説明

表示性能測定装置、表示性能測定方法、およびプロジェクター装置

【課題】画像光を出力する画像光出力装置の画素の表示性能を高精度に測定する。
【解決手段】検査対象であるプロジェクター装置10から出力される、テストパターンを含む画像の画像光PLの照射を受けてテストパターン画像を表示する投射スクリーン20と、投射スクリーン20の表示面内に撮像面を配置して設けられ、テストパターン画像を撮像して第1画像信号〜第9画像信号を生成する撮像装置30−1〜30−9と、第1画像信号〜第9画像信号を取り込み、テストパターン画像に基づいて、プロジェクター装置10における画素の表示性能を測定して測定情報を生成する画像解析部41とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示性能測定装置、表示性能測定方法、およびプロジェクター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象である液晶パネルに検査画像を表示させてその画像光をフロントタイプの投射スクリーンに投射させ、この投射スクリーンに表示された検査画像をカメラにより検出させて当該液晶パネルの点欠陥の有無を検査する液晶パネル検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、所定間隔に配置される複数の表示点を示す画像光を透過スクリーンの一方の面に投射させて他方の面に画像を表示させ、その他方の面の前面に配置した透明物体を通して得られる表示画像をカメラにより撮像させて、当該透明物体の透視歪を検査する歪検査装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−45675号公報
【特許文献2】国際公開第2008/149712号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された液晶パネル検査装置において、フロントタイプの投射スクリーンに表示された検査画像を高精細に、例えば画素を解析可能に撮影するためには、カメラを投射スクリーンに近付けて撮影することが有効である。しかしながら、カメラを投射スクリーンに近付け過ぎると、投射される画像光をカメラが遮ることとなるため、その接近距離には限界がある。
【0006】
この問題を回避するために、焦点距離がより長いレンズを装備したカメラを用いる方法が考えられるが、カメラに微小振動が発生した場合に、その微小振動が撮像画像に与える影響が大きくなるため、画素レベルの解析を行うための高精細画像の撮影には向いていない。
また、特許文献2に開示された歪検査装置のように、背面投射型方式を採用することも考えられるが、透過スクリーンの光拡散作用によって画像光の偏光特性が変化し、画素レベルの高精度な計測に支障を来たしてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、画像光を出力する画像光出力装置の画素の表示性能を高精度に測定する、表示性能測定装置、表示性能測定方法、およびプロジェクター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である表示性能測定装置は、検査対象である画像光出力装置から出力される、テストパターンを含む画像の画像光の照射を受けてテストパターン画像を表示するスクリーンと、前記スクリーンの表示面内に撮像面を配置して設けられ、前記テストパターン画像を撮像して画像信号を生成する撮像部と、前記撮像部が生成した前記画像信号を取り込み、前記画像信号におけるテストパターン画像に基づいて、前記画像光出力装置における画素の表示性能を測定して測定情報を生成するテストパターン解析部と、を備えることを特徴とする。
ここで、画像光出力装置は、例えばプロジェクター装置である。また、スクリーンは、前面投射型の投射スクリーン(フロントスクリーン)である。
このように構成したことにより、撮像部は、検査対象である画像光出力装置から出力される画像光を遮ることなく受光することができる。また、撮像部は、撮像レンズ光学系を備えていないため、当該撮像レンズ光学系による光学歪の影響を排除することができる。また、撮像部自体の解像度に依存した分解能による画像解析を行うことができる。また、透過スクリーン(拡散スクリーン)が有する光拡散作用がないため、画像光の偏光特性が変化して画素レベルの高精度な計測に支障を来たすことがない。
【0009】
[2]上記[1]記載の表示性能測定装置において、テストパターンを含む画像を発生させて、前記画像を前記画像光出力装置に供給するテストパターン発生部をさらに備え、前記テストパターン解析部は、前記画像信号にテストパターン画像が含まれていないと判定した場合、位置変更指示情報を前記テストパターン発生部に供給し、前記テストパターン発生部は、前記テストパターン解析部から供給された前記位置変更指示情報を取り込むと、前記テストパターンの位置を変更した画像を発生させることを特徴とする。
このように構成したことにより、画像光出力装置とスクリーンとの配置関係によって生ずるスクリーン上の表示画像の位置ずれや歪みの影響をなくして、撮像部が確実にテストパターン画像を取り込むことができる。
[3]上記[1]または[2]記載の表示性能測定装置において、前記テストパターン解析部は、前記画像信号におけるテストパターン画像に基づいて、前記画像光出力装置における画素に相当する画像領域同士の位置ずれ量と前記画素に相当する画像領域におけるフレアとの少なくとも一方を測定して測定情報を生成することを特徴とする。
[4]上記[1]から[3]いずれか一項記載の表示性能測定装置において、前記撮像部は、前記スクリーンの表示面と前記撮像面とを平行にして設けられることを特徴とする。
[5]上記[1]から[4]いずれか一項記載の表示性能測定装置において、前記撮像部は、減光フィルターと赤外光カットフィルターとの少なくとも一方を備えることを特徴とする。
[6]上記[1]から[5]いずれか一項記載の表示性能測定装置において、前記テストパターンは、前記画像光出力装置における赤色画素と青色画素と緑色画素とが相互に近接して構成されることを特徴とする。
ここで、近接は、画素同士がX軸方向またはY軸方向に隣接すること、および画素同士が一画素分ずれることを含む。
【0010】
[7]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である表示性能測定方法は、検査対象である画像光出力装置が出力する、テストパターンを含む画像の画像光の照射を受けてテストパターン画像をスクリーンに表示させる表示ステップと、前記スクリーンの表示面内に撮像面を配置して設けられた撮像部が、前記テストパターン画像を撮像して画像信号を生成する撮像ステップと、前記撮像ステップにおいて、前記撮像部が生成した前記画像信号を取り込み、前記画像信号におけるテストパターン画像に基づいて、前記画像光出力装置における画素に相当する画像領域同士の位置ずれ量と前記画素に相当する画像領域におけるフレアとの少なくとも一方を測定して測定情報を生成する解析ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
[8]上記の課題を解決するため、本発明の一態様であるプロジェクター装置は、テストパターンを含む画像を生成するテストパターン生成部と、前記テストパターン生成部が生成した前記画像を形成する表示部と、前記表示部に形成された前記画像の画像光を投射する投射光学系と、前記投射光学系が投射した前記画像光が照射されて表示されるテストパターン画像を撮像して画像信号を生成する撮像部と、前記撮像部が生成した前記画像信号を取り込み、前記画像信号におけるテストパターン画像に基づいて、前記画像における画素に相当する画像領域同士の位置ずれ量と前記画素に相当する画像領域におけるフレアとの少なくとも一方を測定して測定情報を生成するテストパターン解析部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
[9]上記[8]記載のプロジェクター装置において、前記テストパターン解析部が生成した前記測定情報に基づいて前記画像を補正する補正処理部をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
上記本発明の各態様によれば、画像光を出力する画像光出力装置の画素の表示性能を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態である表示性能測定装置を適用した測定システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における撮像装置の概略の機能構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における画像解析部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態において、投射スクリーンに表示されるプロジェクター装置のフレーム画像と、当該投射スクリーンに配設される9台の撮像装置それぞれの撮像部の撮像面との対応関係を模式的に示す図である。
【図5】図4における撮像面331にテストパターンが形成された様子を模式的に表す図である。
【図6】画像データにおけるテストパターンを模式的に表す図である。
【図7】画素ずれ量情報のデータ構成を示す図である。
【図8】フレア情報のデータ構成を示す図である。
【図9】同実施形態における画像評価装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態の第1変形例において、投射スクリーンに表示されるプロジェクター装置のフレーム画像と、当該投射スクリーンに配設される9台の撮像装置それぞれの撮像部の撮像面との対応関係を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態である表示性能測定装置を適用した測定システムの概略構成を示すブロック図である。
【図12】同実施形態における画像解析部の機能構成を示すブロック図である。
【図13】同実施形態におけるプロジェクター装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】液晶パネル表示装置を検査対象装置とした場合に、撮像装置が測定を行っている様子を模式的に表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1実施形態である表示性能測定装置を適用した測定システムの概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、測定システム1は、プロジェクター装置10と、投射スクリーン20と、撮像装置(撮像部)30−1〜30−9と、画像評価装置40と、表示装置50とを含んで構成される。
なお、本実施形態では、撮像装置30−1〜30−9のいずれか1台を指す場合に、撮像装置30と呼ぶこともある。また、本実施形態では、撮像装置30を9台用いた例について説明するが、その台数は9台に限られることなく、1台でも複数台でもよい。
【0016】
プロジェクター装置10は、測定システム1における検査対象の画像光出力装置である。プロジェクター装置10は、画像評価装置40から供給されるテストパターンデータを取り込み、そのテストパターンデータによるテストパターン画像の画像光PLを、投射光学系から投射スクリーン20に向けて投射する。プロジェクター装置10は、例えば、光源と、導光光学系と、液晶パネル(表示部)と、投射光学系とを装備した液晶プロジェクター装置により実現される。
【0017】
投射スクリーン20は、前面投射型(フロントタイプ)のスクリーンであり、プロジェクター装置10から投射される画像光PLを受けてテストパターン画像を表示する。
【0018】
撮像装置30−1〜30−9は、各受光側(撮像面側)をプロジェクター装置10の投射光学系側に向けて、投射スクリーン20の所定位置に配設される。撮像装置30−1〜30−9は、到来する画像光PLにより形成される像を撮像して得る第1画像信号〜第9画像信号を画像評価装置40に供給する。投射スクリーン20における撮像装置30−1〜30−9の配置については後述する。
【0019】
画像評価装置40は、テストパターンデータを生成してプロジェクター装置10に供給する。また、画像評価装置40は、撮像装置30から供給される画像信号を取り込み、この画像信号による画像データ(例えば、640画素×640画素)にテストパターンが含まれている場合に、このテストパターンを解析してプロジェクター装置10の表示性能を測定する。
【0020】
画像評価装置40は、その機能構成として、画像解析部41と、テストパターン発生部42とを備える。
テストパターン発生部42は、テストパターンを含むフレーム画像(例えば、1920画素×1080画素)のデータであるテストパターンデータを発生させて、このテストパターンデータをプロジェクター装置10に供給する。また、テストパターン発生部42は、画像解析部41からテストパターンの位置の変更指示(位置変更指示情報)を受けると、フレーム画像におけるテストパターンの位置をずらして配置したテストパターンデータを発生させて、このテストパターンデータをプロジェクター装置10に供給する。これは、プロジェクター装置10とスクリーン20との配置関係によって生ずるスクリーン20上の表示画像の位置ずれや歪みの影響をなくして、撮像装置30が確実にテストパターン画像を取り込むための処理である。
【0021】
画像解析部41は、撮像装置30−1〜30−9の中から1台を選択し、この選択した撮像装置30から供給される画像信号を取り込みんで、この画像信号を画像データに変換する。そして、画像解析部41は、その画像データにテストパターンが含まれている場合に、このテストパターンを解析し、フレーム画像における画素の位置ずれと画素のフレアとを測定して測定情報を記憶する。また、画像解析部41は、撮像装置30の画像データにテストパターンが含まれていない場合に、テストパターン発生部42にテストパターンの位置を変更させる。また、画像解析部41は、記憶した測定情報に基づいて測定結果情報を生成し、この測定結果情報を表示装置50に供給する。
【0022】
表示装置50は、画像評価装置40から供給される測定結果情報を表示する。表示装置50は、例えば、液晶ディスプレイ装置により実現される。
【0023】
図2は、撮像装置30の概略の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、撮像装置30は、減光フィルター31と、赤外光カットフィルター32と、カメラ本体33とを備える。
減光フィルター31は、透過する光の量を減少させる光学フィルターであり、例えば、ND(Neutral Density)フィルターである。減光フィルター31は、画像光PLを直接受光する位置(撮像装置30における初段)に設けられる。光量の減光割合がそれぞれ異なる複数の減光フィルター31の中からいずれかの減光フィルター31を選択して用いることにより、撮像装置30の感度調整を任意に行うことができる。
赤外光カットフィルター32は、可視光を透過させ、赤外光をカットする光学フィルターである。赤外光カットフィルター32は、減光フィルター31の次段に設けられる。
【0024】
カメラ本体33は、撮像装置30の本体部分であり、赤外光カットフィルター32の次段に設けられる。カメラ本体33は、撮像素子33aを備え、撮像レンズ光学系を備えていない。つまり、カメラ本体33は、画像光PLを減光フィルター31と赤外光カットフィルター32とを通過させて到来する光束を撮像素子33aに直接受光させる。撮像素子33aは、固体撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーである。撮像素子33aは、例えば640画素×640画素の解像度を有し、画像光PLが感度調整されさらに赤外光成分がカットされた光束を撮像する。そして、カメラ本体33は、撮像素子33aが撮像して得た画像データを画像信号にして出力する。
【0025】
なお、撮像装置30は、画像光PLを直接受光する位置(撮像装置30における初段)に赤外光カットフィルター32を設け、次段に減光フィルター31を設けて構成してもよい。また、撮像装置30は、減光フィルター31と赤外光カットフィルター32とのうちいずれか一方を備えるようにしてもよい。
【0026】
図3は、画像解析部41の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像解析部41は、選択部411と、選択制御部412と、画像取得部413と、テストパターン解析部414と、測定情報記憶部415と、測定結果情報生成部417とを備える。
選択部411は、撮像装置30−1〜30−9から供給される9系統の画像信号(第1画像信号〜第9画像信号)のうち、選択制御部412により指定される1系統の画像信号を選択し、その画像信号を画像取得部413に供給する。
【0027】
選択制御部412は、9系統の画像信号のうち画像取得部413に供給する1系統の画像信号を選択するための選択制御信号を選択部411に供給する。例えば、選択制御部412は、オペレーターによる図示しない操作部の操作や図示しない外部装置と通信することによって実現される当該外部装置からの遠隔操作により、第1画像信号〜第9画像信号の中から画像取得部413に供給すべき所望の画像信号を選択するための選択制御信号を選択部411に供給する。または、選択制御部412は、画像評価装置40が備える図示しないCPU(Central Processing Unit)が制御プログラムを実行することにより、時分割で第1画像信号〜第9画像信号から画像信号を択一的に選択するよう選択制御信号を生成して選択部411に供給する。
【0028】
画像取得部413は、選択部411から供給される1系統の画像信号を取り込み、この画像信号を画像データに変換してテストパターン解析部414に供給する。
テストパターン解析部414は、画像取得部413から供給される画像データを取り込み、この画像データにおけるテストパターンの有無を判定する。例えば、テストパターン解析部414は、公知のパターンマッチング法を用いてテストパターンの有無を判定する。そして、テストパターン解析部414は、画像データからテストパターンを検出した場合、このテストパターンを解析し、フレーム画像における画素の位置ずれと画素のフレアとの少なくとも一方を測定し、測定結果である測定情報を測定情報記憶部415に記憶させる。また、テストパターン解析部414は、画像データからテストパターンを検出しない場合、テストパターンの移動指示命令であるテストパターン移動コマンド(位置変更指示情報)を生成し、このテストパターン移動コマンドをテストパターン発生部42に供給する。
【0029】
測定情報記憶部415は、テストパターン解析部414の測定結果である測定情報を記憶する。測定情報記憶部415は、半導体記憶装置、磁気ハードディスク装置等の記憶装置により実現される。
測定結果情報生成部417は、測定情報記憶部415から測定情報を読み出して測定結果情報を生成し、この測定結果情報を表示装置50に供給する。具体的には、測定結果情報生成部417は、測定情報記憶部415から測定情報を読み出し、この測定情報に画素の位置ずれの測定結果が含まれている場合には、その測定結果に基づいて画素ずれ量情報を生成し、また測定情報に画素のフレアの測定結果が含まれている場合には、その測定結果に基づいてフレア情報を生成する。そして、測定結果情報生成部417は、画素ずれ量情報とフレア情報とを測定結果情報として表示装置50に供給する。測定結果情報のデータ構成については、後述する。
【0030】
次に、投射スクリーン20における撮像装置30−1〜30−9の配置について説明する。
図4は、投射スクリーン20に表示されるプロジェクター装置10のフレーム画像と、投射スクリーン20に配設される撮像装置30−1〜30−9それぞれの撮像素子33aの撮像面との対応関係を模式的に示す図である。ただし、同図は、投射スクリーン20の表示面の中心点とフレーム画像の中心点とが一致し、表示面に対するフレーム画像の回転および歪がない状態での対応図である。
同図に示すように、投射スクリーン20の表示面には、フレーム画像21が表示されている。フレーム画像21は、1920画素×1080画素の解像度を有する。そして、投射スクリーン20の表示面におけるフレーム画像21の大きさは、800mm×450mmである。
【0031】
また、投射スクリーン20には、撮像装置30−1〜30−9が配設されている。図4においては、撮像装置30−1〜30−9それぞれの撮像素子33aの撮像面331−1〜331−9を図示してフレーム画像21に対応付けている。なお、以下において、撮像面331−1〜331−9のいずれか一つを指す場合に、撮像面331と呼ぶこともある。投射スクリーン20の表示面における撮像面331−1〜331−9それぞれの大きさは、10mm×10mmであり、フレーム画像21における24画素×24画素に相当する。
【0032】
図4に示すように、撮像装置30−1は、フレーム画像21の左上端からX軸正方向およびY軸正方向にそれぞれ10mmずれた位置に撮像面331−1の左上端部を一致させて設けられる。撮像装置30−2は、フレーム画像21の右上端からX軸負方向およびY軸正方向にそれぞれ10mmずれた位置に撮像面331−2の右上端部を一致させて設けられる。撮像装置30−3は、フレーム画像21の左上端からX軸正方向およびY軸正方向にそれぞれ30mmずれた位置に撮像面331−3の左上端部を一致させて設けられる。撮像装置30−4は、フレーム画像21の右上端からX軸負方向およびY軸正方向にそれぞれ30mmずれた位置に撮像面331−4の右上端部を一致させて設けられる。撮像装置30−5は、フレーム画像21の中心位置に撮像面331−5の中心点を一致させて設けられる。撮像装置30−6は、フレーム画像21の左下端からX軸正方向およびY軸負方向にそれぞれ30mmずれた位置に撮像面331−6の左下端部を一致させて設けられる。撮像装置30−7は、フレーム画像21の右下端からX軸負方向およびY軸負方向にそれぞれ30mmずれた位置に撮像面331−7の右下端部を一致させて設けられる。撮像装置30−8は、フレーム画像21の左下端からX軸正方向およびY軸負方向にそれぞれ10mmずれた位置に撮像面331−8の左下端部を一致させて設けられる。撮像装置30−9は、フレーム画像21の右下端からX軸負方向およびY軸負方向にそれぞれ10mmずれた位置に撮像面331−9の右下端部を一致させて設けられる。
【0033】
また、撮像装置30−1〜30−9は、撮像面331−1〜331−9を投射スクリーン20の表示面に平行にして設けられる。好ましくは、撮像装置30−1〜30−9は、撮像面331−1〜331−9を投射スクリーン20の表示面に略一致(一致を含む)させて設けられる。
例えば、撮像装置30−1〜30−9は、投射スクリーン20に9個の開口部を設け、これら開口部を通して固定される。
【0034】
図5は、図4における撮像面331にテストパターンが形成された様子を模式的に表す図である。図5に示すように、撮像面331は、10mm×10mmの大きさを有し、640画素×640画素の解像度を有する。この解像度は、プロジェクター装置10のフレーム画像(1920画素×1080画素)における24画素×24画素の解像度に相当する。
また、同図の撮像面331には、テストパターンTPが形成されている。テストパターンTPは、二つの緑色画素領域G,Gが一画素領域分の空き領域を挟んでY軸方向に配置され、さらに、赤色画素領域Rと青色画素領域Bとが前記の一画素領域分の空き領域をはさんでX軸方向に配置されるものである。同図においては、上側(Y軸負方向側)が緑色画素領域G、下側(Y軸正方向側)が緑色画素領域G、左側(X軸負方向側)が赤色画素領域R、および右側(X軸正方向側)が青色画素領域Bである。これら緑色画素領域G,G、赤色画素領域R、および青色画素領域Bそれぞれは、プロジェクター装置10のフレーム画像における一画素であり、撮像素子33aの画像データ(640画素×640画素)における26画素×26画素の領域に相当する。
【0035】
なお、図5におけるテストパターンTPは一例であり、例えば、テストパターンTPを時計回りに90度、180度、および270度にそれぞれ回転させて得られるパターンとしてもよい。また、テストパターンTPは、フレーム画像における赤色画素と青色画素と緑色画素とが相互に近接して構成されているものでもよい。ここで、近接は、画素同士がX軸方向またはY軸方向に隣接すること、および画素同士が一画素分ずれることを含む。
【0036】
次に、画像解析部41のテストパターン解析部414がテストパターンTPを解析し、プロジェクター装置10の画素の位置ずれと画素のフレアとを測定する方法の一例について図6を参照して説明する。
テストパターン解析部414は、テストパターンTPの緑色画素領域G、緑色画素領域G、赤色画素領域R、および青色画素領域Bそれぞれについて、最も輝度が高い領域を検出してその領域の重心位置を計算する。そして、テストパターン解析部414は、緑色画素領域Gおよび赤色画素領域Rそれぞれの重心位置間の距離を計算し、基準画素ピッチに対するずれ量を計算する。つまり、テストパターン解析部414は、プロジェクター装置10のフレーム画像における緑色画素Gと赤色画素Rとの相対的なずれ量を計算する。同様に、テストパターン解析部414は、緑色画素領域Gおよび青色画素領域Bそれぞれの重心位置間の距離を計算し、基準画素ピッチに対するずれ量を計算する。つまり、テストパターン解析部414は、プロジェクター装置10のフレーム画像における緑色画素Gと青色画素Bとの相対的なずれ量を計算する。
【0037】
具体的には、テストパターン解析部414は、テストパターンTPの緑色画素領域G、緑色画素領域G、赤色画素領域R、および青色画素領域Bそれぞれから、輝度値があらかじめ決定された閾値を超える領域を、当該画素領域において最も輝度が高い領域として抽出する。そして、テストパターン解析部414は、これら抽出した領域それぞれの重心位置を計算してその重心位置に対応する座標を取得する。座標とは、例えば、画像データにおける画素位置である。そして、テストパターン解析部414は、緑色画素領域Gおよび赤色画素領域Rそれぞれの重心位置間の距離として、X軸方向成分である距離XRGとY軸方向成分である距離YRGとを計算する。距離とは、例えば、画像データにおける画素数である。そして、テストパターン解析部414は、X軸方向基準画素ピッチ(例えば、26画素)から距離XRGを減算してX軸方向の画素ピッチに対するずれ量を計算し、Y軸方向基準画素ピッチ(例えば、26画素)から距離YRGを減算してY軸方向の画素ピッチに対するずれ量を計算する。同様に、テストパターン解析部414は、緑色画素領域Gおよび青色画素領域Bそれぞれの重心位置間の距離として、X軸方向成分である距離XBGとY軸方向成分である距離YBGとを計算する。そして、テストパターン解析部414は、X軸方向基準画素ピッチから距離XBGを減算してX軸方向の画素ピッチに対するずれ量を計算し、Y軸方向基準画素ピッチから距離YBGを減算してY軸方向の画素ピッチに対するずれ量を計算する。
【0038】
また、テストパターン解析部414は、テストパターンTPの緑色画素領域G、緑色画素領域G、赤色画素領域R、および青色画素領域Bそれぞれについて、フレア外領域の外接矩形の辺長を計算する。
【0039】
具体的には、テストパターン解析部414は、テストパターンTPの緑色画素領域G、緑色画素領域G、赤色画素領域R、および青色画素領域Bそれぞれから、当該画素領域における最高輝度値の所定割合以下の領域をフレアと判定し、このフレアを除く領域をフレア外領域としてこのフレア外領域の外接矩形を検出し、この外接矩形の辺長を計算する。辺長は、例えば、画像データにおける画素数である。つまり、図6に示す例では、テストパターン解析部414は、緑色画素領域Gについて辺長XGUおよび辺長YGU、緑色画素領域Gについて辺長XGDおよび辺長YGD、赤色画素領域Rについて辺長Xおよび辺長Y、ならびに青色画素領域Bについて辺長Xおよび辺長Yをそれぞれ計算する。
【0040】
次に、画像解析部41の測定結果情報生成部417が生成する測定結果情報について図7および図8を参照して説明する。
図7は、画素ずれ量情報のデータ構成を示す図である。同図に示すように、画素ずれ量情報は、「撮像装置番号」と、「緑色画素対赤色画素ずれ量」と、「緑色画素対青色画素ずれ量」との各項目を対応付けたデータテーブルである。撮像装置番号は、撮像装置30−1〜30−9を特定する番号(数字)である。この撮影装置番号は、番号の他、文字、記号、またはこれらの組み合わせによる識別情報であってもよい。緑色画素対赤色画素ずれ量は、プロジェクター装置10の緑色画素Gと赤色画素Rとの相対的なずれ量を、プロジェクター装置10の画素単位で表現したものである。具体的には、ΔXRGは、画像データにおけるX軸方向基準画素ピッチから距離XRGを減算して得られたX軸方向の画素ピッチに対するずれ量であり、ΔYRGは、画像データにおけるY軸方向基準画素ピッチから距離YRGを減算して得られたY軸方向の画素ピッチに対するずれ量である。同様に、緑色画素対青色画素ずれ量は、プロジェクター装置10の緑色画素Gと青色画素Bとの相対的なずれ量をプロジェクター装置10の画素単位で表現したものである。具体的には、ΔXBGは、画像データにおけるX軸方向基準画素ピッチから距離XBGを減算して得られたX軸方向の画素ピッチに対するずれ量であり、ΔYBGは、画像データにおけるY軸方向基準画素ピッチから距離YBGを減算して得られたY軸方向の画素ピッチに対するずれ量である。
【0041】
図8は、フレア情報のデータ構成を示す図である。同図に示すように、フレア情報は、「撮像装置番号」と、「第1緑色画素フレア情報」と、「第2緑色画素フレア情報」と、「赤色画素フレア情報」と、「青色画素フレア情報」との各項目を対応付けたデータテーブルである。撮像装置番号は、撮像装置30−1〜30−9を特定する番号(数字)である。この撮影装置番号は、番号の他、文字、記号、またはこれらの組み合わせによる識別情報であってもよい。第1緑色画素フレア情報は、緑色画素領域Gのフレア外領域の外接矩形の辺長である。第2緑色画素フレア情報は、緑色画素領域Gのフレア外領域の外接矩形の辺長である。赤色画素フレア情報は、赤色画素領域Rのフレア外領域の外接矩形の辺長である。青色画素フレア情報は、青色画素領域Bのフレア外領域の外接矩形の辺長である。具体的には、第1緑色画素フレア情報は、緑色画素領域Gの辺長XGUおよび辺長YGUである。第2緑色画素フレア情報は、緑色画素領域Gの辺長XGDおよび辺長YGDである。赤色画素フレア情報は、赤色画素領域Rの辺長Xおよび辺長Yである。青色画素フレア情報は、青色画素領域Bの辺長Xおよび辺長Yである。
【0042】
次に、測定システム1の動作について説明する。なお、ここでは、9台の撮像装置30−1〜30−9のうち、撮像装置30−1を代表して用いた例について説明する。
図9は、本実施形態における画像評価装置40の処理手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、画像評価装置40は、フレーム画像における初期位置にテストパターンを配置したテストパターンデータを生成し、このテストパターンデータをプロジェクター装置10に供給する。具体的には、画像評価装置40のテストパターン発生部42は、図5に示したテストパターンTPをフレーム画像(例えば、1920画素×1080画素)の左上端に配置したテストパターンデータを生成し、このテストパターンデータをプロジェクター装置10に供給する。
【0043】
次に、プロジェクター装置10は、画像評価装置40から供給されるテストパターンデータを取り込み、そのテストパターンデータによるテストパターン画像の画像光PLを、投射光学系から投射スクリーン20に向けて投射する。
次に、撮像装置30−1は、到来する画像光PLを減光フィルター31と赤外光カットフィルター32とを通して撮像素子33aの撮像面331−1に結像させ撮像して第1画像信号を生成し、この第1画像信号を画像評価装置40に供給する。
【0044】
次に、ステップS2において、画像評価装置40は、撮像装置30−1から供給される第1画像信号を取り込み、この第1画像信号による画像データにおけるテストパターンの有無を判定する。具体的には、画像評価装置40の画像解析部41の選択部411を介して画像取得部413が第1画像信号を取り込むと、この第1画像信号を画像データに変換し、この画像データをテストパターン解析部414に供給する。
【0045】
次に、テストパターン解析部414は、画像取得部413から供給される画像データを取り込み、この画像データにおけるテストパターンの有無を、例えば公知のパターンマッチング法を用いて判定する。
そして、テストパターン解析部414が画像データからテストパターンを検出した場合は、ステップS3の処理に移る。一方、テストパターン解析部414が画像データからテストパターンを検出しなかった場合は、ステップS5の処理に移る。
【0046】
ステップS3において、画像評価装置40は、画像データに含まれるテストパターンを解析し、プロジェクター装置10の表示性能を測定する。具体的には、テストパターン解析部414は、画像データに含まれるテストパターンを解析し、フレーム画像における画素の位置ずれと画素のフレアとの少なくとも一方を測定する。
【0047】
次に、ステップS4において、画像評価装置40は、測定結果である測定情報を記憶する。具体的には、テストパターン解析部414は、測定情報を測定情報記憶部415に記憶させる。
【0048】
一方、ステップS5において、画像評価装置40は、フレーム画像におけるテストパターンの位置をずらして配置したテストパターンデータを生成させ、このテストパターンデータをプロジェクター装置10に供給する。具体的には、テストパターン解析部414は、テストパターン移動コマンドを生成し、このテストパターン移動コマンドをテストパターン発生部42に供給する。
【0049】
次に、テストパターン発生部42は、テストパターン解析部414から供給されるテストパターン移動コマンドを取り込むと、フレーム画像におけるテストパターンの位置を所定画素分ずらして配置したテストパターンデータを発生させ、このテストパターンデータをプロジェクター装置10に供給する。所定画素分は、例えば一画素分または複数画素分である。また、テストパターンをずらす方向は、フレーム画像におけるX軸方向またはY軸方向である。つまり、テストパターン発生部42は、テストパターンを例えばX軸正方向にずらすことを基本とし、テストパターンがX軸の右端まで到達した場合は、Y軸正方向に所定画素分ずらし且つX軸左端に移動させる。
次に、ステップS2の処理に戻る。
【0050】
以上、撮像装置30−1を用いた例についての測定システム1の動作について説明したが、撮像装置30−2〜30−9を用いた場合についても同様であるため、説明を省略する。
【0051】
本発明の第1実施形態によれば、撮像装置30−1〜30−9は、撮像面331−1〜331−9を投射スクリーン20の表示面に平行に、好ましくは、撮像面331−1〜331−9を投射スクリーン20の表示面に略一致(一致を含む)させて設けるようにした。このように構成したことにより、撮像装置30−1〜30−9は、プロジェクター装置10から投射される画像光PLをなんら遮ることなく受光することができる。
【0052】
また、撮像装置30−1〜30−9は、撮像レンズ光学系を備えない構成、すなわち、減光フィルター31と赤外光カットフィルター32とを通過させて到来する光束を撮像素子33aの撮像面331−1〜331−9に直接結像させて撮像する構成とした。このように構成したことにより、撮像装置30−1〜30−9は、撮像レンズ光学系による光学歪の影響を排除することができる。また、撮像素子331自体の解像度に依存した分解能による画像解析を行うことができる。
【0053】
また、投射スクリーン20は、前面投射型のスクリーンであるため、透過スクリーン(拡散スクリーン)が有する光拡散作用がなく、よって画像光PLの偏光特性が変化して画素レベルの高精度な計測に支障を来たすことがない。
【0054】
よって、本実施形態によれば、画像光PLを投射して投射スクリーン20に表示させるプロジェクター装置10の画素の表示性能を高精度に測定することができる。
【0055】
[第1の実施の形態の変形例]
図10は、投射スクリーン20に表示されるプロジェクター装置10のフレーム画像と、投射スクリーン20に配設される撮像装置30−1〜30−9それぞれの撮像素子33aの撮像面との対応関係を模式的に示す図である。ただし、同図は、投射スクリーン20の表示面の中心点とフレーム画像の中心点とが略一致(一致を含む)し、表示面に対してフレーム画像が反時計方向に数度程度傾いた状態での対応図である。
同図に示すように、投射スクリーン20の表示面には、フレーム画像21aが表示されている。フレーム画像21aは、第1実施形態と同様に1920画素×1080画素の解像度を有する。そして、投射スクリーン20の表示面におけるフレーム画像21aの大きさは、第1実施形態と同様に800mm×450mmである。
フレーム画像21aは、例えば7個の矩形領域B1〜B7に区分されている。矩形領域B1〜B7それぞれは、隣接する矩形領域同士で異なり且つ一矩形領域内で一様な階調を有している。
【0056】
投射スクリーン20に対してプロジェクター装置10を設置する際には、投射スクリーン20の表示面にフレーム画像21aを表示させたときに、矩形領域B1内に表示面331−1および表示面331−8、矩形領域B2内に表示面331−3および表示面331−6、矩形領域B4内に表示面331−5、矩形領域B6内に表示面331−4および表示面331−7、ならびに、矩形領域B7内に表示面331−2および表示面331−9がそれぞれ含まれるよう、プロジェクター装置10の投射方向を調節する。
【0057】
本変形例において、テストパターン解析部414は、画像取得部413から取り込んだ画像データからテストパターンを検出しない場合、その画像データから階調情報を検出し、テストパターン移動コマンドとその階調情報との一対のデータをテストパターン発生部42に供給する。
そして、テストパターン発生部42は、画像解析部41からテストパターン移動コマンドと階調情報との一対のデータが供給されると、この一対のデータを取り込んで階調情報を記憶し、この階調情報が前回取り込んで記憶した階調情報と同一であるか否かを判定する。そして、テストパターン発生部42は、同一であると判定した場合は、テストパターンの位置をフレーム画像のX軸正方向に所定画素分ずらして配置したテストパターンデータを発生させて、このテストパターンデータをプロジェクター装置10に供給する。一方、テストパターン発生部42は、同一でないと判定した場合は、テストパターンの位置をフレーム画像のY軸正方向に所定画素分ずらすとともに、X軸負方向に矩形領域の幅に相当する画素分移動させて配置したテストパターンデータを発生させて、このテストパターンデータをプロジェクター装置10に供給する。つまり、テストパターン発生部42は、階調が同一である範囲内においてテストパターンを走査させる。
なお、階調の替わりに輝度を用いるようにしてもよい。
【0058】
本変形例のように構成することにより、テストパターン解析部414がテストパターンを探索する速度を高速化することができる。
【0059】
[第2の実施の形態]
本発明の第2実施形態は、上述した第1実施形態における画像評価装置40の機能をプロジェクター装置10に組み込んだ形態である。
図11は、本発明の第2実施形態である表示性能測定装置を適用した測定システムの概略構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
同図に示すように、測定システム1aは、プロジェクター装置10aと、投射スクリーン20と、撮像装置30とを含んで構成される。
【0060】
プロジェクター装置10aは、測定システム1aにおける検査対象の画像光出力装置である。プロジェクター装置10aは、本来のプロジェクター装置の画像光投射機能に加え、テストパターンデータによるテストパターン画像の画像光PLを、投射光学系から投射スクリーン20に向けて投射する。プロジェクター装置10aは、例えば、光源と、導光光学系と、液晶パネル(表示部)と、投射光学系とを装備した液晶プロジェクター装置により実現される。また、プロジェクター装置10aは、撮像装置30から取得する画像信号による画像データのテストパターンを解析して自プロジェクター装置の表示性能を測定し、この測定結果に基づいて画質を補正する。
【0061】
プロジェクター装置10aは、画像解析部41aと、テストパターン発生部42aと、補正処理部43とを備える。
画像解析部41aは、テストパターンを発生させるためのテストパターン発生コマンドをテストパターン発生部42aに供給する。また、画像解析部41aは、撮像装置30から供給される画像信号を取り込みんで、この画像信号を画像データ(例えば、640画素×640画素)に変換する。そして、画像解析部41aは、その画像データに含まれるテストパターンを解析して画素の位置ずれと画素のフレアとを測定し、測定結果である測定情報を記憶する。また、画像解析部41aは、記憶した測定情報を読み出して補正処理部43に供給する。
【0062】
テストパターン発生部42aは、画像解析部41aから供給されるテストパターン発生コマンドを取り込むと、テストパターンを含むフレーム画像(例えば、1920画素×1080画素)のデータであるテストパターンデータを発生させる。
補正処理部43は、画像解析部41aから供給される測定情報を取り込み、この測定情報が示す画素の位置ずれと画素のフレアとを補正した画像を液晶パネルに形成させる。
【0063】
撮像装置30は、第1実施形態における撮像装置30と同様であるが、例えば、一般的に用いられるデジタルカメラを用いてもよい。
撮像装置30とプロジェクター装置10aとは、例えばUSB(Universal Serial Bus)やBluetoothによるインターフェースによって接続される。
【0064】
図12は、画像解析部41aの機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像解析部41aは、画像取得部413と、テストパターン解析部414aと、測定情報記憶部415と、測定情報供給部418とを備える。
テストパターン解析部414aは、テストパターン発生コマンドを生成し、このテストパターン発生コマンドをテストパターン発生部42aに供給する。また、テストパターン解析部414aは、画像取得部413から供給される画像データを取り込み、このテストパターンを解析して画素の位置ずれと画素のフレアとの少なくとも一方を測定し、測定結果である測定情報を測定情報記憶部415に記憶させる。
測定情報供給部418は、測定情報記憶部415から測定情報を読み出して補正処理部43に供給する。
【0065】
次に、測定システム1aの動作について説明する。ここでは、プロジェクター装置10aのテストパターン発生部42aは、投射スクリーン20の表示面の4隅付近それぞれに表示される4種類のテストパターンデータを保有するものとする。また、撮像装置30は、テストパターンが表示される位置に応じて、例えばオペレーターによって配置が変更されるものとする。
【0066】
図13は、本実施形態におけるプロジェクター装置10aの処理手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、プロジェクター装置10aは、テストパターンデータを生成し、このテストパターンデータの画像光PLを、投射光学系から投射スクリーン20に向けて投射する。
【0067】
次に、ステップS12において、オペレーターは、撮像装置30を、画像光PLを受光可能な向きにして投射スクリーン20の表示面付近に設置する。例えば、オペレーターは、画像光PLが照射され、テストパターンが表示される箇所に撮像面331が位置するように、撮像装置30を投射スクリーン20の表示面付近に設置する。
なお、このステップS12の作業は、本フローチャートの開始前にあらかじめ行うようにしてもよい。
次に、撮像装置30は、到来する画像光PLを減光フィルター31と赤外光カットフィルター32とを通して撮像素子33aの撮像面331に結像させ撮像して画像信号を生成し、この画像信号を画像プロジェクター装置10aの画像解析部41aに供給する。
【0068】
次に、ステップS13において、画像解析部41aの画像取得部413は、撮像装置30から供給される画像信号を取り込み、この画像信号を画像データに変換してテストパターン解析部414aに供給する。
次に、ステップS14において、テストパターン解析部414aは、画像取得部413から供給される画像データを取り込み、この画像データに含まれるテストパターンを解析し、フレーム画像における画素の位置ずれと画素のフレアとの少なくとも一方を測定する。
次に、ステップS15において、テストパターン解析部414aは、測定情報を測定情報記憶部415に記憶させる。
【0069】
次に、ステップS16において、投射スクリーン20の表示面上の所望の箇所全て(4箇所)についての計測が完了した場合は、ステップS17の処理に移り、未計測の箇所が残っている場合は、ステップS12の処理に移る。
【0070】
ステップS17において、測定情報供給部418は、測定情報記憶部415から測定情報を読み出して補正処理部43に供給する。
次に、補正処理部43は、画像解析部41aから供給される測定情報を取り込み、この測定情報が示す画素の位置ずれと画素のフレアとを補正した画像を液晶パネルに形成させる。
【0071】
本発明の第2実施形態によれば、プロジェクター装置10aは、自装置の画素の表示性能を高精度に測定し、この測定結果に基づいて補正した画像光を照射することができる。
【0072】
なお、上述した第1実施形態および第2実施形態は、プロジェクター装置10,10aだけでなく、透過型表示素子を用いて構成した表示装置、例えば、液晶パネル表示装置、有機EL(Electro−Luminescence)表示装置等のフラットパネル表示装置に応用することができる。
【0073】
図14は、液晶パネル表示装置を検査対象とした場合に、撮像装置30が測定を行っている様子を模式的に表す側面図である。同図に示すように、液晶パネル表示装置60は、バックライト61の前面に液晶パネル62が配設され、さらにその前面にカバーガラス63が配設された構成を有する。撮像装置30は、減光フィルター31をカバーガラス63に正対させて密着させて設けられる。
このように設置した状態で、液晶パネル表示装置60にテストパターンを表示させ、撮像装置30にテストパターンが表示された画面を撮像させて画像信号を生成させ、画像評価装置40に画像データを解析させることにより、液晶パネル表示装置60の表示性能を測定することができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はその実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1,1a 測定システム
10,10a プロジェクター装置
20 投射スクリーン
30,30−1〜30−9 撮像装置(撮像部)
31 減光フィルター
32 赤外光カットフィルター
33 カメラ本体
33a 撮像素子
40 画像評価装置
41,41a 画像解析部
42,42a テストパターン発生部
43 補正処理部
50 表示装置
60 液晶パネル表示装置
61 バックライト
62 液晶パネル
63 カバーガラス
331,331−1〜331−9 表示面
411 選択部
412 選択制御部
413 画像取得部
414,414a テストパターン解析部
415 測定情報記憶部
417 測定結果情報生成部
418 測定情報供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である画像光出力装置から出力される、テストパターンを含む画像の画像光の照射を受けてテストパターン画像を表示するスクリーンと、
前記スクリーンの表示面内に撮像面を配置して設けられ、前記テストパターン画像を撮像して画像信号を生成する撮像部と、
前記撮像部が生成した前記画像信号を取り込み、前記画像信号におけるテストパターン画像に基づいて、前記画像光出力装置における画素の表示性能を測定して測定情報を生成するテストパターン解析部と、
を備えることを特徴とする表示性能測定装置。
【請求項2】
テストパターンを含む画像を発生させて、前記画像を前記画像光出力装置に供給するテストパターン発生部をさらに備え、
前記テストパターン解析部は、前記画像信号にテストパターン画像が含まれていないと判定した場合、位置変更指示情報を前記テストパターン発生部に供給し、
前記テストパターン発生部は、前記テストパターン解析部から供給された前記位置変更指示情報を取り込むと、前記テストパターンの位置を変更した画像を発生させる
ことを特徴とする請求項1記載の表示性能測定装置。
【請求項3】
前記テストパターン解析部は、前記画像信号におけるテストパターン画像に基づいて、前記画像光出力装置における画素に相当する画像領域同士の位置ずれ量と前記画素に相当する画像領域におけるフレアとの少なくとも一方を測定して測定情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2記載の表示性能測定装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記スクリーンの表示面と前記撮像面とを平行にして設けられる
ことを特徴とする請求項1から3いずれか一項記載の表示性能測定装置。
【請求項5】
前記撮像部は、減光フィルターと赤外光カットフィルターとの少なくとも一方を備える
ことを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載の表示性能測定装置。
【請求項6】
前記テストパターンは、前記画像光出力装置における赤色画素と青色画素と緑色画素とが相互に近接して構成される
ことを特徴とする請求項1から5いずれか一項記載の表示性能測定装置。
【請求項7】
検査対象である画像光出力装置が出力する、テストパターンを含む画像の画像光の照射を受けてテストパターン画像をスクリーンに表示させる表示ステップと、
前記スクリーンの表示面内に撮像面を配置して設けられた撮像部が、前記テストパターン画像を撮像して画像信号を生成する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて、前記撮像部が生成した前記画像信号を取り込み、前記画像信号におけるテストパターン画像に基づいて、前記画像光出力装置における画素に相当する画像領域同士の位置ずれ量と前記画素に相当する画像領域におけるフレアとの少なくとも一方を測定して測定情報を生成する解析ステップと、
を有することを特徴とする表示性能測定方法。
【請求項8】
テストパターンを含む画像を生成するテストパターン生成部と、
前記テストパターン生成部が生成した前記画像を形成する表示部と、
前記表示部に形成された前記画像の画像光を投射する投射光学系と、
前記投射光学系が投射した前記画像光が照射されて表示されるテストパターン画像を撮像して画像信号を生成する撮像部と、
前記撮像部が生成した前記画像信号を取り込み、前記画像信号におけるテストパターン画像に基づいて、前記画像における画素に相当する画像領域同士の位置ずれ量と前記画素に相当する画像領域におけるフレアとの少なくとも一方を測定して測定情報を生成するテストパターン解析部と、
を備えることを特徴とするプロジェクター装置。
【請求項9】
前記テストパターン解析部が生成した前記測定情報に基づいて前記画像を補正する補正処理部
をさらに備えることを特徴とする請求項8記載のプロジェクター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−198306(P2012−198306A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61047(P2011−61047)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】