説明

表示機器

【課題】液晶ディスプレイや有機EL等が配置された筐体の薄型化を図ると共に、表示器の筐体への組み立てを確実に、かつ、簡単に行うことができる表示機器を提供する。
【解決手段】筐体31に形成された開口部に表示器を配置し、外部より表示器40の表示面33が視認し得るように構成した表示機器であって、前記開口部内壁には内方に突出する複数のリブを部分的に設けると共に、前記表示器40の側部には前記リブと係合する凹部と前記複数のリブ間に形成される空間部54に挿入される突出部51とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機器に関し、特に、表示面を有する表示器を備えた携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)、ノート型パソコン等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機等の表示機器は、その筐体内に、情報を表示する表示面が具備された表示器を有しており、この表示器は、筐体内に形成された開口部から前記表示面が外部へと露出されるように配置されている。
【0003】
従来のディスプレイパネルを備えた表示器に、表示器の前記表示面の反対側を向く背面側にカバー部材が配置された表示器ユニットを有する表示機器が提案されている(特許文献1参照。)。図8に、従来の表示機器における表示器の保持構造の一例を示す。この表示機器は、筐体を構成するフロントケース1を有しており、このフロントケース1には開口部2が形成されるとともに開口部2の内側へと延びる取付部3が形成されている。この取付部3の一方側(図8において上側)を向く面3Aには、両面テープ4が配設され、この両面テープ4によって透明な樹脂材料で構成されたプレート5が固定されている。なお、取付部3の他方側(図8において下側)を向く面は取付面3Bとされている。
【0004】
表示器6は、液晶ディスプレイパネル7とこの液晶ディスプレイパネル7を支持する樹脂フレーム8とを有しており、表示器6の一方側を向く面が表示面6Aとされている。
そして、この表示器6には、金属製のカバー部材9が備えられており、このカバー部材9は、表示器6の側部と当接するように配設されると共に、カバー部材9の一方側を向く面9Aが、前記取付面3Bと対向するように配置されている。これら表示器6とカバー部材9とによって表示器ユニット10が構成されている。
また、カバー部材9は、フロントケース1の側壁部内面に当接されるように配置されている。
【特許文献1】特開2004−354731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電話機等の表示機器においては、多くの情報を表示できるように表示面の大型化が図られている一方で、他方では、携帯性向上の観点からさらなる筐体の薄型化が求められる。また、表示機器は多部品の組み合わせにより構成されているため、その組み立ての際には確実、かつ、簡単に行うことができるのが望ましい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、液晶ディスプレイや有機EL等を有する表示器が配置された筐体の薄型化を図ると共に、表示器の筐体への組み立てを確実に、かつ、簡単に行うことができる表示機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る表示機器は、筐体に形成された開口部に表示器を配置し、外部より表示器の表示面が視認し得るように構成した表示機器であって、前記開口部内壁には内方に突出する複数のリブを部分的に設けると共に、前記表示器の表示面側側部には前記リブと係合する凹部と前記複数のリブ間に形成される空間部に挿入される突出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る表示機器は、前記筐体は、前記開口部を閉塞するプレートを有し、該プレートと前記リブを含む筐体表面とは接着部材を介して貼設してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示機器によれば、筐体に形成された開口部内壁に部分的に設けられた内方に突出する複数のリブと、表示器の表示面側側部に設けられた凹部とが、互いに係合するよう構成されるため、前記表示面は前記複数のリブと前記凹部との係合面よりも外部側に配置されることとなり、筐体の厚さ方向における薄型化を図ることができると共に、前記表示器の側部に設けられた突出部が、前記複数のリブ間に形成される空間部に挿入されることにより、筐体と表示部との相対位置が固定され、組み立て作業を確実に、かつ、簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照し本発明の実施形態である表示機器について説明する。
図1は、本発明の実施形態である表示機器としての携帯電話機20を示す図である。この携帯電話機20は、第1筐体30と第2筐体60とがヒンジ部21で結合された構成とされており、ヒンジ部21を中心として回転させることでこれら第1筐体30と第2筐体60とを互いに重ね合わせることができる折り畳み式の携帯電話機である。
【0011】
第1筐体30は、第2筐体60と重ね合わせた際の第2筐体60と対向する対向面30A側を構成する第1フロントケース31と第1筐体30の背面側を構成する第1リアケース32とを備えており、これら第1フロントケース31と第1リアケース32とが厚さ方向に接合されている。
また、第2筐体60は、第1筐体30と重ね合わせた際の第1筐体30と対向する対向面60A側を構成する第2フロントケース61と第2筐体60の背面側を構成する第2リアケース62とを備えており、これら第2フロントケース61と第2リアケース62とが厚さ方向に接合されている。
【0012】
第1筐体30には、各種情報を表示する表示面33を有する表示器40と通話時に使用される受話スピーカ部34とが具備されており、表示面33及び受話スピーカ部34は、第1筐体30の対向面30A側に露呈するように配置されており、外部より視認可能に構成されている。
第2筐体60には、通話キー、終話キー等の複数の操作キー63を備えたキー操作部64と通話時に使用される通話マイクロフォン部65とが具備されており、これらキー操作部64及び通話マイクロフォン部65は、第2筐体60の対向面60A側に露呈するように配置されている。
【0013】
図2は、図1に示す携帯電話機20の表示器40が収容された第1筐体30の組み立て状態を示す図である。
前記第1筐体30を構成する第1フロントケース31には、前記表示器40の表示面33が露呈される開口部36が形成されている。この第1フロントケース31の一方側(図2において上側)には、この開口部36を閉塞するように透明なプレート37が配置されている。
【0014】
また、表示器40は、情報を表示する表示面33を構成する液晶ディスプレイパネル41とこの液晶ディスプレイパネル41を支持する樹脂フレーム42とを有している。樹脂フレーム42は、液晶ディスプレイパネル41及び図示しないバックライトなどの種々の部品を一体として支持するものである。
また、表示器40の他方側には、該表示器40の側方及び背面を保護するカバー部材43が配置されている。このカバー部材43は、アルミ合金またはステンレス合金の板材を板金加工して成形されたものである。なお、このカバー部材43が配置された表示器40のことをここでは表示器ユニット50であるとする。この表示器ユニット50は、表示面33が一方側を向くようにして第1フロントケース31に配置される。
【0015】
図3は、表示器ユニット50の一部を示す図である。表示器40を形成する樹脂フレーム42の側壁部には、表示面33よりも他方側(図3において下側)に後退した位置から幅方向外側に向けて突出した係止爪部44が、長手方向に間隔を開けて3つ配置されている。
一方、カバー部材43には、その側壁部と底面部との交差稜線部に開口して前記係止爪部44と係合される係止孔部46が長手方向に間隔を開けて3つ配置されている。これら係止爪部44と係止孔部46とが係合することにより、表示器40とカバー部材43とが結合されて表示器ユニット50は構成されている。
【0016】
そして、カバー部材43の側壁部のうち係止孔部46の一方側に位置する部分には、一方側に向かうにしたがい幅方向外側に向けて突出する突出部51が形成されている。
また、表示器ユニット50の側壁部のうち前記係止爪部44及び係止孔部46が形成されていない部分には、表示面33よりも他方側に後退した位置から幅方向外側に向けて延びると共に、一方側を向く面が前記表示面33よりも他方側に後退して構成される凹部52が形成され、この凹部52の一方側を向く面が当接面52Aとされている。
すなわち、表示器40の表示面33側側部に凹部52を形成して、この凹部52の底面を当接面52Aとしてある。
【0017】
図4は、筐体を構成する第1フロントケース31を裏側から見た図である。第1フロントケース31には、前記開口部36内壁には内方に突出する複数のリブ部53が部分的に設けられており、すなわち、内壁には、そのリブ部53が表示器40の側部に向かって突出するように形成されている。このリブ部53の一方側(図4において下側)を向く面が前記プレート37を装着する装着面53Aとされ、他方側(図4において上側)を向く面が取付面53Bとされている。
また、装着面53Aを含む第1フロントケース31表面(第1筐体30表面)には、両面テープ55が貼り付けられており、プレート37はこの両面テープ55により貼設されている。すなわち、装着面53Aも、プレート37を貼設するための面として寄与している。なお、両面テープ55が貼付けられる第1フロントケース31表面は、リブ部53の一方側を向く面である装着面53Aのみによって構成されるようにしてもよい。
【0018】
図5は、表示器ユニット50が収容された第1筐体30を対向面30A側から見た図であり、図6は、図5におけるX−X断面、つまり前記突出部51が形成された部分の断面図である。この断面においては、樹脂フレーム42に形成された係止爪部44とカバー部材43に形成された係止孔部46とが係合されており、係止爪部44の一方側(図6において上側)に幅方向外側に突出した突出部51が配置されている。この突出部51は開口部36の内壁に設けられた複数のリブ部53の間に形成される空間部54に挿入されるように構成されている。これにより、突出部51がリブ部53によって表示器40の長手方向への移動が規制されることになり、第1筐体30と表示器40との相対位置が決まることになる。
【0019】
図7は、図5におけるY−Y断面、つまり凹部52が形成された部分の断面図である。この断面においては、樹脂フレーム42の側面部外面とカバー部材43の側壁部内面とが当接するように配置されて、表示面33から他方側に後退した位置に前記凹部52が形成されている。表示器ユニット50は、凹部52の一方側(図7において上側)を向く当接面52Aとリブ部53の他方側を向く取付面53Bとが互いに当接するようにして係合され、第1フロントケース31に固定されている。これにより、前記表示面33は、リブ部53の取付面53Bよりも一方側に突出するように配置されることになり、ひいては表示器ユニット50全体も一方側に近づけて配置されることとなる。
【0020】
本実施形態によれば、第1筐体30に形成された開口部36内壁に部分的に設けられた内方に突出する複数のリブ部53と、表示器40の表示面33側側部に設けられた凹部52とが、互いに係合するように構成されるため、表示面33は複数のリブ部53と前記凹部52との当接面、すなわち、リブ部53の取付面53Bよりも一方側に突出するように配置されることとなり、第1筐体30の厚さ方向における薄型化を図ることができると共に、表示器40の側部に設けられた突出部51が、複数のリブ部53間に形成される空間部54に挿入されることにより、第1筐体30と表示器40との相対位置が固定され、組立作業を確実に、かつ、簡単に行うことができる。
【0021】
また、リブ部53の装着面53Aは、プレート37を貼設するための面として寄与する構成となっているため、従来に比して第1フロントケース31表面のプレート37を貼設するための幅方向における領域を狭くすることができ、その結果、第1フロントケース31の幅方向における小型化を図ることができる。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、表示器ユニットを一つ備えた携帯電話機について説明したが、これに限定されることはなく、メイン表示器と、メイン表示器の背面側にサブ表示器とを備えた携帯電話機におけるサブ表示器を本発明の表示器ユニットとしてもよい。
【0023】
また、カバー部材として、アルミ及びステンレス等の金属板で構成されたものとして説明したが、この材質については、その強度及び重量等を考慮して適宜設定することが好ましい。
また、表示機器としては、例えば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ等が挙げられ、各種情報を表示する表示器を有するものであれば良い。
【0024】
また、表示器を、液晶ディスプレイパネルを使用したもので説明したが、これに限定されることはなく、例えば、有機EL等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機における第1筐体の分解斜視図である。
【図3】図1に示す携帯電話機に備えられた表示器ユニットの側面拡大図である。
【図4】第1筐体を構成する第1フロントケースを内部側からみた斜視図である。
【図5】図1に示す携帯電話機の第1筐体の正面図である。
【図6】図5におけるX−X断面図である。
【図7】図5におけるY−Y断面図である。
【図8】従来の表示器ユニットを筐体に固定した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
20 携帯電話機(表示機器)
30 第1筐体(筐体)
33 表示面
36 開口部
37 プレート
40 表示器
43 カバー部材
50 表示器ユニット
51 突出部
52 凹部
53 リブ部
54 空間部
55 両面テープ(接着部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に形成された開口部に表示器を配置し、外部より表示器の表示面が視認し得るように構成した表示機器であって、
前記開口部内壁には内方に突出する複数のリブを部分的に設けると共に、前記表示器の表示面側側部には前記リブと係合する凹部と前記複数のリブ間に形成される空間部に挿入される突出部とを備えることを特徴とする表示機器。
【請求項2】
前記筐体は、前記開口部を閉塞するプレートを有し、該プレートと前記リブを含む筐体表面とは接着部材を介して貼設してあることを特徴とする請求項1記載の表示機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−206105(P2007−206105A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21500(P2006−21500)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】