の輝度を予め定める輝度まで低下させるように表示部13に指示する。MPU部16は、赤外線入力部12から受け取ったコマンド情報が示すコマンドが描画終了を示す描画コマンドであると、入力ペン20による描画が終了したと判断し、画面の輝度を予め定める輝度まで低下させる前の輝度に復帰させるように表示部13に指示する。予め定める輝度は、たとえば操作者が画面で描画するときにまぶしく感ずることのない明るさの輝度であり、予め定める輝度に低下させる前の輝度は、画面から離れている視聴者が見やすい明るさの輝度である。
【0029】
本実施の形態では、表示装置10の赤外線入力部12およびMPU部16は、開始検出手段として機能する。また表示装置10の赤外線入力部12およびMPU部16は、終了検出手段としても機能する。
【0030】
入力ペン20は、コマンド情報ならびに線の太さおよび色などを示す属性情報を赤外線によって、表示装置10およびタッチパネル装置30に送信する。
【0031】
タッチパネル装置30は、位置情報入力手段である。タッチパネル装置30は、検出方式として、赤外線遮断検出方式が用いられる。タッチパネル装置30は、赤外線入力部31、位置検出部32、通信ドライバ部33、およびMPU(Micro Processing Unit)部34を含む。
【0032】
赤外線入力部31は、入力ペン20から送信されるコマンド情報および属性情報を受信し、受信したコマンド情報および属性情報をMPU部34に送る。位置検出部32は、入力ペン20が画面に触れた位置を検出し、検出した位置を示す位置情報をMPU部34に送る。通信ドライバ部33は、USB(Universal Serial Bus)などのインターフェースを介して映像生成装置40に接続される。通信ドライバ部33は、MPU部34から受け取った情報、つまりコマンド情報、属性情報、および位置情報を、映像生成装置40に送信する。
【0033】
MPU部34は、マイクロコンピュータおよび記憶部によって構成され、マイクロコンピュータは、半導体メモリなどで構成される記憶部に記憶されるプログラムを実行することによって、赤外線入力部31、位置検出部32、および通信ドライバ部33を制御する。MPU部34は、赤外線入力部31から受け取ったコマンド情報および属性情報、ならびに位置検出部32から受け取った位置情報を通信ドライバ部33に送る。
【0034】
映像生成装置40は、パーソナルコンピュータ(Personal Computer)によって実現される。映像生成装置40は、表示装置10に表示するための映像情報を記憶するハードディスク装置などの記憶装置を含む。映像生成装置40は、タッチパネル装置30から受信したコマンド情報、属性情報、および位置情報に基づいて、入力ペン20によって描画が行われている位置に表示するための描画映像情報を生成する。そして、生成した描画映像情報を、記憶装置から読み出した映像情報に合成する。
【0035】
映像生成装置40は、DVI(Digital Visual Interface)または、アナログRGB(Red-Green-Blue)などのインターフェースを介して、表示装置10の映像入力部14に接続される。映像生成装置40は、合成した映像情報を、DVIまたは、アナログRGBなどのインターフェースを介して表示装置10の映像入力部14に送信する。
【0036】
映像生成装置40は、RS−232Cなどのインターフェースを介して、表示装置10のMPU部16に接続される。画面を複数の領域に分割し、領域ごとに輝度を制御する場合は、映像生成装置40は、タッチパネル装置30から受信した位置情報を、RS−232Cなどのインターフェースを介して、表示装置10のMPU部16に送信する。
【0037】
図2は、図1に示した表示部13の概略の構成を示すブロック図である。表示部13は、画面部131および輝度制御回路部132を含む。
【0038】
画面部131は、映像を表示する画面であり、図2に示した画面部131は、領域A〜領域Dの4つの領域に分割されている。画面部131は、複数の発光ダイオード(Light Emitting Diode、略称LED)によって構成されるバックライトを含む。
【0039】
輝度制御回路部132は、輝度制御手段である。輝度制御回路部132は、バックライトの輝度を制御する電子回路である。輝度制御回路部132は、表示装置10のMPU部16からの指示によって、領域A〜領域Dの画面の輝度を領域ごとに制御することができる。
【0040】
図3は、図2に示した表示部13の概略の回路図である。輝度制御回路部132は、4つの電源1321a〜1321dを含む。4つの電源1321a〜1321dは、それぞれ電圧値の異なる電力を画面部131の領域ごとに供給し、供給する電圧値を変化させることができる可変電源である。輝度制御回路部132は、4つの電源1321a〜1321dを、それぞれMPU部16から指示される輝度に対応する電圧値になるように制御する。
【0041】
4つの電源1321a〜1321dから供給される電力は、それぞれ領域Aに属するバックライト部131A〜領域Dのバックライト部131Dに供給される。領域Aのバックライト部131A〜領域Dのバックライト部131Dは、複数のLED1312を含む。各LED1312は、並列接続される。各LED1312には、抵抗1311がそれぞれ直列接続される。輝度制御回路部132から各LED1312に供給する電力を制御することによって、各LED1312が発光する輝度を制御することができる。
【0042】
図4は、図2に示した画面部131の画面上の位置の座標系を示す図である。画面部131の画面上の位置は、画面部131の画面の左上を原点(0,0)とするxy座標で表され、画面の右下のxy座標は(1920,1080)である。
【0043】
図5は、図2に示した4つの領域の範囲を示す対応情報50を示す図である。対応情報50は、4つの領域A〜領域Dの範囲を、xy座標によって示している。領域Aの範囲は、(0,0)−(959,539)であり、領域Bの範囲は、(960,0)−(1920,539)であり、領域Cの範囲は、(0,540)−(959,1080)であり、領域Dの範囲は、(960,540)−(1920,1080)である。
【0044】
図6は、図1に示した入力ペン20の外観を示す図である。入力ペン20は、操作スイッチ21、接触部22、および赤外線送信部23を含む。図6には示していないが、入力ペン20は、線の太さおよび色などの属性を指定することを可能にする場合は、それらの属性を入力するための操作ボタンを備えてもよい。
【0045】
操作スイッチ21は、描画を行うモードに切り換えるスイッチである。操作スイッチ21が押下されると、描画モードに切り換わり、操作スイッチ21はオン状態になる。操作スイッチ21がオン状態で操作スイッチ21が再度、押下されると、描画モードは解除され、操作スイッチ21はオフ状態になる。
【0046】
接触部22は、入力ペン20の先端部に設けられ、表示装置10の表示部13の画面に接触する接触部分である。接触部22は、画面に接触していることを検出する接触スイッチを含む。
【0047】
赤外線送信部23は、コマンド情報および属性情報を赤外線で送信する。赤外線送信部23は、入力ペン20の軸線まわりに、全方向またはほぼ全方向にわたって赤外線を送信することができるように構成される。
【0048】
赤外線送信部23は、操作スイッチ21が押下されると、開始コマンドを表す開始コマンド情報を送信し、操作スイッチ21がオン状態で操作スイッチ21が押下されると、終了コマンドを表す終了コマンド情報を送信する。赤外線送信部23は、操作スイッチ21がオン状態で、接触スイッチによって接触部22が画面に接触したことを検出すると、描画開始を示す描画コマンドを表す描画開始コマンド情報を送信し、接触スイッチによって接触部22が画面に接触しなくなったことを検出すると、描画終了を示す描画コマンドである描画終了コマンド情報を送信する。
【0049】
また、タッチパネル装置30によって画面上の指し示された位置を検出することにより位置情報が入力される。表示装置10の赤外線入力部12およびMPU部16によって、タッチパネル装置30による位置情報の入力が開始されたことが検出される。表示装置10の赤外線入力部12およびMPU部16によって、タッチパネル装置30による位置情報の入力が終了したことが検出される。輝度制御回路部132によって、画面の輝度が制御される。そして、MPU部16によって、位置情報の入力が開始されたことを赤外線入力部12およびMPU部16によって検出することにより、輝度制御回路部132によって画面の輝度が予め定める輝度に低下され、位置情報の入力が終了したことを赤外線入力部12およびMPUT部16によって検出することにより、輝度制御回路部132によって、画面の輝度が輝度制御回路部132によって予め定める輝度に低下される前の輝度に復帰される。これによって、画面上で指し示めされた位置の位置情報を入力するときに画面の輝度を下げることができる。したがって、操作者は、画面に対する操作を行ってもまぶしく感じることなく情報を入力することができる。
【0050】
図7は、図1に示した表示装置10のMPU部16が実行する第1の輝度調整処理を示すフローチャートである。第1の輝度調整処理は、表示部13の画面の輝度を画面全体で切り換える処理である。入力ペン20から送信される開始コマンドを赤外線入力部12によって受信し、開始コマンドを受信したことがMPU部16に知らされると、ステップA1に移る。
【0051】
ステップA1では、赤外線入力部12によって入力ペン20から赤外線を受信する。ステップA2では、受信した赤外線によって指示されたコマンドが終了コマンドであるか否かを判定する。終了コマンドであると、第1の輝度調整処理を終了し、終了コマンドでないと、ステップA3に進む。ステップA3では、受信した赤外線によって指示されたコマンドが描画コマンドであるか否かを判定する。描画コマンドであると、ステップA4に進み、描画コマンドでないと、ステップA6に進む。
【0052】
ステップA4では、描画コマンドが描画開始の描画コマンドであるか否かを判定する。描画開始の描画コマンドであると、ステップA5に進み、描画開始の描画コマンドでないと、ステップA7に進む。ステップA5では、バックライトの輝度を予め定める輝度に低下するように表示部13に指示し、バックライトの輝度を下げさせて、ステップA1に戻る。
【0053】
ステップA6では、受信した赤外線によって指示された他のコマンド、すなわち終了コマンドおよび描画コマンド以外の指示されたコマンドを実行して、ステップA1に戻る。ステップA7では、描画コマンドが描画終了の描画コマンドであるか否かを判定する。描画終了の描画コマンドであると、ステップA8に進み、描画終了の描画コマンドでないと、ステップA1に戻る。ステップA8では、バックライトの輝度を復帰するように表示部13に指示し、バックライトの輝度を予め定める輝度に下げる前の輝度に戻させて、ステップA1に戻る。
【0054】
図7に示した第1の輝度調整処理のフローチャートにおいて、開始検出ステップは、ステップA4であり、輝度低下ステップは、ステップA5であり、終了検出ステップは、ステップA7であり、輝度復帰ステップは、ステップA8である。
【0055】
このように、図7に示した第1の輝度調整処理のフローチャートにおいて、画面上の位置が指し示されたことを検出することによって指し示された位置を示す位置情報を入力するタッチパネル装置30を含む表示システム1の輝度を調整するにあたって、ステップA4で、タッチパネル装置30による位置情報の入力が開始されたことを検出し、ステップA5で、ステップA4でタッチパネル装置30による位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、画面の輝度を予め定める輝度に低下させる。そして、ステップA7で、タッチパネル装置30による位置情報の入力が終了したことを検出し、ステップA8で、ステップA7でタッチパネル装置30による位置情報の入力が終了したことを検出することにより、画面の輝度をステップA5で予め定める輝度に低下させる前の輝度に復帰させる。これによって、画面上で指し示めされた位置の位置情報を入力するときに画面の輝度を下げることができる。したがって、操作者は、画面に対してタッチ操作を行ってもまぶしく感じることなく情報を入力することができる。
【0056】
図8は、図1に示した表示装置10のMPU部16が実行する第2の輝度調整処理を示すフローチャートである。第2の輝度調整処理は、表示部13の領域ごとに画面の輝度を切り換える処理である。入力ペン20から送信される開始コマンドを赤外線入力部12によって受信し、開始コマンドを受信したことがMPU部16に知らされると、ステップB1に移る。
【0057】
ステップB1では、赤外線入力部12によって入力ペン20から赤外線を受信する。ステップB2では、受信した赤外線によって指示されたコマンドが終了コマンドであるか否かを判定する。終了コマンドであると、第2の輝度調整処理を終了し、終了コマンドでないと、ステップB3に進む。ステップB3では、受信した赤外線によって指示されたコマンドが描画コマンドであるか否かを判定する。描画コマンドであると、ステップB4に進み、描画コマンドでないと、ステップB11に進む。
【0058】
ステップB4では、描画コマンドが描画開始の描画コマンドであるか否かを判定する。描画開始の描画コマンドであると、ステップB5に進み、描画開始の描画コマンドでないと、ステップB9に進む。ステップB5では、入力位置を取得する。すなわち、タッチパネル装置30が検出した位置の位置情報を、映像生成装置40を介して取得する。ステップB6では、入力ブロックを特定する。すなわち、取得した位置情報が示す位置が属するブロックつまり領域が、図5に示した対応情報50に示されるどの範囲の領域かを特定する。ステップB7では、特定したブロック位置を記憶する。すなわち、特定した領域を示す情報をMPU部16の記憶部に記憶する。ステップB8では、特定ブロックつまり特定した領域の輝度を予め定める輝度に低下させるように表示部13に指示し、特定した領域の輝度を下げさせて、ステップB1に戻る。
【0059】
ステップB9では、描画コマンドが描画終了の描画コマンドであるか否かを判定する。描画終了の描画コマンドであると、ステップB10に進み、描画終了の描画コマンドでないと、ステップB1に戻る。ステップB10では、表示部13にバックライトの輝度を戻すように指示し、バックライトの輝度を、予め定める輝度に下げる前の輝度に戻させて、ステップB1に戻る。
【0060】
ステップB11では、描画中であるか否かを判定する。描画開始の描画コマンドを受けてから描画終了の描画コマンドを受けるまでの間は、描画中と判定する。描画中であると、ステップB12に進み、描画中でないと、ステップB17に進む。ステップB12では、入力位置を取得する。すなわち、タッチパネル装置30が検出した位置の位置情報を、映像生成装置PC40を介して取得する。ステップB13では、入力ブロックを特定する。すなわち、取得した位置情報が示す位置が属する領域が、図5に示した対応情報50に示されるどの範囲の領域かを特定する。
【0061】
ステップB14では、ブロックが移動したか否かを判定する。特定した領域がMPU部16の記憶部に記憶した領域と異なっていると、ブロックが移動したと判定し、特定した領域を示す情報をMPU部16の記憶部に記憶更新して、ステップB15に進む。特定した領域がMPU部16の記憶部に記憶した領域と同じであると、ブロックが移動していないと判定し、ステップB1に戻る。ステップB15では、移動前の領域の輝度を、予め定める輝度に下げる前の輝度に戻す。ステップB16では、移動後の領域の輝度を予め定める輝度に低下させるように表示部13に指示し、移動後の領域の輝度を下げさせて、ステップB1に戻る。ステップB17では、受信した赤外線によって指示された他のコマンド、すなわち終了コマンド、描画コマンド、および描画中コマンド以外の指示されたコマンドを実行して、ステップB1に戻る。
【0062】
図8に示した第2の輝度調整処理のフローチャートにおいて、開始検出ステップは、ステップB4であり、輝度低下ステップは、ステップB8であり、終了検出ステップは、ステップB9であり、輝度復帰ステップは、ステップB10であり、領域特定ステップは、ステップB5〜ステップB7であり、移動検出ステップは、ステップB14であり、移動後領域特定ステップは、ステップB12およびステップB13であり、移動時輝度調整ステップは、ステップB15およびステップB16である。
【0063】
このように、図8に示した第2の輝度調整処理のフローチャートにおいて、前記画面は、複数の領域に分割され、ステップB5〜ステップB7で、ステップB4で位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、タッチパネル装置30によって入力された位置情報が示す位置が属する領域が、前記複数の領域のうちのいずれの領域であるかを特定する。そして、ステップB8では、ステップB4で位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、ステップB5〜ステップB7で特定された領域の画面の輝度のみを予め定める輝度に低下させるので、操作者が指し示めす位置の領域の画面の輝度のみを下げることができる。したがって、操作者が指し示めす位置の領域以外の領域の画面の輝度を視聴者が見やすい輝度に維持することができる。
【0064】
さらに、ステップB14で、タッチパネル装置30によって入力された位置情報が示す位置が他の領域に移動したことを検出し、ステップB12およびステップB13で、ステップB14でタッチパネル装置30によって入力された位置情報が示す位置が他の領域に移動したことを検出することにより、移動後の領域が前記複数の領域のうちのいずれの領域であるかを特定する。そして、ステップB15およびステップB16で、ステップB12およびステップB13で特定された領域の輝度を低下させるとともに、移動前の領域の輝度を予め定める輝度に低下させる前の輝度に復帰させるので、操作者が指し示めす位置が領域を移動しても、移動後の領域の輝度のみを低下させることができる。したがって、操作者が指し示めす位置が領域を移動しても、操作者が指し示めす位置の領域以外の領域の画面の輝度を視聴者が見やすい輝度に維持することができる。
【0065】
さらに、タッチパネル装置30は、入力ペン20の先端部が画面に接触したことを検知することによって、画面上の位置が指し示されたことを検出し、指し示された位置を示す位置情報を入力するので、操作者は入力ペン20を用いて画面に描画することができる。
【0066】
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば表示装置は、たとえばCRT(Cathode Ray Tube)によって実現されてもよく、あるいは、プラズマディスプレイによって実現されてもよい。さらに表示装置は、LEDまたはEL(Electro-Luminescence)を用いた表示装置によって実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の一形態である表示システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した表示部13の概略の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した表示部13の概略の回路図である。
【図4】図2に示した画面部131の画面上の位置の座標系を示す図である。
【図5】図2に示した4つの領域の範囲を示す対応情報50を示す図である。
【図6】図1に示した入力ペン20の外観を示す図である。
【図7】図1に示した表示装置10のMPU部16が実行する第1の輝度調整処理を示すフローチャートである。
【図8】図1に示した表示装置10のMPU部16が実行する第2の輝度調整処理を示すフローチャートである。
【図9】従来の技術による表示システム2の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 表示システム
10 表示装置
12 表示装置10の赤外線入力部
13 表示部
14 映像入力部
15 画像処理回路部
16 表示装置10のMPU部
20 入力ペン
30 タッチパネル装置
31 タッチパネル装置30の赤外線入力部
32 位置検出部
33 通信ドライバ部
34 タッチパネル装置30のMPU部
40 映像生成装置
131 画面部
132 輝度制御回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上の位置が指し示されたことを検出することによって指し示された位置を示す位置情報を入力する位置情報入力部を含む表示システムの輝度調整方法であって、
位置情報入力部による位置情報の入力が開始されたことを検出する開始検出ステップと、
開始検出ステップで位置情報入力部による位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、画面の輝度を予め定める輝度に低下させる輝度低下ステップと、
位置情報入力部による位置情報の入力が終了したことを検出する終了検出ステップと、
終了検出ステップで位置情報入力部による位置情報の入力が終了したことを検出することにより、画面の輝度を輝度低下ステップで予め定める輝度に低下させる前の輝度に復帰させる輝度復帰ステップとを含むことを特徴とする表示システムの輝度調整方法。
【請求項2】
前記画面は、複数の領域に分割され、
前記開始検出ステップで位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、位置情報入力部によって入力された位置情報が示す位置が属する領域が、前記複数の領域のうちのいずれの領域であるかを特定する領域特定ステップをさらに含み、
前記輝度低下ステップでは、開始検出ステップで位置情報の入力が開始されたことを検出することにより、領域特定ステップで特定された領域の画面の輝度のみを予め定める輝度に低下させることを特徴とする請求項1に記載の表示システムの輝度調整方法。
【請求項3】
前記位置情報入力部によって入力された位置情報が示す位置が他の領域に移動したことを検出する移動検出ステップと、
移動検出ステップで位置情報入力部によって入力された位置情報が示す位置が他の領域に移動したことを検出することにより、移動後の領域が前記複数の領域のうちのいずれの領域であるかを特定する移動後領域特定ステップと、
移動後領域特定ステップで特定された領域の輝度を低下させるとともに、移動前の領域の輝度を予め定める輝度に低下させる前の輝度に復帰させる移動時輝度調整ステップとをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の表示システムの輝度調整方法。
【請求項4】
前記位置情報入力部は、入力ペンの先端部が画面に接触したことを検知することによって、画面上の位置が指し示されたことを検出し、入力ペンによって指し示された位置を示す位置情報を入力するタッチパネル装置によって構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示システムの輝度調整方法。
【請求項5】
画面上の位置が指し示されたことを検出することによって指し示された位置を示す位置情報を入力する位置情報入力手段と、
位置情報入力手段による位置情報の入力が開始されたことを検出する開始検出手段と、
位置情報入力手段による位置情報の入力が終了したことを検出する終了検出手段と、
画面の輝度を制御する輝度制御手段と、
位置情報の入力が開始されたことを開始検出手段によって検出することにより、輝度制御手段によって画面の輝度を予め定める輝度に低下させ、位置情報の入力が終了したことを終了検出手段によって検出することにより、輝度制御手段によって、画面の輝度を輝度制御手段によって予め定める輝度に低下される前の輝度に復帰させる制御手段とを含むことを特徴とする表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−104331(P2009−104331A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274228(P2007−274228)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】