説明

表示装置及び方法及びプログラム

【課題】
座標入力操作に基づく拡大処理に関わる操作性を向上させるようにした表示装置及び方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】
ここでは、クローズボタンが拡大対象に指定され、拡大解除操作がペンアップに指定された場合の表示態様の遷移が示される。(a)において、入力座標を移動速度V1以上V2以下で且つ、クローズボタンまでの距離がA1以下となるまで近づけると、入力座標の位置を中心に拡大表示がなされる。(b)において、拡大表示領域上でクローズボタンが押下され、ペンアップされると拡大が解除される。(c)において、クローズボタンの押下を示すカーソル制御信号がPCに送信され、ウインドウのクローズが実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標入力操作に基づく拡大処理に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの高解像度化に伴って表示器(例えば、ディスプレイ)に表示される情報量が増大している。
【0003】
しかし、表示情報量の増加に伴って生じる諸問題も報告されている。例えば、グラフィカルユーザインタフェースによるコンピュータの操作では、高解像度化に伴って操作対象の領域が小さくなるため、細かい作業が必要となり、誤操作が生じる可能性が高くなる。特に、マルチウインドウシステム等のウインドウ制御に際して用いられる、例えば、スライダボタン、ウインドウリサイズ領域、クローズボタン等は小さく操作し辛い。
【0004】
また、会議等で用いられる表示器の使用に際しては、ペン、デジタイザ、タッチパネル等の座標入力機能を備えた入力装置が用いられることが多いが、この種の絶対座標による入力では、高解像度化が進むにつれ、より高い精度の座標入力が求められる。例えば、このような表示器(例えば、スクリーン)の場合、入力位置に対して少しずれた位置から入力を行うため、スクリーンの厚みによるペン先と表示位置との差が誤操作につながる場合がある。
【0005】
以上の問題を解決する方法として、カーソルを隠さずにカーソルの示す位置と対応する一定範囲の画像を拡大表示する方法が知られている(特許文献1)。また、ウインドウの移動、サイズ変更など所定の動作が設定されている領域に(マウス)カーソルが入ると、カーソルの移動量を小さくするか、カーソルを一時停止させるかする方法が知られている(特許文献2)。更に、メニューパネルを表示し、カーソルがメニューパネルの領域内に移動したときに、操作移動感度を低下させメニュー操作を容易にする方法も知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平10−133639号公報
【特許文献2】特開平8−133822号公報
【特許文献3】特開平10−207441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1の技術では、カーソル付近を拡大することにより、操作対象となる領域の詳細を表示させることはできるが、操作移動感度は変化しないため、座標入力装置の操作には細かい操作が必要となってしまう。
【0007】
また、上記した特許文献2の技術では、カーソルを移動させる際に、所定領域を通過させた場合、当該領域上でカーソルの速度が遅くなるか、一時停止してしまうかするため、操作性が低下するという課題が生じる。また、デジタイザやペン入力など絶対座標による座標入力装置の場合には、誤操作の原因を低減することはできない。
【0008】
また、上記した特許文献3の技術では、メニューパネル以外の操作性は向上しないという課題や、デジタイザやペン入力など絶対座標による座標入力装置では誤操作の原因を低減させられないという課題がある。
【0009】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、座標入力操作に基づく拡大処理に関わる操作性を向上させるようにした表示装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による表示装置は、座標入力装置により指示された表示画面上の座標を取得する取得手段と、拡大の対象となる拡大対象を登録する拡大対象登録手段と、前記取得手段により取得された座標と前記拡大対象登録手段により登録された拡大対象の前記表示画面上の表示位置との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に該拡大対象を含む部分領域を拡大表示する拡大処理手段と、前記座標入力装置からの入力に基づき前記拡大処理手段による前記部分領域の拡大表示を解除する拡大解除処理手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様による表示装置の表示処理方法は、座標入力装置により指示された表示画面上の座標を取得する取得工程と、拡大の対象となる拡大対象を登録する拡大対象登録工程と、前記取得工程により取得された座標と前記拡大対象登録工程により登録された拡大対象の前記表示画面上の表示位置との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に該拡大対象を含む部分領域を拡大表示する拡大処理工程と、前記座標入力装置からの入力に基づき前記拡大処理工程による前記部分領域の拡大表示を解除する拡大解除処理工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様による表示処理プログラムは、コンピュータを、座標入力装置により指示された表示画面上の座標を取得する取得手段、拡大の対象となる拡大対象を登録する拡大対象登録手段、前記取得手段により取得された座標と前記拡大対象登録手段により登録された拡大対象の前記表示画面上の表示位置との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に該拡大対象を含む部分領域を拡大表示する拡大処理手段、前記座標入力装置からの入力に基づき前記拡大処理手段による前記部分領域の拡大表示を解除する拡大解除処理手段として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、座標入力操作に基づく拡大処理に関わる操作性を向上させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳しく説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(実施形態)
図1は、本発明に係わる表示装置の一実施の形態の一例を示す図である。
【0015】
201は表示装置であり、映像信号が入力されると表示画面上に映像を表示する。202は表示装置201に付属するペンである。ペン202は、ペンボタン機能を有している。また、ペン202は、例えば、表示画面上に重ねて配置された座標入力板との協働により座標入力機能を有する。203はパーソナルコンピュータ(以下PCと言う)であり、グラフィカルユーザインタフェースを持ったOS(Operating System)がインストールされており、表示装置201に映像信号を出力等する。
【0016】
図2は、上記図1で説明した表示装置201の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、上記図1と同一のものには同一の符号を付してある。
【0017】
入力部113は、ペンボタンの押下やペンの動作等に基づく入力情報を装置内に入力する。入力情報には、例えば、ペン202により指示された座標、ペンボタンのON、OFF情報が含まれる。
【0018】
座標・ボタン検出部104は、入力部113からの入力情報に基づき座標とペンボタンの情報とを検出しそれを取得する。座標・ボタン検出部104では、表示装置201の画像表示領域を座標検出領域とし、ペン202による座標入力板への接触や非接触が検出された位置を座標情報として認識する。座標・ボタン検出部104では、例えば、ペン202が表示画面上に接触した状態をペンダウン、及び非接触の状態をペンアップとして検出し、操作イベントの生成を行う。なお、座標の検出方法は、ペンが座標入力板に接触した時の圧力を入力板内部に備わるセンサで検出して接触位置(座標)を取得する方式や、磁界を発生するペンによりその磁界を入力板内部に備わるセンサで検出して接触位置(座標)を取得する電磁誘導方式がある。また、表示画面上の物体の位置を表示画面の枠部分等に配置された超音波発振子及び超音波センサで検出して接触位置(座標)を取得する超音波表面弾性波方式も知られている。この他、赤外線を発信するペンを使用しその赤外線を装置内部のセンサで検出して接触位置(座標)を取得する赤外線方式等もあるが、何れの方式を採用しても構わない。
【0019】
座標変換部109は、拡大表示された領域内における入力座標の位置(座標)を当該領域拡大表示前における座標に変換する。PC用データ作成部110は、座標やペンボタンの情報をPC203で使用するデータ形式に変換し、PC用のデータを作成する。接続制御部111は、PC203との間の接続制御を行なう。
【0020】
拡大情報登録部105は、拡大に関わる情報の登録を行う機能を果たし、拡大表示の対象となる拡大対象を登録する拡大対象登録部105aと、拡大表示を解除するための操作方法を登録する拡大解除登録部105bとを具備して構成される。拡大表示の対象としては、例えば、スライダボタン、ウインドウリサイズ領域、クローズボタン等が挙げられる。
【0021】
映像信号受信部107は、PC203から映像信号を受信し、映像表示部108は、映像処理部106を経た映像信号受信部107からの映像信号に基づく表示を行う。判定部112は、拡大及び拡大解除を行うか否かの判定を行う。この判定は、入力部113からの入力情報と、拡大情報登録部105により登録された設定情報とに基づき行われる。
【0022】
映像処理部106は、映像を処理する機能を果たし、映像内における所定の部分領域を拡大表示する拡大処理部106aと、当該拡大された所定の部分領域の拡大表示を解除する拡大解除処理部106bとを具備して構成される。拡大、拡大解除は、上記した判定部112による判定結果に基づき行われる。
【0023】
CPU(Central Processing Unit)101は、各種入出力の制御やデータ処理等を行い、RAM(Random Access Memory)102は、演算結果やデータを一時的に記憶する。ROM(Read Only Memory)103は、本実施形態に係わる制御を実行するプログラム(例えば、表示処理プログラム)やデータを記憶する。なお、上記説明した機能ブロックの一部或いは全ては、専用の回路基盤等を用いて実現されてもよいし、また、CPU101がROM103に記憶されたプログラムを実行することで実現されてもよい。
【0024】
図3は、上記図1及び図2で説明した表示装置201における拡大対象の設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0025】
表示装置201はまず、ユーザのモード設定操作に応じて拡大対象設定モードへと移行する(S101)。表示装置201は、当該モードに移行すると、ユーザによる拡大対象の選択操作を受け付ける(S102)。拡大対象の選択操作は、例えば、ペン202により拡大対象となるパーツを囲み、拡大対象を含む領域を指定することで行われる。
【0026】
選択操作が行われると、表示装置201は、例えば、CPU101等において、拡大対象となるパーツ(例えば、クローズボタン)の認識を行う(S103)。この認識には例えば、パターンマッチング技術を用いればよい。パターンマッチングでは、予め登録されているパーツのパターン情報と指定領域内の画像とをマッチングさせることで、当該指定領域内から拡大対象となるパーツを認識し抽出する。このとき、パターンマッチングに際して必要となるパターン情報は、例えば、ROM103等に予め記憶させておく。
【0027】
認識が済むと表示装置201は、当該拡大対象の拡大表示を解除するための解除操作方法の指定を行うユーザインターフェースを提供する(S104)。設定が済みユーザにより設定完了が指示されると、表示装置201は、拡大情報登録部105において、当該設定された情報をROM103等に登録し(S105)、この処理を終了する。なお、この設定情報の登録に際しては、当該拡大対象として設定されたパーツの大きさや、表示画面上におけるパーツの位置を含む情報が登録される。
【0028】
図4は、上記図3で説明した処理の表示態様の遷移の一例を示す図である。ここでは、クローズボタンが拡大対象として指定された場合を例に挙げる。
【0029】
図4(a)において、拡大対象設定モード移行後、ペン202でクローズボタンが囲まれ拡大対象が選択されたとする(S101及びS102)。図4(b)において、表示装置201は、拡大対象の選択を受けると、当該囲まれた領域内から拡大対象となるパーツ(この場合、クローズボタン)の認識を行う(S103)。
【0030】
図4(c)において、拡大対象の認識が済むと表示装置201は、拡大解除の操作を指定するためのユーザインターフェースを提供する(S104)。この場合、当該インターフェース上には、拡大解除操作としてペンダウン、ペンアップ、ダブルクリック、サイドスイッチの指定が行えるようチェックボックス(複数選択可)が設けられている。また、同インターフェース上には、上記認識された拡大対象のパーツの表示領域も設けられている。ここで、例えば、ペンアップが指定され、OKボタンが押下されると、拡大対象をクローズボタン、その拡大解除方法をペンアップとした設定情報が登録される(S105)。
【0031】
図5及び図6は、上記図1及び図2で説明した表示装置201における拡大処理及び拡大解除処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、説明の便宜上、上記図3で説明した処理により既に拡大対象及び拡大解除方法が設定されているものとする。
【0032】
図5において、この処理が開始されると、表示装置201は、入力部113等において、ペン202による入力座標の動作を監視し、判定部112において、当該動作が予め定められた条件を満たすか否かの判定を行う。具体的には、拡大対象の表示位置と入力座標との位置関係が所定の距離以下(この場合、A1以下)にあるか、また入力座標の移動速度が所定の速度範囲内(この場合、V1以上V2以下)にあるかの判定が行われる。この結果、拡大対象と入力座標との間の距離がA1以下である場合(S201でYES)、ペンの移動速度がV2以下であるかを判定し、V2以下であった場合(S202でYES)、入力座標の移動速度がV1以上であるか判定を行なう(S203)。
【0033】
ここで、S201、S202、S203における判定の何れかがNOとなった場合に、表示画面上に拡大表示領域があるときは(S206でYES)、拡大解除処理部106bにおいて、当該領域の拡大を解除する(S207)。その後、表示装置201は、カーソル制御信号をPC203に向けて送信し(S208)、S201の処理に戻る。
【0034】
また、S201及びS202でYESとなり更に、入力座標の移動速度がV1以上であった場合(S203でYES)、表示装置201は、拡大処理部106aにおいて、拡大対象を含む入力座標の位置を中心とした所定サイズの矩形領域を拡大させる(S204)。その後、表示装置201は、拡大表示中処理を実行後(S205)、S201の処理に戻る。
【0035】
次に、図6を用いて、上記S205における拡大表示中処理の流れについて説明する。
【0036】
図6において、この処理が開始されると、判定部112において、ペン202による入力が所定時間以上ないか否かの判定が行われる(S301)。所定時間以上入力がなかった場合は(S301でYES)、拡大解除処理部106bにおいて、上記S204における拡大の解除を行った後(S308)、この処理を抜ける。
【0037】
また、所定時間が経過する前に入力があった場合は(S301でNO)、当該入力が拡大解除操作であるか否かの判定を行う(S302)。ここで拡大解除操作であった場合は(S302でYES)、拡大解除処理部106bにおいて、上記S204における拡大を解除し(S306)、拡大解除操作に対応するカーソル制御信号をPC203に向けて送信した後(S307)、この処理を抜ける。
【0038】
また、拡大解除操作でなかった場合(S302でNO)、当該入力が拡大表示領域に対する座標入力操作であるか否かの判定を行う(S303)。ここで、拡大表示領域外への座標入力であった場合には(S303でNO)、そのままこの処理を抜ける。一方で、拡大表示領域に対する座標入力であった場合には(S303でYES)、座標変換部109において、拡大領域を考慮して当該入力された座標の変換を行う(S304)。すなわち、拡大された領域内における入力座標の位置(座標)を当該領域拡大前における座標情報に変換させる。その後、表示装置201は、カーソル制御信号をPC203に向けて送信し(S305)、S301の処理に戻る。
【0039】
なお、上記説明では、A1、V1、V2が予め設定されているものとして説明したが、拡大対象を指定する際にA1、V1、V2の値を設定できるようにしても構わない。更に、拡大対象の指定に際して設定された値を後から変更できるようにしても構わない。この値は、拡大対象毎に異なっていても構わないしまた、拡大対象の全て若しくはその一部に対して共通の値を設けるようにしても構わない。
【0040】
また、上記説明では、拡大対象と入力座標との距離が所定の距離以下(A1以下)であり且つ、入力座標の移動速度が所定の速度範囲内(V1以上V2以下)である場合に、拡大表示を行っていたが、この処理は適宜変更できる。例えば、移動速度に関係なく、拡大対象と入力座標との距離が所定以下となった時点で拡大表示を行うようにしても構わないし、またこれ以外の条件を加味して拡大表示を行うか否かを決めるようにしても構わない。
【0041】
また、上記説明では、入力座標の位置を中心として拡大表示を行う場合について説明したが、拡大対象を含む領域の拡大が行えるのであれば、どの位置を起点として拡大表示を行っても構わない。例えば、拡大対象(例えば、クローズボタン)を中心として拡大表示を行うようにしても構わない。なお、拡大表示の態様は、矩形形状に限られず、円形、楕円形などであっても構わない。更に、拡大範囲の大きさを設定できるようにしても構わない。
【0042】
ここで、図7から図9を用いて、上記図5及び上記図6で説明した処理の表示態様の遷移の一例について説明する。
【0043】
図7には、クローズボタンが拡大対象に指定され、拡大解除操作がペンアップに指定された場合の表示態様の遷移が示される。
【0044】
図7(a)において、入力座標を移動速度V1以上V2以下で且つ、クローズボタンまでの距離がA1以下となるまで近づけると、入力座標の位置を中心に拡大表示がなされる(S201〜S204)。図7(b)において、拡大表示領域上でクローズボタンが押下され、ペンアップされると拡大が解除される。図7(c)において、クローズボタンの押下を示すカーソル制御信号がPC203に送信されるため、ウインドウのクローズが実行される(S301〜S307)。
【0045】
図8には、ウインドウリサイズ領域が拡大対象に指定され、拡大解除操作がペンダウンに指定された場合の表示態様の遷移が示される。
【0046】
図8(a)において、入力座標を移動速度V1以上V2以下で且つ、ウインドウリサイズ領域までの距離がA1以下となるまで近づけると、入力座標の位置を中心に拡大表示がなされる(S201〜S204)。図8(b及びc)において、拡大表示領域上でウインドウリサイズ領域が操作され、ペンダウンされると拡大が解除される(S301〜S307)。この拡大解除により、画面全体のバランスを見ながらウインドウサイズの変更が行えることになる。なお、ペンアップで解除されるように設定することも可能であるが、この場合には、ウインドウサイズ変更中は拡大が解除されず、全体のバランスを見ながらウインドウサイズを決定することが困難となる。
【0047】
図9には、クローズボタン、ウインドウリサイズ領域が拡大対象に指定され、クローズボタンの拡大解除操作がペンアップ、ウインドウリサイズ領域の拡大解除操作がペンダウンに指定された場合の表示態様の遷移が示される。
【0048】
図9(a)において、ペン202を操作し入力座標をクローズボタン付近に近づける。図9(b)において、入力座標がクローズボタン付近に近づいたことによりクローズボタンが拡大表示される(S201〜S204)。図9(c)において、ペンダウンの操作をせずにクローズボタンからペン202を遠ざける。このときクローズボタン付近の拡大が解除される(S303でNO、S201でNO、S206〜S208)。図9(d)において、入力座標をウインドウリサイズ領域に近づけると、ウインドウリサイズ領域付近が拡大される(S201〜S204)。図9(e)において、拡大されたウインドウリサイズ領域をペンダウンすると、当該領域の拡大が解除される(S306、S307)。拡大が解除された状態でペンダウンしたままペン202を移動させると、ウインドウサイズが変更されることになる。
(変形実施形態)
上記説明では、拡大対象の設定に際して、拡大対象をペン202で囲み指定する場合について説明したが、これに限られず、例えば、1又は複数の拡大対象候補の一覧を表示し、その中から選択させることで拡大対象の設定を行うようにしても構わない。その場合、表示装置201に予め拡大対象(例えば、クローズボタン、最大化ボタン、最小化ボタン、ウインドウリサイズ領域等)を登録しておき、その中からユーザが指定して拡大対象を選択することになる。
【0049】
また、上記説明では、拡大解除の操作を設定する際に、予め登録されている解除操作の候補の中から選択する場合について説明したが、ペン202で操作して拡大を解除する所定動作を入力することで解除操作の設定を行うようにしても構わない。この方法により新たな解除操作を登録することもできる。
【0050】
ここで、図10を用いて、この場合における表示態様の遷移について説明する。ここでは、ウインドウリサイズ領域が拡大対象として指定された場合を例に挙げる。なお、処理の流れとしては上記説明した図3と略同様となる。異なるのは、S102において図10(b)に示す拡大対象の候補となる一覧を表示する点と、S103における処理が不要となる点である。
【0051】
図10(a)において、拡大対象設定モードに移行すると、表示装置201は、拡大対象候補の一覧が表示されるユーザインターフェースを提供する(S101及びS102)。図10(b)において、ユーザにより当該一覧内からウインドウリサイズ領域が選択され、OKボタンが押下されたとする。図10(c)において、表示装置201では、当該選択操作及びボタン押下を受け付け、ウインドウリサイズ領域の拡大を解除する操作を入力するためのユーザインターフェースを提供する(S104)。その後、ユーザにより当該インターフェース上の操作登録領域内において、拡大を解除するための特定の入力動作がなされると、表示装置201は、上記一覧内から選択された拡大対象とともに、当該入力動作を設定情報として登録する(S105)。同図にはペンダウンを入力した例が示される。なお、ペンダウンし領域内でペンアップした後にOKボタンを押下すると、ペンダウン、ペンアップの一連の操作が拡大を解除する操作として登録されてしまう可能性がある。ペンダウンを登録する場合には、拡大解除の操作登録領域内でペンダウンし、そのままドラッグして領域内を出てペンアップし、OKボタンを押下すればよい。ペンアップを登録する場合には、拡大解除の操作登録領域外からドラッグしたまま領域内に入りペンアップし、OKボタンを押下すればよい。
【0052】
なお、拡大対象の候補の一覧を表示する際に、パターンマッチング等を用いて、当該表示画面上に存在する拡大対象の候補となるパーツを抽出し、当該抽出したパーツだけを拡大対象の候補の一覧として表示するようにしても構わない。具体的には、拡大対象の候補として一律に、全てのパーツを一覧表示するのではなく、表示画面上にスライダーがなければ、スライダーを拡大対象候補の一覧から除いて表示してもよいということである。
【0053】
また、上記説明では、ペン202による座標入力について説明したため、座標入力装置による座標入力方法が絶対座標を指定する方式となっていたが、これに限定されず、マウスのような相対座標を指定する座標入力方法であっても構わない。
【0054】
また、上記説明では、拡大対象の設定や、拡大解除方法の設定、拡大及びその解除等に関わる処理全般を表示装置201上で行う場合について説明したが、この処理の一部或いは全てをPC203側で行うようにしても構わない。例えば、拡大対象やその解除方法の設定をPC203側で行い、表示装置201側で拡大表示やその解除を行うようにしてもよい。この場合、上記図3で説明した処理をPC203側で行うことになるが、PC203側では、各パーツの表示位置を認識しているのでパターン認識は不要となる。また、この場合、PC203から表示装置201側に拡大対象やその解除方法の通知を行い、表示装置201において、この通知に基づき図5及び図6に示す処理(拡大、拡大解除)を実行するように構成する。このとき、表示装置201では、PC203側から通知された情報をRAM102等に保持し、この情報に基づきパーツ位置等の認識を行う。なお、PC203側で図3に示す拡大対象の設定や、拡大解除方法の設定、図5及び図6に示す拡大及びその解除等に関わる処理全般を行えることは言うまでもない。また更に、CPU101や表示装置201としての機能を合わせ持つ、例えばPDA(Personal Digital Assistance)等に適用することもできる。
【0055】
以上のように、上記した実施形態によれば、高解像度化したコンピュータにおいて、詳細な操作が必要な領域に対し、絶対座標入力装置(例えば、デジタイザ、ペン)、相対座標入力装置(例えば、マウス)の何れを利用して操作したとしても誤操作を低減できる。また、例えば、不必要な領域でカーソルの動きが遅くなったり、一時停止したりするといった不具合も生じない。また更に、各領域に対して拡大の解除操作を個別に設定できるため、夫々の領域に適した操作が設定できるので操作性が向上する。
【0056】
以上、実施形態を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0057】
なお、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置に内蔵されたコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することにより前述した実施形態の機能が達成される場合を含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したコンピュータプログラムである。
【0058】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0059】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0060】
コンピュータプログラムを供給するためのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0061】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、夫々のファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0062】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0063】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0064】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係わる表示装置の一実施の形態の一例を示す図である。
【図2】図1に示す表示装置201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2に示す表示装置201における処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
【図4】図3に示す処理の表示態様の遷移の一例を示す図である。
【図5】図1及び図2に示す表示装置201における処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
【図6】図1及び図2に示す表示装置201における処理の流れの一例を示す第3のフローチャートである。
【図7】図5及び上記図6に示す処理の表示態様の遷移一例を示す第1の図である。
【図8】図5及び上記図6に示す処理の表示態様の遷移一例を示す第2の図である。
【図9】図5及び上記図6に示す処理の表示態様の遷移一例を示す第3の図である。
【図10】変形実施形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 座標・ボタン検出部
105 拡大情報登録部
105a 拡大対象登録部
105b 拡大解除登録部
106 映像処理部
106a 拡大処理部
106b 拡大解除処理部
107 映像信号受信部
108 映像表示部
109 座標変換部
110 PC用データ作成部
111 接続制御部
112 判定部
113 入力部
201 表示装置
202 ペン
203 パーソナルコンピュータ(PC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標入力装置により指示された表示画面上の座標を取得する取得手段と、
拡大の対象となる拡大対象を登録する拡大対象登録手段と、
前記取得手段により取得された座標と前記拡大対象登録手段により登録された拡大対象の前記表示画面上の表示位置との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に該拡大対象を含む部分領域を拡大表示する拡大処理手段と、
前記座標入力装置からの入力に基づき前記拡大処理手段による前記部分領域の拡大表示を解除する拡大解除処理手段と
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記拡大処理手段は、
前記取得手段により取得される座標の移動速度が所定の速度範囲内であり、該座標と該拡大対象との距離が所定の距離以下である場合に、該拡大対象を含む部分領域を拡大する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記拡大対象登録手段は、
前記取得手段により取得された座標に基づいて前記表示画面に表示中の画像から拡大対象を抽出し登録する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記拡大対象登録手段は、
予め登録された1又は複数の拡大対象の候補からのユーザの選択操作に基づき拡大対象を登録する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記拡大解除処理手段は、
前記座標入力装置からの入力が所定時間以上なかった場合に、前記部分領域の拡大表示を解除する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
拡大を解除するための拡大解除操作を登録する拡大解除登録手段
を更に具備し、
前記拡大解除処理手段は、
前記拡大解除登録手段により登録された拡大解除操作が行われた場合に、前記拡大処理手段による前記部分領域の拡大表示を解除する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記拡大解除登録手段は、
前記座標入力装置による特定の入力動作を前記拡大解除操作として登録する
ことを特徴とする請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記拡大解除登録手段は、
予め登録された1又は複数の拡大解除操作の候補からのユーザの選択操作に基づき前記拡大解除操作を登録する
ことを特徴とする請求項6記載の表示装置。
【請求項9】
前記拡大解除登録手段は、
前記拡大表示を解除するための拡大解除操作を拡大対象毎に登録し、
前記拡大解除処理手段は、
前記拡大解除登録手段により拡大表示中の前記拡大対象に関して登録された拡大解除操作が行われた場合に、前記拡大処理手段による前記部分領域の拡大表示を解除する
ことを特徴とする請求項6記載の表示装置。
【請求項10】
前記拡大処理手段により前記部分領域の拡大表示が行われている間に、前記取得手段により該拡大表示された領域内の座標が取得された場合は、該座標を当該領域拡大表示前における座標情報に変換する変換手段
を更に具備することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項11】
座標入力装置により指示された表示画面上の座標を取得する取得工程と、
拡大の対象となる拡大対象を登録する拡大対象登録工程と、
前記取得工程により取得された座標と前記拡大対象登録工程により登録された拡大対象の前記表示画面上の表示位置との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に該拡大対象を含む部分領域を拡大表示する拡大処理工程と、
前記座標入力装置からの入力に基づき前記拡大処理工程による前記部分領域の拡大表示を解除する拡大解除処理工程と
を含むことを特徴とする表示装置の表示処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、
座標入力装置により指示された表示画面上の座標を取得する取得手段、
拡大の対象となる拡大対象を登録する拡大対象登録手段、
前記取得手段により取得された座標と前記拡大対象登録手段により登録された拡大対象の前記表示画面上の表示位置との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に該拡大対象を含む部分領域を拡大表示する拡大処理手段、
前記座標入力装置からの入力に基づき前記拡大処理手段による前記部分領域の拡大表示を解除する拡大解除処理手段
として機能させるための表示処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−116823(P2009−116823A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292306(P2007−292306)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】