説明

表示装置、表示制御方法およびプログラム

【課題】画像内の制御対象の移動に関するユーザの利便性を向上させる表示装置、表示制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】表示装置は、画像を表示する表示手段と、表示手段が表示している画像内の制御対象を所定方向へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る入力手段と、制御対象の所定方向の移動先が存在しない状況で、入力手段が移動指示の入力を受け取った場合には、表示手段での画像の表示を継続する制御手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネットへ接続し、ブラウザアプリケーションを用いてWebページコンテンツを閲覧可能な携帯端末が普及している。例えば、特許文献1には、Webページコンテンツを表示可能な携帯電話が記載されている。以下では、「ブラウザアプリケーション」を「ブラウザ」とも称し、「Webページコンテンツ」を「コンテンツ」とも称する。
【0003】
通常、コンテンツはHTML(Hyper Text Markup Language)などの言語を用いて記述された文書にて規定される。以下では、コンテンツを規定する文書として、HTML文書を例に挙げて説明する。
【0004】
コンテンツ作成者は、HTML文書中で、テキストや画像の表示方法、また、他の文書へのハイパーリンクの設定つまりアンカーテキストの設定について規定する。以下、「アンカーテキスト」を「アンカー」と称する。
【0005】
ブラウザは、HTML文書を解釈しHTML文書に従ってコンテンツを表示する。
【0006】
HTML文書では、コンテンツ内の各要素が順に記載されている。このため、HTML文書に従ってコンテンツを表示する表示装置において、次のアンカーへフォーカスをひとつずつ移動させていく方式が採用されると、全てのアンカーへ、一意の順でフォーカスを移動させることが可能になる。なお、フォーカスは、アンカーを選択するために用いられる。
【0007】
ここで、コンテンツ上のフォーカスの移動例を説明する。
【0008】
図6は、ディスプレイサイズに収まる幅を有するコンテンツ上でのフォーカスの移動を説明するための図である。
【0009】
図6において、Webページコンテンツ301は、アンカーを持たないテキスト部302と、アンカーであるリンク部303〜311と、フォーカス300と、を含む。
【0010】
リンク部303〜311は、リンク部303〜311の順番で、HTML文書にて規定されており、ディスプレイの画面幅に収まるよう、リンク部305および308の後に改行が行われている。
【0011】
図6に示す例では、リンク部303〜311は3行3列の構成となっており、例えば、携帯端末の十字キーの操作に従ってリンク部303〜311間でフォーカス300が移動する。
【0012】
図7は、フォーカス300の移動の遷移を示した図である。
【0013】
図7において、フォーカス300は、画面401から順に、携帯端末の十字キー内の右キーが押下される度に、画面402、画面403、画面404に示したように遷移していく。なお、画面403において、フォーカス300は最右端のアンカー(リンク3)にあるが、右キーの押下により、次の行の最左端のアンカー(リンク4)へ遷移する(画面404参照)。
【0014】
図6および図7ではシンプルな構成のコンテンツを示したが、図6および図7を用いて説明したフォーカスの移動方法は、HTML文書でのアンカーの記述順に従ってフォーカスを移動するため、複雑な構成のコンテンツであっても、全てのアンカーへ一意の順でフォーカスを移動することができるという利点がある。
【0015】
なお、コンテンツとしては、パソコンのように横幅800ピクセルまたは1024ピクセルといった表示領域を持つデバイスでの閲覧を想定して作成されたものが多い。
【0016】
このため、携帯端末ではディスプレイサイズに収まらずに画面スクロールが必要となるコンテンツも多い。
【0017】
図8は、ディスプレイに収まらない幅を有するコンテンツの一例を示した図である。
【0018】
図8において、Webページコンテンツ501は、3行6列のリンク部(アンカー)502を有する。
【0019】
携帯端末等の表示装置は、Webページコンテンツ501がディスプレイに収まらないため、まず、Webページコンテンツ501のうちの部分領域503を表示する。画面504は、部分領域503を表示した画面である。ユーザは、画面504をスクロールさせることでWebページコンテンツ501全体の閲覧を行う。
【0020】
図9は、Webページコンテンツ501上のフォーカス500の移動の遷移を示した図である。
【0021】
図9において、フォーカス500は、画面601から順に、右キーが押下される度に、画面602、画面603、画面604、画面605に示したようにリンク部(アンカー)502をひとつずつ移動していく。
【0022】
なお、画面604をさらに右にスクロールできる場合には、画面604が表示されている状況で右キーが押下されると、フォーカス500をリンク6上に位置したまま、右へのスクロールが実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2008−256904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
フォーカスがキー操作に応じてアンカーをひとつずつ移動していく方式では、例えば、ユーザがフォーカスを右へ移動させるために右キーを連続して押下していると、図9に示した画面604から画面605への遷移のように、右キーが押下されているにも拘らず、フォーカスがWebページコンテンツ501上で左下に移動し、かつ、Webページコンテンツ501が左にスクロールしてしまう。
【0025】
この画面の遷移は、フォーカス等の制御対象を所定方向へ移動させる旨の移動指示が受け付けられた場合に、その移動指示に応じて、制御対象をその所定方向とは異なる方向に移動し、かつ、画面をその所定方向とは異なる方向にスクロールする処理が実行されることに起因する。
【0026】
この場合、制御対象の移動は、ユーザの意図とは異なるため、ユーザにとっては唐突に制御対象の画像内での位置が予期せぬ方向へ大きく移動してしまうことになり、ユーザを困惑させてしまい、利便性が良くないという課題があった。
【0027】
本発明の目的は、上記課題を解決可能な表示装置、表示制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の表示装置は、画像を表示する表示手段と、前記表示手段が表示している画像内の制御対象を所定方向へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る入力手段と、前記制御対象の前記所定方向の移動先が存在しない状況で、前記入力手段が前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記表示手段での前記画像の表示を継続する制御手段と、を含む。
【0029】
本発明の表示制御方法は、画像を表示する表示手段を含む表示装置での表示制御方法であって、前記表示手段が表示している画像内の制御対象を所定方向へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る入力ステップと、前記制御対象の前記所定方向の移動先が存在しない状況で、前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記表示手段での前記画像の表示を継続する制御ステップと、を含む。
【0030】
本発明のプログラムは、コンピュータに、画像を表示する表示手順と、前記画像内の制御対象を所定方向へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る入力手順と、前記制御対象の前記所定方向の移動先が存在しない状況で、前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記画像の表示を継続する制御手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、制御対象の移動に関するユーザの利便性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態の表示装置の一例である電子機器1を示したブロック図である。
【図2】電子機器1の模式図である。
【図3】電子機器1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態の電子機器1Aを示したブロック図である。
【図5】第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】ディスプレイサイズに収まる幅を有するコンテンツ上でのフォーカスの移動を説明するための図である。
【図7】フォーカスの移動の遷移を示した図である。
【図8】ディスプレイに収まらない幅を有するコンテンツの一例を示した図である。
【図9】フォーカスの移動の遷移を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の表示装置の一例である電子機器1を示したブロック図である。図2は、電子機器1の模式図である。
【0035】
電子機器1は、例えば、携帯電話機またはスマートフォンである。なお、電子機器1は、携帯電話機またはスマートフォンに限らず、例えば、携帯型ゲーム機、タブレット型PC(Personal Computer)、または、ノート型PCでもよい。
【0036】
電子機器1は、表示部2と、入力部3と、制御部4と、を含む。
【0037】
表示部2は、一般的に表示手段と呼ぶことができる。
【0038】
表示部2は、表示コンテンツ等の種々の画像を表示する。以下では、表示部2は、例えば、1つ以上のアンカーと1つのフォーカスとを含む画像を表示するとする。また、表示部2が表示する画像は、HTML文書にて規定されているとする。フォーカスは、一般的に、画像内の制御対象と呼ぶことができる。フォーカスは、アンカー上を移動する。
【0039】
なお、表示部2は、表示部2の表示幅よりも大きい幅を有する表示コンテンツを表示する際には、その表示コンテンツの一部を表示する。また、表示部2は、表示部2の表示幅以下の幅を有する表示コンテンツを表示する際には、その表示コンテンツ幅全体を表示する。なお、表示コンテンツは、一般的に表示用画像と呼ぶことができる。また、以下では、表示部2に実際に表示されている画像(表示コンテンツの一部または表示コンテンツ全体)を「表示実行画像」と称する。
【0040】
入力部3は、一般的に入力手段と呼ぶことができる。
【0041】
入力部3は、十字キー3aを含む。十字キー3aは、上キー3a1と、下キー3a2と、右キー3a3と、左キー3a4と、を含む。
【0042】
十字キー3aは、例えば、表示実行画像内のフォーカスを、右方向または左方向へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る。右方向または左方向は、一般的に所定方向と呼ぶことができる。なお、ユーザの右キー3a3への操作が、表示実行画像内のフォーカスを右方向へ移動させる旨の移動指示の入力として用いられる。また、ユーザの左キー3a4への操作が、表示実行画像内のフォーカスを左方向へ移動させる旨の移動指示の入力として用いられる。
【0043】
制御部4は、一般的に制御手段と呼ぶことができる。
【0044】
制御部4は、電子機器1の動作を制御する。
【0045】
例えば、制御部4は、表示コンテンツ内にフォーカスの右方向の移動先(アンカー)が存在せず表示実行画像の右方向のスクロール画像が存在しない状況で、十字キー3aがフォーカスを右方向に移動させる旨の移動指示の入力を受け取った場合には、その移動指示を無効にして表示部2で表示中の表示実行画像の表示を継続する。
【0046】
また、制御部4は、表示コンテンツ内にフォーカスの左方向の移動先(アンカー)が存在せず表示実行画像の左方向のスクロール画像が存在しない状況で、十字キー3aがフォーカスを左方向に移動させる旨の移動指示を受け取った場合には、その移動指示を無効にして表示部2で表示中の表示実行画像の表示を継続する。
【0047】
次に、動作を説明する。
【0048】
図3は、表示部2が1個以上のアンカーと1つのフォーカスとを含む表示実行画像を表示している状況で、ユーザにて右キー3a3が操作された際の動作を説明するためのフローチャートである。
【0049】
ユーザが右キー3a3を操作すると、右キー3a3は、フォーカスを右方向へ移動させる旨の移動指示(以下「右移動指示」と称する)の入力を受け取る(ステップS31)。
【0050】
右キー3a3が右移動指示の入力を受け取ると、制御部4は、フォーカスが存在するアンカー(以下「フォーカスアンカー」と称する)が、表示コンテンツにおいてそのアンカーが属するアンカーの行の中で最右端のアンカー(以下「最右端アンカー」と称する)であり、かつ、表示実行画像が、右へのスクロールにて表示されるスクロール画像のうち最右端の画像(以下「最右端画像」と称する)であるかを判断する(ステップS32)。
【0051】
なお、フォーカスアンカーが最右端アンカーである場合には、フォーカスの右方向の移動先(アンカー)は存在せず、また、表示実行画像が最右端画像である場合には、表示実行画像の右方向のスクロール画像は存在しない。
【0052】
ステップS32において、フォーカスアンカーが最右端アンカーでない、または、表示実行画像が最右端画像でないと、制御部4はステップS33を実行し、一方、ステップS32においてフォーカスアンカーが最右端アンカーでありかつ表示実行画像が最右端画像であると、制御部4はステップS34を実行する。
【0053】
ステップS33では、制御部4は、フォーカスアンカーが最右端アンカーでない場合には、フォーカスを、そのフォーカスの右に存在するアンカー(移動先)へ移動する。この際、制御部4は、フォーカスの移動先のアンカーが表示部2に表示されていない場合には、フォーカスの移動先のアンカーが表示部2に表示されるように、表示コンテンツを右方向にスクロールして、表示実行画像を変更する。
【0054】
また、ステップS33では、フォーカスアンカーが最右端アンカーであるが、表示実行画像が最右端画像でない場合には、制御部4は、表示コンテンツを右方向にスクロールして、表示実行画像を変更する。この際、制御部4は、表示コンテンツ内でのフォーカスの移動を禁止する。
【0055】
制御部4は、ステップS33を終了すると、右キー3a3の操作に伴う処理を終了する。
【0056】
一方、ステップS34では、制御部4は、表示部2の表示幅が表示コンテンツの横幅よりも大きいかを判断する。
【0057】
ステップS34において表示部2の表示幅よりも表示コンテンツの横幅が大きいと、制御部4は、ステップS31で右キー3a3が受け取った右移動指示の入力は無効であると判断し、フォーカスの移動および右スクロールを禁止して表示実行画像を継続する(ステップS35)。
【0058】
制御部4は、ステップS35を終了すると、右キー3a3の操作に伴う処理を終了する。
【0059】
一方、ステップS34において表示部2の表示幅よりも表示コンテンツの横幅が大きくないと、制御部4は、ステップS36を実行する。
【0060】
ステップS36では、制御部4は、フォーカスアンカーが表示コンテンツ内のアンカーのうち表示コンテンツ内の最終端のアンカー(以下「最下端アンカー」と称する)であるかを判断する。
【0061】
ステップS36においてフォーカスアンカーが最下端アンカーであると、フォーカスの移動先となるアンカーが存在しないため、制御部4は、ステップS35を実行する。
【0062】
一方、ステップS36においてフォーカスアンカーが最下端アンカーでないと、制御部4は、フォーカスアンカーが存在するアンカーの行の次のアンカーの行の中で最左端のアンカーへ、フォーカスを移動する(ステップ37)。
【0063】
制御部4は、ステップS37を終了すると、右キー3a3の操作に伴う処理を終了する。
【0064】
なお、表示部2が1個以上のアンカーと1つのフォーカスとを含む表示実行画像を表示している状況で、ユーザにて左キー3a4が操作された際の動作の説明は、上述した右キー3a3が操作された際の動作のうち、「右キー3a3」を「左キー3a4」と読み替え、「右」を「左」に読み替え、「左」を「右」に読み替え、「最終端」および「最下端」を「先頭」と読み替え、「次の行」を「前の行」と読み替えることで行える。
【0065】
ここで、本実施形態における表示コンテンツ上のフォーカスの移動を説明する。
【0066】
上述した図6に示したような、表示部2内に収まる幅を有する表示コンテンツ上でのフォーカスの移動は、例えば、図7に示したようになる。
【0067】
一方、上述した図8に示したような、表示部2内に収まらない幅を有する表示コンテンツ上でのフォーカスの移動は、例えば、図9に示した画面601〜604のようになるが、画面604から画面605へは遷移しない。
【0068】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0069】
本実施形態では、表示部2は、表示コンテンツの一部または表示コンテンツ全体である、表示実行画像を表示する。十字キー3aは、表示実行画像内のフォーカスを所定方向(右方向または左方向)へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る。制御部4は、フォーカスのその所定方向の移動先が存在しない状況で十字キー3aが移動指示の入力を受け取った場合には、表示実行画像を継続する。
【0070】
このため、例えば、表示部2が図9の画面604を表示実行画像として表示している状況で、十字キー3a内の右キー3a3が操作されても、表示部2の表示実行画像は、図9の画面605に切り替わることなく維持される。
【0071】
したがって、ユーザの意図とは異なるフォーカスの移動を抑制することが可能になり、例えば、唐突にフォーカスの表示コンテンツ内での位置が予期せぬ方向へ大きく移動してしまうことを抑制できる。よって、ユーザを困惑させることを低減でき、ユーザの利便性を向上することが可能になる。なお、この効果は、表示部2と入力部3と制御部4からなる電子機器(図1参照)でも奏する。
【0072】
また、本実施形態では、制御部4は、フォーカスの所定方向の移動先と表示実行画像のその所定方向のスクロール画像とが存在しない特定状況で十字キー3aがその所定方向への移動指示の入力を受け取った場合には、表示実行画像を継続する。
【0073】
この場合、ユーザの意図とは異なるフォーカスの移動を抑制することが可能になり、また、表示実行画像のその所定方向のスクロール画像が存在する場合には、表示実行画像をその所定方向のスクロール画像に切り替えることを許容することが可能になる。
【0074】
また、本実施形態では、制御部4は、表示部2が表示部2の表示幅よりも大きい幅を有する表示コンテンツについてその表示コンテンツの一部を表示実行画像として表示し、かつ、フォーカスの所定方向の移動先と表示実行画像のその所定方向のスクロール画像とが存在しない特定状況で、十字キー3aがその所定方向への移動指示の入力を受け取った場合には、表示実行画像を継続する。
【0075】
この場合、表示部2が表示部2の表示幅よりも大きい幅を有する表示コンテンツについてその表示コンテンツの一部を表示実行画像として表示している状況で、例えば、表示部2が図9の画面604を表示実行画像として表示している状況で、十字キー3a内の右キー3a3が操作されても、表示部2の表示実行画像は、図9の画面605に切り替わることなく維持される。
【0076】
したがって、ユーザの意図とは異なるフォーカスの移動およびスクロールを抑制することが可能になり、例えば、唐突にフォーカスの表示コンテンツ内での位置が予期せぬ方向へ大きく移動しかつユーザの意図とは異なる方向へのスクロールが実行されることを抑制できる。よって、ユーザを困惑させることを低減でき、ユーザの利便性を向上することが可能になる。
【0077】
本実施形態では、制御部4は、表示部2が表示部2の表示幅以下の幅を有する表示コンテンツを表示実行画像として表示している状況で十字キー3aが移動指示の入力を受け取った場合には、フォーカスを、移動指示にて指示された方向とは異なる方向に移動する。
【0078】
表示コンテンツの幅が、表示部2の表示幅以下である場合は、表示コンテンツを表示するための横スクロール動作は必要とされない。このため、ユーザは次にフォーカスされるアンカーの位置を予想しやすい。よって、表示部2が表示部2の表示幅以下の幅を有する表示コンテンツを表示実行画像として表示している状況で十字キー3aが移動指示の入力を受け取った場合に、その移動指示に応じてフォーカスを移動することは、ユーザの利便性を高くすることができる。
【0079】
また、本実施形態は、以下に記載する効果を奏する。
【0080】
まず、第1の効果について説明する。
【0081】
制御部4は、表示部2の表示幅に対して表示コンテンツの幅が小さいまたは同一である状況(以下「第1状況」と称する)では、表示コンテンツの画像端から反対側の画像端へのフォーカスの移動を許可している。
【0082】
このため、第1状況では、ユーザが右キー3a3または左キー3a4を操作して、フォーカスを、フォーカスの移動先となるアンカー単位で移動させる指示を入力した場合、表示コンテンツ内の改行位置で途切れることなく、全てのアンカーに一意の順でフォーカスを移動させることができる。これは、各要素を順番に既定しているHTML文書の構成に対して親和性が高い。
【0083】
続いて、第2の効果について説明する。
【0084】
制御部4は、逆に表示部2の表示幅に対して表示コンテンツの幅が大きい状況(以下「第2状況」と称する)では、表示コンテンツの画像端から反対側の画像端へのフォーカスの移動およびこの移動に伴うスクロールを禁止している。
【0085】
このため、ユーザが右キー3a3または左キー3a4を操作しているときに、フォーカスや表示実行画像が、キーにて指定された方向とは反対の方向の画面端へ急に飛んでしまうというユーザが意図しない動作を抑止できる。
【0086】
続いて、第3の効果について説明する。
【0087】
第3の効果は、上記の第1と第2の効果で説明した動作の使い分けを、表示部2の表示幅と表示コンテンツの幅の比較という、簡易な方法で行っていることである。
【0088】
例えば携帯端末のように、比較的小さめの表示部しか有していない電子機器では、表示コンテンツを特定の表示幅で構成し、これを拡大・縮小表示させ、必要に応じてスクロールしてユーザに閲覧させるという方法が多く取られる。このため、表示コンテンツ幅が表示部の表示幅に収まるかどうかは、表示コンテンツと表示部との関係に応じて変化する。そのため、上記の第1と第2の効果で説明した動作の使い分けを、表示部2の表示幅と表示コンテンツの幅の比較という簡易な方法で行うことは、ユーザの操作性向上に寄与しやすいものと考えられる。
【0089】
ここで、第3の効果を補足する。
【0090】
HTML文書にて規定される表示コンテンツは、画面サイズに対して、改行位置など、柔軟な表示ができる。しかしながら、PC向けにレイアウトが最適化された表示コンテンツを横幅を狭くして表示してしまうと、表示が崩れてしまうなど、コンテンツ作成者の意図しない表示となってしまうことがある。
【0091】
携帯端末でもPC向けにレイアウトが最適化された表示コンテンツを適切に表示するため、携帯端末向けブラウザでは、例えば、実際は横幅480ピクセルしかない表示部を搭載していても、HTML文書を解釈する際に表示部の横幅を1024ピクセルと仮定して、仮想的に大きな表示部に合わせて表示コンテンツのレイアウトを構成することが多い。
【0092】
その上で、表示部内に表示コンテンツを縮小して表示したり、また、表示コンテンツを拡大表示した上で横スクロールさせるなど、表示コンテンツ等に応じて表示方法を使い分けて閲覧できるようにすることで利便性を向上させている。
【0093】
このように、携帯端末においては、表示コンテンツのサイズは任意に変更され、表示部に収まるかどうかも状況によって異なるため、本実施形態は十字キーでの操作性向上に寄与しやすいものと考える。
【0094】
なお、電子機器1は、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能なCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)のような記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、表示部2、入力部3および制御部4として機能する。記録媒体は、CD−ROMに限らず適宜変更可能である。
【0095】
(第2実施形態)
第1実施形態においては、表示部2の表示幅が表示コンテンツの幅よりも小さい場合には、次のアンカーへのフォーカスの移動およびスクロールを単純に抑止することとした。
【0096】
しかしながら、ユーザが意図した上であれば、画面端から反対側の画面端へのフォーカスの移動およびスクロールは許容された方が、ユーザの利便性は高い。
【0097】
第2実施形態は、ユーザが意図した画面端から反対側の画面端へのフォーカスの移動およびスクロールを許容するものである。
【0098】
図4は、本発明の第2実施形態の電子機器1Aを示したブロック図である。なお、図4において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0099】
電子機器1Aは、図1に示した制御部4の代わりに制御部4Aを有し、さらに報知部5Aを有する点において、図1に示した電子機器1と異なる。以下、電子機器1と異なる点を中心に、電子機器1Aを説明する。
【0100】
電子機器1Aは、例えば、携帯電話機またはスマートフォンである。なお、電子機器1Aは、携帯電話機またはスマートフォンに限らず、例えば、携帯型ゲーム機、タブレット型PC、または、ノート型PCでもよい。
【0101】
報知部5Aは、一般的に報知手段と呼ぶことができる。
【0102】
報知部5Aは、例えば振動モータであり、入力部3が特定状況で移動指示の入力を受け取り制御部4Aが表示部2での表示実行画像の表示を継続した際にバイブレーション報知を0.7秒間行う。なお、0.7秒間は、所定時間の一例である。また、所定時間は、0.7秒間に限らず適宜変更可能である。
【0103】
制御部4Aは、一般的に制御手段と呼ぶことができる。
【0104】
制御部4Aは、図1に示した制御部4の機能を有する。制御部4Aは、さらに、報知部5Aが報知を終了した後に十字キー3aが移動指示の入力を再度受け取った場合には、フォーカスを移動指示にて指示された方向とは異なる方向に移動する。
【0105】
次に、第2実施形態の動作のうち、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0106】
ユーザが表示部2の表示実行画像を十分視認できない速度で表示コンテンツをスクロールさせているとき、つまり、ユーザが右キー3a3または左キー3a4の押下を短い間隔(例えば、0.5秒間隔)で繰り返しているとき(以下「連打」と称する)に、表示実行画像が表示コンテンツの画像端へ達すると、制御部4Aは、一時的に右キー3a3または左キー3a4の入力を無効とするとともに、報知部5Aを動作させてバイブレーション報知を実行する。
【0107】
ユーザは、右キー3a3または左キー3a4の連打にて画像端に達した際に表示実行画像を十分に視認できていなくても、バイブレーション報知を認識することで、画像端に達したことに気付くことができ、また、一時的に右キー3a3または左キー3a4の入力が無効になることで、意図しない反対側の画像端へフォーカスの移動およびスクロールも回避することができる。
【0108】
ユーザは、さらにその後、意図して右キー3a3または左キー3a4を操作することで、反対側の画像端へのフォーカスの移動およびスクロールを行うことができる。
【0109】
なお、第2実施形態において、連打が行われているときのみフォーカスの移動抑止とスクロール抑止とバイブレーション通知とを行う理由は、連打が行われておらずユーザが表示実行画像を十分視認できていれば、スクロールバーや表示実行画像内のアンカー位置等にて、キー押下後の動作が予測可能であり、この場合、バイブレーション通知の必要性が連打が行われている場合に比べて低くなるからである。
【0110】
なお、単純に、連打状態に関係なく、画像端に達した時点で一時的にフォーカスの移動抑止とスクロール抑止とバイブレーション通知が行われてもよい。
【0111】
図5は、第2実施形態の動作、詳しくは、表示部2が1個以上のアンカーと1つのフォーカスとを含む表示実行画像を表示している状況で、ユーザにて右キー3a3が操作された際の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図5において、図3に示した処理と同一の処理には同一符号を付してある。以下では、図3に示した処理と異なる処理を中心に説明する。
【0112】
右キー3a3が右移動指示の入力を受け取ると(ステップS31)、制御部4Aは、その右移動指示の入力が有効状態かどうかを判断する(ステップS51)。本実施形態では、制御部4Aは、報知部5Aがバイブレーション報知を行っている間に受け取った右移動指示の入力を有効状態でないと判断し、報知部5Aがバイブレーション報知を行っていない間に受け取った右移動指示の入力を有効状態と判断する。
【0113】
制御部4Aは、ステップS51で右移動指示の入力を有効状態でないと判断すると、ステップS31で右キー3a3が受け取った右移動指示の入力は無効であると判断し、フォーカスの移動およびスクロールを禁止する(ステップS52)。このため、表示実行画像は変更されない。制御部4Aは、ステップS52を終了すると、右キー3a3の操作に伴う処理を終了する。
【0114】
一方、制御部4Aは、ステップS51で右移動指示の入力を有効と判断すると、図3を用いて既に説明したステップS32を実行する。
【0115】
その後、ステップS34において表示部2の表示幅よりも表示コンテンツの横幅が大きいと、制御部4Aは、前回の有効な右移動指示の入力と今回の右移動指示の入力との時間間隔が0.5秒以下かどうかを判断する(ステップS53)。
【0116】
ステップS53において前回の有効な右移動指示の入力と今回の右移動指示の入力との時間間隔が0.5秒以下であると、制御部4Aは、ユーザが右キー3a3を連打していると判断し、0.7秒の間、右移動指示の入力を無効状態とすると共に、表示実行画像が表示コンテンツの画像端へ達したことをユーザへ通知するため、報知部5Aを用いてバイブレーション通知を行う(ステップS54)。制御部4Aは、ステップS54を終了すると、右キー3a3の操作に伴う処理を終了する。
【0117】
一方、ステップS53において前回の有効な右移動指示の入力と今回の右移動指示の入力との時間間隔が0.5秒以下でないと、制御部4Aは、ユーザが意図して反対側の画像端へのスクロールを行おうとしているものと判断し、図3を用いて既に説明したステップS36を実行する。
【0118】
なお、表示部2が1個以上のアンカーと1つのフォーカスとを含む表示実行画像を表示している状況で、ユーザにて左キー3a4が操作された際の第2実施形態の動作の説明は、上述した右キー3a3が操作された際の動作のうち、「右キー3a3」を「左キー3a4」と読み替え、「右」を「左」に読み替え、「左」を「右」に読み替え、「最終端」および「最下端」を「先頭」と読み替え、「次の行」を「前の行」と読み替えることで行える。
【0119】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0120】
本実施形態によれば、報知部5Aは、入力部3が特定状況で移動指示の入力を受け取り制御部4Aが表示部2での表示実行画像の表示を継続した際にバイブレーション報知を行う。
【0121】
このため、表示コンテンツ内でのフォーカスの移動禁止を、ユーザに知らせることが可能になる。
【0122】
本実施形態では、報知部5Aは、バイブレーション報知を所定時間行う。制御部4Aは、報知部5Aがバイブレーション報知を終了した後に十字キー3aが移動指示の入力を再度受け取った場合には、フォーカスを移動指示にて指示された方向は異なる方向に移動する。
【0123】
この場合、ユーザが意図的に行った移動指示については、その移動指示に応じたフォーカスの移動やスクロールを行うことが可能になる。
【0124】
また、本実施形態によれば、第1実施形態における第1から第3の効果に加え、以下の第4の効果を奏する。
【0125】
第4の効果は、表示部2の表示幅に対して表示コンテンツの幅が大きい場合において、表示実行画像が表示コンテンツの画像端に達した場合には、一時的に移動指示を無効としつつバイブレーション報知を行うことで、意図しない反対側の画面端へのスクロールを回避するという第2の効果を実現しつつ、全てのアンカーへ一意の順でフォーカスを移動できるという第1の効果を実現していることである。
【0126】
なお、本実施形態では、連打が行われているか否かを判断するための時間間隔として0.5秒間隔を用いたが、この時間間隔は、0.5秒間隔に限らず適宜変更可能である。
【0127】
また、バイブレーション報知を行うタイミングは、表示実行画像が表示コンテンツの画像端に達し一時的に移動指示の入力が無効状態となっていることをユーザに認識させることができれば、そのタイミングは上記に限らない。
【0128】
また、先にも述べたか、例えば、連打状態に関係なく、表示実行画像が表示コンテンツの画像端に達した時点で0.7秒間のキー無効状態とバイブレーション通知を行うのみでもよい。
【0129】
また、本実施形態では、報知としてバイブレーション報知が用いられたが、報知は、バイブレーション報知に限らず、アラーム音を用いた報知、音声を用いた報知、または、発光部の発光や点滅を用いた報知でもよい。なお、アラーム音または音声を用いた報知が行われる場合には、報知部5Aは例えばスピーカを有し、発光部の発光や点滅を用いた報知が行われる場合には、報知部5Aは例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光部を有する。
【0130】
また、電子機器1Aは、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、表示部2、入力部3、制御部4A、および、報知部5Aとして機能する。
【0131】
また、上記各実施形態において、フォーカスにて選択される対象は、アンカーに限らず適宜変更可能である。例えば、フォーカスにて選択される対象として、入力欄が用いられてもよい。
【0132】
また、上記各実施形態において、表示コンテンツも、HTML文書にて規定されたコンテンツに限らず、例えば、XML(Extensible Markup Language)文書にて規定されたコンテンツでもよく適宜変更可能である。
【0133】
また、上記各実施形態では、フォーカスの移動指示の入力を受け付ける操作部として、十字キーが用いられたが、フォーカスの移動指示の入力を受け付ける操作部は、十字キーに限らず適宜変更可能であり、例えば、携帯電話機が有する選択キーまたは決定キーでもよいし、PCのTABキーまたはenterキーなど、一般的にフォーカスの移動に使用するキーであればどれでもよい。
【0134】
また、上記各実施形態において、制御部4および4Aは、フォーカスアンカーが最右端アンカーであるが表示実行画像が最右端画像でない場合に、表示コンテンツを右方向にスクロールして表示実行画像を変更したが、この場合に、表示コンテンツのスクロールを禁止してもよい。
【0135】
また、上記各実施形態において、制御部4および4Aは、フォーカスアンカーが最左端アンカーであるが表示実行画像が最左端画像でない場合に、表示コンテンツを左方向にスクロールして表示実行画像を変更したが、この場合に、表示コンテンツのスクロールを禁止してもよい。
【0136】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0137】
1、1A 電子機器
2 表示部
3 入力部
3a 十字キー
3a1 上キー
3a2 下キー
3a3 右キー
3a4 左キー
4、4A 制御部
5A 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段が表示している画像内の制御対象を所定方向へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る入力手段と、
前記制御対象の前記所定方向の移動先が存在しない状況で、前記入力手段が前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記表示手段での前記画像の表示を継続する制御手段と、を含む表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記移動先と前記画像の前記所定方向のスクロール画像とが存在しない特定状況で、前記入力手段が前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記表示手段での前記画像の表示を継続する、表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記表示手段が前記表示手段の表示幅よりも大きい幅を有する表示用画像について当該表示用画像の一部を前記画像として表示し、かつ、前記移動先と前記スクロール画像とが存在しない状況で、前記入力手段が前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記表示手段での前記画像の表示を継続する、表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記表示手段が前記表示手段の表示幅以下の幅を有する画像を表示している状況で前記入力手段が前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記特定状況であっても前記制御対象を前記所定方向とは異なる方向に移動する、表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記入力手段が前記移動指示の入力を受け取り前記制御手段が前記表示手段での前記画像の表示を継続した際に、報知を行う報知手段をさらに含む、表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置において、
前記報知手段は、前記報知を所定時間実行し、
前記制御手段は、前記報知が終了した後に前記入力手段が前記移動指示の入力を再度受け取った場合には、前記制御対象を前記所定方向とは異なる方向に移動する、表示装置。
【請求項7】
画像を表示する表示手段を含む表示装置での表示制御方法であって、
前記表示手段が表示している画像内の制御対象を所定方向へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る入力ステップと、
前記制御対象の前記所定方向の移動先が存在しない状況で、前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記表示手段での前記画像の表示を継続する制御ステップと、を含む表示制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、
画像を表示する表示手順と、
前記画像内の制御対象を所定方向へ移動させる旨の移動指示の入力を受け取る入力手順と、
前記制御対象の前記所定方向の移動先が存在しない状況で、前記移動指示の入力を受け取った場合には、前記画像の表示を継続する制御手順と、を実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−230634(P2012−230634A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99811(P2011−99811)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】