表示処理装置およびコンピュータプログラム
【課題】ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用する。
【解決手段】機能バッジ列300は、スクロールバー51の位置に応じてスクロールしながら機能バッジエリア2Aに表示される。スクロールバー51が止まろうとするときまたは止まったときに、機能バッジエリア2Aの端の機能バッジ3Bが一部分しか表示されていない場合は、機能バッジ3Bの全部分が表示され(図10(C))または全く表示されないように(図10(B)、機能バッジ列300の調整を行う。
【解決手段】機能バッジ列300は、スクロールバー51の位置に応じてスクロールしながら機能バッジエリア2Aに表示される。スクロールバー51が止まろうとするときまたは止まったときに、機能バッジエリア2Aの端の機能バッジ3Bが一部分しか表示されていない場合は、機能バッジ3Bの全部分が表示され(図10(C))または全く表示されないように(図10(B)、機能バッジ列300の調整を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面のスクロールの制御を行う装置およびコンピュータプログラムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、スキャナ、ファックス、ネットワークプリント、およびドキュメントサーバなど様々な機能が備わった複合機が普及している。このような複合機は、「MFP(Multi Function Peripherals)」と呼ばれることもある。
【0003】
また、ADF(Auto Document Feeder)、印刷エンジン、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどのハードウェアの性能が向上したり、ソフトウェアの開発の環境が整備されたりするのに伴い、上述の機能とともに用いられる付随的な様々な機能が開発されている。
【0004】
例えば、コピー機能の付随的な機能(いわゆるオプション機能)として、いわゆる裏写りなどを除去する「下地調整機能」、スキャンした画像を自動的に回転させる「自動回転機能」、原稿の用紙を複数枚連続してスキャンする「連続読込み機能」、いわゆるブック仕上げを行う「ブック原稿機能」などの機能が提供されている。
【0005】
このように、複合機は、ますます多機能化されている。多機能化が進めば、ユーザは、様々な処理を複合機に実行させることができるようになる。
【0006】
しかし、実行させることができる処理のバリエーションが増えれば増えるほど、複合機の操作方法が複雑になりやすい。
【0007】
例えば、GUI(Graphical User Interface)を採用する複合機であれば、オプション機能ごとのアイコンをディスプレイに表示させるが、ディスプレイに一度に表示することができるアイコンの数は、限られている。ディスプレイに一度に表示するアイコンの数を増やすには、アイコンの大きさを小さくしなければならない。そうすると、ユーザにとって、アイコンが見にくくなる。
【0008】
このように、オプション機能が多ければ多いほど、ユーザにとって、使用するオプション機能のアイコンを探すのが大変になる。
【0009】
アイコンは、ある程度の大きさで表示されなければならない。よって、アイコンをすべてディスプレイに一度に表示することができない場合が、ある。この場合は、画面をスクロールさせることによって、アイコンを順番に表示させる。
【0010】
スクロール時の画面の表示方法として、次のような方法が提案されている。スクロール速度が所定値以上または所定値を超えるときに、スクロール速度が所定値未満または所定値以下の速さのときに比べ、表示する情報のサイズを小さくすると共に、表示する項目の列挙数を増加させる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−289101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、複合機などの特定の装置で用いられるディスプレイの表示領域は、パソコンなどで用いられるディスプレイの表示領域よりも狭い場合が多い。
【0013】
よって、複合機などのディスプレイにおいては、表示領域をより有効的に活用することが、ユーザによる複合機の操作性を改善する上で、求められている。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑み、ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一形態に係る表示処理装置は、複数の第一のアイコンが並んだ列を、ユーザの操作に応じて動く第二のアイコンの位置に応じて一部分ずつスクロールさせながらディスプレイに表示させる、表示処理装置であって、前記第二のアイコンを動かす操作が終了する時期に、前記複数の第一のアイコンのうちの前記第二のアイコンの進む方向の前記ディスプレイの端部に表示されている第一のアイコンについては一部分のみが表示されている場合に、当該端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されまたは当該端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する、調整手段、を有する。
【0016】
好ましくは、前記第二のアイコンは、前記列に沿って動き、前記列は、前記第二のアイコンが動く方向とは反対の方向にスクロールし、前記調整手段は、前記第二のアイコンを動かす操作が終了する直近の当該第二のアイコンの速さが所定の速さよりも速い場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整し、当該速さが当該所定の速さよりも遅い場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されるように前記第二のアイコンの位置を調整する。
【0017】
または、前記第二のアイコンは、前記列に沿って動き、前記列は、前記第二のアイコンが動く方向とは反対の方向にスクロールし、前記複数の第一のアイコンのそれぞれは、前記第一のアイコンに対応するタイトルとともに前記ディスプレイに表示され、前記調整手段は、前記端部に表示されている第一のアイコンの前記タイトルが意味のある状態で表示されている場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されるように前記第二のアイコンの位置を調整し、そうでない場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する。前記意味のある状態とは、例えば、前記端部に表示されている第一のアイコンの前記タイトルの表示されている部分に対して文字認識処理を行って得られるテキストデータが辞書のデータベースに示されている状態である、
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】正面から見た場合の複合機の外観および複合機を含むネットワークの構成の例を示す図である。
【図2】複合機の全体的なハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】正面から見た場合のエンジン部の内部の構成の例を概略化して表した断面図である。
【図4】操作部の構成の例を示す図である。
【図5】バッジ選択画面の例を示す図である。
【図6】複合機の機能的構成の第一の例を示す図である。
【図7】機能バッジ列とバッジ選択画面との関係の例を示す図である。
【図8】完全表示状態の機能バッジ列を含むバッジ選択画面2の例を示す図である。
【図9】非完全表示状態の機能バッジ列を含むバッジ選択画面2の例を示す図である。
【図10】機能バッジ列の調整の例を説明するための図である。
【図11】複合機の全体的な処理の流れの第一の例を説明するフローチャートである。
【図12】複合機の機能的構成の第二の例を示す図である。
【図13】複合機の全体的な処理の流れの第二の例を説明するフローチャートである。
【図14】複合機の全体的な処理の流れの第二の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第一の実施形態〕
図1は、正面から見た場合の複合機1の外観および複合機1を含むネットワークの構成の例を示す図である。図2は、複合機1の全体的なハードウェア構成の例を示す図である。図3は、正面から見た場合のエンジン部1fの内部の構成の例を概略化して表した断面図である。図4は、操作部1hの構成の例を示す図である。
【0021】
図1に示す複合機1は、一般にMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる画像処理装置であって、コピー、PCプリント(ネットワークプリンティング)、ファックス、スキャナ、およびドキュメントサーバなどの機能を集約した装置である。複合機1は、パーソナルコンピュータなどの他の装置TRと通信回線NWを介してデータのやり取りを行うことができる。
【0022】
複合機1は、図2に示すように、コントローラ1a、RAM(Random Access Memory)1b、ROM(Read Only Memory)1c、大容量記憶装置1d、スキャナ1e、エンジン部1f、ネットワークインタフェース1g、操作部1h、およびモデム1jなどによって構成される。
【0023】
スキャナ1eは、用紙に記されている写真、文字、絵、図表などの画像を読み取って画像データを生成する装置である。
【0024】
エンジン部1fは、スキャナ1eによって読み取られた画像または他の装置から受信した画像データに示される画像を印刷する印刷ユニットである。エンジン部1fとして、例えば、タンデム方式の印刷ユニットが用いられる。この場合は、エンジン部1fは、図3に示すように構成される。
【0025】
図3において、エンジン部1fは、画像形成ユニット1u、転写ベルト1t、一次転写装置1s、二次転写装置1v、定着装置1wなどによって構成される。画像形成ユニット1uおよび一次転写装置1sは、1つずつ、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)のそれぞれの色ごとに設けられている。
【0026】
画像形成ユニット1uは、像担持体1ua、帯電装置1ub、像露光装置1uc、および現像装置1udなどによって構成され、各色の像を次のように形成する。
【0027】
像担持体1uaは、感光体である。帯電装置1ubは、像担持体1uaの表面を一様な電位に帯電させる。像露光装置1ucは、表面が一様に帯電した像担持体1uaに、光を照射することによって静電潜像を形成する。現像装置1udは、像担持体1uaの、静電潜像が形成された部分に、トナーを静電吸着させる。
【0028】
一次転写装置1sは、像担持体1uaの表面に吸着しているトナーを、転写ベルト1tに転写(1次転写)する。
【0029】
二次転写装置1vは、転写ベルト1tに1次転写された各色のトナーを記録紙または樹脂フィルムなどの記録媒体MAに転写(二次転写)する。そして、定着装置1wは、二次転写されたトナーを記録媒体MAに定着させる。
【0030】
図2に戻って、操作部1hは、図4に示すように、液晶ディスプレイ1h0、タッチパネル1h1、およびキーボード1h2などによって構成される。
【0031】
液晶ディスプレイ1h0には、ユーザへメッセージを与えるための画面、処理の結果を示す画面、またはユーザが複合機1に対してジョブなどの指示を入力するための画面などが表示される。タッチパネル1h1は、液晶ディスプレイ1h0の表示面に設けられており、タッチされた(押された)位置を検知し、コントローラ1aにその位置を通知する。
【0032】
キーボード1h2は、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどのキーによって構成される入力装置である。
【0033】
ユーザは、操作部1hを操作することによって、複合機1に対してコマンドを与えたりデータを入力したりすることができる。
【0034】
図2に戻って、ネットワークインタフェース1gは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によって他の装置と通信を行う。ネットワークインタフェース1gとして、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。
【0035】
モデム1jは、固定電話網を介してG3のプロトコルによって他のファックス端末と通信を行う装置である。
【0036】
コントローラ1aは、複合機1の全体的な制御を行うCPU(Central Processing Unit)である。
【0037】
ROM1cまたは大容量記憶装置1dには、オペレーティングシステム、ファームウェア、およびアプリケーションなどのプログラムが記憶されている。
【0038】
オペレーティングシステムまたはファームウェアには、液晶ディスプレイ1h0に画面を表示するプログラムが含まれている。特に、本実施形態では、後述するバッジ選択画面2(図5参照)を表示するためのバッジ選択画面表示プログラム10が含まれている。
【0039】
大容量記憶装置1dとして、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリなどの不揮発性の記録装置が用いられる。これらのプログラムは、必要に応じてRAM1bへロードされ、コントローラ1aによって実行される。
【0040】
上述の通り、複合機1には、コピー、PCプリント、ファックス、スキャナ、およびドキュメントサーバなど様々な機能が備わっている。これらの機能は、使用の要否または設定値をユーザが任意に選択できるオプション機能と組み合わされて実現される。
【0041】
例えば、コピー機能は、いわゆる裏写りなどを除去する「下地調整機能」、スキャンした画像を自動的に回転させる「自動回転機能」、原稿の用紙を複数枚連続してスキャンする「連続読込み機能」、いわゆるブック仕上げを行う「ブック原稿機能」などのオプション機能が適宜、組み合わされる。
【0042】
図5は、バッジ選択画面2の例を示す図である。図6は、複合機1の機能的構成の第一の例を示す図である。図7は、機能バッジ列300とバッジ選択画面2との関係の例を示す図である。図8は、完全表示状態の機能バッジ列300を含むバッジ選択画面2の例を示す図である。図9は、非完全表示状態の機能バッジ列300を含むバッジ選択画面2の例を示す図である。図10は、機能バッジ列300の調整の例を説明するための図である。
【0043】
次に、図5に示すバッジ選択画面2を、その表示方法および操作方法などとともに説明する。
【0044】
ユーザが所定の操作を行うと、コントローラ1aは、バッジ選択画面表示プログラム10を起動させる。例えば、ユーザがキーボード1h2の中の、「copy」、「fax/scan」、および「box」の各ファンクションキーのうちのいずれかを押すと、バッジ選択画面表示プログラム10を起動させる。
【0045】
バッジ選択画面表示プログラム10によると、図6に示すバッジ選択画面データ生成部101、バッジ選択画面表示制御部102、モーション種類等判別部103、スライドゲージ速度算定部104、スライドゲージ位置決定部105、バッジ位置決定部106、スライド停止直前時検知部107、緩急判別部108、画面データ記憶部10A、およびスクロールバー位置速度記憶部10Bなどが実現される。
【0046】
以下、「copy」のファンクションキーが押された場合を例に、バッジ選択画面データ生成部101ないしスクロールバー位置速度記憶部10Bの処理内容およびバッジ選択画面2などについて説明する。
【0047】
まず、バッジ選択画面2について説明する。バッジ選択画面2には、図5の通り、機能バッジエリア2A、スクロールトラック2B、およびスライドゲージ移動エリア2Cの3つのエリアがある。
【0048】
機能バッジエリア2Aには、機能バッジ列300が表示される。機能バッジ列300は、横方向に一列に並んだ複数の機能バッジ3によって構成されるマップである。以下、26個の機能バッジ3が設けられている場合を例に説明する。また、各機能バッジ3を左から順に「機能バッジ3A」、「機能バッジ3B」、…、「機能バッジ3Z」、と区別して記載することがある。
【0049】
図7に示すように、機能バッジ列300の高さ(縦方向の長さ)は、機能バッジエリア2Aの高さよりもずっと低い。しかし、機能バッジ列300の幅(横方向の長さ)は、機能バッジエリア2Aの幅よりもかなり長い。よって、機能バッジエリア2Aには、機能バッジ列300の一部分しか表れていない。
【0050】
ただし、ユーザは、後述するように、機能バッジエリア2Aにおいて機能バッジ列300を横方向にスクロールさせることによって、機能バッジ列300の残りの部分を見ることができる。
【0051】
機能バッジ3は、オプション機能を表わすアイコンであり、複合機1に備わっているオプション機能ごとに1つずつ用意されている。本実施形態では、「copy」のファンクションキーが押されたので、機能バッジ列300には、コピーの機能とともに用いられるオプション機能の機能バッジ3が並べられる。
【0052】
なお、機能バッジ3の上には、それに対応するオプション機能の名前が記されている。また、オプション機能の設定の内容に応じて機能バッジ3の絵柄が変更されることがある。図7および図10においては、機能バッジ3の絵柄を省略している。
【0053】
スクロールトラック2Bには、複数のマーカ4が横方向に並べられている。マーカ4は、アイコンである。マーカ4の個数は機能バッジ3の個数と同じである。そして、左のマーカ4から順に機能バッジ3A、機能バッジ3B、…、機能バッジ3Zに対応している。以下、各マーカ4を左から順に「マーカ4A」、「マーカ4B」、…、「マーカ4Z」と区別して記載することがある。したがって、マーカ4A、マーカ4B、…、マーカ4Zは、それぞれ、機能バッジ3A、機能バッジ3B、…、機能バッジ3Zに対応している。
【0054】
スクロールトラック2Bの幅は、バッジ選択画面2の幅とほぼ同じである。よって、ユーザは、スクロールトラック2Bのすべての部分を一度に見ることができる。
【0055】
スライドゲージ移動エリア2Cは、スクロールトラック2Bの直ぐ下に設けられている。スクロールトラック2Bの幅と同様に、スライドゲージ移動エリア2Cの幅もバッジ選択画面2の幅とほぼ同じである。
【0056】
スライドゲージ5は、スクロールバー51およびウィンドウ52によって構成される(図5参照)。スクロールバー51は、ユーザの操作に応じて、スライドゲージ移動エリア2Cの中を左右方向(横方向、幅方向)に移動するアイコンである。したがって、スクロールバー51は、ユーザの操作に応じて、スクロールトラック2Bの下辺に沿って平行に移動する。なお、説明の簡単のため、本実施形態では、スクロールバー51は上下方向には移動しないものとする。
【0057】
ウィンドウ52は、機能バッジエリア2Aを縮小したものに相当する。ウィンドウ52は、スクロールバー51の真上に設けられている。ウィンドウ52の高さは、スクロールトラック2Bの高さよりも若干高い。また、ウィンドウ52の幅は、スクロールバー51の幅より若干、長い。よって、ウィンドウ52は、スクロールトラック2Bの中の、スクロールバー51の真上にある幾つかのマーカ4を囲うことができる。
【0058】
また、ウィンドウ52は、スクロールバー51に固定されている。よって、ウィンドウ52は、スクロールバー51が移動すると、一緒に移動する。ユーザは、ウィンドウ52で囲われるマーカ4を、スクロールバー51を操作することによって変えることができる。
【0059】
機能バッジエリア2Aには、上述の通り、機能バッジ列300の一部分のみ、つまり、26個の機能バッジ3のうちの一部のみが、表示される。図5に示す通り、ウィンドウ52によって囲われているマーカ4に対応する機能バッジ3のみが、機能バッジエリア2Aに表示される。そして、スクロールバー51の移動に伴って、ウィンドウ52で囲うマーカ4が変わり、機能バッジエリア2Aに表示される機能バッジ3も変わる。
【0060】
このように、スクロールバー51の移動に伴って、機能バッジ列300が機能バッジエリア2Aにおいてスクロールする。
【0061】
次に、図6に示すバッジ選択画面データ生成部101ないしスクロールバー位置速度記憶部10Bについて説明する。バッジ選択画面2を液晶ディスプレイ1h0に表示する処理は、バッジ選択画面データ生成部101ないしスクロールバー位置速度記憶部10Bによって実現される。
【0062】
画面データ記憶部10Aには、バッジ選択画面2を構成する各オブジェクトを表示するための画像データが記憶されている。これらの画像データは、バッジ選択画面データ生成部101によって用いられる。
【0063】
バッジ選択画面データ生成部101は、ユーザによる操作に応じた状態のバッジ選択画面2のビットマップのデータを生成する。
【0064】
ファンクションキーが押された場合は、このファンクションキーに係る機能に応じたバッジ選択画面2のビットマップのデータを生成する。ただし、この場合は、スライドゲージ5をデフォルトの位置に配置しておく。したがって、バッジ選択画面2に配置される機能バッジ3も自ずと決まる。
【0065】
また、ユーザがスクロールバー51を移動させる操作を行うと、バッジ選択画面データ生成部101は、その操作に応じて変化したバッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する。これについては、後述する。
【0066】
バッジ選択画面表示制御部102は、バッジ選択画面データ生成部101によって生成されたビットマップのデータに基づいて、液晶ディスプレイ1h0にバッジ選択画面2を表示させる。
【0067】
ユーザは、機能バッジ列300をスクロールさせるために、バッジ選択画面2を見ながら、タッチパネル1h1の上の、スクロールバー51が表示されている位置を指またはペンなどで触って右または左へスライドさせる。「スライド」という操作は、マウスでオブジェクトをドラッグする操作に相当する。
【0068】
または、ユーザは、オプション機能を選択する場合は、そのオプション機能に対応する機能バッジ3をタップする。「タップ」という操作は、マウスでオブジェクトをクリックする操作に相当する。
【0069】
タッチパネル1h1は、各時刻における触れられた位置を検知する。そして、タッチパネル1h1は、各時刻における検知した位置をコントローラ1aへ通知する。以下、触れられた位置を「接触位置」と記載する。
【0070】
モーション種類等判別部103は、タッチパネル1h1から通知された検知の結果に基づいて、ユーザが行った操作(モーション)の種類および対象を次のように判別する。
【0071】
触れられている間の、最初の接触位置とその後の任意の接触位置との距離(以下、「接触変位距離」と記載する。)が所定の距離以上である場合は、モーション種類等判別部103は、その操作が「スライド」であると判別する。そして、最初の接触位置に配置されているオブジェクト(例えば、スクロールバー51)を、操作の対象であると判別する。
【0072】
したがって、モーション種類等判別部103は、最初の接触位置から所定の距離以上離れた別の接触位置が検知された時点で、その操作が「スライド」であると、判別する。
【0073】
一方、接触変位距離が所定の値未満である場合は、モーション種類等判別部103は、その操作が「タップ」であると判別する。そして、最初の接触位置に配置されているオブジェクト(例えば、いずれかの機能バッジ3)を、操作の対象であると判別する。
【0074】
したがって、モーション種類等判別部103は、最初の接触位置から所定の距離以上離れた別の接触位置が検知されることなく指などがタッチパネル1h1から離れたら、その操作が「タップ」であると、判別する。
【0075】
スライドゲージ速度算定部104は、操作の種類がスライドでありかつ操作の対象がスクロールバー51であるとモーション種類等判別部103によって判別された場合に、タッチパネル1h1による検知の結果に基づいて、触れられている間の各時刻におけるスライドの速度(つまり、速さおよび方向)を算出する。例えば、時刻Taおよび時刻Tb(ただし、Ta>Tb)それぞれにおける接触位置のX軸(幅方向の軸)の値をXa、Xbとすると、時刻Taにおける速度Vaは、
Va=(Xa−Xb)/(Ta−Tb)
である。
【0076】
スライドゲージ位置決定部105は、タッチパネル1h1によって検知された結果に基づいて、触れられている間の各時刻におけるスライドゲージ5の位置を決定する。
【0077】
例えば、ユーザがスクロールバー51の中心を触りながらスライドを行い、ある時刻Tcの接触位置のX座標の値としてXcが検知された場合は、スクロールバー51の中心が座標(Xc,Yo)になる位置を、スライドゲージ5の時刻Tcにおける位置に決定する。なお、上述の通り、スライドゲージ5は上下方向には移動しないので、「Yo」は、所定の値である。または、指の移動の量および向きに基づいてスクロールバー51の位置を決定してもよい。
【0078】
スクロールバー位置速度記憶部10Bには、各時刻における、スクロールバー51の位置および速度が記憶される。
【0079】
バッジ位置決定部106は、スライドゲージ位置決定部105が決定したスライドゲージ5の位置に基づいて、機能バッジエリア2Aに表示させる機能バッジ3およびそれらの位置を次のように決定する。
【0080】
スライドゲージ5の位置が決まると、ウィンドウ52の位置も自ずと決まる。バッジ位置決定部106は、機能バッジ列300の、ウィンドウ52に囲われている部分を特定する。特定した部分には、マーカ4が複数個、横一列に並んでいる。
【0081】
ウィンドウ52は、上述の通り、機能バッジエリア2Aを縮小した領域に相当する。そこで、バッジ位置決定部106は、特定した部分に並んでいる各マーカ4に対応する機能バッジ3を、機能バッジエリア2Aに表示させる機能バッジ3に決定する。さらに、バッジ位置決定部106は、特定した部分を所定の倍率に(機能バッジエリア2Aと同じサイズになるように)拡大して機能バッジエリア2Aに配置したときの、特定した部分に含まれる各マーカ4の位置を算出する。そして、各マーカ4の算出した位置を、各マーカ4に対応する各機能バッジ3の位置に決定する。
【0082】
例えば、図8のようにマーカ4B、4C、…、および4Hの全部分がウィンドウ52に囲われている場合は、バッジ位置決定部106は、左から順に機能バッジ3B、3C、…、および3Hの全部分を表示させると、決定する。
【0083】
または、図9のように、マーカ4Bの右半分と、マーカ4C、4D、…、および4Hの全部分と、マーカ4Iの左半分とが、ウィンドウ52に囲われている場合は、バッジ位置決定部106は、左から順に機能バッジ3Bの右半分と、機能バッジ3C、3D、…、および3Hの全部分と、機能バッジ3Iの左半分を表示させると、決定する。
【0084】
図8と図9とを比較して分かるように、機能バッジエリア2Aに配置されるすべての機能バッジ3の全部分が機能バッジエリア2Aに表れることもあれば、これらの機能バッジ3のうちの右端および左端の少なくとも一方の機能バッジ3については一部分しか機能バッジエリア2Aに表れないこともある。
【0085】
以下、図8のように、機能バッジエリア2Aに配置されるすべての機能バッジ3の全部分が機能バッジエリア2Aに表れる状態を、「完全表示状態」と記載する。一方、図9のように、右端および左端の少なくとも一方の機能バッジ3については一部分しか機能バッジエリア2Aに表れていない状態を、「非完全表示状態」と記載する。
【0086】
バッジ選択画面データ生成部101は、スライドゲージ位置決定部105およびバッジ位置決定部106が決定した通りにスライドゲージ5および機能バッジ3が配置されるようにバッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する。
【0087】
そして、バッジ選択画面表示制御部102は、バッジ選択画面データ生成部101によって修正されたビットマップのデータに基づいて、バッジ選択画面2を液晶ディスプレイ1h0に表示し直す。
【0088】
しかし、ユーザがスライドを止める直前になったら、機能バッジ3の配置が必要に応じて調整(補正)される。次に、機能バッジ3の配置の調整について説明する。
【0089】
スライド停止直前時検知部107は、スライドを止める直前の時期つまりスクロールバー51が停止する直前の時期が訪れたことを、次のように検知する。例えば、現在の時刻Tcにおけるスクロールバー51の位置の横軸の座標Xcと過去の時刻Tdにおけるスクロールバー51の横軸の座標Xdとの距離の絶対値が所定の値以下である場合に、ユーザがスライドを止める直前の時刻が訪れたと、検知する。または、現在の時刻Tcにおける速度Vcの絶対値が所定の値以下である場合に、ユーザがスライドを止める直前の時刻が訪れたと、検知してもよい。
【0090】
緩急判別部108は、ユーザがスライドを速い速度から急に止めようとしているのか、遅い速度から徐々に止めようとしているのかを、例えば次のように判別する。
【0091】
緩急判別部108は、ユーザがスライドを止める直前の時期が訪れたとスライド停止直前時検知部107によって判別された場合に、直近の速度の変化をチェックする。
【0092】
そして、緩急判別部108は、現在の時刻よりも少し前の時刻Teおよび時刻Tf(ただし、Te<Tf)それぞれにおける速度がVeおよびVfである場合において、Vfの大きさとVeの大きさとの差が所定の値以上であれば、スライドを急に止めようとしていると、判別する。一方、所定の値未満であれば、スライドを徐々に止めようとしていると、判別する。
【0093】
バッジ位置決定部106は、スライドを止める直前の時期が訪れたとスライド停止直前時検知部107によって検知された場合に、機能バッジ3の配置を次のように決定する。
【0094】
検知の直前の機能バッジ3が非完全表示状態で表れている場合は、バッジ位置決定部106は、緩急判別部108による判別結果に応じて、次のように機能バッジ3の配置を決定する。
【0095】
スライドを急に止めようとしていると緩急判別部108によって判別された場合は、バッジ位置決定部106は、機能バッジ列300が現在スクロールする方向の先頭に位置する、一部分だけ表れている機能バッジ3が完全に表れるように、各機能バッジ3を配置する。例えば、図10(A)のように、機能バッジ3Bの右半分、機能バッジ3C〜3Hの全部分、および機能バッジ3Iの左半分が配置されており、矢印A1の指す方向にスクロールバー51がスライドされ、矢印A2の指す方向に機能バッジ列300がスクロールしているときに、そのように判別された場合は、バッジ位置決定部106は、図10(B)のように、機能バッジ3Iが完全に表れるように、機能バッジ3C〜3Iを完全表示状態で配置する。つまり、機能バッジ3の約半個分、機能バッジ列300が逆スクロールするように配置する。
【0096】
一方、スライドを徐々に止めようとしていると緩急判別部108によって判別された場合は、バッジ位置決定部106は、機能バッジ列300が現在スクロールする方向の最後尾に位置する、一部分だけ表れている機能バッジ3が完全に表れるように、各機能バッジ3を配置する。例えば、図10(A)の状態のときに、そのように判別された場合は、バッジ位置決定部106は、図10(C)のように、機能バッジ3Bが完全に表れるように、機能バッジ3B〜3Hを完全表示状態で配置する。つまり、機能バッジ3の約半個分、機能バッジ列300がさらにスクロールするように配置する。
【0097】
スライドゲージ位置決定部105は、バッジ位置決定部106によって決定された、機能バッジエリア2Aに配置する機能バッジ3を指し示すように、スライドゲージ5の位置を決定する。
【0098】
そして、バッジ選択画面データ生成部101は、ユーザがスライドを止めようとする時期より前の場合と同様に、スライドゲージ位置決定部105およびバッジ位置決定部106が決定した通りにスライドゲージ5および機能バッジ3が配置されるようにバッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する。バッジ選択画面表示制御部102は、バッジ選択画面データ生成部101によって修正されたビットマップのデータに基づいて、バッジ選択画面2を液晶ディスプレイ1h0に表示し直す。
【0099】
このように、ユーザがスライドを止める直前、機能バッジ3が完全表示状態で表示されている場合に、バッジ位置決定部106、スライドゲージ位置決定部105、バッジ選択画面データ生成部101、およびバッジ選択画面表示制御部102は、完全表示状態になるように調整を行う。
【0100】
または、検知の直前の機能バッジ3が完全表示状態で表れている場合は、バッジ位置決定部106、スライドゲージ位置決定部105、バッジ選択画面データ生成部101、およびバッジ選択画面表示制御部102は、上述の調整の処理は、行わない。
【0101】
図11は、複合機1の全体的な処理の流れの第一の例を説明するフローチャートである。
【0102】
次に、機能バッジ列300をスクロールさせる際の複合機1の全体的な処理の流れを、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0103】
複合機1は、ユーザがスクロールバー51をスライドさせる操作を行っている間(図11の#301でYes)、次に説明する処理を適宜、実行する。
【0104】
複合機1は、スクロールバー51の位置および速度を求め、記憶する(#302)。そして、求めた位置にスクロールバー51が配置されかつスクロールバー51の位置に応じた位置に機能バッジ列300が配置されるように、バッジ選択画面2のビットマップのデータを修正し、バッジ選択画面2を表示し直す(#303)。
【0105】
さらに、複合機1は、ユーザがスライドを止める直前であるか否かを判別する(#304)。
【0106】
スライドを止める直前であると判別した場合は(#305でYes)、複合機1は、必要に応じて機能バッジ3およびスライドゲージ5の位置の調整を次のように行う(#306〜#311)。
【0107】
まず、複合機1は、現在の機能バッジ3の表示の状態が完全表示状態(図8参照)および非完全表示状態(図9参照)のいずれであるのかを判別する(#306)。
【0108】
非完全表示状態である場合は(#307でYes)、スクロールバー51の直近の速さの変化が所定の大きさ未満であれば(#308でYes)、図10(A)および図10(B)で説明したように、機能バッジ列300が現在スクロールする方向の先頭に位置する、一部分だけ表れている機能バッジ3が完全に表れるように、各機能バッジ3の配置を調整し、バッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する(#309)。
【0109】
または、スクロールバー51の直近の速さの変化が所定の大きさ以上であれば(#308でNo)、図10(A)および図10(C)で説明したように、機能バッジ列300が現在スクロールする方向の最後尾に位置する、一部分だけ表れている機能バッジ3が完全に表れるように、各機能バッジ3の配置を調整し、バッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する(#310)。
【0110】
そして、複合機1は、修正後のデータに基づいてバッジ選択画面2を表示し直す(#311)。
【0111】
一方、スライドを止める直前であると判別した場合および現在の機能バッジ3の表示の状態が完全表示状態であると判別した場合は(#305でNoまたは#307でNo)、調整は行わない。
【0112】
第一の実施形態によると、ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用することができる。通常、ユーザは、スクロールバー51を徐々に止めようとする場合は、スクロールバー51の移動方向側の機能バッジ3に視点があると判断できる。そこで、複合機1は、スクロールバー51の移動方向側の機能バッジ3が一部分だけ表示されたまま止まろうとした場合に、この機能バッジ3を完全に表示する。これにより、操作性の改善を図ることができる。
【0113】
また、ユーザがスクロールバー51を急に止めようとした場合にも、非完全表示状態を避け、完全表示状態で機能バッジ列300を表示する。これにより、操作性の改善を図ることができる。
【0114】
〔第二の実施形態〕
図12は、複合機1の機能的構成の第二の例を示す図である。
【0115】
第一の実施形態では、ユーザがスライドを速い速度から急に止めようとしているのか、または、遅い速度から徐々に止めようとしているのかによって、図10(A)に示した非完全表示状態の調整(補正)を行った。第二の実施形態では、機能バッジ3に係る機能の名前(タイトル)の表示の状態に応じて調整(補正)を行う。
【0116】
第二の実施形態における複合機1のハードウェア構成は、第一の実施形態の場合と基本的に同じであり、図2、図3、および図4などで説明した通りである。ただし、ROM1cまたは大容量記憶装置1dには、バッジ選択画面表示プログラム10(図6参照)の代わりに、バッジ選択画面表示プログラム12がインストールされている。バッジ選択画面表示プログラム12は、図12に示すバッジ選択画面データ生成部121、バッジ選択画面表示制御部122、モーション種類等判別部123、スライドゲージ速度算定部124、スライドゲージ位置決定部125、バッジ位置決定部126、スライド停止直前時検知部127、辞書検索部128、画面データ記憶部12L、スクロールバー位置速度記憶部12M、および辞書データ記憶部12Nなどを実現するためのプログラムである。
【0117】
以下、図12に示す各部の処理内容を、第一の実施形態と相違する点を中心に説明する。第一の実施形態と共通する点については、説明を省略する。
【0118】
バッジ選択画面データ生成部121、バッジ選択画面表示制御部122、モーション種類等判別部123、スライドゲージ速度算定部124、スライド停止直前時検知部127、画面データ記憶部12L、およびスクロールバー位置速度記憶部12Mは、それぞれ、第一の実施形態のバッジ選択画面データ生成部101、バッジ選択画面表示制御部102、モーション種類等判別部103、スライドゲージ速度算定部104、スライド停止直前時検知部107、画面データ記憶部10A、およびスクロールバー位置速度記憶部10Bと同様に機能する。
【0119】
スライドゲージ位置決定部125およびバッジ位置決定部126も、それぞれ、基本的に第一の実施形態のスライドゲージ位置決定部105およびバッジ位置決定部106と同様に機能する。
【0120】
ただし、スライドを止める直前の時期が来たことがスライド停止直前時検知部127によって検知された後は、辞書検索部128による検索の結果に基づいて、機能バッジ3の配置などの調整を行う。これについては、後述する。
【0121】
辞書データ記憶部12Nには、多数の単語を示す辞書データが記憶されている。つまり、辞書データ記憶部12Nは、いわゆる辞書データベースである。辞書データとして、いわゆる電子辞書のデータまたは漢字変換用のデータなどが用いられる。
【0122】
辞書検索部128は、スライドを止める直前の時期が来たことがスライド停止直前時検知部127によって検知されると、スクロールバー51の移動する方向を検出し、さらに、機能バッジ3が非完全表示状態で表示されているか否かを検知する。
【0123】
非完全表示状態で表示されていることを検知した場合は、スクロールバー51の移動方向側の、一部分のみが表れている機能バッジ3のタイトル(機能名)を、抽出する。例えば、スクロールバー51の移動方向および機能バッジ3の配置が図10(A)に示すような場合は、辞書検索部128は、機能バッジ3Bのタイトルを抽出する。タイトルの抽出は、バッジ選択画面2の中の、機能バッジ3Bのタイトルに当たる領域を文字認識機能(OCR(Optical Character Reader)機能)を用いてテキスト化することによって行えばよい。
【0124】
そして、辞書検索部128は、抽出したタイトルを、辞書データ記憶部12Nに記憶されている辞書データの中から検索する。なお、抽出したタイトルが複数の単語からなる場合がある。例えば、抽出したタイトルがスペースやカンマなどの記号で区切られている場合である。このような場合は、その記号で分割される単語の単位で検索を行う。または、抽出したタイトルが複数の行に跨っている場合は、行ごとに、検索を行う。
【0125】
この方法によると、複合機1は、抽出したタイトルがバッジ選択画面2の端で途中で切れてしまっている場合は、それを上手く認識しまたは辞書データ記憶部12Nから検索することができないことがある。つまり、意味のない情報としてバッジ選択画面2に表れていることがある。
【0126】
バッジ位置決定部126は、スクロールバー51の検出した移動方向側の一部分のみが表れている機能バッジ3のタイトルが辞書検索部128によって検索できた(ヒットした)場合は、この機能バッジ3の全部分が表れるように、機能バッジ3の配置を調整する。例えば、図10(A)に示す配置を、図10(C)に示す配置に調整する。一方、検索できなかった場合は、この機能バッジ3が少しも表れないように、機能バッジ3の配置を調整する。例えば、図10(A)に示す配置を、図10(B)に示す配置に調整する。
【0127】
なお、タイトルに複数の単語が含まれている場合は、いずれか1つでも辞書データ記憶部12Nの辞書データに示されていれば、ヒットしたものとして取り扱ってもよいし、すべてが辞書データ記憶部12Nの辞書データに示されている場合に限り、ヒットしたものとして取り扱ってもよい。
【0128】
スライドゲージ位置決定部125は、バッジ位置決定部126によって配置が調整された機能バッジ3を指し示すように、スライドゲージ5の位置を決定する。
【0129】
そして、バッジ選択画面データ生成部121は、ユーザがスライドを止めようとする時期より前の場合と同様に、スライドゲージ位置決定部125およびバッジ位置決定部126が決定した通りにスライドゲージ5および機能バッジ3が配置されるようにバッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する。バッジ選択画面表示制御部122は、バッジ選択画面データ生成部121によって修正されたビットマップのデータに基づいて、バッジ選択画面2を液晶ディスプレイ1h0に表示し直す。
【0130】
図13および図14は、複合機1の全体的な処理の流れの第二の例を説明するフローチャートである。
【0131】
次に、機能バッジ列300をスクロールさせる際の複合機1の全体的な処理の流れの第二の例を、図13および図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0132】
図13および図14において、ステップ#401〜#406の処理は、第一の実施形態のステップ#301〜#306(図11参照)と同様であるので、説明を省略する。
【0133】
機能バッジ3の表示の状態が非完全表示状態である場合は(#407でYes)、複合機1は、スクロールバー51の移動方向側の、一部分のみが表れている機能バッジ3のタイトルを、抽出する(#408)。そのタイトルを、辞書データの中から検索する(#411)。ただし、そのタイトルに複数の単語が含まれている場合は(#409でYes)、単語単位に分割し(#410)、単語ごとに検索する(#411)。
【0134】
また、複数の行に渡ってタイトルが記されている場合は、行ごとに、上記の検索を行う(#409〜#411)。
【0135】
検索が完了したら(#412でYes)、複合機1は、そのタイトルに含まれる単語が検索できた(ヒットした)のであれば(#413でYes)、スクロールバー51の移動方向側の、一部分のみが表れている機能バッジ3を全部分が表われるように調整し、バッジ選択画面2を表示し直す(#414、#416)。検索できなかったのであれば(#413でNo)、この機能バッジ3がまったく表れないように調整し、バッジ選択画面2を表示し直す(#415、#416)。
【0136】
第二の実施形態によると、ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用することができる。
【0137】
第一の実施形態および第二の実施形態では、機能バッジ列300を構成する機能バッジ3は1列に並んでいたが、2列に並んでいる場合であっても、本発明を適用することができる。
【0138】
第一の実施形態および第二の実施形態では、機能バッジ3およびマーカ4を左右方向に並べられ、機能バッジ列300およびスライドゲージ5を左右方向に移動させたが、上下方向に並べ上下方向に移動させる場合にも、本発明を適用することができる。
【0139】
第一の実施形態および第二の実施形態では、表示される機能バッジ3がスクロールに伴って変わる場合を例に説明したが、バッジ選択画面2または機能バッジエリア2Aの拡大または縮小に伴って変わる場合にも、本発明を適用することができる。また、ユーザのカスタマイズ画面に機能バッジ3を配置する場合にも、本発明を適用することができる。
【0140】
第一の実施形態および第二の実施形態では、ユーザがスライドを止める直前を検知し、検知した際にスクロールバー51の調整を行ったが、ユーザがスライドを止めた際またはユーザがスクロールバー51から指を離した際に、調整を行ってもよい。
【0141】
その他、複合機1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成、画面の構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 複合機
105 スライドゲージ位置決定部(調整手段)
106 バッジ位置決定部(調整手段)
3 機能バッジ(第一のアイコン)
51 スクロールバー(第三のアイコン)
300 機能バッジ列
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面のスクロールの制御を行う装置およびコンピュータプログラムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、スキャナ、ファックス、ネットワークプリント、およびドキュメントサーバなど様々な機能が備わった複合機が普及している。このような複合機は、「MFP(Multi Function Peripherals)」と呼ばれることもある。
【0003】
また、ADF(Auto Document Feeder)、印刷エンジン、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどのハードウェアの性能が向上したり、ソフトウェアの開発の環境が整備されたりするのに伴い、上述の機能とともに用いられる付随的な様々な機能が開発されている。
【0004】
例えば、コピー機能の付随的な機能(いわゆるオプション機能)として、いわゆる裏写りなどを除去する「下地調整機能」、スキャンした画像を自動的に回転させる「自動回転機能」、原稿の用紙を複数枚連続してスキャンする「連続読込み機能」、いわゆるブック仕上げを行う「ブック原稿機能」などの機能が提供されている。
【0005】
このように、複合機は、ますます多機能化されている。多機能化が進めば、ユーザは、様々な処理を複合機に実行させることができるようになる。
【0006】
しかし、実行させることができる処理のバリエーションが増えれば増えるほど、複合機の操作方法が複雑になりやすい。
【0007】
例えば、GUI(Graphical User Interface)を採用する複合機であれば、オプション機能ごとのアイコンをディスプレイに表示させるが、ディスプレイに一度に表示することができるアイコンの数は、限られている。ディスプレイに一度に表示するアイコンの数を増やすには、アイコンの大きさを小さくしなければならない。そうすると、ユーザにとって、アイコンが見にくくなる。
【0008】
このように、オプション機能が多ければ多いほど、ユーザにとって、使用するオプション機能のアイコンを探すのが大変になる。
【0009】
アイコンは、ある程度の大きさで表示されなければならない。よって、アイコンをすべてディスプレイに一度に表示することができない場合が、ある。この場合は、画面をスクロールさせることによって、アイコンを順番に表示させる。
【0010】
スクロール時の画面の表示方法として、次のような方法が提案されている。スクロール速度が所定値以上または所定値を超えるときに、スクロール速度が所定値未満または所定値以下の速さのときに比べ、表示する情報のサイズを小さくすると共に、表示する項目の列挙数を増加させる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−289101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、複合機などの特定の装置で用いられるディスプレイの表示領域は、パソコンなどで用いられるディスプレイの表示領域よりも狭い場合が多い。
【0013】
よって、複合機などのディスプレイにおいては、表示領域をより有効的に活用することが、ユーザによる複合機の操作性を改善する上で、求められている。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑み、ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一形態に係る表示処理装置は、複数の第一のアイコンが並んだ列を、ユーザの操作に応じて動く第二のアイコンの位置に応じて一部分ずつスクロールさせながらディスプレイに表示させる、表示処理装置であって、前記第二のアイコンを動かす操作が終了する時期に、前記複数の第一のアイコンのうちの前記第二のアイコンの進む方向の前記ディスプレイの端部に表示されている第一のアイコンについては一部分のみが表示されている場合に、当該端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されまたは当該端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する、調整手段、を有する。
【0016】
好ましくは、前記第二のアイコンは、前記列に沿って動き、前記列は、前記第二のアイコンが動く方向とは反対の方向にスクロールし、前記調整手段は、前記第二のアイコンを動かす操作が終了する直近の当該第二のアイコンの速さが所定の速さよりも速い場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整し、当該速さが当該所定の速さよりも遅い場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されるように前記第二のアイコンの位置を調整する。
【0017】
または、前記第二のアイコンは、前記列に沿って動き、前記列は、前記第二のアイコンが動く方向とは反対の方向にスクロールし、前記複数の第一のアイコンのそれぞれは、前記第一のアイコンに対応するタイトルとともに前記ディスプレイに表示され、前記調整手段は、前記端部に表示されている第一のアイコンの前記タイトルが意味のある状態で表示されている場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されるように前記第二のアイコンの位置を調整し、そうでない場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する。前記意味のある状態とは、例えば、前記端部に表示されている第一のアイコンの前記タイトルの表示されている部分に対して文字認識処理を行って得られるテキストデータが辞書のデータベースに示されている状態である、
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】正面から見た場合の複合機の外観および複合機を含むネットワークの構成の例を示す図である。
【図2】複合機の全体的なハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】正面から見た場合のエンジン部の内部の構成の例を概略化して表した断面図である。
【図4】操作部の構成の例を示す図である。
【図5】バッジ選択画面の例を示す図である。
【図6】複合機の機能的構成の第一の例を示す図である。
【図7】機能バッジ列とバッジ選択画面との関係の例を示す図である。
【図8】完全表示状態の機能バッジ列を含むバッジ選択画面2の例を示す図である。
【図9】非完全表示状態の機能バッジ列を含むバッジ選択画面2の例を示す図である。
【図10】機能バッジ列の調整の例を説明するための図である。
【図11】複合機の全体的な処理の流れの第一の例を説明するフローチャートである。
【図12】複合機の機能的構成の第二の例を示す図である。
【図13】複合機の全体的な処理の流れの第二の例を説明するフローチャートである。
【図14】複合機の全体的な処理の流れの第二の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第一の実施形態〕
図1は、正面から見た場合の複合機1の外観および複合機1を含むネットワークの構成の例を示す図である。図2は、複合機1の全体的なハードウェア構成の例を示す図である。図3は、正面から見た場合のエンジン部1fの内部の構成の例を概略化して表した断面図である。図4は、操作部1hの構成の例を示す図である。
【0021】
図1に示す複合機1は、一般にMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる画像処理装置であって、コピー、PCプリント(ネットワークプリンティング)、ファックス、スキャナ、およびドキュメントサーバなどの機能を集約した装置である。複合機1は、パーソナルコンピュータなどの他の装置TRと通信回線NWを介してデータのやり取りを行うことができる。
【0022】
複合機1は、図2に示すように、コントローラ1a、RAM(Random Access Memory)1b、ROM(Read Only Memory)1c、大容量記憶装置1d、スキャナ1e、エンジン部1f、ネットワークインタフェース1g、操作部1h、およびモデム1jなどによって構成される。
【0023】
スキャナ1eは、用紙に記されている写真、文字、絵、図表などの画像を読み取って画像データを生成する装置である。
【0024】
エンジン部1fは、スキャナ1eによって読み取られた画像または他の装置から受信した画像データに示される画像を印刷する印刷ユニットである。エンジン部1fとして、例えば、タンデム方式の印刷ユニットが用いられる。この場合は、エンジン部1fは、図3に示すように構成される。
【0025】
図3において、エンジン部1fは、画像形成ユニット1u、転写ベルト1t、一次転写装置1s、二次転写装置1v、定着装置1wなどによって構成される。画像形成ユニット1uおよび一次転写装置1sは、1つずつ、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)のそれぞれの色ごとに設けられている。
【0026】
画像形成ユニット1uは、像担持体1ua、帯電装置1ub、像露光装置1uc、および現像装置1udなどによって構成され、各色の像を次のように形成する。
【0027】
像担持体1uaは、感光体である。帯電装置1ubは、像担持体1uaの表面を一様な電位に帯電させる。像露光装置1ucは、表面が一様に帯電した像担持体1uaに、光を照射することによって静電潜像を形成する。現像装置1udは、像担持体1uaの、静電潜像が形成された部分に、トナーを静電吸着させる。
【0028】
一次転写装置1sは、像担持体1uaの表面に吸着しているトナーを、転写ベルト1tに転写(1次転写)する。
【0029】
二次転写装置1vは、転写ベルト1tに1次転写された各色のトナーを記録紙または樹脂フィルムなどの記録媒体MAに転写(二次転写)する。そして、定着装置1wは、二次転写されたトナーを記録媒体MAに定着させる。
【0030】
図2に戻って、操作部1hは、図4に示すように、液晶ディスプレイ1h0、タッチパネル1h1、およびキーボード1h2などによって構成される。
【0031】
液晶ディスプレイ1h0には、ユーザへメッセージを与えるための画面、処理の結果を示す画面、またはユーザが複合機1に対してジョブなどの指示を入力するための画面などが表示される。タッチパネル1h1は、液晶ディスプレイ1h0の表示面に設けられており、タッチされた(押された)位置を検知し、コントローラ1aにその位置を通知する。
【0032】
キーボード1h2は、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどのキーによって構成される入力装置である。
【0033】
ユーザは、操作部1hを操作することによって、複合機1に対してコマンドを与えたりデータを入力したりすることができる。
【0034】
図2に戻って、ネットワークインタフェース1gは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によって他の装置と通信を行う。ネットワークインタフェース1gとして、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。
【0035】
モデム1jは、固定電話網を介してG3のプロトコルによって他のファックス端末と通信を行う装置である。
【0036】
コントローラ1aは、複合機1の全体的な制御を行うCPU(Central Processing Unit)である。
【0037】
ROM1cまたは大容量記憶装置1dには、オペレーティングシステム、ファームウェア、およびアプリケーションなどのプログラムが記憶されている。
【0038】
オペレーティングシステムまたはファームウェアには、液晶ディスプレイ1h0に画面を表示するプログラムが含まれている。特に、本実施形態では、後述するバッジ選択画面2(図5参照)を表示するためのバッジ選択画面表示プログラム10が含まれている。
【0039】
大容量記憶装置1dとして、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリなどの不揮発性の記録装置が用いられる。これらのプログラムは、必要に応じてRAM1bへロードされ、コントローラ1aによって実行される。
【0040】
上述の通り、複合機1には、コピー、PCプリント、ファックス、スキャナ、およびドキュメントサーバなど様々な機能が備わっている。これらの機能は、使用の要否または設定値をユーザが任意に選択できるオプション機能と組み合わされて実現される。
【0041】
例えば、コピー機能は、いわゆる裏写りなどを除去する「下地調整機能」、スキャンした画像を自動的に回転させる「自動回転機能」、原稿の用紙を複数枚連続してスキャンする「連続読込み機能」、いわゆるブック仕上げを行う「ブック原稿機能」などのオプション機能が適宜、組み合わされる。
【0042】
図5は、バッジ選択画面2の例を示す図である。図6は、複合機1の機能的構成の第一の例を示す図である。図7は、機能バッジ列300とバッジ選択画面2との関係の例を示す図である。図8は、完全表示状態の機能バッジ列300を含むバッジ選択画面2の例を示す図である。図9は、非完全表示状態の機能バッジ列300を含むバッジ選択画面2の例を示す図である。図10は、機能バッジ列300の調整の例を説明するための図である。
【0043】
次に、図5に示すバッジ選択画面2を、その表示方法および操作方法などとともに説明する。
【0044】
ユーザが所定の操作を行うと、コントローラ1aは、バッジ選択画面表示プログラム10を起動させる。例えば、ユーザがキーボード1h2の中の、「copy」、「fax/scan」、および「box」の各ファンクションキーのうちのいずれかを押すと、バッジ選択画面表示プログラム10を起動させる。
【0045】
バッジ選択画面表示プログラム10によると、図6に示すバッジ選択画面データ生成部101、バッジ選択画面表示制御部102、モーション種類等判別部103、スライドゲージ速度算定部104、スライドゲージ位置決定部105、バッジ位置決定部106、スライド停止直前時検知部107、緩急判別部108、画面データ記憶部10A、およびスクロールバー位置速度記憶部10Bなどが実現される。
【0046】
以下、「copy」のファンクションキーが押された場合を例に、バッジ選択画面データ生成部101ないしスクロールバー位置速度記憶部10Bの処理内容およびバッジ選択画面2などについて説明する。
【0047】
まず、バッジ選択画面2について説明する。バッジ選択画面2には、図5の通り、機能バッジエリア2A、スクロールトラック2B、およびスライドゲージ移動エリア2Cの3つのエリアがある。
【0048】
機能バッジエリア2Aには、機能バッジ列300が表示される。機能バッジ列300は、横方向に一列に並んだ複数の機能バッジ3によって構成されるマップである。以下、26個の機能バッジ3が設けられている場合を例に説明する。また、各機能バッジ3を左から順に「機能バッジ3A」、「機能バッジ3B」、…、「機能バッジ3Z」、と区別して記載することがある。
【0049】
図7に示すように、機能バッジ列300の高さ(縦方向の長さ)は、機能バッジエリア2Aの高さよりもずっと低い。しかし、機能バッジ列300の幅(横方向の長さ)は、機能バッジエリア2Aの幅よりもかなり長い。よって、機能バッジエリア2Aには、機能バッジ列300の一部分しか表れていない。
【0050】
ただし、ユーザは、後述するように、機能バッジエリア2Aにおいて機能バッジ列300を横方向にスクロールさせることによって、機能バッジ列300の残りの部分を見ることができる。
【0051】
機能バッジ3は、オプション機能を表わすアイコンであり、複合機1に備わっているオプション機能ごとに1つずつ用意されている。本実施形態では、「copy」のファンクションキーが押されたので、機能バッジ列300には、コピーの機能とともに用いられるオプション機能の機能バッジ3が並べられる。
【0052】
なお、機能バッジ3の上には、それに対応するオプション機能の名前が記されている。また、オプション機能の設定の内容に応じて機能バッジ3の絵柄が変更されることがある。図7および図10においては、機能バッジ3の絵柄を省略している。
【0053】
スクロールトラック2Bには、複数のマーカ4が横方向に並べられている。マーカ4は、アイコンである。マーカ4の個数は機能バッジ3の個数と同じである。そして、左のマーカ4から順に機能バッジ3A、機能バッジ3B、…、機能バッジ3Zに対応している。以下、各マーカ4を左から順に「マーカ4A」、「マーカ4B」、…、「マーカ4Z」と区別して記載することがある。したがって、マーカ4A、マーカ4B、…、マーカ4Zは、それぞれ、機能バッジ3A、機能バッジ3B、…、機能バッジ3Zに対応している。
【0054】
スクロールトラック2Bの幅は、バッジ選択画面2の幅とほぼ同じである。よって、ユーザは、スクロールトラック2Bのすべての部分を一度に見ることができる。
【0055】
スライドゲージ移動エリア2Cは、スクロールトラック2Bの直ぐ下に設けられている。スクロールトラック2Bの幅と同様に、スライドゲージ移動エリア2Cの幅もバッジ選択画面2の幅とほぼ同じである。
【0056】
スライドゲージ5は、スクロールバー51およびウィンドウ52によって構成される(図5参照)。スクロールバー51は、ユーザの操作に応じて、スライドゲージ移動エリア2Cの中を左右方向(横方向、幅方向)に移動するアイコンである。したがって、スクロールバー51は、ユーザの操作に応じて、スクロールトラック2Bの下辺に沿って平行に移動する。なお、説明の簡単のため、本実施形態では、スクロールバー51は上下方向には移動しないものとする。
【0057】
ウィンドウ52は、機能バッジエリア2Aを縮小したものに相当する。ウィンドウ52は、スクロールバー51の真上に設けられている。ウィンドウ52の高さは、スクロールトラック2Bの高さよりも若干高い。また、ウィンドウ52の幅は、スクロールバー51の幅より若干、長い。よって、ウィンドウ52は、スクロールトラック2Bの中の、スクロールバー51の真上にある幾つかのマーカ4を囲うことができる。
【0058】
また、ウィンドウ52は、スクロールバー51に固定されている。よって、ウィンドウ52は、スクロールバー51が移動すると、一緒に移動する。ユーザは、ウィンドウ52で囲われるマーカ4を、スクロールバー51を操作することによって変えることができる。
【0059】
機能バッジエリア2Aには、上述の通り、機能バッジ列300の一部分のみ、つまり、26個の機能バッジ3のうちの一部のみが、表示される。図5に示す通り、ウィンドウ52によって囲われているマーカ4に対応する機能バッジ3のみが、機能バッジエリア2Aに表示される。そして、スクロールバー51の移動に伴って、ウィンドウ52で囲うマーカ4が変わり、機能バッジエリア2Aに表示される機能バッジ3も変わる。
【0060】
このように、スクロールバー51の移動に伴って、機能バッジ列300が機能バッジエリア2Aにおいてスクロールする。
【0061】
次に、図6に示すバッジ選択画面データ生成部101ないしスクロールバー位置速度記憶部10Bについて説明する。バッジ選択画面2を液晶ディスプレイ1h0に表示する処理は、バッジ選択画面データ生成部101ないしスクロールバー位置速度記憶部10Bによって実現される。
【0062】
画面データ記憶部10Aには、バッジ選択画面2を構成する各オブジェクトを表示するための画像データが記憶されている。これらの画像データは、バッジ選択画面データ生成部101によって用いられる。
【0063】
バッジ選択画面データ生成部101は、ユーザによる操作に応じた状態のバッジ選択画面2のビットマップのデータを生成する。
【0064】
ファンクションキーが押された場合は、このファンクションキーに係る機能に応じたバッジ選択画面2のビットマップのデータを生成する。ただし、この場合は、スライドゲージ5をデフォルトの位置に配置しておく。したがって、バッジ選択画面2に配置される機能バッジ3も自ずと決まる。
【0065】
また、ユーザがスクロールバー51を移動させる操作を行うと、バッジ選択画面データ生成部101は、その操作に応じて変化したバッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する。これについては、後述する。
【0066】
バッジ選択画面表示制御部102は、バッジ選択画面データ生成部101によって生成されたビットマップのデータに基づいて、液晶ディスプレイ1h0にバッジ選択画面2を表示させる。
【0067】
ユーザは、機能バッジ列300をスクロールさせるために、バッジ選択画面2を見ながら、タッチパネル1h1の上の、スクロールバー51が表示されている位置を指またはペンなどで触って右または左へスライドさせる。「スライド」という操作は、マウスでオブジェクトをドラッグする操作に相当する。
【0068】
または、ユーザは、オプション機能を選択する場合は、そのオプション機能に対応する機能バッジ3をタップする。「タップ」という操作は、マウスでオブジェクトをクリックする操作に相当する。
【0069】
タッチパネル1h1は、各時刻における触れられた位置を検知する。そして、タッチパネル1h1は、各時刻における検知した位置をコントローラ1aへ通知する。以下、触れられた位置を「接触位置」と記載する。
【0070】
モーション種類等判別部103は、タッチパネル1h1から通知された検知の結果に基づいて、ユーザが行った操作(モーション)の種類および対象を次のように判別する。
【0071】
触れられている間の、最初の接触位置とその後の任意の接触位置との距離(以下、「接触変位距離」と記載する。)が所定の距離以上である場合は、モーション種類等判別部103は、その操作が「スライド」であると判別する。そして、最初の接触位置に配置されているオブジェクト(例えば、スクロールバー51)を、操作の対象であると判別する。
【0072】
したがって、モーション種類等判別部103は、最初の接触位置から所定の距離以上離れた別の接触位置が検知された時点で、その操作が「スライド」であると、判別する。
【0073】
一方、接触変位距離が所定の値未満である場合は、モーション種類等判別部103は、その操作が「タップ」であると判別する。そして、最初の接触位置に配置されているオブジェクト(例えば、いずれかの機能バッジ3)を、操作の対象であると判別する。
【0074】
したがって、モーション種類等判別部103は、最初の接触位置から所定の距離以上離れた別の接触位置が検知されることなく指などがタッチパネル1h1から離れたら、その操作が「タップ」であると、判別する。
【0075】
スライドゲージ速度算定部104は、操作の種類がスライドでありかつ操作の対象がスクロールバー51であるとモーション種類等判別部103によって判別された場合に、タッチパネル1h1による検知の結果に基づいて、触れられている間の各時刻におけるスライドの速度(つまり、速さおよび方向)を算出する。例えば、時刻Taおよび時刻Tb(ただし、Ta>Tb)それぞれにおける接触位置のX軸(幅方向の軸)の値をXa、Xbとすると、時刻Taにおける速度Vaは、
Va=(Xa−Xb)/(Ta−Tb)
である。
【0076】
スライドゲージ位置決定部105は、タッチパネル1h1によって検知された結果に基づいて、触れられている間の各時刻におけるスライドゲージ5の位置を決定する。
【0077】
例えば、ユーザがスクロールバー51の中心を触りながらスライドを行い、ある時刻Tcの接触位置のX座標の値としてXcが検知された場合は、スクロールバー51の中心が座標(Xc,Yo)になる位置を、スライドゲージ5の時刻Tcにおける位置に決定する。なお、上述の通り、スライドゲージ5は上下方向には移動しないので、「Yo」は、所定の値である。または、指の移動の量および向きに基づいてスクロールバー51の位置を決定してもよい。
【0078】
スクロールバー位置速度記憶部10Bには、各時刻における、スクロールバー51の位置および速度が記憶される。
【0079】
バッジ位置決定部106は、スライドゲージ位置決定部105が決定したスライドゲージ5の位置に基づいて、機能バッジエリア2Aに表示させる機能バッジ3およびそれらの位置を次のように決定する。
【0080】
スライドゲージ5の位置が決まると、ウィンドウ52の位置も自ずと決まる。バッジ位置決定部106は、機能バッジ列300の、ウィンドウ52に囲われている部分を特定する。特定した部分には、マーカ4が複数個、横一列に並んでいる。
【0081】
ウィンドウ52は、上述の通り、機能バッジエリア2Aを縮小した領域に相当する。そこで、バッジ位置決定部106は、特定した部分に並んでいる各マーカ4に対応する機能バッジ3を、機能バッジエリア2Aに表示させる機能バッジ3に決定する。さらに、バッジ位置決定部106は、特定した部分を所定の倍率に(機能バッジエリア2Aと同じサイズになるように)拡大して機能バッジエリア2Aに配置したときの、特定した部分に含まれる各マーカ4の位置を算出する。そして、各マーカ4の算出した位置を、各マーカ4に対応する各機能バッジ3の位置に決定する。
【0082】
例えば、図8のようにマーカ4B、4C、…、および4Hの全部分がウィンドウ52に囲われている場合は、バッジ位置決定部106は、左から順に機能バッジ3B、3C、…、および3Hの全部分を表示させると、決定する。
【0083】
または、図9のように、マーカ4Bの右半分と、マーカ4C、4D、…、および4Hの全部分と、マーカ4Iの左半分とが、ウィンドウ52に囲われている場合は、バッジ位置決定部106は、左から順に機能バッジ3Bの右半分と、機能バッジ3C、3D、…、および3Hの全部分と、機能バッジ3Iの左半分を表示させると、決定する。
【0084】
図8と図9とを比較して分かるように、機能バッジエリア2Aに配置されるすべての機能バッジ3の全部分が機能バッジエリア2Aに表れることもあれば、これらの機能バッジ3のうちの右端および左端の少なくとも一方の機能バッジ3については一部分しか機能バッジエリア2Aに表れないこともある。
【0085】
以下、図8のように、機能バッジエリア2Aに配置されるすべての機能バッジ3の全部分が機能バッジエリア2Aに表れる状態を、「完全表示状態」と記載する。一方、図9のように、右端および左端の少なくとも一方の機能バッジ3については一部分しか機能バッジエリア2Aに表れていない状態を、「非完全表示状態」と記載する。
【0086】
バッジ選択画面データ生成部101は、スライドゲージ位置決定部105およびバッジ位置決定部106が決定した通りにスライドゲージ5および機能バッジ3が配置されるようにバッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する。
【0087】
そして、バッジ選択画面表示制御部102は、バッジ選択画面データ生成部101によって修正されたビットマップのデータに基づいて、バッジ選択画面2を液晶ディスプレイ1h0に表示し直す。
【0088】
しかし、ユーザがスライドを止める直前になったら、機能バッジ3の配置が必要に応じて調整(補正)される。次に、機能バッジ3の配置の調整について説明する。
【0089】
スライド停止直前時検知部107は、スライドを止める直前の時期つまりスクロールバー51が停止する直前の時期が訪れたことを、次のように検知する。例えば、現在の時刻Tcにおけるスクロールバー51の位置の横軸の座標Xcと過去の時刻Tdにおけるスクロールバー51の横軸の座標Xdとの距離の絶対値が所定の値以下である場合に、ユーザがスライドを止める直前の時刻が訪れたと、検知する。または、現在の時刻Tcにおける速度Vcの絶対値が所定の値以下である場合に、ユーザがスライドを止める直前の時刻が訪れたと、検知してもよい。
【0090】
緩急判別部108は、ユーザがスライドを速い速度から急に止めようとしているのか、遅い速度から徐々に止めようとしているのかを、例えば次のように判別する。
【0091】
緩急判別部108は、ユーザがスライドを止める直前の時期が訪れたとスライド停止直前時検知部107によって判別された場合に、直近の速度の変化をチェックする。
【0092】
そして、緩急判別部108は、現在の時刻よりも少し前の時刻Teおよび時刻Tf(ただし、Te<Tf)それぞれにおける速度がVeおよびVfである場合において、Vfの大きさとVeの大きさとの差が所定の値以上であれば、スライドを急に止めようとしていると、判別する。一方、所定の値未満であれば、スライドを徐々に止めようとしていると、判別する。
【0093】
バッジ位置決定部106は、スライドを止める直前の時期が訪れたとスライド停止直前時検知部107によって検知された場合に、機能バッジ3の配置を次のように決定する。
【0094】
検知の直前の機能バッジ3が非完全表示状態で表れている場合は、バッジ位置決定部106は、緩急判別部108による判別結果に応じて、次のように機能バッジ3の配置を決定する。
【0095】
スライドを急に止めようとしていると緩急判別部108によって判別された場合は、バッジ位置決定部106は、機能バッジ列300が現在スクロールする方向の先頭に位置する、一部分だけ表れている機能バッジ3が完全に表れるように、各機能バッジ3を配置する。例えば、図10(A)のように、機能バッジ3Bの右半分、機能バッジ3C〜3Hの全部分、および機能バッジ3Iの左半分が配置されており、矢印A1の指す方向にスクロールバー51がスライドされ、矢印A2の指す方向に機能バッジ列300がスクロールしているときに、そのように判別された場合は、バッジ位置決定部106は、図10(B)のように、機能バッジ3Iが完全に表れるように、機能バッジ3C〜3Iを完全表示状態で配置する。つまり、機能バッジ3の約半個分、機能バッジ列300が逆スクロールするように配置する。
【0096】
一方、スライドを徐々に止めようとしていると緩急判別部108によって判別された場合は、バッジ位置決定部106は、機能バッジ列300が現在スクロールする方向の最後尾に位置する、一部分だけ表れている機能バッジ3が完全に表れるように、各機能バッジ3を配置する。例えば、図10(A)の状態のときに、そのように判別された場合は、バッジ位置決定部106は、図10(C)のように、機能バッジ3Bが完全に表れるように、機能バッジ3B〜3Hを完全表示状態で配置する。つまり、機能バッジ3の約半個分、機能バッジ列300がさらにスクロールするように配置する。
【0097】
スライドゲージ位置決定部105は、バッジ位置決定部106によって決定された、機能バッジエリア2Aに配置する機能バッジ3を指し示すように、スライドゲージ5の位置を決定する。
【0098】
そして、バッジ選択画面データ生成部101は、ユーザがスライドを止めようとする時期より前の場合と同様に、スライドゲージ位置決定部105およびバッジ位置決定部106が決定した通りにスライドゲージ5および機能バッジ3が配置されるようにバッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する。バッジ選択画面表示制御部102は、バッジ選択画面データ生成部101によって修正されたビットマップのデータに基づいて、バッジ選択画面2を液晶ディスプレイ1h0に表示し直す。
【0099】
このように、ユーザがスライドを止める直前、機能バッジ3が完全表示状態で表示されている場合に、バッジ位置決定部106、スライドゲージ位置決定部105、バッジ選択画面データ生成部101、およびバッジ選択画面表示制御部102は、完全表示状態になるように調整を行う。
【0100】
または、検知の直前の機能バッジ3が完全表示状態で表れている場合は、バッジ位置決定部106、スライドゲージ位置決定部105、バッジ選択画面データ生成部101、およびバッジ選択画面表示制御部102は、上述の調整の処理は、行わない。
【0101】
図11は、複合機1の全体的な処理の流れの第一の例を説明するフローチャートである。
【0102】
次に、機能バッジ列300をスクロールさせる際の複合機1の全体的な処理の流れを、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0103】
複合機1は、ユーザがスクロールバー51をスライドさせる操作を行っている間(図11の#301でYes)、次に説明する処理を適宜、実行する。
【0104】
複合機1は、スクロールバー51の位置および速度を求め、記憶する(#302)。そして、求めた位置にスクロールバー51が配置されかつスクロールバー51の位置に応じた位置に機能バッジ列300が配置されるように、バッジ選択画面2のビットマップのデータを修正し、バッジ選択画面2を表示し直す(#303)。
【0105】
さらに、複合機1は、ユーザがスライドを止める直前であるか否かを判別する(#304)。
【0106】
スライドを止める直前であると判別した場合は(#305でYes)、複合機1は、必要に応じて機能バッジ3およびスライドゲージ5の位置の調整を次のように行う(#306〜#311)。
【0107】
まず、複合機1は、現在の機能バッジ3の表示の状態が完全表示状態(図8参照)および非完全表示状態(図9参照)のいずれであるのかを判別する(#306)。
【0108】
非完全表示状態である場合は(#307でYes)、スクロールバー51の直近の速さの変化が所定の大きさ未満であれば(#308でYes)、図10(A)および図10(B)で説明したように、機能バッジ列300が現在スクロールする方向の先頭に位置する、一部分だけ表れている機能バッジ3が完全に表れるように、各機能バッジ3の配置を調整し、バッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する(#309)。
【0109】
または、スクロールバー51の直近の速さの変化が所定の大きさ以上であれば(#308でNo)、図10(A)および図10(C)で説明したように、機能バッジ列300が現在スクロールする方向の最後尾に位置する、一部分だけ表れている機能バッジ3が完全に表れるように、各機能バッジ3の配置を調整し、バッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する(#310)。
【0110】
そして、複合機1は、修正後のデータに基づいてバッジ選択画面2を表示し直す(#311)。
【0111】
一方、スライドを止める直前であると判別した場合および現在の機能バッジ3の表示の状態が完全表示状態であると判別した場合は(#305でNoまたは#307でNo)、調整は行わない。
【0112】
第一の実施形態によると、ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用することができる。通常、ユーザは、スクロールバー51を徐々に止めようとする場合は、スクロールバー51の移動方向側の機能バッジ3に視点があると判断できる。そこで、複合機1は、スクロールバー51の移動方向側の機能バッジ3が一部分だけ表示されたまま止まろうとした場合に、この機能バッジ3を完全に表示する。これにより、操作性の改善を図ることができる。
【0113】
また、ユーザがスクロールバー51を急に止めようとした場合にも、非完全表示状態を避け、完全表示状態で機能バッジ列300を表示する。これにより、操作性の改善を図ることができる。
【0114】
〔第二の実施形態〕
図12は、複合機1の機能的構成の第二の例を示す図である。
【0115】
第一の実施形態では、ユーザがスライドを速い速度から急に止めようとしているのか、または、遅い速度から徐々に止めようとしているのかによって、図10(A)に示した非完全表示状態の調整(補正)を行った。第二の実施形態では、機能バッジ3に係る機能の名前(タイトル)の表示の状態に応じて調整(補正)を行う。
【0116】
第二の実施形態における複合機1のハードウェア構成は、第一の実施形態の場合と基本的に同じであり、図2、図3、および図4などで説明した通りである。ただし、ROM1cまたは大容量記憶装置1dには、バッジ選択画面表示プログラム10(図6参照)の代わりに、バッジ選択画面表示プログラム12がインストールされている。バッジ選択画面表示プログラム12は、図12に示すバッジ選択画面データ生成部121、バッジ選択画面表示制御部122、モーション種類等判別部123、スライドゲージ速度算定部124、スライドゲージ位置決定部125、バッジ位置決定部126、スライド停止直前時検知部127、辞書検索部128、画面データ記憶部12L、スクロールバー位置速度記憶部12M、および辞書データ記憶部12Nなどを実現するためのプログラムである。
【0117】
以下、図12に示す各部の処理内容を、第一の実施形態と相違する点を中心に説明する。第一の実施形態と共通する点については、説明を省略する。
【0118】
バッジ選択画面データ生成部121、バッジ選択画面表示制御部122、モーション種類等判別部123、スライドゲージ速度算定部124、スライド停止直前時検知部127、画面データ記憶部12L、およびスクロールバー位置速度記憶部12Mは、それぞれ、第一の実施形態のバッジ選択画面データ生成部101、バッジ選択画面表示制御部102、モーション種類等判別部103、スライドゲージ速度算定部104、スライド停止直前時検知部107、画面データ記憶部10A、およびスクロールバー位置速度記憶部10Bと同様に機能する。
【0119】
スライドゲージ位置決定部125およびバッジ位置決定部126も、それぞれ、基本的に第一の実施形態のスライドゲージ位置決定部105およびバッジ位置決定部106と同様に機能する。
【0120】
ただし、スライドを止める直前の時期が来たことがスライド停止直前時検知部127によって検知された後は、辞書検索部128による検索の結果に基づいて、機能バッジ3の配置などの調整を行う。これについては、後述する。
【0121】
辞書データ記憶部12Nには、多数の単語を示す辞書データが記憶されている。つまり、辞書データ記憶部12Nは、いわゆる辞書データベースである。辞書データとして、いわゆる電子辞書のデータまたは漢字変換用のデータなどが用いられる。
【0122】
辞書検索部128は、スライドを止める直前の時期が来たことがスライド停止直前時検知部127によって検知されると、スクロールバー51の移動する方向を検出し、さらに、機能バッジ3が非完全表示状態で表示されているか否かを検知する。
【0123】
非完全表示状態で表示されていることを検知した場合は、スクロールバー51の移動方向側の、一部分のみが表れている機能バッジ3のタイトル(機能名)を、抽出する。例えば、スクロールバー51の移動方向および機能バッジ3の配置が図10(A)に示すような場合は、辞書検索部128は、機能バッジ3Bのタイトルを抽出する。タイトルの抽出は、バッジ選択画面2の中の、機能バッジ3Bのタイトルに当たる領域を文字認識機能(OCR(Optical Character Reader)機能)を用いてテキスト化することによって行えばよい。
【0124】
そして、辞書検索部128は、抽出したタイトルを、辞書データ記憶部12Nに記憶されている辞書データの中から検索する。なお、抽出したタイトルが複数の単語からなる場合がある。例えば、抽出したタイトルがスペースやカンマなどの記号で区切られている場合である。このような場合は、その記号で分割される単語の単位で検索を行う。または、抽出したタイトルが複数の行に跨っている場合は、行ごとに、検索を行う。
【0125】
この方法によると、複合機1は、抽出したタイトルがバッジ選択画面2の端で途中で切れてしまっている場合は、それを上手く認識しまたは辞書データ記憶部12Nから検索することができないことがある。つまり、意味のない情報としてバッジ選択画面2に表れていることがある。
【0126】
バッジ位置決定部126は、スクロールバー51の検出した移動方向側の一部分のみが表れている機能バッジ3のタイトルが辞書検索部128によって検索できた(ヒットした)場合は、この機能バッジ3の全部分が表れるように、機能バッジ3の配置を調整する。例えば、図10(A)に示す配置を、図10(C)に示す配置に調整する。一方、検索できなかった場合は、この機能バッジ3が少しも表れないように、機能バッジ3の配置を調整する。例えば、図10(A)に示す配置を、図10(B)に示す配置に調整する。
【0127】
なお、タイトルに複数の単語が含まれている場合は、いずれか1つでも辞書データ記憶部12Nの辞書データに示されていれば、ヒットしたものとして取り扱ってもよいし、すべてが辞書データ記憶部12Nの辞書データに示されている場合に限り、ヒットしたものとして取り扱ってもよい。
【0128】
スライドゲージ位置決定部125は、バッジ位置決定部126によって配置が調整された機能バッジ3を指し示すように、スライドゲージ5の位置を決定する。
【0129】
そして、バッジ選択画面データ生成部121は、ユーザがスライドを止めようとする時期より前の場合と同様に、スライドゲージ位置決定部125およびバッジ位置決定部126が決定した通りにスライドゲージ5および機能バッジ3が配置されるようにバッジ選択画面2のビットマップのデータを修正する。バッジ選択画面表示制御部122は、バッジ選択画面データ生成部121によって修正されたビットマップのデータに基づいて、バッジ選択画面2を液晶ディスプレイ1h0に表示し直す。
【0130】
図13および図14は、複合機1の全体的な処理の流れの第二の例を説明するフローチャートである。
【0131】
次に、機能バッジ列300をスクロールさせる際の複合機1の全体的な処理の流れの第二の例を、図13および図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0132】
図13および図14において、ステップ#401〜#406の処理は、第一の実施形態のステップ#301〜#306(図11参照)と同様であるので、説明を省略する。
【0133】
機能バッジ3の表示の状態が非完全表示状態である場合は(#407でYes)、複合機1は、スクロールバー51の移動方向側の、一部分のみが表れている機能バッジ3のタイトルを、抽出する(#408)。そのタイトルを、辞書データの中から検索する(#411)。ただし、そのタイトルに複数の単語が含まれている場合は(#409でYes)、単語単位に分割し(#410)、単語ごとに検索する(#411)。
【0134】
また、複数の行に渡ってタイトルが記されている場合は、行ごとに、上記の検索を行う(#409〜#411)。
【0135】
検索が完了したら(#412でYes)、複合機1は、そのタイトルに含まれる単語が検索できた(ヒットした)のであれば(#413でYes)、スクロールバー51の移動方向側の、一部分のみが表れている機能バッジ3を全部分が表われるように調整し、バッジ選択画面2を表示し直す(#414、#416)。検索できなかったのであれば(#413でNo)、この機能バッジ3がまったく表れないように調整し、バッジ選択画面2を表示し直す(#415、#416)。
【0136】
第二の実施形態によると、ディスプレイの表示領域を従来よりも有効的に活用することができる。
【0137】
第一の実施形態および第二の実施形態では、機能バッジ列300を構成する機能バッジ3は1列に並んでいたが、2列に並んでいる場合であっても、本発明を適用することができる。
【0138】
第一の実施形態および第二の実施形態では、機能バッジ3およびマーカ4を左右方向に並べられ、機能バッジ列300およびスライドゲージ5を左右方向に移動させたが、上下方向に並べ上下方向に移動させる場合にも、本発明を適用することができる。
【0139】
第一の実施形態および第二の実施形態では、表示される機能バッジ3がスクロールに伴って変わる場合を例に説明したが、バッジ選択画面2または機能バッジエリア2Aの拡大または縮小に伴って変わる場合にも、本発明を適用することができる。また、ユーザのカスタマイズ画面に機能バッジ3を配置する場合にも、本発明を適用することができる。
【0140】
第一の実施形態および第二の実施形態では、ユーザがスライドを止める直前を検知し、検知した際にスクロールバー51の調整を行ったが、ユーザがスライドを止めた際またはユーザがスクロールバー51から指を離した際に、調整を行ってもよい。
【0141】
その他、複合機1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成、画面の構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 複合機
105 スライドゲージ位置決定部(調整手段)
106 バッジ位置決定部(調整手段)
3 機能バッジ(第一のアイコン)
51 スクロールバー(第三のアイコン)
300 機能バッジ列
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第一のアイコンが並んだ列を、ユーザの操作に応じて動く第二のアイコンの位置に応じて一部分ずつスクロールさせながらディスプレイに表示させる、表示処理装置であって、
前記第二のアイコンを動かす操作が終了する時期に、前記複数の第一のアイコンのうちの前記第二のアイコンの進む方向の前記ディスプレイの端部に表示されている第一のアイコンについては一部分のみが表示されている場合に、当該端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されまたは当該端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する、調整手段、
を有することを特徴とする表示処理装置。
【請求項2】
前記第二のアイコンは、前記列に沿って動き、
前記列は、前記第二のアイコンが動く方向とは反対の方向にスクロールし、
前記調整手段は、前記第二のアイコンを動かす操作が終了する直近の当該第二のアイコンの速さが所定の速さよりも速い場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整し、当該速さが当該所定の速さよりも遅い場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されるように前記第二のアイコンの位置を調整する、
請求項1記載の表示処理装置。
【請求項3】
前記第二のアイコンは、前記列に沿って動き、
前記列は、前記第二のアイコンが動く方向とは反対の方向にスクロールし、
前記複数の第一のアイコンのそれぞれは、前記第一のアイコンに対応するタイトルとともに前記ディスプレイに表示され、
前記調整手段は、前記端部に表示されている第一のアイコンの前記タイトルが意味のある状態で表示されている場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されるように前記第二のアイコンの位置を調整し、そうでない場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する、
請求項1記載の表示処理装置。
【請求項4】
前記意味のある状態とは、前記端部に表示されている第一のアイコンの前記タイトルの表示されている部分に対して文字認識処理を行って得られるテキストデータが辞書のデータベースに示されている状態である、
請求項3記載の表示処理装置。
【請求項5】
複数の第一のアイコンが並んだ列を、ユーザの操作に応じて動く第二のアイコンの位置に応じて一部分ずつスクロールさせながらディスプレイに表示させる、コンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記第二のアイコンを動かす操作が終了する時期に、前記複数の第一のアイコンのうちの前記第二のアイコンの進む方向の前記ディスプレイの端部に表示されている第一のアイコンについては一部分のみが表示されている場合に、当該端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されまたは当該端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する処理を、前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
複数の第一のアイコンが並んだ列を、ユーザの操作に応じて動く第二のアイコンの位置に応じて一部分ずつスクロールさせながらディスプレイに表示させる、表示処理装置であって、
前記第二のアイコンを動かす操作が終了する時期に、前記複数の第一のアイコンのうちの前記第二のアイコンの進む方向の前記ディスプレイの端部に表示されている第一のアイコンについては一部分のみが表示されている場合に、当該端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されまたは当該端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する、調整手段、
を有することを特徴とする表示処理装置。
【請求項2】
前記第二のアイコンは、前記列に沿って動き、
前記列は、前記第二のアイコンが動く方向とは反対の方向にスクロールし、
前記調整手段は、前記第二のアイコンを動かす操作が終了する直近の当該第二のアイコンの速さが所定の速さよりも速い場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整し、当該速さが当該所定の速さよりも遅い場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されるように前記第二のアイコンの位置を調整する、
請求項1記載の表示処理装置。
【請求項3】
前記第二のアイコンは、前記列に沿って動き、
前記列は、前記第二のアイコンが動く方向とは反対の方向にスクロールし、
前記複数の第一のアイコンのそれぞれは、前記第一のアイコンに対応するタイトルとともに前記ディスプレイに表示され、
前記調整手段は、前記端部に表示されている第一のアイコンの前記タイトルが意味のある状態で表示されている場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されるように前記第二のアイコンの位置を調整し、そうでない場合は、前記端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する、
請求項1記載の表示処理装置。
【請求項4】
前記意味のある状態とは、前記端部に表示されている第一のアイコンの前記タイトルの表示されている部分に対して文字認識処理を行って得られるテキストデータが辞書のデータベースに示されている状態である、
請求項3記載の表示処理装置。
【請求項5】
複数の第一のアイコンが並んだ列を、ユーザの操作に応じて動く第二のアイコンの位置に応じて一部分ずつスクロールさせながらディスプレイに表示させる、コンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記第二のアイコンを動かす操作が終了する時期に、前記複数の第一のアイコンのうちの前記第二のアイコンの進む方向の前記ディスプレイの端部に表示されている第一のアイコンについては一部分のみが表示されている場合に、当該端部に表示されている第一のアイコンの全部分が表示されまたは当該端部に表示されている第一のアイコンがまったく表示されないように前記第二のアイコンの位置を調整する処理を、前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−58996(P2012−58996A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201316(P2010−201316)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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