説明

表示制御装置及び画像形成装置

【課題】表示装置の近傍に位置する操作者の動きに応じて、従来よりも更に視認性及び操作性を向上させた表示を可能にする。
【解決手段】表示制御装置10は、画像が表示される表示部473と、表示部473の表示制御を行う表示制御部613と、表示部473から予め定められた領域内における人物の位置情報を取得する位置情報取得部610と、位置情報取得部610により取得された位置情報に基づいて、上記人物の移動量を算出する移動量算出部612と、移動量算出部612によって算出された各移動量に対応する表示制御部613による表示制御内容を記憶する記憶部67と、表示制御部613は、移動量算出部612によって算出された移動量に対応する表示制御内容を記憶部67から読み出し、当該読み出した表示制御内容に基づいて表示部473を表示制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び画像形成装置に関し、特に、操作者に対して操作案内等の画像を表示する表示部の表示制御に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば画像形成装置等には、情報の表示又は当該装置の操作を行うためにLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示装置を有する表示操作パネルが設けられている。そして、操作者が当該表示装置の表示画面を視認し易くなるように、当該表示装置の近傍に立つ操作者の位置に応じて表示装置の表示を調整することが行われている。そして、下記特許文献1には、当該制御対象物の近傍に立つ操作者の位置をより精度よく検出する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2003−196655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術によれば、操作者にとっての当該表示装置の表示画面の視認性を向上させることができる。しかし、今日の画像形成装置、例えばコピー機能、プリンタ機能、ファクス機能及びスキャナ機能等を兼ね備えた複合機の場合、当該多機能化に伴い、多種多様な操作指示を1つの表示画面で受け付けなければならないため、更なる視認性の向上や、指示入力時の操作性の向上が望まれている。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、表示装置の近傍に位置する操作者の動きに応じて、従来よりも更に視認性及び操作性を向上させた表示を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の発明は、画像が表示される表示部と、
前記表示部の表示制御を行う表示制御部と、
前記表示部から予め定められた領域内における人物の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に基づいて、前記人物の移動量を算出する移動量算出部と、
前記移動量算出部によって算出された各移動量に対応する前記表示制御部による表示制御内容を記憶する表示制御内容記憶部とを備え、
前記表示制御部は、前記移動量算出部によって算出された移動量に対応する表示制御内容を前記表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示制御内容に基づいて前記表示部を表示制御する表示制御装置である。
【0006】
この発明によれば、移動量算出部が、位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて人物の移動量を算出し、表示制御部は、移動量算出部によって算出された移動量に対応する表示制御内容を表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示制御内容に基づいて表示部を表示制御する。すなわち、本発明は、当該装置の操作者である人物についてのある位置からある位置への移動量に応じて表示部の表示を制御し、例えば操作者による身体全体や、腕又は頭等の身体の一部等が動く量に応じて、表示部の表示制御を行うことで、操作者自身の身体の動きを、操作者からの指示を受け付ける入力手段の一部として扱うことが可能になり、当該表示制御装置の近傍に位置する操作者の動きに応じて、従来よりも更に視認性及び操作性を向上させた表示が可能になる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示制御装置であって、前記移動量算出部は、当該表示制御装置に対する操作者の前後方向の移動量と、当該操作者の水平方向又は垂直方向、及びこれらの組合せからなる方向への移動量とを算出し、
前記表示制御内容記憶部には、前記表示制御内容として、前記算出された前後方向の各移動量に対応付けられた表示拡大又は表示縮小情報と、前記算出された水平方向又は垂直方向、及びこれらの組合せからなる方向への各移動量に対応付けられた表示移動量情報とが記憶されており、
前記表示制御部は、前記算出された移動量に対応する前記表示拡大又は表示縮小情報と前記表示移動量情報とを前記表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した前記表示拡大又は表示縮小情報と前記表示移動量情報に従って、前記表示部に表示させている表示画像の表示を変更するものである。
【0008】
この発明によれば、表示制御部は、操作者の移動量に対応する表示拡大又は表示縮小情報と表示移動量情報とを表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示拡大又は表示縮小情報と表示移動量情報に従って、表示部に表示させている表示画像の表示を変更するので、当該装置の操作者である人物の前後左右上下への移動量に応じて表示部の表示を変更し、例えば操作者による身体全体や、腕又は頭等の身体の一部等が前後左右上下に動く量に応じて表示部の表示制御を行うので、操作者自身の身体の動きに逐一対応して表示部の表示を変更することが可能になり、当該操作者の動きに応じて、更に視認性及び操作性を向上させた表示が可能になる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の表示制御装置であって、前記表示制御内容記憶部には、前記算出された各方向におけるそれぞれの移動量に応じて、前記表示制御部が前記表示部の表示を変更させる速度である表示変更速度が記憶されており、
前記表示制御部は、前記移動量算出部によって算出された移動量に対応する表示変更速度を前記表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示変更速度で前記表示部の表示を変更するものである。
【0010】
この発明によれば、表示制御部は、移動量算出部によって算出された移動量に対応する表示変更速度を表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示変更速度で表示部の表示を変更する。すなわち、本発明は、当該装置の操作者の移動量に応じて表示部の表示変更速度を変化させるので、操作者は自身の身体を動かす量を変化させることで、表示変更速度を変化させることができ、更に視認性及び操作性を向上させた表示が可能になる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表示制御装置であって、前記表示部の表示画面の動きを停止させる停止指示の入力を操作者から受け付ける停止指示受付部を更に備え、
前記表示制御部は、前記表示内容変更制御中に前記停止指示受付部により前記停止指示の入力が受け付けられた場合は、前記操作者の移動量に基づく表示内容変更制御を中断して、当該停止指示が受け付けられた時点における表示画面を前記表示部に表示させておくものである。
【0012】
この発明によれば、表示制御部は、表示内容変更制御中に前記停止指示受付部により前記停止指示の入力が受け付けられると、この時点で表示部に表示されている表示画面を維持するので、これ以後は、操作者の移動量によって表示部の表示が変動することがない。このため、操作者は、自身の動く量に応じて表示部の表示内容を変化させるか、例えば操作ボタンの操作によって表示内容を変化させるか等を切り換えることが可能になり、操作利便性が向上する。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表示制御装置であって、操作者による前記表示部の表示画面への接触に応じて、当該接触された表示部分に対応する指示の入力を操作者から受け付ける操作指示受付部を更に備え、
前記操作指示受付部は、前記表示制御部による前記表示部の表示内容変更制御中にも、前記接触された表示部分に対応する指示の入力を操作者から受け付け、
前記表示制御部は、前記表示内容変更制御中に前記操作受付部により前記指示の入力が受け付けられた場合は、当該表示内容変更制御を中断して、当該受け付けられた指示に対応する表示制御に移行するものである。
【0014】
この発明によれば、表示制御部は、表示内容変更制御中に操作受付部により指示の入力が受け付けられた場合は、当該表示内容変更制御を中断して、当該受け付けられた指示に対応する表示制御に移行するので、表示内容変更制御中であるか否かに拘わらず、入力された指示に対応した表示を優先することで、操作者の操作利便性を高めることができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記移動量算出部によって算出された移動量が予め定められた値以下である場合には、当該移動量に対応する前記表示制御を行わないものである。
【0016】
この発明によれば、表示制御部は、移動量算出部によって算出された移動量が予め定められた値以下である場合には、当該移動量に対応した表示部の表示制御を行わないので、例えば操作者による表示変更を目的としない微々たる動作に対応しての表示制御を行わないことが可能になり、更に操作者の操作利便性を高めることができる。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の表示制御装置であって、前記表示制御内容記憶部には、前記位置情報取得部によって取得された人物の各位置に応じた表示内容の表示方向が記憶されており、
前記表示制御部は、前記位置情報取得部によって取得された位置情報に応じた表示内容の表示方向を前記表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示方向で前記表示内容を前記表示部に表示させるものである。
【0018】
この発明によれば、表示制御部が、位置情報取得部によって取得された上記人物の位置情報に応じた表示方向で表示内容を表示部に表示させるので、操作者の立ち位置に応じて当該操作者に最適な視認性を提供できる表示を行うことが可能になる。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の表示制御装置であって、前記位置情報取得部は、前記人物を撮像する撮像部を備え、当該撮像部によって撮像された画像から前記位置情報を算出して取得するものである。
【0020】
この発明によれば、位置情報取得部は、人物を撮像する撮像部によって撮像された画像に基づいて的確に位置情報を算出して取得することが可能になる。
【0021】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の表示制御装置であって、前記移動量算出部は、前記位置情報取得部によって複数の人物の位置情報が検出された場合には、当該移動量の算出を行わないものである。
【0022】
この発明によれば、移動量算出部は、位置情報取得部によって複数の人物の位置情報が検出された場合には当該移動量の算出を行わないので、操作者以外の人物の画像が撮像部に撮像された場合であっても、表示制御部による上記移動量に基づく誤動作の発生を防止することができる。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の表示制御装置であって、前記位置情報取得部は、前記撮像部によって撮像された画像について人物の両眼を示す画像を認識する機能を備え、
前記移動量算出部は、前記両眼の画像が示す一方の眼の画像と他方の眼の画像間の距離の変動から当該人物の移動量を算出するものである。
【0024】
この発明によれば、移動量算出部が、位置情報取得部の撮像部により撮像された画像が示す一方の眼の画像と他方の眼の画像間の距離の変動から当該人物の移動量を算出するので、当該人物の移動量を正確に算出することができる。
【0025】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の表示制御装置であって、前記位置情報取得部は、前記撮像部を複数備え、当該複数の撮像部によって撮像された各画像が示す一人の人物の位置情報を算出して取得するものである。
【0026】
この発明によれば、位置情報取得部は、複数の撮像部によって撮像された各画像が示す一人の人物の位置情報を算出して取得するので、異なる角度から撮像した同一人物の画像を得ること等が可能になり、単一の画像に基づいて位置情報を算出するよりも高い精度で当該人物の位置情報を算出することが可能になる。
【0027】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の表示制御装置と、
記録媒体に対して画像を形成する画像形成部と
を備えた画像形成装置である。
【0028】
この発明によれば、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の発明によって得られる作用を奏することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、操作者自身の身体の動きを、操作者からの指示を受け付ける入力手段の一部として扱うことが可能になり、操作者の動きに応じて、従来よりも更に視認性及び操作性を向上させた表示が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る表示制御装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る表示制御装置を備えた画像形成装置の一例である複合機の内部構成を概略的に示す側面図である。複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等の機能を兼ね備えたものである。この複合機1は、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部5と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部6とを有している。
【0031】
また、複合機1のフロント部には、操作部47が設けられている。この操作部47には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー4761と、印刷部数等を入力するためのテンキー475と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部473と、表示部473で設定された設定内容等をリセットするリセットキー4763と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止等させるためのストップ/クリアキー4762と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能選択ボタン4764が備えられている。
【0032】
複合機1のフロント部における操作部47の取付位置(又は操作部47の近傍)には、第1撮像部601及び第2撮像部602(撮像部)が設けられている。第1撮像部601及び第2撮像部は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等からなり、複合機1のフロント側に設けられている操作部47の前の予め定められた領域内に位置する人物(操作者)を撮像する。
【0033】
原稿読取部5は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部51と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52及び原稿読取スリット53とを備える。スキャナ部51は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台52に載置された原稿を読み取るときは、原稿台52に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを制御部600(図3)へ出力する。また、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿読取スリット53を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部600へ出力する。
【0034】
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿トレイ61と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿トレイ61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための給紙ローラ(図略)、搬送ローラ(図略)等からなる原稿搬送機構63を備える。原稿搬送機構63は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット53と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図略)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット53を介してスキャナ部51から読取可能にしている。
【0035】
また、原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台52上面を開放することにより、原稿台52の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
【0036】
本体部2は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部40とを備える。
【0037】
画像形成部40は、スキャナ部51で取得された画像データに基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム43を露光する光学ユニット42と、感光体ドラム43上にトナー像を形成する現像部44と、感光体ドラム43上のトナー像を記録紙に転写する転写部41と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる定着部45と、画像形成部40内の用紙搬送路中に設けられ、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等とを備える。
【0038】
また、記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ48に排出する。
【0039】
図2は操作部47の一例を示す図である。この操作部47は、表示部473、タッチパネル474、テンキー475、各種操作ボタン4761〜4763、機能選択ボタン4764等を備える。表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって構成され、紙サイズ選択、倍率選択、濃度選択等のユーザに対する操作案内画面が表示される。この表示部473は、タッチパネル474と一体的に形成されている。タッチパネル474は、ユーザによるタッチ操作がなされたときにそのタッチ位置を検知し、該タッチ位置を示す検知信号を後述する制御部600へ出力するものである。
【0040】
テンキー475は、例えば、複合機1のコピー機能を動作させる際はコピー枚数を、ファクシミリ機能を動作させる際は送信先の電話番号等を入力するためのものである。スタートキー4761はコピー動作やスキャナ動作等を開始させるボタンであり、ストップ/クリアキー4762はコピー動作やスキャナ動作等の停止、入力操作の取り消しを行うボタンである。リセットキー4763は表示部473の表示や各種設定を初期状態又は標準動作状態にするボタンである。機能選択ボタン4764は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を設定するためのボタンである。
【0041】
図3は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。複合機1は、原稿給送部6、原稿読取部5、操作部47、画像形成部40、通信部66、記憶部67、撮像部60及び制御部600を備えて構成される。表示制御装置10は、制御部600、操作部47、及び撮像部60及び記憶部67等を備える。
【0042】
原稿給送部6は、原稿のコピーやスキャンが行われる際に、原稿トレイ61に載置された原稿を自動的に取り込んで、原稿読取部5による原稿読取位置に搬送する。操作部47及び原稿読取部5は、図1に示す操作部47及び原稿読取部5に相当するものである。
【0043】
画像形成部40は、原稿読取部5によって得られた画像データや、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータや、ファクシミリ装置等から通信部66を介して転送されてきた画像データに基づいた画像を記録紙に形成する。通信部66は、図略のネットワークインターフェースを用い、上記ネットワーク接続されたコンピュータや、ファクシミリ装置等の外部装置との間で種々のデータの送受信を行う。
【0044】
記憶部(表示制御内容記憶部)67は、原稿読取部5の読取動作により得られた画像データや、後述する制御部600により処理された画像データ等を記憶する記憶部や、ファクシミリ通信を行う時の短縮釦登録の相手先名称やファクシミリ番号、或いは、ネットワークスキャナとして使用される際の送信相手先のIPアドレスなどを予め記憶する。さらに、記憶部67は、移動量算出部612によって算出される各移動量に対応する表示制御内容(後述する表示制御部613が表示部473の表示制御に用いる)を示す情報を記憶している。
【0045】
撮像部60は、第1撮像部601及び第2撮像部602を有する。第1撮像部601及び第2撮像部602は、上述したように、複合機1のフロント部に設けられており、複合機1の操作部47の前に位置する人物(操作者)を撮像して、当該人物の画像を制御部600に送出する。
【0046】
操作部47は、表示部473の他、操作指示受付部479を備えている。操作指示受付部479(後述する停止指示受付ボタン4732、機能リストタブ121等)は、操作者による表示部473の表示画面への接触に応じて、当該接触された表示部分に対応してタッチパネル474が出力する検知信号と、当該接触された表示部分に表示されている表示内容とに対応して予め定められている操作指示を特定して、制御部600に出力する。なお、制御部600が当該操作指示受付部479としての機能を担当し、上記検知信号と当該接触された表示部分に対応する表示内容に基づいて操作指示を特定して、当該操作指示の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0047】
制御部600は、複合機1全体の動作制御を司るものであり、CPU、RAM及びROM等によって構成される。前記原稿給送部6、原稿読取部5、操作部47、画像形成部40及び通信部66は、制御部600による制御の下で動作する。制御部600は、ユーザから操作部47に入力された各種の指示信号等に応じて、図略のROM又は記憶部67に記憶されている動作制御プログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って複合機1を統括的に制御する。
【0048】
制御部600は、位置情報算出部611と、移動量算出部612と、表示制御部613としての機能を有している。
【0049】
位置情報算出部611は、第1撮像部601及び第2撮像部602から得た上記人物の画像から当該人物の立ち位置を算出し、この算出した立ち位置を示す情報を複合機1の操作者の位置情報として、移動量算出部612に送出する。当該位置情報算出部611及び撮像部60は、後述するように位置情報取得部610を構成する。
【0050】
移動量算出部612は、位置情報算出部611により算出された上記位置情報に基づいて、上記人物の移動量を算出する。
【0051】
表示制御部613は、表示部473の表示制御を行う。表示制御部613は、移動量算出部612によって算出された移動量に対応する表示制御内容を記憶部67から読み出し、当該読み出した表示制御内容に基づいて表示部473を表示制御する。
【0052】
次に、位置情報取得部610の構成及び位置情報取得処理について説明する。図4及び図7は位置情報取得部610の構成を示す図である。図5は第1撮像部601及び第2撮像部602による人物(操作者)の撮像の様子を概念的に示す図である。図6(a)(b)及び図8(a)(b)は撮像部60により撮像された画像の例を示す図である。
【0053】
図4に示すように、位置情報取得部610は、第1撮像部601と、第2撮像部602と、位置情報算出部611とで構成される。位置情報算出部611は、両眼認識部6110を備えている。
【0054】
第1撮像部601及び第2撮像部602は、例えば図5に示すように、光学系の光軸が互いに平行で撮像方向が同一の方向に向けられており、一定間隔を空けて第1撮像部601が表示部473の一側方に設けられ、第2撮像部602が表示部473の他側方に設けられている。第1撮像部601及び第2撮像部602によって撮像された画像のデータは位置情報算出部611に送出され、位置情報算出部611の両眼認識部6110によって、当該画像データに基づいて、撮像された操作者の両眼画像が検出され、当該両眼画像から当該操作者の位置情報が算出される。
【0055】
両眼認識部6110は、撮像された操作者の両眼画像の検出方法として、例えば特開2003−196655号に示されるような標準的な既知の両眼検出処理を採用する。すなわち、両眼認識部6110は、第1撮像部601及び第2撮像部602から取得された画像中に、標準的な人の眼を示す画像からなる予め定められた眼画像と一致する画像又は近似する画像が含まれているか否かを判断する等の処理を行うことで、撮像された操作者の1つ目の眼画像を検出し(両眼のうちの1つ目)、当該検出した1つ目の眼画像から予め定められた一定領域内となる画像に、上記予め定められた眼画像と一致する画像又は近似する画像が含まれているか否かを判断する等の処理を行って2つ目の眼画像を検出する。
【0056】
位置情報算出部611は、第1撮像部601によって撮像された画像と、第2撮像部602によって撮像された画像とを比較し、第1撮像部601及び第2撮像部602から、当該撮像された操作者の眼までの距離Dを、第1撮像部601及び第2撮像部602の2つのカメラの視差Sに基づいて計算により求める。すなわち、第1撮像部601及び第2撮像部602により撮像された画像における当該操作者の眼と推定される画像の各画像上での位置の差、すなわち視差Sは、第1撮像部601及び第2撮像部602から、当該撮像された操作者の眼までの距離D(複合機1から操作者までの距離とみることが可能)が遠い時は、図6(a)に示すように、第1撮像部601の画撮画像における操作者の両眼の中心位置601pと、第2撮像部602の画撮画像における操作者の両眼の中心位置602pとの当該撮像画像上での視差Sが小さくなり、図6(b)に示すように、距離Dが近い時は当該視差Sが大きくなる。
【0057】
このため、位置情報算出部611は、当該視差Sに基づいて、上記距離Dを算出する。位置情報算出部611は、例えば、各視差Sに対応する各距離Dの値が格納されたデータテーブルを備えており、当該データテーブルから視差Sに対応する距離Dを読み出すことで、その時点における複合機1から操作者までの距離Dを算出する。なお、位置情報算出部611は、当該視差Sに基づいて、予め定められた計算式により距離Dを算出するようにしてもよい。
【0058】
また、位置情報算出部611は、当該撮像された操作者の水平方向及び垂直方向の位置情報については、第1撮像部601及び第2撮像部602により撮像された画像の両方又は一方における上記操作者の両眼の中心位置の座標から算出して特定する。
【0059】
なお、上記には、位置情報取得部610が撮像部として第1撮像部601及び第2撮像部602の2つを備え、これら第1撮像部601及び第2撮像部602によって撮像される画像に基づいて、位置情報算出部611が複合機1から操作者までの距離Dを算出する実施形態を示したが、図7に示すように、位置情報取得部610が撮像部として1つの撮像部603のみを備えるものとし、当該1つの撮像部603によって撮像される画像に基づいて、位置情報算出部611が複合機1から操作者までの距離Dを算出することも可能である。
【0060】
なお、位置情報算出部611は、当該撮像された操作者の水平方向及び垂直方向の位置情報については、撮像部60に撮像された画像における上記操作者の眼画像の座標位置から算出して特定する。
【0061】
この場合、位置情報算出部611の両眼認識部6110は、撮像部603によって撮像された画像に基づいて、上述した両眼画像の検出方法により、撮像された操作者の両眼画像を検出する。そして、位置情報算出部611は、当該両眼画像における1つ目の眼画像から2つ目の眼画像までの距離d2を算出する。
【0062】
すなわち、図8に示すように、撮像部603から当該撮像された操作者の眼までの距離が遠い(距離Dの値が大きい)ときは上記画像上での距離d2が小さくなり(図8(a))、撮像部603から当該撮像された操作者の眼までの距離が近い(距離Dの値が小さい)ときは上記画像上での距離d2が大きくなる(図8(b))。
【0063】
これに基づいて、例えば、データテーブルには、両眼画像における1つ目の眼画像から2つ目の眼画像までの各距離d2に対応する距離Dが格納されているようにして、位置情報算出部611は、当該データテーブルから距離d2に対応する距離Dを読み出すことで、その時点における複合機1から操作者までの距離Dを算出する。なお、位置情報算出部611は、両眼画像における1つ目の眼画像から2つ目の眼画像までの各距離d2に基づいて、予め定められた計算式によりその時点における複合機1から操作者までの距離Dを算出するようにしてもよい。なお、以下では、位置情報取得部610が第1撮像部601及び第2撮像部602を備える実施形態を用いて説明を行う。
【0064】
次に、複合機1による表示部473の表示制御の第1実施形態について説明する。図9は複合機1による表示部473の表示制御の第1実施形態を示す図である。図10乃至図12は表示部473の表示画面の例を示す図である。
【0065】
操作者による電源ボタンの操作で複合機1の電源がオンとされ、複合機1の起動が開始されると、表示制御部613は、表示部473に図10に示すような初期画面を表示させ、これと共に、制御部600が撮像部60の第1撮像部601及び第2撮像部602に、複合機1のフロント側に立つ操作者の撮像を開始させる(S1)。
【0066】
そして、位置情報算出部611は、当該第1撮像部601及び第2撮像部602によって撮像される画像に基づいて、上述した算出処理により当該操作者の位置情報(上記距離Dが示す複合機1に対する前後方向(+z方向、−z方向とする)における位置情報と、水平方向(+x方向、−x方向とする)及び垂直方向(+y方向、−y方向とする)における位置情報)を取得する(S2)。なお、複合機1及び操作者と当該xyz方向の関係は図5に示す。位置情報算出部611は、上記撮像される画像に基づいて常に当該操作者の位置情報を算出し、複合機1のフロント側に立つ当該操作者の位置情報を時間経過に伴ってリアルタイムに取得する。
【0067】
続いて、移動量算出部612は、位置情報算出部611によってリアルタイムに算出される位置情報に基づいて、当該位置情報が得られる度に、当該操作者の移動量を、上記前後方向、水平方向及び垂直方向の各方向について算出する(S3)。すなわち、移動量算出部612は、位置情報算出部611から得たある時点での操作者の位置情報と、当該時点よりも1つ前の時点で得た当該操作者の位置情報との当該各方向における差を求め、当該差を当該操作者のそれぞれの方向における移動量として算出する。すなわち、移動量算出部612は、当該1つ前の時点(直前に移動量を算出した時点)における操作者の位置を初期位置(ホームポジション)とし、移動後の操作者の位置(上記ある時点での操作者の位置)までの距離を当該移動量として算出する。
【0068】
但し、S2において、位置情報算出部611が上述の算出処理により複数の操作者の位置情報を取得した場合には(複数の操作者の眼画像を検出した場合には)、移動量算出部612は、当該操作者の移動量を算出しないことが好ましい。いずれの操作者が真の操作者であるか判別不可能であり、特定の操作者に対しての操作利便性の向上を図ることができなくなるためである。
【0069】
ここで、表示制御部613は、移動量算出部612によって算出された上記操作者の各方向移動量が、予め定められた値(例えば、1cm以下。適宜変更が可能)以下であるか否かを判断する(S4)。表示制御部613は、上記いずれかの方向における移動量が当該予め定められた値以下となる場合は(S4でYES)、当該方向における移動量を0として扱う(S8)。
【0070】
表示制御部613は、上記操作者の移動量が当該予め定められた値を超える場合は(S4でNO)、当該移動量に対応する表示制御内容を、内蔵する表示データテーブルから読み出す(S5)。なお、S5においては、表示制御部613は、S8で移動量が0とされた場合は、移動量0に対する表示制御内容を表示データテーブルから読み出す。
【0071】
すなわち、表示データテーブルには、上記各方向毎の各移動量に対応するそれぞれの表示制御内容として、前後方向の各移動量に対応付けて、表示画像を拡大させる表示拡大情報、又は表示画像を縮小させる表示縮小情報が格納され、また、前記算出された水平方向又は垂直方向、及びこれらの組合せからなる方向への各移動量に対応付けて、表示画像を移動させる量を示す表示移動量情報が記憶されている。例えば、操作者の-z方向への移動の場合、その移動量に応じた拡大率、操作者の+z方向への移動の場合、その移動量に応じた縮小率である。また、例えば、操作者の-x方向への移動の場合、その移動量に応じた-x方向への画像上での移動量、操作者の+x方向への移動の場合、その移動量に応じた+x方向への画像上での移動量である。また、例えば、操作者の-y方向への移動の場合、その移動量に応じた-y方向への画像上での移動量、操作者の+y方向への移動の場合、その移動量に応じた+y方向への画像上での移動量である。
【0072】
表示制御部613は、当該表示データテーブルから、S3で算出された各方向における移動量に対応する表示制御内容をそれぞれ読み出すことで、操作者の移動量に応じた表示部473の表示制御内容を決定する。
【0073】
また、上記表示データテーブルには、上記各方向における移動量に応じた表示変更速度の情報も記憶されており、表示制御部613は、上記前後方向における移動量に対応して格納されている表示変更速度情報も上記表示データテーブルから読み出す(S6)。
【0074】
そして、表示制御部613は、上記読み出した表示変更速度で、表示部473の表示画像を、上記表示拡大情報又は表示縮小情報に従って拡大又は縮小させると共に、上記表示移動量情報に従って移動させて表示する(S7)。この後、処理はS1に戻り、S1以降の表示制御が繰り返される。
【0075】
例えば、表示制御部613は、図10に示す初期画面を表示部473に表示させているとき、(1)上記操作者の前後方向における移動量が-z方向に2cmであって、これに対応する表示拡大情報が拡大10%であり(本実施形態では表示画像の中心を軸として拡大したものとする。以下同じ。)、(2)垂直方向における移動量が0cmであり、(3)水平方向における移動量が+x方向に2cmであって、これに対応する表示移動量情報が、+x方向に2cm移動であり、更に、当該機能リスト画面の表示画面データを表示データテーブルから読み出し、更に、(4)上記操作者の前後方向における移動量に対応させて格納されている表示変更速度が、表示遷移完了まで0.4secとされているとき、表示制御部613は当該0.4secの時間を使って、表示部473の上記初期画面の画像を、10%拡大させ、当該拡大後の画像を+x方向に2cm移動させた表示に変更する(図11参照)。このとき、表示制御部613は、初期画面をフェードイン・フェードアウト(クロスフェード・ディゾルブ・オーバーラップ)させて遷移させることが好ましい。
【0076】
なお、操作者が、更に、複合機1に近づき、移動量算出部612によって、更に(5)上記操作者の前後方向における移動量が-z方向に4cmであって、これに対応する表示拡大情報が拡大40%であり、(6)垂直方向における移動量が0cmであり、(7)水平方向における移動量が+x方向に2cmであって、これに対応する表示移動量情報が、+x方向に2cm移動であり、更に、当該機能リスト画面の表示画面データを表示データテーブルから読み出し、更に、(8)上記操作者の前後方向における移動量に対応させて格納されている表示変更速度が、表示遷移完了まで0.3secとされているとき、表示制御部613は当該0.3secの時間を使って、表示部473の上記図11に示した初期画面の画像を、更に40%拡大させ、当該拡大後の画像を+x方向に更に2cm移動させた表示に変更することになる(図12参照)。
【0077】
表示制御部613の当該表示制御により、操作者は、自身が移動した量及び移動速度に応じて、表示部473の表示画面を所望の操作ボタンが操作しやすい位置や大きさとなるように切り換えること等が可能になる。例えば、操作者は、図10に示す自動用紙ボタン4731を押下したい場合に、上記(1)〜(8)の表示制御が行われるように撮像部60の前で移動する動作を行えば、図12に示すように、自動用紙ボタン4731が表示部473の表示画面において拡大された押下しやすい位置に表示されるように切り換えることが可能である。このため、操作者は、自身の身体の動きを入力装置として扱う感覚を得ることができ、操作者にとっての操作利便性が向上する。
【0078】
次に、複合機1による表示部473の表示制御の第2実施形態について説明する。図13は複合機1による表示部473の表示制御の第2実施形態を示す図である。図14は表示部473の表示画面の例を示す図である。なお、図9に示した第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0079】
上述した第1実施形態では、表示制御部613が表示部473における操作者の移動量に応じた表示変更処理を終えた後は、処理はS1に戻って、S1以降の表示制御が繰り返されるが、第2実施形態では、表示制御部613は、操作者からの停止指示に従って、当該表示制御を一時停止させて操作者の移動量に基づく表示変更を中断し、当該操作者からの停止指示を受け付けた時点で表示部473に表示されている表示画面をそのまま表示させておく。
【0080】
すなわち、表示制御部613は、上記操作者の移動量に対応する表示変更速度で、表示部473の表示画像を、上記表示拡大情報又は表示縮小情報に従って拡大又は縮小させ、上記表示移動量情報に従って移動させて表示するとき、図14に示すように、操作者から表示部473の表示画面の動きを停止させる停止指示の入力を受け付ける停止指示受付ボタン4732を表示させる(S17)。
【0081】
ここで、操作者によって、当該停止指示受付ボタン4732が押下され、操作者から表示部473の表示画面の動きを停止させる停止指示の入力が受け付けられた場合(S18でYES)、位置情報取得部610、移動量算出部612及び表示制御部613は、当該操作者の移動量に基づく表示制御を一時中断し、表示制御部613は、この時点における表示部473の表示画面の表示をそのまま維持するようにする(S20)。すなわち、位置情報取得部610、移動量算出部612及び表示制御部613は、複合機1(撮像部60)の前で操作者が移動する動作を行ったとしても、当該動作に従った表示部473の表示内容の変更は行わない。
【0082】
なお、上記には、停止指示受付ボタン4732として、表示部473の表示画面に表示されてタッチパネル機能により操作者からの停止指示を受け付ける例を示したが、複合機1のフロントパネル部等にハードキーとして停止指示受付ボタン4732が設けられる構成であってもよい。
【0083】
また、更に、タッチパネル機能によるボタン又はハードキーにより、操作者から上記一時中断された表示制御を再開させる指示を受け付ける再開指示入力キーを設け、表示制御部613は、当該再開指示入力キーに作者から上記一時中断された表示制御を再開させる指示が受け付けられた場合には、再び上記操作者の移動量に基づく表示制御を再開させるようにしてもよい。
【0084】
この第2実施形態によれば、操作者は、自身の動く量に応じて表示部473の表示内容を変化させるか、自身の動く量に応じた表示部473の表示内容の変更制御を中断させて、例えば操作ボタンの手動操作によって表示部473の表示内容を変化させるか等を切り換えることが可能になり、操作利便性が向上する。
【0085】
次に、複合機1による表示部473の表示制御の第3実施形態について説明する。図15は複合機1による表示部473の表示制御の第3実施形態を示す図である。図16は表示部473の表示画面の例を示す図である。なお、図9及び図13に示した第1及び第2実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0086】
当該第3実施形態では、上述した第1実施形態に加えて、更に、図15に示すように、表示制御部613が、操作者の移動量に応じた表示画像への表示部473の表示変更制御の最中であって、まだ表示画面の遷移が終了していない場合であっても(S27)、操作者から操作指示の入力を受け付けた場合には(S28でYES)、その時点で当該表示変更制御を中止し、当該受け付けた指示に対応する更なる次の表示画面に表示を変更する(S31)。なお、当該操作者からの操作指示の入力受付は、表示部473の表示画面に表示されるタッチパネル機能による指示受付であっても、複合機1のフロントパネル部等に設けられたハードキーによる指示受付であってもよい。
【0087】
例えば、表示制御部613が、操作者の移動量に従って、図10に示した初期画面から、図11に示す拡大画像への変更制御を行っている最中に、操作者によって機能リストタブ121が押下され、操作者から機能リスト画面への表示切換指示が受け付けられた場合は、表示制御部613は、図11に示す拡大画像への変更制御を中断して、表示部473に図16に示す機能リスト画面を表示させる。
【0088】
この表示制御によれば、表示内容変更制御中であるか否かに拘わらず、入力された指示に対応した表示を優先することで、操作者の操作利便性を高めることができる。
【0089】
次に、複合機1による表示部473の表示制御の第4実施形態について説明する。図17は複合機1による表示部473の表示制御の第4実施形態を示す図である。図18は表示部473の表示画面の例を示すための複合機1及び操作者の図である。なお、図9、図13及び図15に示した第1乃至第3実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0090】
当該第4実施形態では、上記表示データテーブルには、更に、上記取得された各位置情報に対応する表示部473の表示画面の表示方向を示す情報が記憶されている。そして、表示制御部613は、表示制御部613は、上記操作者の移動量に対応する表示制御内容及び表示変更速度と共に、上記操作者の位置情報に対応する表示部473の表示画面の表示方向を示す表示方向情報を表示データテーブルから読み出す(S57)。表示制御部613は、表示部473の表示画面を、当該読み出した表示方向情報が示す表示方向に向けて表示させる(S58)。
【0091】
これにより、例えば、図18に示すように、複合機1(表示部473)に対する操作者の立ち位置に応じて、当該立ち位置における操作者にとって視認性の良い角度で表示部473の表示画面を表示させることが可能になる。
【0092】
なお、図17には、S59及びS61として、表示制御部613が、操作者から操作指示の入力が受け付けられた場合にその時点で当該表示変更制御を中止し、当該受け付けた指示に対応する更なる次の表示画面に表示を変更する処理を行う例を示したが、これに代えて、操作者から上記停止指示の入力が受け付けられた場合に、位置情報取得部610、移動量算出部612及び表示制御部613が、当該操作者の移動量に基づく表示制御を一時中断し、表示制御部613が当該時点における表示部473の表示画面の表示をそのまま維持する処理を行うようにしてもよい。
【0093】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、表示制御部613が操作者の移動量に基づいて記憶部67から読み出す表示部473の表示制御内容を、表示の拡大/縮小及び移動として説明しているが、当該表示制御内容は表示の拡大/縮小及び移動に限定されない。
【0094】
また、上記第1乃至第4実施形態に加えて、以下に示す表示制御を更に行うようにしてもよい。
【0095】
上記第1乃至第4実施形態では、図10乃至図12に示したように、操作者の移動量に応じて、表示部473の表示内容を拡大、縮小、又は移動させる表示制御が行われるが、例えば、表示制御部613は、操作者の前後方向における上記距離Dの変化に対応した単なる上記表示拡大制御ではなく、当該表示拡大制御に代えて又は加えて、当該距離Dが予め定められた比較的大きい値のときは、設定可能な操作項目を操作者が直感的に理解できる程度の画像のみを表示しておき、当該距離Dの値が小さくなるに従って、当該画像に加えて、文字による新たな操作案内表示や新たな操作ボタンの表示等を行うようにしてもよい。要するに、単なる表示拡大制御ではなく、当該距離Dの変化に応じて、表示制御部613が、表示項目を増減させるようにしてもよい。この場合、操作者は、距離Dが変化することで、表示項目が増減する前触れを理解できた方が操作性に優れるので、例えば、表示制御部613は、上記距離Dの値が小さくなることに対応して新たな表示項目を表示させる制御を行う際、上記距離Dが予め定められた比較的大きい値のときには、当該新たな表示項目が表示される前触れとして、操作者が読めない程度の大きさの文字を敢えて表示しておき、上記距離Dの値が小さくなるに連れて当該文字を拡大する表示制御を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示制御装置を備えた画像形成装置の一例である複合機の内部構成を概略的に示す側面図である。
【図2】操作部の一例を示す図である。
【図3】複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】位置情報取得部の構成を示す図である。
【図5】第1撮像部及び第2撮像部による人物(操作者)の撮像の様子を概念的に示す図である。
【図6】(a)(b)は撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図7】位置情報取得部の構成を示す図である。
【図8】(a)(b)は撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図9】複合機による表示部の表示制御の第1実施形態を示す図である。
【図10】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図11】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図12】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図13】複合機による表示部の表示制御の第2実施形態を示す図である。
【図14】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図15】複合機による表示部の表示制御の第3実施形態を示す図である。
【図16】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図17】複合機による表示部の表示制御の第4実施形態を示す図である。
【図18】表示部の表示画面の例を示すための複合機及び操作者の図である。
【符号の説明】
【0097】
1 複合機
10 表示制御装置
40 画像形成部
47 操作部
473 表示部
4732 停止指示受付ボタン
474 タッチパネル
479 操作指示受付部
60 撮像部
601 第1撮像部
602 第2撮像部
603 撮像部
67 記憶部
121 機能リストタブ
600 制御部
610 位置情報取得部
611 位置情報算出部
6110 両眼認識部
612 移動量算出部
613 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が表示される表示部と、
前記表示部の表示制御を行う表示制御部と、
前記表示部から予め定められた領域内における人物の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に基づいて、前記人物の移動量を算出する移動量算出部と、
前記移動量算出部によって算出された各移動量に対応する前記表示制御部による表示制御内容を記憶する表示制御内容記憶部とを備え、
前記表示制御部は、前記移動量算出部によって算出された移動量に対応する表示制御内容を前記表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示制御内容に基づいて前記表示部を表示制御する表示制御装置。
【請求項2】
前記移動量算出部は、当該表示制御装置に対する操作者の前後方向の移動量と、当該操作者の水平方向又は垂直方向、及びこれらの組合せからなる方向への移動量とを算出し、
前記表示制御内容記憶部には、前記表示制御内容として、前記算出された前後方向の各移動量に対応付けられた表示拡大又は表示縮小情報と、前記算出された水平方向又は垂直方向、及びこれらの組合せからなる方向への各移動量に対応付けられた表示移動量情報とが記憶されており、
前記表示制御部は、前記算出された移動量に対応する前記表示拡大又は表示縮小情報と前記表示移動量情報とを前記表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した前記表示拡大又は表示縮小情報と前記表示移動量情報に従って、前記表示部に表示させている表示画像の表示を変更する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御内容記憶部には、前記算出された各方向におけるそれぞれの移動量に応じて、前記表示制御部が前記表示部の表示を変更させる速度である表示変更速度が記憶されており、
前記表示制御部は、前記移動量算出部によって算出された移動量に対応する表示変更速度を前記表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示変更速度で前記表示部の表示を変更する請求項1又は請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示部の表示画面の動きを停止させる停止指示の入力を操作者から受け付ける停止指示受付部を更に備え、
前記表示制御部は、前記表示内容変更制御中に前記停止指示受付部により前記停止指示の入力が受け付けられた場合は、前記操作者の移動量に基づく表示内容変更制御を中断して、当該停止指示が受け付けられた時点における表示画面を前記表示部に表示させておく請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項5】
操作者による前記表示部の表示画面への接触に応じて、当該接触された表示部分に対応する指示の入力を操作者から受け付ける操作指示受付部を更に備え、
前記操作指示受付部は、前記表示制御部による前記表示部の表示内容変更制御中にも、前記接触された表示部分に対応する指示の入力を操作者から受け付け、
前記表示制御部は、前記表示内容変更制御中に前記操作受付部により前記指示の入力が受け付けられた場合は、当該表示内容変更制御を中断して、当該受け付けられた指示に対応する表示制御に移行する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記移動量算出部によって算出された移動量が予め定められた値以下である場合には、当該移動量に対応する前記表示制御を行わない請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記表示制御内容記憶部には、前記位置情報取得部によって取得された人物の各位置に応じた表示内容の表示方向が記憶されており、
前記表示制御部は、前記位置情報取得部によって取得された位置情報に応じた表示内容の表示方向を前記表示制御内容記憶部から読み出し、当該読み出した表示方向で前記表示内容を前記表示部に表示させる請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記位置情報取得部は、前記人物を撮像する撮像部を備え、当該撮像部によって撮像された画像から前記位置情報を算出して取得する請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記移動量算出部は、前記位置情報取得部によって複数の人物の位置情報が検出された場合には、当該移動量の算出を行わない請求項8に記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記位置情報取得部は、前記撮像部によって撮像された画像について人物の両眼を示す画像を認識する機能を備え、
前記移動量算出部は、前記両眼の画像が示す一方の眼の画像と他方の眼の画像間の距離の変動から当該人物の移動量を算出する請求項8又は請求項9に記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記位置情報取得部は、前記撮像部を複数備え、当該複数の撮像部によって撮像された各画像が示す一人の人物の位置情報を算出して取得する請求項10に記載の表示制御装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の表示制御装置と、
記録媒体に対して画像を形成する画像形成部と
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−54559(P2010−54559A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216302(P2008−216302)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】