説明

表示装置及び操作スイッチ

【課題】少ない照光部を用いて、表面カバー部から放射される光の位置、強さ、形状、色などを多様化し易い表示装置を提供する。
【解決手段】表面カバー部29と、表面カバー部29を背面側から照光可能な第1照光部とを備え、第1照光部は、図示しない第1光源と、第1光源からの光が内部を通して導かれて第1放射部41から放射されるようにシート状に形成された第1照光シート31とを備え、第1放射部41から放射された光が表面カバー部29を透過して表面側に放射されるように構成された表示装置であり、第1照光シート31は、厚さ方向に光を透過可能に形成され、第1照光シート31の背面側には、図示しない第2光源の光を第2放射部42から放射して第1照光シート31を背面側から照光可能な第2照光部32を備え、第2放射部42からの光が、第1照光シート31及び表面カバー部29を透過して表面カバー部29から放射可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表面カバー部が背面側から照光されて、この表面カバー部を透過した光が表面側に放射されるように構成された表示部材及び操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話のような操作スイッチなどでは、操作部が設けられた表面カバー部に文字、記号、図形等の各種の表示部が設けられ、この表示部が背面側から照光されて表面カバー部を透過した光が表示部から放射されることで、表示部を表面側から視認し易くされている。
【0003】
このような構造を有する装置の場合、表面カバー部の背面にLED等の光源を配置すると、装置全体の厚さが厚くなり易い。そのため、光源を表面カバー部の側縁側に配置し、この光源からの光を照光シートの内部を通して導き、所定の放射部において放射されるように構成することで、装置を薄肉化した装置が提案されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1では、キーシートの背面に配置されて、側面側の光源から入射された光をキーシートに照光可能に構成されたバックライト用導光板が提案されている。ここでは、導光板の側周縁の側方に配置された光源からの光が、導光板の側周縁から入射されて、導光板の内部を通して導かれ、キーシートの表示部に対応する部分に形成されたパターンで乱反射されて放射されることで、表示部を照光するようになっている。
【0005】
このような従来の装置では、装置を薄肉化することは可能であるものの、同一の照光部からの光が導光板により導光されて各表示部で放射されるため、キーシート等の表面カバー部から放射される光が単調になり易かった。そのため、異なる色の光を放射されるように構成された装置も提案されている。
【0006】
例えば、下記特許文献2では、複数のキートップが配置されている可撓性パッドの側面に光源が装着され、光源から異なる色の光を可撓性パッドに入射可能に構成されたキーパッドのバックライト装置が提案されている。ここでは、光源に青、赤、緑の発光素子が設けられると共に、青の発光素子からの光を蛍光材料により白色の光として放射できる部位が設けられており、これらを選択して点灯することで、異なる色でキートップを点灯させることが可能となってる。
【0007】
また、下記特許文献3では、複数のキーボタンがライトガイド上に設けられ、このライトガイドに複数の発光素子から異なる波長の光が入射可能に構成され、ライトガイドとキーボタンとの間に、一部の発光素子からの特定波長の光により異なる色を放射可能な光学フィルタや蛍光層が設けられたキーパッドアッセンブリが提案されている。ここでは、異なる光学フィルタや蛍光層が異なる位置に配置され、或いは、両方共配置されない部位が設けられ、一部の発光素子を発光させた場合に放射される光の色と、他の一部の発光素子を発光させた場合に放射される光の色とを異ならせることが可能となっている。
【0008】
更に、下記特許文献4では、キートップに複数種類の文字が設けられ、文字毎に別個に独立して照射するようにキーバックライトが設けられたキーボタン構造が提案されている。ここでは、キーバックライトがキートップの文字毎に背面側にそれぞれ独立して配置されており、キーバックライトを選択して点灯することで、キートップの各文字を選択して点灯させることが可能となっている。
【特許文献1】特開2007−80824号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/70043号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/205088号明細書
【特許文献4】特開2006−60334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の装置では、光の輝度や色、放射させる位置などに制限が多く、キーシート等の表面カバー部から放射される光の変化が少なくて、多様化し難くかった。
【0010】
そこで、この発明は、少ない照光部を用いて、表面カバー部から放射される光の位置、強さ、形状、色などを多様化し易い表示装置又は操作スイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の表示装置は、表面カバー部と、該表面カバー部を背面側から照光可能な第1照光部とを備え、前記第1照光部は、第1光源と、該第1光源からの光が内部を通して導かれて第1放射部から放射されるようにシート状に形成された第1照光シートとを備え、前記第1放射部から放射された光が前記表面カバー部を透過して表面側に放射されるように構成された表示装置であり、前記第1照光シートは、厚さ方向に光を透過可能に形成され、前記第1照光シートの背面側には、第2光源の光を第2放射部から放射して前記第1照光シートを背面側から照光可能な第2照光部を備え、前記第2放射部からの光が、前記第1照光シート及び前記表面カバー部を透過して前記表面カバー部から放射可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の表示装置は、請求項1に記載の構成に加え、前記第1及び第2照光部の内の少なくとも1つの前記第1又は第2照光シートは、厚さ方向に透光可能なクラッド層により表面が覆われた状態で表面カバー又は他の照光部と積層され、前記第1又は第2光源からの光が前記クラッド層により反射されながら前記第1又は第2照光シート内で導かれるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の表示装置は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記第1照光部と前記第2照光部との間には、前記第2放射部を除く部位に、光の透過を遮断する遮光層が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の表示装置は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記第1及び第2照光部の内の少なくとも2つの前記放射部は、平面視において互いに重複する位置に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の表示装置は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記第1及び第2照光部の内の少なくとも2つの前記放射部は、平面視において互いに異なる位置に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の操作スイッチは、請求項1乃至5に記載の表示装置を備え、前記表面カバー部は、押圧操作可能な操作部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の表示装置によれば、第1照光シートが厚さ方向に光を透過可能に形成されていて、この第1照光シートを第2照光部により背面側から照光することで、この光が第1照光シート及び表面カバー部を透過して表面カバー部から放射可能に構成されているので、第1光源を点灯させる場合、第2光源を点灯させる場合、両方を組合わせて点灯させる場合で、表面カバー部から放射される光の位置、強さ、形状、色等を変化させることができ、少ない照光部を用いて放射される光の多様化を図ることが可能である。
【0018】
請求項2に記載の表示装置によれば、照光シートの表面がクラッド層により覆われた状態で表面カバー又は他の照光部と積層されていて、光源からの光がクラッド層により反射されながら照光シート内で導かれるように構成されているので、それぞれ互いに密着されていても、各照光シート内で導かれる光が放射部以外の部位で表面カバーや他の照光部により乱反射されて放射されることを防止して、照光シートの導光性能を確保し易い。
【0019】
しかも、クラッド層が厚さ方向に透光可能なものであるため、その照光シートより背面側から放射される光がクラッド層により遮蔽されることがなく、クラッド層の位置や有無に拘わらず第2放射部から放射された光を表面カバーから放射させることができ、複数の照光部を積層構造にし易い。
【0020】
請求項3に記載の表示装置によれば、第1照光部と第2照光部との間の第2放射部を除く部位に、光の透過を遮断する遮光層が設けられているので、第2照光部の第2放射部以外の部位から放射される光が第1照射シートや表面カバーを透過して放射されることを確実に防止でき、表面カバー部から放射させる光を多様化しても、各光を鮮明に放射させ易い。
【0021】
請求項4に記載の表示装置によれば、第1及び第2照光部の内の少なくとも2つの放射部が平面視において互いに重複する位置に設けられているので、各光源からの光を同一の位置から放出することができ、表面カバー部の同一の位置から放射される光を多様化し易い。そのため、点灯させる光源を選択することにより、各光源毎に択一的に点灯させる場合と各光源を同時に点灯させる場合で、表面カバー部の同一の位置から放射される光を変化させることができ、表面カバー部から放射される光を光源の数よりも多様化することが可能である。
【0022】
請求項5に記載の表示装置によれば、第1及び第2照光部の内の少なくとも2つの放射部が平面視において互いに異なる位置に設けられているので、点灯させる光源を選択することにより、表面カバー部の異なる位置から光を放射させることができ、表面カバー部から放射される光の位置を多様化することができる。
【0023】
請求項6に記載の操作スイッチによれば、請求項1乃至5に記載の表示装置を備えているので、押圧操作可能な操作部を備えた表面カバー部から放射される光を多用化することができ、意匠性に優れた操作スイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図を用いて説明する。
【0025】
[実施の形態1]
【0026】
図1乃至図4は、この実施の形態1の表示装置を備えた操作スイッチとしての携帯電話を示している。
【0027】
この携帯電話は、開口部10aを有する筐体10と、筐体10の開口部10aに配置された操作スイッチ用カバー部材としての操作パネル11と、筐体10の内部に操作パネル11と離間して対向配設された基体部13とを備えている。操作パネル11には、表面側からスイッチ操作としての押圧操作が行われる押圧操作部17が縦横に複数配列して設けられており、押圧操作部17が基体部13側から照光されることで光が各押圧操作部17から表面側に放射されるように構成されている。
【0028】
まず、この携帯電話の基体部13は、図2に示すように、表面に図示しない多数の回路が設けられて筐体10に固定された硬質樹脂等からなる基板19と、この基板19の操作パネル11側の表面に配置された弾性ドームシート21とを備えている。
【0029】
基板19には、操作パネル11の各押圧操作部17と対向する各位置に、図示しない回路と接続されて互いに離間して配置された接点端子23が設けられている。また、操作パネル11の四隅側の各対角位置には、図3、図4に示すように、側面発光型のLED等からなる第1光源26、第2光源27が基板19の台座19aに固定して設けられている。
【0030】
弾性ドームシート21は、一枚のシート状に形成されており、押圧操作部17と対向する各位置には弾性変形可能な中空立体形状を有するドーム部24が設けられている。各ドーム部24は、後述するプランジャ部34aで押圧されることにより弾性変形可能であると共に、解除されると復元可能に形成されている。
【0031】
ドーム部24の基板19側には、金属ドーム、金属蒸着層、カーボン印刷層等の導電層25が各ドーム部24毎に設けられている。この導電層25は周縁で一方の接点端子23に常時接触し、中央部で他方の接点端子23と離間した状態で配置されており、ドーム部24が弾性変形することにより、接点端子23間が接続されるように構成されている。
【0032】
次に、この携帯電話の操作パネル11は、図2に示すように、押圧操作部17を有する表面カバー部としてのキーシート29と、キーシート29を背面側から照射可能な第1照光シート31と、第1照光シート31を背面側から照光可能な第2照光シート32とを備え、キーシート29と第1照光シート31との間には第1クラッド層36が、また、第1照光シート31と第2照光シート32との間には第2クラッド層37がそれぞれ第1照光シート31及び第2照光シート32の表面に密着した状態で配置され、更に、第2照光シート32の基体部13側の表面にはプランジャシート34が密着した状態で配置されており、キーシート29、第1クラッド層36、第1照光シート31、第2クラッド層37、第2照光シート32、及びプランジャシート34が積層一体化されている。
【0033】
ここでは、第1光源26及び第1照光シート31により第1照光部が構成されており、また、第2光源27及び第2照光シート32により第2照光部が構成されており、第1照光部及び第2照光部によりキーシート29を背面側から照光可能となっている。
【0034】
まず、操作パネル11のキーシート29は、ポリカーボネート、アクリル、PET等の光を透過可能であると共に弾性変形可能な樹脂により平板状に形成された硬質樹脂シートからなる。この実施形態では、キーシート29は、操作パネル11の形状を保持できると共に押圧操作が可能な程度の強度を有している。
【0035】
このキーシート29には、筐体10の開口部10aから露出される部位に複数の押圧操作部17が設けられており、背面側には光を遮断可能な印刷層からなる遮光層29aが設けられている。この遮光層29aは後述する第1照光シート31の第1放射部41及び第2照光シート32の第2放射部42に対応する部位を除く全面に形成されている。
【0036】
そして、押圧操作部17等の所定位置には、文字、線図等の各種の形状で遮光層29aを抜くことで、即ち、遮光層29aを存在させないことで、光が透過可能な透光表示部18が形成されており、背面側から照射されてこの透光表示部18を透過した光が操作パネル11の表面側から放射されるようになっている。
【0037】
なお、透光表示部18及び遮光層29aの表面側の略全体に有色の透光性加飾層を設けることにより、キーシート29が背面側から照射されない間、外部から透光表示部18を視認されないように構成されていてもよい。
【0038】
次に、操作パネル11の第1照光シート31は、第1光源26からの光が入射されて、第1クラッド層36及び第2クラッド層37に反射されつつ内部を通して面方向に導かれ、押圧操作部17に対応する位置に設けられた第1放射部41により乱反射されて放射可能となるようにシート状に形成されている。また、第2照光シート32は、第2光源27からの光が入射されて、第2クラッド層37及びプランジャシート34に反射されつつ内部を通して導かれ、押圧操作部17に対応する位置に設けられた第2放射部42により乱反射されて放射可能となるようにシート状に形成されている。
【0039】
この第1照光シート31及び第2照光シート32を構成する材料は、透明性を有し、光を面方向に透過可能であることが必要であり、可視光領域の光の全光線透過率が80%以上であることが好ましい。透過率が高い程、導光される光の減衰を抑えることができるからである。
【0040】
また、第1照光シート31及び第2照光シート32の材料は、屈折率が高いもの程好ましく、例えば1.3以上とするのが好適である。プランジャシート34、第1クラッド層36、及び第2クラッド層37として使用可能な材料の選択の幅を広げられるからである。
【0041】
更に、第1照光シート31及び第2照光シート32の材料は、可撓性を有することが好ましい。キーシート29と積層された状態でキーシート29と共に押圧操作される際に変形し易くできるからである。
【0042】
この第1照光シート31及び第2照光シート32を構成する材料としては、例えば、シリコーン、ポリウレタン、アクリル、PET、ポリカーボネート等の樹脂やエラストマーなどを使用することができる。
【0043】
このような第1照光シート31及び第2照光シート32は、第1光源26又は第2光源27から光が入射される部位を除いて一定の厚さでシート状に形成されている。ここでは、第1照光シート31及び第2照光シート32が、独立したシート形態を有していてもよいが、他の部材の表面に形成された層であってもよい。
【0044】
第1照光シート31の一対の対角方向の隅部には、図3に示すように、第1光源26から発光される光を入射するための入射部38が設けられている。この入射部38は第1照光シート31の他の部位と同一の厚さに形成されていてもよいが、ここでは第1光源26側程厚肉となるようにテーパ形状に形成されている。この入射部38の入射面46を除く少なくとも第2照光シート32側の表面は、光を遮断可能な遮光層44により被覆されている。更に、この遮光層44により、第2クラッド層37、第2照光シート32、及びプランジャシート34の端部も被覆されており、これにより第1光源26から発光された光が第2照光シート32に入射されることが防止されている。
【0045】
一方、第2照光シート32の一対の対角方向の隅部には、図4に示すように、第2光源27から発光される光を入射するための入射部39が設けられている。この入射部39は第2照光シート32の他の部位と同一の厚さに形成されていてもよいが、ここでは第2光源27側程厚肉となるようにテーパ形状に形成されている。この入射部39の入射面47を除く少なくとも第1照光シート31側の表面は、光を遮断可能な遮光層45により被覆されている。更に、この遮光層45により、第1クラッド層36、第1照光シート31、及び第2クラッド層37の端部も被覆されており、これにより第2光源27から発光された光が第1照光シート31に入射されることが防止されている。
【0046】
この実施の形態1では、各光源26、27と各入射部38、39の入射面46、47との間は密着されるのが好ましく、各光源26、27と各入射部38、39の入射面46、47との間に間隙が形成される場合には、その間にシリコーンゲルなどが充填されていてもよい。
【0047】
第1照光シート31及び第2照光シート32の各入射部46、47を除く部位は略均一な厚さに形成されている。この第1照光シート31及び第2照光シート32の厚さは、第1放射部41及び第2放射部42において放射される光により所望の輝度が確保できる範囲で出来るだけ薄肉に形成されることが好ましく、例えば0.05〜0.5mm、好ましくは0.07〜0.3mmとしてもよい。
【0048】
また、第1照光シート31の第1放射部41を除く部位、及び第2照光シート32の第2放射部42を除く部位の表面はそれぞれ鏡面に形成されていることが好ましい。鏡面であれば、導光される光が第1照光シート31及び第2照光シート32とプランジャシート34、第1クラッド層36、及び第2クラッド層37との各界面で乱反射して、第1照光シート31及び第2照光シート32内で導かれる光が放射されることを抑制でき、導光性能を向上させることができるからである。
【0049】
この鏡面とは、表面粗さが小さく抑えられている状態である。鏡面は、例えば成形型を用いて第1照光シート31又は第2照光シート32を成形する場合には、型面の表面粗さを小さく抑えることにより作製することが可能である。この型面の表面粗さとしては、例えば、三次元形状測定装置等により測定される算術平均粗さ(Ra)が0.01〜0.8μmの範囲となるものが好適である。
【0050】
更に、第1照光シート31及び第2照光シート32の第1放射部41及び第2放射部42は、それぞれ第1照光シート31及び第2照光シート32内で導かれた光を乱反射させることにより放射可能に構成されている。例えば、第1照光シート31及び第2照光シートの所定位置において、少なくとも一方の表面を粗面にして微細な多数の凹凸を形成したものとしてもよい。
【0051】
次に、操作パネル11の第1クラッド層36及び第2クラッド層37は、第1照光シート31及び/又は第2照光シート32の表面に接着剤等の他の層を介在させることなく積層一体化された層であり、第1照光シート31又は第2照光シート32内の光が、第1照光シート31又は第2照光シート32と第1クラッド層36又は第2クラッド層37との界面で反射されながら第1照光シート31又は第2照光シート32内を導光可能にする層である。
【0052】
このような第1クラッド層36は、第1照光シート31及び第2照光シート32において乱反射して放射された光が厚さ方向に透過可能な程度の透明性を有することが必要であり、第2クラッド層37は第2照光シート32において乱反射して放射された光が厚さ方向に透過可能な程度の透明性を有することが必要である。これらの第1クラッド層36及び第2クラッド層37は、第1照光シート31や第2照光シート32のように内部で面方向に光を導光するものではないという理由で、第1照光シート31や第2照光シート32より透明度が低いものであってもよいが、出来るだけ透明度が高いものを使用すれば、操作パネル11から放射される光を強くし易くて好ましい。
【0053】
また、この第1クラッド層36及び第2クラッド層37は、少なくとも密着している第1照光シート31及び/又は第2照光シート32の屈折率より小さいことが必要であり、第1照光シート31や第2照光シート32の屈折率に対して0.1%以上小さくなることが好ましく、特に、1%以上小さくすることが好適である。第1クラッド層36や第2クラッド層37の屈折率が大きい程、第1照光シート31や第2照光シート32内を導光される光の全反射の条件が狭くなり、導光性能が低下するからである。
【0054】
更に、この第1クラッド層36や第2クラッド層37も、可撓性を有することが好ましい。キーシート29と積層された状態でキーシート29と共に押圧操作される際に変形し易くできるからである。
【0055】
このような第1クラッド層36及び第2クラッド層37を構成する材料としては、接着剤等の他の材料を介在させることなく第1照光シート31及び/又は第2照光シート32と積層一体化できる材料であることが要求される。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂や他の樹脂、フッ化シリコーンゴム等のエラストマーなどを使用することができる。シリカ等のように多孔質空間内に空気を保持することで見かけの屈折率を小さくできる材料であってもよい。
【0056】
この第1クラッド層36及び/又は第2クラッド層37は、全体が略均一な厚さのシート状に形成されている。この第1クラッド層36及び第2クラッド層37の厚さは、出来るだけ薄肉に形成されることが好ましい。第1クラッド層36及び第2クラッド層37は、第1照光シート31や第2照光シート32との界面において第1照光シート31や第2照光シート32内で導光される光を反射させるために使用される層であるため、厚さの影響が少ないからである。
【0057】
次に、操作パネル11のプランジャシート34は、第2照光シート32の基板19側の表面に密着した状態で積層されており、キーシート29の複数位置の押圧操作部17を含む大きさの平坦なシート形状部34bと、このシート形状部34bの押圧操作部17に対応する位置にそれぞれ突設された複数のプランジャ部34aとを備えている。押圧操作部17への押圧操作で各プランジャ部34aによりドーム部24を押圧可能となっている。
【0058】
プランジャシート34のシート形状部34bを設けることなくプランジャ部34aを第2照光シート32の背面側に直接設けることも可能であるが、第2照光シート32の基板19側の表面が鏡面に形成されている場合、この表面全面をシート形状部34bにより被覆すれば、塵埃等が付着して第2照光シート32の導光性能が経時的に低下することを防止することが可能である。
【0059】
シート形状部34bを第2照光シート32の基板19側の表面に積層する場合、プランジャシート34は、第2クラッド層37と同様に、第2照光シート32内の光が第2照光シート32とプランジャシート34との界面で反射されながら第2照光シート32内を導光させる層となるため、第2照光シート32の導光性能を確保するためには、第1クラッド層36や第2クラッド層37と同様に、第2照光シート32の屈折率より出来るだけ小さい材料から構成するのが好適である。
【0060】
このようなプランジャシート34は、プランジャ部34aによりドーム部24を十分に押圧可能な強度を確保できる材料から形成されており、例えばポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリルの単体若しくはそれらの複合物、シリコーンゴム等から形成されていてもよい。
【0061】
なお、操作パネル11を薄肉に形成したり、操作パネル11を弾性変形し易くする等の目的で、シート形状部34bはできるだけ薄肉に形成されているのが好適である。
【0062】
以上のような構成の携帯電話では、操作パネル11の各押圧操作部17を押圧操作すると、操作パネル11が弾性変形し、プランジャシート34のプランジャ部34aによりドーム部24が弾性変形され、接点端子23間が導電層25により導通され、各押圧操作部17に対応した処理が実行される。また、押圧操作が解除されるとドーム部24や操作パネル11の弾性によりそれらが復元し、接点端子23間が離間される。
【0063】
そして、第1光源26が発光されると、入射部38から第1照光シート31内に光が入射する。このとき、第2照光シート32には光は入射しない。第1照光シート31内に入射した光は、第1クラッド層36及び第2クラッド層37により反射されつつ内部で面方向に導かれ、各押圧操作部17に対応する位置に設けられた第1放射部41に到達する。第1放射部に到達した光は乱反射して放射され、この光が第1クラッド層36及びキーシート29を略厚さ方向に透過して操作パネル11から放射される。
【0064】
一方、第2光源27が発光されると、入射部39から第2照光シート32内に光が入射する。このとき、第1照光シート32には光は入射しない。第2照光シート32内に入射した光は、第2クラッド層37及びプランジャシート34により反射されつつ内部で面方向に導かれ、各押圧操作部17に対応する位置に設けられた第2放射部42に到達する。第2放射部42に到達した光は乱反射して放射され、この光が第2クラッド層37、第1照光シート31、第1クラッド層36及びキーシート29を略厚さ方向に透過して操作パネル11から放射される。
【0065】
そのため、第1光源26及び第2光源27が同色の光を発する場合、第1光源26と第2光源27の一方を点灯させれば、第1光源26又は第2光源27の一方からの光が押圧操作部17から放射される。第1光源26と第2光源27とを異なる輝度で発光させ、或いは、第1放射部と第2放射部との粗面の粗さを異ならせて乱反射の程度を異ならせるように構成すれば、第1光源26又は第2光源27の一方を選択して点灯させた際、同一の押圧操作部17から放射される光の輝度を異ならせることができる。更に、第1光源26と第2光源27とを同時に点灯させれば、第1光源26や第2光源27の一方を点灯させた場合に比べて大きな輝度で放射させることができる。そのため、同一の押圧操作部17から放射される光の輝度を異ならせることが可能である。
【0066】
また、第1光源26と第2光源27とが異なる色の光を発する場合、第1光源26と第2光源27の一方を点灯させれば、第1光源26又は第2光源27の何れかの色の光が押圧操作部17から放射される。更に、第1光源26と第2光源27とを同時に点灯させれば、第1光源26の色の光と第2光源27の色の光が混合してこれらと異なる色の光を押圧操作部17から放射させることができる。そのため、同一の押圧操作部17から放射される光の色を異ならせることが可能である。
【0067】
以上のような携帯電話によれば、第1照光シート31が厚さ方向に光を透過可能に形成されていて、この第1照光シート31を第2照光シート32により背面側から照光することで、この光が第1照光シート31及びキーシート29を透過して放射可能に構成されているので、第1光源26を点灯させる場合、第2光源27を点灯させる場合、両方を組合わせて点灯させる場合で、キーシート29から放射される光の強さや色等を変化させることができ、少ない照光用の部材を用いて放射させる光の多様化を図ることが可能である。
【0068】
また、この携帯電話では、第1照光シート31がキーシート29と積層されているので、操作パネル11を薄くして携帯電話の薄型化を図り易いと共に、キーシート29に近接した第1放射部41から放射される光でキーシート29の押圧操作部17を照光するため光の輪郭を明確にし易い。
【0069】
更に、この携帯電話では、第1照光シート31を背面側から照光するための第2照光部にシート状の第2照光シート32を用いているので、第2照光部を薄肉に形成し易く、携帯電話の薄型化を図り易い。
【0070】
また、この携帯電話では、第1照光シート31や第2照光シート32の表面が第1クラッド層36や第2クラッド層37により覆われた状態で積層されていて、第1光源26や第2光源27からの光が第1、第2クラッド層36、37により反射されながら第1、第2照光シート31、32内で導かれるように構成されているので、各照光シート36、37内で導かれる光が第1、第2放射部41、42以外の部位で乱反射されて放射されることを防止し易く、第1、第2照光シート31、32の導光性能を確保し易い。
【0071】
しかも、第1、第2クラッド層36、37が厚さ方向に透光可能なものであるため、第1照光シート31より背面側から放射される第2照光シート32からの光が第1、第2クラッド層36、37により遮蔽されることがなく、第1、第2クラッド層36、37の位置や有無に拘わらず第2放射部42から放射された光をキーシート29から放射させることができる。そのため、第1照光シート31と第2照光シート32とを積層構造として光を放射させることが容易である。
【0072】
その際、第1照光シート31の第2照光シート32側の表面と第2照光シート32の第1照光シート31側の表面とを共通の第2クラッド層37により被覆することができるため、第1照光シート31内で導かれる光が第2照光シート32に入射されたり、第2照光シート32内で導かれる光が第1照光シート31内に入射されることを防止するための層を、出来るだけ少なく抑えることができ、操作パネル11の製造を容易にできると共に薄肉化を図り易り易くすることができる。
【0073】
更に、この携帯電話では、第1放射部41と第2放射部42が平面視において互いに重複する位置に設けられているので、第1光源26及び第2光源27からの光を同一の位置から放出することができ、キーシート29の同一の位置から放射される光を多様化することができる。その際、第1光源26及び第2光源27が互いに異なる色の光を発光すれば、キーシート29から放射される光の色を多様化することができる。従って、操作パネル11の照光時の意匠性を向上することが容易である。
【0074】
なお、上記実施の形態1は、この発明の範囲内で適宜変更可能であり、例えば、上記実施の形態1では、この発明を携帯電話の外部から視認される操作パネル11に適用した例について説明したが、背面側から照射されて外部から視認可能に光を放射する各種のディスプレイ等、押圧操作が行われない表示装置であっても同様にこの発明を適用可能である。
【0075】
また、上記実施の形態1では、押圧操作部17が基体部13側から照光されることで光が押圧操作部17から表面側に放射されるように構成された例について説明したが、光が放射される部位は特に限定されるものではなく、他の部位から光が放射されるように構成されていてもよい。例えば、操作パネル11の押圧操作が行われない固定部位に文字、図形、記号等の各種の形状の透光表示部18を設けることも可能である。
【0076】
更に、上記実施の形態1では、第1照光部と第2照光部の2つの照光部を設けた例について説明したが、前記第2照光シート32の背面側に第2クラッド層37と同様のクラッド層を介して第2照光シート32と同様の照光シートを設けることにより、第2照光シート32を背面側から照光して、キーシート29の表面側に放射させるように構成することも可能である。
【0077】
また、上記実施の形態1では、第1光源26、第2光源27を操作パネル11の四隅側に設けた例について説明したが、光源の位置、数、種類などは適宜変更可能であり、操作パネル11の中央側に配置することも可能である。
【0078】
更に、上記実施の形態1では、キーシート29と第1照光シート31との間に第1クラッド層36を設けた例について説明したが、第1クラッド層36を設けることなく直接接合していてもよい。その場合、キーシート29の第1照光シート31が積層される側の表面に、遮光層29aや加飾層等を設けずに直接積層すれば、キーシート29がクラッド層として機能し、第1照光シート31の導光性能を確保し易くすることができる。
【0079】
また、上記実施の形態1では、第1照光シート31の第1放射部41と第2照光シート32の第2放射部42とが同一形状に形成され、透光表示部18をこれらの形状に対応させた例について説明したが、第1放射部41と第2放射部42とは異なる形状に形成されていてもよく、更に、透光表示部18もこれらの形状と異ならせることも可能である。
【0080】
更に、上記では、第1放射部41を第1照光シート31のキーシート29側の表面に微細な凹凸を設けることで形成し、第2放射部42を第2照光シート32のプランジャシート34側の表面に微細な凹凸を設けることで形成した例について説明したが、第1放射部41を第1照光シート31のプランジャシート34側の表面に形成しても、若しくは、キーシート29側の表面とプランジャシート34側の表面との両面に形成してもよく、第2放射部42を第2照光シート32のキーシート29側の表面に形成しても、若しくは、キーシート29側の表面とプランジャシート34側の表面との両面に形成してもよい。
【0081】
更に、上記では、表面カバー部として、表面に押圧操作部が線図等により表示された平坦なキーシート29の例について説明したが、キーシート29の代わりに、或いは、キーシート29の表面側に、各押圧操作部17毎に立体形状の押釦等の成形体が配置されていてもよい。
【0082】
また、上記では、遮光層29a、44、45として、光を遮断可能な印刷層からなるものについて説明したが、これらの遮光層29a、44、45として、光を反射可能な反射層を設けてもよい。
【0083】
[実施の形態2]
【0084】
図5は、この実施の形態2の携帯電話の押圧操作部を示している。
【0085】
この携帯電話では、第2クラッド層37の表面に、平面視で透光表示部18の範囲内となる位置に遮光層29bが設けられている他は、実施の形態1と同様の構成を有している。
【0086】
このような構成を有する携帯電話では、実施の形態1と同様の作用効果が得られると共に、第1光源26を点灯させた場合と第2光源27を点灯させた場合とで、操作パネル11の同一の透光表示部18から放射される光の輪郭を異ならせることが可能である。即ち、第1光源26を点灯させた場合には、キーシート29に設けられた遮光層29aにより形成される輪郭で光が放射される。一方、第2光源27を点灯させた場合には、遮光層29aと第2遮光層29bとにより形成される輪郭で光が放射される。更に、第1光源26及び第2光源27の両方を点灯させた場合には、遮光層29aにより形成される輪郭で放射される光の中に第2遮光層29bにより形成される輪郭で光が強く放射される。そのため、同一の透光表示部18から放射される光の形状を多様化することが可能である。
【0087】
[実施の形態3]
【0088】
図6は、この実施の形態3の携帯電話の押圧操作部を示している。
【0089】
この携帯電話では、第1照光シート31の第2照光シート32側の表面が第2クラッド層37aにより被覆され、第2照光シート32の第1照光シート31側表面が別の第2クラッド層37bにより被覆されており、更に、第2クラッド層37aと第2クラッド層37bとの間には、光の透過を遮断する遮光層29bが形成されている。
【0090】
そして、各押圧操作部17には、平面視において互いに異なる位置に、文字、図形、記号等からなる2種類の所定形状の複数の透光表示部18a、18bが設けられている。ここでは、第1照光シート31の第1放射部41は透光表示部18aに対応した位置に設けられており、第2照光シート32の第2放射部42は透光表示部18bに対応した位置に設けられている。また、キーシート29と第1クラッド層36との間の遮光層29aは、透光表示部18a及び透光表示部18bを除く部位に設けられており、第2クラッド層37a、37b間の遮光層29bは、透光表示部18bを除く部位に設けられている。
【0091】
その他は実施の形態1と同様である。
【0092】
このような携帯電話では、第1光源26を点灯させて第2光源27を消灯させたときには、第1光源26からの光が第1放射部41において乱反射されて放射され、透光表示部18aから光が放射される。また、第2光源27を点灯させて第1光源26を消灯させたときには、第2光源27からの光が第2放射部42において乱反射されて放射され、透光表示部18bから光が放射される。
【0093】
このような構成を有する携帯電話によれば、実施の形態1と同様の構成により同様の作用効果を得ることができる上、第1放射部41と第2放射部42とが平面視において互いに異なる位置に設けられているので、第1光源26を点灯させる場合、第2光源27を点灯させる場合、両方を組合わせて点灯させる場合とで、キーシート29から放射される光の位置を変化させることができ、少ない照光用の部材を用いて放射させる光の多様化を図ることが可能である。
【0094】
ここでは、第1クラッド層36や第2クラッド層37a、37bが厚さ方向に透光可能なものであるので、第1クラッド層36や第2クラッド層37a、37bを全面に設けていても、これらの有無に拘わらず、第2放射部42からの光を任意の位置で透過させることができ、キーシート29から放射される光を多様化させ易い。
【0095】
また、この携帯電話によれば、第2放射部42を除く部位に光の透過を遮断する遮光層29bが設けられているので、第2照光シート32内で導かれる光が第2放射部42以外の部位から表面側に放射されて第1照光シート31内に入射されることを確実に防止することができる。そのため、第2光源27からの光が透光表示部18b以外の部位から放射されることを防止でき、キーシート29から放射させる光を多様化しても、各光を鮮明に放射させ易い。
【0096】
なお、上記実施の形態3では、第1放射部41と第2放射部42とが平面視で異なる位置に設けられた操作パネル11において、複数の第2クラッド層37a、37bを設けたり、第2クラッド層37a、37b間に遮光層29bを設けた例について説明したが、上記実施の形態1のように、第1放射部41と第2放射部42とが平面視で重なる位置に設けられた操作パネル11であっても、この構成を適用することは可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
また、上記では、第1照光シート31と第2照光シート32との表面に、それぞれ第2クラッド層37a、37bを積層した例について説明したが、第1照光シート31と第2照光シート32との間に、実施の形態1と同様の単層のクラッド層37を共通に設け、そのクラッド層37の表面に、遮光層29bに代えて遮光性を有する金属等からなる反射層を設けてもよく、同様の作用効果を得ることが可能である。
【0098】
[実施の形態4]
【0099】
図7は、この実施の形態4の携帯電話の押圧操作部を示している。
【0100】
この携帯電話では、プランジャシート34の基板19側が立体形状に形成されており、各押圧操作部17に対応する部位の基板19側に中空部34cが設けられて、この中部34c内にプランジャ部34aが突設され、更に、2以上の押圧操作部17間に肉厚部34dが設けられている。また、基板19には台座19aに固定された第2光源27の他に、上面発光式のLED等からなる上面発光光源28が設けられており、肉厚部34には上面発光光源28が密着した状態で配置されている。
【0101】
ここでは、第2照光シート32及び第2光源27からなる第2照光部と、プランジャシート34及び上面発光光源28からなる第2照光部とが設けられており、第1照光シート31を背面側から照光可能な第2照光部が複数設けられている。
【0102】
この携帯電話では、上面発光光源28を点灯させると、プランジャシート34により導かれた光がプランジャシート34の略全面からなる第3放射部43から放射され、この光により第2照光シート32、第2クラッド層37、第1照光シート31、第1クラッド層を透過して、キーシート29が背面側から照射される。そして、この光が透光表示部18においてキーシート29を透過し、操作パネル11の表面側に放射される。
【0103】
その他は実施の形態1と同様である。
【0104】
このような構成の携帯電話であっても、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。しかも、第2照光シート32及び第2光源27からなる第2照光部に加えて、プランジャシート34及び上面発光光源28からなる第2照光部を有しているので、各光源を種々の組合せで点灯又は消灯することにより、キーシート29から放射される光をより多様化することができる。
【0105】
例えば第1光源26、第2光源27、上面発光光源28がそれぞれ異なる色の光を発光可能に構成すれば、第1光源26、第2光源27、第3光源28を択一的に点灯させた場合には、透光表示部18から何れかの色の光を放射させることが可能であり、第1光源、第2光源、第3光源のうちの2つ又は全てを同時に点灯させれば、それらの色の光が混合された状態で放射させることが可能である。特に、第1光源26、第2光源27、上面発光光源28として、三原色の光を発するものを用いれば、その組合せにより極めて他種類の色の光を透光表示部18から放射することが可能である。
【0106】
なお、上記実施の形態4では、第1照光部の基板側に複数の第2照光部を設けた例について説明したが、第2照光部の数は特に限定されるものではなく、例えば、第2クラッド層37、第2照光シート32及び第2光源27を設けることなく、第1照光シート31の下にプランジャシート34及び第3光源からなる1つの第2照光部を設けた構成とすることも可能である。
【実施例】
【0107】
透光表示部18及び遮光層29aの表面側の略全体に有色の透光性加飾層を設けることにより、
[実施例1]
【0108】
図1に示す実施の形態1と同様の層構成を有する操作パネル11を製造した。この操作パネル11では、キーシート29の背面の透光表示部18及び遮光層29aの表面側の略全体に有色の透光性加飾層を設け、透光性加飾層の上に遮光層29aを形成した。遮光層29aには、図8(a)に示すように、「2」、「ABC」、「か」の3種類の文字を中抜き形状で形成し、透光表示部18を設けた。第1照光シート31には、図8(b)に示すように、「2」、「ABC」に対応する位置に、微細な多数の凹凸からなる第1放射部41を形成した。第2照光シート32には、図8(c)に示すように、「2」、「か」に対応する位置に、微細な多数の凹凸からなる第2放射部42を形成した。なお、図8(b)、(c)には、中抜き文字との相対位置を明示する目的で、「2」、「ABC」、「か」の一部の文字を示したが、第1照光シート31、第2照光シート32には、「2」、「ABC」、「か」の形状は存在しなくてよい。
【0109】
第1光源26として、白色の光源を用い、第2光源27として青色の光源を用い、各光源の点灯及び消灯により、操作パネル11から放射される光を確認した。
【0110】
その結果、第1光源26を点灯して第2光源27を消灯した場合には、図8(d)に示すように、「2」、「ABC」が白色で点灯し、「か」は殆ど表示されず、相対的に輝度差が大きくなり、殆ど視認されなかった。
【0111】
また、第1光源26を消灯して第2光源27を点灯した場合には、図8(e)に示すように、「2」、「か」が青色で点灯し、「ABC」は殆ど表示されなかった。
【0112】
更に、第1光源26を点灯して第2光源27を点灯した場合には、図8(f)に示すように、「2」が水色で点灯し、「ABC」が白色で点灯し、「か」が青色で点灯した。
【0113】
そして、第1光源26を消灯して第2光源27を消灯した場合には、全ての文字が表示されなかった。
[実施例2]
【0114】
図6に示す実施の形態3と同様の層構成を有する操作パネル11を製造した。この操作パネル11では、キーシート29の背面に透光性加飾層を設けることなく、遮光層29aを形成した。遮光層29aには、図9(a)に示すように、「2」、「ABC」の2種類の文字を中抜き形状で形成し、透光表示部18を設けた。第1照光シート31には、図9(b)に示すように、「2」に対応する位置に、微細な多数の凹凸からなる第1放射部41を形成した。第2クラッド層37a、37b間の遮光層29bには、図9(c)に示すように、遮光層29aの「ABC」の文字に対応する位置に「ABC」の文字を中抜き形状で形成した。第2照光シート32には、図9(d)に示すように、「ABC」に対応する位置に、微細な多数の凹凸からなる第2放射部42を形成した。なお、図9(b)、(d)には、中抜き文字との相対位置を明示する目的で、「2」、「ABC」の一部の文字を示したが、第1照光シート31、第2照光シート32には、「2」、「ABC」の形状は存在しなくてよい。
【0115】
第1光源26として、白色の光源を用い、第2光源27として青色の光源を用い、各光源の点灯及び消灯により、操作パネル11から放射される光を確認した。
【0116】
その結果、第1光源26を点灯して第2光源27を点灯した場合には、図10(a)に示すように、「2」が白色で点灯し、「ABC」が青色で点灯した。、
【0117】
また、第1光源26を点灯して第2光源27を消灯した場合には、図10(b)に示すように、「2」が白色で点灯し、「ABC」は外光により視認されたが、輝度の差により目立たなかった。
【0118】
更に、第1光源26を消灯して第2光源27を点灯した場合には、図10(c)に示すように、「ABC」が青色で点灯し、「2」が外光により視認されたが、輝度の差により目立たなかった。
【0119】
そして、第1光源26を消灯して第2光源27を消灯した場合には、「2」、「ABC」が外光により視認された。
[実施例3]
【0120】
図2に示す実施の形態1の層構成の第2照光シート42のプランジャシート34側に、クラッド層を介して別の照光シート33を積層して操作パネル11を製造した。この照光シート33には、側面発光型の第3光源48からの光を入射可能にした。
【0121】
この操作パネル11では、キーシート29の背面に透光性加飾層を設けることなく、遮光層29aを形成した。遮光層29aには、図11(a)に示すように、「2」、「ABC」、「か」の3種類の文字を中抜き形状で形成し、透光表示部18を設けた。第1照光シート31には、図11(b)に示すように、「2」に対応する位置に、微細な多数の凹凸からなる第1放射部41を形成した。第2照光シート32には、図11(c)に示すように、「2」、「か」に対応する位置に、微細な多数の凹凸からなる第2放射部42を形成した。別の照光シート33には、図11(d)に示すように、「2」、「ABC」に対応する位置に、微細な多数の凹凸からなる第3放射部43を形成した。なお、図11(b)、(c)、(d)には、中抜き文字との相対位置を明示する目的で、「2」、「ABC」、「か」の一部の文字を示したが、第1照光シート31、第2照光シート32、別の照光シート33には、「2」、「ABC」、「か」の形状は存在しなくてよい。
【0122】
第1光源26として、青色の光源を用い、第2光源27として赤色の光源を用い、第3光源48として緑色の光源を用い、各光源の点灯及び消灯により、操作パネル11から放射される光を確認した。
【0123】
その結果、第1光源26、第2光源27、及び第3光源を点灯した場合には、図12(a)に示すように、「2」が白色で点灯し、「ABC」が緑色で点灯し、「か」が赤色で点灯した。
【0124】
また、第1光源26を点灯して第2光源27及び第3光源を消灯した場合には、図12(b)に示すように、「2」が青色で点灯し、「か」、「ABC」が外光により視認されたが、輝度の差により目立たなかった。
【0125】
更に、第2光源27を点灯して第1光源26及び第3光源48を消灯した場合には、図12(c)に示すように、「2」、「か」が赤色で点灯し、「ABC」が外光により視認されたが、輝度の差により目立たなかった。
【0126】
また、第3光源48を点灯して第1光源26及び第2光源27を消灯した場合には、図12(d)に示すように、「2」、「ABC」が緑色で点灯し、「か」が外光により視認された。
【0127】
更に、第1光源26、第2光源27、及び第3光源を点灯した場合には、「2」、「ABC」、「か」が外光により視認された。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】この発明の実施の形態1の表示装置を備えた携帯電話の部分正面図である。
【図2】この発明の同実施の形態1の携帯電話を示す図1のA−A端面図である。
【図3】この発明の同実施の形態1の携帯電話を示す図1のB−B端面図である。
【図4】この発明の同実施の形態1の携帯電話を示す図1のC−C端面図である。
【図5】この発明の同実施の形態2の携帯電話を示す図1のA−A端面相当図である。
【図6】この発明の同実施の形態3の携帯電話を示す図1のA−A端面相当図である。
【図7】この発明の同実施の形態4の携帯電話を示す図1のA−A端面相当図である。
【図8】この発明の実施例1を説明するための図であり、(a)は遮光層の一部を示し、(b)は第1照光シートの一部を示し、(c)は第2照光シートの一部を示し、(d)は第1光源を点灯して第2光源を消灯したときの結果を示し、(e)は第1光源を消灯して第2光源を点灯したときの結果を示し、(f)は第1光源を点灯して第2光源を点灯したときの結果を示し、(g)は第1光源及び第2光源を消灯したときの結果を示す。
【図9】この発明の実施例2を説明するための図であり、(a)は遮光層の一部を示し、(b)は第1照光シートの一部を示し、(c)は第2クラッド層間の遮光層の一部を示し、(d)は第2照光シートの一部を示す。
【図10】この発明の実施例2を説明するための図であり、(a)は第1光源を点灯して第2光源を点灯したときの結果を示し、(b)は第1光源を点灯して第2光源を消灯したときの結果を示し、(c)は第1光源を消灯して第2光源を点灯したときの結果を示し、(d)は第1光源及び第2光源を消灯したときの結果を示す。
【図11】この発明の実施例3を説明するための図であり、(a)は遮光層の一部を示し、(b)は第1照光シートの一部を示し、(c)は第2照光シートの一部を示し、(d)は別の照光シートの一部を示す。
【図12】この発明の実施例3を説明するための図であり、(a)は第1光源、第2光源、及び第3光源を点灯したときの結果を示し、(b)は第1光源を点灯して第2光源及び第3光源を消灯したときの結果を示し、(c)は第2光源を点灯して第1光源及び第3光源を消灯したときの結果を示し、(d)は第3光源を点灯して第1光源及び第2光源を消灯したときの結果を示し、(e)は第1光源、第2光源、及び第3光源を点灯したときの結果を示す。
【符号の説明】
【0129】
11 操作パネル
13 基体部
17 押圧操作部
18、18a、18b 透光表示部
19 基板
21 弾性ドームシート
26 第1光源
27 第2光源
28 上面発光光源
29 キーシート
29a、29b 遮光層
31 第1照光シート
32 第2照光シート
34 プランジャシート
36 第1クラッド層
37 第2クラッド層
41 第1放射部
42 第2放射部
43 第3放射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面カバー部と、該表面カバー部を背面側から照光可能な第1照光部とを備え、前記第1照光部は、第1光源と、該第1光源からの光が内部を通して導かれて第1放射部から放射されるようにシート状に形成された第1照光シートとを備え、前記第1放射部から放射された光が前記表面カバー部を透過して表面側に放射されるように構成された表示装置であり、
前記第1照光シートは、厚さ方向に光を透過可能に形成され、
前記第1照光シートの背面側には、第2光源の光を第2放射部から放射して前記第1照光シートを背面側から照光可能な第2照光部を備え、
前記第2放射部からの光が、前記第1照光シート及び前記表面カバー部を透過して前記表面カバー部から放射可能に構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1及び第2照光部の内の少なくとも1つの前記第1又は第2照光シートは、厚さ方向に透光可能なクラッド層により表面が覆われた状態で表面カバー又は他の照光部と積層され、前記第1又は第2光源からの光が前記クラッド層により反射されながら前記第1又は第2照光シート内で導かれるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1照光部と前記第2照光部との間には、前記第2放射部を除く部位に、光の透過を遮断する遮光層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1及び第2照光部の内の少なくとも2つの前記放射部は、平面視において互いに重複する位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1及び第2照光部の内の少なくとも2つの前記放射部は、平面視において互いに異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の表示装置を備え、前記表面カバー部は、押圧操作可能な操作部を備えていることを特徴とする操作スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−163897(P2009−163897A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339377(P2007−339377)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】