説明

表示装置および電子機器

【課題】表示装置を大型化することなく見掛け上の表示領域の面積を拡大する
【解決手段】複数の表示体D(DA,DB)は相互に離間して配置される。各表示体Dの表示領域A1内には、発光層15からの出射光を観察側に反射する光反射層11が形成される。外装体40は、各表示体Dの表示領域A1が内側に位置するように形成された複数の開口部42を有し、各表示体Dの周縁Q2の外側に位置する部分A2aを含む縁領域A2を有する。反射防止板60は、観察側から入射して光反射層11や縁領域A2にて反射した外光の観察側への出射を抑制する円偏光板64を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光層や液晶層などの電気光学層を利用して画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学層の背面側に形成された反射層での反射光を観察側に出射させて表示に利用する表示体においては、観察側から表示体に入射した外光が反射層で反射して観察側に出射し、表示体の観察側の景色が本来の画像に重畳される(背景が映り込む)という問題がある。特許文献1や特許文献2には、電気光学層の観察側に配置された円偏光板によって背景の映り込みを抑制する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平8−321381号公報
【特許文献2】特開平9−127885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、表示体には大画面化が要求される。しかし、表示体の大型化を実現するためには、製造コストの増大や歩留りの低下、さらには駆動回路の大型化や消費電力の増加といった様々な問題を解決する必要がある。以上の事情に鑑みて、本発明は、表示体を大型化することなく見掛け上の表示領域の面積を拡大するという課題の解決をひとつの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、電気光学層からの出射光を観察側に反射する光反射層が各々の表示領域内に形成された複数の表示体と、各表示体の周縁の外側に位置する部分(例えば図3の部分A2aや図4の部分A2b)を含む縁領域を有する板状の外装体と、複数の表示体の表示領域と縁領域とにわたって連続して両者を被覆する板材であって、観察側から入射して各表示体の光反射層または縁領域にて反射した外光の観察側への出射を抑制する反射防止板とを具備する。以上の構成においては、反射防止板が複数の表示領域と縁領域とにわたって連続するから、各表示体と外装体との境界は目立たない。したがって、各表示体を大型化することなく見掛け上の表示領域の面積を拡大することが可能である。本発明に係る表示装置は各種の電子機器に採用される。
【0005】
本発明の好適な態様において、複数の表示体は、相互に離間して配置され、外装体は、相隣接する各表示体の間隙内に位置する部分(例えば図4の部分A2b)を含む。以上の態様によれば、相隣接する各表示体と両者間の外装体との境界を目立たせることなく、各表示体を相互に離間させることで見掛け上の表示領域の面積をさらに拡大することができる。
【0006】
本発明の好適な態様において、外装体の縁領域に対して反射防止板を介して測定光を照射したときの反射率(%)と、各表示体の表示領域に対して反射防止板を介して測定光を照射したときの反射率(%)との同じ波長における差分値(例えば図5の差分値Δ)の最大値は、測定光の波長が500nm以上600nm以下である範囲内において3%以下である。本態様によれば、各表示体と外装体との境界を特に目立たなくすることができる。
【0007】
本発明の具体的な態様において、外装体は、各表示体の表示領域が内周縁の内側に位置するように複数の開口部が形成された板材である。さらに、表示体は、外装体の内周縁の外側に外周縁が位置するように形成されて各画素の間隙を遮光する遮光層を具備する。本態様によれば、外装体の内周縁の外側に遮光層の外周縁が位置するから、外装体の内周縁と遮光層の外周縁との間に間隙(例えば図6の領域GB)がある構成と比較して、各表示体と外装体との境界をさらに目立たなくすることが可能である。
【0008】
本発明の好適な態様において、外装体は、複数の表示体の各々の観察側の表面に接合され、反射防止板は、外装体の観察側の表面に接合される。本態様においては、反射防止板が各表示体の観察側の表面から離間するから、表示体から反射防止板への熱の伝達が抑制される。したがって、加熱に起因した反射防止板の劣化が抑制される。ただし、反射防止板が表示体の観察側の表面から離間した構成においては、各表示体の観察側の表面や反射防止板の背面側の表面にて光反射が発生する。そこで、本発明の好適な態様に係る表示装置は、反射防止板における各表示体との対向面および各表示体における反射防止板との対向面のうちの少なくともひとつに形成されたARコート層を具備する(例えば後述の第2実施形態)。また、別の態様に係る表示装置は、各表示体の観察側の表面と反射防止板との間隙の空間に充填された光透過性の充填材を具備する(例えば後述の第3実施形態)。以上の各態様によれば、各表示体の観察側の表面や反射防止板の背面側の表面における反射が抑制されるという利点がある。
【0009】
本発明の好適な態様において、外装体は、複数の表示体の背面側に配置された板状の部材である(例えば後述の第4実施形態)。本態様によれば、外装体と複数の表示体との接合が容易化されるとともに各表示体の機械的な強度が外装体によって補強されるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置100の構成を示す分解斜視図である。図1に示すように、表示装置100は、同一平面内に相互に離間して配置された表示体DAおよび表示体DBに外装体40と反射防止板60とを積層した平面型の構造体である。表示体DAおよび表示体DBの各々は、表示領域A1内に面状に配列された複数の画素Pによって各種の画像を表示する。以下の説明において、表示体DAと表示体DBとを特に区別する必要がない場合には両者を「表示体D」と共通に表記する。
【0011】
図2は、表示装置100の各部の平面的な関係を示す概念図である。ただし、図2においては反射防止板60の図示が省略されている。また、図3は、図2におけるIIIa−IIIa線またはIIIb−IIIb線からみた断面図(すなわち外装体40の周縁の近傍の断面図)であり、図4は、図2におけるIV−IV線からみた断面図(すなわち表示体DAと表示体DBとの間隙の近傍の断面図)である。図3および図4に示すように、各表示体Dは、光透過性の接着層25で接合された第1基板10と第2基板20とを具備する。第2基板20は第1基板10の観察側(すなわち表示体Dによる表示画像を視認する観察者側)に位置する。第1基板10のうち第2基板20との対向面には、各画素Pに対応する複数の光反射層11が相互に離間して形成される。各光反射層11は、光反射性の材料で形成された膜体である。なお、光反射層11が表示領域A1の全域にわたって連続する構成も採用される。
【0012】
第1基板10の表面には、各光反射層11を覆う光透過性の絶縁層12が形成される。絶縁層12の表面には、各画素Pに対応した複数の第1電極14が相互に離間して形成される。各第1電極14は、ITO(Indium Tin Oxide)に代表される光透過性の導電材料で形成された電極である。図3および図4に示すように、第1基板10に垂直な方向からみて光反射層11と第1電極14とは重複する。
【0013】
絶縁層12の表面上には隔壁層(バンク層)13が形成される。隔壁層13は、第1基板10の表面上の空間を画素P毎に仕切る形状(格子状)の絶縁層である。隔壁層13の内周面に包囲されて第1電極14を底面とする空間内には発光層15が有機EL(Electroluminescence)材料で形成される。隔壁層13および発光層15は第2電極16に覆われる。第2電極16は、複数の画素Pにわたって連続する光透過性の導電膜である。発光層15は、第1電極14(陽極)および第2電極16(陰極)から付与される電気エネルギに応じた光量の白色光を放射する。発光層15から観察側への出射光と光反射層11における反射光とが第2電極16を透過して観察側に出射することで各種の画像が表示される。第1基板10上の各要素は光透過性の封止体17によって封止される。
【0014】
第2基板20は、第1基板10との対向面に遮光層21および複数の着色層22(22R,22G,22B)が形成された光透過性の板材である。遮光層21は、各画素Pに対応した領域(第1電極14や光反射層11に重なる領域)が開口する格子状に成形されて各画素Pの間隙を遮光する。図2および図3に示すように、遮光層21の外形の寸法は表示領域A1と比較して大きい。したがって、遮光層21の外周縁Q1は表示領域A1の外側に位置する。
【0015】
各着色層22は、複数の表示色(赤色(22R),緑色(22G),青色(22B))の何れかに着色された光透過性の膜体であって遮光層21の各開口の内側に形成される。したがって、複数の着色層22は表示領域A1内に面状に配列する。発光層15からの出射光が各着色層22を透過したうえで観察側に出射することで観察者はカラー画像を知覚する。
【0016】
図1および図2に示すように、外装体40は、表示体DAおよび表示体DBの各々に対応した2箇所に矩形状の開口部42が形成された不透明な板材である。外装体40は、各表示体Dの観察側の表面(すなわち第2基板20の観察側の表面)に両面テープ30で接合される。例えば、黒色に塗装されたアルミニウムの板材が外装体40として好適に採用される。
【0017】
図2および図3に示すように、外装体40と各表示体Dとは、外装体40の外周縁R1が各表示体Dの周縁Q2の外側に位置するように固定される。したがって、外装体40の観察側の表面(以下「縁領域」という)A2は、図3に示すように、各表示体Dの周縁Q2の外側に位置する部分A2aを含む。さらに、本形態においては表示体DAと表示体DBとが相互に離間するから、縁領域A2は、図4に示すように、表示体DAと表示体DBとの間隙内に位置する部分A2bを含む。また、図2から図4に示すように、各表示体Dの表示領域A1は、当該表示体Dに対応する開口部42(外装体40の内周縁R2)の内側に位置し、各表示体Dの遮光層21の外周縁Q1は、当該表示体Dに対応する開口部42(外装体40の内周縁R2)の外側に位置する。
【0018】
図1および図3に示すように、反射防止板60は、外装体40の外周縁R1と合致する形態(寸法および形状)に成形された矩形状の板材であり、表示体DAおよび表示体DBの総面積と比較して大面積である。反射防止板60は、当該反射防止板60の周縁と外装体40の外周縁R1とが合致するように縁領域A2に接合される。したがって、反射防止板60は、外装体40の各開口部42から露出する表示体DAおよび表示体DBと外装体40との双方を被覆するように各表示領域A1と縁領域A2とにわたって連続する。図3および図4に示すように、反射防止板60の背面側の表面と各表示体Dの観察側の表面との間には、開口部42の内側の領域において、外装体40および両面テープ30の厚さに相当する間隔の空間Vが介在する。以上のように反射防止板60と表示体Dとは空間Vを挟んで離間するから、反射防止板60と表示体Dとが密着する構成と比較して、表示体Dにて発生した熱が反射防止板60に伝達し難い。したがって、加熱に起因した円偏光板64の劣化を抑制できるという利点がある。
【0019】
図1に示すように、反射防止板60は、支持体62と円偏光板64とで構成される。支持体62は、円偏光板64の機械的な強度を補強する光透過性の板材である。ガラス製または樹脂製(例えばアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂)の板材が支持体62として好適に採用される。円偏光板64は、図3や図4に示すように、支持体62の観察側の表面に貼着された位相差板641と、位相差板641の表面に貼着された偏光板642とで構成される。したがって、観察側から表示装置100に外光が入射して光反射層11の表面や外装体40の縁領域A2にて反射した場合であっても、当該反射光の観察側への出射は抑制される。
【0020】
図5は、所定のスポット径の可視光(以下「測定光」という)を観察側から表示装置100の各部に照射したときに観察側に出射する反射光の特性を示すグラフである。同図の横軸は測定光の波長(nm)であり、縦軸は反射率(すなわち、測定光の光量に対する反射光の光量の割合(%))である。
【0021】
図5の特性C1は、反射防止板60を除外した構成において、全画素Pの発光層15を完全に消灯させたうえで、表示体D(DA,DB)の表示領域A1内に測定光を照射した場合の測定の結果である。表示体DAおよび表示体DBは同等の特性(C1)である。一方、特性C2は、反射防止板60を設置した本形態の構成において、全画素Pの発光層15を完全に消灯させたうえで、反射防止板60を介して表示領域A1内に測定光を照射した場合の測定の結果である。特性C1と特性C2との対比から理解されるように、表示装置100に対する観察側からの入射光のうち各表示体Dの要素(特に光反射層11)にて反射して観察側に出射する光量は、反射防止板60によって充分に抑制される。したがって、背景の映り込みを抑制することが可能である。
【0022】
図5の特性C3は、反射防止板60を設置した本形態の構成のもとで反射防止板60を介して外装体40の縁領域A2に測定光を照射した場合の測定の結果である。特性C2と特性C3との対比から理解されるように、本形態においては、外装体40の縁領域A2における光反射特性と各表示体Dの表示領域A1内における光反射特性とが略一致するように外装体40の縁領域A2や表示体Dの各要素の光学的な特性が選定される。さらに詳述すると、外装体40の縁領域A2と表示体Dの表示領域A1との各々に対して測定光を個別に照射して反射光を測定し、各領域に対する照射時に同じ波長について測定された反射率の差分値Δを算定したときに、500nm以上600nm以下の波長範囲R内における差分値Δの最大値が3%以下(さらに好適には1%以下)となるように、外装体40の縁領域A2や表示体Dの各要素の光学的な特性(さらに詳細には材料や加工法)が選定される。例えば、各表示体Dの表示領域A1内について事前に測定された反射率に対して以上の条件を充足する光学的な特性の塗料を板材の表面(縁領域A2)に塗布することで外装体40が作成される。
【0023】
以上に説明したように本形態においては、表示領域A1と縁領域A2とにわたって連続する形態(サイズおよび形状)の反射防止板60が外装体40および各表示体Dの双方を被覆するように設置される。したがって、背景の映り込みが抑制されるだけではなく、反射防止板60が設置されない構成や反射防止板60が各表示体Dの表示領域A1のみに重なる構成と比較して、外装体40(部分A2aおよび部分A2b)と表示体Dとの境界を目立たなくすることが可能である。本形態においては特に、縁領域A2と表示領域A1とで光反射特性(反射率)が略一致するように外装体40や各表示体Dの特性が選定されるから、以上の効果は格別に顕著となる。そして、外装体40と表示体Dとの境界が不鮮明となることで、観察者は、表示装置100の表示領域が恰も外装体40の外周縁R1の近傍(反射防止板60の全域)まで連続しているかのように知覚する。すなわち、本形態においては、表示装置100を大型化することなく見掛け上の表示領域の面積を拡大することが可能である。
【0024】
なお、各表示領域A1の全体を発光させた場合には各表示領域A1と非発光の縁領域A2との境界が利用者に知覚されるから、見掛け上の表示領域が拡大されるという効果は、発光層15の消灯時の階調である黒色を背景として各表示領域A1の中央部に被写体を配置したような画像(すなわち表示領域A1のうち被写体以外の非発光領域については光学的な特性が縁領域A2と揃うような画像)を表示する場合に特に有効である。
【0025】
以上の説明においては、表示領域A1内に測定光を照射した場合の測定の結果を特性C2として例示したが、表示領域A1の外側で外装体40の開口部42の内側の領域(遮光層21が存在する領域)GAに測定光を照射した場合の測定の結果は特性C2と略同等となる。したがって、領域GAの光反射特性と外装体40の縁領域A2における光反射特性とが略一致するように外装体40や各表示体Dの光学的な特性を選定してもよい。
【0026】
ところで、図2の構成においては遮光層21の外周縁Q1が外装体40の開口部42の外側に位置するが、図6に示すように、遮光層21の外周縁Q1が外装体40の開口部42(内周縁R2)の内側に位置する構成も採用される。図5の特性C4は、図6の構成のうち遮光層21の外周縁Q1と外装体40の内周縁R2との間の領域GBに測定光を照射して反射率を測定した結果である。
【0027】
第1基板10のうち領域GBに相当する領域には、表示領域A1内に駆動信号や電源電位を供給するための配線(図示略)が形成されるから、領域GBの特性C4は、図5に示すように外装体40の縁領域A2の特性C3や表示領域A1内の特性C2とは相違する。したがって、図6の構成においては、反射防止板60が排除された構成(特性C1)と比較すれば外装体40と各表示体Dとの境界が目立たないという効果が確かに奏されるものの、図2の構成と比較すれば境界が知覚される可能性は高い。すなわち、図2の構成においては、遮光層21の外周縁Q1が外装体40の内周縁R2の外側に位置するから、図6の構成と比較して外装体40と表示体Dとの境界が目立たないという利点がある。
【0028】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上と同じ符号を付して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0029】
図7は、本発明の第2実施形態に係る表示装置100の構成を示す断面図である。同図に示すように、表示装置100の光透過性の要素のうち空気に接触する表面には、当該表面における反射を抑制するためのAR(Anti Reflection)コート層70(70A,70B,70C)が形成される。さらに詳述すると、反射防止板60(円偏光板64)の観察側の表面にはARコート層70Aが形成され、反射防止板60(支持体62)の背面側の表面にはARコート層70Bが形成される。また、各表示体D(第2基板20)の観察側の表面にはARコート層70Cが形成される。
【0030】
第1実施形態の構成においては反射防止板60の背面側の表面や表示体Dの観察側の表面が空気と接触するから、当該表面にて発光層15からの出射光が反射し易い。これに対して本形態においては、反射防止板60の背面側の表面や各表示体Dの観察側の表面における反射がARコート層70(70B,70C)によって抑制されるから、発光層15からの出射光の利用効率を高めることが可能である。また、反射防止板60の観察側の表面にもARコート層70Aが形成されるから、当該表面での反射に起因した背景の映り込みが有効に防止されるという利点がある。
【0031】
<C:第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係る表示装置100の構成を示す断面図である。同図に示すように、反射防止板60(支持体62)の背面側の表面と各表示体D(第2基板20)の観察側の表面と外装体40の開口部42の内周面とで包囲された空間Vには、光透過性の充填材75が封入される。充填材75は、例えば樹脂材料で形成される。充填材75の屈折率は、支持体62および第2基板20の少なくとも一方の屈折率と同等である。
【0032】
以上の構成によれば、空間Vに空気が存在する構成と比較して、空間Vの内部と支持体62または第2基板20との屈折率の差異が低減されるから、反射防止板60の背面側の表面や表示体Dの観察側の表面における光反射が抑制される。したがって、第2実施形態におけるARコート層70Bおよび70Cを省略した構成にも拘わらず、発光層15からの出射光の利用効率を高めることが可能である。なお、図8の構成に図7のARコート層70Bおよび70Cを設けてもよい。
【0033】
<D:第4実施形態>
図9は、第4実施形態に係る表示装置100の構成を示す断面図である。図9に示すように、本形態における外装体40は、表示体D1および表示体D2の背面側に配置された単一の板材である。外装体40に開口部は形成されない。各表示体D(第1基板10)の背面側の表面は外装体40の表面に接合される。外装体40の観察側の表面のうち各表示体Dの周縁Q2の外側の領域が縁領域A2となる。表示体Dの遮光層21は、第2基板20の全域にわたって形成される。
【0034】
反射防止板60は、縁領域A2と表示領域A1とにわたって連続するように設置されて外装体40と複数の表示体Dとを被覆する。さらに、第1実施形態と同様に、外装体40の縁領域A2における光反射特性と表示体Dの表示領域A1内における光反射特性とが略一致するように、外装体40の縁領域A2や表示体Dの各要素の光学的な特性が選定される。したがって、本形態においても第1実施形態と同様の効果が奏される。さらに、本形態によれば、外装体40と複数の表示体Dとの接合の作業が容易化されるとともに各表示体Dの機械的な強度が外装体40によって補強されるという利点がある。なお、第2実施形態のARコート層70(70A,70B,70C)や第3実施形態の充填材75を本形態の表示装置100に採用してもよい。
【0035】
<E:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の例示から2以上の態様を任意に選択して組合わせてもよい。
【0036】
(1)変形例1
外装体40の形態や位置は以上の例示に限定されない。例えば、図10に示すように、各表示体Dの外形に略一致する(あるいは僅かに大きい)寸法の複数の開口部42を外装体40に形成し、各表示体Dの側端面と開口部42の内周面とが対向するように表示体Dを開口部42の内側に配置してもよい。すなわち、外装体40の縁領域A2は、表示体Dの周縁Q2の外側のみに位置する。さらに、図10に示すように表示体D(第2基板20)の観察側の表面と縁領域A2とを同じ平面内に位置させた構成によれば、反射防止板60を外装体40と表示体Dとに容易かつ強固に接合できるとともに表示装置100が薄型化されるという利点がある。
【0037】
(2)変形例2
表示装置100の製造や使用のうえで必要な程度に円偏光板64の機械的な強度が単独で確保されるのであれば、反射防止板60から支持体62を省略した構成も採用される。また、外力の作用による円偏光板64の破損を防止するために、円偏光板64の観察側に光透過性の板材を配置してもよい。
【0038】
(3)変形例3
複数の表示体Dの形態(寸法や形状)が共通する構成は本発明において必須ではない。すなわち、各表示体Dの寸法や形状は表示体D毎に相違してもよい。また、以上の各形態においては複数の表示体Dが相互に離間した構成を例示したが、各表示体Dが隙間なく配置された構成(例えば表示体D1と表示体D2とで側端面にて接合された構成)も好適である。もっとも、各表示体Dが相互に離間して配置された第1実施形態の構成によれば、各表示体Dが接触する構成と比較して見掛け上の表示領域の面積を容易に拡大できるという利点や各表示体Dの配置の態様(例えば位置)を高い自由度で選定できるという利点がある。
【0039】
(4)変形例4
複数の表示体Dの配置の態様は任意である。各表示体Dの具体的な配置の態様を以下に例示する。以下の例示から理解されるように、本発明の具体的な態様に係る表示装置100においては複数の表示体Dが配列されるから、ひとつの表示体Dのみを利用した構成と比較して、表示装置100の意匠上の設計の自由度を高めることが可能である。図11から図13に例示する構成は、例えば各種の店舗において商品の画像を表示するために特に好適である。
【0040】
表示装置100を構成する表示体Dの個数は任意である。例えば、図11に示すように、5個の表示体Dを略十字型に配列した構成が採用される。外装体40(図11では図示略)や反射防止板60は総ての表示体Dを被覆する適切な形状に成形される。
【0041】
複数の表示体Dが平行に配列される必要はない。例えば、図12に示すように、建築物などの構造体(柱体35)の壁面に沿って複数の表示体Dを曲面状に配列した構成も採用される。同図の表示装置100は、円柱状の柱体35の側面に円周の方向に沿って配列された複数の表示体Dと、柱体35の側面に沿う曲面に成形された反射防止板60とを具備する。なお、図12では外装体40の図示が省略されている。
【0042】
複数の表示体Dが同一面内に位置する必要はない。例えば、図13に示すように、平面状の反射防止板60までの距離が表示体D毎に相違するように複数の表示体Dを配置してもよい。同図のように外装体40は階段状に成形される。
【0043】
(5)変形例5
有機EL材料の発光層15は電気光学層の例示に過ぎない。以上の各形態の表示装置100に適用される電気光学層について、自身が発光する自発光型と外光の透過率を変化させる非発光型(例えば液晶素子)との区別や、電流の供給によって駆動される電流駆動型と電圧の印加によって駆動される電圧駆動型との区別は不問である。無機EL材料の発光層、液晶層や電気泳動層など各種の電気光学層が本発明の表示装置に利用される。すなわち、電気光学層は、電気エネルギの供給(例えば電流の供給や電圧の印加)によって輝度や透過率といった光学的な特性が変化する部分として定義される。
【0044】
<F:電子機器>
次に、本発明に係る表示装置を利用した電子機器について説明する。図14ないし図17には、以上に説明した何れかの形態に係る表示装置100を採用した電子機器の形態が図示されている。
【0045】
図14は、本発明の表示装置を自動車の車載計器(インパネ)に採用した態様を示す概念図である。同図に示すように、車載計器は、表示体DAおよび表示体DBを横方向に配列した表示装置100と、駆動回路82(82A,82B)および制御回路84とを具備する。駆動回路82Aは、制御回路84から指示された画像を表示体DAに表示する。駆動回路82Bは、制御回路84から指示された画像を表示体DBに表示する。制御回路84は、例えば、自動車の速度を表示体DAに表示させ、目的地までの経路を案内するためにカーナビゲーション装置(図示略)が作成した地図を表示体DBに表示させる。
【0046】
制御回路84には、表示体DAまたは表示体DBの異常を検出するための検出器(図示略)が接続される。例えば、表示体DAや表示体DBの温度を検出する温度センサ、各画素Pの発光層15に流れる電流を検出する電流計、あるいは各画素Pの輝度を測定する輝度計が検出器として好適に採用される。制御回路84は、検出器による検出値が所定の閾値を上回る(または下回る)場合に表示体DAや表示体DBに異常が発生していると判定して所定の制御を実行する。例えば、表示体DAの異常を検出すると、制御回路84は、表示体DAに表示させていた自動車の速度を表示体DBに表示させる。以上の態様によれば、異常のない状態では表示体DAおよび表示体DBの双方を使用して多様な画像を表示できる一方、表示体DAまたは表示体DBの一方に異常が発生すると、所望の情報の表示先を他方の表示体Dに変更することで、優先度の高い情報(例えば速度)を確実に表示できるという利点がある。
【0047】
図15は、表示装置100を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0048】
図16は、表示装置100を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0049】
図17は、表示装置100を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する表示装置100とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が表示装置100に表示される。
【0050】
なお、本発明に係る表示装置が適用される電子機器としては、図14から図17に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示装置の分解斜視図である。
【図2】表示装置の各部の関係を示す平面図である。
【図3】図2におけるIIIa−IIIa線またはIIIb−IIIb線からみた断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線からみた断面図である。
【図5】表示装置の各部の光学的な特性を示すグラフである。
【図6】別例に係る表示装置の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る表示装置の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る表示装置の断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る表示装置の断面図である。
【図10】変形例に係る表示装置の断面図である。
【図11】変形例に係る表示装置の平面図である。
【図12】変形例に係る表示装置の断面図である。
【図13】変形例に係る表示装置の断面図である。
【図14】本発明に係る電子機器の形態(車載計器)を示すブロック図である。
【図15】本発明に係る電子機器の形態(パーソナルコンピュータ)を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る電子機器の形態(携帯電話機)を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る電子機器の形態(携帯情報端末)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
D(DA,DB)……表示体、10……第1基板、11……光反射層、12……絶縁層、13……隔壁層、14……第1電極、15……発光層、16……第2電極、17……封止体、20……第2基板、21……遮光層、22(22R,22G,22B)……着色層、40……外装体、42……開口部、60……反射防止板、62……支持体、64……円偏光板、70(70A,70B,70C)……ARコート層、75……充填材、A1……表示領域、A2……縁領域、Q1……遮光層21の外周縁、Q2……表示体Dの周縁、R1……外装体40の外周縁、R2……外装体40の内周縁、V……空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学層からの出射光を観察側に反射する光反射層が表示領域内に形成された複数の表示体と、
前記各表示体の周縁の外側に位置する部分を含む縁領域を有する板状の外装体と、
前記複数の表示体の表示領域と前記縁領域とにわたって連続して両者を被覆する板材であって、観察側から入射して各表示体の前記光反射層または前記縁領域にて反射した外光の前記観察側への出射を抑制する反射防止板と
を具備する表示装置。
【請求項2】
前記複数の表示体は、相互に離間して配置され、
前記外装体は、相隣接する前記各表示体の間隙内に位置する部分を含む
請求項1の表示装置。
【請求項3】
前記外装体の前記縁領域に対して前記反射防止板を介して測定光を照射したときの反射率(%)と、前記各表示体の前記表示領域に対して前記反射防止板を介して測定光を照射したときの反射率(%)との同じ波長における差分値の最大値は、前記測定光の波長が500nm以上600nm以下である範囲内において3%以下である
請求項1または請求項2の表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかの表示装置を具備する電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−20141(P2009−20141A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180537(P2007−180537)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】