説明

表示制御装置、表示装置、電子装置および表示制御方法

【課題】 カメラの作動頻度や消費電力の増大を防止しつつ、ユーザーの顔の向きの変化に応じて、画面表示部の表示画像の向きを自動制御する。
【解決手段】 表示制御装置1は、カメラ作動指示部2と、画面制御部3を備える。カメラ作動指示部2は、制御対象の画面表示部の傾きを知らせる傾き検知信号が加えられたときに、前記画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラに向けて作動指示信号を出力する機能を備える。画面制御部3は、前記作動指示信号を受けて前記カメラで撮影された顔画像の所定の検知方向に応じて、前記画面表示部に表示する画像の向きを制御する機能を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面表示を制御する表示制御装置および電子装置および表示制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話機等の携帯端末装置は、その向きを容易に変えることができる。このため、携帯端末装置に備えられている画面表示部の縦方向(又は横方向)と、その画面表示部を見ているユーザーの顔の上下方向との関係(画面表示部とユーザーの向きの関係)が変化することがある。そのように画面表示部とユーザーの向きの関係が変化したのにも拘わらず画面表示部の表示画像の向きが変わらないと、ユーザーにとっては、その表示画像は見難いものとなる。そこで、特許文献1では、携帯端末装置において、次のような表示画像の切り替えを行っている。
【0003】
すなわち、特許文献1では、画面表示部(表示部)と同じ側に設けられたカメラで、その画面表示部を見ているユーザーの顔を、所定時間毎に、撮影する。そして、この撮影により得られた顔画像データの画像処理によって、目や鼻や口等を抽出し、ユーザーの顔画像の上下方向を判断する。さらに、その判断した顔画像の上下方向と、画面表示部に表示されている文字等の上下方向とが一致するように、画面表示部の表示画像の向きを制御する。このように、画面表示部の表示画像の向きを制御することによって、画面表示部とユーザーの向きの関係が変化しても、ユーザーにとって見やすい向きの表示画像が画面表示部に表示されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−177819号公報
【特許文献2】特開2007−89183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されている表示制御手法では、所定時間毎に、カメラでユーザーの顔を撮影している。つまり、携帯端末装置とユーザーの向きの関係が長い時間に亘って変化しておらず、画面表示部の表示画像の向きの変更を行わなくて済む場合であっても、定期的に、カメラでユーザーの顔の撮影が行われる。このため、カメラを頻繁に作動させなければならないという問題や、そのようなカメラ作動等に起因した消費電力増大の問題等がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、カメラの作動頻度やカメラ動作時間や消費電力の増大を防止しつつ、画面表示部に対するユーザーの向きの変化に応じて、画面表示部の表示画像の向きを自動制御できる表示制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示制御装置は、
制御対象の画面表示部の傾きを知らせる傾き検知信号が加えられたときに、前記画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラに向けて作動指示信号を出力するカメラ作動指示部と、
前記作動指示信号を受けて前記カメラで撮影された顔画像の所定の検知方向に応じて、前記画面表示部に表示する画像の向きを制御する画面制御部と、
を備えている。
【0008】
本発明の表示装置は、
上記表示制御装置と、
画像を表示する画面表示部と、
を備えている。
【0009】
本発明の電子装置は、
上記表示装置と、
上記表示装置に備えられている画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラと、
前記画面表示部の傾きを検知したときに傾き検知信号を上記表示装置に備えられている表示制御装置に出力する傾き検知手段と、
を備えている。
【0010】
本発明の表示制御方法は、
制御対象の画面表示部の傾きを知らせる傾き検知信号が加えられたときに、前記画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラに向けて作動指示信号を出力し、
前記作動指示信号を受けて前記カメラで撮影された顔画像の所定の検知方向に応じて、前記画面表示部に表示する画像の向きを制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラの作動頻度やカメラ動作時間や消費電力の増大を防止しつつ、画面表示部に対するユーザーの顔の向きの変化に応じて、画面表示部の表示画像の向きを自動制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態を説明するための図である。
【図2】第2実施形態を説明するためのブロック図である。
【図3】電子装置に設けられる画面表示部とカメラの配置例を示すモデル図である。
【図4】電子装置とユーザーの向き合っている状態と、当該状態のときのカメラの撮影画像例を表した図である。
【図5】電子装置とユーザーの向き合っている上記とは異なる状態と、当該状態のときのカメラの撮影画像例を表した図である。
【図6】電子装置とユーザーの向き合っているさらに上記とは異なる状態と、当該状態のときのカメラの撮影画像例を表した図である。
【図7】電子装置とユーザーの向き合っているさらにまた上記とは異なる状態と、当該状態のときのカメラの撮影画像例を表した図である。
【図8】画面表示部に表示される画像の向きの制御例を表した図である。
【図9】第2実施形態における表示制御動作例を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1(a)に示されるように、この第1実施形態の表示制御装置1は、カメラ作動指示部2と、画面制御部3とを備えている。カメラ作動指示部2は、制御対象の画面表示部の傾きを知らせる傾き検知信号が加えられたときに、前記画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラに向けて作動指示信号を出力する機能を備えている。画面制御部3は、前記作動指示信号を受けて前記カメラで撮影された顔画像の所定の検知方向に応じて、前記画面表示部に表示する画像の向きを制御する機能を備えている。
【0015】
このような表示制御装置1は、次のような表示制御動作を行う。すなわち、傾き検知信号が加えられたときに(図1(b)のステップS1)、制御対象の画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラに向けて作動指示信号を出力する(ステップS2)。
【0016】
その後、前記作動指示信号を受けて前記カメラで撮影された顔画像の所定の検知方向に応じて、前記画面表示部に表示する画像の向きを制御する(ステップS3)。
【0017】
この第1実施形態の表示制御装置1では、上記のように、カメラの撮影画像から得られる顔画像の検知方向に応じて画面表示部の表示画像の向きを制御している。つまり、画面表示部に対するユーザーの向きをカメラの撮影画像から検知して、画面表示部の表示画像の向きを制御している。このため、画面表示部に対するユーザーの向きが変化しても、その向きの変化に応じて画面表示部の表示画面の向きが自動的に変わるので、ユーザーは違和感なく表示画面を見続けることができる。
【0018】
しかも、この第1実施形態では、画面表示部に画面が表示されている期間中に、定期的にカメラに撮影動作を行わせて顔画像を監視するのではなく、傾き検知信号が加えられたときに、カメラを作動させて顔画像を撮影させている。つまり、画面表示部に対するユーザーの向きが変化する場合には、画面表示部を備えている装置の傾きが変化すると想定し、このときに、ポイント的にカメラを駆動している。これにより、画面表示部に対するユーザーの向きの変化を逃すことなく、画面表示部に対するユーザーの顔の向きを検知するためのカメラの動作時間や作動頻度を大幅に低減できる。また、そのように、カメラの動作時間を低減できるので、消費電力の増大を抑制できる。
【0019】
この第1実施形態の表示制御装置1は、例えば図1(c)に示されるように、画像を表示する画面表示部6と共に、表示装置5を構成することができる。また、その表示装置5は、図1(d)に示されるように、電子装置8を構成することができる。その電子装置8は、その表示装置5を含むと共に、カメラ10と傾き検知手段11を含んでいる。カメラ10は、画面表示部6に面する所定の領域を撮影する機能を備えている。傾き検知手段11は、電子装置8の傾きを検知したときに傾き検知信号を表示装置5に備えられている表示制御装置1に出力する機能を備えている。
【0020】
上記のような表示装置5や電子装置8は、この第1実施形態の表示制御装置1を含んでいることから、上記したように、画面表示部6に対するユーザーの向きが変化した場合に、その変化に応じて画面表示部6の表示画像の向きを自動的に変化させることができる。その上、画面表示部6に対するユーザーの向きの変化を逃すことなく、カメラ10の動作時間および消費電力の増大を防止することができるという効果を得ることができる。
【0021】
(第2実施形態)
以下に、第2実施形態を説明する。
【0022】
第2実施形態の電子装置は、例えば携帯電話機や携帯情報端末装置等の携帯端末装置である。図2に示されるように、この第2実施形態の携帯端末装置20は、表示装置21と、カメラ22と、傾き検知手段23とを備えている。
【0023】
表示装置21は、画面表示部25と、表示制御装置26とを備えている。その表示制御装置26は、画像処理部28と、カメラ作動指示部29と、画面制御部30とを備えている。
【0024】
すなわち、画面表示部25は、画像を表示する機能を持つ例えば液晶ディスプレイ等により構成されるものであり、例えば、図3に示されるように携帯端末装置20の一つの主面に設けられる。この画面表示部25に表示される画像の例を挙げると、例えば、電話発着信等の電話機能に関わる情報の画像や、電子メール機能のメール内容の画像や、インターネット閲覧情報の画像や、テレビ映像の画像等がある。さらに、画面表示部25に表示される画像の例として、カメラ22のプレビュー画像や、写真の画像等もある。
【0025】
カメラ22は、図3に示されるように、情報端末装置20において、画面表示部25が設けられている側と同じ側に設けられている。このカメラ22は、画面表示部25に面する所定の領域を撮影する機能を持つ。具体的に述べれば、このカメラ22は、画面表示部25の画面を見ている人(ユーザー)の顔を撮影することができる機能を持っている。さらに、カメラ22は、カメラ作動指示部29から作動指示信号が加えられた場合には、上記所定の領域を例えばオートフォーカス技術を利用して自動撮影する機能を備えている。
【0026】
傾き検知手段23は、携帯端末装置20の姿勢の変化(換言すれば、画面表示部25の傾き)を検知する機能を備えたものであり、例えば傾き検知センサとしてのジャイロ等のセンサを含んでいる。この傾き検知手段23は、その傾き検知センサの出力値が所定値以上変動した場合に、携帯端末装置20の姿勢が変化した(画面表示部25が傾いた)として、傾き検知信号を表示制御装置26に向けて出力する機能を備えている。なお、その傾き検知信号の出力は、携帯端末装置20が通常動作を行っている場合に行われ、休止状態(スリープ状態)のときには行わないものとする。
【0027】
表示制御装置26のカメラ作動指示部29は、傾き検知信号が出力されたことを検知すると、カメラ22を駆動させるためにカメラ22に向けて作動指示信号を出力する機能を備えている。さらに、カメラ作動指示部29は、情報端末装置20の電源が投入されたときに電源投入信号が加えられたとし、この場合にも、カメラ22に向けて作動指示信号を出力する機能を備えている。さらに、カメラ作動指示部29は、情報端末装置20が休止状態(スリープ状態)から通常状態に移行する休止状態解除信号が例えば情報端末装置20の制御部(図示せず)から加えられた場合にも、カメラ22に作動指示信号を出力する機能を備えている。さらに、カメラ作動指示部29は、上記のように作動指示信号を出力したことを知らせるためのカメラ作動通知信号を画像処理部28および画面制御部30に出力する機能を備えている。
【0028】
画像処理部28は、カメラ作動通知信号が出力されたことを検知すると、カメラ22により撮影された画像を取り込んで、当該撮影画像を次のように画像処理する機能を備えている。その画像処理とは、例えばエッジ検出処理手法等により、取り込んだ撮影画像の輪郭を抽出する処理である。さらに、画像処理部28は、その抽出された輪郭情報と、予め与えられている顔の輪郭パターン情報とに基づいて、撮影画像中に顔画像が有るか否かを判断する機能を備えている。さらに、画像処理部28は、撮影画像中に顔画像が無いと判断した場合には、顔画像無し信号を画面制御部30に出力する機能を備えている。
【0029】
さらに、画像処理部28は、撮影画像中に顔画像が有ると判断した場合には、続いて、その顔画像の所定の検知方向を解析する機能を備えている。この第2実施形態では、画像処理部28は、例えば、前記したように抽出した輪郭情報と、予め与えられている目や鼻や口等の顔のパーツの配置情報とに基づいて、顎から鼻を通って額に向かう顔の上向き方向を検知方向として算出する。
【0030】
例えば、図4(a)に示すように、情報端末装置20を縦向き(カメラ22が上側)にして、ユーザー33が画面表示部25の表示画面を見ているときに、カメラ22により撮影されたユーザー33の顔画像を含む画像が、例えば、図4(b)に示すようなものであったとする。この場合、画像処理部28により、その撮影画像34における顔画像33’の上向き方向(検知方向)は、図4(b)に示される点線Lに沿う矢印方向であると解析される。
【0031】
また、図5(a)に示すように、情報端末装置20を横向き(カメラ22が右側)にして、ユーザー33が画面表示部25の表示画面を見ているときに、カメラ22により撮影されたユーザー33の顔画像を含む画像が、例えば、図5(b)に示すようなものであるとする。この場合、画像処理部28により、その撮影画像35における顔画像33’の上向き方向(検知方向)は、図5(b)に示される点線Lに沿う矢印方向であると解析される。さらに、ユーザー33に対して情報端末装置20が、図6(a)のように縦向き(カメラ22が下側)の場合にも、図7(a)のように横向き(カメラ22が左側)の場合にも、上記同様に、顔画像33’の上向き方向Lが解析される。
【0032】
画像処理部28は、さらに、上記のような解析により得た検知方向の情報を画面制御部30に出力する機能を備えている。例えば、撮影画像34,35,36,37の所定の上向き方向Uに対する検知方向Lの傾き角度情報が、顔画像の検知方向の情報として画面制御部30に出力される。つまり、顔画像の検知方向の情報として、図4(b)の場合には0°が、図5(b)の場合には−90°が、図6(b)の場合には180°が、図7(b)の場合には90°が、それぞれ、画像処理部28から画面制御部30に出力される。
【0033】
画面制御部30は、カメラ22の動作中に、そのカメラ22で撮影されるプレビュー画像を画面表示部25に表示させるプレビュー表示機能を備えている。これに対し、画面制御部30は、カメラ作動指示部29からカメラ作動通知信号を受け取った場合には、前記作動指示信号に基づいたカメラ22の動作中には、プレビュー表示機能を阻止する(キャンセルする)機能を備えている。この機能により、作動指示信号に基づいてカメラ22が作動しても、画面表示部25の表示画面がカメラ22のプレビュー画像に切り換わらないので、ユーザー33にカメラ22の作動を気付かせずに済む。
【0034】
さらに、画面制御部30は、画像処理部28から顔画像の検知方向の情報を受け取ると、顔画像の検知方向(上向き方向)に応じて、画面表示部25に表示する画像の向きを制御する機能を備えている。つまり、画面制御部30は、画面表示部25に表示されている画像の上向き方向が顔画像の上向き方向に一致する方向に、画面表示部25の表示画像の向きを回転変化させる。具体的には、例えば、画面表示部25に、図8(a)に示されるような画像が表示されている場合に、画像処理部28から画面制御部30に、顔画像の検知方向の情報が加えられたとする。この場合には、顔画像の上向き方向Lが図4(b)の場合(0°方向の場合)であるとすると、画面表示部25の表示画像の上向き方向Tも0°方向なので、画面制御部30は、表示画像の向きを変化させず、そのままの向きでの表示を継続させる。顔画像の上向き方向Lが図5(b)の場合(−90°方向の場合)であるとすると、画面表示部25の表示画像の上向き方向Tを−90°方向に向くように、画面制御部30は、図8(b)の如く表示画像を回転変化させる。顔画像の上向き方向Lが図6(b)の場合(180°方向の場合)であるとすると、画面表示部25の表示画像の上向き方向Tを180°方向に向くように、画面制御部30は、図8(c)の如く表示画像を回転変化(上下反転)させる。顔画像の上向き方向Lが図7(b)の場合(90°方向の場合)であるとすると、画面表示部25の表示画像の上向き方向Tを90°方向に向くように、画面制御部30は、図8(d)の如く表示画像を回転変化させる。
【0035】
この第2実施形態の携帯端末装置20は上記のように構成されている。次に、この第2実施形態の携帯端末装置20における表示制御装置26の表示制御動作の一例を図9のフローチャートを利用して説明する。
【0036】
例えば、カメラ作動指示部29は、傾き検知信号と電源投入信号と休止状態解除信号の何れかの信号(開始信号)の入力を検知すると(ステップS101)、カメラ22に向けて作動指示信号を出力する(ステップS102)。このとき、カメラ作動指示部29は、カメラ作動通知信号を画像処理部28および画面制御部30に出力する。その後、画像処理部28は、前記作動指示信号に応じたカメラ22の撮影動作によって撮影された画像を取り込む(ステップS103)。そして、画像処理部28は、その取り込んだ撮影画像を前述したようなエッジ検出処理等によって画像処理する(ステップS104)。さらに、画像処理部28は、その画像処理後の画像に基づいて、撮影画像中に顔画像が有るか否かを判断する(ステップS105)。画像処理部28は、顔画像が無いと判断した場合には、顔画像無し信号を画面制御部30に向けて出力する。画面制御部30は、その顔画像無し信号が入力した場合には、画面表示部25に表示されている画像の向きはそのままにする(ステップS109)。
【0037】
画像処理部28は、撮影画像中に顔画像が有ると判断した場合には、さらに、その抽出された顔画像の上向き方向(検知方向)を解析する(ステップS106)。その後、画像処理部28は、得られた顔画像の上向き方向Lの情報を画面制御部30に出力する。画面制御部30は、その顔画像の上向き方向Lの情報を受け取ると、その上向き方向Lと、画面表示部25に表示されている画像の上向き方向Tとが不一致であるか否かを判断する(ステップS107)。画面制御部30は、不一致でないと判断した場合には、表示画面の向きはそのままで画像表示が継続される(ステップS109)。画面制御部30は、顔画像の上向き方向Lと、表示画像の上向き方向Tとが不一致であると判断した場合には、表示画像の上向き方向Tが、顔画像の上向き方向Lに一致する方向に、画面表示部25の表示画像の向きを変化させる(ステップS108)。
【0038】
この第2実施形態では、上記のように画面表示部25の表示制御が行われるので、画面表示部25を見ているユーザーの向きに応じて表示画像の向きが自動制御される。これにより、ユーザーは、携帯端末装置20を縦向きにしても横向きにしても違和感なく表示画像を見ることができる。その上、この第2実施形態では、連続的にユーザーの向きを監視しているのではなく、携帯端末装置20の傾きが検知されたときと、電源投入時と、休止状態解除時に、ユーザーの向きを検知する。つまり、画面表示部25に対するユーザーの向きが変化していることを検知する必要があると想定されるポイント的なタイミングのみ、カメラ22を作動させて、ユーザーの向きを検知している。このため、連続的にユーザーの向きを監視すべくカメラ22を動作させている場合に比べて、カメラ22の動作時間を大幅に低減させることができる。これにより、携帯端末装置20の消費電力も抑制することができる。また、それにより、携帯端末装置20のバッテリーの消耗を緩和できる。
【0039】
(その他の実施形態)
なお、この発明は上記第1や第2の実施形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得るものである。例えば、第2実施形態では、画像処理部28から顔画像無し信号が出力された場合には、そのまま、表示画像の向きに関する制御動作が終了していた。これに代えて、顔画像無し信号が出力された場合には、次のような制御を行ってもよい。つまり、画像処理部28は、顔画像無し信号を画面制御部30に加えると共に、カメラ作動指示部29にも出力する機能を備える。また、カメラ作動指示部29は、顔画像無し信号を受けた場合には、所定のタイミング(例えば、顔画像無し信号を受けてから所定時間を経過した時点)で、作動指示信号をカメラ22に再度出力する顔再検知機能を備える。なお、その作動指示信号の出力時にもカメラ作動通知信号が画像処理部28および画面制御部30に加えられる。このような顔再検知機能を備えることによって、次にような効果を得ることができる。すなわち、画面表示部25に対するユーザーの向きが変化したのにも拘わらず、携帯端末装置20の傾き検知直後の撮影時にカメラ22の視野にユーザーが入っていなかったために、ユーザーの向きの変化を検知できないという事態発生を抑制できる。なお、画面制御部30は、そのカメラ作動通知信号の出力状態に基づいて、その顔再検知機能が所定回数繰り返し行われても、顔画像が抽出されないと判断した場合には、表示画像の向きに関する制御動作を終了させる機能を備えてもよい。
【0040】
さらに、第2実施形態では、携帯端末装置20の傾きが検知されたときだけでなく、電源投入時と、休止状態解除時にも、カメラ撮影画像に基づいたユーザーの向きの検知を行っていた。これに代えて、そのユーザーの向きの検知は、電源投入時と休止状態解除時の一方又は両方の場合には行わなくてもよい。そのようにユーザーの向きの検知を行わない場合には、電源投入時や、休止状態解除時には、例えば、画面表示部25とユーザーとの関係は、図4(a)に示すような状態と想定して、画面制御部30は、表示画像の向きの制御を行う。
【0041】
さらに、第2実施形態では、顔画像の上向き方向Lを検知方向としていた。これに代えて、例えば、顔画像の右向き方向(左目から右目に向かう方向)等の他の方向を検知方向としてもよい。
【0042】
さらに、第2実施形態では、画像処理部28は、表示制御装置26に備えられていたが、これに代えて、画像処理部28は、表示制御装置26に含まれないが、携帯端末装置20の制御部内には設けられている構成としてもよい。
【0043】
さらに、第2実施形態では、携帯端末装置を例にして説明したが、例えばデジタルカメラ等の撮影装置にも本発明は適用でき、上記同様の効果を得ることができるものである。
【符号の説明】
【0044】
1,26 表示制御装置
2,29 カメラ作動指示部
3,30 画面制御部
5,21 表示装置
6,25 画面表示部
10,22 カメラ
11,23 傾き検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の画面表示部の傾きを知らせる傾き検知信号が加えられたときに、前記画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラに向けて作動指示信号を出力するカメラ作動指示部と、
前記作動指示信号を受けて前記カメラで撮影された顔画像の所定の検知方向に応じて、前記画面表示部に表示する画像の向きを制御する画面制御部と、
を備えている表示制御装置。
【請求項2】
前記カメラ作動指示部は、さらに、電源投入信号が加えられた場合と、休止状態解除信号が加えられた場合とのうちの少なくとも一方の場合にも、前記カメラに向けて前記作動指示信号を出力する請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
さらに、前記カメラで撮影された顔画像を画像処理して、前記顔画像の前記検知方向を解析する画像処理部を備えている請求項1又は請求項2記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、さらに、前記作動指示信号を受けて前記カメラで撮影された画像中に顔画像が有るか否かを判断し、顔画像が無いと判断した場合に顔画像無し信号を出力する機能を備え、
前記カメラ作動指示部は、さらに、前記顔画像無し信号を受けた場合には、所定のタイミングで、前記作動指示信号を再度出力する機能を備えている請求項3記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記画面制御部は、さらに、前記作動指示信号に基づいた前記カメラの動作中には、前記カメラの動作に関する所定の表示画面の表示を阻止する機能を備えている請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の表示制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の表示制御装置と、
画像を表示する画面表示部と、
を備えている表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の表示装置と、
前記表示装置に備えられている画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラと、
前記画面表示部の傾きを検知したときに傾き検知信号を前記表示装置に備えられている表示制御装置に出力する傾き検知手段と、
を備えている電子装置。
【請求項8】
制御対象の画面表示部の傾きを知らせる傾き検知信号が加えられたときに、前記画面表示部に面する所定の領域を撮影するカメラに向けて作動指示信号を出力し、
前記作動指示信号を受けて前記カメラで撮影された顔画像の所定の検知方向に応じて、前記画面表示部に表示する画像の向きを制御する表示制御方法。
【請求項9】
さらに、電源投入信号が加えられた場合と、休止状態解除信号が加えられた場合とのうちの少なくとも一方の場合にも、前記カメラに向けて前記作動指示信号を出力する請求項8記載の表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−138449(P2011−138449A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20(P2010−20)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】