説明

表示制御装置及びその制御方法

【課題】外部モニタで撮像装置の傾きに関する表示をする場合に、外部モニタの閲覧者が撮像装置を意図した姿勢にあわせやすくした表示方法を提供する。
【解決手段】撮像装置と通信可能に接続する接続部を有する表示制御装置は、撮像装置の傾き角度を取得し、取得した傾き角度に基づいて表示アイテムを表示部に表示する。この際、表示制御装置は、取得した傾き角度の正負を反転した傾き角度を示す表示アイテムを表示するように表示制御をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に接続された外部モニタにおいて、撮像装置から取得した撮像装置の傾き角度情報に基づいた表示を行う表示制御装置及びその制御方法、プログラム、記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の背面ディスプレイに、撮像装置の傾きを示す水準器表示を行うことが行われている。特許文献1では、水平基準線として、撮像装置の背面モニタ画面の中央に、撮像装置の左右方向に平行な線を固定して表示すると共に、姿勢検出装置で検出した撮像装置の傾き角度に応じて水平撮影補助線を表示すること(水準器表示)が開示されている。このような水準器表示では、重力に対して固定位置で撮像装置の背面モニタを見ているユーザからは、撮像装置自体の傾きとは逆方向に回転して表示される重力基準線(特許文献1の水平撮影補助線)が相対的に動いていないように見える。重力基準線が、背面モニタに対して回転しているが重力に対しては固定しているためである。そのため、ユーザは、撮像装置の左右方向に固定表示された線(水平基準線)を、撮像装置の傾きに関わらずユーザからは静止して見える重力基準線(水平撮影補助線)に合わせるように撮像装置の姿勢を調整すれば、撮像装置を水平に構えることができる。
【0003】
一方で、撮像装置を外部機器であるコンピュータと接続し、撮像装置の背面ディスプレイ画面に表示されるライブビュー表示をコンピュータのディスプレイ(外部モニタ)に表示する方法(リモートライブビュー撮影)がある(特許文献2)。このような構成によれば、ユーザは、外部モニタでの表示を見ながら撮影を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−271654号公報
【特許文献2】特開2011−049661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のように、撮像装置の傾きに関わらず固定設置された外部モニタで、特許文献1のような従来の水準器表示を行った場合を考える。この場合、外部モニタを見ているユーザからは、撮像装置の左右方向に固定表示された線が相対的に動いていないように見え、撮像装置自体の傾きとは逆方向に回転して表示される重力基準線の方が動いているように見える。しかも、重力基準線が撮像装置自体の傾きとは逆方向に動いているように見えてしまう。そのため、外部モニタに表示された重力基準線を参考に撮像装置本体の傾きを操作する場合、撮像装置を撮影者が意図した姿勢にあわせづらくなるといった課題があった。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、外部モニタで撮像装置の傾きに関する表示をする場合に、外部モニタの閲覧者が撮像装置を意図した姿勢にあわせやすくした表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による表示制御装置は以下の構成を備える。すなわち、
表示制御装置であって、
撮像装置と通信可能に接続する接続手段と、
前記撮像装置の傾き角度を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した傾き角度の正負を反転した傾き角度を示す表示アイテムを表示手段に表示するように制御する表示制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部モニタで撮像装置の傾きに関する表示をする場合にも、外部モニタの閲覧者が撮像装置を意図した姿勢に合わせやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態のシステム構成例を示す図。
【図2】パーソナルコンピュータ(PC)の構成例を示すブロック図。
【図3】デジタルカメラの構成例を示すブロック図。
【図4】デジタルカメラの表示画面における水準器表示の表示例と、デジタルカメラの傾きの例を示す図。
【図5】リモートライブビュー画面の表示例を示す図。
【図6】第1実施形態に係るコンピュータの制御手順を示すフローチャート。
【図7】第1実施形態に係るデジタルカメラの制御手順を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態に係るデジタルカメラの制御手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
<システム構成の例>
図1は、第1実施形態にかかわるシステム構成を示す図である。100は情報処理装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、PC)、200は撮像装置としてのデジタルカメラである。PC100とデジタルカメラ200とは、ケーブル300を介して接続されており、デジタルカメラ200の背面の表示部に表示されているライブビュー画像が、PC100の画面上にほぼリアルタイムに表示されるようになっている。なお、本実施形態では、PC100とデジタルカメラ200とがケーブル300で接続される例を示すが、PC100とデジタルカメラ200とが無線等で接続されるようにしてもかまわない。また、デジタルカメラ200と接続される外部機器としてPC100が接続された例を示したがこれに限られるものではない。例えば、タブレット端末等、以下に説明する機能を実現できる情報処理装置であれば、いかなる外部機器であってもよい。
【0012】
<PC100の構成>
図2のブロック図に、デジタルカメラ200と接続可能な外部機器としてのPC100の内部構成例を示す。PC100において、内部バス150に対してCPU101、メモリ102、不揮発性メモリ103、画像処理部104、表示制御部115、操作部106、記録媒体I/F107、外部I/F109、通信I/F110が接続されている。内部バス150に接続される各部は、内部バス150を介して互いにデータのやりとりを行うことができるようにされている。
【0013】
CPU101は、例えば不揮発性メモリ103に格納されるプログラムに従い、メモリ102をワークメモリとして用いて、PC100の各部を制御する。メモリ102は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。不揮発性メモリ103には、画像データや音声データ、その他のデータ、CPU101が動作するための各種プログラムなどが格納される。不揮発性メモリ103は例えばハードディスク(HD)やROMなどで構成される。
【0014】
画像処理部104は、CPU101の制御に基づいて、不揮発性メモリ103や記録媒体108に格納された画像データ、外部I/F109を介して取得した映像信号、通信I/F110を介して取得した画像データ、などに対して各種画像処理を施す。画像処理部104が行う画像処理には、A/D変換処理、D/A変換処理、画像データの符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理などが含まれる。画像処理部104は特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成されても良い。また、画像処理の種別によっては画像処理部104を用いずにCPU101がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0015】
ディスプレイ105は、CPU101の制御に基づいて、映像データや画像データから形成された画像や、GUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面などを表示する。CPU101は、プログラムに従い表示制御信号を生成し、表示制御部115がディスプレイ105に表示するための映像信号を生成して出力するように制御する。ディスプレイ105は表示制御部115から出力された映像信号に基づいて映像を表示する。なお、PC100自体が備える構成としてはディスプレイ105に表示させるための映像信号を出力するためのインターフェース(表示制御部115)までとし、ディスプレイ105は外付けのモニタ(テレビなど)で構成してもよい。
【0016】
操作部106は、キーボードなどの文字情報入力デバイスや、マウスやタッチパネルといったポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッドなどを含む、ユーザ操作を受け付けるための入力デバイスである。なお、タッチパネルは、ディスプレイ105に重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。
【0017】
記憶媒体I/F107は、メモリカードやCD、DVDといった記録媒体108が装着可能とされ、CPU101の制御に基づき、装着された記録媒体108からのデータの読み出しや、当該記録媒体108に対するデータの書き込みを行う。外部I/F109は、外部機器と有線ケーブルや無線によって接続し、映像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。本実施形態のPC100は、この外部I/F109とケーブル300を介して、デジタルカメラ200と接続することが可能である。通信I/F110は、外部機器やインターネット111などと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。
【0018】
<デジタルカメラ200の構成>
図3は、本実施形態によるデジタルカメラ200の構成例を示すブロック図である。図3において、撮影レンズ203はズームレンズ、フォーカスレンズを含むレンズ群である。シャッター201は絞り機能を備えるシャッターである。撮像部222は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子である。A/D変換器223は、撮像部222から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するために用いられる。バリア202は、デジタルカメラ200の、撮影レンズ203を含む撮像系を覆うことにより、撮影レンズ203、シャッター201、撮像部222を含む撮像系を汚れや破損から保護する。
【0019】
画像処理部224は、A/D変換器223からのデータ、又は、メモリ制御部215からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部224では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、得られた演算結果に基づいてシステム制御部250が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部224では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0020】
A/D変換器223からの出力データは、画像処理部224及びメモリ制御部215を介して、或いは、メモリ制御部215を介してメモリ232に直接書き込まれる。メモリ232は、撮像部222によって得られA/D変換器223によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部228に表示するための画像データを格納する。メモリ232は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0021】
また、メモリ232は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。D/A変換器213は、メモリ232に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して表示部228に供給する。こうして、メモリ232に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換器213を介して表示部228により表示される。表示部228は、LCD等の表示器上に、D/A変換器213からのアナログ信号に応じた表示を行う。また、表示部228はスルー画像表示(ライブビュー表示)により、電子ビューファインダとして機能する。この場合、A/D変換器223によって一度A/D変換されメモリ232に蓄積されたデジタル信号は、D/A変換器213においてアナログ変換され、表示部228に逐次転送され、表示される。
【0022】
不揮発性メモリ256は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ256には、システム制御部250の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムには、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムが含まれる。
【0023】
システム制御部250は、デジタルカメラ200全体を制御する。システム制御部250は、前述した不揮発性メモリ256に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。システムメモリ252は、一般的にはRAMが用いられる。システムメモリ252には、システム制御部250の動作用の定数、変数が保持されるとともに、不揮発性メモリ256から読み出したプログラム等が展開される。また、システム制御部250はメモリ232、D/A変換器213、表示部228等を制御することにより表示制御も行う。
【0024】
システムタイマ253は各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。モード切替スイッチ260、シャッターボタン(第1シャッタースイッチ261と第2シャッタースイッチ262)、操作部270はシステム制御部250に各種の動作指示を入力するための操作手段である。
【0025】
モード切替スイッチ260は、システム制御部250の動作モードを静止画記録モード、動画記録モード、再生モード等のいずれかに切り替える。静止画記録モードに含まれるモードとしては、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、プログラムAEモード、カスタムモード等がある。モード切り替えスイッチ260で、静止画撮影モードに含まれるこれらのモードのいずれかに直接切り替えることができる。あるいは、モード切り替えスイッチ260で静止画撮影モードに一旦切り換えた後に、他の操作部材を用いて静止画撮影モードに含まれるこれらのモードのいずれかに切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。第1シャッタースイッチ261は、デジタルカメラ200に設けられたシャッターボタンの操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作が開始される。
【0026】
第2シャッタースイッチ262は、シャッターボタンの押し込み操作の完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部250は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部222からの信号読み出しから記録媒体290に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0027】
操作部270の各操作部材は、表示部228に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部228に表示される。利用者は、表示部228に表示されたメニュー画面と、上下左右の4方向ボタンやSETボタンとを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0028】
電源制御部280は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部280は、その検出結果及びシステム制御部250の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体290を含む各部へ供給する。電源スイッチ272がオンされると、システム制御部250は、電源制御部280に各部への電力供給を行なうよう指示する。
【0029】
電源部230は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。記録媒体I/F218は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体290とのインターフェースである。記録媒体290は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0030】
加速度センサ254はデジタルカメラ200に加わる加速度を検出するセンサである。加速度センサ254は、X軸、Y軸、Z軸の3軸の加速度を検出可能であり、これによりデジタルカメラ200の重力方向におけるヨー、ロール、ピッチがわかる。システム制御部250に備わる姿勢検出部は、加速度センサ254によって重力加速度(重力方向)を検出し、デジタルカメラ200の姿勢を検出する処理を行う。検出されたデジタルカメラ200の姿勢角度に基づき、基準姿勢における角度を基準角度(0°)として、基準角度からの傾き角度を表示部228に表示することができる(水準器表示)。この水準器表示は、静止画あるいは動画撮影モード時に、構図を水平に調整するためや、水平位置と比較した構図決めを行うために利用される。基準角度は、デジタルカメラ200の姿勢によって異なる。デジタルカメラ200のシステム制御部250は、姿勢検知によって正位置、右縦位置、左縦位置、逆さまのどの基準姿勢に最も近いかに応じて、水準器にて0°に定義する基準角度を設定する。
【0031】
外部I/F255は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部I/F255は、有線通信、あるいは無線通信で外部機器と接続することができ、外部機器と相互に情報(映像情報や加速度センサ254からの情報を含む)をやり取りすることができる。ここで、有線通信としては、例えば、USBケーブル、LANケーブル、或いはHDMIケーブルなどを介しての通信が、無線通信としては、例えば無線LAN、Bluetooth(商標)などを用いた通信があげられる。また、外部I/F255は、映像出力端子であってもよく、撮像部222で撮像しているライブビュー画像、記録媒体290に記録された画像を再生した映像、各種アイコンや情報表示などのGUI映像などを出力して外部モニタに表示させることができる。表示部228に表示しているものと同様の内容を出力することもできるし、外部モニタに適するように生成した映像を出力することも可能である。なお、本実施形態ではこの外部I/F255、ケーブル300を介して、上記のPC100と接続することができる。
【0032】
<デジタルカメラ200でのライブビュー表示例>
図4(a)に、デジタルカメラ200の表示部228の表示画面における水準器表示の表示例を示す。デジタルカメラ200の水準器表示において、デジタルカメラ200の左右方向に平行なカメラ基準線331が表示されるとともに、加速度センサ254で検出したデジタルカメラ200の姿勢に基づいた重力基準線332が表示される。また、加速度センサ254で検出したデジタルカメラ200の仰角の角度情報から仰角の角度を示す仰角俯角マーク333が表示される。カメラ基準線331はカメラの姿勢によらず表示位置は表示部228の表示画面上で固定であり、常にデジタルカメラ200の左右方向に平行に表示される。重力基準線332は、デジタルカメラ200の左右方向に対する、重力を基準とした水平方向(重力と垂直な方向)の角度を示している。したがって、重力基準線332は、デジタルカメラ200の姿勢の変化に応じて、表示される角度(カメラの左右方向に対する角度)が更新される動的な線である。図4(a)では、デジタルカメラ200の左右方向に対する、重力を基準とした水平方向(重力と垂直な方向)の角度(以下、水平傾き角度Aと称する)が30°である場合の例を示している。従って、カメラ基準線331から重力基準線332に向かう角度が30°となっている。
【0033】
さらにデジタルカメラ200の表示部228における水準器表示では、デジタルカメラ200の仰角・俯角の角度を示す仰角俯角マーク333も表示される。仰角、俯角とは、デジタルカメラ200のレンズ光軸が重力方向と垂直な方向(水平方向)に対してどれだけ傾いているかを示す角度(以下、垂直傾き角度Cと称する)である。水平方向に対してどれだけ上向きに傾いているかを示す角度が仰角であり、どれだけ下向きに傾いているかを示す角度が俯角である。図4(b)に、水平方向に対して光軸が下側に傾いた様子を図示する。デジタルカメラ200のレンズ側が水平方向に対して下方向に傾いた場合には、撮像装置の仰角・俯角の角度を示す仰角俯角マーク333は、カメラ基準線331よりも上部に表示される。
【0034】
また、表示部228の表示画面における水準器表示の表示形態は、デジタルカメラ200が横向き(正位置)の場合と縦向きの場合で異なる。加速度センサ254から検出した角度が正位置、右縦位置、左縦位置、逆さまの4つの状態の角度範囲の何れに収まるかに応じてデジタルカメラ200の位置状態を判定する。そして、判定された位置状態が正位置または逆さまの状態では、デジタルカメラ200の左右方向にカメラ基準線331を表示する。また、判定された位置状態が右縦位置(背面右手が下の縦位置)または左縦位置(背面左手が下の縦位置)の状態では、デジタルカメラ200の上下方向にカメラ基準線331を表示する。なお、デジタルカメラ200の仰角を示す仰角俯角マーク333は、仰角・俯角の変化に応じてカメラ基準線331に垂直な方向に移動するように表示される。
【0035】
<PC100での表示例>
図5に、デジタルカメラ200と接続したPC100のディスプレイ105に表示される水準器表示のためのウインドウの表示例を示す。操作/表示ウインドウ310は、PC100のディスプレイ105に表示された、リモートライブビューの操作・表示画面である。PC100と接続されたデジタルカメラ200がライブビューを開始すると、デジタルカメラ200からライブビュー画像がPC100へ送られ、操作・表示ウインドウ310のライブビュー表示部311にライブビュー表示がなされる。
【0036】
カメラ基準線319は、ライブビュー画像中におけるデジタルカメラ200の左右方向を示す線(カメラ基準線331)であり、常にディスプレイ105の左右方向に平行に固定表示される。重力基準線316は、デジタルカメラ200から受信した水平傾き角度Aに応じて表示される線であり、デジタルカメラ200の姿勢の変化に応じて回転して表示される。ただし、PC100側のディスプレイ105で表示される重力基準線316のカメラ基準線319に対する角度と、デジタルカメラ200の表示部228で表示される重力基準線332のカメラ基準線331に対する角度とは正負が反転する。このようにすることで、図4(a)と図5を並べてみるとわかるとおり、PC100側のディスプレイ105に表示された重力基準線316が、あたかもデジタルカメラ200の傾きと一致しているように見える。また、カメラ基準線319があたかも重力基準の水平方向(デジタルカメラ200側での重力基準線332)に一致しているように見える。すなわち重力基準線316がデジタルカメラ200の傾きの変化と同一の動きとして見える。従ってPC100のディスプレイ105を見ているユーザは、重力基準線316を(重力基準の水平線ではなく)デジタルカメラ200の傾きとみなすことで、デジタルカメラ200の姿勢の調整を直感的に行えるようになる。
【0037】
例えば、デジタルカメラ200の姿勢を水平にしたければ、重力基準線316がカメラ基準線319に一致するようにデジタルカメラ200を動かせばよい。ただし、重力基準線316は実際の角度とは正負を逆にして表示しているため、実世界を示すライブビュー表示とは不整合が起こる。すなわち、重力基準線316が時計回りに回るようにデジタルカメラ200の姿勢を動かすと、ライブビュー表示されている静物である花瓶は反時計回りに回ることになる。そのため、ライブビュー画像に対してただ水準器を重ねて表示したのでは分かりにくくなることも考えられる。従って、重力基準線316と平行にデジタルカメラ200を模擬した画像を表示するようにして、重力基準線の見方をガイドするようにするとなお良い。このデジタルカメラ200を模擬した画像の左右方向が、重力基準線316と常に平行になるように可変表示する。
【0038】
マーク317は、ライブビュー表示部311の中央からの同心円上で、常に重力基準線316と90°の角度を保つように、デジタルカメラ200の傾きの変化に応じて可変表示される。目盛318に対して表示された仰角俯角マーク320は、デジタルカメラ200の仰角・俯角を示している。仰角俯角マーク320は、デジタルカメラ200の表示部228で表示される仰角俯角マーク333とは、カメラ基準線からの位置が正負逆で表示される。
【0039】
表示ボタン321、322は、水準器表示を切り替えるための表示ボタンである。なお、マウス操作でカーソルを合わせた状態でクリックすることなどにより機能を発動するディスプレイ表示されたボタンを表示ボタンという。また、以下では、カーソルを表示ボタンに合わせた状態でクリックすることを単に(表示ボタンを)押下すると称する。表示ボタン321が押下されると、デジタルカメラ200の表示部228で表示される水準器の表示と同様の水準器表示をライブビュー表示部311に行うことができる。このようにすると、図4(a)における表示部228と同様の表示がディスプレイ105で行われる。また、表示ボタン322が押下されると、上述した図5のような水準器表示が行われる。
【0040】
オートフォーカスボタン312は、遠隔操作でデジタルカメラ200におけるオートフォーカスを行う表示ボタンであり、ONボタンとOFFボタンといった表示ボタンを含む。オートフォーカスボタン312のうちのONボタンが押下されるとデジタルカメラ200でオートフォーカスが実行され、OFFボタンが押下されるとオートフォーカスが中断される。ONボタンが操作されると、PC100は、デジタルカメラ200にフォーカス合わせを命令するコマンドを通知する。PC100は、フォーカス合わせを命令するコマンドを通知すると、フォーカスの状態確認をしやすくする為、水準器表示(カメラ基準線319、重力基準線316、マーク317、目盛318、仰角俯角マーク320)を消去する。こうして、ライブビュー表示部311の表示は、水準器表示を行っていないライブビュー単体の表示となる。その後オートフォーカスが終了すると、自動でライブビュー表示部311での水準器表示を復帰させる。なお、デジタルカメラ200においても、フォーカス合わせを命令するコマンドの通知を受信してオートフォーカスを実行する際に、水準器表示(カメラ基準線331、重力基準線332、仰角俯角マーク333)を消去するように構成してもよい。
【0041】
クリックホワイトバランス313内の表示ボタンである白点指定ボタン314が押下されると、クリックホワイトバランス機能が有効になる。クリックホワイトバランス機能とは、ライブビュー表示部311上にてマウス操作可能なポインタを使用して白点指定を行い、接続されているデジタルカメラ200で指定された座標に基づいたホワイトバランス制御を行わせる機能である。白点指定のためのポインタとしては、例えば、スポイトツール(スポイト状のマウスカーソル)が用いられる。クリックホワイトバランス機能が有効状態となると、ライブビュー表示部311上のライブビュー表示画像を、スポイト状のカーソルにより白点指定をしやすくする為、上述のオートフォーカス時と同様に水準器表示を消去する。その結果、操作/表示ウインドウ310にあるライブビュー表示部311の表示は、水準器表示を行っていないライブビュー単体の表示となる。その後クリックホワイトバランス機能が無効状態となると、自動でライブビュー表示部311での水準器表示を復帰させる。
【0042】
また、上記の例では、オートフォーカスやクリックホワイトバランスにおいて視認性を向上させるために、水準器表示を消去するが、これに限られるものではない。例えば、水準器表示を消去する代わりに水準器表示の透過率を増加させ、ライブビュー表示の視認性を向上させるといった代替の表示方法を適用しても良い。或いは、ライブビュー表示の表示領域外に水準器表示を行なうようにしてもよい。
【0043】
なお、水準器表示を消去する条件の例としてオートフォーカス中やクリックホワイトバランス中であるといった例を示したが、水準器表示を消去する条件はこれらに限られるものではない。例えば、
・撮影者がライブビュー表示を確認しながらPC100からフォーカス駆動命令を行うといったマニュアルフォーカス中、
・被写界深度の確認を行うためのデジタルカメラ200の絞りの絞り込み中、
・PC100からの露出補正の命令に基づいて露出の確認を行っている最中、
・ユーザの操作によるライブビュー表示部311におけるオートフォーカス枠の移動中、
・デジタルカメラ200がオートフォーカス中やレンズ絞り込み中などの状態であるといった通知がある場合、等が挙げられる。
【0044】
<PC100の動作について>
図6に、ディスプレイ105にリモートライブビューの操作・表示ウインドウ310を表示するためのPC100側での処理のフローチャートを示す。なお、図6の処理は、例えば、CPU101が不揮発性メモリ103に記録されたプログラムをメモリ102に展開して実行することで実現される。
【0045】
ステップS101でPC100電源の電源をONとする操作があると、電源をONにし、PC100の各部に通電させ動作可能な状態にする。なお、この時点でデジタルカメラ200と通信可能に接続されているものとする。
【0046】
ステップS102で、CPU101は、外部I/F109を介してデジタルカメラ200へ現在のPC100の設定情報を通知(送信)する。ここで通知する設定情報とは、撮影モードの設定情報、ホワイトバランスの設定情報、ライブビュー情報などの各情報である。また、CPU101は、外部I/F109を介してデジタルカメラ200から情報の受信も行う。デジタルカメラ200から受信する情報にはデジタルカメラ200の各種設定状態や、動作モードなどが含まれる。これらデジタルカメラ200からの情報は、デジタルカメラ200の状態が撮影者によって設定変更された場合、PC100からデジタルカメラ200の設定変更を行なった場合などに、デジタルカメラ200からPC100へ、更新内容が通知される。ステップS103では、CPU101は、リモートライブビューを開始することをデジタルカメラ200へ通知する。デジタルカメラ200は、この通知を受け取るとライブビューを開始し、リモートビューに必要な情報をPC100に送信する(図7により後述する)。
【0047】
ステップS104において、CPU101は、一定間隔でライブビュー画像の送信要求をデジタルカメラ200に送信することで、デジタルカメラ200からライブビュー画像を一定間隔で受信する(カメラ側での図7のS207〜S209と共動する処理)。
受信されたライブビュー画像は、ディスプレイ105のライブビュー表示部311に表示される。ライブビュー表示部311のライブビュー画像はデジタルカメラ200からライブビュー画像が受信されるごとに更新され、これによりライブビュー表示部311にはリモートライブビュー画面が表示される。ステップS105において、CPU101は、ステップS104にて取得したライブビュー画像に付帯している角度情報を取得する。角度情報には、デジタルカメラ200の水平傾き角度Aおよび垂直傾き角度Cの情報と、正位置、右縦位置、左縦位置、逆さまの4つの位置状態に関する判定情報とが含まれる。
【0048】
ステップS106において、CPU101は、デジタルカメラ200から得られた角度情報から、ライブビュー表示部311へ水準器表示するための角度計算を行う。この角度計算について説明する。重力基準線316は、360°から水平傾き角度Aを引いて求められる角度B(B=360−A=−A)だけ、カメラ基準線319から傾けた角度でライブビュー表示部311上に表示する。なお、0°と360°は同角度として扱う。その結果、ライブビュー表示部311に表示される重力基準線316はデジタルカメラ200の表示部228に表示される重力基準線332とは正負が逆に表示される。すなわち、重力基準線316と重力基準線332とでは、デジタルカメラ200の姿勢が変化した時の回転方向が互いに逆となる。
【0049】
垂直傾き角度Cも同様に、360°から垂直角度情報Cを引いて角度D(D=360−C)を求めることにより、角度Cと角度Dの正負を逆にする。仰角俯角マーク320は、例えば、デジタルカメラ200の仰角を示す目盛318のうちリモートライブビュー画面の中央の位置を仰角0°として±90°の範囲まで表示する場合、以下のように表示される。
・角度Dが0°から90°までは、リモートライブビュー画面の中央から上方向に仰角俯角マーク320を表示する。
・角度Dが360°から270°までは、リモートライブビュー画面の中央から下方向に仰角俯角マーク320を表示する。
・角度Dが90°から180°までは、リモートライブビュー画面の中央から上方向に仰角俯角マーク320を表示する。
・角度Dが180°から270°までは、リモートライブビュー画面の中央から下方向に仰角俯角マーク320を表示する。
【0050】
なお、0°と360°は同角度として扱う。その結果、ライブビュー表示部311のリモートライブビュー画面に表示されるデジタルカメラ200の仰角俯角マーク320は、デジタルカメラ200の背面ディスプレイである表示部228に表示される仰角俯角マーク333とは上下逆の方向に表示される。なお、本実施形態ではリモートライブビュー画面の中央の位置を仰角0°と例示したが、仰角0°位置はライブビュー表示部311の任意の位置へ定めても構わない。
【0051】
ステップS107において、CPU101は、ライブビュー表示部311において水準器表示を表示可能な条件が満たされているか否かを判定する。満たされている(YES)と判定された場合、処理はステップS108に進み、満たされていない(NO)と判定された場合、処理はステップS109へ進む。なお、ステップS107では、上述した「水準器表示を消去する条件」が満たされる場合に、表示可能な条件が満たされていないと判定することになる。
【0052】
ステップS108において、CPU101は、ライブビュー表示部311において、S106で算出した正負が逆の水平傾き角度A(すなわち角度B)、正負が逆の垂直傾き角度Cに基づいて、図5で説明したような水準器表示をするよう制御する。ステップS108を終えると処理はステップS110へ進む。一方、ステップS109において、CPU101は、水準器表示を消去し(または水準器表示の透過率を高くし)、処理をステップS110へ進める。ステップS110において、CPU101は、デジタルカメラ200側のライブビューの終了操作または、PC100にてユーザがリモートライブビューの終了操作を行ったコマンドがあったか否かを判断する。いずれかの終了操作があったと判断された場合には、処理はステップS111に進み、いずれの終了操作もなされていないと判断された場合には、処理はステップS104へ戻る。
【0053】
ステップS111において、CPU101は、操作・表示ウインドウ310を閉じ、デジタルカメラ200へライブビューの終了を通知し、リモートライブビューを終了する。そして、ステップS111においてCPU101は通信を切断する。
【0054】
<デジタルカメラの動作について>
図7に、外部I/F255を介して外部機器であるPC100と接続されたデジタルカメラ200における動作のフローチャートを示す。図7に示されるフローチャートの動作は、不揮発性メモリ256に記録されたプログラムをシステムメモリ252に展開してシステム制御部250が実行することで実現される。
【0055】
ステップS201でデジタルカメラ200の電源をONにする操作があると、デジタルカメラ200の各部に電力が供給され、動作可能な状態となる。なお、この時点でPC100とは、通信可能に接続されており、ライブビュー画像を出力可能な状態となっているものとする。ステップS202において、システム制御部250は、初期通信を行ってPC100へデジタルカメラ200の現在の設定情報を通知するとともに、PC100から設定情報を受信する。デジタルカメラ200からPC100へ送信される設定情報とは、撮影モードの設定状態、ホワイトバランスの設定状態、ライブビュー状態などの各情報である。デジタルカメラ200の設定情報の通知は、例えば、デジタルカメラ200の設定状態が撮影者からの操作により変更された場合、PC100からのコマンドに基づいてデジタルカメラ200の設定が変更された場合等に、なされる。ステップS203では、システム制御部250は、PC100よりリモートライブビューの開始命令コマンドを受信したことに応じて、ライブビューを開始する。
【0056】
ステップS204では、システム制御部250は、ライブビュー画像の撮像を行う。撮像されたライブビュー画像は逐次更新されて、表示部228に表示される。ステップS205において、システム制御部250は、加速度センサ254で検出された、デジタルカメラ200のX軸、Y軸、Z軸の3軸の角度の情報を取得する。これによりデジタルカメラ200の水平傾き角度A、垂直傾き角度Cが取得される。ステップS206において、システム制御部250は、加速度センサ254から得られた角度情報から、デジタルカメラ200の位置状態が、正位置、右縦位置、左縦位置、逆さまの4状態のうちのいずれであるかを判定する。そして、システム制御部250は、判定された位置状態に応じた水準器表示を表示部228に表示されたライブビュー画像に重畳して表示させる。このときの表示例は、図4(a)により前述したとおりである。
【0057】
ステップS207において、システム制御部250は、デジタルカメラ200と接続されているPC100よりライブビュー画像の送信要求があるか否かを判定する。送信要求がある(YES)場合は、処理はステップS208に進み、送信要求が無い(NO)場合は、処理はステップS210へ進む。ステップS208において、システム制御部250は、ライブビュー画像をPC100へ送信する。そして、ステップS209において、システム制御部250は、デジタルカメラ200の角度情報(水平傾き角度A、垂直傾き角度Cと、正位置、右縦位置、左縦位置、逆さまのいずれであるかの位置情報を含む)をPC100へ送信する。
【0058】
ステップS210では、デジタルカメラ200側でライブビューの終了操作を受け付けたか否か、或いはPC100にてユーザがリモートライブビューの終了操作を行ったこと示す終了コマンドを受け付けたか否かを判断する。終了操作或いは終了コマンドを受け付けたと判断された場合(YES)は、処理はステップS211に進む。他方、終了操作、終了コマンドのいずれも受け付けていないと判断された場合(NO)は、処理はステップS204へ戻り、再度ライブビュー画像を撮像する。ステップS211において、システム制御部250は、表示部228でのライブビュー表示を終了する。そして、ステップS212において、システム制御部250はPC100との通信を切断する。
【0059】
以上のように、本実施形態でのPC100のディスプレイ105における水準器表示では、重力検知に基づいて可変表示する表示アイテム(重力基準線316、仰角俯角マーク320)を、デジタルカメラ200の水準器表示とは正負逆で表示する。このようにすることで、PC100側のディスプレイ105に表示された重力検知に基づいて可変表示する表示アイテムが、あたかもデジタルカメラ200の傾きと一致しているように見える。従ってPC100のディスプレイ105を見ているユーザは、重力検知に基づいて可変表示する表示アイテムをデジタルカメラ200の傾きだと思えば、デジタルカメラ200の姿勢の調整がしやすくなる。すなわち、外部モニタで撮像装置の傾きに関する表示をする場合にも、撮像装置を外部モニタの閲覧者が意図した姿勢に合わせやすくなる。
【0060】
なお、重力検知に基づいて可変表示する表示アイテムをデジタルカメラ200とは正負逆で表示すると、前述の通り、実世界を示すライブビュー表示とは不整合が起こる。従って、画像の内容によっては、水準器表示を行なわない方が良い場合がある。例えば、ライブビュー表示された被写体像に重力方向を認識しやすいような映像(例えば地平線や、建物の縁など)が含まれている場合にはかえって分かりにくい表示となりかねない。従って、CPU101が、デジタルカメラ200から取得されたライブビュー画像から画像特徴量を取得し、その画像特徴量に基づいて水準器表示を制御するようにしてもよい。たとえば、ライブビュー画像がそれだけで重力方向を認識しやすい画像であると判定された場合に、
・水準器表示を行わない、あるいは
・デジタルカメラ200の表示部228で表示される水準器の表示と同様の水準器表示を行う、あるいは
・ライブビュー画像と水準器が重畳されないようにライブビュー表示部311と異なる位置、すなわちライブビュー画像の表示領域外に正負逆での水準器表示を行う、ようにする。なお、画像特徴量から重力方向を認識しやすい画像であると判定する方法としては種々の方法が考えられる。例えばライブビュー画像からエッジを検出し、直線のエッジ部が多い場合(直線と判定されるエッジの量が所定閾値を超える場合)に重力方向を認識しやすい画像であると判定することが挙げられる。
【0061】
さらに、重力検知に基づいて可変表示される表示アイテムを、デジタルカメラ200とは正負逆でPC100にて表示する際には、常に、ライブビュー画像と水準器が重畳されないように表示するようにしてもよい。すなわち、常に、ライブビュー表示部311と異なる位置に正負逆での水準器表示を行うようにしてもよい。
【0062】
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態ではPC100の側で行っていた、表示アイテムを正負逆に表示するための処理を、デジタルカメラ200の側で行うものであり、デジタルカメラ200は、出力先に応じて異なる水準器表示を出力する。すなわち、デジタルカメラ200の背面モニタ(表示部228)への映像出力では従来どおりの水準器表示を行った映像を出力し、外部I/F255へは正負が逆になった水準器表示を行った映像を出力する。
【0063】
以下、外部インターフェース238を介して外部モニタ(例えばPC100)と接続したデジタルカメラ200における水準器表示の自動制御方法を説明する。水準器表示とライブビュー画像の表示は、デジタルカメラ200と接続される外部モニタに表示される。デジタルカメラ200は外部モニタの接続を検出すると、外部モニタ用の水準器表示(本実施形態では、表示アイテムの回転、移動方向について正負が反転された水準表示器)を作成し、これをライブビュー画像に重ねあわせ、外部モニタへ出力する。外部モニタであるPC100は、デジタルカメラ200から受信した水準器表示をライブビュー表示部311に表示する。
【0064】
図8は、第2実施形態の水準器表示制御フローチャートである。なお、図8に示されるフローチャートの動作は、不揮発性メモリ256に記録されたプログラムをシステムメモリ252に展開してシステム制御部250が実行することで実現される。なお、デジタルカメラ200は、外部I/F255を介して、PC100と接続されている。
【0065】
ステップS301でデジタルカメラ200の電源をONにする操作があると、デジタルカメラ200の各部は、電力が供給され、動作可能な状態となる。ステップS302において、システム制御部250は、撮影者の操作によるライブビューの開始命令をうけ、ライブビューを開始する。ステップS303において、システム制御部250は、ライブビュー画像を撮像する。ステップS304において、システム制御部250は、加速度センサ254により検出されたデジタルカメラ200のX軸、Y軸、Z軸の3軸の角度の情報を取得する。ステップS305において、システム制御部250は、加速度センサ254から得られた角度情報から、デジタルカメラ200の位置状態が、正位置、右縦位置、左縦位置、逆さまの4状態のうちのいずれであるかを判定する。そして、システム制御部250は、判定された位置状態に応じた水準器表示を表示部228に表示されたライブビュー画像に重畳して表示させる。このときの表示例は、図4(a)により前述したとおりである。
【0066】
ステップS306において、システム制御部250は、デジタルカメラ200の外部I/F255とPC100の外部I/F109が接続されているか否かを判定する。接続されていると判定された(YES)場合、処理はステップS307に進み、接続されていないと判定された(NO)場合、処理はステップS309へ進む。ステップS307において、システム制御部250は、加速度センサ254から得られた角度情報から、外部モニタで水準器表示するための角度計算を行い、得られた角度でもって水準器表示を生成する。より具体的には、図6のステップS106と同様の角度計算が実行され、その計算結果にしたがって表示アイテムを描画することで外部モニタ用の水準器表示が生成される。すなわち、加速度センサ254から得られた角度情報から、水平傾き角度Aと正負が逆の角度Bに基づいて重力基準線を描画し、垂直傾き角度Cと正負が逆の角度Dに基づいて仰角俯角マークを描画する。ステップS308において、システム制御部250は、ライブビュー画像とステップS307で生成された水準器表示とを重ねあわせた画像を生成し、これをPC100へ送信する。なお、ライブビュー画像と水準器表示の画像とを、別々の画像として送信するようにしてもよい。
【0067】
ステップS309において、システム制御部250は、デジタルカメラ200においてライブビューの終了操作を受け付けたか否か、PC100からリモートライブビューの終了操作の通知を受け付けたか否かを判断する。終了操作または終了通知を受け付けたと判定された(YES)場合、処理はステップS310に進む。また、終了操作、終了通知のいずれも受け付けていないと判定された場合(NO)、処理はステップS303へ戻り再度ライブビュー画像を撮像する。ステップS310において、システム制御部250は、デジタルカメラ200におけるライブビューを終了する。
【0068】
なお、図6のステップS107〜S109で説明したような判定により、ステップS307、S308における水準器表示のライブビュー画像への重畳を行なうか否かを決定するようにしてもよい。また、上述のCPU101やシステム制御部250のそれぞれの制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。また、上記各実施形態では、PC100において水準器表示とライブビュー画像を同時に、又は、重畳して表示する構成を説明したが、PC100においてライブビュー画像の表示を省略し、水準器表示のみを行なうようにしてもよい。
【0069】
以上のように、上記各実施形態によれば、撮像装置と接続したコンピュータのディスプレイ等の外部モニタに水準器表示を行う状況において、外部モニタ表示される水準器表示は撮像装置の背面ディスプレイに表示する水準器とは逆の方向に動くように表示される。そのため、撮影者がコンピュータのディスプレイや外部モニタを見ながら撮像装置を動かして意図した構図に合わせる際の操作をより直感的に行えるようになる。
【0070】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0071】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラ、およびデジタルカメラと接続されるパーソナルコンピュータに適用した場合を例にして説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、撮像装置の姿勢情報に基づいた表示が可能な表示制御装置であれば本発明は適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。
【0072】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示制御装置であって、
撮像装置を通信可能に接続する接続手段と、
前記接続手段により接続された撮像装置の傾き角度を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した傾き角度の正負を反転した傾き角度を示す表示アイテムを表示するように表示手段を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記取得手段は、更に前記接続された撮像装置からライブビュー画像を取得し、
前記表示制御手段は、前記ライブビュー画像に前記表示アイテムを重畳して表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記取得手段は、更に前記接続された撮像装置からライブビュー画像を取得し、
前記表示制御手段は、前記ライブビュー画像を表示するとともに、該ライブビュー画像の表示領域外に前記表示アイテムを表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記取得手段は、更に前記接続された撮像装置の動作の状態を取得し、
前記表示制御手段は、前記接続された撮像装置が所定の動作を実行している間は前記表示アイテムを消去する、または、前記表示アイテムの表示の透過率を増加させる、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記取得手段により取得されたライブビュー画像から画像特徴量を取得し、取得した画像特徴量に基づいて、前記表示アイテムの表示を実行するか否かを制御することを特徴とする請求項2または3に記載の表示制御装置。
【請求項6】
撮像装置であって、
外部機器に映像情報を出力可能な接続手段と、
当該撮像装置の傾き角度を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した傾き角度の正負を反転させた傾き角度を示す表示アイテムを含む映像を生成する生成手段と、
前記生成手段で生成された映像を前記接続手段に接続された外部機器へ出力する出力手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
ライブビュー表示を行うためのライブビュー画像を生成する手段を更に備え、
前記表示アイテムを含む映像は、前記表示アイテムを前記ライブビュー画像に重畳した映像であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
外部機器が前記接続手段に接続されていることを検出する検出手段を更に備え、
前記生成手段は、前記検出手段により外部機器が接続されていることが検出された場合に、前記表示アイテムを含む映像を生成する、ことを特徴とする請求項6または7に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像装置を通信可能に接続する接続手段を備えた表示制御装置の制御方法であって、
取得手段が、前記接続手段に接続された撮像装置の傾き角度を取得する工程と、
表示制御手段が、前記取得する工程で取得した傾き角度の正負を反転した傾き角度を示す表示アイテムを表示するように表示手段を制御する工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
外部機器に映像情報を出力可能な接続手段を備えた撮像装置の制御方法であって、
取得手段が、当該撮像装置の傾き角度を取得する工程と、
生成手段が、前記取得する工程で取得した傾き角度の正負を反転させた傾き角度を示す表示アイテムを含む映像を生成する工程と、
出力手段が、前記生成する工程で生成された映像を前記接続手段に接続された外部機器へ出力する工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、請求項9または10に記載された制御方法の各工程を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを格納したコンピュータによる読み取りが可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−30122(P2013−30122A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167440(P2011−167440)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】