説明

表示装置の製造方法

【課題】UV洗浄を行っても、紫外線硬化樹脂層のダメージがなく、安定した性能を発揮する表示素子用プラスチック基板を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルムの少なくとも片面に、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素及び窒化ケイ素から選ばれた1種以上の材料が用いられ膜厚が10〜300nmである無機化合物層と、アクリルモノマーを主成分とする樹脂からなる膜厚が3.5〜30μmである紫外線硬化樹脂層を該順序で交互に1回以上積層し、さらに最外層として無機化合物層を積層することにより各紫外線硬化樹脂層は上下に無機化合物層が積層された表示素子用プラスチック基板とし、得られた表示素子用プラスチック基板をUV洗浄することにより耐UV性を表示素子用プラスチック基板に付与し、耐UV性を付与した表示素子用プラスチック基板を用いて表示装置を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐UV性を付与した表示素子用プラスチック基板を用いた表示装置の製造方法に関し、表面クリーニングのために行なわれるUV洗浄を行なってもガスバリア性において劣化のない表示素子用プラスチック基板を用いた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板にプラスチックを用いた表示素子は、ガラス基板を用いた表示素子に比較して軽量であるとともに可撓性を具え、基板が破損しにくい等の利点を有することから、種々の用途への応用が期待されている。
【0003】
すなわち、ガラスは、液晶表示素子の基板に要求される透明性、光学等方性、ガスバリア性、耐薬品性、耐熱性、平滑性、寸法安定性等に優れた基板材料ではあるが、柔軟性に欠けることから例えば電子手帳、ノート型パソコン等の携帯用端末のディスプレーに用いると、破損するという欠点がある。
【0004】
これに対し、プラスチックは柔軟性を有し、重量が軽く、ロールによる長尺加工が可能である等の特性を具えていることから、例えば前記の携帯用端末のディスプレーに用いられる表示素子の基板材料として注目されている。ただし、プラスチックシート単体では、前述した表示素子用基板材料の要求特性を満足することができないため、無機化合物を用いることによりガスバリア性を付与した無機化合物層(ガスバリア層)、無機化合物層の表面の凹凸を吸収させて、表面を平坦化するためのプラスチック材料を用いてコーティングにより形成した有機平坦化層を積層する必要がある。特に、無機化合物層(ガスバリア層)と有機平坦化層とは、一般に、この順にプラスチックフィルム上に交互に積層されている(例えば、特開2003−48271号公報:特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−48271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のコーティング法により形成された有機平坦化層には、熱硬化型樹脂或いは紫外線硬化型樹脂などが用いられる。熱硬化型樹脂では硬化に時間がかかりエージングを要すること、ブロッキングの問題などがあるが、紫外線硬化型樹脂は必要露光量を照射すれば充分に硬化可能であることから硬化が短時間で済むので積層体を作製する上で有効な材料である。
【0006】
このようにしてプラスチックフィルム上に形成されたガスバリア性の無機化合物層と紫外線硬化樹脂層を交互に形成し、最表面に無機化合物層を形成してなるプラスチック基板を表示素子に用いる場合、必要に応じて様々な表面処理が施される。該表面処理の中に、表面の濡れ性を改善するためにしばしばUV洗浄を行ない、表面の有機物を除去する処理がある。
【0007】
しかしながら、UV洗浄することによりUVが無機化合物層を透過し、特に、無機化合物層に酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、或いは窒化ケイ素等が用いられる場合にはUVが無機化合物層を透過し、プラスチック基板を構成する紫外線硬化樹脂層にも同時にUVが照射されることになる。このようなUV照射で紫外線硬化樹脂層の反応が進行しすぎると、紫外線硬化樹脂層の一部が破壊されガス化するが、上下に積層されたガスバリア層がバリアとなってガスが逃げずに層間に保持されることになる。ガスがある程度たまると応力が大きくなりガスバリア層ににダメージが生ずる。その結果、ガスバリア層に亀裂が入りガスバリア性が低下してしまう現象を本発明者は見出した。
【0008】
本発明はかかる事情に基づいてなされたものであり、本発明の課題は、プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機化合物層と紫外線硬化樹脂層が交互に積層してあり、最外層に無機化合物層が積層された表示素子用プラスチック基板に対してUV洗浄を行っても紫外線硬化樹脂層のダメージがなく、安定した性能を発揮する表示素子用プラスチック基板を提供すること、及び該表示素子用プラスチック基板を用いて形成したエレクトロルミネッセンス表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示装置の製造方法は、(1)表示装置用プラスチック基板を用いてなる表示装置の製造方法であって、(2)プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機化合物層と紫外線硬化樹脂層を該順序で交互に1回以上積層し、該紫外線硬化樹脂層の上にさらに最外層として無機化合物層を積層することにより各紫外線硬化樹脂層は上下に無機化合物層が積層された表示素子用プラスチック基板とし、該表示素子用プラスチック基板における前記紫外線硬化樹脂層を形成する樹脂がアクリルモノマーを主成分とする樹脂からなり、該表示素子用プラスチック基板における前記紫外線硬化樹脂層の膜厚が3.5〜30μmであり、該表示素子用プラスチック基板における前記無機化合物層が、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素及び窒化ケイ素から選ばれた1種以上の材料が用いられ、該無機化合物層の膜厚が10〜300nmであり、(3)前記工程で得られた表示素子用プラスチック基板をUV洗浄することにより耐UV性を表示素子用プラスチック基板に付与し、(4)前記工程で得られた耐UV性を付与した表示素子用プラスチック基板を用いて表示装置を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に用いる耐UV性を付与した表示素子用プラスチック基板は、紫外線硬化樹脂層の3.5〜30μmと膜厚を厚く設けることにより、UV洗浄を行っても、UVによる紫外線硬化樹脂層の分解反応は直ちに生じないので、本発明に用いる表示素子用プラスチック基板は、ガスバリア性が安定に保たれる。
【0011】
これに対して、紫外線硬化樹脂層の厚みが薄い場合、特に10〜300nmの場合には、UV洗浄がまだ完了しない比較的早い段階から、UVによる影響のため紫外線硬化樹脂層の分解反応が生じ、紫外線硬化樹脂層と無機化合物層(ガスバリア層)との界面において、分解ガスが滞留するようになり、そのため、該ガスが無機化合物層(ガスバリア層)にダメージを与え、ガスバリア性が消失することになる。
【0012】
本発明においてこのような紫外線硬化樹脂層における分解反応の抑制は、紫外線硬化樹脂層がある程度厚いため、紫外線硬化樹脂層における残存する未反応の成分がUVを吸収して分解反応を抑制しているためと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
表示素子用プラスチック基板及びその製造方法
図1は、本発明に用いる表示素子用プラスチック基板の1例を示す断面図である。図1に示す本発明に用いる表示素子用プラスチック基板10は、無機化合物層と紫外線硬化樹脂層を該順序で1回づつ積層し、さらに最外層に無機化合物層を積層した例であり、即ち、プラスチックフィルム11/第一無機化合物層12/紫外線硬化樹脂層13/第二無機化合物層14からなる積層体である。
【0015】
本発明に用いる表示素子用プラスチック基板10の製造例としては、高分子材料からなるプラスチックフィルム11上に、下記の無機化合物を用いて下記に説明する真空成膜法で第一無機化合物層12を形成する。次いで、該第一無機化合物層12上に、下記の紫外線硬化性樹脂組成物を用いて塗布法により紫外線硬化樹脂層13を形成する。次いで、該紫外線硬化樹脂層13上に第二無機化合物層14を前記第一無機化合物層12と同様にして形成する。
【0016】
図1においては4層からなる基本的な積層構造の表示素子用プラスチック基板について説明したが、図1の第二無機化合物層11上にさらに紫外線硬化樹脂層と無機化合物層とからなる積層単位が該順序で1回以上積層されてもよい。
【0017】
次に、本発明に用いる表示素子用プラスチック基板における、プラスチックフィルム、無機化合物層、紫外線硬化樹脂層についてさらに詳細に説明する。
【0018】
プラスチックフィルム
プラスチックフィルムとして、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、その他の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。本発明において、プラスチックフィルムの膜厚としては、12〜200μm、より好ましくは50〜130μmが望ましい。
【0019】
プラスチックフィルムは、必要に応じて、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガスなどを用いて低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品などを用いて処理する酸化処理、その他の前処理を任意に施すことができる。また、上記表面前処理は、プラスチックフィルムと無機酸化物の蒸着薄膜との密着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密着性を改善する方法として、例えば、プラスチックフィルムの表面に、あらかじめ、プライマーコート剤層、アンダーコート層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層などを任意に形成することもできる。
【0020】
無機化合物層(ガスバリア層)
本発明に用いる表示素子用プラスチック基板における無機化合物層(ガスバリア層)を形成する材料としては、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する物であり、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化ケイ素から選ばれた1種以上の材料が用いられる。
【0021】
無機化合物層(ガスバリア層)の形成方法としては、真空蒸着法、反応蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等の真空成膜法で行なう。また、膜厚は10〜300nm、より好ましくは30〜150nmの範囲で適宜設定することができる。300nmを超えると、薄膜のフレキシビリティ性が低下し、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力で、薄膜に亀裂を生じる恐れがあり、透明性が低下したりし、また、材料自身の応力が大きくなり、フレキシビリティが損なわれたり、着色したりする、また、生産性を著しく低下させ、さらに異常粒成長から突起が形成されRmaxが増加する傾向があるので好ましくない。10nm以下では、透明性はよいが、均一な膜が得られにくく、膜厚が充分ではないことがあり、ガスバリア性の機能を十分に果たすことができない。
【0022】
紫外線硬化樹脂層(有機平坦化層)
本発明に用いる表示素子用プラスチック基板において、無機化合物層(ガスバリア層)の上に形成される紫外線硬化性樹脂組成物を用いて紫外線硬化樹脂層(有機平坦化層)を形成する方法を説明する。
【0023】
紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスロールコート法、リバースロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の一般的に用いられる塗布方法が挙げられる。樹脂組成物の塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。
【0024】
紫外線硬化に用いる紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。
【0025】
紫外線硬化樹脂層の膜厚は、3.5〜30μmが好ましく、さらに好ましくは4〜20μm、最も好ましくは、4〜10μmである。膜厚が3.5μm未満であると、UV洗浄による紫外線硬化樹脂層(有機平坦化層)のダメージが生じ、また30μmを超えると表示素子用プラスチック基板がカールしてしまい、使用することが困難となる。
【0026】
紫外線硬化性樹脂組成物には、アクリルモノマーを主成分とする樹脂が望ましい。アクリルモノマーを主成分とする樹脂の具体例としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマー又はプレポリマー、反応性希釈剤等が挙げられ、これらの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0027】
さらに、上記の紫外線硬化性樹脂中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を混合するのが好ましい。
上記工程で得られたプラスチック基板に対しUV洗浄装置でUV洗浄することにより耐UV性を付与する。
【0028】
表示素子;表示装置
表示素子には、エレクトロルミネッセンス表示素子(EL素子)、液晶表示素子が挙げられる。例えば、EL素子は、陽極と陰極との間に主にエレクトロルミネッセンス層(EL層)が形成された積層構造である。また、該EL層は、正孔輸送層、発光体層及び電子輸送層等の各エレメント層が機能するような積層構造とすることができる。それらの各層は、高分子材料を溶解させた塗布液を塗布することにより製作でき、紙への印刷法を応用した製法やインクジェット法を応用した製法が適用可能である。
【0029】
以下、エレクトロルミネッセンス表示素子の実施形態について説明する。図2は、エレクトロルミネッセンス表示素子40を用いた積層構造の表示装置の一例を示す模式断面図であり、図3は、エレクトロルミネッセンス表示素子50を用いた積層構造の他の一例の表示装置の一例を示す模式断面図である。
【0030】
エレクトロルミネッセンス表示素子40、50は、例えば、図2では、その絶縁層29が第1電極24とEL層25との間に形成されている態様であり、図3では、その絶縁層29がEL層25と第2電極26との間に形成されている態様である。
【0031】
本発明における表示装置は、図2及び図3に示すように、図1の表示素子用プラスチック基板10上に、少なくとも、エレクトロルミネッセンス表示素子40、50、封止剤30及び可撓性封止基材28がこの順で積層された積層構造である。第1電極24と第2電極26を絶縁する絶縁層29は、表示装置を構成する積層体中に所定パターンで形成されている。なお、また、図2及び図3中に表されたバリア層27は、可撓性封止基材28のバリア性を向上させる場合に好ましく設けられる。
【0032】
(第1電極、第2電極)
第1電極24と第2電極26は、後述するEL層25に電場を与えるために設けられる必須の層である。本発明においては、EL層25から見て表示素子用プラスチック基板10側に設けられる電極を第1電極24とし、可撓性封止基材28側に設けられる電極を第2電極26としている。透明性については、第1電極24及び第2電極26の何れか一方又は両方が光透過性を有するように構成される。具体的には、上述の表示素子用プラスチック基板10と同様、少なくとも観察者側の第1電極24が透明性を有していることが好ましい。一方、第2電極26については、必ずしも透明である必要はないが、図2の観察者側とは反対側の背面からも文字等を表示したい場合には、第2電極26も透明であることが好ましい。
【0033】
第1電極24としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、金又はポリアニリン等の薄膜電極材料を挙げることができる。中でも、透明酸化物である酸化インジウム錫(ITO)と酸化インジウム亜鉛(IZO)が好ましく用いられる。
【0034】
第2電極26としては、上述した酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、金又はポリアニリン等からなる透明電極材料の他、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)又は金属カルシウム等を挙げることができる。第2電極26にも透明性が要求される場合には、第1電極24と同じ透明電極が形成される。
【0035】
なお、第1電極24と第2電極26は、何れが陽極であっても陰極であってもよいが、何れかを陽極とする場合には、正孔を注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料(例えば、酸化インジウム錫(ITO))で形成することが好ましく、陰極とする場合には、電子を注入し易いように仕事関数の小さい導電性材料(例えば、金属カルシウム)で形成することが好ましい。
【0036】
第1電極24と第2電極26の厚さは、何れも0.005〜0.5μmであることが好ましく、通常、スパッタリング法や真空蒸着法等によりEL層25に隣接するように設けられる。
【0037】
第1電極24と第2電極26は、全面に形成されていても、EL層25が形成される位置に対応するようにパターン状に形成されていてもよい。パターン状の電極は、全面に形成した後、感光性レジストを用いてエッチングすることにより形成される。
【0038】
(EL層)
EL層25は、エレクトロルミネッセンス表示素子40、50における必須の層である。EL層25の構成としては、例えば、次のような種々の態様が挙げられる。
【0039】
a.有機発光体(有機蛍光発光体ともいう。)を専ら含む有機発光体層をEL層25とした態様。
【0040】
b.前記aの態様において有機発光体層の陽極側に正孔輸送材料からなる正孔輸送層が形成され、有機発光体層の陰極側に電子輸送材料からなる電子輸送層が形成されてなる態様。
【0041】
c.正孔輸送層の性質を兼ね備えた有機発光体層が形成され、その有機発光体層の陰極側に電子輸送層が形成された態様。
【0042】
d.電子輸送層の性質を兼ね備えた有機発光体層が形成され、その有機発光体層の陽極側に正孔輸送層が形成されている態様。
【0043】
また、EL層25は、正孔輸送材料と有機発光体の両方を少なくとも混合して形成された正孔輸送材料/有機発光体の混合層と、電子輸送層との積層構造であってもよく、また、有機発光体と電子輸送材料の両方を少なくとも混合して形成された有機発光体/電子輸送材料の混合層と、正孔輸送層との積層構造であってもよい。さらに、EL層25は、正孔輸送材料、有機発光体及び電子輸送材料の三者が少なくとも混合された混合層からなっていてもよい。
【0044】
有機発光体を含有する有機発光体層には、有機EL層として一般に使用されているアゾ系化合物が使用されるが、他の有機発光体を加えたアゾ系化合物を用いてもよい。そうした他の有機発光体としては、ピレン、アントラセン、ナフタセン、フェナントレン、コロネン、クリセン、フルオレン、ペリレン、ペリノン、ジフェニルブタジエン、クマリン、スチリル、ピラジン、アミノキノリン、イミン、ジフェニルエチレン、メロシアニン、キナクリドン若しくはルブレン、又はこれらの誘導体等、有機発光体として通常使用されるものを挙げることができる。有機発光体層は、こうした化合物を含有した有機発光体層形成用塗液を用いて形成される。
【0045】
正孔輸送材料としては、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポリフィリン、オキサジアゾール、トリフェニルアミン、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、ピラゾリン、テトラヒドロイミダゾール、ヒドラゾン、スチルベン若しくはブタジエン、又はこれらの誘導体等、正孔輸送材料として通常使用されるものを用いることができる。また、正孔輸送層形成用組成物として市販されている、例えばポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;Baytron P AI4083、水溶液として市販。)等も正孔輸送材料として使用することができる。正孔輸送層は、こうした化合物を含有した正孔輸送層形成用塗液を用いて形成される。
【0046】
電子輸送材料としては、アントラキノジメタン、フルオレニリデンメタン、テトラシアノエチレン、フルオレノン、ジフェノキノンオキサジアゾール、アントロン、チオピランジオキシド、ジフェノキノン、ベンゾキノン、マロノニトリル、ニジトロベンゼン、ニトロアントラキノン、無水マレイン酸若しくはペリレンテトラカルボン酸、又はこれらの誘導体等、電子輸送材料として通常使用されるものを用いることができる。電子輸送層は、こうした化合物を含有した電子輸送層形成用塗液を用いて形成される。
【0047】
EL層25の形成は、前記に例示したような積層態様に応じて、上述した有機発光体層形成用塗液、正孔輸送層形成用塗液及び電子輸送層形成用塗液を隔壁により区分けされた所定の位置に注入して行われる。注入手段としては、ディスペンサを用いて滴下するディスペンサ法、インクジェット法、スピンコーティング法、印刷法等を挙げることができる。本発明においては、EL層25の形成がグラビア印刷、オフセット・グラビア印刷、インクジェット印刷等の印刷法により、ロール・ツー・ロールの製造条件下で行われることが好ましい。特に、インクジェット印刷法で塗り分け印刷する方法は、基材に接触することなく塗布できるので基材にダメージを与えないこと、および、版が必要なく自由度が高いことから好ましく適用される。これらの印刷法でEL層25を形成することにより、より生産性を向上させることができる。注入された各塗液は、通常の手段に従い、真空熱処理等の加熱処理が施される。上述した各積層態様からなるEL層25の厚さとしては、0.1〜2.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0048】
なお、隔壁(図示しない。)は、エレクトロルミネッセンス表示素子40、50の平面上に発光色毎に区分けする領域を形成するものである。隔壁で区分けされた領域には、EL層25の構成態様に応じて、正孔輸送層形成用塗液、有機発光体層形成用塗液、電子輸送層形成用塗液等が注入される。隔壁材料としては、従来より隔壁材料として使用されている各種の材料、例えば、感光性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。隔壁の形成手段としては、採用される隔壁材料に適した手段で形成でき、例えば、厚膜印刷法を用いたり、感光性レジストを用いたパターニングにより形成することができる。
【0049】
(封止剤)
封止剤30は、EL層25を含むエレクトロルミネッセンス表示素子40、50と可撓性封止基材28との間に、空隙が存在しないようにすること及び封止性を向上させることを目的として、好ましく設けられるものである。封止剤30としては、通常使用されている各種のものを使用できるが、エポキシ樹脂系の熱硬化型接着剤やアクリル樹脂系のUV硬化型接着剤を好ましく使用できる。
【0050】
なお、封止剤30は、その種類によってはバリア性を兼ね備えているので、後述する可塑性封止基材28とバリア層27を設けることなく、エレクトロルミネッセンス表示素子40、50の一方の側(観察者側の反対)をこの封止剤30のみで構成してもよい。
【0051】
封止剤30は、エレクトロルミネッセンス表示素子40、50上の全面に直接塗布して形成しても、可撓性封止基材28上に塗布形成した後に、その封止剤面をエレクトロルミネッセンス表示素子40、50上に貼り合わせるようにして形成してもよい。封止剤30は、空隙を埋めることができる範囲内でできるだけ薄く形成されることが好ましく、その厚さ等は適宜調整される。硬化手段は熱硬化型であるかUV硬化型であるかにより異なり、それぞれの硬化条件に基づいて硬化させることができる。
【0052】
この封止剤30は、エレクトロルミネッセンス表示素子40、50全面に設けることが好ましい。ガラス基板へ施しているような従来の枠状塗布の場合には、封止基材を貼り合わせた後にパネルを曲げるなどの力を加えると封止基材の中央付近が素子と接触することがあるが、封止剤30を全面に設けることによりこのような不具合を防止できる。したがって、封止剤30を全面に形成して得られた有機ELディスプレイ(表示装置)は、その内部に空隙が存在していないので、丸めたり曲げたりした場合であっても不要な歪みや張力の発生を防ぐことができ、エレクトロルミネッセンス表示素子40、50内部の異常接触等の問題を抑制することができる。また、封止剤30自体がバリア性を有しているので、封止剤30を全面に設けて密閉度を高めることにより、透湿性・通気性を更に抑えることができ、エレクトロルミネッセンス表示素子40、50の保護性を向上させることができる。
【0053】
(バリア層)
このバリア層27は、本発明における表示装置において必須の層ではないが、図2、3に示すように、可撓性封止基材28側に好ましく設けられる層である。このバリア層27は、可撓性封止基材28と第2電極26との間、より具体的には、可撓性封止基材28と前述した封止剤30との間に形成され、上述した表示素子用プラスチック基板における無機化合物層(ガスバリア層)と同じ作用効果を発揮する。また、使用する材料についても特に限定されないが、上述の表示素子用プラスチック基板における無機化合物層(ガスバリア層)と同じ材料を好ましく用いることができる。
【0054】
バリア層27は、後述する可撓性封止基材28上に、反応性スパッタリング法や真空蒸着法等の物理蒸着法により形成される。バリア層27の成膜装置としては、後述するフィルム状の可撓性封止基材28をロール・トゥ・ロールで搬送しながら物理蒸着できる蒸着装置が用いられる。
【0055】
(可撓性封止基材)
可撓性封止基材28は、本発明における表示装置において、図2、3に示すように観察者側とは反対側の表面に設けられるものである。本発明における表示装置が片面側のみから観察される場合には可撓性封止基材28に透明性は要求されないが、両面側から観察されるような場合には可撓性封止基材28が透明性を有していることが好ましい。透明な可撓性封止基材28とすることにより、背面側からも文字等を観察者が容易に視認することができる。
【0056】
可撓性封止基材28としては、フィルム状の樹脂製基材が用いられる。フィルム状の樹脂製基材は、可撓性に優れ、丸めたり曲げたりすることができるので、多様な対象物に装着又は設置できる表示装置用の基材として好ましく用いられる。その形成材料及び形成方法については、上述した表示素子用プラスチック基板におけるプラスチックフィルム11と同じなので、ここでは省略する。なお、可撓性封止基材28の厚さについても、上述のプラスチックフィルム11と同様、50〜200μmであることが好ましく、表示装置に好ましいフレキシビリティを付与できる。
【0057】
(絶縁層)
絶縁層29は、上述した第1電極24と第2電極26との間に所定のパターンで形成される。形成された絶縁層29は、所定形状の発光表示領域を画定する。そして、その発光表示領域が、文字、図形、記号又はそれらの結合からなる表示パターンを構成したり、その発光可能領域以外の非発光領域が、文字、図形、記号又はこれらの結合からなる表示パターンを構成する。
【0058】
すなわち、両極間に設けられた絶縁層29は、両極間に印加された電圧を遮断するので、その両極間にEL層25が形成されている場合であっても、その領域での発光を妨げるように作用する。したがって、絶縁層29がパターン形成された領域は、非発光領域となり、その結果、発光表示領域を画定することとなる。一方、絶縁層29が形成されていない発光表示領域では、EL層25の両側には両電極が接触しているので、両極から電圧が加えられたEL層25は発光する。
【0059】
絶縁層29により画定される発光表示領域又は非発光領域としては、文字、図形、記号又はこれらの結合からなる表示パターンであることが好ましい。そうした表示パターンが表示されるように絶縁層29を形成すれば、文字、図形、記号又はこれらの結合等からなる特定の表示パターンに優れた効果を与えることができる。
【0060】
絶縁層29を形成するための材料としては、レジスト材料として使用されている感光性樹脂組成物が好ましく用いられる。感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物でもネガ型感光性樹脂組成物でもよい。ポジ型感光性樹脂組成物としては、例えば、光分解可溶型のキノンジアジド系感光性樹脂等を主成分とするものが挙げられる。また、ネガ型感光性樹脂組成物としては、例えば、光分解架橋型のアジド系感光性樹脂、光分解不溶型のジアゾ系感光性樹脂、光二量化型のシンナメート系感光性樹脂、光重合型の不飽和ポリエステル系感光性樹脂、光重合型のアクリレート樹脂又はカチオン重合系樹脂等を成分とするものが挙げられる。これらの感光性樹脂組成物には、光重合開始剤や増感色素等を必要に応じて配合することもできる。
【0061】
絶縁層29は、上述した感光性樹脂組成物を何れかの電極の全面に塗布し、パターン露光、現像を行って、所定のパターンに形成される。具体的には、先ず、上述した感光性樹脂組成物をスピンコート法により電極全面に形成し、その感光性樹脂組成物をマスクパターンで露光する。露光は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク又はメタルハライドランプ等の光源が用いられ、0.1〜10,000mJ/cm2、好ましくは10〜1,000mJ/cm2 の紫外線照射により行われる。
【0062】
(表示装置)
本発明における表示装置についての基本的な積層構造について説明したが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲であれば、上述した層以外の機能層が設けられていても構わない。そうした機能層としては、通常の表示装置に用いられている低屈折率層、反射層、光吸収層等が挙げられる。
【0063】
本発明における表示装置は、全体の厚さが400μm以下、好ましくは200μm以下、50μm以上となるように、上述した基材の厚さや層の厚さが調整されていることが好ましい。そうした範囲内の厚さを有する表示装置は、フレキシブルで、丸めたり曲げたりすることができ、電飾パネルとして視聴する場合には、複雑な形状に設置等することもできる。表示装置の厚さが400μmを超えると、やや柔軟性に劣ることがある。また、表示装置の厚さが50μm未満では、バリア性の低下やプロセス間の熱や応力による影響を受けやすい。
【0064】
本発明における表示装置においては、EL層25の一方の側にある少なくとも表示素子用プラスチック基板におけるプラスチックフィルム11及び第1電極24からなる積層構造と、他方の側にある少なくとも第2電極26及び可撓性封止基材28からなる積層構造とが、同一又は近似する膨張係数を有することが好ましい。こうすることにより、表示装置の製造工程中に加熱等の外的要因が加わったとしても、それにより表示装置が歪む等の悪影響が現れにくくなる。ここで、EL層25の一方の側にある積層構造と他方の側にある積層構造を、積層数、材質及び厚さ等において同一又は実質的に同一にすることにより、製造工程中に加わる外的要因が加わったとしても、その両側に生じる歪みが均衡化されるので、得られた表示装置が歪む等の悪影響を低減することができる。
【0065】
また、表示装置の製造工程において、各層を湿式法で形成することにより、連続製造が可能になり製造効率が高まるので、市場に受け入れられやすい価格設定で市場供給可能な発光表示パネルを提供できる。例えば、(1)連続蒸着法で第一無機化合物層12、第二無機化合物層14を形成してなる表示素子用プラスチック基板10と、可撓性封止基材28を予め準備しておき、(2)その表示素子用プラスチック基板10の第二無機化合物層14側に第1電極24をスパッタリング法で形成し、(3)その第1電極24上にEL層25を印刷法で形成し、(4)そのEL層25上に第2電極26を真空蒸着法で形成し、(5)その第2電極26上に封止剤30を塗布形成し、(6)その封止剤30上にバリア層27を備えた可撓性封止基材28を設ける。こうした湿式法を多くの工程で採用することにより、生産性に優れたロール・トゥ・ロール連続製造法で本発明における表示装置を製造できる。
【実施例】
【0066】
本発明におけるガスバリア積層体を具体的な実施例を挙げてさらに説明する。
【0067】
〔実施例1〕
(コーティング剤調製方法)
トルエン60重量部中にペンタエリスリトールトリアクリレート20重量部(日本化薬(株)製PET−30:商品名)、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート20重量部(東亜合成(株)製:M−215:商品名)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを2重量部(チバガイギー社製 イルガキュア184:商品名)を混合・攪拌して紫外線硬化樹脂層(有機平坦化層)を形成するためのコーティング剤を得た。
【0068】
(表示素子用プラスチック基板の製造)
プラスチックフィルムとして厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡社製A4300:商品名)を用い、この片面に巻き取り式真空成膜装置を用いて成膜を行った。成膜にあたり、まず成膜室内においてターゲットとしてシリコンを用い、Arを30sccm及び02を1sccm供給して、成膜を行い膜厚80nmの酸化ケイ素膜を得た。
【0069】
得られた酸化ケイ素膜上に上記コーティング剤をダイコートにて膜厚5μmとなるように塗布し、乾燥温度120℃、10m/minで乾燥させた後、150mJの紫外線を照射して紫外線硬化樹脂層(有機平坦化層)を形成した。
【0070】
さらに、紫外線硬化樹脂層上に保護層として先の無機化合物層の形成と同様にして膜厚80nmの酸化ケイ素成膜を形成し、表示素子用プラスチック基板を得た。
【0071】
〔実施例2〕
コーティング剤の膜厚を3.5μm塗布した以外は前記実施例1と同様の条件にて表示素子用プラスチック基板を得た。
【0072】
〔実施例3〕
コーティング剤の膜厚を15μm塗布した以外は前記実施例1と同様の条件にて表示素子用プラスチック基板を得た。
【0073】
〔実施例4〕
コーティング剤の膜厚を10μmとした以外は前記実施例1と同様の条件にて表示素子用プラスチック基板を得た。
【0074】
〔比較例1〕
コーティング剤の膜厚を0.5μm塗布した以外は前記実施例1と同様の条件にて表示素子用プラスチック基板を得た。
【0075】
〔比較例2〕
コーティング剤の膜厚を1.0μm塗布した以外は前記実施例1と同様の条件にて表示素子用プラスチック基板を得た。
【0076】
〔比較例3〕
コーティング剤の膜厚を50μm塗布した以外は前記実施例1と同様の条件にて表示素子用プラスチック基板を得た。
【0077】
〔実験例〕
前記実施例1〜4及び比較例1〜3で製造した表示素子用プラスチック基板について紫外線照射テスト(600mJ×15min)を行い表面及びカールの観察を行なった。その結果を下記の表1に示す。
【0078】
(紫外線照射テスト方法)
156mm□厚み2mmの鉄板(もしくはSUS板)の4辺に鉄板から8mm上にガラス板が載置できる樹脂製の台を設け、その台の上に150mm□、1mm厚のガラス板を載せる。このガラス板の上にテストサンプルをのせるが、カールが大きい場合にはカプトンテープなどで4辺を貼る。この状態で、UV洗浄装置(オーク製作所製UV DRY PROCESSOR 120Wx7灯)に台ごとセットし、15分間照射する。
【0079】
表1において、表面外観における○は、気泡発生がなく黄変を除いてUV照射前とおなじ外観であることを意味し、×はUV照射により気泡もしくは気泡のような斑点状のものが観察されることを意味し、カールにおける○は、150mm角にカットした時の4つの角の反りの和の平均が5mm以内であることを意味し、×は150mm角にカットした時に角の反りが5mmより大きい場合であることを意味する。
【0080】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明における表示素子用プラスチック基板は、透明で酸素や水蒸気の透過に対するバリア性が必要とされる有機EL素子などの基材として有用である。したがって、該表示素子用プラスチック基板を用いて製造した表示装置は、ガスバリア層にダメージがないため、安定した性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明における表示素子用プラスチック基板の1実施例を示す模式断面図である。
【図2】本発明における表示装置を構成する積層体の一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明における表示装置を構成する積層体の他の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0083】
10 表示素子用プラスチック基板
11 プラスチックフィルム
12 第一無機化合物層
13 紫外線硬化樹脂層
14 第二無機化合物層
24 第1電極
25 EL層
26 第2電極
27 バリア層
28 可撓性封止基材
29 絶縁層
30 封止剤
40 エレクトロルミネッセンス表示素子
50 エレクトロルミネッセンス表示素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)表示装置用プラスチック基板を用いてなる表示装置の製造方法であって、
(2)プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機化合物層と紫外線硬化樹脂層を該順序で交互に1回以上積層し、該紫外線硬化樹脂層の上にさらに最外層として無機化合物層を積層することにより各紫外線硬化樹脂層は上下に無機化合物層が積層された表示素子用プラスチック基板とし、
該表示素子用プラスチック基板における前記紫外線硬化樹脂層を形成する樹脂がアクリルモノマーを主成分とする樹脂からなり、
該表示素子用プラスチック基板における前記紫外線硬化樹脂層の膜厚が3.5〜30μmであり、
該表示素子用プラスチック基板における前記無機化合物層が、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素及び窒化ケイ素から選ばれた1種以上の材料が用いられ、該無機化合物層の膜厚が10〜300nmであり、
(3)前記工程で得られた表示素子用プラスチック基板をUV洗浄することにより耐UV性を表示素子用プラスチック基板に付与し、
(4)前記工程で得られた耐UV性を付与した表示素子用プラスチック基板を用いて表示装置を製造することを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−101937(P2013−101937A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265559(P2012−265559)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2007−8579(P2007−8579)の分割
【原出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】