説明

表示制御装置及び表示制御方法

【課題】画像データを違和感なく表示し、かつ、画像データに含まれる文字が途切れることなく表示することができる表示制御装置を提供する。
【解決手段】画像分析部12は、マルチディスプレイに表示させる全体画像に文字データが含まれるか否かを判定する。制御部16は、全体画像に文字データが含まれる場合には、全体画像から単位ディスプレイD1−1〜D3−3の画面枠に相当する部分を除くことなく、通常表示モードで表示させるよう制御する。制御部16は、全体画像に文字データが含まれない場合には、全体画像から画面枠に相当する部分を除き、単位ディスプレイD1−1〜D3−3の表示領域に表示すべき領域の画像部分を抽出して表示するシームレス表示モードで表示させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位ディスプレイを例えばマトリクス状に配置したマルチディスプレイに画像を表示させる表示制御装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ショッピングセンターや屋外等に設置される大型の表示装置は、一つのディスプレイ(以下、マルチディスプレイと区別するために「単位ディスプレイ」という)で全体画像を表示することが困難であるので、複数の単位ディスプレイ(例えば、3×3の9個の単位ディスプレイ)をマトリクス状に配置してマルチディスプレイとし、表示対象とされる画像を各単位ディスプレイに分割して表示し、全体として大型の画像を表示するようにしている(特許文献1参照)。例えば、図5(a)に示す画像F1を、9個の単位ディスプレイD1−1〜D3−3からなるマルチディスプレイに表示する場合には、図5(b)に示すように画像全体を9等分して、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3にそれぞれ分割した領域の画像を表示する。
【0003】
しかし、実際には複数の単位ディスプレイを並べて配置する場合には、図6に示すように、各単位ディスプレイの周囲に画面枠51が存在するので、全体画像を9等分した領域の画像をそれぞれに対応する単位ディスプレイに表示すると、各単位ディスプレイどうしの境界において画像が連続しない部分が発生する。例えば、図6に示すように、斜め方向に長く伸びる画像において符号p1に示す点は、符号p2に示す点に連続的に繋がるべき画像であるが、画面枠51が存在することにより、連続性がなく段差のある画像となって表示されてしまう。
【0004】
そこで、この問題を解決するために、単位ディスプレイの周囲に存在する画面枠51の幅を考慮して、各単位ディスプレイに表示する画像領域を計算し、違和感のない画像を表示する方式(シームレス方式)が提案されている。シームレス方式では、図7に示すように、画面枠51の幅を考慮して各ディスプレイD1−1〜D3−3に画像を表示するので、例えば、符号p1に示す点とp2に示す点は連続性のある画像として表示され、違和感のない画像を表示することが可能となる。
【0005】
ところが、図7に示す表示方式では、画面枠51に対応する領域は画像が表示されないことになる。従って、表示する画像中に、図7の符号p3に示すように「詳細は、0120−123−4567まで」という文字が存在する場合には、この文字が画面枠51の部分で途切れてしまい、文字全体を読み取ることができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−92431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、複数の単位ディスプレイを例えばマトリクス状に配置してマルチディスプレイとし、このマルチディスプレイに大画像を表示する場合には、各単位ディスプレイの周囲に画面枠51が存在することにより、図6に示したように、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3に分割した場合には、斜めに繋がる画像に連続性がなくなるという問題があった。また、図7に示すようにシームレス方式を用いた場合には、画像中に存在するURLや電話番号等の文字が途切れてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、画像データを違和感なく表示し、かつ、画像データに含まれる文字が途切れることなく表示することができる表示制御装置及び表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、複数の単位ディスプレイ(D1−1〜D3−3)を水平方向と垂直方向との少なくとも一方に並べて配置したマルチディスプレイに画像データを表示させる表示制御装置(100)であり、前記画像データによって前記マルチディスプレイに表示させる全体画像に文字データが含まれるか否かを判定する文字データ判定部(12)と、前記全体画像を前記マルチディスプレイに表示させる際に、前記全体画像から水平方向または垂直方向に隣り合う前記単位ディスプレイの画面枠に相当する部分を除くことなく、前記全体画像を前記マルチディスプレイに含まれる前記単位ディスプレイの数で分割して、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示させる通常表示モードと、前記全体画像から前記画面枠に相当する部分を除き、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示すべき領域の画像部分を抽出して、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示させるシームレス表示モードとのいずれかで前記全体画像を各単位ディスプレイに表示させるよう制御する表示制御部(16)と、前記文字データ判定部によって前記全体画像に文字データが含まれると判定された場合には、前記表示制御部による制御に基づいて、前記全体画像から前記通常表示モードに対応した領域の画像データを抽出して、前記単位ディスプレイそれぞれに出力し、前記文字データ判定部によって前記全体画像に文字データが含まれないと判定された場合には、前記表示制御部による制御に基づいて、前記全体画像から前記シームレス表示モードに対応した領域の画像データを抽出して、前記単位ディスプレイそれぞれに出力するスケーリング部(13)とを備えることを特徴とする表示制御装置を提供する。
【0010】
上記の表示制御装置において、前記文字データ判定部は、前記全体画像に文字データが含まれると判定した際に、文字データが含まれる存在領域を判定する文字領域判定部をさらに有し、前記表示制御部は、前記文字領域判定部にて判定された存在領域が前記画面枠と重複する場合にのみ前記通常表示モードで前記全体画像を表示させるよう制御し、それ以外の場合は前記シームレス表示モードで前記全体画像を表示させるよう制御することが好ましい。
【0011】
上記の表示制御装置において、前記表示制御装置は、前記複数の単位ディスプレイそれぞれと1対1で個別に接続されていてもよい。
【0012】
また、本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、複数の単位ディスプレイ(D1−1〜D3−3)を水平方向と垂直方向との少なくとも一方に並べて配置したマルチディスプレイに画像データを表示させる表示制御方法であり、前記画像データによって前記マルチディスプレイに表示させる全体画像に文字データが含まれるか否かを判定し、前記全体画像に文字データが含まれると判定された場合には、前記全体画像から水平方向または垂直方向に隣り合う前記単位ディスプレイの画面枠に相当する部分を除くことなく、前記全体画像を前記マルチディスプレイに含まれる前記単位ディスプレイの数で分割して、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示させる通常表示モードで前記単位ディスプレイそれぞれに表示し、前記全体画像に文字データが含まれないと判定された場合には、前記全体画像から前記画面枠に相当する部分を除き、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示すべき領域の画像部分を抽出して、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示させるシームレス表示モードで前記単位ディスプレイそれぞれに表示することを特徴とする表示制御方法を提供する。
【0013】
上記の表示制御方法において、前記全体画像に文字データが含まれると判定した際に、文字データが含まれる存在領域を判定し、前記存在領域が前記画面枠と重複する場合には、前記通常表示モードで前記全体画像を表示し、前記存在領域が前記画面枠と重複しない場合には、前記シームレス表示モードで前記全体画像を表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の表示制御装置及び表示制御方法によれば、文字データが存在する場合には、文字データが途切れることなく表示されるので、視認する人は確実に文字データを認識することができる。また、文字データが存在しない場合には、画像に段差が生じることなく連続的に表示されるので、違和感のない表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の表示制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】一実施形態における画像表示の手順を示すフローチャートである。
【図3】一実施形態における通常表示モードによる画像分割を示す説明図である。
【図4】一実施形態におけるシームレス表示モードによる画像分割を示す説明図である。
【図5】表示対象となる全体画像を9個の単位ディスプレイに分割して表示する様子を示す説明図である。
【図6】一実施形態によって全体画像を通常表示モードで表示したときの全体画像を示す説明図である。
【図7】一実施形態によって全体画像をシームレス表示モードで表示したときの全体画像を示す説明図である。
【図8】一実施形態の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。図示のように、この表示制御装置100は、画像データ入力部11と、画像分析部12と、マルチディスプレイ設定部15と、制御部16と、スケーリング部13とを備えている。そして、3行、3列の、合計9個のディスプレイD1−1〜D3−3にそれぞれ全体画像を分割した画像を表示することにより、全体画像があたかも一つのディスプレイに表示されているように表示する。即ち、9個のディスプレイD1−1〜D3−3によりマルチディスプレイが構成され、このマルチディスプレイに表示対象となる全体の画像が表示される。
【0017】
なお、図1に示す表示制御装置100は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、専用LSI等を有する一般的なコンピュータ装置等を用いて構成することができる。
【0018】
画像データ入力部11は、外部機器より送信される画像データ、即ち、表示対象となる画像データを受信し、受信した画像データを画像分析部12に出力する。画像分析部12は、受信した画像データを分析することにより、この画像データ中に文字データが含まれているか否かを判定する。また、文字データが含まれていると判定された場合には、この文字データの存在領域を求める処理を行う。即ち、画像分析部12は、マルチディスプレイに表示する全体画像に文字データが含まれているか否かを判定する文字データ判定部としての機能を備え、さらに、画像データ中に存在する文字の領域を判定する文字領域判定部としての機能を備えている。
【0019】
マルチディスプレイ設定部15は、ユーザによる入力操作を受け付ける機能を備えている。即ち、マルチディスプレイ設定部15は、操作子(図示省略)に接続されており、ユーザが操作子を操作することにより、OSD(On Screen Display)メニュー画面等により、各種のデータを任意に設定、変更することが可能とされている。そして、ユーザ入力により、マルチディスプレイを構成する各単位ディスプレイの配列(本実施形態では3行、3列の合計9個)、及び各単位ディスプレイを配置する位置が設定される。また、固定値として、各単位ディスプレイの表示領域の幅、及び画面枠の幅が設定されている。
【0020】
制御部16は、表示制御装置100全体を総括的に制御する。具体的には、画像分析部12にて、表示対象となる画像データ中に文字データが存在すると判定された場合に、この文字データが存在する領域を取得し、この文字データの存在領域がマルチディスプレイ設定部15で設定された画面枠と重複するか否かを判定する処理を実行する。
【0021】
制御部16は、文字データの存在領域と、画面枠とが重複する場合には通常表示モードを選択し、重複しない場合にはシームレス表示モードを選択する処理を行う。即ち、制御部16は、全体画像を単位ディスプレイの縦方向、横方向の個数に分割し、分割した画像をそれぞれ対応する単位ディスプレイの表示領域52に表示する通常表示モード、または、全体画像を単位ディスプレイの縦方向、横方向の個数に分割し、分割した画像の周囲から各単位ディスプレイの境界領域(画面枠51)の画像を除去した画像を作成し、この除去した画像をそれぞれ対応する単位ディスプレイの表示領域52に表示するシームレス表示モード、のいずれかにより、全体画像を各単位ディスプレイに表示する制御を行う表示制御部としての機能を備えている。
【0022】
そして、通常表示モードが選択された場合には、図6に示したように、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3の表示領域52に、全体画像を9分割した画像をそれぞれ表示し、シームレス表示モードが選択された場合には、図7に示したように、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3の表示領域52に、全体画像を9分割し、さらに画面枠51に対応する領域を除いた画像を表示する。画像設定の詳細については、後述する。
【0023】
スケーリング部13は、制御部16からの指示に基づき、画像分析部12より出力される全体の画像データから、所望する領域の画像データを抽出し、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3に出力する処理を行う。
【0024】
次に、通常表示モード、及びシームレス表示モードによる、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3に表示する画像データの設定方法について説明する。
【0025】
[通常表示モードの説明]
通常表示モードでは、全体の画像データを単位ディスプレイの個数で分割し、分割した画像データを各単位ディスプレイD1−1〜D3−3の表示領域52にそれぞれ表示する。この際、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3に表示する画像は、以下のように設定される。
【0026】
マルチディスプレイが、横方向に3個(一般的にはMx個)、縦方向に3個(一般的にはMy個)の単位ディスプレイで構成される場合には、左上から横方向にX番目、縦方向にY番目の単位ディスプレイに表示すべき画像データの領域は、下記の(1)〜(4)式により計算される。
【0027】
V_x1=[{Dx×(X-1)}/(Dx×Mx)]×Vx) …(1)
V_y1=[{Dy×(Y-1)}/(Dy×My)]×Vy) …(2)
V_x2={(Dx×X)/(Dx×Mx)}×Vx …(3)
V_y2={(Dy×Y)/(Dy×My)}×Vy …(4)
なお、(1)〜(4)式に用いる各記号は下記の通りである。
【0028】
V_x1:表示すべき画像データの左上の横方向の位置
V_y1:表示すべき画像データの左上の縦方向の位置
V_y1:表示すべき画像データの右下の横方向の位置
V_y2:表示すべき画像データの右下の縦方向の位置
Dx:単位ディスプレイの表示領域の横方向の幅
Dy:単位ディスプレイの表示領域の縦方向の幅
Vx:全体の画像データの横方向の幅
Vy:全体の画像データの縦方向の幅
【0029】
上記の(1)〜(4)式に基づいて、3行、3列の合計9個の単位ディスプレイに表示する画像データの範囲を求めると、図3(a)のように座標が決定され、全体画像を9等分した画像データa〜iを求めることができる。図3(b)に示すように、各画像データa〜iを各単位ディスプレイD1−1〜D3−3の表示領域52に表示することにより、通常表示モードでの画像表示を行うことができる。
【0030】
[シームレス表示モードの説明]
シームレス表示モードでは、全体の画像データを単位ディスプレイの個数で分割し、分割した画像データから画面枠に重複する領域を除いた画像を、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3の表示領域52にそれぞれ表示する。この際、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3に表示する画像は、以下のように設定される。
【0031】
マルチディスプレイが、横方向に3個(一般的にはMx個)、縦方向に3個(一般的にはMy個)の単位ディスプレイで構成される場合には、左上から横方向にX番目、縦方向にY番目の単位ディスプレイに表示すべき画像データの領域は、下記の(5)〜(8)式により計算される。
【0032】
V_x1=[Bx+{(Dx+2Bx)×(X-1)}]/{(Dx+2Bx)×Mx}×Vx …(5)
V_y1=[By+{(Dy+2By)×(Y-1)}]/{(Dy+2By)×My}×Vy …(6)
V_x2=[Bx+{(Dx+2Bx)×(X-1)}+Dx]/{(Dx+2Bx)×Mx}×Vx …(7)
V_y2=[By+{(Dy+2By)×(Y-1)}+Dy]/{(Dy+2By)×My}×Vy …(8)
なお、(5)〜(8)式に用いる各記号は下記の通りである。
【0033】
V_x1:表示すべき画像データの左上の横方向の位置
V_y1:表示すべき画像データの左上の縦方向の位置
V_x2:表示すべき画像データの右下の横方向の位置
V_y2:表示すべき画像データの右下の縦方向の位置
Dx:単位ディスプレイの表示領域の横方向の幅
Dy:単位ディスプレイの表示領域の縦方向の幅
Bx:単位ディスプレイの画面枠の横方向の幅
By:単位ディスプレイの画面枠の縦方向の幅
【0034】
上記の(5)〜(8)式に基づいて、3行、3列の合計9個の単位ディスプレイに表示する画像データの範囲を求めると、図4(a)のように座標が決定され、全体画像を9等分した画像データj〜rを求めることができる。図4(b)に示すように、各画像データj〜rを各単位ディスプレイD1−1〜D3−3の表示領域52に表示することにより、シームレス表示モードでの画像表示を行うことができる。
【0035】
次に、上述のように構成された本実施形態に係る画像表示装置の処理手順を、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0036】
初めに、ステップS11において、制御部16は画像分析部12による画像の分析処理により、表示対象となる画像データに文字データが存在していると判定されたか否かを認識する。
【0037】
そして、文字データが存在しない場合には(ステップS11でNO)、ステップS14において、制御部16は、シームレス表示モードを選択して画像データを各単位ディスプレイD1−1〜D3−3に表示する制御を行う。この処理では、図4に示したように、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3の画面枠51に重複する画像を表示しないことにより、全体的に画像が途切れることなく画像を表示することができる。
【0038】
他方、文字データが存在する場合には(ステップS11でYES)、ステップS12において、制御部16は、画像分析部12による画像の分析処理により、画像データ中に含まれる文字データが画面枠51と重複すると判定されたか否かを認識する。
【0039】
そして、重複しない場合には(ステップS12でNO)、上述したステップS14の処理を実行する。また、重複する場合には(ステップS12でYES)、ステップS13において、制御部16は、通常表示モードを選択して画像データを各単位ディスプレイD1−1〜D3−3に表示する制御を行う。この処理では、図3に示したように、各単位ディスプレイD1−1〜D3−3の表示領域52に全体画像を分割した画像をそれぞれ表示することにより、画面枠51と重複する文字データが確実に表示されるように表示することができる。
【0040】
このようにして、本実施形態に係る表示制御装置では、全体の画像データを複数の単位ディスプレイD1−1〜D3−3に分割して表示する際に、表示対象となる画像データ中に文字データが存在し、かつ、この文字データが画面枠51と重複する場合には、図6に示したように、通常表示モードを用いて各単位ディスプレイに分割画像を表示するので、文字データが途切れることがない。従って、画像データ中に含まれる文字データを全て表示することができるので、例えば、電話番号を表示する場合には、視認する人に対してこの電話番号を確実に知らせることができる。
【0041】
また、表示対象となる画像データ中に文字データが存在しない場合には、図7に示したように、シームレス表示モードを用いて各単位ディスプレイに分割画像を表示するので、各単位ディスプレイの接続部分にて画像が滑らかに接続するように表示され、視認する人に対して違和感を覚えさせることのない画像を提供することができる。
【0042】
また、上述した実施形態では、表示対象となる全体の画像中に文字データが存在し、かつ、この文字データの存在領域が画面枠51と重複する場合に、通常表示モードで画像データを表示する例について説明したが、文字データの存在領域と画面枠51とが重複するという条件を割愛してもよい。即ち、表示対象となる全体の画像データ中に文字データが存在する場合には全て通常モードで画像データを表示するようにしてもよい。このような構成とすることにより、制御部16による演算負荷を軽減することができ、装置規模を小型化することができる。
【0043】
図8は、本実施形態の変形例を示している。図1においては、マルチディスプレイの全体に対して1つの表示制御装置100を接続して、スケーリング部13がそれぞれの単位ディスプレイD1−1〜D3−3に抽出した画像データを供給するよう構成したが、図8に示すように、表示制御装置100と単位ディスプレイD1−1〜D3−3とを1対1で設けてもよい。図8においては、図1に示すユーザによる入力操作を省略しているが、それぞれの表示制御装置100には上述した各種のデータの設定がなされている。
【0044】
以上、本発明の表示制御装置及び表示制御方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。マルチディスプレイは水平方向または垂直方向のみに配列させた状態であってもよく、配列の仕方及び単位ディスプレイDの台数は任意である。複数の単位ディスプレイを水平方向と垂直方向との少なくとも一方に並べて配置してマルチディスプレイとすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、複数の単位ディスプレイをマトリクス状に配置して大型画面とし、大画像を表示することに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
11 画像データ入力部
12 画像分析部(文字データ判定部)
13 スケーリング部
15 マルチディスプレイ設定部
16 制御部(表示制御部)
51 画面枠
52 表示領域
100 表示制御装置
D1−1〜D3−3 単位ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位ディスプレイを水平方向と垂直方向との少なくとも一方に並べて配置したマルチディスプレイに画像データを表示させる表示制御装置であり、
前記画像データによって前記マルチディスプレイに表示させる全体画像に文字データが含まれるか否かを判定する文字データ判定部と、
前記全体画像を前記マルチディスプレイに表示させる際に、前記全体画像から水平方向または垂直方向に隣り合う前記単位ディスプレイの画面枠に相当する部分を除くことなく、前記全体画像を前記マルチディスプレイに含まれる前記単位ディスプレイの数で分割して、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示させる通常表示モードと、前記全体画像から前記画面枠に相当する部分を除き、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示すべき領域の画像部分を抽出して、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示させるシームレス表示モードとのいずれかで前記全体画像を各単位ディスプレイに表示させるよう制御する表示制御部と、
前記文字データ判定部によって前記全体画像に文字データが含まれると判定された場合には、前記表示制御部による制御に基づいて、前記全体画像から前記通常表示モードに対応した領域の画像データを抽出して、前記単位ディスプレイそれぞれに出力し、前記文字データ判定部によって前記全体画像に文字データが含まれないと判定された場合には、前記表示制御部による制御に基づいて、前記全体画像から前記シームレス表示モードに対応した領域の画像データを抽出して、前記単位ディスプレイそれぞれに出力するスケーリング部と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記文字データ判定部は、前記全体画像に文字データが含まれると判定した際に、文字データが含まれる存在領域を判定する文字領域判定部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記文字領域判定部にて判定された存在領域が前記画面枠と重複する場合にのみ前記通常表示モードで前記全体画像を表示させるよう制御し、それ以外の場合は前記シームレス表示モードで前記全体画像を表示させるよう制御することを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御装置は、前記複数の単位ディスプレイそれぞれと1対1で個別に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
複数の単位ディスプレイを水平方向と垂直方向との少なくとも一方に並べて配置したマルチディスプレイに画像データを表示させる表示制御方法であり、
前記画像データによって前記マルチディスプレイに表示させる全体画像に文字データが含まれるか否かを判定し、
前記全体画像に文字データが含まれると判定された場合には、前記全体画像から水平方向または垂直方向に隣り合う前記単位ディスプレイの画面枠に相当する部分を除くことなく、前記全体画像を前記マルチディスプレイに含まれる前記単位ディスプレイの数で分割して、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示させる通常表示モードで前記単位ディスプレイそれぞれに表示し、
前記全体画像に文字データが含まれないと判定された場合には、前記全体画像から前記画面枠に相当する部分を除き、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示すべき領域の画像部分を抽出して、前記単位ディスプレイそれぞれの表示領域に表示させるシームレス表示モードで前記単位ディスプレイそれぞれに表示する
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項5】
前記全体画像に文字データが含まれると判定した際に、文字データが含まれる存在領域を判定し、
前記存在領域が前記画面枠と重複する場合には、前記通常表示モードで前記全体画像を表示し、
前記存在領域が前記画面枠と重複しない場合には、前記シームレス表示モードで前記全体画像を表示する
ことを特徴とする請求項4記載の表示制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−190016(P2012−190016A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34831(P2012−34831)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】