説明

表示装置および検査装置

【課題】一つの照光板に複数色の表示色を選択的に表示させることができ、しかも箱体の側面からでも表示色を明瞭に認識できる表示装置を提供する。
【解決手段】箱体1の前面部2に配置され、前方に突出すると共に、後端が開口している中空で乳白色の照明板3と、箱体1の内部に配置された配線板上に取り付けられ、前記照明板の後端開口に略臨む領域に配置された照明用光源部とを有し、前記照明用光源部は、それぞれ色が異なる発光素子を対を成して近接配置したものを複数群設け、複数色の発光素子に対し、同色の発光素子を選択的に発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を収容した箱体の前面に設けた乳白色の照光面に複数色の照明光を選択的に表示させる表示装置およびこの表示装置を備えた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)からの光を受けて照光面を光らせる表示装置としては、照光面を平板状に形成したものが提案されている(特許文献1)。
【0003】
このような表示装置は、照光面をなす照光板を箱体の前面に位置させ、通常状態の表示用では照光板を白色あるいは青色、緑色に着色され、また警告状態の表示用では照光板を赤色に着色したものを使用している。
【特許文献1】特開平05−002902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の表示装置にあっては、照光板を平板状に形成しているため、表示状態を確認するには、表示装置の取り付けられている箱体を正面から見るのが最も明瞭に認識でき、真横からでは認識することができなかった。特に、色表示により検査結果の合否判定を表示する検査装置にあっては、判定結果を迅速に確認し、次の検査に着手することが望まれている。
【0005】
また、一枚の照光板からは一色の表示しかできないため、複数色の表示を行うには、表示色の分だけ照光板を必要としていた。
【0006】
本発明の目的は、このような観点に鑑み為されたもので、一つの照光面をなす照光板に複数色の表示色を選択的に表示させることができ、しかも箱体の側面からでも表示色を明瞭に認識できる表示装置およびこの表示装置を備えた検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を実現する表示装置の構成は、請求項1に記載のように、箱体の前面部に配置され、前方に突出すると共に、後端が開口している中空で乳白色の照明板と、前記箱体の内部に配置された配線板上に取り付けられ、前記照明板の後端開口に略臨む領域に配置された照明用光源部とを有し、前記照明用光源部は、それぞれ色が異なる発光素子の対を近接配置したものを複数群設け、複数色の発光素子に対し、同色の発光素子を選択的に発光させることを特徴とする。
【0008】
上記構成において、同色の発光素子を選択的に発光させる際、全ての発光素子を同時に発光させ、または点滅させることを特徴とする。
【0009】
本発明の目的を実現する検査装置の構成は、請求項3に記載のように、上記構成の表示装置を有し、トルクレンチからの信号に基づいて締結部品の締め付け合否判定を行い、判定結果を前記表示装置に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表示装置によれば、一つの表示板に対して複数色の表示を選択的に行え、しかも箱体の前面部から前方に突出している照明板はその前面が略一様に照明されるので、箱体の側面からも明瞭に照明板の照明色、照明状態を認識することができる。
【0011】
また、上記の引用文献1のように、発光素子と表示板とが一体化しておらず、表示板を箱体の前面部に配置し、発光素子を配線板に取り付けているので、表示装置がシンプルな構造とすることができる。
【0012】
一方、本発明の検査装置によれば、トルクレンチによりボルト等の締結部品が締付け忘れなく締め付けられているかを作業者の作業位置にかかわらず迅速に認識することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明による表示装置の外観斜視図、図2は図1の箱体内に収容された回路基板上の表示灯の平面図、図3は図1の側面図を示す。
【0015】
図1及び図3において、1は箱体で、前面部2は開閉できるようになっている。この前面部2には、先端部が丸く尖った球状型で内部が中空の乳白色に形成された照明板3が不図示のナット部材により取り付けられている。この照明板3は、箱体1の前面部2よりも前方に突出し、内周面には複数の円環部が同心円状に前後方向に沿って多段に形成され、この各円環部が導光手段として機能し、照明板3を全体的に照らし出すようになっている。
【0016】
この箱体1の内部には、図2に示すプリント配線板4が取り付けられており、プリント配線板4は、回路素子実装部5と、照明光源部6とを備えており、この照明光源部6は、照明板3の後端開口に対向する位置に配置されている。
【0017】
本実施の形態の照明用光源部6は、チップ型の赤色発光ダイオード(LED)6Rとチップ型の緑色発光ダイオード(LED)6Gとを対を成して近接配置し、この一対のLEDを4行2列に並べて構成されている。
【0018】
そして、回路素子実装部5の緑色LEDドライバ(不図示)が緑色LED6Gの発光を指示すると、全ての緑色LED6Gが発光する。全ての緑色LED6Gは、照明板3の後端開口に略臨む領域内に略配置されているので、各緑色LED6Gの発光光が照明板3内を一様に照明し、導光手段として機能する円環部を通して照明板3が全体的に略一様の輝度で青色に照明される。また、回路素子実装部5の赤色LEDドライバ(不図示)が赤色LED6Rの発光を指示すると、全ての赤色LED6Rが発光する。この場合も緑色LED6Gの全灯を点灯させた場合と同様に、照明板3が全体的に略一様の輝度で赤色に照明される。
【0019】
このように、対をなす緑色LED6Gと赤色LED6Rとを照明板3の後端開口に略臨む領域内に複数組配置することにより、一つの照明板3に赤色と緑色の表示を選択的に表示させることができるので、従来のように、各色毎に専用の表示を行う照明板を設ける必要がなくなり、制御ボックスなどとして用いられる箱体の前面に他のランプ類、スイッチ、表示器、端子類等をより多く実装することが可能となった。
【0020】
本実施の形態では、図3に示すように、照明板3は箱体1の前面部2よりも前方に突出し、しかも照明板3は全体が照明されるため、箱体1の前面からだけでなく、側方からも照明光を認識できる。ところで、このような形状の照明板3を2個並設し、一方を赤色、他方を緑色に照明するようにした場合、一方の側方からは片方の照明板しか見えないのに対し、本実施の形態では、表示色を示す手段である照明板3は1つだけ前面部2に配置されているので、どちらの側方からも照明板3を見ることができ、しかも緑色の表示であること及び赤色の表示であることを確認することができる。
【0021】
なお、回路素子実装部5の前記赤色LEDドライバおよび緑色ドライバは共に全ての赤色LED、緑色LEDを同時に連続点灯させるようにしているが、点滅表示させることもできる。また例えば赤色LEDを点滅表示させることにより、緑色と赤色との識別が困難な盲障害者も赤色であることを認識することができる。
【0022】
このような表示装置は、機器類の制御盤に使用することができ、また例えば自動車の製造ラインにおいて、ボルトの締め付けをチェックする検査装置として使用される。
【0023】
検査装置として使用する場合としては、ボルトを設定したトルク値で締め付けを行うトルクレンチと有線または無線により接続され、所定の締め付けトルクでの締付が行われるとトルクレンチからON信号が出力されるので、当該ボルトは適正トルクで締め付けられたと判定し、合格判定を示す緑色表示を行う。一つの部位、例えば自動車のドアに対して締め付けるべきボルト数は決められているので、一つのボルトの締付が行われると、図1に示す表示器7には設定ボルト本数の数値が一本ずつ減らされる。そして、所定時間内にトルクレンチからON信号が入らない場合には、締め付け忘れがあるとして、警告のために赤色表示を行わせる。このような自動車製造ラインにおいて、作業者は検査装置を正面からではなく、側面方向から見ることが多いため、従来では合否判定の確認に手間取ったりすることがあるが、本実施の形態では、作業位置から明瞭に合否判定を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の表示装置をボルトの締め付けをチェックする検査装置に適用した実施の形態を示す外観斜視図。
【図2】図1の箱体内に収容された回路基板上の表示灯の平面図。
【図3】図1の側面図。
【符号の説明】
【0025】
1 箱体
2 前面部
3 照明板
4 プリント配線板
5 回路素子実装部
6 照明光源部
6G 緑色発光ダイオード(LED)
6R 赤色発光ダイオード(LED)
7 表示器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の前面部に配置され、前方に突出すると共に、後端が開口している中空で乳白色の照明板と、前記箱体の内部に配置された配線板上に取り付けられ、前記照明板の後端開口に略臨む領域に配置された照明用光源部とを有し、前記照明用光源部は、それぞれ色が異なる発光素子の対を近接配置したものを複数群設け、複数色の発光素子に対し、同色の発光素子を選択的に発光させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
同色の発光素子を選択的に発光させる際、全ての発光素子を同時に発光させ、または点滅させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示装置を有し、トルクレンチからの信号に基づいて締結部品の締め付け合否判定を行い、判定結果を前記表示装置に表示させることを特徴とする検査装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−114310(P2007−114310A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303460(P2005−303460)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000151690)株式会社東日製作所 (47)
【Fターム(参考)】