説明

表示装置及びそれを用いた電子機器

【課題】トランジスタの信頼性を損なうことなく安定に表示する有機EL素子が積層されたアクティブマトリックス方式の表示装置を提供する。また、額縁領域をバランス良く、かつ効率の良いレイアウトを可能とし、小型化に適した表示装置を提供する。
【解決手段】第1の表示素子と、第2の表示素子と、画素と、表示領域と、第1の画素回路と、第2の画素回路と、制御回路と、を有する表示装置であって、第1の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧と第2の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧は異なる電圧であり、第1の画素回路に供給される制御信号のローレベルの信号電圧と第2の画素回路に供給される制御信号のローレベルの信号電圧は異なる電圧であることを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びそれを用いた電子機器に関し、特に異なる発光色を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以後、有機EL素子という)が積層された有機EL表示装置及びそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置は、薄型化、低消費電力化が期待される自発光型デバイスとして多くの注目を集めている。
【0003】
有機EL表示装置などにおいて、アクティブマトリックス型の表示装置では、表示領域に表示素子がマトリックス状に配置され、表示素子に対応して配置された画素回路によって表示素子が制御されて表示が行われる。各画素回路を制御する駆動回路は表示領域の周辺部に設けられ、画素領域周辺にはその他に、電源配線、信号配線といった配線が形成される。各画素回路、及び表示領域の周辺部に設けられる駆動回路は薄膜トランジスタ(TFT)で構成され、表示品位を決定する重要な要素となっている。
【0004】
一般的に、有機EL表示装置では、表示素子である有機EL素子を並列に配置する構成が採用されている。その構成では、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つのサブピクセルを並列に配置して1画素を成している。この場合、1画素の領域をR、G、Bの3つのサブピクセルに分割している。
【0005】
この構成に対して、特許文献1では複数の有機EL素子BU,GU,RUをサブピクセル領域に積層し、積層した有機EL素子に接続される全てのアクティブ素子(TFT)を、絶縁基板SUBとこの絶縁基板に最も近い有機EL素子BUの層との間に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−012359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、積層した複数の有機EL素子BU,GU,RUをそれぞれ独立に駆動する画素回路において、該画素回路を構成するTFTを制御する際、各TFTのゲートに入力する制御信号を共通にすると、制御信号の振幅電圧が大きくなる。そのため、この電圧がTFTの耐圧を超えるならば、TFTを破壊する可能性が高く、回路の信頼性を著しく低下させる。よって、信頼性を低下させること無く安定に表示を行う駆動回路が必要となる。
【0008】
そこで、本発明は、TFTの信頼性を損なうことなく安定に表示する有機EL素子が積層されたアクティブマトリックス方式の表示装置及びそれを用いた電子機器を提供することを目的とする。また、額縁領域をバランス良く、かつ効率の良いレイアウトを可能とし、小型化に適した表示装置及びそれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、第1の表示素子と、第2の表示素子と、前記第1の表示素子及び前記第2の表示素子が積層されてなる画素と、前記画素がマトリックス状に複数配置された表示領域と、前記第1の表示素子を駆動するための第1の画素回路と、前記第2の表示素子を駆動するための第2の画素回路と、前記第1の画素回路及び前記第2の画素回路に制御信号を供給する制御回路と、を有する表示装置であって、前記第1の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧と前記第2の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧は異なる電圧であり、前記第1の画素回路に供給される制御信号のローレベルの信号電圧と前記第2の画素回路に供給される制御信号のローレベルの信号電圧は異なる電圧であることを特徴とする表示装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、TFTの信頼性を損なうことなく安定に表示する有機EL素子が積層されたアクティブマトリックス方式の表示装置及びそれを用いた電子機器を提供することができる。また、表示領域を挟んでシフトレジスタ配置側とは反対側にレベルシフタを配置することで額縁領域をバランス良く、かつ効率の良いレイアウトを可能とし、小型化に適した表示装置及びそれを用いた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の有機EL表示装置を示す概略図である。
【図2】走査信号線(SA1〜SAn)における走査信号の波形を示す。
【図3】走査信号線(SB1〜SBn)における走査信号の波形を示す。
【図4】本発明のレベルシフタの一例を示す。
【図5】本発明の第1の実施形態のレベルシフタ及びタイミングチャートである。
【図6】本発明の有機EL表示装置の有機EL表示素子と画素回路の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の有機EL表示装置を示す概略図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の有機EL表示装置を示す概略図である。
【図9】本発明の表示装置を用いたデジタルスチルカメラシステムである。
【図10】比較例の有機EL表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の表示装置は、第1の表示素子と、第2の表示素子と、第1の表示素子を駆動するための第1の画素回路と、第2の表示素子を駆動するための第2の画素回路と、第1の画素回路及び第2の画素回路に制御信号を供給する制御回路と、を有する。
【0013】
図1は本発明の表示装置の一実施形態である。
【0014】
図1には、画素回路RC、画素回路GC、画素回路BCの3つの画素回路が配置されている。図示していないが、各画素回路にはそれぞれ表示素子が接続されている。シフトレジスタ2、出力バッファ3A,3B、レベルシフタ4で構成される回路が、各画素回路に制御信号を供給する制御回路であるが、本発明の表示装置に用いられる制御回路は、これらの構成に限定されるわけではない。制御回路から画素回路GC及び画素回路BCに供給される制御信号と、制御回路から画素回路RCに供給される制御信号は、別々に制御されている。本発明の表示装置は、制御回路によって別々に制御される画素回路が2つあれば良く、図1の表示装置では、画素回路GCと画素回路BCのうちの1つの画素回路と、画素回路RC、の2つの画素回路があれば良い。ただし、図1のように3つの画素回路を用いるのが好適である。
【0015】
また、本発明の表示装置は、第1の表示素子及び第2の表示素子が積層されて画素を構成し、該画素がマトリックス状に複数配置されて表示領域となっている。
【0016】
次に、第1の画素回路及び第2の画素回路に供給される制御信号の信号電圧について説明する。
【0017】
各画素回路に供給される制御信号のハイレベル(Hレベル)の信号電圧は、制御回路により、第1の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧と第2の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧が異なる電圧に設定される。
【0018】
一方、各画素回路に供給される制御信号のローレベル(Lレベル)の信号電圧は、制御回路により、第1の画素回路に供給される制御信号のローレベルの信号電圧と第2の画素回路に供給される制御信号のローレベルの信号電圧が異なる電圧に設定される。
【0019】
第1の画素回路と第2の画素回路に供給される制御信号が、制御回路により別々に制御されるため、各画素回路に供給される制御信号の信号電圧を上記のように設定できる。
【0020】
ここで、第1の画素回路及び第2の画素回路のうち、一方の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧をV1、他方の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧をV2(<V1)に設定したとする。この場合、ハイレベルの信号電圧としてV1の制御信号が供給される画素回路には、ローレベルの信号電圧としてV2の制御信号が供給するのが好ましい。
【0021】
本発明の実施形態について、以下、図1から図9の図面を用いて説明する。図面において、本発明に関係ない部分は、本発明の説明を明確にするために省略し、説明全般にわたって類似する部分については同じ参照符号を付けている。なお、これらの図は本発明に係る有機EL表示装置の構成の一例について、構成の一部を取り出して模式的に示すものである。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における有機EL表示装置を示す概略図である。
【0023】
図1における1は表示領域であり、RCはR(赤)の有機EL表示素子を駆動する画素回路、GCはG(緑)の有機EL表示素子を駆動する画素回路、BCはB(青)の有機EL表示素子を駆動する画素回路を示している。表示領域1に画素回路RC、GC、BCがマトリックス状に複数配置されている。2は走査信号を生成するシフトレジスタである。3A、3Bは出力バッファ、4はレベルシフタを示している。シフトレジスタ2の各段からの出力は出力バッファ3A及びレベルシフタ4に入力される。出力バッファ3Aの出力は走査信号線(SA1,SA2,SA3,・・・,SAn)に接続される。レベルシフタ4からの出力は出力バッファ3Bに入力され、出力バッファ3Bの出力は走査信号線(SB1,SB2,SB3,・・・,SBn)に接続される。
【0024】
つまり、本実施形態の制御回路はシフトレジスタ2と、レベルシフタ4と、2つの出力バッファ(第1の出力バッファ、第2の出力バッファ)と、を有する。本実施形態において、第1の出力バッファ及び第2の出力バッファのうち、一方は出力バッファ3Aであり、他方は出力バッファ3Bである。シフトレジスタ2の一出力は、出力バッファ3Aと、レベルシフタ4と、にそれぞれ入力され、レベルシフタ4の出力は、出力バッファ3Bに入力される。画素回路GC又は画素回路BCが第1の画素回路である場合、第1の画素回路に入力される制御信号は、出力バッファ3Aから出力された制御信号であり、第2の画素回路(画素回路RC)に入力される制御信号は、出力バッファ3Bから出力された制御信号である。
【0025】
走査信号線(SA1〜SAn)は、画素回路GC、BCに入力され、走査信号線(SB1〜SBn)は、画素回路RCに入力される。図1における走査信号線(SA1〜SAn)、走査信号線(SB1〜SBn)に付随する矢印は、その矢印の先の画素回路に入力されることを模式的に示している。
【0026】
ここで、走査信号線(SA1〜SAn)における走査信号のハイ(H)レベルはV1、ロー(L)レベルはV2である。走査信号線(SB1〜SBn)における走査信号のハイ(H)レベルはV2、ロー(L)レベルはV3である。ただし、電位関係は、V1>V2>V3とする。
【0027】
図2は走査信号線(SA1〜SAn)における走査信号の波形を示している。SA1からSAnまで順次Hレベル(V1)となるように走査信号が出力されている。
【0028】
図3は走査信号線(SB1〜SBn)における走査信号の波形を示している。SB1からSBnまで順次Hレベル(V2)となるように走査信号が出力されている。
【0029】
本実施形態におけるレベルシフタは、信号レベル〔Hレベル:V1、Lレベル:V2〕を、異なる信号レベル〔Hレベル:V2、Lレベル:V3〕へと変換するものである。図4は本発明のレベルシフタの一例を示す回路図である。基本的な動作については、特開2004−120735号公報に記載されているので説明を省略する。
【0030】
図5は本実施形態のレベルシフタの回路図(a)、及びタイミングチャート(b)である。
【0031】
図5(a)に示したレベルシフタは、コンデンサCと、インバータ回路INV2、INV3と、スイッチとして作用するトランジスタ(M16)から構成される。入力信号INがコンデンサCの一方の端子に入力され、コンデンサCのもう一方の端子はインバータ回路INV2の入力部に接続されている。インバータ回路INV2の出力部はインバータ回路INV3の入力部に接続され、インバータ回路INV3の出力部からはレベルシフタの出力信号OUTが出力される。インバータ回路INV2の入力部と電源V3との間にはトランジスタ(M16)が接続されており、トランジスタ(M16)のゲートには制御信号RSTが入力される。インバータ回路INV2、INV3は電源V2、V3が供給される。
【0032】
次に、図5(b)のタイミングチャートを用いて、より具体的にレベルシフタの動作を説明する。ただし、トランジスタ(M16)はNチャネル、制御信号RSTはHレベル:V2、Lレベル:V3の場合として説明する。
【0033】
〔時刻t1〜t2〕
制御信号RSTがHレベルであり、トランジスタ(M16)はONしており、インバータ回路INV2には電圧V3(L)レベルが入力される。よって、出力信号OUTはL(V3)レベルが出力されている。また、入力信号INはL(V2)レベルである。
【0034】
〔時刻t2〜t3〕
制御信号RSTがLレベルであり、トランジスタ(M16)はOFFしているが、インバータ回路INV2の入力部は電圧V3(L)レベルが保持されたままであり、出力信号OUTはL(V3)レベルが出力されている。また、入力信号INはL(V2)レベルのままである。
【0035】
〔時刻t3〜t4〕
入力信号INは時刻t3においてL(V2)レベルからH(V1)レベルに変化する。このとき、コンデンサCによる容量結合によってインバータ回路INV2の入力部における電位は電圧V3(L)レベルから上昇する。この電圧上昇量はコンデンサCの容量値に加えて、INV2の入力容量、トランジスタ(M16)におけるサイドウォール容量等の寄生容量の大きさによるが、INV2の閾値電圧を超えるようにコンデンサCの容量値を設計すれば良い。インバータ回路INV2の入力部の電位が閾値電圧を超えるとINV2の出力が反転し、出力信号OUTはL(V3)レベルからH(V2)レベルに変化する。出力信号OUTは時刻t4までH(V2)レベルを保持する。図示していないが、ここで入力信号INがH(V1)レベルからL(V2)レベルに変化すると、コンデンサCによる容量結合によってインバータ回路INV2の入力部における電位は下降する。そして、INV2の閾値電圧より電位が低くなると、出力信号OUTはH(V2)レベルからL(V3)レベルに変化する。
【0036】
〔時刻t4〜t5〕
制御信号RSTがHレベルとなり、トランジスタ(M16)はONし、インバータ回路INV2には電圧V3(L)レベルが入力される。よって、出力信号OUTはH(V2)レベルからL(V3)レベルに変化する。
【0037】
〔時刻t5〜t6〕
制御信号RSTがLレベルであり、トランジスタ(M16)はOFFしているが、インバータ回路INV2の入力部は電圧V3(L)レベルが保持されたままであり、出力信号OUTはL(V3)レベルが出力されている。
【0038】
〔時刻t6〜t7〕
入力信号INは時刻t6においてH(V1)レベルからL(V2)レベルに変化する。このとき、コンデンサCによる容量結合によってインバータ回路INV2の入力部における電位が下降する。しかし、その電位はINV2の閾値電圧より低くなるのみであり、出力信号OUTはL(V3)レベルを保持したままである。
【0039】
以上、レベルシフタ4の構成例を説明したが、ある信号レベルを所望の信号レベルに変換できれば特に構成を限定しない。また、シフトレジスタ2に関しては、フリッププロップを用いた構成でも、クロックトインバータを用いた構成でも良く、機能を実現できれば特に構成を限定しない。出力バッファ3A,3Bに関しては、出力先のインピーダンスに応じて使用するトランジスタサイズを設計したインバータ回路を2つ以上連結した構成が一般的であるが、機能を実現できれば、特に構成を限定しない。
【0040】
図6は、本実施形態における有機EL表示装置の有機EL表示素子と画素回路の説明図である。
【0041】
Rは赤の有機EL表示素子、Gは緑の有機EL表示素子、Bは青の有機EL表示素子を示している。RCは有機EL表示素子Rを駆動する画素回路、GCは有機EL表示素子Gを駆動する画素回路、BCは有機EL表示素子Bを駆動する画素回路を示している。V1、V2、V3は電源を示している。電位関係は、V1>V2>V3とする。
【0042】
積層構造となっている有機EL表示素子R、G、Bについて説明すると、積層の関係としては、有機EL表示素子Gと有機EL表示素子Bが並列に配置され、その上に有機EL表示素子Rが積層されて配置された構成である。有機EL表示素子Gについてはアノードが画素回路GCに接続され、カソードが電源V2に接続されている。有機EL表示素子Bについてはアノードが画素回路BCに接続され、カソードが電源V2に接続されている。有機EL表示素子Rについてはカソードが画素回路RCに接続され、アノードが電源V2に接続されている。即ち、有機EL表示素子Gのカソード、有機EL表示素子Bのカソード、有機EL表示素子Rのアノードが電源V2に共通接続されている。また、有機EL表示素子Gのアノード、有機EL表示素子Bのアノード、有機EL表示素子Rのカソードが独立して制御されるように各画素回路RC、GC、BCに接続されている。
【0043】
画素回路RC、GC、BCの構成について説明する。
【0044】
画素回路GCにおいてQ1はP型の駆動トランジスタである。Q2はN型のスイッチトランジスタ、C1は保持容量である。Q1のソース電極は電源V1に接続され、ドレイン電極は緑の有機EL表示素子Gのアノードに接続される。保持容量C1の片方の端子はQ1のゲート電極に接続され、もう片方の端子は電源V1に接続される。Q2のソース電極はデータ信号線DATA1に接続され、ドレイン電極はQ1のゲート電極に接続されている。Q2のゲート電極は走査信号線SAに接続され、図1における走査信号線(SA1〜SAn)のいずれかに接続される。
【0045】
画素回路BCにおいてQ3はP型の駆動トランジスタである。Q4はN型のスイッチトランジスタ、C2は保持容量である。Q3のソース電極は電源V1に接続され、ドレイン電極は青の有機EL表示素子Bのアノードに接続される。保持容量C2の片方の端子はQ3のゲート電極に接続され、もう片方の端子は電源V1に接続される。Q4のソース電極はデータ信号線DATA2に接続され、ドレイン電極はQ3のゲート電極に接続されている。Q4のゲート電極は走査信号線SAに接続され、図1における走査信号線(SA1〜SAn)のいずれかに接続される。
【0046】
画素回路RCにおいてQ5はN型の駆動トランジスタである。Q6はN型のスイッチトランジスタ、C3は保持容量である。Q5のソース電極は電源V3に接続され、ドレイン電極は赤の有機EL表示素子Rのカソードに接続される。保持容量C3の片方の端子はQ5のゲート電極に接続され、もう片方の端子は電源V3に接続される。Q6のソース電極はデータ信号線DATA3に接続され、ドレイン電極はQ5のゲート電極に接続されている。Q6のゲート電極は走査信号線SBに接続され、図1における走査信号線(SB1〜SBn)のいずれかに接続される。
【0047】
次に動作について説明する。
【0048】
画素回路GCにおいて、走査信号線SAにHレベルの走査信号が入力されると、Q2がオンしてデータ信号線DATA1から表示画像に応じたデータ信号がQ1のゲート電極に印加され、かつそのデータ信号に応じて保持容量C1が充電される。この後、走査信号線SAにLレベルの走査信号が入力されてQ2がオフしても保持容量C1にはデータ信号に応じた電圧が保持されているので、Q1のゲート−ソース電圧で決定される駆動電流が有機EL表示素子Gに流れて発光する。駆動電流は電源V1から供給され電源V2に流れる。画素回路BCにおいても、画素回路GCと同様の動作となる。
【0049】
画素回路RCにおいては、走査信号線SBにHレベルの走査信号が入力されると、Q6がオンしてデータ信号線DATA3から表示画像に応じたデータ信号がQ5のゲート電極に印加され、かつそのデータ信号に応じて保持容量C3が充電される。この後、走査信号線SBにLレベルの走査信号が入力されてQ6がオフしても保持容量C3にはデータ信号に応じた電圧が保持されているので、Q5のゲート−ソース電圧で決定される駆動電流が有機EL表示素子Rに流れて発光する。基本的に画素回路GC、BCと同様の動作であるが、駆動電流は電源V2から供給され電源V3に流れる。
【0050】
本実施形態において、走査信号線(SA1〜SAn)の信号レベルに関して、ハイ(H)レベルをV4(V4≧V1)としても良く、走査信号線(SB1〜SBn)の信号レベルに関して、ロー(L)レベルをV5(V5≦V3)としても良い。その場合、走査信号線の信号レベルに応じて、レベルシフタ4の電源を変更すれば良い。
【0051】
また、画素回路として図6に示した2つのトランジスタと1つの保持容量からなる構成を示したが、本発明はこれに限定するものではない。トランジスタの閾値電圧のバラツキを補償する機能を備えた電圧プログラミング方式や電流プログラミング方式など、有機EL表示素子を駆動する画素回路であれば何でも適用できる。
【0052】
また、積層構造となっている有機EL表示素子R、G、Bについて、図6に示した積層構造である必要はない。有機EL表示素子Rと有機EL表示素子Bが並列に配置され、その上に有機EL表示素子Gが積層されて配置された構成や、有機EL表示素子Rと有機EL表示素子Gが並列に配置され、その上に有機EL表示素子Bが積層されて配置された構成でも良い。また、図7に示すように、上に積層された有機EL素子は、下に並列配置された有機EL素子を全て覆う必要はなく、2つの有機EL素子の一方を覆う構成で積層されている構成でも良い。
【0053】
このように、本実施形態によればレベルシフタを使用することで画素回路GC・BCと画素回路RCに電位の異なる走査信号を別々に入力することが可能となるため、スイッチトランジスタであるQ2、Q4、Q6に必要以上に大きな電圧を入力しなくても良くなる。よって、TFTの耐圧以内で駆動することができる回路構成となり、TFTの信頼性を損なうことなく安定に有機EL素子が積層されたアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置を提供することができる。また、額縁領域にバランス良く配置され、小型化に適した表示装置を提供することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
図8は、本実施形態における有機EL表示装置の一例を示す概略図である。図1と類似する部分については同じ参照符号を付けている。
【0055】
図8における1は表示領域であり、RCはR(赤)の有機EL表示素子を駆動する画素回路、GCはG(緑)の有機EL表示素子を駆動する画素回路、BCはB(青)の有機EL表示素子を駆動する画素回路を示している。表示領域1に画素回路RC、GC、BCがマトリックス状に複数配置されている。2は走査信号を生成するシフトレジスタである。3A’、3B’は出力バッファ、4’はレベルシフタを示している。出力バッファ3B’とレベルシフタ4’は表示領域1を挟んでシフトレジスタ2と出力バッファ3A’の反対側に配置されている。シフトレジスタ2の各段からの出力は出力バッファ3A’に入力される。出力バッファ3A’の出力は走査信号線(SA1’,SA2’,SA3’,・・・,SAn’)に接続され、表示領域1を通過した後、レベルシフタ4’に入力される。レベルシフタ4’からの出力は出力バッファ3B’に入力され、出力バッファ3B’の出力は走査信号線(SB1’,SB2’,SB3’,・・・,SBn’)に接続される。
【0056】
つまり、本実施形態の制御回路はシフトレジスタ2と、レベルシフタ4’と、2つの出力バッファ(第1の出力バッファ、第2の出力バッファ)と、を有する。本実施形態において、第1の出力バッファ及び第2の出力バッファのうち、一方は出力バッファ3A’であり、他方は出力バッファ3B’である。シフトレジスタ2の一出力は、出力バッファ3A’に入力され、出力バッファ3A’の出力は、レベルシフタ4’に入力され、レベルシフタ4’の出力は、出力バッファ3B’に入力される。画素回路GC又は画素回路BCが第1の画素回路である場合、第1の画素回路に入力される制御信号は、出力バッファ3A’から出力された制御信号であり、第2の画素回路(画素回路RC)に入力される制御信号は、出力バッファ3B’から出力された制御信号である。
【0057】
走査信号線(SA1’〜SAn’)は、画素回路GC、BCに入力され、走査信号線(SB1’〜SBn’)は、画素回路RCに入力される。図8における走査信号線(SA1’〜SAn’)、走査信号線(SB1’〜SBn’)に付随する矢印は、その矢印の先の画素回路に入力されることを模式的に示している。
【0058】
ここで、走査信号線(SA1’〜SAn’)における走査信号のハイ(H)レベルはV1、ロー(L)レベルはV2である。走査信号線(SB1’〜SBn’)における走査信号のハイ(H)レベルはV2、ロー(L)レベルはV3である。ただし、電位関係は、V1>V2>V3とする。よって、走査信号線(SA1’〜SAn’)における走査信号の波形は図2の波形が適用でき、走査信号線(SB1’〜SBn’)における走査信号の波形は図3の波形が適用できる。
【0059】
その他は第1の実施形態と同様の構成が適用できるので説明を省略する。
【0060】
本実施形態において、走査信号線(SA1’〜SAn’)の信号レベルに関して、ハイ(H)レベルをV4(V4≧V1)としても良く、走査信号線(SB1’〜SBn’)の信号レベルに関して、ロー(L)レベルをV5(V5≦V3)としても良い。その場合、走査信号線の信号レベルに応じて、レベルシフタ4’の電源を変更すれば良い。
【0061】
このように、表示領域を挟んでシフトレジスタ配置側とは反対側にレベルシフタを配置することで額縁領域をバランス良く、かつ効率の良いレイアウトが可能となるので、小型化に適した表示装置を提供することができる。また、第1の実施形態と同様に、TFTの耐圧以内で駆動することができる回路構成となり、TFTの信頼性を損なうことなく安定に有機EL素子が積層されたアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置を提供することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
上述した各実施形態の表示装置は各種電子機器に適用できる。
【0063】
図9は、本発明の表示装置が用いられる電子機器としてのデジタルスチルカメラシステムのブロック図である。図中、10はデジタルスチルカメラシステム、11は撮影部、12は映像信号処理回路、13は表示パネル、14はメモリ、15はCPU、16は操作部を示す。
【0064】
図9において、撮影部11で撮影した映像または、メモリ14に記録された映像を、映像信号処理回路12で信号処理し、表示パネル13で見ることができる。CPU15では、操作部16からの入力によって、撮影部11、メモリ14、映像信号処理回路12などを制御して、状況に適した撮影、記録、再生、表示を行う。また、表示パネル13は、この他にも各種電子機器の表示部として利用できる。
【0065】
(比較例)
図10は、比較例の有機EL表示装置の有機EL表示素子と画素回路の説明図である。図1と類似する部分については同じ参照符号を付けている。
【0066】
Rは赤の有機EL表示素子、Gは緑の有機EL表示素子、Bは青の有機EL表示素子を示している。図10においてもRCは有機EL表示素子Rを駆動する画素回路、GCは有機EL表示素子Gを駆動する画素回路、BCは有機EL表示素子Bを駆動する画素回路を示している。V1、V2、V3は電源を示している。電位関係は、先述した通り、V1>V2>V3である。
【0067】
積層構造となっている有機EL表示素子R、G、Bについては、図1と同様であるため説明を省略する。
【0068】
画素回路RC、GC、BCの構成について説明する。図1と類似する部分については同じ参照符号を付けており、重複する説明は省略する。図1と異なる部分はN型のスイッチトランジスタであるQ2、Q4、Q6の接続先の走査信号線であり、走査信号線Sに共通に接続される。
【0069】
次に動作について説明する。
【0070】
画素回路GCにおいて、走査信号線SにHレベルの走査信号が入力されると、Q2がオンしてデータ信号線DATA1から表示画像に応じたデータ信号がQ1のゲート電極に印加され、かつそのデータ信号に応じて保持容量C1が充電される。この後、走査信号線SにLレベルの走査信号が入力されてQ2がオフしても保持容量C1にはデータ信号に応じた電圧が保持されているので、Q1のゲート−ソース電圧で決定される駆動電流が有機EL表示素子Gに流れて発光する。駆動電流は電源V1から供給され電源V2に流れる。画素回路BCにおいても、画素回路GCと同様の動作となる。画素回路RCにおいても、基本的に画素回路GCと同様の動作であるが、駆動電流は電源V2から供給され電源V3に流れる。
【0071】
図10の構成によれば、走査信号線SはQ2,Q4,Q6のゲート電極に共通接続されている。そのため、電源V1〜V3間においてQ2,Q4,Q6を確実にオン・オフさせるには走査信号は、ハイ(H)レベルではV4(V4≧V1)、ロー(L)レベルではV5(V5≦V3)とする必要がある。
【0072】
しかしながら、走査信号の振幅を(V4−V5)とした場合に、この電圧がトランジスタの耐圧を超えるならば、トランジスタを破壊する可能性が高く、回路の信頼性を著しく低下させる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明による有機EL表示装置は、使用環境の温度変化に対する長期信頼性に優れることから、室内や室外、年間を通して幅広い温度、湿度での使用が想定される。高い耐環境性を必要とする携帯電話、携帯コンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラのモニターといったモバイル機器の情報表示装置等に利用することができる。もしくは、それらの各機能の複数を実現する装置に利用することができる。情報表示装置は、情報入力部を備えている。例えば、携帯電話の場合には情報入力部は、アンテナを含んで構成される。PDAや携帯PCの場合には、情報入力部は、ネットワークに対するインターフェース部を含んで構成される。スチルカメラやムービーカメラの場合には、情報入力部はCCDやCMOSなどによる光センサ部を含んで構成される。
【符号の説明】
【0074】
1:表示領域、2:シフトレジスタ、3A,3B,3A’,3B’:出力バッファ、4,4’:レベルシフタ、RC,GC,BC:画素回路、R,G,B:有機EL表示素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示素子と、
第2の表示素子と、
前記第1の表示素子及び前記第2の表示素子が積層されてなる画素と、
前記画素がマトリックス状に複数配置された表示領域と、
前記第1の表示素子を駆動するための第1の画素回路と、
前記第2の表示素子を駆動するための第2の画素回路と、
前記第1の画素回路及び前記第2の画素回路に制御信号を供給する制御回路と、
を有する表示装置であって、
前記第1の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧と前記第2の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧は異なる電圧であり、
前記第1の画素回路に供給される制御信号のローレベルの信号電圧と前記第2の画素回路に供給される制御信号のローレベルの信号電圧は異なる電圧であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の画素回路及び前記第2の画素回路のうち、
一方の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧がV1であり、
他方の画素回路に供給される制御信号のハイレベルの信号電圧がV2(<V1)である場合、
ハイレベルの信号電圧としてV1の制御信号が供給される画素回路には、ローレベルの信号電圧としてV2の制御信号が入力されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御回路は、シフトレジスタと、レベルシフタと、第1の出力バッファと、第2の出力バッファと、を有し、
前記シフトレジスタの一出力は、前記第1の出力バッファと、前記レベルシフタと、にそれぞれ入力され、
前記レベルシフタの出力は、前記第2の出力バッファに入力され、
前記第1の画素回路に供給される制御信号は、前記第1の出力バッファから出力された制御信号であり、
前記第2の画素回路に供給される制御信号は、前記第2の出力バッファから出力された制御信号であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御回路は、シフトレジスタと、レベルシフタと、第1の出力バッファと、第2の出力バッファと、を有し、
前記シフトレジスタの一出力は、前記第1の出力バッファに入力され、
前記第1の出力バッファの出力は、前記レベルシフタに入力され、
前記レベルシフタの出力は、前記第2の出力バッファに入力され、
前記第1の画素回路に供給される制御信号は、前記第1の出力バッファから出力された制御信号であり、
前記第2の画素回路に供給される制御信号は、前記第2の出力バッファから出力された制御信号であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記シフトレジスタと前記第1の出力バッファが配置される領域は、前記レベルシフタと前記第2の出力バッファが配置される領域とは前記表示領域を挟んで反対側に配置されることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置を用いたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−118283(P2011−118283A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277606(P2009−277606)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】