表示制御装置
【課題】道路上に車両に関する情報を表示させる表示制御装置において、道路上に速度の情報を表示できるようにする。
【解決手段】ライト制御装置においては表示処理1にて、自車位置での制限速度の情報を取得し(S110)、道路上に画像を投射するピクセルライトシステムを介して制限速度を表示させる(S120)。従って、このようなライト制御装置によれば、速度の情報を道路上に表示させることができる。また、表示処理2のように、取得された速度の情報が予め設定された参照速度よりも大きいか否かを判定し(S220)、速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに速度の情報を表示させてもよい(S230,240)。この構成によれば、必要なときのみ情報を表示させることができるので、乗員は重要な情報を容易に識別することができる。
【解決手段】ライト制御装置においては表示処理1にて、自車位置での制限速度の情報を取得し(S110)、道路上に画像を投射するピクセルライトシステムを介して制限速度を表示させる(S120)。従って、このようなライト制御装置によれば、速度の情報を道路上に表示させることができる。また、表示処理2のように、取得された速度の情報が予め設定された参照速度よりも大きいか否かを判定し(S220)、速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに速度の情報を表示させてもよい(S230,240)。この構成によれば、必要なときのみ情報を表示させることができるので、乗員は重要な情報を容易に識別することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上に車両に関する情報を表示させる表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上に自車位置や進行方向に関する情報を投射する表示制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−136838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記表示制御装置では、速度の情報を表示させる構成については開示されていない。
そこで、道路上に車両に関する情報を表示させる表示制御装置において、道路上に速度の情報を表示できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の表示制御装置において、表示制御手段は、道路上に画像を投射する投射手段を介して速度情報取得手段によって取得された速度の情報を表示させる。
【0005】
従って、このような表示制御装置によれば、速度の情報を道路上に表示させることができる。よって、自車両の乗員が視線を大きく動かすことなく走行時に必要となる速度の情報を確認させることができる。
【0006】
なお、速度情報取得手段が取得する「自車両の走行に関する速度の情報」としては、例えば、自車両の走行速度の情報や、自車両が走行する道路の制限速度の情報等、自車両の走行する際に運転者にとって必要となりうる速度に関する情報が挙げられる。
【0007】
ところで、請求項1に記載の表示制御装置においては、請求項2に記載のように、速度情報取得手段は、速度の情報を繰り返し取得し、表示制御手段は、速度情報取得手段によって速度の情報が取得される度に前記速度の情報を表示させるようにしてもよい。
【0008】
このような表示制御装置によれば、速度の情報が変更される度に直ちに変更後の速度の情報を表示させることができる。
また、請求項1または請求項2に記載の表示制御装置においては、請求項3に記載のように、速度情報取得手段によって取得された速度の情報が予め設定された参照速度よりも大きいか否かを判定する速度判定手段を備え、表示制御手段は、速度判定手段によって速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに速度の情報を表示させるようにしてもよい。
【0009】
このような表示制御装置によれば、速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに投射手段に画像を表示させるので、運転者は情報が表示されたときのみにその情報を確認すればよい。つまり、道路上に常に情報を表示させる構成の場合には、自車両の乗員は表示された情報が重要か否かを識別することができなくなる虞があるが、本発明によれば、必要なときのみ情報を表示させることができるので、乗員は重要な情報を容易に識別することができる。
【0010】
具体的には、請求項4に記載のように、速度情報取得手段は、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、速度判定手段は、自車両の走行速度が参照速度よりも大きいか否かを判定し、表示制御手段は、速度判定手段によって速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに制限速度の情報を表示させるようにすればよい。また、請求項5に記載のように、速度情報取得手段は、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、速度判定手段は、自車両の走行速度の情報が制限速度の情報よりも大きいか否かを判定し、表示制御手段は、速度判定手段によって速度の情報が制限速度よりも大きいと判定された場合のみに制限速度の情報を表示させるようにしてもよい。
【0011】
このような表示制御装置によれば、自車両の走行速度が参照速度(請求項4)または制限速度(請求項5)よりも大きい場合のみに、投射手段に画像を表示させることができる。
【0012】
さらに、請求項3〜請求項5の何れかに記載の表示制御装置においては、請求項6に記載のように、表示制御手段は、速度判定手段によって速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに速度の情報の表示を開始し、速度判定手段によって速度の情報が参照速度よりも小さな値に設定された第2参照速度未満になるまで速度の情報の表示を継続するようにしてもよい。
【0013】
このような表示制御装置によれば、一旦速度の情報が表示されると、第2参照速度未満になるまで速度の情報の表示を継続し、第2参照速度未満になると、次に参照速度以上になるまで速度の情報の表示をしないので、速度の情報の表示・非表示が頻繁に繰り返されることを防止することができる。
【0014】
また、請求項1または請求項2に記載の表示制御装置においては、請求項7に記載のように、表示制御手段は、自車両が分岐点および合流点を含む交差点を通過したことを検出する通過検出手段から交差点を通過した旨の信号を受信すると、速度の情報を表示させるようにしてもよい。
【0015】
このような表示制御装置によれば、道路状況が変化しやすい交差点通過後に運転者に対して速度の情報を提供することができるので、運転者に対して速度に対する注意を促すことができる。なお、速度の情報として制限速度の情報を表示させれば、交差点通過後に変化しがちな制限速度を運転者に確認させることができる。
【0016】
さらに、請求項1〜請求項7の何れかに記載の表示制御装置においては、請求項8に記載のように、表示制御手段が速度の情報を表示させる際の表示の障害となる要素を検出する障害検出手段による検出結果を取得する障害取得手段と、障害取得手段によって表示の障害となる検出結果が取得されると、表示制御手段が速度の情報を表示させる際の表示位置を表示の障害とならない位置に変更する表示位置変更手段と、を備えていてもよい。
【0017】
このような表示制御装置によれば、速度の情報を表示させる位置を変更することができるので、表示の障害となる要素が検出されたとしても、障害とならない位置に表示位置を変更することができるので、自車両の乗員が速度の情報を確認しやすくすることができる。
【0018】
なお、「表示の障害となる要素」とは、例えば、請求項9〜請求項11に記載のように、車間距離、天候、市街地走行等の要素が挙げられる。これらの場合、自車両の乗員は、車間距離が近づくにつれて、天候が悪くなるにつれて(晴れ、曇り、雨、雪の順で天候がよいものとする。)、或いは市街地を走行しているときに、遠方に表示された速度の情報を認識することが困難になると考えられる。このため、表示位置変更手段は、車間距離が近づくにつれて、天候が悪くなるにつれて、或いは市街地を走行しているときに、表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更する。
【0019】
よって、このような表示制御装置によれば、確実に自車両の乗員が速度の情報を確認しやすくすることができる。
また、請求項1〜請求項11の何れかに記載の表示制御装置においては、請求項12に記載のように、表示制御手段は、予め設定された一定時間だけ、走行状態または環境に関する情報を前記投射手段に対して表示させるようにしてもよい。
【0020】
このような表示制御装置によれば、同じ情報が常に表示されることによって自車両の乗員に煩わしさ感じさせることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明が適用されたライト制御装置1(表示制御装置)の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
ライト制御装置1は、例えば乗用車等の車両に搭載された装置であって、ライトECU(電子制御装置)10に、ナビゲーションシステム11、車速センサ12、イグニッション(IG)スイッチ13、音声認識システム16、ピクセルライトシステム21(投射手段)、およびヘッドライト22が接続されて構成されている。
【0023】
ナビゲーションシステム11は、地図データを内部のデータベースに記録している。そして、周知のGPS衛星からの電波を受信することによって車両の現在地を検出し、車両の現在地近傍の地図画像を地図データから抽出し、ディスプレイに車両の現在地を地図画像とともに表示させる。なお、ナビゲーションシステム11は、データベースに地図データとして各道路における制限速度の情報も記録しており、ライトECU10から要求を受けると走行中の道路における制限速度の情報をライトECU10に返す。なお、制限速度の情報は、カメラによる撮影画像を画像処理した情報や、路車間通信等で得られた情報を利用することもできる。
【0024】
車速センサ12は、周知の車速センサであって、自車両の車速(当該車両の移動速度)の検出結果を、ライトECU10に送信する。
音声認識システム16は、図示しないマイクを介して入力された音声が、予め内部に記録された音声データベースと一致するか否かを判定することによって入力された音声を認識し、この入力に応じた指令をライトECU10に送信する。
【0025】
ピクセルライトシステム21は、光源からの光を多数のミラーの角度をそれぞれ独立して制御することによって光を反射する部位と光を反射しない部位とを形成し、これによって画像を形成する装置である。なお、光源としては、ヘッドライト22の光源を利用することもできる。
【0026】
また、ピクセルライトシステム21に換えてプロジェクタ等を採用することもできる。さらに、ピクセルライトシステム21は、比較的広範囲に画像を照射することができるように設定されており、画像を形成する位置に応じて画像を表示させる表示位置(自車両からの距離)が変更できるように構成されている。
【0027】
ヘッドライト22は、車両の前部の左右2箇所に設けられた周知の前照灯として構成されており、ライトECU10からの指令に応じて図示しないランプの光軸の向きを制御する。
【0028】
ライトECU10は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、接続された各種センサによる検出結果を受信し、これらの検出結果に応じてヘッドライト22を作動させる処理や、ピクセルライトシステム21を作動させることによって、道路上に画像を表示させる表示処理等の各種処理を実施する。
【0029】
ここで、道路上に画像を表示させる表示処理について図2(a)を用いて説明する。図2(a)は、ライトECU10が実行する第1実施形態の表示処理1を示すフローチャートである。
【0030】
表示処理1は、イグニッション(IG)スイッチ(図1参照)13がONされると開始され、その後周期的(例えば200ms毎)に起動される処理である。この表示処理1では、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得し(S110:速度情報取得手段)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S120:表示制御手段)、表示処理1を終了する。
【0031】
以上のように詳述したライト制御装置1において、ライトECU10は表示処理1にて、道路上に画像を投射するピクセルライトシステム21を介して速度の情報(制限速度)を表示させる。
【0032】
従って、このようなライト制御装置1によれば、速度の情報を道路上に表示させることができる。
また、ライト制御装置1において、ライトECU10は表示処理1にて、速度の情報を繰り返し取得し、速度の情報が取得される度に前記速度の情報を表示させる。
【0033】
従って、このようなライト制御装置1によれば、速度の情報が変更される度に直ちに変更後の速度の情報を表示させることができる。
[第2実施形態]
次に、別形態のライト制御装置2について説明する。本実施形態(第2実施形態)では、第1実施形態のライト制御装置1と異なる箇所のみを詳述し、第1実施形態のライト制御装置1と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
本実施形態のライト制御装置2においては、実施形態1の表示処理1に換えて表示処理2を実施する。なお、ライトECU10が実行する表示処理2のフローチャートを図2(b)に示す。本実施形態のライト制御装置2では、自車両の車速が指定車速以上である場合のみに、制限速度の情報を道路に表示させる。
【0035】
具体的には、図2(b)に示すように、まず、現在の自車両の車速を車速センサ12から取得し(S210:速度情報取得手段)、現在の車速が予め設定された指定車速(例えば時速20km)以上であるか否かを判定する(S220:速度判定手段)。現在の車速が指定車速以上であれば(S220:YES)、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得し(S230:速度情報取得手段)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S240:表示制御手段)、表示処理2を終了する。
【0036】
また、現在の車速が指定車速未満であれば(S220:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S270)、表示処理2を終了する。なお、制限速度表示させる機能がOFF状態とされると、取得した制限速度の情報を表示させる処理(S240)が実施されるまで、ピクセルライトシステム21から画像を投射しなくなるように設定されている。
【0037】
上記のようなライト制御装置2において、ライトECU10は表示処理2にて、取得された速度の情報が予め設定された指定車速(参照速度)よりも大きいか否かを判定し、走行速度が指定車速よりも大きいと判定された場合のみに速度の情報を表示させる。具体的には、ライトECU10は表示処理にて、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、自車両の走行速度が指定車速よりも大きいか否かを判定し、速度の情報が指定車速よりも大きいと判定された場合のみに制限速度の情報を表示させる。
【0038】
従って、このようなライト制御装置2によれば、速度の情報が指定車速よりも大きいと判定された場合のみにピクセルライトシステム21に画像を表示させるので、運転者は情報が表示されたときのみにその情報を確認すればよい。つまり、道路上に常に情報を表示させる構成の場合には、自車両の乗員は表示された情報が重要か否かを識別することができなくなる虞があるが、本発明によれば、必要なときのみ情報を表示させることができるので、乗員は重要な情報を容易に識別することができる。
【0039】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のライト制御装置3について説明する。本実施形態のライト制御装置3においては、上記の表示処理1,2に換えて表示処理3を実施する。なお、ライトECU10が実行する表示処理3のフローチャートを図3に示す。この表示処理3では、自車両の車速が制限速度以上である場合のみに、制限速度の情報を道路に表示させる。
【0040】
具体的には、図3に示すように、まず、現在の自車両の車速を車速センサ12から取得し(S310:速度情報取得手段)、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得する(S320:速度情報取得手段)。そして、現在の車速が取得した制限速度以上であるか否かを判定する(S330:速度判定手段)。現在の車速が制限速度以上であれば(S330:YES)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S340:表示制御手段)、表示処理3を終了する。
【0041】
また、現在の車速が制限速度未満であれば(S330:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S350)、表示処理3を終了する。
上記のライト制御装置3において、ライトECU10は表示処理3にて、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、自車両の走行速度の情報が制限速度の情報よりも大きいか否かを判定し、速度の情報が制限速度よりも大きいと判定された場合のみに制限速度の情報を表示させる。
【0042】
従って、本実施形態においても、必要なときのみ情報を表示させることができるので、乗員は重要な情報を容易に識別することができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のライト制御装置4について説明する。本実施形態のライト制御装置4においては、上記の表示処理1〜3に換えて表示処理4を実施する。なお、ライトECU10が実行する初期化処理のフローチャートを図4(a)に示し、表示処理4のフローチャートを図4(b)に示す。
【0043】
本実施形態のライト制御装置4においては、まず、図4(a)に示す初期化処理を実施し、その後、図4(b)に示す表示処理4を周期的に繰り返す。そして、後述する分周カウンタがNになるまでの間だけ制限速度の情報を道路に表示させる。なお、分周カウンタ、制限速度1,2の各種情報は、更新または取得される度にライトECU10のRAMに記録される。
【0044】
具体的に初期化処理は、例えばIGスイッチ13がONされたときに、一度だけ起動する処理であって、図4(a)に示すように、分周カウンタを初期化する(つまり0にする)(S410)。そして、制限速度1を0km/hに設定し(S420)、初期化処理を終了する。
【0045】
続いて、表示処理4が実施される。表示処理4では、図4(b)に示すように、まず、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を制限速度2として取得する(S510:速度情報取得手段)。
【0046】
そして、制限速度1と制限速度2とが一致するか否かを判定する(S520:速度判定手段)。制限速度1,2が一致していれば(S520:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S590)、表示処理4を終了する。また、制限速度1,2が一致していなければ(S520:YES)、分周カウンタをインクリメントし(S530)、分周カウンタが予め設定された上限値N以下であるか否かを判定する(S540)。
【0047】
分周カウンタが上限値N以下であれば(S540:YES)、取得した制限速度2の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S550:表示制御手段)、表示処理4を終了する。分周カウンタが上限値Nよりも大きければ(S540:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とする(S560)。
【0048】
そして、現在の制限速度2を制限速度1として上書き記録し(S570)、分周カウンタをクリアし(S580)、表示処理4を終了する。
上記表示処理4の具体例を、図5を用いて説明する。図5は表示処理4において制限速度を表示させる際のタイミングチャートである。図5に示す例においては、表示処理4が400ms周期で実行され、分周カウンタの上限値Nが5に設定されているものとして説明する。
【0049】
図5に示す例の開始時点においては、制限速度1と制限速度2とが40km/hで一致しているため、S520,S590の順に処理が実施され、制限速度を表示させる機能はOFF状態とされている。
【0050】
そして、自車両の走行中の道路における制限速度が変更されると、制限速度1はそのままで、制限速度2のみが変更される。この場合、S520〜S540の順に処理が実施され、分周カウンタNが5になるまでの5周期(2秒間)だけ、S550の処理にて制限速度2の情報が道路上に表示される。
【0051】
その後、S570の処理によって制限速度1と制限速度2とが一致する状態になるので、再び制限速度を表示させる機能がOFF状態とされる。
即ち、上記のライト制御装置4において、ライトECU10は表示処理4にて、予め設定された一定時間だけ、走行状態または環境に関する情報をピクセルライトシステム21に対して表示させる。
【0052】
従って、このようなライト制御装置4によれば、同じ情報が常に表示されることによって自車両の乗員に煩わしさ感じさせることを防止することができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のライト制御装置5について説明する。本実施形態のライト制御装置5においては、上記の表示処理1〜4に換えて表示処理5を実施する。なお、ライトECU10が実行する表示処理5のフローチャートを図6に示す。
【0053】
表示処理5は、道路が枝分かれする分岐点や車両が合流する合流点等を含む道路同士が接続する交差点を自車両が通過したときに、一定時間だけ制限速度の情報を道路上に表示させる処理である。
【0054】
表示処理5では、図6に示すように、まず、ナビゲーションシステム11から交差点を通過したか否かの情報を取得し、自車両が交差点を通過したか否かを判定する(S610:通過検出手段)。自車両が交差点を通過していなければ(S610:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S680)、表示処理5を終了する。
【0055】
自車両が交差点を通過していれば(S610:YES)、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得する(S620:速度情報取得手段)。そして、分周カウンタをインクリメントし(S630)、分周カウンタが予め設定された上限値N以下であるか否かを判定する(S640)。
【0056】
分周カウンタが上限値N以下であれば(S640:YES)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S650:表示制御手段)、表示処理5を終了する。また、分周カウンタが上限値Nよりも大きければ(S640:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とする(S660)。
【0057】
そして、分周カウンタをクリアし(S670)、表示処理5を終了する。
上記のライト制御装置5において、ライトECU10は表示処理5にて、自車両が分岐点および合流点を含む交差点を通過したことを検出するナビゲーションシステム11から交差点を通過した旨の信号を受信すると、速度の情報を道路上に表示させる。
【0058】
従って、このようなライト制御装置5によれば、道路状況が変化しやすい交差点通過後に運転者に対して速度の情報を提供することができるので、運転者に対して速度に対する注意を促すことができる。また、速度の情報として制限速度の情報を表示させるので、交差点通過後に変化しがちな制限速度を運転者に確認させることができる。
【0059】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態のライト制御装置6について説明する。本実施形態のライト制御装置6においては、上記の表示処理1〜5に換えて表示処理6を実施する。図7は第6実施形態のライト制御装置6の概略構成を示すブロック図、図8(a)はライトECU10が実行する表示処理6のフローチャートである。
【0060】
第6実施形態のライト制御装置6では、上述のライト制御装置1〜5の構成に加えて、照度計14(障害検出手段、市街地検出手段)、ワイパ15(障害検出手段、天候検出手段)、および車間距離検出装置17(障害検出手段、車間距離検出手段)を備えている。
【0061】
照度計14は、例えば車両におけるダッシュボード上に配置されており、周囲の明るさを検出し、この検出結果をライトECU10に送る。
ワイパ15は、周知のワイパであって、ワイパ15の作動状態をライトECU10が検出できるよう両者が接続されている。車間距離検出装置17は、例えば、カメラと画像処理装置とから構成されており、カメラによる撮像画像を画像処理することによって自車両の前方を走行する前方車両までの距離(車間距離)を測定する機能を有する。
【0062】
なお、車間距離検出装置17が検出した車間距離は、ライトECU10に送られる。ただし、車間距離検出装置17は、カメラと画像処理装置とから構成されている必要はなく、例えばレーダやソナー等、前方車両との距離を検出可能な装置であればどのような構成であってもよい。
【0063】
次に、表示処理6は、前方車両や天候、或いは周囲の明るさ等、速度の情報を表示させる際の表示の障害、或いは乗員による視認の障害となる要素を検出し、この検出結果に応じて道路上において画像を表示させる位置(自車両からの距離)を変更する処理である。
【0064】
具体的には、図8(a)に示すように、まず、自車両と先行車両との車間距離Dを車間距離検出装置17から取得するとともに、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得し(S710:障害取得手段)、取得した車間距離Dが、予め設定された車間距離A以下であるか否かを判定する(S720)。
【0065】
ここで、車間距離Aは、前方車両が速度の情報の照射の妨げとなり、道路上に速度の情報を表示させることができない程度の距離に設定されている。
車間距離Dが車間距離A以下であれば(S720:YES)、制限速度を表示させる機能をOFF状態とし(S730)、表示処理6を終了する。また、車間距離Dが車間距離Aよりも大きければ(S720:NO)、照度計14による検出結果を取得し、この照度と予め設定された比較値(一定値)とを比較する(S740:障害取得手段)。なお、この比較値は、例えば、街路灯やネオンサイン等の有無によって判定結果が変化する程度の値に設定されている。
【0066】
取得した照度が比較値よりも小さければ(暗ければ)(S740:YES)、ワイパ15が作動中であるか否かを判定する(S750:障害取得手段)。ワイパ15が作動中でなければ(S750:YES)、晴天時の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップを用いて決定される距離に制限速度を表示させ(S760:表示制御手段)、表示処理6を終了する。
【0067】
また、ワイパ15が作動中であれば(S750:NO)、雨天時の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップを用いて決定される距離に制限速度を表示させ(S770:表示制御手段)、表示処理6を終了する。また、S740にて、取得した照度が比較値以上であれば(明るければ)(S740:NO)、市街地の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップを用いて決定される距離に制限速度を表示させ(S780:表示制御手段)、表示処理6を終了する。
【0068】
ここで、晴天時の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップ(晴天時におけるマップ)と、雨天時および市街地の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップ(雨天時(市街地)におけるマップ)とを図8(b)に示す。
【0069】
晴天時におけるマップによれば、車間距離がA以下であれば制限速度の照射をしない。そして、車間距離がAより大きく、B(A<B)未満であれば、車間距離が大きくなるにつれて一次関数的に照射距離を大きくし、車間距離がB以上になれば照射距離を一定とする。
【0070】
また、雨天時におけるマップでは、晴天時におけるマップと同様に、車間距離がA以下であれば制限速度の照射をしない。そして、車間距離がAより大きく、B´(A<B´<B)未満であれば、晴天時におけるマップと同様の傾きで車間距離が大きくなるにつれて一次関数的に照射距離を大きくし、車間距離がB´以上になれば照射距離を一定とする。なお、市街地におけるマップについては、雨天時におけるマップと同様とする。
【0071】
つまり、雨天時および市街地では、車間距離がBよりも小さいB´以上の場合に、晴天時と比較して近い距離に照射位置(照射距離)を固定させるようにしている。
上記のライト制御装置6において、ライトECU10は表示処理6にて、速度の情報を表示させる際の表示の障害となる要素を検出する照度計14,ワイパ15,および車間距離検出装置17による検出結果を取得し、表示の障害となる検出結果が取得されると、速度の情報を表示させる際の表示位置を表示の障害とならない位置に変更する。具体的には、自車両の乗員は、車間距離が近づくにつれて、天候が悪くなるにつれて(晴れ、曇り、雨、雪の順で天候がよいものとする。)、或いは市街地を走行しているときに、遠方に表示された速度の情報を認識することが困難になると考えられる。このため、ライトECU10は表示処理にて、車間距離が近づくにつれて、天候が悪くなるにつれて、或いは市街地を走行しているときに、速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更する。
【0072】
従って、このようなライト制御装置6によれば、速度の情報を表示させる位置を変更することができるので、表示の障害となる要素が検出されたとしても、障害とならない位置に表示位置を変更することができるので、自車両の乗員が速度の情報を確認しやすくすることができる。
【0073】
[第7実施形態]
次に、第7実施形態のライト制御装置7について説明する。本実施形態のライト制御装置7においては、上記の表示処理1〜6に換えて表示処理7を実施する。図9は第7実施形態のライト制御装置7の概略構成を示すブロック図、図10(a)、図10(b)はライトECU10が実行する表示処理7,8のフローチャートである。
【0074】
第7実施形態のライト制御装置7では、上述のライト制御装置1〜5の構成に加えて、車間距離検出装置17、表示許可スイッチ(SW1)18、および強制表示スイッチ(SW2)19を備えている。なお、本実施形態において、表示処理6に関する処理を実施する場合には、照度計14およびワイパ15を備えていればよい。
【0075】
表示許可スイッチ18は、ON状態のときにピクセルライトシステム21の作動を許可し、OFF状態のときにピクセルライトシステム21の作動を禁止する。ただし、表示許可スイッチ18がON状態であっても、他の処理(表示処理)によってピクセルライトシステム21の作動が禁止されていれば、速度の情報が表示されることはない。
【0076】
強制表示スイッチ19は、ON状態のときに強制的にピクセルライトシステム21を作動させ、OFF状態のときには、表示許可スイッチ18および他の処理(表示処理)によってピクセルライトシステム21の作動が許可されていれば、速度の情報を道路上に表示させる。具体的には、図10(a)、図10(b)に示す表示処理7,8を並行して周期的に実施する。
【0077】
表示処理7では、図10(a)に示すように、まず、表示許可スイッチ(SW1)18がON状態であるか否かを判定する(S810)。表示許可スイッチ18がON状態であれば(S810:YES)、予め設定された表示処理(例えば、表示処理2〜6のうちの何れかような処理)を実施し(S820)、表示処理7を終了する。また、表示許可スイッチ18がOFF状態であれば(S810:NO)、直ちに表示処理7を終了する。
【0078】
次に、表示処理8では、図10(b)に示すように、まず、強制表示スイッチ(SW2)19がON状態であるか否かを判定する(S860)。強制表示スイッチ19がON状態であれば、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得し(S870:速度情報取得手段)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S880:表示制御手段)、表示処理8を終了する。また、強制表示スイッチ19がOFF状態であれば(S860:NO)、表示処理8を終了する。
【0079】
なお、音声認識システム16を用いて表示許可スイッチ18および強制表示スイッチ19を作動させる構成にしてもよい。
このようなライト制御装置8によれば、速度の情報を乗員が表示させたいとき、表示させたくないときに応じて、速度の情報を表示させるか否かを任意に設定することができる。
【0080】
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0081】
例えば、上記実施形態においては、自車両の車速が指定車速以上であるか否かによって速度の情報を表示させるか否かを設定し、特に、表示を開始させる指定車速と、表示を終了する指定車速とを同じ速度に設定したが、これらは異なる速度に設定することもできる。
【0082】
表示処理2おける例について説明する。図11に示す変形例の表示処理2を示すフローチャートに示すように、S220にて、自車両の車速が予め指定車速2以上であるか否かを判定する(S220)。自車両の車速が指定車速2以上であれば(S220:YES)、S230以下の処理にて制限速度を道路上に表示させる。
【0083】
自車両の車速が指定車速2未満であれば(S220:NO)、自車両の車速が指定車速2よりも小さな値に設定された指定車速1以上であるか否かを判定する(S250)。
現在の車速が指定車速1以上であれば(S250:YES)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S270)、表示処理2を終了する。また、現在の車速が指定車速1未満であれば(S250:NO)、前回の制限速度表示状態を保持して(S260:表示制御手段)、表示処理2を終了する。
【0084】
このような変形例の表示処理2によれば、図11(b)のヒスチャートに示すように、自車両の車速が指定車速2以上になると速度の情報を道路上に表示させ、自車両の車速が指定車速2未満になったとしても、指定車速1未満になるまでは速度の情報の表示を継続するようにしている。また、指定車速1未満になれば速度の情報の表示を終了し、再び指定車速2以上になるまでは速度の情報を表示させないようにしている。
【0085】
従って、このようなライト制御装置2の変形例によれば、速度の情報の表示・非表示が頻繁に繰り返されることを防止することができる。
また、第6実施形態におけるライト制御装置6においては、天候を判定する際にワイパ15の駆動状態を検出するようにしたが、例えば、レインセンサを利用したり、ナビゲーションシステム11等を利用して外部から天気情報を取得したりし、天気によって速度の情報の表示位置を変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態のライト制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の表示処理1を示すフローチャート(a)、および第2実施形態の表示処理2を示すフローチャート(b)である。
【図3】第3実施形態の表示処理3を示すフローチャートである。
【図4】第4実施形態の初期化処理を示すフローチャート(a)、および表示処理4を示すフローチャート(b)である。
【図5】表示処理4において制限速度を表示させる際のタイミングチャートである。
【図6】第5実施形態の表示処理5を示すフローチャートである。
【図7】第6実施形態のライト制御装置6の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第6実施形態の表示処理6を示すフローチャート(a)、並びに、晴天時、雨天時、および市街地における車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップ(b)である。
【図9】第7実施形態のライト制御装置7の概略構成を示すブロック図である。
【図10】第7実施形態の表示処理7,8を示すフローチャートである。
【図11】変形例の表示処理2を示すフローチャート(a)、および表示処理2におけるヒスチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1〜8…ライト制御装置、10…ライトECU、11…ナビゲーションシステム、12…車速センサ、13…IGスイッチ、14…照度計、15…ワイパ、16…音声認識システム、17…車間距離検出装置、18…表示許可スイッチ、19…強制表示スイッチ、21…ピクセルライトシステム、22…ヘッドライト。
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上に車両に関する情報を表示させる表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上に自車位置や進行方向に関する情報を投射する表示制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−136838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記表示制御装置では、速度の情報を表示させる構成については開示されていない。
そこで、道路上に車両に関する情報を表示させる表示制御装置において、道路上に速度の情報を表示できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の表示制御装置において、表示制御手段は、道路上に画像を投射する投射手段を介して速度情報取得手段によって取得された速度の情報を表示させる。
【0005】
従って、このような表示制御装置によれば、速度の情報を道路上に表示させることができる。よって、自車両の乗員が視線を大きく動かすことなく走行時に必要となる速度の情報を確認させることができる。
【0006】
なお、速度情報取得手段が取得する「自車両の走行に関する速度の情報」としては、例えば、自車両の走行速度の情報や、自車両が走行する道路の制限速度の情報等、自車両の走行する際に運転者にとって必要となりうる速度に関する情報が挙げられる。
【0007】
ところで、請求項1に記載の表示制御装置においては、請求項2に記載のように、速度情報取得手段は、速度の情報を繰り返し取得し、表示制御手段は、速度情報取得手段によって速度の情報が取得される度に前記速度の情報を表示させるようにしてもよい。
【0008】
このような表示制御装置によれば、速度の情報が変更される度に直ちに変更後の速度の情報を表示させることができる。
また、請求項1または請求項2に記載の表示制御装置においては、請求項3に記載のように、速度情報取得手段によって取得された速度の情報が予め設定された参照速度よりも大きいか否かを判定する速度判定手段を備え、表示制御手段は、速度判定手段によって速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに速度の情報を表示させるようにしてもよい。
【0009】
このような表示制御装置によれば、速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに投射手段に画像を表示させるので、運転者は情報が表示されたときのみにその情報を確認すればよい。つまり、道路上に常に情報を表示させる構成の場合には、自車両の乗員は表示された情報が重要か否かを識別することができなくなる虞があるが、本発明によれば、必要なときのみ情報を表示させることができるので、乗員は重要な情報を容易に識別することができる。
【0010】
具体的には、請求項4に記載のように、速度情報取得手段は、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、速度判定手段は、自車両の走行速度が参照速度よりも大きいか否かを判定し、表示制御手段は、速度判定手段によって速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに制限速度の情報を表示させるようにすればよい。また、請求項5に記載のように、速度情報取得手段は、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、速度判定手段は、自車両の走行速度の情報が制限速度の情報よりも大きいか否かを判定し、表示制御手段は、速度判定手段によって速度の情報が制限速度よりも大きいと判定された場合のみに制限速度の情報を表示させるようにしてもよい。
【0011】
このような表示制御装置によれば、自車両の走行速度が参照速度(請求項4)または制限速度(請求項5)よりも大きい場合のみに、投射手段に画像を表示させることができる。
【0012】
さらに、請求項3〜請求項5の何れかに記載の表示制御装置においては、請求項6に記載のように、表示制御手段は、速度判定手段によって速度の情報が参照速度よりも大きいと判定された場合のみに速度の情報の表示を開始し、速度判定手段によって速度の情報が参照速度よりも小さな値に設定された第2参照速度未満になるまで速度の情報の表示を継続するようにしてもよい。
【0013】
このような表示制御装置によれば、一旦速度の情報が表示されると、第2参照速度未満になるまで速度の情報の表示を継続し、第2参照速度未満になると、次に参照速度以上になるまで速度の情報の表示をしないので、速度の情報の表示・非表示が頻繁に繰り返されることを防止することができる。
【0014】
また、請求項1または請求項2に記載の表示制御装置においては、請求項7に記載のように、表示制御手段は、自車両が分岐点および合流点を含む交差点を通過したことを検出する通過検出手段から交差点を通過した旨の信号を受信すると、速度の情報を表示させるようにしてもよい。
【0015】
このような表示制御装置によれば、道路状況が変化しやすい交差点通過後に運転者に対して速度の情報を提供することができるので、運転者に対して速度に対する注意を促すことができる。なお、速度の情報として制限速度の情報を表示させれば、交差点通過後に変化しがちな制限速度を運転者に確認させることができる。
【0016】
さらに、請求項1〜請求項7の何れかに記載の表示制御装置においては、請求項8に記載のように、表示制御手段が速度の情報を表示させる際の表示の障害となる要素を検出する障害検出手段による検出結果を取得する障害取得手段と、障害取得手段によって表示の障害となる検出結果が取得されると、表示制御手段が速度の情報を表示させる際の表示位置を表示の障害とならない位置に変更する表示位置変更手段と、を備えていてもよい。
【0017】
このような表示制御装置によれば、速度の情報を表示させる位置を変更することができるので、表示の障害となる要素が検出されたとしても、障害とならない位置に表示位置を変更することができるので、自車両の乗員が速度の情報を確認しやすくすることができる。
【0018】
なお、「表示の障害となる要素」とは、例えば、請求項9〜請求項11に記載のように、車間距離、天候、市街地走行等の要素が挙げられる。これらの場合、自車両の乗員は、車間距離が近づくにつれて、天候が悪くなるにつれて(晴れ、曇り、雨、雪の順で天候がよいものとする。)、或いは市街地を走行しているときに、遠方に表示された速度の情報を認識することが困難になると考えられる。このため、表示位置変更手段は、車間距離が近づくにつれて、天候が悪くなるにつれて、或いは市街地を走行しているときに、表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更する。
【0019】
よって、このような表示制御装置によれば、確実に自車両の乗員が速度の情報を確認しやすくすることができる。
また、請求項1〜請求項11の何れかに記載の表示制御装置においては、請求項12に記載のように、表示制御手段は、予め設定された一定時間だけ、走行状態または環境に関する情報を前記投射手段に対して表示させるようにしてもよい。
【0020】
このような表示制御装置によれば、同じ情報が常に表示されることによって自車両の乗員に煩わしさ感じさせることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明が適用されたライト制御装置1(表示制御装置)の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
ライト制御装置1は、例えば乗用車等の車両に搭載された装置であって、ライトECU(電子制御装置)10に、ナビゲーションシステム11、車速センサ12、イグニッション(IG)スイッチ13、音声認識システム16、ピクセルライトシステム21(投射手段)、およびヘッドライト22が接続されて構成されている。
【0023】
ナビゲーションシステム11は、地図データを内部のデータベースに記録している。そして、周知のGPS衛星からの電波を受信することによって車両の現在地を検出し、車両の現在地近傍の地図画像を地図データから抽出し、ディスプレイに車両の現在地を地図画像とともに表示させる。なお、ナビゲーションシステム11は、データベースに地図データとして各道路における制限速度の情報も記録しており、ライトECU10から要求を受けると走行中の道路における制限速度の情報をライトECU10に返す。なお、制限速度の情報は、カメラによる撮影画像を画像処理した情報や、路車間通信等で得られた情報を利用することもできる。
【0024】
車速センサ12は、周知の車速センサであって、自車両の車速(当該車両の移動速度)の検出結果を、ライトECU10に送信する。
音声認識システム16は、図示しないマイクを介して入力された音声が、予め内部に記録された音声データベースと一致するか否かを判定することによって入力された音声を認識し、この入力に応じた指令をライトECU10に送信する。
【0025】
ピクセルライトシステム21は、光源からの光を多数のミラーの角度をそれぞれ独立して制御することによって光を反射する部位と光を反射しない部位とを形成し、これによって画像を形成する装置である。なお、光源としては、ヘッドライト22の光源を利用することもできる。
【0026】
また、ピクセルライトシステム21に換えてプロジェクタ等を採用することもできる。さらに、ピクセルライトシステム21は、比較的広範囲に画像を照射することができるように設定されており、画像を形成する位置に応じて画像を表示させる表示位置(自車両からの距離)が変更できるように構成されている。
【0027】
ヘッドライト22は、車両の前部の左右2箇所に設けられた周知の前照灯として構成されており、ライトECU10からの指令に応じて図示しないランプの光軸の向きを制御する。
【0028】
ライトECU10は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、接続された各種センサによる検出結果を受信し、これらの検出結果に応じてヘッドライト22を作動させる処理や、ピクセルライトシステム21を作動させることによって、道路上に画像を表示させる表示処理等の各種処理を実施する。
【0029】
ここで、道路上に画像を表示させる表示処理について図2(a)を用いて説明する。図2(a)は、ライトECU10が実行する第1実施形態の表示処理1を示すフローチャートである。
【0030】
表示処理1は、イグニッション(IG)スイッチ(図1参照)13がONされると開始され、その後周期的(例えば200ms毎)に起動される処理である。この表示処理1では、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得し(S110:速度情報取得手段)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S120:表示制御手段)、表示処理1を終了する。
【0031】
以上のように詳述したライト制御装置1において、ライトECU10は表示処理1にて、道路上に画像を投射するピクセルライトシステム21を介して速度の情報(制限速度)を表示させる。
【0032】
従って、このようなライト制御装置1によれば、速度の情報を道路上に表示させることができる。
また、ライト制御装置1において、ライトECU10は表示処理1にて、速度の情報を繰り返し取得し、速度の情報が取得される度に前記速度の情報を表示させる。
【0033】
従って、このようなライト制御装置1によれば、速度の情報が変更される度に直ちに変更後の速度の情報を表示させることができる。
[第2実施形態]
次に、別形態のライト制御装置2について説明する。本実施形態(第2実施形態)では、第1実施形態のライト制御装置1と異なる箇所のみを詳述し、第1実施形態のライト制御装置1と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
本実施形態のライト制御装置2においては、実施形態1の表示処理1に換えて表示処理2を実施する。なお、ライトECU10が実行する表示処理2のフローチャートを図2(b)に示す。本実施形態のライト制御装置2では、自車両の車速が指定車速以上である場合のみに、制限速度の情報を道路に表示させる。
【0035】
具体的には、図2(b)に示すように、まず、現在の自車両の車速を車速センサ12から取得し(S210:速度情報取得手段)、現在の車速が予め設定された指定車速(例えば時速20km)以上であるか否かを判定する(S220:速度判定手段)。現在の車速が指定車速以上であれば(S220:YES)、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得し(S230:速度情報取得手段)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S240:表示制御手段)、表示処理2を終了する。
【0036】
また、現在の車速が指定車速未満であれば(S220:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S270)、表示処理2を終了する。なお、制限速度表示させる機能がOFF状態とされると、取得した制限速度の情報を表示させる処理(S240)が実施されるまで、ピクセルライトシステム21から画像を投射しなくなるように設定されている。
【0037】
上記のようなライト制御装置2において、ライトECU10は表示処理2にて、取得された速度の情報が予め設定された指定車速(参照速度)よりも大きいか否かを判定し、走行速度が指定車速よりも大きいと判定された場合のみに速度の情報を表示させる。具体的には、ライトECU10は表示処理にて、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、自車両の走行速度が指定車速よりも大きいか否かを判定し、速度の情報が指定車速よりも大きいと判定された場合のみに制限速度の情報を表示させる。
【0038】
従って、このようなライト制御装置2によれば、速度の情報が指定車速よりも大きいと判定された場合のみにピクセルライトシステム21に画像を表示させるので、運転者は情報が表示されたときのみにその情報を確認すればよい。つまり、道路上に常に情報を表示させる構成の場合には、自車両の乗員は表示された情報が重要か否かを識別することができなくなる虞があるが、本発明によれば、必要なときのみ情報を表示させることができるので、乗員は重要な情報を容易に識別することができる。
【0039】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のライト制御装置3について説明する。本実施形態のライト制御装置3においては、上記の表示処理1,2に換えて表示処理3を実施する。なお、ライトECU10が実行する表示処理3のフローチャートを図3に示す。この表示処理3では、自車両の車速が制限速度以上である場合のみに、制限速度の情報を道路に表示させる。
【0040】
具体的には、図3に示すように、まず、現在の自車両の車速を車速センサ12から取得し(S310:速度情報取得手段)、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得する(S320:速度情報取得手段)。そして、現在の車速が取得した制限速度以上であるか否かを判定する(S330:速度判定手段)。現在の車速が制限速度以上であれば(S330:YES)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S340:表示制御手段)、表示処理3を終了する。
【0041】
また、現在の車速が制限速度未満であれば(S330:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S350)、表示処理3を終了する。
上記のライト制御装置3において、ライトECU10は表示処理3にて、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、自車両の走行速度の情報が制限速度の情報よりも大きいか否かを判定し、速度の情報が制限速度よりも大きいと判定された場合のみに制限速度の情報を表示させる。
【0042】
従って、本実施形態においても、必要なときのみ情報を表示させることができるので、乗員は重要な情報を容易に識別することができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のライト制御装置4について説明する。本実施形態のライト制御装置4においては、上記の表示処理1〜3に換えて表示処理4を実施する。なお、ライトECU10が実行する初期化処理のフローチャートを図4(a)に示し、表示処理4のフローチャートを図4(b)に示す。
【0043】
本実施形態のライト制御装置4においては、まず、図4(a)に示す初期化処理を実施し、その後、図4(b)に示す表示処理4を周期的に繰り返す。そして、後述する分周カウンタがNになるまでの間だけ制限速度の情報を道路に表示させる。なお、分周カウンタ、制限速度1,2の各種情報は、更新または取得される度にライトECU10のRAMに記録される。
【0044】
具体的に初期化処理は、例えばIGスイッチ13がONされたときに、一度だけ起動する処理であって、図4(a)に示すように、分周カウンタを初期化する(つまり0にする)(S410)。そして、制限速度1を0km/hに設定し(S420)、初期化処理を終了する。
【0045】
続いて、表示処理4が実施される。表示処理4では、図4(b)に示すように、まず、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を制限速度2として取得する(S510:速度情報取得手段)。
【0046】
そして、制限速度1と制限速度2とが一致するか否かを判定する(S520:速度判定手段)。制限速度1,2が一致していれば(S520:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S590)、表示処理4を終了する。また、制限速度1,2が一致していなければ(S520:YES)、分周カウンタをインクリメントし(S530)、分周カウンタが予め設定された上限値N以下であるか否かを判定する(S540)。
【0047】
分周カウンタが上限値N以下であれば(S540:YES)、取得した制限速度2の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S550:表示制御手段)、表示処理4を終了する。分周カウンタが上限値Nよりも大きければ(S540:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とする(S560)。
【0048】
そして、現在の制限速度2を制限速度1として上書き記録し(S570)、分周カウンタをクリアし(S580)、表示処理4を終了する。
上記表示処理4の具体例を、図5を用いて説明する。図5は表示処理4において制限速度を表示させる際のタイミングチャートである。図5に示す例においては、表示処理4が400ms周期で実行され、分周カウンタの上限値Nが5に設定されているものとして説明する。
【0049】
図5に示す例の開始時点においては、制限速度1と制限速度2とが40km/hで一致しているため、S520,S590の順に処理が実施され、制限速度を表示させる機能はOFF状態とされている。
【0050】
そして、自車両の走行中の道路における制限速度が変更されると、制限速度1はそのままで、制限速度2のみが変更される。この場合、S520〜S540の順に処理が実施され、分周カウンタNが5になるまでの5周期(2秒間)だけ、S550の処理にて制限速度2の情報が道路上に表示される。
【0051】
その後、S570の処理によって制限速度1と制限速度2とが一致する状態になるので、再び制限速度を表示させる機能がOFF状態とされる。
即ち、上記のライト制御装置4において、ライトECU10は表示処理4にて、予め設定された一定時間だけ、走行状態または環境に関する情報をピクセルライトシステム21に対して表示させる。
【0052】
従って、このようなライト制御装置4によれば、同じ情報が常に表示されることによって自車両の乗員に煩わしさ感じさせることを防止することができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のライト制御装置5について説明する。本実施形態のライト制御装置5においては、上記の表示処理1〜4に換えて表示処理5を実施する。なお、ライトECU10が実行する表示処理5のフローチャートを図6に示す。
【0053】
表示処理5は、道路が枝分かれする分岐点や車両が合流する合流点等を含む道路同士が接続する交差点を自車両が通過したときに、一定時間だけ制限速度の情報を道路上に表示させる処理である。
【0054】
表示処理5では、図6に示すように、まず、ナビゲーションシステム11から交差点を通過したか否かの情報を取得し、自車両が交差点を通過したか否かを判定する(S610:通過検出手段)。自車両が交差点を通過していなければ(S610:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S680)、表示処理5を終了する。
【0055】
自車両が交差点を通過していれば(S610:YES)、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得する(S620:速度情報取得手段)。そして、分周カウンタをインクリメントし(S630)、分周カウンタが予め設定された上限値N以下であるか否かを判定する(S640)。
【0056】
分周カウンタが上限値N以下であれば(S640:YES)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S650:表示制御手段)、表示処理5を終了する。また、分周カウンタが上限値Nよりも大きければ(S640:NO)、制限速度表示させる機能をOFF状態とする(S660)。
【0057】
そして、分周カウンタをクリアし(S670)、表示処理5を終了する。
上記のライト制御装置5において、ライトECU10は表示処理5にて、自車両が分岐点および合流点を含む交差点を通過したことを検出するナビゲーションシステム11から交差点を通過した旨の信号を受信すると、速度の情報を道路上に表示させる。
【0058】
従って、このようなライト制御装置5によれば、道路状況が変化しやすい交差点通過後に運転者に対して速度の情報を提供することができるので、運転者に対して速度に対する注意を促すことができる。また、速度の情報として制限速度の情報を表示させるので、交差点通過後に変化しがちな制限速度を運転者に確認させることができる。
【0059】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態のライト制御装置6について説明する。本実施形態のライト制御装置6においては、上記の表示処理1〜5に換えて表示処理6を実施する。図7は第6実施形態のライト制御装置6の概略構成を示すブロック図、図8(a)はライトECU10が実行する表示処理6のフローチャートである。
【0060】
第6実施形態のライト制御装置6では、上述のライト制御装置1〜5の構成に加えて、照度計14(障害検出手段、市街地検出手段)、ワイパ15(障害検出手段、天候検出手段)、および車間距離検出装置17(障害検出手段、車間距離検出手段)を備えている。
【0061】
照度計14は、例えば車両におけるダッシュボード上に配置されており、周囲の明るさを検出し、この検出結果をライトECU10に送る。
ワイパ15は、周知のワイパであって、ワイパ15の作動状態をライトECU10が検出できるよう両者が接続されている。車間距離検出装置17は、例えば、カメラと画像処理装置とから構成されており、カメラによる撮像画像を画像処理することによって自車両の前方を走行する前方車両までの距離(車間距離)を測定する機能を有する。
【0062】
なお、車間距離検出装置17が検出した車間距離は、ライトECU10に送られる。ただし、車間距離検出装置17は、カメラと画像処理装置とから構成されている必要はなく、例えばレーダやソナー等、前方車両との距離を検出可能な装置であればどのような構成であってもよい。
【0063】
次に、表示処理6は、前方車両や天候、或いは周囲の明るさ等、速度の情報を表示させる際の表示の障害、或いは乗員による視認の障害となる要素を検出し、この検出結果に応じて道路上において画像を表示させる位置(自車両からの距離)を変更する処理である。
【0064】
具体的には、図8(a)に示すように、まず、自車両と先行車両との車間距離Dを車間距離検出装置17から取得するとともに、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得し(S710:障害取得手段)、取得した車間距離Dが、予め設定された車間距離A以下であるか否かを判定する(S720)。
【0065】
ここで、車間距離Aは、前方車両が速度の情報の照射の妨げとなり、道路上に速度の情報を表示させることができない程度の距離に設定されている。
車間距離Dが車間距離A以下であれば(S720:YES)、制限速度を表示させる機能をOFF状態とし(S730)、表示処理6を終了する。また、車間距離Dが車間距離Aよりも大きければ(S720:NO)、照度計14による検出結果を取得し、この照度と予め設定された比較値(一定値)とを比較する(S740:障害取得手段)。なお、この比較値は、例えば、街路灯やネオンサイン等の有無によって判定結果が変化する程度の値に設定されている。
【0066】
取得した照度が比較値よりも小さければ(暗ければ)(S740:YES)、ワイパ15が作動中であるか否かを判定する(S750:障害取得手段)。ワイパ15が作動中でなければ(S750:YES)、晴天時の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップを用いて決定される距離に制限速度を表示させ(S760:表示制御手段)、表示処理6を終了する。
【0067】
また、ワイパ15が作動中であれば(S750:NO)、雨天時の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップを用いて決定される距離に制限速度を表示させ(S770:表示制御手段)、表示処理6を終了する。また、S740にて、取得した照度が比較値以上であれば(明るければ)(S740:NO)、市街地の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップを用いて決定される距離に制限速度を表示させ(S780:表示制御手段)、表示処理6を終了する。
【0068】
ここで、晴天時の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップ(晴天時におけるマップ)と、雨天時および市街地の車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップ(雨天時(市街地)におけるマップ)とを図8(b)に示す。
【0069】
晴天時におけるマップによれば、車間距離がA以下であれば制限速度の照射をしない。そして、車間距離がAより大きく、B(A<B)未満であれば、車間距離が大きくなるにつれて一次関数的に照射距離を大きくし、車間距離がB以上になれば照射距離を一定とする。
【0070】
また、雨天時におけるマップでは、晴天時におけるマップと同様に、車間距離がA以下であれば制限速度の照射をしない。そして、車間距離がAより大きく、B´(A<B´<B)未満であれば、晴天時におけるマップと同様の傾きで車間距離が大きくなるにつれて一次関数的に照射距離を大きくし、車間距離がB´以上になれば照射距離を一定とする。なお、市街地におけるマップについては、雨天時におけるマップと同様とする。
【0071】
つまり、雨天時および市街地では、車間距離がBよりも小さいB´以上の場合に、晴天時と比較して近い距離に照射位置(照射距離)を固定させるようにしている。
上記のライト制御装置6において、ライトECU10は表示処理6にて、速度の情報を表示させる際の表示の障害となる要素を検出する照度計14,ワイパ15,および車間距離検出装置17による検出結果を取得し、表示の障害となる検出結果が取得されると、速度の情報を表示させる際の表示位置を表示の障害とならない位置に変更する。具体的には、自車両の乗員は、車間距離が近づくにつれて、天候が悪くなるにつれて(晴れ、曇り、雨、雪の順で天候がよいものとする。)、或いは市街地を走行しているときに、遠方に表示された速度の情報を認識することが困難になると考えられる。このため、ライトECU10は表示処理にて、車間距離が近づくにつれて、天候が悪くなるにつれて、或いは市街地を走行しているときに、速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更する。
【0072】
従って、このようなライト制御装置6によれば、速度の情報を表示させる位置を変更することができるので、表示の障害となる要素が検出されたとしても、障害とならない位置に表示位置を変更することができるので、自車両の乗員が速度の情報を確認しやすくすることができる。
【0073】
[第7実施形態]
次に、第7実施形態のライト制御装置7について説明する。本実施形態のライト制御装置7においては、上記の表示処理1〜6に換えて表示処理7を実施する。図9は第7実施形態のライト制御装置7の概略構成を示すブロック図、図10(a)、図10(b)はライトECU10が実行する表示処理7,8のフローチャートである。
【0074】
第7実施形態のライト制御装置7では、上述のライト制御装置1〜5の構成に加えて、車間距離検出装置17、表示許可スイッチ(SW1)18、および強制表示スイッチ(SW2)19を備えている。なお、本実施形態において、表示処理6に関する処理を実施する場合には、照度計14およびワイパ15を備えていればよい。
【0075】
表示許可スイッチ18は、ON状態のときにピクセルライトシステム21の作動を許可し、OFF状態のときにピクセルライトシステム21の作動を禁止する。ただし、表示許可スイッチ18がON状態であっても、他の処理(表示処理)によってピクセルライトシステム21の作動が禁止されていれば、速度の情報が表示されることはない。
【0076】
強制表示スイッチ19は、ON状態のときに強制的にピクセルライトシステム21を作動させ、OFF状態のときには、表示許可スイッチ18および他の処理(表示処理)によってピクセルライトシステム21の作動が許可されていれば、速度の情報を道路上に表示させる。具体的には、図10(a)、図10(b)に示す表示処理7,8を並行して周期的に実施する。
【0077】
表示処理7では、図10(a)に示すように、まず、表示許可スイッチ(SW1)18がON状態であるか否かを判定する(S810)。表示許可スイッチ18がON状態であれば(S810:YES)、予め設定された表示処理(例えば、表示処理2〜6のうちの何れかような処理)を実施し(S820)、表示処理7を終了する。また、表示許可スイッチ18がOFF状態であれば(S810:NO)、直ちに表示処理7を終了する。
【0078】
次に、表示処理8では、図10(b)に示すように、まず、強制表示スイッチ(SW2)19がON状態であるか否かを判定する(S860)。強制表示スイッチ19がON状態であれば、ナビゲーションシステム11から現在の自車位置での制限速度の情報を取得し(S870:速度情報取得手段)、取得した制限速度の情報をピクセルライトシステム21に対して表示させ(S880:表示制御手段)、表示処理8を終了する。また、強制表示スイッチ19がOFF状態であれば(S860:NO)、表示処理8を終了する。
【0079】
なお、音声認識システム16を用いて表示許可スイッチ18および強制表示スイッチ19を作動させる構成にしてもよい。
このようなライト制御装置8によれば、速度の情報を乗員が表示させたいとき、表示させたくないときに応じて、速度の情報を表示させるか否かを任意に設定することができる。
【0080】
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0081】
例えば、上記実施形態においては、自車両の車速が指定車速以上であるか否かによって速度の情報を表示させるか否かを設定し、特に、表示を開始させる指定車速と、表示を終了する指定車速とを同じ速度に設定したが、これらは異なる速度に設定することもできる。
【0082】
表示処理2おける例について説明する。図11に示す変形例の表示処理2を示すフローチャートに示すように、S220にて、自車両の車速が予め指定車速2以上であるか否かを判定する(S220)。自車両の車速が指定車速2以上であれば(S220:YES)、S230以下の処理にて制限速度を道路上に表示させる。
【0083】
自車両の車速が指定車速2未満であれば(S220:NO)、自車両の車速が指定車速2よりも小さな値に設定された指定車速1以上であるか否かを判定する(S250)。
現在の車速が指定車速1以上であれば(S250:YES)、制限速度表示させる機能をOFF状態とし(S270)、表示処理2を終了する。また、現在の車速が指定車速1未満であれば(S250:NO)、前回の制限速度表示状態を保持して(S260:表示制御手段)、表示処理2を終了する。
【0084】
このような変形例の表示処理2によれば、図11(b)のヒスチャートに示すように、自車両の車速が指定車速2以上になると速度の情報を道路上に表示させ、自車両の車速が指定車速2未満になったとしても、指定車速1未満になるまでは速度の情報の表示を継続するようにしている。また、指定車速1未満になれば速度の情報の表示を終了し、再び指定車速2以上になるまでは速度の情報を表示させないようにしている。
【0085】
従って、このようなライト制御装置2の変形例によれば、速度の情報の表示・非表示が頻繁に繰り返されることを防止することができる。
また、第6実施形態におけるライト制御装置6においては、天候を判定する際にワイパ15の駆動状態を検出するようにしたが、例えば、レインセンサを利用したり、ナビゲーションシステム11等を利用して外部から天気情報を取得したりし、天気によって速度の情報の表示位置を変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態のライト制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の表示処理1を示すフローチャート(a)、および第2実施形態の表示処理2を示すフローチャート(b)である。
【図3】第3実施形態の表示処理3を示すフローチャートである。
【図4】第4実施形態の初期化処理を示すフローチャート(a)、および表示処理4を示すフローチャート(b)である。
【図5】表示処理4において制限速度を表示させる際のタイミングチャートである。
【図6】第5実施形態の表示処理5を示すフローチャートである。
【図7】第6実施形態のライト制御装置6の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第6実施形態の表示処理6を示すフローチャート(a)、並びに、晴天時、雨天時、および市街地における車間距離と制限速度照射距離とが対応するマップ(b)である。
【図9】第7実施形態のライト制御装置7の概略構成を示すブロック図である。
【図10】第7実施形態の表示処理7,8を示すフローチャートである。
【図11】変形例の表示処理2を示すフローチャート(a)、および表示処理2におけるヒスチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1〜8…ライト制御装置、10…ライトECU、11…ナビゲーションシステム、12…車速センサ、13…IGスイッチ、14…照度計、15…ワイパ、16…音声認識システム、17…車間距離検出装置、18…表示許可スイッチ、19…強制表示スイッチ、21…ピクセルライトシステム、22…ヘッドライト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、道路上に画像を投射する投射手段によって車両に関する情報を表示させる表示制御装置であって、
自車両の走行に関する速度の情報を取得する速度情報取得手段と、
前記投射手段を介して前記速度情報取得手段によって取得された速度の情報を表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記速度情報取得手段は、前記速度の情報を繰り返し取得し、
前記表示制御手段は、前記速度情報取得手段によって速度の情報が取得される度に前記速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示制御装置において、
前記速度情報取得手段によって取得された速度の情報が予め設定された参照速度よりも大きいか否かを判定する速度判定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記参照速度よりも大きいと判定された場合のみに前記速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示制御装置において、
前記速度情報取得手段は、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、
前記速度判定手段は、前記自車両の走行速度が前記参照速度よりも大きいか否かを判定し、
前記表示制御手段は、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記参照速度よりも大きいと判定された場合のみに前記制限速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の表示制御装置において、
前記速度情報取得手段は、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、
前記速度判定手段は、前記自車両の走行速度の情報が前記制限速度の情報よりも大きいか否かを判定し、
前記表示制御手段は、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記制限速度よりも大きいと判定された場合のみに前記制限速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項3〜請求項5の何れかに記載の表示制御装置において、
前記表示制御手段は、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記参照速度よりも大きいと判定された場合のみに前記速度の情報の表示を開始し、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記参照速度よりも小さな値に設定された第2参照速度未満になるまで前記速度の情報の表示を継続すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の表示制御装置において、
前記表示制御手段は、自車両が分岐点および合流点を含む交差点を通過したことを検出する通過検出手段から前記交差点を通過した旨の信号を受信すると、前記速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の表示制御装置において、
前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示の障害となる要素を検出する障害検出手段による検出結果を取得する障害取得手段と、
前記障害取得手段によって表示の障害となる検出結果が取得されると、前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を表示の障害とならない位置に変更する表示位置変更手段と、
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示制御装置において、
前記障害検出手段は、自車両の前方に位置する前方車両との車間距離を検出する車間距離検出手段による検出結果を取得し、
前記表示位置変更手段は、前記車間距離が近づくにつれて、前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の表示制御装置において、
前記障害検出手段は、天候を検出する天候検出手段による検出結果を取得し、
前記表示位置変更手段は、天候が悪くなるにつれて、前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更すること
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項11】
請求項8〜請求項10の何れかに記載の表示制御装置において、
前記障害検出手段は、自車両が市街地を走行していることを検出する市街地検出手段による検出結果を取得し、
前記表示位置変更手段は、自車両が市街地を走行しているときに、自車両が市街地以外を走行しているときと比較して、前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更すること
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れかに記載の表示制御装置において、
前記表示制御手段は、予め設定された一定時間だけ、走行状態または環境に関する情報を前記投射手段に対して表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項1】
車両に搭載され、道路上に画像を投射する投射手段によって車両に関する情報を表示させる表示制御装置であって、
自車両の走行に関する速度の情報を取得する速度情報取得手段と、
前記投射手段を介して前記速度情報取得手段によって取得された速度の情報を表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記速度情報取得手段は、前記速度の情報を繰り返し取得し、
前記表示制御手段は、前記速度情報取得手段によって速度の情報が取得される度に前記速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示制御装置において、
前記速度情報取得手段によって取得された速度の情報が予め設定された参照速度よりも大きいか否かを判定する速度判定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記参照速度よりも大きいと判定された場合のみに前記速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示制御装置において、
前記速度情報取得手段は、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、
前記速度判定手段は、前記自車両の走行速度が前記参照速度よりも大きいか否かを判定し、
前記表示制御手段は、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記参照速度よりも大きいと判定された場合のみに前記制限速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の表示制御装置において、
前記速度情報取得手段は、自車両の走行速度の情報および自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、
前記速度判定手段は、前記自車両の走行速度の情報が前記制限速度の情報よりも大きいか否かを判定し、
前記表示制御手段は、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記制限速度よりも大きいと判定された場合のみに前記制限速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項3〜請求項5の何れかに記載の表示制御装置において、
前記表示制御手段は、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記参照速度よりも大きいと判定された場合のみに前記速度の情報の表示を開始し、前記速度判定手段によって前記速度の情報が前記参照速度よりも小さな値に設定された第2参照速度未満になるまで前記速度の情報の表示を継続すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の表示制御装置において、
前記表示制御手段は、自車両が分岐点および合流点を含む交差点を通過したことを検出する通過検出手段から前記交差点を通過した旨の信号を受信すると、前記速度の情報を表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の表示制御装置において、
前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示の障害となる要素を検出する障害検出手段による検出結果を取得する障害取得手段と、
前記障害取得手段によって表示の障害となる検出結果が取得されると、前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を表示の障害とならない位置に変更する表示位置変更手段と、
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示制御装置において、
前記障害検出手段は、自車両の前方に位置する前方車両との車間距離を検出する車間距離検出手段による検出結果を取得し、
前記表示位置変更手段は、前記車間距離が近づくにつれて、前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の表示制御装置において、
前記障害検出手段は、天候を検出する天候検出手段による検出結果を取得し、
前記表示位置変更手段は、天候が悪くなるにつれて、前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更すること
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項11】
請求項8〜請求項10の何れかに記載の表示制御装置において、
前記障害検出手段は、自車両が市街地を走行していることを検出する市街地検出手段による検出結果を取得し、
前記表示位置変更手段は、自車両が市街地を走行しているときに、自車両が市街地以外を走行しているときと比較して、前記表示制御手段が前記速度の情報を表示させる際の表示位置を自車両に近い位置に変更すること
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れかに記載の表示制御装置において、
前記表示制御手段は、予め設定された一定時間だけ、走行状態または環境に関する情報を前記投射手段に対して表示させること
を特徴とする表示制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【公開番号】特開2009−166771(P2009−166771A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9254(P2008−9254)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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