説明

表示制御装置、及び表示制御方法

【課題】第1の外部装置と無線接続する場合であっても、ユーザが利便性を損うことなく、第2の外部装置と無線接続して当該第2の外部装置の画面を表示させる。
【解決手段】一実施形態に係る表示制御装置は無線通信手段と受付手段と受信制御手段と表示制御手段とを備える。無線通信手段はアクセス・ポイント及び外部装置の少なくとも一方と無線接続する。受付手段はアクセス・ポイントと第1のチャンネルで無線接続しているときに外部装置と接続を行うための待機状態に移行させる操作を受け付ける。受信制御手段は受付手段の操作の受け付けで待機状態に移行した際にアクセス・ポイントとの無線接続を切断し全てのチャンネルで外部装置からの接続要求を受信する。表示制御手段は受信制御手段が外部装置からの接続要求を受信して無線通信手段が外部装置と第2のチャンネルで無線接続した場合に、外部装置から受信する画面情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示制御装置、及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テレビジョン装置の内部処理部は高性能化する傾向がある。これにより、無線通信を介して、PCの表示画面を、テレビジョン装置に表示する、いわゆるリモート・ディスプレイの技術が提案されている(非特許文献1)。
【0003】
また、近年では、無線のアクセス・ポイント(AP:Access Point)に接続することが可能な、ネットワーク機能を備えたテレビジョン装置が開発されるようになってきている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“Intel(登録商標) Wireless Display”、[online]、[平成23年3月8日(火)検索]、<URL:http://www.intel.com/consumer/products/technology/wirelessdisplay.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、テレビジョン装置が上記APに接続していると、当該APで利用している無線チャンネル以外からのリモート・ディスプレイ機器検索や接続要求に応答できない等、ハードウェアの制約がある場合が多い。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、第1の外部装置と無線接続する場合であっても、ユーザが利便性を損うことなく、第2の外部装置と無線接続して当該第2の外部装置の画面を表示させる表示制御装置、及び表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る表示制御装置は、無線通信手段と、受付手段と、受信制御手段と、表示制御手段と、を備える。無線通信手段は、アクセス・ポイント及び外部装置の少なくとも一方と無線接続する。受付手段は、アクセス・ポイントと第1のチャンネルで無線接続しているときに、外部装置と接続を行うための待機状態に移行させる操作を受け付ける。受信制御手段は、受付手段の操作の受け付けで待機状態に移行した際にアクセス・ポイントとの無線接続を切断し、全てのチャンネルで外部装置からの接続要求を受信する。表示制御手段は、受信制御手段が外部装置からの接続要求を受信して、無線通信手段が外部装置と第2のチャンネルで無線接続した場合に、外部装置から受信する画面情報を、自装置に接続された表示装置に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態の全体構成を示す図。
【図2】図2は、第1の実施形態に係るテレビジョン放送受信装置のハードウェア構成を示す図。
【図3】図3は、第1の実施形態に係るテレビジョン放送受信装置における、画面遷移を示す図。
【図4】図4は、PCにおける、接続先のテレビジョン放送受信装置を選択する一覧画面の例を示す図。
【図5】図5は、第1の実施形態に係るテレビジョン放送受信装置における、接続待ち画面の例を示す図。
【図6】図6は、第1の実施形態に係るテレビジョン放送受信装置における、PINコードの表示画面の例を示す図。
【図7】図7は、第1の実施形態に係るテレビジョン放送受信装置における、警告画面の例を示す図。
【図8】図8は、第1の実施形態に係るテレビジョン放送受信装置における、リモート・ディスプレイを実現する接続処理の手順を示すフローチャート。
【図9】図9は、第1の実施形態に係るテレビジョン放送受信装置における、リモート・ディスプレイを実現する接続処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の全体構成を示す図である。図1に示すように、家庭内に、テレビジョン放送受信装置100と、当該テレビジョン放送受信装置100を操作するリモート・コントローラ110と、AP130と、パーソナル・コンピュータ(PC:Personal Computer)150と、が存在する例とする。
【0010】
そして、放送局180からの放送を受信し、表示を行うテレビジョン放送受信装置100は、無線通信を介して接続されたPC150から受信した表示画面を表示可能な機能を有している。当該機能を用いることで、テレビジョン放送受信装置100は、PC150及びテレビジョン放送受信装置100に対する操作に従って、TV番組を再生している状態から、PC150の画面の表示に切り替えることができる。当該表示の切り替えを行う際に、テレビジョン放送受信装置100の画面上に表示されたPIN(Personal Identification Number)コードを、PC150に入力する必要がある。
【0011】
本実施形態に係るPINコードは、表示する毎にランダムに生成される番号の組合せであって、テレビジョン放送受信装置100に接続するための暗証番号とする。つまり、テレビジョン放送受信装置100に表示されたPINコードをPC150に入力し、PC150からテレビジョン放送受信装置100に当該PINコードを送信することで、リモート・ディスプレイを行うための相互間の通信が確立される。
【0012】
また、テレビジョン放送受信装置100は、AP130との無線通信を介して、インターネット接続等のネットワーク・サービスを利用することができる。
【0013】
図2は、テレビジョン放送受信装置100のハードウェア構成を示す図である。図2は、上記したテレビジョン放送受信装置100の主要な信号処理系を示すブロック図である。
【0014】
図2に示すように、その入力側に放送波受信用のアンテナ201が接続される。また、テレビジョン放送受信装置100は、外部の表示装置や音声出力装置に直接に、ユーザは、テレビジョン放送受信装置100に設けられた(図示しない)操作部を介して本装置の操作を行えるほか、赤外線通信によるリモート・コントローラ110を介した操作が可能である。
【0015】
テレビジョン放送受信装置100は、受信したデジタル・テレビジョン放送信号をデコードすることにより放送番組を表示し、ユーザは受信した放送番組を視聴できるようになっている。また、外部の表示装置や音声出力装置を利用して放送番組を視聴できるようにもなっており、受信した放送番組を記録することも可能である。
【0016】
なお、図2に示すテレビジョン放送受信装置100は、放送波受信用に複数のチューナ等の受信回路を備える構成としてもよい。
【0017】
地上波放送受信用のアンテナ201で受信した地上デジタル・テレビジョン放送信号は、入力端子202を介して地上デジタル放送用のチューナ203に供給される。
【0018】
チューナ203は、処理部205からの制御信号により所望のチャネルの放送信号を選局し、この選局された放送信号を復調器204aに出力する。
【0019】
復調器204aは、処理部205からの制御信号により、チューナ203で選局された放送信号を復調し、所望の番組を含んだトランスポートストリーム(TS:Transport Stream)を得て、復号器204bに出力する。
【0020】
復号器204bは、処理部205からの制御信号によりTS多重化された信号のTS復号処理を行い、所望の番組のデジタルの映像信号及び音声信号をデパケットすることにより得たPES(Packetized Elementary Stream)を信号処理部206内のSTDバッファへ出力する。また、復号器204bは、デジタル放送により送られているセクション情報を信号処理部206内のセクション部232へ出力する。
【0021】
ここで、信号処理部206は、デコーダ231とセクション部232とを備え、入力された信号の処理を行う。
【0022】
デコーダ231は、テレビ視聴時には、復号器204bから供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対して、選択的に所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部207及び音声処理部208に出力する。一方、番組録画時には、復号器204bから供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対して、選択的に所定のデジタル信号処理を施した信号を、処理部205を介して記録装置(例えば、HDD)270に記録する。
【0023】
また、デコーダ231は、録画番組再生時には、処理部205を介して記録装置(例えば、HDD)270から読み出された録画番組のデータに、所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部207及び音声処理部208に出力している。
【0024】
さらに、デコーダ231は、PC150の表示画面表示時には、処理部205を介してPC150から受信したデータに、所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部207及び音声処理部208に出力している。
【0025】
処理部205には、信号処理部206から、番組を取得するための各種データ(B−CASデスクランブル用の鍵情報等)や電子番組ガイド(EPG)情報、番組属性情報(番組ジャンル等)、字幕情報等(サービス情報、SIやPSI)が入力されている。処理部205は、これら入力された情報からEPG、字幕を表示するため画像生成処理を行い、この生成した画像情報をグラフィック処理部207へ出力する。
【0026】
また、この処理部205は、番組録画および番組予約録画を制御する機能を有し、番組予約受付時には、表示装置211に電子番組ガイド(EPG)情報を表示し、操作部220またはリモート・コントローラ110を介したユーザ入力により予約内容を所定の記憶手段に設定する。そして、設定された時刻に予約番組を録画するようチューナ203、復調器204a、復号器204bおよび信号処理部206を制御する。
【0027】
セクション部232は、復号器204bから入力されたセクション情報の中から、番組を取得するための各種データや電子番組ガイド(EPG)情報、番組属性情報(番組ジャンル等)、字幕情報等(サービス情報、SIやPSI)を処理部205へ出力する。
【0028】
グラフィック処理部207は、(1)信号処理部206内のデコーダ231から供給されるデジタルの映像信号と、(2)OSD(On Screen Display)信号生成部209で生成されるOSD信号と、(3)データ放送による画像データと、(4)処理部205により生成されたEPG、字幕信号とを合成して映像処理部210へ出力する機能を有する。また、字幕放送による字幕を表示するとき、グラフィック処理部207は、処理部205からの制御による字幕情報に基づき、映像信号上に字幕情報を重畳する処理を行う。
【0029】
グラフィック処理部207から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部210に供給される。この映像処理部210は、入力されたデジタルの映像信号を、表示装置211で表示可能なアナログ映像信号に変換した後、表示装置211に出力して映像表示させる。また、出力端子212を介して外部の表示装置(図示せず)に、当該表示装置で表示可能なフォーマットの映像信号を出力して映像表示させることもできる。
【0030】
また、上記音声処理部208は、入力されたデジタルの音声信号を、音声出力装置213で再生可能なアナログ音声信号に変換した後、音声出力装置213に出力して音声を再生させる。また、出力端子214を介して外部の音声出力装置(図示せず)に、当該音声出力装置で再生可能なフォーマットの音声信号を出力して音声再生させることもできる。
【0031】
ここで、このテレビジョン放送受信装置100は、上記した各種の受信動作を含むその全ての動作を処理部205によって統括的に制御されている。この処理部205は、CPU(Central Processing Unit)等を内蔵しており、操作部220からの操作情報を受け、または、リモート・コントローラ110から送出された操作情報を、受光部221を介して受信し、その操作内容(例えば、チャネル切換操作など)が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0032】
この場合、処理部205は、主として、そのCPUが実行する制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)205aと、当該CPUに作業エリアを提供するRAM(Random Access Memory)205bと、各種の設定情報、制御情報及び番組情報等が格納されるフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ205cとを利用している。
【0033】
また、上記処理部205は、Wi−Fi通信I/F222を介して無線LAN端子223に接続されている。これにより、処理部205は、無線LAN端子223に、無線通信回線を介して接続されたLAN対応の機器(例えば、例えばAP130やPC150)と、Wi−Fi通信I/F222と、を介して情報伝送することができる。
【0034】
また、処理部205は、リモート表示部250を備えている。図2に示すように、リモート表示部250は、受付部251と、制御部252と、表示制御部253と、取得部254と、受信制御部255と、を備えている。
【0035】
ここで、リモート・ディスプレイを実現するための構成である、テレビジョン放送受信装置100のリモート表示部250の各構成について説明する。
【0036】
受付部251は、PC150と接続を行うための待機状態に移行させる待機要求の操作を受け付ける。当該待機要求の操作は、例えばリモート・コントローラ110の所定のボタンの押下や、テレビジョン放送受信装置100が備えたボタンの押下などとする。
【0037】
制御部252は、リモート・ディスプレイを実現するための様々な制御を行う。例えば、受付部251が待機要求の操作を受け付けた場合に、テレビジョン放送受信装置100を接続待ち状態に移行させる制御を行う。
【0038】
表示制御部253は、リモート・ディスプレイを実現するために、様々な情報を、テレビジョン放送受信装置100の表示装置211に表示する。例えば、表示制御部253は、受付部251が待機要求の操作を受け付け、制御部252が接続待ち状態に移行させた際に、テレビジョン放送受信装置100を識別するIDを、表示装置211に表示する。ユーザが、当該表示を視認することで、PC150のリモート・ディスプレイ・アプリケーション上で接続先を示すIDを選択できる。
【0039】
次に、図2〜図9を参照して、テレビジョン放送中の画面表示から、PC150と接続を開始して、PC150の画面をテレビジョン放送受信装置100の表示装置211にリモート・ディスプレイを行う際の手順について説明する。
【0040】
図3は、本実施形態に係るテレビジョン放送受信装置100の画面遷移を示す図である。ここではまず、テレビジョン放送受信装置100が、AP130に無線接続する機能を有しており、当該AP130に第1のチャンネルで無線接続している例を想定している。
【0041】
図3に示すように、テレビジョン放送受信装置100が、放送波の番組を表示する放送画面301を表示している際に、受付部251がリモート・コントローラ110等を介してテレビジョン放送受信装置100に対するリモート接続操作を受け付けた場合に、接続待ち状態に移行し、表示制御部253が、接続待ち画面302を表示する。このとき、処理部205は、Wi−Fi通信I/F222を介して無線LAN端子223に接続されているAP130との無線接続を切断し、全てのチャンネルで接続待ちの状態とする。
【0042】
図4は、PC150のリモート・ディスプレイ・アプリケーションから、接続先のテレビジョン放送受信装置を選択する一覧画面400の例を示す図である。図4に示すように、本実施形態に係る一覧画面400では、表示制御部253が、テレビジョン放送受信装置を識別するためのIDと、メーカ名と、テレビジョン放送受信装置の機種と、を一覧表示する。テレビジョン放送受信装置を識別するためのIDは、テレビジョン放送受信装置を識別するためのIDであり、テレビジョン放送受信装置が放送波の番組を表示する放送画面301を表示している際に接続待ち状態に移行した場合に、表示されるIDとする。つまり、ユーザは、テレビジョン放送受信装置が接続待ち状態に移行した場合に表示されるIDを視認したあと、PC150に一覧表示されたIDを選択することで、所望のテレビジョン放送受信装置を接続先として選択できる。
【0043】
図5は、接続待ち画面500(接続待ち画面302の詳細)の例を示す図である。図5に示すように、接続待ち画面500においては、表示制御部253が、テレビジョン放送受信装置100を識別するIDの他に、テレビジョン放送受信装置100のメーカ名及び機種を表示する。また、接続画面500においては、表示制御部253が、テレビジョン放送受信装置100とAP130との無線接続が切断されており、その切断の影響により、ネットワークを介した機能を利用できない可能性がある旨表示する。このようなネットワークを介した機能としては、例えば、インターネットのブラウザ機能、デジタル・メディア・プレーヤ(Digital Media Player)またはデジタル・メディア・レンダラ(Digital Media Renderer)の機能がある。
【0044】
図2に戻り、制御部252は、受付部251が待機要求の操作を受け付けて接続待ち状態に移行した後、所定の時間が経過(タイムアウト)した場合に、当該接続待ち状態を解除させる制御を行う。なお、この所定の時間は、ユーザの利便性を考慮して実施の態様毎に適切な時間が設定されるものとする。これにより、表示制御部253は、接続待ち画面302から、放送画面301に遷移させるとともに、処理部205は、Wi−Fi通信I/F222を介して無線LAN端子223とAP130とを第1のチャンネルで無線接続させる。
【0045】
受信制御部255は、PC150から、リモート・ディスプレイを実現するために、様々な情報を受信する。例えば、受信制御部255は、PC150から、表示されたIDで識別されるテレビジョン放送受信装置100に対する接続要求を受信する。
【0046】
そして、テレビジョン放送受信装置100の受信制御部255が、接続待ち状態中に、PC150からIDで特定される自装置に対する接続要求(ユーザによるキーボードのキー操作により送信される命令等)を受信した場合に、表示制御部253は、図3の接続開始画面303を表示する。そして、テレビジョン放送受信装置100は、第2のチャンネルでPC150と無線通信するようになる。なお、第2のチャンネルは、前述の第1のチャンネルと同一である場合もあるし、異なる場合もある。
【0047】
当該接続開始画面303を表示した後、表示制御部253は、PINコードを、PINコードの表示画面304に表示する。PINコードは、PC150をテレビジョン放送受信装置100に無線接続する際のセキュリティを保持するために、テレビジョン放送受信装置内でランダムに生成された番号の組み合わせとするWPS(Wi-Fi Protected Setup)のPINコードとする。
【0048】
図6は、PINコードの表示画面600(表示画面304の詳細)の例を示す図である。図6に示すように、表示画面600においては、PC150をテレビジョン放送受信装置100と無線接続するためのPINコードが表示される。
【0049】
そして、ユーザは当該PINコードを、PC150のリモート・ディスプレイ・アプリケーションに対して入力操作すると、その後、PC150は、テレビジョン放送受信装置100に対して、PINコードを送信する。これにより、受信制御部255は、PC150から、PINコードを受信する。
【0050】
そして、受信制御部255がPINコードを受信した場合に、PC150とテレビジョン放送受信装置100との間でリモート・ディスプレイを行うための無線通信が確立する。そして、表示制御部253は、PC150から送信されるデータに従って、当該PC150に表示された画面と同一の画面305を、表示装置211に表示する。
【0051】
図2に戻り、取得部254は、受信制御部255がPINコードを受信してPC150と無線通信を開始した場合に、PC150から、PC150を識別する識別情報を取得する。そして、取得部254は、取得した識別情報を、不揮発性メモリ205cに記憶する。PC150を識別する識別情報は、PC150を識別可能な情報であればよく、例えばMACアドレスなどが含まれていてもよい。
【0052】
これにより、それ以降、不揮発性メモリ205cに記憶された識別情報で識別されるPC150から通信要求を受け付けた場合、制御部252は、テレビジョン放送受信装置100が接続状態に移行していなくとも、PC150とテレビジョン放送受信装置100との間の無線通信を確立させる。すなわち、PC150からリモート接続が以前行われていた場合には、表示制御部255は、接続開始画面303から、PINコードの表示画面304に遷移させることなく、PCに表示されていた画面と同一の画面305の表示に遷移させる。その後、制御部252は、PC150から受信する画面情報を、表示装置211に表示させるよう表示制御部253を制御する。
【0053】
なお、本実施形態においては、画面305の表示前に、表示制御部253が、図7に示すような画面700を表示させる。これは、テレビジョン放送受信装置100とAP130との接続に使用されるチャンネルと、テレビジョン放送受信装置100とPC150との接続に使用されるチャンネルとが異なる場合、ハードウェア上の制約から、PC150の画面をテレビジョン放送受信装置100に表示させることができなくなる可能性があるからである。本実施形態において、表示制御部255は、画面700を所定の時間表示した後、当該画面700を表示させなくする。または、ユーザのリモート・コントローラ110のボタンの押下操作等により、表示制御部255は、当該画面700を表示させなくしてもよい。
【0054】
PC150に対する入力操作により、テレビジョン放送受信装置100に対するリモート・ディスプレイの切断要求がされた場合や、リモート・ディスプレイの表示中にエラーが生じた場合、表示制御部253は、PC150に表示されていた画面と同一の画面305の表示から、放送波の番組を表示する放送画面301の表示に遷移させる。その際、テレビジョン放送受信装置100とAP130との間の無線接続が切断されている場合は、テレビジョン放送受信装置100の処理部205が、Wi−Fi通信I/F222を介して無線LAN端子223とAP130とを第1のチャンネルで無線接続させる。
【0055】
また、テレビジョン放送受信装置100とPC150との無線接続が切断された後、テレビジョン放送受信装置100は放送画面301を表示する。このとき、処理部205により、テレビジョン放送受信装置100とAP130との無線接続のチャンネル(第1のチャンネル)と、テレビジョン放送受信装置100とPC150との無線接続のチャンネル(第2のチャンネル)とが同一であると判断されたとする。すると、テレビジョン放送受信装置100の受信制御部255が、PC150からIDで特定される自装置に対する接続要求を受信した場合、表示制御部253は、図3の接続待ち画面302を表示させることなく、図3の接続開始画面303を表示する。そして、テレビジョン放送受信装置100は、第2のチャンネル(すなわち、第1のチャンネル)でPC150と無線通信するようになる。
【0056】
次に、本実施形態に係るテレビジョン放送受信装置100における、PC(例えばPC150)のリモート・ディスプレイを実現するための接続処理について説明する。図8及び図9は、本実施形態に係るテレビジョン放送受信装置100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0057】
まず、表示制御部253が、放送中の番組を、放送画面として表示制御する(ステップS801)。
【0058】
次に、処理部205が、テレビジョン放送受信装置100−AP130間の無線接続の第1のチャンネルと、テレビジョン放送受信装置100−PC150間の無線接続の第2のチャンネルとが同一か否かを判断する(ステップS802)。
【0059】
第1のチャンネルと第2のチャンネルとが同一であった場合、処理はステップS806に進む。
【0060】
一方、第1のチャンネルと第2のチャンネルとが同一でなかった場合、受付部251が、リモート・コントローラ110等から、接続待ちに移行する操作を受け付けたかを検出する(ステップS803)。接続待ちに移行する操作を受け付けなかった場合(ステップS803:No)、ステップS801に戻り、表示制御部253が、継続して、放送画面の表示制御を行う。
【0061】
それに対して、接続待ちに移行する操作を受け付けた場合(ステップS803:Yes)、制御部252が、接続待ち状態に移行させ(ステップS804)、処理部205が、AP130との無線接続を切断し、全てのチャンネルで接続待ちの状態とする(ステップS805)。その後、表示制御部253が、接続待ち画面において、テレビジョン放送受信装置100を識別するIDを表示制御する(ステップS806)。
【0062】
その後、受信制御部255が、PC150からの接続開始の要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS807)。接続開始の要求を受け付けなかった場合(ステップS807:No)、制御部252が、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS808)。所定の時間が経過していないと判定した場合(ステップS808:No)、ステップS807に戻り、受信制御部255が、PC150からの接続開始の要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS807)。一方、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS808:Yes)、制御部252は、接続待ち状態を解除して(ステップS810)、再び表示制御部253が、放送中の番組を表示制御する(ステップS801)。
【0063】
また、ステップS807において、受信制御部255が、PC150からの接続開始の要求を受け付けた場合(ステップS807:Yes)、表示制御部253が、接続開始した旨を表示する(ステップS809)。
【0064】
その後、制御部252が、接続開始の要求を行ったPC150の識別情報が、不揮発性メモリ205cに記憶済みか否かを判定する(図9:ステップS811)。不揮発性メモリ205cに記憶済みと判定した場合(ステップS811:Yes)、PC150との間の無線通信を確立した後、表示制御部253が、PC150の表示画面と同一の画面を表示制御する(図9:ステップS815)。
【0065】
一方、不揮発性メモリ205cに記憶済みではないと判定した場合(ステップS811:No)、新規のPC150からの接続要求として、表示制御部253が、PINコードを画面上に表示制御する(図9:ステップS812)。そして、受信制御部255は、PC150からPINコードを受信したか否かを判定する(図9:ステップS813)。受信がない場合(ステップS813:No)には、表示制御部253が、継続してPINコードの表示制御を行う(ステップS812)。
【0066】
一方、受信制御部255が、PINコードを受信したと判定した場合(ステップS813:Yes)、制御部252は、PINコードを送信してきたPC150を識別する情報を、不揮発性メモリ205cに記憶させる(図9:ステップS814)。
【0067】
それと共に、PC150との間で通信が確立した後、表示制御部253は、PC150の表示画面と同一の画面を表示制御する(図9:ステップS815)。
【0068】
なお、本実施形態では、テレビジョン放送受信装置100と接続する外部装置が、PC150の場合について説明したが、外部装置はPC150に制限されるものではなく、例えば、携帯電話端末やPDAなどのモバイル機器であってもよい。
【0069】
(変形例)
第1の実施形態では、テレビジョン放送受信装置100でリモート・ディスプレイを実現する例について説明した。しかしながら、リモート・ディスプレイを実現する機器は、テレビジョン放送受信装置に制限されるものではなく、ディスプレイに接続するセット・トップ・ボックスであってもよい。そこで、変形例ではセット・トップ・ボックスの例について説明する。
【0070】
変形例に係るセット・トップ・ボックスは、図2に示す例において、表示装置211を除き、第1の実施形態のテレビジョン放送受信装置100とほぼ同様の構成を備えているものとする。当該セット・トップ・ボックスは、ディスプレイと接続するためのインタフェースをさらに備えている。このインタフェースとしては、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface)がある。そして、セット・トップ・ボックスは、当該インタフェースを介して、外部のディスプレイと接続し、当該ディスプレイに対して地上波デジタル放送の番組の画面などをディスプレイに表示する制御を行う。
【0071】
そして、当該セット・トップ・ボックスは、無線LAN端子及びWi−Fi通信I/Fを用いることで、無線通信回線を介して接続されたPCと情報を送受信することができる。
【0072】
そして、セット・トップ・ボックスは、PCからの接続要求を受け付け、ディスプレイに対してPCの画面と同一の画面を表示制御することができる。表示制御を行うまでの制御については、第1の実施形態と同様として説明を省略する。
【0073】
なお、本変形例では、セット・トップ・ボックスの例について説明したが、ディスプレイなどの表示装置と外部インタフェースを介して接続する表示制御装置であればよい。
【0074】
以上説明したとおり、第1の実施形態及び変形例によれば、テレビジョン放送受信装置(セット・トップ・ボックス)がAPと無線接続している場合にテレビジョン放送受信装置をリモート・ディスプレイの接続待ちの状態にすると、上記APとの無線接続が切断され、PCからのリモート・ディスプレイの開始要求を受け付ける。これにより、テレビジョン放送受信装置において無線接続IFが1つしか存在しないというハードウェアの制約があっても、ユーザが利便性を損うことなく、テレビジョン放送受信装置はPCからの接続要求を受け付けることができるようになる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0076】
100…テレビジョン放送受信装置、110…リモート・コントローラ、130…アクセス・ポイント(AP)、150…パーソナル・コンピュータ(PC)、205…処理部、250…リモート表示部、251…受付部、252…制御部、253…表示制御部、254…取得部、255…受信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス・ポイント及び外部装置の少なくとも一方と無線接続する無線通信手段と、
前記アクセス・ポイントと第1のチャンネルで無線接続しているときに、外部装置と接続を行うための待機状態に移行させる操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段の操作の受け付けで前記待機状態に移行した際に前記アクセス・ポイントとの無線接続を切断し、全てのチャンネルで前記外部装置からの接続要求を受信する受信制御手段と、
前記受信制御手段が前記外部装置からの接続要求を受信して、前記無線通信手段が前記外部装置と第2のチャンネルで無線接続した場合に、前記外部装置から受信する該外部装置の画面情報を表示する表示制御手段と、
を備えた表示制御装置。
【請求項2】
前記受付手段の操作の受け付けで前記待機状態に移行してから所定の時間が経過した場合に、前記待機状態を解除させる制御手段を更に備えた請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記無線通信手段が前記外部装置との無線接続を切断したとき、又は、前記制御手段が待機状態を解除したとき、前記無線通信手段は、前記アクセス・ポイントとの無線接続が切断していた場合に、前記アクセス・ポイントと前記第1のチャンネルで再接続する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記第1のチャンネルと前記第2のチャンネルが同一であった場合に、前記受信制御手段が前記外部装置からの接続要求を受信すると、前記無線通信手段が前記外部装置及び前記アクセス・ポイントと前記第1のチャンネルで無線接続する請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記無線通信手段が前記外部装置と第2のチャンネルで無線接続した際に、前記第1のチャンネルと前記第2のチャンネルとが異なる場合、前記表示制御手段は、前記第2のチャンネルを前記第1のチャンネルと同一に設定するよう促す画面を表示する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記受付手段の操作の受け付けで前記待機状態に移行した際に、前記表示制御手段は、ネットワークを介した機能が利用できなくなる旨表示された画面を表示する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
表示制御装置で実行される表示制御方法であって、
無線通信手段が、アクセス・ポイントと無線接続するステップと、
受付手段が、前記アクセス・ポイントと第1のチャンネルで無線接続しているときに、外部装置と接続を行うための待機状態に移行させる操作を受け付けるステップと、
受信制御手段が、前記受付手段の操作の受け付けで前記待機状態に移行した際に前記アクセス・ポイントとの無線接続を切断し、全てのチャンネルで前記外部装置からの接続要求を受信するステップと、
表示制御手段が、前記受信制御手段が前記外部装置からの接続要求を受信して、前記無線通信手段が前記外部装置と第2のチャンネルで無線接続した場合に、前記外部装置から受信する該外部装置の画面情報を表示するステップと、
を有する表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−199620(P2012−199620A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60703(P2011−60703)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【特許番号】特許第4996754号(P4996754)
【特許公報発行日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】