説明

表示器組み込み保持部品及び表示器取り付け方法

【課題】表示面を保護するための保護シートが貼付された表示器をホルダに装着する際に、工数がかからず、製造コストの上昇要因とならない表示器及び表示器組み込み保持部品を提供する。
【解決手段】開口が形成される保持壁を有する枠部11と、保持壁14との間に空隙を設けて開口12に対向する位置に設けられる舌部15とを弾性部材により一体に形成して構成されるホルダ10と、ホルダ10に装着されることにより開口12から露出される表示面18aと、表示面18aを保護する保護シート36とを有する表示器18とを備え、表示器18は、保護シート36が表示面18aに貼付された状態でホルダ10に装着され、保護シート36は、表示器18に貼付された状態で突出する突出部36aを有し、突出部36aは表示器18がホルダ10に保持された状態では開口12から外部へ突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示器組み込み保持部品及び表示器取り付け方法に関し、特に、表示器に埃等が付着するのを防止する表示器を組み込むと共に表示器を保持する表示器組み込み保持部品及び表示器取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電子機器の表示器を保持する表示器保持部品が知られている。携帯電子機器である携帯電話装置には、例えば、メインとサブの2個の表示器を備えたものがあり、サブ表示器は、筐体の外ケース内面に直接取り付けられている。このサブ表示器の表示面に塵埃等が付着するのを防止するため、サブ表示器をスポンジ等の弾性部材により形成したシートを介して筐体に取り付けている。
【0003】
つまり、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)からなるサブ表示器に接触する筐体側にシートを貼り付けて、サブ表示器と筐体の間に生じる隙間を埋めることにより、筐体内部においてサブ表示器の表示面に塵埃等が入り込むのを防止している。
また、サブ表示器の筐体への固定は、例えば、サブ表示器の表示面を形成するガラス面の周辺を囲うように装着してサブ表示器を保持するプラスチックホルダを介して、即ち、サブ表示器を保持したプラスチックホルダを筐体に固定して行っている。
このような、表示器を保持したホルダを用いて筐体に表示器を装着するものとして、例えば、「LCD表示器取付け構造」(特許文献1参照)がある。
【0004】
ところで、携帯電話装置の製造工程において、サブ表示器は、例えば、外部配線用の配線部材を備えたLCDモジュールとして部品供給され、供給されたLCDモジュールは、プラスチックホルダに嵌め込むようにして装着される。このLCDモジュールは、供給時、ガラス面からなる表示面が傷付くのを防止するため、表示面に、表示面全域を覆う保護シートが貼付されている。
【特許文献1】特開平09−283950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の表示器をプラスチックホルダに装着する構造においては、LCDモジュールをプラスチックホルダに嵌め込む場合、保護シートを表示面に貼付したままにしておくと、後から保護シートを剥がすのが困難になるため、LCDモジュールをプラスチックホルダに嵌め込む前に保護シートを剥がす必要があった。また、LCDモジュールをプラスチックホルダに嵌め込んだ後に保護シートを剥がせるように、保護シートをLCDモジュールの外周より大きくすると、プラスチックホルダが保護シートを噛み込んでしまって、やはり後から保護シートを剥がすのが困難であった。
【0006】
つまり、従来の表示器をプラスチックホルダに装着する構造では、保護シートが貼付された状態で部品供給されたLCDモジュールに対し、プラスチックホルダに嵌め込む前に保護シートを剥がして嵌め込んだ後に保護シートを貼付する必要があったため、非常に工数がかかっていた。加えて、保護シートを、LCDモジュールから剥がした後、再度、LCDモジュールに貼付する迄に、ゴミ等が付着する虞があるため、クリーン度の高い環境或いは付着したゴミ等を取り除く作業を必要とし、製造コストが上昇する要因となっていた。
【0007】
本発明の目的は、表示面を保護するための保護シートが貼付された表示器をホルダに装着する際に、工数がかからず、製造コストの上昇要因とならない表示器組み込み保持部品及び表示器取り付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示器組み込み保持部品は、開口が形成される保持壁を有する枠部と、前記枠部の少なくとも一部に連続して形成されて前記保持壁の第1の面側において前記保持壁との間に空隙を設けて前記開口に対向する位置に設けられる背面保持部とを弾性部材により一体に形成して構成される表示器保持部品と、前記表示器保持部品に装着されることにより前記保持壁の第2の面側にて前記開口から露出される表示面と、前記表示面を保護する保護シートとを有する表示器と、を備え、前記表示器は、前記保護シートが前記表示面に貼付された状態で前記表示器保持部品に所定の装着方向にて前記表示器保持部品に装着され、前記保護シートは、前記表示器に貼付された状態にて前記所定の装着方向の先方となる一端から突出する突出部を有し、当該突出部は前記表示器が前記表示器保持部品に保持された状態では前記開口から外部へ突出することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記所定の装着方向に直交する方向における前記保護シートの長さは、前記所定の装着方向に直交する方向における前記開口内側長さ以下であることを特徴とすることが好ましい。
また、本発明は、前記表示器は、当該表示器に対する給電及び信号導通を行う外部配線が接続され、前記一端とは反対側である他端には前記外部配線からの給電及び信号を受けて前記表示面への導通を行う外部配線接続部が設けられることを特徴とすることが好ましい。
また、本発明は、前記背面保持部は、前記枠部との連結部を除いて前記枠部から切り離されて自由端を有するよう形成され、前記表示器は、前記連結部が前記一端側になるよう前記表示器保持部品に装着されることを特徴とすることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、前記保持壁を平面視したときの前記枠部の外形は矩形状に形成され、前記所定の装着方向は、前記背面保持部の前記自由端側から前記連結部に向かう方向であることを特徴とすることが好ましい。
また、本発明は、前記連結部近傍の背面保持部の厚みが背面保持部の他の部分に比べ薄肉に形成されていることを特徴とすることが好ましい。
本発明に係る表示器取り付け方法は、表示器を表示器保持部品に装着する表示器取り付け方法であって、前記表示器の表示面を覆いかつ前記表示器の一端から突出する突出部を有する形状の保護シートを前記表示器に貼付する工程と、前記保護シートの突出部が前記表示器保持部品の有する開口から前記表示器の装着方向先方側に突出させて前記表示器を装着する工程と、前記保護シートに覆われた前記表示面を前記開口から露出させた状態で前記表示器保持部品にて前記表示器の表裏面両側から挟み込み保持する工程と、前記表示器保持部品を、前記表示器の表示面の背面側に位置する第1の筐体構成部品に位置決め固定する工程と、を有することを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、前記保護シートを前記表示面から剥がして、前記表示面を露出させる工程と、前記表示器の背面側に位置決め固定した前記表示器保持部品を、前記表示器の表示面側に位置する第2の筐体固定部品の内面側に当接させた状態で、前記第1の筐体構成部品と第2の筐体構成部品とにより挟み込み、筐体内に組み込む工程と、をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示面を保護するための保護シートが貼付された表示器をホルダに装着する際に、工数がかからず、製造コストの上昇要因とならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示器を組み込むホルダを示し、(a)は表面側の斜視図、(b)は裏面側の斜視図である。図2は、図1(a)のホルダを詳細に示し、(a)はA−A線に沿う断面図、(b)はB−B線に沿う断面図である。
図1及び図2に示すように、ホルダ(表示器保持部品)10は、枠部11に囲まれた矩形状の開口12を有する矩形枠状体からなり、ゴム、スポンジ、軟質樹脂等の弾性部材を一体成型することにより形成されている。このホルダ10には、後述する薄板状の表示器18(図3参照)が組み込まれ保持される。
【0014】
枠部11は、少なくとも表示器18の厚み(肉厚)に相当する厚み(表裏面幅)を有しており、表面11a(第2の面)側には、一方の長辺部にカバー部13(図1(a)参照)が、他方の長辺部及び両短辺部に保持壁14(図1(a)参照)が、裏面11b(第1の面)側には、他方の長辺部に舌部(背面保持部)15(図1(b)参照)を、それぞれ有している。つまり、枠部11は、保持されるべき表示器18の周縁部を覆って表示面18aを露出させる開口12が形成される保持壁14を有する。また、枠部11は、裏面11b表示器18の外周を囲う壁状の側壁11cを有するように形成されており、カバー部13裏面側の側壁の中央部分が、配線部材を位置させるために切り欠かれている(図1(b)参照)。
【0015】
開口12は、表示器18の表示面18aを露出させることができる、表示面18aの形状に対応した開口形状を有している。カバー部13は、後述する外部配線接続部19を覆うことができる幅が広い薄板状に形成されている(図1参照)。保持壁14は、カバー部13に連続すると共に枠部11の側壁11cに対し内向きフランジ状に形成されている(図1,2参照)。
舌部15は、他方の長辺部から延び出て先端がカバー部13近傍に達する矩形状を有しており、一方の長辺部(即ち、カバー部13)側及び両短辺部側の3辺が枠部11から切り離され離間している(図1,2参照)。また、舌部15と枠部11の連結部となる枠部11の他方の長辺部Hが、枠部11に対し曲げ易くなるように、舌部15における他方の長辺部H以外の部分に比べ薄肉状態に形成されている(図1,2参照)。
【0016】
つまり、舌部15は、枠部11の特に側壁11c一部に連続する連結部をもって連続して形成されるとともに、この連結部を除き枠部11から切り離されて、開口周縁部(保持壁14)から表示器を保持可能な程度の空隙を持って、枠部11の第1の面に対向するように、かつ、開口12の範囲内に位置する形状を有して形成されており、表示面18aの背面側に位置している。このため、他方の長辺部Hを基部15aとして一方の長辺部側が自由端15bとなり、基部15aを支点に屈曲させて自由端15bを表面11a側及び裏面11b側に自由に変位させることができる。
このように、枠部11は、保持壁14により、保持した表示器18の表示面18a側周縁部を覆うと共に、表示面18aを露出させる開口12を形成しており、表面11a側と裏面11b側の間、即ち、カバー部13及び保持壁14と舌部15の間の空隙に、表示器18を挟み込むように収納し保持することができる。
【0017】
また、ホルダ10には、枠部11の表面11a側に、開口12を取り囲むように全周にわたって形成されると共に、所定間隔を有して内外二重に配置された、突条(第1突条)16aと突条(第2突条)16bが突設されている。2本の突条16a,16bは、それぞれ弾性部材からなる、枠部11の表示器視認方向に向けて突出する細い糸状のリブ形に形成されている。枠部11には、他方の長辺部(即ち、舌部15の基部15a側)の離間する2箇所と、各短辺部の一方の長辺部(即ち、カバー部13)側端の2箇所の計4箇所に、爪受け部(係止固定部)17が設けられている。各爪受け部17は、裏面11b側に開口する各辺に沿った長穴状に形成されている(図1(b)参照)。
【0018】
このホルダ10は、例えば、金型成型により形成することができるが、成型に際しアンダーカット部となる箇所を極力減らしているので、生産性の向上を図ることができる。つまり、ホルダ10にあっては、成型に際しアンダーカット部となる箇所が、舌部15の基部15aのみであり、保持壁14が形成された、舌部15の一方の長辺部(即ち、カバー部13)側及び両短辺部側の3辺部分は、裏面11b側が空間となっている(図1,2参照)。
【0019】
また、舌部15は、開口12の範囲内に位置しているので、ホルダ10の金型設計に際し抜き構造を容易に形成することができる。また、カバー部13裏面側で切り欠かれた枠部11の離間距離は、舌部15の横幅(自由端15b側辺の幅)と略同一に形成されており(図1(b)参照)、ホルダ10の金型設計に際し効果的である。更に、枠部11は、舌部15が形成されていない部分が、保持壁14を有するのみのL字状断面形状を有している(図2参照)ので、ホルダ10の金型設計に際し抜き構造を容易に形成することができる。
【0020】
なお、表示器18を保持するホルダ10が、基部15aで枠部11に接続し、基部15a以外は枠部11から切り離された舌部15を有することにより、金型によるホルダ10の成型後、舌部15をめくって金型からホルダ10を取り出すことができる。
図3は、図1のホルダに保持される表示器を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。図4は、図1のホルダに図3の表示器を装着した状態を示し、(a)は表面側の斜視図、(b)は裏面側の斜視図である。
【0021】
図3に示すように、ホルダ10に保持される表示器18は、液晶ディスプレイ(LCD)や有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)等からなる。表示器18の一方の長辺部側には、表示器18に対し給電及び信号導通を行う外部配線接続部19が形成されており、外部配線接続部19には、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)20が接続されている。外部配線接続部19は、表示面18aの外形線(短辺)を延長して形成した長方形状を有している。なお、表示器18には、自発光素子型の表示器、或いはバックライトを備えた表示器が用いられる。
【0022】
この表示器18は、例えば、外部配線接続部19を備えた表示器モジュールとして部品供給され、供給時、ガラス板からなる表示面18aが傷付くのを防止するため、表示面18aに、表示面全域を覆う矩形状の保護シート36が貼付されている。即ち、表示器18の表示面18aには、ホルダ10に保持された状態で、開口12から露出する表示面18aを覆うと共に、開口12からホルダの表示器装着方向先端側に突出して開口12の外部に位置する突出面36aを有する保護シート36が貼付されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、保護シート36は、表示面18aの長辺部方向長さxが、最大でホルダ10の開口12の長辺部長さを有すると共に、表示面18aの短辺部方向長さyが、少なくとも、ホルダ10の他方の長辺部(即ち、カバー部13に対向する辺)側から枠部11の外側にはみ出した長さを有している。つまり、保護シート36は、表示器装着方向に直交する方向である横幅xが、横幅x方向の開口12内側長さ以下であり、表示器装着方向である縦幅yが、外部配線接続部19上に位置してカバー部13内に入り込んだ状態で突出面36aをカバー部13に対向する枠部11の外側に位置させる長さを有している。
【0024】
このため、ホルダ10に装着された表示器18は、表示面18aを表面11a側に向けて枠部11に組み込まれるが、表示面18aに貼付された保護シート36は、ホルダに噛み込まれてしまうことなく、突出面36aを枠部11の外側に突出させている(図4参照)。即ち、ホルダ10は、表示器18を、開口12から露出する保護シート36の突出面36aが、開口12からホルダの表示器装着方向先端側に突出して開口12の外部に位置する状態に、保持している。
【0025】
図5は、表示器のホルダへの装着状況を説明し、(a)はホルダ表面側から見た斜視図、(b)はホルダ裏面側から見た斜視図である。図5に示すように、ホルダ10に表示器18を装着する場合、枠部11との間が開くように舌部15の自由端15bを枠部11から引き離した((b)矢印参照)状態にしたまま、FPC20が取り付けられていない側、即ち、保護シート36の突出面36aを先方に向けた表示器18を、カバー部13と舌部15の間に、特に側壁部と連結部の連続する箇所に、保護シート36の突出部36aが突出する側の表示器18の一辺が突きあてるように挿入する((a)矢印参照)。このとき、保護シート36は、枠部11に接触することなく表示器18と共に開口12を移動し、突出面36aは、カバー部13に対向する枠部11を乗り越えて枠部11の外側に位置する。
【0026】
その後、挿入した表示器18を、開口12を塞ぐように枠部11に嵌め込んで、枠部11に組み込む(図4参照)。枠部11に表示器18を組み込んだ後に、舌部15の保持を解除すると、弾性部材からなる舌部15は、直ぐに元の状態に復帰して表示器18の裏面18bに接触した状態になる。
枠部11に嵌め込んでホルダ10に装着された表示器18は、表示面18a側をカバー部13及び保持壁14に接触させると共に、裏面18b側を舌部15に接触させており、カバー部13及び保持壁14と舌部15によって表裏面両側から挟み込まれた状態になる。この状態で、表示器18は、表示面18aの全域を開口12から露出させる(図4参照)と共に、裏面18bの略全域が舌部15に覆われる。
【0027】
図6は、図1の表示器を保持したホルダが装着される携帯電子機器の斜視図である。図7は、図6の携帯電子機器の分解構成図である。図6に示すように、携帯電子機器である携帯電話装置21は、第1筐体(上側筐体)22と第2筐体(下側筐体)23が後述するヒンジ部31(図6参照)を介して連結され、第1筐体22と第2筐体23がヒンジ部31を軸に相互に接近・離反する方向に回動する折り畳み式構造を有している。
この携帯電話装置21には、第1筐体22の内面側に配置したメイン表示器(内蔵表示器)24(図7参照)と、外表面側に配置した、上述したホルダ10に組み込まれ保持された表示器18(図4参照)からなるサブ表示器の2つの表示器が備えられている。
【0028】
図7に示すように、第1筐体22は、メイン表示器24が装着される下ケース25、補強板金(板金部品)26、メイン基板27、サブ表示器18を保持したホルダ10が装着される上ケース(外部ケース)28、及び化粧パネル(加飾プレート)29を有しており、これら各部材を記載順に積み重ねて組み立てられている。下ケース25には、SOB(System On Board)基板(図示略)を組み込んだヒンジ部31が設けられている。
プレス成形により形成される補強板金26は、薄板状のメイン表示器24を補強すると共に表示器の静電気対策を兼ねており、ホルダ10の枠部11を取り付けて位置決め固定するための爪(係止手段)26aを4個有している。この爪26aは、例えば、板金からの切り起こしにより別部品を設けることなく形成され、枠部11に4箇所設けられた爪受け部17(図1(b)参照)に挿入係止する。
【0029】
メイン基板27には、メイン表示器24の駆動用デバイス等(図示しない)が形成されており、上ケース28と上ケース28の外表面に取り付けられる化粧パネル29には、サブ表示器18の表示面18aを露出させる開口28a,29aが開けられている。化粧パネル29の開口29aには、アクリル樹脂等の透明部材からなるウインドパネル32が装着される。
第2筐体23は、駆動用のバッテリ(図示しない)が装着された後に下ケース34の蓋をするバッテリケース33、基板等(図示しない)が装着される下ケース34、及び操作キー(図示しない)が装着される上ケース35を有しており、これら各部材を記載順に積み重ねて組み立てられている。下ケース34と上ケース35は、ヒンジ部31が取り付けられるヒンジ受け部34a,35aを有している。
【0030】
図8は、補助板金装着後の第1筐体の分解構成図である。図8に示すように、下ケース25に補助板金26を取り付けた後、サブ表示器18をホルダ10に装着して、サブ表示器18を保持したホルダ10を補助板金26に取り付ける。補助板金26にホルダ10を取り付けた後、補助板金26の上にメイン基板27を配置する。ホルダ10から露出するサブ表示器18のFPC20は、メイン基板27のコネクタ27aに接続される。このFPC20を介して、メイン基板27からサブ表示器18へ給電及び信号導通が行われる。
メイン基板27を配置した後、メイン基板27、サブ表示器18を保持したホルダ10、及び補助板金26を覆うように、下ケース25に上ケース28を取り付ける。上ケース28の外表面には化粧パネル29が取り付けられており、化粧パネル29の開口29aに嵌め込んだ透明なウインドパネル32により、上ケース28の開口28aから露出させたサブ表示器18の表示面18aが覆われる。
【0031】
図9は、ホルダの装着について説明し、(a)はホルダ取り付け前の斜視図、(b)はホルダ取り付け後の斜視図である。図9に示すように、第1筐体22の下ケース25にメイン基板27と共に組み込まれた補強板金26は、メイン基板27に設けられたホルダ10を配置するための空間から、4個の爪26aを露出させている((a)参照)。
この4個の爪26aに、枠部11の4箇所の爪受け部17をそれぞれ位置させて、補強板金26にホルダ10を載置し、爪受け部17を爪26aに軽く圧入して嵌合状態にする。このとき、爪26aは、爪受け部17を貫通することなく、爪受け部17内に位置する。これにより、サブ表示器18を保持したホルダ10は、補強板金26に位置決め固定され、表示面18aを上に向けた状態で下ケース25に装着される((b)参照)。
【0032】
つまり、メイン表示器24の表示面の背面側に配置された補強板金26に、表示面背面側方向に突出させて爪26aを形成し、この爪26aを爪受け部17に係止させて、補強板金26にホルダ10を固定する。
補助板金26に取り付けられたホルダ10は、保護シート36の突出面36aを、カバー部13に対向する枠部11を乗り越えて枠部11の外側に位置させている((b)参照)。
【0033】
そして、下ケース25に上ケース28を取り付けるとき、サブ表示器18に貼付されている保護シート36をサブ表示器18から剥がす。保護シート36は、突出面36aが枠部11の外側に位置しているので、突出面36aを摘んで簡単に剥がすことができる。つまり、保護シート36は、携帯電話装置21の本体組み立てにおける最後工程である上ケース28の取り付け直前まで剥がす必要がなく、当然、表示面18aは、最後工程直前まで保護シート36により覆われている。このため、表示面18aが傷付くのを防止する保護シート36の効果を最大限発揮することができる。
【0034】
図10は、表示器を保持したホルダのケース装着状態を示し、(a)は斜視断面図、(b)は拡大断面図である。図10に示すように、サブ表示器18を保持したホルダ10は、舌部15を補強板金26に接触させて第1筐体22の上ケース28に組み込まれており((a),(b)参照)、上ケース28の開口28aから露出するサブ表示器18の表示面18aは、ウインドパネル32に覆われている。
【0035】
図11は、第1筐体の上ケースを内面側から見た斜視図である。図11に示すように、第1筐体22の上ケース28には、開口28aにウインドパネル32が取り付けられている。この上ケース28を、ウインドパネル32がサブ表示器18の表示面18aを覆うように、下ケース25に装着する。上ケース28を下ケース25に装着することにより、上ケース28の開口28a周辺の内面Nには、ホルダ10の枠部11が圧着した状態になり、枠部11によって、サブ表示器18の表示面18aは上ケース28の内面Nとの間で隙間なく密閉される。従って、ホルダ10により、上ケース28の内面Nとサブ表示器18の間から塵埃が入り込むのを阻止して、表示面18aに塵埃が付着するのを防止することができる。特に、ホルダ10の圧着される開口28a周縁の内面Nは、凹凸のない平面に構成されており、密閉性が高められている。
【0036】
このように、ホルダ10の開口12から露出する表示面18aを覆って保護シート36が貼付されている表示気18を、保護シート36の突出面36aが開口12からホルダ10の表示器装着方向先端側に突出して開口12の外部に位置する状態に、表示器18の表裏面両側から挟み込み、弾性部材からなるホルダ10に装着し保持する工程と、ホルダ10を、表示器18の裏面18b側に位置する筐体構成部品である補強板金26に位置決め固定する工程と、保護シート36を表示面18aから剥がして、表示面18aを露出させる工程と、表示器18の裏面18b側に位置決め固定したホルダ10を、表示器18の表示面18a側に位置する補強板金26に内面側から接触させた状態で、筐体内に組み込む工程とを経て、表示器18がホルダ10を介して携帯電子機器である携帯電話装置21に取り付けられる。
【0037】
上述したように、保護シート36がLCDの表示面略全域を覆いつつ突出面36aをはみ出させた状態で貼付されて納入されたLCDモジュールを、そのままホルダ10に組み込むことにより、表示面18aに貼付された保護シート36を剥がさずに、組み込み工程に投入される。このため、最終工程でケースを取り付けるまで保護シートを貼付したままにすることができ、保護シートをホルダーに嵌め込む際に剥がしたり、工程途中で再度保護シートを貼付する必要がないので、工数の大幅な削減が可能になる。
【0038】
また、最終工程まで保護シートを剥がす必要がないため、LCDにゴミが付着せず、クリーン度の高い環境或いは付着したゴミ等を取り除く作業を必要としないので、クリーンルーム等の設備削減に大きく貢献することができ、製造コストの低減が可能になる。
また、サブ表示器18を、従来の表示器の筐体側に貼り付けたスポンジ等のシートを用いることなく、ゴム等の弾性部材からなるホルダ10のみで装着することができるため、防塵効果を兼ね備えた表示器装着構造を得ることができる。つまり、従来の表示器を保持する構造のように、表示器を保持するプラスチックホルダに加え、表示器のガラス面を保護するための別部材(例えば、弾性部材からなるシート)が必要になることがない。
【0039】
また、ホルダ10は、弾性部材からなる舌部15による舌構造を有するので、サブ表示器18をホルダ10に簡単、且つ、容易に装着することができ、サブ表示器18の組み込み工数を削減することができると共に、アンダーカット部を極力減らして生産性を向上させることができる。更に、サブ表示器18は、表示面18a側及び裏面18b側を含む略全周がゴム等の弾性部材により覆われているので、落下等により、ガラス板からなる表示面18aを有するサブ表示器18に衝撃が加わった場合でも、効果的に衝撃を吸収することができる。
【0040】
なお、上記実施の形態において、ホルダ10は、携帯電話装置のサブ表示器18を保持する例を示しているが、これに限らず、さらに他の表示器を保持して、同様に装着しても良いし、PDAやポータブルゲーム機、ナビゲーション、電子辞書などの他の携帯電子機器において実施しても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示器を組み込むホルダを示し、(a)は表面側の斜視図、(b)は裏面側の斜視図である。
【図2】図1(a)のホルダを詳細に示し、(a)はA−A線に沿う断面図、(b)はB−B線に沿う断面図である。
【図3】図1のホルダに保持される表示器を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【図4】図1のホルダに図3の表示器を装着した状態を示し、(a)は表面側の斜視図、(b)は裏面側の斜視図である。
【図5】表示器のホルダへの装着状況を説明し、(a)はホルダ表面側から見た斜視図、(b)はホルダ裏面側から見た斜視図である。
【図6】図1の表示器を保持したホルダが装着される携帯電子機器の斜視図である。
【図7】図6の携帯電子機器の分解構成図である。
【図8】補助板金装着後の第1筐体の分解構成図である。
【図9】ホルダの装着について説明し、(a)はホルダ取り付け前の斜視図、(b)はホルダ取り付け後の斜視図である。
【図10】表示器を保持したホルダのケース装着状態を示し、(a)は斜視断面図、(b)は拡大断面図である。
【図11】第1筐体の上ケースを内面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
10 ホルダ
11 枠部
11a 表面
11b 裏面
12 開口
13 カバー部
14 保持壁
15 舌部
15a 基部
15b 自由端
16a,16b 突条
17 爪受け部
18 表示器
18a 表示面
18b 裏面
19 外部配線接続部
20 FPC
21 携帯電話装置
22 第1筐体
23 第2筐体
24 メイン表示器
25 下ケース
26 補強板金
26a 爪
27 メイン基板
28 上ケース
28a,29a 開口
29 化粧パネル
30 SOB基板
31 ヒンジ部
32 ウインドパネル
33 バッテリケース
33a,34a,35a ヒンジ受け部
34 下ケース
35 上ケース
36 保護シート
36a 突出面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成される保持壁を有する枠部と、前記枠部の少なくとも一部に連続して形成されて前記保持壁の第1の面側において前記保持壁との間に空隙を設けて前記開口に対向する位置に設けられる背面保持部とを弾性部材により一体に形成して構成される表示器保持部品と、
前記表示器保持部品に装着されることにより前記保持壁の第2の面側にて前記開口から露出される表示面と、前記表示面を保護する保護シートとを有する表示器と、を備え、
前記表示器は、前記保護シートが前記表示面に貼付された状態で前記表示器保持部品に所定の装着方向にて前記表示器保持部品に装着され、
前記保護シートは、前記表示器に貼付された状態にて前記所定の装着方向の先方となる一端から突出する突出部を有し、当該突出部は前記表示器が前記表示器保持部品に保持された状態では前記開口から外部へ突出することを特徴とする表示器組み込み保持部品。
【請求項2】
前記所定の装着方向に直交する方向における前記保護シートの長さは、前記所定の装着方向に直交する方向における前記開口内側長さ以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示器組み込み保持部品。
【請求項3】
前記表示器は、当該表示器に対する給電及び信号導通を行う外部配線が接続され、前記一端とは反対側である他端には前記外部配線からの給電及び信号を受けて前記表示面への導通を行う外部配線接続部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示器組み込み保持部品。
【請求項4】
前記背面保持部は、前記枠部との連結部を除いて前記枠部から切り離されて自由端を有するよう形成され、
前記表示器は、前記連結部が前記一端側になるよう前記表示器保持部品に装着されることを特徴とする請求項3に記載の表示器組み込み保持部品。
【請求項5】
前記保持壁を平面視したときの前記枠部の外形は矩形状に形成され、前記所定の装着方向は、前記背面保持部の前記自由端側から前記連結部に向かう方向であることを特徴とする請求項4に記載の表示器組み込み保持部品。
【請求項6】
前記連結部近傍の背面保持部の厚みが背面保持部の他の部分に比べ薄肉に形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の表示器組み込み保持部品。
【請求項7】
表示器を表示器保持部品に装着する表示器取り付け方法であって、
前記表示器の表示面を覆いかつ前記表示器の一端から突出する突出部を有する形状の保護シートを前記表示器に貼付する工程と、
前記保護シートの突出部が前記表示器保持部品の有する開口から前記表示器の装着方向先方側に突出させて前記表示器を装着する工程と、
前記保護シートに覆われた前記表示面を前記開口から露出させた状態で前記表示器保持部品にて前記表示器の表裏面両側から挟み込み保持する工程と、
前記表示器保持部品を、前記表示器の表示面の背面側に位置する第1の筐体構成部品に位置決め固定する工程と、を有する表示器取り付け方法。
【請求項8】
前記保護シートを前記表示面から剥がして、前記表示面を露出させる工程と、
前記表示器の背面側に位置決め固定した前記表示器保持部品を、前記表示器の表示面側に位置する第2の筐体固定部品の内面側に当接させた状態で、前記第1の筐体構成部品と第2の筐体構成部品とにより挟み込み、筐体内に組み込む工程と、をさらに有する請求項7に記載の表示器取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−298574(P2007−298574A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124429(P2006−124429)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】