説明

表示装置および表示装置の故障検出方法

【課題】表示ムラや表示速度の低下の発生を防止し、耐久性の高い表示装置および表示装置の故障検出方法を提供すること。
【解決手段】ED素子のコモン電極に流れる電流値を測定することで、コモン電極と画素電極との間がショートした画素を検出し、以後、ショートした画素への表示を禁止することで、表示ムラや表示速度の低下の発生を防止し、耐久性の高い表示装置および表示装置の故障検出方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の故障検出方法に関し、特に電気化学表示素子を用いた表示装置および表示装置の故障検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化等に伴い、従来は紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、閲覧する機会が益々増大している。
【0003】
このような電子情報の閲覧手段としては、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型ディスプレイが主として用いられているが、特に閲覧する電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたって閲覧手段である発光型ディスプレイを注視する必要がある。
【0004】
しかし、一般に、発光型ディスプレイには、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便で読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる等の欠点があり、電子情報を発光型ディスプレイで閲覧することは必ずしも人間に優しい方法とは言えない。さらに、発光型ディスプレイでは、長時間使用すると消費電力が嵩む等の欠点もある。
【0005】
一方、上述した欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しないメモリー性反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
【0006】
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い駆動電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は駆動電圧が高いことと、メモリー性を向上させるために複雑な回路が必要である等の課題を抱えている。
【0007】
また、電気泳動法による表示素子も、10V以上の高い駆動電圧が必要であり、電気泳動性粒子凝集による画質劣化が起こりやすい。電気泳動性粒子を一定量で小分けする隔壁構造にすることで凝集を低減できるが、セル構成・プロセスが複雑になり、安定した製造が難しい。
【0008】
そこで、これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション(以下、EDと言う)方式の表示素子(電気化学表示素子;以下、ED素子と言う)が注目されている。ED方式は、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成や、明るいペーパーライクな白と引き締まった黒という優れた表示品位等の特長を持っている。
【0009】
詳細は図7で後述するが、ED素子17は、駆動基板上に設けられた画素電極とコモン基板の下に設けられたコモン電極とで、電解液に金属または金属塩のイオンが溶解された電解液層を挟み込んだ構造をしており、画素電極とコモン電極との間に印加する電圧を制御することで、金属または金属塩の溶解および析出を行わせて表示を行うものである。
【0010】
表示の濃度制御は、金属または金属塩の析出量を制御することで行われる。制御方式としては、印加する電圧を変化させたり、一定の電圧を印加する印加時間を変化させたりすることが考えられる。
【0011】
例えば、特許文献1には、画素回路が金属を析出させるための析出電圧を画素電極に印加する時間を制御して階調表示を行う方法や、析出電圧を多段階に変化させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3985667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したED素子を用いて表示装置を構成する場合、ED素子の耐久性、信頼性が強く求められる。しかし、ED素子の場合、製造上の問題や性能上の問題等により、コモン電極と画素電極との間がショートしてしまう不具合が発生することがある。この場合、ショート部分に正常時より多くの電流が流れることで、他の正常な電極への電流が少なくなって表示ムラが発生したり、表示速度が低下したりする問題が生じる。表示ムラが続くと、ひいては表示制御ができなくなり、表示装置の耐久性を下げることとなる。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、表示ムラや表示速度の低下の発生を防止し、耐久性の高い表示装置および表示装置の故障検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0016】
1.複数の画素で構成され、全ての画素に共通のコモン電極と、複数の前記画素毎に備えられた画素電極との間に電圧を印加することで、金属を析出あるいはイオン化させて画像を表示する電気化学表示素子からなる表示パネルと、
前記表示パネルの表示を制御する表示制御部とを備えた表示装置において、
前記表示制御部は、
前記画素の故障を検出するための故障検出用電圧を前記コモン電極に印加する故障検出用電圧印加回路と、
前記故障検出用電圧が前記コモン電極に印加されている状態で、前記コモン電極に流れる電流値を測定する電流検知回路と、
前記電流検知回路で測定された前記コモン電極に流れる電流値から前記画素の故障を検出する故障検出部と、
前記故障検出部によって故障が検出された前記画素への以降の表示を禁止する表示コントローラとを備えたことを特徴とする表示装置。
【0017】
2.前記故障検出用電圧は、前記画素を白表示にした後に、前記画素を黒表示にする電圧であり、
前記電流検知回路は、前記画素が黒表示にされた時の電流値を測定することを特徴とする前記1に記載の表示装置。
【0018】
3.前記電流検知回路は、前記コモン電極に流れる電流値を測定する場合にのみ、前記コモン電極と前記故障検出用電圧印加回路との間に直列に接続され、その他の場合には前記コモン電極および前記故障検出用電圧印加回路から切り離されていることを特徴とする前記1または2に記載の表示装置。
【0019】
4.前記表示コントローラは、複数の前記画素の内の所定の1画素のみに前記故障検出用電圧が印加されるように表示を制御することを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【0020】
5.前記表示パネルの表示の変更を指示するための操作部を有し、
前記故障検出部は、前記操作部による前記表示パネルの表示の変更の指示がない場合に、前記画素の故障を検出することを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【0021】
6.前記故障検出部は、前記表示装置の電源の投入回数をカウントし、電源が所定回数投入される毎に前記画素の故障を検出することを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【0022】
7.前記故障検出部は、前記表示パネルの表示の変更の回数をカウントし、前記表示パネルの表示が所定回数変更される毎に前記画素の故障を検出することを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【0023】
8.前記故障検出部は、前記表示装置が備える充電池の充電中、あるいは前記表示装置に外部から電源が供給されている場合に、前記画素の故障を検出することを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【0024】
9.複数の画素で構成され、全ての画素に共通のコモン電極と、複数の前記画素毎に備えられた画素電極との間に電圧を印加することで、金属を析出あるいはイオン化させて画像を表示する電気化学表示素子からなる表示パネルと、
前記表示パネルの表示を制御する表示制御部とを備えた表示装置の故障検出方法であって、
前記画素の故障を検出するための故障検出用電圧を前記コモン電極に印加する故障検出用電圧印加工程と、
前記故障検出用電圧が前記コモン電極に印加されている状態で、前記コモン電極に流れる電流値を測定する画素電流測定工程と、
前記画素電流測定工程で測定された前記コモン電極に流れる電流値から前記画素の故障を検出する故障検出工程と、
前記故障検出工程によって故障が検出された前記画素への以降の表示を禁止する表示禁止工程とを備えたことを特徴とする表示装置の故障検出方法。
【0025】
10.前記表示制御部は、前記故障検出用電圧を前記コモン電極に印加する故障検出用電圧印加回路を有し、
前記表示パネルの表示の変更の指示の有無を判定する表示変更指示判定工程と、
前記表示変更指示判定工程で、前記表示パネルへの表示の変更の指示がないと判定された場合に、前記コモン電極と前記故障検出用電圧印加回路との間に直列に電流検知回路を接続する電流検知回路接続工程と、
前記故障検出用電圧印加工程を構成する、前記画素を白表示にする白表示工程と、白表示された前記画素を黒表示にする黒表示工程と、
前記画素電流測定工程と、
前記故障検出工程と、
前記表示禁止工程とを、
複数の前記画素の全てについて、1画素づつ、上述した順に実行することを特徴とする前記9に記載の表示装置の故障検出方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ED素子のコモン電極に流れる電流値を測定することで、コモン電極と画素電極との間がショートした画素を検出し、以後、ショートした画素への表示を禁止することで、表示ムラや表示速度の低下の発生を防止し、耐久性の高い表示装置および表示装置の故障検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明における表示装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】表示パネルの構成の一例を示す模式図である。
【図3】表示パネルの画素の構成の一例を示す模式図である。
【図4】表示パネルの駆動方法の一例を示す模式図である。
【図5】表示パネルの故障検出方法の実施の形態を示すフローチャートである。
【図6】表示パネルの故障検出方法の実施の形態を示すタイミングチャートである。
【図7】電気化学表示素子の表示原理を説明するための模式図である。
【図8】電気化学表示素子の駆動電圧、電流と表示濃度の関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。なお、図中、同一あるいは同等の部分には同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0029】
最初に、ED素子の表示原理について、図7を用いて説明する。図7は、ED素子の表示原理を説明するための断面模式図で、図7(a)は黒表示を行う場合、図7(b)は白表示を行う場合を示してある。なお、ここでは、ED素子17は2つの画素11aと11bとで構成されているとする。
【0030】
図7(a)および(b)において、ED素子17は、駆動基板101上に設けられた画素11aの画素電極111aおよび画素11bの画素電極111bと、コモン基板103の下に設けられたコモン電極113とで、電解液123に例えば銀イオン125が溶解された電解液層121を挟み込んだ構造をしている。
【0031】
表示素子としての観察はコモン電極113の側から見るため、コモン電極113には、通常はITO(酸化インジウムスズ)電極等の透明電極が用いられる。画素電極111aおよび111bには、通常は化学的に安定な金属が使われ、例えば銀電極が用いられる。
【0032】
図7(a)において、スイッチSW1が閉じられると、コモン電極113のコモン電圧Vcomとして、画素電極111aに対して閾値以上の負の電圧−Vbが印加され、コモン電極113から電子が注入されてコモン電流Icomが流れ、コモン電極113の画素電極111aに対向する位置に、銀イオン125が還元された銀の層127が析出される。これをコモン電極113側から見ると、銀の層127が析出した部分が黒く見える。この時、スイッチSW2はオフであるので、コモン電極113と画素電極111bとの間には電圧は印加されず、銀の層127の析出はない。この負の電圧−Vbを析出電圧と呼ぶ。
【0033】
図7(b)において、同様に、コモン電極113のコモン電圧Vcomとして、画素電極111aに対して閾値以上の正の電圧Vwが印加されると、コモン電極113の画素電極111aに対向する位置に析出された銀の層127が酸化されて銀イオン125になり、電解液123の内部に分散される。この時、スイッチSW2はオフであるので、コモン電極113と画素電極111bとの間には電圧は印加されない。
【0034】
銀の層127が銀イオン125に変化した状態は、コモン電極113側から見ると透明であるため、電解液123を白く着色しておく、あるいは画素電極の上に拡散層を設ける等により、白く見える。このようにして白と黒の表示を切り替えることができる。上述したED素子の画素11aおよび11bを駆動基板101上に二次元マトリクス状に配置することで、二次元ディスプレイを構成することができる。
【0035】
図7では、スイッチSW1およびSW2を用いてED素子17の画素11aおよび11bに電圧を印加するとしたが、通常は、スイッチとして1画素当たり2個のTFT(薄膜トランジスタ)を用いて電圧を印加する。詳細は、図2で後述する。
【0036】
次に、析出電圧を画素電極に印加する時間を制御して階調表示を行う方法について、図8を用いて説明する。図8は、ED素子の駆動電圧、電流と表示濃度の関係を示す模式図である。
【0037】
図8において、コモン電極113のコモン電圧Vcomとして、負の析出電圧−Vbが印加されると、コモン電流Icomが画素電極111aからコモン電極113に向かって流れ、コモン電極113の画素電極111aに対向する位置に、銀の層127が析出される。析出された銀の層127をコモン電極113の側から見ると、画素11aの表示の濃度Dは、電圧−Vbの印加時間tpが長くなるに従って、白表示Wから灰表示G、黒表示Bへと濃く変化していく。
【0038】
従って、電圧−Vbの印加時間tpを、灰表示Gまでの時間tgあるいは黒表示Bまでの時間tbに制御することで、白、灰、黒の3値表示が可能となる。そして、濃度D即ち電圧−Vbの印加時間tpをさらに細かく分割することで、3値以上の多値表示も可能である。
【0039】
次に、本発明における表示装置の構成の一例を、図1を用いて説明する。図1は、本発明における表示装置の構成の一例を示す模式図で、図1(a)は表示装置の外観図、図1(b)は内部ブロック図である。
【0040】
図1(a)において、表示装置1は、その表面に、ED素子からなる表示パネル10を備えている。また、表示装置1は、同じくその表面に、電源釦51、表示パネル10に表示される情報を操作するための進む釦52および戻る釦53を備えている。電源釦51、進む釦52および戻る釦53は、操作部5を構成している。さらに、表示装置1は、その側面に、内蔵する充電池71を充電するための充電用コネクタ72を備えている。
【0041】
図1(b)において、表示装置1は、表示制御部2、電源部7、表示パネル10等で構成されており、表示制御部2は、CPU3、表示コントローラ4、コモン電圧駆動回路41、スイッチSw、操作部5、記憶部6、電流検知回路8等で構成されている。各部は、バス9を介して、あるいは直接に接続されている。
【0042】
CPU3は、記憶部6のROMに記憶されたプログラムを、記憶部6のRAM上に展開し、プログラムに従って、表示コントローラ4を介した表示パネル10への表示動作や、電流検知回路8を介した表示パネル10の故障検出動作等の表示装置1の各動作を制御する。ここに、CPU3は、後述するコモン電極に流れる電流値から画素の故障を検出する故障検出部として機能する。
【0043】
表示コントローラ4は、CPU3の制御下で、記憶部6に記憶された表示データを表示パネル10に表示するための行選択信号Gおよび列選択信号Sを表示パネル10に供給する。また、コモン電圧駆動回路41を制御して、表示パネル10のコモン電極113にコモン電圧Vcomを供給する。ここに、コモン電圧駆動回路41は、画素の故障を検出する際に、故障検出用電圧をコモン電極に印加する故障検出用電圧印加回路として機能する。
【0044】
操作部5は、上述したように、電源釦51、進む釦52および戻る釦53等の操作部材で構成される。上述した各操作部材はCPU3に接続されており、表示パネル10への表示動作等の表示装置1の各動作を操作する。
【0045】
記憶部6は、プログラムを記憶するROM、プログラムを展開するRAM、表示データを記憶するフレームメモリ等の記憶手段で構成され、CPU3や表示コントローラ4の動作に寄与する。
【0046】
電流検知回路8は、CPU3によって制御される常時閉のスイッチSwが開にされることで、コモン電圧駆動回路41と表示パネル10のコモン電極113との間に直列に接続され、表示パネル10に流れる電流値Ipを測定する。測定された電流値Ipから、表示パネル10の各画素の故障が検出される。
【0047】
電源部7は、表示装置1の各部に電源を供給するとともに、後述する表示パネル10の各画素に供給される画素電圧Vddを、表示パネル10に供給する。また、電源部7には、充電用コネクタ72を介して、例えば図示しないACアダプタ等の外部電源が接続され、外部電源によって、表示装置1に内蔵される充電池71の充電、あるいは表示装置1の各部への電源供給や表示パネル10への画素電圧Vddの供給が行われる。
【0048】
表示パネル10は、ED素子と周辺回路等とで構成され、表示コントローラ4から供給される行選択信号Gおよび列選択信号S、コモン電圧駆動回路41から供給されるコモン電圧Vcom、電源部7から供給される画素電圧Vdd等により、記憶部6に記憶された表示データを表示する。表示装置1の電源の投入、切断、表示パネルへの表示の開始、終了、表示の変更等は、ユーザによる操作部5の操作に従って行われる。
【0049】
次に、表示パネル10の構成について、図2を用いて説明する。図2は、表示パネル10の構成を示す模式図である。ここでは、図の表示パネル10の横方向の画素11の並びを行、縦方向の画素11の並びを列として、3行×3列=9個の画素11からなる表示パネル10を例示するが、これに限るものではなく、必要に応じて行および列方向に拡張すればよい。そして、9個の画素11について、m行n列の画素をPmnと呼ぶこととする。例えば1行1列の画素11はP11、3行2列の画素11はP32である。
【0050】
図2において、表示パネル10は、9個の画素11、ソースドライバ21、ゲートドライバ31等で構成される。9個の画素11は、それぞれ、選択トランジスタ13と駆動トランジスタ15との2個のTFTおよびED素子17等で構成される。
【0051】
ソースドライバ21は、表示コントローラ4から供給される列選択信号Sに従って、表示パネル10の各列毎に選択トランジスタ13のソースに供給されるソース信号S1、S2およびS3を出力する。ゲートドライバ31は、表示コントローラ4から供給される行選択信号Gに従って、表示パネル10の各行毎に選択トランジスタ13のゲートに供給されるゲート信号G1、G2およびG3を出力する。選択トランジスタ13のドレインは、駆動トランジスタ15のゲートに接続され、駆動トランジスタのオンオフを制御する。
【0052】
ゲートドライバ31によってゲート信号G1〜G3の何れか1本が順次選択されて、選択された行の全ての選択トランジスタ13がオンされた状態で、ソースドライバ21によってソース信号S1〜S3の何れかに信号が供給される。これを繰り返すことによって、表示パネル10の1行目から3行目までを走査しながら駆動トランジスタのオンオフを制御して、表示を行うことができる。
【0053】
駆動トランジスタ15のソースは共通の画素電圧Vddに接続されており、駆動トランジスタ15のドレインは、それぞれの画素11のED素子17の画素電極111に接続されている。ED素子17のコモン電極113は共通のコモン電位Vcomに接続されている。
【0054】
共通の画素電圧Vddと共通のコモン電圧Vcomとの間に印加する電圧を制御することで、各画素11のED素子17に白表示あるいは黒表示を行わせることができる。この2トランジスタ方式はアクティブマトリクス方式と呼ばれ、有機EL表示装置等で一般的に使われている方式である。
【0055】
次に、上述した画素11の構成について、図3を用いて説明する。図3は、画素11の構成を説明するための模式図で、図3(a)は画素11の回路構成を示す回路図、図3(b)は画素11の構成を示す断面図である。
【0056】
図3(a)において、ここでは、図2の1行1列の画素P11を代表例として示してある。画素P11の回路構成は、図2に示した回路構成と同じである。共通の画素電圧Vddと共通のコモン電圧Vcomとの間に印加する電圧をVin、駆動トランジスタ15のドレイン−ソース間電圧をVds、ED素子17の画素電極111−コモン電極113間電圧をVedとする。
【0057】
ゲート信号G1とソース信号S1とがともにオンされると選択トランジスタ13のドレイン即ち駆動トランジスタ15のゲートはオンされ、駆動トランジスタ15がオンされる。駆動トランジスタ15のゲートは、寄生容量によってオン状態が保持される。駆動トランジスタ15がオフされるのは、次にソース信号S1がオフの状態でゲート信号G1がオンされて、選択トランジスタ13のドレイン即ち駆動トランジスタ15のゲートがオフされた時である。
【0058】
図3(b)において、画素11は、選択トランジスタ13と駆動トランジスタ15の2個のTFTおよびED素子17等で構成される。まず、TFTの構成であるが、駆動基板101の上にゲート電極GE1、GE2が形成され、その上に、ゲート絶縁層115、半導体層SC1、SC2、ソース電極SO1、SO2およびドレイン電極D1、D2が順に形成されている。ドレイン電極D1とゲート電極GE2とは、ゲート絶縁層115に設けられたスルーホールによって接続されている。
【0059】
一方、ED素子17は、駆動基板101の上に形成されたTFTの上に成膜された平坦化膜117の上に各画素11毎に設けられた画素電極111と、コモン基板103の下に全画素に共通に一体に設けられたコモン電極113とで、電解液123に例えば図示しない銀イオン125が溶解された電解液層121を挟み込んだ構造である。
【0060】
画素電極111と駆動トランジスタ15のドレインD2とは、平坦化膜117に設けられたスルーホールにより接続されている。表示パネル10の端部は、シールパターン105で駆動基板101とコモン基板103とが接続されて封止されている。
【0061】
続いて、上述した表示パネル10の駆動方法の一例について、図4を用いて説明する。図4は、表示パネル10の駆動方法の一例を示す模式図で、図4(a)は表示の例を、図4(b)は各部の信号を示すタイミングチャートである。
【0062】
図4(a)において、ここでは、図8に示した白、灰、黒の3値の表示を例にとって説明する。例として、図2の画素P11、P22、P33に黒、画素P12、P23、P31に灰、画素P13、P21、P32に白の表示を行うとする。
【0063】
図4(b)において、最初に全画素を白表示Wにする初期化が行われる。スイッチSwが閉の状態で、コモン電圧駆動回路41によって、コモン電極113のコモン電圧Vcomが、画素電圧Vddに対して正の電圧Vwに設定される。次に、ゲートドライバ31によって、ゲート信号G1がパルス幅t1でオン、オフされ、続いてゲート信号G2およびG3が順次パルス幅t1でオン、オフされる。ゲート信号G1からG3がオン、オフされている間、ソースドライバ21によって、ソース信号S1、S2、S3は全てオンされている。
【0064】
時間tw経過後、再度ゲート信号G1からG3が順次パルス幅t1でオン、オフされる。この時、ソース信号S1からS3は全てオフである。ゲート信号G3オフ後、コモン電圧Vcomが、画素電圧Vddと同電圧に戻される。これによって、全画素のED素子17のコモン電極113に、時間twの間、画素電極111に対して正の電圧Vedwが印加され、コモン電極113側に析出していた銀の層127が酸化されて銀イオン125となり、電解液123の内部に分散し、全画素が白表示Wとなる。
【0065】
例として、画素P11、画素P23および画素P32の各々のコモン電極113−画素電極111間電圧VP11、VP23およびVP32と、表示濃度DP11、DP23およびDP32とを図示してある。電圧Vwおよび時間twは、黒表示の画素が白表示Wとなるように適宜決定されればよい。
【0066】
次に、黒表示Bあるいは灰表示Gを行う方法について述べる。まず、コモン電圧Vcomが画素電圧Vddに対して−Vbの負の電圧にされる。次に、ゲート信号G1が、パルス幅t1でオン、オフされることで、1行目の画素の選択トランジスタ13がオン、オフされる。
【0067】
1行目の画素の選択トランジスタ13がオンされた状態でソース信号S1およびS2がオンにされることで、画素P11およびP12の駆動トランジスタ15がオンされる。これによって、画素P11およびP12のED素子17のコモン電極113に、画素電極111に対して負の電圧−Vedbが印加され、コモン電極113側に銀の層127の析出が開始される。
【0068】
次に、ゲート信号G2が、パルス幅t1でオン、オフされることで、2行目の画素の選択トランジスタ13がオン、オフされる。2行目の画素の選択トランジスタ13がオンされた状態でソース信号S2およびS3がオンにされることで、画素P22およびP23のED素子17に負の電圧−Vedbが印加され、銀の層127の析出が開始される。
【0069】
次に、ゲート信号G3が、パルス幅t1でオン、オフされることで、3行目の画素の選択トランジスタ13がオン、オフされる。3行目の画素の選択トランジスタ13がオンされた状態でソース信号S1およびS3がオンにされて、画素P31およびP33のED素子17に負の電圧−Vedbが印加され、銀の層127の析出が開始される。
【0070】
同様にして、ゲート信号G1、G2、G3がパルス幅t1で順次オン、オフされるサイクルが繰り返される。ここでは、上述したサイクルを3サイクル繰り返すことで灰表示Gが、8サイクル繰り返すことで黒表示Bが達成されるとする。
【0071】
従って、図示した黒表示Bを行う画素P11では、ゲート信号G1がパルス幅t1でオン、オフされるサイクルが8サイクル繰り返された後、ソース信号S1がオフのままでゲート信号G1がオンされることで、画素P11の駆動トランジスタ15がオフされ、銀の層127の析出が停止される。同じく黒表示Bを行う画素P22、P33でも同様である。ゲート信号G3が最後にオフされた後、コモン電圧Vcomが画素電圧Vddと同電圧に戻される。
【0072】
また、図示した灰表示Gを行う画素P23では、ゲート信号G2がパルス幅t1でオン、オフされるサイクルが3サイクル繰り返された後、ソース信号S3がオフのままでゲート信号G2がオンされることで、画素P23の駆動トランジスタ15がオフされ、銀の層127の析出が停止される。同じく灰表示Gを行う画素P12、P31でも同じである。
【0073】
なお、図示した白表示Wを行う画素P32では、全画素を白表示Wにする初期化が行われた後は、信号の変化はなく、白表示Wの状態が保たれる。同じく白表示Wを行う画素P13、P21でも同じである。
【0074】
次に、本発明における表示パネルの故障検出方法の実施の形態について、図5および図6を用いて説明する。図5は、表示パネル10の故障検出方法の実施の形態を示すフローチャートである。
【0075】
図5において、ステップS101で、画素11のアドレスを示す行パラメータjと列パラメータkとが、j=k=1に初期化される。ここでは、表示パネル10はm行n列(m、nは正の整数)のED素子の画素11で構成されているとする。
【0076】
ステップS111で、列パラメータkが(n+1)に等しいか否か、即ち画素11の最終列であるn列を越えたか否かが確認される。等しい場合(ステップS111;Yes)、ステップS171に進む。
【0077】
等しくない場合(ステップS111;No)、ステップS121(表示変更指示判定工程)で、ユーザによって操作部5の進む釦52あるいは戻る釦53が押されることで、表示パネル10の表示の変更が指示されたか否かが確認される。指示された場合(ステップS121;Yes)、ステップS141に進む。
【0078】
指示されなかった場合(ステップS121;No)、ステップS122で、ステップS123以降の故障検出動作が行われる前の画素Pjkの状態、即ち現在画素Pjkに表示されている濃度Dが記憶される。ステップS123で、CPU3によってスイッチSwが開にされることで、電流検知回路8が表示パネル10のコモン電極113とコモン電圧駆動回路41との間に直列に接続される。
【0079】
ステップS124(白表示工程)で、画素Pjkが白表示Wにされ、続いてステップS125(黒表示工程)で、画素Pjkが黒表示Bにされる。ここに、ステップS124(白表示工程)およびステップS125(黒表示工程)は、画素の故障を検出するための故障検出用電圧をコモン電極に印加する故障検出用電圧印加工程を構成する。
【0080】
ステップS126で、所定時間tだけ待機した後、ステップS127(画素電流測定工程)で、CPU3からの電流測定信号CIに同期して、電流検知回路8によって、画素Pjkに流れる電流Ijkが測定される。
【0081】
ステップS128で、CPU3によってスイッチSwが閉にされることで、ステップS123で接続された電流検知回路8が表示パネル10のコモン電極113およびコモン電圧駆動回路41から切り離される。
【0082】
ステップS131(故障検出工程)で、CPU3によって、画素Pjkに流れる電流Ijkが所定の電流値Ithよりも大きいまたは等しいか否かが確認される。小さい場合(ステップS131;No)、画素Pjkは正常であると判断されて、ステップS132で、画素Pjkの表示が、ステップS122で記憶された故障検出動作が行われる前の状態に復帰され、ステップS134に進む。
【0083】
大きいまたは等しい場合(ステップS131;Yes)、画素Pjkに故障があると判断されて、ステップS133(表示禁止工程)で、記憶部6に故障画素Pjkのアドレス(j,k)が記憶されるとともに、CPU3から表示コントローラ4に向けて、以降の画素Pjkへの表示禁止信号Dejkが出力される。
【0084】
表示コントローラ4は、表示禁止信号Dejkを受信すると、以降の表示制御において、画素Pjkへの表示動作を行わない。具体的には、ゲート信号Gjがオンされるタイミングで、ソース信号Skをオフにする。表示禁止信号Dejkの送受信の代わりに、故障画素Pjkのアドレス(j,k)の送受信、あるいは故障画素を除いた表示許容画素のアドレスや、表示許容画素に対する表示許容信号の送受信を行ってもよい。
【0085】
画素Pjkに故障があると判断された場合には、ステップS132で、故障した画素Pjkの濃度を故障検出動作が行われる前の濃度Dに戻すことで、画素Pjkに不要な電流が印加され、周辺の画素の表示に影響を与える可能性があるので、ステップS132は経由せずに、ステップS134に進む。
【0086】
ステップS134で、列パラメータkに1が加算され、ステップS111に戻り、以後、上述した各ステップが繰り返される。
【0087】
ステップS121で表示パネル10の表示の変更が指示された場合(ステップS121;Yes)、ステップS141で、CPU3によってスイッチSwが閉にされることで、ステップS123で接続された電流検知回路8が表示パネル10のコモン電極113およびコモン電圧駆動回路41から切り離される。ステップS123およびS141は、本発明における電流検知回路接続工程である。
【0088】
ステップS142で、現在の画素Pjkのアドレス(j,k)が記憶され、ステップS150「表示変更サブルーチン」が実行される。
【0089】
ステップS150「表示変更サブルーチン」は、例えば図4に示した方法により、ユーザの指示に従って表示装置1の表示パネル10の表示を更新するサブルーチンであるが、本発明とは直接関係しないので、説明は省略する。
【0090】
ステップS150「表示変更サブルーチン」から復帰してステップS161およびS162に進み、列パラメータkと行パラメータjとが、ステップS142で記憶された画素Pjkのアドレス(j,k)に設定され、ステップS111に戻り、以後、上述した各ステップが繰り返される。
【0091】
ステップS111で列パラメータkが(n+1)に等しい場合(ステップS111;Yes)、ステップS171で、行パラメータjが(m+1)に等しいか否か、即ち画素11の最終行であるm行を越えたか否かが確認される。等しい場合(ステップS171;Yes)、表示パネル10の全画素の故障検出が完了したとして、動作が終了される。
【0092】
等しくない場合(ステップS171;No)、ステップS172で列パラメータkが1に戻され、ステップS173で行パラメータjに1が加算されて、ステップS111に戻り、以後、次の行の先頭列の画素Pjkに対して、故障検出動作が行われ、上述した各ステップが繰り返される。以上が、表示パネル10の故障検出方法の実施の形態の説明である。
【0093】
図6は、図5の故障検出方法の実施の形態を示すタイミングチャートにおけるステップS123からS132の動作を示すタイミングチャートである。
【0094】
図6において、故障検出動作が行われる前に、画素Pjkの状態、即ち現在画素Pjkに表示されている濃度Dが記憶される(ステップS122)。
【0095】
次に、CPU3によってスイッチSwが開(OFF)にされることで、電流検知回路8が表示パネル10のコモン電極113とコモン電圧駆動回路41との間に直列に接続される(ステップS123)。
【0096】
続いて、コモン電圧駆動回路41によって、コモン電極113のコモン電圧Vcomが、画素電圧Vddに対して正の電圧Vwに設定される。次に、ゲートドライバ31によって、ゲート信号Gjがパルス幅t1でオン、オフされ、同時に、ソースドライバ21によって、ソース信号Skがパルス幅t1でオン、オフされる。
【0097】
時間tw経過後、再度ゲート信号Gjがパルス幅t1でオン、オフされる。この時、ソース信号Skはオフのままである。ゲート信号Gjオフ後、コモン電圧Vcomが、画素電圧Vddと同電圧に戻される。これによって、画素PjkのED素子17のコモン電極113に、時間twの間、画素電極111に対して正の電圧Vedwが印加され、コモン電極113側に析出していた銀の層127が酸化されて銀イオン125となり、電解液123の内部に分散し、画素Pjkが白表示Wとなる(ステップS124)。
【0098】
続いて、コモン電圧Vcomが画素電圧Vddに対して−Vbの負の電圧にされる。次に、ゲート信号Gjとソース信号Skとが、同時にパルス幅t1でオン、オフされることで、画素Pjkの駆動トランジスタ15がオンされて、画素PjkのED素子17のコモン電極113に、画素電極111に対して負の電圧−Vedbが印加され、コモン電極113側に銀の層127の析出が開始される。
【0099】
時間tb経過後、再度ゲート信号Gjがパルス幅t1でオン、オフされる。この時、ソース信号Skはオフのままである。ゲート信号Gjオフ後、コモン電圧Vcomが、画素電圧Vddと同電圧に戻される。これによって、画素PjkのED素子17のコモン電極113に、時間tbの間、画素電極111に対して負の電圧−Vedbが印加され、コモン電極113側に銀の層127が析出されて、画素Pjkが黒表示Bとなる(ステップS125)。
【0100】
時間tbよりも短い時間t待機後(ステップS126)、CPU3から電流測定信号CIが出力され、電流測定信号CIに同期して、電流検知回路8によって、画素Pjkに流れる電流Ijkが測定される(ステップS127)。時間tの間待機することによって、黒表示B時の画素Pjkに流れる電流Ijkが、安定した状態で測定される。
【0101】
次に、CPU3によってスイッチSwが閉(ON)に戻されることで、電流検知回路8が表示パネル10のコモン電極113およびコモン電圧駆動回路41から切り離される(ステップS128)。ただし、ここで電流検知回路8を切り離すのは必須ではなく、全画素の故障検出が完了するまで、あるいは、ユーザによって表示変更の指示が行われるまで、開(OFF)のままであってもよい。この状態を、図6に破線で示す。
【0102】
測定された電流Ijkは、CPU3によって、所定の電流値Ithと比較され(ステップS131)、比較結果から画素Pjkに故障があるか否かが判断される。図6に図示した例では画素Pjkは正常であるので、画素Pjkへの表示禁止信号Dejkは出力されないが、もし故障があった場合は、図6に破線で示したように、表示禁止信号Dejkが出力される。
【0103】
続いて、図6に図示した例では画素Pjkは正常であるので、画素Pjkの表示が、故障検出動作が行われる前の状態に復帰される(ステップS132)。復帰の方法は、図4に示したと同じ方法であり、画素Pjkの表示の濃度Dが、故障検出動作が行われる前に記憶された濃度Dになるように、画素Pjkが一度白表示Wにされた後に、ゲート信号Gjとソース信号Skとが、同時にパルス幅t1で必要なパルス数だけオン、オフされることで行われる。
【0104】
図6の例では、画素Pjkの故障検出動作が行われる前の濃度Dは、灰表示Gと黒表示Bとの中間の濃度であったので、故障検出動作終了後には同じ濃度Dに復帰されている。
【0105】
上述したように、本発明の表示パネルの故障検出方法の実施の形態によれば、ED素子の1画素だけを黒表示にした状態で、コモン電極に流れる電流値を測定することで、コモン電極と画素電極との間がショートした箇所を画素単位で検出し、以後、ショートした画素への表示を禁止することで、表示ムラや表示速度の低下の発生を防止し、耐久性の高い表示装置および表示装置の故障検出方法を提供することができる。
【0106】
上述した実施の形態では、ユーザによって表示パネル10の表示の変更が指示されていない場合に、画素Pjkの故障検出動作を行うとした。これによって、表示の変更中に故障検出動作が行われて、表示の見栄えが悪くなることを防止することができる。しかし、故障検出動作を行うタイミングはこれに限るものではない。
【0107】
例えば表示装置1の電源釦51がオンされた回数あるいは進む釦52または戻る釦53が操作された回数をカウントしておき、電源が所定回数投入される毎にあるいは、進む釦52または戻る釦53が所定回数操作される毎に故障検出動作を行ってもよい。これによって、表示装置1が使用されることによる経時的な故障を、定期的に検出することができる。
【0108】
さらに、例えばACアダプタ等の外部電源によって表示装置1が備えている充電池71が充電されている間、あるいは外部電源によって表示装置1の各部への電源供給が行われている場合に、画素Pjkの故障検出動作を行うことでもよい。これによって、故障検出動作による充電池71あるいは乾電池等の消耗を防止することができる。
【0109】
上述した故障検出動作のタイミングは、単独のタイミングで用いられてもよいし、複数のタイミングを組み合わせて用いてもよい。例えば充電池71の充電中で、かつユーザによって表示パネル10の表示の変更が指示されていない場合等である。
【0110】
以上に述べたように、本発明によれば、ED素子のコモン電極に流れる電流値を測定することで、コモン電極と画素電極との間がショートした画素を検出し、以後、ショートした画素への表示を禁止することで、表示ムラや表示速度の低下の発生を防止し、耐久性の高い表示装置および表示装置の故障検出方法を提供することができる。
【0111】
なお、本発明に係る表示装置および表示装置の故障検出方法を構成する各構成の細部構成および細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 表示装置
2 表示制御部
3 CPU
4 表示コントローラ
41 コモン電圧駆動回路
5 操作部
51 電源釦
52 戻る釦
53 進む釦
6 記憶部
7 電源部
8 電流検知回路
9 バス
10 表示パネル
11 画素
13 選択トランジスタ
15 駆動トランジスタ
17 ED素子
21 ソースドライバ
31 ゲートドライバ
101 駆動基板
103 コモン基板
105 シールパターン
111 画素電極
113 コモン電極
115 ゲート絶縁層
117 平坦化膜
121 電解液層
123 電解液
125 銀イオン
Sw スイッチ
G 行選択信号
G1、G2、G3 ゲート信号
S 列選択信号
S1、S2、S3 ソース信号
Vdd 画素電圧
Vcom コモン電圧
Dejk (画素Pjkへの)表示禁止信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素で構成され、全ての画素に共通のコモン電極と、複数の前記画素毎に備えられた画素電極との間に電圧を印加することで、金属を析出あるいはイオン化させて画像を表示する電気化学表示素子からなる表示パネルと、
前記表示パネルの表示を制御する表示制御部とを備えた表示装置において、
前記表示制御部は、
前記画素の故障を検出するための故障検出用電圧を前記コモン電極に印加する故障検出用電圧印加回路と、
前記故障検出用電圧が前記コモン電極に印加されている状態で、前記コモン電極に流れる電流値を測定する電流検知回路と、
前記電流検知回路で測定された前記コモン電極に流れる電流値から前記画素の故障を検出する故障検出部と、
前記故障検出部によって故障が検出された前記画素への以降の表示を禁止する表示コントローラとを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記故障検出用電圧は、前記画素を白表示にした後に、前記画素を黒表示にする電圧であり、
前記電流検知回路は、前記画素が黒表示にされた時の電流値を測定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電流検知回路は、前記コモン電極に流れる電流値を測定する場合にのみ、前記コモン電極と前記故障検出用電圧印加回路との間に直列に接続され、その他の場合には前記コモン電極および前記故障検出用電圧印加回路から切り離されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示コントローラは、複数の前記画素の内の所定の1画素のみに前記故障検出用電圧が印加されるように表示を制御することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルの表示の変更を指示するための操作部を有し、
前記故障検出部は、前記操作部による前記表示パネルの表示の変更の指示がない場合に、前記画素の故障を検出することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記故障検出部は、前記表示装置の電源の投入回数をカウントし、電源が所定回数投入される毎に前記画素の故障を検出することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記故障検出部は、前記表示パネルの表示の変更の回数をカウントし、前記表示パネルの表示が所定回数変更される毎に前記画素の故障を検出することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記故障検出部は、前記表示装置が備える充電池の充電中、あるいは前記表示装置に外部から電源が供給されている場合に、前記画素の故障を検出することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
複数の画素で構成され、全ての画素に共通のコモン電極と、複数の前記画素毎に備えられた画素電極との間に電圧を印加することで、金属を析出あるいはイオン化させて画像を表示する電気化学表示素子からなる表示パネルと、
前記表示パネルの表示を制御する表示制御部とを備えた表示装置の故障検出方法であって、
前記画素の故障を検出するための故障検出用電圧を前記コモン電極に印加する故障検出用電圧印加工程と、
前記故障検出用電圧が前記コモン電極に印加されている状態で、前記コモン電極に流れる電流値を測定する画素電流測定工程と、
前記画素電流測定工程で測定された前記コモン電極に流れる電流値から前記画素の故障を検出する故障検出工程と、
前記故障検出工程によって故障が検出された前記画素への以降の表示を禁止する表示禁止工程とを備えたことを特徴とする表示装置の故障検出方法。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記故障検出用電圧を前記コモン電極に印加する故障検出用電圧印加回路を有し、
前記表示パネルの表示の変更の指示の有無を判定する表示変更指示判定工程と、
前記表示変更指示判定工程で、前記表示パネルへの表示の変更の指示がないと判定された場合に、前記コモン電極と前記故障検出用電圧印加回路との間に直列に電流検知回路を接続する電流検知回路接続工程と、
前記故障検出用電圧印加工程を構成する、前記画素を白表示にする白表示工程と、白表示された前記画素を黒表示にする黒表示工程と、
前記画素電流測定工程と、
前記故障検出工程と、
前記表示禁止工程とを、
複数の前記画素の全てについて、1画素づつ、上述した順に実行することを特徴とする請求項9に記載の表示装置の故障検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−164751(P2010−164751A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6535(P2009−6535)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】