説明

表示粒子およびその製造方法ならびに表示粒子を用いた画像表示媒体

【課題】画像表示媒体における画像表示の際に、駆動電圧を低減しつつ高いコントラストを実現し、しかも、繰り返し表示を行った場合でも安定した画像表示動作を維持する。
【解決手段】少なくとも一方が透光性を有する基板11,21間に電界を印加して表示粒子群5を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体10に用いられる表示粒子であって、表示粒子は、正帯電性の白色粒子および負帯電性の黒色粒子を含み、白色粒子及び黒色粒子の各々は、少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子と、着色樹脂粒子の表面に固着した無機微粒子Aと、無機微粒子Aが固着した着色樹脂粒子の表面に付着すると共に、当該無機微粒子Aよりも平均粒径が小さい無機微粒子Bとを含む構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の表示に供される表示粒子およびその製造方法ならびに表示粒子を用いた画像表示媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ペーパ等に適用される画像表示媒体に関し、色および帯電特性が異なる複数種類の表示粒子が、電界が印加される一対の基板間に封入されると共に、当該基板間を電界に応じて移動することにより画像を表示する構成が知られている(特許文献1参照)。また、この種の画像表示媒体では、電気・磁気を利用した書き込み方式として、基板間に充填した溶媒中に表示粒子を分散させた湿式の表示方式(電気泳動方式等)や、基板間の間隙(空気、窒素、アルゴン等の中)に表示粒子を分散させた乾式の表示方式(帯電トナー型表示方式および電子粉流体方式等)が開発されている。
【0003】
乾式の表示方式に関しては、例えば、少なくとも一方が透明な対向する基板間に表示粒子を封入し、これら基板間に電界を与えて表示粒子を移動させることにより画像を表示する画像表示媒体において、母粒子と少なくとも1種の子粒子とから構成された複合粒子を表示粒子として用いるとともに、粒子径比や粒子径分布等を管理することにより、画像表示の繰り返し時や保存時における安定性向上と駆動電圧低減との両立を図る技術が知られている(特許文献2参照)。
【0004】
また、例えば、透光性を有する第1の基板と、第1の基板に対向して配置された第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に封入された粒子群と、第1の基板と第2の基板との距離を一定に保つ隔壁とを有する画像表示媒体において、上記粒子群を、第1の粒子と、この第1の粒子とは色が異なる第2の粒子と、第1の粒子を正に第2の粒子を負に帯電させる第3の粒子とから構成することにより、繰り返し表示性能の向上や駆動電圧の低減を図る技術が知られている(特許文献3参照)。
【0005】
また、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に、2種類以上の粒子を含む表示媒体を封入し、電界を付与することによって粒子を移動させて画像を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体用粒子であって、当該表示媒体用粒子を、母粒子表層に粒子径の異なる2種類の微小粒子を付着または固着させて得た90.7%を超える母粒子表面被覆率を有する複合化粒子とすることにより、母粒子表面の露出面積を減らして流動性の向上を図る技術が知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−312225号公報
【特許文献2】特開2003−233092号公報
【特許文献3】特開2007−240876号公報
【特許文献4】特開2008−129322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2〜4に記載された従来の画像表示媒体では、粒子同士が衝突した際に、一部の表示粒子の帯電量が増大して過帯電の状態になる場合があった。表示粒子が過帯電の状態になると、表示粒子が基板や隔壁等への付着により滞留しやすくなって画像表示動作が不安定になったり、逆の帯電極性を有する粒子同士の静電的な付着力の増大により粒子同士を分離し難くなって画像のコントラストが低下したりするという問題があった。その結果、表示粒子を適切に移動させるために駆動電圧を増大させる必要が生じる場合があった。これに対し、従来、表示粒子に対して機械的または熱的に球形化処理を施す試みがなされているが、単に表示粒子を球形化しただけでは、表示粒子の粉体流動性の向上は期待できない。
【0008】
また、本願発明者らは、上記従来の画像表示媒体では、画像表示を繰り返し実施する耐久試験において、粒子同士の衝突や粒子と基板等との衝突によって、母粒子(着色樹脂粒子等)の表面から内部に微粒子が埋没することにより、流動特性の悪化や帯電特性の変化が起こり、安定した画像表示を維持できなくなるという知見を得ている。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、画像表示媒体における画像表示の際に表示粒子が過帯電状態になることを抑制することにより、駆動電圧を低減しつつ高いコントラストを実現し、しかも、繰り返し表示を行った場合でも安定した画像表示動作を維持できる表示粒子およびその製造方法ならびに表示粒子を用いた画像表示媒体を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表示粒子は、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された所定の帯電特性を有する表示粒子群とを備え、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体に用いられる表示粒子であって、正帯電性の第1表示粒子と、当該第1表示粒子とは異なる色を有する負帯電性の第2表示粒子とを含み、前記第1表示粒子と前記第2表示粒子との各々は、少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子と、前記着色樹脂粒子の表面に固着した第1無機微粒子と、前記第1無機微粒子が固着した着色樹脂粒子の表面に付着すると共に、当該第1無機微粒子よりも平均粒径が小さい第2無機微粒子とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、画像表示媒体における画像表示の際に表示粒子が過帯電状態になることを抑制することにより、駆動電圧を低減しつつ高いコントラストを実現し、しかも、繰り返し表示を行った場合でも安定した画像表示動作を維持できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る画像表示装置の模式的な断面図
【図2】実施形態に係る画像表示媒体の模式的な平面図
【図3】隔壁形成における一工程(ドライフィルムラミネート工程)を示す模式的な断面図
【図4】隔壁形成における一工程(露光工程)を示す模式的な断面図
【図5】隔壁形成における一工程(現像工程)を示す模式的な断面図
【図6】ロール溶融混練機の要部を示す模式的な斜視図
【図7】ロール溶融混練機の要部を示す模式的な平面図
【図8】微細化粉砕処理装置の構成図
【図9】表面改質処理装置の構成図
【図10】図9中のX部を拡大して示す詳細図
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された所定の帯電特性を有する表示粒子群とを備え、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体に用いられる表示粒子であって、正帯電性の第1表示粒子と、当該第1表示粒子とは異なる色を有する負帯電性の第2表示粒子とを含み、前記第1表示粒子と前記第2表示粒子との各々は、少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子と、前記着色樹脂粒子の表面に固着した第1無機微粒子と、前記第1無機微粒子が固着した着色樹脂粒子の表面に付着すると共に、当該第1無機微粒子よりも平均粒径が小さい第2無機微粒子とを含む構成とする。
【0014】
これによると、第1無機微粒子によるブロッキング効果(すなわち、着色樹脂粒子表面に固着した第1無機微粒子により、着色樹脂粒子の内部に第2無機微粒子が埋没することを防止する効果)により、画像表示媒体における画像表示の際に表示粒子が過帯電状態になることを抑制することができ、表示粒子の帯電特性および流動特性が安定的に維持される。その結果、画像表示媒体において、駆動電圧を低減しつつ高いコントラストを実現し、しかも、繰り返し表示を行った場合でも安定した画像表示動作を維持することが可能となる。
【0015】
また、第2の発明は、上記第1の発明において、前記第1無機微粒子の平均粒径は、前記第2無機微粒子の平均粒径の1.1倍〜5倍である構成とすることができる。
【0016】
これによると、第1無機微粒子によるブロッキング効果がより高まり、粉体流動性向上の効果が得られる。
【0017】
また、第3の発明は、上記第1または第2の発明において、前記着色樹脂粒子の平均粒径が3〜15μmであり、前記第1無機微粒子の平均粒径が7〜40nmであり、前記第2無機微粒子の平均粒径が3〜14nmである構成とすることができる。
【0018】
これによると、表示粒子の粉体流動性を向上させつつ、第1無機微粒子によるブロッキング効果を奏することが可能となる。
【0019】
また、第4の発明は、上記第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記着色樹脂粒子に対する前記第1無機微粒子の表面被覆率は110%〜350%である構成とすることができる。
【0020】
これによると、第1無機微粒子中の浮遊粒子の増大を防止しつつ、第1無機微粒子によるブロッキング効果を高めることが可能となる。
【0021】
また、第5の発明は、上記第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記第1表示粒子または前記第2表示粒子における前記第1無機微粒子の添加重量は、前記第2無機微粒子の添加重量の1.1倍〜5倍である構成とすることができる。
【0022】
これによると、第1無機微粒子を着色樹脂粒子に効率的に固着させつつ、第1無機微粒子によるブロッキング効果を奏することが可能となる。
【0023】
また、第6の発明は、上記第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記第2表示粒子に含まれる前記第1無機微粒子または前記第2無機微粒子は、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理された負帯電性の粒子である構成とすることができる。
【0024】
これによると、表示粒子の粉体流動性が高まり、画像表示媒体において画像表示する際の駆動電圧をより低減すると共により高いコントラストを実現することができる。
【0025】
また、第7の発明は、上記第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記第1表示粒子に含まれる前記第1無機微粒子または前記第2無機微粒子は、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンと、アミン系カップリング剤とによって表面処理された正帯電性の粒子である構成とすることができる。
【0026】
これによると、表示粒子の粉体流動性が高まり、画像表示媒体において画像表示する際の駆動電圧をより低減しつつより高いコントラストを実現することができる。
【0027】
また、第8の発明は、上記第1から第7の発明のいずれかにおいて、前記第2表示粒子の前記着色樹脂粒子は、シリコーンオイルで処理された酸化チタンを含む構成とすることができる。
【0028】
これによると、着色樹脂粒子中の酸化チタンの均一分散が図られ、表示粒子の粉体流動性が高まるため、少なくとも白色表示を行う画像表示媒体の画像表示の際に、駆動電圧をより低減しつつより高いコントラストを実現することができる。
【0029】
また、第9の発明は、上記第1から第8の発明のいずれかにおいて、前記着色樹脂粒子は、形状係数が125以下であり、当該形状係数の変動係数が16以下である構成とすることができる。
【0030】
これによると、着色樹脂粒子の形状を真球体に近づけることにより、画像表示媒体における繰り返し表示特性の安定化を図ることが可能となる。
【0031】
また、第10の発明は、 対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された所定の帯電特性を有する表示粒子群とを備え、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体に用いられる表示粒子の製造方法であって、前記表示粒子は、正帯電性の第1表示粒子および当該第1表示粒子とは異なる色を有する負帯電性の第2表示粒子を含み、前記第1表示粒子と前記第2表示粒子との少なくとも一方に関し、少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子の表面に第1無機微粒子粒子を付着させる工程と、前記第1無機微粒子が付着した前記着色樹脂粒子に対し、前記結着樹脂の軟化点よりも180〜300℃高い温度の熱風による表面処理を施すことにより、当該着色樹脂粒子の表面に前記第1無機微粒子を固着させる工程と、前記第1無機微粒子が固着した着色樹脂粒子の表面に対し、前記第1無機微粒子よりも平均粒径が小さい第2無機微粒子を付着させる工程とを有する構成とする。
【0032】
また、第11の発明は、上記第10の発明において、前記結着樹脂は、軟化点が110℃〜180℃であり且つガラス転移点が70℃〜100℃である熱可塑性樹脂からなる構成とすることができる。
【0033】
これによると、着色樹脂粒子の表面を急速に溶融させることが可能となり、表面張力により球形化を進めるとともに、溶融した着色樹脂粒子の表面に対する無機微粒子の固着を促進させることができる。
【0034】
また、第12の発明は、上記第1から第9の発明のいずれかに係る表示粒子を用いた画像表示媒体である。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0036】
<画像表示媒体の構成>
図1は、本実施形態に係る画像表示装置の模式的な断面図である。図1に示すように、画像表示装置1は、所定の間隔をおいて対向配置された表面シート2と背面シート3との間の間隙4に色および帯電特性が互いに異なる2種類の表示粒子群5A,5B(以下、総称する場合には表示粒子群5という。)が封入された画像表示媒体10と、表面シート2と背面シート3との間に電界を印加する電界付与手段としての電圧印加装置6とにより主として構成されている。画像表示媒体10は、電子ペーパ等として用いられるものであり、公知の構成を有する電圧印加装置6により、表面シート2と背面シート3との間に電界を印加して表示粒子群5を両シート2,3に対して略垂直な方向に移動させることで、文字や図形等からなる画像表示を行なうと共に、当該画像表示を無電力で保持することができる。
【0037】
図2は、本実施形態に係る画像表示媒体の模式的な平面図である。図2にも示すように、表面シート2と背面シート3との間には、間隙を保持するための部材として互いに直交するように配置された格子状の隔壁7が介装されており、これにより、両シート2,3間の間隙4の大きさが一定に保持されている。また、平面視における間隙4には隔壁7によって複数のセル8が画成されており、気体(空気、窒素、アルゴン等)が満たされた各セル内には2種類の表示粒子群5A,5Bが封入されている。ここで、表示粒子群5Aは、正帯電性の黒色の第1表示粒子(以下、黒色粒子という。)から構成され、表示粒子群5Bは、負帯電性の白色の第2表示粒子(以下、白色粒子という。)から構成されている。
【0038】
(表面シート)
表面シート2は、図1に示すように、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成された表面基板11と、表面基板11の一方側(内側)に形成され、透明なITO(インジウム錫酸化物)からなる複数の帯状の列電極12と、これら列電極12を覆って保護すると共に表示粒子群5の帯電特性を安定化させるポリカーボネートから形成された誘電体膜13とが積層された構成を有している。
【0039】
表面基板11としては、例えば、上記PETの他に、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、アクリル等からなる透明樹脂フィルムまたは透明樹脂シートのように可撓性を有するシートを好適に用いることができる。また、表面基板11として、ガラスや石英などの無機材料からなる可撓性を有しないシートを用いてもよい。
【0040】
表面基板11の厚さは、1〜10000μmであり、好ましくは5〜5000μmである。表面基板11は、厚さが1μm未満では、表面シート2の強度や背面シート3との間の間隙4の均一性を保持し難くなり、一方、厚さが10000μmを越えると、その透明性が低下すると共に、重量が増大して隔壁7のサイズを大きくする必要が生じるか、或いは隔壁7の強度が不足するという不都合が生じる。
【0041】
各列電極12は、所定の方向に共に延在し、透明かつパターン形成可能な導電性材料で形成されている。導電性材料としては、上記ITOの他に、アルミニウム、金、銀、銅などの金属類や、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物系材料や、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類を用いることができる。
【0042】
各列電極12は、蒸着法、スパッタリング法または塗布法などにより導電膜として形成することができる。例えば、全面に電極材料(例えば、ITO)が塗布または蒸着された電極基板に対して、その塗布等された金属酸化物系導電膜を酸系エッチング材料でスクリーン印刷によりパターニングすることができる。
【0043】
また、各列電極12のパターン形成は、レーザエッチング法、スクリーン印刷法、マスクなどを利用した蒸着によるパターニング法、インクジェット法等を用いることができる。レーザエッチング法は、透明導電膜をレーザ加工によってパターニングする方法である。また、スクリーン印刷法は、印刷する基材の上に、開口パターンが形成されたスクリーン(例えば、200〜500メッシュ)を置き、その開口パターンを利用して、開口パターン部分だけに導電性高分子や無機透明導電粒子が分散したペースト材料(電極材料)を付着させて印刷することにより、パターニングする方法である。このようなスクリーン印刷法としては公知の技術を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、例えば、特開2004−287011号を参照されたい。
【0044】
各列電極12の幅は30〜5000μmであり、好ましくは100〜2000μmである。各列電極12の幅が30μm未満では、断線等の可能性が高くなり、一方、5000μmを越えると、1画素のサイズが大きくなり表示が粗くなる。また、隣接する列電極間のスペースは好ましくは20〜500μmであり、より好ましくは40〜300μmである。電極間のスペースが20μm未満では製作精度のバラツキ等により隣の列電極とショートする可能性が生じ、一方、500μmを越えると画像を表示しない領域が大きくなって表示品質が低下する。
【0045】
列電極12の面抵抗は、好ましくは1000Ω/□以下であり、より好ましくは500Ω/□以下である。列電極12の面抵抗が1000Ω/□を越えると、画像表示の書換の際に波形なまりが発生し、書換速度が遅くなる。また、画像表示部の端部の電圧が低下することにより、表示品質が低下するという問題が生じる。
【0046】
誘電体膜13には、上記ポリカーボネートの他に、ポリエステル、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂等を用いることができる。
【0047】
(背面シート)
背面シート3は、図1に示すように、透明なPETから形成された背面基板21と、背面基板21の内側に形成され、銅等からなる複数の帯状の行電極22と、行電極22を覆って保護すると共に当該行電極22と隔壁7とを接合する接着層23とが積層された構成を有している。各行電極22は、列電極12に直交する方向に延在し、互いに所定の間隔をおいて配置されている。また、接着層23は、低温熱硬化型ポリエステル樹脂接着剤によって形成されている。
【0048】
背面基板21には、上述の表面シート2の表面基板11と同様の材料を用いることができる。また、行電極22は上記列電極12と同様に構成することができるが、行電極22の導電性材料としては、背面基板21側からは必ずしも画像を表示する必要がないことなどから、銅、アルミニウム、銀ペーストや、銀ペーストにカーボンを添加したものを用いることもできる。
【0049】
(隔壁)
隔壁7は、熱硬化性樹脂等の絶縁性材料からなる。隔壁7の形状は、用いられる表示粒子群5の特性により適宜設定することができる。隔壁7の幅は、10〜100μmであり、好ましくは20〜60μmである。また、隔壁7の高さは、20〜100μmであり、好ましくは30〜70μmである。
【0050】
隔壁7は、対向する表面シート2と背面シート3との各々にリブを形成した後にそれらを接合する方法や、片側の基板上にのみリブを形成する方法等を用いて形成することができる。本実施形態では、1つのセルに複数の画素が含まれるが、1つのセルに1つの画素が含まれる構成でもよい。ここで、各画素は、各列電極12と行電極22とが交差する領域に形成される。
【0051】
各セルの形状は、それらを画成する隔壁7の形状に応じて、例えば、四角状、ライン状、円形状または六角状とすることができ、そのようなセルは、格子状、ハニカム状または網目状に配置することができる。表示面側(ここでは、表面シート2側)から見た隔壁7の断面部分に相当するセルの枠部の面積は、表示画像の鮮明度の向上を図るために、可能な限り小さくした方が良い。
【0052】
隔壁7の形成には、例えば、フォトレジスト法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、アディティブ法、金型転写法を用いることができる。このうちレジストフィルムを用いるフォトレジスト法やスクリーン印刷法をより好適に用いることができる。
【0053】
フォトレジスト法では、透明基板及び対向基板のうち一方の基板上にドライフィルムを貼り付け、所定のパターンに露光し、現像し、洗浄する各工程により隔壁を形成できる。このようなフォトレジスト法としては公知の技術を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、例えば、特開2005−003892号を参照されたい。また、スクリーン印刷法では、上述の電極パターンを形成した基板上に、ステンレスメッシュなどからなる製版を介して、隔壁材料となるペーストを塗布・転写する。これを加熱、紫外線照射などにより硬化させる。このような工程を所望の高さの隔壁が形成されるまで繰り返す。このようなスクリーン印刷法としては公知の技術を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、例えば、特開2004−341018号を参照されたい。
【0054】
各セルへの表示粒子の充填は、白色粒子からなる表示粒子群5Bと、黒色粒子からなる表示粒子群5Aとを、例えば、重量比2:1〜1:2の割合で混合し、この混合粒子を所望の量だけスクリーンを通してセル内に振るい落とすこと等により実施することができる。このとき、隔壁7の頂上に載った表示粒子は、ゴムブレードや金属ブレードで掻き取る方法、ブラシ等で掻き取る方法、粘着性のローラやシートを用いる方法などによって除去する。その後、表面基板11と背面基板21とを隔壁7を介して密接させ、両基板間を加圧保持して、隔壁7と両基板11,21とをそれぞれ接着する。各セルに対する表示粒子群5の充填率は、好ましくは20〜70%であり、より好ましくは30〜70%であり、更に好ましくは40〜60%である。
【0055】
表示粒子の充填には、隔壁7によって区切られたセル上に表示粒子を載せて、ブラシや刷毛など、或いは金属や樹脂ブレードなどを用いて表示粒子をセル内に充填する方法を用いることができる。また、セル上に表示粒子を載せて当該セルに振動を与えることにより、表示粒子をセル内に押し込む方法や、粉体スプレー内に充填した表示粒子を吹き付ける方法などを用いることもできる。さらに、セル裏面に対向電極を配置し、電界を利用して表示粒子をセル内に充填する方法を用いることもできる。また更に、隔壁7上に薄膜状の剥離部材を予め形成しておき、表示粒子をセルに充填した後にその剥離部材を取り除くことにより、隔壁7上の不要な表示粒子を除去することもできる。
【0056】
<表示粒子の構成>
表示粒子群5を構成する粉体粒子である各表示粒子は、その基部を構成する着色樹脂粒子と、この着色樹脂粒子に外添加された複数種類の無機微粒子(以下、区別する必要がある場合には、無機微粒子Aまたは無機微粒子Bという。)とから主として構成される。
【0057】
より詳細には、黒色粒子(第1表示粒子)は、少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子と、この着色樹脂粒子の表面に固着した無機微粒子A(第1無機微粒子)と、この第1無機微粒子が固着した着色樹脂粒子の表面に付着すると共に、当該第1無機微粒子よりも平均粒径が小さい無機微粒子B(第2無機微粒子)とを含む。また、白色粒子(第2表示粒子)は、黒色粒子と同様に着色樹脂粒子、無機微粒子Aおよび無機微粒子Bとを含む。
【0058】
(着色樹脂粒子)
着色樹脂粒子は、バインダとしての結着樹脂と着色剤とを少なくとも含むように形成され、必要に応じて電荷制御剤等の添加剤を含む。
【0059】
(結着樹脂)
結着樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等を用いることができ、これら2種以上を混合して用いることもできる。
【0060】
本実施形態では、結着樹脂に好適な材料として、アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸エステルまたはカルボン酸無水物等のカルボン酸成分との重縮合によって得られるポリエステル樹脂を用いる。
【0061】
ここで、2価カルボン酸または低級アルキルエステルとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂肪族二塩基酸や、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸や、無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族二塩基酸や、これらのメチルエステル、エチルエステル等を用いることができる。このうちコハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族二塩基酸及びそれらの低級アルキルエステルがより好ましい。また、コハク酸とテレフタル酸、またはフタル酸とテレフタル酸とを組合せた使用がより好ましい。
【0062】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等を用いることができる。
【0063】
2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などのジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのトリオール、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0064】
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等を用いることができる。重合には、公知の重縮合や溶液重縮合等を用いることができる。これにより、良好な白黒やカラーの色材の色を発現させることができる。
【0065】
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの使用割合については、カルボキシル基数に対する水酸基数の割合(OH/COOH)を0.8〜1.4とするのが一般的である。
【0066】
また、熱可塑性の結着樹脂として、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する不飽和多価カルボン酸系単量体などの単独重合体、これらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物等を用いることができる。
【0067】
ここで、共重合体としては、スチレン/アクリル系共重合体が好適に使用される。特に、スチレン/ブチルアクリレート共重合体が好ましく、スチレンを75〜90重量%、ブチルアクリレートを10〜25重量%含有するものが好適に使用される。スチレン単量体としては、スチレン、O−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p―エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−nブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、P−クロルスチレンなどのスチレンのおよびその誘導体を用いることができ、特に、スチレンが好ましい。
【0068】
また、アクリル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル酸プロピル、α−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、γ−N,N−ジエチルアミノアクリル酸プロピル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、テトラエチレングリコールジメタクリル酸エステル等を用いることができる。
【0069】
結着樹脂は、GPC(Gel Permeation Chromatography)による分子量において、重量平均分子量が5万〜35万であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が3〜100である。また、結着樹脂は、定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタによる1/2法による溶融温度(以下、軟化点という。)が110〜180℃、流出開始温度が90〜160℃、樹脂のガラス転移点が70〜100℃の範囲である。
【0070】
好ましくは、結着樹脂は、重量平均分子量が5万〜30万、重量平均分子量/数平均分子量が3〜50、軟化点が115〜170℃、流出開始温度が95〜150℃、ガラス転移点が75〜95℃の範囲である。
【0071】
より好ましくは、結着樹脂は、重量平均分子量が10万〜25万、重量平均分子量/数平均分子量が3〜15、軟化点が120〜140℃、流出開始温度が95〜145℃、ガラス転移点が75〜85℃の範囲である。
【0072】
結着樹脂の重量平均分子量が5万より小さく、重量平均分子量/数平均分子量が3より小さく、軟化点が110℃より小さく、流出開始温度が90℃より小さくなると、混練時の分散性が低下し、鮮明な色の発現性が低下する。これは表示粒子の耐久性の低下につながる。
【0073】
結着樹脂の重量平均分子量が35万より大きく、重量平均分子量/数平均分子量が100より大きく、軟化点が180℃より大きく、流出開始温度が160℃より大きくなると、熱処理における着色樹脂粒子の球形化が困難となり、例えば、画像表示動作時の白色粒子と黒色粒子の入れ替わり性が悪化して、コントラストの低下につながる。
【0074】
また、結着樹脂の形成に際し、次のような2つ以上の熱特性の異なる樹脂(低軟化性または低分子量の樹脂粒子、高軟化性または高分子量の樹脂粒子)を混合させることも好ましい。
【0075】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子では、重量平均分子量が1万〜6万、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜6、軟化点が90〜140℃、流出開始温度が80〜120℃、ガラス転移点が75〜100℃の範囲とする。
【0076】
好ましくは、重量平均分子量が2万〜5万、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜3.9、軟化点が95〜135℃、流出開始温度が85〜115℃、ガラス転移点が78〜98℃範囲とする。
【0077】
より好ましくは、重量平均分子量が2万〜4万5千、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜3、軟化点が100〜130℃、流出開始温度が90〜110℃、ガラス転移点が80〜88℃の範囲とする。
【0078】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子の配合の目的は、着色樹脂粒子の真球化を確保するとともに、無機微粒子Aとの溶融固定化を促進させることにある。重量平均分子量が1万よりも小さく、重量平均分子量/数平均分子量が1.5よりも小さく、軟化点が90℃よりも小さく、流出開始温度が80℃よりも小さく、ガラス転移点が75℃よりも小さいと、球形化のための熱処理において、二次凝集しやすくなり、粒径が大きくなりやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が6万よりも大きく、重量平均分子量/数平均分子量が6よりも大きく、軟化点が140℃よりも大きく、流出開始温度が120℃よりも大きく、ガラス転移点が100℃よりも大きいと、球形化のための熱処理において、球形化が進行し難い傾向となる。
【0079】
また、相対的に高軟化性または高分子量の樹脂粒子では、重量平均分子量が6万〜60万、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が2〜10、軟化点が150〜190℃、流出開始温度が120〜170℃、ガラス転移点が65〜95℃の範囲とする。
【0080】
好ましくは、重量平均分子量が8万〜58万、重量平均分子量/数平均分子量が2〜7、軟化点が155〜185℃、流出開始温度が125〜165℃、ガラス転移点が65〜90℃の範囲とする。
【0081】
より好ましくは、重量平均分子量が10万〜55万、重量平均分子量/数平均分子量が2〜5、軟化点が160〜180℃、流出開始温度が130〜160℃、ガラス転移点が65〜80℃の範囲とする。
【0082】
高軟化性または高分子量の樹脂粒子の配合の目的は、表示粒子の安定した繰り返し表示特性を維持するための耐久性を保持させることにある。すなわち、粒子同士や基板、隔壁との衝突に対する耐久性を高めるためである。また、溶融混練処理において添加剤の分散性を均一化させ、高い帯電性を安定化させるためでもある。
【0083】
重量平均分子量が6万よりも小さく、重量平均分子量/数平均分子量が2よりも小さく、軟化点が150℃よりも小さく、流出開始温度が120℃よりも小さく、ガラス転移点が65℃よりも小さいと、繰り返し表示特性を維持させる耐久性が低下しやすい傾向となる。
【0084】
重量平均分子量が60万よりも大きく、重量平均分子量/数平均分子量が10よりも大きく、軟化点が190℃よりも大きく、流出開始温度が170℃よりも大きく、或いはガラス転移点が95℃よりも大きいと、球形化のための熱処理において、球形化が進行し難い傾向となる。また、着色樹脂粒子表面の平滑性が劣り、表面に凹凸が残りやすい傾向となる。
【0085】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子と、高軟化性または高分子量の樹脂粒子との配合比率は、5:5〜9:1の範囲とする。耐久性と球形化の進行をバランスよく確保するためである。好ましくは、6:4〜9:1の範囲とする。より好ましくは、7:3〜9:1の範囲とする。
【0086】
(着色剤)
着色剤としては、以下に示すような、有機または無機の種々の顔料および染料を使用可能である。
【0087】
白色着色剤としては、酸化亜鉛、酸化スズ、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、鉛白、硫化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム等の白色顔料を含む粒子を用いることができる。
【0088】
ここで、酸化チタンは、シリコーンオイルで処理されたものが好ましい。これにより、着色樹脂粒子中での酸化チタンの分散状態が均一化され、白色度が向上する。さらに、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理された無機微粒子を併用することにより、表示粒子の粉体流動性が向上する。その結果、画像表示装置において、コントラストが向上し、繰り返しの画像表示における画質の経時劣化が低減される。また、画像表示装置における表示粒子の充填封止時に、各セル間での表示粒子の充填量のバラツキが抑えられるという効果も得られる。
【0089】
シリコーンオイルとしては、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル又はクロルフェニルシリコーンオイル等が好ましい。特に、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル又はメタクリル変性シリコーンオイルが好適に使用される。例えば、東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823、BY16―855B等を使用できる。
【0090】
シリコーンオイルによる酸化チタンの処理は、次のように実施することができる。まず、トルエン等の有機溶媒にシリコーンオイルと酸化チタンを加えて、超音波を印加ながら十分に攪拌する。次に、シリコーンオイルが表面にコートされた酸化チタンを、加熱乾燥することにより、不要な溶媒成分を除去する。
【0091】
シリコーンオイルの添加量は、酸化チタン100重量部に対して0.5〜30重量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、1〜20重量部の範囲内、さらに好ましくは、2〜10重量部の範囲内である。シリコーンオイルの添加量が0.5重量部未満の場合には、酸化チタンの表面が十分にコーチングされずに、着色樹脂粒子中での酸化チタンの分散状態が均一化され難くなり、白色度の向上が望めなくなる。一方、添加量が30重量部を超える場合には、残存して表面処理に寄与しないシリコーンオイルが増大し、逆に表示粒子の粉体流動性を低下させてしまう。
【0092】
また、酸化チタンの添加量は、結着樹脂100重量部に対して10〜50重量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、15〜35重量部の範囲内、さらに好ましくは、20〜30重量部の範囲内である。酸化チタンの添加量が10重量部未満の場合には、十分な白色度が得られず、一方、添加量が50重量部を超える場合には、表示粒子の粉体流動性を低下させてしまう。
【0093】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、マンガンフェライトブラック、チタンブラック、磁性粉、オイルブラック等有機または無機系の染・顔料系の黒色顔料を含む粒子を用いることができる。
【0094】
黒色顔料のカーボンブラックは、上記酸化チタンの場合と同様に、アミノ変性シリコーンオイルで処理されたものが好ましい。これにより、着色樹脂粒子中でのカーボンブラックの分散状態が均一化され、黒色度が向上する。さらに、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理された無機微粒子とを併用することにより、表示粒子の粉体流動性が向上する。その結果、帯電量分布が狭くシャープな正帯電性を有する黒色粒子が得られる。上記酸化チタンを用いた白色粒子との併用により、コントラストの向上、繰り返しの画像表示における経時劣化が低減できる効果がより高まる。
【0095】
アミノ変性シリコーンオイルとしては、信越化学社製のKF857、KF858、KF859、KF861、KF864及びKF880や、東レ・ダウコーニング社製のDF8417等を使用できる。また、アミノシリコーンオイルに代わり又は併用してニトリル変性シリコーンオイルやイソシアネート系シリコーンオイルを用いることも好ましい。
【0096】
アミノ変性シリコーンオイルの添加量は、カーボンブラック100重量部に対して0.2〜30重量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、1〜20重量部の範囲内、さらに好ましくは、2〜10重量部の範囲内である。アミノ変性シリコーンオイルの添加量が0.2重量部未満の場合には、カーボンブラックの表面が十分にコーチングされず、着色樹脂粒子中でのカーボンブラックの分散状態が均一化され難くなり、黒色度の向上が望めなくなる。一方、添加量が30重量部を超える場合には、残存して表面処理に寄与しないシリコーンオイルが増大し、却って表示粒子の粉体流動性を低下させてしまう。
【0097】
カーボンブラックの添加量は、結着樹脂100重量部に対して1〜10重量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは2〜8重量部の範囲内、さらに好ましくは、3〜6重量部の範囲内である。添加量が1重量部未満の場合には、十分な黒色度が得られず、一方、10重量部を超える場合には、表示粒子の粉体流動性を低下させてしまう。
【0098】
ここで、カーボンブラックのDBP吸油量は45〜70(ml/100g)が好ましい。具体的には、例えば、三菱化学社製の#52(粒径27nm,DBP吸油量63ml/100g)、#50(同28nm,同65ml/100g)、#47(同23nm,同64ml/100g)、#45(同24nm,同53ml/100g)、#45L(同24nm,同45ml/100g)や、キャボット社製のREGAL250R(同35nm,同46ml/100g)、REGAL330R(同25nm,同65ml/100g)、MOGULL(同24nm,同60ml/100g)を用いることができる。より好ましくは、#45、#45L、REGAL250Rを用いると良い。DBP吸油量が比較的低いカーボンブラックを用いることで、高いコントラストを得る効果がある。これは、樹脂中の分散性、着色性による効果と考えられる。
【0099】
DBP吸油量は、粒子の鎖状集合状態(ストラクチャー)を定量的に表したもので、化学的結合による一次ストラクチャーと、ファンデルワールス力による物理的結合の2次的ストラクチャーから表される。
【0100】
DBP吸油量の測定(JISK6217)は、150℃±1℃で1時間乾燥した試料20g(Ag)をアブソープトメータ(Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを最大トルクの約70%に設定した後、混合機を回転させる。同時に自動ビューレットからDBP(比重1.045〜1.050g/cm)を4ml/minの割合で添加する。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それまでに添加したDBP量(Bml)と試料重量から試料100gあたりのDBP吸油量(=Bx100/A)(ml/100g)が求められる。
【0101】
なお、粒径にはSEMによる算術平均径を用いている。カーボンブラックの粒子径は好ましくは20〜40nmであり、より好ましくは20〜35nmである。粒子径が好ましい範囲よりも大きいと着色力が低下する傾向となる。また、粒子径が好ましい範囲よりも小さいと、樹脂中での分散が困難になる傾向となる。
【0102】
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等を用いることができる。添加量は結着樹脂100重量部に対し、3〜12重量部が好ましい。
【0103】
赤色着色剤としては、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメント・レッド48,49:1,53:1,57,57:1,81,122,5等の赤色顔料、C.I.ソルベント・レッド49,52,58,8等の赤色染料を用いることができる。
【0104】
黄色着色剤としては、ナフトールイエローS、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、C.I.ピグメント・イエロー1,3,74,97又は98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12,13,14,17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ソルベンイエロー19,77,79又はC.I.ディスパース・イエロー164が配合され、特に好ましくはC.I.ピグメント・イエロー93,180,185のベンズイミダゾロン系顔料が好適である。
【0105】
上記の顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができる。黒色顔料としてはカーボンブラックが、白色顔料としては酸化チタンが特に好ましい。
【0106】
(電荷制御剤)
負電荷制御剤としては、例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(例えば、ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体、アクリルスルホン酸系の重合体(スチレン系モノマーと極性基としてスルホン酸基を有するアクリル酸系モノマーとのビニル共重合体で、特に好ましくはアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体)等を用いることができる。
【0107】
サリチル酸金属錯体において、ベンゼン環に結合する官能基は、それぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分子鎖状の炭素数1〜10のアルキル基またはアルル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を用いることができる。また、金属としては、亜鉛、ニッケル、コバルト、銅、クロムを用いることができ、特に亜鉛、クロムが好ましい。
【0108】
ベンジル酸誘導体の金属塩としては、アルカリ金属としてリチウム、ナトリウムまたはカリウム等を用いることができ、特にカリウムが好ましい。
【0109】
一方、正電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等を用いることができる。
【0110】
電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対し、0.5〜8重量部とし、好ましくは1〜6重量部であり、より好ましくは2〜5重量部である。電荷制御剤の添加量が0.5重量部未満では帯電作用効果が無くなり、一方、8重量部を越えると帯電量が過度に高くなり、過帯電になりやすい傾向となる。
【0111】
(無機微粒子)
表示粒子に使用される無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、フェライト又はマグネタイト等の金属酸化物微粉末や、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩や、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムまたはジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩や、これらの混合物を用いることができる。この無機微粒子としては、特に、疎水性シリカ、酸化チタン又はアルミナの金属酸化物微粉末が好ましい。これにより、表示粒子において、長期使用時の過帯電を防止でき、帯電性を保持すると共に、流動性を向上させる効果が得られる。
【0112】
負帯電性の無機微粒子の表面処理剤としては、シリコーンオイル系やシランカップリング系の材料が好ましい。シリコーンオイル系の処理剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及びクロルフェニル変成シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上を好適に用いることができる。例えば、東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823又はBY16―855B等を使用できる。
【0113】
表面処理には、無機微粒子とシリコーンオイル系の材料とをヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)などの混合機により混合する方法や、無機微粒子へシリコーンオイル系の材料を噴霧する方法、溶剤にシリコーンオイル系の材料を溶解或いは分散させた後に無機微粒子と混合した後、溶剤を除去して作成する方法等を用いることができる。シリコーンオイル系の材料は、無機微粒子100重量部に対して1〜20重量部配合されることが好ましい。
【0114】
また、シランカップリング剤としては、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルクロルシラン又はジメチルビニルクロルシラン等を好適に用いることができる。シランカップリング剤処理は、無機微粒子を攪拌等によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理、又は無機微粒子を溶媒中に分散させたシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法等により行なうことができる。
【0115】
また、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸及び脂肪酸金属塩の群より選ばれた1種または2種以上(以下、脂肪酸等という。)により外添剤の表面を処理することも好ましい。
【0116】
脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、若しくは脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、又は脂肪酸トリメチロールプロパンエステル等が好ましい。
【0117】
脂肪酸アミドとしては、例えば、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド、エイコセン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド又はリグリノセリン酸アミド等の炭素数16〜24を有する飽和または1価の不飽和の脂肪族アミドが好ましい。
【0118】
脂肪酸又は脂肪酸金属塩としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラクセル酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸又はリノール酸等を用いることができる。中でも炭素数12〜22の脂肪酸が好ましい。
【0119】
また、脂肪酸金属塩を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、鉛又はバリウムが挙げられ、中でもアルミニウム、亜鉛又はナトリウムが好ましい。より好ましくは、ジステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C1735COO))、又はモノステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C1735COO))、等のジ脂肪酸アルミニウム、モノ脂肪酸アルミニウムが挙げられる。OH基を有することで、過帯電を防止し、転写不良を抑えることができる。また、無機微粒子との処理性も向上する。
【0120】
さらに、表面処理には、ヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル等の材料が好ましく、これらを1種類又は2種類以上組合せての使用も可能である。
【0121】
表面処理の好ましい形態として、処理される無機微粒子の表面をカツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイル等のポリシロキサンにて処理を施した後に、脂肪酸等により処理を施すことも可能である。これにより、単に親水性シリカの脂肪酸を処理する場合よりも均一な処理が可能となり、表示粒子の高帯電化を図れ、流動性が向上する。また、カツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイルとともに脂肪酸等を処理する構成でも同様の効果を奏する。
【0122】
表面処理は、脂肪酸等をトルエン、キシレン又はヘキサン等の炭化水素系有機溶剤に溶解し、それとシリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子とを分散機にかけ湿式混合して処理剤を無機微粒子の表面に付着させることにより実施する。その後、溶剤を溜去して乾燥処理を行なうことにより表面処理した無機微粒子が生成される。
【0123】
この場合、ポリシロキサンと脂肪酸等との混合割合が1:2〜20:1であることが好ましい。また、脂肪酸等を表面処理した無機微粒子の強熱減量は、好ましくは1.5〜25重量%であり、より好ましくは5〜25重量%であり、更に好ましくは8〜20重量%である。
【0124】
無機微粒子は、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理されることが好ましい。この表面処理は、無機微粒子の表面に存在するOH基をアルキルトリアルコキシシランと反応させることによって行われる。
【0125】
より具体的な表面処理方法としては、例えば、酸化チタンやシリカ微粒子等の無機微粒子と、アルキルトリアルコキシシランと、水蒸気とを約400℃に加熱された流動層反応器中に不活性ガス(例えば、窒素ガス)によって導入し、アルキルトリアルコキシシランで無機微粒子表面を疎水化処理する。
【0126】
アルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンは、好ましくは炭素数8〜16のアルキル基を有し、より好ましくは、炭素数8〜12のアルキル基を有する。アルキル基の炭素数が6未満となると、粉体流動性を高める効果が小さくなる。一方、アルキル基の炭素数が18を越えると、無機微粒子の凝集性が高まり、着色樹脂粒子表面に無機微粒子を均一に付着させることが困難となり、表示粒子の粉体流動性が向上し難くなる。
【0127】
使用するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンしては、下記(化1)〜(化16)で示されるアルコキシシラン、アルキルシラザンが好ましい。また、下記(化17)〜(化23)で示されるクロロシラン系が好ましく使用できる。
(化1) C13Si(OCH
(化2) C13Si(OC
(化3) C17Si(OCH
(化4) C17Si(OC
(化5) C1021Si(OCH
(化6) C1021Si(OC
(化7) C1225Si(OCH
(化8) C1225Si(OC
(化9) C1429Si(OCH
(化10) C1429Si(OC
(化11) C1633Si(OCH
(化12) C1633Si(OC
(化13) C1837Si(OCH
(化14) C1837Si(OC
(化15) (CHSiNHSi(CH
(化16) (CSiNHSi(C
(化17) C13SiCl(OCH
(化18) C17SiCl
(化19) C1021SiCl
(化20) C1225SiCl
(化21) C1429SiCl
(化22) C1633SiCl
(化23) C1837SiCl
【0128】
正極帯電性を有する無機微粒子については、アミノシラン、アミノ変性シリコーンオイル又はエポキシ変性シリコーンオイルで処理されるのが好ましい。より好ましくは、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンと、アミン系カップリング剤とによって表面処理された無機微粒子を用いるとよい。
【0129】
アミン系シランカップリング剤としては、例えば、下記(化24)〜(化27)で示されるものが好ましく用いられる。
【0130】
(化24) HN(CHSi(OCH
(化25) HN(CHNH(CHSi(OCH
(化26) HN(CHNH(CHSi(OC
(化27) HN(CHNH(CHNH(CHSi(OCH
【0131】
これらの表面処理剤は、無機微粒子100重量部に対して、0.1〜15重量部添加されることが好ましい。より好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部である。
【0132】
平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)にて拡大写真をとり、約100個の粒子の長軸の長さ(1つの粒子中で最も長い直径)と短軸の長さ(1つの粒子中で最も短い直径)の平均値を求めた値である。
【0133】
乾燥減量(重量%)は、予め乾燥、放冷、精秤した容器に試料約1gを取り、精秤する。熱風乾燥器(105℃±1℃)で2時間乾燥する。デシケータ中で30分間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
乾燥減量(重量%)=[乾燥による減量(g)/試料量(g)]×100
【0134】
強熱減量は、予め乾燥、放冷、精秤した磁性ルツボに試料約1gを取り、精秤する。500℃に設定した電気炉中で2時間強熱する。デシケータ中で1時間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
強熱減量(重量%)=[強熱による減量(g)/試料量(g)]×100
【0135】
また、処理された外添剤の水分吸着量が1重量%以下であることが好ましい。好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下である。水分吸着量が1重量%より多いと、帯電性や耐フィルミング性が低下する。水分吸着量は、連続蒸気吸着装置(BELSORP18:日本ベル株式会社)にて測定した。
【0136】
疎水化度の測定は、メタノール滴定により測定し、250mlのビーカー中に装入した蒸留水50mlに試験すべき生成物0.2gを秤取する。先端に、液体中に浸漬しているビュレットからメタノールを外添剤の総量が濡れるまで滴下する。その際、不断に電磁攪拌機でゆっくりと攪拌する。完全に濡らすために必須なメタノール量a(ml)から次式により疎水化度が算出される。
疎水化度=(a/(50+a))×100(%)
【0137】
(表示粒子の物性特性)
表示粒子は、生産性および画質(解像度)向上の観点から体積平均粒径が3〜15μm、体積基準の変動係数が10〜20%にあることが好ましい。表示粒子は、より好ましくは、体積平均粒径が3〜9μm、体積基準の変動係数が10〜18%であり、更に好ましくは、体積平均粒径が3〜7μm、体積基準の変動係数が10〜16%である。
【0138】
ここで、変動係数は、表示粒子の粒度分布における標準偏差を平均粒径で割ったものであり、粒度分布の広がり具合を表したものである。粒子径はコールターカウンタ(コールター社)を使用して測定した。体積粒径分布の変動係数が10%未満であると生産が困難となり、コストアップの要因となる。一方、体積粒径分布の変動係数が20%を越えると、粒度分布がブロードとなり、コントラストの改善が見込めない傾向となる。
【0139】
また、着色樹脂粒子の形状係数(SF)は125以下であり、形状係数の変動係数は16%以下であることが好ましい。
【0140】
この場合、形状係数を125以下とすることで、着色樹脂粒子の形状がより球状に近づくことになり、繰り返しの表示特性の安定化を図ることができる。形状係数は、キーエンス社製のリアルサーフェイスビュー顕微鏡(VE7800)を使用し、1000倍に拡大したトナー母体粒子100個程度を取込み、最大長及び投影面積を測定し、次の(式1)にて求めた(d:着色樹脂粒子の最も長い直径に相当する最大の長軸長、A:着色樹脂粒子の投影面積)。
【0141】
【数1】

【0142】
被覆率は、無機微粒子Aおよび表示粒子をともに球形として計算した。無機微粒子Aの添加重量部をc(重量部)、無機微粒子Aと表示粒子の密度をρs、ρt(g/cm)、無機微粒子Aと表示粒子の平均粒径をds、dt(cm)とすると、1個の表示粒子上に付着している無機微粒子の個数Nは次の(式2)となり、1個の無機微粒子Aの表示粒子上への投影面積Sは次の(式3)となる。
【0143】
【数2】

【0144】
【数3】

【0145】
そして、表示粒子表面が、無機微粒子Aで覆われている割合をカバレッジE(%)で表すと、(式3)および(式4)となる。このカバレッジEを本発明における被覆率の計算値の基礎として用いた。
【0146】
【数4】

【数5】

【0147】
着色樹脂粒子の粒度分布は、コールターカウンタTA−II型(コールターカウンタ社)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続して測定する。この粒度分布の測定には公知の方法を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2005−284269号を参照されたい。
【0148】
表示粒子の粒度分布を狭くし、形状をより球形化することで粉体流動性は高くなる。また、外添剤の粒径や添加量を適切にすることも流動性を決める要因となる。例えば、外添剤の粒径が小さい場合は、圧縮度が小さくなり粉体流動性は高くなる。圧縮度は5〜40%が好ましい。より好ましくは、10〜30%である。静嵩密度と動嵩密度の測定はホソカワミクロン社のパウダーテスタ(例えば、PT−E型)を使用することがよく知られている。ここで、圧縮度は、表示粒子の流動性の指標の1つであり、静嵩密度と動嵩密度から算出される。
【0149】
樹脂の分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。測定する装置は東ソー社製HLC8120GPCシリーズ、カラムはTSKgel superHM−H H4000/H3000/H2000(6.0mmI.D.−150mm×3)、溶離液THF(テトラヒドロフラン)、流量0.6mL/min、試料濃度0.1%、注入量20μL、検出器RI、測定温度40℃である。また、測定前処理として、試料をTHFに溶解して一晩放置後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、シリカ等の添加剤を除去した樹脂成分を測定する。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含されることである。
【0150】
結着樹脂の軟化点は、島津製作所の定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタ(CFT500)により測定する。この軟化点の測定には公知の方法を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2009−075564号を参照されたい。この公知の方法における流動曲線から、後述する流出開始温度(Tfb)や1/2法における溶融温度(軟化点Tm℃)が定義される。
【0151】
結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(TAインスツルメンツ社製、Q100型(冷却には純正の電気冷凍機を使用))により測定する。このガラス転移点の測定には公知の方法を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2009−075564号を参照されたい。
【0152】
無機微粒子の帯電量の測定は、ノンコートのフェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃45RH%の環境下で、100mlのポリエチレン容器にキャリア50gとシリカ等の無機微粒子とを0.1gを混合し、縦回転にて100min−1の速度で5分間と、30分間攪拌した後、0.3g採取し、窒素ガス1.96×10[Pa]で1分間ブローして測定した。なお、帯電特性としては、30分間攪拌したときの帯電量と5分間攪拌したときの帯電量の割合(30分値/5分値)が0.5以上であることが好ましい。表示粒子の帯電性の維持を図ることができ、安定した画像表示を出力することができる。
【0153】
<表示粒子の製造方法>
着色樹脂粒子の作製では、結着樹脂および着色剤と、必要に応じて帯電制御剤等の添加剤とを、撹拌羽根が具備されたミキサなどにより均一混合分散する。ミキサとしては、スーパーミキサ(川田製作所製)、ヘンシェルミキサ(三井三池工業製)、PSミキサ(神鋼パンテック製)、レーディゲミキサ等の公知のミキサを使用できる。
【0154】
(溶融混練処理)
次に、溶融混練処理において、上記混合物中の結着樹脂を加熱作用又はせん断力作用により溶融させ、結着樹脂中に添加剤を分散させる。溶融混練処理には、シリンダと混練軸が複数のセグメントに分割された分割セグメント方式の二軸混練押出機等を好適に使用できる。例えば、池貝社製の混練押出機(商品名PCM30)が挙げられる。
【0155】
また、溶融混練処理には、2本の回転するロール間で材料を溶融混練処理する2本ロール混練機も好適に使用できる。例えば、三井鉱山社製2本ロール混練機(商品名KNEADEX140−800)が挙げられる。この2本ロール混練機を用いた溶融混練処理は、公知のトナー溶融混練処理と同様に実施することができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2004−013049号を参照されたい。
【0156】
なお、2本ロール混練機を用いた溶融混練処理においては、加熱するロールの表面温度は結着樹脂の軟化点よりも低く設定する。より詳細には、ロールの表面温度を結着樹脂の軟化点よりも10℃以上低くすることが必要である。材料投入時に樹脂を早急に溶融させてロールに巻き付けさせるために温度を高くする(すなわち、樹脂軟化点とロール表面温度との差が10℃未満となる)と、混練中にせん断力がかからず不均一分散となるためである。一方、温度差が70℃を越えると樹脂が溶けきれないまま搬送されることになり、これも分散性の低下を招く。また、2本のロール間の温度差を樹脂のガラス転移点の1/2の温度以上とすることにより、混練時の超高分子量の分子切断が適当な状態で混練分散することができ、コントラストの改善と繰り返し性の向上とを両立させることができる。さらに、一方のロールを前半部と後半部で温度勾配を設け、その温度差を樹脂のガラス転移点よりも40℃低い温度以上に設定することで表示特性の向上に効果が得られる。
【0157】
(粉砕処理)
溶融混練処理され冷却して得られた混練塊を、カッターミルなどで粗粉砕し、その後、ジェットミル粉砕(例えば、商品名IDS粉砕機、日本ニューマティック工業社製)、または固定したステータに対して回転するローラとの微小な空隙に被粉砕物を投入して粉砕する回転ロータ式粉砕(例えば、商品名クリプトロン粉砕機、アーステクニカ社製)などで細かく粉砕し、更に、必要に応じて気流式分級機(例えば、商品名エルボージェット分級機、日鉄鉱業社製)により、所望の粒度分布の着色樹脂粒子を得ることができる。
(乳化凝集法)
【0158】
また、着色樹脂粒子の作製では、好適な別法として乳化凝集法を用いることができる。乳化凝集法では、まず、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製し、その後重合開始剤や連鎖移動剤を使用して、乳化重合を行い、微細な粒径の樹脂粒子分散液を作成する。また、極性を有する界面活性剤を添加した水中に着色剤粒子を添加し、公知の分散手段を用いて分散させることにより着色剤粒子分散液を調製する。
【0159】
そして水系媒体中で、少なくとも、前述した樹脂粒子を分散せしめた樹脂粒子分散液と着色剤粒子を分散せしめた着色剤粒子分散液とを混合し、水系媒体のpHを一定の値(例えば、pHは8〜13)に調整し、無機塩の存在下で、水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移点以上に一定時間(1時間から5時間)加熱することで着色樹脂粒子を生成することができる。
【0160】
また、イオン性界面活性剤を含有する樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液を調製し、それらを混合し、前記イオン性界面活性剤とは反対の極性を有するイオン性界面活性剤により凝集を生じさせることにより凝集粒子を形成させ、その後、樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して凝集粒子を融合して、洗浄、乾燥する方法により着色樹脂粒子を作製することもできる。
【0161】
(懸濁重合法)
さらに、着色樹脂粒子の作製では、好適な別法として懸濁重合法を用いることができる。この懸濁重合法は、公知の小粒径トナーの作成方法と同様に実施することができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2004−191598号を参照されたい。
【0162】
(微粒子の固着及び付着)
まず、所望の粒度分布に形成した着色樹脂粒子と、無機微粒子Aとを前述のヘンシェルミキサ、スーパーミキサなどの公知のミキサによって混合することにより、無機微粒子Aを着色樹脂粒子に付着させる。その後、無機微粒子Aが付着した着色樹脂粒子を熱風中に投入することで、熱により着色樹脂粒子の表面を溶融させて無機微粒子Aを固着させる。さらに、無機微粒子Aが固着した着色樹脂粒子と、無機微粒子Bを同様に公知のミキサによって混合し、無機微粒子Bを着色樹脂粒子に付着させる。
【0163】
この場合、付着とは、着色樹脂粒子と無機微粒子とを混合し、それらを静電的に付着させた状態をいう。また、固着とは、無機微粒子が付着した着色樹脂粒子に対して、熱風による表面改質処理を施すことにより、或いは強力な機械的エネルギを付与することにより、着色樹脂粒子表面に無機微粒子を固定化した状態をいう。なお、機械的エネルギを付与する方法としては、狭い間隙を有して、高速に回転するロータとステータ間に粒子を投入して、その衝撃力により固定化する方法があり、例えば、ハイブリタイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)等を用いることができる。
【0164】
また、着色樹脂粒子の平均粒径は3〜15μmであり、無機微粒子Aの平均粒径は7〜40nmであり、無機微粒子Bの平均粒径は3〜14nmである。好ましくは、着色樹脂粒子の平均粒径は3〜9μmであり、無機微粒子Aの平均粒径は7〜14nmであり、無機微粒子Bの平均粒径は3〜7nmである。より好ましくは、着色樹脂粒子の平均粒径は3〜7μmであり、無機微粒子Aの平均粒径は7〜12nmであり、無機微粒子Bの平均粒径は3〜5nmである。
【0165】
着色樹脂粒子については、平均粒径が3μm未満であると生産が困難となる一方、平均粒径が15μmを越えると画像形成媒体における画質が低下する。また、無機微粒子Aについては、平均粒径を7〜40nmの範囲内とすることにより、無機微粒子Aによるブロッキング効果(すなわち、着色樹脂粒子表面に固着した無機微粒子Aにより、着色樹脂粒子の内部に無機微粒子Bが埋没することを防止する効果)を得ることが容易となる。また、無機微粒子Bについては、平均粒径が3nm未満であると生産が困難となる一方、平均粒径が7nmを越えると粉体流動性向上の効果を得難くなる。
【0166】
また、無機微粒子Aの平均粒径は、無機微粒子Bの平均粒径の1.1倍〜5倍である。これにより、無機微粒子Aによるブロッキング効果を得ることが容易となり、粉体流動性向上の効果が得られる。この場合、無機微粒子Aの平均粒径を、無機微粒子Bの平均粒径の1.1倍以上とすることにより、無機微粒子Aによるブロッキング効果が高められる。好ましくは、無機微粒子Aの平均粒径は、無機微粒子Bの平均粒径の1.4倍〜4倍であり、より好ましくは1.4倍〜3倍である。
【0167】
また、無機微粒子Aの着色樹脂粒子の表面被覆率は、110%〜350%である。表面被覆率を110%以上とすることにより、無機微粒子Aによるブロッキング効果が高められる。一方、表面被覆率を350%以下とすることにより、無機微粒子A中の浮遊粒子の増大を防止することができる。表面被覆率は、好ましくは150%〜300%とし、より好ましくは200%〜250%とするとよい。
【0168】
無機微粒子Aの添加量(重量)は、無機微粒子Bの添加量(重量)の1.1倍〜5倍である。無機微粒子Aを無機微粒子Bよりも多く添加することで、無機微粒子Aによるブロッキング効果を得ることが容易となる。無機微粒子Aの添加量が無機微粒子Bの添加量の5倍を越えると、着色樹脂粒子表面に固着化されない無機微粒子Aが増大する。無機微粒子Aの添加量は、好ましくは無機微粒子Bの添加量の1.8倍〜4倍とし、より好ましくは無機微粒子Bの添加量の2.0倍〜3.5倍とするとよい。
【0169】
着色樹脂粒子表面に固着させる無機微粒子Aは、着色樹脂粒子100重量部に対し1〜10重量部を添加する。無機微粒子Aの添加割合は、好ましくは2〜7重量部とし、より好ましくは2.5〜5重量部とするとよい。無機微粒子Aが1重量部よりも少ないと、ブロッキングの効果を得にくい傾向となる一方、無機微粒子Aが10重量部を越えると無機微粒子の浮遊粒子が生じ易くなる。
【0170】
また、着色樹脂粒子表面に付着させる無機微粒子Bは、着色樹脂粒子100重量部に対し0.5〜10重量部を添加する。無機微粒子Bの添加割合は、好ましくは0.8〜3重量部とし、より好ましくは0.8〜2.5重量部とするとよい。無機微粒子Bが0.5重量部よりも少ないと、粉体流動性向上の効果を得難くなる一方、無機微粒子Bが10重量部を越えると、無機微粒子の浮遊粒子が生じ易くなる。
【0171】
無機微粒子Aに対する熱風を用いた表面処理は、結着樹脂の軟化点(℃)よりも180〜300℃高い温度の熱風によって実施することが好ましい。より好ましくは結着樹脂の軟化点よりも200〜260℃高い温度とし、更に好ましくは結着樹脂の軟化点よりも220〜240℃高い温度とするとよい。結着樹脂の軟化点よりも180℃以上の高い温度で処理することで、着色樹脂粒子と無機微粒子Aにとの溶融固定化を十分に行なうことができ、また、球形化を進行させることができる。一方、結着樹脂の軟化点から300℃の範囲を越える高い温度で処理すると、着色樹脂粒子の二次凝集が多く発生するようになり、粒子が粗大化し、粒度分布も広がる傾向となる。
【0172】
結着樹脂は、軟化点が110〜180℃の範囲であり且つガラス転移点が70〜100℃の範囲である熱可塑性樹脂から形成することが好ましい。これにより、着色樹脂粒子の表面が急速に溶融することで、表面張力により球形化を進めるとともに、溶融した着色樹脂粒子の表面に微粒子を固着(固定化)を促進させることができる。また、着色樹脂粒子と無機微粒子Aとの固着を十分に行なえ、着色樹脂粒子同士の二次凝集の発生を抑制することができる。
【0173】
(表示粒子の作用)
上記のように、着色樹脂粒子表面に無機微粒子Aが固着した構成とすることにより、この固着した無機微粒子Aがブロッキング効果を奏し、画像表示媒体の画像表示を繰り返し実施する耐久試験時において、着色樹脂粒子の内部に無機微粒子Bが埋没する現象を抑制することができ、表示粒子の帯電特性および粉体流動特性が安定的に維持される。また、固着した無機微粒子Aの存在により、表示粒子の表示動作において生じやすい粉体流動性の変動が抑えられ、その結果、画像表示の際に表示粒子が過帯電状態になることを抑制することができる。また、上記のように無機微粒子を着色樹脂粒子の表面に固着させることにより製造された表示粒子は、従来のように着色樹脂粒子単独で表面処理した場合や、低級のアルキル基を有するシランカップリング剤で処理された無機微粒子を用いた場合に比べて、表示粒子の粉体流動性が高まり、画像表示時の駆動電圧の低減と高いコントラストとを実現することが可能となる。また、このような表示粒子は隔壁に接触しても離れやすくなり、表示粒子が表示動作をせずにセル内の四隅に滞留したままの状態になることを防止することができる。このような効果は、無機微粒子の表面処理剤と、高温の熱風による表面処理による樹脂の溶融との相乗効果によるものと思われる。
【0174】
<画像表示媒体の動作>
上記構成の画像表示媒体10は、画像表示装置1によって駆動されることにより画像表示を行なう。画像表示装置1において、電圧印加装置6は、図示しない電源や制御回路等を備えると共に、画像表示媒体10に表示すべき画像情報をメモリ等に記憶し、その画像情報に基づき、画像表示媒体10に対する電圧印加のタイミングや電圧値等を制御する。電圧印加装置6による画像表示媒体10の駆動方式としては、公知の液晶表示装置の駆動と同様に、パッシブマトリクス駆動方式やアクティブマトリクス駆動方式等を適宜採用することができる。
【0175】
画像表示媒体10では、図1に示したように、光学的反射率および帯電特性が互いに異なる少なくとも2種以上の表示粒子群5(ここでは、表示粒子群5Aおよび表示粒子群5B)が封入された各セルにおいて、表面シート2に設けた列電極12と背面シート3に設けた行電極22との間に電圧を印加する。これにより発生する電界に応じて各表示粒子群5A,5Bを表面シート2と背面シート3との間で移動させて白色又は黒色の画像を表示させることができる。ここで、各表示粒子群5A,5Bは、それぞれ1種類の表示粒子から構成されているが、色の異なる2種以上の表示粒子からそれぞれ構成してもよい。
【0176】
画像表示の際には、表面シート2と背面シート3との電極間に、交番電圧を予め印加することが好ましい。交番電圧は、周波数を100〜400Hz、波形のpeakとpeak間の電圧を±150〜300Vとして、所定の時間(例えば、0.1〜1s程度)印加する。交番電圧の波形としては正弦波が好ましいが、表示粒子の特性に応じて矩形波や三角波などを印加してもよい。
【0177】
このように、交番電圧を印加して表面シート2と背面シート3との間で表示粒子を急速に移動させることにより、帯電を安定化させ、表示粒子群5A,5Bの間での凝集を緩和させることができる。
【0178】
交番電圧の印加後、画像表示を行なう場合には、画像記憶部に記憶された画像表示パターンに応じて直流電圧を印加する。黒色粒子および白色粒子はそれぞれ正帯電性および負帯電性であるため、行電極22と列電極12の単純マトリクス構成の場合は、まず、全ての行電極22に負電位(例えば−50V)、全ての列電極12に正電位(例えば+50V)を印加して全画面を一旦白色表示することが好ましい。
【0179】
その後、電圧印加部の直流電圧発生回路から白色から黒色への表示切替を行なう行電極にのみ正の選択電圧(例えば、+50V)を印加して行選択を行なう(表示切替を行なわない他の行電極は0V)。
【0180】
さらに、選択した行電極に直交する各列電極に対し、白色から黒色への表示切替を行なう場合は負の画像電圧(例えば、−50V)、切替を行なわない場合は0Vを印加する。
【0181】
これらの動作を全ての行電極および列電極に対して順次行なうことにより画像が表示される。それぞれの電圧印加時間を表示粒子の応答速度より長い時間(例えば、30ms)に設定することにより、十分なコントラストを得ることができる。なお、各電極に印加する電圧は、電界の大きさと向きが同じであればどのような値に設定してもよい。
【0182】
以上のような画像表示動作を行なうことにより、列電極12に正の電圧が印加された基板間の領域(画素)では、負帯電性の白色粒子は正の電圧が印加された列電極12側に移動して表面シート2の内面に付着し、正帯電性の黒色粒子はこれとは逆の行電極22側に移動して背面シート3の内面に付着する。
【0183】
一方、列電極12に負の電圧が印加された領域では、正帯電性の黒色粒子は負の電圧が印加された列電極12側に移動して表面シート2の内面に付着し、負帯電性の白色粒子はこれとは逆の行電極22側に移動して背面シート3の内面に付着する。このようにして白黒画像が表面シート2を通して表示される。
【0184】
一旦表示された画像は、電極間への電圧の印加を停止しても、表示粒子と誘電体膜13,23との間の静電付着力が維持されるため、表示粒子は基板の内面に付着したまま保持され、白黒画像が表示された状態を長時間に渡って保持することができる。なお、白色と黒色との反転順序を逆にする場合は、それぞれの電界の向きを逆転すればよい。また、表示粒子の駆動電圧値が異なる場合は、駆動電圧値に応じて電界の大きさを調整すればよい。
【実施例】
【0185】
以下、本発明に係る画像表示媒体および表示粒子についてより具体的な実施例を挙げて説明する。
【0186】
<画像表示媒体の構成>
画像表示媒体10の構成は図1に示したものと同様である。ここで、透光性を有する表面基板11および背面基板21は、ともに厚さ175μmの透明PETからなる。間隙4の大きさに相当する隔壁7の高さHは40μmとし、隔壁7の幅Wは約50μmとした。また、隣接する隔壁7間の間隔Dは1000μmとした。
<画像表示媒体の製造方法>
【0187】
表面シート2の作製では、まず、厚さ50nmのITOを全面に蒸着した厚さ175μmのA4サイズの透明PETフィルム(すなわち、表面基板11)を準備する。次に、レーザエッチング法により、各電極の幅が900μmで各電極間スペースが100μmの列電極12を表面基板11上に形成した。列電極12の抵抗は150Ω/□であった。次に、その列電極12上に、THF溶液中に10%の重量比率でポリカーボネートを溶解させた溶液中で、引き上げディップ法により厚さ12μmの塗工膜を形成し、その後、乾燥炉にて80℃で5分間乾燥することにより、厚さ3μmの誘電体膜13を積層形成した。
【0188】
図3は、隔壁形成における一工程(ドライフィルムラミネート工程)を示す模式的な断面図である。誘電体膜13の積層形成に続いて、ドライフィルムラミネータにて、図3に示すように、表面基板11上に列電極12及び誘電体膜13を形成した表面シート2と、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂混合系からなる厚さ50μmの紫外線硬化型樹脂ドライフィルム31とを密着して貼り合わせる。このとき、ロール温度は60℃、送り速度は0.4m/分とした。
【0189】
図4は、隔壁形成における一工程(露光工程)を示す模式的な断面図である。続く露光工程において、図4に示すように、表面シート2と樹脂ドライフィルム31とを貼り合わせたものの上に露光マスク32を置き、100mJ/cmの露光量で露光を行った。この露光マスク32により、縦ラインおよび横ラインの幅がともに50μm、ピッチが1000μmの隔壁を形成するための紫外線照射部分が画成される。
【0190】
図5は、隔壁形成における一工程(現像工程)を示す模式的な断面図である。続く現像工程では、露光を終えた紫外線硬化型樹脂ドライフィルム31を、炭酸ナトリウム1%の現像液を用いたアルカリ現像機により、送り速度0.6m/min、液温35℃、シャワー圧0.15MPaの条件で現像を行った。これにより、紫外線硬化型樹脂ドライフィルム31は、図5に示すように、露光工程における紫外線照射部分以外は現像液で除去され、後に隔壁となる硬化部7’のみが残った。
【0191】
その後、イオン交換水で十分に洗浄後、水切り、室温での乾燥を1時間おこなった。さらに、紫外線硬化装置にて1000mJ/cmのアフターキュアーを行った後に、130℃の乾燥炉で30分間アフターベークを行った。
【0192】
形成された隔壁は、顕微鏡による段差測定器による測定では、縦横ともに高さ48μm、隔壁幅45μm、ピッチ1000μmであった。
【0193】
また、背面シート3の作製には、厚さ175μmのA4サイズのPETフィルム(すなわち、背面基板21)上に、厚さ18μmの銅箔付きフィルムを用いた。
【0194】
ラミネート工程において、ドライフィルムラミネータにて、銅箔付きPETフィルムにアクリル系の厚さ20μmの紫外線硬化型樹脂ドライフィルムを密着して貼り合わせた。このとき、ロール温度は110℃、送り速度は0.4m/分とした。
【0195】
次に、各電極の幅が900μm、スペースが100μm、ピッチが1mmとなる露光マスクを作製した。続く露光工程において、銅箔付きPETフィルムに紫外線硬化型の樹脂ドライフィルムを貼り合わせたものに露光マスクを置き、100mJ/cmの露光量で露光を行った。
【0196】
さらに、続く現像工程において、露光を終えた紫外線硬化型樹脂ドライフィルムを、炭酸ナトリウム1%の現像液を用いたアルカリ現像機により、送り速度0.6m/分、液温35℃、シャワー圧0.15MPaの条件で現像を行った。この現像で除去されずに残った紫外線硬化型樹脂ドライフィルムにより、電極部のパターンが形成された。その後、塩化第2鉄液を用いたエッチング装置を用いて、送り速度0.5m/分、液温45℃、シャワー圧0.13MPaの条件で銅のエッチング現像を行った。これにより、各電極間のスペースに相当する不要な部分の銅箔を除去した。
【0197】
続いて、水酸化ナトリウム3%水溶液を用いたアルカリ現像機により、送り速度0.6m/分、液温45℃、シャワー圧0.12MPaの条件で電極部に残った紫外線硬化型樹脂ドライフィルムの剥離を行った。これにより、不要な部分が除去できたことが確認された。最後にイオン交換水で十分に洗浄を行い、その後、直ちにエアーブローによる水切りを実施した。
【0198】
以上の工程により、各電極の幅が895μm、スペースが105μm、ピッチが1mmの行電極22が形成されたことを確認した。各行電極22は列電極12と同様の幅およびスペースで形成されると共に、所定の間隔で各列電極12に直交するように配置され、いわゆるパッシブマトリクス構成となっている。
【0199】
次に、表示粒子の充填工程について説明する。色および帯電特性が互いに異なる2種類の表示粒子群(白色粒子HW40gと黒色粒子HB20g)の充填配合量の比率を2:1の割合で混合したものを、表示基板上の隔壁で区切られたセル内にスクリーンを通して振るい落とす方法により所望量を充填する。セル内への投入は、体積占有率が約50%となるように調整して封入した。その後、幅5mm、長さ30mm、幅300mmのシリコーンゴムスキージを用いて隔壁の頂上にある粒子の除去を行った。
【0200】
次に、背面シート3に熱硬化型ポリエステル接着剤を塗布し、110℃で5分間の硬化を行った。その後、隔壁7が形成され、セル8内に表示粒子群が充填された表面シート2と、熱硬化型ポリエステル樹脂接着剤が塗布された背面シート3とを張り合わせる。そして温度65℃で3分間、1MPaの圧力をかけて、表面シート2と背背面シート3とを接着し、画像表示媒体10を作製した。
【0201】
この熱硬化型ポリエステル樹脂接着剤は、粒子との凝着力が低い傾向にあり、背面シートの内面全域に塗布されているため、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理を施された無機微粒子を表面に固着した着色樹脂粒子からなる表示粒子と組合せて使用した場合に、表示粒子が背面シートから均一に離脱しやすい。その結果、駆動電圧を低減することが可能となる。
【0202】
<表示粒子の構成>
(結着樹脂)
表1には実施例で使用した結着樹脂の特性を示す。樹脂PES1、PES2は、ビスフェノールAプロピルオキシド付加物のアルコール、フマル酸及びトリメリット酸を成分としたポリエステル樹脂である。樹脂PES3、PES4は、ビスフェノールAプロピルオキシド付加物のアルコール、コハク酸及びトリメリット酸を成分としたポリエステル樹脂である。樹脂PES5は、ビスフェノールAプロピルオキシド付加物のアルコール、イソフタル酸及びトリメリット酸を成分としたポリエステル樹脂である。
【0203】
【表1】

【0204】
表1において、Mnfは結着樹脂の数平均分子量、Mwfは結着樹脂の重量平均分子量、Mzfは結着樹脂のZ平均分子量、Wmfは重量平均分子量Mwfと数平均分子量Mnfとの比Mwf/Mnf、Wzfは結着樹脂のZ平均分子量Mzfと数平均分子量Mnfの比Mzf/Mnf、Tmr(℃)は軟化点、Tfb(℃)は流出開始温度、Tgr(℃)はガラス転移点、AVは樹脂酸価を示す。
【0205】
(顔料)
表2には実施例で使用した顔料の構成を示す。
【0206】
【表2】

【0207】
表2において、酸化チタン粒子PW1は、シリコーンオイルで表面処理した平均粒径0.21nmのルチル形酸化チタン(SJR−405S)である。この酸化チタンの表面処理は、酸化チタン原体(JR−405)100重量部と、シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン社SF230)10.5重量部と、トルエン300重量部とを室温で2時間撹拌し、デカンテーションして上澄みを取り除いた後、80℃に設定した真空乾燥機中で4時間加熱真空乾燥することにより行った。
【0208】
また、カーボンブラックPB1は、粒径が24nmであり、DBP吸油量は53ml/100gと低DBP吸油量を有する顔料であり、アミノ変性シリコーンオイル(信越化学社製KF857)で処理したものである。アミノ変性シリコーンオイルの添加量は、カーボンブラック100重量部に対して8.5重量部とした。粒径はSEMによる約100個の算術平均径を取っている。
【0209】
(電荷制御剤)
表3には実施例で使用した電荷制御剤の構成を示す。
【0210】
【表3】

【0211】
(着色樹脂粒子)
表4には実施例で使用した着色樹脂粒子の組成を示す。なお、括弧内は結着樹脂100重量部に対する配合重量部を示す。
【0212】
【表4】

【0213】
(無機微粒子)
表5には実施例で使用した上記無機微粒子の特性を示す。
【0214】
【表5】

【0215】
[SN1]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL(登録商標)380(平均粒径5nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに上記(化15)で示されるアルキルシラン0.7gを溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN1を得た。
【0216】
[SN2]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL380(平均粒径5nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに上記(化3)で示されるアルキルシラン1.2gを溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN2を得た。
【0217】
[SN3]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL300(平均粒径7nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに上記(化7)で示されるアルキルシラン0.7gを溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN3を得た。
【0218】
[SN4]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL200(平均粒径12nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに上記(化11)で示されるアルキルシラン0.5gを溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN4を得た。
【0219】
[SN5]
無機微粒子として酸化チタン(AEROXIDE(登録商標)P90(平均粒径14nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに上記(化1)で示されるアルキルシラン1.5gを溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN5を得た。
【0220】
[SN6]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL90G(平均粒径20nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラーに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに上記(化13)で示されるアルキルシラン0.7gを溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃、2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN6を得た。
【0221】
[AP1]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL380(平均粒径5nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに、アミン基を有するカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.8gと、上記(化15)で示されるアルキルシラン0.5g溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子AP1を得た。
【0222】
[AP2]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL300(平均粒径5nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5gと、上記(化3)で示されるアルキルシラン0.6g溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子AP2を得た。
【0223】
[AP3]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL200(平均粒径7nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gにアミン基を有するカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.9gと、上記(化13)で示されるアルキルシラン0.6g溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子AP3を得た。
【0224】
[AP4]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL50(平均粒径30nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラーに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gにアミン基を有するカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.9gと、上記(化15)で示されるアルキルシラン0.6g溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃、2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子AP4を得た。
【0225】
表5において、「5分値」及び「30分値」は帯電量([μC/g])を表し、これらは、ノンコートのフェライトキャリアとの摩擦帯電によるブローオフ法により測定した。具体的には、25℃、45RH%の環境下で、100mlのポリエチレン容器にキャリア50gとシリカ等の無機微粒子0.1gとを混合し、縦回転にて100min−1の速度で5分間あるいは30分間攪拌した後、0.3g採取し、窒素ガス1.96×10[Pa]で1分間ブローして測定した。
【0226】
なお、帯電特性としては、30分間攪拌したときの帯電量と5分間攪拌したときの帯電量の割合(30分値/5分値)が0.5以上であることが好ましい。これにより、表示粒子の帯電性の維持を図ることができ、安定した画像表示を出力することができる。
【0227】
<表示粒子の製造方法>
(着色樹脂粒子の作製)
着色樹脂粒子の作製にあたり、まず、結着樹脂、着色剤及び電荷制御剤を、撹拌羽根を具備したヘンシェルミキサFM20B(三井三池工業製)を使用して約4kg、回転数800min−1、時間5minの条件で羽根Z0S0にて混合した。
【0228】
図6は、ロール溶融混練機の要部を示す模式的な斜視図、図7は、ロール溶融混練機の要部を示す模式的な平面図である。結着樹脂、着色剤及び電荷制御剤の混合に続いて、2本ロール溶融混練機にて混練処理を行った。混練処理では、図6に示すように、定量供給機50から第1のロール51の端部に向けて投入された着色樹脂粒子の原料は、第1のロール51上に巻付いて着色樹脂粒子の溶融膜53が形成される。ここで、第1のロール51および第2のロール52は、図7に示すように、それぞれ破線部を境界とする前半部51A,52Aおよび後半部51B,52Bで構成されている。より詳細には、原料は、第1のロール51の熱と第2のロール52による圧縮せん断力により樹脂が溶融することにより、第1のロール51の前半部51Aに巻付く。その後、溶融した原料は、第1のロール51の後半部51Bの端部にまで広がり、第1のロール51の前半部51Aよりも低い温度で加熱された第2のロール52の後半部52Bから剥離される。
【0229】
ここで、第1のロール51および第2のロール52の直径は共に140mm、長さは800mmである。また、第1のロール51の回転数は75min−1、第2のロール52の回転数は55min−1である。第1のロール51の前半部51Aを加熱する熱媒体の温度は140℃、第1のロール51の後半部51Bを加熱する熱媒体の温度は70℃である。また、第2のロール52は15℃である。さらに、第1のロール51と第2のロール52とのクリアランスは0.1mmであり、原料供給量は5kg/hである。
【0230】
このように混練処理された後に冷却して得られた混練塊をカッターミルで粗粉砕した。
【0231】
図8は、微細化粉砕処理装置の構成図である。続いて、図8に示す微細化粉砕装置60によって体積平均粒径6〜7μm程度にまで微細化した。微細化粉砕装置60は、表面に凹凸を有し高速回転する円筒状の回転体61と、回転体61の外側に0.5mm〜40mmの間隙を存して嵌装され、回転体と中心軸を共有する表面に凹凸を有する円筒状の固定体62とから構成される粉砕処理部63を備える。
【0232】
微細化粉砕装置60による微細化処理では、混練物を粗粉砕によりメッシュ径約1mmをパスした被粉砕物71が、定量供給機72から投入され、その後、冷却器73から供給される冷却エアー74により粉砕処理部63の供給口75に送られる。被粉砕物71は、粉砕処理部63において、回転体61と固定体62との間隙に搬送され、高速回転する回転体61と固定体62の間に発生する高速気流の流動に伴って、相互に強い衝突を繰り返すことにより粉砕される。得られた粉砕物80は、粉砕処理部63の排出口76から排出され、粗粉分級機81を経てサイクロン82に送られ、最終的に補集容器83に回収される。粗粉分級機81においては、粗い粒子が再処理経路84を経由して、冷却エアー74により再び粉砕処理部63の供給口75に送られる。
【0233】
上記粉砕処理は、回転体61の周速は130m/s、回転体61と固定体62の間隙は1.5mm、原料供給量は3kg/h、冷却エアー74の温度は0.5℃、排出部温度は40℃の条件で実施した。
【0234】
(着色樹脂粒子への微粒子の添加)
着色樹脂粒子と無機微粒子とを混合し、当該無機微粒子を着色樹脂粒子に静電的に付着させる外添処理を行った。外添処理は、ヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)を使用し、攪拌羽根Z0S0型、回転数2200min−1、処理時間4min、投入量1kgの条件で実施した。
【0235】
(表面改質処理)
図9は、表面改質処理装置の構成図である。無機微粒子Aが付着した着色樹脂粒子に対する熱風による表面改質処理は、図9に示す表面改質処理装置90を用いて実施した。表面改質処理では、微粒子が静電的に付着した着色樹脂粒子91は、定量供給機92から投入され、粒子用配管111を通して圧縮空気93により粒子の分散手段である分散ノズル94(図10参照)に送られる。分散ノズル94から吐出された着色樹脂粒子91は、熱風発生装置95から熱風用配管112を通して放出される熱風96中に投入される。着色樹脂粒子91は、熱風96中を分散しながら通過し、これにより、表面改質処理され、無機微粒子Aが着色樹脂粒子に対して強固に固着される。その後、表面改質された表示粒子はフード97内に取り込まれ、サイクロン98に送られた後に回収ボックス99に補集回収される。
【0236】
図10には、図9中の熱風中に投入される着色樹脂粒子の状態の詳細が示されている。粒子用配管111と熱風用配管112とは同軸の二重管構造になっている。また、熱風用配管112と分散ノズル94との間には、図示しない空隙が設けられており、この空隙に冷水または冷空気を流通させることにより、熱風の熱が粒子に伝わり難くなっている。分散ノズル94は、先端に向けて徐々に細くなる先細り状を呈している。分散ノズル94の前方には、吐出された着色樹脂粒子の整流に供される分散衝突板113が設けられている。
【0237】
分散ノズル94の先端から吐出された着色樹脂粒子は、分散衝突板113に衝突し、その衝突面(曲面)に沿って横方向に流れる。その後、着色樹脂粒子は、粒子用配管111の外側に位置する熱風用配管112から吐出される熱風中に突入し、表面改質処理が施される。熱風温度とは、放射される熱風が最初に着色樹脂粒子と衝突する領域での温度であり、予め温度計にて放射される熱風の温度をその領域で測定しておく。
【0238】
分散衝突板113は、着色樹脂粒子の流れを層流状にする役目を果たし、これにより、均一な表面改質処理が可能となり、形状係数の変動係数を小さくできる。一方で、分散衝突板113は、熱風の近くに位置するため、着色樹脂粒子が融着する懸念がある。しかしながら、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理を施された平均粒径3nm〜14nmの無機微粒子を着色樹脂粒子に添加することで、そのような融着が回避可能となる。
【0239】
上記表面改質処理では、フード97内に取り込まれた表面改質された表示粒子に対し、冷却器101から発生される冷却空気102により冷却処理を施すことが好ましい。この冷却空気102による急速冷却により処理の状態を安定化させることができる。冷却空気102の風量は処理量に応じて適宜設定することができる。表示粒子が熱風で処理される位置から冷却空気が当てられる地点までの距離は、処理量により定められるが、一般に10〜100cm、好ましくは20〜80cmである。冷却空気102の温度は、特に限定されないが、10℃以下が好ましい。また、別法として、水冷による方法、配管の周囲に冷却された固体物(ドライアイス等)を配置する方法等を用いることもできる。
【0240】
上記表面改質処理は、熱風風量が1.0Nm/min(風圧5×10Pa)、分散ノズル94の原料供給分散風量が0.5Nm/min(風圧3×10Pa)、供給量が1kg/hで処理を行った。この熱風による処理は、着色樹脂粒子の球形化を促進させることを目的とする。熱風による処理では、結着樹脂の軟化点よりも180〜300℃高い温度の熱風を用いた。
【0241】
熱風風量は、風圧3〜5×10Paで0.35〜1.0Nm/minが好適な範囲であり、また、原料供給分散風量は、風圧1〜3×10Paで、0.05〜0.5Nm/minが好適な範囲である。また、熱風風量と原料供給分散風量の比は10:1〜4:1の範囲が好ましい。原料供給分散風量に対する熱風96の風量が大き過ぎると被処理粒子がはじかれて均一な処理が困難となる。また、熱風風量に対する原料供給分散風量が大き過ぎると被処理粒子が熱風中を横切り均一な処理が困難となる。
【0242】
なお、熱風発生装置95としては、プロパンガス等により加熱されるヒータを使用したが、これに限らず、熱風を発生できるものであればよい。
【0243】
<画像表示媒体の評価>
(初期特性)
【0244】
上記構成の画像表示媒体に対し、駆動電圧(白色粒子と黒色粒子を入れ替えて白黒表示を行なう際に、電極間に印加する電圧)特性の評価(駆動電圧とコントラストの関係の評価)を行った。
【0245】
評価を行なう前に、表面基板と背面基板との電極間に交番電圧を予め印加して画像表示媒体の初期化を行なった。交番電圧は、波形が矩形波であり、周波数は100Hz、波形のpeakとpeak間の電圧は200V、印加時間は500msとした。その後、表面基板と背面基板との電極間に一定の直流電圧を印加し、その電圧値において極性を反転させた際の黒色/白色表示時の反射画像濃度を測定することにより駆動電圧特性の評価を行った。
【0246】
具体的には、表面基板側の列電極の電位を0Vとすると共に、背面基板側の行電極の電位を+250Vとして黒色を表示させ、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度を測定する。次に、列電極の電位は0Vのまま行電極の電位を−250Vとして白色を表示させ、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度を測定する。
【0247】
次に、行電極の電位を+225Vとして黒色を表示した場合と、行電極の電位を−225Vとして白色を表示した場合との反射画像濃度をそれぞれ測定する。
【0248】
その後は、同様に25Vステップで電圧値を低減しながら反射画像濃度測定を行い、黒色/白色の反転表示を行なわなくなるまでこれらの測定を継続する。
【0249】
以上の測定により画像表示媒体の駆動電圧特性を把握した上で、行電極に±100Vを印加して黒色または白色表示した場合の反射画像濃度IDb、IDwを用いて、次の(式5)で表される駆動電圧100VにおけるコントラストCを算出する。
【0250】
【数6】

【0251】
(繰り返し表示特性)
上記構成の画像表示媒体に対し、繰返し表示試験を実施した。繰返し表示試験では、表面基板側の列電極の電位を0V、背面基板側の行電極の電位を+100Vとして黒色表示を行い、次に、列電極の電位を0Vのまま行電極の電位を−100Vとして白色表示を行なう。
【0252】
このような表示切替動作を200,000回繰り返した後、駆動電圧100Vにて黒色、白色表示した場合の反射画像濃度IDb、IDwを測定し、コントラストCを評価した。200,000回の繰返し表示は、行電極に周波数10Hz、波形のpeakとpeak間の電圧200Vの矩形波交番電界を340分印加することにより行った。
【0253】
<表示粒子の評価>
表6、表7及び表8には上述の表面改質処理を行った表示粒子のサンプルの特性を示す。表6では、左側から、表示粒子母体Noと、表示粒子母体に含まれる着色樹脂粒子No、その着色樹脂粒子の使用する樹脂の軟化点(Tmr(℃))、ガラス転移点(Tgr(℃))及び無機微粒子Aとその体積平均粒径、変動係数を示す。表7では、左側から、表示粒子母体No、表示粒子母体に含まれる着色樹脂粒子No、着色樹脂粒子に固着させる無機微粒子Aとその粒径(nm)、着色樹脂粒子100重量部に対する添加量、着色樹脂粒子に対する被覆率、無機微粒子Aを固着させた着色樹脂粒子に付着させる無機微粒子Bとその粒径(nm)、着色樹脂粒子100重量部に対する添加量、無機微粒子Aと無機微粒子Bの粒径比、無機微粒子Aと無機微粒子Bの添加量比を示す。表8では、熱風温度(℃)、結着樹脂の軟化点Tmr(℃)、熱風温度(℃)と結着樹脂の軟化点Tmr(℃)との温度差であるTsmr(℃)、着色樹脂粒子の形状係数(SF)、その形状係数の変動係数を示す。
【0254】
【表6】

【0255】
【表7】

【0256】
【表8】

【0257】
表9には、表示粒子、表示粒子母体、表示粒子母体に混合して付着させる無機微粒子Bとその粒径(nm)、着色樹脂粒子100重量部に対する添加量、無機微粒子Aと無機微粒子Bの粒径比、無機微粒子Aと無機微粒子Bの添加量比、表示粒子の静嵩密度を示す。無機微粒子Bとその粒径(nm)、着色樹脂粒子100重量部に対する添加量、無機微粒子AとBの粒径比、無機微粒子AとBの添加量比については表7の数値を繰り返して表示している。
【表9】

【0258】
表10には、上記サンプルを画像表示媒体に封入して前述した方法で画像表示特性を評価した結果を示す。340分間におけるコントラストCの推移を観察した。
【0259】
【表10】

【0260】
表示粒子DHW1、DHW2、DHW3、DHW4、DHW5、DHB1、DHB2、DHB3、DHB4においては、球形化が進行し、形状係数及びその変動係数も小さい値を示した。静嵩密度も高い値を示し、高い粉体流動性を維持している。
【0261】
また表示特性においても、白色粒子と黒色粒子を組合せたDHW1とDHB1、DHW2とDHB2、DHW3とDHB3、DHW4とDHB4、DHW5とDHB4は、繰り返しの画像表示において、隔壁周辺部への付着残が少なく、白黒のコントラストは9以上を維持して低下が少ない特性を示した。初期特性に関し、白粒子と黒粒子が移動を開始して画像形成が可能となるときの駆動電圧は、50Vと低い値を示した。また、画像形成媒体のセル内に表示粒子を充填する際に、セル内への充填を短時間で行うことができ、セル間での充填にバラツキも少なかった。
【0262】
しかし、dhw6とdhb5、dhw7とdhb6、dhw8とdhb7を使用した表示粒子は、白画像に黒粒子が多く混在しており、初期からコントラストが低く、また、繰り返しの表示動作においてコントラストの低下が起こった。
【0263】
本発明について実施例を含む特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。上記実施形態に示した本発明に係る表示粒子およびその製造方法ならびに表示粒子を用いた画像表示媒体の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0264】
本発明に係る表示粒子およびその製造方法ならびに表示粒子を用いた画像表示媒体は、電子ブック、電子新聞等の情報伝達媒体、デジタルサイネージ、電子黒板等のメッセンジャーボード、ICカード等上の表示部などに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0265】
1 画像表示装置
2 表面シート
3 背面シート
4 間隙
5 表示粒子群
7 隔壁
8 セル
10 画像表示媒体
11 表面基板
12 列電極
13 誘電体膜
21 背面基板
22 行電極
23 誘電体膜
31 樹脂ドライフィルム
32 露光マスク
50 定量供給機
51 第1のロール
52 第2のロール
60 微細化粉砕装置
63 粉砕処理部
81 粗粉分級機
90 表面改質処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された所定の帯電特性を有する表示粒子群とを備え、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体に用いられる表示粒子であって、
正帯電性の第1表示粒子と、当該第1表示粒子とは異なる色を有する負帯電性の第2表示粒子とを含み、
前記第1表示粒子と前記第2表示粒子との各々は、
少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子と、
前記着色樹脂粒子の表面に固着した第1無機微粒子と、
前記第1無機微粒子が固着した着色樹脂粒子の表面に付着すると共に、当該第1無機微粒子よりも平均粒径が小さい第2無機微粒子と
を含むことを特徴とする表示粒子。
【請求項2】
前記第1無機微粒子の平均粒径は、前記第2無機微粒子の平均粒径の1.1倍〜5倍であることを特徴とする請求項1に記載の表示粒子。
【請求項3】
前記着色樹脂粒子の平均粒径が3〜15μmであり、前記第1無機微粒子の平均粒径が7〜40nmであり、前記第2無機微粒子の平均粒径が3〜14nmである請求項1または請求項2に記載の表示粒子。
【請求項4】
前記着色樹脂粒子に対する前記第1無機微粒子の表面被覆率は110%〜350%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の表示粒子。
【請求項5】
前記第1表示粒子または前記第2表示粒子における前記第1無機微粒子の添加重量は、前記第2無機微粒子の添加重量の1.1倍〜5倍であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の表示粒子。
【請求項6】
前記第2表示粒子に含まれる前記第1無機微粒子または前記第2無機微粒子は、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理された負帯電性の粒子であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の表示粒子。
【請求項7】
前記第1表示粒子に含まれる前記第1無機微粒子または前記第2無機微粒子は、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンと、アミン系カップリング剤とによって表面処理された正帯電性の粒子であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の表示粒子。
【請求項8】
前記第2表示粒子の前記着色樹脂粒子は、シリコーンオイルで処理された酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の表示粒子。
【請求項9】
前記着色樹脂粒子は、形状係数が125以下であり、当該形状係数の変動係数が16以下であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の表示粒子。
【請求項10】
対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された所定の帯電特性を有する表示粒子群とを備え、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体に用いられる表示粒子の製造方法であって、
前記表示粒子は、正帯電性の第1表示粒子および当該第1表示粒子とは異なる色を有する負帯電性の第2表示粒子を含み、
前記第1表示粒子と前記第2表示粒子との少なくとも一方に関し、
少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子の表面に第1無機微粒子粒子を付着させる工程と、
前記第1無機微粒子が付着した前記着色樹脂粒子に対し、前記結着樹脂の軟化点よりも180〜300℃高い温度の熱風による表面処理を施すことにより、当該着色樹脂粒子の表面に前記第1無機微粒子を固着させる工程と、
前記第1無機微粒子が固着した着色樹脂粒子の表面に対し、前記第1無機微粒子よりも平均粒径が小さい第2無機微粒子を付着させる工程と
を有することを特徴とする表示粒子の製造方法。
【請求項11】
前記結着樹脂は、軟化点が110℃〜180℃であり且つガラス転移点が70℃〜100℃である熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項10に記載の表示粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の表示粒子を用いた画像表示媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−257521(P2011−257521A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130757(P2010−130757)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】