説明

表示画像視認制御システム、表示画像視認制御装置および表示画像視認制御方法

【課題】複数のユーザに対して表示画像を表示する際、特定のユーザに対して特別な画像を視認可能に制御する。
【解決手段】表示画像視認制御装置2aは、表示画像に付加された権限情報に基づいて視認管理情報22を参照することにより、画像視認手段に対して、ユーザに通常画像のみを視認させるための視認許可信号と、フレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのまま視認させる視認不可信号とのいずれか一方を送出する。画像視認手段は、視認許可信号を受信した場合、その視認許可信号に基づいて動作することにより、フレームレートで逐次更新して表示される表示画像のうちから通常画像のみをユーザに視認させる。また視認不可信号を受信した場合には、視認不可信号に基づいて動作することにより、フレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのままユーザに視認させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画像視認制御システム、表示画像視認制御装置および表示画像視認制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、会議などで用いられる資料は、大画面ディスプレイなどの表示装置に表示され、参加者全員が同じ表示画像を見ることで情報の共有化が行われる。ところが、複数の拠点を結んで行うTV会議や、複数の部署が参加する大規模な会議などでは、全ての参加者が資料に含まれる秘密情報に対する閲覧権限を有することは少ない。寧ろ、資料に含まれる秘密情報ごとに、その情報の閲覧権限を有する参加者が異なるのが一般的である。それ故、表示装置に表示される表示画像からの秘密漏洩を防止するために、会議などが開始される前には予め資料に含まれる秘密情報を削除したり、或いは、各参加者の権限に合わせてあらためて資料を作り直したりする必要があり、そのための準備作業が煩雑なものとなる。
【0003】
ところで、従来、表示装置に表示画像を表示させる際、入力画像に、秘密情報を含む秘密画像と、秘密画像を反転させた反転画像と、秘密情報を含まない公衆画像との3つの画像を含め、これら入力画像に含まれる3つの画像を順次に異なるタイミングで表示すると共に、秘密画像を表示している期間には、表示装置とユーザの目との間に配置されるシャッタ眼鏡を光透過状態とするように制御する技術が提案されている(例えば特許文献1)。この技術によれば、秘密情報の閲覧権限を有するユーザがシャッタ眼鏡を装着した状態で表示装置を視認することにより、表示装置に表示される表示画像のうちから、秘密情報のみを視認することができる一方、シャッタ眼鏡を装着していない一般ユーザは、3つの画像を合成した状態で知覚することにより公衆画像を視認するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/090851号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の従来技術では、シャッタ眼鏡を装着していない一般ユーザに対して秘密画像とは異なる公衆画像を視認させるため、秘密情報を含む秘密画像とは別に、予め秘密情報を含まない公衆画像を作成しなければならない。そのため、上記従来技術を利用して会議などを行う場合、その会議などが開始される前には公衆画像を準備して秘密情報を含む資料画像と組み合わせなければならず、そのための準備作業が依然として煩雑なものであるという問題がある。
【0006】
また参加者の中に、例えばトップマネージャから一般従業員まで役職の異なる複数のユーザが含まれる場合、それら複数のユーザのそれぞれの役職に応じて閲覧可能な秘密情報が異なることがある。例えばトップマネージャは資料に含まれる全ての秘密情報を閲覧可能であり、ミドルマネージャは一部の秘密情報を除いて他の秘密情報には閲覧可能である。そして一般従業員は、資料に秘密情報が含まれる場合、その秘密情報を閲覧する権限はない。しかし、例えば役職の異なる参加者全員がシャッタ眼鏡を装着している場合には、全ての参加者が秘密情報を視認可能となってしまうため、表示画像からの秘密漏洩を良好に防止することができなくなる。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、複数のユーザに対して表示画像を表示する際に特定のユーザに対して特別な画像を視認可能に制御する表示画像視認制御システム、表示画像視認制御装置および表示画像視認制御方法を提供することをその目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、表示画像視認制御システムであって、秘密情報を含む通常画像と、前記通常画像の少なくとも秘密情報が含まれる部分を反転させた反転画像とが1枚ずつ交互に配置され、前記通常画像を視認するための権限情報が付与された表示画像を取得する表示画像取得手段と、前記表示画像に含まれる前記通常画像と前記反転画像とを所定のフレームレートで逐次更新しながら表示する表示手段と、固有の識別情報が設定され、前記フレームレートに同期した動作を行うことが可能であり、前記表示手段によって表示される表示画像をユーザに視認させる画像視認手段と、前記画像視認手段に設定される識別情報と前記表示画像に付与される権限情報とを対応付けた視認管理情報を予め記憶する記憶手段と、前記表示画像取得手段により取得される前記表示画像に付加された権限情報に基づいて前記視認管理情報を参照することにより、前記画像視認手段に対して、ユーザに前記通常画像のみを視認させるための視認許可信号と、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのまま視認させる視認不可信号とのいずれか一方を送出する制御手段と、を備え、前記画像視認手段は、前記制御手段から送出される前記視認許可信号を受信した場合には、前記視認許可信号に基づいて動作することにより、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像のうちから前記通常画像のみをユーザに視認させ、前記制御手段から送出される前記視認不可信号を受信した場合には、前記視認不可信号に基づいて動作することにより、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのままユーザに視認させることを特徴とする構成である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記視認管理情報には、複数のユーザのそれぞれに個別に割り当てられる前記画像視認手段に設定される識別情報と、前記通常画像のみを視認させるか否かの権限が設定された権限情報とが対応付けられており、前記制御手段は、前記表示画像取得手段により取得される前記表示画像に対して付加された権限情報に基づいて前記視認管理情報を参照することにより、前記通常画像のみを視認する権限が設定された前記画像視認手段を特定し、その特定した前記画像視認手段に対して前記視認許可信号を送出することを特徴とする構成である。
【0010】
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記制御手段は、前記通常画像のみを視認する権限が設定されていない前記画像視認手段に対し、前記視認不可信号を送出することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記画像視認手段は、右目用シャッタと左目用シャッタと備え、前記右目用シャッタと前記左目用シャッタとを開閉駆動する眼鏡装置であり、前記制御手段から送出される前記視認許可信号に基づいて、前記表示手段により前記通常画像が表示されるタイミングで前記右目用シャッタと前記左目用シャッタとを同時に開放することにより、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像のうちから前記通常画像のみを視認可能とすることを特徴とする構成である。
【0012】
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記画像視認手段は、撮像手段と、前記撮像手段によって撮影された画像を表示する画像表示手段とを備える撮像装置であり、前記制御手段から送出される前記視認許可信号に基づいて、前記撮像手段による撮影動作を制御すると共に、前記撮像手段によって撮影された画像の表示状態を制御することにより、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像を撮影して得られる画像のうちから前記通常画像のみを前記画像表示手段に表示することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記撮像装置は、前記制御手段から送出される前記視認許可信号に基づいて、前記通常画像のみを前記画像表示手段に表示する際、前記通常画像のみを表示している表示状態であることを報知することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項7にかかる発明は、請求項5又は6に記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記撮像装置は、前記撮像手段によって撮影された画像を所定の記憶媒体に記録する記録処理手段を更に備え、前記記録処理手段は、前記制御手段から送出される前記視認許可信号に基づいて前記通常画像のみを前記画像表示手段に表示している状態のとき、前記記録媒体への画像の記録を禁止することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項8にかかる発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記表示手段に表示するための画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像データに対して秘密領域を設定する秘密領域設定手段と、前記記憶手段に記憶された画像データに対して前記秘密領域設定手段によって秘密領域が設定されている場合、当該画像データに基づいて前記通常画像を生成すると共に、当該画像データにおいて少なくとも秘密領域が設定されている部分を反転させて前記反転画像を生成することにより、前記表示画像を生成する表示画像生成手段と、をさらに備え、前記表示画像取得手段は、前記表示画像生成手段によって生成される表示画像を取得することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項9にかかる発明は、請求項8に記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、当該画像データに基づいて印刷出力を行う印刷出力手段をさらに備え、前記印刷出力手段は、前記記憶手段に記憶された画像データに対して前記秘密領域設定手段によって秘密領域が設定されている場合、当該画像データにおいて少なくとも秘密領域が設定されている部分に対してマスク処理を施して印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0017】
請求項10にかかる発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の表示画像視認制御システムにおいて、前記表示手段において右目用画像と左目用画像とを前記フレームレートで交互に表示するための画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像データに対して秘密領域を設定する秘密領域設定手段と、前記記憶手段に記憶された画像データに対して前記秘密領域設定手段によって秘密領域が設定されている場合、前記右目用画像と前記左目用画像のいずれか一方に基づいて前記通常画像と前記反転画像を生成すると共に、前記通常画像と前記反転画像とを1枚ずつ交互に配置した表示画像を生成する表示画像生成手段と、を更に備え、前記表示画像取得手段は、前記表示画像生成手段によって生成される表示画像を取得することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項11にかかる発明は、表示画像視認制御装置であって、通常画像と、前記通常画像の全部又は一部を反転させた反転画像とが1枚ずつ交互に配置され、前記通常画像を視認するための権限情報が付与された表示画像を取得する表示画像取得手段と、前記表示画像取得手段により取得される前記表示画像を所定の表示装置に出力し、所定のフレームレートで逐次更新させながら前記表示画像に含まれる前記通常画像と前記反転画像とを交互に表示させる表示制御手段と、前記フレームレートに同期した動作を行うことが可能であり、前記表示手段によって表示される表示画像をユーザに視認させる画像視認装置に対して制御信号を送信する制御手段と、前記画像視認装置に対して個別に設定される識別情報と前記表示画像に付与される権限情報とを対応付けた視認管理情報を記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記表示画像取得手段により取得される前記表示画像に付与された権限情報に基づいて前記視認管理情報を参照することにより、前記通常画像のみを視認可能とする前記画像視認装置を特定し、その特定した画像視認装置に対して前記フレームレートに同期して前記通常画像のみを視認させるための視認許可信号を送出することを特徴とする構成である。
【0019】
請求項12にかかる発明は、請求項11に記載の表示画像視認制御装置において、前記制御手段は、前記通常画像のみを視認する権限が設定されていない前記画像視認装置に対し、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのまま視認させる視認不可信号を送出することを特徴とする構成である。
【0020】
請求項13にかかる発明は、表示装置に表示される表示画像を所定の画像視認装置を介して視認するときの視認状態を制御する表示画像視認制御方法であって、(a) 前記画像視認装置に対して個別に設定される識別情報と前記表示画像に付与される権限情報とを対応付けた視認管理情報を記憶するステップと、(b) 通常画像と、前記通常画像の全部又は一部を反転させた反転画像とが1枚ずつ交互に配置され、前記通常画像を視認するための権限情報が付与された前記表示画像を取得するステップと、(c) 前記表示画像に付与された権限情報に基づいて前記視認管理情報を参照することにより、前記通常画像のみを視認可能とする前記画像視認装置を特定するステップと、(d) 前記表示画像に含まれる前記通常画像と前記反転画像とを所定のフレームレートで逐次更新しながら表示するステップと、(e) 前記通常画像のみを視認可能とする前記画像視認装置に対し、前記フレームレートに同期して視認許可信号を送出することにより、当該視認許可信号に基づいて前記画像視認装置を動作させ、前記フレームレートで逐次更新して表示される前記表示画像のうちから前記通常画像のみを視認可能に制御するステップと、を有することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、表示画像に付加された権限情報に基づいて視認管理情報を参照することにより、通常画像のみを視認させるユーザを特定し、そのユーザに通常画像のみを視認させるための視認許可信号を送出するので、複数のユーザに対して表示画像を表示する際、特定のユーザに対してのみ特別な画像を視認可能に制御することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態における表示画像視認制御システムの概略構成の一例を示す図である。
【図2】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像処理装置に予め記憶される画像データの一例を示す図である。
【図4】画像処理装置に予め記憶される視認管理情報の一例を示す図である。
【図5】眼鏡装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図6】表示画像視認制御システムを利用してTV会議などを行う場合のプロセスの流れの概要を示す図である。
【図7】表示対象となる画像データに設定される秘密領域および権限レベルの一例を示す図である。
【図8】第1拠点の画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】表示制御部から表示装置に出力される表示画像の概念を示す図である。
【図10】表示装置によって表示される表示画像が秘密情報を含む場合の眼鏡装置におけるシャッタ開閉動作の一例を示す図である。
【図11】各ユーザが眼鏡装置を介して秘密情報が含まれる表示画像を視認した場合の視認画像の一例を示す図である。
【図12】第1拠点の画像処理装置において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】表示画像生成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】第2拠点の画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図15】第2拠点の画像処理装置において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】3D画像データに基づく立体表示が可能な状態を保持しつつ通常画像と反転画像とを交互に配置する手法の一例を示す図である。
【図17】3D画像データを2D画像データに切り替えて平面的な表示態様で通常画像と反転画像とを交互に配置する手法の一例を示す図である。
【図18】第2の実施の形態における表示画像視認制御システムの概略構成の一例を示す図である。
【図19】撮像装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図20】表示装置によって表示される表示画像が秘密情報を含む場合の撮像装置における動作の一例を示す図である。
【図21】各ユーザが撮像装置を介して秘密情報が含まれる表示画像を視認した場合の視認画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における表示画像視認制御システム1の概略構成の一例を示す図である。この表示画像視認制御システム1は、第1拠点に設けられた会議システムと、第2拠点に設けられた会議システムとがインターネットなどの外部ネットワーク9を介して相互にデータ通信可能に接続され、第1拠点と第2拠点の遠隔地間でTV会議などを行うことができるシステムである。
【0025】
図1に示すように、第1拠点には、LANなどのローカルネットワーク6aが設けられ、このローカルネットワーク6aが外部ネットワーク9に接続されている。第1拠点のローカルネットワーク6aには、第1拠点の会議室の様子を撮影するためのカメラ3aと、プレゼンタが操作するコンピュータ5と、資料などの表示画像をスクリーン7aに投影表示させる表示装置4aと、デジタル複合機などで構成される画像処理装置2aとが接続される。
【0026】
また第2拠点には、LANなどのローカルネットワーク6bが設けられ、このローカルネットワーク6bが外部ネットワーク9に接続されている。第2拠点のローカルネットワーク6bには、第2拠点の会議室の様子を撮影するためのカメラ3bと、資料などの表示画像をスクリーン7bに投影表示させる表示装置4bと、複合機などで構成される画像処理装置2bが接続される。
【0027】
本実施形態では、第1拠点および第2拠点のそれぞれに設けられる画像処理装置2a,2bが後述する処理プログラムを実行することにより、表示画像視認制御装置として機能し、互いに外部ネットワーク9を介してデータ通信を行いながら、各拠点に設けられたカメラ3a,3bおよび表示装置4a,4bを制御することにより、TV会議などの進行を制御するように構成される。また本実施形態では、第1拠点においてTV会議などに参加する各参加者は眼鏡装置8aを装着し、第2拠点において参加する各参加者は眼鏡装置8bを装着する。そして表示画像視認制御装置として機能する画像処理装置2a,2bは、各拠点において各参加者が装着する眼鏡装置8a,8bの動作を制御するように構成される。
【0028】
本実施形態においては、第1拠点の画像処理装置2aが主装置となり、第2拠点の画像処理装置2bに表示画像を送信する場合を例示する。つまり、第1拠点の画像処理装置2aは、プレゼンタによって行われる指示操作に基づいて動作し、資料などの画像を表示画像として表示装置4aに出力してスクリーン7aに表示させる。このとき、画像処理装置2aは、表示装置4aによる表示画像の投影表示を制御すると共に、その投影表示に同期させて第1拠点において各参加者が装着している眼鏡装置8aの動作を制御する。
【0029】
また画像処理装置2aは、表示画像を表示装置4aに出力することに伴い、その表示画像を第2拠点の画像処理装置2bに送信する。そして第2拠点の画像処理装置2bは、第1拠点の画像処理装置2aから表示画像を受信すると、その表示画像を表示装置4bに出力し、スクリーン7bに表示させる。このとき、画像処理装置2bは、表示装置4bによる表示画像の投影表示を制御すると共に、その投影表示に同期させて第2拠点において各参加者が装着している眼鏡装置8bの動作を制御する。以下、このような表示画像視認制御システム1についてさらに詳しく説明する。
【0030】
図2は、画像処理装置2a,2bのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理装置2a,2bは、制御部10と、ネットワークインタフェース11と、無線通信機12と、操作パネル14と、スキャナ部15と、プリンタ部16と、記憶装置17とを備え、これらがデータバス18を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。
【0031】
制御部10は、CPU10aとメモリ10bとを備えている。CPU10aは、各種プログラムを実行することにより、上述した各部の動作を制御するための演算処理を行う。またCPU10aは、記憶装置17に予め格納されている処理プログラム20を読み出して実行することにより、画像処理装置2a,2bを表示画像視認制御装置として機能させる。メモリ10bは、CPU10aがプログラムを実行することに伴い、一時的なデータなどを記憶するためのものである。
【0032】
ネットワークインタフェース11は、画像処理装置2a,2bをローカルネットワーク6a,6bに接続するためのものである。制御部10は、このネットワークインタフェース11を介して外部とのデータ通信を行う。
【0033】
無線通信機12は、例えば赤外線による近距離無線通信を行うためのものである。この無線通信機12は、眼鏡装置8a,8bに対して制御信号を送出するために利用される。すなわち、本実施形態において画像処理装置2a,2bと眼鏡装置8a,8bとは互いに無線によるデータ通信を行うように構成されている。制御部10が眼鏡装置8a,8bに対して制御信号を送出する際にはこの無線通信機12に対して制御信号が出力される。そして無線通信機12は、制御部10から入力する制御信号を無線信号として各眼鏡装置8a,8bに送出する。尚、無線通信機12は、複数の眼鏡装置8a,8bのそれぞれに対して制御信号を個別に送出できるようにするため、例えば赤外線などの信号送出部を複数備えたものであっても構わない。
【0034】
操作パネル14は、ユーザが画像処理装置2a,2bを操作する際のユーザインタフェースとなるものである。この操作パネル14は、ユーザに対して各種情報を表示する表示部14aと、ユーザによる各種操作入力を受け付ける操作部14bとを備えている。
【0035】
スキャナ部15は、原稿を読み取って画像データを生成し出力する原稿読み取り部である。このスキャナ部15は、例えばTV会議などに用いられる資料を読み取って表示装置4a,4bに表示するための画像データを生成することも可能である。
【0036】
プリンタ部16は、入力する画像データに基づいて印刷用紙などのシート材に印刷出力を行う印刷出力部である。このプリンタ部16は、例えばTV会議などに用いられる資料に関する画像データに基づいて印刷出力を行うことにより、各参加者への配布資料を出力することも可能である。
【0037】
記憶装置17は、例えばハードディスク装置などで構成される不揮発性の記憶装置である。この記憶装置17には、上述したように、画像処理装置2a,2bを表示画像視認制御装置として機能させるための処理プログラム20が予め格納されている。また、この記憶装置17には、表示装置4a,4bに表示するための資料に関する画像データ21と、各参加者に視認させる画像の権限レベルを管理するための視認管理情報22とが予め記憶される。ただし、画像データ21に関しては、第1拠点の画像処理装置2aにのみ記憶され、第2拠点の画像処理装置2bには記憶されない。また、この画像データ21には、全ての参加者に閲覧することが許可されない秘密情報が含まれていても良い。
【0038】
例えばプレゼンタは、第1拠点に設けられた画像処理装置2aを操作し、TV会議に用いる資料をスキャナ部15で読み取らせることにより、画像処理装置2aの記憶装置17に画像データ21を予め保存する。この他にも例えば、プレゼンタはコンピュータ5を操作することによって資料を作成し、その資料に関する画像データ21を画像処理装置2aに出力して記憶装置17に保存するようにしても良い。
【0039】
またプレゼンタは、TV会議が開始されるまでに予めコンピュータ5を操作することにより、第1拠点および第2拠点の各参加者に視認させる画像の権限レベルを設定した視認管理情報22を生成し、各拠点の画像処理装置2a,2bに登録する。
【0040】
図3は、第1拠点の画像処理装置2aに予め記憶される画像データ21の一例を示す図である。図3に示す画像データ21には、秘密情報が含まれており、例えば「神戸市」、「横浜市」、「金沢市」が秘密情報となっている。
【0041】
次に図4は、画像処理装置2a,2bに予め記憶される視認管理情報22の一例を示す図である。図4に示すように視認管理情報22には、各拠点でTV会議に参加するユーザが登録された参加者情報22aと、参加者情報22aに登録された各ユーザの権限レベルが登録された権限情報22bと、参加者情報22aに登録された各ユーザが所持する眼鏡装置8a,8bに対して個別に設定されている識別情報が登録された登録識別情報22cとが含まれる。つまり、権限情報22bと登録識別情報22cとは、参加者情報22aに参加者として登録されているユーザごとに設定される情報である。このような視認管理情報22は、例えば拠点ごとに作成され、各拠点の画像処理装置2a,2bに予め記憶される。
【0042】
権限情報22bとして登録される各ユーザの権限レベルは、秘密情報を閲覧する権限がどのレベルであるかを示す数値情報であり、権限レベルの数値が大きいほど秘密レベルの高い秘密情報を閲覧する権限があることを示している。図例では、権限レベルは「0」,「1」,「2」の3段階となっており、ユーザAおよびユーザBの権限レベルが「2」で最も高く、ユーザCの権限レベルが「1」であり、ユーザDの権限レベルが「0」となっている。この場合、ユーザAおよびユーザBは、全ての秘密情報を閲覧する権限を有しており、ユーザCは、秘密レベルが中程度までの秘密情報を閲覧する権限を有しており、ユーザDには秘密情報を閲覧する権限がないことを示している。このような権限レベルは、TV会議が開始される前にプレゼンタによって作成され、各画像処理装置2a,2bに予め登録されるが、TV会議が開始された後にはプレゼンタがコンピュータ5を操作することによって各画像処理装置2a,2bに書き換えを指示することにより、各ユーザの権限レベルをTV会議などの進行途中で書き換えることができるようにしても良い。
【0043】
次に図5は、眼鏡装置8a,8bのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。眼鏡装置8a,8bは、本実施形態において、表示装置4a,4bによって表示される表示画像をユーザに視認させるための画像視認装置として利用されるものである。図5に示すように、眼鏡装置8a,8bは、無線通信部31と、信号解析部32と、メモリ33と、シャッタ制御部34と、右目用シャッタ35Rと、左目用シャッタ35Lとを備えている。
【0044】
無線通信部31は、画像処理装置2a,2bとの間で、例えば赤外線による近距離無線通信を行うためのものである。この無線通信部31は、画像処理装置2a,2bから送出される制御信号を受信すると、その制御信号を信号解析部32に出力する。
【0045】
信号解析部32は、無線通信部31によって受信される制御信号を解析する処理部である。信号解析部32は、メモリ33に格納されている識別情報36を読み出し、その識別情報36に基づいて制御信号を解析する。メモリ33に格納されている識別情報36は、各眼鏡装置8a,8bに対して個別に設定されている固有の情報である。つまり、各眼鏡装置8a,8bには、それぞれ値の異なる識別情報26が予め設定されている。尚、メモリ33に格納されている識別情報36は、上述した視認管理情報22に登録識別情報22cとして登録される識別情報である。信号解析部32は、制御信号に付加されている識別情報を抽出し、その識別情報がメモリ33から読み出した識別情報36と一致するか否かを判別する。その結果、制御信号に付加されている識別情報がメモリ33から読み出した識別情報36と一致する場合、信号解析部32は、無線通信部31によって受信される制御信号をシャッタ制御部34に出力する。
【0046】
シャッタ制御部34は、右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lとを個別に又は同時に開閉駆動する駆動手段である。右目用シャッタ35Rおよび左目用シャッタ35Lは、眼鏡装置8a,8bを装着するユーザの目の前方に位置し、シャッタ制御部34によって駆動されることによりシャッタの開閉動作を行うように構成される。そしてシャッタ制御部34は、信号解析部32から入力する制御信号に基づいて右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lの開閉駆動を行う。
【0047】
眼鏡装置8a,8bは、上記のようなハードウェア構成を備えることにより、画像処理装置2a,2bから送出される制御信号に基づいて動作する。このような眼鏡装置8a,8bは、表示装置4a,4bによって逐次更新されながら投影表示される表示画像と同期して動作し、ユーザが表示装置4a,4bによって表示される表示画像を視認するときには、そのユーザの視認可能な表示画像を制御するように構成される。
【0048】
次に図6は、表示画像視認制御システム1を利用してTV会議などを行う場合のプロセスの流れの概要を示す図である。図6に示す各プロセスは、主としてプレゼンタによって行われる操作に基づいて画像処理装置2aにおいて行われるものである。プレゼンタは、まず事前準備として、TV会議などに用いる資料の画像データ21を画像処理装置2aに登録する(プロセスP1)。このとき、画像処理装置2aに登録される画像データ21には、秘密情報が含まれていても良い。またプレゼンタは、TV会議などを行う拠点ごとに上述した視認管理情報22を作成し、その視認管理情報22を各画像処理装置2a,2bに登録する(プロセスP2)。
【0049】
その後、会議が開始されると、プレゼンタは、コンピュータ5を操作することにより、或いは、画像処理装置2aの操作パネル14を操作することにより、各拠点のスクリーン7a,7bに投影表示する画像データ21の確認を行う(プロセスP3)。すなわち、このプロセスP3は、各拠点のスクリーン7a,7bに対して画像データ21に基づく表示画像が投影表示される前に行われる。画像処理装置2aは、プレゼンタによる画像データ21を確認するための操作を受け付けると、記憶装置17に記憶されている画像データ21を読み出し、プレゼンタが操作するコンピュータ5又は操作パネル14の表示部14aにその画像データ21を出力する。これにより、プレゼンタは、表示対象となる画像データ21に、秘密情報が含まれているか否かを確認することができる。例えば、画像データ21に複数のページが含まれる場合、このプロセスP3はページごとに行われる。
【0050】
次にプレゼンタは、表示対象となる画像データ21に秘密情報が含まれると判断した場合、その表示対象となる画像データ21に対して秘密情報が含まれている部分に秘密領域を設定する(プロセスP4)。すなわち、プレゼンタは、コンピュータ5又は操作パネル14を操作することにより、プロセスP3によって表示された画像データ21に含まれる秘密情報の部分を指定し、その指定した部分を秘密領域として設定する。またプレゼンタは、画像データ21に対して秘密領域を設定すると、その秘密領域に含まれる秘密情報の閲覧を許可する権限レベルを設定する(プロセスP5)。
【0051】
図7は、表示対象となる画像データ21に設定される秘密領域および権限レベルの一例を示す図である。例えば、事前準備(プロセスP1)において図3に示したような画像データ21が登録されたとすると、プロセスP4,P5では、プレゼンタによる設定操作に基づき、図7に示すように、画像データ21に含まれる秘密情報の部分に秘密領域R1が設定されると共に、その秘密領域R1に含まれる秘密情報の閲覧権限を示す権限レベルが設定される。図例では、秘密領域R1に設定される権限レベルは「2」となっている。そして秘密領域R1に設定される権限レベルは、権限情報23として画像データ21に付加される。
【0052】
したがって、プレゼンタによって表示対象となる画像データ21に秘密情報が含まれると判断された場合には、プロセスP4,P5が行われることによって、画像処理装置2aの記憶装置17に記憶される画像データ21は、秘密情報が含まれる部分に秘密領域R1が設定され、且つ、権限情報23が付加されたデータに更新される。尚、プレゼンタによって表示対象となる画像データ21に秘密情報が含まれないと判断された場合には、プロセスP4,P5は行われない。
【0053】
その後、画像処理装置2aは、記憶装置17に記憶された画像データ21に基づいて表示画像を生成し、その表示画像を表示装置4aに出力して投影表示を開始させると共に、その表示画像を第2拠点の画像処理装置2bに対して送信する処理を開始する(プロセスP6)。これにより、第2拠点の画像処理装置2bは、第1拠点の画像処理装置2aにおいて生成される表示画像を受信するようになり、その表示画像を表示装置4bに出力して投影表示を開始する。
【0054】
また画像処理装置2aは、プロセスP6において、秘密領域R1の設定された画像データ21に基づいて表示画像を生成する際、画像データ21をそのままの状態で表示させるための通常画像と、画像データ21において少なくとも秘密領域R1の設定された部分を反転させた反転画像とを生成する。反転画像は、画像データ21において少なくとも秘密領域R1に含まれる画素の濃度値を反転させることにより生成される。そして画像処理装置2aは、それら通常画像と反転画像とを交互に配置することにより、表示装置4a,4bにおいてそれら通常画像と反転画像とが所定のフレームレートで順次切り替えられながら表示される表示画像を生成する。また、画像処理装置2aは、上記のようにして表示画像を生成することに伴い、元の画像データ21に付加されていた権限情報23をその表示画像にも付加する。
【0055】
そして画像処理装置2a,2bは、上記のようにして生成される表示画像を表示装置4a,4bに出力して投影表示させる際、例えば表示装置4a,4bにおいて通常画像と反転画像とが所定のフレームレートで順次に切り替わるように通常画像と反転画像とを交互に配置したテレビジョン信号として出力する。これにより、表示装置4a,4bは、表示画像に含まれる通常画像と反転画像とを所定のフレームレートで逐次更新しながらスクリーン7a,7bに表示画像を表示するようになる。
【0056】
尚、秘密領域R1の設定されていない画像データ21に基づいて表示画像を生成する際には、反転画像は生成されず、通常画像のみで表示画像が構成される。
【0057】
また画像処理装置2a,2bは、通常画像と反転画像とで構成される表示画像の表示処理を開始することに伴い、各参加者が装着する眼鏡装置8a,8bに対して制御信号を送出する。このとき、画像処理装置2a,2bは、秘密情報の閲覧権限を有する参加者の眼鏡装置8a,8bに対し、所定のフレームレートで逐次更新しながら表示される表示画像のうちから通常画像のみを視認させるための視認許可信号を送出するように構成される。また秘密情報の閲覧権限を有さない参加者の眼鏡装置8a,8bには、所定のフレームレートで逐次更新しながら表示される表示画像をそのまま視認させるための視認不可信号を送出するように構成される。
【0058】
その後、プレゼンタが表示装置4a,4bによって表示されている表示画像のページを更新する操作を行うと、図6に示すように、プロセスP6からプロセスP3へと戻り、次のページを表示対象として再びプレゼンタによる画像データ21の確認が行われる。このように本実施形態では、画像データ21に複数のページが含まれる場合、プレゼンタによってページ更新操作が行われる都度、プロセスP3〜P6が繰り返し行われるようになる。
【0059】
以下、このような画像処理装置2a,2bについて更に詳しく説明する。ただし、第1拠点の画像処理装置2aと第2拠点の画像処理装置2bは、主装置となるか否かによってその動作が異なる。そのため、まず第1拠点の画像処理装置2aについて説明する。
【0060】
図8は、第1拠点の画像処理装置2aの機能構成を示すブロック図である。画像処理装置2aは、プレゼンタによってTV会議などを開始させる指示操作が行われた場合、制御部10において上述したCPU10aが処理プログラム20を実行することにより、画像データ読出部41、秘密領域設定部42、表示画像生成部43、表示画像生成部43、表示画像取得部44、制御信号発生部45、表示制御部46および視認制御部47として機能する。
【0061】
画像データ読出部41は、記憶装置17に予め格納されている画像データ21を読み出す処理部である。画像データ読出部41は、記憶装置17から表示対象となる画像データ21を読み出すと、その読み出した画像データ21に基づいて、プレゼンタが操作するコンピュータ5又は操作パネル14の表示部14aに確認のための画像表示を行う。これにより、プレゼンタは、画像データ21に基づく表示画像が投影表示される前に、秘密情報を含む画像データ21であるか否かを判断することができる。また画像データ読出部41は、記憶装置17から読み出した画像データ21を秘密領域設定部42および表示画像生成部43に出力する。
【0062】
秘密領域設定部42は、コンピュータ5又は操作パネル14の操作部14bを介して入力されるプレゼンタの指示操作に基づき、画像データ21に対して秘密領域R1を設定する処理部である。また秘密領域設定部42は、プレゼンタによって秘密領域R1が設定されると、その秘密領域R1に含まれる秘密情報を閲覧可能にする権限レベルの設定操作を受け付ける。そしてプレゼンタによって設定される権限レベルに基づいて権限情報23を生成し、その権限情報23を画像データ21に付加する。その後、秘密領域設定部42は、秘密領域R1が設定されると共に権限情報23が付加された画像データ21を表示画像生成部43に出力する。また秘密領域設定部42は、画像データ21に付加した権限情報23を制御信号発生部45に出力する。
【0063】
尚、プレゼンタによって秘密領域R1の設定操作が行われなかった場合、秘密領域設定部42は、表示画像生成部43および制御信号発生部45のいずれに対しても出力を行うことなく、処理を終了する。
【0064】
表示画像生成部43は、プレゼンタによる画像データ21の確認作業が終了すると機能し、入力する画像データ21に基づいて表示装置4aに出力するための表示画像を生成する処理部である。表示画像生成部43は、秘密領域設定部42から秘密領域R1の設定された画像データ21を入力した場合、その秘密領域設定部42から入力した画像データ21に基づいて表示画像を生成する。すなわち、表示画像生成部43は、秘密領域設定部42から入力した画像データ21に基づいて通常画像と反転画像とを生成する。より具体的に説明すると、表示画像生成部43は、秘密領域設定部42から入力した画像データ21に基づいて通常画像を生成すると共に、その画像データ21に含まれる秘密領域R1を特定し、その秘密領域R1に含まれる画素の濃度値を反転させることにより反転画像を生成する。そして表示画像生成部43は、それら通常画像と反転画像とを交互に配置することにより、それら通常画像と反転画像とが所定のフレームレートで順次に切り替えられながら表示される表示画像を生成する。そして表示画像生成部43は、表示画像に対して権限情報23を付加する。
【0065】
また表示画像生成部43は、秘密領域設定部42から秘密領域R1の設定された画像データ21を入力しなかった場合、画像データ読出部41から入力した画像データ21に基づいて表示画像を生成する。このとき反転画像は生成されないので、表示画像生成部43は、画像データ21に基づいて生成する通常画像のみを配置することにより、通常画像が所定のフレームレートで逐次更新されながら表示される表示画像を生成する。
【0066】
そして表示画像生成部43は、上記のようにして生成した表示画像を表示画像取得部44に出力する。表示画像取得部44は、表示画像生成部43によって生成される表示画像を取得すると、その表示画像を制御信号発生部45および表示制御部46に出力する。
【0067】
制御信号発生部45は、表示画像取得部44によって取得される表示画像に基づいて、第1拠点における各参加者が装着する眼鏡装置8aに対して個別に送出するための制御信号を発生させる処理部である。この制御信号発生部45は、表示画像取得部44によって取得される表示画像に秘密情報が含まれているか否かを判断する。
【0068】
表示画像に秘密情報が含まれている場合、制御信号発生部45は、秘密領域設定部42から入力する権限情報23に基づいて表示画像に含まれる秘密情報を閲覧するための権限レベルを特定する。そして制御信号発生部45は、記憶装置17に記憶されている視認管理情報22を参照し、表示画像に含まれる秘密情報を視認可能にするユーザを特定すると共に、その特定したユーザに対応する登録識別情報22cの項目を参照することによりそのユーザが所持する眼鏡装置8aに対して個別に設定されている識別情報36を抽出する。そして制御信号発生部45は、特定したユーザに対して通常画像のみを視認させるための視認許可信号を生成し、その視認許可信号に視認管理情報22から抽出した識別情報36を付加して視認制御部47に出力する。
【0069】
また制御信号発生部45は、記憶装置17に記憶されている視認管理情報22を参照し、表示画像に含まれる秘密情報を視認できないようにするユーザを特定すると共に、その特定したユーザに対応する登録識別情報22cの項目を参照することによりそのユーザが所持する眼鏡装置8aに対して個別に設定されている識別情報36を抽出する。そして制御信号発生部45は、その特定したユーザに対して表示装置4aによって表示される表示画像をそのまま視認させるための視認不可信号を生成し、その視認不可信号に視認管理情報22から抽出した識別情報36を付加して視認制御部47に出力する。
【0070】
これに対し、表示画像に秘密情報が含まれていない場合、制御信号発生部45は、表示装置4aによって表示される表示画像を各ユーザに視認させるためにデフォルト設定されている制御信号を発生させ、視認管理情報22の登録識別情報22cに登録されている全ての識別情報36を付加して視認制御部47に出力する。尚、デフォルト設定されている制御信号は、例えば表示装置4aによって表示される表示画像をそのまま視認させるための視認不可信号と同じである。
【0071】
上記のようにして制御信号発生部45において生成される制御信号は、表示装置4aにおいて逐次更新されながら表示される表示画像のフレームレートに同期した動作を眼鏡装置8aに行わせるための信号となる。そのため、特に視認許可信号は、表示装置4aにおいて通常画像と反転画像とが切り替わるタイミングに同期して、秘密情報を視認する権限を有するユーザが装着する眼鏡装置8aの右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lとを開閉駆動させるための制御信号として生成される。
【0072】
表示制御部46は、表示画像取得部44から入力する表示画像を表示装置4aに出力することにより、表示装置4aに表示画像を投影表示させる処理部である。この表示制御部46は、表示画像取得部44から入力する表示画像を所定のフレームレートで逐次更新させながら表示させるように表示装置4aを制御する。
【0073】
図9は、表示制御部46から表示装置4aに出力される表示画像の概念を示す図である。尚、図9では、表示画像に秘密情報が含まれる場合を例示している。図9に示すように表示画像に秘密情報が含まれる場合、表示画像は、秘密領域R1をそのまま表示する通常画像G1と、秘密領域R1の部分が反転した反転画像G2とが交互に配置される画像となる。そのため、表示制御部46は、図9に示すように通常画像G1と反転画像G2とを所定のフレームレートで交互に切り替えながら表示画像を表示装置4aに出力する。これにより、表示装置4aは、表示制御部46から出力される通常画像と反転画像とを所定のフレームレートで交互に投影表示するようになる。
【0074】
図8に戻り、視認制御部47は、制御信号発生部45から入力する制御信号を無線通信機12に対して出力することにより、無線通信機12にその制御信号を送出させ、第1拠点で各参加者が装着する眼鏡装置8aの動作を制御する。この視認制御部47が無線通信機12を介して制御信号を眼鏡装置8aに送出することにより、眼鏡装置8aは表示装置4aによって投影表示される表示画像のフレームレートに同期した動作を行うようになる。
【0075】
すなわち、表示装置4aによって秘密情報を含む表示画像が投影表示されている場合、その秘密情報を視認する権限を有さないユーザに装着された眼鏡装置8aは、視認不可信号を受信し、その視認不可信号に基づいて右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lの開閉状態を制御するようになる。これに対し、その秘密情報を視認する権限を有するユーザに装着された眼鏡装置8aは、視認許可信号を受信し、その視認許可信号に基づいて右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lの開閉状態を制御するようになる。
【0076】
図10は、表示装置4aによって表示される表示画像が秘密情報を含む場合の眼鏡装置8aにおけるシャッタ開閉動作の一例を示す図である。図10に示すように、表示画像に秘密情報が含まれる場合、表示装置4aによって表示される表示画像は、通常画像G1と反転画像G2とが所定のフレームレートで順次更新される。
【0077】
この場合、秘密情報を視認する権限を有さない非権限ユーザが装着する眼鏡装置8aは、視認不可信号に基づいて動作することにより、図10に示すように、右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lとを常時開放させた状態に制御する。したがって、非権限ユーザは、眼鏡装置8aを介してスクリーン7aに投影される表示画像を視認すると、通常画像G1と反転画像G2とが所定のフレームレートで入れ替わる表示画像をそのままの状態で視認することになる。
【0078】
これに対し、秘密情報を視認する権限を有する権限ユーザが装着する眼鏡装置8aは、視認許可信号に基づいて動作することにより、図10に示すように、通常画像G1が表示される期間中は右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lとを開放させた状態にし、反転画像G2が表示される期間中は右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lとを閉鎖させた状態に制御する。したがって、権限ユーザは、眼鏡装置8aを介してスクリーン7aに投影される表示画像を視認すると、通常画像G1と反転画像G2とが交互に入れ替わる表示画像のうちから通常画像G1のみを視認することができるようになる。
【0079】
図11は、各ユーザが眼鏡装置8aを介して秘密情報が含まれる表示画像を視認した場合の視認画像の一例を示す図である。
【0080】
図11(a)は、非権限ユーザが視認する視認画像G3である。非権限ユーザは上述したように通常画像G1と反転画像G2とが所定のフレームレートで入れ替わる表示画像をそのままの状態で視認するため、非権限ユーザによって視認される視認画像G3は、通常画像G1と反転画像G2とを合成した画像となる。この場合、秘密領域R1は、通常画像G1の濃度値と反転画像G2の濃度値とが平均化された画像となる。そのため、非権限ユーザは、図11(a)に示すように秘密領域R1が中間濃度値で塗りつぶされた視認画像G3を視認することとなり、秘密情報の内容を把握することができない。尚、眼鏡装置8aを装着することなく、表示装置4aによって表示される表示画像を裸眼で視認する場合にも視認画像G3を視認することになり、秘密情報の内容を把握することができない。
【0081】
これに対し、図11(b)は、権限ユーザが視認する視認画像G1である。権限ユーザは眼鏡装置8aを装着することにより、上述したように通常画像G1のみを視認することができるため、視認画像G1は通常画像G1と同じ画像となる。そのため、権限ユーザは、図11(b)に示すように秘密領域R1に含まれる秘密情報の内容を把握することができるようになる。
【0082】
このように本実施形態では、表示対象となる画像に秘密領域R1を設定し、さらにその秘密領域R1に含まれる秘密情報を視認するための権限レベルを設定することにより、特定のユーザにのみ秘密情報を視認させることができるようになる。それ故、TV会議などの用いる資料の中に秘密情報が含まれる場合でも、プレゼンタは事前にそのような秘密情報を削除した資料を作り直したり、或いは公衆画像を準備して秘密情報を含む資料画像と組み合わせたりする作業を行う必要がなくなるという利点がある。
【0083】
次に画像処理装置2aにおける具体的な動作について説明する。図12および図13は、画像処理装置2aにおいて行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は、制御部10のCPU10aが上述した処理プログラム20を実行することにより行われるものである。画像処理装置2aは、この処理を開始すると、まずプレゼンタによる指示操作に基づき画像データ21の登録を行う(ステップS10)。次に画像処理装置2aは、プレゼンタによる指示操作に基づいて視認管理情報22の登録を行う(ステップS11)。このとき画像処理装置2aは、第2拠点の画像処理装置2bに登録すべき視認管理情報22を画像処理装置2bに送信する。これにより、TV会議などが開始される前の事前準備が完了する。
【0084】
その後、プレゼンタによって会議開始指示が入力されると(ステップS12)、画像処理装置2aは、第2拠点の画像処理装置2bとの接続処理を行い、画像処理装置2bとの間でデータ通信を行うことが可能な状態とする(ステップS13)。そしてプレゼンタの指示に基づき、記憶装置17に記憶された画像データ21を詠み出す(ステップS14)。このとき画像データ21に複数のページが含まれる場合には、1ページ分の画像データ21が読み出される。そして以後、ステップS14の処理が行われる度に読み出されるページが変更されていく。
【0085】
1ページ分の画像データ21の読み出しが終了すると、画像処理装置2aは、第1拠点の眼鏡装置8aに対して制御信号の送出を開始する(ステップS15)。このとき送出される制御信号はデフォルト設定されている制御信号であり、例えば参加者全員の眼鏡装置8aに対して表示装置4aによって表示される表示画像をそのまま視認させるための視認不可信号の送出が開始される。
【0086】
そして画像処理装置2aは、ステップS14で読み出した1ページ分の画像データ21に基づいて表示画像を生成するための表示画像生成処理を行う(ステップS16)。図13は、この表示画像生成処理(ステップS16)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像処理装置2aは、この処理を開始すると、まずステップS14で読み出された画像データ21の内容をプレゼンタに確認させるための表示処理を行う(ステップS31)。そして画像処理装置2aは、画像データ21をプレゼンタに対して表示している状態でプレゼンタによって行われる秘密領域R1の設定操作を受け付けると共に(ステップS32)、権限レベルの設定操作を受け付ける(ステップS33)。その後、画像処理装置2aは、プレゼンタによって確認終了指示が入力されたか否かを判断し(ステップS34)、確認終了指示が入力していない場合は、ステップS31に戻って確認のための表示処理を継続する。これに対し、プレゼンタによって確認終了指示が入力された場合(ステップS34でYES)、画像処理装置2aは、プレゼンタによって画像データ21に秘密領域R1が設定されたか否かを判断する(ステップS35)。
【0087】
そしてプレゼンタによって画像データ21に秘密領域R1の設定が行われていない場合(ステップS35でNO)、画像処理装置2aは、1ページ分の画像データ21に基づいて表示画像を生成する(ステップS36)。この処理では、反転画像は生成されず、通常画像のみで構成される表示画像が生成される。
【0088】
これに対し、プレゼンタによって画像データ21に秘密領域R1の設定が行われている場合(ステップS35でYES)、画像処理装置2aは、まず1ページ分の画像データ21に基づいて通常画像G1を生成し(ステップS37)、次に通常画像G1に含まれる秘密領域R1の部分を反転させた反転画像G2を生成する(ステップS38)。そして画像処理装置2aは、通常画像G1と反転画像G2とを交互に配置した表示画像を生成する(ステップS39)。さらに画像処理装置2aは、ステップS39で生成した表示画像の付加情報として、プレゼンタにより設定された権限レベルを示す権限情報23を表示画像に付加する(ステップS40)。そして画像処理装置2aは、上記のようにして生成される表示画像をメモリ10bなどに一旦出力する(ステップS41)。以上で、表示画像生成処理(ステップS16)が終了する。
【0089】
図12に戻り、次に画像処理装置2aは、メモリ10bなどに出力された表示画像を取得し、その表示画像に秘密領域R1が設定されているか否かを判断する(ステップS17)。その結果、秘密領域R1が設定されている場合(ステップS17でYES)、画像処理装置2aは、その秘密領域R1に設定されている権限レベルを確認する(ステップS18)。そして画像処理装置2aは、記憶装置17から視認管理情報22を読み出して参照し(ステップS19)、秘密領域R1に含まれる秘密情報を視認可能な権限ユーザを特定する(ステップS20)。そして視認管理情報22に基づいて、その権限ユーザの眼鏡装置8aを特定し(ステップS21)、権限ユーザの眼鏡装置8aに設定されている識別情報36を含む視認許可信号の送出を開始する(ステップS22)。これにより、権限ユーザの眼鏡装置8aが受信する制御信号は、デフォルト設定によって送出される制御信号から視認許可信号に切り替わる。一方、表示画像に秘密領域R1が設定されていなかった場合(ステップS17でNO)、上述したステップS18〜S22の処理はスキップする。
【0090】
そして画像処理装置2aは、表示画像の表示処理を開始する(ステップS23)。すなわち、表示装置4aに対して表示画像の出力を開始し、スクリーン7aに対して表示画像の投影表示を行わせる。この表示画像に秘密情報が含まれる場合、権限ユーザが装着する眼鏡装置8aは、スクリーン7aに表示される表示画像のフレームレートと同期して動作し、通常画像G1が表示される期間中は権限ユーザにその通常画像G1を視認させ、反転画像G2が表示される期間中はその反転画像G2を遮断するので権限ユーザに通常画像G1のみを視認させる。また画像処理装置2aは、ステップS23において表示画像の表示処理を開始することに伴って、表示画像を第2拠点の画像処理装置2bに送信する処理を開始する。
【0091】
その後、画像処理装置2aは、プレゼンタによってページを更新させる指示が入力されたか否かを判断し(ステップS24)、ページ更新指示を入力した場合にはステップS14に戻って次の1ページ分の画像データ21の読み出しを行うと共に、上述した処理(ステップS14〜S23)を繰り返す。これに対し、プレゼンタによるページ更新指示を入力していない場合(ステップS24でNO)、画像処理装置2aは、会議が終了するか否かを判断する(ステップS25)。そして会議が終了しない場合には、ステップS23に戻って表示画像の表示処理を継続させる一方、会議が終了する場合にはこの処理を終了する。
【0092】
次に、第2拠点の画像処理装置2bについて説明する。尚、以下においては、第2拠点の画像処理装置2bにおいて予め視認管理情報22が記憶装置17に記憶されており、その状態でTV会議などが開始される場合について説明する。
【0093】
図14は、第2拠点の画像処理装置2bの機能構成を示すブロック図である。画像処理装置2bは、第1拠点の画像処理装置2aからTV会議などを開始する信号を受信した場合、制御部10において上述したCPU10aが処理プログラム20を実行することにより、表示画像取得部51、秘密領域検出部52、表示制御部53、制御信号発生部54および視認制御部55として機能する。
【0094】
表示画像取得部51は、ネットワークインタフェース11を介して第1拠点の画像処理装置2aから送信される表示画像を取得する処理部である。したがって、表示画像取得部51が取得する表示画像に秘密情報が含まれる場合、その表示画像は通常画像G1と反転画像G2とが交互に配置された画像となっている。この表示画像取得部51は、ネットワークインタフェース11を介して表示画像を取得すると、その表示画像を秘密領域検出部52および表示制御部53に出力する。
【0095】
秘密領域検出部52は、表示画像取得部51によって取得される表示画像に秘密領域R1が設定されているか否かを検出する処理部である。すなわち、秘密領域検出部52は、所定のフレームレートで更新される連続した2枚の画像を合成し、その合成した画像において濃度変調がキャンセルされる部分が存在するか否かを検知する。そして連続した2枚の画像間で濃度変調がキャンセルされる部分がある場合、表示画像に秘密領域R1が設定されていると判断する。これに対し、連続した2枚の画像間で濃度変調がキャンセルされる部分がない場合、表示画像には秘密領域R1が設定されておらず、秘密情報を含まない画像であると判断する。そして秘密領域検出部52は、そのような判断結果を制御信号発生部54に出力する。
【0096】
また秘密領域検出部52は、表示画像に秘密領域R1が設定されていると判断した場合、その表示画像に付加されている権限情報23を参照し、秘密領域R1に含まれる秘密情報を視認することができる権限レベルを特定する。そして秘密領域検出部52は、その権限レベルを制御信号発生部54に出力する。
【0097】
表示制御部53は、表示画像取得部51から入力する表示画像を表示装置4bに出力することにより、表示装置4bに表示画像を投影表示させる処理部である。この表示制御部53は、表示画像取得部51から入力する表示画像を所定のフレームレートで逐次更新させながら表示させるように表示装置4bを制御する。したがって、表示画像に秘密情報が含まれる場合、表示制御部53から表示装置4bに出力される表示画像は、図9に示したものと同様である。それ故、表示装置4bは、表示制御部53から出力される通常画像と反転画像とを所定のフレームレートで交互に投影表示するようになる。また表示制御部53は、表示画像を表示装置4bに出力することに伴い、制御信号発生部54にフレームレートに同期した制御信号を発生させるために所定のフレームレートでの画像を切り替えるタイミングを制御信号発生部54に通知する。特に、表示画像に秘密情報が含まれる場合には、通常画像G1と反転画像G2とを交互に切り替えるタイミングを通知する。
【0098】
制御信号発生部54は、表示画像取得部51によって取得される表示画像に基づいて、第2拠点における各参加者が装着する眼鏡装置8bに対して個別に送出するための制御信号を発生させる処理部である。この制御信号発生部54は、表示画像取得部51によって取得される表示画像に秘密情報が含まれている場合、秘密領域検出部52から入力する権限レベルに基づいて、記憶装置17に記憶されている視認管理情報22を参照し、表示画像に含まれる秘密情報を視認可能にするユーザを特定する。そして、その特定したユーザに対応する登録識別情報22cの項目を参照することによりそのユーザが所持する眼鏡装置8bに対して個別に設定されている識別情報36を抽出する。制御信号発生部54は、その特定したユーザに対して通常画像のみを視認させるための視認許可信号を生成し、その視認許可信号に視認管理情報22から抽出した識別情報36を付加して視認制御部55に出力する。
【0099】
また制御信号発生部54は、記憶装置17に記憶されている視認管理情報22を参照し、表示画像に含まれる秘密情報を視認できないようにするユーザを特定すると共に、その特定したユーザに対応する登録識別情報22cの項目を参照することによりそのユーザが所持する眼鏡装置8bに対して個別に設定されている識別情報36を抽出する。そして制御信号発生部54は、その特定したユーザに対して表示装置4bによって表示される表示画像をそのまま視認させるための視認不可信号を生成し、その視認不可信号に視認管理情報22から抽出した識別情報36を付加して視認制御部55に出力する。
【0100】
これに対し、表示画像に秘密情報が含まれていない場合、制御信号発生部54は、第1拠点の画像処理装置2aと同様に、表示装置4bによって表示される表示画像を各ユーザに視認させるためにデフォルト設定されている制御信号を発生させ、視認管理情報22の登録識別情報22cに登録されている全ての識別情報36を付加して視認制御部55に出力する。
【0101】
視認制御部55は、制御信号発生部54から入力する制御信号を無線通信機12に対して出力することにより、無線通信機12にその制御信号を送出させ、第2拠点で各参加者が装着する眼鏡装置8bの動作を制御する。この視認制御部55が無線通信機12を介して制御信号を眼鏡装置8bに送出することにより、眼鏡装置8bは表示装置4bによって投影表示される表示画像のフレームレートに同期した動作を行うようになる。
【0102】
すなわち、表示装置4bによって秘密情報を含む表示画像が投影表示されている場合、その秘密情報を視認する権限を有さない非権限ユーザに装着された眼鏡装置8bは、視認不可信号を受信し、その視認不可信号に基づいて右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lの開閉状態を制御するようになる。そのため、非権限ユーザは、上述したように通常画像G1と反転画像G2とが所定のフレームレートで入れ替わる表示画像をそのままの状態で視認し、通常画像G1と反転画像G2とを合成した画像を知覚するようになり、秘密情報の内容を把握することができない。
【0103】
これに対し、その秘密情報を視認する権限を有する権限ユーザに装着された眼鏡装置8bは、視認許可信号を受信し、その視認許可信号に基づいて右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lの開閉状態を制御するようになる。そのため、権限ユーザは、通常画像G1のみを視認するようになり、秘密領域R1に含まれる秘密情報の内容を把握することができる。
【0104】
次に画像処理装置2bにおける具体的な動作について説明する。図15は、画像処理装置2bにおいて行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は、制御部10のCPU10aが上述した処理プログラム20を実行することにより行われるものである。画像処理装置2bは、この処理を開始すると、まずプレゼンタによる第1拠点からの指示操作に基づいて視認管理情報22の登録を行う(ステップS50)。第2拠点における事前準備はこれで完了する。
【0105】
その後、第1拠点の画像処理装置2aから接続要求を受信すると、画像処理装置2bは、第1拠点の画像処理装置2aとの接続処理を行い、画像処理装置2aとの間でデータ通信を行うことが可能な状態とする(ステップS51)。そして第1拠点の画像処理装置2aとの接続処理が完了すると、画像処理装置2bは、第2拠点の眼鏡装置8bに対して制御信号の送出を開始する(ステップS52)。このとき送出される制御信号はデフォルト設定されている制御信号であり、例えば参加者全員の眼鏡装置8bに対して表示装置4bによって表示される表示画像をそのまま視認させるための視認不可信号の送出が開始される。
【0106】
そして画像処理装置2bは、第1拠点の画像処理装置2aから送信される表示画像を受信すると(ステップS53)、その表示画像に秘密領域R1が含まれるか否かを検知するための秘密領域検知処理を行い(ステップS54)、秘密領域R1の設定があるか否かを判断する(ステップS55)。その結果、表示画像に秘密領域R1が設定されている場合(ステップS55でYES)、画像処理装置2bは、その秘密領域R1に設定されている権限レベルを確認する(ステップS56)。そして画像処理装置2bは、記憶装置17から視認管理情報22を読み出して参照し(ステップS57)、秘密領域R1に含まれる秘密情報を視認可能な権限ユーザを特定する(ステップS58)。そして視認管理情報22に基づいて、その権限ユーザの眼鏡装置8bを特定し(ステップS59)、権限ユーザの眼鏡装置8bに設定されている識別情報36を含む視認許可信号の送出を開始する(ステップS60)。これにより、第2拠点において権限ユーザの眼鏡装置8bが受信する制御信号は、デフォルト設定によって送出される制御信号から視認許可信号に切り替わる。一方、表示画像に秘密領域R1が設定されていなかった場合(ステップS55でNO)、上述したステップS56〜S60の処理はスキップする。
【0107】
そして画像処理装置2bは、表示画像の表示処理を開始する(ステップS61)。すなわち、表示装置4bに対して表示画像の出力を開始し、スクリーン7bに対して表示画像の投影表示を行わせる。この表示画像に秘密情報が含まれる場合、権限ユーザが装着する眼鏡装置8bは、スクリーン7bに表示される表示画像のフレームレートと同期して動作し、通常画像G1が表示される期間中は権限ユーザにその通常画像G1を視認させ、反転画像G2が表示される期間中はその反転画像G2を遮断するので権限ユーザに通常画像G1のみを視認させることができる。
【0108】
その後、画像処理装置2bは、第1拠点の画像処理装置2aからページ更新の通知を受信したか否かを判断し(ステップS62)、ページ更新の通知を受信した場合にはステップS52に戻って全ての眼鏡装置8bに送出する制御信号を再びデフォルト設定された信号に戻すと共に、上述した処理(ステップS52〜S61)を繰り返す。これに対し、ページ更新の通知を受信していない場合(ステップS62でNO)、画像処理装置2bは、会議が終了するか否かを判断する(ステップS63)。そして会議が終了しない場合には、ステップS61に戻って表示画像の表示処理を継続させる一方、会議が終了する場合にはこの処理を終了する。
【0109】
このように本実施形態では、第1拠点および第2拠点のいずれにおいても、秘密情報を視認する権限を有する権限ユーザだけが表示画像に含まれる秘密情報の内容を知ることができ、非権限ユーザは秘密情報の内容を知ることができない。そのため、プレゼンタは、秘密情報を含む資料の画像データ21に基づいて投影表示を開始するまでに、画像データ21に対して秘密情報が含まれる部分に秘密領域R1を設定すると共に、その秘密情報を視認可能にする権限レベルを設定すれば、非権限ユーザに対して秘密情報が知られてしまうことを防止することができる。すなわち、プレゼンタにとっては、秘密情報を含む資料から秘密情報を削除して事前に別の資料を作成する必要はなく、手元にある資料に対して秘密領域R1を設定したり、権限レベルを設定したりするだけで良いため、TV会議などが開始されるまでに行わなければならない作業負担が軽減されるようになる。
【0110】
以上のように本実施形態の表示画像視認制御システム1では、表示画像視認制御装置として機能する画像処理装置2a,2bに、画像視認装置となる眼鏡装置8a,8bに設定される識別情報36と、表示画像に付与される権限情報23とを対応付けた視認管理情報22を予め記憶しておく。そして各画像処理装置2a,2bにおいて取得される表示画像が、秘密情報を含む通常画像G1と、通常画像G1の少なくとも秘密情報が含まれる部分を反転させた反転画像G2とが1枚ずつ交互に配置されると共に、通常画像G1を視認するための権限情報23が付与された表示画像である場合、その表示画像に付加された権限情報23に基づいて視認管理情報22を参照することにより、眼鏡装置8a,8bに対して、ユーザに通常画像G1のみを視認させるための視認許可信号と、所定のフレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのまま視認させる視認不可信号とのいずれか一方が送出されるようになっている。そして眼鏡装置8a,8bは、画像処理装置2a,2bから送出される視認許可信号を受信した場合、その視認許可信号に基づいて動作することにより、所定のフレームレートで逐次更新して表示される表示画像のうちから通常画像G1のみをユーザに視認させるように動作する。また画像処理装置2a,2bから送出される視認不可信号を受信した場合、眼鏡装置8a,8bは、その視認不可信号に基づいて動作することにより、所定のフレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのままユーザに視認させるように動作する。
【0111】
このような構成により、複数のユーザに対して表示画像を表示する際、それら複数のユーザが眼鏡装置8a,8bを装着していたとしても、特定のユーザに対してのみ特別な画像を視認させることができるようになる。
【0112】
また本実施形態では、画像処理装置2aが、表示装置4a,4bに表示するための画像データ21を予め記憶するようになっており、その画像データ21に対して秘密領域R1を設定する秘密領域設定部42と、画像データ21に対して秘密領域R1が設定された場合にその画像データ21に基づいて通常画像G1と反転画像G2とを生成することにより、表示画像を生成する表示画像生成部43とを備えている。そのため、予め記憶される画像データ21に秘密情報が含まれる場合であっても、その秘密情報が含まれる部分に秘密領域R1を設定することにより、特定のユーザに対してのみ通常画像G1を視認させるための表示画像が生成されるようになる。
【0113】
また本実施形態の画像処理装置2aは、入力する画像データに基づいて印刷用紙などのシート材に印刷出力を行うプリンタ部16を備えている。そして上述したように、画像処理装置2aは、記憶装置17に記憶された資料に関する画像データ21に基づいて印刷出力を行うことにより、各参加者への配布資料を出力することも可能である。そして画像処理装置2aは、記憶装置17から読み出した画像データ21を読み出して印刷出力を行うとき、その画像データ21に対して秘密領域R1が設定されている場合には、その画像データ21において少なくとも秘密領域R1が設定されている部分に対して秘密情報を隠蔽するためのマスク処理を施して印刷出力を行うように構成される。このようなマスク処理として種々の処理が考えられるが、単に秘密情報を塗りつぶすだけの処理でも構わない。このように秘密領域R1が設定された画像データ21に基づいて印刷出力を行う際には、秘密領域R1に対してマスク処理を行った状態で印刷出力を行うことにより、各参加者に配布するための資料に秘密情報がそのまま印刷されてしまうことを防止することができる。
【0114】
ところで、今後は、右目用画像データと左目用画像データとを含む3D画像データに基づいて、右目用画像と左目用画像とを所定のフレームレートで交互に表示すると共に、眼鏡装置8a,8bをそのフレームレートに同期させて動作させることにより、3D画像データに基づいて立体的な画像表示を行うことが可能な表示装置がさらに普及していくと考えられる。これに伴い、会議などに用いられる資料に関する画像データ21も右目用画像と左目用画像とを含む3D画像データとして構成され、TV会議などでは立体的な表示画像を各参加者に視認させることも行われるようになっていくと考えられる。このような場合でも、3D画像データとして構成される画像データ21には、全ての参加者に視認させることができない秘密情報が含まれることがある。そして本実施形態において上述した技術は、画像データ21が3D画像データして構成され、その画像データ21に含まれる秘密情報の部分に対して秘密領域R1が設定される場合であっても適用可能なものである。以下、画像データ21が3D画像データである場合について説明する。
【0115】
画像データ21が3D画像データである場合、通常画像G1と反転画像G2とを交互に配置する手法として2つの手法がある。
【0116】
第1の手法は、3D画像データに基づく立体表示が可能な状態を保持しつつ通常画像G1と反転画像G2とを交互に配置する手法である。図16は、3D画像データに基づく立体表示が可能な状態を保持しつつ通常画像G1と反転画像G2とを交互に配置する手法の一例を示す図である。この第1の手法では、図16に示すように3D画像データを構成する右目用画像データと左目用画像データのそれぞれに基づいて通常画像G1と反転画像G2とが生成される。3D画像データに基づいて立体的な表示を行う場合、右目用画像データに基づく画像と、左目用画像データに基づく画像とが所定のフレームレートに基づいて1フレームずつ交互に表示される。図例の場合、奇数フレームで右目用画像データに基づく画像が表示され、偶数フレームで左目用画像データに基づく画像が表示される。そのため、表示対象となる3D画像データに対して秘密領域R1が設定される場合、右目用画像データに基づいて生成される通常画像G1と反転画像G2とは、奇数フレームが表示されるタイミングで交互に表示されるように配置される。また左目用画像データに基づいて生成される通常画像G1と反転画像G2とは、偶数フレームが表示されるタイミングで交互に表示されるように配置される。
【0117】
その結果、3D画像データに秘密領域R1が設定される場合の表示画像は、図16に示すように、1フレーム目で右目用画像データに基づいて生成される通常画像G1が表示され、2フレーム目で左目用画像データに基づいて生成される通常画像G1が表示される。そして3フレーム目で右目用画像データに基づいて生成される反転画像G2が表示され、4フレーム目で左目用画像データに基づいて生成される反転画像G2が表示される。5フレーム目以降は、これの繰り返しとなる。
【0118】
このような表示画像が表示されるとき、秘密情報を視認する権限を有する権限ユーザが装着する眼鏡装置8a,8bは、1フレーム目の通常画像G1が表示される期間において右目用シャッタ35Rだけを開放し、2フレーム目の通常画像G1が表示される期間において左目用シャッタ35Lだけを開放する。3フレーム目および4フレーム目が表示される期間中は右目用シャッタ35Rおよび左目用シャッタ35Lは閉鎖した状態となる。そして5フレーム目以降は同様の動作が繰り返される。
【0119】
一方、秘密情報を視認する権限を有さない非権限ユーザが装着する眼鏡装置8a,8bは、1フレーム目の通常画像G1が表示される期間において右目用シャッタ35Rだけを開放し、2フレーム目の通常画像G1が表示される期間において左目用シャッタ35Lだけを開放する。また3フレーム目の反転画像G2が表示される期間において右目用シャッタ35Rだけを開放し、4フレーム目の通常画像G2が表示される期間において左目用シャッタ35Lだけを開放する。そして5フレーム目以降は同様の動作が繰り返される。
【0120】
上記のような動作を行うことにより、3D画像データに基づく立体的な表示を継続させつつ、権限ユーザには立体表示に含まれる秘密情報を視認可能とし、非権限ユーザには立体表示に含まれる秘密情報を視認させないようにすることができる。また、眼鏡装置8a,8bを装着していない参加者が存在する場合でも、その参加者は秘密情報を視認することができない。そのため、権限ユーザに対してのみ秘密情報を視認させるという点においては良好なものとなる。
【0121】
しかしその一方、上記のような動作を行うように構成すると、権限ユーザが立体的な表示画像を視認するとき、図16に示すように3フレーム目と4フレーム目との連続する2フレームの画像が表示される期間T2の間、権限ユーザは画像を視認しないことになる。そのため、権限ユーザが通常画像G1を視認するときに表示画像のちらつきを発生させ、権限ユーザにとっては非常に見づらい表示画像となってしまう。そこで、このような権限ユーザが表示画像の視認するときのちらつきを抑えるためには、次の第2の手法を採用することが好ましい。
【0122】
第2の手法は、表示対象となる3D画像データに秘密領域R1が設定されている場合、3D画像データを2D画像データに切り替えて立体的な表示態様から平面的な表示態様に変更し、平面的な表示態様で通常画像G1と反転画像G2とを交互に配置する手法である。図17は、3D画像データを2D画像データに切り替えて平面的な表示態様で通常画像G1と反転画像G2とを交互に配置する手法の一例を示す図である。この第2の手法では、表示対象となる3D画像データに秘密領域R1が設定されている場合、その3D画像データを構成する右目用画像データと左目用画像データとのいずれか一方を選択して2D画像データとして採用する。そして2D画像データとして採用した画像データに基づいて通常画像G1と反転画像G2とが生成される。
【0123】
この第2の手法では、立体的な表示が行われないため、上記のようにして生成される通常画像G1と反転画像G2とが交互に配置されて表示画像が生成される。すなわち、図17に示すように、右目用画像データと左目用画像データとのいずれか一方に基づいて生成される通常画像G1と反転画像G2とが所定のフレームレートに基づいて1フレームずつ交互に表示された表示画像となる。
【0124】
このような表示画像が表示されるとき、秘密情報を視認する権限を有する権限ユーザが装着する眼鏡装置8a,8bは、1フレーム目の通常画像G1が表示される期間において右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lの双方を開放し、2フレーム目の反転画像G2が表示される期間において右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lの双方を閉鎖する。そして3フレーム目以降はこれと同様の動作が繰り返される。
【0125】
一方、秘密情報を視認する権限を有さない非権限ユーザが装着する眼鏡装置8a,8bは、1フレーム目の通常画像G1が表示される期間および2フレーム目の反転画像G2が表示される期間を通して右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lの双方を開放した状態に制御する。3フレーム目以降もこれと同様である。つまり、非権限ユーザが装着する眼鏡装置8a,8bでは、右目用シャッタ35Rと左目用シャッタ35Lとが常時開放した状態となる。
【0126】
上記のような動作を行うことにより、権限ユーザには3D画像データに含まれていた秘密情報を視認可能とし、非権限ユーザにはその秘密情報を視認させないようにすることができる。また、眼鏡装置8a,8bを装着していない参加者が存在する場合でも、その参加者には秘密情報を視認させないようにすることができる。そして、上記のような動作を行うことにより、第1の手法と比較すると、権限ユーザが表示画像を視認できない期間T2を短くすることができるため、表示画像のちらつきを抑制することができ、権限ユーザにとっては見やすい表示画像となる。
【0127】
したがって、本実施形態では、画像処理装置2aの記憶装置17に、右目用画像と左目用画像とを所定のフレームレートで交互に表示するための3D画像データが記憶されており、しかもその3D画像データに対して秘密領域R1が設定されている場合、右目用画像と左目用画像のいずれか一方に基づいて通常画像G1と反転画像G2を生成すると共に、その通常画像G1と反転画像G2とを1枚ずつ交互に配置した表示画像を生成するように構成されることがより好ましい。
【0128】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。図18は、本発明の第2の実施の形態における表示画像視認制御システム1aの概略構成の一例を示す図である。この表示画像視認制御システム1aは、第1の実施の形態で説明した表示画像視認制御システム1とほぼ同様の構成を有している。本実施形態の表示画像視認制御システム1aが第1の実施の形態と異なる点は、本実施形態では画像視認装置として撮像装置29a,29bが用いられる点である。
【0129】
すなわち、第1の実施の形態では、眼鏡装置8a,8bが画像視認装置として用いられる場合を例示したが、TV会議に参加する参加者によっては眼鏡装置8a,8bの装着を煩わしく思うこともある。そのため、本実施形態では、参加者が所持する撮像装置29a,29bを介してスクリーン7a,7bに表示される表示画像を視認させることにより、権限ユーザには秘密情報を視認させることができるようにした形態について説明する。
【0130】
図18に示すように、本実施形態では、第1拠点においてTV会議などに参加する参加者が撮像装置29aを所持し、第2拠点においてTV会議などに参加する参加者が撮像装置29bを所持する。そして表示画像視認制御装置として機能する画像処理装置2a,2bは、各拠点において各参加者が所持する撮像装置29a,29bの動作を制御するように構成される。
【0131】
図19は、撮像装置29a,29bのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。上述したように、撮像装置29a,29bは、表示装置4a,4bによって表示される表示画像をユーザに視認させるための画像視認装置として利用されるものである。図19に示すように、撮像装置29a,29bは、撮影レンズ61、撮像素子62、信号処理回路63、画像処理部64、画像表示部65、撮影制御部66、記録処理部67、記録媒体68、無線通信部69、信号解析部70およびメモリ71を備えて構成される。
【0132】
撮影レンズ61は、撮像装置29a,29bの前方にある被写体から入射する光を撮像素子62に結像させる光学レンズである。撮像素子62は、受光面に多数の画素を有し、撮影レンズ61を介して入射する光の光量に応じた電気信号(濃度値)を画素ごとに発生させることにより、受光面全体として被写体に関する画像信号を生成するものである。このような撮像素子62は、例えばCCDなどによって構成され、撮影制御部66によってその動作が制御される。すなわち、撮像素子62は、撮影制御部66の制御によって被写体に関する画像信号を生成し、その画像信号を信号処理回路63に出力する。信号処理回路63は、撮像素子62から入力する画像信号に対して各種の信号処理を行うものである。例えば、画像信号を増幅したり、画像信号に含まれるノイズ成分を除去したりする。また信号処理回路63は、画像信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する機能も有しており、画素ごとの濃度値をデジタルデータ化した画像データを出力する。
【0133】
画像処理部64は、信号処理回路63から出力される画像データを入力し、その画像データに対して各種の画像処理を施す処理部である。この画像処理部64は、撮影制御部66からの制御指令に基づいて動作し、画像データに対して各種の画像処理を施すように構成される。そして画像処理部64は、撮影制御部66から指示された画像処理を施した後、その処理済みの画像データを出力するように構成される。この画像処理部64は、画像処理済みの画像データを、撮影制御部66からの指示に基づいて画像表示部65または記録処理部67に出力する。
【0134】
画像表示部65は、液晶ディスプレイなどで構成され、画像処理部64から出力される画像データに基づいて画像表示を行うものである。また記録処理部67は、撮影制御部66から指令に基づいて動作し、画像処理部64から出力される画像データをメモリカードなどの所定の記録媒体68に記録するための処理部である。尚、撮影制御部66は、例えば図示しないレリーズボタンがユーザによって押下されたときに記録処理部67を動作させ、画像処理部64から出力される画像データを記録媒体68に記録させるように制御する。
【0135】
無線通信部69は、画像処理装置2a,2bとの間で、例えば赤外線による近距離無線通信を行うためのものである。この無線通信部69は、画像処理装置2a,2bから送出される制御信号を受信すると、その制御信号を信号解析部70に出力する。
【0136】
信号解析部70は、無線通信部69によって受信される制御信号を解析する処理部である。信号解析部70は、メモリ71に格納されている識別情報72を読み出し、その識別情報72に基づいて制御信号を解析する。メモリ71に格納されている識別情報72は、各撮像装置29a,29bに対して個別に設定されている固有の情報である。つまり、各撮像装置29a,29bには、それぞれ値の異なる識別情報72が予め設定されている。本実施形態では、このメモリ71に格納されている識別情報72が、上述した視認管理情報22に登録識別情報22cとして登録される識別情報である。
【0137】
信号解析部70は、無線通信部69によって受信される制御信号に付加された識別情報を抽出し、その識別情報がメモリ71から読み出した識別情報72と一致するか否かを判別する。その結果、制御信号に付加された識別情報がメモリ71から読み出した識別情報72と一致する場合、信号解析部70は、無線通信部69によって受信される制御信号を撮影制御部66に出力する。
【0138】
第1の実施の形態でも説明したように、画像処理装置2a,2bから出力される制御信号は、表示装置4a,4bによってスクリーン7a,7bに表示される表示画像のフレームレートと同期した動作を行わせるための信号である。そのため、撮影制御部66は、信号解析部70から制御信号を入力すると、その制御信号に基づいて撮像素子62および画像処理部64を動作させ、表示装置4a,4bによってスクリーン7a,7bに表示される表示画像のフレームレートと同期した動作を行わせる。
【0139】
ここで本実施形態において画像処理装置2a,2bが撮像装置29a,29bに対して送出する制御信号について説明する。本実施形態においても、画像処理装置2a,2bの構成は、図8および図14に示したものと同様である。そして表示画像に秘密情報が含まれる場合、制御信号発生部45,54は、権限ユーザの撮像装置29a,29bに対して送出する制御信号として、その権限ユーザが所持する撮像装置29a,29bに予め設定されている識別情報72を付加して視認許可信号を生成する。また非権限ユーザの撮像装置29a,29bに送出する制御信号としては、その非権限ユーザが所持する撮像装置29a,29bに予め設定されている識別情報72を付加して視認不可信号を生成する。
【0140】
本実施形態の制御信号発生部45,54において生成される視認許可信号は、例えば撮像装置29a,29bにおいて撮影が行われるタイミングを通常画像G1が表示されている期間に設定する制御信号となる。さらに通常画像G1のみを撮影して得られた画像データに基づいて画像表示部65に通常画像G1のみを表示させる制御信号となる。
【0141】
また本実施形態の制御信号発生部45,54において生成される視認不可信号は、撮像装置29a,29bにおいて撮影が行われるタイミングを通常画像G1と反転画像G2との双方が表示されている期間に設定する信号となる。さらに通常画像G1と反転画像G2との双方を撮影して得られた画像データに基づいて画像表示部65に通常画像G1と反転画像G2とを合成させた表示画像を表示させる制御信号となる。
【0142】
したがって、本実施形態において権限ユーザが所持する撮像装置29a,29bが、視認許可信号を受信した場合、撮影制御部66がその視認許可信号に基づいて撮像素子62および画像処理部64の動作を制御することにより、画像表示部65には通常画像G1のみが表示されるようになる。また、非権限ユーザが所持する撮像装置29a,29bが、視認不可信号を受信した場合、撮影制御部66がその視認不可信号に基づいて撮像素子62および画像処理部64の動作を制御することにより、画像表示部65には通常画像G1と反転画像G2とが合成された画像が表示されるようになる。
【0143】
図20は、表示装置4a,4bによって表示される表示画像が秘密情報を含む場合の撮像装置29a,29bにおける動作の一例を示す図である。図20に示すように、表示画像に秘密情報が含まれる場合、表示装置4a,4bによって表示される表示画像は、通常画像G1と反転画像G2とが所定のフレームレートで順次更新される画像となる。
【0144】
この場合、秘密情報を視認する権限を有さない非権限ユーザが所持する撮像装置29a,29bは、視認不可信号に基づいて、表示画像が更新されるタイミングに同期して動作する。すなわち、非権限ユーザの撮像装置29a,29bは、図20に示すように、通常画像G1と反転画像G1とが表示されている間(時間T10〜T12)、撮像素子62を露光し、それに得られた画像データに基づいて次の露光期間の間(時間T12〜T14)に通常画像G1と反転画像G2とが合成された画像を表示する。したがって、非権限ユーザは、撮像装置29a,29bの画像表示部65を介してスクリーン7a,7bに表示される表示画像を視認すると、通常画像G1と反転画像G2とが合成された表示画像を視認することになる。
【0145】
これに対し、秘密情報を視認する権限を有する権限ユーザが所持する撮像装置29a,29bは、視認許可信号に基づいて、表示画像が更新されるタイミングに同期して動作する。すなわち、権限ユーザの撮像装置29a,29bは、図20に示すように、通常画像G1が表示される期間(時間T10〜T11)だけの間、撮像素子62を露光し、それに得られた画像データに基づいて次の通常画像G1と反転画像G2とが表示されている間(時間T12〜T14)に通常画像G1のみを表示し続ける。したがって、権限ユーザは、撮像装置29a,29bを介してスクリーン7a,7bに表示される表示画像を視認すると、通常画像G1と反転画像G2とが交互に入れ替わる表示画像のうちから通常画像G1のみを視認することができるようになる。
【0146】
図21は、各ユーザが撮像装置29a,29bを介して秘密情報が含まれる表示画像を視認した場合の視認画像の一例を示す図である。
【0147】
図21(a)は、非権限ユーザが視認する視認画像G3である。非権限ユーザは撮像装置29a,29bに設けられた画像表示部65を介して通常画像G1と反転画像G2とが所定のフレームレートで入れ替わる表示画像を視認すると、図21(a)に示すように通常画像G1と反転画像G2とが合成された視認画像G3を視認する。この場合、秘密領域R1は、通常画像G1の濃度値と反転画像G2の濃度値とが加算された画像となる。そのため、非権限ユーザは、図21(a)に示すように秘密領域R1が一定の濃度値で塗りつぶされた視認画像G3を視認することとなり、秘密情報の内容を把握することができない。
【0148】
これに対し、図21(b)は、権限ユーザが視認する視認画像G1である。権限ユーザは撮像装置29a,29bに設けられた画像表示部65を介して通常画像G1と反転画像G2とが所定のフレームレートで入れ替わる表示画像を視認すると、上述したように通常画像G1のみを視認することができるため、視認画像G1は通常画像G1と同じ画像となる。そのため、権限ユーザは、図21(b)に示すように秘密領域R1に含まれる秘密情報の内容を把握することができるようになる。
【0149】
また本実施形態では、撮影制御部66が視認許可信号に基づいて画像処理部64を制御するとき、画像処理部64に対して通常画像G1のみを表示する動作であることを指示する。これに基づき、画像処理部64は、画像表示部65に対して出力する画像データに通常画像のみを表示している表示状態であることを示す報知画像を合成する。その結果、画像表示部65によって表示される表示画像には、図21(b)に示すように、報知画像65aが含まれることとなり、権限ユーザは秘密情報を視認していることを把握することができるようになる。そのため、権限ユーザは、撮像装置29a,29bの画像表示部65に表示されている内容を他のユーザに見られないように配慮することができ、秘密情報が他のユーザに漏れてしまうことを防止することができる。
【0150】
また本実施形態では、撮影制御部66が視認許可信号に基づいて画像処理部64を制御しているとき、記録処理部67が画像データの記録処理を行うことを禁止する。そのため、画像処理部64が通常画像G1のみを画像表示部65に出力している状態のときには、記録処理部67によって画像データが記録媒体68に記録されることはない。したがって、通常画像G1のみの画像データが記録媒体68に記録されてしまうことを防止することができるため、秘密情報が漏れてしまうことを防止することができる。
【0151】
本実施形態の表示画像視認制御システム1aは、上述した点以外は第1の実施の形態と同様である。
【0152】
例えば、本実施形態の表示画像視認制御システム1aにおいても、表示画像視認制御装置として機能する画像処理装置2a,2bに、画像視認装置となる撮像装置29a,29bに設定される識別情報72と、表示画像に付与される権限情報23とを対応付けた視認管理情報22を予め記憶しておく。そして各画像処理装置2a,2bにおいて取得される表示画像が、秘密情報を含む通常画像G1と、通常画像G1の少なくとも秘密情報が含まれる部分を反転させた反転画像G2とが1枚ずつ交互に配置されると共に、通常画像G1を視認するための権限情報23が付与された表示画像である場合、その表示画像に付加された権限情報23に基づいて視認管理情報22を参照することにより、撮像装置29a,29bに対して、ユーザに通常画像G1のみを視認させるための視認許可信号と、所定のフレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのまま視認させる視認不可信号とのいずれか一方が送出されるようになっている。そして撮像装置29a,29bは、画像処理装置2a,2bから送出される視認許可信号を受信した場合、その視認許可信号に基づいて動作することにより、所定のフレームレートで逐次更新して表示される表示画像のうちから通常画像G1のみをユーザに視認させるように動作する。また画像処理装置2a,2bから送出される視認不可信号を受信した場合、撮像装置29a,29bは、その視認不可信号に基づいて動作することにより、所定のフレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのままユーザに視認させるように動作する。
【0153】
このような構成であるため、本実施形態における権限ユーザは眼鏡装置8a,8bを装着せずとも、撮像装置29a,29bの画像表示部65に表示される画像を見ることにより、秘密情報の内容を把握することができるようになる。また非権限ユーザの場合は、スクリーン7a,7bに表示される表示画像を裸眼で見ても秘密情報を視認できないし、また撮像装置29a,29bの画像表示部65に表示される画像を見ても秘密情報を視認することができない。
【0154】
(変形例)
以上、本発明に関する実施の形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能であることは言うまでもない。
【0155】
例えば、上述した実施形態では、デジタル複合機などで構成される画像処理装置2a,2bが表示画像視認制御装置として機能する場合を例示したが、これに限られない。例えば、一般的なコンピュータに上述した処理プログラム20をインストールしておき、その処理プログラム20を実行させることでコンピュータを上述した表示画像視認制御装置として機能させるようにしても良い。
【0156】
また上述した実施形態では、表示画像視認制御システム1,1aが主としてTV会議に利用される場合を説明したが、このシステムの利用形態は必ずしもTV会議には限られない。例えば上述した表示画像視認制御システム1,1aは、学校やその他教育機関における学習システムとしても利用することが可能である。すなわち、画像データ21に秘密領域R1を設定することに伴って画像データ21に付加される権限情報23の権限レベルを講義の進行中に講師が変更していくことにより、例えば、始めに問題文だけを全ての受講生が視認している状態から講義の進行に伴い、その問題文に対する解答を各受講生に対して順次に公開していくようにして利用することも可能である。
【0157】
また上述した実施形態では、画像処理装置2a,2bが画像視認装置として機能する眼鏡装置8a,8b又は撮像装置29a,29bに対して制御信号を無線送信する場合を例示したが、これに限られるものでもない。
【符号の説明】
【0158】
1,1a 表示画像視認制御システム
2a,2b 画像処理装置(表示画像視認制御装置)
4a,4b 表示装置(表示手段)
8a,8b 眼鏡装置(画像視認手段、画像視認装置)
10 制御部(制御手段)
17 記憶装置(記憶手段)
21 画像データ
22 視認管理情報
29a,29b 撮像装置(画像視認手段、画像視認装置)
43 表示画像生成部(表示画像生成手段)
44,51 表示画像取得部(表示画像取得手段)
45,54 制御信号発生部
46,53 表示制御部(表示制御手段)
47,55 視認制御部
G1 通常画像
G2 反転画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
秘密情報を含む通常画像と、前記通常画像の少なくとも秘密情報が含まれる部分を反転させた反転画像とが1枚ずつ交互に配置され、前記通常画像を視認するための権限情報が付与された表示画像を取得する表示画像取得手段と、
前記表示画像に含まれる前記通常画像と前記反転画像とを所定のフレームレートで逐次更新しながら表示する表示手段と、
固有の識別情報が設定され、前記フレームレートに同期した動作を行うことが可能であり、前記表示手段によって表示される表示画像をユーザに視認させる画像視認手段と、
前記画像視認手段に設定される識別情報と前記表示画像に付与される権限情報とを対応付けた視認管理情報を予め記憶する記憶手段と、
前記表示画像取得手段により取得される前記表示画像に付加された権限情報に基づいて前記視認管理情報を参照することにより、前記画像視認手段に対して、ユーザに前記通常画像のみを視認させるための視認許可信号と、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのまま視認させる視認不可信号とのいずれか一方を送出する制御手段と、
を備え、
前記画像視認手段は、前記制御手段から送出される前記視認許可信号を受信した場合には、前記視認許可信号に基づいて動作することにより、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像のうちから前記通常画像のみをユーザに視認させ、前記制御手段から送出される前記視認不可信号を受信した場合には、前記視認不可信号に基づいて動作することにより、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのままユーザに視認させることを特徴とする表示画像視認制御システム。
【請求項2】
前記視認管理情報には、複数のユーザのそれぞれに個別に割り当てられる前記画像視認手段に設定される識別情報と、前記通常画像のみを視認させるか否かの権限が設定された権限情報とが対応付けられており、
前記制御手段は、前記表示画像取得手段により取得される前記表示画像に対して付加された権限情報に基づいて前記視認管理情報を参照することにより、前記通常画像のみを視認する権限が設定された前記画像視認手段を特定し、その特定した前記画像視認手段に対して前記視認許可信号を送出することを特徴とする請求項1に記載の表示画像視認制御システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記通常画像のみを視認する権限が設定されていない前記画像視認手段に対し、前記視認不可信号を送出することを特徴とする請求項2に記載の表示画像視認制御システム。
【請求項4】
前記画像視認手段は、右目用シャッタと左目用シャッタと備え、前記右目用シャッタと前記左目用シャッタとを開閉駆動する眼鏡装置であり、
前記制御手段から送出される前記視認許可信号に基づいて、前記表示手段により前記通常画像が表示されるタイミングで前記右目用シャッタと前記左目用シャッタとを同時に開放することにより、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像のうちから前記通常画像のみを視認可能とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示画像視認制御システム。
【請求項5】
前記画像視認手段は、撮像手段と、前記撮像手段によって撮影された画像を表示する画像表示手段とを備える撮像装置であり、
前記制御手段から送出される前記視認許可信号に基づいて、前記撮像手段による撮影動作を制御すると共に、前記撮像手段によって撮影された画像の表示状態を制御することにより、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像を撮影して得られる画像のうちから前記通常画像のみを前記画像表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示画像視認制御システム。
【請求項6】
前記撮像装置は、前記制御手段から送出される前記視認許可信号に基づいて、前記通常画像のみを前記画像表示手段に表示する際、前記通常画像のみを表示している表示状態であることを報知することを特徴とする請求項5に記載の表示画像視認制御システム。
【請求項7】
前記撮像装置は、前記撮像手段によって撮影された画像を所定の記憶媒体に記録する記録処理手段を更に備え、
前記記録処理手段は、前記制御手段から送出される前記視認許可信号に基づいて前記通常画像のみを前記画像表示手段に表示している状態のとき、前記記録媒体への画像の記録を禁止することを特徴とする請求項5又は6に記載の表示画像視認制御システム。
【請求項8】
前記表示手段に表示するための画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データに対して秘密領域を設定する秘密領域設定手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データに対して前記秘密領域設定手段によって秘密領域が設定されている場合、当該画像データに基づいて前記通常画像を生成すると共に、当該画像データにおいて少なくとも秘密領域が設定されている部分を反転させて前記反転画像を生成することにより、前記表示画像を生成する表示画像生成手段と、
をさらに備え、
前記表示画像取得手段は、前記表示画像生成手段によって生成される表示画像を取得することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の表示画像視認制御システム。
【請求項9】
前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、当該画像データに基づいて印刷出力を行う印刷出力手段をさらに備え、
前記印刷出力手段は、前記記憶手段に記憶された画像データに対して前記秘密領域設定手段によって秘密領域が設定されている場合、当該画像データにおいて少なくとも秘密領域が設定されている部分に対してマスク処理を施して印刷出力を行うことを特徴とする請求項8に記載の表示画像視認制御システム。
【請求項10】
前記表示手段において右目用画像と左目用画像とを前記フレームレートで交互に表示するための画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データに対して秘密領域を設定する秘密領域設定手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データに対して前記秘密領域設定手段によって秘密領域が設定されている場合、前記右目用画像と前記左目用画像のいずれか一方に基づいて前記通常画像と前記反転画像を生成すると共に、前記通常画像と前記反転画像とを1枚ずつ交互に配置した表示画像を生成する表示画像生成手段と、
を更に備え、
前記表示画像取得手段は、前記表示画像生成手段によって生成される表示画像を取得することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の表示画像視認制御システム。
【請求項11】
通常画像と、前記通常画像の全部又は一部を反転させた反転画像とが1枚ずつ交互に配置され、前記通常画像を視認するための権限情報が付与された表示画像を取得する表示画像取得手段と、
前記表示画像取得手段により取得される前記表示画像を所定の表示装置に出力し、所定のフレームレートで逐次更新させながら前記表示画像に含まれる前記通常画像と前記反転画像とを交互に表示させる表示制御手段と、
前記フレームレートに同期した動作を行うことが可能であり、前記表示手段によって表示される表示画像をユーザに視認させる画像視認装置に対して制御信号を送信する制御手段と、
前記画像視認装置に対して個別に設定される識別情報と前記表示画像に付与される権限情報とを対応付けた視認管理情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記表示画像取得手段により取得される前記表示画像に付与された権限情報に基づいて前記視認管理情報を参照することにより、前記通常画像のみを視認可能とする前記画像視認装置を特定し、その特定した画像視認装置に対して前記フレームレートに同期して前記通常画像のみを視認させるための視認許可信号を送出することを特徴とする表示画像視認制御装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記通常画像のみを視認する権限が設定されていない前記画像視認装置に対し、前記フレームレートで逐次更新して表示される表示画像をそのまま視認させる視認不可信号を送出することを特徴とする請求項11に記載の表示画像視認制御装置。
【請求項13】
表示装置に表示される表示画像を所定の画像視認装置を介して視認するときの視認状態を制御する表示画像視認制御方法であって、
(a) 前記画像視認装置に対して個別に設定される識別情報と前記表示画像に付与される権限情報とを対応付けた視認管理情報を記憶するステップと、
(b) 通常画像と、前記通常画像の全部又は一部を反転させた反転画像とが1枚ずつ交互に配置され、前記通常画像を視認するための権限情報が付与された前記表示画像を取得するステップと、
(c) 前記表示画像に付与された権限情報に基づいて前記視認管理情報を参照することにより、前記通常画像のみを視認可能とする前記画像視認装置を特定するステップと、
(d) 前記表示画像に含まれる前記通常画像と前記反転画像とを所定のフレームレートで逐次更新しながら表示するステップと、
(e) 前記通常画像のみを視認可能とする前記画像視認装置に対し、前記フレームレートに同期して視認許可信号を送出することにより、当該視認許可信号に基づいて前記画像視認装置を動作させ、前記フレームレートで逐次更新して表示される前記表示画像のうちから前記通常画像のみを視認可能に制御するステップと、
を有することを特徴とする表示画像視認制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−242702(P2012−242702A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114274(P2011−114274)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】