説明

表示器

【課題】消費電力が少なくデザインの自由度が高いLEDを光源として用いた表示器1であって、グレアの発生を抑え、点灯時に徐々に明るく点灯する表示器1を提供する。
【解決手段】表示器1は、移動体に取り付けられて所定の操作により点滅する表示器1であって、中心から異径同心円状又は中心を同じくする異なる大きさの相似多角形状に配置される複数のLEDと、該LEDの点灯及び消灯を制御するCPU10と、を備え、前記制御部は、所定の操作が行われた場合に、前記LEDを中心から外周方向に順に点灯する制御を行うとともに、全てのLEDが点灯した後、当該点灯した全てのLEDを同時に消灯する点滅を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に自動車などの移動体に取り付けられて、移動方向を表示する方向指示器、又は後続車に注意を促すハザードランプの機能を果たす表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車及び自動二輪車には、橙色の点滅する電球が左右に設けられており、左右いずれか一方を点滅させることにより周囲に方向を伝える方向指示器として用いられるとともに、両方を点滅させることにより、周囲に危険を伝えるハザードランプとして用いられる表示器が取り付けられている。
【0003】
近年では上述のような表示器において、消費電力を減らすことができ、デザインの自由度が高い等の理由から電球に代えて複数のLEDを光源とする表示器が知られている。このような表示器の光源となるLEDは指向性が高く、また、このような表示器の中には、極めて多数のLEDを配置するものもあることから、点滅するこの表示器を見た場合に、不快グレアが発生する問題があった。そこで、特に近年ではLEDの指向性の高さから発生する不快グレア等の問題を解決するために、拡散性を高めたリフレクタを用いた表示器が種々提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−053235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしLEDは、熱慣性がほとんどなく電源の断続に対して応答性が高いので、方向指示器やハザードランプのように、点滅する表示器の光源として用いた場合、瞬時に点灯時と消灯時とを繰り返すため明暗の差が大きくなりグレアが発生し易い問題がある。特に、LEDを用いた表示器には多数のLEDが用いられることが多く、多数のLEDが同時に点灯及び消灯を繰り返すと、より明暗の差が大きくなるので、よりグレアが発生し易くなる問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、消費電力が少なくデザインの自由度が高いLEDを光源として用いた表示器であって、グレアの発生を抑え、点灯時に徐々に明るく点灯する表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の表示器は、移動体に取り付けられて所定の操作により点滅する表示器であって、中心から異径同心円状又は中心を同じくする異なる大きさの相似多角形状に配置される複数のLEDと、該LEDの点灯及び消灯を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、所定の操作が行われた場合に、前記LEDを中心から外周方向に順に点灯する制御を行うとともに、全てのLEDが点灯した後、当該点灯した全てのLEDを同時に消灯する点滅を繰り返すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、複数のLEDを中心から異径同心円状又は中心を同じくする異なる大きさの相似多角形状に配置するので、デザインに応じて様々な多角形状の表示器とすることができ、また、LEDを用いることで消費電力を少なくすることができる。そして、点灯時に中心に配置されたLEDが点灯し、続いて外周方向に順に点灯するので、点灯が開始してから全てのLEDが点灯するまでに時間があり、明暗差によるグレアが発生しにくい。また、このように点灯時に徐々に明るく点灯することにより、LEDと比べて熱慣性が大きい電球を用いた表示器に似た点灯をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の表示器の回路基板の電気的構成を示すブロック図。
【図2】本発明の表示器の外観構成を説明する正面図。
【図3】本発明の表示器の点滅動作の制御を示すフローチャート。
【図4】本発明の表示器の点滅動作時の点灯パターンを示す正面図。
【図5】本発明の表示器の別の実施形態を示す正面図。
【図6】別の実施形態の表示器の点滅動作時の点灯パターンを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る表示器1の一例について各図を参照しつつ説明する。本実施形態に係る表示器1は、図示しないが例えば自動車の後部の両側部にそれぞれ設置されており、一方を点滅させることで方向指示器の役割を果たすとともに、両方を点滅させることでハザードランプの役割を果たす表示器1である。なお、本発明の表示器1を取り付ける「移動体」は自動車に限定されるものではなく、例えば自動二輪車、自転車その他の周辺に視認させるための表示器1を備える種々の移動体に取り付けることができる。この表示器1は、例えばテールランプ2と一体となってリアコンビネーションランプ3を構成している。
【0011】
表示器1は、図1に示すように、CPU10、ROM11、RAM12、インターフェース13、第1のLEDスイッチ14、第2のLED群スイッチ15、第3のLED群スイッチ16、第4のLED群スイッチ17、第1のLED18、第2のLED群19、第3のLED群20、第4のLED群21、等が配置された円盤形状の回路基板22と、LEDを覆うカバー体23と、により構成されている。なお、本発明の表示器1はこのような回路基板22を有するものに限定されるものではなく、各LEDを後述のように点灯及び消灯制御することができる種々の制御回路等を用いることができる。
【0012】
CPU10は、ROM11に記憶された制御プラグラムにしたがって、各LEDの点灯及び消灯を制御するものである。ROM11は、CPU10により動作する制御プログラムが記憶されている。RAM12は、インターフェース13が受信した信号及びコマンドを一時的に記憶している。インターフェース13は、ウインカースイッチ及びハザードスイッチからの信号を受信し、又は、自動車の各部を制御している主制御基板からのコマンドを受信するものである。
【0013】
円盤状の回路基板22の自動車に取付けたときに外側を向く面には、図2に示すように、中心に1つのLEDが第1のLED18として配置されており、この中心のLEDから等しい距離を離間させて、その外側に5個のLEDが第2のLED群19として配置されている。そして、さらにこれらの第2のLED群19の外側に中心から等間隔であって、それぞれのLEDの間隔も等しくなるように、12個のLEDが第3のLED群20として配置されている。そして、この12個のLEDの外側にも中心から等しい距離を離間させて等間隔に12個のLEDが第4のLED群21として配置されている。
【0014】
各LEDスイッチ14、15、16、17は、CPU10からのコマンドにしたがって、これら第1のLED18、第2のLED群19、第3のLED群20、及び第4のLED群21に電力を供給し、又は電力を遮断するものである。カバー体23は、第1のLED18、第2のLED群19、第3のLED群20、及び第4のLED群21を覆うように黄色半透明の樹脂により形成されている。このカバー体23の各LEDの位置にはそれぞれ発光したLEDの光を通過させて拡散させるレンズ24が形成されている。
【0015】
なお、本表示機の周囲にはさらにテールランプ用LED25が配置されており、これらのテールランプ用LED25を覆うようにドーナツ状の赤色半透明の樹脂からなるテールランプ用カバー体26が形成されており、リアコンビネーションランプ3を形成しているが、このようなテールランプ2と、方向指示器及びハザードランプとして用いる表示器1とは別体として自動車の後面にそれぞれ設けてもよい。
【0016】
次にこのような表示器1の点滅制御について、図3及び図4を参照しつつ説明する。図4(A)に示すように、全てのLED18,19,20,21が消灯された状態で、すなわち、全てのLEDスイッチ14,15,16,17がOFFの状態で、図示しない自動車のハンドル下に設けられたウインカースイッチを右折方向に作動させると、自動車の後部右側に取り付けられた表示器1に点滅操作をすべき旨の信号が送信される。そして、表示器1のCPU10はインターフェース13が点滅すべき旨の信号を受け取ると、RAM12の所定領域に設けられた点滅操作なされた旨のフラグをONする。そして、CPU10は、図3に示すように、ROM11に記憶されている制御プログラムに基づいて、点滅操作がなされた旨のフラグがONしているか否か判断する(S200)。フラグがONしていると判断すると(S200:YES)、次に、CPU10は、第1のLEDスイッチ14をONする処理を行う(S201)。第1のLEDスイッチ14がONすると、図4(B)に示すように、第1のLED18に電源が供給され、第1のLED18が発光して、その光がカバー体23のレンズ24を通過して黄色に変換して拡散する。一方、点滅操作なされた旨のフラグがOFFであると判断すると(S200:NO)、そのまま、この処理を終了する。
【0017】
第1のLED18を点灯すると(S201)、次に、CPU10は第1のLED18が点灯してから所定時間経過したか否か判断する(S202)。ここで所定時間は表示器1の所望の点滅速度から算出される時間が予め設定されており、例えば10ミリ秒程度でよい。第1のLED18の点灯から所定時間経過したと判断すると(S202:YES)、次に、CPU10は、第2のLED群スイッチ15をONする(S203)。第2のLED群スイッチ15がONすると、図4(C)に示すように、第2のLED群19に電源が供給され、第2のLED群19が発光して、その光がカバー体23のレンズ24を通過して黄色に変換して拡散する。一方、第1のLED18の点灯から所定時間経過していないと判断すると(S202:NO)、所定時間経過するまで処理を待機する。
【0018】
第2のLED群19を点灯すると(S203)、次に、CPU10は第2のLED群19が点灯してから所定時間経過したか否か判断する(S204)。第2のLED群19の点灯から所定時間経過したと判断すると(S204:YES)、次に、CPU10は、第3のLED群スイッチ16をONする(S205)。第3のLED群スイッチ16がONすると、図4(D)に示すように、第3のLED群20に電源が供給され、第3のLED1群20が発光して、その光がカバー体23のレンズ24を通過して黄色に変換して拡散する。一方、第2のLEDの点灯から所定時間経過していないと判断すると(S204:NO)、所定時間経過するまで処理を待機する。
【0019】
第3のLED群20を点灯すると(S205)、次に、CPU10は第3のLED群20が点灯してから所定時間経過したか否か判断する(S206)。第3のLED群20の点灯から所定時間経過したと判断すると(S206:YES)、次に、CPU10は、第4のLED群スイッチ17をONする(S207)。第4のLED群スイッチ17がONすると、図4(E)に示すように、第4のLED群21に電源が供給され、第4のLED群21が発光して、その光がカバー体23のレンズ24を通過して黄色に変換して拡散する。一方、第3のLEDの点灯から所定時間経過していないと判断すると(S206:NO)、所定時間経過するまで処理を待機する。
【0020】
第4のLED群21を点灯すると(S207)、次に、CPU10は第4のLED群21が点灯してから所定時間経過したか否か判断する(S208)。第4のLED群21の点灯から所定時間経過したと判断すると(S208:YES)、次に、CPU10は、第1のLEDスイッチ14、第2のLED群スイッチ15、第3のLED群スイッチ16、及び第4のLED群スイッチ17を全てOFFにする処理を行う(S209)。全てのLEDスイッチ14,15,16,17をOFFにすると、図4(A)に示すように、各LED18,19,20,21に対する電力の供給が遮断され、全てのLED18,19,20,21が消灯する。一方、第4のLED17の点灯から所定時間経過していないと判断すると(S208:NO)、所定時間経過するまで処理を待機する。
【0021】
全てのLED18,19,20,21を消灯すると、ステップS200に処理を戻して、RAM12の所定領域に記憶された点滅操作がなされた旨のフラグがONしているか否か判断する(S200)。ここで、図示しないハンドル下に設けられたウインカースイッチが右折方向から戻されると、自動車の後部右側に取り付けられた表示器1に点滅操作を停止すべき旨の信号が送信される。そして、表示器1のCPU10はインターフェース13が点滅操作を停止すべき旨の信号を受け取ると、RAM12の所定領域に設けられた点滅操作なされた旨のフラグをOFFする。
【0022】
このように、本実施形態の表示器1は、LEDを用いることで消費電力を抑えつつ、第1のLED18の点灯から第2のLED群19、第3のLED群20、第4のLED群21の順に点灯させることで、光度を徐々に上げることができ、急激に光度を上げた場合に、当該表示器1の光を見た者の瞳孔が調節できないことにより発生するグレアを抑制することができる。また、このように点灯時に徐々に明るく点灯することにより、LEDと比べて熱慣性が大きく、従来から用いられている電球を用いた表示器1に似た点灯をさせることができる。
【0023】
なお、本実施形態においては、例えば、第1のLED18の点灯から第2のLED群19の点灯までの所定時間、第2のLED群19の点灯から第3のLED群20の点灯までの所定時間、第3のLED群20の点灯から第4のLED群21の点灯までの所定時間、第4のLED群21の点灯から全てのLED18,19,20,21の消灯までの所定時間、及び全てのLED18,19,20,21の消灯から第1のLED18の点灯までの所定時間を、それぞれ10ミリ秒とした。このように設定すると、表示器1全体としては50ミリ秒毎間隔で点滅することになり、一分当り120回点滅するので道路運送車輌法の保安基準をみたす。なお、点滅間隔はこれに限定されず道路運送車輌法の保安基準に定められた毎分60回から120回をみたす点滅間隔であればよい。
【0024】
なお、本実施形態においては、第1のLED18、第2のLED群19、第3のLED群20、第4のLED群21を順に点灯する構成としたが、例えば、第1のLED18及び第2のLED群19は同時に点灯し、その後、第3のLED群20が点灯し、さらにその後、第4のLED群21が点灯するように構成してもよい。このように構成しても、表示器1全体としては、中心から順に外周方向に点灯することになり徐々に明るく点灯するので不快グレアを防ぐことができる。
【0025】
なお、本発明の実施の形態は、本実施形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【0026】
例えば、別の実施例として、図5及び図6に示すように、長方形状の回路基板22に異なる大きさであって中心を同じくする相似形の長方形上にLEDを配置してもよい。なお、この実施例においても、表示器1を制御する構成は、上述の実施形態のものと同様のものでよいため、制御ブロックの説明は省略する。本実施形態においては、消灯された状態から例えば図6(A)に示すように、まず中心に配置された2個のLED群に電力が供給され発光するように制御する。そして次に、図6(B)に示すように、中心の2個のLED27の外側に長方形状に配置されたLED27群に電力が供給され発光するように制御する。そして、さらに、図6(C)図6(D)に示すように、内側のLED27を先に点灯させ、徐々に外側に向かってLED27を点灯させる。このように、LED27の配置は異径同心円上に限定されるものではなく、四角形その他の多角形状であってもよい。また、相似形の星型、ハート型などのように、LEDの配列を種々のデザインに構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、例えば自動車のリアコンビネーションランプ3に用いられる方向指示器として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 表示器
10 CPU(制御部)
18 第1のLED(LED)
19 第2のLED群(LED)
20 第3のLED群(LED)
21 第4のLED群(LED)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられて所定の操作により点滅する表示器であって、
中心から異径同心円状又は中心を同じくする異なる大きさの相似多角形状に配置される複数のLEDと、
該LEDの点灯及び消灯を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、所定の操作が行われた場合に、前記LEDを中心から外周方向に順に点灯する制御を行うとともに、全てのLEDが点灯した後、当該点灯した全てのLEDを同時に消灯する点滅を繰り返すことを特徴とする表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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