説明

表示装置及びその製造方法

【課題】低コストで製造でき、電極までの電気配線における電力消費を抑制でき、輝度を良好に保つことが可能な表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板10の上側に陰極11Aが設けられ、陰極11Aの上側には、電圧の印加によって発光する発光層11Cが設けられている。発光層11Cを挟んで陰極11Aと対向する位置には、光透過性のある材料で構成された陽極11Gが設けられている。各発光層11Cの間を絶縁する隔壁11Dが設けられている。隔壁11Dの上方には、金属配線11Fが設けられている。金属配線11Fは、陽極11Gと接続されている。陽極11Gへの電力の供給は、金属配線11Fを介して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料等の表示用組成物を備えた表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機材料等の表示用組成物を備えた表示装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の発光電界素子では、透明基板上に形成された陽極をパターンニングして陽極群とした後に、陽極群間にバンクを形成する。そして、バンク間に電荷注入輸送層と発光層とを形成して、その上に陰極群を形成している。これによって、陰極と陽極の間に電圧が印加された場合に、発光層が発光する。このような発光電界素子では、発光層から発光された光を外部に出射するために、電極の一方には、透明電極が用いられる。この透明電極の材料としてITO(酸化インジウムスズ)が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−87063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、透明な材料であるITOに含まれるインジウムは、希少材料であり、例えば、金や銅などの不透明な金属と比較して高価な材料である。このため、電極に電荷を供給するための電気配線と、電極とをITOで形成した場合、表示装置の製造コストが高くなるという問題点があった。また、ITOは、例えば、金や銅などの不透明な金属と比較して、電気抵抗が大きい。このため、電極に電荷を供給するための電気配線にITOを使用した場合、電気配線で消費される電力が、金や銅などの金属の場合と比較して大きくなるという問題点があった。また、ITO以外の光透過性のある材料は、ITOよりもさらに電気抵抗が大きい。このため、電極に電荷を供給するための電気配線と、電極とをITO以外の光透過性のある材料を使用した場合、消費される電力がさらに大きくなる。この結果、発光層に十分な電力を供給できず、表示装置の輝度を良好に保つことができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、低コストで製造でき、電極までの電気配線における電力消費を抑制でき、輝度を良好に保つことが可能な表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係る表示装置は、板状の基板と、前記基板の一の面に設けられた複数の電極である第一電極と、前記第一電極を挟んで前記基板と対向する位置に設けられ、電圧の印加によって発光する表示用組成物と、前記各表示用組成物の間を絶縁する隔壁と、前記表示用組成物を挟んで前記第一電極と対向する位置に設けられた、光透過性のある材料で構成される電極である第二電極と、前記隔壁の端面に対向して設けられ、前記第二電極と接続され、前記第二電極に電荷を供給する不透明な金属製の電気配線である金属配線とを備えている。
【0007】
この場合、第二電極までの電気配線が不透明な金属で形成されている。金属は、光透過性のある導電材料と比べて電気抵抗が小さく、かつ安価であるため、低コストで良好な輝度を有する表示装置を製造することができる。
【0008】
前記表示装置において、前記表示用組成物の表面と前記隔壁の端面とに接触して設けられ、前記第二電極から供給される電荷を前記表示用組成物に注入する電荷注入層をさらに備え、前記第二電極は、前記前記表示用組成物と前記電荷注入層とを挟んで前記第一電極と対向する位置に設けられ、前記金属配線は、少なくとも前記電荷注入層を挟んで前記隔壁と対向する位置に設けられていてもよい。
【0009】
この場合、電荷注入層は、第二電極から供給される電荷を効率よく表示用組成物に注入することができる。このため、表示用組成物を良好に発光させることができる。
【0010】
前記表示装置において、前記第二電極は、酸化インジウムスズ以外の光を透過することができる材料で構成されていてもよい。この場合、高価なITOの使用量をさらに削減できるため、低コストで良好な輝度を有する表示装置を製造することができる。
【0011】
前記表示装置において、前記第二電極は、光透過性のある有機物で構成されていてもよい。光透過性のある有機物は、酸化インジウムスズよりも安価である。このため、さらに低コストで良好な輝度を有する表示装置を製造することができる。
【0012】
本発明の第二の態様に係る表示装置の製造方法は、板状の基板の一の面側に複数の電極である第一電極を形成する第一電極形成工程と、前記第一電極形成工程において形成された前記第一電極を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層形成工程において形成された前記絶縁層上の前記第一電極に対向する位置に、前記絶縁層を溶解する溶媒と電圧の印加によって発光する表示用組成物とを含有するインク溶液を塗布するインク溶液塗布工程と、前記インク溶液塗布工程において塗布された前記インク溶液が前記絶縁層を溶解した後に、前記インク溶液の前記溶媒を蒸発させ、前記第一電極と接触するように前記表示用組成物を形成する表示用組成物形成工程と、前記インク溶液によって溶解された後の前記絶縁層である隔壁の端面に対向する位置に、金属製の電気配線である金属配線を形成する金属配線形成工程と、前記表示用組成物形成工程によって形成された前記表示用組成物の表面に、光透過性のある材料で構成される電極である第二電極を、前記金属配線に接続するように形成する第二電極形成工程とを備えている。
【0013】
この製造方法によると、低コストで製造でき、電気配線で消費される電力を抑制することができ、表示装置の輝度を良好に保つことができる表示装置を製造することができる。
【0014】
前記表示装置の前記製造方法において、前記表示用組成物形成工程によって形成された前記表示用組成物の表面と、前記インク溶液によって溶解された後の前記絶縁層である隔壁の端面とに、前記第二電極から供給される電荷を前記表示用組成物に注入する電荷注入層を形成する電荷注入層形成工程をさらに備え、前記金属配線形成工程は、少なくとも前記電荷注入層を挟んで前記隔壁と対向する位置に前記金属配線を形成し、前記第二電極形成工程は、前記表示用組成物と前記前記電荷注入層とを挟んで前記第一電極と対向する位置に、前記第二電極を形成してもよい。
【0015】
この製造方法のよると、表示用組成物を良好に発光させることができる表示装置を製造することができる。
【0016】
前記表示装置の前記製造方法において、前記第二電極は、酸化インジウムスズ以外の光を透過することができる材料で構成されていてもよい。この製造方法によると、輝度を良好に保つことができる表示装置を低コストで製造することができる。
【0017】
前記表示装置の前記製造方法において、前記第二電極は、光透過性のある有機物で構成されていてもよい。この製造方法によると、さらに低コストで良好な輝度を有する表示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】有機ELディスプレイ1の全体構成を示す分解斜視図である。
【図2】駆動TFT12の構成を示す回路図である。
【図3】有機EL素子11の製造工程を示すフローチャートである。
【図4】有機EL素子11の製造工程を示す図である。
【図5】有機EL素子11の製造工程を示す図である。
【図6】インクジェットヘッド30の構成を示す説明図である。
【図7】有機ELディスプレイ2の全体構成を示す分解斜視図である。
【図8】有機EL素子51の製造工程を示すフローチャートである。
【図9】有機EL素子51の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第一実施形態)
以下、本発明に係る表示装置の製造方法の第一実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、表示装置として、有機ELディスプレイを例に挙げて説明する。
【0020】
まず、有機ELディスプレイ1の全体構成を図1を用いて説明する。有機ELディスプレイ1は、ガラス基板10と、そのガラス基板10上に配置された有機EL素子11、駆動TFT12、水平駆動回路13、垂直駆動回路14、及び封止層16を備えている。
【0021】
上記有機EL素子11は、ガラス基板10の中央部に形成されており、碁盤の目状に、15の画素に分割されている。それぞれの画素は、発光層11C(表示用組成物)と、その発光層11Cを上下から挟む陰極11Aと、透明な陽極11Gとを備えている。
【0022】
有機EL素子11について、陰極11Aと陽極11Gとの間に直流電圧をかけると、陽極11Gから正孔が発光層11Cに供給され、陰極11Aから電子が発光層11Cに供給される。そして、陽極11Gから供給された正孔と、陰極11Aから供給された電子とが発光層11Cで再結合する。この際、発光層11Cは発光し、封止層16を透過して、上方(図1における上方)に光を照射する。一方、陰極11Aと陽極11Gとの間の電圧がOFFの時には消光する。
【0023】
ガラス基板10の左前部には、駆動TFT12と水平駆動回路13と垂直駆動回路14とを備える電気回路部110が設けられている。上記駆動TFT12は、有機EL素子11の個々の画素ごとに1組ずつ設けられており、電気配線111を介して陰極11Aと接続されている。駆動TFT12は、対応する画素への電流供給を制御するスイッチとして作用する。上記水平駆動回路13及び上記垂直駆動回路14は、各画素に対応する駆動TFT12を、オン又はオフにすることにより、各画素の独立発光及び消灯制御を行う。上記封止層16は、有機EL素子11と電気回路部110とを上から覆い、保護するものである。
【0024】
次に、上記駆動TFT12について、図2を用いて説明する。有機ELディスプレイ1には、有機EL素子11の1画素ごとに、駆動TFT12が設けられている。この駆動TFT12は、有機EL素子11の個々の画素への電流の供給を制御するスイッチとして機能する。
【0025】
駆動TFT12の構成を、図2の等価回路を用いて説明する。なお、図2は、6個の画素についての繰り返し図である。駆動TFT12は、図2に示す様に、データ線12F、走査線12E、Pチャネル型のTFT12B、コンデンサ12C、及びNチャネル型のTFT12Aを備えている。データ線12Fは、垂直駆動回路14に接続されている。走査線12Eは、水平駆動回路13に接続されている。TFT12Bにおいて、ゲート電極は走査線12Eに接続され、ソース電極はデータ線12Fに接続され、ドレイン電極は、コンデンサ12CとTFT12Aのゲート電極とに接続されている。コンデンサ12Cの一方の電極は、グランド線12Gに接続されている。TFT12Aにおいて、ソース電極はグランド線12Gに接続され、ドレイン電極は、陰極11Aを介して発光層11Cに接続されている。また、発光層11Cは、陽極11Gを介して電源線12Dと接続されている。そして、水平駆動回路13および垂直駆動回路14が、走査線12Eとデータ線12Fとの電圧を制御することによって、発光層11Cの発光および消光を制御する。なお、以下の説明では、グランド線12Gと同じ電圧を「低電圧」といい、グランド線12Gよりも高い電圧を「高電圧」という。
【0026】
走査線12Eが、水平駆動回路13から供給される走査信号によって低電圧となり、データ線12Fが、データ線12Fから供給される信号によって、高電圧となると、TFT12Bがオンになる。これによって、コンデンサ12Cには、TFT12Bを介してデータ線12Fから電荷が供給され、保持される。TFT12Aのゲート電極には、コンデンサ12Cによって保持された電荷が供給され、この電荷に相当する時間だけTFT12Aがオンになる。これによって、電源線12Dから、陽極11G、発光層11C、陰極11A、およびTFT12Aを介して、グランド線12Gに向けて電流が流れる。これによって、発光層11Cが発光する。
【0027】
一方、水平駆動回路13によって走査線12Eが高電圧になるか、垂直駆動回路14によってデータ線12Fが低電圧になった場合には、TFT12Bがオフになり、発光層11Cには電流が流れないので、発光層11Cは消光する。
【0028】
次に、有機ELディスプレイ1の製造方法を図3〜図5を用いて説明する。なお、図3は、有機ELディスプレイ1のうち、有機EL素子11の部分のみの製造工程を示したフローチャートであり、図4及び図5は、図3の各工程における有機EL素子11を示した外観図である。ここでは、特に、要部である有機EL素子11の製造方法を説明する。
【0029】
まず、陰極形成工程(S11)では、ガラス基板10上に、マスク真空蒸着により、所定のパターンに従って、Al/LiF(フッ化リチウム)の層を形成し、陰極11Aを形成する(図4(A)参照)。なお、このとき、陰極11Aまでの電気配線111(図1参照)も形成する。この時、Al層と、LiF層の厚みは、それぞれ、例示として1000Å、10Åとし、連続的に積層する。なお、Al/LiFの代わりに、Al、Al/Ca、Ag/Mg、及びAl/Baのいずれかで陰極11Aと電気配線111とを形成してもよい。
【0030】
次いで、絶縁層形成工程(S12)では、陰極11A及びガラス基板10上の、有機EL素子11を形成する部分全体に、スピンコート法、ディップ法、カーテンコート法、バーコート法、印刷法もしくはインクジェット法を用いて、PVKからなる絶縁層11Bを形成する(図4(B)参照)。絶縁層11Bの厚みは、陰極11A間の絶縁を保持できる厚みであればよく、薄い方が、インクジェットの液滴径(ドロップ径)を考えると、高分解能、高画質の点で好ましい。また、絶縁層11Bは、後述する工程において溶解させるので、半キュアー状態(完全に硬化していない状態)が望ましい。
【0031】
また、有機EL膜(表示用組成物)の成分及び炭化水素系溶媒から成るインク21(インク溶液)を予め調製しておく。具体的には、以下の成分を、それぞれ対応する重量比で混合することにより調製する。
【0032】
ホール輸送性ポリマーである、カルバゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子化合物(PVK):16重量比
電子輸送材料(BND):4重量比
発光中心形成化合物(クマリン):1重量比
炭化水素系溶媒(テトラリン):インク21において、PVK、BND、及び発光中心化合物の合計濃度が2wt%となる重量比
【0033】
上記インク21の粘度は、1×10−3〜1×10Pa・sとすることができるが、このうち、5×10−3〜1.5×10−2Pa・sの範囲にあることが、インクジェット法を用いてインク21を吐出する際のドロップ径を制御する上で望ましい。また、上記インク21の表面張力は、20〜50mN/mの範囲にあることが、インクジェット法によるインクの吐出の際の飛行曲がりを抑えることができるので好ましい。
【0034】
次いで、インク溶液塗布工程(S13)では、調製したインク21を、インクジェットヘッド30(図6参照)を用い、絶縁層11B上において、陰極11Aに対向する位置の、画素を形成するべき15カ所に、選択的に塗布する(図4(C)参照)。このインクジェットヘッド30は、図6に示す様に、圧電素子30Aを備えた圧電素子方式のインクジェットヘッドであり、ドライバー30Cからの信号に応じて、インクジェットヘッド本体30Dに形成したオリフィス30Bから、インク21のドロップを吐出する。吐出の駆動周波数は1kHzとし、ドロップ1個の液適量を50μlとする。インク21が塗布された場所では、塗布されたインク21中に含まれる溶媒により、絶縁層11Bが溶解し、インク21は陰極11Aに達する(図4(D)参照)。
【0035】
次いで、表示用組成物形成工程(S14)では、50〜60℃で30分間乾燥させることにより、インク21中の溶媒を蒸発させ、インク21の不揮発成分である表示用組成物を、陰極11Aと電気的接合を持った状態で固化させる。この固化させた表示用組成物を発光層11Cとする(図4(D)参照)。
【0036】
なお、固化した15カ所の発光層11Cは、それぞれが、1画素に対応する。この時、図4(D)に示すように、インク21により溶解された絶縁層11Bは、インク21を滴下した部分の周辺部に偏析し、インク21に含まれていた表示用組成物は、インク21を滴下した部分の中央において固化する。この理由としては、インク21に含まれる溶媒に対する溶解度において、表示用組成物の方が、絶縁層11Bよりも大きいことが考えられる。
【0037】
また、インク21が塗布されなかった部分の絶縁層11Bは、溶解されずに残り、発光層11Cを隔てる隔壁11Dとなる(図4(D)参照)。
【0038】
次いで、フォトレジスト層形成工程(S15)では、S14の工程において形成された発光層11C及び隔壁11Dの上側に、スピンコート法によってネガ型のフォトレジストを塗布し、フォトレジスト層11Eを形成する(図5(E)参照)。
【0039】
次いで、金属層形成工程(S16)では、S15の工程において形成されたフォトレジスト層11Eの上側に、蒸着法によって金属層11Fが形成される(図5(F)参照)。金属層11Fの材料には、例えば、金や、銅などの不透明な使用される。
【0040】
次いで、露光・エッチング工程(S17)では、まず、ガラス基板10の下側から光を照射し、フォトレジスト層11Eを露光する。照射された光の一部は、陰極11Aに反射されるため、陰極11Aに対向する位置のフォトレジスト層11Eは露光されず硬化しない。その後、エッチングにより、硬化していない部分のフォトレジスト層11Eと同時に、金属層11Fを取り除く(図5(G)参照)。これによって、陰極11Aに対向するフォトレジスト層11E及び金属層11Fが取り除かれる。
【0041】
次いで、陽極形成工程(S18)では、インクジェット法によって、S17の工程でフォトレジスト層11Eと金属層11Fとが取り除かれた、陰極11Aに対向する部分に、電極を形成するための、光透過性のある材料が選択的に塗布される。これによって透明な陽極11Gが形成される(図5(H)参照)。このとき、陽極11Gの上部は、隣接する金属層11Fと接続される。この金属層11Fが、透明な陽極11Gに電力を供給する金属配線11Fとして機能する。
【0042】
透明な陽極11Gを形成するための材料には、例えば、ITO、IZO、PEDOT、ポリアニリン、ポリピロール、及びTCNQのうちの少なくとも一種が使用される。なお、ITOを使用して透明な陽極11Gを形成する場合は、フォトレジスト層11Eと金属層11Fとが取り除かれた、陰極11Aに対向する部分(図4(G)参照)に、MOを蒸着した後、スパッタリングによってITO層を形成する。
【0043】
S18の工程において形成された陽極11Gは、発光層11Cを挟んで、陰極11Aと対向する。陰極11Aと陽極11Gとによって発光層11Cに電圧が印加されることによって発光層11Cが発光する。
【0044】
上記のようにして有機EL素子11をガラス基板10の中心部に形成するとともに、ガラス基板10の周辺部に、駆動TFT12と水平駆動回路13と垂直駆動回路14とを備える電気回路部110を形成する。さらには、封止層16により、有機EL素子11、電気回路部110を覆うことにより、有機ELディスプレイ1を完成する。
【0045】
この封止層16は、ガラス板から成り、その下面(図1における下面)には、有機EL素子11との間に、0.3〜0.5mmの隙間が生じるように、乾燥剤が取り付けられている。封止層16を取り付ける際には、その隙間に、窒素ガスを封入する。
【0046】
以上、本実施形態の製造方法によれば、表示用組成物及び溶媒を含むインク21を、画素を形成すべき場所に塗布することにより、発光層11Cの形成と、発光層11Cを隔てる隔壁11Dの形成とを、同時に行うことができる。つまり、インク21を塗布した部分においては、インク21に含まれる溶媒が絶縁層11Bを溶解し、発光層11Cが形成され、インク21が塗布されない部分では、絶縁層11Bが残存し、画素間を隔てる隔壁11Dとなる。そのため、有機EL膜間の隔壁を形成するために、露光、エッチング等の独立した工程を行う必要がない。よって、製造工程を短縮することができ、製造コストを低くすることができる。
【0047】
また、インクジェットヘッド30として、圧電素子方式を用いることにより、バブルジェット(登録商標)方式のように、インク吐出のための熱源がないので、インク材料の劣化が起こらないこと、インク21の溶媒の選択範囲が広いこと、吐出するインク21の液滴量の制御がしやすいこと、駆動周波数を高くできること、耐久性が高いこと、という利点が得られる。
【0048】
また、本実施形態では、S18の工程において、透明な陽極11Gが、金属層11F(つまり、金属配線11F)と接続されている。透明な陽極11Gへの電力の供給は、金属配線11Fを介して行われる。金属配線11Fに使用される金属は、光透過性のある材料と比べて電気抵抗が小さい。このため、例えば、従来のようにITOを用いて透明な陽極11Gまでの電気配線を形成する場合に比べて、電気配線で消費される電力を抑制することができる。金属配線11Fで消費される電力が小さいので、陽極11Gまで十分な電力を供給できる。このため、例えば、ITOよりも電気抵抗が大きい光透過性のある材料で陽極11Gを形成しても、表示装置の輝度を良好に保つことができる。また、金属配線11Fに使用される不透明な金属は、ITOよりも安価である。ITOに用いられるインジウムは希少材料であるため、ITOが高価になるためである。このため、ITOを用いて金属配線11Fを形成する場合に比べて低コストで有機ELディスプレイ1を製造することができる。
【0049】
また、金属配線11Fは、隔壁11Dの上方に設けられている。つまり、発光層11Cの上方には設けられていない。このため、金属配線11Fに不透明な金属を使用した場合でも、発光層11Cから出射される光は、金属配線11Fによっては遮断されない。このため、有機ELディスプレイ1の輝度に影響を与えない。
【0050】
また、仮に、金属配線11Fに代えて、ITO以外の光透過性のある材料を陽極11Gに電力を供給する電気配線に使用した場合、有機ELディスプレイ1の輝度を良好に保つことができない。ITO以外の光透過性のある材料は、一般的に不透明な金属やITOよりも電気抵抗が大きいため、電気配線で消費される電力が大きく、陽極11Gまで十分な電力を供給できないからである。一方、本実施形態では、金属配線11Fが不透明な金属で構成されている。このため、光透過性のある材料を陽極11Gに電力を供給する電気配線に使用した場合よりも、金属配線11Fで消費される電力が小さい。つまり、陽極11Gに供給できる電力が大きい。よって、ITO以外の光透過性のある材料を陽極11Gに使用した場合でも、有機ELディスプレイ1の輝度を良好に保つことができる。また、ITO以外の光透過性のある材料を陽極11Gに使用すれば、高価なITOを使用する必要がない。このため、有機ELディスプレイ1のコストダウンを行うことができる。また、ITO以外の光透過性のある材料として、光透過性のある有機物を、陽極11Gに使用した場合でも、同様の効果を得ることが可能である。この光透過性のある有機物は、例えば、PEDOT、ポリアニリン、ポリピロール、及びTCNQである。
【0051】
(第二実施形態)
続いて、本発明に係る表示装置の製造方法の第二実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、表示装置として、第一実施形態と同様に有機ELディスプレイを例に挙げて説明する。第二実施形態は、発光層11Cと陽極との間に、ホール注入層が備えられている。以下、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0052】
まず、有機ELディスプレイ2の全体構成を図7を用いて説明する。なお、第一実施形態と同一の機能を有するものには同じ符号を付している。有機ELディスプレイ2は、ガラス基板10と、そのガラス基板10上に配置された有機EL素子51、駆動TFT12、水平駆動回路13、垂直駆動回路14、及び封止層16を備えている。
【0053】
上記有機EL素子51は、ガラス基板10の中央部に形成されており、碁盤の目状に、15の画素に分割されている。それぞれの画素は、発光層11C(表示用組成物)と、その発光層11Cを上下から挟む陰極11A及びホール注入層51Hと、そのホール注入層51Hと接合される透明な陽極51Gとを備えている。
【0054】
有機EL素子51について、陰極11Aと陽極51Gとの間に直流電圧をかけると、陽極51Gから正孔が発光層11Cに供給され、陰極11Aから電子が発光層11Cに供給される。そして、陽極51Gから供給された正孔と、陰極11Aから供給された電子とが発光層11Cで再結合する。この際、発光層11Cは発光し、封止層16を透過して、上方(図7における上方)に光を照射する。一方、陰極11Aと陽極51Gとの間の電圧がOFFの時には消光する。また、ホール注入層51Hは、陽極51Gから供給されるホールを効率よく発光層11Cに注入する役割を担っているとともに、透明な陽極51Gに使用される材料と、発光層11Cに使用される材料とが、混じり合わないようにする役割を担っている。
【0055】
なお、電気配線111、駆動TFT12、水平駆動回路13、垂直駆動回路14、及び電気回路部110については、第一実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0056】
次に、有機ELディスプレイ2の製造方法を図8及び図9を用いて説明する。なお、図8は、有機ELディスプレイ2のうち、有機EL素子51の部分のみの製造工程を示したフローチャートであり、図9は、図8の各工程における有機EL素子51を示した外観図である。したがって、ここでは、特に、要部である有機EL素子51の製造方法を説明する。
【0057】
第一実施形態の場合と同じ工程は、同じ符号で表す。図8に示すように、まず、第一実施形態の場合(図3参照)と同様に、S11〜S14の工程が行われる。これによって、第一実施形態の場合と同様に、発光層11C及び隔壁11Dが形成される(図4(A)〜図4(D)参照)。
【0058】
次いで、ホール注入層形成工程(S21)では、アミン系ポリマーをトルエン溶媒に溶解させ、スピンコート法、ディップ法、カーテンコート法、バーコート法、印刷法もしくはインクジェット法を用いて塗布することによってホール注入層51Hを形成する(図9(E)参照)。
【0059】
次いで、フォトレジスト層形成工程(S22)では、S21の工程において形成されたホール注入層51Hの上側に、スピンコート法によってネガ型のフォトレジストを塗布し、フォトレジスト層51Eを形成する(図9(F)参照)。
【0060】
次いで、金属層形成工程(S23)では、S22の工程において形成されたフォトレジスト層51Eの上側に、蒸着法によって金属層51Fを形成する(図9(G))。金属層51Fの材料には、例えば、金や、銅などの不透明な金属が使用される。
【0061】
次いで、露光・エッチング工程(S24)では、まず、ガラス基板10の下側から光を照射し、フォトレジスト層51Eを露光する。照射された光の一部は、陰極11Aに反射されるため、陰極11Aに対向する位置のフォトレジスト層51Eは露光されず硬化しない。その後、エッチングにより、硬化していない部分のフォトレジスト層51Eと同時に、金属層51Fを取り除く。これによって、陰極11Aに対向するフォトレジスト層51E及び金属層51Fが取り除かれる(図9(H)参照)。
【0062】
次いで、陽極形成工程(S25)では、インクジェット法によって、S24の工程でフォトレジスト層51Eと金属層51Fとが取り除かれた、陰極11Aに対向する部分に、電極を形成するための光透過性のある材料が選択的に塗布される。これによって透明な陽極51Gが形成される(図9(I)参照)。このとき、陽極51Gの上部は、隣接する金属層51Fと接続される。この金属層51Fが、透明な陽極51Gに電力を供給する金属配線51Fとして機能する。
【0063】
透明な陽極51Gを形成するための材料には、例えば、ITO、IZO、PEDOT、ポリアニリン、ポリピロール、及びTCNQのうちの少なくとも一種が使用される。なお、ITOを使用して透明な陽極51Gを形成する場合は、フォトレジスト層51Eと金属層51Fとが取り除かれた、陰極11Aに対向する部分(図9(H)参照)に、MOを蒸着した後、スパッタリングによってITO層を形成する。
【0064】
S25の工程において形成された陽極51Gは、発光層11Cを挟んで、陰極11Aと対向する。陰極11Aと陽極51Gとによって発光層11Cに電圧が印加されることによって発光層11Cが発光する。
【0065】
上記のようにして有機EL素子51をガラス基板10の中心部に形成するとともに、ガラス基板10の周辺部に、駆動TFT12と水平駆動回路13と垂直駆動回路14とを備える電気回路部110を形成する。さらには、封止層16により、有機EL素子51、電気回路部110を覆うことにより、有機ELディスプレイ2を完成する。
【0066】
この封止層16は、ガラス板から成り、その下面(図1における下面)には、有機EL素子51との間に、0.3〜0.5mmの隙間が生じるように、乾燥剤が取り付けられている。封止層16を取り付ける際には、その隙間に、窒素ガスを封入する。
【0067】
以上、本実施形態の製造方法によって製造される有機ELディスプレイ2は、ホール注入層51Hを備えている。ホール注入層51Hは、陽極51Gから供給されるホールを効率よく発光層11Cに注入することができる。このため、発光層11Cを良好に発光させることができる。また、ホール注入層51Hが、陽極51Gと発光層11Cの間に設けられているため、透明な陽極51Gに使用される材料と、発光層11Cに使用される材料とが、混じり合わないようにすることができる。
【0068】
また、第一実施形態の製造方法と同様に、表示用組成物及び溶媒を含むインク21を、画素を形成すべき場所に塗布することにより、発光層11Cの形成と、発光層11Cを隔てる隔壁11Dの形成とを、同時に行うことができる。そのため、有機EL膜間の隔壁を形成するために、露光、エッチング等の独立した工程を行う必要がない。よって、製造工程を短縮することができ、製造コストを低くすることができる。
【0069】
また、第一実施形態の場合と同様に、ITOを用いて金属配線51Fを形成する場合に比べて低コストで有機ELディスプレイ2を製造することができる。また、金属配線51Fは、隔壁11Dの上方に設けられているため、有機ELディスプレイ2の輝度に影響を与えない。
【0070】
また、第一実施形態の場合と同様に、ITO以外の光透過性のある材料を陽極51Gに使用した場合でも、有機ELディスプレイ2の輝度を良好に保つことができる。また、ITO以外の光透過性のある材料を陽極51Gに使用すれば、高価なITOを使用する必要がないため、有機ELディスプレイ2のコストダウンを行うことができる。また、ITO以外の光透過性のある材料として、光透過性のある有機物を、陽極51Gに使用した場合でも、同様の効果を得ることが可能である。
【0071】
なお、本発明は上記第一、第二実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、金属層11F、51Fは、それぞれフォトレジスト層11E、51Eの上側に設けられていたが、これに限定されない。金属層11F、51Fは、隔壁11Dの上方に設けられていればよい。このため、例えば、フォトレジスト層11E、51Eを形成しなくてもよい。
【0072】
また、発光中心形成化合物としては、クマリンに限らない。発光中心形成化合物を変更することによって、発光中心形成化合物に応じた色の光を発することができる表示装置を製造することができる。発光中心形成化合物としては、例えば、ヘテロ芳香族化合物、スチルベン系化合物の蛍光、燐光物質の中から選ばれる1または2以上の物質を使用することができる。低分子材料では、例えば、ペリレン、ルブレン、ナイルレッド、DCM(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−ジメチルアミノスチリル−4−ピラン)、DCJTB(4−ジシアノメチレン−6−シーピージュロリジノスチリル−2−ターシャルブチル−4H−ピラン)、TPB(テトラフェニルブタジエン)、スクアリリウム、アルミニウム錯体(例えばAlQ3)等を用いることができる。また、燐光材料では、例えば、緑色Ir(PPy)3、青色FIrpic、赤色btp2Ir(acac)を用いることができる。また、塗布化できる高分子材料では、例えば、インク化できる高分子系発光材料を用いることができる。具体的には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン誘導体等を用いることができる。
【0073】
また、インクを構成するポリマーとしては、カルバゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子(PVK)の代わりに、トリフェニルアミン誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子(例えばPTPDES(含テトラフェニルジアミン−ポリ(アリレンエステルスルフォン))等のホール輸送性ポリマーや、オキサジアゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子(例えばPVMOXD(ポリビニルメチルオキサジアゾール))等の電子輸送性ポリマーを用いることができる。
【0074】
また、電子輸送材料としては、BNDに限らない。例えば、オキサジアゾール系、オキサゾール系、トリフェニルメタン系、ヒドラゾリン系、アリールアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、シロール系の中から選ばれる1又は2以上のホール輸送材料、又は、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルミニウム錯体、シロール系の中から選ばれる1又は2以上の電子輸送材料を用いることができる。具体的には、TPD(N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン)、α−NPD(N,N'−ジ(1−ナフチル)−N,N'ジフェニルベンジジン)、TAPC(1,1−ビス(ジ4トリルアミノフェニル)−シクロヘキサン)、PPD(N,N'−ジ(9−フェナントリル)−N,N'−ジフェニルベンジジン)、TRP、NPB(α−NPDの2量体)、tBu−PBD(2−(4−ビフェニル)−5−(パーシャル−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、TAZ(3−(4'−ターシャル−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4''−ビフェニル)−1,2,4−トリアゾール)、AlQ3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III))、Bphen(バソフェナントロリン)、P−EtTAZ(3−(4'−ターシャル−ブチルフェニル)−4−(パラエチルフェニル)−5−(4''−ビフェニル)−1,2,4トリアゾール)等を用いることができる。
【0075】
また、絶縁層としては、PVKの代わりに、例えば、ポリスチレン、ナイロン(ポリアミド)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、シクロオレフィンポリマーのいずれかを用いることができる。
【0076】
また、インク21を構成する溶媒としては、炭化水素系溶媒の代わりに、ハロゲン炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン、アルデヒド、ドデシルベンゼン、テトラリン、ジクロルエタン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルの中から選ばれる1又は2以上の物質を用いることができる。
【0077】
また、基板の材料としては、ガラスの代わりに、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
【0078】
なお、上記実施形態において、ガラス基板10が本発明の「基板」に相当し、陰極11Aが本発明の「第一電極」に相当する。陽極11G及び陽極51Gが本発明の「第二電極」に相当し、ホール注入層51Hが本発明の「電荷注入層」に相当する。図3及び図8のS11の工程が本発明の「第一電極形成工程」に相当し、金属配線11Fを形成する図3のS16とS17との工程、及び、金属配線51Fを形成する図8のS23とS24との工程が本発明の「金属配線形成工程」に相当する。図3のS18の工程及び図8のS25の工程が本発明の「第二電極形成工程」に相当し、図8のS21の工程が本発明の「電荷注入層形成工程」に相当する。
【符号の説明】
【0079】
1 有機ELディスプレイ
2 有機ELディスプレイ
10 ガラス基板
11 有機EL素子
11A 陰極
11B 絶縁層
11C 発光層
11D 隔壁
11F 金属配線
11G 陽極
51 有機EL素子
51F 金属配線
51G 陽極
51H ホール注入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基板と、
前記基板の一の面に設けられた複数の電極である第一電極と、
前記第一電極を挟んで前記基板と対向する位置に設けられ、電圧の印加によって発光する表示用組成物と、
前記各表示用組成物の間を絶縁する隔壁と、
前記表示用組成物を挟んで前記第一電極と対向する位置に設けられた、光透過性のある材料で構成される電極である第二電極と、
前記隔壁の端面に対向して設けられ、前記第二電極と接続され、前記第二電極に電荷を供給する不透明な金属製の電気配線である金属配線と
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示用組成物の表面と前記隔壁の端面とに接触して設けられ、前記第二電極から供給される電荷を前記表示用組成物に注入する電荷注入層をさらに備え、
前記第二電極は、
前記前記表示用組成物と前記電荷注入層とを挟んで前記第一電極と対向する位置に設けられ、
前記金属配線は、
少なくとも前記電荷注入層を挟んで前記隔壁と対向する位置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第二電極は、酸化インジウムスズ以外の光を透過することができる材料で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第二電極は、光透過性のある有機物で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
板状の基板の一の面側に複数の電極である第一電極を形成する第一電極形成工程と、
前記第一電極形成工程において形成された前記第一電極を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層形成工程において形成された前記絶縁層上の前記第一電極に対向する位置に、前記絶縁層を溶解する溶媒と電圧の印加によって発光する表示用組成物とを含有するインク溶液を塗布するインク溶液塗布工程と、
前記インク溶液塗布工程において塗布された前記インク溶液が前記絶縁層を溶解した後に、前記インク溶液の前記溶媒を蒸発させ、前記第一電極と接触するように前記表示用組成物を形成する表示用組成物形成工程と、
前記インク溶液によって溶解された後の前記絶縁層である隔壁の端面に対向する位置に、金属製の電気配線である金属配線を形成する金属配線形成工程と、
前記表示用組成物形成工程によって形成された前記表示用組成物の表面に、光透過性のある材料で構成される電極である第二電極を、前記金属配線に接続するように形成する第二電極形成工程と
を備えたことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記表示用組成物形成工程によって形成された前記表示用組成物の表面と、前記インク溶液によって溶解された後の前記絶縁層である隔壁の端面とに、前記第二電極から供給される電荷を前記表示用組成物に注入する電荷注入層を形成する電荷注入層形成工程をさらに備え、
前記金属配線形成工程は、
少なくとも前記電荷注入層を挟んで前記隔壁と対向する位置に前記金属配線を形成し、
前記第二電極形成工程は、
前記表示用組成物と前記前記電荷注入層とを挟んで前記第一電極と対向する位置に、前記第二電極を形成することを特徴とする請求項5に記載の表示装置の製造方法
【請求項7】
前記第二電極は、酸化インジウムスズ以外の光を透過することができる材料で構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記第二電極は、光透過性のある有機物で構成されていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−192450(P2011−192450A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55887(P2010−55887)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】