説明

表示装置およびその製造方法

【課題】画像の表示ムラが発生するのを抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】この液晶表示装置(表示装置)100は、基板10と、基板10上に形成さ
れ、コンタクトホール18aとコンタクトホール18aの周辺に形成された凸部18bと
を有する平坦化膜18と、平坦化膜18上に形成された配向膜19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびその製造方法に関し、特に、コンタクトホールを有する絶縁
膜を備えた表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンタクトホールを有する絶縁膜を備えた表示装置が知られている(たとえば、
特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1には、基板上に平坦化膜(絶縁膜)が形成されているとともに、平坦化
膜上に画素電極が形成された表示装置(液晶パネル)が開示されている。上記特許文献1
に開示された表示装置では、平坦化膜にコンタクトホールが形成されているとともに、画
素電極がコンタクトホールの形状を反映するようにして平坦化膜を覆うように形成されて
いる。
【0004】
【特許文献1】特開2008−32859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された表示装置の構成では、画素電極が平坦化膜
およびコンタクトホールの形状を反映するようにして形成されているため、塗布法により
画素電極上に配向膜を形成する際に液状の配向膜がコンタクトホールに流れ込む場合があ
り、その結果、液状の配向膜がコンタクトホールに流れ込んだ分、画素電極上に形成され
る配向膜の膜厚が小さくなる。このため、配向膜の塗布ムラが発生するとともに、この塗
布ムラに起因して液晶の配向ムラが発生する場合があるとともに、この液晶の配向ムラに
起因して、画像の表示ムラが発生するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つ
の目的は、画像の表示ムラが発生するのを抑制することが可能な表示装置を提供すること
である。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面による表示装置は、第1基板と、第1基板上に形成され、コンタ
クトホールとコンタクトホールの周辺に形成された凸部とを有する絶縁膜と、絶縁膜上に
形成された第1配向膜とを備える。
【0008】
この第1の局面による表示装置では、上記のように、コンタクトホールの周辺に形成さ
れた凸部を有する絶縁膜を備えることによって、塗布法により第1配向膜を形成する際に
、凸部によって液状の第1配向膜がコンタクトホールに流れ込むのを抑制することができ
る。したがって、第1配向膜の塗布ムラが発生するのを抑制することができるので、塗布
ムラの発生に起因して液晶の配向ムラが発生するのを抑制することができる。その結果、
画像の表示ムラが発生するのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、凸部は、平面的にみて、コンタ
クトホールを取り囲むように形成されている。このように構成すれば、コンタクトホール
を取り囲むように形成された凸部によってコンタクトホールに液状の第1配向膜が流れ込
むのを確実に抑制することができる。したがって、表示ムラが発生するのをより抑制する
ことができる。
【0010】
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、絶縁膜上に形成された第1透明
電極をさらに備え、第1配向膜は第1透明電極上に形成されており、第1透明電極は、絶
縁膜のコンタクトホールおよび凸部を覆うように形成され、第1配向膜は、第1透明電極
上のうち絶縁膜の凸部が形成された領域以外の領域を覆うように形成されている。このよ
うに構成すれば、第1透明電極は凸部を覆うように形成されているので、第1透明電極の
うち絶縁膜の凸部に対応する領域は絶縁膜の凸部形状に伴って突出する形状となる。した
がって、第1配向膜を形成する際に、液状の第1配向膜が第1透明電極上の絶縁膜の凸部
に対応する領域を乗り越えてコンタクトホールに流れ込むのを抑制することができるので
、第1配向膜を、第1透明電極上のうち絶縁膜の凸部に対応する領域以外の領域において
均一な膜厚に形成することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、第1基板に対向するように設けられた第2基板と、第2基板の
第1基板側に設けられた第2配向膜とをさらに備え、凸部は、凸部の突出する方向の長さ
が第2配向膜の厚みと略同じまたはそれ以上の大きさになるように形成されている。この
ように構成すれば、絶縁膜の凸部の突出する方向の長さが第2配向膜の厚みと少なくとも
略同じ大きさまたはそれ以上の大きさに形成されているので、たとえば液状の第1配向膜
が余分に塗布されたとしても、余分な液状の第1配向膜が凸部を乗り越えてコンタクトホ
ールに流れ込むとともに、第2配向膜と略同じ大きさの膜厚分に相当する液状の第1配向
膜がコンタクトホールに流れ込むのを抑制することができる。したがって、余分に液状の
第1配向膜が塗布された場合でも、第1配向膜と第2配向膜とを略同じ大きさの膜厚にす
ることができる。また、液状の配向膜が、たとえば溶媒によって希釈されている場合にお
いても、絶縁膜の凸部の突出する方向の長さ(高さ方向)が第2配向膜の厚み以上の大き
さに形成されているので、液状の配向膜がコンタクトホールに流れ込むのをより確実に抑
制することができ、固まった後の配向膜を第2配向膜と略同じ大きさの膜厚にすることが
できる。そして、これらの結果、第1基板側の第1配向膜と、第2基板側の第2配向膜と
の膜厚に差が生じることに起因して、液晶の焼き付き不良が発生するのを抑制することが
できる。
【0012】
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、第1基板上に形成されたカラー
フィルタをさらに備え、カラーフィルタは厚みが不均一であるとともに、カラーフィルタ
上に絶縁膜が形成されている。このように構成すれば、絶縁膜が、カラーフィルタの厚み
が不均一な形状を反映するとともに、コンタクトホールに向かって下るように傾斜した形
状に形成された場合であっても、凸部によって、第1配向膜がコンタクトホールに多量に
流れ込んでしまうのを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、絶縁膜の凸部が形成されていな
い部分は平坦化されている。このように構成すれば、カラーフィルタの厚みが不均一であ
っても、凸部が形成されているのに加えて絶縁膜は凸部以外が平坦化されているので、コ
ンタクトホールに第1配向膜が流れ込むのを確実に抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、絶縁膜は、有機膜からなる。こ
のように構成すれば、たとえば、カラーフィルタ上に絶縁膜を形成する際に、カラーフィ
ルタの耐熱性が小さい場合であっても、CVD法により絶縁膜を形成する場合と異なりカ
ラーフィルタを熱により変形させてしまうことなく絶縁膜を塗布法により形成することが
できる。
【0015】
この発明の第2の局面による電子機器は、上記した構成を有する表示装置を備える。こ
のように構成すれば、画像の表示ムラが発生するのを抑制することが可能な電子機器を得
ることができる。
【0016】
この発明の第3の局面による表示装置の製造方法は、基板上に絶縁膜を形成する工程と
、絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程と、絶縁膜をエッチングすることにより、絶
縁膜のコンタクトホール周辺に凸部を形成する工程とを備える。
【0017】
この第3の局面による表示装置の製造方法では、上記のように、絶縁膜をエッチングす
ることにより、コンタクトホール周辺に容易に凸部を形成することができる。したがって
、容易に表示ムラが発生するのを抑制することができる。また、たとえば、エッチングの
時間を調整することにより、絶縁膜の凸部の突出する方向の長さを第2配向膜の厚みと略
同じ大きさに形成することができる。したがって、第1基板側の第1配向膜と、第2基板
側の第2配向膜との膜厚に差が生じることに起因して、液晶の焼き付き不良が発生するの
を抑制することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、凸部を形成する工程に先立って、絶縁膜を研磨することにより
平坦化する工程をさらに備える。このように構成すれば、絶縁膜を研磨することにより平
坦化されるので、凸部と平坦化された絶縁膜とによりコンタクトホールに液状の第1配向
膜が流れ込むのを抑制することができるとともに、第1配向膜と第2配向膜との膜厚を略
同じにすることができる。また、たとえば、厚みが不均一であるカラーフィルタ上に絶縁
膜を形成する場合においても、たとえ絶縁膜がカラーフィルタの形状に伴って厚みが不均
一になるように形成されたとしても絶縁膜を研磨することにより平坦化されるので、液状
の第1配向膜がコンタクトホールに流れ込むのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である
。図2および図3は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置の詳細な構成を説明する
ための図である。まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による液晶表示装
置100の構成について説明する。なお、第1実施形態では、表示装置の一例である液晶
表示装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0021】
第1実施形態による液晶表示装置100は、図1に示すように、表示画面部1と、駆動
IC2と、Vドライバ3と、Hドライバ4と、バックライト5とを備えている。表示画面
部1には、複数の画素1aがマトリックス状に配置されている。なお、図1は、図面の簡
略化のために3画素分の画素1aを図示している。
【0022】
駆動IC2は、液晶表示装置100全体を駆動するための機能を有する。Vドライバ3
およびHドライバ4には、それぞれ、複数のゲート線3aおよびデータ線4aが接続され
ている。また、ゲート線3aおよびデータ線4aは、互いに直交するように配置されてい
る。Vドライバ3は、ゲート線3aの駆動回路としての機能を有する。また、Hドライバ
4は、データ線4aを介して、後述する画素電極1cに映像信号を順次供給する機能を有
する。また、バックライト5は、画素1aの透過領域の光源として構成されている。
【0023】
また、各画素1aは、図1および図2に示すように、画素トランジスタ1b(TFT)
と、画素電極1cと、共通電極1dと、保持容量1eとにより構成されている。画素トラ
ンジスタ1bのドレイン領域Dは、データ線4aに接続されているとともに、画素トラン
ジスタ1bのソース領域Sは、画素電極1cと保持容量1eの一方の電極とに接続されて
いる。また、画素トランジスタ1bのゲートGは、ゲート線3aに接続されている。また
、共通電極1dは、COMドライバ(図示せず)に接続されている。また、保持容量1e
の他方の電極(図3参照)は保持容量線6に接続されているとともに、保持容量線6もC
OMドライバ(図示せず)に接続されている。また、画素電極1cと共通電極1dとの間
には液晶7が封入されている。なお、画素電極1cおよび共通電極1dは、それぞれ、本
発明の「第1透明電極」および「第2透明電極」の一例である。
【0024】
また、画素1aが形成された領域の詳細な断面構造としては、図3に示すように、画素
1aは、互いに対向するように配置された一対の基板10および基板20を備えていると
ともに、基板10と基板20との間に液晶7が封入されている。基板10および基板20
は、たとえば、ガラス板などにより形成されている。なお、基板10および基板20は、
それぞれ、本発明の「第1基板」および「第2基板」の一例である。
【0025】
また、基板10上には、SiOなどからなるバッファ層11が形成されている。また
、バッファ層11上には、低温ポリシリコンからなる半導体層12が形成されている。半
導体層12は、薄膜トランジスタ(TFT)からなる画素トランジスタ1bの能動層とし
ての機能を有する。そして、半導体層12には、能動層として機能するチャネル領域12
aを挟むように所定の間隔を隔てて、ソース領域12bおよびドレイン領域12cが形成
されている。また、半導体層12上には、ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜13
が形成されている。また、絶縁膜13上にはゲート電極14が形成されている。チャネル
領域12aと、ソース領域12bと、ドレイン領域12cと、絶縁膜13と、ゲート電極
14とによって、電界効果型トランジスタ(画素トランジスタ1b)が構成されている。
なお、ゲート電極14は、ゲート線3a(図2参照)に接続されている。また、絶縁膜1
3上には、補助容量1eの他方の電極が形成されている。
【0026】
また、ゲート電極14および補助容量1eの他方の電極を覆うように、層間絶縁膜15
が形成されているとともに、層間絶縁膜15には、コンタクトホール15aおよび15b
が形成されている。また、コンタクトホール15aおよび15bは、それぞれ、半導体層
12のソース領域12bおよびドレイン領域12cに達するように形成されている。そし
て、コンタクトホール15aを介して半導体層12のソース領域12bに電気的に接続さ
れるようにソース電極16aが形成されている。また、コンタクトホール15bを介して
半導体層12のドレイン領域12cに電気的に接続されるようにドレイン電極16bが形
成されている。また、層間絶縁膜15、ソース電極16aおよびドレイン電極16bを覆
うように、パッシベーション層17が形成されている。
【0027】
ここで、第1実施形態では、パッシベーション層17上には、たとえば、アクリル樹脂
などの感光性を有する有機膜からなる平坦化膜18が形成されている。なお、有機膜から
なる平坦化膜18は、本発明における「絶縁膜」の一例である。また、平坦化膜18には
、コンタクトホール18aが形成されているとともに、このコンタクトホール18aは、
ソース電極16aにまで達するように形成されている。なお、コンタクトホール18aは
、平面的にみて、角部が丸型形状に形成された矩形状(図2参照)に形成されている。
【0028】
また、第1実施形態では、平坦化膜18のコンタクトホール18aの周辺には、凸部1
8bが図の矢印Y方向(高さ方向)に長さL分だけ突出するように形成されている。具体
的には、図2に示すように、平坦化膜18の凸部18bは、平面的にみてコンタクトホー
ル18aを取り囲むように環状に形成されている。また、凸部18bの長さLは、後述す
る配向膜21の厚みtとほぼ同じかまたはそれ以上の大きさになるように形成されている

【0029】
また、第1実施形態では、平坦化膜18上には、コンタクトホール18aおよび凸部1
8bを覆うようにして、透明電極(ITO)からなる画素電極1cが形成されている。画
素電極1cは、コンタクトホール18aおよび凸部18bの形状を反映した形状を有する
ようにして形成されている。これにより、画素電極1cは、平坦化膜18の凸部18bに
対応する領域において凸部18bと同様に矢印Y方向に長さL分だけ突出するように形成
されている。また、配向膜19が、平坦化膜18と、画素電極1cのうち平坦化膜18の
凸部18bが形成された領域以外の領域とを覆うように形成されている。なお、配向膜1
9は、本発明の「第1配向膜」の一例である。
【0030】
また、基板20には、基板10と対向する側の面上に共通電極1dが形成されていると
ともに、共通電極1dを覆うように配向膜21が形成されている。なお、配向膜21は、
本発明における「第2配向膜」の一例である。
【0031】
図4〜図7は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置の製造プロセスを説明するた
めの断面図である。次に、図3〜図7を参照して、本発明の第1実施形態による液晶表示
装置100の製造プロセスについて説明する。
【0032】
まず、図4に示すように、基板10の表面上にバッファ層11を形成した後に、バッフ
ァ層11上に半導体層12を形成する。次に、バッファ層11および半導体層12を覆う
ように絶縁膜13を形成するとともに、絶縁膜13の表面上にゲート電極14および補助
容量1eの他方の電極を形成する。なお、ゲート電極14および補助容量1eの他方の電
極は、同一の導電膜をパターニングすることにより形成される。そして、絶縁膜13、ゲ
ート電極14および補助容量1eの他方の電極を覆うように層間絶縁膜15を形成する。
【0033】
次に、層間絶縁膜15にエッチングによりコンタクトホール15aおよび15bを形成
し、このコンタクトホール15aおよび15bに、それぞれソース電極16aおよびドレ
イン電極16bを形成する。その後、層間絶縁膜15、ソース電極16aおよびドレイン
電極16bを覆うようにパッシベーション層17を形成するとともに、パッシベーション
層17に、ソース電極16aにまで達するようなコンタクトホール17aを形成する。そ
して、パッシベーション層17およびコンタクトホール17aを覆うように、塗布法によ
り、アクリル樹脂からなる有機系の平坦化膜18を形成する。
【0034】
ここで、第1実施形態では、平坦化膜18を形成した後に、平坦化膜18の表面に対し
てCMP(Chemical Mechanical Polishing)により研磨
を行う。これにより平坦化膜18が平坦化される。そして、図5に示すように、平坦化膜
18にエッチングによりソース電極16aにまで達するコンタクトホール18aを形成す
る。なお、平坦化膜18にコンタクトホール18aを形成した後に、平坦化膜18の表面
に対してCMPにより研磨を行ってもよい。
【0035】
次に、第1実施形態では、平坦化膜18の凸部18bを形成するために、コンタクトホ
ール18aと、凸部18bが形成される領域以外の領域にレジスト膜(図示せず)を形成
した後に、配向膜19の膜厚tと略同一かまたはそれ以上の長さLだけドライエッチング
を行う。これにより、図6の形状になる。そして、図7に示すように、平坦化膜18を覆
うようにして画素電極1cを形成する。ここで、画素電極1cは、コンタクトホール18
aおよび凸部18bの形状を反映するようにして形成される。
【0036】
そして、平坦化膜18および画素電極1cを覆うようにして、塗布法によりポリイミド
(PI)からなる配向膜19を形成する。また、配向膜19は長さLと略同一かまたはそ
れ以下の厚みtになるように形成される。なお、このとき、ポリイミドが余分に供給され
た場合には、余分なポリイミドは凸部18bを乗り越えて画素電極1cのコンタクトホー
ル18aに対応する領域に流れ込むことによって、凸部18bの長さLと同じ長さの厚み
tからなる配向膜19が形成される。そして、基板10側と、共通電極1dおよび配向膜
21が形成された基板20側とを張り合わせて液晶7を封入することにより、図3に示す
状態となる。
【0037】
本発明の第1実施形態による液晶表示装置100は、図8および図9に示すように、携
帯電話50およびPC(パーソナルコンピュータ)60などに用いることが可能である。
図8の携帯電話50においては、表示画面50aに本発明の第1実施形態における液晶表
示装置100が用いられる。また、図9のPC60においては、キーボード60aなどの
入力部および表示画面60bなどに用いることが可能である。また、周辺回路を液晶パネ
ル内の基板に内蔵することにより部品点数を大幅に減らすとともに、装置本体の軽量化お
よび小型化を行うことが可能になる。
【0038】
第1実施形態では、上記のように、コンタクトホール18aの周辺に凸部18bが形成
された平坦化膜18を備えることによって、塗布法により配向膜19を形成する場合に、
凸部18bによってポリイミドが画素電極1cのコンタクトホール18aに対応する領域
に流れ込むのを抑制することができるので、配向膜19の塗布ムラが発生するのを抑制す
ることができる。したがって、塗布ムラの発生に起因して液晶7の配向ムラが発生するの
を抑制することができるので、その結果、表示ムラが発生するのを抑制することができる

【0039】
また、上記第1実施形態では、平坦化膜18の凸部18bを、平面的にみて、コンタク
トホール18aを取り囲むように形成することによって、画素電極1cのコンタクトホー
ル18aに対応する領域にポリイミドが流れ込むのを確実に抑制することができるので、
表示ムラが発生するのをより抑制することができる。
【0040】
また、上記第1実施形態では、配向膜19は、画素電極1c上のうち平坦化膜18の凸
部18bが形成された領域以外の領域を覆うように形成することによって、配向膜19を
形成する際に、ポリイミドが画素電極1cの凸部18bに対応する領域を乗り越えてコン
タクトホール18aに対応する領域に流れ込むのを抑制することができる。これにより、
ポリイミドが凸部18bによって平坦化膜18および画素電極1c上に保持されるので、
配向膜19を画素電極1c上のうち平坦化膜18の凸部18bに対応する領域以外の領域
において均一な膜厚に形成することができる。
【0041】
また、上記第1実施形態では、凸部18bを、凸部18bの突出する方向(図3の矢印
Y方向)の長さ(L)が配向膜21の厚みと略同じ大きさになるように形成することによ
って、たとえば、ポリイミドが余分に塗布された場合であっても、余分なポリイミドが凸
部18bを乗り越えてコンタクトホール18aに流れ込むとともに、配向膜21と略同じ
大きさの膜厚分の長さである凸部18bによって、厚みL分の配向膜19がコンタクトホ
ール18aに流れ込むのを抑制することができる。したがって、基板10側の配向膜19
と基板20側の配向膜21とを略同じ大きさの膜厚にすることができる。その結果、基板
10側の配向膜19と、基板20側の配向膜21との膜厚に差が生じることに起因して、
液晶7の焼き付き不良が発生するのを抑制することができる。なお、凸部18bの突出す
る方向(矢印Y方向/高さ方向)の長さ(L)を配向膜21の厚みより大きくなるように
形成してもよい。これにより、たとえば、ポリイミドが溶媒によって希釈されている場合
などに、凸部18bの突出する方向の長さ(L)が配向膜21の厚み以上の大きさに形成
されていることにより、ポリイミドがコンタクトホール18aに流れ込むのを抑制しなが
ら、かつ、配向膜19と配向膜21とを略同じ大きさの膜厚にすることができる。その結
果、このように形成した場合においても、液晶7の焼き付き不良が発生するのを抑制する
ことができる。
【0042】
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態による液晶表示装置の断面図である。図11は、本発
明の第2実施形態による液晶表示装置の画素部分の拡大図である。図1、図10および図
11を参照して、第2実施形態では、第1実施形態の構造にカラーフィルタをさらに備え
た構造について説明する。
【0043】
本発明の第2実施形態による液晶表示装置200では、図10に示すように、パッシベ
ーション層17上に、カラーフィルタ30が形成されている。また、カラーフィルタ30
の厚みは不均一である。なお、各画素1a(図1参照)毎に、R(赤)、G(緑)、B(
青)のいずれかの色に対応するカラーフィルタ30が配置されているとともに、カラーフ
ィルタ30は、色毎に異なる表面形状(表面の傾斜の状態が異なる形状)に形成されてい
る。また、図11に示すように、カラーフィルタ30は、ソース電極16aおよびソース
電極16aのコンタクトホール18aが形成されている領域以外の領域に配置されている

【0044】
なお、第2実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様である。
【0045】
図12および図13は、本発明の第2実施形態による液晶表示装置200の製造プロセ
スを説明するための断面図である。次に、図10、図12および図13を参照して、本発
明の第2実施形態による液晶表示装置200の製造プロセスについて説明する。
【0046】
まず、第1実施形態と同様の工程で、基板10上に、バッファ層11からパッシベーシ
ョン層17までを形成する。次に、パッシベーション層17上に、着色レジスト法または
ラミネート法によって各画素1a毎に、R(赤)、G(緑)およびB(青)のカラーフィ
ルタ30を形成する。そして、パッシベーション層17およびカラーフィルタ30を覆う
ように、塗布法により平坦化膜40を形成する。これにより、図12のような状態となる
。なお、平坦化膜40は、本発明における「絶縁膜」の一例である。ここで、図12に示
すように、平坦化膜40の表面は、カラーフィルタ30の厚みが不均一であるために、表
面が平坦化されることなくカラーフィルタの形状を反映したような形状となる。また、こ
のとき、カラーフィルタ30が平均的に約1μmの厚みになるように形成されているとと
もに、平坦化膜40は、約2μmの厚みになるようにカラーフィルタ30を覆うように形
成される。つまり、カラーフィルタ30上に塗布された状態の平坦化膜40の厚みは、カ
ラーフィルタ30の厚みの約2倍程度となる。
【0047】
ここで、第2実施形態では、平坦化膜40を形成した後に、平坦化膜40の表面上をC
MPにより研磨する。これにより、図13に示すように、平坦化膜40の表面が平坦化さ
れる。
【0048】
そして、この後、第1実施形態と同様の工程を行うことによって、図10に示す状態と
なる。
【0049】
第2実施形態では、上記のように、厚みが不均一であるカラーフィルタ30の表面に形
成された平坦化膜40が、カラーフィルタ30の厚みが不均一な形状を反映するように形
成された場合であっても、CMPによる機械研磨工程によって平坦化された後に画素電極
1cが形成されるので、この場合においても、凸部18bと表面が研磨された平坦化膜4
0とによって画素電極1cのコンタクトホール18aに対応する領域にポリイミドが流れ
込むのを抑制することができるとともに、配向膜19と配向膜21との膜厚を同じ大きさ
にすることができる。
【0050】
なお、第2実施形態のその他の効果は第1実施形態と同様である。
【0051】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと
考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範
囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が
含まれる。
【0052】
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、平面的にみて、コンタクトホー
ルを角部が丸型形状に形成された矩形状に形成するとともに、コンタクトホールを取り囲
むように凸部を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、平面的にみて、コンタク
トホールは円形状であってもよい。また、この場合においても、凸部は円形状のコンタク
トホールを取り囲むように円環状に形成される。
【0053】
また、上記第2実施形態において、カラーフィルタ上に形成した平坦化膜を研磨すると
ともに、研磨した後の平坦化膜に凸部を形成することによって、コンタクトホールに多量
のポリイミドが流れ込むのを抑制する例を示したが、図14に示す参考例のように、カラ
ーフィルタ上に形成した平坦化膜に凸部を設けることなく表面を研磨することのみによっ
てもコンタクトホールに多量のポリイミドが流れ過ぎてしまうのを抑制することが可能で
あると考えられる。つまり、カラーフィルタ30における不均一な形状に伴って表面が平
坦化されていない平坦化膜40a上に画素電極1cを形成した場合には画素電極1cもカ
ラーフィルタ30の不均一な形状を反映して形成されるために、ポリイミドを塗布した際
に画素電極1cの不均一な形状に起因してコンタクトホール18aに多量のポリイミドが
流れ込んでしまうと考えられる。したがって、平坦化膜40aに凸部を設けることなく研
磨工程を行うのみであっても、カラーフィルタ30上の平坦化膜40aに研磨工程を行う
ことなく配向膜を形成する工程を行った場合に比べてポリイミドのコンタクトホール18
aへの流れ込む量は小さいと考えられるので、その分、より所望の膜厚の配向膜を形成す
ることが可能であると考えられる。すなわち、画像の表示ムラが発生するのを抑制するこ
とが可能であると考えられる。
【0054】
また、上記第2実施形態の参考例として、カラーフィルタ上に形成した平坦化膜に凸部
を設けることなく表面を研磨する例を示したが、上記第1実施形態のようにカラーフィル
タを形成しない場合においても、平坦化膜に凸部を設けることなく表面を研磨することの
みによってコンタクトホールに多量のポリイミドが流れ過ぎてしまうのを抑制することが
可能であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の画素部分の拡大図である。
【図3】図2の100a−100a線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による液晶表示装置を備えた電子機器について説明する図である。
【図9】本発明の第1実施形態による液晶表示装置を備えた電子機器について説明する図である。
【図10】図11の200a−200a線に沿った断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態による液晶表示装置の画素部分の拡大図である。
【図12】本発明の第2実施形態による液晶表示装置の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態による液晶表示装置の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図14】本発明の液晶表示装置の構成に伴う参考例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1c 画素電極(第1透明電極)
10 基板(第1基板)
18 平坦化膜(絶縁膜)
18a コンタクトホール
18b 凸部
19 配向膜(第1配向膜)
20 基板(第2基板)
21 配向膜(第2配向膜)
30 カラーフィルタ
40 平坦化膜(絶縁膜)
50 携帯電話(電子機器)
60 PC(電子機器)
100、200 液晶表示装置(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に形成され、コンタクトホールと前記コンタクトホールの周辺に形成さ
れた凸部とを有する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された第1配向膜とを備える、表示装置。
【請求項2】
前記凸部は、平面的にみて、前記コンタクトホールを取り囲むように形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記絶縁膜上に形成された第1透明電極をさらに備え、
前記第1配向膜は前記第1透明電極上に形成されており、
前記第1透明電極は、前記絶縁膜のコンタクトホールおよび凸部を覆うように形成され

前記第1配向膜は、前記第1透明電極上のうち前記絶縁膜の凸部が形成された領域以外
の領域を覆うように形成されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1基板に対向するように設けられた第2基板と、
前記第2基板の前記第1基板側に設けられた第2配向膜とをさらに備え、
前記凸部は、前記凸部の突出する方向の長さが前記第2配向膜の厚みと略同じまたはそ
れ以上の大きさになるように形成されている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1基板上に形成されたカラーフィルタをさらに備え、
前記カラーフィルタは厚みが不均一であるとともに、前記カラーフィルタ上に前記絶縁
膜が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記絶縁膜の前記凸部が形成されていない部分は平坦化されている、請求項1〜5のい
ずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記絶縁膜は、有機膜からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置を備えた電子機器。
【請求項9】
基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程と、
前記絶縁膜をエッチングすることにより、前記絶縁膜のコンタクトホール周辺に凸部を
形成する工程とを備えた、表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記凸部を形成する工程に先立って、前記絶縁膜を研磨することにより平坦化する工程
をさらに備える、請求項9に記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−258403(P2009−258403A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107532(P2008−107532)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】