説明

表示パネル、表示装置および表示パネルの検査方法

【課題】ブラックマトリクスが設けられているにも拘わらずパネル内部の状態を非破壊検査可能な表示パネルを提供する。
【解決手段】一方の主面に、複数の画素が配列された表示領域が形成されている第1基板10と、前記一方の主面に対向配置され、前記表示領域における前記複数の画素を規定する部分に対応した領域、および、前記表示領域を囲繞する周辺領域に対応した領域にブラックマトリクス層23が形成されている第2基板20と、を具備し、前記第1基板10の前記周辺領域には、前記第1基板10および前記第2基板20の少なくとも一方に関する情報を標示する情報標示手段40が設けられ、前記ブラックマトリクス層23における前記情報標示手段40に対応した領域には、前記情報標示手段40が標示する情報を前記第2基板20越しに認識するための窓部24が設けられている表示パネル1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル、表示装置および表示パネルの検査方法に関し、特にブラックマトリクスが設けられた表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機発光層を有する有機発光素子等を利用した表示パネルにおいて、CF(カラーフィルタ)基板の内側に例えば黒色樹脂からなるブラックマトリクスを設けることが行なわれている。このような構成とすれば、ブラックマトリクスの遮光性によってパネル内部への外光の入射を抑えることができるため、内部部品が外光(特に紫外線)に晒され劣化し、表示パネルが短寿命化したり性能劣化したりすることを防止できる。さらに、ブラックマトリクスには、CF基板越しに内部部品が透けて見えるのを防止したり、外光の照り返しを抑えて表示パネルのコントラストを向上させたりする機能もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブラックマトリクスを設けると、CF基板越しにパネル内部の状態を確認することができない。そのため、例えば表示パネルに表示不具合が生じ、その不具合がが内部部品の劣化等に因るものか否かを確認したい場合に、EL(エレクトロルミネッセンス)基板からCF基板を引き剥がして、すなわち表示パネルを解体して、検査を行なわなければならない。これでは表示パネルが壊れてしまうため、パネル内部の状態を非破壊検査可能な構造の表示パネルの開発が望まれている。
【0005】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたもので、ブラックマトリクスが設けられているにも拘わらずパネル内部の状態を非破壊検査可能な表示パネル、表示装置および表示パネルの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る表示パネルは、一方の主面に、複数の画素が配列された表示領域が形成されている第1基板と、前記一方の主面に対向配置され、前記表示領域における前記複数の画素を規定する部分に対応した領域、および、前記表示領域を囲繞する周辺領域に対応した領域にブラックマトリクス層が形成されている第2基板と、を具備し、前記第1基板の前記周辺領域には、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方に関する情報を標示する情報標示手段が設けられ、前記ブラックマトリクス層における前記情報標示手段に対応した領域には、前記情報標示手段が標示する情報を前記第2基板越しに認識するための窓部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る表示パネルは、第1基板の周辺領域に、前記第1基板および第2基板の少なくとも一方に関する情報を標示する情報標示手段が設けられ、ブラックマトリクス層における前記情報標示手段に対応した領域に、前記情報標示手段が標示する情報を前記第2基板越しに認識するための窓部が設けられているため、表示パネルを解体しなくても前記情報標示手段が標示する情報を認識することができる。そのため、ブラックマトリクスが設けられた表示パネルであるにも拘わらず、パネル内部の状態を非破壊検査可能である。したがって、表示パネル個々の出来ばえを商品として出荷後に確認でき、市場での不具合要因解析に効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る表示パネルを示す正面図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示パネルを示す端面図である。
【図3】図1においてBで示す部分の拡大図である。
【図4】変形例に係る情報標示手段の態様を説明するための拡大図である。
【図5】変形例に係る窓部の態様を説明するための正面図である。
【図6】第2の実施形態に係る表示パネルを示す端面図である。
【図7】第3の実施形態に係る表示パネルを示す正面図である。
【図8】第3の実施形態に係る表示パネルを示す端面図である。
【図9】第4の実施形態に係る表示装置の全体構成を示す図である。
【図10】第4の実施形態に係る表示装置を用いたテレビシステムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一態様に係る表示パネル、表示装置および表示パネルの検査方法について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面における部材の縮尺は実際のものとは同じとは限らない。
[本発明の一態様の概要]
本発明の一態様に係る表示パネルは、一方の主面に、複数の画素が配列された表示領域が形成されている第1基板と、前記一方の主面に対向配置され、前記表示領域における前記複数の画素を規定する部分に対応した領域、および、前記表示領域を囲繞する周辺領域に対応した領域にブラックマトリクス層が形成されている第2基板と、を具備し、前記第1基板の前記周辺領域には、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方に関する情報を標示する情報標示手段が設けられ、前記ブラックマトリクス層における前記情報標示手段に対応した領域には、前記情報標示手段が標示する情報を前記第2基板越しに認識するための窓部が設けられている。
【0010】
本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記第1基板と第2基板との間には前記表示領域を封止する封止部材が前記表示領域を囲繞するように設けられており、前記封止部材によって前記情報標示手段も囲繞され封止されている。また、本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記第1基板には前記表示領域を封止する透光性の封止層が前記表示領域を被覆するように積層されており、前記封止層によって前記情報標示手段も被覆され封止されている。これら構成とすれば、情報標示手段を、表示パネルの内部部品と似た環境下におくことができ、パネル内部からより正確な情報を得ることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記各画素が有機発光素子で構成されている。また、本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記情報標示手段の少なくとも一部が前記有機EL素子に含まれる有機発光層を構成する材料で形成されている。これら構成とすれば、情報標示手段を観察することによって、パネル内部に配置される有機発光層の状態を推測し判断することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記情報標示手段は、前記第1基板の前記一方の主面に表示されたXY座標軸と、前記XY座標軸で定義されたXY平面上にプロットされたドットパターンで構成され、前記ドットパターンが前記有機発光層を構成する材料で形成されている。この構成とすれば、XY座標軸とドットパターンの組み合わせによって、インク液滴の着弾精度や、EL基板とインクジェットヘッドとの位置関係などを判断できる。
【0013】
本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記情報標示手段は、印刷された文字、バーコードまたはQRコードである。
本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記第2基板の端縁から前記窓部までの前記端縁と直交する方向における距離は10mm以下である。この構成とすれば、表示パネル1の狭額縁化を実現できる。
【0014】
本発明の一態様に係る表示装置は、上記いずれかに記載の表示パネルを備える。
本発明の一態様に係る表示パネルの検査方法は、一方の主面に、複数の画素が配列された表示領域が形成されている第1基板と、前記一方の主面に対向配置され、前記表示領域における前記複数の画素を規定する部分に対応した領域、および、前記表示領域を囲繞する周辺領域に対応した領域にブラックマトリクス層が形成されている第2基板と、を具備し、前記第1基板の前記周辺領域には、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方に関する情報を標示する情報標示手段が設けられ、前記ブラックマトリクス層における前記情報標示手段に対応した領域には窓部が設けられている、表示パネルの検査方法であって、前記情報標示手段が標示する情報を、前記第2基板越しに前記窓部を介して認識し、認識した情報に基づいて前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方に関する状態を判断する。この構成により、ブラックマトリクスが設けられた表示パネルのパネル内部の状態を非破壊検査可能である。
【0015】
[第1の実施形態]
<概略構成>
図1は、第1の実施形態に係る表示パネルを示す正面図である。図2は、第1の実施形態に係る表示パネルを示す端面図であって、図1に示す表示パネルの一部を横方向に切ったA−A’線端面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、第1の実施形態に係る表示パネル1は、EL基板10と、CF基板20とを具備する。EL基板10およびCF基板20は対向配置されており、方形枠状の封止部材30を間に挟んだ状態で貼り合わされている。
<第1基板>
図2に示すように、第1基板の一例であるEL基板10の上面(CF基板20側の主面。以下の説明では、EL基板10を構成する各層についても、CF基板20側の面を上面と称する。)には、マトリクス状に配置された複数の画素が配列された表示領域が形成されており、それら各画素が出射するR(赤色)、G(緑色)またはB(青色)の光がCF基板20を透過し、表示パネル1の正面にカラー画像が表示される。また、EL基板10の上面には、表示領域を囲繞する周辺領域に情報標示手段40が設けられている。
【0017】
なお、図1ではCF基板20の陰に隠れてEL基板10が見えないが、図1に示すブラックマトリクス層23の表示領域対応領域と重なる位置に、EL基板10の表示領域が存在している。なお、ブラックマトリクス層23の表示領域対応領域については後述する。
EL基板10は、TFT(薄膜トランジスタ)基板11の上面に、パッシベーション膜12、平坦化膜13、アノード14、バンク15、有機発光層16、電子輸送層17、カソード18および封止層19が積層された構造であり、EL基板10の表示領域の各画素は、アノード14、有機発光層16、電子輸送層17、カソード18で構成されるトップエミッション型の複数の有機EL素子で構成されている。
【0018】
TFT基板11は、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、アルミナ等の絶縁性材料からなる。TFT基板11の上面には複数のTFTおよびその引き出し電極が所定パターンで形成されている。
【0019】
パッシベーション膜12は、SiO(酸化シリコン)またはSiN(窒化シリコン)からなる薄膜であって、TFTおよび引出電極を被覆し、これらを保護している。
平坦化膜13は、ポリイミド系樹脂またはアクリル系樹脂等の絶縁材料からなり、パッシベーション膜12の上面の段差を平坦化している。
アノード14は、Ag(銀)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等の光反射性導電材料からなり、各画素に対応した領域にマトリクス状に形成されている。
【0020】
バンク15は、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等)からなり、アノード14が形成された領域を避けて形成されている。本実施の形態に係るバンク15は井桁構造のピクセルバンクであるが、本発明に係るバンクはストライプ構造のラインバンクであっても良い。
有機発光層16は、バンク15で規定された各画素に対応した領域に形成されており、表示パネル1の駆動時において、ホールと電子との再結合によりR、GまたはBに発光する。有機発光層16は有機材料で構成されており、有機材料としては、例えば、特開平5−163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等を挙げることができる。
【0021】
電子輸送層17は、バンク15および有機発光層16の上面を覆うように、表示領域のほぼ全面に亘って形成されており、カソード18から注入された電子を有機発光層16へ輸送する。
カソード18は、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の光透過性材料で形成された透明電極であって、電子輸送層17上に形成されている。
【0022】
封止層19は、表示領域を被覆して封止し有機発光層16が水分や空気等に触れるのを防止するための層であって、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の光透過性材料からなり、カソード18上に形成されている。
以上のように説明したEL基板10の積層構造に関して、アノード14と有機発光層16との間には、透明導電層、ホール輸送層、ホール注入層等の他の層がさらに形成されていても良い。また、電子輸送層17とカソード18との間には、電子注入層等の他の層がさらに形成されていても良い。
【0023】
<CF基板>
第2基板の一例であるCF基板20は、ガラス基板21の下面(EL基板10側の主面)側に、R、GまたはBのカラーフィルタ22と、ブラックマトリクス層23とが形成された構造である。
カラーフィルタ22は、R、GまたはBに対応する波長の可視光を透過する透明層であって、公知の樹脂材料(例えば市販製品として、JSR株式会社製カラーレジスト)等からなり、各画素に対応した領域に形成されている。
【0024】
ブラックマトリクス層23は、パネル内部への外光の入射を防止したり、CF基板20越しに内部部品が透けて見えるのを防止したり、外光の照り返しを抑えて表示パネル1のコントラストを向上させたりする目的で形成されている黒色樹脂層であって、例えば光吸収性および遮光性に優れる黒色顔料を含む紫外線硬化樹脂材料からなる。
図1に示すように、ブラックマトリクス層23は、EL基板10の表示領域に対応した領域(以下、「表示領域対応領域」と称する。)、および、EL基板10の周辺領域に対応した領域(以下、「周辺領域対応領域」と称する。図1において表示領域対応領域を囲繞する領域である。)に形成されている。但し、表示領域対応領域については、バンク15が形成された部分に対応した領域のみに形成されている。すなわち、ブラックマトリクス層23の表示領域対応領域は井桁構造である。
【0025】
以上のように説明したCF基板20は、ガラス基板21、カラーフィルタ22、およびブラックマトリクス層23の全てを具備する構成に限定されず、少なくともブラックマトリクス層23を具備していれば良く、ガラス基板21やカラーフィルタ22を欠くものや、他の層をさらに含むものであっても良い。
<封止部材>
封止部材30は、緻密な樹脂材料(例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等)からなる方形枠状の部材であって、EL基板10とCF基板20との間にEL基板10の表示領域を囲繞するように設けられており、EL基板10の表示領域を封止し有機発光層16が水分や空気等に触れるのを防止している。第1基板10、第2基板20および封止部材30により形成される封止空間2は、乾燥させた不活性ガスが充填された空間であっても良いし、大気圧より低圧の空間であっても良い。なお、本発明に係る表示パネルに封止部材30は必須ではなく、例えばマスキングテープを使用すれば封止部材30を省略可能である。
【0026】
封止部材30には、EL基板10とCF基板20との対向間隔を規定するスペーサ(不図示)が含まれている。スペーサは、シリカなどの材料で形成されており、円筒形、直方体や球状などの形状に形成され、EL基板10とCF基板20に両端部を当接させた状態で配置されている。なお、封止部材30がスペーサを含むことは本発明に係る表示パネルにおいて必須ではない。
【0027】
<情報標示手段および窓部>
図1および図2に示すように、EL基板10の表示領域を囲繞する周辺領域には、EL基板10およびCF基板20の少なくとも一方に関する情報を標示する情報標示手段40が設けられている。また、ブラックマトリクス層23における情報標示手段40に対応する領域には窓部24が設けられている。
【0028】
図3は、図1においてBで示す部分の拡大図である。図3に示すように、本実施の形態に係る情報標示手段40は、周辺領域に印刷されたX座標軸41およびY座標軸42と、それらXY座標軸41,42で定義されたXY平面上に形成された複数のR、GまたはBのドットパターン43とで構成されている。
ドットパターン43は、有機発光層16を構成する有機材料で形成されており、例えば、有機材料を含んだインク用いてインクジェット方式で有機発光層16を形成する際に、インク液滴をXY平面上に捨てうちすることによって形成される。なお、ドットパターン43を形成するタイミングは、有機発光層16を形成する際に限らず、有機発光層16を形成する工程とは別の工程で形成しても良い。
【0029】
ドットパターン43を観察することによって、有機材料の状態を確認できる。そして、その結果から有機発光層16の状態を推測し判断することができる。ここで言う有機発光層16の状態とは、熱等による有機材料の経時的な性能劣化や、有機発光層16の発光時にスジムラが生じているか否かである。また、ドットパターン43を観察すれば、有機発光層16の膜厚や、捨てうちされたインク液滴の体積等も判断できる。さらに、XY座標軸41,42とドットパターン43の組み合わせによって、インク液滴の着弾精度や、EL基板10とインクジェットヘッドとの位置関係等を判断できる。
【0030】
図2に示すように、情報標示手段40は、パッシベーション膜12の上面に設けられている。情報標示手段40が設けられている位置において、パッシベーション膜12の上面には、アノード14、バンク15、有機発光層16、電子輸送層17およびカソード18は形成されておらず、封止層19だけが形成されている。EL基板10をCF基板20側から観察した際に、封止層19上に情報標示手段40が認識可能である。
【0031】
なお、情報標示手段40は、必ずしもパッシベーション膜12の上面に設けられる必要はなく、EL基板10の周辺領域内であれば、EL基板10のどのような層の上面に設けられていても良いし、その層の上面のどのような位置に設けられていても良い。また、情報標示手段40は、必ずしも最上層に形成されている必要はなく、情報標示手段40の上方にいずれの層が形成されていても良い。但し、EL基板10をCF基板20側から観察した際に、情報標示手段40が認識可能でなければならない。したがって、情報標示手段40の上方に形成する層は、情報標示手段40が透けて見えるように、光透過性材料を用いて形成する等しなければならない。情報標示手段40の認識性を高めるためには、情報標示手段40の上方に層が形成されていない、または、上方に形成された層が無色透明であることが好ましい。
【0032】
図2に示すように、情報標示手段40は、封止部材30の内側、すなわち封止部材30によって封止された封止空間2内に設けられている。このような構成とすれば、情報標示手段40のドットパターン43を、有機発光層16と似た環境下におくことができ、有機材料の劣化具合などをより高い再現性をもって標示することができる。
図1に示すように、窓部24は、ブラックマトリクス層23の周辺領域対応領域における短辺部分の略中央位置に設けられている。図1には示されていないが、表示パネル1を平面視した場合に、情報標示手段40は窓部24の真下に位置している。
【0033】
CF基板20における窓部24が設けられている領域には、ガラス基板21しか存在しておらず、そのガラス基板21は透明であるため、CF基板20の上方から窓部24の真下にある情報標示手段40を認識することができる。なお、CF基板20越しの情報標示手段40の認識は、顕微鏡観察や目視など光学的な認識に限定されず、装置等による光学的読み取りであっても良い。
【0034】
情報標示手段40および窓部24のサイズの一例を具体的に説明すると、図3に示すように、窓部24は、例えば、X軸方向の幅W1が約100μm(好ましい範囲は2μm〜5000μm)、Y軸方向の幅W2が約100μm(好ましい範囲は2μm〜5000μm)である。また、情報標示手段40は、ドットパターン43の直径Rが約30μm(好ましい範囲は1μm〜500μm)、X座標軸41の長さが約50μm(好ましい範囲は2μm〜5000μm)、Y座標軸42の長さが約300μm(好ましい範囲は2μm〜5000μm)である。
【0035】
なお、発明の理解容易のために情報標示手段40や窓部24のサイズについて具体的な数値を挙げて説明したが、これらはあくまでも典型的な一例にすぎず、本発明に係る情報標示手段40および窓部24のサイズはそれら数値に限定されるものではない。但し、情報標示手段40および窓部24が上記のサイズであれば、CF基板20越しに情報標示手段40を認識する際に、情報標示手段40がブラックマトリクス層23の陰に入らず、情報標示手段40を窓部24を介して十分に認識することができ、さらに表示パネル1の狭額縁化を実現できる。
【0036】
図2に示すように、CF基板20の端縁から窓部24までの前記端縁と直交する方向における距離W3は、約10mm以下であることが好ましい。距離W3が10mm以下であれば表示パネル1の狭額縁化を実現できる。
次に、情報標示手段40および窓部24の変形例について説明する。
図4は、変形例に係る情報標示手段の態様を説明するための拡大図である。本発明に係る情報標示手段は、上記のような有機発光層16の状態を標示するものに限定されず、第1基板または第2基板の少なくとも一方に関する情報を標示するものであれば良い。
【0037】
例えば、本発明に係る情報標示手段は、第1基板の一方の主面に表示された文字や記号等の線図であっても良い。文字の一例として、図4(a)に示す情報標示手段40aは、印刷された第1基板のロット番号であり、情報標示手段40aに対応した領域には窓部24aが設けられている。
なお、予めEL基板10の表面に複数の文字や記号を印刷しておき、一部の文字や記号の上にドットパターンを形成して、一部の文字や記号を隠すことによって、情報を標示しても良い。例えば、第1基板のロット番号を標示する場合に、第1基板の周辺領域に1〜12までの数字を印刷しておき、いずれかの数字をドットパターンで隠すことによって、第1基板の製造月を表示することが考えられる。
【0038】
また、本発明に係る情報標示手段は、第1基板の一方の主面に表示された所定の模様であっても良い。所定の模様の一例として、図4(b)に示す情報標示手段40bは、印刷されたバーコードであって、情報標示手段40bに対応した領域には窓部24bが設けられている。また、所定の模様の一例として、図4(c)に示す情報標示手段40cは、印刷されたQRコードであって、情報標示手段40cに対応した領域にはQRコードに対応した領域に窓部24cが設けられている。
【0039】
また、本発明に係る情報標示手段は、第1基板の一方の主面に設けられた所定の形状であっても良い。所定の形状の一例として、図4(d)に示す情報標示手段40dは、ピラミッド状の構造物であって、情報標示手段40dに対応した領域には構造物に対応した領域に窓部24dが設けられている。なお、特定の形状はピラミッド状に限定されず、第1基板および第2基板に関する情報を標示できる形状であればどのような形状であっても良い。
【0040】
このように、本発明に係る情報標示手段は、文字や記号等を表示して直接的に情報を伝える表示物だけに限られず、第1の実施形態に係る情報標示手段40や、変形例に係る情報標示手段40dのように、情報標示手段40,40dを認識した者がその結果に推測を加えて情報を得るような、間接的に情報を伝えるものであっても良い。
図5は、変形例に係る窓部の態様を説明するための正面図である。本発明に係る窓部を設ける位置は、第1の実施形態に係る窓部24のように、ブラックマトリクス層23の周辺領域対応領域の短辺部分の中央位置に限定されず、ブラックマトリクス層23の周辺領域対応領域内であればどのような位置であっても良い。
【0041】
例えば、図5に示す窓部24eのように、ブラックマトリクス層23の周辺領域対応領域の長辺部分の中央位置に設けられていても良い。また、窓部24eおよび窓部24fの組み合わせのように、周辺領域対応領域における対向する2辺部分の中央位置に一対設けられていても良い。また、窓部24f、窓部24gおよび窓部24hの組み合わせのように、周辺領域対応領域の1辺部分に複数並べて設けられていても良い。また、窓部24iのように、周辺領域対応領域の1辺部分のほぼ全長に亘って設けられていても良い。また、窓部24jのように、周辺領域対応領域のコーナー部分に設けられていても良い。また、本発明に係る窓部の形状は、窓部24のような方形ではなく窓部24jのような円形や、その他、情報標示手段40が認識できるどのような形状であっても良い。
【0042】
なお、以上に説明したような窓部の位置や形状の変形例は、第3の実施形態に係る表示パネル201のように、窓部224が封止部材30の外側に設けられる場合にも適用可能である。
<表示パネルの検査方法>
第1の実施形態に係る表示パネル1の検査方法は、情報標示手段40が標示する情報を、CF基板20越しに窓部24を介して認識し、認識した情報に基づいてEL基板10およびCF基板20の少なくとも一方に関する状態を判断する。情報標示手段40を認識する方法としては、情報標示手段40の位置や大きさ形状等を光学的に認識することが考えられる。
【0043】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る表示パネルは、情報標示手段が封止層によって封止されている点において、第1の実施形態に係る表示パネル1と大きく相違する。以下では、第1の実施形態に係る表示パネル1と大きく相異する点についてのみ説明し、共通の構成部分には第1の実施形態と同じ符号を付してその説明は省略する。
【0044】
図6は、第2の実施形態に係る表示パネルを示す端面図である。図6に示すように、第2の実施形態に係る表示パネル101は、封止層119がEL基板110の表示領域のみならず、周辺領域にも形成されている。一方、情報標示手段40は、第1の実施形態に係る表示パネル1と同じ位置に設けられている。そのため、情報標示手段40は、光透過性材料からなる封止層119によって被覆され封止されている。
【0045】
EL基板110をCF基板20側から観察した場合に、封止層119越しに情報標示手段40が透けて見える。CF基板20における窓部24が設けられている領域には、ガラス基板21しか存在しておらず、そのガラス基板21が透明であるため、CF基板20の上方から窓部24の真下にある情報標示手段40を視認することができる。
第2の実施形態に係る表示パネル101のような構成とすれば、情報標示手段40のドットパターン43を、有機発光層16と似た環境下におくことができ、有機材料の劣化具合などをより高い再現性をもって標示できる。
【0046】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る表示パネルは、情報標示手段が封止部材の外側(枠外)に形成されている点において、第1の実施形態に係る表示パネル1と大きく相違する。以下では、第1の実施形態に係る表示パネル1と大きく相異する点についてのみ説明し、共通の構成部分には第1の実施形態と同じ符号を付してその説明は省略する。
【0047】
図7は、第3の実施形態に係る表示パネルを示す正面図である。図8は、第3の実施形態に係る表示パネルを示す端面図である。図7および図8に示すように、第3の実施形態に係る表示パネル201は、情報標示手段240が封止空間2の外側、すなわち方形枠状の封止部材30によって封止されていない枠外の領域に設けられている。一方、ブラックマトリクス層223の窓部224も情報標示手段240に対応する領域に設けられており、CF基板220越しに窓部224を介して情報標示手段240を認識することができる。
【0048】
なお、図7においてCで示す部分は、図3に示す情報標示手段40および窓部24と同じ様になっており、情報標示手段240はXY座標軸および複数のドットパターンで構成される。
第3の実施形態に係る表示パネル201のような構成とした場合は、情報標示手段240が封止部材30によって封止されていないため、情報標示手段240が封止空間2内に配置された内部部品と異なった環境下に晒されることになるが、封止空間2内に情報標示手段240を設けるためのスペースを確保する必要がないため、EL基板10の周辺領域の幅を狭くすることができる。したがって、表示パネル201の狭額縁化に有効である。
【0049】
特に、変形例に係る情報標示手段40a,40b,40c,40dのように、特に表示パネル201の内部部品と似た環境下におく必要のない情報標示手段40a,40b,40c,40dの場合は、第3の実施形態に係る表示パネル201のような構成が有効である。
第3の実施形態に係る表示パネル201のように、EL基板10とCF基板220とに挟まれた位置に情報標示手段240を設ければ、表示パネル201を取り扱う際に、情報標示手段240に物が当たって、情報標示手段240が擦れて損傷してしまうようなことが起こり難い。
【0050】
[第4の実施形態]
図9は、第4の実施形態に係る表示装置を用いたテレビシステムを示す斜視図である。図9に示すように、第4の実施形態に係る表示装置300は、R、GまたはBの光を出射する各画素が行方向及び列方向にマトリックス状に規則的に配置されてなる有機ELディスプレイであって、各画素が有機EL素子で構成されている。
【0051】
図10は、第4の実施形態に係る表示装置の全体構成を示す図である。図10に示すように、第4の実施形態に係る表示装置300は、本発明に係る表示パネル310と、これに接続された駆動制御部320とを備える。駆動制御部320は、4つの駆動回路321〜324と制御回路325とから構成されている。なお、実際の表示装置300では、表示パネル310に対する駆動制御部320の配置や接続関係については、これに限られない。
[変形例]
以上、本発明に係る表示パネル、表示装置および表示パネルの検査方法を第1〜第4の実施形態およびそれらの変形例に基づいて具体的に説明してきたが、本発明に係る表示パネル、表示装置および表示パネルの検査方法は、第1〜第4の実施形態およびそれらの変形例に限定されない。例えば、第1〜第4の実施形態およびそれらの変形例の部分的な構成を適宜組み合わせてなる表示パネル、表示装置および表示パネルの検査方法であっても良い。
【0052】
また、例えば、図2に示す第1の実施形態に係る表示パネル1において、封止空間2には、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の透明樹脂材料が充填されていても良い。封止空間2に透明樹脂材料を充填することによって、表示パネル1の封止強度・機械的強度・光取出し効率を向上させることができる。
また、封止空間2に透明樹脂材料を充填する場合は、透明樹脂材料は表示領域だけでなく周辺領域にも充填しても良い。この場合の封止部材30は、透明樹脂材料を封止空間2に閉じ込める役割を果たす。そして、周辺領域に充填された透明樹脂材料によって、情報標示手段が封止されていても良い。この構成により、情報標示手段をより有機発光層と似た環境下におくことができる。
【0053】
また、EL基板10とCF基板20との間には、EL基板10の表示領域を封止するために、封止部材30に加えて、表示領域を取り囲むよう低融点のフリットガラスで形成された枠状のフリットガラス部をさらに設けても良い。その場合、情報標示手段は、フリットガラス部の枠内に設けられていても良いし、枠外に設けられていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る表示パネルおよび表示装置は、例えば、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種表示装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ等に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1,101,201 表示パネル
10,110 第1基板
16 有機発光層
19,119 封止層
20,220 第2基板
23,223 ブラックマトリクス層
24,24a〜24j,224 窓部
30,130 封止部材
40,40a〜40d,240 情報標示手段
40b バーコード
41 X座標軸
42 Y座標軸
43 ドットパターン
300 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主面に、複数の画素が配列された表示領域が形成されている第1基板と、
前記一方の主面に対向配置され、前記表示領域における前記複数の画素を規定する部分に対応した領域、および、前記表示領域を囲繞する周辺領域に対応した領域にブラックマトリクス層が形成されている第2基板と、
を具備し、
前記第1基板の前記周辺領域には、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方に関する情報を標示する情報標示手段が設けられ、
前記ブラックマトリクス層における前記情報標示手段に対応した領域には、前記情報標示手段が標示する情報を前記第2基板越しに認識するための窓部が設けられている、
表示パネル。
【請求項2】
前記第1基板と第2基板との間には前記表示領域を封止する封止部材が前記表示領域を囲繞するように設けられており、前記封止部材によって前記情報標示手段も囲繞され封止されている、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記第1基板には前記表示領域を封止する透光性の封止層が前記表示領域を被覆するように積層されており、前記封止層によって前記情報標示手段も被覆され封止されている、
請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記各画素が有機発光素子で構成されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記情報標示手段の少なくとも一部が前記有機EL素子に含まれる有機発光層を構成する材料で形成されている、
請求項4記載の表示パネル。
【請求項6】
前記情報標示手段は、前記第1基板の前記一方の主面に表示されたXY座標軸と、前記XY座標軸で定義されたXY平面上にプロットされたドットパターンで構成され、前記ドットパターンが前記有機発光層を構成する材料で形成されている、
請求項5記載の表示パネル。
【請求項7】
前記情報標示手段は、印刷された文字、バーコードまたはQRコードである、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第2基板の端縁から前記窓部までの前記端縁と直交する方向における距離は10mm以下である、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示パネルを備える表示装置。
【請求項10】
一方の主面に、複数の画素が配列された表示領域が形成されている第1基板と、前記一方の主面に対向配置され、前記表示領域における前記複数の画素を規定する部分に対応した領域、および、前記表示領域を囲繞する周辺領域に対応した領域にブラックマトリクス層が形成されている第2基板と、を具備し、前記第1基板の前記周辺領域には、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方に関する情報を標示する情報標示手段が設けられ、前記ブラックマトリクス層における前記情報標示手段に対応した領域には窓部が設けられている、表示パネルの検査方法であって、
前記情報標示手段が標示する情報を、前記第2基板越しに前記窓部を介して認識し、認識した情報に基づいて前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方に関する状態を判断する、
表示パネルの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−252905(P2012−252905A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125366(P2011−125366)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】